説明

不織布積層体、不織布積層体の製造方法及び不織布積層体を用いた袋

【課題】製造が容易で、意匠性が良好であり、エンボス加工が施され、摩耗堅牢度が優れた不織布積層体及びこの不織布積層体の製造方法、さらには、この不織布積層体を用いた袋を提供すること。
【解決手段】この不織布積層体1は、熱可塑性樹脂製の不織布11よりなる第一層と、熱可塑性樹脂製の意匠性フィルム12よりなる第二層と、熱可塑性樹脂製の不織布13よりなる第三層とを備えている。これらの各層は熱エンボスラミネートされている。第二層の意匠性フィルム12は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂製の共押し出しフィルムに印刷もしくはアルミ蒸着を施し、意匠加工を施したものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不織布積層体、不織布積層体の製造方法及び不織布積層体を用いた袋に関する。
【0002】
【背景技術】従来から、袋には織物、紙、フィルム等が用いられてきたが、熱可塑性樹脂からなる不織布を用いた袋は、価格、強度、製袋性に優れているため、近年、普及している。このような不織布を用いた袋は、その意匠性の向上が望まれており、従来は、不織布に、印刷加工、アルミ蒸着加工等を直接施して意匠性を付与していた。しかし、エンボス加工された不織布は、繊維がランダムに配列し、かつ表面に凹凸が形成されているため、繊細な印刷や、アルミ蒸着等の加工が行いにくいという問題があった。また、不織布上に印刷加工、アルミ蒸着加工等を直接施した場合には、摩耗堅牢度が劣るという問題があった。なかでもポリオレフィン系樹脂からなる不織布に直接、印刷加工等をした場合には、特に摩耗堅牢度が劣っていた。そこで、印刷、アルミ蒸着等により意匠加工された意匠性フィルムを不織布にドライラミネートや押し出しラミネートする方法が提案されたが、この方法で得られる積層体は、その表面にエンボス加工が施されておらず、硬く仕上がってしまうという問題があった。このような問題を解決するために、印刷、アルミ蒸着等により意匠加工された意匠性フィルムにエンボス加工を施し、これを不織布上に積層する方法が提案されている(特開平5−138846号公報等参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような方法では、意匠性フィルムにエンボス加工を施した後に、不織布上に積層しなければならず、製造工程が複雑化するという問題がある。また、この方法では、意匠性フィルムと不織布とを積層させる際に、意匠性フィルムと不織布とを鏡面板により挟み接着させている。そのため、意匠性フィルムのエンボス模様が潰れてしまわないように意匠性フィルム上に保護フィルムを取り付け、意匠性フィルムと不織布を接着した後、この保護フィルムを取り外す等の作業が必要となり、積層体の製造に手間がかかるという問題がある。
【0004】本発明の目的は、製造が容易で、意匠性が良好であり、エンボス加工が施され、摩耗堅牢度が優れた不織布積層体及びこの不織布積層体の製造方法、さらには、この不織布積層体を用いた袋を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】そのため、本発明は以下の構成を採用して前記目的を達成しようとするものである。具体的には、本発明の不織布積層体は、少なくとも熱可塑性樹脂製の不織布よりなる第一層と、意匠加工が施された熱可塑性樹脂製の意匠性フィルムよりなる第二層とを有し、これらの各層は熱エンボスラミネートされていることを特徴とする。
【0006】第一層の不織布は、1〜30デニールが好ましく、特に2〜20デニールが好ましい。1デニール未満の場合には、表面にけばが発生しやすい。また、30デニールを超えると、緻密性に劣るものとなる。また、不織布の目付は5〜200g/m2が好ましく、特に7〜100g/m2が好ましい。5g/m2未満の場合には、強度が劣り、200g/m2を超えると、重く、厚く、硬くなり、ハンドリング性が低下し、さらに原料コストも高くなる。
【0007】第二層の意匠性フィルムは、一般的に軟包材として用いされているものであればよく、特に不織布との熱ラミネートに適したポリオレフィン系フィルムが好適である。さらに、不織布との熱ラミネート性を考慮すると、共押し出しフィルムが特に好適である。意匠性フィルムの厚みは5〜400μmが好ましく、10〜200μmがより好ましい。さらに、好ましくは15〜100μmである。5μm未満の場合には、強度が不足してハンドリング性に劣るものとなる。また、400μmより厚い場合には、厚すぎてハンドリング性に劣り、また、堅いため袋等として使用するには不適当であり、原料コストもかかることとなる。
