説明

不斉ヒドロホルミル化プロセス

本発明は、オレフィンが、ヒドロホルミル化、ヒドロシアン化、ヒドロカルボキシル化およびヒドロエステル化からなる群より選択される不斉反応を、触媒としての、エナンチオマー濃縮されたキラルなビス(ホスホラン)配位子の遷移金属錯体の存在下で受ける合成的に有用なプロセスを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロキラルまたはキラルなオレフィンが、光学活性なアルデヒドまたは光学活性なアルデヒドに由来する生成物を製造するために、光学活性な金属−ジホスフィン錯体触媒の存在下で一酸化炭素および水素と反応させられる不斉ヒドロホルミル化プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
不斉合成は、例えば、製薬業界では重要である。これは、しばしば、一方の光学活性異性体(エナンチオマー)のみが治療的に活性であるからである。そのような医薬生成物の一例が非ステロイド系抗炎症性薬物のナプロキセンである。その(S)−エナンチオマーは強力な抗関節炎剤であり、一方、その(R)−エナンチオマーは肝臓毒素である。従って、多くの場合、一方の特定のエナンチオマーをその鏡像体よりも選択的に製造することが望ましい。
【0003】
光学的に不活性なラセミ混合物(すなわち、それらの相反する光学活性が互いに打ち消される等量のそれぞれの鏡像エナンチオマー)が生じる傾向があるために、特別な技術が、所望するエナンチオマーの生成を確実にするために用いられなければならないことが知られている。所望するエナンチオマー(鏡像の立体異性体)をそのようなラセミ混合物から得るために、ラセミ混合物はその光学活性な成分に分離しなければならない。この分離は光学分割として知られており、実際の物理的選別、ラセミ混合物の直接的な結晶化、または、当分野で公知の他の方法によって行うことができる。そのような光学分割手法は、手間および費用がかかる場合が多く、通常の場合には、所望するエナンチオマーの収率が、ラセミ混合物の原料に基づいて50%未満である。これらの困難さにより、エナンチオマーの一方が著しくより大きい量で得られる不斉合成がますます注目されている。具体的には、一方だけのエナンチオマーのキラルな配位子の遷移金属錯体による触媒作用(不斉触媒作用)によって促進される不斉合成プロセスにおいて、医薬品および他のファインケミカルを製造するための工業的適用可能性が一層ますます見出されている。
【0004】
オレフィンの不斉ヒドロホルミル化は、反応が、キラル中心および非常に万能的なアルデヒド官能性を達成する1炭素の同族体化であるので、光学活性な生成物を合成するために特に価値がある。効率的な不斉ヒドロホルミル化では、望ましくは、位置選択性(分枝型/直鎖型の比率)およびエナンチオ選択性の両方を制御することができる。不斉ヒドロホルミル化において製造される光学活性アルデヒドはさらに、その後の反応工程によるか、または、他の試薬とのその場での反応によるかのいずれかで他の官能基にすることができる。従って、オレフィンの不斉ヒドロホルミル化および関連した同族体化プロセスは、複雑な分子(具体的には医薬活性化合物)の合成における極めて重要な変換をもたらし得る。
【0005】
様々な不斉ヒドロホルミル化触媒が当分野では記載されている。van Leeuwen, P.W.N.M.およびClaver, C.、"Rhodium Catalyzed Hydroformylation”(Kluwer Academic Publishers、Dordrecht、2000)を参照のこと。例えば、Stille, J.K.他、Organometallics、1991、10、1183〜1189は、キラルな配位子である1−(tert−ブトキシカルボニル)−(2S,4S)−2−[(ジフェニルホスフィノ)メチル]−4−(ジベンゾホスホリル)ピロリジン、1−(tert−ブトキシカルボニル)−(2S,4S)−2−[(ジベンゾホスホリル)メチル]−4−(ジフェニルホスフィノ)ピロリジンおよび1−(tert−ブトキシカルボニル)−(2S,4S)−4−(ジベンゾホスホリル)−2−[(ジベンゾホスホリル)メチル]ピロリジンを含有する白金(II)の3つの錯体の合成に関連する。スチレンの不斉ヒドロホルミル化が、これら3つの配位子の白金錯体から構成される触媒系を塩化第一スズの存在下で使用して調べられた。様々な分枝型/直鎖型の比率(0.5〜3.2)およびエナンチオマー過剰率の値(12%〜77%)が得られた。反応がトリエチルオルトホルマートの存在下で行われたとき、4つの触媒のすべてが、事実上完全なエナンチオ選択性(96%を超えるee)と、類似した分枝型/直鎖型の比率とをもたらした。しかしながら、白金のヒドロホルミル化触媒は、それらの触媒活性が低いこと、および、大きいCO/H2(すなわち、synガス)圧力を要求することのために、有用性が限られる。
【0006】
