下敷き、入力装置及び筆跡情報取得方法
【課題】デジタルペーパのサービスを受ける機会を増やすことを可能にする。
【解決手段】下敷き400は、用紙500の下に敷かれて用いられる。この下敷き400は、赤外光ないしテラヘルツ電磁波の吸収体、例えばカーボンが含まれていない材質で構成されている。下敷き400には、コード画像が印刷されている。このコード画像は、赤外光ないしテラヘルツ電磁波を吸収する色材(例えばカーボン等)を含むインクを用いて印刷されている。これにより、用紙500にコード画像が印刷されていない場合にも、ペンデバイスと共に下敷き400を利用することにより、デジタルペーパのサービスを受けることが可能になる。
【解決手段】下敷き400は、用紙500の下に敷かれて用いられる。この下敷き400は、赤外光ないしテラヘルツ電磁波の吸収体、例えばカーボンが含まれていない材質で構成されている。下敷き400には、コード画像が印刷されている。このコード画像は、赤外光ないしテラヘルツ電磁波を吸収する色材(例えばカーボン等)を含むインクを用いて印刷されている。これにより、用紙500にコード画像が印刷されていない場合にも、ペンデバイスと共に下敷き400を利用することにより、デジタルペーパのサービスを受けることが可能になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下敷き、入力装置及び筆跡情報取得方法に関し、より詳細には、用紙に手書きした内容を電子化するのに用いられる下敷き等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、細かなドットが印刷された特殊な用紙に文字や絵を描き、ユーザがこの用紙上に書いた文字等のデータをパソコンや携帯電話等に転送し、この内容の保存や、メール送信を可能にする技術が注目されている。この技術では、この特殊な用紙に例えば0.3mm程度の間隔にて小さなドットが印刷され、これが例えば所定の大きさのグリッドごとに、全て異なるパターンを描くように構成されている。これを、例えばデジタルカメラを内蔵した専用のペンを用いて読み込むことで、この特殊な用紙上に書かれた文字等の位置を特定することができ、このような文字等を電子情報として利用することが可能となる。
【0003】
ここで、公報記載の従来技術として、複数のマークを備えた符号化パターンを用紙に形成する技術もある(例えば、特許文献1参照)。具体的には、符号化パターンを備えた複数のマークの各々は、少なくとも2つの異なる値のうちの1つを表している。そして、符号化パターンは複数の基準位置を備えている。また、複数のマークの各々が1つの基準位置に関連付けられ、各マークの値がその基準位置に対する位置によって決定されている。このような構成により、全てのマークは同じ外形を有して良く、従来よりも符号化パターンを単純化することができ、また、従来よりも符号化パターンの認識が簡単に行われる。
【0004】
【特許文献1】特表2003−511761号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術において、文字等を電子情報として利用する場合には、細かなドットを印刷した用紙(デジタルペーパ)を用いる必要がある。したがって、細かなドットを印刷していない用紙については、文字等を電子情報として利用するサービスを受けることができない。すなわち、持ち歩けるデジタルペーパの枚数には限りがあり、デジタルペーパが手元に無ければサービスを受けることが出来ない。また、デジタルペーパは、コストも高く入手先も限られてしまう。
【0006】
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、専用の紙を用いずとも所定のサービスを受ける機会を増やすことにある。
また別の目的は、所定のサービスを安価で受け得るようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的のもと、本発明が適用される下敷きは、所定のパターンからなる、位置情報を含むコード情報が印刷され、ユーザが行う行為による用紙上の指示位置が、コード情報を読み取る読み取り手段により認識可能であることを特徴とするものである。
【0008】
ユーザが行う行為による用紙上の指示位置が、コード情報を読み取る読み取り手段により用紙を透過して認識可能であることを特徴とすることができる。また、コード情報は、赤外ないしテラヘルツ波に対して吸収性能を持つ色材を含むインクで印刷されていることを特徴とすることができる。また、複数の用紙のうち特定の用紙を区別することを可能にする用紙認識画像を更に備えることを特徴とすることができる。
【0009】
他の観点から捉えると、本発明が適用される入力装置は、所定のパターンからなる、位置情報を含むコード情報が印刷され、用紙が載置されて用いられる下敷きと、下敷きに載置された用紙における筆跡情報を下敷きのコード情報を用いて取得するペンデバイスと、を含むものである。
【0010】
ペンデバイスは、下敷きのコード情報を用紙を透過して認識可能であることを特徴とすることができる。また、他の用紙との区別を可能にするための用紙認識画像が付されている用紙を更に含むことを特徴とすることができる。また、下敷きに設けられ、下敷きに載置されている用紙に向けて光を発する面状発光素子を更に含むことを特徴とすることができる。そして、面状発光素子は、EL発光シートであることを特徴とすることができる。
【0011】
更に本発明を別の観点から捉えると、本発明が適用される筆跡情報取得方法は、所定のパターンからなる、位置情報を含むコード情報が印刷されている下敷きに用紙の一面を接触させ、用紙の他面から下敷きのコード情報を読み取り、読み取ったコード情報を処理して用紙の他面における筆跡情報を取得することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、専用の紙を用いずとも所定のサービスを受ける機会を増やすことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用されるシステムの構成の一例を示したものである。このシステムは、少なくとも、電子文書の印刷を指示する端末装置100と、電子文書を印刷する際に媒体に付与する識別情報を管理し、この識別情報等を含むコード画像(コードパターン画像)を生成する識別情報管理サーバ200と、コード画像を印刷する画像形成装置300と、がネットワーク900に接続されることにより構成されている。
【0014】
また、識別情報管理サーバ200には、識別情報を記憶する記憶装置としての識別情報リポジトリ(repository)250が接続されている。
更に、このシステムは、端末装置100からの指示により画像形成装置300にて出力される剛体板の印刷物(以下、下敷きともいう)400と、印刷物400の上に載置される用紙500と、用紙500に文字又は図形を記録し、その文字又は図形の記録情報を読み取るペンデバイス600(読み取り手段)と、を含む。また、ネットワーク900には、ペンデバイス600により読み取られた記録情報を表示する端末装置700も接続されている。
なお、本明細書では、「電子文書」の文言を用いるが、これは、テキストを含む「文書」を電子化したデータのみを意味するものではない。例えば、絵、写真、図形等の画像データ(ラスタデータかベクターデータかによらない)、その他の印刷可能な電子データも含めて「電子文書」としている。
【0015】
以下、本システムの動作の概略を説明する。
まず、端末装置100は、識別情報管理サーバ200に対し、コード画像を印刷するよう指示する(A)。このとき、端末装置100からは、用紙サイズ、向き、縮小/拡大、N−up(用紙の1ページ内に電子文書のNページを割り付ける印刷)、両面印刷等の印刷属性も入力される。なお、端末装置100からは、ユーザのアプリケーションプログラム(以下、「ユーザAP」という)が印刷物に基づく処理を行う際に用いる付加情報も入力されるように構成できる。ここにいう付加情報としては、例えば媒体に対する処理に用いられる情報を想定することができ、具体的には、複写禁止、複写可能回数等をあげることができる。
これにより、識別情報管理サーバ200は、識別情報リポジトリ250にて管理されている識別情報と、印刷属性に応じて決定された位置情報とを含むコード画像について、画像形成装置300にその印刷を指示する(B)。なお、ここにいう識別情報とは、電子文書の画像が印刷された個々の媒体(用紙)を一意に識別する情報をいい、位置情報とは、個々の媒体上の座標位置(X座標、Y座標)を特定するための情報をいう。
その後、画像形成装置300は、識別情報管理サーバ200からの指示に従い、印刷物400を出力する(C)。
【0016】
一方、ユーザが、印刷物400の上に用紙500を載置して、ペンデバイス600を用いて用紙500に文字又は図形を記録(筆記)したとする(D)。これにより、ペンデバイス600の撮像素子が、印刷物400上の一定の領域を捕捉し、位置情報及び識別情報を得る。そして、位置情報に基づいて求められた文字又は図形の軌跡情報と、識別情報とが、無線又は有線により端末装置700へ転送される(E)。なお、本システムでは、赤外光の吸収率が所定の基準よりも高い不可視トナーを用いて不可視画像を形成し、赤外光の照射及び検知が可能なペンデバイス600によって不可視画像を読み取ることを可能にしている。
なお、このような構成はあくまで一例であり、識別情報管理サーバ200の機能を画像形成装置300の画像処理部にて実現してもよい。また、印刷物400及び用紙500については後述する。
【0017】
次に、本システムの構成及び動作について、より詳細に説明する。
図2は、識別情報管理サーバ200の構成の一例を示す図である。
識別情報管理サーバ200は、受信部20aと、対応情報管理部21と、対応情報DB(データベース)22と、コード画像生成部23と、コード画像バッファ24と、送信部20bと、を備えている。
また、コード画像生成部23は、位置情報符号化部23aと、位置コード生成部23bと、識別情報符号化部23cと、識別コード生成部23dと、コード配置部23eと、パターン格納部23fと、パターン画像生成部23gと、を備えている。
【0018】
受信部20aは、印刷指示、印刷対象の電子文書等の各種情報をネットワーク900から受信する。
対応情報管理部21は、対応情報DB22への情報の登録、及び、対応情報DB22からの情報の読み出しを行う。対応情報DB22は、媒体を識別する識別情報等の対応を記憶するデータベースである。
コード画像生成部23は、コード画像の生成に必要な情報に基づいて、コード画像を生成し、コード画像バッファ24へ格納する。送信部20bは、コード画像バッファ24に画像を出力する指示を、PostScript等に代表されるPDL(Page Description Language)として画像形成装置300へ送信する。
【0019】
位置情報符号化部23aは、位置情報を所定の符号化方式により符号化する。この符号化には、例えば、既知の誤り訂正符号であるRS(リードソロモン)符号やBCH符号を用いることができる。また、誤り検出符号として、位置情報のCRC(Cyclic Redundancy Check)やチェックサム値を計算し、それを冗長ビットとして位置情報に付加することもできる。また、疑似雑音系列の一種であるM系列符号を位置情報として利用することもできる。M系列符号は、P次のM系列(系列長2P−1)の場合、M系列から長さPの部分系列を取り出したときに、その部分系列に現われるビットパターンがM系列中に一度しか現われない性質を利用して符号化を行うものである。
【0020】
位置コード生成部23bは、符号化された位置情報を、コード情報として埋め込む形式に変換する。例えば、第三者による解読が困難になるように、符号化された位置情報における各ビットの配置を、疑似乱数等により入れ替えたり暗号化したりすることができる。また、位置コードが2次元配置される場合は、ビット値をコードの配置と同様に2次元配置しておく。