【0008】この構成の本発明では、不織布上に直接、印刷、アルミ蒸着を行うのではなく、熱可塑性樹脂製のフィルムを意匠加工しているため、繊細な模様等を施すことが可能となり、意匠性に優れたものとすることができる。また、意匠加工が施された意匠性フィルムを使用しているため、第一層の不織布上に直接、印刷加工等する場合に比べ、摩耗堅牢度に優れたものとすることができる。さらに、本発明では、第一層及第二層を一度に熱エンボスラミネートすることができるので、従来のように、意匠性フィルムのみをエンボス加工した後、これを不織布上に積層する場合に比べ、製造に手間がかからず、容易にエンボス加工された不織布積層体を得ることができる。
【0009】この際、不織布積層体は、熱可塑性樹脂製のフィルムまたは不織布よりなる第三層を有することが好ましい。第三層の熱可塑性樹脂製のフィルムまたは不織布は、一般的に軟包材として用いられているものであればよい。クリアー感を出すため、無地のフィルムであってもよく、さらなる意匠性向上のための印刷等が施されていてもよい。また、不織布積層体に布の印象を与えるために、第三層を不織布としてもよい。第三層を不織布とする場合には、意匠性フィルムが見えるようにするために、50g/m2以下が好適である。本発明では、意匠性フィルム上に第三層を設けたため、意匠性フィルムが保護され、不織布積層体の摩耗堅牢度をより向上させることができる。
【0010】この際、前記意匠性フィルムは、熱可塑性樹脂製のフィルム上に印刷もしくはアルミ蒸着を行ったものであることが好ましい。フィルム上への印刷、アルミ蒸着は容易に行うことができるため、不織布積層体の製造に手間を要しない。
【0011】また、前記第一層の不織布はスパンボンド不織布であることが好ましい。不織布をスパンボンド不織布とすることで、薄く、密度が高く、耐摩耗性が高い不織布とすることができる。また、他の不織布の製造方法、例えばメルトブロー法と比較して、スパンボンド法により製造された不織布は、連続長繊維からなり、ケバが発生しにくいという利点がある。
【0012】この際、前記各層に用いられる前記熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂は、熱ラミネート性に優れており、各層をポリオレフィン系樹脂で形成することで、容易に熱ラミネートすることができ、ヒートシール性を利用した製袋に好適である。
【0013】本発明の不織布積層体の製造方法は、少なくとも熱可塑性樹脂製の不織布よりなる第一層と、意匠加工が施された熱可塑性樹脂製の意匠性フィルムよりなる第二層とを有する不織布積層体の製造方法であって、少なくとも前記二層を同時に熱エンボスラミネートすることを特徴とする。熱エンボスラミネートは、少なくとも一対の加熱ロールを有しており、一方の加熱ロールは、彫刻、エッチング等でエンボス加工されている一般的な熱エンボス装置を使用して行うことができる。エンボスパターンは様々なものが採用でき、例えば、凹凸の凹と凸がドット状に不連続に形成されたもの、格子状のもの等がある。
【0014】このような構成の本発明では、二層を同時に熱エンボスラミネートしているため、各層毎にエンボス加工を施した後、ラミネートする場合にくらべ、製造工程の簡便化を図ることができる。
【0015】さらに、前記不織布積層体は、熱可塑性樹脂製のフィルムまたは不織布よりなる第三層を備え、前記三層を同時に熱エンボスラミネートすることが好ましい。不織布積層体を第三層を有するものとしても、三層を同時に熱エンボスラミネートしているので、不織布積層体の製造に手間を要しない。
【0016】この際、前記熱エンボスラミネートは、前記第一層の不織布の製造時に第二層または、第二層及び第三層を積層して、エンボス加工を施すインライン加工により行われることが好ましい。ここで、インライン加工とは、第一層の不織布の樹脂が開繊されたウェブに第二層、または第二層及び第三層を積層し、これをエンボスロールにより、熱エンボス加工を施しつつ、第一層の樹脂を熱接着する方法である。第一層の不織布の製造と、熱エンボスラミネートとを同時に行うことができるため、製造工程を減らすことができ、不織布積層体の製造コストを削減できる。
