説明

不感域のない安定化半導体レーザジャイロ

【課題】不感域のない安定化半導体レーザジャイロを提供する。
【解決手段】本発明は、回転速度又は相対角度位置の測定に用いる半導体レーザジャイロに関する。このタイプの装置は特に航空用途に使用される。本発明の目的は、不感域を除去する特殊な光学装置を用いて、レーザの不安定性を制御するのに必要な光学装置を完成させることにある。これによって、可動部品がなく、安定でかつ不感域のない「完全に光学的な」半導体レーザが得られる。これらのデバイスは、特に、相反光学回転子(5)と非相反光学回転子(6、9)とを含み、2つの対向伝播光学モードがモードロッキングを回避するに十分な異なる周波数において共振器(1)内を伝播するように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転速度又は相対角度位置の測定に用いる半導体レーザジャイロに関する。このタイプの装置は特に航空用途に使用される。
【背景技術】
【0002】
レーザジャイロはおよそ30年前に開発されたもので、今日では広く販売され、使用されている。その作動はサニャック効果に基づいているが、サニャック効果は、回転する双方向のリング形状のレーザ共振器において生じる周波数の差で、対向伝播と言われる反対方向に伝播する2つの光学放射モード間の周波数の差Ωを意味している。通常、周波数の差Ωは、次式、すなわち、
Ω=4Aω/λL
で表される。式中、L及びAはそれぞれ共振器の長さ及び面積、λはサニャック効果を含まないレーザ放射の波長であり、ωはレーザジャイロの回転角速度である。
【0003】
2つの放射ビームのビートのスペクトル分析によって得られるΩの値から、ωの値をきわめて正確に得ることができる。
【0004】
角度位置が変化する間に進行するビートの縞を電子的にカウントすると、角度位置の相対値もきわめて正確に得られる。
【0005】
レーザジャイロを製作するには、いくつかの技術的難点を解決する必要がある。第1の問題は2つのビーム間のビートの質に関連しており、このビートの質がレーザの正確な作動を決定する。ビートが正確であるためには、双方向に放射される強度における適度の安定性と相対的な同等性とが必要である。しかし、半導体レーザの場合には、安定性と同等性とは、モード−モード競合のために確実には実現されない。この競合によって、2つの対向伝播モードの一方が利用可能なゲインを独占して、もう一方のモードが損なわれるからである。半導体のリング形状レーザにおける双方向放射の不安定性の問題は、2つの対向伝播モードの強度間の差異をある設定値の近傍に従属化制御するように考えられた反作用ループを設けることによって解決することができる。このループは、例えば相反回転素子、非相反回転素子及び偏光素子を用いてその損失を伝播方向に連結する(特許文献1)か、あるいは、例えば相反回転素子、非相反回転素子及び偏光放射結晶を用いてそのゲインを伝播方向に連結する(特許文献2)ことによって、レーザに作用する。一旦従属化制御されてしまうと、レーザは2つの対向伝播ビームを安定した強度で放射するので、レーザジャイロとして用いることができる。
【0006】
第2の技術的な難点は低回転速度に関連している。レーザジャイロはある回転速度を超えて初めて正確に作動するからである。低回転速度においては、サニャックのビート信号が2つの対向伝播モードの結合によって消失する。これは、共振器中の存在する種々の光学素子の光の後方散乱によるものである。この現象が観察される回転速度範囲は、一般的に不感域と呼称され、代表的な数10kHzのビート周波数に相当する。この問題は半導体に固有のものではなく、ガスのレーザジャイロでも現れる。レーザジャイロのこの第2のタイプの問題に対する最も普通の解決策は、装置を人工的に不感域外に置くような強制的かつ周知の動きを装置に与えることによって、それをできるだけ頻繁に機械的に動かすことである。
【特許文献1】仏国特許出願公開第2853061号明細書
【特許文献2】仏国特許出願公開第2863702号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、不感域を除去する特殊な光学装置によって、半導体レーザの不安定性を制御するのに必要な光学装置を完成させることにある。これによって、可動部品がなく、安定でかつ不感域のない「完全に光学的な」半導体レーザが得られる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