【0021】
なお、本実施の形態において、位置情報符号化部23aは、印刷属性ごとに予め生成され格納された符号化位置情報の中から、印刷属性に応じた符号化位置情報を選択するものとする。用紙サイズ、向き、縮小/拡大、N−up等の印刷が決まれば、用紙上に印刷する位置コードは1つに特定できるからである。
一方、印刷属性が常に同じ場合は、用紙上に印刷する位置コードも常に同じになる。従って、同じ印刷属性での印刷のみを行う場合は、位置情報符号化部23aと位置コード生成部23bとをまとめて、1セットの位置コードを格納する位置コード格納部とし、常にその位置コードを用いるようにしてもよい。
【0022】
識別情報符号化部23cは、識別情報が入力されると、識別情報を所定の符号化方式により符号化する。この符号化には、位置情報の符号化に使用したのと同様の方式を使用することができる。
識別コード生成部23dは、符号化された識別情報を、コード情報として埋め込む形式に変換する。例えば、第三者による解読が困難になるように、符号化された識別情報における各ビットの配置を、疑似乱数等により入れ替えたり暗号化したりすることができる。また、識別コードが2次元配置される場合は、ビット値をコードの配置と同様に2次元配置しておく。
【0023】
コード配置部23eは、コードと同じ形式に配置された符号化位置情報と符号化識別情報とを合成し、出力画像サイズに相当する2次元コード配列を生成する。このとき、符号化位置情報としては、配置位置により異なる位置情報を符号化した符号を使用し、符号化識別情報としては、位置によらず同じ情報を符号化した符号を使用する。
パターン画像生成部23gは、2次元コード配列における配列要素のビット値を確認し、各ビット値に対応するビットパターン画像をパターン格納部23fより取得して、2次元コード配列を画像化したコード画像として出力する。
【0024】
なお、これらの機能部分は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。具体的には、識別情報管理サーバ200の図示しないCPUが、受信部20a、対応情報管理部21、コード画像生成部23、送信部20bの各機能を実現するプログラムを外部記憶装置から主記憶装置に読み込んで処理を行う。
【0025】
次に、この識別情報管理サーバ200が端末装置100からの指示に応じて画像形成装置300に対し画像出力指示を送信する際の動作について説明する。
識別情報管理サーバ200では、まず、受信部20aが、端末装置100から印刷対象の電子文書の格納場所の指定と印刷属性とを含む印刷指示を受信する。そして、受信した情報のうち、印刷属性は対応情報管理部21に受け渡され、対応情報管理部21がこの印刷属性を保持する。
【0026】
対応情報管理部21は、コード生成に必要な情報(識別情報及び印刷属性)をコード画像生成部23に出力する。これにより、位置情報符号化部23aで、印刷属性に対応する位置情報が符号化され、位置コード生成部23bで、符号化された位置情報を示す位置コードが生成される。また、識別情報符号化部23cで、識別情報が符号化され、識別コード生成部23dで、符号化された識別情報を示す識別コードが生成される。
そして、コード配置部23eにより出力画像サイズに相当する2次元コード配列が生成され、パターン画像生成部23gにより2次元コード配列に対応するパターン画像が生成される。コード画像生成部23gが生成したコード画像は、コード画像バッファ24を介して送信部20bに受け渡される。
なお、対応情報管理部21は、端末装置100から印刷指示があった電子文書の対応する色材情報を送信部20bに受け渡す。そして、印刷対象の電子文書の文書画像とコード画像との合成画像を色材情報に基づいて画像形成装置300が媒体の面に印刷し、ユーザは印刷物400を得ることになる。
【0027】
次に、画像形成装置300の概略について説明する。
図3は、画像形成装置300の構成例を示した図である。図3に示す画像形成装置300は、所謂タンデム型の装置であって、例えば、電子写真方式にて各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット31Y、31M、31C、31K、31I(31)と、各画像形成ユニット31Y〜31Iにて形成された各色成分トナー像を順次転写(一次転写)して保持させる中間転写ベルト36とを備えている。また、画像形成装置300は、中間転写ベルト36上に転写された重ね画像を媒体(プラスチック板)Pに一括転写(二次転写)させる二次転写装置310と、二次転写された画像を媒体P上に定着させる定着装置340と、を備えている。
【0028】
この画像形成装置300では、常用色(通常色)であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のトナー像を形成する画像形成ユニット31Y、31M、31Cの他に、赤外に吸収を持つ黒(K)のトナー像を形成する画像形成ユニット31K、不可視のトナー像を形成する画像形成ユニット31Iがタンデムを構成する画像形成ユニットの一つとして設けられている。なお、トナーの組成については、後で詳しく述べる。
【0029】
本実施の形態において、各画像形成ユニット31は、矢印A方向に回転する感光体ドラム32の周囲に、これらの感光体ドラム32を帯電させる帯電器33と、感光体ドラム32上に静電潜像を書き込むレーザ露光器34(図中露光ビームを符号Bmで示す)とが配置されている。また、感光体ドラム32の周囲には、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム32上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器35、感光体ドラム32上に形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト36に転写する一次転写ロール37、および、感光体ドラム32上の残留トナーを除去するドラムクリーナ38等の電子写真用デバイスが順次配設されている。
これらの画像形成ユニット31は、中間転写ベルト36の上流側から、黄(Y色)、マゼンタ(M色)、シアン(C色)、黒(K色)、不可視(I色)の順に配置されている。
中間転写ベルト36は、各種ロールによって図に示すB方向に回動可能に構成されている。
二次転写装置310は、中間転写ベルト36のトナー像担持面側に圧接配置される二次転写ロール311と、中間転写ベルト36の裏面側に配置されて二次転写ロール311の対向電極をなすバックアップロール312とを備えている。
二次転写ロール311の下流側には二次転写後の中間転写ベルト36の表面をクリーニングするベルトクリーナ321が設けられている。二次転写ロール311の上流側には、画質調整を行なうための画像濃度センサ322が配設されている。
【0030】
次に、この画像形成装置300の作像プロセスについて説明する。ユーザによりスタートスイッチ(図示せず)がオン操作されると、所定の作像プロセスが実行される。具体的に述べると、例えばこの画像形成装置300をカラープリンタとして構成する場合には、ネットワーク900から送信されたデジタル画像信号をメモリに一時的に蓄積し、その蓄積されている5色(Y、M、C、K、I)のデジタル画像信号に基づいて各色のトナー像形成を行わせるようにする。
【0031】
すなわち、画像処理によって得られた各色の画像記録信号に基づいて画像形成ユニット31の各々を駆動する。そして、各画像形成ユニット31では、帯電器33により一様に帯電された感光体ドラム32に対し、画像記録信号に応じた静電潜像が、レーザ露光器34によりそれぞれ書き込まれる。また、書き込まれた各静電潜像を各色のトナーが収容される現像器35により現像して各色のトナー像が形成される。
【0032】
そして、各感光体ドラム32に形成されたトナー像は、各感光体ドラム32と中間転写ベルト36とが接する一次転写位置で、一次転写ロール37により印加される一次転写バイアスにより感光体ドラム32から中間転写ベルト36の表面に一次転写される。このようにして中間転写ベルト36に一次転写されたトナー像は中間転写ベルト36上で重ね合わされ、中間転写ベルト36の回動に伴って二次転写位置へと搬送される。
【0033】
一方、媒体Pは、所定のタイミングで二次転写装置310の二次転写位置へと搬送され、中間転写ベルト36(バックアップロール312)に対して二次転写ロール311が媒体Pをニップする。そして、二次転写ロール311とバックアップロール312との間に形成される二次転写電界の作用で、中間転写ベルト36に担持された重ねトナー像が媒体Pに二次転写される。
その後、トナー像が転写された媒体Pは定着装置340へと搬送され、トナー像の定着が行われる。一方、二次転写後の中間転写ベルト36は、ベルトクリーナ321によって残留トナーが除去される。
【0034】
ここで、画像形成装置300で使用されるトナーについて詳細に説明する。
まず、画像形成ユニット31Yにて用いられるYトナー、画像形成ユニット31Mにて用いられるMトナー、画像形成ユニット31Cにて用いられるCトナー、および画像形成ユニット31Kにて用いられるKトナーとしては、従来から使用されているトナーを用いる。すなわち、Kトナーは、赤外光を吸収するカーボンブラックを黒色の色剤とするものである。
【0035】
また、画像形成ユニット31Iにて用いられる不可視トナーとしては、例えば、特開2003−186238号公報に記載された材料を用いることができる。すなわち、結着樹脂と無機材料粒子からなる近赤外光吸収材料とを含むものを用いることが考えられる。
ここで、結着樹脂としては、具体的には、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
また、近赤外光吸収材料としては、少なくともCuOとP2O5を含む無機材料粒子を用いることができる。なお、不可視トナー粒子中におけるCuOの含有濃度は、6質量%〜35質量%の範囲が好ましく、10質量%〜30質量%の範囲がより好ましい。更に、無機材料粒子は、不可視トナー中における無機材料粒子の均一分散性と、電子写真用の記録材料として必要となる適度な負極摩擦帯電性とを得るため、CuO、Al2O3、P2O5、及びK2Oを必須の構成成分とする銅燐酸結晶化ガラスからなることが好ましい。この銅燐酸結晶化ガラスの組成は、CuOが20質量%〜60質量%の範囲であり、Al2O3が1質量%〜10質量%の範囲であり、P2O5が30質量%〜70質量%の範囲であり、K2Oが1質量%〜10質量%の範囲であることが好ましい。
【0036】
すなわち、画像形成装置300は、コード画像を人間の目で容易に識別できない(ほぼ不可視の)色材を使用して形成し、文書画像を人間の目で識別可能な(可視の)色材を使用して形成する。また、不可視の色材としては、特定の赤外領域の波長が可視光量域の波長より多く吸収される特性を有するものを用い、可視の色材としては、可視光領域の波長を多く吸収する特性を有するものを用いる。
なお、本実施の形態では、不可視の色材を利用する例を説明したが、これに限るものではない。例えば、コード画像を、赤外域の波長を吸収するカーボンブラックを使用して形成し、文書画像を、イエロー、マゼンタ、シアンの色材(通常、これらの色材は赤外域の波長の吸収量が少ない)を使用して形成してもよい。
【0037】
ここで、図4及び図5を参照し、ペンデバイス600の筆跡情報を取得するための機構及び筆跡情報の取得動作について述べる。
図4は、ペンデバイス600の構成を示した図である。