Takaya, H.他(J. Am. Chem. Soc.、1993、115、7033)およびNozaki, K.他(J. Am. Chem. Soc.、1997、119、4413)は、ロジウム触媒によるヒドロホルミル化において使用される混合型ホスフィン−ホスファイト配位子(BINAPHOS)の使用を報告した。96%もの高いエナンチオ選択性がスチレンのヒドロホルミル化について観測されたが、その位置選択性(分枝型/直鎖型)は比較的低かった。Lambers-Verstappen, M.M.H.およびde Vries, J.G.(Adv. Synth. Catal.、2003、345、478〜482)は、アリルシアニドのRh触媒によるヒドロホルミル化のためのBINAPHOSの応用を報告する。このプロセスは中程度の選択性を有しただけであり、66%のeeを有し、かつ、分枝型/直鎖型の比率が72:28であるキラルなアルデヒド生成物をもたらした。Wills, M.および共同研究者ら(Angew. Chem. Int. Ed.、2000、39、4106)は、酢酸ビニルのRh触媒による不斉ヒドロホルミル化のためのキラルなジアザホスホリジン配位子(ESPHOS)の使用を報告した。92%のeeに至るまでのエナンチオ選択性が酢酸ビニルについて得られた。しかしながら、この配位子はスチレンのヒドロホルミル化では効果的でなく、ラセミ混合物を与えた。
【0007】
米国特許第5,491,266号(Union Carbide)は、Rh触媒による不斉ヒドロホルミル化において使用される非常に効果的なキラルなビスホスファイト配位子を開示する。2つのリン原子を架橋する光学活性ジオールから調製された配位子は様々なオレフィン基質について特に有用であった。好ましい配位子(例えば、Chiraphiteとして公知の原型配位子)が、光学活性な(2R,4R)−ペンタンジオールおよび置換ビフェノールから調製された。最大の位置選択性およびエナンチオ選択性(85%を超えるee)がビニルアレーン基質に関して観測された。他の基質はそれよりも低い選択性でヒドロホルミル化された。より新しいタイプのキラルなビスホスファイトの一群が、アキラルな架橋によって連結された2つの光学活性なホスファイト成分を有する配位子によって特徴づけられる(Cobley, C.J.他、J. Org. Chem.、2004、69、4031;Cobley, C.J.他、Org. Lett.、2004、69、4031)。特定された最も良好な配位子(Kelliphite)はエナンチオ選択性および位置選択性をアリルシアニドの不斉ヒドロホルミル化(78%のee、b/l=18、35℃において)および酢酸ビニルの不斉ヒドロホルミル化(88%のee、b/l=125、35℃において)について有することが示された。
【0008】
キラルなビス−3,4−ジアゾホスホラン系化合物は、Rh触媒による不斉ヒドロホルミル化において有用性を有する配位子のさらに別のクラスを提供する(Clark, T.P.他、J. Am. Chem. Soc.、2005、127、5040)。これらの触媒では、高い触媒活性を達成しながら、位置選択性およびエナンチオ選択性の効果的な制御が基質の3つの異なるクラスについて明らかにされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記で記載されるような不斉ヒドロホルミル化技術においてなされた様々な進歩にもかかわらず、既存の配位子は性能の範囲および予測性において制限され得る。具体的には、当分野で記載される最も良好な多目的配位子の分子量が大きいことは(場合により、エナンチオ純粋な配位子の合成を容易にするためにさらなる官能基を必要とすることと一緒になって)、経済的理由で工業的応用を制限し得る。また、他の不斉反応のために設計されたキラルな配位子と共通して、任意の単一配位子の限定された基質適用性は、不斉ヒドロホルミル化を製薬業界およびファインケミカル業界において採用することについての技術的課題をもたらす。従って、触媒による不斉ヒドロホルミル化のためのより広範囲の様々なキラルな配位子、特に、活性および選択性の改善されたプロフィルを示し、これにより、様々な基質にわたって経済的である好都合なプロセスをもたらす多目的配位子が求められている。そのような基質には、限定されないが、スチレンおよび他のビニルアレーン、酢酸ビニルおよびビニルシアニドが含まれる。それぞれのリン原子がリン含有環(phosphacycle)の一部を形成し、リン含有環における残りの原子が炭素である比較的低分子量のビスホスフィン配位子の、触媒による不斉ヒドロホルミル化についての有用性に関して当分野ではほとんど報告されていない。ロジウム触媒による不斉水素化において多数の応用が見出されているこのクラスの代表的な配位子には、DuPhos、BPEおよびFerroTANEの配位子群が含まれる(Burk, M.J.、Acc. Chem. Res.、2000、33、363;Pilkington, C.J.およびZanotti-Gerosa, A.、Org. Lett.、2003、5、1273;Berens, U.他、Angew. Chem. Int. Ed.、2000、39、1981)。数多くの類似体が文献に報告され、これらは、さらなる置換基をリン含有環に有するか、または、P原子を架橋する別の骨格に基づくかのいずれかである(例えば、Borner, A.他、Adv. Synth. Catal.、2004、346、1263;Zhang, X.他、Org. Lett.、2002、4、4471;Borner, A.他、J. Org. Chem.、1998、63、8031;Oisaki, K.他、Tetrahedron Lett.、2005、46、4325を参照のこと)。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、オレフィンが、ヒドロホルミル化、ヒドロシアン化、ヒドロカルボキシル化およびヒドロエステル化からなる群より選択される不斉反応を、触媒としての、下記の式(1)による部分構造を含むエナンチオマー濃縮されたキラルなビス(ホスホラン)配位子の遷移金属錯体の存在下で受ける合成的に有用なプロセスを含む:
【化8】

