説明

不審者検知装置

【課題】取得した車両周辺の撮影画像を演算負荷が高くならないように効率的に画像評価して、車両の外にいる不審者を認識する不審者検知装置を提供する。
【解決手段】撮影画像に基づいて車両の外にいる不審者を認識する不審者検知装置は、車内に設置されるとともに窓を通して前記車両周辺の撮影画像を取得する撮影手段1と、撮影画面から複数の窓を通して得られた夫々の画像領域を窓領域画像として切り分けて出力する画像切り分け部7と、車両外の物体の窓への接近に基づいて、切り分けられた複数の窓領域画像から評価対象画像を選択する画像選択部9とを備え、評価対象画像に基づいて接近する物体が不審者であるか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影画像に基づいて車両の外にいる不審者を認識する不審者検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両盗難や車両への傷つけを防止するためには、車両の周辺で不審な行動を行う不審者を検知することが重要である。従来の技術には、使用者が車両から離れて警戒モードに入ると、周辺感知センサを用いて車両周辺から車両に接近してくる物体を監視するものがある。接近する物体を検出すると、物体に対する威嚇警報を行い、同時に、車両の周囲画像を情報センタに送信して、情報センタに周囲情報を蓄積させる(例えば、特許文献1参照)。この装置は、人間を含む物体に当たって反射可能な所定周波数帯(例えばGHz帯)の電波を放射し、その電波が物体に当たって反射してくる反射波を受信する周辺感知センサを備えている。これにより、検出エリア内への物体の侵入、つまり車両への物体の接近を検出することができる。周囲画像を取得する撮像装置は全方位型のカメラ1台、又は視野角の広い複数台のカメラを備えている。この装置では、周辺感知センサが物体の車両への接近を検出した際に車両周囲の撮影画像を情報センタに送信するだけで撮影画像の評価を行わない。そのため、車両接近物体が撮影画像に捉えられているかどうかの判定や車両接近物体が人物であるかどうかの判定がその場でできない。従って、車両に対する不審行動を誤認する可能性が高くなる。
【0003】
これとは別に監視用撮影画像を評価する車両用監視システムとして、車室内及び窓を通して車両周辺を車室内に設置された撮像手段を用いて撮像した画像から動き検出を行い、この動き検出の処理結果に基づいて、侵入者や不審者の存在を判定し、その判定結果を報知手段が報知するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。この車両用監視システムでは、車両の天井部分に設置された撮像手段から入力される入力画像と予め設定された背景画像との間の差分画像である背景差分画像を二値化する。これにより、前記背景画像に対して変化のある対象領域と変化のない背景領域とからなる二値化画像を生成する。ここで、背景画像は、撮像範囲内に移動物体が存在しない状態で撮像された画像である。この二値化画像を比較することにより、対象領域のまま変化のない重なり領域、背景領域から対象領域に変化した増加領域、対象領域から背景領域に変化した減少領域を抽出する。重なり領域とこの重なり領域に隣接する増加領域、減少領域とを統合してなる統合領域、及び増加領域、減少領域のそれぞれについて、その領域に属する画素数と、画素位置を表すための二次元座標におけるX座標、及びY座標の座標値を、その領域に属する全ての画素について各座標毎にそれぞれ加算してなるX座標和、Y座標和とからなる領域パラメータを求める。そして、この領域パラメータに基づいて、統合領域毎にその統合領域に示された移動物体の動きを検出する。このシステムでは、撮像手段によって取得された撮影画像を画像評価するので、不審物体の判定精度は高くなるが、入力された全方位撮影画像全体を画像評価対象とするため、画像評価処理の演算負荷が大きくなるという不都合が生じる。
【0004】
【特許文献1】特開2003−157483号公報(段落番号0042、0042、要約)
【特許文献2】特開2006−59252号公報(段落番号0012−0035)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記実状に鑑み、本発明の課題は、取得した車両周辺の撮影画像を演算負荷が高くならないように効率的に画像評価して、車両の外にいる不審者を認識する不審者検知装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、撮影画像に基づいて車両の外にいる不審者を認識する本発明による不審者検知装置は、車内に設置されるとともに窓を通して前記車両周辺の撮影画像を取得する撮影手段と、前記撮影画面から複数の窓を通して得られた夫々の画像領域を窓領域画像として切り分けて出力する画像切り分け部と、車両外の物体の前記窓への接近に基づいて、前記切り分けられた複数の窓領域画像から評価対象画像を選択する画像選択部とを備え、前記評価対象画像に基づいて接近する物体が不審者であるか否かを判定する。
