説明

不良分析箇所特定装置、不良分析箇所特定方法、不良分析箇所特定用プログラム、および不良分析箇所特定用プログラムを記録した記録媒体

【課題】熟練者でなくても、効率的に品質の改善ができるよう、優先度の高い不良分析箇所を特定できる不良分析箇所特定装置を提供する。
【解決手段】 不良分析箇所特定装置においては、ユーザから、まず不良分析を行う調査対象ロットの指定を受付け(S11)、調査対象ロットが指定されると、その調査対象ロットの検査結果データを外部の検査情報蓄積装置から受信して、不良の内容を特定する不良モードごとのパレート図を作成し(S12)、最も度数の多い不良モードを選択する(S13)。その不良モード内で同じ異常現象が起きている回数をカウントし(S14)、同じ工程で3回以上同じ異常現象が起きているか否かを判断し(S15)、起きていれば(S15でYES)、同じ現象が起きているうちの任意の不良箇所を選択して抽出する(S16)。S15で、同じ工程で3回以上同じ異常現象が起きていなければ(S15でNO)、この処理をパレート図の上位70%までの不良モードまで確認する(S17、S18)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、不良分析箇所特定装置、不良分析箇所特定方法、不良分析箇所特定用プログラム、および不良分析箇所特定用プログラムを記録した記録媒体に関し、特に、効率的に品質を改善するために、優先度の高い不良分析箇所を特定できる、不良分析箇所特定装置、不良分析箇所特定方法、不良分析箇所特定用プログラム、および不良分析箇所特定用プログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の表面実装装置における不良箇所特定方法が、たとえば、特許第3511632号公報(特許文献1)、特許第3514486号公報(特許文献2)等に開示されている。特許文献1によれば、基板1枚1枚の不良1箇所ごとに分析し、最終不良に対する各工程の影響度を算出し、不良となる原因を自動的に予測している。特許文献2によれば、不良箇所の分析を行うとき、前回の分析結果を反映させた条件を活用して効率化を図り、不良要因特定時間の短縮や作業効率の向上を図っている。
【特許文献1】特許第3511632号公報(段落番号0009等)
【特許文献2】特許第3514486号公報(段落番号0009等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の電子部品実装装置における不良箇所特定方法は上記のように行われていた。できるだけ少ない時間と労力で、電子部品実装装置における不良率を低減するには、その不良率の高い不良箇所を早期に特定してその対策を施す必要がある。しかしながら、特許文献1においては、基板1枚1枚の不良1箇所ごとに分析し、不良原因の推定を行っているため、時間がかかるとともに、推定されたそれぞれの不良原因に順番に対処すると、所望の不良率をカバーするにはさらに時間がかかる、という問題があった。特許文献2においては、効率的に処理を行ってはいるが、電子部品実装装置において効率的に品質の改善を図るという観点はなかった。
【0004】
また、効率的に品質の改善を図るためには、共通の不良要因から発生していると推測できる不良箇所の集合を特定し、その中から分析対象を決定する必要があるが、これは、熟練者でないと難しい、という問題があった。
【0005】
この発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、熟練者でなくても、効率的に品質の改善ができるよう、優先度の高い不良分析箇所を特定できる、不良分析箇所特定装置、不良分析箇所特定方法、不良分析箇所特定用プログラム、および不良分析箇所特定用プログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る、複数の工程を経て基板の上に部品を実装する電子部品実装装置において生産された基板の検査結果から不良分析箇所を特定する不良分析箇所特定装置は、調査対象となる複数の基板を所定の単位で受付ける受付け手段と、受付け手段で受付けた単位ごとに、複数の工程の最終工程における基板の不良モードとその発生頻度とから所定の度数以上の不良モードを特定する不良モード特定手段と、不良モード特定手段によって特定された不良モードにおいて、複数の工程の中の最終工程以外の工程で、不良モードの原因となる異常現象が同じである組合せを抽出する抽出手段と、抽出手段によって抽出された組合せを出力する出力手段とを含む。
【0007】