【0011】
式(1)において、(a)Rはそれぞれの存在において独立して、置換アリールまたは非置換アリール、置換ヘテロアリールまたは非置換ヘテロアリール、および、ホスホラン環に結合した炭素原子において分枝したアルキルからなる群より選択され;(b)nは1またはそれ以上の整数であり;(c)点線はそれぞれの存在において、結合原子が、単結合、二重結合、または、芳香族環系の一部を形成する結合によってつながれ得るように、任意のさらなる結合を表す。
【0012】
本発明の主たる適用はヒドロホルミル化反応においてである。下記において詳しく記載されるような合成的に有用なヒドロホルミル化反応を考慮して、オレフィンの関連した反応(ヒドロシアン化、ヒドロカルボキシル化およびヒドロエステル化を含む)における上記遷移金属錯体の有用性が当業者によって容易に理解される。
【0013】
本明細書中で使用される「部分構造」は、構造において描かれた原子が存在すること、しかし、示された構造が変化しない限り、さらなる原子または官能基もまた存在し得ることを意味する。従って、例えば、式2〜式12の化合物はすべてが部分構造1を有する。しかしながら、5員環の1つが6員環であるように変化した構造、または、PがCによって置換された構造は部分構造1を有しない。
本明細書中でのすべての比率は、別途示されない限り、モル比である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のプロセスによれば、(i)オレフィン、(ii)触媒として、部分構造(1)を有する化合物との遷移金属錯体、および(iii)所望する反応(例えば、ヒドロホルミル化、ヒドロシアン化、ヒドロカルボキシル化またはヒドロエステル化)を達成することにおいて有用であるような他の反応剤(1つまたは複数)が提供され、また、それらが、所望する不斉反応を達成するために反応させられる。従って、例えば、不斉ヒドロホルミル化が所望されるならば、反応は好ましくは、synガス(H2およびCOの混合物)を使用して行われる。この好ましい反応は下記でより詳しく議論される。ヒドロシアン化については、オレフィンを、反応槽に直接に装入されるシアン化水素、または、シアン化水素前駆体(例えば、アセトンシアノヒドリンなど)から生じるシアン化水素のどちらとでも反応させることができる。ヒドロシアン化については、ニッケルが好ましい遷移金属である。ヒドロエステル化およびヒドロカルボキシル化への適用については、オレフィンが、触媒の存在下、一酸化炭素およびアルコール(ヒドロエステル化)または水(ヒドロカルボキシル化)と反応させられる。これらの後者の場合には、パラジウムまたはロジウムが好ましい遷移金属である。
【0015】
本発明の1つの態様において、式(1)による化合物の遷移金属錯体によって触媒されるプロセスでは、遷移金属は、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、コバルト、白金、ニッケル、鉄およびオスミウムからなる群より選択される。好ましくは、遷移金属はロジウムである。そのようなプロセスを行う際、錯体は、事前に形成され、使用前に単離されるか、または、反応を受ける基質と反応槽において後で一緒にされる溶液において事前に形成されるか、または、反応時にその場で生じるかのいずれかである。ロジウム錯体の場合、錯体が、反応を受ける基質と反応槽において後で一緒にされる溶液において事前に形成されることが好ましい場合がある。所望されるならば、認識されている様々な方法が、本発明によるプロセスの運用のために、配位子(1)および/または対応する遷移金属錯体の固定化を達成するために適用され得ることが当業者によって容易に理解される。
【0016】
本発明の別の態様において、好ましい不斉反応はヒドロホルミル化またはヒドロシアン化のいずれかである。より好ましくは、反応はオレフィンの不斉ヒドロホルミル化であり、錯体はロジウム錯体である。そのような不斉反応では、プロキラルなオレフィンのエナンチオ選択的なヒドロホルミル化、または、エナンチオマー濃縮されたキラルなオレフィンのジアステレオ選択的なヒドロホルミル化のいずれかが引き起こされ得る。いずれの場合でも、要求される生成物のエナンチオ選択的過剰率は少なくとも60%であり、好ましくは少なくとも80%またはそれ以上であることが好ましい。そのようなヒドロホルミル化反応において、オレフィンは、必ずしも常にではないが、典型的には、プロキラルなα−オレフィン(すなわち、一置換された末端オレフィン)である。プロキラルなα−オレフィン(RCH=CH2)のヒドロホルミル化は、2つの位置異性アルデヒドの形成、すなわち、分枝型のキラルなアルデヒド(RCH(CHO)CH3)および直鎖型のアキラルなアルデヒド(RCH2CH2CHO)の形成をもたらし得る。本発明のプロセスでは、分枝型アルデヒドが主生成物であり、その結果、分枝型:直鎖型のアルデヒド生成物比が少なくとも3:1であり、好ましくは、少なくとも8:1またはそれ以上であることが望ましい。α−オレフィンにおける基Rは、C130炭化水素(すなわち、アリール、アルキル(シクロアルキルを含む)、アラルキルまたはアルカリール)またはヘテロ原子型置換基のいずれかであり得る。Rが炭化水素であるとき、この炭化水素は官能基化されていなくてもよく、あるいは、1つまたは複数の非妨害性の基により官能基化されてもよい。限定されないが、そのような非妨害性の基は、アルコール、保護されたアルコール、保護されたアミン、ケトン、ニトリル、カルボン酸、エステル、ラクトン、アミド、ラクタム、カルバマート、カルボナートおよびハライドからなる群より選択され得る。Rがヘテロ原子型置換基であるとき、限定されないが、このような置換基は、O−アシル、N−アシルおよびS−アシルからなる群より選択され得る。本発明の具体的な実施形態において、α−オレフィンは、スチレン、酢酸ビニルおよびアリルシアニドからなる群より選択される。
【0017】
本発明のヒドロホルミル化プロセスはまた、R12CH=CH2およびR1CH=CHR2の一般式(式中、R1およびR2は、上記で定義されるようなRと同じ範囲を有し、場合により、環系の一部を形成するために連結され得る)によって表されるような二置換オレフィンにも適用することができる。
【0018】
本発明のさらに別の態様において、プロセスがヒドロホルミル化である場合、アルデヒド生成物は誘導体化に供することができる。そのような目的のために、合成用途に依存して、誘導体化反応は、酸化反応、還元反応、アミン化反応、オレフィン化反応、縮合反応、エステル化反応、アルキル化反応、アリール化反応またはアシル化反応を含む。
【0019】
本発明のさらに別の態様において、式(1)によるビス(ホスホラン)配位子の遷移金属錯体によって触媒されるプロセスでは、配位子(1)の好ましい特徴は下記のように特徴づけられ得る:
【0020】
(i)より具体的には、配位子は、式(2)による部分構造またはその反対のエナンチマーを含み、式(2)において、Rはそれぞれの存在において独立して、置換アリールまたは非置換アリール、置換ヘテロアリールまたは非置換ヘテロアリール、および、ホスホラン環に結合する炭素原子において分枝したアルキル(例えば、イソプロピル)からなる群より選択される。典型的には、すべてのR基が同じである。
【化9】

