説明

両親媒性ポリマーを含む水中油型エマルジョン

本特許出願は、水性相に分散した油性相を含む水中油型エマルジョンの形態の局所的な塗布のための組成物であって、少なくとも1種の非架橋の両親媒性ポリマーを含み、前記エマルジョンの小球体が、15から500ミクロンの範囲の平均寸法を示し、前記油性相が、組成物の総重量に対して35重量%未満の量で存在することを特徴とする組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、少なくとも1種の特定の両親媒性ポリマーを含む水中油型エマルジョン形態の組成物、特に、体もしくは顔の皮膚、毛髪、唇および/もしくは眼をケアするため、これらのメークを落とすため、ならびに/またはこれらを洗浄するための前記組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
特に使用時における、より良い心地よさ(柔らさ、皮膚軟化性他)に関わる様々な理由により、現在の化粧品組成物は、一般的に、水性分散連続相および油性分散非連続相から構成される水中油(O/W)型エマルジョン、または油性分散連続相および水性分散非連続相から構成される油中水(W/O)型エマルジョンの形態で提供される。O/W型エマルジョンは、化粧品分野で最も需要が高い。これは、水性相を外相として含むことによって、皮膚に塗布している間W/O型エマルジョンよりも爽やかで、油っぽくない、軽い感触が得られるという事実からである。
【0003】
従来のO/W型エマルジョンは、グリセロール化アルキルまたはポリオキシエチレン化アルキル型の乳化界面活性剤などの低モル質量(<5000g/モル)の両親媒性分子で一般的に安定化される。このようなエマルジョンは、ミクロン程度の油滴または油性小球体の大きさを一般的に示す。したがってこのような油小球体は、光を強く散乱し、そのためエマルジョンは、白色を示す。
【0004】
さらに、親水性の部分と、脂肪鎖から構成される疎水性の部分とを含むポリマー、例えば、C10〜C30-アクリル酸アルキルおよびアクリル酸またはメタクリル酸のコポリマーベースのエマルジョンが知られており、これらは、例えばNoveon社からPemulen TR1およびTR2の名称で販売されている製品である。このような架橋したポリマーは、マイクロメーター程度の滴径を有するエマルジョンよりも光の散乱が低い、より大きいサイズの滴(10-15μm程度)を含み、したがってより半透明な外観を示すエマルジョンを生成する。しかし、液体テクスチャーを得ることが所望される場合、このようなエマルジョンは、エマルジョンのクリーム化現象が生じるので安定させるのが難しい。
【0005】
文献FR-2843695は、非架橋の両親媒性AMPSポリマーを含み、油濃度が40重量%を超えるO/Wエマルジョンについて記載している。しかし、油性相のこのような量は、皮膚へ塗布している間、油っぽく、光沢作用をもたらし、これは、ユーザーにとっては完全に容認し得るものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】FR-2843695
【特許文献2】WO01/16187
【特許文献3】国際特許出願第98/58974号
【特許文献4】国際特許出願第00/75207号
【特許文献5】国際特許出願第01/42312号
【特許文献6】国際特許出願第98/01478号
【特許文献7】国際特許出願第99/31144号
【特許文献8】国際特許出願第02/26836号
【特許文献9】国際特許出願第02/10223号
【特許文献10】国際特許出願第99/03894号
【特許文献11】国際特許出願第96/30421号
【特許文献12】国際特許出願第00/39169号
【特許文献13】国際特許出願第00/37507号
【特許文献14】EP1010416
【特許文献15】EP1010414
【特許文献16】EP1120101
【特許文献17】EP1016453
【特許文献18】EP1010415
【特許文献19】米国特許第6689371号
【特許文献20】EP1025898
【特許文献21】EP1013338
【特許文献22】EP1020219
【特許文献23】JP-A-2-295912
【特許文献24】米国特許第5624663号
【特許文献25】欧州特許第669323号
【特許文献26】米国特許第2463264号
【特許文献27】米国特許出願第5237071号
【特許文献28】米国特許出願第5166355号
【特許文献29】英国特許出願第2303549号
【特許文献30】ドイツ特許出願第19726184号
【特許文献31】欧州特許出願第893119号
【特許文献32】欧州特許出願第0832642号
【特許文献33】欧州特許出願第1027883号
【特許文献34】欧州特許出願第1300137号
【特許文献35】ドイツ特許出願第10162844号
【特許文献36】国際特許出願第93/04665号
【特許文献37】ドイツ特許出願第19855649号
【特許文献38】欧州特許出願第0967200号
【特許文献39】ドイツ特許出願第19746654号
【特許文献40】ドイツ特許出願第19755649号
【特許文献41】欧州特許出願第1008586号
【特許文献42】欧州特許出願第1133980号
【特許文献43】欧州特許出願第133981号
【特許文献44】国際特許出願第04/006878号
【特許文献45】国際特許出願第05/058269号
【特許文献46】国際特許出願第06/032741号
【特許文献47】米国特許第6225467号
【特許文献48】国際特許出願第2004/085412号
【特許文献49】国際特許出願第06/035000号
【特許文献50】国際特許出願第06/034982号
【特許文献51】国際特許出願第06/034991号
【特許文献52】国際特許出願第06/035007号
【特許文献53】国際特許出願第2006/034992号
【特許文献54】国際特許出願第2006/034985号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Van de Hulst、H.C.、「Light Scattering by Small Particles,」chapters 9 and 10、Wiley、New York、1957
【非特許文献2】Otuら、Makromol.Chem.Rapid.Commun.、3、127頁(1982)
【非特許文献3】Tatemotoら、Jap. 50、127、991頁(1975)、Daikin Kogyo Co Ltd Japan
【非特許文献4】Matyjaszewskiら、Macromolecules、28、2093頁(1995)
【非特許文献5】D.Braunら、Macromol.Symp.、111、63頁(1996)
【非特許文献6】Waylandら、J. Am. Chem. Soc.、116、7973頁(1994)
【非特許文献7】Symmetrical Triazine Derivatives IP.COM Journal、IP.COM INC West Henrietta、NY、US(20 September 2004)
【非特許文献8】Cosmetics & Toiletries、February 1990、Vol. 105、53〜64頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、十分に半透明な外観を示し、皮膚に油っぽくない作用をもたらし、さらにどのような粘度でも安定しており、したがって、広範囲のテクスチャーへと配合することができる(スプレー可能な液体から濃厚なクリームまで)水中油型エマルジョンを生成する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、本出願会社は、少なくとも1種の非架橋の両親媒性ポリマーを含み、滴の平均寸法が15から500μmの間であり、つまりこの必要性を満たしている水中油型エマルジョンを生成する可能性を見出した。得たエマルジョンは半透明であり、液体と濃厚クリームの両方の形態で提供することができる。
【0010】
したがって、本発明は、水性相中に分散した油性相を含む水中油型エマルジョンの形態の、局所的塗布のための組成物であって、少なくとも1種の非架橋の両親媒性ポリマーを含み、前記エマルジョンの小球体が、15から500ミクロンの範囲の平均寸法を示し、油性相が、組成物の総重量に対して35重量%未満の量で存在することを特徴とする組成物に関する。
【0011】
本発明において、油性相の量は、本発明に従い使用される乳化剤の量を含まない。
【0012】
「局所的塗布」という用語は、ケラチン性物質、特に皮膚、頭皮、睫毛、眉、爪、粘膜および毛髪への外部的塗布を意味すると理解される。
【0013】
本発明による組成物は、局所的塗布を意図しているので、生理学的に許容可能な媒体、すなわち、皮膚、粘膜などのケラチン物質、睫毛または毛髪などのケラチン繊維および頭皮と相性のよい媒体を含む。
【0014】
本発明による組成物は、十分に無害であり、優れた美容特性を有するという利点、すなわち、塗布した際に心地よい均質なテクスチャーを示す。加えて、本発明による組成物は時間が経っても非常に安定している。エマルジョンは、周辺温度で15日間の期間保存した後で、巨視的または光顕的な様相において、物理化学的な特徴(滴の大きさ、pH、粘度)に何の変化も観察されなかった場合に安定している。
【0015】
本発明の組成物において使用されるポリマーは、いかなる性質の油、一方ではトリグリセリドで構成される油、他方ではアルカン、エステル、シリコーン、サンスクリーンまたはパーフルオロ化合物で構成される油の両方を、単独でまたは混合物として、分散を可能にするという利点を示す。
【0016】
本発明において、「油性小球体の平均寸法」という用語は、Malvern社から市販の粒径測定器、Master Sizer 2000型を用いて静的光散乱を測定した、前記小球体の容積平均の「有効な」直径D[4,3]を意味すると理解されている。データは、Mie散乱理論に基づき処理される。この理論は、等方性粒子に対して正確であり、非球状粒子の場合、「有効な」粒径を求めることを可能にする。この理論は、Van de Hulst、H.C.、「Light Scattering by Small Particles,」chapters 9 and 10、Wiley、New York、1957の著作において特に記載されている。
【0017】
容積平均の「有効な」直径D[4,3]は、以下の方法で定義される。
【0018】
【数1】

【0019】
(式中、Viは、有効直径diを有する粒子の容積を表す)。このパラメータは、粒径測定器の技術文書に特に記載されている。測定は、浸透圧的処理した水を用いて組成物を100倍超に希釈後、25℃で行う。
【0020】
「有効な」直径は、その性質に応じて、水および脂肪性相の屈折率を特定することによって得られる。
【0021】
油性小球体の平均寸法は、15から500μm、好ましくは15から300μm、さらにより良いのは、15から150μmの範囲であってよい。
【0022】
本発明によるエマルジョンは、半透明である。特に、本発明によるエマルジョンは、50μmの厚さの試料を介して、500nmに等しい波長での光透過率を示すが、これは、15μm未満の滴に対する直径を有する、同じ組成のエマルジョンの少なくとも1.5倍である。
【0023】
この透過率は、500nmに等しい波長で、Carry 600UV/可視分光光度計を用いて測定する。エマルジョンは、2つの石英スライドの間に置き、このうちの1つは、50ミクロンの奥行きのノッチを含む。
【0024】
得た分散液の粘度は、極めて流動的(スプレー)から非常に粘稠(クリーム)の範囲であってよく、添加したポリマー含有量および乳化した油性相の濃度に従い特に調整される。本発明の組成物は、25℃の温度で、例えば、0.01Pa.sから100Pa.sの範囲となり得る粘度を示し、粘度は、MS-R1、MS-R2、MS-R3、MS-R4またはMS-R5軸を備えたRheomat180(Lamy)を用いて測定され、これらの軸は、200回転/分の回転速度で回転する組成物の硬度に応じて選択される。
【0025】
両親媒性ポリマー
「両親媒性ポリマー」という用語は、少なくとも1つの親水性の部分(またはブロック)と、少なくとも1つの疎水性の部分(またはブロック)とを含むポリマーを意味すると理解される。本ポリマーは、水溶性または水分散性である。
【0026】
本発明のポリマーは、一方では、少なくとも1つの水溶性または水分散性ポリマーブロックを含み、他方では、少なくとも1つの疎水性ブロックを含む、ブロックポリマーまたは「コーム」ポリマーであってよい。
【0027】
したがって、本発明の状況において利用されるポリマーは、例えば、水溶性ブロックと疎水性ブロックを交互に含むブロック(マルチブロック)ポリマーであってよい。
【0028】
これらのポリマーはまた、グラフトポリマーの形態で提供することもでき、グラフトポリマーのバックボーンは、水溶性または水分散性ブロックから構成され、疎水性のグラフトを保有し、グラフトポリマーのバックボーンは、架橋していない。
【0029】
「水溶性または水分散性ポリマー」という用語は、1%に等しい濃度で水に添加した場合、巨視的に均質な溶液を生じ、厚さ1cmの試料を介しての、500nmに等しい波長での光の透過率が少なくとも10%である(これは、1.5未満の光吸収[abs=-log(透過率)]と一致する)ポリマーを意味すると理解される。
【0030】
「両親媒性ポリマー」という用語は、0.05%(重量)で水溶液に添加した場合、25℃での水の表面張力を、50mN/m未満の値、好ましくは40mN/m未満の値まで低下させることが可能なポリマーを意味すると理解される。
【0031】
本発明によるポリマーは、10000から10000000、より好ましくは50000から8000000、さらにより好ましくは100000から3000000の範囲の重量平均モル質量を一般的に有する。
【0032】
本発明の組成物中の両親媒性ポリマーの量(活性物質として)は、組成物の総重量に対して、0.01重量%から10重量%、好ましくは0.05重量%から5重量%、さらにより良いのは、0.1重量%から3重量%の範囲であってよい。
【0033】
油性相の量の、ポリマーの量に対する割合は、1から200、好ましくは1から150の範囲であってよい。
【0034】
A)水溶性ポリマーブロック
「水溶性ブロック」という用語は、1%に等しい濃度で水に添加した場合、巨視的に均質な溶液を生じ、厚さ1cmの試料を介しての、500nmに等しい波長での光の透過率が少なくとも10%である(これは、1.5未満の光吸収[abs=-log(透過率)]と一致する)ブロックを意味すると理解される。
【0035】
このような水溶性のブロックは、ビニルモノマーのラジカル重合または重縮合により得ることができ、または現存する天然ポリマーまたは変性された天然ポリマーにより構成することもできる。
【0036】
例として挙げることができるのは、前記水溶性または水分散性ブロックまたは単位を形成するために、単独でまたは混合物として利用することが可能な、以下の水溶性のモノマー(単数も可)およびこれらの塩である
-(メタ)アクリル酸、
-ビニルスルホン酸および(メタ)アリルスルホン酸、
-ビニルホスホン酸、
-塩化メチルビニルイミダゾリウム、
-(メタ)アクリルアミド、
-2-ビニルピリジンおよび4-ビニルピリジン、
-マレイン酸およびマレイン酸無水物、
-クロトン酸、
-イタコン酸、
-式CH2=CHOHのビニルアルコール
-N-ビニルラクタム、例えばN-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタムおよびN-ブチロラクタムなど、
-水溶性スチレン誘導体、特にスチレンスルホネート、
-塩化ジメチルジアリルアンモニウム、
-N-ビニルアセトアミドおよびN-メチル-N-ビニルアセトアミド、
-N-ビニルホルムアミドおよびN-メチルビニルホルムアミド、
-下記の式(1)の水溶性ビニルモノマー
【0037】
【化1】

【0038】
(式中、
-Rは、H、-CH3、-C2H5または-C3H7から選択され、
-Xは、以下から選択される
--OR'型アルキルオキシド(式中、R'は、1から6個の炭素を有する、飽和または不飽和、直鎖状または分枝状の炭化水素基であり、少なくとも1つのハロゲン原子(ヨウ素、臭素、塩素またはフッ素)、1つのスルホ(-SO3-)、スルフェート(-SO4-)またはホスフェート(-PO4H2)基、1つのヒドロキシル(-OH)基、1つのエーテル(-O-)基、または1つの第一級アミン(-NH2)、第二級アミン(-NHR1)、第三級アミン(-NR1R2)もしくは第四級アミン(-N+R1R2R3)基(R1、R2およびR3は、互いに独立して、1から6個の炭素原子を有する、飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状の炭化水素基であり、ただし、R'+R1+R2+R3の炭素原子の和は、7を超えないものとする)で置換されている)、例えば、四級化ジメチルアミノメタクリル酸エチル(DMAEMA)、(メタ)アクリル酸グリシジル、メタクリル酸ヒドロキシエチルおよび(メタ)アクリル酸エチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールまたは(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールなどが挙げられる、
--NH2、-NHR'および-NR'R"基(式中、R'およびR"は、互いに独立して、1から6個の炭素原子を有する、飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状の炭化水素基であり、ただし、R'+R"の炭素原子の総数は、7を超えないものとし、前記R'および/またはR"基は、ハロゲン原子(ヨウ素、臭素、塩素、フッ素)またはヒドロキシル(-OH)、エーテル(-O-)、スルホ(-SO3-)、スルフェート(-SO4-)、ホスフェート(-PO4H2)、第一級アミン(-NH2)、第二級アミン(-NHR1)、第三級アミン(-NR1R2)および/または第四級アミン(-N+R1R2R3)基(R1、R2およびR3は、互いに独立して、1から6個の炭素原子を有する、飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状の炭化水素基であり、ただし、R'+R"+R1+R2+R3の炭素原子の和は、7を超えないものする)で置換されている)、例えば、N,N-ジメチルアクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)または(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(APTACおよびMAPTAC)などが挙げられる)。
【0039】
水溶性ブロックは、疎水性モノマー(b)を含むことができ、前記疎水性モノマーは、これらの単位が水溶性であるよう、十分低い量で存在する。
【0040】
疎水性のモノマー(b)として、例えば、以下が挙げられる
-スチレンおよびその誘導体、例えば4-ブチルスチレン、α-メチルスチレンおよびビニルトルエンなど、
-式CH2=CH-OCOCH3の酢酸ビニル、
-式CH2=CHORのビニルエーテル(式中、Rは、1から6個の炭素を有する、飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状の炭化水素基である)、
-アクリロニトリル、
-カプロラクトン、
-塩化ビニルおよび塩化ビニリデン、
-シリコーン誘導体、例えばメタクリロイルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランおよびシリコーンメタクリルアミドなど、
-以下の式(2)の疎水性のビニルモノマー、
【0041】
【化2】