このペンデバイス600は、コード画像が印刷された印刷物400や印刷物400の上に載置された用紙500に通常のペンと同様の操作により文字や図形を記録する筆記部61と、筆記部61の動きを監視しペンデバイス600が用紙に押し付けられていることを検出する筆圧検出部62とを備えている。また、ペンデバイス600の全体の電子的な動作を制御する制御部63と、用紙上のコード画像を読み取るために赤外光を照射する赤外照射部64と、反射される赤外光を受光することによりコード画像を認識して入力する画像入力部65とを備えている。
【0038】
ここで、制御部63について更に詳しく説明する。
制御部63は、コード取得部631と、軌跡算出部632と、情報記憶部633とを備えている。コード取得部631は、画像入力部65から入力された画像を解析してコードを取得する部分である。軌跡算出部632は、コード取得部631により取得したコードに対し、筆記部61のペン先の座標と画像入力部65が捕捉した画像の座標とのずれを補正してペン先の軌跡を算出する部分である。情報記憶部633は、コード取得部631が取得したコードや軌跡算出部632が算出した軌跡情報を記憶する部分である。
なお、本実施の形態においては、図示しないが、情報記憶部633に記憶された軌跡情報を解析し、筆跡情報を取得する機構も設けられているものとする。
【0039】
図5は、ペンデバイス600の主に制御部63にて実行される処理を示したフローチャートである。ペンデバイス600を用いて、例えば用紙500に文字や図形の記録が行われると、制御部63は、用紙500の下にある印刷物500に対してペンによる記録が行われていることの検出信号を筆圧検出部62から取得する(ステップ601)。この検出信号を検出すると、制御部63は、赤外照射部64に対し、赤外光を用紙500に照射するように指示する(ステップ602)。赤外照射部64によって用紙に照射される赤外光は不可視画像にて吸収され、それ以外の部分では反射される。画像入力部65ではこの反射された赤外光を受光し、赤外光が反射されなかった部分をコード画像として認識する。制御部63は、画像入力部65からこのコード画像を入力(スキャン)する(ステップ603)。
【0040】
その後、制御部63のコード取得部631では、ステップ604〜ステップ610に示すコード画像検出処理が実行される。まず、コード取得部631は、入力されたスキャン画像を整形する(ステップ604)。このスキャン画像の整形は、傾き補正やノイズ除去等である。そして、整形されたスキャン画像からビットパターンを検出する(ステップ605)。また一方で、整形されたスキャン画像から、2次元コード位置決め用のコードである同期コードを検出する(ステップ606)。コード取得部631は、この同期コード位置を参照して2次元コードを検出する(ステップ607)。また、2次元コードからECC(Error Correcting Code:誤り訂正符号)等の情報を取り出し復号する(ステップ608)。そして、復号した情報を元の情報に復元する(ステップ609)。
【0041】
制御部63のコード取得部631では、以上のようにして復元したコード情報から位置情報及び識別情報を取り出し、取り出した情報を情報記憶部633に記憶する(ステップ610)。その一方で、軌跡算出部632は、情報記憶部633に格納された軌跡情報からペン先の軌跡を算出し、情報記憶部633に記憶する(ステップ611)。
その後、情報記憶部633に記憶された軌跡情報から筆跡情報が取得され、端末装置700へと送信される。
【0042】
〔第1の実施の形態〕
図6は、第1の実施の形態に係る下敷き400を説明するための図である。
図6に示す下敷き400は、例えば樹脂、金属、木材、ガラス又は紙等の薄板状であり、プラスチック板等の剛体板からなる。この剛体板には、用紙を載置するための載置面(一面)が形成されている。また、下敷き400には、ドット状のコード画像(コード情報)が印刷されている。なお、下敷き400は、赤外光ないしテラヘルツ電磁波の吸収体、例えばカーボンが含まれていない材質で構成されている。また、コード画像は、赤外光ないしテラヘルツ電磁波を吸収する色材(例えばカーボン等)を含むインクを用いて印刷されている。すなわち、コード画像は、Kトナーや赤外吸収透明トナー(i-Toner)で用紙に印刷されている。また、このコード画像は、所定のパターンを有する微細なドット状のコード情報ということもできる。
【0043】
ここにいう赤外とは、可視光と電波との間に属する電磁波であり、およそ1mm〜700nmの波長を持つものである。付言すると、近赤外線は、およそ0.7〜2.5μmの可視光(赤)に近い電磁波であり、可視光に近い。中赤外線は、およそ2.5〜4μmの電磁波であり、遠赤外線は、およそ4〜1000μmの電磁波である。熱線としての性質を持つ。
また、テラヘルツ電磁波(遠/極遠赤外線、サブミリ波)は、毎秒一兆回振動している電磁波のことをいい、一般に、10THz〜0.3THz程度の電磁波である。波長に換算すると、30m〜1000μmであり、領域可視光と電波の中間に位置する。物質を良く透過する性質を有する。
【0044】
次に、第1の実施の形態に係る下敷き400に印刷されるコード画像の元となるパターンについて説明する。
図7は、コードパターンについて説明するための図である。
まず、コードパターンを構成するビットパターンについて説明する。
図7の(a)に、ビットパターンの配置の一例を示す。
ビットパターンとは、情報埋め込みの最小単位である。ここでは、図7の(a)に示すように、9箇所の中から選択した2箇所にビットを配置する。図では、黒の四角が、ビットが配置された位置を示し、斜線の四角が、ビットが配置されていない位置を示している。9箇所の中から2箇所を選択する組み合わせは、36(=9C2)通りある。したがって、このような配置方法により、36通り(約5.2ビット)の情報を表現することができる。
ただし、識別情報及び位置情報は、この36通りのうち32通り(5ビット)を使用して表現するものとする。
【0045】
ところで、図7の(a)に示した最小の四角は、600dpiにおける2ドット×2ドットの大きさを有している。600dpiにおける1ドットの大きさは0.0423mmなので、この最小の四角の一辺は、84.6μm(=0.0423mm×2×1000)である。コードパターンを構成するドットは、大きくなればなるほど目に付きやすくなるため、できるだけ小さいほうが好ましい。ところが、あまり小さくすると、プリンタで印刷できなくなってしまう。そこで、ドットの大きさとして、50μmより大きく100μmより小さい上記の値を採用している。これにより、プリンタで印刷可能な最適な大きさのドットを形成することができる。つまり、84.6μm×84.6μmが、プリンタで安定的に形成可能な最小の大きさなのである。
なお、ドットをこのような大きさにすることで、1つのビットパターンの一辺は、約0.5(=0.0423×2×6)mmとなる。
【0046】
また、このようなビットパターンから構成されるコードパターンについて説明する。
図7の(b)に、コードパターンの配置の一例を示す。
ここで、図7の(b)に示した最小の四角が、図7の(a)に示したビットパターンに相当する。すなわち、識別情報を符号化した識別符号は、16(=4×4)個のビットパターンを使用して埋め込まれる。また、X方向の位置情報を符号化したX位置符号と、Y方向の位置情報を符号化したY位置符号とは、それぞれ、4個のビットパターンを使用して埋め込まれる。更に、左上角部に、コードパターンの位置と回転を検出するための同期符号が、1つのビットパターンを使用して埋め込まれる。
なお、1つのコードパターンの大きさは、ビットパターンの5個分の幅に等しいため、約2.5mmとなる。本実施の形態では、このように生成したコードパターンを画像化したコードパターン画像を、用紙全面に配置する。
【0047】
次いで、識別情報及び位置情報を符号化し、符号化された情報からコードパターン画像を生成する処理について説明する。
図8は、このような符号化及び画像生成の処理について説明するための図である。
まず、識別情報の符号化について説明する。
識別情報の符号化には、ブロック符号化方式のRS(リードソロモン)符号が使用される。図7で説明した通り、本実施の形態では、5ビットの情報を表現できるビットパターンを用いて情報を埋め込む。したがって、情報の誤りも5ビット単位で発生するため、ブロック符号化方式で符号化効率が良いRS符号を使用している。ただし、符号化方式はRS符号に限定するものでなく、その他の符号化方式、例えば、BCH符号等を使用することもできる。
【0048】
上述したように、本実施の形態では、5ビットの情報量を持つビットパターンを用いて情報を埋め込む。従って、RS符号のブロック長を5ビットとする必要がある。そのため、識別情報を5ビットずつに区切り、ブロック化する。図8では、識別情報「0011101101001…」から、第1のブロック「00111」と、第2のブロック「01101」とが切り出されている。
そして、ブロック化された識別情報に対し、RS符号化処理を行う。図8では、「blk1」、「blk2」、「blk3」、「blk4」、…というようにブロック化した後、RS符号化が行われる。
【0049】
ところで、本実施の形態において、識別情報は、16(=4×4)個のブロックに分けられる。そこで、RS符号における符号ブロック数を16とすることができる。また、情報ブロック数は、誤りの発生状況に応じて設計することができる。例えば、情報ブロック数を8とすれば、RS(16,8)符号となる。この符号は、符号化された情報に4ブロック(=(16−8)÷2)の誤りが発生しても、それを補正することができる。また、誤りの位置を特定できれば、訂正能力を更に向上することができる。なお、この場合、情報ブロックに格納される情報量は、40ビット(=5ビット×8ブロック)である。したがって、約1兆種類の識別情報が表現可能である。
【0050】
次に、位置情報の符号化について説明する。
位置情報の符号化には、擬似乱数系列の一種であるM系列符号が使用される。ここで、M系列とは、K段の線形シフトレジスタで発生できる最大周期の系列であり、2K−1の系列長をもつ。このM系列から取り出した任意の連続したKビットは、同じM系列中の他の位置に現れない性質を持つ。そこで、この性質を利用することにより、位置情報を符号化することができる。
【0051】
ところで、本実施の形態では、符号化すべき位置情報の長さから、必要なM系列の次数を求め、M系列を生成している。しかしながら、符号化する位置情報の長さが予め分かっている場合は、M系列を毎回生成する必要はない。即ち、固定のM系列を予め生成しておき、それをメモリ等に格納しておけばよい。
例えば、系列長8191のM系列(K=13)を使用したとする。
この場合、位置情報も5ビット単位で埋め込むため、系列長8191のM系列から5ビットずつ取り出してブロック化する。図8では、M系列「11010011011010…」が、5ビットずつブロック化されている。
【0052】
このように、本実施の形態では、位置情報と識別情報とで、異なる符号化方式を用いている。これは、識別情報の検出能力を、位置情報の検出能力よりも高くなるように設定する必要があるからである。つまり、位置情報は、紙面の位置を取得するための情報なので、ノイズ等によって復号できない部分があっても、その部分が欠損するだけで他の部分には影響しない。これに対し、識別情報は、復号に失敗すると、筆記情報を反映する対象を検出できなくなるからである。
【0053】
以上のように、識別情報がブロック分割された後、RS符号により符号化され、また、位置情報がM系列により符号化された後、ブロック分割されると、図示するように、ブロックが合成される。即ち、これらのブロックは、図示するようなフォーマットで2次元平面に展開される。図8に示したフォーマットは、図7の(b)に示したフォーマットに対応している。すなわち、黒の四角が同期符号を意味している。また、横方向に配置された「1」、「2」、「3」、「4」、…がX位置符号を、縦方向に配置された「1」、「2」、「3」、「4」、…がY位置符号を、それぞれ意味している。位置符号は、媒体の位置が異なれば異なる情報が配置されるので、座標位置に対応する数字で示しているのである。一方、グレーの四角が識別符号を意味している。識別符号は、媒体の位置が異なっても同じ情報が配置されるので、全て同じマークで示しているのである。