【0021】
(ii)式(2)において、n=1または2であり、Rはアリールまたはヘテロアリール(まとめて、Ar)であり、より好ましくは、配位子は、式(3)〜式(8)によって表される群から選択され、この場合、式(6)におけるXはOまたはN−アルキルのいずれかであり、式(8)におけるRはHまたはアルキルのいずれかである。最も好ましくは、これらの配位子群において、配位子は、Ph−BPE(9)、ならびに、新規なビスホスホラン系配位子の(10)、(11)および(12)からなる群より選択される。配位子(2)〜配位子(12)におけるホスフィン基を連結する骨格構造に関して、代わりの骨格構造への置換が、不斉合成用途における類似する性質を有する配位子を得るために可能であり得ることが当業者によって容易に理解される。配位子(2)〜配位子(12)においては同様に、ホスホラン環が場合により3位および/または4位においてさらに置換され得ることが同様に理解される。
【化10】

【0022】
本発明の好ましい実施形態において、反応がα−オレフィンの不斉ヒドロホルミル化であり、錯体が式(2)による配位子のロジウム錯体である場合には、好適な運転パラメーターは下記の通りである:(i)ロジウム:配位子の比率が0.5〜5の範囲であり、好ましくは1〜1.5の範囲であり、最も好ましくは1.1〜1.3の範囲であり、かつ、(ii)オレフィン:ロジウムの比率が100〜100,000の範囲であり、好ましくは3,000〜30,000の範囲である。
(iii)synガスの比率(H2:CO)が0.1〜10の範囲であり、好ましくは0.5〜2の範囲であり、より好ましくは約1である。
(iv)運転圧力が1psia〜1000psiaの範囲であり、好ましくは50psia〜150psiaの範囲である。
(v)運転温度が20℃〜140℃の範囲であり、好ましくは60℃〜100℃の範囲である。
【0023】
本発明は下記の実施例によってさらに例示される。
【実施例】
【0024】
実施例1において、表1は、好ましい配位子の(R,R)−Ph−BPE(9)を使用する、3つの基質のプールされた混合物(等モル量のスチレン、アリルシアニドおよび酢酸ビニル)のロジウム触媒されるヒドロホルミル化反応(Cobley, C.J.他、Org. Lett.、2004、69、4031による方法)についての、並列リアクターを使用した同時スクリーニング実験の結果を、図1に示されるいくつかの代わりの配位子との直接の比較で示す。これらの配位子には、様々なビス(2,5−trans−ジアルキルホスホラン)系配位子、様々なビス(2,4−trans−ジアルキルホスフェタン)系配位子、および、公知のホスファイト型配位子(Chiraphite、Kelliphiteおよび代表的なビス−ジアザホスホラン配位子)が含まれる。表1は、ジホスフィン系配位子については予想外であったが、(R,R)−Ph−BPEは、スチレンおよびアリルシアニドの両方のヒドロホルミル化についてこれまでに公知の最も大きいエナンチオ選択性を誘導することができることを示す。分枝型アルデヒド生成物に有利である良好なエナンチオ選択性および特に大きい位置選択性が、(R,R)−Ph−BPEおよび第3の基質(酢酸ビニル)の組合せによって観測される。実施例1における表2では、これらの発見がより大きい基質:ロジウムの比率において確認される。実施例1における表1ではまた、メチル基およびn−アルキル基により置換された類似体に対して、イソプロピル置換されたビスホスホラン系配位子の大きい選択性が強調される。実施例1における表3では、式(4)(式中、Ar=Ph)、式(9)、式(10)、式(11)および式(12)の配位子の有用性が明らかにされる。新規なビスホスホラン(図1における13)とのさらなる比較が行われる。その高次同族体であるPh−BPE(9)と比較して、(13)は、不斉ヒドロホルミル化については著しく劣った配位子である。同時係属中の特許出願において記載されるように、(13)は、触媒による不斉水素化については万能的な配位子である。配位子(10)もまた、その公知のメチル置換対応体(図1における14)と比較され、この場合、後者は、不斉ヒドロホルミル化について著しく劣っていることが判明する。
【0025】
材料
スチレンおよび酢酸ビニルをAldrichから購入し、アリルシアニドをFlukaから購入した。スチレンを、活性化アルミナに通すことによって精製した。それら以外の試薬および溶媒は、窒素パージによる脱気を除いて、受領時のまま使用した。
【0026】
実施例1:不斉ヒドロホルミル化プロセス