【0042】
(式中、
-Rは、H、-CH3、-C2H5または-C3H7から選択され、
-Xは、以下から選択される:
--OR'型のアルキルオキシド(式中、R'は、1から6個の炭素原子を有する、飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状の炭化水素基である)、
--NH2、-NHR'および-NR'R"基(式中、R'およびR"は、互いに独立して、1から6個の炭素原子を有する、飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状の炭化水素基であり、ただし、R'+R"の炭素原子の総数は、6を超えないものとする)。例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニルおよびアクリル酸2-エチルヘキシルなどが挙げられる。
【0043】
水溶性ブロックは、中和していないか、さもなければ、無機もしくは有機の塩基により、完全もしくは部分的に中和されていてもよい。この塩基は、例えば、1から15個の炭素原子を保有する、1から4つのアルキル基で置換されているナトリウム、アンモニウム、リチウム、カルシウム、マグネシウムもしくはアンモニウムの塩から選択することができ、またはモノエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミン、アミノエチルプロパンジオール、N-メチルグルカミン、塩基性アミノ酸、例えばアルギニンおよびリジン、ならびにこれらの混合物からも選択することができる。
【0044】
水溶性ブロックのすべてまたは一部分を形成することができるポリ縮合物および天然または変性された天然ポリマーの中でも、以下を挙げることができる:
-水溶性ポリウレタン、
-ポリエチレンイミン、
-ポリエーテル、例えばポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンなど、
-キサンタンガム、特に、Kelco社よりKeltrol TおよびKeltrol SFの名称で、またはRhodia社よりRhodigel SMおよびRhodigel 200の名称で販売されているもの、
-アルギネート(Monsanto社のKelcosol)およびこれらの誘導体、例えばアルギン酸プロピレングリコール(Kelco社のKelcoloid LVF)など、
-ι、κおよびγ型のカラギーナン、
-変性度の異なるペクチン(HMおよびLM)、
-セルロース誘導体、特にカルボキシメチルセルロース(Hercules社のAquasorb A500)、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよび四級化ヒドロキシエチルセルロース、
-ガラクトマンナンおよびこれらの誘導体、例えばコンニャクガム、ゲランガム、ローカストビーンガム、フェネグリークガム、カラヤガム、トラガカントガム、アラビアガム、アカシアガム、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアー、カルボキシメチルナトリウム基で変性したヒドロキシプロピルグアー(Rhodia社のJaguar XC97-1)またはグアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、
-デンプン誘導体、
ならびにこれらの混合物。
【0045】
水溶性ポリマーブロックは、これらが、櫛型ポリマーの水溶性バックボーンを構成する場合、1000g/モルから10000000g/モルの間のモル質量を有する。
【0046】
これら水溶性ブロックは、これらがマルチブロックポリマーのブロックを構成する場合、500g/モルから500000g/モルの間のモル質量を有することが好ましい。
【0047】
B)疎水性ブロック
「疎水性ブロック」という用語は、周辺温度(25℃)で液体であるか、または油、例えばアルカン、エステル、エーテル、トリグリセリド、シリコーンもしくはフッ化化合物もしくは上述した油の混合物などである、脂肪性物質中に可溶または分散可能であるブロックを意味すると理解される。
【0048】
このようなブロックは、1%に等しい濃度で、50℃で48時間撹拌しながら、油または油性混合物に添加した場合、周辺温度に戻した後で、巨視的に均質な溶液を生じ、厚さ1cmの試料を介しての、500nmに等しい波長での光の透過率が少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%である。ここでの油とは、アルカン、エステル、トリグリセリド、エーテル、シリコーンもしくはフッ化型または上述の油の混合物であってよい。
【0049】
例えば、
-6から30個の炭素原子を含む、少なくとも1つのアルキル基、
-少なくとも1つの、フッ化または部分的フッ化のC6〜C30アルキル基(例えば、式-(CH2)2-(CF2)9-CF3の基)、
-少なくとも1つのコレステリル基またはコレステロール由来の基(例えば、コレステリルヘクサノエート),
-少なくとも1つ以上の環状芳香族基(複数可)、例えばベンゼン、ナフタレンまたはピレン、
-少なくとも1つのシリコーンまたはアルキルシリコーン、あるいはアルキルフルオロシリコーン基
を含む疎水性ブロックを挙げることができる
【0050】
これら疎水性ブロックのモル質量は、100から10000g/モルの間、好ましくは200から5000g/モルの間であってよい。
【0051】
最終の両親媒性ポリマー中の疎水性ブロックの重量比は、最終ポリマーに対して、好ましくは1重量%から60重量%の間、特に2重量%から40重量%の間、特に5重量%から30重量%の間である。
【0052】
両親媒性ポリマーの調製
本発明の状況において利用することができるポリマーは、例えば、以下を含めた様々な方法に従い、容易に調製することができる。
・「コーム」ポリマーの場合:
-共重合:「コーム」ポリマーを調製する1つの可能性は、例えば、疎水性ブロック(ビニル末端を有する上述した疎水性ブロック)と、式(1)を有するアクリルモノマーまたはビニルモノマーなどの水溶性ビニルモノマーとを含むマクロモノマーを共重合することにある。
-グラフト:別の可能性は、少なくとも1つの反応性の末端を有する疎水性ブロックを、相補的反応性部位を含む水溶性ポリマーにグラフトすることにある。
・ブロックポリマーの場合:
-カップリング反応:最終ポリマーがブロックポリマーの形態で提供される場合、各末端に相補的反応性部位を有する水溶性ブロックと疎水性ブロックの間でカップリングを行うことによって、それを調製することができる。
-リビング重合:本発明のポリマーを、アニオン型またはカチオン型のリビング重合で、さもなければ制御されたラジカル重合で調製することが可能である。後者の合成方法は、様々な方法、例えば、原子移動の経路(Atom Transfer Radical PolymerizationまたはATRP)、例えば窒素酸化物などのラジカルが関与する方法、または可逆的付加開裂連鎖移動重合(Reversible Addition-Fragmentation Chain Transfe)を介する経路、例えばMADIX法(Macromolecular Design via the Interchange of Xanthate、キサンテートの交換を介した高分子設計)などに従い利用することができる。これら合成方法を使用することによって、本発明のポリマーの水溶性ブロックおよび疎水性ブロックを得ることができ、これら合成方法は、本発明のポリマーの2つの種類のブロックのうちの1つのみを合成するために使用することもでき、もう一方のブロックは、使用した開始剤を介して最終ポリマーに添加するか、または水溶性ブロックと疎水性ブロックの間のカップリング反応によって添加する。
【0053】
本発明に従い、組成物に使用することができる両親媒性ポリマーは、特に、以下から選択することができる。
【0054】
1)2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)由来のポリマー
以下を含む両親媒性ポリマーを挙げることができる:
(a)80から99モル%の下記の式(3)の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)単位:
【0055】
【化3】

【0056】
(式中、X+は、プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンまたはアンモニウムイオンである)、
(b)1から20モル%、好ましくは1から15モル%の下記の式(3a)の単位:
【0057】
【化4】

【0058】
(式中、nおよびpは、互いに独立して、モル数を示し、0から30、好ましくは1から20の範囲で異なり、ただし、n+pは30以下であり、好ましくは25未満であり、さらにより良いのは20未満であり、R1は、水素原子または直鎖状もしくは分枝状のC1〜C6アルキル(好ましくはメチル)基を示し、R3は、6から30個、好ましくは10から25個の範囲のm炭素原子を含む、直鎖状または分枝状のアルキル基を示す)。
【0059】
本発明によるこれらのポリマーは、無機塩基(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたはアンモニア)または有機塩基、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミン、アミノメチルプロパンジオール、N-メチルグルカミン、塩基性アミノ酸、例えばアルギニンおよびリジンなど、ならびにこれらの混合物で、部分的にまたは完全に中和されているのが好ましい。
【0060】
本発明による組成物において使用されている両親媒性AMPSポリマーは、非架橋である。
【0061】
これらのポリマーは、1つまたは複数の開始剤、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスジメチルバレロニトリル、2,2'-アゾビス[2-アミジノプロパン]塩酸塩(ABAH)など、有機ペルオキシド、例えばジラウリルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシドなど、無機ペルオキシド化合物、例えば過硫酸カリウムまたは過硫酸アンモニウムなど、またはH2O2の存在下で、場合によって還元剤の存在下で、従来のラジカル重合法により得ることができる。
【0062】
ポリマーは、特にtert-ブタノール媒体内でラジカル重合を行うことにより得られ、tert-ブタノール媒体中に沈殿する。tert-ブタノール中での重合を用いて、このポリマーの使用に特に好ましいポリマー粒子の大きさでの分布を得ることができる。
【0063】
重合反応は、0℃から150℃の間、好ましくは20℃から100℃の間の温度で、大気圧または減圧下でのいずれかで行うことができる。重合反応はまた、不活性雰囲気、好ましくは窒素下で行うこともできる。
【0064】
特に本発明による組成物において使用することができるAMPS由来のポリマーとして挙げることができるのは、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)またはそのナトリウム塩もしくはアンモニウム塩のうちの1つから、(メタ)アクリル酸と、
-8モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC10〜C18アルコール(Clariant社のGenapol C-080)とのエステル、
-8モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC11オキソアルコール(Clariant社のGenapol UD-080)とのエステル、
-7モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC11オキソアルコール(Clariant社のGenapol UD-070)とのエステル、
-7モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC12〜C14アルコール(Clariant社のGenapol LA-070)とのエステル、
-9モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC12〜C14アルコール(Clariant社のGenapol LA-090)とのエステル、
-11モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC12〜C14アルコール(Clariant社のGenapol LA-110)とのエステル、
-8モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC16〜C18アルコール(Clariant社のGenapol T-080)とのエステル、
-11モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC16〜C18アルコール(Clariant社のGenapol T-110)とのエステル、
-15モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC16〜C18アルコール(Clariant社のGenapol T-150)とのエステル、
-20モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC16〜C18アルコール(Clariant社のGenapol T-200)とのエステル、
-25モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC16〜C18アルコール(Clariant社のGenapol T-250)とのエステル、
-25モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC18〜C22アルコールとのエステル、
-25モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC16〜C18イソアルコールとのエステル
を用いて調製されるポリマーである。
【0065】
好ましい実施形態によると、両親媒性ポリマーは、AMPSと、メタクリル酸またはメタクリル酸塩および6から25モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC16〜C18アルコールから得られる6から25のオキシエチレン基を含む、C16〜C18アルコールのメタクリレートとのコポリマーである。両親媒性ポリマーはまた、AMPSと、メタクリル酸またはメタクリル酸塩および6から25モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC12〜C14アルコールから得られる6から25のオキシエチレン基を含む、C12〜C14アルコールのメタクリレートとのコポリマーであってもよい。
【0066】
本発明による好ましい両親媒性ポリマーとして、以下を挙げることができる。
-92.65モル%のAMPSと、7.35モル%の、8つのオキシエチレン基を含むC16〜C18アルコールメタクリレート(Genapol T-080)とから得られる非架橋のコポリマー、例えばClariant社からAristoflex SNCの名称で販売されているもの、
-91.5モル%のAMPSと、8.5モル%の、7つのオキシエチレン基を含むC12〜C14アルコールメタクリレート(Genapol LA-070)とから得られる非架橋のコポリマー、例えば、Clariant社からAristoflex LNCの名称で販売されているもの、
-ならびにこれらのブレンド。
【0067】
これらのコポリマーは、非常に優れた美容特性を有する、スプレー可能な液体からクリームに渡り、極めて多様なテクスチャーで提供される安定したエマルジョンを生成するのに適している。
【0068】
これらのポリマーは、化粧品組成物の標準値である4から8の間の値に対して、pHの変化に比較的に影響が少ないという利点を示す。
【0069】
AMPS由来の両親媒性ポリマーは、50000から10000000、より好ましくは100000から8000000、さらにより好ましくは200000から3000000の範囲の重量平均モル質量を示してよい。
【0070】
AMPSベースの両親媒性ポリマーの量(活性物質として)は、本発明による組成物の総重量に対して、特に0.1から1.5重量%の範囲とすることができる。
【0071】
2)(メタ)アクリル酸由来のポリマー
以下を含む両親媒性ポリマーを挙げることができる:
(a)80から99モル%の下記の式(4)のアクリル酸(AA)単位:
【0072】
【化5】

【0073】
(式中、Rは、HまたはCH3であり、X+はプロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンまたはアンモニウムイオンである)、
(b)下記の式(5)の単位:1から20モル%、好ましくは1から15モル%
【0074】
【化6】