入力された単位ごとに、最終工程における基板の不良モードとその発生頻度とから所定の度数以上の不良モードを特定し、特定された不良モードにおいて、複数の工程の中の最終工程以外の工程で、不良モードの原因となる異常現象が同じである組合せを抽出して出力するため、最終工程において、高い頻度で発生した不良モードについて、その不良モードの共通要因を出力できる。
【0008】
その結果、所定の単位に含まれる複数の基板について、熟練者でなくても、効率的に品質の改善ができるよう、優先度の高い不良分析箇所を特定できる、不良分析箇所特定装置を提供できる。
【0009】
好ましくは、不良モード特定手段は、受付け手段で受付けた単位ごとに、複数の工程の最終工程における基板の不良モードとその発生頻度とを表すパレート図を作成するパレート図作成手段と、パレート図作成手段によって作成されたパレート図から所定の度数以上の不良モードを特定する。
【0010】
さらに好ましくは、不良モード特定手段が特定する所定以上の不良モードは、最も高い度数の不良モードである。
【0011】
さらに好ましくは、不良モード特定手段が特定する所定以上の不良モードは、パレート図において発生頻度が上位の一定比率以上に含まれる不良モードである。
【0012】
さらに好ましくは、抽出手段は、基板上の位置を考慮して、同じ異常現象が起きている組合せを抽出する。
【0013】
この発明の一実施の形態においては、抽出手段は、不良モードごとに、異常現象およびその発生位置を特定するデータリストを作成するデータリスト作成手段を含み、データリスト作成手段に基づいて、組合せを抽出する。一方、格納手段に格納された画像を表示する表示手段と、表示手段に表示された画像に関する不良情報の入力を受付ける不良情報受付け手段とを含み、データリスト作成手段は、不良情報受付け手段で受付けた不良情報に基づいて、データリストの作成を行なってもよい。
【0014】
この発明の他の局面においては、複数の工程を経て基板の上に部品を実装する電子部品実装装置において生産された基板の検査結果から不良分析箇所を特定する不良分析箇所特定方法は、調査対象となる複数の基板を所定の単位で受付けるステップと、受付けた単位ごとに、複数の工程の最終工程における基板の不良モードとその発生頻度とから所定の度数以上の不良モードを特定するステップと、特定された不良モードにおいて、複数の工程の中の最終工程以外の工程で、不良モードの原因となる異常現象が同じである組合せを抽出するステップと、抽出された組合せを出力する出力ステップとを含む。
【0015】
好ましくは、所定の度数以上の不良モードを特定するステップは、受付けた単位ごとに、複数の工程の最終工程における基板の不良モードとその発生頻度とを表わすパレート図を作成するステップと、作成されたパレート図から所定の度数以上の不良モードを特定するステップとを含む。
【0016】
この発明のさらに他の局面においては、コンピュータに、複数の工程を経て基板の上に部品を実装する電子部品実装装置において生産された基板の検査結果から不良分析箇所を特定する不良分析箇所特定装置として作動させるプログラムは、コンピュータに、調査対象となる複数の基板を所定の単位で受付けるステップと、受付けた単位ごとに、複数の工程の最終工程における基板の不良モードとその発生頻度とから所定の度数以上の不良モードを特定するステップと、特定された不良モードにおいて、複数の工程の中の最終工程以外の工程で、不良モードの原因となる異常現象が同じである組合せを抽出するステップと、抽出された組合せを出力する出力ステップとを実行させる。
【0017】
好ましくは、所定の度数以上の不良モードを特定するステップは、受付けた単位ごとに、複数の工程の最終工程における基板の不良モードとその発生頻度とを表すパレート図を作成するステップと、作成されたパレート図から所定の度数以上の不良モードを特定するステップとを含む。
【0018】
好ましくは、上記プログラムはコンピュータ読取り可能記録媒体に格納されてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。図1はこの発明に係る不良分析箇所特定装置が適用される、電子部品実装装置まわりの構成を示すブロック図である。図1を参照して、不良分析箇所特定装置20は、電子部品実装装置10および、電子部品実装装置10における検査情報を蓄積する検査情報蓄積装置30と、相互に交信可能にLAN17によって接続されている。図1を参照して、電子部品実装装置10は、電子部品が実装される基板の流れる上流側から下流側に向かって配列された印刷工程と、マウント工程と、リフロー工程とを含む。各工程間は、コンベヤ、ロボット、その他の搬送装置によって連結されている。各工程には、その工程の処理を行なうための装置が設けられている。
【0020】
