不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、不飽和炭化水素、またはこれらの生成物の不飽和誘導体の誘電性加熱による重合方法
【課題】不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、不飽和炭化水素またはこれらの生成物の不飽和誘導体の、誘電性加熱による重合方法、並びに、獲得される重合体およびこれらの重合体の使用に関する方法を提供する。
【解決手段】重合方法は、試薬または試薬混合物が、重合を行うために、誘電性加熱、すなわち、約30GHzと約3MHz(無線波またはマイクロ波)の間に含まれる周波数におかれることによって特徴づけられる。また、重合方法は、触媒の有無にかかわらず実施される。試薬は、少なくとも不飽和を1つ含み、単独で、または、混合で使用される、脂肪酸、脂肪酸エステル、植物または動物の油、ポリテルペンまたはポリイソブチンタイプの炭化水素、さらには、これらの生成物の誘導体。
【解決手段】重合方法は、試薬または試薬混合物が、重合を行うために、誘電性加熱、すなわち、約30GHzと約3MHz(無線波またはマイクロ波)の間に含まれる周波数におかれることによって特徴づけられる。また、重合方法は、触媒の有無にかかわらず実施される。試薬は、少なくとも不飽和を1つ含み、単独で、または、混合で使用される、脂肪酸、脂肪酸エステル、植物または動物の油、ポリテルペンまたはポリイソブチンタイプの炭化水素、さらには、これらの生成物の誘導体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、不飽和炭化水素、またはこれらの生成物の不飽和誘導体の誘電性加熱による、つまり、マイクロ波あるいは無線波に基づく重合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
不飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸エステルの重合によって得られる化合物は、よく知られている。より具体的には、不飽和の植物油から獲得される重合体を挙げることができる。重合の方法は、脂肪酸の二重結合、または、第1の処理(異性化)後の共役二重結合を用いる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
吹込み油あるいはスタンド油などの重合体の現行の調製方法は、触媒(均質または不均質)の存在下での熱の使用(熱重合)によって特徴づけられる。酸素やアントラキノンのような触媒の使用によって、粘度が高いが、調製後には非常に反応性の高い重合体を獲得することができるが、それは、製品が乾燥する(網状化現象)ことが望まれる塗装のような応用分野においてのみ、興味深いことである。
【0004】
それに反して、潤滑、化粧品研究または薬学などの分野においては、むしろ、外部の抑止作用(酸素、水、など)に対して安定した重合体が所望される。化粧品および薬品では、触媒の痕跡を排除するという制約が付け加わることもある。
【0005】
重合体は次の点に基づいて開発されてきた。すなわち、重合体は少なくとも1つの脂肪酸が、好ましくは触媒がなくかつ酸素のない雰囲気において少なくとも1つの不飽和(共役またはそうではない)を含むトリグリセリドから調製される。これらの開発は、時間を多く必要とする加熱帯、ジロテルムまたは抵抗などの熱的手段を用いており、高い粘性を有する重合体の獲得を一般的に妨げるものである。また、要求される投資の大きさから、コストが高くつく。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、これらの主な欠点を減少させることを可能にする。マイクロ波または無線波を使用することには二重の利益がある。すなわち、まず、マイクロ波または高周波エネルギーは、分子レベルでの相互作用がすぐさま行われる。また、必要なエネルギーが比較的小さい(分子自体が、マイクロ波または無線波の電界によって分極されて、電磁エネルギーを熱に変える)。
【0007】
出願人は、本発明の第1の態様によると、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、不飽和炭化水素、これらの生成物の不飽和誘導体、またはそれらの混合物を、誘電性加熱により、つまり、マイクロ波または無線波、好ましくはマイクロ波により重合することによって、高い粘性の生成物をより有利な反応時間で獲得できることを発見した。
【0008】
本発明は、したがって、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、不飽和炭化水素、これらの生成物の不飽和誘導体、またはそれらの様々な混合物、および類似の生成物の、誘電性加熱による、つまり、マイクロ波または無線波、好ましくはマイクロ波による重合の一般的方法に関するものである。
【0009】
マイクロ波のエネルギーの使用については、産業界ではすでに知られているが、それは異なる領域においてであり、とりわけ、エポキシ樹脂および類似物の領域において、様々な問題に応えるためである。
【0010】
マイクロ波または無線波は、上記のタイプの生成物の、とりわけ、スクアレンの重合について、記載されたことはない。
【0011】
非常に有利なことに、本発明による方法によってあまりコストをかけないで、化粧品に使用されるスクアランを、スクアレンの重合体によっておきかえることができることについても記載されていない。
【0012】
より低コスト投資に加えて、時間およびエネルギーが節約できることにより、誘電性加熱による方法がより迅速およびより経済的であることが確立される。
【0013】
本発明は、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、不飽和炭化水素、植物油、動物性油脂、並びにそれらの不飽和誘導体の重合に関するものである。これらの生成物は、場合によっては事前処理を受けたのちに、未加工で、または精製された形で用いられることができる。
【0014】
反応には、1つのみの試薬、または変動比率での試薬の混合物を介することができる。
【0015】
重合は、1つまたは複数の試薬を、誘電性加熱、つまり、およそ30GHzとおよそ3MHzとの間に含まれる周波数における加熱にかけることによって行われる。マイクロ波は、好ましいとされているが、およそ30GHzとおよそ300MHzとの間に含まれ、好ましくは、2.45GHz(2%の公差で許容される周波)または915MHz(1.4%の公差で許容される周波)である。無線波は、およそ300MHzとおよそ3MHzとの間に含まれ、好ましくは、13.56MHz(0.05%の公差で許容される周波)または27.12MHz(0.6%の公差で許容される周波)である。
【0016】
反応温度は200℃から400℃の間、さらに良くて230℃から350℃に位置し、温度上昇は3から60分の、さらに良くて3から20分であり、全体の反応時間は15分から15時間、好ましくは15分から360分の、さらに良くて15から120分であり、触媒有りまたはなしで、好ましくは触媒なしで、常に攪拌された状態で、獲得が所望されるものに応じて不活性またはそうではない雰囲気におけるものである。
【0017】
本発明に関して、重合の1つまたは複数の試薬については、動物性または植物性油脂の中から、および、前記油脂に由来するものもあるポリテルペンから選択することができる。
【0018】
動物系の油脂として、なかでも、マッコウクジラ油、イルカ油、クジラ油、アザラシ油、イワシ油、ニシン油、サメ油、タラの肝油、牛足油、牛脂、ラード、馬油、羊脂(獣脂)を挙げることができる。
【0019】
植物系の油脂としては、なかでも、なたね油、ひまわり油、落花生油、オリーヴ油、くるみ油、コーン油、大豆油、亜麻油、麻油、ブドウの種油、コプラ油、ヤシ油、綿実油、ババス油、ジョジョバ油、ゴマ油、ひまし油、脱水ひまし油、へーゼルナッツ油、小麦の芽の油、ルリジサ油、マツヨイグサ油、トール油をとりあげることができる。
【0020】
植物油(オリーヴ油、落花生油、なたね油、コーンの芽の油、木綿油、亜麻油、小麦の芽の油、米の襖油)の不鹸化物から抽出される、または、サメ油に大量に含まれているスクアレンのような動物または植物の油の成分を使用することもまたできる。
【0021】
不飽和脂肪酸としては、単一で、または混合で、非限定的な例として、オレイン酸、パルミトレイン酸、ミリスチン酸、ペトロセレン酸、エルカ酸などの単不飽和脂肪酸を1つまたは複数、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸などの多不飽和脂肪酸を1つまたは複数、リカン酸、または、リノール酸あるいはリノレン酸の異性体のような共役ジエンまたは共役トリエンを含む酸を1つまたは複数、リシノール酸のようなヒドロキシル基を1つまたは複数含む酸を1つまたは複数使用することが可能である。
【0022】
不飽和脂肪酸エステルとしては、単一で、または混合で、非限定的な例として、モノアルコールおよび/またはポリオール(単一でまたは混合で)間でのエステル化によって得られる1つまたは複数のエステル、少なくとも1つの不飽和脂肪酸を使用することができる。モノアルコールの非限定的な例として、メタノール、エタノールまたはブタノールを、ポリオールの非限定的な例として、グリセロール、ソルビトール、ネオペンチルグリコール、トリメチルプロパン、ペンタエリトリトール、グリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールを挙げることができる。脂肪酸エステルとして、蝋およびリン脂質を使用することもできる。
【0023】