【0075】
(式中、
R1は、水素原子または直鎖状もしくは分枝状のC1〜C6アルキル(好ましくはメチル)基を示し、
Aは、エステルもしくはアミド基または酸素原子を示し、
R4は、6から30個、好ましくは10から25個の範囲の数の炭素原子を含む、直鎖状または分枝状のアルキルを示す)。
【0076】
(メタ)アクリル酸由来の両親媒性ポリマーは、50000から10000000、より好ましくは100000から8000000、さらにより好ましくは200000から3000000の範囲の重量平均モル質量を示してよい。
【0077】
これらのポリマーは、無機塩基(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたはアンモニア)または有機塩基、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミン、アミノメチルプロパンジオール、N-メチルグルカミン、塩基性アミノ酸、例えばアルギニンおよびリジン、ならびにこれらの混合物で、部分的にまたは完全に中和されている。
【0078】
本発明による、(メタ)アクリル酸由来のこれら両親媒性ポリマーは、非架橋である。
【0079】
(メタ)アクリル酸由来の好ましい両親媒性ポリマーとして、以下を挙げることができる。
-(メタ)アクリル酸およびステアレス-20メタクリレートから得られる非架橋コポリマー、Rohm & Haas社よりAculyn 22の名称で販売、
-(メタ)アクリル酸およびラウレス-25メタクリレートから得られる非架橋コポリマー、Rohm & Haas社よりAculyn 25の名称で販売、
-(メタ)アクリル酸およびベヘネス-25メタクリレートから得られる非架橋コポリマー、Rohm & Haas社よりAculyn 28の名称で販売、
-(メタ)アクリル酸およびステアレス-20イタコネートから得られる非架橋コポリマー、National Starch社からStructure 2001の名称で販売、
-(メタ)アクリル酸およびセテス-20イタコネートから得られる非架橋コポリマー、National Starch社からStructure 3001の名称で販売、
-(メタ)アクリル酸、アミノアクリレートおよびC10〜C30アルキルPEG 20イタコネートから得られる非架橋コポリマー、National Starch社からStructure Plusの名称で販売、
-(メタ)アクリル酸、メチルアクリレートおよびエトキシ化アルコールのジメチル-メタ-イソプロペニルベンジルイソシアネートから得られる非架橋コポリマー、Amerchol社からViscophobe DB 1000の名称で販売。
【0080】
(メタ)アクリル酸ベースの両親媒性ポリマーの量(活性物質として)は、組成物の総重量に対して、特に0.5から5重量%の範囲とすることができる。
【0081】
3)ブロックコポリマー、特に(ポリ)スチレンベースのジブロックコポリマー
これらのコポリマーは、以下のような(ブロックA)-(ブロックB)ジブロックコポリマーであることが有利である。
-ブロックAは、少なくとも、スチレン由来の単位を含み、
-ブロックBは、(a)少なくとも、遊離または塩化した形態であるアクリル酸由来の単位と、(b)少なくとも、C1〜C4アクリル酸アルキル由来の単位とを含む。
【0082】
これらのブロックコポリマー、好ましくは、ジブロックコポリマーは、線状であるのが有利である。
【0083】
より好ましくは、コポリマーに対する、ブロックBの重量比は、50%以上である。
【0084】
本発明による組成物において使用することができるジブロックコポリマーは、より詳細には、以下のような(ブロックA)-(ブロックB)ジブロックコポリマーであることを特徴とする。
-ブロックAは、ブロックAの総重量に対して、少なくとも90重量%の、スチレン由来の単位を含む、
-ブロックBは、ブロックBの総重量に対して、
(i)34から95重量%の、酸の形態または塩化形態でのアクリル酸由来の単位と、
(ii)5から66重量%の、C1〜C4アクリル酸アルキル由来の単位と
を含むランダムブロックである。
【0085】
本特許出願において、「ジブロックコポリマー」という用語は、別の順序のブロックを実質的に示さない2つのブロックで構成されたブロックコポリマーにより形成された構造に関する。
【0086】
本特許出願において、「モノマー由来の単位」という用語は、重合により前記モノマーから直接得ることができる単位を示す。したがって、例えば、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル由来の単位は、例えばアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを重合化し、次いで加水分解によって得られる式-CH2-CH(COOH)-または-CH2-C(CH3)(OOOH)-などの単位を含まない。したがって、「モノマー由来の単位」という用語は、ポリマーの最終構造のみに関し、ポリマーを合成するために使用した重合方法に依存しない。
【0087】
ブロック間の重量比は、ブロックの調製に使用した(その後の加水分解に関連した重量の変化を考慮に入れて)モノマー(またはモノマー混合物)間の重量比と一致する。ブロックの重量比は、ジブロックコポリマー全体に対する割合であり、ブロックの調製に使用したモノマー(またはモノマー混合物)の、ジブロックコポリマーの調製に使用した(その後の加水分解に関連した重量の変化を考慮に入れて)すべてのモノマーに対する、重量比に一致する。
【0088】
ブロックに関連した重量および割合は、酸当量(アクリル酸ナトリウムの塩の形態とは対照的に、酸形態でのアクリル酸由来の単位)として示される。
【0089】
C1〜C4アクリル酸アルキルモノマーはアクリル酸エチルが好ましい。
【0090】
本発明の好ましい形態によると、ブロックAおよび/またはブロックBは、前記親水性モノマーを含むブロックAまたはブロックBの重量に対して、10重量%までの(特に0.1重量%から10重量%)、好ましくは5重量%までの(特に0.1重量%から5重量%)、追加の、イオン性または非イオン性の、親水性コモノマーを含む。
【0091】
「親水性のモノマー」という用語は、水に対して親和性を有し、通常、1重量%の濃度で、25℃で、蒸留水中で巨視的な2相溶液を形成することができないモノマーを意味すると理解される。
【0092】
追加の、イオン性または非イオン性の、親水性コモノマーの中でも、挙げることができるのは、例えば、アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メタクリル酸(AMA)およびこれらの塩である。メタクリル酸またはその塩の1つを使用するのが特に好ましい。ブロックAはまた、追加の親水性モノマーとして、アクリル酸およびその塩を含むこともできる。
【0093】
特に好ましい、本発明によるジブロックコポリマーの第1のファミリーは、タイプ(1)の(ブロックA)-(ブロックB)ジブロックコポリマーで構成され、コポリマーに対するブロックBの重量比は、50から85%の間であり、好ましくは50から75%の間である。
【0094】
特に好ましい、本発明によるジブロックコポリマーの第2のファミリーは、タイプ(2)の(ブロックA)-(ブロックB)ジブロックコポリマーで構成され、コポリマーに対するブロックBの重量比は、85%以上である。
【0095】
タイプ(2)のジブロックコポリマーの中でも、2つの種類のコポリマーを区別するのが有利である。
-タイプ(2a):コポリマーに対するブロックBの重量比は、87%以上、特に87%以上94%未満である。
-タイプ(2b):コポリマーに対するブロックBの重量比は、94%以上、特に94%から97%の範囲である。
【0096】
タイプ(2a)のこれらのジブロックコポリマーの中でも、2つの種類のコポリマーを区別するのが有利である。
-タイプ(2a1):ブロックBでは、
-遊離または塩化した形態のアクリル酸由来の単位の重量比が、64%(例えば、加水分解度がT=0.7までの加水分解の一方法により得た)と、75%(例えば、加水分解度がT=0.8までの加水分解の一方法により得た)の間であり、
-C1〜C4アクリル酸アルキル由来の単位の重量比が、25%(例えば、加水分解度がT=0.8までの加水分解の一方法により得た)と、36%(例えば、加水分解度がT=0.7までの加水分解の一方法により得た)の間である。
-タイプ(2a2):ブロックBでは、
-遊離または塩化した形態のアクリル酸由来の単位の重量比が、75%(例えば、加水分解度がT=0.8までの加水分解の一方法により得た)と、95%(例えば、加水分解度がT=0.96までの加水分解の一方法により得た)の間であり、
-C1〜C4アクリル酸アルキル由来単位の重量比が、5%(例えば、加水分解度がT=0.96までの加水分解の一方法により得た)と、25%(例えば、加水分解度がT=0.8までの加水分解の一方法により得た)の間である。
【0097】
本発明の状況において使用した(ブロックA)-(ブロックB)ジブロックコポリマーは、以下の段階を含む方法により得ることができる。
I)(ブロックA)-(ブロックB')ジブロックコポリマーを、以下の中間段階Ia)およびIb)を含む方法により調製する:
Ia)以下を一緒にすることによって、第1ブロックAを調製する。
-単一の移動基を含むnTモルの移動剤
-少なくとも90重量%のスチレンを含む、nAモルのスチレンまたはモノマー混合物(nA/nT>5、好ましくは<5000)
-および場合によって遊離ラジカル開始剤
Ib)(ブロックA)-(ブロックB')ジブロックコポリマーを得るために、以下を一緒にすることによって、第2ブロックB'を調製する。
-前の段階で得たブロックA
-少なくとも90重量%のC1〜C4アクリル酸アルキルをnB/nT>5、好ましくは<5000となるように含む、nBモルのC1〜C4アクリル酸アルキルまたはモノマー混合物
-場合によって遊離ラジカル開始剤
II)続いて、前記(ブロックA)-(ブロックB)ジブロックコポリマーを得るために、モルでの度数Tが0.4から0.96の間になるまでブロックB'を加水分解する。
III)場合によって、段階II)の間および/または後に、巨大分子鎖により保有されている移動基を、非活性化し、および/または(ブロックA)-(ブロックB)ジブロックコポリマーを精製し、ならびに/または加水分解および/もしくは非活性化の副生成物を破壊し、好ましくは:
-Tは、0.4から0.96の間、好ましくは0.7から0.8の間、好ましくは約0.75から約0.90の間であり、
-nA/nT>5、好ましくはnA/nT<5000であり、
-nB/nT>5、好ましくはnB/nT<5000である。
【0098】
しかし、(ブロックA)-(ブロックB')タイプという用語は、重合のために特に鎖末端で使用される化学基(移動基または残基)の存在を除外しない。したがって、このジブロックコポリマーは、実際には、式R-(ブロックA)-(ブロックB')-Xタイプ(例えば、Xは、式-S-CS-Zの移動基またはこのような基の残基である)を示すことができる。
【0099】
本特許出願において、加水分解度Tは、アクリル酸またはアクリル酸塩由来の単位数の、加水分解の前にコポリマー内に存在したC1〜C4アクリル酸アルキル由来の単位の数に対する割合と定義される。C1〜C4アクリル酸アルキル由来の単位の数は、コポリマーの調製に使用したアクリル酸アルキルモノマーの数による量と等しいとみなされる。アクリル酸またはアクリル酸塩由来の単位の数は、任意の知られた方法、特に、強酸を用いた、例えば塩酸を用いた、-COONa基の数の酸/塩基電位差滴定により、求めることができる。
【0100】
本特許出願において、nA1およびnA2のそれぞれの数で存在するMA1およびMA2のモル質量をそれぞれ有する、モノマーA1およびA2の混合物のモル質量MAは、数平均モル質量MA=MA1nA1/(nA1+nA2)+MA2nA2/(nA1+nA2)を示す。巨大分子鎖または巨大分子鎖の一部分(例えばブロック)における混合単位のモル質量は、各単位のモル質量および各単位の数で、同じ様に定義される。
【0101】
本特許出願において、第1ブロックまたはコポリマーの測定した平均分子量とは、ブロックまたはコポリマーのポリスチレン当量としての数平均分子量を示し、THF中の立体排除クロマトグラフィー(SEC)で、ポリスチレン標準を用いた較正により測定される。nブロックを含むコポリマー内での、実際のブロックの測定された平均分子量は、コポリマーの測定された平均分子量と、(n-1)ブロック(これからコポリマーが調製される)を含むコポリマーの測定された平均分子量の差として定義される。
【0102】
本特許出願において、「移動剤」という用語は、不飽和モノマーの存在下、制御されたラジカル重合をもたらすことができ、場合によってフリーラジカルの供給元となり得るような薬剤を意味することを理解されたい。このような薬剤は当業者には知られており、RAFTおよび/またはMADIXという用語で知られている重合法の実行のための-S-CS-移動基を含む化合物を特に含む。このような方法および薬剤は、後で詳細に説明する。
【0103】
上述のような重合法は、特に文書WO01/16187に記載されている。
【0104】
上述した段階I)の間に、モノマーまたはモノマー混合物から、重合の制御を促進する開始剤および/または薬剤(-S-CS-または窒素酸化物のグループなどを含む移動剤)からの第1ブロックの調製を実行し、次いで、先行ブロックの調製に使用したものとは異なるモノマーを用いてジブロックコポリマーを得るために、場合によって、重合の制御を促進する開始剤および/または薬剤を添加して、第1ブロック上に第2ブロックを増殖させることが可能である。ブロックコポリマーの調製のためのこれらの方法は、当業者には知られている。コポリマーは、鎖末端において、移動基または移動基の残基、例えば-S-CS-基を含む基(例えばキサンテートまたはジチオエステルから生成)またはそのような基の残基を示すことができることが記載されている。
【0105】
段階II)の間に、ブロックB'の加水分解性モノマー由来の単位を、部分的に加水分解することによって、アクリル酸または塩(加水分解した単位)由来の単位と、アクリル酸アルキルモノマー(非加水分解した単位)由来の単位とを含むブロックBを形成する。これら2つの種類の単位は、ブロックB中にランダムに分布している。したがって、ブロックBは、アクリル酸アルキル由来の単位と、アクリル酸またはアクリル酸塩由来の単位とを含むランダムコポリマーの形態のブロックとみなすことができる。必然的に、ブロックBは、段階Ib)を実行中にモノマー混合物が使用される場合、最小量で、他の単位を含むことができる。
【0106】
ブロックAは、スチレン由来の単位を含む。ブロックAは、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%のスチレン(「St」)と、親水性コモノマーまたはいくつかの親水性コモノマーとを含むモノマー混合物から得ることができる。したがって、ブロックAは、少なくとも90重量%(特に90重量%から99.9重量%)、好ましくは少なくとも95重量%(特に95重量%から99.9重量%)のスチレン由来の単位と、10重量%まで(特に、0.1重量%から10重量%)、好ましくは5重量%まで(特に0.1重量%から5重量%)の親水性コモノマー(複数可)由来の他の単位とを含むランダムコポリマーであってよい。
【0107】
ブロックB'は、C1〜C4アクリル酸アルキル由来の単位を含む。ブロックB'は、少なくとも90重量%(特に90重量%から99.9重量%)、好ましくは少なくとも95重量%(特に95重量%から99.9重量%)のC1〜C4アクリル酸アルキルと、1つまたは複数の親水性コモノマー(複数可)とを含むモノマー混合物から得ることができる。したがってブロックB'は、少なくとも90重量%(特に90重量%から99.9重量%)、好ましくは少なくとも95重量%(特に95重量%から99.9重量%)のC1〜C4アクリル酸アルキル由来の単位と、10重量%まで(特に0.1重量%から10重量%)、好ましくは5重量%まで(特に0.1重量%から5重量%)の、親水性コモノマー(複数可)由来の他の単位とを含むランダムコポリマーであってよい。
【0108】
加水分解後にブロックB'から得たブロックBは、加水分解性C1〜C4アクリル酸アルキル由来の単位と、アクリル酸または塩由来の単位と、場合によっては、段階Ib)のブロックB'の増殖の間に利用された親水性コモノマー由来の単位、例えばアクリル酸由来の単位とを含む。アクリル酸は、一般的にブロックBに塩の形態で存在する。この形態は、一般的に、加水分解を実施する条件および使用した反応体から生じる。アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩またはカリウム塩などが、一般的に含まれる。したがって、ブロックBは、アクリル酸ナトリウムまたはアクリル酸カリウムの形態でアクリル酸由来の単位を一般的に含む。
【0109】
ブロックAおよび/またはブロックB'の調製に利用できる親水性コモノマー(複数可)の中でも、モノマーのエマルジョンを安定化させることができ、および/またはエマルジョン重合により得たポリマーを安定化させることができる親水性コモノマー(複数可)が挙げられる。特に、イオン性または非イオン性の、親水性コモノマー、例えばアクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メタクリル酸(MAA)およびこれらの塩などが挙げられる。メタクリル酸またはその塩を用いるのが好ましい。メタクリル酸は、加水分解に感応性を示さない。しかし、加水分解の間に塩化することができる。ブロックAの調製のための親水性コモノマーとして、アクリル酸およびその塩を使用することもできる。
【0110】
加水分解性C1〜C4アクリル酸アルキルの中でも、アクリル酸エチル(EAまたはEtA)が特に挙げられる。
【0111】
具体的な実施形態によると、ブロックAおよび/またはブロックB'もしくはBは、ブロックAまたは前記親水性コモノマーを含むブロックBもしくはB'の総重量に対して、0.1から10重量%、好ましくは0.1から5重量%の親水性コモノマー、特にメタクリル酸またはその塩の1つを含む。
【0112】
したがって段階Ia)の間、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%のスチレンと、10重量%まで、好ましくは5重量%までのメタクリル酸とを含むモノマー混合物を使用することが可能である。
【0113】
段階Ib)の間、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%のC1〜C4アクリル酸アルキル、例えばアクリル酸エチルと、10重量%まで、好ましくは5重量%までのメタクリル酸またはその塩の1つとを含むモノマー混合物を使用することが可能である。
【0114】
本発明のコポリマーの調製のための方法のいくつかの特徴を以下に詳細に説明する。
【0115】
段階I)
本発明によるコポリマーは、任意の既知の方法、すなわち制御された、もしくは制御されていないラジカル重合、開環重合(特にアニオンまたはカチオン性)、アニオンもしくはカチオン重合、またはポリマーの化学的変性により得ることができる。
【0116】
重合段階I)に対しては、「リビング」または「制御された」ラジカル重合法、特に好ましくは、RAFTまたはMADIXの名称で特に知られている、式-S-CS-の移動基を含む移動剤を利用する、制御されたまたはリビングラジカル重合方法を使用するのが好ましい。
【0117】
「リビング」または「制御された」重合法の例として、特に以下を参照することができる
-キサンテート型の制御剤によって制御されたラジカル重合を利用した、国際特許出願第98/58974号、国際特許出願第00/75207号および国際特許出願第01/42312号の方法、
-ジチオエステルまたはトリチオカーボネート型の制御剤により制御された、国際特許出願第98/01478号のラジカル重合法、
-ジチオカルバメート型の制御剤により制御された、国際特許出願第99/31144号のラジカル重合法、
-ジチオカルバザート型の制御剤により制御された、国際特許出願第02/26836号のラジカル重合法、
-ジチオリン酸エステル型の制御剤により制御された、国際特許出願第02/10223号のラジカル重合法、
-窒素酸化物前駆体の存在下での重合を利用した、国際特許出願第99/03894号の方法、または他の窒素酸化物もしくは窒素酸化物/アルコキシアミン錯体を利用した方法、
-原子移動ラジカル重合(ATRP)を使用する、国際特許出願第96/30421号の方法、
-Otuら、Makromol.Chem.Rapid.Commun.、3、127頁(1982)での教示によるイニファーター型の制御剤により制御されたラジカル重合法、
-Tatemotoら、Jap. 50、127、991頁(1975)、Daikin Kogyo Co Ltd Japan、およびMatyjaszewskiら、Macromolecules、28、2093頁(1995)での教示によるヨウ素退化的連鎖移動(degenerative transfer)により制御されたラジカル重合法、
-D.Braunら、Macromol.Symp.、111、63頁(1996)で開示されたテトラフェニルエタン誘導体により制御されたラジカル重合法、さらに
-Waylandら、J. Am. Chem. Soc.、116、7973頁(1994)で記載された有機コバルト錯体により制御されたラジカル重合法、
-ジフェニルエチレン(国際特許出願第00/39169号または国際特許出願第00/37507号)により制御されたラジカル重合法。
【0118】
重合は、水中のエマルジョン中で行うことができる(「ラテックス」法)。これらの方法は乳化剤、一般的に界面活性剤を利用することができる。任意の1つの理論に拘束されることを望むことになしに、エマルジョン調製法は、結果としてブロックAの塊を生成し、これは、コポリマー物理化学的特性に影響を与えることができると考えられている。
【0119】
当業者に知られている遊離ラジカル開始剤の存在下で、重合を行うことができる。例えば、過硫酸ナトリウムを使用することができる。通常、移動剤の量に対して、数値にして5から50%の量の開始剤を使用することが可能である。
【0120】
段階II)
段階II)の間にブロックB中の様々な単位のそれぞれの量が、加水分解度によって制御される。ブロックAが加水分解性単位を含まない場合、ブロックAの組成物は、加水分解の間変わらないままであり得る。しかし、ブロックAが、加水分解段階中に、わずかに変性されるのは当然である。
【0121】
加水分解段階II)は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどの強塩基の添加により行うのが好ましい。通常は、段階Ib)の間に使用した加水分解性モノマー量に対する、塩基の数の割合、すなわち、目標とする加水分解度におよそ一致する割合が加えられ、場合によっては、数パーセント過剰に加えられる。例えば、段階Ib)の間に使用した加水分解性アクリル酸エチルの量の、数による水酸化ナトリウムの量75%が添加される。均質な加水分解の操作は、水酸化ナトリウムをコポリマーに徐々に添加することによって行われるのが好ましい。
【0122】
加水分解段階では、巨大分子鎖に結合した特定の移動基または他の基の非活性化および/または切断が特に生じ得る。したがって、段階II)では、除去するのが望ましいような副生成物が生成する可能性があり、または化学的に変性することが望ましいような基が巨大分子鎖上で生成する可能性がある。このような操作は、段階III)の間に行うことができる。
【0123】
段階III)
段階III)は、巨大分子鎖により保有されている移動基の非活性化、ならびに/または(ブロックA)-(ブロックB)ジブロックコポリマーの精製、ならびに/または加水分解および/もしくは非活性化の副生成物の破壊の段階である。
【0124】
任意選択である段階III)の間に、得たブロックコポリマーまたは加水分解の副生成物は、例えば加水分解、酸化、還元、熱分解、オゾン分解または置換型のなどの方法によって、特定の単位からの精製のためまたは特定の単位の破壊のための反応の対象となり得る。過酸化水素水溶液を用いた酸化の段階は、硫黄を含む単位の処理に特に適切である。これらの反応または操作のいくつかは、全体的または部分的に、段階II)の間に起こる得ることが述べられている。この場合、これらの反応または操作に対して、2つの段階を同時に行う。
【0125】
加水分解の前の(ブロックA)-(ブロックB')ジブロックコポリマーの平均分子量または各ブロックの平均分子量は、段階I)の間に使用したモノマーおよび移動剤の相対量に通常依存する。もちろん、加水分解後の(ブロックA)-(ブロックB)ジブロックコポリマーの平均分子量または各ブロックの平均分子量は、これら同じ相対量、さらに加水分解度に依存し、例えば、この加水分解のために添加される反応体、一般的には塩基の量に依存する。
【0126】
わかりやすくするため、完全なおよび完全に制御された重合がなされたと考えて、ブロックの平均分子量を、「理論的な」または「目標とする」平均分子量として表現するのが一般的である。この場合、移動剤につき1つの巨大分子鎖が形成される。分子量を得るためには、ブロックの単位の平均モル質量を、ブロック当たりの単位数でかけることで十分である(モノマーの数による量を、移動剤の数による量で)。メタクリル酸など、少量のコモノマーにより生じる差は、これらの計算では無視することができる。理論的または目標とするブロックBの平均分子量は、完全な加水分解がなされたと考えて表現される(重量は、加水分解度1という仮説を用いて表現される)。
【0127】
ブロックの理論平均分子量Mブロックは、通常は以下の式に従い計算される
【0128】
【数2】