様々なヒドロホルミル化溶液を、配位およびRh(CO)2(acac)の各ストック溶液をトルエン溶媒に加え、その後、オレフィン溶液を加えることによって調製した。それぞれのリアクターセルにおける液体の総量は4.5mLであった。配位子溶液(二座配位子については0.03M)およびRh(CO)2(acac)(0.05M)を、適量の化合物を室温でトルエンに溶解することによってドライボックスにおいて調製した。アリルシアニド溶液を、15.3206gのアリルシアニド、3.2494gのドデカン(GC内部標準物として)および6.3124gのトルエン(1:0.1:0.3のモル比)を混合することによって調製した。スチレン溶液を、14.221gのスチレンおよび6.978gのドデカン(1:0.3のモル比)を混合することによって調製した。酢酸ビニル溶液を、13.426gの酢酸ビニルおよび7.969gのドデカン(1:0.3のモル比)を混合することによって調製した。スチレン:アリルシアニド:酢酸ビニル:ドデカン溶液を、11.712gのスチレン、7.544gのアリルシアニド、9.681gの酢酸ビニルおよび5.747gのドデカン(1:1:1:0.3のモル比)を混合することによって調製した。
【0027】
ヒドロホルミル化反応を、不活性雰囲気のグローブボックスに入れられたArgonaut Endeavor(登録商標)リアクターシステムにおいて行った。このリアクターシステムは、温度および圧力が個々に制御される8個の並列の、機械的に撹拌される加圧リアクターからなる。触媒溶液を装入したとき、リアクターを150psiのsynガス(H2:CO、1:1)により加圧し、その後、800rpmで撹拌しながら、所望する温度に加熱した。実験を、システムを排気し、窒素によりパージすることによって3時間後に停止した。
【0028】
基質対触媒の比率が5,000:1である実験(表1)については、34μLの0.05M Rh(CO)2(acac)ストック溶液を68μLの0.03M配位子ストック溶液と混合し、その後、1mLのオレフィン混合物溶液および3.5mLのトルエンを加えた。溶液をsynガスにより150psiで加圧し、80℃で3時間加熱した。synガスの圧力を反応期間中を通して150psi(要求時のガス)で維持した。
基質対触媒の比率が30,000:1である実験(表2)については、25μLの0.05M Rh(CO)2(acac)ストック溶液を50μLの0.03M配位子ストック溶液と混合し、その後、4.430mLのオレフィン混合物溶液を加えた。溶液をsynガスにより150psiで加圧し、80℃で3時間加熱した。synガスの圧力を反応期間中を通して150psi(要求時のガス)で維持した。
【0029】
基質対触媒の比率が3,000:1である実験(表3)については、56μLの0.05M Rh(CO)2(acac)ストック溶液を187μLの0.03M配位子ストック溶液と混合し、その後、1mLのオレフィン混合物溶液を加えた。溶液をsynガスにより150psiで加圧し、80℃で3時間加熱した。synガスの圧力を反応期間中を通して150psi(要求時のガス)で維持した。
【0030】
3時間後、リアクターを冷却し、排気した。リアクターを開けたとき、それぞれのリアクターからのサンプルを取り出し、1.6mLのトルエンにより希釈し、この溶液をガスクロマトグラフィーによって分析した。スチレンおよび酢酸ビニルの生成物の分析については、Supelco社のBeta Dex225カラムを使用した。100で5分間、その後、4℃/分で160℃までの温度プログラム;保持時間:酢酸ビニルについては2.40分、酢酸1−メチル−2−オキソ−エチルエステル(分枝型の位置異性体)のエナンチオマーについては6.76分(R)および8.56分(S)、酢酸3−オキソ−プロピルエステル(直鎖型の位置異性体)については11.50分、2−フェニル−プロピオンアルヒド(分枝型の位置異性体)のエナンチオマーについては12.11分(R)および12.34分(S)、および、3−フェニルプロピオンアルヒド(直鎖型の位置異性体)については16.08分。
【0031】
アリルシアニドの生成物分析については、Astec Chiraldex A−TAカラムを使用した。90℃で7分間、その後、5℃/分で180℃までの温度プログラム;保持時間:アリルシアニドについては5.55分、3−メチル−4−オキソ−ブチロニトリル(分枝型の位置異性体)のエナンチオマーについては14.79分(S)および15.28分(R)、および、5−オキソ−ペンタンニトリル(直鎖型の位置異性体)については19.46分。
【0032】
下記の配位子を様々なヒドロホルミル化反応において使用した。それらの結果を表1〜表3にまとめる。
【化11】