【0007】
上記特徴構成のように、複数の窓領域画像のうちで物体接近信号と関係付けられる窓領域画像を評価対象画像として画像評価することで、接近物体を捉えていない窓領域画像を評価対象画像から外されるので演算負荷が低くなり、画像評価が効率的に行われる。
【0008】
また、本願発明での第2の特徴構成として、前記車両に接近する物体を検出すべく前記車両に設けたセンサ部からの出力信号に基づいて物体接近信号を出力する物体接近判定部と、前記物体接近信号に基づき前記撮影手段を起動する撮影制御部とを備える。このような構成により、物体が接近したときのみ撮影手段を起動させることができるため、バッテリーの消費を抑えることが可能となる。
【0009】
また、接近物体が車体周辺を移動する場合、この接近物体を同一の窓領域画像で捉えることができなくなる。その場合には接近物体を検出した別のセンサ部の出力からの物体接近信号によって新たな窓領域画像を評価対象画像に設定する。しかしながら、接近物体を正確に追従監視するには、1つの窓領域画像で捉えた接近物体が他の窓領域画像の方に移行する前にその隣接窓領域画像を評価対象画像とすることが好ましい。このため、本発明は、第3の特徴構成として、前記物体の移動に基づいて更なる評価対象画像とすべき窓領域画像の選択を前記画像選択部に命令する評価画像追加部を備えている。
【0010】
車体に接近する物体が不審者であるかどうかを判定する際に、その物体が人物であることを確認する必要がある。このため、本発明には、第4の特徴構成として前記物体の一部が人物の顔であることを判定する顔検出部を備えることができる。この顔検出のためには、例えば、輪郭検出された領域の画素値を分析し、画像中の顔と見なされる領域を検出する顔検出アルゴリズムを用いる。これにより顔位置(画像中の座標位置)と顔サイズ(顔位置を基点とした矩形画素領域の縦横サイズ)からなる顔検出領域データ、顔の向き、顔検出時に算定された信頼度が顔検出情報として出力される。
【0011】
さらに、本願発明では第5の特徴構成として顔の検出から判定された人物が不審者であるか否かを判定する際、顔の周辺に手を置きながら車内を覗き込む行為を不審行為とみなす。顔の周辺に手が存在するか否かの画像評価は、顔の肌領域と類似の画素値をもつ領域が顔の近辺に存在することをチェックしたり、顔周辺領域の輪郭検出された輪郭線が手の形状に類似しているか否かをチェックして行う。
【0012】
また、本願発明では第6の特徴構成として、前記顔検出部により判定された人物の顔幅が所定の長さより長い場合に不審者か否かの判定を行う。このような構成により、人物が十分に接近した場合に不審者であると判定することができるため確実に不審者であるか否かの判定が可能となる。
【0013】
更に、本願発明では第7の特徴構成として、前記窓の覗き込みを判定する覗き込み判定部を備え、前記覗き込み判定部は、前記顔検出部により判定された人物が所定時間より長く窓領域画像に存在した場合に覗き込みであると判定する。このような構成により、接近した人物が確実に不審者であるか否かを判定することができる。
【0014】
また、本発明は第8の特徴構成として、前記接近物体が複数の窓領域画像にわたって捉えられた時、この接近物体が車両の周辺を徘徊しているとみなす。これにより、この接近物体が不審者であることを高い精度で判定することができる。
【0015】
さらに、本発明は、第9の特徴構成として、不審者を検知した場合に不審者検知を報知する報知部を備えることができる。本構成であれば、車両に近づいた不審者を威嚇することができ、車両盗難や車両への傷つけを未然に防ぐことが可能となる。そのような報知の方法としては、視覚的な威嚇、聴覚的な威嚇など、種々の形態を採用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る不審者検知装置の構成を模式的に示すブロック図である。不審者検知装置は、撮影手段1とセンサ部2が備えられ不審者の検知を行う。センサ部2は、赤外線センサ等の障害物センサ31〜35で構成され、車両に接近する物体の検出に応じて信号を出力する。この出力信号に基づいて物体接近判定部3は、車両に物体が接近しているか否かの判定を行う。