【0017】本発明の袋は、以上のような不織布積層体を成形して得られることを特徴とする。前述した不織布積層体における作用・効果と同様の作用・効果を奏することができる。つまり、意匠性に優れ、摩耗堅牢度が高く、製造が容易な袋とすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1には、本実施形態の不織布積層体1が示されている。この不織布積層体1は、熱可塑性樹脂製の不織布11よりなる第一層と、熱可塑性樹脂製の意匠性フィルム12よりなる第二層と、熱可塑性樹脂製の不織布13よりなる第三層とを備えている。これらの各層は熱エンボスラミネートされている。
【0019】第一層の不織布11は、ポリオレフィン系樹脂製であり、2〜20デニールである。また、その目付は、7〜100g/m2である。第二層の意匠性フィルム12は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂製の共押し出しフィルムに印刷もしくはアルミ蒸着を施し、意匠加工を施したものである。意匠性フィルム12の厚みは5〜400μmである。第三層の不織布13は、ポリオレフィン系樹脂製であり、その目付は50g/m2以下である。
【0020】このような不織布積層体1は、図2に示すような製造装置2を用いて製造される。この製造装置2は、ホッパー21と、押し出し機22と、スパンボンド用ダイ23と、紡糸牽引装置24と、コンベア25と、二台の繰り出し機26A,26Bと、熱エンボス装置27と、巻き取り装置28とを備える。
【0021】押し出し機22は、ホッパー21を介して供給された原料を可塑化して押し出すものである。本実施形態において押し出し機22は、単軸の押し出し機である。図3に示すように、スパンボンド用ダイ23は、押し出し機22から押し出された原料を連続状繊維の繊維束とするものである。このスパンボンド用ダイ23は、供給された原料を複数の糸状にする紡糸口金231を有している。紡糸口金231は、図示しないが、多数の孔を有し、これらの孔を紡糸ノズルとしてここから溶融原料を紡出し、連続状繊維の繊維束を形成する構成となっている。本実施形態において、スパンボンド用ダイ23はスパンボンド法を行うための公知のダイを用いることができる。
【0022】紡糸牽引装置24は、スパンボンド用ダイ23からの繊維束を牽引するものである。この紡糸牽引装置24は、スパンボンド用ダイ23からの繊維束を冷却する冷却塔240と、冷却塔240からの繊維束を延伸し、開繊する筒部241とを有する。筒部241の中央にはくびれが形成されており、このくびれの部分がフィラメント索引部242となっている。このフィラメント牽引部242は、紡糸した原料を高速で索引して細化、つまり、延伸する機能を持つ。さらに、フィラメント牽引部242の下部で、筒部241のくびれが広がった部分は開繊部243となっており、この開繊部243で冷却空気による乱流で糸条を均一に開繊させている。
【0023】図2に戻って、コンベア25について説明する。コンベア25は、ロール251,252と、吸引機253と、ベルト254とを備えている。コンベア25は、ベルト254上に繊維束を堆積させてウェブを形成するものである。ロール251,252は、金属、ゴム等で構成されおり、図示しないがロール251,252の少なくとも何れか一方には、モータ等の駆動手段が設けられている。吸引機253は、スパンボンド用ダイ23の紡糸口金231から排出される繊維束を吸引し、冷却塔240及び筒部241を介して、ベルト254まで導くものである。ロール251,252に巻装されたベルト254は、金属、ゴム、プラスチック等で構成されている。
【0024】二台の繰り出し機26A,26Bは、それぞれ、第二層の意匠性フィルム12及び第三層の不織布13とを繰り出すものである。熱エンボス装置27は、エンボスロール271と、フラットロール272とを備えている。エンボスロール271は金属製であり、ロール表面に所定のエンボスパターンが形成されている。また、エンボスロール271の内部には、図示しないがオイル温調機が組み込まれており、温度コントロール可能となっている。フラットロール272は、その表面が平滑となっており、エンボスロール271と同様に内部にオイル温調機(図示略)が組み込まれている。
【0025】不織布積層体1をこのような製造装置2を用いて次のような手順で製造する。まず、ホッパー21を介して、不織布11の原料であるポリオレフィン系樹脂を押し出し機22に投入する。この押し出し機22により可塑化されたポリオレフィン系樹脂を、スパンボンド用ダイ23を通して、繊維束とし、紡糸牽引装置24へ導入する。この紡糸牽引装置24で延伸、開繊した繊維束を、コンベア25上に捕集し、ウェブを形成する。さらに、このウェブに二台の繰り出し機26A,26Bから、第二層の意匠性フィルム12及び第三層の不織布13を繰り出し、積層する。次いで、これらを熱エンボス装置27のエンボスロール271と、フラットロール272との間に供給する。この熱エンボス装置27により、不織布11を形成すると共に、不織布11、意匠性フィルム12、不織布13を熱エンボスラミネートし、不織布積層体1を得る。このようにして得られた不織布積層体1は、図示しないが、縫製やヒートシールすることで、袋として使用することができる。
