説明

両開き収納ボックス

【課題】蓋部材の一端側及び他端側の両方が同時に外れることを防止することができる両開き収納ボックスを提供する。
【解決手段】蓋部材2を第1軸部に支持又は脱離させる第1可動部材23aの移動軌跡L1上に配置され、蓋部材に揺動自在に支持された揺動部材26は、重心が偏心位置Gに設定されており、蓋部材に揺動自在に枢支された中心軸部26cと、中心軸部に対して偏心位置側に設けられた拡径部26dと、中心軸部に対して偏心位置と反対側に設けられ拡径部よりも縮径された縮径部26eと、縮径部の外周部に設けられ第1可動部材を中心軸側に進入させる進入空間26fとをもつ。第1可動部材23aの突起部23jの移動軌跡L1が水平方向であるとき、又は蓋部材の左端側が右端側に対して上側に位置するように移動軌跡L1が傾斜しているときに、第1可動部材は、進入空間に対向している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋部材を左右両側から開閉可能とする両開き収納ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のセンターコンソールには、蓋部材を左右両側から開閉可能とする両開き収納ボックスが装着されている。例えば、特許文献1の図1〜図6には、ボックス本体(1)と蓋部材(2)との間に、一対のリンク体(3,3)を介設させてなる両開き収納ボックスが開示されている。一方のリンク体(3)の一端はボックス本体(1)の左端に連結され他端は蓋部材(2)に連結され、他方のリンク体(3)の一端はボックス本体(1)の右端に連結され他端は蓋部材(2)に連結されている。操作部(231)によりラッチ機構(12,32)を外すことで、リンク体(3)の一方のボックス本体側(1)への固定が解除され、左右いずれかに蓋部材(2)を開く。
【0003】
ここで、両開き収納ボックスは、蓋部材の一端側が開く開位置のときに、他端側のリンク体(3)のボックス本体側(1)への固定が解除されてしまうと、蓋部材(2)の左右両端がボックス本体(1)から外れてしまう。これを防止するため、特許文献1では、左右両端に配置された操作部(231)を蓋部材(2)の中で一体に連結して操作部材(23)となし、その略中央部分に、その長さ方向に直交する向きに切替部材(20)を配置する。操作部材(23)には、操作部材(23)に切替部材(20)を連動させるガイド機構(232,233)が設けられている。このガイド機構によって、操作部(23)の左右いずれか一方の移動に連動して、切替部材(20)が前後いずれかに移動し、切替部材(20)の先端に設けられたラッチ機構(12)によって、リンク体(3)とボックス本体(1)とを係合させ又は係合を解除する。
【特許文献1】特開2007−245838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本願発明者は、前記特許文献1とは構成を異にし、蓋部材の左右両端が同時に外れることを防止する新規なロック機構を開発した。本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、蓋部材の一端側及び他端側の両方が同時に外れることを防止することができる両開き収納ボックスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明である両開き収納ボックスは、開口をもつボックス本体と、該開口の一端側と他端側の両方から開閉する蓋部材と、よりなる両開き収納ボックスにおいて、該開口の一端側に設けられた支持部と,前記蓋部材の一端側に移動可能に設けられ前記支持部に向かって進退することにより前記支持部に前記蓋部材を支持又は脱離させる可動部材と、該可動部材の移動軌跡上に配置され、前記蓋部材に揺動自在に支持された揺動部材と、をもち、該揺動部材は、重心が偏心位置に設定されており、該蓋部材に揺動自在に枢支された中心軸部と、該中心軸部に対して前記偏心位置側に設けられた拡径部と、前記中心軸部に対して前記偏心位置と反対側に設けられ前記拡径部よりも縮径された縮径部と、該縮径部の外周部に設けられ前記可動部材を前記拡径部よりも径方向内側に進入させる進入空間とをもち、前記移動軌跡が水平方向であるとき、又は前記蓋部材の一端側が他端側に対して上側に位置するように前記移動軌跡が傾斜しているときに、前記可動部材は、前記進入空間に進入可能に対向しており、前記蓋部材の一端側が他端側に対して下側に位置するように前記移動軌跡が傾斜しているときに、前記可動部材は、前記拡径部に対向して移動が規制されていることを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る発明は、前記拡径部は、中心を前記中心軸部にもつ円弧形状であることを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る発明は、前記開口の一端側には、第1の前記支持部が設けられ、前記蓋部材の一端側には、前記第1の支持部に前記蓋部材を支持又は脱離させる第1の前記可動部材