印刷工程には、基板にランドを印刷するための印刷機11と、印刷後の検査を行なう印刷後検査機12とが設けられる。マウント工程には、基板に部品をマウントするためのマウンタ13と、マウント後の検査を行なうマウント後検査機14とが設けられる。リフロー工程には、部品の端子をランドにハンダ付けをするためのリフロー炉15とハンダ付け後の検査を行なうリフロー後検査機16とが設けられる。
【0021】
印刷機11、印刷後検査機12、マウンタ13、マウント後検査機14およびリフロー炉15およびリフロー後検査機16は、それぞれ、上記したLAN17を介して不良分析箇所特定装置20および検査情報蓄積装置30に接続されている。
【0022】
印刷後検査機12、マウント後検査機14、リフロー後検査機16からは、それぞれの工程における検査結果が検査画像を含めて、検査情報蓄積装置30に送られて格納され、必要に応じて、不良分析箇所特定装置20等から読出される。
【0023】
ここで、リフロー後検査結果としては、一般に、ブリッジ(部品の電極間を短絡するようにハンダが付着すること)、濡れ不良(ハンダとランド、又は、ハンダと部品の電極との接合に不具合があること)、フィレット異常(ハンダ量が多すぎたり少なすぎたりして、ハンダを断面から見たときの輪郭線がきれいな山型になっていないこと)、および部品無し(部品が存在しないこと)等をいう。
【0024】
次に、不良分析箇所特定装置20の構成について説明する。図2は、不良分析箇所特定装置20の構成を示すブロック図である。図2を参照して、不良分析箇所特定装置20は、基本的にはパーソナルコンピュータ(以下「パソコン」という)と同様であり、装置全体を制御するCPU21と、CPU21に対してインターフェイス22を介して接続された、ROM,RAM(図示無し)、表示装置23、ハードディスク24、キーボード25、マウス26、LAN通信装置27等を含む。このLAN通信装置27によって、不良分析箇所特定装置20は、上記した各印刷機11、印刷後検査機12、マウンタ13、マウント後検査機14およびリフロー炉15およびリフロー後検査機16ならびに検査情報蓄積装置30に接続されている。
【0025】
なお、検査情報蓄積装置30も基本的に不良分析箇所特定装置20と同様の構成を有するパソコンであり、そのハードディスクに上記の各工程の検査結果を画像とともに格納している。なお、検査結果および検査画像は、検査情報蓄積装置30にではなく、不良分析箇所特定装置20のハードディスク24のような格納手段に格納してもよい。この場合、検査情報蓄積装置30は不要となる。
【0026】
図3は、図2に示した不良分析箇所特定装置20のCPU21が行なう動作を示すフローチャートである。図3を参照して、CPU21は、ユーザから、まず不良分析を行う調査対象となる複数の基板を所定の単位で受付ける。この受付としては、キーボード25やマウス26が受付け手段として機能することによって受付ける。ここでは、所定の単位として、ロットの指定を受付ける(ステップS11、以下ステップを省略する)。なお、所定の単位としては、ロットに限らず、任意の単位で指定してもよい。ここで、不良分析とは、リフロー工程後の最終検査で検出された上記したリフロー後検査結果において発生した不良内容を分析することをいう。調査対象ロットが指定されると、その調査対象ロットの検査結果データを検査情報蓄積装置30から受信して、不良の内容を特定する不良モードごとのパレート図を作成し(S12)、最も度数の多い不良モードを選択する(S13)。そして、その不良モード内で同じ異常現象が起きている回数をカウントする(S14)。したがって、CPU21は、パレート図作成手段、不良モード特定手段として機能する。
【0027】
ここで、異常現象とは、不良モードの要因となるものをいう。最も度数の多い不良モードの選択や、その不良モード内で同じ工程で同じ異常現象が起きている回数のカウントは、検査結果データから不良を特定できるものについては、自動的にCPU21が行なってもよいし、ユーザが表示装置23に表示された検査結果画像を参照しながらカウントしてもよい。なお、ここでは、基本的に、CPU21がデータから判断して自動的に処理を行い、画像を見てユーザが判断する必要のあるものについて、その旨をユーザに表示して、確認を受けるように構成されている。
【0028】
その後、同じ工程で3回以上同じ異常現象が起きているか否かを判断し(S15)、起きていれば(S15でYES)、同じ現象が起きているうちの任意の不良箇所を選択して抽出する(S16)。S15で、同じ工程で3回以上同じ異常現象が起きていなければ(S15でNO)、この処理をパレート図の上位70%までの不良モードまで確認する(S17、S18)。したがって、CPU21は抽出手段として機能する。
【0029】