不飽和炭化水素としては、単一で、または混合で、非限定的な例として、アルケン、例えば、酸素を付加した、またはしない、1つまたは複数のテルペン系の炭化水素、つまり、1つまたは複数のイソプレンの重合体、または、1つまたは複数のイソブテンの、スチレンの、エチレンの、ブタジエンの、イソプレンの、プロペンの重合体、あるいは、これらのアルケンの共重合体を1つまたは複数使用することができる。
【0024】
これらの化合物の不飽和誘導体は、例えば、水素添加、ヒドロキシル化、エポキシ化またはスルホン化などの、当業者には周知であるあらゆる方法による残りの不飽和の機能化によって獲得されることができる。
【0025】
好ましくは、試薬または反応混合物として、1つまたは複数の不飽和脂肪酸エステル、または、少なくとも1つの不飽和を含むそれらの誘導体(アミド、部分的に水素添加された脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン化された脂肪酸エステル、など)を、単独でまたは混合で、1つまたは複数の不飽和炭化水素とともに、使用することにする。
【0026】
当業者は、本発明が、類似の、つまり重合に対してマイクロ波や無線波の同じ機能を許容する化学構造をもつ化合物にも応用されることを理解するであろう。
【0027】
本発明の見出す応用は、スクアレンまたはスピナセンとの関連において、非常に興味深い。とりわけ、サメの肝臓に見出されるコレステロールの前駆体のことである。それは、非常なる緩和性、抗真菌性および抗細菌性の特性により、有名である。それは、さらに、非脂質の触感を備えており、化粧品製品の領域において、真の利点を有するものである。
【0028】
それについては、パラフィンの精製を扱った、フランス特許第2576303号が知られている。また、欧州特許第0228980号に記載されている製造方法も知られている。
【0029】
化粧品学において有用なスクアランを生成するために、スクアレンの6つの二重結合に水素添加することもできる。この技術は、しかしながら、その性質によって非常に高価であり、工業化においては問題である。
【0030】
最後に、オリーヴ油の精製から出る副産物から始めて、エステルを得、エステルを蒸発分離し、取り出したいスクアレンを獲得することができる。
【0031】
確認できるように、スクアレンおよびその誘導体は、よく研究されており、それは、工業におけるこれらの生成物の価値につりあったものである。
【0032】
上述されているように、これらの生成物は、化粧品研究において大きな潜在的利益を有する。しかしながら、化粧品に使用可能な重合を獲得するためにスクアレンを重合しようとすると、これまでの方法は非常にコストのかかる加熱を用いることになる。
【0033】
マイクロ波または高周波の使用によって、本発明によると、スクアレンを重合することにおいて、上述された問題が解決される。
【0034】
以下に、本発明の、これらの生成物への応用のより詳細な記述をする。
【0035】
実験式C30H50のスクアレンまたはスピナセンは、次の構造式を有するポリテルペンである。
【0036】
【化1】
【0037】
人間の皮脂は、ポリテレペンを10%を超えて含むことから、その利は皮膚科学および化粧品学にある。というのは、スクアレンは肌を柔らかくし(緩和性質)、その保護(抗細菌性、抗真菌性)に関与するからである。それは、有効成分の良い媒介物(皮膚科学における応用)である。しかし、化粧品学研究者は、むしろ、スクアラン(水素添加されたスクアレン)を使用する、なぜなら、スクアランは、飽和しているので酸化に対してより安定しているからである。しかるに、スクアレンへの水素添加は高くつき、パラフィン系の油および蝋のような従来の炭化水素に対して、ほとんど差異をもたらさない。
【0038】
有利なことには、そして、本発明の第2の態様によると、出願人は、スクアランをスクアレンによっておきかえ、該スクアレンを−マイクロ波または無線波によって−、単独で、または、1つまたは複数の不飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸エステルまたは植物油あるいは動物油または別の不飽和炭化水素と組み合わせて重合することを提案する。スクアランは時折水素添加されたポリイソブチレン(不飽和の炭化水素)によっておきかえられることがあるので、本発明から逸脱することなく、ポリイソブチレンによってスクアレンをおきかえることができる。
【0039】
動物系または植物系のこれらの油脂、並びにそれらの誘導体は、それらを反応性を高くするため、または反対に反応性を低くするための事前処理を受けることができる。本発明は、孤立した試薬にも、2つまたは複数の成分あるいは試薬を含む試薬の混合物にも関わるものである。これらの試薬の混合物は、それぞれの成分を同じ割合で有することができる、または、ある成分が主要になることが可能である。
【0040】
重合は、試薬または試薬の混合物の誘電性加熱によって、つまり、マイクロ波または無線波における加熱によって獲得される。選択される温度は、好ましくは、200℃と400℃の間に位置し、220℃と350℃の間であるとなお良い。
【0041】
マイクロ波または無線波を使用することによって、選択される温度上昇の時間(つまり、環境温度から重合の温度への移行時間)を3分から60分の間、さらに良いことには3分から20分の間から選択させることが可能となる。
【0042】
温度上昇の時間が減少することによって、試薬を重合の理想的な状態に迅速におくこと、並びに、反応の総時間を減少させることが可能になるが、短い時間においてより大きなエネルギー出力に依存することとなる。
【0043】
反応の総時間は、使用される試薬、および所望の粘性に応じるものであり、好ましくは15分から15時間、好ましくは15分から360分の間に位置し、さらに良いのは、15分から120分の間である。反応の総時間は、より高い温度を用いることによって減少させることができるであろう。しかしながら、高すぎる温度は、生成物の劣化を引き起こすことがある。
【0044】
したがって、短時間で、しかしながらエネルギーの過度の消費も生成物の劣化のリスクもない、最適な重合を可能にする反応温度/反応の総時間を選択しなければならない。当業者は、ここに指示された基準にしたがって、日々のテストによってこれらのパラメータの最適化を行うことができるであろう。
【0045】
重合は触媒有りでまたはなしで行われることができる。触媒は、均質または不均質であることができる。例として、均質な触媒として、アントラキノン、無水亜硫酸、または、可溶性ニッケル塩を使用することができる。例として、不均質な触媒としては、ゼオライトまたは酸の形のイオン交換樹脂を使用することができる。好ましくは、誘電性加熱において分子の相互作用を増加させる効果のあるモンモリロナイトまたはベントナイトのタイプの粘土のような、無線波またはマイクロ波に特に適した触媒を使用する。
【0046】
反応器において温度が均一であることを確保するために、攪拌が十分であるかを確認する。
【0047】
重合を、通常のまたは酸素の多い雰囲気(例えば、吹込み油の製造のため)において、あるいは、好ましくは、不活性の雰囲気(窒素、アルゴン、ヘリウム、または単独であるいは混合で用いられる他の希ガスの存在下で)、行うことができる。好ましくは、雰囲気を更新することに留意しながら、低い気圧において行う。
【0048】
スクアレンの場合、本発明は、単独で、または上記に挙げられたうちの少なくとも1つの試薬との混合で、上に述べられた方法で、スクアレンを重合することによって、飽和していない結合の数を減らすことにあり、それによって、粘性が重合の度合いに関連する、酸化に対して安定した重合体を獲得することができる。このようにして、スクアレンに2つ目の機能をもたらす。例えば、獲得される重合体は、その緩和性の面に加えて、化粧品の調合のための粘着剤となる。さらに、上述された重合の方法は、高価な触媒を用いる水素添加の方法よりもコストがかからない。
【0049】
重合の作業を「バッチ」で(不連続で)実現することができるが、有利な方として、時間的に限られている反応については、連続の方法を用いる。
【0050】
重合を停止させるためには、試薬混合物の温度を、反応温度より低くなるように下げるだけで十分である。反応温度は、本質的に試薬混合物に応じるものである。反応器の壁による不活性が存在しないので、マイクロ波または無線波の使用が、作業方法においてとりわけ有利であることに注意するべきである。
【0051】
一連の補足段落によって、最終使用者の必要に応じて、重合体を精製することが可能である。獲得された重合体の酸指数を減少させ、脱臭し、水分含有量を減少させ、脱色することができる。
【0052】
これらの精製のステップは、当業者には良く知られている。いくつかとりあげることができる。
【0053】
重合体における自由なカルボン酸の数を反映する酸指数を減少させることは、アルコール、エポキシド、水酸化物、グリシジルエステルから選択される物質を、単独で、または、組み合わせて、過剰に加えることによって、行われる。このようにして、エステル、塩などを合成することによって、酸性を中和する。そのためには、試薬混合物の温度を、これらのエステル、塩などの反応温度まで下げるだけで十分である。
【0054】
注目すべき点は、マイクロ波または無線波のおかげでこのステップに関して時間を稼ぐことであり、というのも、反応時間は重合体に応じて3分から3時間であり、一方で従来の加熱方法は平均でその5倍かかるということに注意するべきである。
【0055】
脱臭は、飛沫同伴によって行われることができる。この作業は、50℃から240℃に含まれる温度で行われる。
【0056】