さらに詳細には、本発明は、設定された回転軸に関する角速度又は角度位置を測定するレーザジャイロに関するもので、少なくとも、
・リング形状の光学共振器と、
・半導体増幅器手段と、
・少なくとも、第1の直線偏光子、第1の非相反光学回転子及び光学素子からなる第1の光学組立品であって、前記光学素子は相反光学回転子又は複屈折素子のいずれかであり、さらにその効果の少なくとも1つ又はその複屈折性が調節可能である第1の光学組立品を含む従属化制御装置と、
・測定計器と、
を備えたレーザジャイロにおいて、
前記共振器が、又、
・連続的に、第1の四分の一波長板と、第2の非相反光学回転子と、第1の四分の一波長板の主軸に垂直な主軸を有する第2の四分の一波長板とからなる第2の光学組立品、
を備えて、
第1の直線偏光伝播モードが共振器の中で第1の方向に伝播することができ、第1の伝播モードに平行に直線偏光された第2の伝播モードが共振器の中で反対方向に伝播することができ、その場合、第1の四分の一波長板及び第2の四分の一波長板の主軸は、伝播モードの直線偏光方向に対して45°傾いていると共に互いに垂直であり、かつ、2つのモードの光学周波数は異なっているようにすることを特徴とするレーザジャイロを対象としている。
【0009】
又、共振器が、第1の直線偏光子の軸に平行な軸を有する第2の直線偏光子を備え、第1の非相反光学回転子と光学素子とからなる光学組立品が第1及び第2の偏光子の間に位置するように配置されることも有利である。
【0010】
さらに又、本発明は、設定された回転軸に関する角速度又は角度位置を測定するレーザジャイロに関し、少なくとも、
・リング形状の光学共振器と、
・半導体増幅器手段と、
・測定計器と、
を備えたレーザジャイロにおいて、
前記共振器が、又、
・少なくとも、第1の直線偏光子及び調節可能な非相反光学回転子からなる第1の光学組立品を含む従属化制御装置と、
・連続的に、第1の四分の一波長板、第2の非相反光学回転子及び第2の四分の一波長板からなる第2の光学組立品であって、この第1の波長板の軸は直線偏光子の偏光方向に対して45°以外の角度だけ傾いており、この第2の波長板の軸は直線偏光子の偏光方向に対して約45°傾いている第2の光学組立品と、
を備えて、
第1の伝播モードが共振器の中で第1の方向に伝播することができ、かつ、第2の伝播モードが共振器の中で反対方向に伝播することができ、両モードの光学周波数は異なっているようにすることを特徴とするレーザジャイロを対象としている。
【0011】
3つの異なる軸に従って角速度又は相対角度位置を測定するシステムは、異なる方向に向けられ、1つの共通の機械構造に搭載された、本発明による3つのレーザジャイロを好適に含むことができることが有利である。
【0012】
以下の非制限的な説明と添付の図面とから、本発明がさらによく理解され、さらに別の利点が明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明による特殊な装置は、次の2つの特殊機能、すなわち、
・対向伝播モードの強度を従属化制御すること、
・不感域を除去すること、
を実現しなければならない。
【0014】
これらの機能を実現するため、装置は、異なる周波数における2つの光学モードを共振器の内部に発生させる。第1の伝播モードは共振器の中で第1の伝播方向に回転し、第2のモードは反対の伝播方向に回転する。
【0015】
これら2つのモードの周波数の差と強度の従属化制御を図1に示すような本発明によるレーザジャイロによって行うことができる。このレーザジャイロは、主に、
・リング形状の光学共振器1と、
・半導体増幅器手段2と、
・測定計器4と
・少なくとも、第1の直線偏光子7、第1の非相反光学回転子6及び光学素子からなる第1の光学組立品であって、この場合、この光学素子は相反光学回転子5であり、さらに、その効果の少なくとも1つが調節可能であり、回転子効果の設定制御が図1の点線の矢印で示される第1の光学組立品を含む従属化制御装置と、
・連続的に、第1の四分の一波長板8、第2の非相反光学回転子9、及び、第1の四分の一波長板の主軸に垂直な主軸を有する第2の四分の一波長板10からなる第2の光学組立品と、
を備えて、
第1の直線偏光伝播モードが共振器の中で第1の方向に伝播することができ、第1の伝播モードに平行に直線偏光された第2の伝播モードが共振器の中で反対方向に伝播することができ、その場合、第1の四分の一波長板及び第2の四分の一波長板の主軸は、伝播モードの直線偏光方向に対して45°傾いていると共に互いにほぼ垂直であり、かつ、2つのモードの光学周波数は異なっているようにする。