が設けられ、前記開口の他端側には、第2の前記支持部が設けられ、前記蓋部材の他端側には、前記第2の支持部に前記蓋部材を支持又は脱離させる第2の前記可動部材が設けられ、前記揺動部材は、前記第1の可動部材の前記移動軌跡と前記第2の可動部材の前記移動軌跡との間に配置されていることを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る発明は、前記開口の一端側には、第1の前記支持部が設けられ、前記蓋部材の一端側には、前記第1の支持部に前記蓋部材を支持又は脱離させる第1の前記可動部材が設けられ、前記開口の他端側には、第2の前記支持部が設けられ、前記蓋部材の他端側には、前記第2の支持部に前記蓋部材を支持又は脱離させる第2の前記可動部材が設けられ、前記第1の可動部材の前記移動軌跡上には第1の前記揺動部材が配置され、前記第2の可動部材の前記移動軌跡上には第2の前記揺動部材が配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
前記請求項1に係る発明によれば、蓋部材に設けられた可動部材は、蓋部材の揺動に伴って移動軌跡が傾斜する。この移動軌跡上には,蓋部材に対して揺動自在な揺動部材が配置されている。揺動部材の重心は、中心軸部から偏心位置に向かう方向に偏っており、この偏心方向側に拡径部が設けられている。それゆえ、蓋部材が揺動して閉位置から一端側開位置又は他端側開位置のいずれの角度に揺動していても、常に偏心位置が中心軸部に対して真下に位置している。ゆえに、進入空間よりも偏心位置側に設けられた拡径部は、進入空間よりも常に下側に位置している。
【0010】
このため、他端側開位置で蓋部材の一端側が他端側に対して下側に位置するように移動軌跡が傾斜しているときに、可動部材は拡径部に対向して、可動部材の移動が規制され、ボックス本体に設けられた支持部に蓋部材が支持される。従って、蓋部材の一端側が支持部から外れることを防止できる。
【0011】
また、蓋部材が閉位置であり可動部材の移動軌跡が水平方向であるとき、又は蓋部材の一端側開位置で蓋部材の一端側が他端側に対して上側に位置するように移動軌跡が傾斜しているときには、可動部材は、進入空間に対向して、進入空間に進入可能となる。ゆえに、可動部材は、進入空間に進退することができ、蓋部材の支持部への支持又は離脱を自在に行うことができる。
【0012】
したがって、本発明によれば、蓋部材が開位置にあるとき、蓋部材の一端側及び他端側の両方が同時に外れることを防止することができる。
【0013】
前記請求項2に係る発明によれば、拡径部は、中心を中心軸部にもつ円弧形状である。このため、蓋部材の揺動により可動部材の拡径部に対する傾斜角度がどの程度であっても、拡径部に可動部材が当接して、可動部材の移動を規制することができる。
【0014】
前記請求項3に係る発明によれば、第1の可動部材は蓋部材の一端側に設けられ、第2の可動部材は蓋部材の他端側に設けられており、揺動部材は、第1の可動部材の移動軌跡と第2の可動部材の移動軌跡との間に配置されている。このため、蓋部材が閉位置であるときには、第1の可動部材及び第2の可動部材の移動軌跡が水平方向である。この場合には、第1の可動部材及び第2の可動部材は、これらの移動軌跡が進入空間に対向して、進入空間へ進退することができる。ゆえに、第1の可動部材又は第2の可動部材は、第1の支持部又は第2の支持部への蓋部材の支持又は離脱を自在に行うことができる。
【0015】
また、蓋部材が他端側開位置にあり蓋部材の一端側が他端側に対して下側に位置するように移動軌跡が傾斜しているときに、第1の可動部材は、第2の可動部材に対して下側に位置する。ゆえに、第1の可動部材は、拡径部に対向して、移動が規制され、蓋部材がボックス本体に設けられた第1の支持部に支持される。一方、第2の可動部材は、進入空間に対向して、進入空間へ進退することができ、第2の支持部への蓋部材の支持又は離脱を自在に行うことができる。このように、蓋部材の他端側が開いているときには、一端側が第1の支持部から外れることが防止される。
【0016】
また、蓋部材が一端側開位置にあり蓋部材の一端側が他端側に対して上側に位置するように移動軌跡が傾斜しているときには、第1の可動部材は、第2の可動部材に対して上側に位置する。この場合には、第1の可動部材は、進入空間に対向して、進入空間に進退することができ、蓋部材の第1の支持部への蓋部材の支持又は離脱を自在に行うことができる。一方、第2の可動部材は、拡径部に対向して、移動が規制され、蓋部材の第2の支持部への支持が維持される。このように、蓋部材の一端側が開いているときには、他端側が第2の支持部から外れることが防止される。
【0017】
したがって、蓋部材の一端側又は他端側が開いているとき、蓋部材の一端側及び他端側の両方が同時に外れることを防止することができる。
【0018】
