説明

世話をする人の世話になる人間または動物の睡眠行動を改善するための睡眠管理方法およびシステム

【課題】本発明は、親または世話をする人が子供の睡眠行動を監視し、子供の睡眠行動を改善するために効果的な行動プログラムをいかに実行するかということにおいて、親または世話をする人に指示することを補助することが可能な方法および装置を提供するという課題を達成する。
【解決手段】世話になる人間または動物の睡眠行動を改善するために、世話をする人によって用いられる睡眠管理方法およびシステムは、睡眠の質に関連する1つ以上の客観的パラメータを監視し、携帯電話などの携帯型ユーザ双方向装置を介して、世話をする人に行動プログラムおよび/または行為についての1つ以上の提案を提供する。このようなシステムはまた、大人、または家庭で飼育されるペットなどの動物を世話する際の使用に適用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子供の睡眠を改善するために、世話をする人が用いるシステムおよび方法に関する。このようなシステムおよび方法はまた、例えば高齢者のような大人の世話をする人によって用いられてもよく、また、家庭で飼育するペットなどの動物にも適用し得る。
【背景技術】
【0002】
子供は、しばしば就寝時に眠りにつくことが困難なことがあり、夜中に目が覚めてしまい、再び眠ることができないと訴えることがある。研究によると、乳児、幼児、未就学児童の20〜50%が、ある時点において、この種の問題を経験している。幼児が睡眠について問題をかかえると、家族全員が、夜中の騒動および日中の手に負えない行動によって影響を及ぼされることが多い。このため、子供の睡眠について対策を講じる必要がある。
【0003】
子供の睡眠の問題について対策が講じられないと、このような問題は、幼児期の後々まで、また10代まで後をひく。子供が良質の睡眠を得られないことは、様々な発達および行動の問題に結びついてきた。眠気が増すと、それが反抗的な行動および不注意な行動、不十分な発話および不十分な言語的創造性、タスクを完了するスピードおよび正確さの低下、並びに抽象的問題解決能力の低下に結びついてきた。このため、慢性の睡眠不足は、子供の学問的発達および社会的発達を損ない、一生を通じて不利益となりかねない。このため、子供の睡眠の問題に早期から対策を講じることが必要であり、このことが子供にとっても、他の家族にとっても大きな利益となることは明らかである。
【0004】
子供の年齢によって、かかえる睡眠の問題の種類は異なる。生後約2ヶ月までの新生児は、昼夜の区別がつかず、典型的に短時間の睡眠を数多くとる。2ヶ月から約2歳の子供は、睡眠時間が長くなり、夜中に眠り、日中に活動するために睡眠パターンを調節することを学ばなくてはならない。子供が眠り方を覚えるとき、例えば睡眠の開始を、親または世話をする人の注意を得ることと関連付けるといった不適応な関連付けが形成される。そして、子供は、就寝時に睡眠を開始するために、このような注意を要求する場合がある。子供が夜中に4〜6回目を覚ますことは普通であるが、子供が眠りにつくことと世話をする人の注意を得ることとの関連付けを形成してしまったら、世話をする人がなだめすかしてくれるまで泣き喚くであろう。このことによって、両親または世話をする人と、子供との睡眠はともに阻害されてしまう。暑すぎる、またはうるさ過ぎるといったような不適切または不快な寝室の環境もまた、この年齢の子供の睡眠に影響を与え得る。
【0005】
だいたい2〜5歳で子供が少しずつ一人立ちするようになると、就寝時にぐずぐずし始めたり、就寝することを拒んだり、寝室から出て行ってしまうこともしばしばある。これは、子供が両親または世話をする人の注意を引くためでもあり、退屈な気分よりもこのような行動が優先されてしまうからである。両親または世話をする人が子供に対して就寝時刻を定めていない、または就寝時刻が一貫していないと、少し年齢が上の子供になると特に、就寝時にむずかると遅くまで起きていられるということを早期に学んでしまう。これが原因で、子供は必要な睡眠時間を得ることができなくなっていることが多い。これらの問題は、他の子供と部屋を共有するなどの落ち着かない睡眠環境、または深夜のテレビ視聴などの睡眠には不適切な行動によってさらに悪化し得る。一度子供が不適切な睡眠習慣を身に付けてしまったら、両親や世話をする人がこれを矯正するのは困難である。
【0006】
5歳以上の学齢期の児童は、平日と週末とで異なるスケジュールが課されると、それが原因で週末の朝には過度な遅寝をし、平日の軌道に修正することができなくなる。さらに、子供部屋にテレビやテレビゲームシステムがあることにより、晩方にこれらを使用すると、睡眠の開始が遅れ、日中に眠くなるという問題を伴うこととなる。もしも何の対策も講じないとすると、これらの問題は学齢期において、また後の人生において子供の能力に有害な効果を及ぼし得る。
【0007】
幸いなことに、子供のかかえる多くの睡眠の問題は、確立された行動手段によって対策が講じられている。適切な就寝時刻を設定および習慣化し、注意散漫をただし、良質な睡眠環境を確立し、親との接触を図ることによって、子供の睡眠の質はほとんどのケースで改善され得る。この性質についての行動プログラムは典型的に、両親および子供に働きかけている睡眠の専門家によって行われる。子供一人一人の睡眠の問題は異なり、行動プログラムは特定の子供ごとにあつらえたものである必要がある。親または世話をする人の役割は、より質の高い睡眠習慣を子供に教えるにあたって欠かせないものであるが、親または世話をする人は、行動プログラムをいかに実行するかについて教育および訓練を受ける必要がある。これには、行動のプログラムに厳密に従うことと、適切な記録し続けることが含まれる。特に子供の睡眠行動にすぐに改善が見られない場合、行動プログラムを遵守することは親または世話をする人にとって困難となり得る。さらに、特に子供の不十分な睡眠による行動のために睡眠が阻害されて苦しむような場合、子供の睡眠を正確に記録し続けることは親または世話をする人にとって困難となり得る。
【0008】
両親がスキームに則っているかをチェックし、子供の進歩を監視して、特定の子供についての行動プログラムを設計する責任を有する睡眠の専門家によって通常、親または世話をする人は訓練を受ける。さらに、行動プログラムは、睡眠の専門家が親または世話をする人の記録から推測する子供の進歩に基づいて修正されることが多い。正確に記録し続けることは親または世話をする人によって困難であり得るので、行動プログラムの効果は、不正確な記録によって低下し得る。
【0009】
睡眠の問題をかかえる子供についての典型的な行動プログラムは、数週間または数ヶ月継続し、睡眠の専門家による多くの指導を伴い得る。これにかかる費用は、親または世話をする人にとっては高額である、または負担しきれない場合もある。また、子供の睡眠の問題は非常に一般的であるので、アドバイスを必要とする全ての親または世話をする人を扱うには、コミュニティにおける睡眠の専門家の数も不足しているかもしれない。
【0010】
このため、子供の睡眠行動を改善するために、子供の睡眠環境および行動を監視し、効果的な行動プログラムをどのように実行するかについて親または世話をする人に指示するように、親または世話をする人を補助することが可能な装置の必要性は明らかである。
【0011】
以下の参考文献は、本発明についてのさらなる背景情報を示す。
【0012】
[米国特許文献]
米国特許第4640034号 Zisholtz(1987年2月3日)
米国特許第4777938号 Sirota(1988年10月18日)
米国特許第7127074号 Landa(2006年10月24日)
米国特許第5479939号 Ogino(1996年1月2日)
米国特許出願公開第20070279234号 Walsh(2007年12月6日)
米国特許出願公開第20070191692号 Hsu(2007年8月16日)
[欧州特許文献]
欧州特許出願公開第1810710号(2007年7月25日)
欧州特許出願公開第2033681A1号(2009年3月11日)
[国際特許文献]
国際公開第2005089649号(2005年9月29日)
[その他]
小児睡眠の臨床ガイド(A Clinical Guide to Pediatric Sleep)、J.Mindell & J.Owens(Lippincott Williams & Wilkins、2003)
青少年の睡眠問題(Sleep Problems in Children AND Adolescents)、G.Stores(Oxford University Press、2009)。
【0013】
夜に睡眠をとるために子供を補助するように設計された装置は数多く存在する。米国特許第4640034号の‘乳児用可動装置’には、子供用ベッドまたは寝台の上に配置される可動装置が記載されている。この可動装置は、子供が泣くと運動、子供の気を逸らせるように心地よい音楽または音を奏でることによって反応する。米国特許第4777938号の‘子供を監視し、指示を与えるためのベビーシッター玩具’には、子供のベッドの近くに配置され、子供が泣くと、なだめて寝かしつけるように音楽を奏で、おとぎ話を読み聞かせ、何らかの運動をすることによって反応する玩具が記載されている。欧州特許出願公開第2033681号には、センサを備え、子供をなだめて寝かしつけるように光又は音を放つ子供用の玩具が記載されている。米国特許出願公開20070279234号には、子供が特定の時間に寝るようにしつけるために、自動化された光または音声の合図を出す装置が記載されている。このような装置は、子供のかかえる睡眠の問題の根本原因を解決するものではなく、睡眠の障害を緩和するくらいの作用しかないという欠点を有する。これらの装置は、親または世話をする人が最も子供の睡眠に影響を与えるものであり、このため、親または世話をする人が子供に最も有益な影響を与える立場にあるという事実を生かしていない。それゆえ、これらの装置は、眠るときに両親の存在を必要とすることに慣れてしまった子供、または夜遅くまで眠らないことに慣れてしまった子供に対して効果的でないという傾向がある。
【0014】
米国特許第7127074号には、ある一定の期間、子供の泣き声が無視できるほど子供の発する音を弱めることによって子供が眠るようにしつける補助を、親または世話をする人に対して行う乳児監視装置が記載されている。この装置は、感知素子を有さないがために、親または世話をする人が正確にしつけプログラムを実行しているかどうか、またはしつけプログラムが効果を発揮しているかどうかを検知することができないという欠点を有している。また、この装置は、子供の睡眠行動が改善されるにしたがって、子供との接触タイミングを変えることにおいて、両親を補助してくれるものではない。
【0015】
国際公開第2005/089649号(2005年9月29日)は、患者の睡眠の質の判定に用いられるように、患者に埋め込まれ得る埋め込み可能な医療装置を提案している。しかしながら、患者に装置を埋め込む必要性は望まれていない。このシステムは、例えば慢性的な痛みに対する医療的処置を改善することにのみ主眼が置かれ、何らかの行動プログラムによって世話を受ける個人の睡眠パターンを単に修正することにより補助するために、世話をする人によって用いられる何らかのシステムを教示するものではない。
【0016】
欧州特許出願公開第1810710号(2007年6月25日)は、家から離れたユーザの睡眠状態を改善するための睡眠状態改善システムを提案する。これは、ユーザが携行するメモリユニットと、特定ユニットと、制御ユニットとを有する。特定ユニットは、個人情報に基づいてユーザの個人属性を特定し、個人情報はメモリユニットに記憶される。制御ユニットは、属性情報に基づいて、ユーザが眠っているときの環境を制御する。
【0017】
米国特許出願公開2007/0191692号(2007年8月16日)は、人間の睡眠の質を監視するためのシステムに関する。上記システムは、いびき、呼気、体の運動、または体温などの生理学的信号を感知するためのセンサを備える。これらの信号は、有線接続または無線接続を介してセンサからデータサーバへ送信される。上記信号はデータサーバによって記憶・分析され、テストの被験者がいつ起きていて、いつ眠っているのか、深い眠りか浅い眠りか、眠っている時間などを判定する。
【0018】
子供の睡眠の問題を緩和しようとする装置は数多くあるが、子供の睡眠行動を改善するために、子供の睡眠行動を監視する親または世話をする人を補助することができ、効果的な行動プログラムをいかに実行するかについて親または世話をする人を指導するための装置の必要性は依然として存在する。
【発明の概要】
【0019】
本発明の第1側面によると、世話になる人間または動物の睡眠行動を改善するために、世話をする人によって用いられる方法であって、(i)少なくとも1つのセンサを用いて、前記人間または動物の睡眠関連行動に関連する客観的パラメータであって、生理学的パラメータおよび環境的パラメータから選択され、ベッドに就いた後の、前記人間または動物の運動、および/または前記人間または動物の脳の活動を示す電気信号を少なくとも含む1つ以上の客観的パラメータを監視するステップと、(ii)前記少なくとも1つのセンサから処理手段にデータを通信するステップと、(iii)前記処理手段において、前記人間または動物の睡眠行動を改善するための行動プログラム、および/または、前記人間または動物の睡眠行動を改善するために前記世話をする人によって実行される行為についての1つ以上の提案を、第1メモリから選択する際に、前記データを用いるステップと、