このステップの後、従来の加熱方法(水の沸騰温度に達するための従来の方法による加熱および真空蒸留、または、乾燥させる化合物の使用)によって、または、有利な方としては、誘電性加熱を用いて、つまり、水分子を反応させて、ここでもまた、時間を稼ぐことを可能にするマイクロ波または無線波を用いて、水分含有量を減少させる。当業者は、検討される応用によって、適した水分含有量削減を決めるであろう。例えば、潤滑剤については、500ppmを下回る含有量が望ましい。
【0057】
最初の試薬または試薬混合物の水分含有量が多すぎると判断される場合には、重合のステップを行う前に水分含有量の削減を行う。上述のように、従来の加熱方法、または、有利な方では、誘電性加熱を用いることができる。例として、試薬混合物がエステルで構成されている場合、このように行うことによって、重合の最後における大きな酸指数の原因である加水分解現象を大幅にやわらげることになる。
【0058】
脱色は、酸素を添加された水を使用することによって、または、脱色土を用いて、さらには、獲得された重合体を活性炭素フィルターに通すことによって、行われることができる。
【0059】
獲得された重合体は、非限定的な例として、
−亜麻油のような乾燥性の試薬(スタンド油または吹込み油の製造)または乾燥性試薬の混合物を選択する場合、ペンキ、糊、接着剤に、
−ひまわり油、大豆油またはキャノーラ油のような乾燥性のより低い試薬を選択する場合、潤滑剤または潤滑剤用能力添加剤の調製に、
−例えば、100から0%の脂肪酸エステルまたは不飽和植物油(ひまわり、大豆、なたね、ひまし、など)に対して0から100重量%のスクアレンまたはポリイソブチレンの試薬混合物を選択する場合、化粧品の調製に、
−可塑性添加剤として、プラスチック、ゴム、などの調製に、
使用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】所定の条件において得られたクロマトグラムである。
【図2】所定の条件において得られたクロマトグラムである。
【図3】所定の条件において得られたクロマトグラムである。
【図4】所定の条件において得られたクロマトグラムである。
【図5】所定の条件において得られたクロマトグラムである。
【図6】所定の条件において得られたクロマトグラムである。
【図7】所定の条件において得られたクロマトグラムである。
【図8】所定の条件において得られたクロマトグラムである。
【図9】所定の条件において得られたクロマトグラムである。
【図10】所定の条件において得られたクロマトグラムである。
【図11】所定の条件において得られたクロマトグラムである。
【図12】所定の条件において得られたクロマトグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下の例は、全く限定的ではなく、本発明の範囲および利点を説明するものである。例は、マイクロ波または無線波の使用が、試薬の重合速度を目覚ましく加速できることを証明することをねらいとするものである。利点はあるものの、立証にもたらすものが少ない精製のステップを加えなかったのは、そのためである。
【0062】
Prolabo社の電子レンジSynthewave(TM)を使用して、重合体を調製した。この機器は、試薬にマイクロ波エネルギーを集束させることを可能にする導波管を備えている。それは、600Wの消費に対して300Wのエネルギーを放出する。波長は2.45GHzである。250mlの水晶の反応器内に、テストされる100mlの試薬を入れた。器械は、温度上昇が従来の方法において観察される温度上昇に同一であるように制御される。そのことによって、マイクロ波が触媒効果を有することを明らかにされる。しかしながら、マイクロ波の場合、温度上昇の時間を、従来の加熱方法に対して80%まで減少させることが可能である。
【0063】
同じ実験を、従来の加熱で準備する。抵抗によって外部から加熱される250mlの反応器内に、テストされる100mlの試薬を入れた。
攪拌速度は、両方の場合において、60から100回転/分(粘性の増加によって変動)である。
【0064】
【表1】
【0065】
示された温度は、温度上昇後の平均温度である。マイクロ波による加熱の場合に観察される温度の勾配が、従来の方法による加熱の場合に観察される温度の勾配に対して逆になっていることに注意するべきである。前者の場合、反応器の壁の温度は、試薬混合物の中の温度よりも低い。後者では、その反対である。したがって、平均温度をとることが重要である。
【0066】
粘性は、40℃での動的粘性であり、結果はPa×sで表される。レオメーターCarry Med(TM)において、これらの測定を実現した。結果こそが重合体の形成を明らかにしている。
【0067】
ヨウ素価によって、反応した不飽和を測定することができる。規格NFISO3961を使用した。
【0068】
試薬混合物の温度のレベルが実際に生成物の最終的な粘性に影響することが明らかである。いずれの場合においても、マイクロ波の使用によって、反応時間を大幅に減少させることができることが確認される。
【0069】
化粧品への応用
全部かもしくは一部、以下の材料の全部または一部を、1時間300℃の誘電性加熱によって重合されたひまわり油(HTP)によっておきかえることによって、手のケアクリームの配合を変更した。
【0070】
【表2】
【0071】
変更された配合の利点は以下のとおりである。
−応用において、泡立ちが少ない。
−より緩和性がある(肌を柔らかくする)。
−肌の保湿を守るバリアを形成する。
【0072】
重合されたひまわり油は、化粧品製品の配合者にとって、有利なものである、なぜなら、
−水の比率を上げたのに、配合の緩和能力がより大きい。
−HTPは粘化能力がある。
−HTPは共乳化剤(粘稠化剤)である。
【0073】
重合体の分析
高性能の液体クロマトグラフィ(IUPAC2508)によって、同じ粘性を有する(40℃で460cSt)、しかし、本発明による誘電性加熱(CD)によって、あるいは、従来の加熱(CT)によって製造された、重合されたひまわり油の4標本のトリグリセリド重合体のパーセンテージを規定した。
【0074】
【表3】
【0075】
標本107および163のクロマトグラムは、保持時間TR=6.65分のピークのレベルにおいて、独自の斜面を有する。
【0076】
トリグリセリドの重合体の秤量に使用されるIUPAC2508法は、従来の加熱によって製造されたトリグリセリド重合体には完璧に適しているが、誘電性加熱によって製造されたトリグリセリド重合体には適していない。
【0077】
ここで、この新しい方法によって獲得される重合体の特性を明らかにしよう。
【0078】
付属の1から12までの図面は、読解を容易にするために、それぞれの図面に示された条件において得られたクロマトグラムを表している。
【0079】
本方法の質的利点
「バーンアップ」を避ける:
従来の、つまり、伝導による加熱は、壁を熱し、壁自体が製品を熱する。温度勾配は、壁と中心とでは非常に大きく、そのことは、攪拌下においてさえも、壁においての分子の過熱現象を起こす。バーンアップ(脂肪体の場合ではニスとなって表われることのある炭化の初め)は、脂肪体に関しては、生成物のタイプによる煙点の上で現れる。ひまわり油は、150℃程度の煙点を有する。したがって、植物油の重合のために、反応器が汚れ、それは大規模な清掃を強いることとなる。誘電性加熱を使用する場合、この現象が起こることはない。従来の加熱の場合、温度上昇時間を減少させようとすればするほど、反応器の汚れを増やすことになる。誘電性加熱ではこの現象は観察されない。
【0080】
不活性を避ける:
従来のあらゆる加熱は、熱を保存する壁の能力に由来する不活性を有する。機器の停止は、反応器の温度の低下を同時には引き起こさない。潜伏の時間が存在するのである。誘電性加熱では、波の停止は、即刻、生成物の温度の低下を引き起こす。
【0081】
本方法の量的利点
本発明の範囲内における誘電性加熱使用の大きな利点の1つは、バーンアップ現象を観察することなしに、温度上昇時間を大幅に減少させることである。
【0082】
次の実験を行った。すなわち、33gのひまわり油を、導波管に置かれた40mmの直径の水晶のるつぼに入れて攪拌する。2.45GHzの周波のマイクロ波発生器によって、標本を1000Wの出力におく。マイクロ波での加熱の間、油に浸される光学繊維の探測によって温度を測定する蛍光温度計(電磁場において干渉しない)を使用する。油が20℃から320℃に移るまで75秒かかる。
【0083】
第2の実験は、実験のなかで、電磁場のみを、るつぼの壁に400℃以上(3分後には474℃)に達する熱い空気の流れによっておきかえることにある。油が320℃に到達するのに7分30かかるだけでなく、るつぼの壁の汚れがあることが注意される。そのことは、るつぼの内部の温度勾配が非常に大きいことに由来する。377℃を超えないようにして実験を繰り返す。今度は、油が320℃に届くまでに24分かかる。
【0084】
【表4】
【0085】
利点のある他の原料
植物油が多不飽和であればあるほど、油の重合反応は速い。同様に、反応時間を少なくするためには、単不飽和または多不飽和の油との混合で、共役脂肪酸(例えば、共役ジエンまたはトリエン)の比率の高い油を使用することが有利であり得る。これらの油において、唐木油または桐油(70から80%のα‐エレオステアリン酸を含む)、高い比率の共役リノール酸を得るようにリノール酸を異性化した油(例えば、塩基的触媒作用によって異性化されたひまわり油)、何らかのウリ科の種子からの油(プニカ酸が約20%)、オイシチカ油(リカン酸が約80%)、カレンデュラ油(55%を超えるカレンド酸(8t、10t、12c−18:3)を含む)、または、脱水ひまし油を挙げることができる。
【0086】