なお、上記実施の形態では、同じ工程で3回以上同じ異常現象が起きているか否かを判断する場合について説明したが、これに限らず、任意の回数であってもよい。また、上記実施の形態では、パレート図の上位70%までの不良モードまで確認する場合について説明したが、これに限らず、任意の割合であってもよい。さらに、上記実施の形態においては、パレート図を作成して度数の多い不良モードを特定したが、これ以外の方法で、度数の多い不良モードを特定してもよい。
【0030】
上記の具体的な処理内容について以下に説明する。図4は、指定された調査対象ロットにおける、生産された基板の不良モード(A)と、その不良モードごとの度数を表すパレート図(B)と、パレート図で最も度数の多い不良モードを選択した場合の部品番号ごとの不良モードの発生回数をリスト化したもの(C)と、ある特定の部品番号(基板上の部品位置)についての不良発生のイメージを示す図(D)である。
【0031】
調査対象ロットにおける基板の不良検査結果は、図4(A)に示すように、各基板ごとに、異なる不良(異常現象)が発生している。この検査結果データから、図4(B)に示すパレート図を作成する。ここでは、部品ずれ、濡れ異常、フィレット過多、欠品等の不良モードの中で、部品ずれが最も多く発生している。このパレート図から、最も度数の多い不良モードである部品ずれの中から、部品番号ごとの不良の発生回数をリスト化する。なお、このパレート図は表示装置23に表示される。
【0032】
次に、S14で説明した不良モード内で同じ工程で同じ異常現象が起きている回数のカウント方法について説明する。図5は、S14で示した処理内容を表すサブルーチンのフローチャートである。図5を参照して、ここでは、まず、部品位置ごとに不良発生回数をカウントし(S21)、最も不良発生回数の多い部品位置を選択する(S22)。次に選択された部品位置について、同じ工程で同じ異常現象が起きている回数をカウントする(S23)。同じ部品位置、同じ工程で3回以上同じ異常現象が起きているか否かを判断する(S24)。ここで、同じ工程で同じ異常現象が起きている回数のカウントは、上記したように、CPU21が行ってもよいし、ユーザが行ってもよい。
【0033】
同じ部品位置、同じ工程で3回以上同じ異常現象が起きているときは、そのままリターンする(S24でYES)。同じ部品位置、同じ工程で3回以上同じ異常現象が起きていないときは(S24でNO)、次に不良発生回数の多い部品位置を選択して(S25)、その部品位置について、同じ工程で同じ異常現象が起きている回数をカウントし(S26)、これまでに調査してきた全部品位置について、同じ工程で、同じ異常現象が起きていた回数をカウントする(S27)。そして、同じ工程で3回以上同じ異常現象が起きているか否かを判断し(S28)、同じ工程で3回以上同じ異常現象が起きているときは(S28でYES)、そのままリターンし、同じ工程で3回以上同じ異常現象が起きていないときは(S28でNO)、全部品位置が終了するまで、次に不良発生回数の多い部品位置についてS25〜S28の処理を行う(S29)。
【0034】
次に、S23に示した、同じ工程で同じ異常現象が起きている回数のカウントをユーザが行う場合の処理について説明する。図6は、S23で示した処理内容を表すサブルーチンのフローチャートであり、図7は、その場合の処理の例を説明するための図であり、部品番号224において、異常現象が発生している基板の検査結果画像を示している。なお、この画像は、表示装置23に表示される。図7を参照して、ここでは、同一基板の、同じ部品位置の、印刷工程、マウント工程(部品実装工程)およびリフロー工程の、各工程の検査画像が並列に表示される。各工程の検査機において、不良(たとえば、「部品ずれ」の場合)と判断されたものについては、予め、「NG部品ずれ」と表示されているものとする。なお、上記したように、部品番号は基板上の部品位置を表わしているため、部品番号が同じであれば、部品位置も同じである。
【0035】
図6および図7を参照して、まず、最初の基板の部品位置の検査画像をディスプレイに表示し(S31)、工程ごとに発生している異常現象(不良)を収集する(S32)。その部品位置の全基板の画像を表示するまで上記の処理を繰り返し(S33〜S34)、その部品位置について同じ工程で同じ異常現象が起きている回数をカウントする(S35)。
【0036】
具体的には、ユーザが、図7に示すような検査画像を参照して、部品番号ごとに不良を確認し、その発生回数を工程ごとにカウントし、キーボード25やマウス26等から入力する。カウントの例を、図7の左に示す。
【0037】
このとき、解析中の不良の、最も発生頻度の高い部品番号について、その不良が発生している基板のうち、初めに生産された基板の各工程の検査画像から順に表示する。各工程の検査結果や、計測値を同時に表示してもよい。