(iv)前記1つ以上の提案を、前記処理手段から、ディスプレイを介して前記世話をする人に前記提案を示し、前記処理手段にフィードバックされる情報を前記世話をする人が入力することをも可能にする携帯型ユーザ双方向装置に送信するステップと、を含み、前記処理手段は、前記人間または動物について検知された睡眠行動の変化に基づいて、および/または、前記携帯型ユーザ双方向装置に入力された情報に基づいて、前記携帯型ユーザ双方向装置に送信された前記1つ以上の提案を更新する方法を提供する。
【0020】
本発明の他の側面によると、世話になる人間または動物の睡眠行動を改善するために、世話をする人によって用いられるための睡眠管理システムであって、(i)前記人間または動物の睡眠関連行動に関連する客観的パラメータであって、生理学的パラメータおよび環境的パラメータから選択され、ベッドに就いた後の、前記人間または動物の運動、および/または前記人間または動物の脳の活動を示す電気信号を少なくとも含む1つ以上の客観的パラメータを監視する少なくとも1つのセンサと、(ii)前記少なくとも1つのセンサからデータを収集し、データを処理手段に通信するセンサユニットと、(iii)前記人間または動物の睡眠行動を改善するための行動プログラム、および/または前記人間または動物の睡眠行動を改善するために前記世話をする人によって実行される行為についての1つ以上の提案を、第1メモリから選択する際に、前記センサユニットからのデータを用いる前記処理手段と、(iv)前記1つ以上の提案を前記処理手段から受信し、ディスプレイを介して前記提案を前記世話をする人に示し、前記処理手段にフィードバックされる情報を入力することをも可能にする携帯型ユーザ双方向装置と、を備え、前記処理手段は、前記人間または動物について検知された睡眠行動の変化に基づいて、および/または、前記世話をする人によって前記携帯型ユーザ双方向装置に入力された情報に基づいて、前記携帯型ユーザ双方向装置に送信された前記提案を更新する睡眠管理システムを提供する。
【0021】
本発明の他の側面によると、人間または動物の睡眠行動を改善する方法であって、(i)処理手段において、少なくとも1つのセンサから、前記人間または動物の睡眠関連行動に関連する1つ以上の客観的パラメータであって、生理学的パラメータおよび環境的パラメータから選択され、ベッドに就いた後の、前記人間または動物の運動、および/または前記人間または動物の脳の活動を示す電気信号を含む少なくとも1つ以上の客観的パラメータに関するデータを受信するステップと、(ii)前記処理手段において、行動プログラムおよび/または前記世話をする人によって実行される行為についての1つ以上の提案を、第1メモリから選択する際に、前記データを用いるステップと、(iii)前記1つ以上の提案を、前記処理手段から、ディスプレイを介して前記世話をする人に前記提案を示す携帯型ユーザ双方向装置に送信するステップと、を含み、前記処理手段は、前記人間または動物について検知された睡眠行動の変化に基づいて、および/または、前記携帯型ユーザ双方向装置から受信したユーザ情報に基づいて、前記携帯型ユーザ双方向装置に送信された前記1つ以上の提案を更新する方法を提供する。
【0022】
以下、図面を参照し、特に子供の睡眠を修正することに関して、本発明をさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】システムの主な構成部材である、センサユニット(1)と、手持ち式ユニット(2)と、分離処理ユニット(3)として示される処理手段とを示す図である。
【図2】本発明での使用に適したセンサユニットの一実施形態の模式図である。
【図3】周辺ノイズセンサの模式図である。
【図4】本発明のシステムにおける使用に適したベッドの模式図である。
【図5】圧電素子を有する運動センサの模式図である。
【図6】表示スクリーン(18)と、ユーザが情報を入力するためのキーボード(19)とを備える、本発明のシステムに用いるための携帯型装置の模式図である。
【図7】本発明のシステムにおいて必要な処理手段と同等の処理ユニットの模式図である。
【図8】上記システムがどのように用いられ得るかを示す図である。
【図9】上記システムがどのように基準期間において用いられ得るかを示す図である。
【図10】再設定就寝時刻についての行動プログラムがどのようにして上記システムによって実行され得るかを示す図である。
【図11】再設定就寝時刻についての行動プログラムがどのようにして上記システムによって夜毎実行され得るかを示す図である。
【図12】段階的な消灯についての行動プログラムがどのようにして上記システムによって実行され得るかを示す図である。
【図13】段階的な消灯についての行動プログラムがどのようにして上記システムによって夜毎実行され得るかを示す図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る方法における主たるステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
子供の睡眠行動を改善するために、子供の睡眠行動を監視し、効果的な行動プログラムをどのように実行するかについて親または他の世話をする人に指示するように、親または他の世話をする人を補助するためのシステムを提供する。システムはさらに、特定の子供に対して行動プログラムを個人化する。システムは、子供の睡眠行動のあらゆる改善を追跡し、改善に基づいて行動プログラムを適応させる。システムは、プログラムに対する親または世話をする人のコンプライアンスを評価し、必要であろう励ましやガイダンスを提供する。システムは、外部からのアドバイスなしで用いられ、子供の睡眠を改善するための完全なシステムを提供する。または、システムは、睡眠の専門家からアドバイスを受けている親または世話をする人に対しての補助として用いられ得る。
【0025】
システムは、眠っている子供のすぐ側に配置されるセンサと、親または世話をする人が用いるための携帯型装置と、処理ユニットとを備えてもよい。上記のように、処理ユニットは、個別の装置に、またはセンサユニットおよび携帯型ユニットのうちの1つに配置されてもよい。ハードウェアユニットの代わりとして、必要な処理ユニットは、好ましくはインターネットなどの広域ネットワークを介してアクセス可能なソフトウェアサービスの形態をとることが好ましい。
【0026】
上記のように、センサは、図1に示すようにセンサユニットと一体となっていてもよいが、例えば圧電素子を備えるセンサなどの運動センサのように、少なくとも1つのセンサはセンサユニットの外部に位置し、ケーブルまたは無線接続によってセンサユニットに接続されていることが好ましい。監視された環境的パラメータは、温度、周辺ノイズおよび光のうちの1つ以上、好ましくはこれらのパラメータ全てを含んでもよい。湿度が監視されてもよい。いくつかの例では、圧力の監視が行われてもよい。センサユニットは、子供がベッドまたは寝台に就いているときの生理学的データを記録する。センサユニットはまた、睡眠領域についての環境的データを記録することが好ましい。
【0027】
図2は、本発明での使用に適した1つのセンサユニットを示す。図2のセンサユニットは、複数のセンサ、運動センサ、温度センサ、周辺ノイズセンサ、および光センサ(4,5,6,7)からデータを収集し、複数のアナログ−デジタル変換器(ADC)を介して、各センサからプロセッサ(8)にデータを提供する。処理されたセンサデータは、リアルタイムクロック(10)によって提供された時間コードとともにメモリ(9)に記憶され、ネットワーク接続部(11)を介して、例えば図1および図7に示す処理ユニットなどの外部の処理手段に送信される。センサはセンサユニットと一体として示されているが、1つ以上のセンサはセンサユニットの外部に設けられ、ケーブルまたは無線接続を介してセンサユニットと接続されてもよい。例えば、運動センサは、ベッドに取り付けられる圧電素子を有してもよく、図4に示すように、ケーブルによってセンサユニットに接続されてもよい。
【0028】
生理学的データおよび環境的データは収集され、処理手段(3)に送信される。センサユニットは、リアルタイムクロック(10)を含んでいることが好ましく、これによってセンサユニットのメモリ(9)への記憶のための各センサの読み取り、または、各センサからの複数回のセンサの読み取りが、時間コードとともに記憶される。このように記憶されたデータは、定期的にまたは要求に応じて処理手段(3)に送信されてもよい。
【0029】
親または世話をする人は、携帯型装置を介してシステムと双方向のやりとりをする。装置によって、世話をする人は、睡眠パターンを監視でき、また好ましくは、子供の睡眠環境を監視することができる。装置はさらに、子供の行動を変更する効果的手段(変更手段)について世話をする人に教え、世話をする人に適切な行動プログラムを選択させることを可能にし、プログラムを実行する際に世話をする人を補助し、励ましを提供し、フィードバックを収集する。携帯型装置を用いて世話をする人が行った選択は、処理手段(3)に送信される。携帯型ユニットは、行動プログラムを実行する間に子供に対して何らかの行為を行うときに関し、世話をする人に警告を発する手段を特徴として有することが望ましい。図7は、プロセッサ(24)、メモリ(25)、およびネットワーク接続(26)を有する、本発明での使用に適した処理手段(3)の一例を示す。
【0030】
処理手段(3)は、センサユニット(1)からセンサデータを収集し、そのデータをメモリ、例えばそこに設けられているメモリ(25)に記憶させる。処理手段(3)は、ベッドに就いている期間の子供の睡眠パターンおよび行動を監視するために用いられる1つ以上の指標を抽出するためにセンサデータを分析する。処理手段(3)はまた、子供の睡眠に対して逆効果を及ぼさないことを確実にするために、子供の睡眠環境についてのセンサデータを分析することが望ましい。処理ユニットは、これらの睡眠指標および元データを、必要に応じて携帯型ユニット(2)を介して利用可能にする。周知のように、“睡眠指標”は、睡眠を説明するために用いられる、または睡眠を特徴付けるために用いられる標準測定値であり、例えば、合計睡眠時間、就寝時間、入眠潜伏時間、入眠後合計覚醒、入眠後覚醒回数などのうちの1つ以上の睡眠に関する情報を含んでいる。睡眠指標は通常、数で表され、他の数に相対して表される数(例えばパーセンテージ)も考えられる。本発明は、“睡眠の質の指標”をさらに、または代わりに用いてもよい。これは、例えば睡眠効率(睡眠に費やすベッド上での時間の比率)、大きな運動(人間が眠っている間にとる大きな運動の回数に基づく睡眠の質の指標)、睡眠の細分化(入眠後の覚醒回数に基づく指標)などの睡眠の質を説明するために用いることのできる測定値である。主に運動データは、これらの睡眠指標を算出するために分析されるが、他のセンサデータ、特に光およびノイズはまた、これらの睡眠指標を算出するために、上記運動データとともに用いられ得る。
【0031】
処理手段(3)はまた、子供の現在の睡眠行動を特徴付け、子供にとって適切な行動プログラムを選択するために、睡眠指標を用いる。指標はさらに、特定の子供に対して適切なように任意の行動プログラムのパラメータをカスタマイズするために用いられる。世話をする人が選択された行動プログラムを実行するとき、世話をする人がコンプライアンスを厳守し、プログラムを正しく実行していることを確実にするために、指標がチェックされる。プログラムが実行されている間、子供の睡眠行動の改善または悪化を判定するために指標が用いられ、行動プログラムのパラメータは、これに対応して変化する。行動プログラムに進展がない場合、子供の睡眠行動における何らかの異常な変化について指標がチェックされ、この場合、世話をする人にチェック結果が知らされ、適切な行動プログラムが提案される。
【0032】
処理手段(3)はまた、親または世話をする人と携帯型ユニットとのやりとりを、メモリ、例えばそこに設けられているメモリ(25)に記録する。これらのやりとりの記録およびセンサデータの指標は、世話をする人が正確に何らかの行動プログラムを実行していることを確実にするためにチェックされる。コンプライアンスを補助するために、また、特に世話をする人が正確に行動プログラムを実行しない場合、処理ユニットは、警告、および/またはガイダンス、および/またはアドバイス、および/または励ましのメッセージを、携帯型ユニットを介して発し得る。コンプライアンスが守られていないこと、または効果が適切に得られないことを検知した場合、上記構成の代わりに、または上記構成に加えて、行動プログラムおよび/または行為について更新された1つ以上の提案を提供してもよい。例えば、処理手段は、睡眠行動が改善されない夜が所定回数を上回ると、または睡眠行動が悪化している夜が所定回数を上回ると、音声信号、振動信号、およびディスプレイを介するメッセージのうちの1つ以上からなる警告を、携帯型装置を介して提供してもよい。さらに、処理手段は、任意の時間にさらなる情報およびガイダンスについて、携帯型ユニットを介して親または他の世話をする人によって送信された任意の要求に応え得る。
【0033】
特定の子供に適用される任意の行動プログラムまたは行為について提案するに先立って、センサユニットは一定期間に処理手段(3)にデータを送信することが好ましく、これによって、各センサ信号についての基準(baseline)および/または基準睡眠指標が確立される。本発明のシステムの一実施に関するさらなる情報を、以下に例示する。
【0034】