【0016】
第1の光学組立品は相反光学回転子5及び非相反光学回転子6を含んでいる。光波の偏光の光学回転は、この特性を有する光学構成素子において光波が反射された(往き及び戻り)後に、偏光の回転の効果が加わる場合、非相反的と呼称され、この光学構成素子は非相反光学回転子と呼称される。例えば、ファラデー効果を有する材料は、磁界に置かれた場合に、それを通過するビームの偏光面を回転する材料である。この効果は相反的ではない。従って、反対方向に通過する同じビームは、その偏光面が同じ方向に回転されることになろう。この原理が図3に示されている。伝播の方向は水平の矢印で示される。直線偏光されたビーム101の偏光方向は、そのビームが構成素子6を通過するとファラデー効果によって直接センス(direct sense)において角度βだけ回転される(図3上)。その偏光方向が当初の方向からβだけ回転された、逆方向に伝播する同じビーム102を、ファラデー効果を有する構成素子に再照射すると、その偏光方向は、その構成素子を通過する際に再度βだけ回転し、反射後の全回転角は2βとなる(図3下)。
【0017】
従来の相反回転子5においては、ビーム101の偏光方向は直接センスにおいて+αだけ回転し、ビーム102の偏光方向は、逆の伝播方向において−αだけ回転するので、図2に示すように当初の偏光方向が得られる。
【0018】
第1の光学組立品の作動が図4に示される。
【0019】
本発明によるタイプの共振器においては、対向伝播モードの固有状態が、偏光子7の軸に平行な軸に沿って直線偏光される。直接センスにおいては、第1の光学モード101が、最初に相反回転子5を通過し、次いで第1の非相反光学回転子6を通過し、最後に偏光子7を通過する。この結果、その偏光方向は、第1の素子通過後に角度αだけ回転し、第2の素子通過後には角度α+βだけ回転する。従って、偏光子7を通過すると、モードは係数cos(α+β)だけ減衰してしまうことになる。逆方向においては、第2の光学モードも1周後に偏光子7によって減衰させられるが、この第2の係数はcos(α−β)であることを証明することができる。従って、モードはその伝播方向によって異なる形で減衰し、その減衰量は、2つのモードが受ける偏光の効果の程度に直接依存している。このため、2つの値α又はβの少なくともいずれか1つを変えて、従属化制御装置を通る2つのモードの偏光が受ける効果を変化させることによって、対向伝播するモードの強度を変えることが可能になる。このようにして、異なるモードの強度が一定値の近傍に従属化制御される。
【0020】
第2の光学組立品の作動が図5に示される。直線偏光された光学モード101(図5における直角矢印)が第1の四分の一波長板8を通過するときに、二重線の矢印で示すこの遅延板の主軸が偏光方向に対して45°傾いていると、モードの偏光は、右回りの円偏光で出射する(図5の実線の半円矢印)。
【0021】
この円偏光波には、それが第2の非相反光学回転子9を通過する際に、非相反位相差dが生じる。円偏光波は、それから、第1の四分の一波長板の主軸に垂直な主軸を有する第2の四分の一波長板10によって、再度直線偏光波に変換される。このようにして、この第2の光学組立品を通過するモードに非相反位相差が導入されるが、光波の直線偏光は保持されている。
【0022】
従って、上記の装置を用いると、共振器の内部に、反対方向に伝播する2つのモードを発生させること、それらを同じ強度レベルに維持する制御方法で可変に減衰させること、かつ又、これらのモードに相反及び非相反位相差を導入することが可能になる。固有モードとその周波数を決定するために、ジョーンズ行列の形式を用いる。一般的には、この行列は、光学伝播モードに対する構成素子の影響を、光学モードの伝播方向に垂直な平面に関連付けられる2×2行列によって表現するものである。
【0023】
共振器内の全構成素子の最終的な影響を求めるために、これらの構成素子を表現する種々の行列の積の固有状態だけを決定する。この積は必ずしも可換ではないので、行列はビームの伝播方向に従って変わる場合がある。
【0024】
この共振器の中にある種々の光学素子の行列は次のとおりである。すなわち、
直接センスと呼称される第1の回転方向において交差される相反回転子に対しては、行列R(α)は、下記数1式である。
【数1】

