説明

不良検出方法

【課題】 ウェーハ毎に発生した不良の分布に基づき、半導体集積回路の製造工程に用いた異常製造装置を検出可能な不良検出方法を提供する。
【解決手段】 ウェーハに複数の領域区分を設定する。テストにおける対象ロット内の対象ウェーハのウェーハ内の不良の位置情報を抽出する。対象ウェーハ毎に不良のウェーハ面内での分布の偏りを領域区分に基づいて定量化する第1ウェーハ特徴量を計算する。この第1ウェーハ特徴量から対象ロット毎の第1ロット特徴量を算出する。処理履歴情報から対象ロットの製造工程で使用した製造装置を対象ロット毎に抽出する。第1ロット特徴量毎に、製造工程毎の製造装置間の有意差検定を行う。有意差のある製造装置を第1異常装置として検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハ毎に発生した不良の分布に基づき、半導体集積回路の製造工程に用いた異常製造装置を検出する不良検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI等の半導体集積回路の製造の生産性を向上させるために、半導体集積回路の歩留りを向上させることが試みられている。歩留りを向上させるために、歩留りを下げている不良を分析し、その不良の原因となっている製造工程、製造装置、あるいはLSIの設計条件を早期に解明し、改善している。しかし、LSIは数百の製造工程を経て、数百の製造装置を用いて製造される。テストにおいてLSIの不良が確認されても、その不良を発生させた製造工程と製造装置を特定することは困難であった。
【0003】
LSIのテストには、大きく分けてウェーハ製造工程の終了後で組立工程の前に行うウェーハテストと、組立工程の終了後に行うファイナルテストがある。ウェーハテストは、組立工程への不良チップの混入の低減を目的としている。ファイナルテストは、ユーザへの出荷に先立ち、メーカ側が保証する性能をLSIが満たしていることを確認することを目的としている。特に、ウェーハテストは、丸い形状のウェーハに対して行われる。テスト結果の不良をウェーハ面内位置でマッピング表示すると、ウェーハ面内の不良の発生位置が分かる。その代表的なものが、メモリ製品で取得されるフェイルビットマップ(FBM :Fail Bit Map)である。
【0004】
ウェーハ面内にマッピングされた不良は、その不良のウェーハ面内の不良分布によって、大きく2種類に分けられる。1つは、ウェーハ面上の位置に依らず均等に分布するランダム不良であり、もう1つは、どこかに偏って分布するクラスタリング不良である。このクラスタリング不良は製造工程、製造装置に起因した要因があると考えられ、歩留り低下の原因である。
【0005】
そこで歩留り低下原因の解析手順として、第一段階としてクラスタリング不良を抽出し、第二段階としてクラスタリング不良を分類することが考えられる。
【0006】
第一段階のクラスタリング不良の抽出について説明する。現実の不良分布はランダム不良とクラスタリング不良の重ね合わせである。重ね合った不良分布は、確率分布として、ランダム不良のポアソン分布とクラスタリング不良の負の二項分布の線形結合で表せる。各確率分布の重み係数を求めることで、ウェーハ面上にクラスタリング不良がどの程度存在しているかが判明する。このように、不良分布からクラスタリング不良が抽出できる。
【0007】
次に、第二段階のクラスタリング不良の分類について説明する。製造工程や製造装置に起因する不良は、ウェーハ面上の不良分布として「指紋」を残すことが指摘されている。つまり、ある製造工程や製造装置に不具合が発生した場合、その製造工程や製造装置の不具合に固有のクラスタリング不良が発生する。個々の製造工程や個々の製造装置の不具合毎にクラスタリング不良を分類することが、原理的に可能である。
【0008】
例えば、LSIの製造においては、クラスタリング不良の分類により同じクラスタリング不良が発生したウェーハ、あるいはロット群についての製造履歴を遡り、それらがある製造工程で共通して製造された製造装置がないか調査する。このことでLSIの製造における不良原因の製造工程と製造装置を特定することができる。この調査をするために、クラスタリング不良を数値化し、その数値に関して、製造装置間で有意差検定を行う方法が報告されている(例えば、特許文献1参照。)。このクラスタリング不良を数値化したものを特徴量と言う。
【0009】
しかし、製造装置間の有意差検定で不良原因の製造装置が特定されるためには、特徴量にはただ1種類だけの不良原因が含まれているようにする必要がある。すなわち、ある1種類の不良原因の製造装置が引き起こすクラスタリング不良が存在する場合だけ、値が大きくなる特徴量である必要がある。仮に、複数の不良原因で値が変動する特徴量では、不良ロットが分散し、不良原因の製造装置を特定することは難しい。特徴量は不良原因をただ一つだけ含む形に定義する必要がある。定義方法が適切でない特徴量では、原因装置を特定することは出来ない。しかし、LSIの製造における不良原因は多岐に渡る。それらに対応するクラスタリング不良の種類も無数に存在する。そこで、そのクラスタリング不良に対応する特徴量は、その特徴量一つ一つの算出に専用の計算方法を用意する必要があった。しかし、不良原因の製造装置を特定できる適切な特徴量を定義することは、非常に困難であった。
【特許文献1】特開2002-359266号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ウェーハ毎に発生した不良の分布に基づき、半導体集積回路の製造工程に用いた異常製造装置を検出可能な不良検出方法を提供することにある。
【0011】
本発明の目的は、ウェーハ毎に発生した不良の分布に基づき、半導体集積回路の製造工程に用いた異常製造装置を検出可能な不良検出装置を提供することにある。
【0012】
本発明の目的は、ウェーハ毎に発生した不良の分布に基づき、半導体集積回路の製造工程に用いた異常製造装置を検出することをコンピュータに実行させるための不良検出プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記問題点を解決するための本発明の特徴は、ロット内のウェーハのウェーハIDを、ロットのロットIDを抽出条件として抽出でき、ロットの製造工程と、製造工程で使用した製造装置を、ロットのロットIDを抽出条件として抽出できる処理履歴情報と、テスト毎にウェーハ内での不良が発生した位置情報を、ウェーハのウェーハIDとテスト名を抽出条件として抽出できるテスト情報を利用可能な不良検出方法において、ウェーハに所定の領域区分を設定することと、対象ロットのロットIDを入力することと、対象ロット内の対象ウェーハのウェーハIDを、ロットIDと処理履歴情報から抽出することと、種類の異なる複数のテストにおける対象ウェーハ内での不良の位置情報を、ウェーハIDとテスト情報から抽出することと、不良の位置情報を参照し、複数のテストにおける不良のウェーハ面内での分布の偏りを、領域区分毎に、複数の定量化方法により定量化することで、1の対象ウェーハに対して特徴量が複数種に定義された第1ウェーハ特徴量を計算することと、第1ウェーハ特徴量を、対象ロット毎に、定量化方法とは別の複数の計算法を用いて更に計算することで、1の対象ロットに対して特徴量が複数種に定義された第1ロット特徴量を算出することと、処理履歴情報から、対象ロットの製造工程と、製造工程で使用した製造装置を、対象ロットのロットIDを抽出条件として抽出することと、第1ロット特徴量毎に、製造工程毎の製造装置間の有意差検定を行うことと、有意差のある製造装置を、第1異常装置として検出することを有することを特徴とする不良検出方法にある。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、ウェーハ毎に発生した不良の分布に基づき、半導体集積回路の製造工程に用いた異常製造装置を検出可能な不良検出方法を提供できる。
【0015】
本発明によれば、ウェーハ毎に発生した不良の分布に基づき、半導体集積回路の製造工程に用いた異常製造装置を検出可能な不良検出装置を提供できる。
【0016】
本発明によれば、ウェーハ毎に発生した不良の分布に基づき、半導体集積回路の製造工程に用いた異常製造装置を検出することをコンピュータに実行させるための不良検出プログラムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0018】
(不良検出装置)