上記から、ここで示すように、睡眠管理システムを用いることによって以下の利点が得られることは明らかである。まず、上記システムは、子供の睡眠パターンの正確な記録を得るために、親または他の世話をする人を補助するようにセンサを用いるという利点を有する。この記録は、世話をする人によって用いられ、診断を行う睡眠の専門家または臨床医に与えられ得る。この記録はセンサデータに基づいているので、世話をする人の手作業による記録よりも正確である。
【0035】
上記システムは、子供の睡眠環境を記録するためにセンサを用いるという他の利点をもたらし得る。センサデータは、夜中の出来事について目立った表示をするように処理される。この情報は、子供の睡眠が阻害されているかどうか、また、子供が寝ているべき時間に何か他の活動をしているかどうかを判定するために、世話をする人によって用いられ得る。
【0036】
上記システムはまた、センサによって測定された子供の睡眠行動に基づいて、その子供のための適切な行動プログラムを選択するという利点を有する。いくつかの行動プログラムが子供にとって適切であり得るので、上記システムは親または他の世話をする人が自分自身で行動プログラムを選択することを可能にするという利点を有する。世話をする人によっては、特定の行動プログラムを実行することが難しいと感じ、そのため自分で選択したプログラムを効果的に実施する可能性が高い。
【0037】
上記システムは、子供の睡眠行動を改善するために、世話をする人が、子供について選択された行動プログラムを実行することを補助するというさらなる利点を有する。これは、適切な時間に、世話をする人に警告を発し、子供の睡眠を改善するために、夜毎どんな行為をどのくらいの時間で行うべきかについて世話をする人に指示することによって達成し得る。
【0038】
行動プログラムが進展する一方、上記システムは、センサによって測定された子供の進歩に基づく行動プログラムを採用するという利点を有する。また、センサデータと、世話をする人のシステムとのやりとりとを分析することによって、プログラムが、世話をする人によって正確に実行されていることを確実にするという利点を有する。
【0039】
プログラムが実行されていないとき、上記システムは、子供の睡眠行動における何らかの変化を検知し、世話をする人に警告を発するという利点を有する。これによって、世話をする人は、睡眠問題がより深刻になる前に介入することができる。
【0040】
上記システムは、生後2ヶ月から学齢期または青年期の子供にとって適切であるという利点を有している。異なる年齢の子供において典型的に発生する睡眠問題に適した様々な行動治療が提供される。上記システムにおける睡眠および環境の監視能力は、いずれの年齢の子供についても適切である。
【0041】
いくつかの実施形態では、システムは、乳児、幼児、子供の睡眠行動を改善するために、親などの世話をする人によって用いられる。
【0042】
いくつかの実施形態では、システムは、高齢者のため、または、精神的障害もしくは身体的障害のために世話になる大人の介護をする際に、世話をする人によってシステムが用いられる。
【0043】
いくつかの実施形態では、ペット動物の世話をする際に、ペットの飼い主によってシステムが用いられる。
【0044】
いくつかの実施形態では、睡眠管理システムを実行するためのハードウェアユニットの組み合わせが示されるが、これは(i)必要なセンサ、(ii)センサユニット(1)、および(iii)携帯型ユーザ双方向装置(2)を備えている。
【0045】
いくつかの実施形態では、ハードウェアユニットの組み合わせが示されるが、上記携帯型ユーザ双方向装置は携帯電話である。
【0046】
いくつかの実施形態では、方法は、乳児、幼児、または子供の睡眠行動を改善するために適用される。
【0047】
いくつかの実施形態では、方法は、高齢者のため、または精神的障害もしくは身体的障害のため、世話をする人の世話になる大人に適用される。
【0048】
いくつかの実施形態では、方法は、世話されるペット動物に、ペットの飼い主によって適用される。
【0049】
いくつかの実施形態では、センサから導出されたデータとの相関を得るために処理手段に送信される、提案された行動プログラムまたは行為の選択または実行について、世話をする人が携帯型ユーザ双方向装置に情報を入力する方法が示されている。
【0050】
いくつかの実施形態では、何らかの行動プログラムまたは行為を提案する前に、センサユニットが、一定期間、処理手段にデータを送信し、これによって、各センサ信号についての基準および/または基線睡眠指標が確立される方法が示されている。
【0051】
いくつかの実施形態では、上記人間または動物の睡眠行動を改善する際に用いる前に、センサユニットが、一定期間、処理手段にデータを送信し、これによって、各センサ信号についての基準および/または基準睡眠指標が確立される方法が示されている。
【0052】
以下、単に例示として本発明の特定の実施形態を説明する。実施形態3は、人間ではない動物の睡眠を改善するための、本発明の拡張例を示すためのものである。
【0053】
図14は、本発明の一実施形態に係る、人間または動物の睡眠を管理する方法の主たるステップを示すフローチャートである。最初に、上記方法は、少なくとも1つのセンサ(図1を参照して以下に説明するセンサ4〜7のうちの1つ以上)を用いて、人間または動物の睡眠関連行動に関連する1つ以上の客観的パラメータを監視するステップS1410を含む。上記パラメータは、生理学的パラメータおよび環境的パラメータから選択され、ユーザの運動、および/または、ユーザの脳の活動を示す電気信号を少なくとも含む。
【0054】
好ましくは、上記方法は、ユーザの睡眠に影響を与えないよう目立たずに、生理学的パラメータおよび環境的パラメータの両方を監視するステップを含む。
【0055】
次に、上記方法は、上記少なくとも1つのセンサから処理手段、例えば、図7を参照して以下に説明する処理手段にデータを通信するステップS1420を含む。
【0056】
次に、上記方法は、上記処理手段において、人間または動物の睡眠行動を改善するための行動プログラム、および/または、人間または動物の睡眠行動を改善するために世話をする人によって実行される行為についての1つ以上の提案を、第1メモリから選択する際に、少なくとも1つのセンサからのデータを用いるステップS1430を含む。
【0057】
次に、上記方法は、上記1つ以上の提案を、上記処理手段から携帯型ユーザ双方向装置に送信するステップS1440を含む。上記携帯型ユーザ双方向装置は例えば、ディスプレイを介して世話をする人に上記提案を示すためのものであり、図6を参照して説明する。
【0058】
上記携帯型ユーザ双方向装置はまた、上記処理手段にフィードバックされる情報を、世話をする人が入力するステップS1450を可能にする。
【0059】
次に、上記処理手段は、上記人間または動物について検知された睡眠行動の変化に基づいて、および/または、上記携帯型ユーザ双方向装置に入力された情報に基づいて、上記携帯型ユーザ双方向装置に送信された上記1つ以上の提案を更新するステップS1460を行う。
【0060】
[実施例]
[実施形態1]
第1実施形態では、上記システムは、センサユニット(1)と、携帯型ユニット(2)と、処理ユニット(3)とを備える。センサユニットは、複数のセンサ(4,5,6,7)と、必要に応じてこのようなデータ処理を行うためのハードウェアおよび/またはソフトウェア(8)と、処理ユニットに対してデータの送受信を行うためのネットワーク接続部(11)とを備える。携帯型ユニットは、親または他の世話をする人に情報を通信する手段(18)と、世話をする人からの入力を記録する手段(19)と、処理ユニットに対してデータを送受信するためのネットワーク接続部(20)とを備える。処理ユニットは、センサユニットおよび携帯型ユニットからのデータを分析するためのハードウェアおよび/またはソフトウェア(24)を備える。処理ユニットは、センサユニットおよび携帯型ユニットのいずれかに配置されてもよく、または別の装置に配置されてもよい。処理ユニットは、センサユニットおよび携帯型ユニットと通信するためのネットワーク接続部(26)を含む。
【0061】
図2は、センサユニットの構成部材を示す。センサユニットは、複数のセンサ(4,5,6,7)を含む。いくつかのセンサは、子供の睡眠環境を監視する。これらには、温度センサ(5)、光センサ(7)、および周辺ノイズセンサ(6)が含まれる。
【0062】
センサユニットはまた、ベッドに就いているとき、または他の睡眠領域にいるときの子供の生理学的パラメータを監視するためのセンサを含む。これらのセンサは、ベッドに就いているときの子供の運動を検知するための、例えば赤外線センサまたは他の運動センサなどの1つ以上の運動センサと、泣くなどの子供のノイズを検知するためのノイズセンサ(6)とを含む。運動センサは、例えば圧電素子を含む高感度センサのように、子供の息および心臓の鼓動を記録するには十分な感度を有し得る。したがって、運動センサは、図4に示すように、また、米国特許第5479939号に記載されているように、圧電素子を含むセンサユニットに接続されているのが好ましい。生理学的センサは、子供の睡眠の妨げにならないように非侵襲的なものであることが好ましい。生理学的センサは、目が覚めているとき、または眠っているときの、ベッドにおける子供の行動についての情報を記録するために用いられる。生理学的センサからのデータがないと、それは子供がベッドにいないことを示す手がかりとなる。
【0063】
センサは概して、センシング素子、増幅およびフィルタリング素子、および、プロセッサによって分析可能なデジタル信号を生成するためのアナログ−デジタル変換器(ADC)とともに用いられて実現される。信号データは、後で詳述するように、メモリに記憶する前に、低周波数にてセンサユニットのプロセッサ(8)によってサンプリングされるのが望ましい。
【0064】
考え得る温度センシング素子は、サーミスタ、熱電対、または同様の装置を含む。考え得る光センシング素子は、フォトダイオードまたはフォトレジスタを含む。対数増幅器は、ダイナミックレンジを増加させるために、光、運動、またはノイズに対して用いられ得る。
【0065】
図3は、環境的ノイズ、子供が発する泣き声や他のノイズを検知し得る周辺ノイズセンサの実現を示す。CDもしくは同様の音声記録装置の典型的なサンプリングレートおよび精度で一晩中の周辺ノイズを記録するには、上記データを処理するために、大量の記憶メモリと大量のCPU処理時間とを必要とする。このため、周辺ノイズセンサは、直近の数秒において発生した周辺ノイズの音の大きさの特徴である、ゆっくりと変化する信号を生成するように設計されている。この信号は、未処理の音声信号よりもはるかに低い周波数(0.1Hzから100Hz)にてサンプリングされ得るため、センサユニットにおいて必要とされる記憶容量および処理ユニット(3)において必要とされる処理容量は非常に少なくて済む。
【0066】
小型マイクロフォンは周辺ノイズを検知し、小さなAC電圧信号を生成する。これは、音声周波数のみ(典型的には100Hzから20kHzの間)を通過させる回路によって増幅され、フィルタリングされる。増幅されたAC信号は、回路によって整流される。整流されたAC信号は回路によって積分される。積分器は、数秒の時定数を有する。このように、一秒より短い期間の音を示すAC信号は、数秒間持続するDC信号となる。このDC信号は、ADCによってデジタル信号に変換される。センサユニットにおけるプロセッサ(3)は、ADCの出力をメモリ(9)に記録する。DC信号は数秒間持続するので、プロセッサ(8)は低周波数(0.1Hzから100Hz)にてサンプリング可能であり、サンプリング期間と他のサンプリング期間との間に発生するいかなる音も逃さない。周辺ノイズセンサの他の実施は、上記システムにおいて用いられ得る。
【0067】
図4は、ベッドに就いているときの子供の運動を記録するセンサの構成部材および配置を示す。センサ(14)は、子供(12)が横たわるシート(13)の下の子供用ベッド(17)に配置される圧電ケーブル(運動センサケーブル)またはフィルムである。取り付け部(15)は、ケーブルまたはフィルムを所定の位置に維持し、ケーブルまたはフィルムをシートまたはマットレス(16)に取り付けるために、クリップ、ボタン、マジックテープ(登録商標)の断片、または同様の器具を有してもよい。または、フィルムまたはケーブルは、ベッド用シートの下に配置される完全なシートに埋め込まれてもよい。フィルムまたはケーブルは、例えばセンシングケーブル(14)の延長ケーブルによって、センサユニット(1)に接続される。または、圧電素子を含むフィルムまたはケーブルはその代わりに、主要なセンサユニットに無線接続され、ベッドに配置されるインターフェイスユニットに接続されてもよい。
【0068】
図5は、低周波数(0.1Hzから100Hzの間)にてサンプルリングされ得る、ゆっくりと変化する信号を生成するために、圧電フィルムまたはケーブルからの電気信号を処理することが求められるシステムの実施を示す。周辺ノイズセンサと同様の理由で、低いレートでのサンプリングは、センサユニットのメモリに記憶される少量のデータを生成するのに有利である。
【0069】
圧電フィルムまたはケーブルは、子供の体の運動によって圧縮されるとき、小さな電荷を生成する。子供の体は、(腕または足を動かすなど)全体の身体的運動、または呼吸過程もしくは心拍の鼓動によるより小さな運動を生じる。運動によって生じる小さな電荷は、ケーブルの容量を横切る小さなAC電圧信号として現れる。このAC電圧信号は、運動、呼吸、および心拍の特徴である低周波数(典型的に0.1Hzよりも高く3Hzよりも低い)のみを通過させる回路によって増幅されフィルタリングされる。増幅されたAC信号は回路によって整流される。そして、整流されたAC信号は、回路によって積分される。積分器は、数秒の時定数を有する。このように、短い運動を示すAC信号は、数秒間持続するDC信号となる。そして、このDC信号は、ADCによってデジタル信号に変えられる。センサユニットにおけるプロセッサ(8)は、ADCの出力をメモリ(9)に記録する。