【0129】
(式中、Miは、モノマーiのモル質量であり、niは、モノマーiのモル数であり、n前駆体は、ブロックの巨大分子鎖が結合することになる官能基のモル数である)。官能基は、移動剤(または移動基)または開始剤、先行ブロックなどを起源とすることができる。先行ブロックについて考えた場合、モル数は、前記先行ブロックの巨大分子鎖が結合した化合物のモル数とみなすことができ、例えばこれは、移動剤(または移動基)または開始剤である。実際に、理論平均分子量は、導入されたモノマーのモル数および導入された前駆体のモル数から計算する。
【0130】
理論的または目標とするブロックコポリマー平均分子量は、そのような加水分解が行われた場合、完全に加水分解されたと考えて(加水分解度を1とする仮説を用いて重量は表される)、各ブロックの平均分子量の和と考えられる。
【0131】
目標とするまたは理論的なブロック総重量は、完全なおよび完全に制御された重合がなされたと考えて、巨大分子鎖の重量として定義される。総重量を得るには、ブロックの単位のモル質量をこの単位のブロック当たりの数でかけ、ブロックの各型の単位に関してこうして得た重量を加えれば十分である。メタクリル酸など、少量のコモノマーから生じた差は、これら計算において無視することができる。理論的または目標とするブロックBの総重量は、このような加水分解を行った場合、部分的加水分解の影響を考慮して表現される(加水分解度が1という仮説は、本記述語に対しては使用されない)。
【0132】
したがって、
-理論的なまたは目標とするブロックAの総重量は、MAnAである。理論的なまたは目標とするブロックAの平均分子量は、MAnA/nTである。
-理論的なまたは目標とするブロックB'の総重量はMBnBである。理論的なまたは目標とするブロックB'の平均分子量はMBnB/nTである。
-理論的なまたは目標とするブロックBの総重量は、TMAAnB+(1-T)MBnBである。理論的なまたは目標とするブロックBの平均分子量は、MAAnB/nT(理論的なまたは目標とする平均分子量に対してT=1として)である。
-理論的なまたは目標とするブロックコポリマーの総重量は、
MAnA+TMAAnB+(1-T)MBnBである。
-理論的なまたは目標とする(ブロックA)-(ブロックB)ブロックコポリマーの平均分子量は、nA/nTMA+MAAnB/nTである
(式中、
-MAは、スチレンまたは段階Ia)で使用したスチレンを含むモノマー混合物のモル質量であり、
-MAAは、アクリル酸のモル質量であり、
-MBは、C1〜C4アクリル酸アルキルまたは段階Ib)で使用したC1〜C4アクリル酸アルキルを含むモノマー混合物のモル質量である)。
【0133】
参考点として以下の対応がなされる。
-nA/nT=5は、ブロックAの理論的な平均分子量である約500g/モルに対応し、
-nA/nT=5000は、ブロックAの理論的な平均分子量である約500000g/モルに対応し、
-nB/nT=5は、ブロックB'の理論的な平均分子量である約500g/モルに対応し、
-nB/nT=5000は、ブロックB'の理論的な平均分子量である約500000g/モルに対応し、
-nA/nTMA+MAAnB/nT=13000g/モル(resp.2000、resp.8000、resp.20000、resp.50000)は、完全な加水分解がなされたと考え、C1〜C4アクリル酸アルキルがアクリル酸エチルである場合(ブロックA)-(ブロックB)ジブロックの理論的な平均分子量である約13000g/モル(resp.2000、resp.8000、resp.20000、resp.50000)に対応する。
【0134】
ブロック間の重量比は、理論的または目標とする総重量の間の比として定義される(加水分解度が1であるという仮説は、この記述語には使用されない)。
【0135】
したがって、
-MAnA≦TMAAnB+(1-T)MBnBは、(ブロックB)/(ブロックA)重量比≧1であることを示す。これは本発明に従い使用されるコポリマーの特徴であり、
-MAnA/[MAnA+TMAAnB+(1-T)MBnB]は、(ブロックA)-(ブロックB)ジブロックコポリマーの中のブロックAの重量、すなわちブロックAの割合を示し、
-[TMAAnB+(1-T)MBnB]/[MAnA+TMAAnB+(1-T)MBnB]は、(ブロックA)-(ブロックB)ジブロックコポリマーの中のブロックBの重量、すなわちブロックBの割合を示す。
【0136】
実質的に等しいジブロックコポリマーを生成する他の調製法を使用および適用することは、本発明の範囲から逸脱することにはならないことが述べられている。特に、テレケリックコポリマーR-[(ブロックB')-(ブロックA)]Wタイプ(例えば(ブロックA)-(ブロックB')-R-(ブロックB')-(ブロックA))を生成するいくつかの移動基(例えば、トリチオカーボネートZ-S-CS-S-Z)を含む移動剤を使用し、次いでテレケリックコポリマーを分断する(「切断する」)ことによって、(ブロックA)-(ブロックB')ジブロックコポリマーを得ることを予想することは可能である。分断は、加水分解中に生じることができ、この場合(ブロックA)-(ブロックB)ジブロックコポリマーは直接得られる。このような場合、当業者であれば、作動状態を調整することによって、例えば、導入したモノマーの量を、移動剤に含まれる移動基の数でかけることによって、平均分子量を示された量と等しい量に導くことになる。
【0137】
コポリマー[TMAAnB+(1-T)MBnB]/[MAnA+TMAAnB+(1-T)MBnB]に対する、ブロックBの重量比が、50から85%の間、好ましくは50から75%の間である、タイプ(1)の線状(ブロックA)-(ブロックB)ジブロックコポリマーは、13000g/モル以下、特に8000から13000g/モルの間の理論的な平均モル質量(nA/nTMA+MAAnB/nT)を一般的に有するのが好ましい。
【0138】
コポリマー[TMAAnB+(1-T)MBnB]/[MAnA+TMAAnB+(1-T)MBnB]に対する、ブロックBの重量比が、85%以上(BOL44および55および64)である、タイプ(2)の線状(ブロックA)-(ブロックB)ジブロックコポリマーは、13000g/モル以上の理論的な平均分子量(nA/nTMA+MAAnB/nT)を一般的に有するのが好ましい。
【0139】
これらタイプ(2)のコポリマーの中でも、
-コポリマーに対するブロックBの重量比が、87%以上、特に87%以上、および94%未満であるタイプ(2a)に特徴的なのは、13000から20000g/モルの間の理論的な平均分子量を一般的に有することであり、
-コポリマーに対するブロックBの重量比が、94%以上、特に94%から97%の範囲であるタイプ(2b)に特徴的なのは、20000g/モル以上、好ましくは20000から50000g/モルの間の理論的な平均分子量を一般的に有することである。
【0140】
ポリスチレンベースの両親媒性コポリマーの量(活性物質としての)は、組成物の総重量に対して、特に0.5から1.5重量%の範囲であってよい。
【0141】
4)ポリエーテル由来のポリマー
本発明のポリエーテル由来の好ましいポリマーは、例えば以下の水溶性ポリウレタンである:
-PEG-150コポリマー、ウレタン結合を介してステアリル末端を保有、Rohm & Haas社よりAculyn 46の名称で販売されている、
-PEG-150コポリマー、ウレタン結合を介してデシル末端を保有、Rohm & Haas社よりAculyn 44の名称で販売されている、
-PEG-136コポリマー、ウレタン結合を介してステアリル末端を保有、Elementis社よりRheolate FX1100の名称で販売されている、
-PEG-50コポリマー、ウレタン結合を介してステアリル末端を保有、Borchers社FranceよりBorchigel LW44の名称で販売されている。
【0142】
ポリエーテル由来のポリマーはまた、ウレタン結合なしで脂肪鎖を保有することができ、これは、例えば、Sud-Chemie社から販売されている製品Pure Thix HHなどである。
【0143】
5)天然ポリマー
天然由来のポリマーとして以下を挙げることができる:
-6から30個の炭素原子を含む脂肪鎖で変性したセルロース誘導体、例えば:
-セチルヒドロキシエチルセルロース、例えば、Hercules社から販売されているNatrosol CS Plus 330、430およびPolysurf 67 CSなど、
-ステアリルオキシヒドロキシプロピル鎖で、0.3から0.6%の間のモル濃度に変性されたヒドロキシプロピルメチルセルロース、Daido社からSangelose 60L(モル質量約500000g/モル)およびSangelose 90L(モル質量約900000g/モル)の名称で販売、
-置換ラウリルジメチルアンモニウムエポキシドで四級化されたヒドロキシエチルセルロース、Amerchol社からQuadrisoft LM 200の名称で販売、
-ラウリルまたはステアリル鎖で変性された四級化ヒドロキシエチルセルロース、Croda社からCrodacel QM(C12)、QL(C12)およびQS(C18)の名称で販売、
-トリメチルアンモニウム基で四級化され、ジメチルドデシルアンモニウム鎖で置換されたヒドロキシエチルセルロース、Amerchol社からSoft Cat SL 5、SL 30、SL 60およびSL 100の名称で販売、
-6から30個の炭素原子を含む脂肪鎖で変性されたグアー誘導体、例えばベヘニル鎖で変性されたヒドロキシプロピルグアー、Lamberti社からEsaflor HM 22の名称で販売、
-6から30個の炭素原子を含む脂肪鎖で変性されたデンプン誘導体、例えば、ナトリウム塩の形態のオクテニル無水コハク酸によりエステル化されたトウモロコシデンプン、National Starch社からN-Creamer 46の名称で販売、
-6から30個の炭素原子を含む脂肪鎖で変性されたアカシアガム誘導体、例えば、制御されたエステル化により変性されたアカシアガムなどで、Tic Gums社からTicamulsion A-2010の名称で販売。
【0144】
これらのポリマーは、化粧品組成物の標準値である、4および8の間の値のpHの変化に対して比較的感応性がないという利点を示す。
【0145】
特に、組成物の総重量に対して、0.3から2重量%、さらにより良いのは0.5から2重量%の範囲のポリマー含有量(活性物質として)でのセルロース誘導体を使用する。
【0146】
乳化剤
油性相の乳化を促進するために、本発明による組成物は、「共乳化剤」としても知られている、(両親媒性ポリマーとは別個の)1つまたは複数の乳化剤を含むことができる。
【0147】
乳化剤(複数可)の量(活性物質として)は、組成物の総重量に対して、例えば、0.001重量%から5重量%、好ましくは0.005重量%から2重量%、さらにより良いのは0.01重量%から1重量%の範囲であってよい。
【0148】
乳化剤は、両親媒性ポリマーの重量に対して、20重量%未満の濃度で使用するのが好ましい。
【0149】
乳化剤は、アルキルポリグルコシド、ポリオキシエチレン(POE)アルキルエステルもしくはエーテル、グリセロールアルキルエステルもしくはエーテル、オキシエチレン化もしくは非オキシエチレン化したソルビタンアルキルエステルもしくはエーテル、ジメチコンコポリオール、ジェミニ界面活性剤またはアシルグルタミン酸一ナトリウムまたはアシルグルタミン酸ニナトリウムから選択することができる。
【0150】
特に以下を挙げることができる:
-グリセロールエステル、例えばグリセロールモノ-またはポリアルキルエステルまたはエーテル、例えばEP1010416およびEP1010414の文書に記載の、モノイソステアリン酸グリセリル、例えばGattefosse社からPeceol Isosteariqueの名称で販売されている製品など、Goldschmidt社からIsolan Gl34の名称で販売されているポリグリセロール化した(4モル)イソステアリン酸、Cognis社からLameform TGIの名称で販売されているポリグリセロール化した(3モル)ジイソステアリン酸およびNihon Emulsion社からEmalex PGSAの名称で販売されているポリグリセロール化した(2モル)ジステアリン酸、
-ポリエチレングリコールエステルおよびエーテル、例えばポリエチレングリコールアルキルエステルおよびエーテル、例えば、Nihon Emulsion社からEmalex 550の名称で販売されている、EP1120101およびEP1016453の文書に記載のオレス-50、Uniqema社からBrij 98の名称で販売されているオレス-20、Uniqema社からBrij 52および56の名称で販売されているセテス-2およびセテス-10、Uniqema社からBrij 35の名称で販売されているラウレス-23、Uniqema社からMyrj 45の名称で販売されているPEG-8ステアリン酸、PEG-8イソステアリン酸、例えばUniqema社からPrisorine 3644の名称で販売されている製品など、ならびにUniqema社からMyrj 49およびMyrj 52の名称で販売されているPEG-20ステアリン酸およびPEG-40ステアリン酸。
【0151】
Uniqema社から販売されている以下の化合物も挙げることができる:
商品名 INCI名
Brij 35 ラウレス-23
Brij 30 ラウレス-4
Brij 96 オレス-10
Brij 56 セテス-10
Brij 98 オレス-20
Brij 76 ステアレス-10
Brij 72 ステアレス-2
Brij 52 セテス-2
Brij 78 ステアレス-20。
-ソルビタンエステルまたはエーテル、例えばオキシエチレン化または非オキシエチレン化したソルビタンモノ-またはポリアルキルエステルまたはエーテル、例えば文書EP1010415に記載されているもの、さらにUniqema社から販売されている以下の製品:
商品名 INCI名
Tween 21 ポリソルベート21
Tween 40 ポリソルベート40
Tween 80 ポリソルベート80
Tween 60V ポリソルベート60
Tween 61V ポリソルベート61。
【0152】
さらに挙げられるのは、イソステアリン酸ソルビタン、例えばUniqema社からArlacel 987の名称で販売されている製品、イソステアリン酸ソルビタングリセリル、例えばUniqema社からArlacel 986の名称で販売されている製品、ソルビタンセスキオレアート、例えばUniqema社からArlacel 83Vの名称で販売されている製品、ラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタンおよびトリステアリン酸ソルビタン、例えばUniqema社からSpan 20、Span 40、Span 80V、Span 85V、Span 60およびSpan 65Vの名称で販売されている製品。
-糖モノ-またはポリアルキルエステルまたはエーテル、例えば、米国特許第6689371号に記載の糖のモノ-またはポリアルキルエステルまたはエーテルなど。例として挙げることができるのは、例えばイソステアリン酸メチルグルコース、例えばDegussa Goldschmidt社からのIsolan-ISなど、さらには、ジステアリン酸スクロース、例えば、Croda社から販売されているCrodesta F50など、およびステアリン酸スクロース、例えば、Mitsubishi Kagaku Foods社から販売されているRyoto Sugar Ester S 1570など。
-例えば、文書EP1025898に記載されているアルコキシ化されたコハク酸アルケニル。
-脂肪族アルコール、例えば8から26個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコールおよびこれらの混合物(セテアリルアルコール)、オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコールおよびこれらの混合物など。
-シリコーン誘導体、例えばジメチコンコポリオール、例えば、Dow Corning社から「DC 5225 C」の名称で販売されている、シクロメチコンとジメチコンコポリオールの混合物、およびアルキルジメチコンコポリオール、例えばDow Corning社から「Dow Corning 5200 Formulation Aid」の名称で販売されているラウリルメチコンコポリオール、およびGoldschmidt社から「Abil EM 90」の名称で販売されているセチルジメチコンコポリオール、またはGoldschmidt社から「Abil WE 90」の名称で販売されているポリグリセリル-4イソステアレート/セチルジメチコンコポリオール/ラウリン酸ヘキシル混合物。
-アルコキシ化されたコハク酸アルケニル塩、例えば、文書EP1025898に記載されているもの。
-アルキルリン酸エステル、例えば、文書EP1013338に記載されているもの。
-アルキルエーテルシトレート、例えば、文書EP1020219に記載されているもの。
-リポアミノ酸およびこれらの塩、例えばアシルグルタミン酸一ナトリウムおよびアシルグルタミン酸ニナトリウム、例えばAjinomoto社から販売されているステアロイルグルタミン酸一ナトリウム(Amisoft HS-11 PF)およびステアロイルグルタミン酸二ナトリウム(Amisoft HS-21 P)など。
-リン酸アルキルおよびこれらの塩、例えばリン酸ジセチルおよびリン酸ジミリスチルのアルカリ金属塩、さらにリン酸セチルカリウム、例えば、DSM Nutritional Products社から販売されているAmphisol Kなど。
-コレステロール誘導体、例えばコレステロールスルフェートのアルカリ金属塩またはコレステロールホスフェートのアルカリ金属塩。
-ホスファチジン酸のアンモニウム塩。
-リン脂質。
-アルキルスルホン酸誘導体、例えば特許文書EP1120101に記載のもの。
【0153】
本発明の好ましい形態によると、共乳化剤は、グリセリルエステル(イソステアリン酸グリセリル)、ソルビタンエステル(ポリソルベート60)およびポリエチレングリコールエステル(PEG 8イソステアレート)から選択される。
【0154】
水性相