物体が接近していれば、撮影制御部4は撮影手段1を起動し、撮影手段1に対して撮影を開始するための制御信号を出力する。撮影手段1はこの制御信号に基づいて撮影を開始する。撮影手段1は撮影用レンズや光電変換素子等からなる監視カメラ21で構成され、車両周辺の撮影を行い、不審者検知装置が取り扱う画像データに変換する。但し、本発明では、特に区別する必要がない限り、撮影によって得られる撮影画像や画像データを「撮影画像」という語句で総称する。また、この不審者検知装置は、CPUを中核部材として不審者の検知に関する種々の動作を行うための機能部をハードウェア又はソフトウェア或いはその両方で構築している。
【0017】
図2は監視カメラ21と障害物センサ31〜35の配置の概略を示した図であり、また、図3は障害物センサ31〜35の監視エリアを示した図である。図2のとおり、監視カメラ21はフロントガラス付近に車内後方を向いて配設され、監視カメラ21の向きを変更することなく、車内を撮影するとともに運転席側の前ガラス、運転席側の後ガラス、リヤガラス、助手席側の後ガラス、及び助手席側の前ガラスを通して車両周辺の撮影を行う。また、障害物センサ31〜35は各ドアパネル付近に配設され、夫々所定の監視エリア41〜45が図3のように決められる。したがって、障害物センサ31〜35に基づいて、監視エリア41〜45に入る物体の検出を行うことが可能となる。
【0018】
撮影手段1で取得された撮影画像は、メモリ5に格納される。メモリ5に格納された撮影画像は、画像切り分け部7により撮影画像の中で車両の窓部分が構成する複数の窓領域画像W1〜W5に切り分けられる。この切り分けられた窓領域画像W1〜W5は、前述のとおり元々フロントガラス付近に備えられた一つの監視カメラ21で撮影された画像であるため、窓方向に対して垂直方向でない斜め方向から撮影した画像を含み、歪を持つものもある。したがって、歪補正部8は切り分けられた窓領域画像W1〜W5の歪補正を行う。
【0019】
図4(a)は、撮影手段1により撮影された画像の一例を示した図である。フロントガラス付近から車内後方の向きに監視カメラ21を配設しているため、撮影画像には運転席や助手席とともに、運転席側の前ガラス(監視ウィンドウ51)、運転席側の後ガラス(監視ウィンドウ52)、リヤガラス(監視ウィンドウ53)、助手席側の後ガラス(監視ウィンドウ54)、及び助手席側の前ガラス(監視ウィンドウ55)が写っている。次に図4(b)のように前述の画像切り分け部7により監視ウィンドウ毎に窓領域画像W1〜W5として切り分けられる。切り分けられた窓領域画像W1〜W5は、歪補正部8により図4(c)に示されるような正面から撮影された画像と同様の画像となるように公知の画像処理技術を利用して歪補正された画像X1〜X5が作製される。したがって、フロントガラス付近に備えられた監視カメラ21により監視ウィンドウ51〜55毎に撮影された画像と同様の画像を得ることができる。
【0020】
歪補正部8で歪補正された画像X1〜X5と障害物センサ31〜35の各出力とに基づいて、画像選択部9により車両に接近している物体が写っていると判定された画像が選択される。不審者判定手段10は、この選択された画像に写っている物体が不審者であるか否かを判定する。これにより、接近物体を捉えていないと思われる窓領域画像はとりあえず評価対象画像から外されるので、演算処理を低くすることができ、画像の判定評価が効率的に行うことが可能となる。不審者判定手段10が車両に接近している物体が不審者であると判定すると、報知部15はブザーやランプ等により報知を行う。したがって、この報知により不審者に対して警告を行うことや車両の周辺にいる不審者以外の人に不審者がいることを知らせることができるため、不審者からの車両盗難や車両への傷つけを未然に防ぐことが可能となる。
【0021】
不審者判定手段10では、前述のとおり画像選択部9により選択された画像に写っている物体が不審者であるか否かを判定するが、その構成要素として顔検出部11と評価画像追加部12と覗き込み判定部13と徘徊判定部14とが備えられる。顔検出部11は画像選択部9により選択された画像に写っている物体から顔部分の検出を行う。したがって、この検出により物体が人物であるか否かを判定することが可能となる。覗き込み判定部13は顔検出部11により検出された顔の周辺に手を検知した場合に車両の中の覗き込みを行っている不審者であると判定する。この時の画像評価としては、顔の肌領域と類似の画素値をもつ領域が顔の近辺に存在していることをチェックしたり、顔周辺領域での輪郭検出された輪郭線が手の形状に類似しているかをチェックしたりするとよい。