【0025】
逆センス(opposite sense)と呼称される第2の回転方向において交差される相反回転子に対しては、行列R(α)は、下記数2式である。
【数2】

【0026】
非相反回転子については、行列F(β)は、伝播方向に無関係であって、下記数3式である。
【数3】

【0027】
偏光子に対しては、行列Pは、下記数4式である。
【数4】

【0028】
45°回転された四分の一波長板については、行列Lは、下記数5式である。
【数5】

【0029】
又、135°回転された四分の一波長板については、行列Lは、下記数6式である。
【数6】

【0030】
直接センス及び逆方向に伝播するモードに対して、共振器中にある全光学デバイスを表現する行列M及びMは、簡単な乗算によって、
=P・R(α)・F(β)・L1・F(d)・L2
及び
=L2・F(d)・L1・F(β)・R(α)・P
すなわち、下記数7式として得ることができる。
【数7】

【0031】
行列M及びMを知ることによって、共振器内を伝播するであろう光学モードの固有状態を決定することができる。それぞれの伝播方向において、ゼロでない固有値を有する固有状態、以下(+)(−)の符号を付す固有状態が存在する。
【0032】
(+)及び(−)の係数は伝播方向によって異なるので、2つの係数値α又はβのいずれか1つを変えることによって、対向伝播モードを一定の強度に従属化制御することが可能になる。
【0033】
もしレーザジャイロが回転しなければ、長さLのリング形状のレーザ共振器内の光学モードの周波数νは、このモードが共振器を1周した後毎に受ける位相差φに一般的に関連付けられ、下記数8式で表現される。但し、式中のnは整数であり、cは光の速度である。
【数8】

【0034】
2つのモードは角度2dだけずれているので、モード間に存在する周波数差Δνは、下記数9式である。
【数9】

【0035】
従って、この差が十分に大きければ2つのモード(+)及び(−)の結合は生じない。Δνの選定はレーザジャイロの所要の作動範囲によって設定される。
【0036】
この条件を確実に実現するには、ただ、非相反回転子の光学的並びに幾何学的パラメータを適切に決めればよい。
【0037】
共振器が回転する場合は、固有周波数は、サニャック効果によって±Ω/2の周波数だけずれることになる。符合はモードの伝播方向による。この場合、周波数差Δνは、下記数10式である。
【0038】
【数10】

【0039】
既知のパラメータのみによって決まるΔνと、測定されるΔνsを知れば回転角速度を定めるビート周波数Ωを得ることができる。角度位置が変化する間に進行するビートの縞を電子的にカウントすると、角度位置の相対値もきわめて正確に得ることができる。
【0040】
周波数差Δνを測定するための種々の操作は測定計器によって行う。この計器は次の各装置を含んでいる。すなわち、
・第1の伝播モードを第2の伝播モードと干渉させる光学装置、
・第1の伝播モードと第2の伝播モードとの間の光学周波数差Δνを測定する光電子工学装置、及び、
・ビート周波数差Ωを得るための電子装置又はビート信号の縞をカウントする電子装置、
である。
【0041】
四分の一波長板の光学軸は完全にはアライメントされていないことがある。この場合は、対向伝播モード間の周波数差は、測定結果を変える可能性がある非相反効果に関連するスプリアス項を含んでいる。この問題を解決する簡単な方法を図6に示す。共振器は、第1の偏光子の軸に平行な軸を有する第2の偏光子12を含んでおり、第1の非相反光学回転子と光学素子とからなる光学組立品は、この第1及び第2の偏光子の間に配置される。
【0042】
この場合は、四分の一波長板の軸は偏光子の軸の45°に完全にアライメントされ、この新しい形態のジョーンズ行列は上記と同じ符号を用いて、
=P・R(α)・F(β)・P・L1・F(d)・L
及び
=L・F(d)・L1・P・F(β)・R(α)・P
すなわち、下記数11式で記述される。
【数11】