本発明の実施の形態に係る不良検出装置1は、図1に示すように、領域区分設定部2、不良発生領域設定部3、入力部4、ウェーハID抽出部5、位置情報抽出部6、ウェーハ特徴量計算部7、ロット特徴量計算部8、製造装置抽出部9、有意差検定部10、異常装置検出部11、異常検出ロット特徴量抽出部12、特徴量閾値設定部13、異常ロットID抽出部16、ウェーハ不良分布図作成部17、類似度算出部18、類似度によるウェーハID抽出部19、クラスタリング不良分布図形成部20、処理履歴情報記憶部21とテスト情報記憶部22を有しており、バスライン23を介して互いに接続されている。処理履歴情報記憶部21とテスト情報記憶部22は、不良検出装置1の外部にあってもよい。特徴量閾値設定部13は、混入率算出部14と特徴量閾値算出部15を有している。
【0019】
不良検出装置1は、コンピュータであってもよく、コンピュータにプログラムに書かれた手順を実行させることにより、不良検出装置1を実現させてもよい。
【0020】
(不良検出方法)
本発明の実施の形態に係る不良検出方法は、図2に示すように、まず、ステップS1で、領域区分設定部2において、ウェーハに複数の領域区分を設定する。領域区分は、ウェーハの円の中心の中心角によって分けた角度領域と、その中心からの距離によって分けた距離領域との重なりの領域であってもよい。
【0021】
ステップS2で、入力部4において、対象ロットのロットIDを入力する。
【0022】
ステップS3で、ウェーハID抽出部5において、対象ロット内の対象ウェーハのウェーハIDを、ロットIDと処理履歴情報から抽出する。処理履歴情報は、ロット内のウェーハのウェーハIDを、そのロットのロットIDを抽出条件として抽出できる。処理履歴情報は、ロットの製造工程と、製造工程で使用した製造装置を、ロットのロットIDを抽出条件として抽出できる。この処理履歴情報は、処理履歴情報記憶部21に記憶されている。
【0023】
ステップS4で、位置情報抽出部6において、テストにおける対象ウェーハ内での不良の位置情報をウェーハIDとテスト情報から抽出する。テスト情報は、テスト毎にウェーハ内での不良が発生した位置情報を、そのウェーハのウェーハIDとテスト名を抽出条件として抽出できる。テスト情報は、テスト情報記憶部22に記憶されている。テストは、DCテスト、ファンクションテストとマージンテストの少なくとも1つであることが好ましい。
【0024】
ステップS5で、ウェーハ特徴量計算部7において、対象ウェーハ毎に、不良のウェーハ面内での分布の偏りを、領域区分に基づいて、定量化する第1ウェーハ特徴量を計算する。第1ウェーハ特徴量は、領域区分内での不良の発生率である不良密度と、ウェーハに対する領域区分への不良の偏りをχ2乗値で表す偏り度であることが好ましい。
【0025】
ステップS6で、ロット特徴量計算部8において、対象ウェーハ毎に算出した第1ウェーハ特徴量から、対象ロット毎の第1ロット特徴量を算出する。第1ロット特徴量は、対象ロット内の対象ウェーハの不良密度と偏り度のそれぞれの平均、最大値、値が上位のものの例えば5つの平均、ウェーハIDの偶数/奇数番号への偏り度、ウェーハIDの前半後半の番号への偏り度の少なくとも1つであることが好ましい。
【0026】
ステップS7で、製造装置抽出部9において、処理履歴情報から、対象ロットの製造工程と、製造工程で使用した製造装置を、対象ロットのロットIDを抽出条件として抽出する。
【0027】
ステップS8で、有意差検定部10において、第1ロット特徴量毎に、製造工程毎の製造装置間の有意差検定を行う。製造装置間の有意差検定を行うことでは、製造工程毎の製造装置間で、製造装置で処理した対象ロットの第1ロット特徴量のχ2乗値の検定値を算出する。
【0028】
ステップS9で、異常装置検出部11において、有意差のある製造装置を、第1異常装置として検出する。
【0029】
ステップS10で、異常検出ロット特徴量抽出部12において、第1異常装置を検出した第1ロット特徴量を、第1異常検出ロット特徴量として抽出する。
【0030】
ステップS11で、特徴量閾値設定部13において、第1異常検出ロット特徴量の第1特徴量閾値を設定する。
【0031】
第1特徴量閾値を設定することでは、まず、混入率算出部14において、第1異常検出ロット特徴量がある特定の閾値以下の場合で、第1異常装置と同じ製造工程で使用されたすべての製造装置で処理したロットの数に対する第1異常装置で処理したロットの数の第1比と、第1異常検出ロット特徴量が同じ特定の閾値以上の場合で、第1異常装置と同じ製造工程で使用されたすべての製造装置で処理したロットの数に対する第1異常装置と同じ製造工程で使用された他の製造装置で処理したロットの数の第2比の和を、複数の閾値毎に第1混入率として算出する。次に、特徴量閾値算出部15において、第1混入率が最小になる閾値を第1特徴量閾値として算出する。
【0032】
ステップS12で、異常ロットID抽出部16において、第1異常検出ロット特徴量が第1特徴量閾値より大きい対象ロットのロットIDを、第1異常ロットIDとして抽出する。
【0033】
ステップS13で、ウェーハID抽出部5において、第1異常ロットIDのロット内のウェーハのウェーハIDを、第1異常ウェーハIDとして処理履歴情報から抽出する。
【0034】
ステップS14で、位置情報抽出部6において、第1異常検出ロット特徴量に関するテストの第1異常ウェーハIDの不良の位置情報を、テスト情報から抽出する。
【0035】
ステップS15で、ウェーハ不良分布図作成部17において、第1異常ウェーハIDの不良の位置情報からウェーハ面内の複数の不良分布図を、第1異常ウェーハ不良分布図として作成する。
【0036】
ステップS16で、クラスタリング不良分布図作成部20において、第1異常ウェーハ不良分布図に基づいて第1クラスタリング不良分布図を作成する。第1クラスタリング不良分布図を作成することは、第1異常ウェーハ不良分布図を重ね合わせ第1異常ウェーハ不良分布図の分布を積算することであってもよいし、または、第1異常ウェーハ不良分布図のウェーハ内で位置関係が等しい不良の論理和を算出することであってもよい。
【0037】
図3に示すステップS17で、不良発生領域設定部3において、第1クラスタリング不良分布図で、複数の密度閾値毎に、不良の密度が密度閾値より高い不良発生領域を、対象ウェーハに設定する。
【0038】
ステップS18で、ウェーハ特徴量計算部7において、対象ウェーハ毎に、不良のウェーハ面内での分布の偏りを、不良発生領域に基づいて、定量化する第2ウェーハ特徴量を計算する。第2ウェーハ特徴量は、不良発生領域内での不良の発生率である不良密度と、ウェーハに対する不良発生領域への不良の偏りをχ2乗値で表す偏り度であることが好ましい。
【0039】
ステップS19で、ロット特徴量計算部8において、対象ウェーハ毎に算出した第2ウェーハ特徴量から、対象ロット毎の第2ロット特徴量を算出する。第2ロット特徴量は、不良発生領域に関する対象ロット内の対象ウェーハの不良密度と偏り度のそれぞれの平均、最大値、値が上位のものの例えば5つの平均、ウェーハIDの偶数/奇数番号への偏り度、ウェーハIDの前半後半の番号への偏り度の少なくとも1つであることが好ましい。
【0040】
ステップS20で、有意差検定部10において、第2ロット特徴量毎に、製造工程毎の製造装置間の有意差検定を行う。製造装置間の有意差検定を行うことでは、製造工程毎の製造装置間で、製造装置で処理した対象ロットの第2ロット特徴量のχ2乗値の検定値を算出することが好ましい。
【0041】
ステップS21で、異常装置検出部11において、有意差のある製造装置を、第2異常装置として検出する。
【0042】
ステップS22で、異常検出ロット特徴量抽出部12において、第2異常装置を検出した第2ロット特徴量を、第2異常検出ロット特徴量として抽出する。
【0043】
ステップS23で、特徴量閾値設定部13において、第2異常検出ロット特徴量の第2特徴量閾値を設定する。第2特徴量閾値を設定することでは、まず、混入率算出部14において、第2異常検出ロット特徴量がある特定の閾値以下の場合で、第2異常装置と同じ製造工程で使用されたすべての製造装置で処理したロットの数に対する第2異常装置で処理したロットの数の第1比と、第2異常検出ロット特徴量が同じ特定の閾値以上の場合で、第2異常装置と同じ製造工程で使用されたすべての製造装置で処理したロットの数に対する第2異常装置と同じ製造工程で使用された他の製造装置で処理したロットの数の第2比の和を、複数の閾値毎に第2混入率として算出することが好ましい。次に、特徴量閾値算出部15において、第2混入率が最小になる閾値を第2特徴量閾値として算出することを有することが好ましい。
【0044】
ステップS24で、異常ロットID抽出部16において、第2異常検出ロット特徴量が第2特徴量閾値より大きい対象ロットのロットIDを、第2異常ロットIDとして抽出する。
【0045】