評価画像追加部12は、不審者の移動が別のウィンドウに移るような移動である時、その移動に基づいて更なる評価対象とすべき窓領域画像W1〜W5の選択を画像選択部9に命令する。したがって、不審者が隣接する窓領域画像の方に移動する前にその隣接窓領域画像を評価対象画像とすることができるため、追従監視することが可能となる。徘徊判定部14は車両に接近する物体が評価画像追加部12により追加された窓領域画像を含む、複数の窓領域画像に渡って車両の周辺を所定の間移動していると徘徊しているとして不審者であると判定する。上述のとおり、物体が不審者であると判定されると画像記録部6はメモリ5を介して、撮影手段1が撮影した撮影画像を記録する。
【0022】
次に、歪補正された画像X1〜X5に写る物体が車内を覗き込もうとしている不審者であるか否かを判定するための手法に関して説明する。図5は、顔検出部11において顔検出の処理に関する概略を示した図である。まず、歪補正された画像X1〜X5に写る物体に関して特徴点が抽出される。この特徴点の例としては、顔の横幅や縦幅、目や耳や眉毛等の左右対称性、更には認識された顔の中での鼻や口の位置等がある。このような抽出された特徴から車両に接近する物体が人物である場合にはその人の顔の動きから車内を覗き込んでいる不審者なのか、或いは単なる通りすがりの人なのかの判定を行うことが容易となる。
【0023】
上述のように評価画像追加部12は、車内を覗き込んでいる不審者が当初覗き込んでいた窓から隣の窓に移動した場合に、不審者を追従することを目的として窓領域画像W1〜W5の選択を画像選択部9に命令する。図6は、この場合における不審者の顔の移動を捕らえて画像の選択を行う場合の例を示した図である。図6(a)に写る不審者が図6(b)のように同一画像内での移動である時には、障害物センサ31〜35の出力信号の変化により不審者の移動を知ることができる。更には、詳細は省略するが公知技術であるオプティカルフロー技術を利用することにより2フレーム間の不審者の顔の速度ベクトルを求め、この速度ベクトルを読み取ることにより不審者の移動の向きを知ることもできる。図6(b)から図6(c)のように別の窓への移動である場合も上述の障害物センサ31〜35の出力信号やオプティカルフロー技術により認識することができ、この移動の認識に基づいて、評価画像追加部13が不審者を追従監視するために窓領域画像W1〜W5の選択を画像選択部9に命令する。
【0024】
車内を覗き込む際には、図7のように顔の周辺に手を置きながら車内を覗き込むという姿勢をとる。したがって、この姿勢を不審行為とみなして覗き込み判定部13がこのような姿勢を認識した場合には、不審者が車内を覗き込んでいると判定することが可能である。
【0025】
次に、本実施形態についてフローチャートを使用して説明する。図8は不審者を検出するためのフローチャートである。まず、センサ部2が備える障害物センサ31〜35が車両に接近する物体の検知を開始する(ステップ#01)。ユーザにより予め設定された所定の範囲内に物体が入れば(ステップ#02:Yes)、物体接近判定部3は障害物センサ31〜35の出力信号に基づいて、物体の接近を示す信号が撮影制御部4に出力される。この信号を受け、撮影制御部4は撮影手段1に対して制御信号を出力する。撮影手段1は、この制御信号に基づいて起動し撮影を開始する(ステップ#03)。一方、所定範囲内への物体の接近がなければ(ステップ#02:No)、撮影手段1は起動しないため撮影は行われず、引き続き車両に接近する物体の検知を行う。
【0026】
撮影手段1が起動するとフロントガラス付近に車内後方を向くように配設される監視カメラ21は、車両に接近する物体の撮影を行う。取得された撮影画像はメモリ5に格納され、画像切り分け部7により窓領域画像W1〜W5として切り分けられる(ステップ#04)。この窓領域画像W1〜W5は、監視カメラ21が車内後方を向いて撮影した画像であるため、監視カメラ21から正面方向(リヤガラス方向)でない窓領域画像(運転席側の前ガラス、運転席側の後ガラス、助手席側の後ガラス、及び助手席側の前ガラス)は窓方向に対して垂直方向でない斜め方向から見た画像のような歪を持つものもある。この歪は歪補正部8により公知の画像処理法を利用して補正され(ステップ#05)、窓方向に対して垂直方向から撮影された画像のように歪補正された画像X1〜X5が作製される。また、この歪補正に加えて切り分けられた画像毎に輝度やコントラストの調整も行われる。
【0027】