【0054】
ところで、図からも分かる通り、2つの同期符号の間には、4個のビットパターンがある。従って、20(=5×4)ビットのM系列の部分系列を配置することができる。20ビットの部分系列から13ビットの部分系列を取り出せば、その13ビットが全体(8191)の中のどの部分の部分系列なのかを特定することができる。このように、20ビットのうち13ビットを位置の特定に使用した場合、取り出した13ビットの誤りの検出又は訂正を、残りの7ビットを使用して行うことができる。即ち、M系列を生成した時と同じ生成多項式を使用して、20ビットの整合性を確認することで、誤りの検出と訂正が可能となるのである。
その後、各ブロックにおけるビットパターンが、ドット画像を参照することにより画像化される。そして、図8の最右に示すようなドットで情報を表す出力画像が生成される。
【0055】
図9は、下敷き400に用紙500を重ねた状態を説明するための図である。
図9に示すように、下敷き400は、用紙500の下に敷かれて用いられる。そして、用紙500を透過する光によって下敷き400のコード画像(ドット状コード情報)をペンデバイス600(図1参照)で読み取る。ここで、近赤外線では紙の繊維による吸収や散乱が強いため、照射強度の高い方が望ましい。また、ペンデバイス600(図1参照)には、複数の赤外LEDや高輝度赤外LEDを使用することが望ましく、長波長の光源を用いることが望ましい。例えば、ピーク発光波長1100nm(1μm近赤外線)のLEDを用い、ペンデバイス600側の読み取りにCCDを用いることで、紙を透過したドット状コード情報を読み取ることができる。なお、CCDの感度は通常400〜1000nmである。
【0056】
図10は、用紙(PPC用紙、普通紙複写機用紙)の透過スペクトルの実測例を示すグラフであり、縦軸が透過率(%)、横軸が波長(nm)である。
図10に示すように、赤外領域(700nm〜)では透過率が15%程度であり、可視領域(380〜780nm)に比べて高いことがわかる。すなわち、赤外光源(赤外LED等)及び赤外に感度を持つ素子(CCD等)を用いれば、下敷き400(図9参照)に赤外吸収色材で印刷されたパターンを、用紙500を透かして読み取ることが可能である。
【0057】
より長波長の赤外光(中/遠赤外)や、更に長波長のテラヘルツ電磁波を用いれば、用紙500の透過率は更に高くなる。1100nmを超える波長に感度のある撮像装置(例えば、光パワーメータや放射温度計、水分計等の検出器ではなく、画像処理素子)としては、赤外線CCD(例えば、株式会社ニコン製)等を用いることができる。また、発光素子としては、ピーク発光波長1650nmの水分・ガス検出用赤外LED(例えば、浜松ホトニクス株式会社製)を用いることができる。更に、長波長(中/遠赤外線〜テラヘルツ電磁波)では、用紙500の透過率は更に高くなり、より鮮明にドット状コード情報を捕えることが可能であるが、発光/検出装置が大掛かりとなってしまい、ペンデバイスに仕込むことは容易ではない。したがって、図10に示すように、700〜1200nmでは透過率に大きな変動がないことも考慮し、上述した近赤外線領域を利用する方法がコスト上望ましい。
なお、本実施の形態では、ペンデバイス600にてコード画像を読み取っているが、それ以外の読み取り手段、例えばスキャナにてコード画像を読み取るように構成することも考えられる。
【0058】
ここで、第1の実施の形態における変形例を説明する。
図11は、変形例を説明するための図である。
図11に示すように、下敷き400に用いられる用紙500には、ページ識別画像(ページ識別コード、ページコード)510が予め印刷されている。このように構成することにより、ユーザの使い勝手を向上させることができるようになる。
【0059】
これについて更に説明すると、下敷き400の領域内の位置情報をドット状コード情報によって検出することは可能であるが、下敷き400側にコード情報が印刷されているため、下敷き400に載置した用紙500を区別することができない。したがって、異なるメモや異なる紙面であることの管理は、ユーザ自身で行う必要がある。ペンデバイス600によって端末装置700に取り込まれた軌跡情報は、異なるメモや異なる紙であれば、取り込まれたパターンごとに別のメモとしてユーザが手動でファイルすることになる。端末装置700に取り込まれるたびに別のメモとして扱うのであれば、単純に取り込まれた画像(パターン)ごとに別のメモとして保存すれば良い。ところが、ある紙にメモした内容に後から追記する場合には、もとのメモとの関連を利用者が整理しなければならず、管理は簡単ではない。そこで、この下敷き400の面積分の位置情報しか存在しないという問題を解決するために、本実施の形態では、ページ識別画像510を用紙500に予め印刷している。
【0060】
本実施の形態によれば、ページ識別画像510を事前印刷された用紙500を用いるため、そのような特殊な紙(ページ情報のみの簡便なデジタルペーパ)を持っていることが前提となるが、紙への印刷情報はページ情報のみのため低コストで実現できる。また、位置情報を有する下敷き400に位置情報を有しない用紙500を載置することで、位置情報を有する用紙を用いた場合と同様のサービスを受けることができるようになる。
【0061】
〔第2の実施の形態〕
図12は、第2の実施の形態に係る下敷き400を説明するための図である。
図12に示す下敷き400には、用紙500を区別するためのページ識別コード401〜417が一列に印刷されている。そして、ページ識別コード401〜417の各々の近傍には、1〜17の連続番号(ページ番号)の文字が順に付されている。
本実施の形態では、下敷き400に用紙500を載せた状態で、ページ識別コード401〜417のいずれかをペンデバイス600を用いてチェックすることで、用紙500の識別が可能になる。そして、用紙500側には、チェックしたページ識別コード401〜417に対応するページ番号を、手書きでメモしておく。
【0062】
なお、この下敷き400は、17ページ分の用紙500に対応できるが、これ以外のページ分に対応可能に構成することも考えられる。また、本実施の形態では、ページ識別コード401〜417を下敷き400に印刷しているが、それ以外の物、例えばページ管理シート等のような別の紙(別葉)や薄板に印刷しておくことも考えられる。
【0063】
このように、本実施の形態では、ページ識別コード401〜417により、用紙管理をすることが可能である。なお、この場合には、ページ識別コード401〜417に対応するページ番号を紙にメモすることになる。そして、管理できるページ枚数(同時に識別しておきたいページ数)は、下敷き400に印刷されているページ識別コードの数になる。これ以上の枚数は、端末装置700に取り込んだ後にユーザ自身が手動で管理することになる。
【0064】
〔第3の実施の形態〕
図13及び図14は、第3の実施の形態に係る下敷き800を説明するための図である。
図13に示す下敷き800は、図示しない電源から電源コード810を通じて電源が供給される例えばEL(electroluminescence)パネル(面状発光素子、発光シート)のような板状光源を備えており、また、図14に示すように、下敷き800の発光面には、ドット状コード情報としてのコード画像が印刷されている。そして、ペンデバイス600の画像入力部65(図4参照)は、赤外照射部64(図4参照)からの反射赤外光ではなく、下敷き800からの光が入力される。すなわち、本実施の形態では、赤外での紙透過光利用ではなく可視光を利用するものである。
この場合、印刷されたドット状コード情報と背景とのコントラストは、用紙500を透過しても十分に高く、ドット状コード情報の読取りは通常のデジタルペン(ドット状コード情報の赤外光読取り)で十分可能である。ドット状コード情報は、赤外に吸収を持つ色材(カーボンブラックなど)を含むインクで印刷しておく。下敷き800の発光波長には、ドット状コード情報との分離のために赤外域を含まないことが望ましい。例えば発光波長545nm(緑)や530〜600nm(黄)、400〜700nm(白)の有機ELパネル等が利用できる。
【0065】
上述した下敷き400,800を利用することで、専用の、ドット状コード情報パターンが印刷されたデジタルペーパを用意しなくとも、通常の紙(パターンの印刷されてない普通の紙)で同様のサービス(手書き情報のPCへの取り込み等)を受けることができる。そして、ページ間の区別を必要とする場合も、用紙500にはページ情報(ページ識別コード)のみ印刷すれば良い。そのため非常に安価にサービスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施の形態が適用されるシステムの構成の一例を示す図である。
【図2】識別情報管理サーバの構成の一例を示す図である。
【図3】画像形成装置の構成例を示した図である。
【図4】ペンデバイスの構成を示した図である。
【図5】ペンデバイスにて実行される処理を示したフローチャートである。
【図6】第1の実施の形態に係る下敷きを説明するための図である。
【図7】コードパターンについて説明するための図である。
【図8】識別情報及び位置情報の符号化及び画像生成の処理について説明するための図である。
【図9】下敷きに用紙を重ねた状態を説明するための図である。
【図10】用紙の透過スペクトルの実測例を示すグラフである。
【図11】第1の実施の形態の変形例を説明するための図である。
【図12】第2の実施の形態に係る下敷きを説明するための図である。
【図13】第3の実施の形態に係る下敷きを説明するための図である。
【図14】第3の実施の形態に係る下敷きを説明するための図である。
【符号の説明】
【0067】
400,800…下敷き、401〜417…ページ識別コード、500…用紙、510…ページ識別画像、600…ペンデバイス、700…端末装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、下敷き、入力装置及び筆跡情報取得方法に関し、より詳細には、用紙に手書きした内容を電子化するのに用いられる下敷き等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、細かなドットが印刷された特殊な用紙に文字や絵を描き、ユーザがこの用紙上に書いた文字等のデータをパソコンや携帯電話等に転送し、この内容の保存や、メール送信を可能にする技術が注目されている。この技術では、この特殊な用紙に例えば0.3mm程度の間隔にて小さなドットが印刷され、これが例えば所定の大きさのグリッドごとに、全て異なるパターンを描くように構成されている。これを、例えばデジタルカメラを内蔵した専用のペンを用いて読み込むことで、この特殊な用紙上に書かれた文字等の位置を特定することができ、このような文字等を電子情報として利用することが可能となる。
【0003】
ここで、公報記載の従来技術として、複数のマークを備えた符号化パターンを用紙に形成する技術もある(例えば、特許文献1参照)。具体的には、符号化パターンを備えた複数のマークの各々は、少なくとも2つの異なる値のうちの1つを表している。そして、符号化パターンは複数の基準位置を備えている。また、複数のマークの各々が1つの基準位置に関連付けられ、各マークの値がその基準位置に対する位置によって決定されている。このような構成により、全てのマークは同じ外形を有して良く、従来よりも符号化パターンを単純化することができ、また、従来よりも符号化パターンの認識が簡単に行われる。
【0004】