【0026】従って、本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。不織布積層体1は、不織布上に直接、印刷、アルミ蒸着を行うのではなく、熱可塑性樹脂製のフィルムを意匠加工しているため、繊細な模様等を施すことが可能となり、意匠性に優れたものとすることができる。また、意匠加工が施された意匠性フィルム12を使用しているため、第一層の不織布11上に直接、印刷加工等する場合に比べ、摩耗堅牢度に優れたものとすることができる。さらに、意匠性フィルム12上に第三層の不織布13を設けたため、意匠性フィルム12が保護され、不織布積層体1の摩耗堅牢度をより向上させることができる。
【0027】また、第一層の不織布11、第二層の意匠性フィルム12、第三層の不織布13を一度に熱エンボスラミネートしているため、従来のように、意匠性フィルムのみをエンボス加工した後、これを不織布上に積層する場合に比べ、製造に手間がかからず、容易にエンボス加工された不織布積層体1を得ることができる。
【0028】さらに、意匠性フィルム12は、ポリオレフィン系樹脂製の共押し出しフィルムであり、印刷、アルミ蒸着は容易に行うことができ、熱ラミネートし易く、不織布積層体1の製造に手間を要しない。また、意匠性フィルム12の厚さ寸法を5〜400μmとしたため、適当な強度を有し、ハンドリングにも手間を要しない。
【0029】不織布11をスパンボンド不織布としたため、薄く、密度が高く、耐摩耗性が高い不織布とすることができる。また、メルトブロー法等と比較して、スパンボンド法により製造された不織布は、連続長繊維からなり、ケバが発生しにくいという利点がある。また、不織布11は、2〜20デニールであり、表面にけばが発生しにくく、緻密性に優れたものとすることができる。さらに、不織布11の目付は、7〜100g/m2であるため、ハンドリングに必要な強度を有し、かつ、重量も適当であるため、ハンドリング性に優れ、不織布積層体1の製造に手間を要しない。
【0030】第三層を不織布13としたため、不織布積層体1に布の感触を与えることができる。また、第三層の不織布13の目付は50g/m2以下であるため、意匠性フィルム12が透けて見え、意匠性の優れた不織布積層体1とすることができる。
【0031】さらに、不織布11、意匠性フィルム12、不織布13は、熱ラミネート性に優れるポリオレフィン系樹脂製であるため、容易に熱ラミネートすることができる。また、インライン加工により、不織布積層体1を製造したため、第一層の不織布11の製造と、熱エンボスラミネートとを同時に行うことができるため、製造工程を減らすことができ、不織布積層体1の製造コストを削減できる。
【0032】さらに、不織布積層体1を縫製して得られた袋は、意匠性に優れ、耐摩耗性が高く、製造が容易なものとすることができる。
【0033】なお、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。例えば、前記実施形態では、インライン加工としたが、これに限らず、各層を形成したのち、別途、熱エンボスラミネートしてもよい。前記実施形態は、第一層の不織布11をスパンボンド不織布としたが、これに限らず、他の製法による不織布、例えば、熱風カード法により製造された不織布としてもよい。ただし、スパンボンド不織布は、薄く、密度が高く、耐摩耗性が高いという利点を有している。
【0034】また、意匠性フィルム12は、熱可塑性樹脂上に印刷、アルミ蒸着したものとしたが、他の方法により、意匠加工を施したものとしてもよい。さらに、不織布11、意匠性フィルム12、不織布13は、ポリオレフィン系樹脂製としたが、ポリオレフィン系樹脂に限られず、熱可塑性樹脂製であればよい。ただし、意匠性フィルム12は、一般的に軟包材として用いられているものが好ましい。
【0035】前記実施形態では、不織布積層体1の第三層を不織布13としたが、透明フィルムとしてもよい。透明フィルムとする場合には、一般的に軟包材として用いられているものが好ましい。不織布積層体1の意匠性をさらに向上させるために、第三層は印刷等の意匠加工が施されたフィルムであってもよい。印刷されたフィルムを用いる場合には、摩擦堅牢度を考慮すると、印刷面をラミ面とすることが好ましい。さらに、不織布積層体1を三層構造のものとしたが、これに限らず、四層以上の構造のものとしてもよく、第一層の不織布11と、第二層の意匠性フィルム12のみからなる二層構造としてもよい。