【0038】
また、同じ不良モード、同じ部品位置、同じ不良が起きているものが3個以上あることが判別されたら、その時点で、処理を終了してもよい。
【0039】
次に、S32で示した、工程ごとに発生している異常現象を収集する方法について説明する。図8は、この方法の処理内容を示すフローチャートである。ここでは、リフロー工程、マウント工程(部品実装工程という場合もある)、印刷工程のそれぞれについて、その不良を下流側から順に入力する処理を行っている。
【0040】
図8を参照して、まず、CPU21は、ユーザにリフロー工程後の検査画像を見て不良が起きているかどうかの入力を、不良分析箇所特定装置20に行うよう指示する(S41)。ユーザからの入力を受付ける(S42)。この工程における不良があれば(S43)、次に、部品実装工程の検査画像を見て異常現象が発生しているかどうかの入力を指示し(S44)、入力を受付ける(S45)。この工程で、異常がなければ、リフロー工程について発生している異常現象の入力を指示し、入力を受付ける(S48)。
【0041】
S46で部品実装工程においても異常現象があるとユーザが判断したときは(S46でYES)、ハンダ印刷工程の検査画像を見て異常現象が発生しているかどうかの入力を指示し(S49)、入力を受付ける(S50)。この工程で、異常があれば(51でYES)、部品実装工程において発生している異常現象の入力を指示し(S52)、入力を受付ける(S53)。
【0042】
S51で部品実装工程における異常現象がないとユーザが判断したときは(S51でNO)、部品実装工程について発生している異常現象が入力を指示し(S54)、入力を受付ける(S55)。
【0043】
次に、S32で示した、工程ごとに発生している異常現象を収集する他の方法について説明する。図9は、この方法の処理内容を示すフローチャートである。ここでは、先の例と異なり、リフロー工程、部品実装工程、印刷工程を連続してそれぞれについての入力を受付けている。
【0044】
図9を参照して、まず、CPU21は、リフロー工程後の検査画像を見て、ユーザに、発生している異常現象の入力を指示し(S61)、その入力を受付ける(S62)。次に、部品実装工程の検査画像を見て発生している異常現象の入力を指示し(S63)、入力を受け付ける(S64)。次に、ハンダ印刷工程の検査画像を見て発生している異常現象の入力を指示し(S65)、入力を受付ける(S66)。
【0045】
次に、異常現象を入力させる具体的な方法について説明する。図10は、表示装置23に表示され、ユーザに異常現象を入力させる方法の一例を示す図である。(A)は、各工程の検査画像であり、(B)は、各工程におけるユーザに異常現象を入力させる画面表示例を示す図である。図10を参照して、表示装置23を介してユーザに検査画像を示し、それを見て、ユーザに異常現象の内容を、キーボード25やマウス26(不良情報受付け手段)を用いて選択させる。
【0046】
すなわち、リフロー工程後の検査画像については、上記したように、濡れ異常、部品がずれている、ハンダが多い、フィレットが少ない、ブリッジしている、といった、各検査装置が異常現象と判断した内容をユーザに表示し、その中から、ユーザが、異常があると判断したものを選択させる。部品実装工程や、ハンダ印刷工程においても同様である。
【0047】
なお、異常現象としては、印刷後検査機12、マウント後検査機14、リフロー後検査機16のような検査機が異常と判断した内容だけではなく、検査機では判断できない異常現象も選択肢に加えてユーザに判断させるのが好ましい。また、検査機でも判断は可能であるが、チューニングに時間がかかったり、精度が悪いために、図10に示すような検査項目に入っていない場合もあるが、このような項目も、ユーザが確認するのが好ましい。そのような例としては、たとえば、印刷工程における、「ハンダのにじみ」や「ハンダのダレ」および、マウント工程における「ハンダが部品によって押しつぶされている」といった現象がある。
【0048】
次に、異常現象をカウントする方法について説明する。図11は、異常現象ごとにカウントする方法を示す図である。図10のようにして入力された内容から、CPU21は、図11に示すように、不良モードごとに、不良発生箇所としての部品番号、基板連番、異常現象が入力されたデータリストを作成する。ここで基板連番とは、基板を作成した順番を示す番号である。異常現象としては、印刷工程、部品実装工程およびリフロー工程の各々における、特有の不良内容を含む。このデータリストから、同じ不良モード、同じ部品番号、同じ異常現象であった不良箇所が3個以上であった組を抽出する。なお、このデータリストは、表示装置23に表示される。したがって、CPU21はデータリスト作成手段として機能する。