【特許文献1】特表2003−511761号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術において、文字等を電子情報として利用する場合には、細かなドットを印刷した用紙(デジタルペーパ)を用いる必要がある。したがって、細かなドットを印刷していない用紙については、文字等を電子情報として利用するサービスを受けることができない。すなわち、持ち歩けるデジタルペーパの枚数には限りがあり、デジタルペーパが手元に無ければサービスを受けることが出来ない。また、デジタルペーパは、コストも高く入手先も限られてしまう。
【0006】
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、専用の紙を用いずとも所定のサービスを受ける機会を増やすことにある。
また別の目的は、所定のサービスを安価で受け得るようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的のもと、本発明が適用される下敷きは、所定のパターンからなる、位置情報を含むコード情報が印刷され、ユーザが行う行為による用紙上の指示位置が、コード情報を読み取る読み取り手段により認識可能であることを特徴とするものである。
【0008】
ユーザが行う行為による用紙上の指示位置が、コード情報を読み取る読み取り手段により用紙を透過して認識可能であることを特徴とすることができる。また、コード情報は、赤外ないしテラヘルツ波に対して吸収性能を持つ色材を含むインクで印刷されていることを特徴とすることができる。また、複数の用紙のうち特定の用紙を区別することを可能にする用紙認識画像を更に備えることを特徴とすることができる。
【0009】
他の観点から捉えると、本発明が適用される入力装置は、所定のパターンからなる、位置情報を含むコード情報が印刷され、用紙が載置されて用いられる下敷きと、下敷きに載置された用紙における筆跡情報を下敷きのコード情報を用いて取得するペンデバイスと、を含むものである。
【0010】
ペンデバイスは、下敷きのコード情報を用紙を透過して認識可能であることを特徴とすることができる。また、他の用紙との区別を可能にするための用紙認識画像が付されている用紙を更に含むことを特徴とすることができる。また、下敷きに設けられ、下敷きに載置されている用紙に向けて光を発する面状発光素子を更に含むことを特徴とすることができる。そして、面状発光素子は、EL発光シートであることを特徴とすることができる。
【0011】
更に本発明を別の観点から捉えると、本発明が適用される筆跡情報取得方法は、所定のパターンからなる、位置情報を含むコード情報が印刷されている下敷きに用紙の一面を接触させ、用紙の他面から下敷きのコード情報を読み取り、読み取ったコード情報を処理して用紙の他面における筆跡情報を取得することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、専用の紙を用いずとも所定のサービスを受ける機会を増やすことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用されるシステムの構成の一例を示したものである。このシステムは、少なくとも、電子文書の印刷を指示する端末装置100と、電子文書を印刷する際に媒体に付与する識別情報を管理し、この識別情報等を含むコード画像(コードパターン画像)を生成する識別情報管理サーバ200と、コード画像を印刷する画像形成装置300と、がネットワーク900に接続されることにより構成されている。
【0014】
また、識別情報管理サーバ200には、識別情報を記憶する記憶装置としての識別情報リポジトリ(repository)250が接続されている。
更に、このシステムは、端末装置100からの指示により画像形成装置300にて出力される剛体板の印刷物(以下、下敷きともいう)400と、印刷物400の上に載置される用紙500と、用紙500に文字又は図形を記録し、その文字又は図形の記録情報を読み取るペンデバイス600(読み取り手段)と、を含む。また、ネットワーク900には、ペンデバイス600により読み取られた記録情報を表示する端末装置700も接続されている。
なお、本明細書では、「電子文書」の文言を用いるが、これは、テキストを含む「文書」を電子化したデータのみを意味するものではない。例えば、絵、写真、図形等の画像データ(ラスタデータかベクターデータかによらない)、その他の印刷可能な電子データも含めて「電子文書」としている。
【0015】
以下、本システムの動作の概略を説明する。
まず、端末装置100は、識別情報管理サーバ200に対し、コード画像を印刷するよう指示する(A)。このとき、端末装置100からは、用紙サイズ、向き、縮小/拡大、N−up(用紙の1ページ内に電子文書のNページを割り付ける印刷)、両面印刷等の印刷属性も入力される。なお、端末装置100からは、ユーザのアプリケーションプログラム(以下、「ユーザAP」という)が印刷物に基づく処理を行う際に用いる付加情報も入力されるように構成できる。ここにいう付加情報としては、例えば媒体に対する処理に用いられる情報を想定することができ、具体的には、複写禁止、複写可能回数等をあげることができる。
これにより、識別情報管理サーバ200は、識別情報リポジトリ250にて管理されている識別情報と、印刷属性に応じて決定された位置情報とを含むコード画像について、画像形成装置300にその印刷を指示する(B)。なお、ここにいう識別情報とは、電子文書の画像が印刷された個々の媒体(用紙)を一意に識別する情報をいい、位置情報とは、個々の媒体上の座標位置(X座標、Y座標)を特定するための情報をいう。
その後、画像形成装置300は、識別情報管理サーバ200からの指示に従い、印刷物400を出力する(C)。
【0016】
一方、ユーザが、印刷物400の上に用紙500を載置して、ペンデバイス600を用いて用紙500に文字又は図形を記録(筆記)したとする(D)。これにより、ペンデバイス600の撮像素子が、印刷物400上の一定の領域を捕捉し、位置情報及び識別情報を得る。そして、位置情報に基づいて求められた文字又は図形の軌跡情報と、識別情報とが、無線又は有線により端末装置700へ転送される(E)。なお、本システムでは、赤外光の吸収率が所定の基準よりも高い不可視トナーを用いて不可視画像を形成し、赤外光の照射及び検知が可能なペンデバイス600によって不可視画像を読み取ることを可能にしている。
なお、このような構成はあくまで一例であり、識別情報管理サーバ200の機能を画像形成装置300の画像処理部にて実現してもよい。また、印刷物400及び用紙500については後述する。
【0017】
次に、本システムの構成及び動作について、より詳細に説明する。
図2は、識別情報管理サーバ200の構成の一例を示す図である。
識別情報管理サーバ200は、受信部20aと、対応情報管理部21と、対応情報DB(データベース)22と、コード画像生成部23と、コード画像バッファ24と、送信部20bと、を備えている。
また、コード画像生成部23は、位置情報符号化部23aと、位置コード生成部23bと、識別情報符号化部23cと、識別コード生成部23dと、コード配置部23eと、パターン格納部23fと、パターン画像生成部23gと、を備えている。
【0018】
受信部20aは、印刷指示、印刷対象の電子文書等の各種情報をネットワーク900から受信する。
対応情報管理部21は、対応情報DB22への情報の登録、及び、対応情報DB22からの情報の読み出しを行う。対応情報DB22は、媒体を識別する識別情報等の対応を記憶するデータベースである。
コード画像生成部23は、コード画像の生成に必要な情報に基づいて、コード画像を生成し、コード画像バッファ24へ格納する。送信部20bは、コード画像バッファ24に画像を出力する指示を、PostScript等に代表されるPDL(Page Description Language)として画像形成装置300へ送信する。
【0019】
位置情報符号化部23aは、位置情報を所定の符号化方式により符号化する。この符号化には、例えば、既知の誤り訂正符号であるRS(リードソロモン)符号やBCH符号を用いることができる。また、誤り検出符号として、位置情報のCRC(Cyclic Redundancy Check)やチェックサム値を計算し、それを冗長ビットとして位置情報に付加することもできる。また、疑似雑音系列の一種であるM系列符号を位置情報として利用することもできる。M系列符号は、P次のM系列(系列長2P−1)の場合、M系列から長さPの部分系列を取り出したときに、その部分系列に現われるビットパターンがM系列中に一度しか現われない性質を利用して符号化を行うものである。
【0020】
位置コード生成部23bは、符号化された位置情報を、コード情報として埋め込む形式に変換する。例えば、第三者による解読が困難になるように、符号化された位置情報における各ビットの配置を、疑似乱数等により入れ替えたり暗号化したりすることができる。また、位置コードが2次元配置される場合は、ビット値をコードの配置と同様に2次元配置しておく。
【0021】
なお、本実施の形態において、位置情報符号化部23aは、印刷属性ごとに予め生成され格納された符号化位置情報の中から、印刷属性に応じた符号化位置情報を選択するものとする。用紙サイズ、向き、縮小/拡大、N−up等の印刷が決まれば、用紙上に印刷する位置コードは1つに特定できるからである。
一方、印刷属性が常に同じ場合は、用紙上に印刷する位置コードも常に同じになる。従って、同じ印刷属性での印刷のみを行う場合は、位置情報符号化部23aと位置コード生成部23bとをまとめて、1セットの位置コードを格納する位置コード格納部とし、常にその位置コードを用いるようにしてもよい。
【0022】
識別情報符号化部23cは、識別情報が入力されると、識別情報を所定の符号化方式により符号化する。この符号化には、位置情報の符号化に使用したのと同様の方式を使用することができる。
識別コード生成部23dは、符号化された識別情報を、コード情報として埋め込む形式に変換する。例えば、第三者による解読が困難になるように、符号化された識別情報における各ビットの配置を、疑似乱数等により入れ替えたり暗号化したりすることができる。また、識別コードが2次元配置される場合は、ビット値をコードの配置と同様に2次元配置しておく。
【0023】
コード配置部23eは、コードと同じ形式に配置された符号化位置情報と符号化識別情報とを合成し、出力画像サイズに相当する2次元コード配列を生成する。このとき、符号化位置情報としては、配置位置により異なる位置情報を符号化した符号を使用し、符号化識別情報としては、位置によらず同じ情報を符号化した符号を使用する。
パターン画像生成部23gは、2次元コード配列における配列要素のビット値を確認し、各ビット値に対応するビットパターン画像をパターン格納部23fより取得して、2次元コード配列を画像化したコード画像として出力する。
【0024】
なお、これらの機能部分は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。具体的には、識別情報管理サーバ200の図示しないCPUが、受信部20a、対応情報管理部21、コード画像生成部23、送信部20bの各機能を実現するプログラムを外部記憶装置から主記憶装置に読み込んで処理を行う。
【0025】
次に、この識別情報管理サーバ200が端末装置100からの指示に応じて画像形成装置300に対し画像出力指示を送信する際の動作について説明する。
識別情報管理サーバ200では、まず、受信部20aが、端末装置100から印刷対象の電子文書の格納場所の指定と印刷属性とを含む印刷指示を受信する。そして、受信した情報のうち、印刷属性は対応情報管理部21に受け渡され、対応情報管理部21がこの印刷属性を保持する。
【0026】