ステップS25で、ウェーハID抽出部5において、第2異常ロットIDのロット内のウェーハのウェーハIDを、第2異常ウェーハIDとして処理履歴情報から抽出する。
【0046】
ステップS26で、位置情報抽出部6において、第2異常検出ロット特徴量に関するテストの第2異常ウェーハIDの不良の位置情報を、テスト情報から抽出する。
【0047】
ステップS27で、ウェーハ不良分布図作成部17において、第2異常ウェーハIDの不良の位置情報からウェーハ面内の複数の不良分布図を、第2異常ウェーハ不良分布図として作成する。
【0048】
ステップS28で、クラスタリング不良分布図作成部20において、第2異常ウェーハ不良分布図に基づいて第2クラスタリング不良分布図を作成する。第2クラスタリング不良分布図を作成することは、第2異常ウェーハ不良分布図を重ね合わせ第2異常ウェーハ不良分布図の分布を積算することが好ましく、または、第2異常ウェーハ不良分布図のウェーハ内で位置関係が等しい不良の論理和を算出することであることが好ましい。
【0049】
以上で、不良検出方法が終了する。なお、不良検出方法は、図2のAからBまでのステップS6乃至S15は、図4のAからBまでのステップS31乃至S34であってもよい。
【0050】
すなわち、ステップS31で、類似度算出部18において、第1ウェーハ特徴量に関して、ウェーハ間の類似の度合いを類似度で表す。
【0051】
ステップS32で、類似度によるウェーハID抽出部19において、類似度が予め設定された類似度閾値以上であるか否かに基づいてウェーハをグルーピングし、第1異常ウェーハIDとして抽出する。
【0052】
ステップS33で、位置情報抽出部6において、第1異常ウェーハIDの不良の位置情報をテスト情報から抽出する。
【0053】
ステップS34で、ウェーハ不良分布図作成部17において、第1異常ウェーハIDの不良の位置情報からウェーハ面内の複数の不良分布図を、第1異常ウェーハ不良分布図として作成する。以下、図2のBに戻り、ステップS16以降を実施する。
【0054】
不良検出方法は、手順としてコンピュータが実行可能な不良検出プログラムにより表現することができる。この不良検出プログラムをコンピュータに実行させることにより、ウェーハ不良解析方法を実施することができる。
【0055】

(実施例1)
実施例1では、図1の不良検出装置1と図2と図3の不良検出方法について説明する。実施例1では、機械的に定義した数1000個の第1ロット特徴量を用いて、製造装置間の有意差検定を行う。異常装置を検知した第1ロット特徴量が存在すれは、その第1ロット特徴量が大きいロットを抽出して、それらのロットに共通するクラスタリング不良を特定し、異常装置とクラスタリング不良の対応を取った。ウェーハ上の不良の分布を多数の数値群で表現し、ウェーハ間で互いに類似する不良の分布を有するウェーハを自動抽出した。
【0056】
ステップS1で、ウェーハに複数の領域区分を設定した。クラスタリング不良を分類する基本は、不良がウェーハ面内のどこに偏って存在しているかを定量化することである。ここで言う不良とは、例えばメモリ製品であれは不良ビットであり、ロジック製品であれば不良チップ等を指す。まず、ウェーハ表示領域41を複数の領域区分に分けた。図5に示すように、ウェーハの半径をrとした時、ウェーハの中心Oから半径方向1/2rの距離に設けられた境界線47と、半径方向3/4rの距離に設けられた境界線48と、ウェーハエッジに接するようにウェーハの最外周に配置されたチップとそれ以外のウェーハの内側に配置されたチップを分ける境界線49を設けた。これらの3本の境界線47乃至49により、ウェーハ表示領域41を4つのリング状の距離領域43乃至46に分けた。
【0057】
次に、図6に示すようにウェーハを中心の中心角の角度方向に45度毎に区分する8本の境界線61乃至68を設けた。これらの8本の境界線61乃至68により、ウェーハ表示領域41を8つの扇状の角度領域51乃至58に分けた。
【0058】
図7に示すように、図5の距離領域43乃至46と図6の角度領域51乃至58を組み合わせて、全部で150個の領域区分を定義した。例えば、図8に示すように、領域区分Aは、距離領域45と角度領域51乃至54の論理積として定義される。領域区分Bは、距離領域44と角度領域58の論理積として定義される。他の領域区分も同様に距離領域43乃至46と角度領域51乃至58の論理積として定義できる。
【0059】
ステップS2で、検査の対象とする対象ロットのロットIDを入力する。ステップS3で、対象ロット内の対象ウェーハのウェーハIDを、ロットIDと処理履歴情報から抽出した。ステップS4で、テストにおける対象ウェーハ内での不良の位置情報を、ウェーハIDとテスト情報から抽出した。例えば、対象ウェーハがメモリ製品で構成されていれば、図9に示すように不良71乃至76のウェーハ内での位置が、対象ウェーハ毎に抽出された。
【0060】
ステップS5で、対象ウェーハ毎に、不良のウェーハ面内での分布の偏りを、領域区分に基づいて、定量化する第1ウェーハ特徴量を計算した。第1ウェーハ特徴量として、不良密度と偏り度を計算した。
【0061】
すべての領域区分毎に不良数をカウントし、不良密度を計算した。例えば、メモリ製品の場合、図9に示す不良分布を持つウェーハでの、図8の領域区分Aの不良密度は、領域区分Aに含まれる全ビット数が20ビットであった場合、不良ビット71乃至74が4ビットであることから、領域区分Aの不良密度は4/20=0.2となった。
【0062】
次に、すべての領域区分毎に、各領域区分への不良の偏り度を計算した。偏り度にはχ2乗値を用いた。すなわち、領域区分iの偏り度χiは、式1乃至3で表される。
【数1】

【0063】
ここで、
【数2】

【数3】

【0064】
nf1は領域区分iの不良数、nf2は領域区分i以外の不良数、nfaはウェーハ全体の不良数、nl1は領域区分iの全ビット数、nl2は領域区分i以外の全ビット数、d1は領域区分iの不良密度、d2は領域区分i以外の不良密度を表している。Sgn(d1-d2)はd1-d2の符号で、(d1-d2)が正ならSgn(d1-d2)は+1であり、(d1-d2)が負ならSgn(d1-d2)は-1である。なお、上記ではメモリ製品を想定しているが、ロジック製品では、ビット数の代わりにチップ数を用いればよい。偏り度χiは領域区分iへ不良が偏っているほど大きい。そして、不良が多く存在するほど不良密度が高くなるので、ウェーハ全面に不良が少なく、計算対象の領域区分に不良が多い偏りの場合は、偏り度は正になる。逆に、ウェーハ全面に不良が多く、計算対象の領域区分に不良が少ない偏りの場合は、偏り度は負になる。
【0065】
また、ウェーハテストにおいては、様々な種類の電気的テストを行った。例えば、LSIの消費電流が正常値かチェックするDCテスト、LSIの機能が正常かをチェックするファンクション(Function)テスト、そして、LSIは機能するがその動作時間等が仕様の範囲内かをチェックするマージン(Margin)テスト等である。不良密度、偏り度は、各電気的テストの不良に関して行った。実施例1ではこれらの3種類の電気的テストについて不良密度と偏り度を計算した。
【0066】
ステップS6で、対象ウェーハ毎に算出した第1ウェーハ特徴量から、対象ロット毎の第1ロット特徴量を算出した。LSIの製造工程においては、ロット単位で処理が行われ、例えば、ウェーハが25枚集まってロットを形成する。ウェーハ単位で求めた不良密度と偏り度の第1ウェーハ特徴量を、第1ロット特徴量に変換した。実施例1では、第1ロット特徴量への変換方法として、不良密度と偏り度それぞれについて、以下の5種類の計算方法で計算した。
【0067】
(1)平均
(2)最大値
(3)上位5位までのウェーハの平均
(4)偶数ウェーハ番号のウェーハへの偏り度(ウェーハ番号の偶奇性による偏り度)
(5)ロット前半のウェーハ番号(例えば1から12番)のウェーハへの偏り度(ウェーハ番号の前後半による偏り度)
この計算値がロットの第1ロット特徴量となる。
【0068】
第1ロット特徴量の個数は、領域区分150種類、電気的テスト3種類、ロット特徴量の計算方法5種類、およびウェーハ特徴量の計算方法2種類の積であり、4500種類に達する。計4500種類の第1ロット特徴量を機械的に定義することができた。この第1ロット特徴量を全てのロットについて計算すると図10に示すような4500行に達するテーブルが得られた。
【0069】
ステップS7で、処理履歴情報から、対象ロットの製造工程と、製造工程で使用した製造装置を、対象ロットのロットIDを抽出条件として抽出した。
【0070】