【0070】
さらに、子供の呼吸および心拍による小さな運動を記録するために、高周波数(最大100Hz)にて増幅後のAC電圧信号をサンプリングし得る。これらのデータはまた、処理ユニット(3)によって分析され、以下に説明するように、睡眠指標を算出するために用いられ得る。
【0071】
運動センサの他の実現では、処理ユニット(3)によって分析され得る同様のデータを与えることが可能である。表1では、ベッドにおける子供の運動をセンシングする異なる手段を挙げている。圧電ケーブル、フィルム、またはシートの使用は好ましい方法である。なぜならば、それは非侵襲的であり、世話をする人にとって配置しやすく、安価に製造できるからである。
【0072】
【表1】

【0073】
睡眠指標を算出するために、子供の運動データが処理手段(3)によって分析される。この分析は、心拍数、呼吸数、並びに身体的運動の発生回数および頻度の変化を監視することを含む。算出された睡眠指標については、表2に示されるものが含まれ、入眠時間および睡眠期間、ベッドに就いた時間およびベッドで過ごす期間、および睡眠の質を見出すことに関係する。
【0074】
【表2】

【0075】
子供の睡眠を分析し、睡眠指標を算出するために用いられ得る運動の代わりに、または上記運動に加えて、他の生理学的パラメータを測定することが可能である。睡眠分析における最も理解しやすい形態は、脳波、心拍数、呼吸数、筋肉の緊張、および他の生理学的パラメータの測定を含む睡眠ポリグラフ(PSG)である。これらの生理学的パラメータを監視するための技術は、脳波記録法(EEG)、筋電図記録法(EMG)、心電図記録法(ECG)、ボディーストラップおよび鼻カニューレを含む。しかしながら、これらの方法は侵襲的であり、電極(ヘッドバンドまたは他の着用製品に配置され得るもの)または他の装置を子供の体に取り付けることを必要とし、夜中に子供の邪魔となる可能性があるので、これらの方法はあまり好ましくない。
【0076】
センサユニット(図2)の模式図を参照すると、センサユニットにおけるプロセッサ(8)は、低周波数(0.1Hzから100Hzの間)にてセンサを繰り返しサンプリングする。センサユニットは、各センサのデータの読み取りに対して時間コードを与えるリアルタイムクロック(10)を含む。時間コードに沿った各センサの読み取りは、メモリ(9)に記憶される。時間コードは、センサの読み取り毎に、または複数回のセンサ読み取り毎に、例えば100回の読み取り毎に記憶されてもよい。メモリ(9)に記憶されるセンサデータは、定期的にまたは要求に応じて、ネットワーク接続部(11)を介して処理ユニット(3)に送信される。記録されたデータの量は大きくてもよいので、処理ユニット(3)に送信する前に当該データについてのさらなる処理が行われることが望ましい。センサユニットのプロセッサ(8)はこのため、データを送信する前に圧縮してもよく、睡眠指標を抽出するためにデータを分析してもよく、データセット全てを送信する代わりに睡眠指標を処理ユニット(3)に送信してもよい。センサユニットには、直流主電源プラグ(direct mains connection)またはバッテリーから電力が供給されてもよい。センサユニットの他の実施もまた可能である。
【0077】
図6は、携帯型ユニットの模式図を示す。携帯型ユニットによって、世話をする人は、ディスプレイ(18)と、キーボード(19)、マウス、タッチスクリーン、ジェスチャーカメラ、マイクロフォン、または同様の装置などの入力装置とを介して、上記システムとやり取りすることができる。情報を検索して世話をする人に示し、ネットワーク接続部(20)を用いてユーザの選択及び行為に関するデータを送信するために、携帯型ユニットは処理ユニット(3)と通信する。携帯型ユニットはまた、世話をする人に警告をしたり行為を促したりするために用いられるスピーカー(21)および振動ユニット(22)を含む。バッテリー(23)または同様のパワーシステムは、携帯型ユニットに電力を供給するので、パワーソケットへのワイヤを必要とせずに容易に持ち運ぶことを可能にしている。携帯型ユニットの他の実施も可能である。これには追加の機能を有するものも含まれ、また、本明細書において説明されるシステムとユーザがやりとりするには十分なものであり得る。
【0078】
携帯型ユニットは、専用のソフトウェアを有するハードウェアのカスタムピースとして実行されてもよい。この場合、携帯型ユニットはアラーム時計、手持ち式乳児モニタ、または他の適切な装置の形態を有してもよく、これらの装置の付加的な機能性を含んでもよい。さらに、携帯型ユニットを充電するために、または、携帯型ユニットとセンサユニットとの間またはその逆でデータを交換するために、上記携帯型ユニットは、センサユニットとドッキング可能であってもよい。
【0079】
携帯型ユニットの機能を、ラップトップPC、PDA、または携帯電話などの汎用装置において実現することも可能である。この場合、本明細書で記載される携帯型ユニットの機能性は、ソフトウェアにおいて実現される。上記ソフトウェアは、汎用装置の中の内蔵型スピーカー、振動ユニット、または他の警告システムに利用される。上記ソフトウェアはまた、汎用装置のネットワーク接続部に利用される。
【0080】
図7は、処理ユニット(3)を示す。処理ユニットは、プロセッサ(24)と、メモリ(25)と、ネットワーク接続部(26)とを含む。処理ユニットは、センサユニット(1)から得られるセンサデータ、携帯型ユニット(2)からの使用状態およびユーザ入力をメモリ(25)に記憶する。プロセッサは、センサデータを分析し、子供の睡眠について有効な情報をもたらす多くの睡眠指標を算出する。処理ユニットによって算出されるいくつかの重要な指標を表2に示す。これらの算出された指標は、メモリ(25)に記憶される。子供にとって適切な行動プログラムを選択するために、これらのプログラムをその子供に個人化するために、プログラムに対する世話をする人のコンプライアンスをチェックするために、行動プログラムの効果を測定するために、および、子供の睡眠の変化に対してプログラムのパラメータを修正するために、処理ユニットはこれらの指標を用いる。行動プログラムの進歩およびシステムの全体的状況に関わるデータはまた、メモリ(25)に記憶される。
【0081】
処理ユニットの処理機能性は、専用プロセッサの設計、または汎用プロセッサ上に展開する専用ソフトウェアによって実現され得る。専用プロセッサは、ASICまたはFPGAとして実施され得る。処理ユニットは、センサユニット(1)または携帯型ユニット(2)の中に配置され、または、それらのユニットの外部に設けられ得る。汎用プロセッサ上で展開する専用ソフトウェアによって本発明が実行されると、上記システムを作動させ、上記方法のいずれかを実行するためのプログラムは、プログラムメモリ(図7では図示せず)に記憶されてもよい。これは、例えば周知のROMタイプのように半導体メモリとして実施され得る。しかしながら、上記プログラムは、任意の他の適切なコンピュータ読み取り可能な記録媒体(27)に記憶されてもよい。上記記録媒体としては、“フロッピー(登録商標)ディスク”、CD−ROM、またはDVD−ROMなどの磁気データキャリアが挙げられる。または上記のように、同じ処理手段の要件としては、インターネットなどの広域ネットワークに接続されたソフトウェアサービスの形態をとることが挙げられ得る。
【0082】
図8は、どのようにして親または他の世話をする人がシステムを利用するかを説明する。第一段階(S81)は、子供が眠っている場所の近くにセンサユニットを据え付けることである。これには、運動センサシート、フィルムまたはケーブルを子供のベッドに配置することが含まれる。携帯型ユニットは、世話をする人に、センサユニットを正確に据え付けるにはどうすればよいかを指示する。一度ユニットが世話をする人によって配置されると、上記システムはセンサが正確に作動していることをチェックし、世話をする人に据付が完了したことを知らせる。
【0083】
次の段階では、上記システムは睡眠に関する子供についての情報を要求する。これは質問形式のものであってもよい。有効な情報は、表3に示されるようなものを含むが、これに限定されない。この情報は、子供の睡眠を発達段階の観点から理解できるように、また、慢性の病気または薬物の使用などの通常とは異なる状況を処理ユニットが考慮に入れられるように要求される。世話をする人は必要な情報を提供し、システムが子供の特徴について提示するいかなる質問にも答える(S82)。
【0084】
子供が現在なんらかの病状に苦しんでいることを世話をする人が報告すると、上記システムは、世話をする人に、子供に対して何らかの行動プログラムを実行する前に医療的アドバイスを求めるべきであることを知らせる。
【0085】
【表3】

【0086】
さらなる段階において、世話をする人は、子供の通常の睡眠と日中の行動とについての質問に答える(S83)。これは質問形式であってもよい。この情報は、もしあれば子供が経験している睡眠の問題のタイプを判定する一助として、また、睡眠に影響を及ぼし得る子供のライフスタイルにおける何らかの問題を特定するために、処理ユニットによって用いられる。用いられる質問は、子供の年齢によって異なる。例えば、生後6ヶ月の子供についての質問項目は、‘日中の食事の頻度はどのくらいですか?’、‘夜寝付くために食事をする必要がありますか?’などの質問を含む。少し年齢の上の子供についての質問事項は、‘一日にどのくらいカフェイン系のソフトドリンクを飲んでいますか?’、‘ベッドに就いているときにテレビを見ますか?’などの質問を含む。‘学校での行動について問題をかかえていますか?’、‘10分間集中することが困難ですか?’など、子供の行動についての質問もまた重要である。なぜなら、これらは、世話をする人が睡眠問題をはっきりと意識していないであろう兆候を示すものだからである。
【0087】
次の段階(S84)では、上記システムは、数日から数週間の基準期間、子供の睡眠についてのデータを記録する。この基準期間によって、上記システムは、子供の通常の睡眠パターンを確立することができる。図9は、どのように上記システムが基準期間において毎夜用いられ得るかを示す。まず、センサユニットは、一晩の子供の睡眠についてのデータを収集する。これには、運動および周辺ノイズデータが含まれ、また、光および温度データが含まれる。一度データが収集されると、処理ユニットは、表2で示すようなものを含む一連の全体的な睡眠指標を抽出するために、センサデータを分析する。睡眠指標は、1つのセンサからのデータに基づいて算出され得るか、または、いくつかのセンサの間の相関を求めることによって算出され得る。例えば、就寝時刻は、夜に子供が物理的にベッドに就くことを示す、運動センサにおける第1重要信号を見出すことによって算出され得る。しかしながら、消灯を示す、光信号の低下と同時刻の早期運動信号を見出すことがより正確であり得る。表4は、周辺ノイズセンサデータから算出されるさらなる行動指標および環境指標の例を示す。表5は、光データから算出されるさらなる環境指標の例を示す。表6は、温度データから算出されるさらなる環境指標の例を示す。
【0088】
翌日のある時間に、親または他の世話をする人は、前日の夜の子供の睡眠についての追加情報を得るために、携帯型ユニットを用いる。この情報には、表7に示すものが含まれる。この追加情報は、その夜のセンサ情報とともに、処理ユニットによって記憶される。追加情報は、センサユニットのみから導出されるものより充実したビジョン(fuller picture)を提供する。世話をする人にとって、子供が夜中にベッドから出て過ごしているか、またはベッドから出た状態で眠っているかを知ることは特に重要なことである。なぜなら、これらの睡眠状態はセンサユニットによって測定されないからである。世話をする人も、子供の睡眠についてよりよく知るために睡眠指標を見直すことが促されるので、センサユニットによって誤って解釈された指標を正す機会を有することができる。世話をする人が日中に携帯型ユニットを用いることができない場合、追加情報は後で追加される、または後で削除される。世話をする人はまた、基準期間におけるいずれかの時間において、記録された睡眠指標を調べてもよい。
【0089】
【表4】

【0090】
【表5】

【0091】
【表6】

【0092】
【表7】

【0093】
基準期間は、子供の睡眠パターンについて正確な報告を行うためにシステムが十分な情報を得るまで、または制限時間になるまで続く。睡眠データにおけるこの正確さは、特定の重要な睡眠指標を算出し、これらの指標がある閾値を超えていないかどうかをチェックすることによって確認される。例えば、子供の平均入眠潜伏時間が、5分という低い標準偏差を有する45分が平均であることが分かり、他の重要な指標が同様に正確に知られていれば、基準期間は終了するであろう。
【0094】
基準期間が満了するとき、世話をする人は、基準期間においてシステムが獲得した睡眠データを見直し、理解することを促される(図8のS85)。子供の睡眠行動および睡眠パターンは、携帯型装置によって、はっきりとした表およびグラフの形態で表示される。子供の睡眠行動はさらに、同年齢の子供の標準的な睡眠行動および発達と比較され、世話をする人にはその結果が知らされる。例えば、表8は、異なる年齢の子供の典型的な睡眠行動を示す。世話をする人は、単に誤った期待のために子供の睡眠を案じることがないように、子供の典型的な睡眠パターンについて現実的な観点を有することが重要である。