対応情報管理部21は、コード生成に必要な情報(識別情報及び印刷属性)をコード画像生成部23に出力する。これにより、位置情報符号化部23aで、印刷属性に対応する位置情報が符号化され、位置コード生成部23bで、符号化された位置情報を示す位置コードが生成される。また、識別情報符号化部23cで、識別情報が符号化され、識別コード生成部23dで、符号化された識別情報を示す識別コードが生成される。
そして、コード配置部23eにより出力画像サイズに相当する2次元コード配列が生成され、パターン画像生成部23gにより2次元コード配列に対応するパターン画像が生成される。コード画像生成部23gが生成したコード画像は、コード画像バッファ24を介して送信部20bに受け渡される。
なお、対応情報管理部21は、端末装置100から印刷指示があった電子文書の対応する色材情報を送信部20bに受け渡す。そして、印刷対象の電子文書の文書画像とコード画像との合成画像を色材情報に基づいて画像形成装置300が媒体の面に印刷し、ユーザは印刷物400を得ることになる。
【0027】
次に、画像形成装置300の概略について説明する。
図3は、画像形成装置300の構成例を示した図である。図3に示す画像形成装置300は、所謂タンデム型の装置であって、例えば、電子写真方式にて各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット31Y、31M、31C、31K、31I(31)と、各画像形成ユニット31Y〜31Iにて形成された各色成分トナー像を順次転写(一次転写)して保持させる中間転写ベルト36とを備えている。また、画像形成装置300は、中間転写ベルト36上に転写された重ね画像を媒体(プラスチック板)Pに一括転写(二次転写)させる二次転写装置310と、二次転写された画像を媒体P上に定着させる定着装置340と、を備えている。
【0028】
この画像形成装置300では、常用色(通常色)であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のトナー像を形成する画像形成ユニット31Y、31M、31Cの他に、赤外に吸収を持つ黒(K)のトナー像を形成する画像形成ユニット31K、不可視のトナー像を形成する画像形成ユニット31Iがタンデムを構成する画像形成ユニットの一つとして設けられている。なお、トナーの組成については、後で詳しく述べる。
【0029】
本実施の形態において、各画像形成ユニット31は、矢印A方向に回転する感光体ドラム32の周囲に、これらの感光体ドラム32を帯電させる帯電器33と、感光体ドラム32上に静電潜像を書き込むレーザ露光器34(図中露光ビームを符号Bmで示す)とが配置されている。また、感光体ドラム32の周囲には、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム32上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器35、感光体ドラム32上に形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト36に転写する一次転写ロール37、および、感光体ドラム32上の残留トナーを除去するドラムクリーナ38等の電子写真用デバイスが順次配設されている。
これらの画像形成ユニット31は、中間転写ベルト36の上流側から、黄(Y色)、マゼンタ(M色)、シアン(C色)、黒(K色)、不可視(I色)の順に配置されている。
中間転写ベルト36は、各種ロールによって図に示すB方向に回動可能に構成されている。
二次転写装置310は、中間転写ベルト36のトナー像担持面側に圧接配置される二次転写ロール311と、中間転写ベルト36の裏面側に配置されて二次転写ロール311の対向電極をなすバックアップロール312とを備えている。
二次転写ロール311の下流側には二次転写後の中間転写ベルト36の表面をクリーニングするベルトクリーナ321が設けられている。二次転写ロール311の上流側には、画質調整を行なうための画像濃度センサ322が配設されている。
【0030】
次に、この画像形成装置300の作像プロセスについて説明する。ユーザによりスタートスイッチ(図示せず)がオン操作されると、所定の作像プロセスが実行される。具体的に述べると、例えばこの画像形成装置300をカラープリンタとして構成する場合には、ネットワーク900から送信されたデジタル画像信号をメモリに一時的に蓄積し、その蓄積されている5色(Y、M、C、K、I)のデジタル画像信号に基づいて各色のトナー像形成を行わせるようにする。
【0031】
すなわち、画像処理によって得られた各色の画像記録信号に基づいて画像形成ユニット31の各々を駆動する。そして、各画像形成ユニット31では、帯電器33により一様に帯電された感光体ドラム32に対し、画像記録信号に応じた静電潜像が、レーザ露光器34によりそれぞれ書き込まれる。また、書き込まれた各静電潜像を各色のトナーが収容される現像器35により現像して各色のトナー像が形成される。
【0032】
そして、各感光体ドラム32に形成されたトナー像は、各感光体ドラム32と中間転写ベルト36とが接する一次転写位置で、一次転写ロール37により印加される一次転写バイアスにより感光体ドラム32から中間転写ベルト36の表面に一次転写される。このようにして中間転写ベルト36に一次転写されたトナー像は中間転写ベルト36上で重ね合わされ、中間転写ベルト36の回動に伴って二次転写位置へと搬送される。
【0033】
一方、媒体Pは、所定のタイミングで二次転写装置310の二次転写位置へと搬送され、中間転写ベルト36(バックアップロール312)に対して二次転写ロール311が媒体Pをニップする。そして、二次転写ロール311とバックアップロール312との間に形成される二次転写電界の作用で、中間転写ベルト36に担持された重ねトナー像が媒体Pに二次転写される。
その後、トナー像が転写された媒体Pは定着装置340へと搬送され、トナー像の定着が行われる。一方、二次転写後の中間転写ベルト36は、ベルトクリーナ321によって残留トナーが除去される。
【0034】
ここで、画像形成装置300で使用されるトナーについて詳細に説明する。
まず、画像形成ユニット31Yにて用いられるYトナー、画像形成ユニット31Mにて用いられるMトナー、画像形成ユニット31Cにて用いられるCトナー、および画像形成ユニット31Kにて用いられるKトナーとしては、従来から使用されているトナーを用いる。すなわち、Kトナーは、赤外光を吸収するカーボンブラックを黒色の色剤とするものである。
【0035】
また、画像形成ユニット31Iにて用いられる不可視トナーとしては、例えば、特開2003−186238号公報に記載された材料を用いることができる。すなわち、結着樹脂と無機材料粒子からなる近赤外光吸収材料とを含むものを用いることが考えられる。
ここで、結着樹脂としては、具体的には、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
また、近赤外光吸収材料としては、少なくともCuOとP2O5を含む無機材料粒子を用いることができる。なお、不可視トナー粒子中におけるCuOの含有濃度は、6質量%〜35質量%の範囲が好ましく、10質量%〜30質量%の範囲がより好ましい。更に、無機材料粒子は、不可視トナー中における無機材料粒子の均一分散性と、電子写真用の記録材料として必要となる適度な負極摩擦帯電性とを得るため、CuO、Al2O3、P2O5、及びK2Oを必須の構成成分とする銅燐酸結晶化ガラスからなることが好ましい。この銅燐酸結晶化ガラスの組成は、CuOが20質量%〜60質量%の範囲であり、Al2O3が1質量%〜10質量%の範囲であり、P2O5が30質量%〜70質量%の範囲であり、K2Oが1質量%〜10質量%の範囲であることが好ましい。
【0036】
すなわち、画像形成装置300は、コード画像を人間の目で容易に識別できない(ほぼ不可視の)色材を使用して形成し、文書画像を人間の目で識別可能な(可視の)色材を使用して形成する。また、不可視の色材としては、特定の赤外領域の波長が可視光量域の波長より多く吸収される特性を有するものを用い、可視の色材としては、可視光領域の波長を多く吸収する特性を有するものを用いる。
なお、本実施の形態では、不可視の色材を利用する例を説明したが、これに限るものではない。例えば、コード画像を、赤外域の波長を吸収するカーボンブラックを使用して形成し、文書画像を、イエロー、マゼンタ、シアンの色材(通常、これらの色材は赤外域の波長の吸収量が少ない)を使用して形成してもよい。
【0037】
ここで、図4及び図5を参照し、ペンデバイス600の筆跡情報を取得するための機構及び筆跡情報の取得動作について述べる。
図4は、ペンデバイス600の構成を示した図である。
このペンデバイス600は、コード画像が印刷された印刷物400や印刷物400の上に載置された用紙500に通常のペンと同様の操作により文字や図形を記録する筆記部61と、筆記部61の動きを監視しペンデバイス600が用紙に押し付けられていることを検出する筆圧検出部62とを備えている。また、ペンデバイス600の全体の電子的な動作を制御する制御部63と、用紙上のコード画像を読み取るために赤外光を照射する赤外照射部64と、反射される赤外光を受光することによりコード画像を認識して入力する画像入力部65とを備えている。
【0038】
ここで、制御部63について更に詳しく説明する。
制御部63は、コード取得部631と、軌跡算出部632と、情報記憶部633とを備えている。コード取得部631は、画像入力部65から入力された画像を解析してコードを取得する部分である。軌跡算出部632は、コード取得部631により取得したコードに対し、筆記部61のペン先の座標と画像入力部65が捕捉した画像の座標とのずれを補正してペン先の軌跡を算出する部分である。情報記憶部633は、コード取得部631が取得したコードや軌跡算出部632が算出した軌跡情報を記憶する部分である。
なお、本実施の形態においては、図示しないが、情報記憶部633に記憶された軌跡情報を解析し、筆跡情報を取得する機構も設けられているものとする。
【0039】
図5は、ペンデバイス600の主に制御部63にて実行される処理を示したフローチャートである。ペンデバイス600を用いて、例えば用紙500に文字や図形の記録が行われると、制御部63は、用紙500の下にある印刷物500に対してペンによる記録が行われていることの検出信号を筆圧検出部62から取得する(ステップ601)。この検出信号を検出すると、制御部63は、赤外照射部64に対し、赤外光を用紙500に照射するように指示する(ステップ602)。赤外照射部64によって用紙に照射される赤外光は不可視画像にて吸収され、それ以外の部分では反射される。画像入力部65ではこの反射された赤外光を受光し、赤外光が反射されなかった部分をコード画像として認識する。制御部63は、画像入力部65からこのコード画像を入力(スキャン)する(ステップ603)。
【0040】
その後、制御部63のコード取得部631では、ステップ604〜ステップ610に示すコード画像検出処理が実行される。まず、コード取得部631は、入力されたスキャン画像を整形する(ステップ604)。このスキャン画像の整形は、傾き補正やノイズ除去等である。そして、整形されたスキャン画像からビットパターンを検出する(ステップ605)。また一方で、整形されたスキャン画像から、2次元コード位置決め用のコードである同期コードを検出する(ステップ606)。コード取得部631は、この同期コード位置を参照して2次元コードを検出する(ステップ607)。また、2次元コードからECC(Error Correcting Code:誤り訂正符号)等の情報を取り出し復号する(ステップ608)。そして、復号した情報を元の情報に復元する(ステップ609)。
【0041】