本発明による組成物の水性相は、水を含み、水に混和する、または少なくとも部分的に水に混和する、1つまたは複数の化合物、例えばポリオールまたはC2からC8低級モノアルコール、例えばエタノールおよびイソプロパノールなどを場合によって含む。「周辺温度」という用語は、標準気圧(760mmHg)で約25℃の温度を意味すると理解される。
【0155】
「ポリオール」という用語は、少なくとも2つの遊離ヒドロキシル基を含む、任意の有機分子を意味すると理解される。ポリオールの例として挙げることができるのは、例えばグリコール、例えばブチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、グリセロールおよびポリエチレングリコール、例えばPEG-8、ソルビトールまたは糖、例えばグルコースなどである。
【0156】
水性相はまた、以下に示すような、任意の標準的な水溶性または水分散性の添加剤を含むことができる。
【0157】
水性相は、組成物の総重量に対して、60から98重量%、好ましくは65から95重量%、さらにより良いのは70から90重量%、さらにより良いのは70から85重量%を占めることができる。
【0158】
ポリオールおよび低級アルコールなどの水混和性化合物(複数も可)は、組成物の総重量の0から30%の範囲の量、特に0.1から30%、さらにより良いのは1から20%の範囲の量で存在することができる。
【0159】
油性相
本発明によるエマルジョンの油性相の性質は、決定的に重大ではない。油性相は、周辺温度(20〜25℃)では液体の脂肪性物質、または植物、鉱物もしくは合成由来の揮発性もしくは非揮発性の油、およびこれらの混合物から選択される、少なくとも1つの脂肪性物質を含む脂肪相である。これらの油は、生理学的に許容可能である。
【0160】
油性相はまた、以下に示すような、任意の標準的な脂溶性または脂肪分散性の添加剤を含むことができる。
【0161】
油性相はまた特に、他の脂肪性物質、例えばワックス、ペースト状化合物、脂肪族アルコールまたは脂肪酸などを含むことができる。油性相は、少なくとも1つの油、より詳細には少なくとも1つの化粧油を含む。「油」という用語は、周辺温度(25℃)では液体の脂肪性物質を意味すると理解される。
【0162】
本発明の組成物に使用することができる油として挙げることができるのは、例えば以下のものである:
-動物由来の炭化水素油、例えばパーヒドロスクアレンなど、
-植物由来の炭化水素油、例えば、4から10個の炭素原子を含む、脂肪酸の液体トリグリセリド、例えばヘプタン酸またはオクタン酸のトリグリセリド、さらに、例えばヒマワリ、トウモロコシ、大豆、キュウリ、ブドウ種、ゴマ、ヘーゼルナッツ、アンズ、マカダミア、アララ、コリアンダー、ヒマシまたはアボカド油、カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド、例えばStearineries Dubois社から販売されているもの、またはDynamit Nobel社からMiglyol 810、812および818の名称で販売されているもの、ホホバ油またはシアバター油など、
-合成エステルおよびエーテル、特に脂肪酸の合成エステルおよびエーテル、例えば式R1COOR2およびR1OR2の油(式中、R1は、8から29個の炭素原子を含む脂肪酸または脂肪族アルコールの残基を表し、R2は、3から30個の炭素原子を含む分枝または非分枝の炭化水素鎖を表す)、例えば、ピュアセリン油、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシルまたはイソステアリン酸イソステアリルなど、ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、クエン酸トリイソセチルまたはヘプタン酸、オクタン酸またはデカン酸の脂肪族アルコールなど、ポリオールエステル、例えばジオクタン酸プロピレングリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコールおよびジイソノナン酸ジエチレングリコールなど、ならびにペンタエリトリトールエステル、例えばテトライソステアリン酸ペンタエリトリチルなど、
-鉱物または合成由来の直鎖状または分枝状の炭化水素、例えば揮発性または非揮発性流動パラフィンおよびこれらの誘導体、液体ワセリン、ポリデセン、イソヘキサデカン、イソドデカンまたは水素添加ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)油など、
-炭化水素および/またはシリコーンを部分的に含むフッ化油、例えば文書JP-A-2-295912に記載のもの、
-シリコーン油、例えば周辺温度で液体またはペースト状の直鎖状または環状シリコーン鎖を含む揮発性または非揮発性ポリメチルシロキサン(PDMS)、特に揮発性シリコーン油、特にシクロポリジメチルシロキサン(シクロメチコン)、例えばシクロヘキサジメチルシロキサンおよびシクロペンタジメチルシロキサンなど、ペンダントアルキル、アルコキシまたはフェニル基またはアルキル、アルコキシまたはフェニル基(これらの基は、2から24個の炭素原子を有する)をシリコーン鎖の末端に含むポリジメチルシロキサン、またはフェニル化シリコーン、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニル(トリメチルシロキシ)ジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニル(メチルジフェニル)トリシロキサン、(2-フェニルエチル)トリメチルシロキシシリケートおよびポリメチルフェニルシロキサンなど、
-これらの混合物。
【0163】
好ましい実施形態によると、本発明の組成物は、シリコーン油、直鎖状または分枝状の炭化水素、合成エーテルおよびエステル、ならびにこれらの混合物から選択され、特に、揮発性シリコーン油および分枝の炭化水素から選択される、少なくとも1つの油、例えばParleam(登録商標)油、およびこれらの混合物を含む。
【0164】
本発明の組成物の油性相の量は、組成物の総重量の35重量%未満、好ましくは33重量%以下、さらにより良いのは32重量%以下である。油性相の量は、組成物の総重量に対して、例えば2から35重量%、好ましくは5から33重量%、さらにより良いのは10から33重量%、さらにより良いのは15から30重量%の範囲であってよい。
【0165】
上記に示した通り、油性相のこの量は、乳化剤の量を含んでいない。
【0166】
ある実施形態によると、本発明による組成物は、組成物の総重量に対して、35重量%未満の油、好ましくは33重量%未満およびさらにより良いのは、32重量%未満を含む。
【0167】
添加剤
局所的塗布のための本発明の組成物はまた、化粧品または皮膚科の分野において標準的な1つまたは複数のアジュバントを既知の方式で含むことができる。アジュバントとして挙げられるのは、ゲル化剤、活性成分、保存剤、抗酸化剤、芳香剤、溶剤、塩、フィラー、サンスクリーン(=UVスクリーニング剤)、着色物質、塩基性薬剤(トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、水酸化ナトリウム)または酸性薬剤(クエン酸)、さらにリピドベシクルまたは他の任意のタイプのベクター(ナノカプセル、マイクロカプセルなど)、およびこれらの混合物である。これらのアジュバントは、化粧品分野で通例の割合、例えば組成物の総重量の0.01から30%の割合で使用され、アジュバントは、これらの性質に応じて、組成物の水性相もしくは油性相、またはベシクルもしくは他の任意の種類のベクターに添加される。これらのアジュバントおよびこれらの濃度は、本発明のエマルジョンに望まれる性質を変えないようなものでなければならない。
【0168】
本発明による組成物に望まれる粘度に応じて、その中に1つまたは複数の親水性ゲル化剤を取り込むことが可能である。親水性ゲル化剤として挙げられるのは、例えば、変性または無変性カルボキシビニルポリマー、例えば、Noveon社からCarbopol(INCl名:カルボマー)の名称で販売されている製品など、ポリアクリルアミド、場合によって架橋および/または中和されている、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸のポリマーおよびコポリマー、例えばClariant社から「Hostacerin AMPS」(INCl名:アンモニウムポリアクリルジメチルタウラミド)の名称で販売されているポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)など、アクリルアミドおよびAMPSの架橋したアニオンコポリマーで、W/Oエマルジョンの形態で提供されているもの、例えばSEPPIC社から、Sepigel 305(CTFA名:ポリアクリルアミド/C13-14イソパラフィン/ラウレス-7)の名称で、およびSimulgel 600(CTFA名:アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート80)の名称で販売されているものなど、多糖バイオポリマー、例えばキサンタンガム、グアーガム、アルギン酸塩または変性もしくは無変性セルロースなど、ならびにこれらの混合物である。これらが存在する場合、これらのゲル化剤は、本発明による組成物の特性を変えないような量で添加されなければならない。親油性ゲル化剤として、特に挙げることができるのは、変性粘土、例えば変性ケイ酸マグネシウム(Rheox社のベントンゲルVS38)またはRheox社から「ベントン38CE」の名称で販売されているジステアリルジメチルアンモニウムクロリドで変性したヘクトライト(INCl名称:ジステアルジモニウムヘクトライト)である。
【0169】
ゲル化剤は、組成物の総重量に対して、活性物質として、0.05重量%から10重量%、好ましくは0.1重量%から5重量%の範囲の含有量で存在することができる。
【0170】
本発明の組成物に使用することができるフィラーとして挙げられるのは、例えば、顔料、例えば酸化チタン、酸化亜鉛または酸化鉄および有機顔料など、カオリン、シリカ、タルク、窒化ホウ素、球状有機粉末、繊維およびこれらの混合物である。球状有機粉末として挙げることができるのは、例えば、ポリアミド粉末、特にNylon(登録商標)、例えばNylon-1またはPolyamide 12、Atochem社からOrgasolの名称で販売されている粉末など、ポリエチレン粉末、Teflon(登録商標)、アクリルコポリマーベースのミクロスフェア、例えば、Dow Corning社からPolytrapの名称で販売されている、エチレングリコールジメタクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマーで作製されたもの、膨張粉末、例えば中空ミクロスフェア、特にKemanord Plast社からExpancelの名称で、またはMatsumoto社からMicropearl F 80 EDの名称で販売されているミクロスフェア、シリコーン樹脂マイクロビーズ、例えばToshiba Silicone社からTospearlの名称で販売されているもの、ポリメタクリル酸メチルミクロスフェア、Matsumoto社からMicrosphere M-100の名称で、またはWackherr社からCovabead LH85の名称で販売されているもの、エチレン/アクリレートコポリマー粉末、例えばSumitomo Seika Chemicals社からFlobeadsの名称で販売されているもの、または天然有機物質から形成された粉末、例えばデンプン粉末、特に架橋または非架橋のトウモロコシ、小麦または米のデンプンから形成された粉末、例えば無水コハク酸オクテニルで架橋したデンプンから形成された粉末、National Starch社からDry-Floの名称で販売されているものなどである。繊維として挙げることができるのは、例えば、ポリアミド繊維、例えば特にナイロン6(またはポリアミド6)(INCI名:Nylon 6)またはNylon 6,6(またはポリアミド66)(INCI名:Nylon 66)から形成された繊維、または例えばポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)から形成された繊維ならびにこれらの混合物である。これらのフィラーは、組成物の総重量に対して、0から20重量%、好ましくは0.5から10重量%の範囲の量で存在することができる。
【0171】
本発明の組成物において使用することができる活性成分として挙げることができるのは、例えば、保湿剤、例えばタンパク質加水分解物、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリオール、例えばグリセロールなど、グリコール、例えばポリエチレングリコールおよび糖誘導体など、抗炎症剤、プロシアニドールオリゴマー、ビタミン、例えばビタミンA(レチノール)、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンK、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンB5(パンテノール)、ビタミンB3またはPP(ナイアシンアミド)、これらのビタミンの誘導体(特にエステル)およびこれらの混合物など、角質溶解性および/または剥離性の薬剤、例えばサリチル酸およびこの誘導体、α-ヒドロキシ酸、例えば乳酸およびグリコール酸およびこれらの誘導体、およびアスコルビン酸およびこの誘導体など、尿素、カフェイン、脱色剤、例えばコウジ酸、ヒドロキノンおよびコーヒー酸など、サリチル酸およびこの誘導体、レチノイド、例えばカロテノイドおよびビタミンA誘導体など、ヒドロコルチゾン、メラトニン、藻類抽出物、真菌抽出物、植物抽出物、イースト菌抽出物または細菌抽出物、ステロイド、抗菌活性成分、例えば2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(またはトリクロサン)、3,4,4'-トリクロロカルバニリド(またはトリクロカルバン)および上記に示した酸、特にサリチル酸およびこの誘導体、酵素、フラボノイド、引き締め剤、例えば合成ポリマー、植物タンパク質、ミクロゲルの形態もしくはこの形態ではない植物由来の多糖類、デンプン、ワックス分散液、混合したシリケートおよび無機フィラーのコロイド粒子、セラミド、抗炎症剤、鎮痛効果のある薬剤、つや消し剤、抜け毛防止剤および/または毛髪再生のための薬剤、しわ消し剤、精油およびこれらの混合物、ならびに組成物の最終目的に適した任意の活性成分である。
【0172】
UVスクリーニング剤は、有機または無機(または物理的なUVスクリーニング剤)であってよい。UVスクリーニング剤は、組成物の総重量に対して、活性物質として、活性物質の0.01から20重量%、好ましくは0.1から15重量%、さらにより良いのは0.2から10重量%の範囲の量で存在することができる。
【0173】
本発明の組成物に加えることができる、UV-Aおよび/またはUV-B領域において活性のある有機スクリーニング剤の例として、例えば、ジベンゾイルメタン誘導体、アントラニル酸、ケイヒ酸誘導体、サリチル酸誘導体、カンファー誘導体、ベンゾフェノン誘導体、β,β-ジフェニルアクリレート誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンザルマロネート誘導体、特に米国特許第5624663号の記載のもの、ベンズイミダゾール誘導体、イミダゾリン、欧州特許第669323号および米国特許第2463264号に記載のビスベンゾアゾリル誘導体、パラアミノ安息香酸(PABA)誘導体、米国特許出願第5237071号、米国特許出願第5166355号、英国特許出願第2303549号、ドイツ特許出願第19726184号および欧州特許出願第893119号に記載のメチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体、欧州特許出願第0832642号、欧州特許出願第1027883号、欧州特許出願第1300137号およびドイツ特許出願第10162844号に記載のベンゾオキサゾール誘導体、スクリーニングポリマーおよびスクリーニングシリコーン、例えば、特に国際特許出願第93/04665号に記載のもの、α-アルキルスチレンベースのダイマー、例えばドイツ特許出願第19855649号に記載のもの、4,4-ジアリールブタジエン、例えば、欧州特許出願第0967200号、ドイツ特許出願第19746654号、ドイツ特許出願第19755649号、欧州特許出願第1008586号、欧州特許出願第1133980号および欧州特許出願第133981号に記載のもの、メロシアニン誘導体、例えば、国際特許出願第04/006878号、国際特許出願第05/058269号および国際特許出願第06/032741号に記載のもの、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0174】
有機系UV-スクリーニング剤の例として、本明細書中以下にINCI名で示されているものが挙げられる。
【0175】
ジベンゾイルメタン誘導体:
-2-メチルジベンゾイルメタン
-4-メチルジベンゾイルメタン
-4-イソプロピルジベンゾイルメタン
-4-tert-ブチルジベンゾイルメタン
-2,4-ジメチルジベンゾイルメタン
-2,5-ジメチルジベンゾイルメタン
-4,4'-ジイソプロピルジベンゾイルメタン
-4,4'-ジメトキシジベンゾイルメタン
-4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン
-2-メチル-5-イソプロピル-4'-メトキシジベンゾイルメタン
-2-メチル-5-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン
-2,4-ジメチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン
-2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン。
【0176】
上述のジベンゾイルメタン誘導体の中でも、4-イソプロピルジベンゾイルメタンが特に使用されることになり、これは、Merck社からEusolex8020の名称で販売され、以下の式に対応する。
【0177】
【化7】