このような歪補正された画像X1〜X5と障害物センサ31〜35による検知とに基づいて接近物体が写っている画像を特定し(ステップ#06)、画像選択部9によりその画像が選択される。次に、不審者判定手段10はこの特定された画像に写る接近物体が不審者であるか否かの判定を顔検出を通じて行う(ステップ#07)。ここで、不審者判定手段10における判定ルーチンについては後述することとする。不審者判定手段10にて画像に写る物体が不審者であると判定されると(ステップ#08:Yes)、画像記録部6はメモリ5を介して撮影手段1により撮影された不審者の写る撮影画像を記録する(ステップ#11)。更に、車両の周辺に不審者がいることを報知部15が報知する(ステップ#12)。この報知は不審者に対しての警告だけでなく、車両の周辺にいる不審者以外の人に不審者がいることを知らせることも可能とする。
【0028】
一方、不審者判定手段10にて画像に写る物体が不審者でないと判定されると(ステップ#08:No)、既に報知中であれば(ステップ#09:Yes)、報知部15は報知を終了し(ステップ#13)、撮影手段1は撮影を終了する(ステップ#10)。また、報知中でなければ(ステップ#09:No)、撮影手段1は撮影を終了する(ステップ#10)。
【0029】
次に、不審者判定手段10による不審者の判定についてフローチャートを使用して説明する。図9は不審者を判定するためのフローチャートである。図8のステップ#06において、歪補正された画像X1〜X5と障害物センサ31〜35による検知とに基づいて接近物体が写っている画像を特定し、画像選択部9によりその画像が選択されると、不審者判定手段10が備える顔検出部11が選択された画像から顔検出を行う。画像選択部9により選択された画像に顔が写っていなければ(ステップ#21:No)、不審者判定手段10は物体が不審者でないと判定し(ステップ#22)、不審者検出のフローに戻る。
【0030】
画像選択部9により選択された画像に顔が写っていれば(ステップ#21:Yes)、覗き込み判定部13は顔の周辺に手が写っているか否かの判定を行う。顔の周辺に手が写っていれば(ステップ#23:Yes)、不審者判定手段10は物体が不審者であると判定し(ステップ#26)、不審者検出のフローに戻る。顔の周辺に手が写っていなければ(ステップ#23:No)、徘徊判定部14は物体が車両の周辺を徘徊しているか否かの判定を行う。物体が車両の周辺を徘徊していれば(ステップ#26:Yes)、不審者判定手段10は物体が不審者であると判定し(ステップ#26)、不審者検出のフローに戻る。また、物体が車両の周辺を徘徊していなければ(ステップ#24:No)、物体が所定の間車両の周りにいるか否かの判定を行う。所定の間車両の周辺に物体がいれば(ステップ#25:Yes)、不審者判定手段10は物体が不審者であると判定し(ステップ#26)、不審者検出のフローに戻る。一方、所定の間車の周辺に物体がいなければ(ステップ#25:No)、不審者判定手段10は物体が不審者でないと判定し(ステップ#22)、不審者検出のフローに戻る。このようにして不審者判定手段10は、画像選択部9により選択された画像に基づいて車両に接近する物体が不審者であるか否かを判定することが可能となる。
【0031】
その他の実施例
上記の実施形態では、監視カメラ21は不審者検知装置において車両に接近する物体を撮影するとしたが、これに限らない。車両の走行時には運転手を撮影し運転手の居眠りを防止するための装置が備えるカメラとして利用することは当然に可能である。
【0032】
上記の実施形態では、障害物センサ31〜35は赤外線センサで構成されるとして説明したが、これに限らない。車両に接近する物体を検出できるセンサであれば、障害物センサ31〜35を構成することは当然に可能である。
【0033】
上記の実施形態では、撮影手段1が備える監視カメラ21は一つであるとして説明したが、これに限らない。複数の監視カメラを備える構成とすることも当然に可能である。
【0034】
上記の実施形態では、車が備えるガラスを運転席側の前ガラス、運転席側の後ガラス、リヤガラス、助手席側の後ガラス、及び助手席側の前ガラスとしたが、これに限らない。車が備えるガラスは少なくとも一つであれば、本発明に係る不審検知装置を構成することは当然に可能であるし、上記以外のガラスを備える構成であっても本発明に係る不審者検知装置を構成することは、当然に可能である。
【0035】
上記の実施形態では、歪補正された画像X1〜X5から顔検出する際に使用される特徴点の例として、顔の横幅や縦幅、目や耳や眉毛等の左右対称性、更には認識された顔の中での鼻や口の位置として説明したが、これに限らない。例えば、口元のマスクや帽子等を深くかぶり顔を隠すような人物を不審者として認識させるように構成することも当然に可能であるし、それ以外の特徴点を設定することも当然に可能である。