制御部63のコード取得部631では、以上のようにして復元したコード情報から位置情報及び識別情報を取り出し、取り出した情報を情報記憶部633に記憶する(ステップ610)。その一方で、軌跡算出部632は、情報記憶部633に格納された軌跡情報からペン先の軌跡を算出し、情報記憶部633に記憶する(ステップ611)。
その後、情報記憶部633に記憶された軌跡情報から筆跡情報が取得され、端末装置700へと送信される。
【0042】
〔第1の実施の形態〕
図6は、第1の実施の形態に係る下敷き400を説明するための図である。
図6に示す下敷き400は、例えば樹脂、金属、木材、ガラス又は紙等の薄板状であり、プラスチック板等の剛体板からなる。この剛体板には、用紙を載置するための載置面(一面)が形成されている。また、下敷き400には、ドット状のコード画像(コード情報)が印刷されている。なお、下敷き400は、赤外光ないしテラヘルツ電磁波の吸収体、例えばカーボンが含まれていない材質で構成されている。また、コード画像は、赤外光ないしテラヘルツ電磁波を吸収する色材(例えばカーボン等)を含むインクを用いて印刷されている。すなわち、コード画像は、Kトナーや赤外吸収透明トナー(i-Toner)で用紙に印刷されている。また、このコード画像は、所定のパターンを有する微細なドット状のコード情報ということもできる。
【0043】
ここにいう赤外とは、可視光と電波との間に属する電磁波であり、およそ1mm〜700nmの波長を持つものである。付言すると、近赤外線は、およそ0.7〜2.5μmの可視光(赤)に近い電磁波であり、可視光に近い。中赤外線は、およそ2.5〜4μmの電磁波であり、遠赤外線は、およそ4〜1000μmの電磁波である。熱線としての性質を持つ。
また、テラヘルツ電磁波(遠/極遠赤外線、サブミリ波)は、毎秒一兆回振動している電磁波のことをいい、一般に、10THz〜0.3THz程度の電磁波である。波長に換算すると、30m〜1000μmであり、領域可視光と電波の中間に位置する。物質を良く透過する性質を有する。
【0044】
次に、第1の実施の形態に係る下敷き400に印刷されるコード画像の元となるパターンについて説明する。
図7は、コードパターンについて説明するための図である。
まず、コードパターンを構成するビットパターンについて説明する。
図7の(a)に、ビットパターンの配置の一例を示す。
ビットパターンとは、情報埋め込みの最小単位である。ここでは、図7の(a)に示すように、9箇所の中から選択した2箇所にビットを配置する。図では、黒の四角が、ビットが配置された位置を示し、斜線の四角が、ビットが配置されていない位置を示している。9箇所の中から2箇所を選択する組み合わせは、36(=9C2)通りある。したがって、このような配置方法により、36通り(約5.2ビット)の情報を表現することができる。
ただし、識別情報及び位置情報は、この36通りのうち32通り(5ビット)を使用して表現するものとする。
【0045】
ところで、図7の(a)に示した最小の四角は、600dpiにおける2ドット×2ドットの大きさを有している。600dpiにおける1ドットの大きさは0.0423mmなので、この最小の四角の一辺は、84.6μm(=0.0423mm×2×1000)である。コードパターンを構成するドットは、大きくなればなるほど目に付きやすくなるため、できるだけ小さいほうが好ましい。ところが、あまり小さくすると、プリンタで印刷できなくなってしまう。そこで、ドットの大きさとして、50μmより大きく100μmより小さい上記の値を採用している。これにより、プリンタで印刷可能な最適な大きさのドットを形成することができる。つまり、84.6μm×84.6μmが、プリンタで安定的に形成可能な最小の大きさなのである。
なお、ドットをこのような大きさにすることで、1つのビットパターンの一辺は、約0.5(=0.0423×2×6)mmとなる。
【0046】
また、このようなビットパターンから構成されるコードパターンについて説明する。
図7の(b)に、コードパターンの配置の一例を示す。
ここで、図7の(b)に示した最小の四角が、図7の(a)に示したビットパターンに相当する。すなわち、識別情報を符号化した識別符号は、16(=4×4)個のビットパターンを使用して埋め込まれる。また、X方向の位置情報を符号化したX位置符号と、Y方向の位置情報を符号化したY位置符号とは、それぞれ、4個のビットパターンを使用して埋め込まれる。更に、左上角部に、コードパターンの位置と回転を検出するための同期符号が、1つのビットパターンを使用して埋め込まれる。
なお、1つのコードパターンの大きさは、ビットパターンの5個分の幅に等しいため、約2.5mmとなる。本実施の形態では、このように生成したコードパターンを画像化したコードパターン画像を、用紙全面に配置する。
【0047】
次いで、識別情報及び位置情報を符号化し、符号化された情報からコードパターン画像を生成する処理について説明する。
図8は、このような符号化及び画像生成の処理について説明するための図である。
まず、識別情報の符号化について説明する。
識別情報の符号化には、ブロック符号化方式のRS(リードソロモン)符号が使用される。図7で説明した通り、本実施の形態では、5ビットの情報を表現できるビットパターンを用いて情報を埋め込む。したがって、情報の誤りも5ビット単位で発生するため、ブロック符号化方式で符号化効率が良いRS符号を使用している。ただし、符号化方式はRS符号に限定するものでなく、その他の符号化方式、例えば、BCH符号等を使用することもできる。
【0048】
上述したように、本実施の形態では、5ビットの情報量を持つビットパターンを用いて情報を埋め込む。従って、RS符号のブロック長を5ビットとする必要がある。そのため、識別情報を5ビットずつに区切り、ブロック化する。図8では、識別情報「0011101101001…」から、第1のブロック「00111」と、第2のブロック「01101」とが切り出されている。
そして、ブロック化された識別情報に対し、RS符号化処理を行う。図8では、「blk1」、「blk2」、「blk3」、「blk4」、…というようにブロック化した後、RS符号化が行われる。
【0049】
ところで、本実施の形態において、識別情報は、16(=4×4)個のブロックに分けられる。そこで、RS符号における符号ブロック数を16とすることができる。また、情報ブロック数は、誤りの発生状況に応じて設計することができる。例えば、情報ブロック数を8とすれば、RS(16,8)符号となる。この符号は、符号化された情報に4ブロック(=(16−8)÷2)の誤りが発生しても、それを補正することができる。また、誤りの位置を特定できれば、訂正能力を更に向上することができる。なお、この場合、情報ブロックに格納される情報量は、40ビット(=5ビット×8ブロック)である。したがって、約1兆種類の識別情報が表現可能である。
【0050】
次に、位置情報の符号化について説明する。
位置情報の符号化には、擬似乱数系列の一種であるM系列符号が使用される。ここで、M系列とは、K段の線形シフトレジスタで発生できる最大周期の系列であり、2K−1の系列長をもつ。このM系列から取り出した任意の連続したKビットは、同じM系列中の他の位置に現れない性質を持つ。そこで、この性質を利用することにより、位置情報を符号化することができる。
【0051】
ところで、本実施の形態では、符号化すべき位置情報の長さから、必要なM系列の次数を求め、M系列を生成している。しかしながら、符号化する位置情報の長さが予め分かっている場合は、M系列を毎回生成する必要はない。即ち、固定のM系列を予め生成しておき、それをメモリ等に格納しておけばよい。
例えば、系列長8191のM系列(K=13)を使用したとする。
この場合、位置情報も5ビット単位で埋め込むため、系列長8191のM系列から5ビットずつ取り出してブロック化する。図8では、M系列「11010011011010…」が、5ビットずつブロック化されている。
【0052】
このように、本実施の形態では、位置情報と識別情報とで、異なる符号化方式を用いている。これは、識別情報の検出能力を、位置情報の検出能力よりも高くなるように設定する必要があるからである。つまり、位置情報は、紙面の位置を取得するための情報なので、ノイズ等によって復号できない部分があっても、その部分が欠損するだけで他の部分には影響しない。これに対し、識別情報は、復号に失敗すると、筆記情報を反映する対象を検出できなくなるからである。
【0053】
以上のように、識別情報がブロック分割された後、RS符号により符号化され、また、位置情報がM系列により符号化された後、ブロック分割されると、図示するように、ブロックが合成される。即ち、これらのブロックは、図示するようなフォーマットで2次元平面に展開される。図8に示したフォーマットは、図7の(b)に示したフォーマットに対応している。すなわち、黒の四角が同期符号を意味している。また、横方向に配置された「1」、「2」、「3」、「4」、…がX位置符号を、縦方向に配置された「1」、「2」、「3」、「4」、…がY位置符号を、それぞれ意味している。位置符号は、媒体の位置が異なれば異なる情報が配置されるので、座標位置に対応する数字で示しているのである。一方、グレーの四角が識別符号を意味している。識別符号は、媒体の位置が異なっても同じ情報が配置されるので、全て同じマークで示しているのである。
【0054】
ところで、図からも分かる通り、2つの同期符号の間には、4個のビットパターンがある。従って、20(=5×4)ビットのM系列の部分系列を配置することができる。20ビットの部分系列から13ビットの部分系列を取り出せば、その13ビットが全体(8191)の中のどの部分の部分系列なのかを特定することができる。このように、20ビットのうち13ビットを位置の特定に使用した場合、取り出した13ビットの誤りの検出又は訂正を、残りの7ビットを使用して行うことができる。即ち、M系列を生成した時と同じ生成多項式を使用して、20ビットの整合性を確認することで、誤りの検出と訂正が可能となるのである。
その後、各ブロックにおけるビットパターンが、ドット画像を参照することにより画像化される。そして、図8の最右に示すようなドットで情報を表す出力画像が生成される。
【0055】
図9は、下敷き400に用紙500を重ねた状態を説明するための図である。
図9に示すように、下敷き400は、用紙500の下に敷かれて用いられる。そして、用紙500を透過する光によって下敷き400のコード画像(ドット状コード情報)をペンデバイス600(図1参照)で読み取る。ここで、近赤外線では紙の繊維による吸収や散乱が強いため、照射強度の高い方が望ましい。また、ペンデバイス600(図1参照)には、複数の赤外LEDや高輝度赤外LEDを使用することが望ましく、長波長の光源を用いることが望ましい。例えば、ピーク発光波長1100nm(1μm近赤外線)のLEDを用い、ペンデバイス600側の読み取りにCCDを用いることで、紙を透過したドット状コード情報を読み取ることができる。なお、CCDの感度は通常400〜1000nmである。
【0056】
図10は、用紙(PPC用紙、普通紙複写機用紙)の透過スペクトルの実測例を示すグラフであり、縦軸が透過率(%)、横軸が波長(nm)である。
図10に示すように、赤外領域(700nm〜)では透過率が15%程度であり、可視領域(380〜780nm)に比べて高いことがわかる。すなわち、赤外光源(赤外LED等)及び赤外に感度を持つ素子(CCD等)を用いれば、下敷き400(図9参照)に赤外吸収色材で印刷されたパターンを、用紙500を透かして読み取ることが可能である。
【0057】