脱水ひまし油は、市場において大量に入手可能な油から獲得されることができる(ひまし油の世界での生産量は1年あたり数十万トンである−出典:Oil World Annual)という利点を有し、さらに、それを獲得するのは、リノール酸に富む油の共役に比較して、むしろ容易である。
【0087】
脱水ひまし油は、酸性の触媒の存在下において、230−250℃程度での温度にひまし油を加熱することによって獲得される。
【0088】
出願人は、誘電性加熱を用いることによって、ひまし油の脱水のための反応時間を減少させることを発見した。
【0089】
ひまし油の脂肪酸組成は、次のとおりである:(%):
【0090】
【表5】
【0091】
それは、C18:1(OH)またはリシノール酸を大部分含む。
【0092】
油の典型的な特徴は次のとおりである:
【0093】
【表6】
【0094】
比較実験のために、ヨウ素価が85であったひまし油を使用した。
【0095】
以下の器材を使用した:
【0096】
【表7】
【0097】
75mlのひまし油No1を4重量%のモンモリロナイトK10と混合する。攪拌速度は120回転/分である。窒素の雰囲気下で、環境温度から230℃へ20分で上げ、ついで、真空下で温度を230℃に、従来の加熱については200分間、誘電性加熱については80分間保つ。獲得された生成物は濾過され、分析される。
【0098】
【表8】
【0099】
ひまし油を脱水する時、粘性は低下し、ヨウ素価は増加する。この実験は、ひまし油の脱水が従来の加熱においてよりも、誘電性加熱においてより速いことを示している。より良い結果においては反応時間を2時間稼いだことに成る。
【0100】
誘電性加熱によるこの脱水ひまし油は、ついで、なたね油またはひまわり油のような単または多不飽和植物油と共に重合に使用されることができる。このようにして、不活性雰囲気において1時間で、非常に高い粘性の共重合体を獲得する。
【0101】
本発明は、また、このように獲得される重合体、およびそれらの皮膚科学、化粧品学への、または、とりわけ、潤滑剤、可塑性材料、ゴムおよび類似物用の添加剤調製のための応用に関するものである。
【0102】
本発明は、このように獲得される、または、このような重合体を少なくとも1つ含む皮膚科学製品または化粧製品、並びに、前記の添加剤、とりわけ、潤滑剤、可塑性材料、ゴムおよび類似物用のものにも関するものである。
【0103】
本発明は、最後に、このような添加剤を少なくとも1つ含む工業製品に関するものである。
【0104】
本発明は、説明として、そして非限定的に、記載された。当然、その枠を超えることなしに、そこにあらゆる有用な変更がもたらされることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0105】
【特許文献1】フランス特許第2576303号明細書
【特許文献2】欧州特許第0228980号明細書
【技術分野】
【0001】
本発明は、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、不飽和炭化水素、またはこれらの生成物の不飽和誘導体の誘電性加熱による、つまり、マイクロ波あるいは無線波に基づく重合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
不飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸エステルの重合によって得られる化合物は、よく知られている。より具体的には、不飽和の植物油から獲得される重合体を挙げることができる。重合の方法は、脂肪酸の二重結合、または、第1の処理(異性化)後の共役二重結合を用いる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
吹込み油あるいはスタンド油などの重合体の現行の調製方法は、触媒(均質または不均質)の存在下での熱の使用(熱重合)によって特徴づけられる。酸素やアントラキノンのような触媒の使用によって、粘度が高いが、調製後には非常に反応性の高い重合体を獲得することができるが、それは、製品が乾燥する(網状化現象)ことが望まれる塗装のような応用分野においてのみ、興味深いことである。
【0004】
それに反して、潤滑、化粧品研究または薬学などの分野においては、むしろ、外部の抑止作用(酸素、水、など)に対して安定した重合体が所望される。化粧品および薬品では、触媒の痕跡を排除するという制約が付け加わることもある。
【0005】
重合体は次の点に基づいて開発されてきた。すなわち、重合体は少なくとも1つの脂肪酸が、好ましくは触媒がなくかつ酸素のない雰囲気において少なくとも1つの不飽和(共役またはそうではない)を含むトリグリセリドから調製される。これらの開発は、時間を多く必要とする加熱帯、ジロテルムまたは抵抗などの熱的手段を用いており、高い粘性を有する重合体の獲得を一般的に妨げるものである。また、要求される投資の大きさから、コストが高くつく。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、これらの主な欠点を減少させることを可能にする。マイクロ波または無線波を使用することには二重の利益がある。すなわち、まず、マイクロ波または高周波エネルギーは、分子レベルでの相互作用がすぐさま行われる。また、必要なエネルギーが比較的小さい(分子自体が、マイクロ波または無線波の電界によって分極されて、電磁エネルギーを熱に変える)。
【0007】
出願人は、本発明の第1の態様によると、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、不飽和炭化水素、これらの生成物の不飽和誘導体、またはそれらの混合物を、誘電性加熱により、つまり、マイクロ波または無線波、好ましくはマイクロ波により重合することによって、高い粘性の生成物をより有利な反応時間で獲得できることを発見した。
【0008】
本発明は、したがって、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、不飽和炭化水素、これらの生成物の不飽和誘導体、またはそれらの様々な混合物、および類似の生成物の、誘電性加熱による、つまり、マイクロ波または無線波、好ましくはマイクロ波による重合の一般的方法に関するものである。
【0009】
マイクロ波のエネルギーの使用については、産業界ではすでに知られているが、それは異なる領域においてであり、とりわけ、エポキシ樹脂および類似物の領域において、様々な問題に応えるためである。
【0010】
マイクロ波または無線波は、上記のタイプの生成物の、とりわけ、スクアレンの重合について、記載されたことはない。
【0011】
非常に有利なことに、本発明による方法によってあまりコストをかけないで、化粧品に使用されるスクアランを、スクアレンの重合体によっておきかえることができることについても記載されていない。
【0012】
より低コスト投資に加えて、時間およびエネルギーが節約できることにより、誘電性加熱による方法がより迅速およびより経済的であることが確立される。
【0013】
本発明は、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、不飽和炭化水素、植物油、動物性油脂、並びにそれらの不飽和誘導体の重合に関するものである。これらの生成物は、場合によっては事前処理を受けたのちに、未加工で、または精製された形で用いられることができる。
【0014】
反応には、1つのみの試薬、または変動比率での試薬の混合物を介することができる。
【0015】
重合は、1つまたは複数の試薬を、誘電性加熱、つまり、およそ30GHzとおよそ3MHzとの間に含まれる周波数における加熱にかけることによって行われる。マイクロ波は、好ましいとされているが、およそ30GHzとおよそ300MHzとの間に含まれ、好ましくは、2.45GHz(2%の公差で許容される周波)または915MHz(1.4%の公差で許容される周波)である。無線波は、およそ300MHzとおよそ3MHzとの間に含まれ、好ましくは、13.56MHz(0.05%の公差で許容される周波)または27.12MHz(0.6%の公差で許容される周波)である。
【0016】
反応温度は200℃から400℃の間、さらに良くて230℃から350℃に位置し、温度上昇は3から60分の、さらに良くて3から20分であり、全体の反応時間は15分から15時間、好ましくは15分から360分の、さらに良くて15から120分であり、触媒有りまたはなしで、好ましくは触媒なしで、常に攪拌された状態で、獲得が所望されるものに応じて不活性またはそうではない雰囲気におけるものである。
【0017】
本発明に関して、重合の1つまたは複数の試薬については、動物性または植物性油脂の中から、および、前記油脂に由来するものもあるポリテルペンから選択することができる。
【0018】
動物系の油脂として、なかでも、マッコウクジラ油、イルカ油、クジラ油、アザラシ油、イワシ油、ニシン油、サメ油、タラの肝油、牛足油、牛脂、ラード、馬油、羊脂(獣脂)を挙げることができる。
【0019】
植物系の油脂としては、なかでも、なたね油、ひまわり油、落花生油、オリーヴ油、くるみ油、コーン油、大豆油、亜麻油、麻油、ブドウの種油、コプラ油、ヤシ油、綿実油、ババス油、ジョジョバ油、ゴマ油、ひまし油、脱水ひまし油、へーゼルナッツ油、小麦の芽の油、ルリジサ油、マツヨイグサ油、トール油をとりあげることができる。
【0020】
植物油(オリーヴ油、落花生油、なたね油、コーンの芽の油、木綿油、亜麻油、小麦の芽の油、米の襖油)の不鹸化物から抽出される、または、サメ油に大量に含まれているスクアレンのような動物または植物の油の成分を使用することもまたできる。
【0021】