【0043】
伝播モードは、明らかに前記と同じ周波数及び同じ係数を有する。
【0044】
四分の一波長板の軸が完全にはアライメントされない場合は、第1の波長板の軸と偏光子の軸との間の角度φは、
φ=π/4+θ
である。ここでθはアライメント誤差の角度である。
【0045】
このような四分の一波長板に関するジョーンズ行列L(φ)は、下記数12であることを示すことができる。
【数12】

【0046】
この場合、ジョーンズ行列は、
=P・R(α)・F(β)・P・L1・F(d)・L(φ)
及び
=L(φ)・F(d)・L1・P・F(β)・R(α)・P
すなわち、下記数13式となる。
【数13】

【0047】
これから分かるように、アライメント誤差は付加的な位相ずれを導入する。しかし、この位相ずれは、2つの対向伝播モードに対して同一であって、2つの対向伝播モード間の相対的な位相差には影響を及ぼすことなく、その位相差はdに等しいままである。アライメント誤差は、又付加的な損失をも惹起するが、そのアライメント誤差の角度θが小さければ、この損失がモードの従属化制御に重大な影響を及ぼすことはない。
【0048】
従って、共振器の中に第2の偏光子12を導入すると、四分の一波長板のアライメント誤差に起因するスプリアスな影響が排除され、強度の制御デバイスと移相器によって導入されるバイアスとを完全に無関係にすることができる。
【0049】
四分の一波長板は相反的な光学構成素子である。従って、図7に示すように、従属化制御装置を含む共振器であって、少なくとも、
・第1の直線偏光子7及び調節可能な非相反光学回転子6からなる第1の光学組立品であって、この形態においては相反光学回転子を必要としない第1の光学組立品と、
・連続的に、第1の四分の一波長板8、第2の非相反光学回転子9及び第2の四分の一波長板10からなる第2の光学組立品であって、第1の波長板8の軸は、直線偏光子の偏光方向に対して角度φだけ傾いており、
φ=π/4+θ
であって、θは0ではなく、
さらに、第2の波長板10の軸は、直線偏光子の偏光方向に対して約45°傾いていると共に第1の波長板8の軸に対して約90°傾いている第2の光学組立品と、
を備えた共振器を作り上げることができる。
【0050】
第1の波長板に関するジョーンズ行列L(φ)は既知である。従って、この形態のジョーンズ行列は上記と同じ符号を用いて、
=F(β)・L(φ)・F(d)・L・P
及び
=P・L・F(d)・L(φ)・F(β)
である。
【0051】
第1の行列は、
λ=cos(β+θ)ei(θ+d)
の固有値を有することができ、第2の行列は、
λ=cos(β−θ)ei(θ−d)
の固有値を有することができることを示すことができる。
【0052】
従って、この光学配置によって、モード強度の変調と位相ずれとがモードの伝播方向によって異なることになる。実際のところ、同じ効果が、光学構成素子が1つ少ない第1の実施形態に関して得られるのである。
【0053】
これら2つの実施形態において、非相反回転子は、TGG(テルビウム−ガドリニウム−ガーネット)又はYAG(イットリウム−アルミニウム−ガーネット)のような材料の棒からなるファラデー回転子でもよい。この棒は、一定の非相反効果を得るために磁石の磁界に置かれるか、あるいは、従属化制御システムによって制御される可変効果を得るためにソレノイド磁界の中に置かれる。一定バイアスのために、変動を制限する飽和状態で材料を用いることもできることが有利である。
【0054】
相反回転子は光学的に活性な素子である。それは、波長板又は第2の偏光光学素子によって代替することもできるし、又、それを、光学ビームが平面内を伝播しないように共振器内に反射鏡を特殊配置した非平面型共振器によって実現してもよい。回転子の効果は一定あるいは可変のいずれでもよいが、可変の場合は従属化制御システムによって制御する(特許文献1)。
【0055】
本発明によるいくつかのレーザジャイロを組み合わせて、3つの異なる軸に従う角速度又は相対角度位置の測定システムを作り上げることももちろん可能である。このようなシステムは、例えば1つの共通の機械構造に搭載された3つのレーザジャイロを含む。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明によるレーザジャイロの全体概略図である。
【図2】相反光学回転子の作動原理を示す図である。
【図3】非相反光学回転子の作動原理を示す図である。