ステップS8で、第1ロット特徴量毎に、製造工程毎の製造装置間の有意差検定を行った。定義した4500種類の特徴量一つ一つについて、各ロットのクリーンルーム内の製造装置の処理履歴情報を参照しながら、特徴量の装置間有意差を検定した。実施例1では検定にχ2乗検定を用いた。例えば、各特徴量、各工程での検定値のχ2乗値を装置毎に算出し、図11に示すテーブルを得た。例えば、製造工程1では、製造装置Aだけでなく他の製造装置でもロットを処理していた。製造装置Aで処理したロットの特徴量と、他の製造装置で処理したロットの特徴量とに有意差があるか検定した。ただし、検定値には符号を付け、特徴量が高い方に偏った場合に正、低い方に偏った場合は負の値を取るようにした。なお、実施例1では、不良が多く存在するほど特徴量が高くなる場合を想定している。逆に、不良が多いほど値が小さくなる特徴量を定義した場合は、符号の取り方を逆にすればよい。したがって、ウェーハ全面に不良が少なく、検定対象の領域区分に不良が多い偏りの場合は、検定値は正になる。逆に、ウェーハ全面に不良が多く、検定対象の領域区分に不良が少ない偏りの場合は、検定値は負になる。同時に最も検定値が大きかった製造装置名を、各製造工程毎に記録しておく。
【0071】
ステップS9で、図11のテーブルの検定結果を、図12に示すように、検定値の大きい順に1列に並べた。実施例1では、各特徴量の値域を6分割して、製造装置間の有意差検定を行った。この場合、検定値が11以上であれば、有意差があると判断できる。この11以上の検定値が得られた特徴量の種類、工程名、装置名を検出した。例えば、図12から、製造工程72番において製造装置M号機でロットを処理すると、領域区分32番へのFunctionテストの不良の偏り度でロット内のウェーハ番号に偶奇性を持つ場合に対応する特徴量に、最も大きい有意差が生じることが分かった。同様に、製造工程146番において製造装置P号機でロットを処理すると、領域区分98番へのMarginテストの不良密度のロット内ウェーハの平均に対応する特徴量に、有意差が生じることが分かった。製造工程187番において製造装置Q号機でロットを処理すると、領域区分127番へのDCテストの不良密度のロット内ウェーハの最大値に対応する特徴量に、有意差が生じることが分かった。この有意差のある3台の製造装置M、P、Qを、第1異常装置として検出した。
【0072】
ステップS10で、第1異常装置Mを検出した領域区分32番へのFunctionテストの不良の偏り度でロット内のウェーハ番号に偶奇性を持つ場合に対応する第1ロット特徴量を、第1異常検出ロット特徴量として抽出した。同様に、第1異常装置Pを検出した領域区分98番へのMarginテストの不良密度のロット内ウェーハの平均に対応する第1ロット特徴量を、第1異常検出ロット特徴量として抽出した。第1異常装置Qを検出した領域区分127番へのDCテストの不良密度のロット内ウェーハの最大値に対応する第1ロット特徴量を、第1異常検出ロット特徴量として抽出した。
【0073】
ステップS11で、図13に示すように、製造工程72番の第1異常検出ロット特徴量をロットの処理時刻でプロットし、ロットを処理した第1異常装置Mと製造工程72番で第1異常装置Mと並列に使われた2台の製造装置BとFを比較した。第1異常装置Mで処理されたロットの第1異常検出ロット特徴量は、全期間で他の製造装置BとFで処理されたロットの第1異常検出ロット特徴量より大きい傾向があった。
【0074】
図14に示すように、まず、閾値91を設定する。製造工程72番の第1異常検出ロット特徴量が閾値91以下の場合で、第1異常装置Mと同じ製造工程72番で使用されたすべての製造装置M、B、Fで処理したロットの数7個に対する第1異常装置Mで処理したロット84の数1個の第1比1/7と、第1異常検出ロット特徴量が閾値91以上の場合で、第1異常装置Mと同じ製造工程72番で使用されたすべての製造装置M、B、Fで処理したロットの数13個に対する第1異常装置Mと同じ製造工程72番で使用された他の製造装置B、Fで処理したロットの数6個の第2比6/13の和0.61を、第1混入率として算出した。
【0075】
次に、第1混入率が最小になる第1異常検出ロット特徴量の閾値を第1特徴量閾値として算出した。すなわち、閾値91とは異なる閾値92を設定した。この場合は、閾値92以下となる第1異常装置Mで処理したロット84、87の数が計2個となり、閾値91の場合と同様に第1比と第2比を求めることで、第1比2/14と第2比0/6の和0.14が第1混入率として算出された。こうして、種々の閾値91、92・・・を設定し、第1混入率を繰り返し算出したところ、閾値91、92・・・の大きさによって、混入率は変化した。混入率は、正常な製造装置B、Fと第1異常装置Mを閾値91、92・・・で分離できない程度を表している。第1異常検出ロット特徴量の全範囲に閾値91、92・・・を移動させて、混入率を計算すると、混入率は図15に示すように極小値93を有することが分かった。極小値93における第1異常検出ロット特徴量の値を第1特徴量閾値94に設定した。
【0076】
ステップS12で、第1異常検出ロット特徴量が第1特徴量閾値94より大きい対象ロット、例えば、図14の81乃至83、85、86、88のロットIDを、第1異常ロットIDとして抽出した。
【0077】
ステップS13で、第1異常ロットIDのロット内のウェーハW1乃至W8のウェーハIDを、第1異常ウェーハIDとして処理履歴情報から抽出した。
【0078】
ステップS14で、製造工程72番の第1異常検出ロット特徴量に関するテストの第1異常ウェーハIDの不良の位置情報を、テスト情報から抽出した。
【0079】
ステップS15で、ロット81のウェーハW1乃至W8について、図16に示すような第1異常ウェーハIDの不良の位置情報からウェーハ面内の複数の不良分布図を作成した。製造工程72番の第1異常ロット特徴量が偶奇性を有するのと同様に、ロット81のウェーハW1乃至W8の不良分布図も偶奇性を有していた。ウェーハW1、W3、W5、W7の不良分布図をクラスタリング不良を含む第1異常ウェーハ不良分布図とした。同様に、ロット82のウェーハW1乃至W8について、図17に示すようなウェーハ面内の複数の不良分布図を作成し、ウェーハW1、W3、W5、W7の不良分布図をクラスタリング不良を含む第1異常ウェーハ不良分布図とした。以下も同様に、ロット83、85、86、88のウェーハW1乃至W8について、ウェーハ面内の複数の第1異常ウェーハ不良分布図を作成した。
【0080】
図18に示すように、製造工程72番の第1異常ロット特徴量の第1異常ウェーハ不良分布図をカテゴリ1に集め分類した。同様に、ステップS11乃至S15を実施し、製造工程146番の第1異常ロット特徴量の第1異常ウェーハ不良分布図を作成し、カテゴリ2に集め分類した。製造工程187番の第1異常ロット特徴量の第1異常ウェーハ不良分布図を作成し、カテゴリ3に集め分類した。カテゴリ毎に、同じクラスタリング不良を有するウェーハの第1異常ウェーハ不良分布図、ロットIDとウェーハIDが示された。カテゴリ1に属するウェーハは、ウェーハの左上エッジ部に不良表示領域42が偏って存在していた。カテゴリ2に属するウェーハは、ウェーハの中央部に不良表示領域42が偏って存在していた。カテゴリ3に属するウェーハは、ウェーハの下部に不良表示領域42が偏って存在していた。
【0081】
ステップS16で、図18のカテゴリ1のウェーハW1乃至W3の第1異常ウェーハ不良分布図を重ね合わせ、セグメント内の不良ビット数の積算を、適当なサイズの微小領域(セグメントと呼ぶ)毎に求めた。図19に示すような、複数の第1異常ウェーハ不良分布図に共通する分布を有する第1クラスタリング不良分布図を形成した。不良の密度の等高線95乃至98から、ウェーハの左上エッジに不良ビットが多く存在している傾向があることが分かった。この結果より、製造工程72番の第1異常装置Mは、ウェーハ左上エッジに不良を多く発生させていたことが分かった。第1クラスタリング不良分布図は、重ね合わせた不良分布なので、いわゆるスタックマップと呼ばれる。重ね合わせ方としては、例えばメモリ製品ではFail Bit Mapの論理和でもよい。ロジック製品では、ウェーハ内のチップの配置位置毎に不良チップの存在割合を求めてもよい。
【0082】
図18の他のカテゴリ2とカテゴリ3についても同様にして、図20に示すような、不良の密度の等高線101乃至103で示される、複数の第1異常ウェーハ不良分布図に共通する分布を有する第1クラスタリング不良分布図を形成した。このことから、第1異常装置PとQがウェーハ面内のどこに不良を多く発生させているか求めることができる。第1クラスタリング不良分布図の分類結果は、カテゴリ毎に示された。カテゴリ1に属するウェーハは、ウェーハの左上エッジ部に不良が偏って存在していた。カテゴリ2に属するウェーハは、ウェーハの中央部に不良が偏って存在していた。カテゴリ3に属するウェーハは、ウェーハの下部に不良が偏って存在していた。