【0036】
上記の実施形態では、不審者判定の際に物体が車両の周辺を徘徊しているか否か、また、所定の間車両の周辺にいるか否かの判定は、画像選択部9により選択された画像に基づいて判定されるとして説明したが、これに限らない。センサ部2が備えるセンサの出力信号に基づいて判定することも当然に可能である。
【0037】
上記の実施形態では、障害物センサにより接近する物体を検出するとして説明したが、これに限らない。撮影手段により物体の接近を検出することも当然に可能である。接近手段により物体の接近を検出する手段としては、公知の方法が用いられる。例えば、直前の車両周辺画像と現在の車両周辺画像との差分に基づいて、又は、オプティカルフロー技術により検出される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】不審者検知装置の構成を模式的に示すブロック図
【図2】監視カメラと障害物センサの配置の概略を示した図
【図3】障害物センサの監視エリアを示した図
【図4】撮影画像から歪補正された画像を作製する過程を示す図
【図5】顔検出の処理に関して概略を示した図
【図6】不審者の移動に伴う画像選択をする図
【図7】覗き込み判定を行う姿勢の一例を示す図
【図8】不審者を検出するためのフローチャートを示す図
【図9】不審者を判定するためのフローチャートを示す図
【符号の説明】
【0039】
1:撮影手段
2:センサ部
3:物体接近判定部
4:撮影制御部
7:画像切り分け部
8:歪補正部
9:画像選択部
10:不審者判定手段
11:顔検出部
12:評価画像追加部
13:覗き込み判定部
15:報知部
21:監視カメラ
31〜35:障害物センサ
41〜45:監視エリア
51〜55:監視ウィンドウ
W1〜W5:窓領域画像
X1〜X5:歪補正された画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影画像に基づいて車両の外にいる不審者を認識する不審者検知装置において、
車内に設置されるとともに窓を通して前記車両周辺の撮影画像を取得する撮影手段と、前記撮影画面から複数の窓を通して得られた夫々の画像領域を窓領域画像として切り分けて出力する画像切り分け部と、車両外の物体の前記窓への接近に基づいて、前記切り分けられた複数の窓領域画像から評価対象画像を選択する画像選択部とを備え、前記評価対象画像に基づいて接近する物体が不審者であるか否かを判定することを特徴とする不審者検知装置。
【請求項2】
前記車両に接近する物体を検出すべく前記車両に設けたセンサ部からの出力信号に基づいて物体接近信号を出力する物体接近判定部と、前記物体接近信号に基づき前記撮影手段を起動する撮影制御部とを備える請求項1に記載の不審者検知装置。
【請求項3】
前記物体の移動に基づいて更なる評価対象画像とすべき窓領域画像の選択を前記画像選択部に命令する評価画像追加部を備える請求項1又は2に記載の不審者検知装置。
【請求項4】
前記物体の一部が人物の顔であることを判定する顔検出部を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の不審者検知装置。
【請求項5】
前記顔検出部により検出された顔の周辺に手を検知した際に不審者であると判定する請求項4に記載の不審者検知装置。
【請求項6】
前記顔検出部により判定された人物の顔幅が所定の長さより長い場合に不審者か否かを判定する請求項4に記載の不審者検知装置。
【請求項7】
前記窓の覗き込みを判定する覗き込み判定部を備え、前記覗き込み判定部は、前記顔検出部により判定された人物が所定時間より長く窓領域画像に存在した場合に覗き込みであると判定する請求項4に記載の不審者検知装置。
【請求項8】
前記物体が複数の窓領域に渡って所定の間移動することを検知した際に不審者であると判定する請求項1から4のいずれか一項に記載の不審者検知装置。
【請求項9】
不審者を検知した場合に不審者検知を報知する報知部を備えている請求項1から8のいずれか一項に記載の不審者検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−123057(P2008−123057A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303300(P2006−303300)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】