不飽和脂肪酸としては、単一で、または混合で、非限定的な例として、オレイン酸、パルミトレイン酸、ミリスチン酸、ペトロセレン酸、エルカ酸などの単不飽和脂肪酸を1つまたは複数、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸などの多不飽和脂肪酸を1つまたは複数、リカン酸、または、リノール酸あるいはリノレン酸の異性体のような共役ジエンまたは共役トリエンを含む酸を1つまたは複数、リシノール酸のようなヒドロキシル基を1つまたは複数含む酸を1つまたは複数使用することが可能である。
【0022】
不飽和脂肪酸エステルとしては、単一で、または混合で、非限定的な例として、モノアルコールおよび/またはポリオール(単一でまたは混合で)間でのエステル化によって得られる1つまたは複数のエステル、少なくとも1つの不飽和脂肪酸を使用することができる。モノアルコールの非限定的な例として、メタノール、エタノールまたはブタノールを、ポリオールの非限定的な例として、グリセロール、ソルビトール、ネオペンチルグリコール、トリメチルプロパン、ペンタエリトリトール、グリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールを挙げることができる。脂肪酸エステルとして、蝋およびリン脂質を使用することもできる。
【0023】
不飽和炭化水素としては、単一で、または混合で、非限定的な例として、アルケン、例えば、酸素を付加した、またはしない、1つまたは複数のテルペン系の炭化水素、つまり、1つまたは複数のイソプレンの重合体、または、1つまたは複数のイソブテンの、スチレンの、エチレンの、ブタジエンの、イソプレンの、プロペンの重合体、あるいは、これらのアルケンの共重合体を1つまたは複数使用することができる。
【0024】
これらの化合物の不飽和誘導体は、例えば、水素添加、ヒドロキシル化、エポキシ化またはスルホン化などの、当業者には周知であるあらゆる方法による残りの不飽和の機能化によって獲得されることができる。
【0025】
好ましくは、試薬または反応混合物として、1つまたは複数の不飽和脂肪酸エステル、または、少なくとも1つの不飽和を含むそれらの誘導体(アミド、部分的に水素添加された脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン化された脂肪酸エステル、など)を、単独でまたは混合で、1つまたは複数の不飽和炭化水素とともに、使用することにする。
【0026】
当業者は、本発明が、類似の、つまり重合に対してマイクロ波や無線波の同じ機能を許容する化学構造をもつ化合物にも応用されることを理解するであろう。
【0027】
本発明の見出す応用は、スクアレンまたはスピナセンとの関連において、非常に興味深い。とりわけ、サメの肝臓に見出されるコレステロールの前駆体のことである。それは、非常なる緩和性、抗真菌性および抗細菌性の特性により、有名である。それは、さらに、非脂質の触感を備えており、化粧品製品の領域において、真の利点を有するものである。
【0028】
それについては、パラフィンの精製を扱った、フランス特許第2576303号が知られている。また、欧州特許第0228980号に記載されている製造方法も知られている。
【0029】
化粧品学において有用なスクアランを生成するために、スクアレンの6つの二重結合に水素添加することもできる。この技術は、しかしながら、その性質によって非常に高価であり、工業化においては問題である。
【0030】
最後に、オリーヴ油の精製から出る副産物から始めて、エステルを得、エステルを蒸発分離し、取り出したいスクアレンを獲得することができる。
【0031】
確認できるように、スクアレンおよびその誘導体は、よく研究されており、それは、工業におけるこれらの生成物の価値につりあったものである。
【0032】
上述されているように、これらの生成物は、化粧品研究において大きな潜在的利益を有する。しかしながら、化粧品に使用可能な重合を獲得するためにスクアレンを重合しようとすると、これまでの方法は非常にコストのかかる加熱を用いることになる。
【0033】
マイクロ波または高周波の使用によって、本発明によると、スクアレンを重合することにおいて、上述された問題が解決される。
【0034】
以下に、本発明の、これらの生成物への応用のより詳細な記述をする。
【0035】
実験式C30H50のスクアレンまたはスピナセンは、次の構造式を有するポリテルペンである。
【0036】
【化1】
【0037】
人間の皮脂は、ポリテレペンを10%を超えて含むことから、その利は皮膚科学および化粧品学にある。というのは、スクアレンは肌を柔らかくし(緩和性質)、その保護(抗細菌性、抗真菌性)に関与するからである。それは、有効成分の良い媒介物(皮膚科学における応用)である。しかし、化粧品学研究者は、むしろ、スクアラン(水素添加されたスクアレン)を使用する、なぜなら、スクアランは、飽和しているので酸化に対してより安定しているからである。しかるに、スクアレンへの水素添加は高くつき、パラフィン系の油および蝋のような従来の炭化水素に対して、ほとんど差異をもたらさない。
【0038】
有利なことには、そして、本発明の第2の態様によると、出願人は、スクアランをスクアレンによっておきかえ、該スクアレンを−マイクロ波または無線波によって−、単独で、または、1つまたは複数の不飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸エステルまたは植物油あるいは動物油または別の不飽和炭化水素と組み合わせて重合することを提案する。スクアランは時折水素添加されたポリイソブチレン(不飽和の炭化水素)によっておきかえられることがあるので、本発明から逸脱することなく、ポリイソブチレンによってスクアレンをおきかえることができる。
【0039】
動物系または植物系のこれらの油脂、並びにそれらの誘導体は、それらを反応性を高くするため、または反対に反応性を低くするための事前処理を受けることができる。本発明は、孤立した試薬にも、2つまたは複数の成分あるいは試薬を含む試薬の混合物にも関わるものである。これらの試薬の混合物は、それぞれの成分を同じ割合で有することができる、または、ある成分が主要になることが可能である。
【0040】
重合は、試薬または試薬の混合物の誘電性加熱によって、つまり、マイクロ波または無線波における加熱によって獲得される。選択される温度は、好ましくは、200℃と400℃の間に位置し、220℃と350℃の間であるとなお良い。
【0041】
マイクロ波または無線波を使用することによって、選択される温度上昇の時間(つまり、環境温度から重合の温度への移行時間)を3分から60分の間、さらに良いことには3分から20分の間から選択させることが可能となる。
【0042】
温度上昇の時間が減少することによって、試薬を重合の理想的な状態に迅速におくこと、並びに、反応の総時間を減少させることが可能になるが、短い時間においてより大きなエネルギー出力に依存することとなる。
【0043】
反応の総時間は、使用される試薬、および所望の粘性に応じるものであり、好ましくは15分から15時間、好ましくは15分から360分の間に位置し、さらに良いのは、15分から120分の間である。反応の総時間は、より高い温度を用いることによって減少させることができるであろう。しかしながら、高すぎる温度は、生成物の劣化を引き起こすことがある。
【0044】
したがって、短時間で、しかしながらエネルギーの過度の消費も生成物の劣化のリスクもない、最適な重合を可能にする反応温度/反応の総時間を選択しなければならない。当業者は、ここに指示された基準にしたがって、日々のテストによってこれらのパラメータの最適化を行うことができるであろう。
【0045】
重合は触媒有りでまたはなしで行われることができる。触媒は、均質または不均質であることができる。例として、均質な触媒として、アントラキノン、無水亜硫酸、または、可溶性ニッケル塩を使用することができる。例として、不均質な触媒としては、ゼオライトまたは酸の形のイオン交換樹脂を使用することができる。好ましくは、誘電性加熱において分子の相互作用を増加させる効果のあるモンモリロナイトまたはベントナイトのタイプの粘土のような、無線波またはマイクロ波に特に適した触媒を使用する。
【0046】
反応器において温度が均一であることを確保するために、攪拌が十分であるかを確認する。
【0047】
重合を、通常のまたは酸素の多い雰囲気(例えば、吹込み油の製造のため)において、あるいは、好ましくは、不活性の雰囲気(窒素、アルゴン、ヘリウム、または単独であるいは混合で用いられる他の希ガスの存在下で)、行うことができる。好ましくは、雰囲気を更新することに留意しながら、低い気圧において行う。
【0048】
スクアレンの場合、本発明は、単独で、または上記に挙げられたうちの少なくとも1つの試薬との混合で、上に述べられた方法で、スクアレンを重合することによって、飽和していない結合の数を減らすことにあり、それによって、粘性が重合の度合いに関連する、酸化に対して安定した重合体を獲得することができる。このようにして、スクアレンに2つ目の機能をもたらす。例えば、獲得される重合体は、その緩和性の面に加えて、化粧品の調合のための粘着剤となる。さらに、上述された重合の方法は、高価な触媒を用いる水素添加の方法よりもコストがかからない。
【0049】
重合の作業を「バッチ」で(不連続で)実現することができるが、有利な方として、時間的に限られている反応については、連続の方法を用いる。
【0050】
重合を停止させるためには、試薬混合物の温度を、反応温度より低くなるように下げるだけで十分である。反応温度は、本質的に試薬混合物に応じるものである。反応器の壁による不活性が存在しないので、マイクロ波または無線波の使用が、作業方法においてとりわけ有利であることに注意するべきである。
【0051】