【0083】
以上より、機械的に発生させた特徴量で装置間有意差検定を行い、有意差が得られた第1異常装置について、その第1異常装置を検知した特徴量が高いロットのスタックマップを求めることにより、クラスタリング不良と第1異常装置を確実に対応付けることができた。従来は、クラスタリング不良が先に認識され、その後クラスタリング不良を数値化した特徴量により不良原因の製造装置の特定が試みられていた。しかし、特徴量化の方法が適切でなければ、不良原因の製造装置を特定することは出来なかった。実施例1の方法では、大量の特徴量を機械的に定義したので、特徴量中に適切な特徴量が存在している可能性が高く、異常装置の検出率を向上させることができた。
【0084】
以下では、クラスタリング不良をカテゴリに分類した結果を用いて、再度、特徴量を発生させ、異常装置の検出率を向上させた。カテゴリに分類した結果として、製造装置間の有意差検定の結果を用いた場合を示す。
【0085】
ステップS17で、図20のカテゴリ1の第1クラスタリング不良分布図で、不良の密度の等高線101乃至103を密度閾値として、密度閾値毎に、不良の密度が密度閾値より高い不良発生領域を、対象ウェーハに設定した。例えば、図21の水準1に示すように、不良の密度の等高線101の示す不良の密度より高い不良の密度の領域を、不良発生領域105に設定した。同様に、水準2として、不良の密度の等高線102の示す不良の密度より高い不良の密度の領域を、不良発生領域106に設定した。水準3として、不良の密度の等高線103の示す不良の密度より高い不良の密度の領域を、不良発生領域107に設定した。水準1から水準3へ水準が高くなるにつれ、低い水準の不良発生領域の中に高い水準の不良発生領域が設定される様子が分かった。
【0086】
さらに、カテゴリ2とカテゴリ3の不良発生領域を同様に設定した。なお、水準1乃至水準3は、密度閾値の設定水準であり、実施例1では、ウェーハ面内の不良密度の最大値に対して、10%を水準1、30%を水準2、50%を水準3とした。密度閾値としては、不良密度の絶対値であってもよい。等高線のパターンが各カテゴリの特徴を表していることが分かった。
【0087】
ステップS18で、対象ウェーハ毎に、不良のウェーハ面内での分布の偏りを、不良発生領域に基づいて、定量化する第2ウェーハ特徴量を計算した。第2ウェーハ特徴量として、第1ウェーハ特徴量と同様に、不良密度と偏り度を計算する。領域区分の換わりに、カテゴリ1乃至3と水準1乃至3で分類された不良発生領域を用いる点が、第2ウェーハ特徴量と第1ウェーハ特徴量は異なる。なお、不良発生領域は、カテゴリ1乃至3毎にカテゴリ1乃至3の不良分布を重ね合わせた分布を用いて設定した。カテゴリ1はFunctionテストに基づき、カテゴリ2はMarginテストに基づき、カテゴリ3は、DCテストに基づき、カテゴリによって電気的テストは異なっていた。それでも、カテゴリ1乃至3の不良分布を重ね合わせた分布を発生させるのは、多数の特徴量を機械的に発生させるためである。
【0088】
ステップS19で、対象ウェーハ毎に算出した第2ウェーハ特徴量から、対象ロット毎の第2ロット特徴量を算出する。図22に示すように、図10と比較して、領域区分の換わりに、カテゴリ1乃至3と水準1乃至3で分類された不良発生領域を用いる点が、第2ロット特徴量と第1ロット特徴量は異なる。従って、第2ロット特徴量の総数は、カテゴリ1乃至3と水準1乃至3で分類された不良発生領域の数で変動した。
【0089】
ステップS7で抽出した製造装置を用いて、ステップS20で、ステップS8と同様の手順で、第2ロット特徴量一つ一つについて、製造工程毎の製造装置間の有意差検定を行った。
【0090】
そして、ステップS21で、図22のテーブルの検定結果を、図23に示すように、検定値の大きさ順に並べて出力した。図23のC欄で、ステップS8の図12で示したのと同じ製造工程72番と製造装置Mが検知されていることが分かった。製造工程72番において製造装置M号機でロットを処理すると、カテゴリ1の水準2の不良発生領域へのFunctionテストの不良の偏り度でロット内のウェーハ番号に偶奇性を持つ場合に対応する特徴量に、最も大きい有意差が生じることが分かった。一方、D欄で、図12には示されていない製造工程78番と製造装置Nが検知されていることが分かった。製造工程78番において製造装置N号機でロットを処理すると、カテゴリ1の水準3の不良発生領域へのMarginテストの不良密度のロット内ウェーハの最大値に対応する特徴量に、有意差が生じることが分かった。この有意差のある2台の製造装置M、Nを、第2異常装置として検出した。
【0091】
ステップS22で、ステップS10と同様に、第2異常装置M、Nを検出した第2ロット特徴量を、第2異常検出ロット特徴量として抽出した。
【0092】
ステップS23で、ステップS11と同様に、第2異常装置M、Nの第2異常検出ロット特徴量の第2特徴量閾値を設定した。
【0093】
ステップS24で、ステップS12と同様に、第2異常検出ロット特徴量が第2特徴量閾値より大きい第2異常ロットIDを抽出した。
【0094】
ステップS25で、ステップS13と同様に、第2異常ロットIDのロット内のウェーハW1乃至W8のウェーハIDを、第2異常ウェーハIDとして処理履歴情報から抽出した。
【0095】
ステップS26で、ステップS14と同様に、製造工程72番と78番の第2異常検出ロット特徴量に関するテストの第2異常ウェーハIDの不良の位置情報を、テスト情報から抽出した。
【0096】
ステップS27で、ステップS15と同様に、第2異常ロットIDの第2異常ウェーハIDについて、第2異常ウェーハIDの不良の位置情報からウェーハ面内の複数の不良分布図を作成した。
【0097】
ステップS28で、ステップS16と同様に、第2異常装置Mに関する第2異常ウェーハ不良分布図を重ね合わせ、図24に示すような、C欄の第2ロット特徴量の大きいロットの第2クラスタリング不良分布図を形成した。これより、カテゴリ1の不良原因の製造装置が製造工程72番の装置M号機であることが分かった。
【0098】
第2異常装置Nに関する第2異常ウェーハ不良分布図を重ね合わせ、図25に示すような、D欄の第2ロット特徴量の大きいロットの第2クラスタリング不良分布図を形成した。図23のD欄より、第1ロット特徴量では検知されなかったが、第2ロット特徴量では製造工程78番と製造装置Nが検知されたことが分かった。そして、この第2クラスタリング不良分布図は、図25に示すように、不良の密度の等高線99で示されるウェーハ左上から斜めに伸びる筋状の不良であることが分かった。第1ロット特徴量で検知されず、第2ロット特徴量で検知されたのは、不良がかすかなため、第1ロット特徴量では見逃されたのと、不良の分布が第1ロット特徴量の領域分布の境界に重なっていたためであると考えられた。しかし、第2ロット特徴量は、カテゴリ1の左上に集中して発生する不良と関連して不良発生領域を設定する一方で、図25のクラスタリング不良もカテゴリ1の左上に集中して発生する不良であったために、共通の領域に関する特徴量が機械的に多数設定され、図25のクラスタリング不良を検知することができたと考えられた。すなわち、第2ロット特徴量は、不良に隠れた不良を検知するのに最適な特徴量例えば図23のD欄の特徴量であり、いわゆる、異常装置を検出する感度が高いと考えられた。
【0099】
以上説明したように、機械的に定義した複数の特徴量を用いることにより、クラスタリング不良とその原因装置を確実に対応付けることができた。また、クラスタリング不良の分類結果から抽出される不良発生領域で特徴量を発生させることにより、異常装置を高感度に検出することができた。
【0100】
(実施例2)
実施例2では、クラスタリング不良をカテゴリに分類した結果を用いて、特徴量を発生させ、異常装置を検知する方法について述べる。カテゴリに分類した結果として、ウェーハ間のクラスタリング不良の類似性から生成したカテゴリを用いた場合を示す。実施例2では、図1の不良検出装置1を用いる。また、実施例2では、図2と図3の不良検出方法の一部を図4のフローに置き換えた不良検出方法について説明する。
【0101】
まず、図2のステップS1乃至ステップS4を、実施例1と同様に実施した。図26に示すように、対象ウェーハW1乃至W8について、テストにおける対象ウェーハ内での不良の位置情報を、ウェーハIDとテスト情報から抽出した。
【0102】