【0095】
【表8】

【0096】
世話をする人はまた、子供にとって良い睡眠習慣について学ぶ機会を有する。これらの習慣は、‘睡眠衛生’と称されることが多い。与えられるアドバイスおよび提案は、子供の年齢にふさわしいものが選択される。与えられるアドバイスには、表9に示されるものが含まれる。
【0097】
【表9】

【0098】
次の段階(S86)では、世話をする人は、現時点まで示されてきた情報を元に、子供の睡眠行動が満足なものであるかどうかを尋ねられる、または、子供の睡眠を改善するために行動プログラムを実行してみたいか、または子供の睡眠環境を変えてみたいかを尋ねられる。世話をする人の意見において睡眠行動が満足なものであった場合、適切な行動プログラムまたは環境の変更を選択および実行するために、上記システムは世話をする人を補助する。
【0099】
この場合(図8のS87)、どの行動プログラムまたは環境の変更が子供にとって有益であるかを判定するために、基準監視期間の間に記録された睡眠指標および環境データを分析するために、処理ユニットはアルゴリズムを用いる。上記システムは、子供の年齢および他の特徴を考慮に入れ、与える提案が特定の子供に対して適切であることを確実にする。
【0100】
処理ユニットは、表10に示すものを含む行動プログラムを選択し、提案する。例えば、入眠前の子供がベッドで長時間落ち着かずに過ごしていること(長時間入眠潜伏)を睡眠指標が示す場合、就寝時刻を再設定するプログラムが適切であり、このプログラムでは、子供の就寝時間を最初は遅く設定し、後に早く設定する。一方、小さい子供が夜中に頻繁に目覚め(夜間覚醒の回数が多く、覚醒時間が長い)、あやされるまで泣く(入眠後の夜泣き回数が多い)場合、親の接触を制限する消灯プログラムが適切である。ほとんどの状況では、いくつかの行動プログラムが適切である。さらに、いくつかの行動プログラムは同時に行うことが可能であり、例えば、世話をする人が積極的な手順をさらに用いつつ段階的な消灯プログラムを行うことができる。
【0101】
処理ユニットが、子供の睡眠にとって有益となる環境的変化を特定すると、それはまた世話をする人に提案される。上記システムは、基準期間において記録された環境データを確立された水準と比較することによって、または、環境データを他の睡眠指標と相関させることによって、環境的要因を特定する。例えば、部屋の温度が、夜の重要な部分に対して推奨されるレベルを下回ると判断される場合、上記システムは、ヒーターを用いて温度を上昇させることを提案する。他の提案は、異なるセンサデータ間の相関に基づいている。例えば、運動データから、子供が特定の時間に目覚めていることが概ね分かり、その時間が光データから算出される夜明けの始まりに対応する場合、上記システムは、世話をする人に、明るい光で子供が目覚めている可能性があることを注意する。この場合、上記システムは、子供部屋に厚いカーテンを設けることを提案し得る。
【0102】
【表10】

【0103】
世話をする人は、子供に薦められる適切な行動プログラムおよび環境的変化の選択を考慮する。
【0104】
行動変化のそれぞれについての情報は、何が関与しているかを十分に理解できるように、世話をする人に提供される。世話をする人が行動プログラムを実行することになっているので、自分が好むプログラムについての選択肢を有していることが重要である(S88)。例えば、消灯は効果的な技術であるが、子供を一人で一晩中泣かせておくのはしのびないと思う人もいる。このような世話をする人は、子供が泣いている間は彼らと一緒にいるが、直接の交流は控えるといった、親の存在を感じさせつつ徐々に消灯する技術を好む。
【0105】
あらゆる提案された環境的変化に対して、世話をする人は環境的変化をつけることを望み、このような変化が子供の睡眠を改善したかどうかを知るために子供を監視する。この場合、子供の睡眠が改善されたかが監視され分析されるときに、‘個人別プログラム’というオプションが用いられる。または、世話をする人は即座に環境的変化を行うことを望む場合もあり、また、行動プログラムを行う場合もある。この場合、行動プログラムは選択され、通常の手順で行われる。
【0106】
世話をする人はまた、子供の睡眠行動または環境に対して自分独自の変更を行う、また、その結果を監視するために上記システムを用いるというオプションを有している。これは、世話をする人に与えられる子供の睡眠行動についてのアドバイスに基づき得る。この場合、‘個人別プログラム’というオプションは、子供の睡眠が改善されているかどうかについて監視され分析されるときに用いられる。
【0107】
一度行動プログラムが選択されると、上記システムは、プログラムを実行するように、世話をする人を補助する(S89)。図10は、上記システムが、どのように再設定就寝時刻の典型的な行動プログラムを実行するように世話をする人を補助するかを示している。
【0108】
再設定就寝時刻は、眠らずにベッドで長時間を過ごしたり、世話をする人が望む時間に眠ることに強く抵抗したりする子供を補助するように設計された行動プログラムである。
【0109】
第一段階では、世話をする人は子供の睡眠について目標を設定することが求められる(S101)。再設定就寝時刻のプログラムにおいて、世話をする人は、子供の年齢にふさわしく、世話をする人の生活スタイルにも合った、子供に対して望まれる就寝時刻を選択する。上記システムは、同じ年齢の子供の典型的なデータに基づいて、例えば表8に示すものから、適切な時間を提案する。行動プログラムの目標は、子供が所望の時刻にベッドへ行き、10分以内に入眠するように、処理ユニットによって設定される。
【0110】
一度適切な目標が設定されると、上記システムは特定の子供に対して個人的な行動プログラムを設計する。個人的な行動プログラムは、基準監視期間において記録された睡眠指標に基づく。上記システムは、基準監視期間における子供の入眠時刻を、そのメモリ内に有する。第二段階(図10のS102)では、世話をする人の記録において子供が病気であったり就寝時刻が平常と異なったりする場合の時刻を除いて、基準期間における子供の平均(平均的)入眠時刻が算出される。段階S103では、子供の第1再設定就寝時刻が、記録された平均入眠時刻に設定される。例えば、子供の平均入眠時刻がセンサユニットによって21:10として記録されると、子供の再設定就寝時刻は21:10に設定される。段階S104では、世話をする人は、再設定就寝時刻を一週間という期間で用いることを指示される。子供はこの時刻に非常に眠くなり、ベッドに就くと予想される。
【0111】
図11は、上記システムが、再設定就寝時刻の行動プログラムの間、夜毎、どのように用いられているかを示す。段階S111では、再設定された就寝時刻の20分前に、携帯型ユニットが世話をする人に警告を行い、次の20分間を、寝物語を読んだり、入浴または歯磨きをしたり、ベッドの準備をしたりなど、子供と穏やかな活動を行うことに費やすよう指示する。警告は、音声信号、振動、またはディスプレイ上のメッセージの形態を有し得る。典型的には、警告はまず、メッセージの形態で行われ、世話をする人が設定された時間内に返答しない場合、音声または振動警告が用いられ得る。これは疲れた子供を不必要に刺激するようなものであってはならない。段階S112では、携帯型ユニットは世話をする人に、静かな活動を止めて子供をベッドに就かせる時間であると警告する。
【0112】
子供の睡眠は、センサユニットによって一晩中監視され続ける(段階S113)。次の日には、世話をする人は子供の睡眠についての追加情報を、携帯型ユニットに入力し続けるよう促される(段階S114)。この情報には、表7に示すものが含まれる。この情報は、分析に含まれてはならない非典型的な夜を特定する際にアルゴリズムを補助し、また、世話をする人がプログラムの進捗に関わり続けられる補助となる。世話をする人は、適切な時に情報を入力するように促される。例えば、世話をする人は、子供が眠ったり目を覚ましたりしているときに、携帯型ユニット上のボタンなどを押すことによって、日中における子供の睡眠時間を測定することができる。
【0113】
上記システムはまた、世話をする人が段階S115で再設定就寝時刻の10分以内に子供をベッドに就かせたかをチェックする。子供をベッドに就かせた時間は、センサデータから算出された睡眠指標に基づいて判定される。子供が再設定就寝時刻の10分以内にベッドに就かず、また、世話をする人が記録した状況に異常がなかったら、世話をする人に対して、厳密にプログラムを実行することの重要性を指摘する(段階S116)。
【0114】
世話をする人が非典型的な夜の回数を異常に多く記録すると、例えば一週間に2回以上記録すると、上記システムはこの事実について世話をする人に警告し、もし子供が厳密な睡眠習慣を維持できないと、行動プログラムが効果を発揮できない、またはプログラムの実施がより長期にわたるであろうことを世話をする人に指摘する。
【0115】
行動プログラムが一週間実行された後(図10のS105)、この週における子供の平均入眠時刻(通常でないと記録された夜を除く)は、現在の再設定就寝時刻と比較される。子供の平均入眠時刻が現在の再設定就寝時刻の10分以内である場合、それが目標就寝時刻の10分以内であるかどうかがさらにチェックされる(S106)。もしこれに当てはまると、行動プログラムが成功したことになり(S107)、プログラムは終了となる。そして、上記システムは監視モードに移行する。子供の入眠が目標就寝時刻の10分以内でない場合、次の週に再設定就寝時刻が15分早く設定される(S108)。そして、改定された再設定就寝時刻を用いて、プログラムはS104から継続される。
【0116】
子供の平均入眠時刻が現在の再設定就寝時刻の10分以内でない場合、子供の平均入眠時刻について、前の連続する3週の間に早くなっていないかどうかをさらにチェックする(S109)。子供の入眠時刻が直近の3週間以内で早くなっている場合、子供はゆっくりでもプログラムに反応しつつあり、プログラムは通常通り継続される。この場合、次の週の再設定就寝時刻は変更されない(S1010)。しかしながら、子供の入眠時刻は前の3週の間に早くならなかった場合、この行動プログラムは特定の子供に対して効力がないということもあり得る。この場合、世話をする人にはその状況が知らされ、プログラムを継続したいかどうかが問われる、または、子供にとってより効果的であるかもしれない他のプログラムを選択したいかどうかが問われる(S1011)。世話をする人がこのプログラムを継続することを望めば、再設定就寝時刻は変更されず、プログラムは継続される(S1010)。しかし、親が行動プログラムを終了することを望む場合、一連の処理は終了し(S1012)、上記システムは図8のS87に戻る。
【0117】
世話をする人は、携帯型ユニットを介して、その期間を通してのプログラムの進捗についての情報を知らされる。世話をする人は、子供の就寝時刻および入眠時刻をチェックすることができ、システムが使用されるときはいつでも励ましやアドバイスを受けることができる。例えば、子供の入眠時刻が図10のS105において早まらない場合、世話をする人は、プログラムが完了するまでには数ヶ月かかることもしばしばあり、毎週改善が見込めるものではないことを知らされ得る。世話をする人は、プログラムをしっかりと継続すれば、子供の行動は改善されるであろうということを知らされる。
【0118】
上記のように、世話をする人が再設定就寝時刻の10分以内に子供をベッドに就かせない場合、世話をする人には、プログラムを遵守することの重要性が指摘される(図11のS116)。しかしながら、世話をする人が適切な時刻に子供をベッドに就かせることがどうしてもできない場合、上記システムは子供の再設定就寝時刻を早くして、または遅くして、世話をする人がプログラムを遵守できるように補助する。世話をする人が修正されたプログラムを遵守できるようにすることは、そのままのプログラムを遵守できなくしてしまうよりも子供にとってより有益なものとなる。上記システムは、調節された就寝時刻を用いて図10の一連の処理を継続する。
【0119】
段階的な消灯は、世話をする人にあやされなければ眠りに就くことが困難な子供に適した行動プログラムである。就寝時および夜間の覚醒後、子供は世話をする人にあやされるまで泣くものである。段階的な消灯により、世話をする人が子供をあやすために費やす時間を次第に制限することによって、子供は世話をする人の関与がなくても眠ることを学ぶ。
【0120】
段階S121では、世話をする人は、その人の忍耐と、同様の特徴を有する子供の平均的行動に基づいてシステムが与えてくれる提案とに基づいて、子供が眠る前に泣く最大許容時間を設定する。典型的な提案は5分で、行動プログラムは子供がこのポイントに到達した時点で終了する。
【0121】
段階的な消灯プログラムを行うために、子供が泣くことを、ある程度の時間無視する必要がある。しかしながら、世話をする人は、長時間にわたって子供を無視し難いかもしれない。このため、上記システムは、無視する期間における導入プログラムを提案し、世話をする人はそれが許容できるものかどうかを確認する(S122)。もし許容できるものでなければ、無視する期間がより短いプログラムで合意されることとなる。短い期間のプログラムを用いていると、効果を発揮するためにより長いプログラム期間が必要と思われるようになるかもしれないが、最も重要なことは世話をする人が厳密にプログラムを守れることである。
【0122】