ジアザホスホラン
(R,R)−i−Pr−Ph−ホスホラン
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
【表3】

【0036】
実施例2:ビスホスホラン配位子(10)の合成
【化12】

(S,S)−1−ヒドロキシ−1−オキソ−2,5−trans−ジフェニルホスホラン(600mg、2.20mmol)をトルエン(6ml)に懸濁した。混合物を、排気および窒素による充填(5回)によって脱気し、その後、油浴において110℃(外部温度)で加熱した。フェニルシラン(0.54ml、4.41mmol)を一度に加え、混合物を2時間加熱した(この期間中、激しい発泡が観測され、透明な溶液が形成する)。溶液を室温に冷却し、溶媒を減圧下でエバポレーションした。粗ホスフィンを高真空下(2.9mbarr、60℃)でさらに乾燥した。残渣を室温に冷却し、窒素下でTHF(3ml)に溶解した。トリエチルアミン(0.31ml、2.20mmol)を加え、続いて、2,3−ジクロロマレイン酸無水物(167mg、1.00mmol)をTHF(2ml)に溶解した溶液を加えた。混合物を油浴において60℃(外部温度)で加熱し、18時間撹拌した(暗紫色の溶液が形成する)。溶液を室温に冷却し、溶媒を減圧下でエバポレーションした。残渣をシリカでのクロマトグラフィー処理に供し、DCM/ヘプタン(2:3)により溶出して、放置したときに固化した深赤色のオイルを得た(180mg、0.31mmol、31%)。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ ppm 7.51−7.34(10H、m)、6.90(4H、d、J 8Hz)、6.80(2H、t、J 7Hz)、6.56(4H、t、J 8Hz)、4.60−4.53(2H、m)、4.05−3.93(2H、m)、2.73−2.61(2H、m)、2.58−2.45(2H、m)、2.44−2.35(2H、m)および1.97−1.85(2H、m)。
13C NMR(100MHz、CDCl3)δ ppm 161.7、156.2(m)、141.1(t、J 11Hz)、136.6、127.1、127.0、126.9、126.8、125.0、124.9、124.7、48.2(d、J 7Hz)、41.1(d、J 5Hz)、38.0および31.6。
31P NMR(162MHz、CDCl3)δ ppm 3.5。
【0037】
実施例3:ビスホスホラン配位子(11)の合成
【化13】