ステップS5で、実施例1と同様に、第1ウェーハ特徴量を計算した。図27では、ウェーハW1乃至W4について示したが、ウェーハW1乃至W8毎に、第1ウェーハ特徴量をウェーハ内で一定の順番に並べ、その順番に第1ウェーハ特徴量の値を折れ線でつなぎ波形を形成した。この第1ウェーハ特徴量の波形は、ウェーハW1乃至W8固有の波形である。第1ウェーハ特徴量の波形がウェーハ間で類似性を有すれば、ウェーハ間の不良の分布も類似性を有すると考えられた。例えば、図26のW1乃至W3の不良の分布は一見して似ていないが、W1とW4の不良の分布は一見して似ていると思える。図27のW1乃至W3の第1ウェーハ特徴量の波形は一見して似ていないが、W1とW4の第1ウェーハ特徴量の波形は一見して似ていると思える。そして、類似性を有する不良の分布には、共通したクラスタリング不良が含まれていると考えられる。そこで、クラスタリング不良を検出するために、ウェーハ間の不良の分布の類似性の定量化となる第1ウェーハ特徴量の波形のウェーハ間での類似性の定量化を、次に行った。
【0103】
ステップS31で、類似度算出部18において、第1ウェーハ特徴量の波形のウェーハ間での類似性の定量化として、第1ウェーハ特徴量に関して、ウェーハ間の類似の度合いを相関係数で表した。第1ウェーハ特徴量に関して、全ての対象ウェーハ間の相関係数を計算した。図28に示すように、第1ウェーハ特徴量をウェーハ間でプロットした散布図から、ウェーハ間の相関関係がわかった。図28(a)のウェーハW1とW2の間では、第1ウェーハ特徴量の間に相関は見られなかった。また、図28(b)のウェーハW1とW3の間では、第1ウェーハ特徴量の間に相関は見られなかった。しかし、図28(c)のウェーハW1とW4の間では、第1ウェーハ特徴量の間に強い相関が見られた。これらの相関を定量化するため、ウェーハiとウェーハj間の第1ウェーハ特徴量の相関係数rijを式4乃至7で求めた。
【数4】

【数5】

【数6】

【数7】

【0104】
ここで、gkおよびhkは、ウェーハiおよびjの第1ウェーハ特徴量である。また、Ngは、第1ウェーハ特徴量の個数である。μgは、ウェーハiのNg個の第1ウェーハ特徴量の平均であり、μhは、ウェーハjのNg個の第1ウェーハ特徴量の平均である。
【0105】
これより、ウェーハW1とW2の間の相関係数r12は、0.02であった。ウェーハW1とW3の間の相関係数r13は、0.03であった。ウェーハW1とW4の間の相関係数r14は、0.92であった。
【0106】
ステップS32で、求めた相関係数により、不良の分布の類似性を有するウェーハをグルーピングすることで、第1異常ウェーハIDを抽出した。相関係数の閾値は0.8に設定した。相関係数rijが閾値0.8以上であれば、それらのウェーハiとjは、不良の分布が互いに類似していると判断した。図29に示すように、閾値0.8以上であった相関係数rijは、相関係数r14、r41、r17、r71、r25、r52、r36、r63、r38、r83、r47、r74、r68、r86であった。他の相関係数rijは、閾値0.8未満であった。
【0107】
実施例2では、不良の分布の種類を問うことなく、ウェーハ間の不良の分布の類似性を、第1ウェーハ特徴量の相関関数rij等により定量化できた。そして、互いに類似する不良の分布を持つウェーハを自動抽出することができた。
【0108】
次に、第1ウェーハ特徴量により判定されたウェーハ間の不良の分布の類似性から、不良の分布の類似するウェーハをグルーピングし、不良カテゴリを自動生成した。不良カテゴリの生成を自動化することができれば、工場で発生している不良の問題を自動でレポート出力するシステムが構築できる。
【0109】
まず、不良の分布が類似するウェーハの類似ウェーハ群Sを形成した。類似ウェーハ群Sは、ウェーハの一枚毎に対して、類似性のある他のウェーハを抽出することによった。
【0110】
例えば、図29のウェーハW1について、ウェーハW1に類似性のあるウェーハは、ウェーハW4とW7であった。そこで、ウェーハW1、W4とW7の3枚で構成される類似ウェーハ群S1を、図30に示すように形成した。ウェーハW2について、ウェーハW2に類似性のあるウェーハは、ウェーハW5である。そこで、ウェーハW2とW5の2枚で構成される類似ウェーハ群S2を形成する。以下同様に、類似ウェーハ群S3乃至S8を形成する。
【0111】
類似ウェーハ群SiとSjの類似度Rijを計算する。類似度Rijは、類似ウェーハ群SiとSjの互いに相関を持つウェーハの枚数の割合で定義した。すなわち、類似度Rijは、類似ウェーハ群SiとSjに属する全てのウェーハの組の総数に対する、互いに相関を持つウェーハの組の数の比と定義した。類似度Rijの閾値を0.5に設定した。閾値0.5以上の類似度Rijを有する類似ウェーハ群SiとSjは互いに類似と判定した。なお、類似度Rijは、類似ウェーハ群SiとSjの少なくとも一方に属する全てのウェーハの枚数に対する、類似ウェーハ群SiとSjの両方に属するウェーハの枚数の比であると定義してもよい。
【0112】
例えば、類似ウェーハ群S1とS4の類似度R14は、類似ウェーハ群S1とS4に属する全てのウェーハの組(W1とW4)(W1とW7)(W4とW7)の総数3組に対する、互いに相関を持つウェーハの組(W1とW4)(W1とW7)(W4とW7)の数3組の比3/3であり、1.0であった。図30に示すように、類似度R14は、1.0であり、閾値0.5以上であるので、類似ウェーハ群S1とS4は互いに類似と判定した。同様に、類似度R41は、1.0であり、閾値0.5以上であるので、類似ウェーハ群S4とS1は互いに類似と判定した。
【0113】
類似ウェーハ群S1とS2の類似度R12は、類似ウェーハ群S1とS2に属する全てのウェーハの組(W1とW2)(W1とW4)(W1とW5)(W1とW7)(W2とW4)(W2とW5)(W2とW7)(W4とW5)(W4とW7)(W5とW7)の総数10組に対して、互いに相関を持つウェーハの組(W1とW4)(W1とW7)(W2とW5)(W4とW7)の数4組により、これらの比4/10の0.4であった。類似度R12は、0.4であり、閾値0.5未満であるので、類似ウェーハ群S1とS2は類似でないと判定した。同様に、類似度R21は、0.4であり、閾値0.5未満であるので、類似ウェーハ群S2とS1は類似でないと判定した。以下同様に、類似度R14、R41、R17、R71、R25、R52、R36、R63、R38、R83、R47、R74、R68、R86は、1であり、閾値0.5以上であるので、類似ウェーハ群の組(S1とS4)、(S1とS7)、(S3とS6)、(S3とS8)、(S4とS7)、(S6とS8)、(S2とS5)は類似であると判定した。
【0114】
次に、図30に示すように、類似ウェーハ群Siを、要素の数、すなわちウェーハの枚数の多い順にソートした。ウェーハの枚数が3枚の類似ウェーハ群S1、S3、S4、S6、S7とS8を1位乃至6位にした。ウェーハの枚数が2枚の類似ウェーハ群S2とS5を7位と8位にした。
【0115】
ソートで上位になった類似ウェーハ群から順に、類似度Rijによる類似の判定を参照しながら、類似ウェーハ群をグルーピングした。まず、ソート順位が1位の類似ウェーハ群S1に対して、類似ウェーハ群S1と類似と判定された類似ウェーハ群S4、S7をグルーピングした。このグループの類似ウェーハ群S1、S4、S7に識別子として不良カテゴリC1を割り当てた。
【0116】
類似ウェーハ群S1も含め類似ウェーハ群S1にグルーピングされた類似ウェーハ群Siを除いて、最も順位の高い類似ウェーハ群Siは、類似ウェーハ群S3であった。類似ウェーハ群S3に対して、まだ、不良カテゴリC1が割り当てられていないで類似ウェーハ群S3と類似と判定された類似ウェーハ群Siは、類似ウェーハ群S6、S8であった。そこで、類似ウェーハ群S3、S6とS8でグループを構成し、このグループの類似ウェーハ群S3、S6とS8に識別子として不良カテゴリC2を割り当てた。
【0117】
まだグルーピングされていない類似ウェーハ群Siに対して、最も順位の高い類似ウェーハ群Siは、類似ウェーハ群S2であった。類似ウェーハ群S2に対して、まだ、不良カテゴリC1とC2が割り当てられていないで類似ウェーハ群S2と類似と判定された類似ウェーハ群Siは類似ウェーハ群S5であった。そこで、類似ウェーハ群S2とS5でグループを構成し、このグループの類似ウェーハ群S2とS5に識別子として不良カテゴリC3を割り当てた。このグルーピングが有効なのは、上位の類似ウェーハ群Si間では、ほとんど同じウェーハが要素になっている場合が多く存在するためであった。
【0118】