より長波長の赤外光(中/遠赤外)や、更に長波長のテラヘルツ電磁波を用いれば、用紙500の透過率は更に高くなる。1100nmを超える波長に感度のある撮像装置(例えば、光パワーメータや放射温度計、水分計等の検出器ではなく、画像処理素子)としては、赤外線CCD(例えば、株式会社ニコン製)等を用いることができる。また、発光素子としては、ピーク発光波長1650nmの水分・ガス検出用赤外LED(例えば、浜松ホトニクス株式会社製)を用いることができる。更に、長波長(中/遠赤外線〜テラヘルツ電磁波)では、用紙500の透過率は更に高くなり、より鮮明にドット状コード情報を捕えることが可能であるが、発光/検出装置が大掛かりとなってしまい、ペンデバイスに仕込むことは容易ではない。したがって、図10に示すように、700〜1200nmでは透過率に大きな変動がないことも考慮し、上述した近赤外線領域を利用する方法がコスト上望ましい。
なお、本実施の形態では、ペンデバイス600にてコード画像を読み取っているが、それ以外の読み取り手段、例えばスキャナにてコード画像を読み取るように構成することも考えられる。
【0058】
ここで、第1の実施の形態における変形例を説明する。
図11は、変形例を説明するための図である。
図11に示すように、下敷き400に用いられる用紙500には、ページ識別画像(ページ識別コード、ページコード)510が予め印刷されている。このように構成することにより、ユーザの使い勝手を向上させることができるようになる。
【0059】
これについて更に説明すると、下敷き400の領域内の位置情報をドット状コード情報によって検出することは可能であるが、下敷き400側にコード情報が印刷されているため、下敷き400に載置した用紙500を区別することができない。したがって、異なるメモや異なる紙面であることの管理は、ユーザ自身で行う必要がある。ペンデバイス600によって端末装置700に取り込まれた軌跡情報は、異なるメモや異なる紙であれば、取り込まれたパターンごとに別のメモとしてユーザが手動でファイルすることになる。端末装置700に取り込まれるたびに別のメモとして扱うのであれば、単純に取り込まれた画像(パターン)ごとに別のメモとして保存すれば良い。ところが、ある紙にメモした内容に後から追記する場合には、もとのメモとの関連を利用者が整理しなければならず、管理は簡単ではない。そこで、この下敷き400の面積分の位置情報しか存在しないという問題を解決するために、本実施の形態では、ページ識別画像510を用紙500に予め印刷している。
【0060】
本実施の形態によれば、ページ識別画像510を事前印刷された用紙500を用いるため、そのような特殊な紙(ページ情報のみの簡便なデジタルペーパ)を持っていることが前提となるが、紙への印刷情報はページ情報のみのため低コストで実現できる。また、位置情報を有する下敷き400に位置情報を有しない用紙500を載置することで、位置情報を有する用紙を用いた場合と同様のサービスを受けることができるようになる。
【0061】
〔第2の実施の形態〕
図12は、第2の実施の形態に係る下敷き400を説明するための図である。
図12に示す下敷き400には、用紙500を区別するためのページ識別コード401〜417が一列に印刷されている。そして、ページ識別コード401〜417の各々の近傍には、1〜17の連続番号(ページ番号)の文字が順に付されている。
本実施の形態では、下敷き400に用紙500を載せた状態で、ページ識別コード401〜417のいずれかをペンデバイス600を用いてチェックすることで、用紙500の識別が可能になる。そして、用紙500側には、チェックしたページ識別コード401〜417に対応するページ番号を、手書きでメモしておく。
【0062】
なお、この下敷き400は、17ページ分の用紙500に対応できるが、これ以外のページ分に対応可能に構成することも考えられる。また、本実施の形態では、ページ識別コード401〜417を下敷き400に印刷しているが、それ以外の物、例えばページ管理シート等のような別の紙(別葉)や薄板に印刷しておくことも考えられる。
【0063】
このように、本実施の形態では、ページ識別コード401〜417により、用紙管理をすることが可能である。なお、この場合には、ページ識別コード401〜417に対応するページ番号を紙にメモすることになる。そして、管理できるページ枚数(同時に識別しておきたいページ数)は、下敷き400に印刷されているページ識別コードの数になる。これ以上の枚数は、端末装置700に取り込んだ後にユーザ自身が手動で管理することになる。
【0064】
〔第3の実施の形態〕
図13及び図14は、第3の実施の形態に係る下敷き800を説明するための図である。
図13に示す下敷き800は、図示しない電源から電源コード810を通じて電源が供給される例えばEL(electroluminescence)パネル(面状発光素子、発光シート)のような板状光源を備えており、また、図14に示すように、下敷き800の発光面には、ドット状コード情報としてのコード画像が印刷されている。そして、ペンデバイス600の画像入力部65(図4参照)は、赤外照射部64(図4参照)からの反射赤外光ではなく、下敷き800からの光が入力される。すなわち、本実施の形態では、赤外での紙透過光利用ではなく可視光を利用するものである。
この場合、印刷されたドット状コード情報と背景とのコントラストは、用紙500を透過しても十分に高く、ドット状コード情報の読取りは通常のデジタルペン(ドット状コード情報の赤外光読取り)で十分可能である。ドット状コード情報は、赤外に吸収を持つ色材(カーボンブラックなど)を含むインクで印刷しておく。下敷き800の発光波長には、ドット状コード情報との分離のために赤外域を含まないことが望ましい。例えば発光波長545nm(緑)や530〜600nm(黄)、400〜700nm(白)の有機ELパネル等が利用できる。
【0065】
上述した下敷き400,800を利用することで、専用の、ドット状コード情報パターンが印刷されたデジタルペーパを用意しなくとも、通常の紙(パターンの印刷されてない普通の紙)で同様のサービス(手書き情報のPCへの取り込み等)を受けることができる。そして、ページ間の区別を必要とする場合も、用紙500にはページ情報(ページ識別コード)のみ印刷すれば良い。そのため非常に安価にサービスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施の形態が適用されるシステムの構成の一例を示す図である。
【図2】識別情報管理サーバの構成の一例を示す図である。
【図3】画像形成装置の構成例を示した図である。
【図4】ペンデバイスの構成を示した図である。
【図5】ペンデバイスにて実行される処理を示したフローチャートである。
【図6】第1の実施の形態に係る下敷きを説明するための図である。
【図7】コードパターンについて説明するための図である。
【図8】識別情報及び位置情報の符号化及び画像生成の処理について説明するための図である。
【図9】下敷きに用紙を重ねた状態を説明するための図である。
【図10】用紙の透過スペクトルの実測例を示すグラフである。
【図11】第1の実施の形態の変形例を説明するための図である。
【図12】第2の実施の形態に係る下敷きを説明するための図である。
【図13】第3の実施の形態に係る下敷きを説明するための図である。
【図14】第3の実施の形態に係る下敷きを説明するための図である。
【符号の説明】
【0067】
400,800…下敷き、401〜417…ページ識別コード、500…用紙、510…ページ識別画像、600…ペンデバイス、700…端末装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙の下に敷かれて用いられる下敷きであって、
所定のパターンからなる、位置情報を含むコード情報が印刷され、
ユーザが行う行為による用紙上の指示位置が、前記コード情報を読み取る読み取り手段により認識可能であることを特徴とする下敷き。
【請求項2】
ユーザが行う行為による用紙上の指示位置が、前記コード情報を読み取る読み取り手段により当該用紙を透過して認識可能であることを特徴とする請求項1に記載の下敷き。
【請求項3】
前記コード情報は、赤外ないしテラヘルツ波に対して吸収性能を持つ色材を含むインクで印刷されていることを特徴とする請求項1に記載の下敷き。
【請求項4】
複数の用紙のうち特定の用紙を区別することを可能にする用紙認識画像を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の下敷き。
【請求項5】
所定のパターンからなる、位置情報を含むコード情報が印刷され、用紙が載置されて用いられる下敷きと、
前記下敷きに載置された用紙における筆跡情報を当該下敷きのコード情報を用いて取得するペンデバイスと、
を含む入力装置。
【請求項6】
前記ペンデバイスは、前記下敷きのコード情報を用紙を透過して認識可能であることを特徴とする請求項5に記載の入力装置。
【請求項7】
他の用紙との区別を可能にするための用紙認識画像が付されている用紙を更に含むことを特徴とする請求項5に記載の入力装置。
【請求項8】
前記下敷きに設けられ、当該下敷きに載置されている用紙に向けて光を発する面状発光素子を更に含むことを特徴とする請求項5に記載の入力装置。
【請求項9】
前記面状発光素子は、EL発光シートであることを特徴とする請求項8に記載の入力装置。
【請求項10】
所定のパターンからなる、位置情報を含むコード情報が印刷されている下敷きに用紙の一面を接触させ、
前記用紙の他面から前記下敷きのコード情報を読み取り、
読み取ったコード情報を処理して前記用紙の他面における筆跡情報を取得することを特徴とする筆跡情報取得方法。
【請求項1】
用紙の下に敷かれて用いられる下敷きであって、
所定のパターンからなる、位置情報を含むコード情報が印刷され、
ユーザが行う行為による用紙上の指示位置が、前記コード情報を読み取る読み取り手段により認識可能であることを特徴とする下敷き。
【請求項2】
ユーザが行う行為による用紙上の指示位置が、前記コード情報を読み取る読み取り手段により当該用紙を透過して認識可能であることを特徴とする請求項1に記載の下敷き。
【請求項3】
前記コード情報は、赤外ないしテラヘルツ波に対して吸収性能を持つ色材を含むインクで印刷されていることを特徴とする請求項1に記載の下敷き。
【請求項4】
複数の用紙のうち特定の用紙を区別することを可能にする用紙認識画像を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の下敷き。
【請求項5】
所定のパターンからなる、位置情報を含むコード情報が印刷され、用紙が載置されて用いられる下敷きと、
前記下敷きに載置された用紙における筆跡情報を当該下敷きのコード情報を用いて取得するペンデバイスと、
を含む入力装置。
【請求項6】
前記ペンデバイスは、前記下敷きのコード情報を用紙を透過して認識可能であることを特徴とする請求項5に記載の入力装置。
【請求項7】
他の用紙との区別を可能にするための用紙認識画像が付されている用紙を更に含むことを特徴とする請求項5に記載の入力装置。
【請求項8】
前記下敷きに設けられ、当該下敷きに載置されている用紙に向けて光を発する面状発光素子を更に含むことを特徴とする請求項5に記載の入力装置。
【請求項9】
前記面状発光素子は、EL発光シートであることを特徴とする請求項8に記載の入力装置。
【請求項10】
所定のパターンからなる、位置情報を含むコード情報が印刷されている下敷きに用紙の一面を接触させ、
前記用紙の他面から前記下敷きのコード情報を読み取り、
読み取ったコード情報を処理して前記用紙の他面における筆跡情報を取得することを特徴とする筆跡情報取得方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−286836(P2007−286836A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−112557(P2006−112557)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]