【0036】また、前記実施形態では、熱エンボス装置27は、一段式のものとしていたが、これに限らず、多段式のものとしてもよい。熱エンボス装置27が多段式である場合には、不織布11の固定化と、熱ラミネートとを個別にできるため、ラミネート強度が安定化し、加工速度を向上させることができる。
【0037】本発明の効果を確認するために以下の実験を行った。
(実施例1)実施例1で製造した不織布積層体は以下のようである。
[不織布積層体の構成]第一層(不織布):ポリプロピレン製スパンボンド不織布(原料:ポリプロピレン樹脂 出光石油化学社製「Idemitsu PP」グレード Y6005GM、MI(230℃)=30g/10分)
第二層(意匠性フィルム):全面印刷済み共押し出し未延伸ポリプロピレンフィルム(出光ユニテック社製「ユニラックス」グレード RS595C、30μm)
第三層(不織布):ポリプロピレン製スパンボンド不織布(出光ユニテック社製「ストラテック」グレード RN2020、20g/m2
【0038】[不織布積層体の製造]前記実施形態の製造装置2を用いて不織布積層体を製造した。ホッパー21に第一層の不織布の原料となるポリプロピレン樹脂を投入し、230℃で、40g/m2となるように押し出し機22により押し出し、コンベア25のベルト254上にウェブを堆積させた。繊維系は3デニールであった。次に、繰り出し機26A,26Bにより、全面印刷済み共押し出し未延伸ポリプロピレンフィルム、ポリプロピレン製スパンボンド不織布を繰り出してウェブに積層させた。これを第一層のウェブがフラットロール272に接し、第三層の不織布がエンボスロール271に接するように、熱エンボス装置27に投入し、不織布積層体を得た。なお、エンボスロール271は、エンボス面積13%であり、格子状形状のものである。また、エンボスロール271の温度は140℃、フラットロール272の温度は150℃であった。
【0039】[評価]不織布積層体の摩耗堅牢度をJIS L 0849に従い評価したところ、結果は5級であり、色落ちは認められなかった。
【0040】(実施例2)実施例2で製造した不織布積層体は以下のようである。
[不織布積層体の構成]第一層(不織布):ポリエチレン製スパンボンド不織布(原料:直鎖状低密度ポリエチレン樹脂 出光石油化学社製「Idemitsu LL」グレード 2074G、MI(190℃)=25g/10分)
第二層(意匠性フィルム):アルミ蒸着加工済み共押し出し直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(日立エーアイシー社製 「ヒタパックス」30μm)
第三層(フィルム):キャラクター柄が部分印刷された共押し出し直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(出光ユニテック社製「ユニラックス」グレード LS740C、40μm)
【0041】[不織布積層体の製造]実施例1と同様に製造装置2を用いて不織布積層体の製造を行った。ホッパー21に第一層の不織布の原料となる直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を投入し、200℃で、30g/m2となるように押し出し機22により押し出し、コンベア25のベルト254上にウェブを堆積させた。繊維系は4デニールであった。次に、繰り出し機26A,26Bにより、アルミ蒸着加工済み共押し出し直鎖状低密度ポリエチレンフィルム、キャラクター柄が部分印刷された共押し出し直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを繰り出してウェブ上に積層させた。この際、部分印刷された共押し出し直鎖状低密度ポリエチレンフィルムは部分印刷された面をラミ面とした。これを第一層のウェブがフラットロール272に接し、第三層のフィルムがエンボスロール271に接するように、熱エンボス装置27に投入し、不織布積層体を得た。なお、エンボスロール271は、実施例1と同様のものである。また、エンボスロール271及びフラットロール272の温度は120℃であった。
【0042】[評価]不織布積層体の摩耗堅牢度をJIS L 0849に従い評価したところ、結果は5級であり、色落ちは認められなかった。