類似ウェーハ群Siをグルーピング後、各不良カテゴリCが割り当てられたグループ内で重複するウェーハを除いたウェーハの集合を不良カテゴリC1、C2、C3とした。次に各ウェーハについて、それぞれの不良カテゴリC1、C2、C3に属するウェーハの枚数に対して、ウェーハ間で第1ウェーハ特徴量に関して相関があるウェーハの枚数の割合を求めた。この割合が、事前に設定した閾値以上であれば、そのそれぞれのウェーハをその不良カテゴリC1、C2、C3に所属させた。このことにより、ウェーハ毎に、所属する不良カテゴリC1、C2、C3を決定することができ、すなわち、各不良カテゴリC1、C2、C3毎に互いに不良の分布が類似する第1異常ウェーハIDが抽出された。なお、この場合、1枚のウェーハが複数の不良カテゴリC1、C2、C3に所属する場合があった。
【0119】
具体的には、閾値として、0.4を設定した。ウェーハW1に関して、不良カテゴリC1において、ウェーハW4とW7の2枚と相関があった。不良カテゴリC1に所属するウェーハW1、W4とW7の3枚であるので、ウェーハの枚数の割合は、2/3で0.66となった。このウェーハW1の割合の0.66は閾値の0.4より大きいので、ウェーハW1は不良カテゴリC1に所属した。また、ウェーハW1は、不良カテゴリC2とC3において、他のウェーハと相関がなかった。ウェーハの枚数の割合は、ゼロとなった。このウェーハW1の割合のゼロは閾値の0.4より小さいので、ウェーハW1は不良カテゴリC2とC3に所属しない。
【0120】
ウェーハW4に関して、不良カテゴリC1において、ウェーハW1とW7の2枚と相関があった。不良カテゴリC1に所属するウェーハW1、W4とW7の3枚であるので、ウェーハの枚数の割合は、2/3で0.66となった。このウェーハW4の割合の0.66は閾値の0.4より大きいので、ウェーハW4は不良カテゴリC1に所属した。また、ウェーハW4は、不良カテゴリC2とC3において、他のウェーハと相関がなかった。ウェーハの枚数の割合は、ゼロとなった。このウェーハW4の割合のゼロは閾値の0.4より小さいので、ウェーハW4は不良カテゴリC2とC3に所属しなかった。以下同様にして、ウェーハW1乃至W8のすべてのウェーハについてカテゴリを設定した。
【0121】
各不良カテゴリC内のウェーハの中から、最も多くのウェーハと第1ウェーハ特徴量に関して相関があるウェーハを代表ウェーハとした。例えば、不良カテゴリC1内のウェーハW1、W4とW7の中から、互いに相関があるウェーハW1、W4とW7を代表ウェーハとした。
【0122】
不良カテゴリC内で代表ウェーハと第1ウェーハ特徴量に関して相関のあるウェーハを、その不良カテゴリの代表ウェーハ群とした。例えば、不良カテゴリC1内の代表ウェーハW1、W4とW7に相関があるウェーハW1、W4とW7を代表ウェーハ群とした。同様に、不良カテゴリC2内の代表ウェーハW3、W6とW8に相関があるウェーハW3、W6とW8を代表ウェーハ群とした。不良カテゴリC3内の代表ウェーハW2とW5に相関があるウェーハW2とW5を代表ウェーハ群とした。
【0123】
ステップS33で、第1異常ウェーハIDの不良の位置情報をテスト情報から抽出した。ステップS34で、第1異常ウェーハIDの不良の位置情報からウェーハ面内の複数の不良分布図を、不良カテゴリC1、C2、C3毎に第1異常ウェーハ不良分布図として作成した。ウェーハW1乃至W8について、図18に示すような第1異常ウェーハIDの不良の位置情報からウェーハ面内の複数の不良分布図が作成できた。なお、不良カテゴリC1はカテゴリ1に対応し、不良カテゴリC2はカテゴリ3に対応し、不良カテゴリC3はカテゴリ2に対応した。
【0124】
以下、図2のBに戻り、実施例1と同様にステップS16以降を実施した。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】実施の形態に係る不良検出装置の構成図である。
【図2】実施の形態に係る不良検出方法のフローチャート(その1)である。
【図3】実施の形態に係る不良検出方法のフローチャート(その2)である。
【図4】実施の形態に係る不良検出方法のフローチャート(その3)である。
【図5】実施例1の領域区分を説明するためのウェーハ表示領域の構成図(その1)である。
【図6】実施例1の領域区分を説明するためのウェーハ表示領域の構成図(その2)である。
【図7】実施例1の領域区分を説明するためのウェーハ表示領域の構成図(その3)である。
【図8】実施例1の領域区分を説明するためのウェーハ表示領域の構成図(その4)である。
【図9】実施例1の領域区分を説明するためのウェーハ表示領域の構成図(その5)である。
【図10】実施例1のロット特徴量のデータ構造の構成図(その1)である。
【図11】実施例1の製造装置の有意差検定の検定値のデータ構造の構成図である。
【図12】実施例1の製造装置の有意差検定で有意差のあった検定値のデータ構造の構成図(その1)である。
【図13】実施例1のロットの製造工程の工程72番の処理日時と、ロットのロット特徴量の関係を表すグラフである。
【図14】実施例1の混入率を説明するための、ロットの製造工程の工程72番の処理日時と、ロットのロット特徴量の関係を表すグラフである。
【図15】実施例1のロット特徴量と混入率の関係を表すグラフである。
【図16】実施例1の異常ロットIDのロット内のウェーハの不良の分布図(その1)である。
【図17】実施例1の異常ロットIDのロット内のウェーハの不良の分布図(その2)である。
【図18】実施例1の異常装置毎に異常ウェーハIDのウェーハの不良の分布図を分類した表である。
【図19】実施例1のクラスタリング不良分布図(その1)である。
【図20】実施例1の異常装置毎のクラスタリング不良分布図である。
【図21】実施例1の不良発生領域を説明するための、ウェーハ表示領域の構成図である。
【図22】実施例1のロット特徴量のデータ構造の構成図(その2)である。
【図23】実施例1の製造装置の有意差検定で有意差のあった検定値のデータ構造の構成図(その2)である。
【図24】実施例1のクラスタリング不良分布図(その2)である。
【図25】実施例1のクラスタリング不良分布図(その3)である。
【図26】実施例2のウェーハの不良の分布図である。
【図27】実施例2のウェーハ特徴量の波形図である。
【図28】実施例2のウェーハ間の相関関係を表す図である。
【図29】実施例2の類似ウェーハか否かを表す表である。
【図30】実施例2の類似ウェーハ群と不良カテゴリの生成を説明するための表である。
【符号の説明】
【0126】
1 不良検出装置
2 領域区分設定部
3 不良発生領域設定部
4 入力部
5 ウェーハID抽出部
6 位置情報抽出部
7 ウェーハ特徴量計算部
8 ロット特徴量計算部
9 製造装置抽出部
10 有意差検定部
11 異常装置検出部
12 異常検出ロット特徴量抽出部
13 特徴量閾値設定部
14 混入率算出部
15 特徴量閾値算出部
16 異常ロットID抽出部
17 ウェーハ不良分布図作成部
18 類似度算出部
19 類似度によるウェーハID抽出部
20 クラスタリング不良分布図作成部
21 処理履歴情報記憶部
22 テスト情報記憶部
23 バスライン
41 ウェーハ表示領域
42 不良表示領域
43 半径方向1/2r以内領域
44 半径方向1/2rから3/4r領域
45 半径方向3/4rから外でエッジ領域を除いた領域
46 半径方向エッジ領域
47 半径方向1/2rの境界線
48 半径方向3/4rの境界線
49 半径方向エッジ領域の境界線
51 角度方向0度から45度領域
52 角度方向45度から90度領域
53 角度方向90度から135度領域
54 角度方向135度から180度領域
55 角度方向180度から225度領域
56 角度方向225度から270度領域
57 角度方向270度から315度領域
58 角度方向315度から0度領域
61 角度方向0度境界線
62 角度方向45度境界線
63 角度方向90度境界線
64 角度方向135度境界線
65 角度方向180度境界線
66 角度方向225度境界線
67 角度方向270度境界線
68 角度方向315度境界線
71乃至76 不良表示領域
81乃至88 装置Mで処理したロット
91、92 閾値
93 混入率が最小となる点
94 採用される第1特徴量閾値
95乃至99、101乃至103 不良の密度の等高線
105乃至107 不良発生領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロット内のウェーハのウェーハIDを、前記ロットのロットIDを抽出条件として抽出でき、前記ロットの製造工程と、前記製造工程で使用した製造装置を、前記ロットのロットIDを抽出条件として抽出できる処理履歴情報と、テスト毎にウェーハ内での不良が発生した位置情報を、前記ウェーハのウェーハIDとテスト名を抽出条件として抽出できるテスト情報を利用可能な不良検出方法において、