【0178】
4-(tert-ブチル)-4'-メトキシジベンゾイルメタン、またはブチルメトキシジベンゾイルメタンを使用するのが特に最も好ましく、これは、DSM Nutritional Products社からParsol 1789の商品名で販売されている。このスクリーニング剤は、以下の式に対応する。
【0179】
【化8】

【0180】
パラ-アミノ安息香酸誘導体:
PABA、
エチルPABA、
エチルジヒドロキシプロピルPABA、
エチルヘキシルジメチルPABA、ISP社から特にEscalol 507の名称で販売、
グルセリルPABA、
PEG-25PABA、BASF社からUvinul P25の名称で販売。
【0181】
サリチル酸誘導体:
ホモサレート、Rona/EM Industries社からEusolex HMSの名称で販売、
サリチル酸エチルヘキシル、Haarmann and Reimer社からNeo Heliopan OSの名称で販売、
サリチル酸ジプロピレングリコール、Scher社からDipsalの名称で販売、
TEAサリチル酸、Haarmann and Reimer社からNeo Heliopan TSの名称で販売。
【0182】
ケイヒ酸誘導体:
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、Hoffmann LaRoche社から特にParsol MCXの商品名で販売、
メトキシケイヒ酸イソプロピル、
メトキシケイヒ酸イソアミル、Haarmann and Reimer社からNeo Heliopan Eの商品名で販売、
シノキセート、
DEAメトキシケイヒ酸、
メチルケイヒ酸ジイソプロピル、
グリセリルエチルヘキサノエートジメトキシシンナメート。
【0183】
β,β-ジフェニルアクリレート誘導体:
オクトクリレン、BASF社より特にUvinul N539の商品名で販売、
エトクリレン、BASF社より特にUvinul N35の商品名で販売。
【0184】
ベンゾフェノン誘導体:
ベンゾフェノン-1、BASF社よりUvinul 400の商品名で販売、
ベンゾフェノン-2、BASF社よりUvinul D50の商品名で販売、
ベンゾフェノン-3またはオキシベンゾン、BASF社よりUvinul M40の商品名で販売、
ベンゾフェノン-4、BASF社よりUvinul MS40の商品名で販売、
ベンゾフェノン-5、
ベンゾフェノン-6、Norquay社よりHelisorb 11の商品名で販売、
ベンゾフェノン-8、American Cyanamid社よりSpectra-Sorb UV-24の商品名で販売、
ベンゾフェノン-9、BASF社よりUvinul DS-49の商品名で販売、
ベンゾフェノン-12
n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、BASF社より、Uvinul A+の商品名で販売、またはメトキシケイヒ酸オクチルとの混合物の形態で、Uvinul A+Bの商品名で販売。
【0185】
ベンジリデンカンファー誘導体:
3-ベンジリデンカンファー、Chimex社がMexoryl SDの名称で製造、
4-メチルベンジリデンカンファー、Merck社よりEusolex 6300の名称で販売、
ベンジリデンカンファースルホン酸、Chimex社がMexoryl SLの名称で製造、
カンファーベンザルコニウムメトスルフェート、Chimex社がMexoryl SOの名称で製造、
テレフタリリデンジカンファースルホン酸、Chimex社がMexoryl SXの名称で製造、
ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、Chimex社がMexoryl SWの名称で製造。
【0186】
フェニルベンゾイミダゾール誘導体:
フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、Merck社より特にEusolex 232の商品名で販売、
ジナトリウムフェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホネート、Haarmann and Reimer社よりNeo Heliopan APの商品名で販売。
【0187】
フェニルベンゾトリアゾール誘導体:
ドロメトリゾールトリシロキサン、Rhodia Chimie社よりSilatrizoleの名称で販売、
メチレンビス(ベンゾトリアゾリル)テトラメチルブチルフェノール、Fairmount Chemical社から固体の形態でMIXXIM BB/100の商品名で販売、またはCiba Specialty Chemicals社から、水性分散液として微小化された形態で、Tinosorb Mの商品名で販売。
【0188】
トリアジン誘導体:
ビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン、Ciba Geigy社からTinosorb Sの商品名で販売、エチルヘキシルトリアゾン、BASF社から特にUvinul T150の商品名で販売、
ジエチルヘキシルブタアミドトリアゾン、Sigma 3V社からUvasorb HEBの商品名で販売、
2,4,6-トリス(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
2,4-ビス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-6-(n-ブチル4'-アミノベンゾエート)-s-トリアジン、
米国特許第6225467号、国際特許出願第2004/085412号(化合物6および9を参照)または文献Symmetrical Triazine Derivatives IP.COM Journal、IP.COM INC West Henrietta、NY、US(20 September 2004)に記載の対称トリアジンスクリーニング剤、特に2,4,6-トリス(ビフェニル)-1,3,5-トリアジン(特に2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル-1,3,5-トリアジン)および2,4,6-トリス(テルフェニル)-1,3,5-トリアジン、これは、Beiersdorf国際特許出願第06/035000号、国際特許出願第06/034982号、国際特許出願第06/034991号、国際特許出願第06/035007号、国際特許出願第2006/034992号および国際特許出願第2006/034985号にも記載されている。
【0189】
アントラニル酸誘導:
アントラニル酸メチル、Haarmann and Reimer社からNeo Heliopan MAの商品名で販売。
【0190】
イミダゾリン誘導体:
エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオネート
【0191】
ベンザルマロネート誘導体:
ジネオペンチル4'-メトキシベンザルマロネート、
ベンザルマロネート官能基を含有するポリオルガノシロキサン、例えばPolysilicone-15、Hoffmann LaRoche社からParsol SLXの商品名で販売
【0192】
4,4-ジアリールブタジエン誘導体:
1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン
【0193】
ベンゾオキサゾール誘導体:
2,4-ビス[5-(1-ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン、Sigma 3V社からUvasorb K2Aの名称で販売、およびこの混合物。
【0194】
本発明による組成物における有機UVスクリーニング剤の総量は、例えば、組成物の総重量に対して0.1から20重量%の範囲、好ましくは組成物の総重量に対して0.2から15重量%の範囲であってよい。
【0195】
鉱物性スクリーニング剤は、一次粒子の平均寸法が、優先的に5nmから100nmの間(好ましくは10nmから50nmの間)である、コーティングされたまたはコーティングされていない金属酸化物顔料、例えば酸化チタン(非晶質であるか、またはルチルおよび/もしくはアナターゼの形態で晶出させたもの)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウム顔料などから選択され、これらはすべて、それら自体周知である、UV光防護剤である。
【0196】
顔料は、コーティングされていても、コーティングされていなくてもよい。
【0197】
コーティングされた顔料は、例えば、Cosmetics & Toiletries、February 1990、Vol. 105、pp. 53-64に記載の化合物、例えばアミノ酸、蜜ロウ、脂肪酸、脂肪族アルコール、アニオン性界面活性剤、レシチン、ナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄または脂肪酸のアルミニウム塩、(チタンまたはアルミニウムの)金属アルコキシド、ポリエチレン、シリコーン、タンパク質(コラーゲン、エラスチン)、アルカノールアミン、酸化ケイ素、金属酸化物またはヘキサメタリン酸ナトリウムなどを用いて、化学的、電子的、機械化学的および/または機械的性質の、1つまたは複数の表面処理を施した顔料である。
【0198】
知られているように、シリコーンは、適切に官能化したシランの重合および/または重縮合により得られた、異なる分子量の、線状または環状の、分枝または架橋した構造体の有機ケイ素ポリマーまたはオリゴマーであり、ケイ素原子が、酸素原子を介して一緒に結合している(シロキサン結合)主要単位の反復から基本的になり、場合によって置換されている炭化水素系の基が、炭素原子を介して前記ケイ素原子に直接結合している。
【0199】
「シリコーン」という用語はまた、これらの調製に必要なシラン、特にアルキルシランを含む。
【0200】
本発明に適したナノ顔料をコーティングするために使用するシリコーンは、アルキルシラン、ポリジアルキルシロキサンおよびポリアルキルヒドロゲンシロキサンを含有する群から選択されるのが好ましい。さらにより優先的に、シリコーンは、オクチルトリメチルシラン、ポリジメチルシロキサンおよびポリメチルヒドロゲンシロキサンを含有する群から選択される。
【0201】
言うまでもなく、金属酸化物顔料は、シリコーンで処理する前に、他の表面剤、特に酸化セリウム、アルミナ、シリカ、アルミニウム化合物もしくはケイ素化合物、またはこれらの混合物で処理されていてもよい。
【0202】
コーティングされた顔料は、より詳細には以下でコーティングした酸化チタンである。
-シリカでコーティングしたもの、例えばIkeda社の製品SunveilおよびMerck社の製品Eusolex T-AVO、
-シリカおよび酸化鉄でコーティングしたもの、例えばIkeda社の製品Sunveil F、
-シリカおよびアルミナでコーティングしたもの、例えばTayca社の製品Microtitanium Dioxide MT 500 SAおよびMicrotitanium Dioxide MT 100 SA、Tioxide社のTioveilならびにRhodia社のMirasun TiW 60、
-アルミナでコーティングしたもの、例えばIshihara社の製品Tipaque TTO-55(B)およびTipaque TTO-55(A)ならびにKemira社のUVT 14/4、
-アルミナおよびステアリン酸アルミニウムでコーティングしたもの、例えばTayca社の製品Microtitanium Dioxide MT 100 TV、MT 100 TX、MT 100 ZおよびMT-01、ならびにUniqema社の製品Solaveil CT-10 W、Solaveil CT 100およびSolaveil CT 200、
-シリカ、アルミナおよびアルギン酸でコーティングしたもの、例えばTayca社の製品MT-100 AQ、
-アルミナおよびラウリン酸アルミニウムでコーティングしたもの、例えばTayca社の製品Microtitanium Dioxide MT 100 S、
-酸化鉄およびステアリン酸鉄でコーティングしたもの、例えばTayca社の製品Microtitanium Dioxide MT 100 F、
-酸化亜鉛およびステアリン酸亜鉛でコーティングしたもの、例えばTayca社の製品BR351、
-シリカおよびアルミナでコーティングし、シリコーンで処理したもの、例えばTayca社の製品Microtitanium Dioxide MT 600 SAS、Microtitanium Dioxide MT 500 SASまたはMicrotitanium Dioxide MT 100 SAS、
-シリカ、アルミナおよびステアリン酸アルミニウムでコーティングし、シリコーンで処理したもの、例えばTitan Kogyo社の製品STT-30-DS、
-シリカでコーティングし、シリコーンで処理したもの、例えばKemira社の製品UV-Titan X 195、またはTayca社の製品SMT-100 WRS、
-アルミナでコーティングし、シリコーンで処理したもの、例えばIshihara社の製品Tipaque TTO-55 (S)またはKemira社の製品UV Titan M 262、
-トリエタノールアミンでコーティングしたもの、例えばTitan Kogyo社の製品STT-65-S、
-ステアリン酸でコーティングしたもの、例えばIshihara社の製品Tipaque TTO-55(C)、
-ヘキサメタリン酸ナトリウムでコーティングしたもの、例えばTayca社の製品Microtitanium Dioxide MT 150 W。
【0203】
シリコーンで処理した他の酸化チタン顔料は、オクチルトリメチルシランで処理したTiO2、すなわちその基本粒子の平均寸法が、25から40nmの間であり、例えばDegussa Silices社からT 805の商品名で販売されている製品、ポリジメチルシロキサンで処理したTiO2、すなわちその基本粒子の平均寸法が21nmであり、例えばCardre社から70250 Cardre UF TiO2Sl3の商品名で販売されている製品、ポリジメチルヒドロゲンシロキサンで処理したアナターゼ/ルチルTiO2、すなわち基本粒子の平均寸法25nmであり、例えばColor Techniques社からMicrotitanium Dioxide USP Grade Hydrophobicの商品名で販売されている製品が好ましい。
【0204】
コーティングされていない酸化チタン顔料は、例えば、Tayca社からMicrotitanium Dioxide MT 500 BまたはMicrotitanium Dioxide MT 600 Bの商品名で、Degussa社からP 25の名称で、Wackher社からTransparent titanium oxide PWの名称で、Miyoshi Kasei社からUFTRの名称で、Tomen社からITSの名称で、Tioxide社からTioveil AQの名称で販売されている。
【0205】
コーティングされていない酸化亜鉛顔料は、例えば、
-Sunsmart社からZ-Coteの名称で販売されているものである。
【0206】
コーティングされた酸化亜鉛顔料は、例えば:
-Sunsmart社からZ-Cote HP1の名称で販売されているもの(ジメチコン-コーティングされたZnO)、
-Toshibi社からZinc Oxide CS-5の名称で販売されているもの(ポリメチルヒドロゲンシロキサンでコーティングしたZnO)、
-Daito社からDaitopersion ZN-30およびDaitopersion ZN-50の名称で販売されているもの(シリカおよびポリメチルヒドロゲンシロキサンでコーティングされた酸化ナノ亜鉛を30%または50%含有するシクロポリメチルシロキサン/オキシエチレン化ポリジメチルシロキサン中の分散液)、
-Daikin社からNFD Ultrafine ZnOの名称で販売されているもの(パーフルオロアルキルホスフェートおよびシクロペンタシロキサン中の分散液としてパーフルオロアルキルエチルに基づくコポリマーによりコーティングされたZnO)、
-Shin-Etsu社からSPD-Z1の名称で販売されているもの(シクロジメチルシロキサン中に分散した、シリコーン-グラフトしたアクリル系ポリマーでコーティングされたZnO)、
-ISP社からEscalol Z100の名称で販売されているもの(エチルヘキシルメトキシシンナメート/PVP-ヘキサデセン/メチコンコポリマー混合物中に分散した、アルミナ-処理したZnO)、
-Fuji Pigment社からFuji ZnO-SMS-10の名称で販売されているもの(シリカおよびポリメチルシルセスキオキサンでコーティングされたZnO)。
【0207】
コーティングされていない酸化セリウム顔料は、Rhone-Poulenc社からColloidal Cerium Oxideの名称で販売されている。
【0208】
コーティングされた酸化鉄顔料は、例えば、BASF社からTransparent Iron Oxideの名称で販売されている。
【0209】
金属酸化物の混合物、特に二酸化チタンと二酸化セリウムの混合物も挙げることができ、これには、Ikeda社からSunveil Aの名称で販売されているシリカ-コーティングされた同じ重量の二酸化チタンと二酸化セリウムの混合物、さらにアルミナ、シリカおよびシリコーン-コーティングされた二酸化チタンと二酸化亜鉛の混合物、例えば、Kemira社から販売されている製品M261、またはアルミナ、シリカおよびグリセロール-コーティングされた二酸化チタンと二酸化亜鉛の混合物、例えばKemira社から販売されている製品M211などが含まれる。
【0210】
本発明の組成物は、油と、場合によって他の脂肪性物質とを含む油脂相を、穏やかに撹拌しながら、すなわち、低い程度の剪断で、水性相内で乳化する(水性相には両親媒性ポリマーが添加される)方法に従い調製するのが有利である。
【0211】
撹拌は、20℃から45℃の範囲の温度で、穏やかな、したがって低いエネルギーでの撹拌をもたらすような磁気棒または任意の他の撹拌システムを用いて行うことが好ましい。「穏やかな撹拌」という用語は、1000s-1未満の剪断度で撹拌を行うことを意味すると理解される。
【0212】
したがって、本発明の別の対象は、上述のような組成物を調製するための方法であって、油脂相を、穏やかな剪断を用いて、両親媒性ポリマーを含む水性相に添加する方法である。
【0213】
したがって、穏やかな剪断を用いる乳化のための方法は、穏やかな、したがって低エネルギーでの撹拌をもたらす、任意の他の撹拌システム、例えば、
-櫂またはプロペラを用いて、
-容器底面タービン、スクレーピングブレード、または反転式中央混合式櫂を装備した容器内で、この容器のジャケットを介して加熱/冷却することによって、行うことができる。
【0214】
例として挙げられることができるのは、以下を用いた、Olsa製のMacefおよびMaxilab容器またはPierre Guerinから提供される容器である。
-コロイドミルを用いたもの、
-静的乳化剤を用いたもの、
-インラインタービンで使用する、例えばIKAまたはKMF商標のもの。
【0215】
本方法は、本発明による大きな油性小球体の作製に決定的なものである。
【0216】
1つの調製法は以下であってよい:両親媒性ポリマーを、25℃で30分間撹拌しながら水に溶解する。得た溶液は、巨視的に均質である。250rpmの撹拌速度で、櫂を装備したRayneri型のホモジナイザーを用いて、20分間に渡り撹拌しながら油性相を水性相へとゆっくりと添加することによって、エマルジョンを調製する。
【0217】
本発明による組成物は、例えば、O/Wエマルジョンのすべての製剤形態、例えばセラム、ミルクまたはクリームの形態などで提供することができ、これらは、通常の方法で調製される。本発明の対象である組成物は、局所的な塗布を目的とし、特に、例えばケラチン物質、特にヒトの皮膚、唇、毛髪、睫毛および爪などのケア(しわ取り、アンチエイジング、保湿、太陽からの保護など)、治療、洗浄およびメークアップを目的とする皮膚科用組成物または化粧品組成物を構成することができる。
【0218】
本発明の好ましい実施形態によると、組成物は、化粧品組成物を構成し、皮膚への局所的な塗布を目的としている。
【0219】
最後に、本発明の対象は、例えば頭皮を含めた皮膚などのケラチン物質、ケラチン繊維、例えば睫毛もしくは毛髪など、および/または唇などの美容的処置のための方法であって、上記に定義された化粧品組成物が、前記ケラチン物質に塗布されることを特徴とする方法である。
【0220】
以下に挙げる実施例は、限定的な性質を示すことなしに、本発明のより良い理解を可能にする。特に指定しない限り、量は、重量%として示される。
【0221】
(実施例)
(実施例1)
AMPSとGenapol T-080メタクリレートのコポリマー
(グラフト度=7.35%)(Clariant社製Aristoflex SNC) 0.5%
グリセロール 15%
ポリジメチルシロキサン10 cSt(Dow Corning社製DC200Fluid) 10%
水 100まで適量
【0222】
エマルジョンの調製:
粉末の形態で供給された本発明の両親媒性コポリマーを、25℃で30分間撹拌しながら水に溶解する。得た溶液は、巨視的に均質である。以下のホモジナイザーを用いて、この油性相を撹拌しながら水性相へとゆっくりと添加することによって、エマルジョンを調製する。
-パドルを装備したRayneri型、撹拌速度250rpmで、20分(エマルジョン1)。
-Mixeur型、最高撹拌速度で、5分(エマルジョン2)。
【0223】
見かけの平均径として示された油性小球体の平均寸法、各組成物の粘度および透過率を上記に表示した方法に従い測定した。
【0224】
【表1】