【0049】
もし、同じ不良モード、同じ部品番号、同じ異常現象であった不良箇所が3個以上であった組に該当するものがなければ、不良モード、部品番号、異常現象の各項目が一致する組を抽出する。
【0050】
もし、不良モード、部品番号、異常現象の各項目が一致する組に該当するものがなければ、同じ不良モード、同じ異常現象であった不良箇所が3個以上であった組を抽出する。
【0051】
もし、同じ不良モード、同じ異常現象であった不良箇所が3個以上であった組に該当するものがなければ、不良モード、異常現象の各項目が一致する組を抽出する。
【0052】
図11に示した例では、同じ不良モード、同じ部品番号、同じ異常現象であった不良箇所が3個以上であった組は存在しないが、図中斜線で示すように、基板連番が8で部品番号が271と、基板連番が16で部品番号が224と、基板連番が38で部品番号が308の、同じ不良モード、同じ異常現象であった不良箇所が3個であった組が存在するので、この組を分析箇所として抽出する。
【0053】
なお、図11に示したデータリストからの該当する組の抽出は、ユーザが行ってもよい。このようにして抽出された不良モードの組合わせは、表示装置23に表示されるとともに、任意の出力装置に出力される。したがって、表示装置および他の任意の出力装置は出力手段として機能する。
【0054】
なお、基本的に、不良モードは、部品実装装置における最終工程である、リフロー工程の異常現象の中からそれらを集約したものであるため、不良モードとリフロー工程における異常現象とは異なる。しかしながら、検査項目が同じになる場合には、いずれか一方を省略してもよい。
【0055】
以上のように、この発明においては、共通の不良原因から発生していると推測される不良箇所の集合を、自動的に抽出して特定できるため、改善スキルのあまりないユーザでも、効率的に不良の改善が可能になる。また、不良率を早期に低下できるので、不良発生回数を減らすことができる。
【0056】
また、上記実施の形態においては、不良分析箇所特定装置がその専用装置である場合について、その動作を説明したが、これに限らず、不良分析箇所特定装置を汎用のパソコンとし、上記の動作を全てプログラム化して、パソコンをそのプログラムで作動させて不良分析箇所特定装置として使用してもよい。この場合、このプログラムは、光ディスクやハードディスクのような記録媒体で提供してもよいし、ネットワークを介して、ネット上のサーバからダウンロードするようにしてもよい。
【0057】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】不良分析箇所特定装置まわりの全体図である。
【図2】不良分析箇所特定装置の構成を示すブロック図である。
【図3】不良分析箇所特定装置のCPUが行なう動作を示すフローチャートである。
【図4】指定された調査対象ロットにおける、基板の不良モードと、その不良モードごとの度数を表すパレート図等を示す図である。
【図5】S14で示した処理内容を表すサブルーチンのフローチャートである。
【図6】S23で示した処理内容を表すサブルーチンのフローチャートである。
【図7】図6における処理の例を説明するための図である。
【図8】工程ごとに発生している異常現象を収集する方法の処理内容を示すフローチャートである。
【図9】工程ごとに発生している異常現象を収集する他の方法の処理内容を示すフローチャートである。
【図10】ユーザに異常現象を入力させる方法の一例を示す図である。
【図11】異常現象ごとにカウントする方法としてのデータリストを示す図である。
【符号の説明】
【0059】
10 電子部品実装装置、11 印刷機、12 印刷後検査機、13 マウンタ、14 マウント後検査機、15 リフロー炉、16 リフロー後検査機、17 ネットワーク、20 不良分析箇所特定装置、21 CPU、22 インターフェイス、23 表示装置、24 ハードディスク、25 キーボード、26 マウス、27 LAN通信装置、30 検査情報蓄積装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の工程を経て基板の上に部品を実装する電子部品実装装置において生産された基板の検査結果から不良分析箇所を特定する不良分析箇所特定装置であって、
調査対象となる複数の基板を所定の単位で受付ける受付け手段と、
前記受付け手段で受付けた単位ごとに、前記複数の工程の最終工程における基板の不良モードとその発生頻度とから所定の度数以上の不良モードを特定する不良モード特定手段と、