前記ウェーハに所定の領域区分を設定することと、
対象ロットの前記ロットIDを入力することと、
前記対象ロット内の対象ウェーハの前記ウェーハIDを、前記ロットIDと前記処理履歴情報から抽出することと、
種類の異なる複数のテストにおける前記対象ウェーハ内での前記不良の前記位置情報を、前記ウェーハIDと前記テスト情報から抽出することと、
前記不良の前記位置情報を参照し、前記複数のテストにおける前記不良のウェーハ面内での分布の偏りを、前記領域区分毎に、複数の定量化方法により定量化することで、1の前記対象ウェーハに対して特徴量が複数種に定義された第1ウェーハ特徴量を計算することと、
前記第1ウェーハ特徴量を、前記対象ロット毎に、前記定量化方法とは別の複数の計算法を用いて更に計算することで、1の前記対象ロットに対して特徴量が複数種に定義された第1ロット特徴量を算出することと、
前記処理履歴情報から、前記対象ロットの製造工程と、前記製造工程で使用した製造装置を、前記対象ロットの前記ロットIDを抽出条件として抽出することと、
前記第1ロット特徴量毎に、前記製造工程毎の前記製造装置間の有意差検定を行うことと、
有意差のある前記製造装置を、第1異常装置として検出することを有することを特徴とする不良検出方法。
【請求項2】
前記第1異常装置を検出した前記第1ロット特徴量を、第1異常検出ロット特徴量として抽出することと、
前記第1異常検出ロット特徴量の第1特徴量閾値を設定することと、
前記第1異常検出ロット特徴量が前記第1特徴量閾値より大きい前記対象ロットのロットIDを、第1異常ロットIDとして抽出することを、さらに有することを特徴とする請求項1に記載の不良検出方法。
【請求項3】
前記第1異常ロットIDのロット内のウェーハのウェーハIDを、第1異常ウェーハIDとして前記処理履歴情報から抽出することと、
前記第1異常検出ロット特徴量に関する前記テストにおける前記第1異常ウェーハIDの前記不良の前記位置情報を、前記テスト情報から抽出することと、
前記第1異常ウェーハIDの前記不良の前記位置情報からウェーハ面内の複数の不良分布図を、第1異常ウェーハ不良分布図として作成することを、さらに有することを特徴とする請求項2に記載の不良検出方法。
【請求項4】
ロット内のウェーハのウェーハIDを、前記ロットのロットIDを抽出条件として抽出でき、前記ロットの製造工程と、前記製造工程で使用した製造装置を、前記ロットのロットIDを抽出条件として抽出できる処理履歴情報と、テスト毎にウェーハ内での不良が発生した位置情報を、前記ウェーハのウェーハIDとテスト名を抽出条件として抽出できるテスト情報を利用可能な不良検出方法において、
前記ウェーハに複数の領域区分を設定することと、
対象ロットの前記ロットIDを入力することと、
前記対象ロット内の対象ウェーハの前記ウェーハIDを、前記ロットIDと前記処理履歴情報から抽出することと、
種類の異なる複数のテストにおける前記対象ウェーハ内での前記不良の前記位置情報を、前記ウェーハIDと前記テスト情報から抽出することと、
前記不良の前記位置情報を参照し、前記複数のテストにおける前記不良のウェーハ面内での分布の偏りを、前記領域区分毎に、複数の定量化方法により定量化することで、1の前記対象ウェーハに対して特徴量が複数種に定義された第1ウェーハ特徴量を計算することと、
前記第1ウェーハ特徴量を、前記対象ロット毎に、前記定量化方法とは別の複数の計算法を用いて更に計算することで、前記第1ウェーハ特徴量に関して、複数の前記ウェーハ間の類似度を相関係数で表すことと、
前記類似度が予め設定された相関係数閾値以上であるか否かに基づいて前記ウェーハをグルーピングし、第1異常ウェーハIDとして抽出することと、
前記第1異常ウェーハIDの前記不良の前記位置情報を、前記テスト情報から抽出することと、
前記第1異常ウェーハIDの前記不良の前記位置情報からウェーハ面内の複数の不良分布図を、第1異常ウェーハ不良分布図として作成することとを有することを特徴とする不良検出方法。
【請求項5】
前記第1異常ウェーハ不良分布図に基づいて第1クラスタリング不良分布図を作成することを、さらに有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の不良検出方法。
【請求項6】
前記第1クラスタリング不良分布図より、密度閾値毎に、不良の密度が前記密度閾値より高い不良発生領域を、前記対象ウェーハに設定することと、
前記対象ウェーハ毎に、前記不良のウェーハ面内での分布の偏りを、前記不良発生領域に基づいて、定量化する第2ウェーハ特徴量を計算することと、
前記対象ウェーハ毎に算出した前記第2ウェーハ特徴量から、前記対象ロット毎の第2ロット特徴量を算出することと、
前記第2ロット特徴量毎に、前記製造工程毎の前記製造装置間の有意差検定を行うことと、
有意差のある前記製造装置を、第2異常装置として検出することを、さらに有することを特徴とする請求項5に記載の不良検出方法。
【請求項7】
前記第2異常装置を検出した前記第2ロット特徴量を、第2異常検出ロット特徴量として抽出することと、
前記第2異常検出ロット特徴量の第2特徴量閾値を設定することと、
前記第2異常検出ロット特徴量が前記第2特徴量閾値より大きい前記対象ロットのロットIDを、第2異常ロットIDとして抽出することを、さらに有することを特徴とする請求項6に記載の不良検出方法。
【請求項8】
前記第2異常ロットIDのロット内のウェーハのウェーハIDを、第2異常ウェーハIDとして前記処理履歴情報から抽出することと、
前記第2異常検出ロット特徴量に関する前記テストにおける前記第2異常ウェーハIDの前記不良の前記位置情報を、前記テスト情報から抽出することと、
前記第2異常ウェーハIDの前記不良の前記位置情報からウェーハ面内の複数の不良分布図を、第2異常ウェーハ不良分布図として作成することを、さらに有することを特徴とする請求項7に記載の不良検出方法。
【請求項9】
前記第2異常ウェーハ不良分布図に基づいて第2クラスタリング不良分布図を作成することを、さらに有することを特徴とする請求項8に記載の不良検出方法。
【請求項10】
前記領域区分は、前記ウェーハの円の中心の中心角によって分けた角度領域と、前記中心からの距離によって分けた距離領域の重なりの領域であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1つに記載の不良検出方法。
【請求項11】
前記テストは、DCテスト、ファンクションテストとマージンテストの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つに記載の不良検出方法。
【請求項12】
前記第1ウェーハ特徴量は、前記領域区分内での不良の発生率である不良密度と、前記ウェーハに対する前記領域区分への前記不良の偏りをχ2乗値で表す偏り度であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1つに記載の不良検出方法。
【請求項13】
前記第1ロット特徴量は、前記対象ロット内の前記対象ウェーハの前記不良密度と前記偏り度のそれぞれの平均、最大値、上位の平均、前記ウェーハIDの偶奇性による偏り度、前記ウェーハIDの前後半による偏り度の少なくとも1つであることを特徴とする請求項12に記載の不良検出方法。
【請求項14】
前記製造装置間の有意差検定を行うことでは、前記製造工程毎の前記製造装置間で、前記製造装置で処理した前記対象ロットの前記第1ロット特徴量のχ2乗値の検定値を算出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の不良検出方法。
【請求項15】
前記第1クラスタリング不良分布図を作成することは、
前記第1異常ウェーハ不良分布図を重ね合わせ前記第1異常ウェーハ不良分布図の分布を積算すること、または、前記第1異常ウェーハ不良分布図のウェーハ内で位置関係が等しい不良の論理和を算出することであることを特徴とする請求項5乃至9のいずれか1つに記載の不良検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2007−116182(P2007−116182A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−306748(P2006−306748)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【分割の表示】特願2003−173838(P2003−173838)の分割
【原出願日】平成15年6月18日(2003.6.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】