【0225】
本発明によるエマルジョン1は、流動性があり、油性小球体の寸法が3.6ミクロン程度を示すエマルジョン2よりも、半透明である。透過率は、エマルジョン2よりも1.8倍大きい。
【0226】
(実施例2)
【0227】
【表2】

【0228】
手順:
両親媒性コポリマーを、25℃で30分間撹拌しながら水、トリエタノールアミンおよび保存剤に溶解する。得た溶液は、巨視的に均質である。インラインでIKAタービンを用いて、エマルジョンを調製する。2つの異なる注入口から、水性相および油性相を同時にタービンに添加する。回転速度は、3000rpmに設定し、流量は、10kg/hである(エマルジョン3)。エマルジョン3と同じ方法により、最終段階でUltra-Turrax型ホモジナイザーを用いて2分間剪断を行い、エマルジョン4を調製する。
【0229】
見かけの平均径として示された、油性小球体の平均寸法、各組成物の粘度および透過率を上記に示した方法に従い測定する。
【0230】
【表3】

【0231】
滴径が15μm未満であるエマルジョン4の半透明度は、滴径が15μmを超えるエマルジョン3の少なくとも1/1.5(2/3)である。
【0232】
(実施例3)
【0233】
【表4】

【0234】
手順:
両親媒性コポリマーを、25℃で撹拌しながら水および保存剤に溶解する。得た溶液は、巨視的に均質である。インラインでIKAタービンを用いてエマルジョンを調製する。2つの異なる注入口から、水性相と油性相を同時にタービンに添加する。回転速度は、3000rpmに設定し、流速は10kg/hである。その後、緩やかに撹拌しながら、AMPSゲルを容器内に添加する(エマルジョン5)。
【0235】
エマルジョン5と同じ方法により、最終段階でUltra-Turrax型ホモジナイザーを用いて2分間剪断を行い、エマルジョン6を調製する。
【0236】
見かけの平均径として示された油性小球体の平均寸法、各組成物の粘度および透過率を上記に表示した方法に従い測定する。
【0237】
【表5】

【0238】
滴径が15μm未満のエマルジョン5の半透明度は、滴径が15μmを超えるエマルジョン6の1/2.3(10/23)である。
【0239】
(実施例4)
【0240】
【表6】

【0241】
両親媒性コポリマーを25℃で撹拌しながら水、トリエタノールアミン、クエン酸および保存剤に溶解する。得た溶液は巨視的に均質である。その後、250rpmの速度で、櫂を用いて、20分に渡り油性相をゆっくりと水性相へと添加する(エマルジョン7)。
【0242】
エマルジョン7と同じ方法により、最終段階でUltra-Turrax型ホモジナイザーを用いて2分間剪断を行い、エマルジョン8を調製する。
【0243】
見かけの平均径として示された油性小球体の平均寸法、各組成物の粘度および透過率を上記に表示した方法に従い測定する。
【0244】
【表7】

【0245】
滴径が15μm未満であるエマルジョン8の半透明度は、滴径が15μmを超えるエマルジョン7の1/1.9(10/19)である。
【0246】
(実施例5)
【0247】
【表8】

【0248】
両親媒性コポリマーを、25℃で撹拌しながら水および保存剤に溶解する。得た溶液は、巨視的に均質である。その後、500rpmの速度で、櫂を用いて、20分に渡り油性相をゆっくりと水性相へと添加する(エマルジョン9)。
【0249】
エマルジョン9と同じ方法により、最終段階でUltra-Turrax型ホモジナイザーを用いて2分間剪断を行い、エマルジョン10を調製する。
【0250】
見かけの平均径として示された油性小球体の平均寸法、各組成物の粘度および透過率を上記に表示した方法に従い測定する。
【0251】
【表9】

【0252】
滴径が15μm未満であるエマルジョン10の半透明度は、滴径が15μmを超えるエマルジョン9の1/4.65(20/93)である。
【0253】
(実施例6)
【0254】
【表10】

【0255】
両親媒性コポリマーを、25℃で撹拌しながら水、トリエタノールアミンおよび保存剤に溶解する。得た溶液は巨視的に均質である。その後、500rpmの速度で、櫂を用いて、20分に渡り油性相をゆっくりと水性相へと添加する(エマルジョン11)。
【0256】
エマルジョン11と同じ方法により、最終段階でUltra-Turrax型ホモジナイザーを用いて2分間剪断を行い、エマルジョン12を調製する。
【0257】
【表11】

【0258】
滴径が15μm未満であるエマルジョン12の半透明度は、滴径が15μmを超えるエマルジョン11の1/3.1(10/31)である。
【0259】
(実施例7)
【0260】
【表12】

【0261】
両親媒性コポリマーを、25℃で撹拌しながら水、トリエタノールアミンおよび保存剤に溶解する。得た溶液は、巨視的に均質である。その後、500rpmの速度で、櫂を用いて、20分に渡り油性相をゆっくりと水性相へと添加する(エマルジョン13および15)。
【0262】
エマルジョン13および15と同じ方法により、最終段階でUltra-Turrax型ホモジナイザーを用いて2分間剪断を行い、エマルジョン14および16を調製する。
【0263】
【表13】

【0264】
滴径が15μm未満であるエマルジョン14および16の半透明度は、滴径が15μmを超えるエマルジョン13および15の1/1.5(2/3)である。
【0265】
(実施例8)
【0266】
【表14】

【0267】
手順:
両親媒性コポリマーを、25℃で30分間撹拌しながら水、トリエタノールアミンおよび保存剤に溶解する。得た溶液は巨視的に均質である。その後、500rpmの速度で、櫂を用いて、30分に渡り油性相をゆっくりと水性相へと添加する(エマルジョン17)。
【0268】
エマルジョン17と同じ方法により、最終段階でUltra-Turrax型ホモジナイザーを用いて2分間剪断を行い、エマルジョン18を調製する。
【0269】
見かけの平均径として示された油性小球体の平均寸法、各組成物の粘度および透過率を上記に表示した方法に従い測定する。
【0270】
【表15】

【0271】
滴径が15μm未満であるエマルジョン18の半透明度は、滴径が15μmを超えるエマルジョン17の少なくとも1/1.5(2/3)である。
【0272】
(実施例9)
1/Mn目標値が2000-ブロック-42000(g/mol)である、ポリスチレン-ブロック-ポリ(アクリル酸エチル)ジブロックコポリマーの合成、それに続くアクリル酸エチル基の75%加水分解による、ポリスチレン-ブロック-ポリ(アクリル酸のアクリル酸エチル-stat-ナトリウム塩)ジブロックコポリマーの調製。
【0273】
段階Ia:理論的分子量が約2000g/モルである第1のポリスチレンブロックの調製
3000gの水、17.6gのドデシル硫酸ナトリウムおよび0.290gの炭酸ナトリウムNa2CO3を、周辺温度で反応装置に添加する。得た混合物を窒素下で30分間撹拌する。その後、温度を75℃に上げ、次いで、
-10.00gのスチレン(St)と、
-0.200gのメタクリル酸(MAA)と、
-10.42gのキサンテート(CH3)(CO2CH3)CH-S(C=S)OCH2CH3
を含む混合物1の添加を行う。
【0274】
この混合物を85℃にして、次いで20.0gの水に溶解した1.19gの過硫酸ナトリウムNa2S2O8溶液を添加する。
【0275】
5分後、
-90.0gのスチレン(St)と、
-1.80gのメタクリル酸(MAA)と
を含む混合物2の添加を開始する。
【0276】
添加を60分間継続する。様々な材料を完全に添加後、得たコポリマーエマルジョンを85℃で1時間維持する。
【0277】
次いで、試料(5g)を取り出し、THF中の立体排除クロマトグラフィー(SEC)で分析する。この測定した数平均分子量Mnは、ポリスチレン等量として2000g/モルに等しい(線状ポリスチレン標準で較正)。この多分散指数Mw/Mnは2.0に等しい。
【0278】
ガスクロマトグラフィーによる試料の分析は、モノマーの変換率が、99%よりも大きいことを示している。
【0279】
段階Ib:(b)型ポリスチレン-ブロック-ポリ(アクリル酸エチル)ジブロックコポリマーを得るための、理論的分子量が約42000g/モルである第2のポリ(アクリル酸エチル)ブロックの調製
出発物質は、上記の段階Iaで得た乳化コポリマーであり、ここから分析用に5gを取り出した後も、加熱を停止せずに続ける。1.19gの過硫酸ナトリウムNa2S2O8を50.0gの水で希釈し、3時間に渡り継続して添加する。
【0280】
同時に、85℃で3時間に渡り、
-200.0gの水と、
-2.20gの炭酸ナトリウムNa2CO3と、
-4.40gのドデシル硫酸ナトリウムと
を含む混合物3の添加を行う。
【0281】
同時に、
-2100gのアクリル酸エチル(EA)と、
-42.0gのメタクリル酸(MAA)と
を含む混合物4の添加を行う。
【0282】
様々な材料を完全に添加後、得たコポリマーエマルジョンを85℃で1時間維持する。次いで4.40gのtert-ブチルベンジルペルオキシドをすべて一度に添加し、
-2.20gのエリソルビン酸と、
-50.0gの水と
を含む混合物5の添加を開始する。
【0283】
添加を60分間継続する。様々な材料を完全に添加後、エマルジョンを1時間に渡り、約25℃まで冷却する。次いで試料(5g)を取り出し、THF中の立体排除クロマトグラフィー(SEC)で分析する。この測定した数平均分子量Mnは、ポリスチレン等量として41000g/モルに等しい(線状ポリスチレン標準で較正)。この多分散指数Mw/Mnは6に等しい。
【0284】
ガスクロマトグラフィーによる試料の分析は、モノマーの変換率が、99.8%よりも大きいことを示している。得た生成物は、固形成分含有量約41%のコポリマー(latex)の水中分散液である。
【0285】
段階II:ポリスチレン-ブロック-ポリ(アクリル酸のアクリル酸エチル-stat-ナトリウム塩)ジブロックを得るための、上記段階Ibで得たポリ(アクリル酸エチル)ブロックのコポリマーの部分的加水分解(目標75%)
750gの水、250gの2-プロパノールおよび上記段階Ibで得た乳化コポリマー1347g(乾燥状態下でのコポリマー550gを参照)を周辺温度で反応装置に添加する。得た混合物を15分間撹拌する。その後、温度を75℃に上げ、次いで678gの水酸化ナトリウム溶液(23.2重量%水中溶液)を1時間に渡り継続して添加する。水酸化ナトリウム溶液の添加開始から30分後、12gの過酸化水素水溶液(30%溶液)の1時間に渡る継続的添加を開始する。様々な材料を完全に添加後、得たコポリマー溶液を75℃で4時間維持する。次いでこの反応混合物を1時間に渡り25℃に冷却する。
【0286】
反応終了時に回収した生成物は、固形成分含有量約20%の、水中の半透明ゲルである。
【0287】
こうして得たコポリマーは、以下の特徴を示す。
-ブロックAの理論平均分子量:2000g/mol
-ブロックBの理論平均分子量:30000g/mol
-ブロックBの重量比:96%
-ブロックAの重量比:4%
-ブロックB中のアクリル酸エチル由来の単位の重量%:31%
【0288】
2/以下の組成物を調製する。
【0289】
【表16】