【0043】(比較例1)ポリプロピレン製スパンボンド不織布(出光ユニテック社製「ストラテック」グレード RW2070、70g/m2)にグラビア印刷にて全面印刷を施した。
[評価]この不織布の摩耗堅牢度をJIS L 0849に従い評価したところ、結果は3級であり、色落ちが認められた。
【0044】(比較例2)実施例2のアルミ蒸着加工済み共押し出し直鎖状低密度ポリエチレンフィルムと、キャラクター柄が部分印刷された共押し出し直鎖状低密度ポリエチレンフィルムとをドライラミネータにて積層し、さらに、直鎖状低密度ポリエチレンスパンボンド不織布(出光ユニテック社製「ストラテックLL」LW2040 40g/m2)を押し出しラミネート機にてポリサンドラミネートした。
[評価]この不織布の摩耗堅牢度をJIS L 0849に従い評価したところ、結果は5級であり、色落ちは認められなかったものの、製造工程が複雑であった。また、不織布積層体の表面はエンボス加工されておらず、硬く仕上がり、好適な風合いには仕上がらなかった。
【0045】
【発明の効果】このような本発明によれば、製造が容易で、意匠性が良好であり、エンボス加工が施され、摩耗堅牢度が優れた不織布積層体及びこの不織布積層体の製造方法、さらには、この不織布積層体を用いた袋を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる不織布積層体を示す断面図である。
【図2】前記不織布積層体の製造装置を示す模式図である。
【図3】前記製造装置の要部を示す模式図である。
【符号の説明】
1 不織布積層体
2 製造装置
11 不織布
12 意匠性フィルム
13 不織布
21 ホッパー
22 押し出し機
23 スパンボンド用ダイ
24 紡糸牽引装置
25 コンベア
26A,26B 繰り出し機
27 熱エンボス装置
28 巻き取り装置
231 紡糸口金
240 冷却塔
241 筒部
242 フィラメント索引部
243 開繊部
251,252 ロール
253 吸引機
254 ベルト
271 エンボスロール
272 フラットロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも熱可塑性樹脂製の不織布よりなる第一層と、意匠加工が施された熱可塑性樹脂製の意匠性フィルムよりなる第二層とを有し、これらの各層は熱エンボスラミネートされていることを特徴とする不織布積層体。
【請求項2】 請求項1に記載の不織布積層体において、熱可塑性樹脂製のフィルムまたは不織布よりなる第三層を有することを特徴とする不織布積層体。
【請求項3】 請求項1または2に記載の不織布積層体において、前記意匠性フィルムは、熱可塑性樹脂製のフィルム上に印刷もしくはアルミ蒸着を行ったものであることを特徴とする不織布積層体。
【請求項4】 請求項1から3の何れかに記載の不織布積層体において、前記第一層の不織布はスパンボンド不織布であることを特徴とする不織布積層体。
【請求項5】 請求項1から4の何れかに記載の不織布積層体において、前記各層に用いられる熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする不織布積層体。
【請求項6】 少なくとも熱可塑性樹脂製の不織布よりなる第一層と、意匠加工が施された熱可塑性樹脂製の意匠性フィルムよりなる第二層とを有する不織布積層体の製造方法であって、少なくとも前記二層を同時に熱エンボスラミネートすることを特徴とする不織布積層体の製造方法。
【請求項7】 請求項6に記載の不織布積層体の製造方法であって、前記不織布積層体は、熱可塑性樹脂製のフィルムまたは不織布よりなる第三層を備え、前記三層を同時に熱エンボスラミネートすることを特徴とする不織布積層体の製造方法。
【請求項8】 請求項6または7に記載の不織布積層体の製造方法において、前記熱エンボスラミネートは、前記第一層の不織布の製造時に第二層または、第二層及び第三層を積層して、エンボス加工を施すインライン加工により行われることを特徴とする不織布積層体の製造方法。
【請求項9】 請求項1から5の何れかに記載の不織布積層体を用いて形成したことを特徴とする袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2003−320603(P2003−320603A)
【公開日】平成15年11月11日(2003.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−130804(P2002−130804)
【出願日】平成14年5月2日(2002.5.2)
【出願人】(500163366)出光ユニテック株式会社 (128)
【Fターム(参考)】