一連の補足段落によって、最終使用者の必要に応じて、重合体を精製することが可能である。獲得された重合体の酸指数を減少させ、脱臭し、水分含有量を減少させ、脱色することができる。
【0052】
これらの精製のステップは、当業者には良く知られている。いくつかとりあげることができる。
【0053】
重合体における自由なカルボン酸の数を反映する酸指数を減少させることは、アルコール、エポキシド、水酸化物、グリシジルエステルから選択される物質を、単独で、または、組み合わせて、過剰に加えることによって、行われる。このようにして、エステル、塩などを合成することによって、酸性を中和する。そのためには、試薬混合物の温度を、これらのエステル、塩などの反応温度まで下げるだけで十分である。
【0054】
注目すべき点は、マイクロ波または無線波のおかげでこのステップに関して時間を稼ぐことであり、というのも、反応時間は重合体に応じて3分から3時間であり、一方で従来の加熱方法は平均でその5倍かかるということに注意するべきである。
【0055】
脱臭は、飛沫同伴によって行われることができる。この作業は、50℃から240℃に含まれる温度で行われる。
【0056】
このステップの後、従来の加熱方法(水の沸騰温度に達するための従来の方法による加熱および真空蒸留、または、乾燥させる化合物の使用)によって、または、有利な方としては、誘電性加熱を用いて、つまり、水分子を反応させて、ここでもまた、時間を稼ぐことを可能にするマイクロ波または無線波を用いて、水分含有量を減少させる。当業者は、検討される応用によって、適した水分含有量削減を決めるであろう。例えば、潤滑剤については、500ppmを下回る含有量が望ましい。
【0057】
最初の試薬または試薬混合物の水分含有量が多すぎると判断される場合には、重合のステップを行う前に水分含有量の削減を行う。上述のように、従来の加熱方法、または、有利な方では、誘電性加熱を用いることができる。例として、試薬混合物がエステルで構成されている場合、このように行うことによって、重合の最後における大きな酸指数の原因である加水分解現象を大幅にやわらげることになる。
【0058】
脱色は、酸素を添加された水を使用することによって、または、脱色土を用いて、さらには、獲得された重合体を活性炭素フィルターに通すことによって、行われることができる。
【0059】
獲得された重合体は、非限定的な例として、
−亜麻油のような乾燥性の試薬(スタンド油または吹込み油の製造)または乾燥性試薬の混合物を選択する場合、ペンキ、糊、接着剤に、
−ひまわり油、大豆油またはキャノーラ油のような乾燥性のより低い試薬を選択する場合、潤滑剤または潤滑剤用能力添加剤の調製に、
−例えば、100から0%の脂肪酸エステルまたは不飽和植物油(ひまわり、大豆、なたね、ひまし、など)に対して0から100重量%のスクアレンまたはポリイソブチレンの試薬混合物を選択する場合、化粧品の調製に、
−可塑性添加剤として、プラスチック、ゴム、などの調製に、
使用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】所定の条件において得られたクロマトグラムである。
【図2】所定の条件において得られたクロマトグラムである。
【図3】所定の条件において得られたクロマトグラムである。
【図4】所定の条件において得られたクロマトグラムである。
【図5】所定の条件において得られたクロマトグラムである。
【図6】所定の条件において得られたクロマトグラムである。
【図7】所定の条件において得られたクロマトグラムである。
【図8】所定の条件において得られたクロマトグラムである。
【図9】所定の条件において得られたクロマトグラムである。
【図10】所定の条件において得られたクロマトグラムである。
【図11】所定の条件において得られたクロマトグラムである。
【図12】所定の条件において得られたクロマトグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下の例は、全く限定的ではなく、本発明の範囲および利点を説明するものである。例は、マイクロ波または無線波の使用が、試薬の重合速度を目覚ましく加速できることを証明することをねらいとするものである。利点はあるものの、立証にもたらすものが少ない精製のステップを加えなかったのは、そのためである。
【0062】
Prolabo社の電子レンジSynthewave(TM)を使用して、重合体を調製した。この機器は、試薬にマイクロ波エネルギーを集束させることを可能にする導波管を備えている。それは、600Wの消費に対して300Wのエネルギーを放出する。波長は2.45GHzである。250mlの水晶の反応器内に、テストされる100mlの試薬を入れた。器械は、温度上昇が従来の方法において観察される温度上昇に同一であるように制御される。そのことによって、マイクロ波が触媒効果を有することを明らかにされる。しかしながら、マイクロ波の場合、温度上昇の時間を、従来の加熱方法に対して80%まで減少させることが可能である。
【0063】
同じ実験を、従来の加熱で準備する。抵抗によって外部から加熱される250mlの反応器内に、テストされる100mlの試薬を入れた。
攪拌速度は、両方の場合において、60から100回転/分(粘性の増加によって変動)である。
【0064】
【表1】
【0065】
示された温度は、温度上昇後の平均温度である。マイクロ波による加熱の場合に観察される温度の勾配が、従来の方法による加熱の場合に観察される温度の勾配に対して逆になっていることに注意するべきである。前者の場合、反応器の壁の温度は、試薬混合物の中の温度よりも低い。後者では、その反対である。したがって、平均温度をとることが重要である。
【0066】
粘性は、40℃での動的粘性であり、結果はPa×sで表される。レオメーターCarry Med(TM)において、これらの測定を実現した。結果こそが重合体の形成を明らかにしている。
【0067】
ヨウ素価によって、反応した不飽和を測定することができる。規格NFISO3961を使用した。
【0068】
試薬混合物の温度のレベルが実際に生成物の最終的な粘性に影響することが明らかである。いずれの場合においても、マイクロ波の使用によって、反応時間を大幅に減少させることができることが確認される。
【0069】
化粧品への応用
全部かもしくは一部、以下の材料の全部または一部を、1時間300℃の誘電性加熱によって重合されたひまわり油(HTP)によっておきかえることによって、手のケアクリームの配合を変更した。
【0070】
【表2】
【0071】
変更された配合の利点は以下のとおりである。
−応用において、泡立ちが少ない。
−より緩和性がある(肌を柔らかくする)。
−肌の保湿を守るバリアを形成する。
【0072】
重合されたひまわり油は、化粧品製品の配合者にとって、有利なものである、なぜなら、
−水の比率を上げたのに、配合の緩和能力がより大きい。
−HTPは粘化能力がある。
−HTPは共乳化剤(粘稠化剤)である。
【0073】
重合体の分析
高性能の液体クロマトグラフィ(IUPAC2508)によって、同じ粘性を有する(40℃で460cSt)、しかし、本発明による誘電性加熱(CD)によって、あるいは、従来の加熱(CT)によって製造された、重合されたひまわり油の4標本のトリグリセリド重合体のパーセンテージを規定した。
【0074】
【表3】
【0075】
標本107および163のクロマトグラムは、保持時間TR=6.65分のピークのレベルにおいて、独自の斜面を有する。
【0076】
トリグリセリドの重合体の秤量に使用されるIUPAC2508法は、従来の加熱によって製造されたトリグリセリド重合体には完璧に適しているが、誘電性加熱によって製造されたトリグリセリド重合体には適していない。
【0077】
ここで、この新しい方法によって獲得される重合体の特性を明らかにしよう。
【0078】
付属の1から12までの図面は、読解を容易にするために、それぞれの図面に示された条件において得られたクロマトグラムを表している。
【0079】
本方法の質的利点
「バーンアップ」を避ける:
従来の、つまり、伝導による加熱は、壁を熱し、壁自体が製品を熱する。温度勾配は、壁と中心とでは非常に大きく、そのことは、攪拌下においてさえも、壁においての分子の過熱現象を起こす。バーンアップ(脂肪体の場合ではニスとなって表われることのある炭化の初め)は、脂肪体に関しては、生成物のタイプによる煙点の上で現れる。ひまわり油は、150℃程度の煙点を有する。したがって、植物油の重合のために、反応器が汚れ、それは大規模な清掃を強いることとなる。誘電性加熱を使用する場合、この現象が起こることはない。従来の加熱の場合、温度上昇時間を減少させようとすればするほど、反応器の汚れを増やすことになる。誘電性加熱ではこの現象は観察されない。
【0080】
不活性を避ける:
従来のあらゆる加熱は、熱を保存する壁の能力に由来する不活性を有する。機器の停止は、反応器の温度の低下を同時には引き起こさない。潜伏の時間が存在するのである。誘電性加熱では、波の停止は、即刻、生成物の温度の低下を引き起こす。
【0081】
本方法の量的利点
本発明の範囲内における誘電性加熱使用の大きな利点の1つは、バーンアップ現象を観察することなしに、温度上昇時間を大幅に減少させることである。
【0082】
次の実験を行った。すなわち、33gのひまわり油を、導波管に置かれた40mmの直径の水晶のるつぼに入れて攪拌する。2.45GHzの周波のマイクロ波発生器によって、標本を1000Wの出力におく。マイクロ波での加熱の間、油に浸される光学繊維の探測によって温度を測定する蛍光温度計(電磁場において干渉しない)を使用する。油が20℃から320℃に移るまで75秒かかる。
【0083】