【図4】偏光子、相反光学回転子及び非相反光学回転子の組み合わせの作動原理を示す図である。
【図5】第1の四分の一波長板、第2の非相反光学回転子及び第2の四分の一波長板からなる組立品の作動原理を示す図である。
【図6】本発明によるレーザジャイロの第1の変形実施形態の作動を示す図である。
【図7】本発明によるレーザジャイロの第2の変形実施形態の作動を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1 リング形状の光学共振器、共振器
2 半導体増幅器手段
3 従属化制御装置
4 測定計器
5 相反光学回転子、光学素子
6 第1の非相反光学回転子
7 第1の直線偏光子
8 第1の四分の一波長板
9 第2の非相反光学回転子
10 第2の四分の一波長板
12 第2の偏光子
101 第1の光学モード、ビーム
102 ビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定された回転軸に関する角速度又は相対角度位置を測定するレーザジャイロであって、少なくとも、
・リング形状の光学共振器(1)と、
・半導体増幅器手段(2)と、
・少なくとも、第1の直線偏光子(7)、第1の非相反光学回転子(6)及び光学素子からなる第1の光学組立品であって、前記光学素子は相反光学回転子(5)又は複屈折素子のいずれかであり、さらにその効果の少なくとも1つ又はその複屈折性が調節可能である第1の光学組立品を含む従属化制御装置(3)と、
・測定計器(4)と、
を備えたレーザジャイロにおいて、
前記共振器(1)が、又、
・連続的に、第1の四分の一波長板(8)と、第2の非相反光学回転子(9)と、前記第1の四分の一波長板の主軸に垂直な主軸を有する第2の四分の一波長板(10)とからなる第2の光学組立品、
を備えて、
第1の直線偏光伝播モードが前記共振器の中で第1の方向に伝播することができ、前記第1の伝播モードに平行に直線偏光された第2の伝播モードが前記共振器の中で反対方向に伝播することができ、その場合、前記第1の四分の一波長板及び前記第2の四分の一波長板の主軸は、前記伝播モードの直線偏光方向に対して45°傾いており、かつ、前記2つのモードの光学周波数は異なっているようにすることを特徴とするレーザジャイロ。
【請求項2】
前記共振器が、前記第1の直線偏光子の軸に平行な軸を有する第2の直線偏光子を備え、前記第1の非相反光学回転子(6)と前記光学素子(5)とからなる光学組立品がこの第1及び第2の偏光子の間に位置するように配置されることを特徴とする請求項1に記載のレーザジャイロ。
【請求項3】
設定された回転軸に関する角速度を測定するレーザジャイロであって、少なくとも、
・リング形状の光学共振器(1)と、
・半導体増幅器手段(2)と、
・測定計器(4)と、
を備えたレーザジャイロにおいて、
前記共振器(1)が、又、
・少なくとも、第1の直線偏光子(7)及び調節可能な非相反光学回転子(6)からなる第1の光学組立品を含む従属化制御装置(3)と、
・連続的に、第1の四分の一波長板(8)、第2の非相反光学回転子(9)及び第2の四分の一波長板(10)からなる第2の光学組立品であって、この第1の波長板の軸は前記直線偏光子の偏光方向に対して45°以外の角度だけ傾いており、この第2の波長板の軸は前記直線偏光子の偏光方向に対して約45°傾いている第2の光学組立品と、
を備えて、
第1の伝播モードが前記共振器の中で第1の方向に伝播することができ、第2の伝播モードが前記共振器の中で反対方向に伝播することができ、両モードの光学周波数は異なっているようにすることを特徴とするレーザジャイロ。
【請求項4】
3つの異なる軸に従って角速度又は相対角度位置を測定するシステムにおいて、そのシステムが、異なる方向に向けられ、1つの共通の機械構造に搭載された請求項1〜3のいずれか1項に記載の3つのレーザジャイロを含むことを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−221061(P2007−221061A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−42790(P2006−42790)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(505157485)テールズ (231)
【Fターム(参考)】