(S,S)−2,5−trans−ジフェニルホスホラン−ボラン付加物(381mg、1.50mmol)を窒素下で乾燥THF(3ml)に溶解した。溶液を−20℃に冷却した。n−BuLiの溶液(ヘキサン(hexanes)における2.5M、0.6ml、1.50mmol)を滴下して加え、混合物を30分間撹拌した(黄色の溶液が形成される)。2,3−ジクロロキノキサリン(136mg、0.68mmol)を一度に加え、残渣を乾燥THF(1ml)により洗浄した(2,3−ジクロロキノキサリンはTHFにわずかに可溶性であるにすぎない)。混合物を室温に加温し(赤/橙色の溶液が観測される)。反応混合物を一晩撹拌し、その後、1MのHCl水溶液(5ml)により反応停止させ(発泡が観測された)、酢酸エチル(10ml)で抽出した。有機溶液を水(5ml)およびブライン(5ml)により洗浄し、乾燥し(MgSO4)、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのクロマトグラフィー処理に供し、DCM/ヘプタン(2:3)により溶出して、黄色の固体を得た(200mg、0.33mmol、48%)。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ ppm 8.11−8.06(2H、m)、7.77−7.73(2H、m)、7.36−7.21(10H、m)、6.37(2H、t、J 8Hz)、6.29(4H、d、J 8Hz)、6.07(4H、t、J 8Hz)、4.53−4.46(2H、m)、3.83−3.73(2H、m)、2.58−2.45(2H、m)、2.09−1.99(4H、m)および1.87−1.75(2H、m)。
13C NMR(100MHz、CDCl3)δ ppm 163.2(br d)、144.2(t、J 10Hz)、141.2、139.8、129.4、129.2、129.1(t、J 5Hz)、128.1、127.4、126.9、125.7、125.4、49.6(t、J 10Hz)、43.3、37.9および33.7。
31P NMR(162MHz、CDCl3)δ ppm 9.1。
【0038】
実施例4:ビスホスホラン配位子(12)の合成
【化14】

(R,R)−2,5−trans−ジフェニルホスホラン−ボラン付加物(518mg、2.04mmol)を窒素下で乾燥THF(3ml)に溶解した。溶液を−20℃に冷却した。n−BuLiの溶液(ヘキサン(hexanes)における2.5M、0.82ml、2.04mmol)を滴下して加え、混合物を30分間撹拌した(黄色の溶液が形成される)。2,3−ジクロロピラジン(137mg、0.92mmol)をTHF(2ml)に溶解した溶液を加え、溶液を室温に加温し(赤/褐色の溶液が、2,3−ジクロロピラジンが添加された直後に観測される)。5時間後、TMEDA(0.45ml、3.0mmol、1.5当量)を加え、混合物を一晩撹拌した。反応液を1MのHCl水溶液(5ml)により反応停止させ、酢酸エチル(10ml)で抽出した。有機溶液を半飽和ブライン(10ml)により洗浄し、乾燥し(MgSO4)、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのクロマトグラフィー処理に供し、酢酸エチル/ヘプタン(1:8)により溶出して、生成物を黄色の固体として得た(105mg、0.19mmol、21%)。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ ppm 8.36(2H、s)、7.35−7.21(10H、m)、6.48(2H、t、J 7Hz)、6.40(4H、d、J 8Hz)、6.24(4H、t、J 8Hz)、4.27−4.20(2H、m)、3.80−3.69(2H、m)、2.54−2.43(2H、m)、2.07−1.99(4H、m)および1.80−1.66(2H、m)。
13C NMR(100MHz、CDCl3)δ ppm 163.9(br d)、144.6(t、J 10Hz)、142.4、139.9、129.4(t、J 5Hz)、128.5、127.5(m)、126.1、125.9、50.0(t、J 10Hz)、43.8、38.9および33.5。
31P NMR(162MHz、CDCl3)δ ppm 7.2。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒として、下記の式(1)による部分構造:
【化1】