第2の実験は、実験のなかで、電磁場のみを、るつぼの壁に400℃以上(3分後には474℃)に達する熱い空気の流れによっておきかえることにある。油が320℃に到達するのに7分30かかるだけでなく、るつぼの壁の汚れがあることが注意される。そのことは、るつぼの内部の温度勾配が非常に大きいことに由来する。377℃を超えないようにして実験を繰り返す。今度は、油が320℃に届くまでに24分かかる。
【0084】
【表4】
【0085】
利点のある他の原料
植物油が多不飽和であればあるほど、油の重合反応は速い。同様に、反応時間を少なくするためには、単不飽和または多不飽和の油との混合で、共役脂肪酸(例えば、共役ジエンまたはトリエン)の比率の高い油を使用することが有利であり得る。これらの油において、唐木油または桐油(70から80%のα‐エレオステアリン酸を含む)、高い比率の共役リノール酸を得るようにリノール酸を異性化した油(例えば、塩基的触媒作用によって異性化されたひまわり油)、何らかのウリ科の種子からの油(プニカ酸が約20%)、オイシチカ油(リカン酸が約80%)、カレンデュラ油(55%を超えるカレンド酸(8t、10t、12c−18:3)を含む)、または、脱水ひまし油を挙げることができる。
【0086】
脱水ひまし油は、市場において大量に入手可能な油から獲得されることができる(ひまし油の世界での生産量は1年あたり数十万トンである−出典:Oil World Annual)という利点を有し、さらに、それを獲得するのは、リノール酸に富む油の共役に比較して、むしろ容易である。
【0087】
脱水ひまし油は、酸性の触媒の存在下において、230−250℃程度での温度にひまし油を加熱することによって獲得される。
【0088】
出願人は、誘電性加熱を用いることによって、ひまし油の脱水のための反応時間を減少させることを発見した。
【0089】
ひまし油の脂肪酸組成は、次のとおりである:(%):
【0090】
【表5】
【0091】
それは、C18:1(OH)またはリシノール酸を大部分含む。
【0092】
油の典型的な特徴は次のとおりである:
【0093】
【表6】
【0094】
比較実験のために、ヨウ素価が85であったひまし油を使用した。
【0095】
以下の器材を使用した:
【0096】
【表7】
【0097】
75mlのひまし油No1を4重量%のモンモリロナイトK10と混合する。攪拌速度は120回転/分である。窒素の雰囲気下で、環境温度から230℃へ20分で上げ、ついで、真空下で温度を230℃に、従来の加熱については200分間、誘電性加熱については80分間保つ。獲得された生成物は濾過され、分析される。
【0098】
【表8】
【0099】
ひまし油を脱水する時、粘性は低下し、ヨウ素価は増加する。この実験は、ひまし油の脱水が従来の加熱においてよりも、誘電性加熱においてより速いことを示している。より良い結果においては反応時間を2時間稼いだことに成る。
【0100】
誘電性加熱によるこの脱水ひまし油は、ついで、なたね油またはひまわり油のような単または多不飽和植物油と共に重合に使用されることができる。このようにして、不活性雰囲気において1時間で、非常に高い粘性の共重合体を獲得する。
【0101】
本発明は、また、このように獲得される重合体、およびそれらの皮膚科学、化粧品学への、または、とりわけ、潤滑剤、可塑性材料、ゴムおよび類似物用の添加剤調製のための応用に関するものである。
【0102】
本発明は、このように獲得される、または、このような重合体を少なくとも1つ含む皮膚科学製品または化粧製品、並びに、前記の添加剤、とりわけ、潤滑剤、可塑性材料、ゴムおよび類似物用のものにも関するものである。
【0103】
本発明は、最後に、このような添加剤を少なくとも1つ含む工業製品に関するものである。
【0104】
本発明は、説明として、そして非限定的に、記載された。当然、その枠を超えることなしに、そこにあらゆる有用な変更がもたらされることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0105】
【特許文献1】フランス特許第2576303号明細書
【特許文献2】欧州特許第0228980号明細書
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、不飽和炭化水素、これらの化合物の不飽和誘導体の、単独または混合での重合方法において、試薬または試薬混合物が、重合を行うために誘電性加熱にかけられることを特徴とする方法。
【請求項2】
加熱がマイクロ波の使用によって行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
加熱が無線波の使用によって行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
触媒の有無にかかわらず実施されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
1つまたは複数の試薬が、少なくとも1つの不飽和を含み、単独でまたは混合で使用される、脂肪酸、脂肪酸エステル、植物または動物油、ポリテルペンまたはポリイソブチンタイプの炭化水素、さらには、これらの生成物の誘導体であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
1つまたは複数の試薬が、不飽和が共役である、または共役ではない、不飽和の植物または動物油(なたね油、ひまわり油、大豆油、ひまし油など)から選択されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
試薬または試薬混合物に、均質または不均質な触媒を加えることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
試薬または試薬混合物に、モンモリロナイトのような、無線波またはマイクロ波へ対応する触媒を加えることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
試薬または試薬混合物、そして、場合によっては触媒が、マイクロ波または無線波を受けるのに適したバッチあるいは不連続タイプの反応器内に位置付けられていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
試薬または試薬混合物、そして、場合によっては触媒が、連続した反応を行うのに適した反応器内に位置付けられていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
周波数が約30GHzから約300MHzの間に含まれることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
周波数が2.45GHzまたは915MHzであることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
周波数が約300MHzから約3MHzの間に含まれることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項14】
周波数が13.56MHzまたは27.12MHzであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
試薬または試薬混合物、そして、場合によっては触媒のおかれる温度が、200℃と400℃の間に、好ましくは220℃と350℃の間に含まれることを特徴とする、請求項1から14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
温度上昇時間が、3分から60分の間、好ましくは、3分と20分の間で選択されることを特徴とする、請求項1から15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
反応時間が、15分と15時間の間、好ましくは15分と360分の間、さらに好ましくは15分と120分の間に含まれることを特徴とする、請求項1から16のいずれか1つに記載の方法。
【請求項18】
通常の、または酸素の多い、あるいは好ましくは不活性の雰囲気下で、低い気圧において、好ましくは50mmHgから10mmHgの間で、規則的に雰囲気を更新して、重合を行うことを特徴とする、請求項1から17のいずれか1つに記載の方法。
【請求項19】
試薬または試薬混合物を、重合温度より低い温度に、それは獲得したい粘性によるものであるが、冷却させて、または冷却して、重合を停止することを特徴とする、請求項1から18のいずれか1つに記載の方法。
【請求項20】
アルコール、エポキシド、グリシジルエステル、水酸化物などの剤を、単独または組み合わせて過剰に加えることによって、酸性の中和を行うことを特徴とする、請求項1から19のいずれか1つに記載の方法。
【請求項21】
飛沫同伴によって脱臭を行うことを特徴とする、請求項1から20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項22】
重合の前または後に、水分含有量の減少を行うことを特徴とする、請求項1から21のいずれか1つに記載の方法。
【請求項23】
100℃と220℃の間に含まれる温度での誘電性加熱によって水分含有量を低下させることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
獲得された生成物の脱色を行うことを特徴とする、請求項1から23のいずれか1つに記載の方法。
【請求項25】
スクアレンを重合することを特徴とする、請求項1から24のいずれか1つに記載の方法。
【請求項26】
請求項1から25のいずれか1つに記載の方法によって獲得されることを特徴とする重合体。
【請求項27】
請求項1から25のいずれか1つに記載の方法によって、単独での、または、不飽和を少なくとも1つ含む、脂肪酸、脂肪酸エステル、植物または動物油との混合でのポリテルペンの重合によって獲得されることを特徴とする、請求項26に記載の重合体。