【0290】
両親媒性ジブロックコポリマーを、25℃で撹拌しながら水、オキシエチル化ソルビタンモノステアレートおよび保存剤に溶解する。得た溶液は、巨視的に均質である。その後、500rpmの速度で、櫂を用いて、20分に渡り油性相をゆっくりと水性相へと添加する(エマルジョン19)。
【0291】
エマルジョン19と同じ方法により、最終段階でUltra-Turrax型ホモジナイザーを用いて2分間剪断を行い、エマルジョン20を調製する。
【0292】
見かけの平均径として示された油性小球体の平均寸法、各組成物の粘度および透過率を上記に表示した方法に従い測定する。
【0293】
【表17】

【0294】
滴径が15μm未満であるエマルジョン20の半透明度は、滴径が15μmを超えるエマルジョン19の1/5.1(10/51)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性相中に分散した油性相を含む水中油型エマルジョンの形態の、局所的塗布のための組成物であって、少なくとも1つの非架橋の両親媒性ポリマーを含み、前記エマルジョンの小球体が、15から500ミクロンの範囲の平均寸法を示し、前記油性相が、組成物の総重量に対して35重量%未満の量で存在することを特徴とする組成物。
【請求項2】
ポリマーが、10000〜10000000の範囲の重量平均モル質量を有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
両親媒性ポリマーの量(活性物質として)が、組成物の総重量に対して、0.01重量%から10重量%、好ましくは0.05重量%から5重量%、さらにより良いのは0.1重量%から3重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
油性相の量の、ポリマーの量に対する割合が、1から200、好ましくは1から150の範囲であってよいことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
両親媒性ポリマーが、線状ポリマーまたは櫛型ポリマーであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
両親媒性ポリマーの水溶性ブロックが、単独でまたは混合物として、
-(メタ)アクリル酸、
-ビニルスルホン酸および(メタ)アリルスルホン酸、
-ビニルホスホン酸、
-塩化メチルビニルイミダゾリウム、
-(メタ)アクリルアミド、
-2-ビニルピリジンおよび4-ビニルピリジン、
-マレイン酸およびマレイン酸無水物、
-クロトン酸、
-イタコン酸、
-式CH2=CHOHのビニルアルコール、
-N-ビニルラクタム、例えばN-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタムおよびN-ブチロラクタムなど、
-水溶性スチレン誘導体、
-塩化ジメチルジアリルアンモニウム、
-N-ビニルアセトアミドおよびN-メチル-N-ビニルアセトアミド、
-N-ビニルホルムアミドおよびN-メチルビニルホルムアミド、
-下記の式(1)の水溶性のビニルモノマー
【化1】

(式中、
-Rは、H、-CH3、-C2H5または-C3H7から選択され、
-Xは、以下から選択される:
--OR'型のアルキルオキシド(式中、R'は、1から6個の炭素を有する、飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状の炭化水素基であり、少なくとも1個のハロゲン原子(ヨウ素、臭素、塩素またはフッ素)、1つのスルホ(-SO3)、スルフェート(-SO4-)またはホスフェート(-PO4H2)基、1つのヒドロキシル(-OH)基、1つのエーテル(-O-)基、または1つの第一級アミン(-NH2)、第二級アミン(-NHR1)、第三級アミン(-NR1R2)もしくは第四級アミン(-N+R1R2R3)基(R1、R2およびR3は、互いに独立して、1から6個の炭素原子を有する、飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状の炭化水素基であり、ただし、R'+R1+R2+R3の炭素原子の和は、7を超えないものとする)で置換されている)、
--NH2、-NHR'および-NR'R"基(式中、R'およびR"は、互いに独立して、1から6個の炭素原子を有する、飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状の炭化水素基であり、だたし、R'+R"の炭素原子の総数は、7を超えないものとし、前記R'および/またはR"基は、ハロゲン原子(ヨウ素、臭素、塩素、フッ素)またはヒドロキシル(-OH)、エーテル(-O-)、スルホ(-SO3-)、スルフェート(-SO4-)、ホスフェート(-PO4H2)、第一級アミン(-NH2)、第二級アミン(-NHR1)、第三級アミン(-NR1R2)および/または第四級アミン(-N+R1R2R3)基(R1、R2およびR3は、互いに独立して、1から6個の炭素原子を有する飽和または不飽和、直鎖状または分枝状の炭化水素基であり、ただし、R'+R"+R1+R2+R3の炭素原子の和は、7を超えないものする)で置換されている))
ならびにこれらの混合物、
から選択される水溶性モノマー(複数可)から形成されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
両親媒性ポリマーの水溶性ブロックが、
-スチレンおよびその誘導体、例えば4-ブチルスチレン、α-メチルスチレンおよびビニルトルエンなど、
-式CH2=CH-OCOCH3の酢酸ビニル、
-式CH2=CHORのビニルエーテル(式中、Rは、1から6個の炭素を有する、飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状の炭化水素基である)、
-アクリロニトリル、
-カプロラクトン、
-塩化ビニルおよび塩化ビニリデン、
-シリコーン誘導体、例えばメタクリロイルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランおよびシリコーンメタクリルアミドなど、
-下記の式(2)の疎水性ビニルモノマー
【化2】

(式中、
-Rは、H、-CH3、-C2H5または-C3H7から選択され、
-Xは、以下から選択される:
--OR'型のアルキルオキシド(式中、R'は、1から6個の炭素原子を有する、飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状の炭化水素基である)、
--NH2、-NHR'および-NR'R"基(式中、R'およびR"は、互いに独立して、1から6個の炭素原子を有する、飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状の炭化水素基であり、ただし、R'+R"の炭素原子の総数は、6を超えないものとする)
ならびにこれらの混合物、
から選択される疎水性モノマー(b)を含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
両親媒性ポリマーの水溶性ブロックが、
-水溶性ポリウレタン、
-ポリエチレンイミン、
-ポリエーテル、例えばポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンなど、
-キサンタンガム、
-アルギネートおよびこれらの誘導体、例えばアルギン酸プロピレングリコールなど、
-ι、κおよびλ型のカラギーナン、
-変性度の異なるペクチン(HMおよびLM)、
-セルロース誘導体、特にカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよび四級化されたヒドロキシエチルセルロース、
-ガラクトマンナンおよびこれらの誘導体、例えばコンニャクガム、ゲランガム、ローカストビーンガム、フェネグリークガム、カラヤガム、トラガカントガム、アラビアガム、アカシアガム、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアー、カルボキシメチルナトリウム基で変性したヒドロキシプロピルグアーまたはグアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、
-デンプン誘導体
ならびにこれらの混合物、
から選択されるポリ縮合物または天然ポリマーもしくは変性された天然ポリマーで構成されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
両親媒性ポリマーの疎水性のブロックが、
-6から30個の炭素原子を含む、1つのアルキル基、
-1つの、フッ化されたまたは部分的にフッ化されたC6〜C30アルキル基、
-1つのコレステリル基または1つの、コレステロール由来の基、
-1つの以上の環状芳香族基(複数可)、例えばベンゼン、ナフタレンまたはピレンなど、
-1つのシリコーンまたはアルキルシリコーン、あるいはアルキルフルオロシリコーン基
-およびこれらの混合物、
から選択されるモノマーを含むことを特徴とする、請求項6から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
両親媒性ポリマーの疎水性ブロックのモル質量が、100から10000g/モルの間、好ましくは200から5000g/モルの間であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
両親媒性ポリマーにおける疎水性ブロックの重量比が、最終ポリマーに対して、好ましくは1重量%から60重量%の間、特に2重量%から40重量%の間、特に5重量%から30重量%の間であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
両親媒性ポリマーが、AMPS由来のポリマー、(メタ)アクリル酸ベースのポリマー、ポリスチレンベースのジブロックポリマー、ポリエーテル由来のポリマー、天然ポリマーおよびこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
両親媒性ポリマーが、無機塩基または有機塩基により部分的または完全に中和されていることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
両親媒性ポリマーが、
(a)80から99モル%の下記の式(3)の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)単位と、
【化3】

(式中、X+は、プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンまたはアンモニウムイオンである)、
(b)1から20モル%、好ましくは1から15モル%の下記の式(3a)の単位と
【化4】

(式中、nおよびpは、互いに独立して、モル数を示し、0から30、好ましくは1から20まで異なり、ただし、n+pは、30以下であり、好ましくは25未満、さらにより良いのは20未満であり、R1は、水素原子または直鎖状もしくは分枝状のC1〜C6アルキル(好ましくはメチル)基を示し、R3は、6から30個、好ましくは10から25個の範囲のm個の炭素原子を含む、直鎖状または分枝状のアルキル基を示す)
を含むポリマーから選択されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
両親媒性のポリマーが、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)またはこのナトリウム塩もしくはアンモニウム塩の1つから、(メタ)アクリル酸と、
-8モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC10〜C18アルコール(Clariant社のGenapol C-080)とのエステル、
-8モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC11オキソアルコールとのエステル、
-7モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC11オキソアルコールとのエステル、
-7モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC12〜C14アルコールとのエステル、
-9モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC12〜C14アルコールとのエステル、
-11モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC12〜C14アルコールとのエステル、
-8モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC16〜C18アルコールとのエステル、
-11モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC16〜C18アルコールとのエステル、
-15モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC16〜C18アルコールとのエステル、
-20モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC16〜C18アルコールとのエステル、
-25モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC16〜C18アルコールとのエステル、
-25モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC18〜C22アルコールとのエステル、
-25モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC16〜C18イソアルコールとのエステル、
を用いて調製されたポリマーから選択されることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
両親媒性ポリマーが、AMPSと、メタクリル酸またはメタクリル酸塩および6から25モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC16〜C18アルコールから得られる6から25のオキシエチレン基を含むC16〜C18アルコールのメタクリレートとのコポリマーであるか、または両親媒性のポリマーが、AMPSと、メタクリル酸またはメタクリル酸塩および6から25モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化したC12〜C14アルコールから得られる6から25のオキシエチレン基を含む、C12〜C14アルコールのメタクリレートとのコポリマーでもあり得ることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
両親媒性のポリマーが、
(a)80から99モル%の下記の式(4)の(メタ)アクリル酸単位と、
【化5】

(式中、Rは、HまたはCH3であり、およびX+はプロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンまたはそのアンモニウムイオンである)、
(b)1から20モル%、好ましくは1から15モル%の下記の式(5)の単位と
【化6】

(式中、R1は、水素原子または直鎖状もしくは分枝状のC1〜C6アルキル(好ましくはメチル)基を示し、Aは、エステルまたはアミド基または酸素原子を示し、R4は、6から30、好ましくは10から25の範囲の数の炭素原子を含む直鎖状または分枝状のアルキルを示す)
を含む(メタ)アクリル酸由来のポリマーから選択されることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
両親媒性のポリマーが、水溶性ポリウレタン、例えば、
ウレタン結合を介してステアリル末端を保有するPEG-150コポリマー、
ウレタン結合を介してデシル末端を保有するPEG-150コポリマー、
ウレタン結合を介してステアリル末端を保有するPEG-136コポリマー、
ウレタン結合を介してステアリル末端を保有するPEG-50コポリマーなど
から選択されることを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
両親媒性のポリマーが、
-6から30個の炭素原子を含む脂肪鎖で変性したセルロース誘導体、例えば、セチルヒドロキシエチルセルロース、ステアリルオキシヒドロキシプロピル鎖で、0.3から0.6%の間のモル濃度に変性されたヒドロキシプロピルメチルセルロース、置換ラウリルジメチルアンモニウムエポキシドで四級化されたヒドロキシエチルセルロース、ラウリルまたはステアリル鎖で変性された四級化ヒドロキシエチルセルロース、またはトリメチルアンモニウム基で四級化されおよびジメチルドデシルアンモニウム鎖で置換されたヒドロキシエチルセルロースなど、
-6から30個の炭素原子を含む脂肪鎖で変性されたグアー誘導体、例えばベヘニル鎖で変性されたヒドロキシプロピルグアーなど、
-6から30個の炭素原子を含む脂肪鎖で変性されたデンプン誘導体、例えば、ナトリウム塩の形態のオクテニル無水コハク酸によりエステル化されたトウモロコシデンプンなど、
-6から30個の炭素原子を含む脂肪鎖で変性されたアカシアガム誘導体、例えば制御されたエステル化により変性されたアカシアガムなど
-ならびにこれらの混合物、
から選択されることを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
両親媒性ポリマーが、(ブロックA)-(ブロックB)ジブロックコポリマーから選択され、
-ブロックAは、少なくとも、スチレン由来の単位を含み、
-ブロックBは、(a)少なくとも、遊離または塩化した形態のアクリル酸由来の単位と、(b)少なくとも、C1〜C4アクリル酸アルキル由来の単位とを含むことを特徴とする、
請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
コポリマーが、
-ブロックAは、ブロックAの総重量に対して、少なくとも90重量%のスチレン由来の単位を含み、
-ブロックBは、ブロックBの総重量に対して、
(i)34から95重量%の、酸の形態または塩化した形態のアクリル酸由来の単位と、
(ii)5から66重量%のC1〜C4アクリル酸アルキル由来の単位と、
を含むランダムブロックであり、
-コポリマーに対するブロックBの重量比は、50%以上である
ことを特徴とすることを特徴とする、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
C1〜C4アクリル酸アルキルがアクリル酸エチルであることを特徴とする、請求項20または21に記載の組成物。
【請求項23】
ブロックAおよび/またはブロックBが、10重量%までの、好ましくは5重量%までの追加の、イオン性または非イオン性の親水性コモノマーを含むことを特徴とする、請求項20から22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
(ブロックA)-(ブロックB)ジブロックコポリマーが、コポリマーに対するブロックBの重量比が、85%以上であるタイプ(2)であることを特徴とする、請求項20から23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
コポリマーが、コポリマーに対するブロックBの重量比が、94%から97%の範囲であるタイプ(2b)であることを特徴とする、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
油性相の量が、組成物の総重量の33重量%未満、好ましくは32重量%以下であることを特徴とする、請求項1から25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
油性相の量が、組成物の総重量に対して、2から35重量%、好ましくは5から33重量%、さらにより良いのは10から33重量%、さらにより良いのは15から30重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1から26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
油性小球体の平均寸法が、15から300μm、さらにより良いのは15から150μmの範囲であることを特徴とする、請求項1から27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
油脂相が、穏やかな剪断と共に水性相に添加されることを特徴とする、請求項1から28のうちの一項に記載の化粧品組成物の調製のための方法。
【請求項30】
請求項1から28のいずれか一項に記載の化粧品組成物が、皮膚、毛髪および/または唇に塗布されることを特徴とする、皮膚、毛髪および/または唇の美容的処置のための方法。

【公表番号】特表2011−511824(P2011−511824A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−546322(P2010−546322)
【出願日】平成21年2月11日(2009.2.11)
【国際出願番号】PCT/EP2009/051582
【国際公開番号】WO2009/101113
【国際公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】