段階S123において、段階的な消灯スキームは、期間の長さを再評価する前に、特定の日数をかけて、典型的には2日かけて行われる。図13は、システムが、どのように段階的な消灯プログラムを行う親を補助するかということを示している。図13の一連の処理は、子供がベッドに就かせられて泣く場合、または子供が夜中に目覚めて泣くときはいつでも行われる。一連の処理は、センサユニットが、子供の覚醒および子供が泣いているのを検知したときに開始される(S131)。携帯型ユニットが第二段階で警告を発し、現時点で設定されている無視する期間の一期分または複数期分、子供が泣いているのを無視するように段階S132において指示する。例えば、無視する期間が5分である場合、世話をする人は5分間子供を無視するように段階S132において指示される。無視する時間の残り時間は、携帯型装置上でカウントダウンとして世話をする人に表示され得る。無視する期間において(第三段階)、センサユニットは子供による周辺ノイズを記録し続ける。センサユニットが、この期間において子供が泣き止んだことを検知すると(段階S133)、これが子供が眠りに就いたであろうことを示すものとして、一連の処理は終了する(S134)。もしそれが検知されなければ、無視する期間の最後に、携帯型ユニットは世話をする人に警告を発し、簡単に子供をあやすように指示する(S135)。典型的には1分以内であやすように指示する。1分間のあやし期間の最後に、携帯型ユニットは世話をする人に警告を発し、子供をあやすのをやめるように指示する。
【0123】
そして、世話をする人は、より長時間にわたって、典型的には設定された無視する時間の2倍の時間にわたって子供を無視するように指示される(S136)。例えば、無視する期間が5分の場合、世話をする人は10分間子供を無視するよう指示される。センサユニットがS137においてこの期間に子供が眠っているのを検知すると、一連の処理が終了する。もしこれを検知しない場合、世話をする人は、より短い時間だけ子供をあやすように指示される(S138)。そして、世話をする人は、より長時間、典型的には設定された無視する時間の3倍の時間、子供を無視するよう指示される(S139)。もしセンサユニットがこの期間に子供が眠っているのを検知すると(S1310)、一連の処理は終了する。もしこれを検知しないと、一連の処理はS138に戻り、世話をする人は、短い時間だけ子供をあやすよう指示される。そして、世話をする人は、設定された期間の3倍の時間、前のように子供を無視するよう指示される(S139)。この一連の処理は、子供が寝付くまでこのように続けられる。
【0124】
世話をする人が、携帯型ユニットが要求する限りずっと子供を無視することに耐えられないという場合がある。この場合、世話をする人は、ボタンを押す、または他の方法で、予定された時間の前に子供をあやす旨を携帯型ユニットに通知する。これはセンサユニットによって自動的に検知され得る。例えば、子供がベッドから持ち上げられていることを知らせることによって検知され得る。世話をする人が早くに子供をあやすと、携帯型ユニットは、世話をする人が厳密にプログラムに従ってくれないと効果を発揮しないと指摘する。世話をする人が依然として早くに子供をあやすようであると、上記システムは、無視する期間を、世話をする人が受容可能な長さに短縮するように一連の処理を変更し得る。次の夜の無視する時間は、このより短い期間に設定される。
【0125】
図12の段階S123を参照すると、段階的な消灯が所定日数行われた後、上記システムは、先週の子供の平均泣き時間を算出するために、センサユニットからのデータを用いる。段階S124において、平均泣き時間が目標最大泣き時間よりも短いと判断される場合、プログラムは終了する(S128)。そうでない場合、一連の処理は段階S125まで継続される。算出を行う段階S124は、一週間分のデータが収集されるまで行われない。
【0126】
段階S125では、直近の数日についての平均泣き時間が、その前の数日分のものと比較される。平均泣き時間が5分ずつ短縮されると、無視する期間は2分ずつ増加される(S126)。そうでない場合、無視する時間は変更されないままである(S127).最初は、関連する前のデータがなく、上記システムはS127を通じて処理を行う。どの場合でも、上記システムはS123に戻り、段階的な消灯は他の所定日数だけ行われ、子供の泣く時間は図12のように再評価される。
【0127】
段階的な消灯は、世話をする人が実行するには難しい行動プログラムであり得る。それは、子供が泣いているのを無視することは難しいからである。さらに、消灯プログラムでは、子供の行動が、改善する前の数日間は悪化し得ることが知られている。上記システムが、子供の泣く時間が変わらなかったり増加したりしているのを検知すると、携帯型ユニットは親に、これは正常な行動であることを知らせ、プログラムを継続すればよい結果が得られるであろうという励ましを与える。
【0128】
どの行動プログラムの間でも、子供が長期間プログラムに反応しなければ、または世話をする人が望めば、プログラムの時期を早めて終了してもよい。そして、世話をする人は異なる行動プログラムを選択し、上記システムを監視モードに移行させてもよい。行動プログラムが成功すると、上記システムは図8のS86に戻り、子供の睡眠行動が現在満足のいくものかどうか、世話をする人に尋ねる。子供の行動が満足のいくものであり、世話をする人が行動プログラムの継続を希望しない場合は、上記システムは監視モードに移行する(S810)。世話をする人が他の行動プログラムを試み、子供の目標就寝時刻または他の行動を変更し、または行動プログラムをずっと継続したいという場合は、上記システムは図8のS87に戻り、世話をする人が行動プログラムを実行するのを補助する。さらに、監視モードのとき、世話をする人は行動プログラムを実行するという選択が常にできるようになっており、この場合、上記システムは図8のS87に戻り、世話をする人の選択を補助する。
【0129】
監視モードにおいて、上記システムは夜毎、子供の睡眠についてのセンサデータを収集し続ける。基準期間(図9)については、上記システムは睡眠指標を算出し続け、世話をする人は、子供の睡眠についての追加情報を提供することができる。観察期間において、世話をする人が提供する情報はより少ない傾向にある。監視期間のいずれの時期においても、世話をする人は、携帯型ユニットにおいて理解しやすく表示される子供の現在の睡眠行動を見直すことができる。
【0130】
監視モードにおいて、上記システムは、睡眠の質の低下につながり、そのため行動プログラムを用いて対策がなされる子供の睡眠行動における変化を探すためにアルゴリズムを用いる。子供の睡眠行動における変化は、生活の変化によって、例えば乳児が固形の食物を摂取し始めたり、または年齢が少し上の子供が学校に通い始めたりすることによって引き起こされ得る。世話をする人は、処理ユニットが適切な行動プログラムを提供するのを補助する携帯型装置を用いて、このような変化に関する情報を提供することができる。子供の睡眠行動はまた、子供の年齢とともに変化する。このため、処理ユニットは、睡眠行動における変化と、その子供の年齢において予想される典型的な変化とを比較する。変化が典型的なものであれば、携帯型ユニットは世話をする人にこのことを知らせ、このケースでは行動プログラムは必要ないということを通知する。
【0131】
睡眠行動において何らかのマイナスの変化があると、この変化は、上記システムが親に警告し、行動療法を提案する前に、長期間にわたって、典型的には2週間にわたって継続していることが必要である。これによって、一過性の変化、または上記システムが世話をする人に警告を発する原因となる短期の病気による変化に左右されない。
【0132】
睡眠行動におけるマイナスの変化の典型例としては、表11に示すものが挙げられる。継続したマイナスの変化が段階S811(図8)において見られると、世話をする人に警告が発せられる。そして、上記システムは図8に示すように段階S87に移行し、睡眠行動における最近の変化に基づく、子供にとって適切な行動プログラムを提案する。
【0133】
【表11】

【0134】
上記システムにおける3つの構成部材、すなわち、センサユニット(1)、処理ユニット(3)および携帯型ユニット(2)の全ては、互いに通信できるようにネットワーク接続部を含む。処理ユニットがセンサユニットまたは携帯型ユニットのいずれかの中に配置される場合、両ユニットが同一のネットワーク接続部を共有することが可能である。
【0135】
ユニットを接続するネットワークは、世話をする人が有線接続を行う必要なしに携帯型ユニットを簡単に持ち運べるように、無線であることが好ましい。有線ネットワーク接続は、センサユニットまたは処理ユニットについて可能である。
【0136】
各構成部材は、ネットワーク接続部を介して、インターネットなどの広域ネットワークに接続される。このように、携帯型ユニットは、世話をする人が家の内外に持ち運び得るものであり、また、上記システムとやりとりするために用いられ得る。さらにこれによって、子供が普段のベッドに就けない場合でも、例えば親戚の家に泊まったり短期休暇で外出したりする場合でも、世話をする人が行動プログラムを継続することができる。携帯型ユニットは、世話をする人に対して、子供にとって適切な就寝時刻について、どのように親の接触時間をもつかについて、または、どのように現在の行動プログラムに適するよう他の指示を継続して実行するかについて指示する。この場合、センサユニットは子供の睡眠についてのデータを記録できないこともあるが、この場合、世話をする人は、通常通りに携帯型ユニットを用いて、子供が通常のベッドに就いていないことを報告する必要がある。世話をする人に自信があれば、携帯型ユニットを介して子供の睡眠行動を報告してもよく、この情報は処理ユニットに送信され、行動プログラムの進捗を追跡し続けるために用いられる。
【0137】
各ユニットがインターネットなどの広域ネットワークを介して他のユニットと通信する場合、処理ユニットは、上記システムが用いられている場所の外部に配置されるソフトウェアサービスの形態をとり得る。この場合、処理ユニットソフトウェアは、単一のサーバコンピュータ、サーバクラスターに配置され得る、またはクラウドコンピュータサービスとして配置され得る。このように、複数の処理ユニットの機能を有するソフトウェアサービスが配置され得る。ソフトウェアサービスは、複数の子供を監視するために用いられる複数の携帯型センサユニットからのデータを記憶し、処理する。しかしながら、世話をする人または子供が経験した上記システムの機能性はこの場合、どのような状態にも変更されることはない。
【0138】
これまで説明したようなソフトウェアサービスの使用には、親または世話をする人による使用料または料金の支払いが必要となる。さらに、無料で、または追加料金を払うことによって、追加のサービスが親または世話をする人に提供され得る。処理ユニットは子供についての大量の睡眠データを記憶するので、睡眠の専門家または医者は、子供についてのセンサデータを監視することができ、世話をする人に対して、どうすれば上記システムを最も効果的に用いることができるかをアドバイスすることができる。例えば、睡眠の専門家は特定の行動方針の選択についてアドバイスすることができ、子供に対して特に効果を発揮するようにパラメータを設定することについてもアドバイスすることができる。そして、睡眠の専門家は、子供の進歩を見直し、行動プログラムを適切に調節し続けることができる。世話をする人に提供され得る他のサービスには、乳児の世話に関する製品の購入、他の世話をする人と子供について話をするディスカッションフォーラムの提供、情報を盛り込んだ音声または映像による講義の提供が含まれる。
【0139】
各ユニットがインターネットなどの広域ネットワークを介して他のユニットと通信する場合、広域ネットワークに接続される他の装置は、上記システムとやりとりを行うために用いられ得る。例えば、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、または携帯電話を用いて子供の睡眠履歴にアクセスしてもよく、行動プログラムについての情報にアクセスしてもよく、または携帯型ユニットの他の機能を使用してもよい。これは、ウェブ上で使用可能ないかなる装置によってもアクセスし得る処理ユニットにおいてウェブインターフェイスを設けることによって達成し得る。
【0140】
ユニットをインターネットなどの広域ネットワークに接続するのに適したネットワーク技術には、WiFi(802.11)、GSM、GPRS、および3Gが含まれる。センサユニットに適し得る、または処理ユニットをソフトウェアサービスとして有する外部サーバに適し得る有線ネットワーク技術には、Ethernet(登録商標)が含まれる。二地点間ネットワーク技術には、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、および無線USBが含まれ、ユニット間のネットワーク構築に用いられ得る。携帯型ユニットが、インターネット接続を行う独立した手段を有していない場合、屋外で使用することができない。インターネット接続する手段を有する構成部材がない場合、上記システムは、世話をする人の家に内蔵される。
【0141】
[実施形態2]
実施形態2では、システムは実施形態1と同様に提供されるが、上記システムはさらに、子供の睡眠データを印刷したもの、または該データの電子的記録を与え、世話をする人が処理を行うことを可能にする。該データのフォーマットは、子供の睡眠問題について明確なビジョンを示すようなものである。このような記録は、子供の睡眠問題を理解し、子供に対して適切な処置を行うために上記データを用いることができる睡眠の専門家または医者がつけることができる。