(式中、(a)Rはそれぞれの存在において独立して、置換アリールまたは非置換アリール、置換ヘテロアリールまたは非置換ヘテロアリール、および、ホスホラン環に結合した炭素原子において分枝したアルキルからなる群より選択され;(b)nは1またはそれ以上の整数であり;(c)点線はそれぞれの存在において、結合原子が、単結合、二重結合、または、芳香族環系の一部を形成する結合によってつながれ得るように、任意のさらなる結合を表す)
を含むエナンチオマー濃縮されたキラルなビス(ホスホラン)配位子の遷移金属錯体の存在下で行われる、ヒドロホルミル化、ヒドロシアン化、ヒドロカルボキシル化およびヒドロエステル化からなる群より選択される不斉反応にオレフィンを供するためのプロセス。
【請求項2】
前記遷移金属が、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、コバルト、白金、ニッケル、鉄およびオスミウムからなる群より選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記遷移金属がロジウムである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記不斉反応がヒドロホルミル化またはヒドロシアン化のいずれかである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記反応が、synガスとの反応によるオレフィンの不斉ヒドロホルミル化であり、かつ、前記錯体がロジウム錯体である、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
プロキラルなオレフィンのエナンチオ選択的ヒドロホルミル化を含む、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
エナンチオマー濃縮されたキラルなオレフィンのジアステレオ選択的ヒドロホルミル化を含む、請求項5に記載のプロセス。
【請求項8】
前記オレフィンがα−オレフィンである、請求項6に記載のプロセス。
【請求項9】
前記反応において生成する分枝型アルデヒドが少なくとも60%のエナンチオマー過剰率(ee)を有する、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記分枝型アルデヒドが少なくとも80%のeeを有する、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
分枝型:直鎖型のアルデヒド生成物比が少なくとも3:1である、請求項8に記載のプロセス。
【請求項12】
分枝型:直鎖型のアルデヒド生成物比が少なくとも8:1である、請求項9に記載のプロセス。
【請求項13】
前記α−オレフィンが一般式R'CH=CH2(式中、α−オレフィンにおけるR'は、非官能基化C130炭化水素または官能基化C130炭化水素(すなわち、アリール、アルキル(シクロアルキルを含む)、アラルキルまたはアルカリール)、あるいは、ヘテロ原子型置換基のいずれかであり得る)を有する、請求項8に記載のプロセス。
【請求項14】
前記α−オレフィンが、スチレン、酢酸ビニルおよびアリルシアニドからなる群より選択される、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記アルデヒド生成物を誘導体化することをさらに含む、請求項5に記載のプロセス。
【請求項16】
前記誘導体化反応が、酸化反応、還元反応、アミン化反応、オレフィン化反応、縮合反応、エステル化反応、アルキル化反応、アリール化反応またはアシル化反応を含む、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記錯体が、使用前に事前に形成され、もしくは、使用前に単離されるか、または、反応を受ける基質と反応槽において後で一緒にされる溶液において事前に形成されるか、または、反応時にその場で生じるかのいずれかである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項18】
前記錯体が、反応を受ける基質と反応槽において後で一緒にされる溶液において事前に形成される、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
それぞれのホスホラン環における3位および/または4位が非置換であるか、または、置換されるかのいずれかである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項20】
前記ビス(ホスホラン)配位子が、下記の式(2)による部分構造:
【化2】

またはその反対のエナンチマーを含み、かつ、Rがそれぞれの存在において独立して、置換アリールまたは非置換アリール、置換ヘテロアリールまたは非置換ヘテロアリール、および、ホスホラン環に結合した炭素原子において分枝したアルキルからなる群より選択される、請求項18に記載のプロセス。
【請求項21】
n=1または2である、請求項20に記載のプロセス。
【請求項22】
n=1である、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
ホスフィン基をつなぐ二炭素骨格が置換されるか、または、非置換であるかのいずれかであり、また、孤立環または縮合環の一部を場合により形成することができる、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
Rがイソプロピルである、請求項20に記載のプロセス。
【請求項25】
Rがアリールまたはヘテロアリール(まとめて、Ar)である、請求項20に記載のプロセス。
【請求項26】
前記配位子が、下記の式(3)〜式(8):
【化3】

(ただし、(5)におけるXはOまたはN−アルキルのいずれかであり、(8)におけるRはHまたはアルキルのいずれかである)
によって表される群から選択される、請求項25に記載のプロセス。
【請求項27】
Arがフェニルまたは置換フェニルである、請求項25に記載のプロセス。
【請求項28】
Arがフェニルである、請求項26に記載のプロセス。
【請求項29】
前記配位子が、下記の式(9):
【化4】

によって表されるようなPh−BPEである、請求項28に記載のプロセス。
【請求項30】
前記配位子が、下記の式(10)によるビスホホラン(bisphopholane):
【化5】

である、請求項28に記載のプロセス。
【請求項31】
前記配位子が、下記の式(11)によるビスホホラン(bisphopholane):
【化6】

である、請求項28に記載のプロセス。
【請求項32】
前記配位子が、下記の式(12)によるビスホホラン(bisphopholane):
【化7】

である、請求項28に記載のプロセス。
【請求項33】
前記反応が、synガスとの反応によるα−オレフィンの不斉ヒドロホルミル化であり、かつ、前記錯体がロジウム錯体である、請求項20に記載のプロセス。
【請求項34】
ロジウム:配位子の比率が0.5〜5の範囲である、請求項36に記載のプロセス。
【請求項35】
オレフィン:ロジウムの比率が100〜100,000の範囲である、請求項36に記載のプロセス。
【請求項36】
synガスの比率(H2:CO)が0.1〜10の範囲である、請求項36に記載のプロセス。
【請求項37】
運転圧力が1psia〜1000psiaの範囲である、請求項36に記載のプロセス。
【請求項38】
運転温度が20℃〜140℃の範囲である、請求項36に記載のプロセス。

【公表番号】特表2008−538585(P2008−538585A)
【公表日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507990(P2008−507990)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/015532
【国際公開番号】WO2006/116344
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】