前記不良モード特定手段によって特定された不良モードにおいて、前記複数の工程の中の前記最終工程以外の工程で、前記不良モードの原因となる異常現象が同じである組合せを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された組合せを出力する出力手段とを含む、不良分析箇所特定装置。
【請求項2】
前記不良モード特定手段は、前記受付け手段で受付けた単位ごとに、前記複数の工程の最終工程における基板の不良モードとその発生頻度を表わすパレート図を作成するパレート図作成手段と、前記パレート図作成手段によって作成されたパレート図から所定の度数以上の不良モードを特定する、請求項1に記載の不良分析箇所特定装置。
【請求項3】
前記不良モード特定手段が特定する所定以上の不良モードは、最も高い度数の不良モードである、請求項1に記載の不良分析箇所特定装置。
【請求項4】
前記不良モード特定手段が特定する所定以上の不良モードは、前記パレート図において、その発生度数が上位の一定比率以上に含まれる不良モードである、請求項1に記載の不良分析箇所特定装置。
【請求項5】
前記抽出手段は、前記基板上の位置を考慮して、同じ異常現象が起きている組合せを抽出する、請求項1に記載の不良分析箇所特定装置。
【請求項6】
前記抽出手段は、前記不良モードごとに、前記異常現象およびその発生位置を特定するデータリストを作成するデータリスト作成手段を含み、前記データリスト作成手段に基づいて、前記組合せを抽出する、請求項1に記載の不良分析箇所特定装置。
【請求項7】
前記抽出手段は、前記データリストの作成を自動的に行なう、請求項6に記載の不良分析箇所特定装置。
【請求項8】
前記複数の工程における、前記基板ごとの画像を格納する格納手段をさらに含み、
前記抽出手段は、前記格納手段に格納された前記画像を表示する表示手段と、前記表示手段に表示された前記画像に関する不良情報の入力を受付ける不良情報受付け手段とを含み、
前記データリスト作成手段は、前記不良情報受付け手段で受付けた不良情報に基づいて、データリストの作成を行なう、請求項6に記載の不良分析箇所特定装置。
【請求項9】
複数の工程を経て基板の上に部品を実装する電子部品実装装置において生産された基板の検査結果から不良分析箇所を特定する不良分析箇所特定方法であって、
調査対象となる複数の基板を所定の単位で受付けるステップと、
受付けられた単位ごとに、複数の工程の最終工程における基板の不良モードとその発生頻度から所定の度数以上の不良モードを特定するステップと、
特定された不良モードにおいて、複数の工程の中の同じ工程で、不良モードの原因となる異常現象が同じである組合せを抽出するステップと、
抽出された組合せを出力するステップとを含む、不良分析箇所特定方法。
【請求項10】
前記所定の度数以上の不良モードを特定するステップは、前記受付けた単位ごとに、複数の工程の最終工程における基板の不良モードとその発生頻度を表わすパレート図を作成するステップと、作成されたパレート図から所定の度数以上の不良モードを特定するステップとを含む、請求項9に記載の不良分析箇所特定方法
【請求項11】
コンピュータに、複数の工程を経て基板の上に部品を実装する電子部品実装装置において生産された基板の検査結果から不良分析箇所を特定する不良分析箇所特定装置として作動させる不良分析箇所特定用プログラムであって、
コンピュータに、
調査対象となる複数の基板を所定の単位で受付けるステップと、
受付けた単位ごとに、前記複数の工程の最終工程における基板の不良モードとその発生頻度から所定の度数以上の不良モードを特定するステップと、
特定された不良モードにおいて、複数の工程の中の同じ工程で、不良モードの原因となる異常現象が同じである組合せを抽出するステップと、
抽出された組合せを出力するステップとを実行させる、不良分析箇所特定用プログラム。
【請求項12】
前記所定の度数以上の不良モードを特定するステップは、受付けた単位ごとに、複数の工程の最終工程における基板の不良モードとその発生頻度を表すパレート図を作成するステップと、作成されたパレート図から所定の度数以上の不良モードを特定するステップとを含む、請求項11に記載の不良分析箇所特定用プログラム。
【請求項13】
請求項11に記載の不良分析箇所特定用プログラムを格納した、コンピュータ読取り可能記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−141960(P2007−141960A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−330543(P2005−330543)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】