【0142】
上記処置は、世話をする人がどのように上記システムの機能を使用するか、例えば、専門家が子供に対して最も適切であると信じる行動プログラムをどのように実行するかということをアドバイスするという形式のものであってもよい。
【0143】
上記システムは、専門家による処置が行われている間、また、さらに処置が進むときに生成される、印刷された記録または電子的な記録が提示されている間、監視モードへと移行してもよい。このように、専門家は子供の睡眠行動に対する処置の効果を監視することができる。
【0144】
[実施形態3]
実施形態3では、システムが実施形態1と同様に提供されるが、上記システムは、動物、および家庭で飼育されているペット、特に子犬を訓練するために適用される。この実施形態では、センサユニットは動物が概して睡眠をとる場所、例えば犬用バスケットまたは犬小屋に配置される。さらに、上記システムには、動物、例えば特定の年齢および品種の犬における典型的な睡眠パターンについての情報が予めロードされる。既知の動物訓練の方法論によって取り除き得る動物の睡眠問題を特定するように、アルゴリズムが適用される。
【0145】
本発明の実施形態では、“客観的パラメータ”は、センサによって客観的に測定し得るパラメータを意味し、ユーザによるいかなる主観的判断も必要としない。
【0146】
いくつかの実施形態では、世話をする人は、その実施において人間または動物の睡眠行動を改善することができる。提案は、人間または動物の睡眠行動に影響を及ぼす何らかの要因に関する可能性を有している。それには、(例示であって限定するわけではないが)寝室の温度、子供をベッドに就かせるおよび/または子供を起こす時間、食事のパターンまたは時間、運動のパターンおよび時間、子供と世話をする人との間の接触の時間およびパターン等が含まれる。プロセッサが人間または動物の睡眠行動における変化を検出することによって、および/または、世話をする人が携帯型ユーザ双方向装置を介して供給する情報に基づいて、上記提案が一定の時間をかけて修正され得る。
【0147】
前記少なくとも1つのセンサは、前記人間または動物に取り付けられたあらゆるセンサを含み得ない。
【0148】
前記方法は、乳児、幼児、または子供の前記睡眠行動を改善するために適用され得る。
【0149】
または、これは、高齢のため、または、精神的障害もしくは身体的障害のために、前記世話をする人の世話になる大人にも適用され得る。前記方法は、複数のセンサを用いて、前記ユーザの睡眠に影響を与えないよう目立たずに、生理学的パラメータおよび環境的パラメータの両方を監視するステップを含み得る。監視された前記生理学的パラメータおよび環境的パラメータは、運動と、温度、周辺ノイズ、光および湿度のうちの1つ以上とを含み得る。
【0150】
ベッドに就いている前記人間または動物の下に設けられ、かつ、ケーブルまたは無線接続を介してセンサユニットに接続された圧電シート、ケーブルまたはフィルムを有する運動センサが用いられ得る。
【0151】
前記または各センサからのセンサの読み取り、または、複数回のセンサの読み取りは、時間コードとともに第2メモリに記憶され、前記第2メモリに記憶されたセンサデータは、前記処理手段に、定期的にまたは要求に応じて送信され得る。
【0152】
前記方法は、第2メモリに記憶する前に、0.1Hzから100Hzまでの周波数にて、前記または各センサからのデータをサンプリングするステップを含み得る。
【0153】
前記携帯型ユーザ双方向装置は携帯電話であってもよい。
【0154】
前記方法は、前記携帯型ユーザ双方向装置が、前記世話をする人に、前記処理手段によって提案された前記行動プログラムを実行するために必要な行為を行うように促すステップをさらに含み得る。
【0155】
前記処理手段は、前記携帯型ユーザ双方向装置から分離されていてもよい。
【0156】
前記処理手段は、広域ネットワーク、例えばインターネットに接続されたソフトウェアサービスの形態をとってもよい。
【0157】
前記処理手段は、前記世話をする人によって示され、かつ、前記世話をする人により選択された任意の行動プログラムもしくは行為のコンプライアンスを監視し、(i)任意に選択された行動プログラムまたは行為のコンプライアンスを補助するために、警告、ガイダンス、アドバイス、および前記世話をする人を励ますメッセージのうちの1つ以上を提供する、および/または(ii)行動プログラムおよび/または行為について更新された1つ以上の提案を提供してもよい。
【0158】
前記処理手段は、睡眠行動が改善されない夜が所定回数を上回ると、前記携帯型ユーザ双方向装置を介して、前記世話をする人に警告を発してもよい。
【0159】
前記処理手段は、睡眠行動が悪化している夜が所定回数を上回ると、前記携帯型ユーザ双方向装置を介して、前記世話をする人に警告を発してもよい。
【0160】
前記第1メモリは、1つ以上の環境的パラメータを変更するための行動プログラムおよび行為の両方についての命令を記憶してもよい。
【0161】
前記方法は、世話をする人が、前記携帯型ユーザ双方向装置を介して、専用プログラムを設定するステップをさらに含み得る。
【0162】
前記世話をする人は、提案された行動プログラムまたは行為の選択および実行に関する情報を、前記携帯型ユーザ双方向装置に入力し、入力された前記情報は、前記少なくとも1つのセンサのうちの1つ以上から受信したデータとの相関を得るために、前記処理手段に送信されてもよい。
【0163】
任意の行動プログラムまたは行為を提案する前に、前記処理手段が、一定期間、前記少なくとも1つのセンサからデータを受信することによって、前記または各センサから受信したデータについての基準、および/または、基準睡眠指標が確立されてもよい。
【0164】
前記処理手段は、前記センサユニットまたは携帯型装置のいずれかに含まれていてもよく、または、それらとは分離されていてもよい。これは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアの形態をとることが好ましく、例えばインターネット等の広域ネットワークを介してアクセス可能なソフトウェアサービスの形態をとることが好ましい。この場合、ハードウェアユニットの組み合わせは、上記システムの部材(i)、(ii)および(iv)を含んで世話をする人に提供されることは理解できるであろう。
【0165】
前記処理手段によってなされる提案は概ね、人間または動物の睡眠行動を改善するという目的を伴うが、前記処理手段に提供された情報が、修正の必要な重大な睡眠問題の欠如と相関する場合にのみ、監視することを含み得る。このような状況において、前記処理手段は、睡眠行動が悪化している夜が所定回数を上回ると、前記携帯型ユーザ双方向装置を介して、前記世話をする人に警告を発してもよい。
【0166】
このようなシステムは例えば、乳児、幼児または子供の睡眠行動を修正するために、親または他の世話をする人によって有利に用いられ得る。前記システムは、例えば乳児、2歳未満の幼児、および/またはより年齢の高い子供など、特定の年齢範囲に対して適用し得る。このようなシステムは、小さな子供の睡眠を改善するために親が用いる上で特に有効なものと認識されるが、本発明のシステムはこれに加えて、あるいはこの代わりに、例えば高齢の大人、あるいは精神的障害または身体的障害の大人を介護するために、前記世話をする人によって用いられてもよい。本発明のシステムはまた、動物に対して適用されてもよく、例えば、特に犬などの家庭で飼育されるペットの睡眠を改善したいと考えるペットの飼い主にとっては有効であり得る。
【0167】
本発明のシステムは使用に際して、専門家が必要な、また医療的処置が必要な睡眠問題を把握し得るが、この場合、専門家のアドバイス、例えば医者のアドバイスを求めるよう提案がなされるということが分かるであろう。しかしながら、本システムの携帯型ユーザ双方向装置の構成部材は、睡眠に影響を及ぼしている根本的かつ医学的な問題に対する医療的処置を求めるステップを含め、世話をする人に情報を提供し、行動的処置を促すことのみ可能であり、処置そのものを施すことは不可能である。
【0168】
好ましくは、前記1つ以上のセンサは、前記人間または動物に取り付けられたあらゆるセンサを含まない。前記システムは、ユーザの睡眠に影響を与えないよう目立たずに、生理学的パラメータおよび環境的パラメータの両方を監視するように適応される複数のセンサを含み得る。
【0169】
監視された生理学的パラメータおよび環境的パラメータは、運動と、温度、周辺ノイズ、光および湿度のうちの1つ以上とを含み得る。
【0170】
ベッドに就いている前記人間または動物の下に設けられ、かつ、ケーブルまたは無線接続を介して前記センサに接続された圧電シート、ケーブルまたはフィルムを有する運動センサが用いられ得る。
【0171】
前記センサユニットは、第2メモリおよびリアルタイムクロックを備え、それにより、前記メモリへの記憶のための各センサの読み取り、または、各センサからの複数回のセンサの読み取りは、時間コードとともに記憶され、前記第2メモリに記憶されたセンサデータは、前記処理手段に、定期的にまたは要求に応じて送信され得る。
【0172】
前記センサユニット内において、前記または各センサからの信号データは、第2メモリに記憶する前に、0.1Hzから100Hzまでの周波数にて、プロセッサによってサンプリングされてもよい。
【0173】
前記携帯型ユーザ双方向装置は携帯電話であってもよい。
【0174】
前記携帯型ユーザ双方向装置はまた、前記世話をする人に、前記処理手段によって提案された行動プログラムを実行するために必要な行為を行うように促す警告手段を有してもよい。
【0175】
前記処理手段は、前記センサユニットおよび前記携帯型ユーザ双方向装置から分離されていてもよい。
【0176】
前記処理手段は、広域ネットワークに接続されたソフトウェアサービスの形態をとってもよい。
【0177】
前記処理手段は、前記世話をする人によって示され、かつ、前記世話をする人により選択された任意の行動プログラムまたは行為のコンプライアンスを監視し、(i)任意に選択されたプログラムまたは行為のコンプライアンスを補助するために、警告、ガイダンス、アドバイス、および前記世話をする人を励ますメッセージのうちの1つ以上を提供する、および/または(ii)行動プログラムおよび/または行為について更新された1つ以上の提案を提供してもよい。
【0178】
前記処理手段は、睡眠行動が改善されない夜が所定回数を上回ると、または、睡眠行動が悪化している夜が所定回数を上回ると、前記携帯型ユーザ双方向装置を介して、前記世話をする人に警告を発してもよい。
【0179】
前記第1メモリは、1つ以上の環境的パラメータを変更するための行動プログラムおよび行為の両方についての命令を記憶してもよい。
【0180】
前記世話をする人は、前記携帯型ユーザ双方向装置を介して、専用プログラムを設定し得る。
【0181】
本発明の第2側面の睡眠管理システムは、ハードウェアユニットの組み合わせとして実行され得るが、前記ハードウェアユニットは、(i)必要なセンサと、(ii)センサユニットと、(iii)携帯型ユーザ双方向装置とを含む。または、前記構成部材のうちの1つ以上は、互いに一体化されていてもよい。例えば、前記センサは、前記センサユニットと一体化されてもよい。
【0182】
本発明の第3側面によると、世話をする人の世話になる人間または動物の前記睡眠行動を改善する方法であって、前記第2側面におけるシステムを、前記世話をする人が使用することを含む方法が提供される。
【0183】
本発明の第5側面によると、プロセッサによる実行に際し、前記プロセッサに、第1または第4側面の方法を実行させる命令を含むコンピュータ読み取り可能な媒体を提供する。
【0184】
ある好ましい実施形態について本発明を示し、説明してきたが、本明細書を読んで理解すれば、他の当業者ならその均等物および変形に想到するであろうことは明らかである。本発明は、そのような均等物および変形の全てを含み、以下の請求項の範囲によってのみ限定される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
世話になる人間または動物の睡眠行動を改善するために、世話をする人によって用いられる方法であって、
(i)少なくとも1つのセンサを用いて、前記人間または動物の睡眠関連行動に関連する客観的パラメータであって、生理学的パラメータおよび環境的パラメータから選択され、ベッドに就いた後の、前記人間または動物の運動、および/または前記人間または動物の脳の活動を示す電気信号を少なくとも含む1つ以上の客観的パラメータを監視するステップと、
(ii)前記少なくとも1つのセンサから処理手段にデータを通信するステップと、
(iii)前記処理手段において、前記人間または動物の睡眠行動を改善するための行動プログラム、および/または、前記人間または動物の睡眠行動を改善するために前記世話をする人によって実行される行為についての1つ以上の提案を、第1メモリから選択する際に、前記データを用いるステップと、
(iv)前記1つ以上の提案を、前記処理手段から、ディスプレイを介して前記世話をする人に前記提案を示し、前記処理手段にフィードバックされる情報を前記世話をする人が入力することをも可能にする携帯型ユーザ双方向装置に送信するステップと、を含み、
前記処理手段は、前記人間または動物について検知された睡眠行動の変化に基づいて、および/または、前記携帯型ユーザ双方向装置に入力された情報に基づいて、前記携帯型ユーザ双方向装置に送信された前記1つ以上の提案を更新する方法。
【請求項2】