【請求項28】
請求項1から25のいずれか1つに記載の方法によって、動物、植物および合成から得られる、少なくとも1つのスクアレンの重合によって獲得されることを特徴とする、請求項26に記載の重合体。
【請求項29】
請求項1から25のいずれか1つに記載の方法によって、単独での、または、不飽和を少なくとも1つ含む、脂肪酸、脂肪酸エステル、植物または動物油との混合でのポリイソブチンの重合によって獲得されることを特徴とする、請求項26に記載の重合体。
【請求項30】
請求項1から25のいずれか1つに記載の方法によって、ひまわり油、唐木油あるいは桐油、リノール酸を異性化した油、ウリ科の油、オイシチカ油、キンセンカ油、そしてとりわけ、脱水ひまし油などの、不飽和植物油の重合によって獲得されることを特徴とする、請求項26に記載の重合体。
【請求項31】
請求項26から30のいずれか1つに記載の重合体によって獲得される、またはそれを少なくとも1つ含む、皮膚科学製品または化粧製品。
【請求項32】
とりわけ潤滑剤、可塑性材料、ゴム用の添加剤調製のための、請求項26から30による、重合体の使用。
【請求項33】
請求項30による重合体を少なくとも1つ含むことを特徴とする、請求項32に記載の添加剤。
【請求項34】
請求項33に記載の添加剤を少なくとも1つ含むことを特徴とする工業製品。
【請求項1】
不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、不飽和炭化水素、これらの化合物の不飽和誘導体の、単独または混合での重合方法において、試薬または試薬混合物が、重合を行うために誘電性加熱にかけられることを特徴とする方法。
【請求項2】
加熱がマイクロ波の使用によって行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
加熱が無線波の使用によって行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
触媒の有無にかかわらず実施されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
1つまたは複数の試薬が、少なくとも1つの不飽和を含み、単独でまたは混合で使用される、脂肪酸、脂肪酸エステル、植物または動物油、ポリテルペンまたはポリイソブチンタイプの炭化水素、さらには、これらの生成物の誘導体であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
1つまたは複数の試薬が、不飽和が共役である、または共役ではない、不飽和の植物または動物油(なたね油、ひまわり油、大豆油、ひまし油など)から選択されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
試薬または試薬混合物に、均質または不均質な触媒を加えることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
試薬または試薬混合物に、モンモリロナイトのような、無線波またはマイクロ波へ対応する触媒を加えることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
試薬または試薬混合物、そして、場合によっては触媒が、マイクロ波または無線波を受けるのに適したバッチあるいは不連続タイプの反応器内に位置付けられていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
試薬または試薬混合物、そして、場合によっては触媒が、連続した反応を行うのに適した反応器内に位置付けられていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
周波数が約30GHzから約300MHzの間に含まれることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
周波数が2.45GHzまたは915MHzであることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
周波数が約300MHzから約3MHzの間に含まれることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項14】
周波数が13.56MHzまたは27.12MHzであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
試薬または試薬混合物、そして、場合によっては触媒のおかれる温度が、200℃と400℃の間に、好ましくは220℃と350℃の間に含まれることを特徴とする、請求項1から14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
温度上昇時間が、3分から60分の間、好ましくは、3分と20分の間で選択されることを特徴とする、請求項1から15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
反応時間が、15分と15時間の間、好ましくは15分と360分の間、さらに好ましくは15分と120分の間に含まれることを特徴とする、請求項1から16のいずれか1つに記載の方法。
【請求項18】
通常の、または酸素の多い、あるいは好ましくは不活性の雰囲気下で、低い気圧において、好ましくは50mmHgから10mmHgの間で、規則的に雰囲気を更新して、重合を行うことを特徴とする、請求項1から17のいずれか1つに記載の方法。
【請求項19】
試薬または試薬混合物を、重合温度より低い温度に、それは獲得したい粘性によるものであるが、冷却させて、または冷却して、重合を停止することを特徴とする、請求項1から18のいずれか1つに記載の方法。
【請求項20】
アルコール、エポキシド、グリシジルエステル、水酸化物などの剤を、単独または組み合わせて過剰に加えることによって、酸性の中和を行うことを特徴とする、請求項1から19のいずれか1つに記載の方法。
【請求項21】
飛沫同伴によって脱臭を行うことを特徴とする、請求項1から20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項22】
重合の前または後に、水分含有量の減少を行うことを特徴とする、請求項1から21のいずれか1つに記載の方法。
【請求項23】
100℃と220℃の間に含まれる温度での誘電性加熱によって水分含有量を低下させることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
獲得された生成物の脱色を行うことを特徴とする、請求項1から23のいずれか1つに記載の方法。
【請求項25】
スクアレンを重合することを特徴とする、請求項1から24のいずれか1つに記載の方法。
【請求項26】
請求項1から25のいずれか1つに記載の方法によって獲得されることを特徴とする重合体。
【請求項27】
請求項1から25のいずれか1つに記載の方法によって、単独での、または、不飽和を少なくとも1つ含む、脂肪酸、脂肪酸エステル、植物または動物油との混合でのポリテルペンの重合によって獲得されることを特徴とする、請求項26に記載の重合体。
【請求項28】
請求項1から25のいずれか1つに記載の方法によって、動物、植物および合成から得られる、少なくとも1つのスクアレンの重合によって獲得されることを特徴とする、請求項26に記載の重合体。
【請求項29】
請求項1から25のいずれか1つに記載の方法によって、単独での、または、不飽和を少なくとも1つ含む、脂肪酸、脂肪酸エステル、植物または動物油との混合でのポリイソブチンの重合によって獲得されることを特徴とする、請求項26に記載の重合体。
【請求項30】
請求項1から25のいずれか1つに記載の方法によって、ひまわり油、唐木油あるいは桐油、リノール酸を異性化した油、ウリ科の油、オイシチカ油、キンセンカ油、そしてとりわけ、脱水ひまし油などの、不飽和植物油の重合によって獲得されることを特徴とする、請求項26に記載の重合体。
【請求項31】
請求項26から30のいずれか1つに記載の重合体によって獲得される、またはそれを少なくとも1つ含む、皮膚科学製品または化粧製品。
【請求項32】
とりわけ潤滑剤、可塑性材料、ゴム用の添加剤調製のための、請求項26から30による、重合体の使用。
【請求項33】
請求項30による重合体を少なくとも1つ含むことを特徴とする、請求項32に記載の添加剤。
【請求項34】
請求項33に記載の添加剤を少なくとも1つ含むことを特徴とする工業製品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−190453(P2011−190453A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110394(P2011−110394)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【分割の表示】特願2000−579649(P2000−579649)の分割
【原出願日】平成11年10月28日(1999.10.28)
【出願人】(500234437)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【分割の表示】特願2000−579649(P2000−579649)の分割
【原出願日】平成11年10月28日(1999.10.28)
【出願人】(500234437)
【Fターム(参考)】
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