前記1つ以上のセンサは、前記人間または動物に取り付けられたあらゆるセンサを含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
乳児、幼児または子供の前記睡眠行動を改善するために適用される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
高齢のため、または、精神的障害もしくは身体的障害のために、前記世話をする人の世話になる大人に適用される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記世話をする人に世話されるペット動物に適用される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
複数のセンサを用いて、前記人間または動物の睡眠に影響を与えないよう目立たずに、生理学的パラメータおよび環境的パラメータの両方を監視するステップを含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
監視された前記生理学的および環境的パラメータは、運動と、温度、周辺ノイズ、光および湿度のうちの1つ以上とを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ベッドに就いている前記人間または動物の下に設けられ、かつ、ケーブルまたは無線接続を介してセンサユニットに接続された圧電シート、ケーブルまたはフィルムを有する運動センサが用いられる、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記または各センサからのセンサの読み取り、または、複数回のセンサの読み取りは、時間コードとともに第2メモリに記憶され、前記第2メモリに記憶されたセンサデータは、前記処理手段に、定期的にまたは要求に応じて送信される、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
第2メモリに記憶する前に、0.1Hzから100Hzまでの周波数にて、前記または各センサからデータをサンプリングするステップを含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記携帯型ユーザ双方向装置は携帯電話である、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記携帯型ユーザ双方向装置が、前記世話をする人に、前記処理手段によって提案された前記行動プログラムを実行するために必要な行為を行うよう促すステップをさらに含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記処理手段は、前記携帯型ユーザ双方向装置から分離されている、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記処理手段は、広域ネットワークに接続されたソフトウェアサービスの形態をとる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記処理手段は、前記世話をする人に示され、かつ、前記世話をする人により選択された任意の行動プログラムもしくは行為のコンプライアンスを監視し、(i)任意に選択されたプログラムまたは行為のコンプライアンスを補助するために、警告、ガイダンス、アドバイス、および前記世話をする人を励ますメッセージのうちの1つ以上を提供する、および/または(ii)行動プログラムおよび/または行為について更新された1つ以上の提案を提供する、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記処理手段は、睡眠行動が改善されない夜が所定回数を上回ると、前記携帯型ユーザ双方向装置を介して、前記世話をする人に警告を発する、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記処理手段は、睡眠行動が悪化している夜が所定回数を上回ると、前記携帯型ユーザ双方向装置を介して、前記世話をする人に警告を発する、請求項1から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記第1メモリは、1つ以上の環境的パラメータを変更するための行動プログラムおよび行為の両方についての命令を記憶する、請求項1から17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記世話をする人が、前記携帯型ユーザ双方向装置を介して、専用プログラムを設定するステップをさらに含む、請求項1から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記世話をする人は、提案された行動プログラムまたは行為の選択および実行に関する情報を、前記携帯型ユーザ双方向装置に入力し、入力された前記情報は、前記少なくとも1つのセンサのうちの1つ以上から受信したデータとの相関を得るために、前記処理手段に送信される、請求項1から19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
任意の行動プログラムまたは行為を提案する前に、前記処理手段が、一定期間、前記少なくとも1つのセンサからデータを受信することによって、前記または各センサから受信したデータについての基準、および/または、基準睡眠指標が確立される、請求項1から20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
世話になる人間または動物の睡眠行動を改善するために、世話をする人によって用いられるための睡眠管理システムであって、
(i)前記人間または動物の睡眠関連行動に関連する客観的パラメータであって、生理学的パラメータおよび環境的パラメータから選択され、ベッドに就いた後の、前記人間または動物の運動、および/または前記人間または動物の脳の活動を示す電気信号を少なくとも含む1つ以上の客観的パラメータを監視する少なくとも1つのセンサと、
(ii)前記少なくとも1つのセンサからデータを収集し、データを処理手段に通信するセンサユニットと、
(iii)前記人間または動物の睡眠行動を改善するための行動プログラム、および/または前記人間または動物の睡眠行動を改善するために前記世話をする人によって実行される行為についての1つ以上の提案を、第1メモリから選択する際に、前記センサユニットからのデータを用いる前記処理手段と、
(iv)前記1つ以上の提案を前記処理手段から受信し、ディスプレイを介して前記提案を前記世話をする人に示し、前記処理手段にフィードバックされる情報を入力することをも可能にする携帯型ユーザ双方向装置と、を備え、
前記処理手段は、前記人間または動物について検知された睡眠行動の変化に基づいて、および/または、前記世話をする人によって前記携帯型ユーザ双方向装置に入力された情報に基づいて、前記携帯型ユーザ双方向装置に送信された前記提案を更新する睡眠管理システム。
【請求項23】
前記1つ以上のセンサは、前記人間または動物に取り付けられたあらゆるセンサを含まない、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記システムは、ユーザの睡眠に影響を与えないよう目立たずに、生理学的パラメータおよび環境的パラメータの両方を監視するように適応される複数のセンサを備える、請求項22または23に記載のシステム。
【請求項25】
監視された前記生理学的および環境的パラメータは、運動と、温度、周辺ノイズ、光および湿度のうちの1つ以上とを含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
ベッドに就いている前記人間または動物の下に設けられ、かつ、ケーブルまたは無線接続を介して前記センサユニットに接続された圧電シート、ケーブルまたはフィルムを有する運動センサが用いられる、請求項22から25のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
前記センサユニットは、第2メモリおよびリアルタイムクロックを備え、それにより、前記メモリへの記憶のための各センサの読み取り、または、各センサからの複数回のセンサの読み取りは、時間コードとともに記憶され、前記第2メモリに記憶されたセンサデータは、前記処理手段に、定期的にまたは要求に応じて送信される、請求項22から26のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項28】
前記センサユニット内において、前記または各センサからの信号データは、第2メモリに記憶する前に、0.1Hzから100Hzまでの周波数にて、プロセッサによってサンプリングされる、請求項22から27のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項29】
前記携帯型ユーザ双方向装置は携帯電話である、請求項22から28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記携帯型ユーザ双方向装置はまた、前記世話をする人に、前記処理手段によって提案された行動プログラムを実行するために必要な行為を行うように促す警告手段を有する、請求項22から29のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項31】
前記処理手段は、前記センサユニットおよび前記携帯型ユーザ双方向装置から分離されている、請求項22から30のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項32】
前記処理手段は、広域ネットワークに接続されたソフトウェアサービスの形態をとる、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記処理手段は、前記世話をする人に示され、かつ、前記世話をする人により選択された任意の行動プログラムまたは行為のコンプライアンスを監視し、(i)任意に選択されたプログラムまたは行為のコンプライアンスを補助するために、警告、ガイダンス、アドバイス、および前記世話をする人を励ますメッセージのうちの1つ以上を提供する、および/または(ii)行動プログラムおよび/または行為について更新された1つ以上の提案を提供する、請求項22から32のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項34】
前記処理手段は、睡眠行動が改善されない夜が所定回数を上回ると、前記携帯型ユーザ双方向装置を介して、前記世話をする人に警告を発する、請求項22から33のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項35】
前記処理手段は、睡眠行動が悪化している夜が所定回数を上回ると、前記携帯型ユーザ双方向装置を介して、前記世話をする人に警告を発する、請求項22から34のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項36】
前記第1メモリは、1つ以上の環境的パラメータを変更するための行動プログラムおよび行為の両方についての命令を記憶する、請求項22から35のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項37】
前記世話をする人が、前記携帯型ユーザ双方向装置を介して、専用プログラムを設定することができる、請求項22から36のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項38】
世話をする人に世話になる人間または動物の前記睡眠行動を改善する方法であって、請求項22から37のいずれか1項に記載のシステムの前記世話をする人による使用を含む方法。
【請求項39】
人間または動物の睡眠行動を改善する方法であって、
(i)処理手段において、少なくとも1つのセンサから、前記人間または動物の睡眠関連行動に関連する1つ以上の客観的パラメータであって、生理学的パラメータおよび環境的パラメータから選択され、ベッドに就いた後の、前記人間または動物の運動、および/または前記人間または動物の脳の活動を示す電気信号を少なくとも含む1つ以上の客観的パラメータに関するデータを受信するステップと、
(ii)前記処理手段において、行動プログラムおよび/または前記世話をする人によって実行される行為についての1つ以上の提案を、第1メモリから選択する際に、前記データを用いるステップと、
(iii)前記1つ以上の提案を、前記処理手段から、ディスプレイを介して前記世話をする人に前記提案を示す携帯型ユーザ双方向装置に送信するステップと、を含み、
前記処理手段は、前記人間または動物について検知された睡眠行動の変化に基づいて、および/または、前記携帯型ユーザ双方向装置から受信したユーザ情報に基づいて、前記携帯型ユーザ双方向装置に送信された前記1つ以上の提案を更新する方法。
【請求項40】
プロセッサによる実行に際し、前記プロセッサに、請求項1から21または39のいずれか1項に記載の方法を実行させる命令を含む、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−19909(P2011−19909A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−160859(P2010−160859)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】