前記請求項4に係る発明によれば、第1の可動部材と第2の可動部材に対してそれぞれ第1の揺動部材と第2の揺動部材を設けている。それ故、第1の可動部材及び第2の可動部材は、それぞれこれらの移動軌跡の傾斜方向によって揺動部材の拡径部に対向したり、進入空間に対向したりする。従って、蓋部材の一端側又は他端側がどの傾斜角度で開いていても、蓋部材の一端側及び他端側の両方が同時に外れることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1に示すように、第1の実施形態の両開き収納ボックス10は、車両の車室内のセンターコンソール9に装着されている。図1、図2、図3において、右、左、前、後は、車両シートに着座した乗員からみて右、左、前、後を意味する。両開き収納ボックス10は、開口11をもつボックス本体1と、開口11の左端側(一端側)と右端側(他端側)の両方から開閉する蓋部材2とよりなる。
【0020】
図1,図2に示すように、ボックス本体1は、四角形状の開口11をもつ。開口11は、左端側から右端側に向かう方向と直交する方向、即ち前後方向で対向する一対の対向壁15をもつ。前後一対の対向壁15の左端の固定穴15aから開口11に向けて、それぞれ第1支持部としての第1軸12a、12aが突出している。開口11の前端部に突出する第1軸12aは、開口11の後端部に突出する第1軸12aと同一軸線上に配置されている。また、前後一対の対向壁15の右端の固定穴15aから開口11に向かって、それぞれ第2支持部としての第2軸12b、12bが突出している。開口11の前端部に突出する第2軸12bは、開口11の後端部に突出する第2軸12bと同一軸線上に配置されている。2つの第1軸12a、12aは、2つの第2軸12b、12bと平行である。
【0021】
蓋部材2は、上蓋材21と、下蓋材22とが周縁で嵌合することにより形成されている。下蓋材22の前端面及び後端面の左端及び右端には、それぞれ下方に開口する凹状の第1凹部22a及び第2凹部22bが設けられている。第1凹部22a及び第2凹部22bは、下蓋材22の前端面及び後端面に下方を開口させており、第1軸12a及び第2軸12bの径断面と同程度か若干大きい円弧部をもつ。第1凹部22a及び第2凹部22bは、第1軸12a及び第2軸12bにそれぞれ脱離可能に係合している係合部である。
【0022】
図2,図3、図4、図5に示すように、上蓋材21と下蓋材22との間の空間には、第1可動部材23a及び第2可動部材23bと、スライド部材24と、付勢部材25と、揺動部材26とが収容されている。
【0023】
第1可動部材23a及び第2可動部材23bは、前後方向に長い長尺板状体であり、蓋部材2の左端側及び右端側にそれぞれ左右方向にスライド可能に配設されている。第1可動部材23a及び第2可動部材23bは、それぞれロック爪23c、23dをもつロック部材である。
【0024】
第1可動部材23aの右側部及び第2可動部材23bの左側部には、それぞれ2箇所に突起部23j、23kが設けられている。突起部23j、23kは、第1可動部材23a及び第2可動部材23bの移動方向で相対した位置に配置されている。第1可動部材23a及び第2可動部材23bの移動方向は左右方向であり、これらの突起部23j、23kの移動方向も左右方向である。図6に示すように、突起部23j、23kの移動軌跡L1、L2は、蓋部材2が開口11を閉じている閉位置にあるときには水平方向である。図7に示すように、蓋部材2が右端側を揺動中心として左端側が揺動して開口11の左端側を開いている左側開位置にあるときには、移動軌跡L1、L2は、左端側が右端側よりも上側に位置するように水平方向に対して傾斜している。逆に、図8に示すように、蓋部材2が左端側を揺動中心として右端側が揺動して開口11の右端側を開いている右側開位置にあるときには左端側が右端側よりも下側に位置するように水平方向に対して傾斜している。
【0025】
図2,図3,図6に示すように、揺動部材26は、下蓋材22から突設する軸受部22jに揺動自在に枢支されている。図9に示すように、揺動部材26は、重心が偏心位置Gに設定されている。揺動部材26は、中心軸部26cと、中心軸部26cに対して偏心位置G側に設けられた拡径部26dと、中心軸部26cに対して偏心位置Gと反対側に設けられ拡径部26dよりも縮径された縮径部26eと、縮径部26eの外周部に設けられ第1可動部材23a及び第2可動部材23bを拡径部26dの径方向内側であって中心軸部26cに向けて径方向に進入させる進入空間26fとをもつ。中心軸部26cの軸孔には、下蓋材22から突出する支持部22jに枢支された軸部材22kが挿通されて、下蓋材22に対して揺動部材26を揺動自在に支持している。拡径部26dの径方向断面は、中心軸部26cを通る水平面Lよりも下側に始端26gと終端26hとをもち、中心を中心軸部26aにもつ円弧形状である。拡径部26dには、その軸方向と平行に、側面26iが形成されている。進入空間26fは、拡径部26d以外の部分の中心軸部26c回りに円弧状に形成されている。進入空間26fは、縮径部26eの外周側に形成され、拡径部26dよりも径方向内側の断面円弧形状の空間である。
【0026】
図6に示すように、第1可動部材23a及び第2可動部材23bの移動軌跡L1、L2が水平方向であるとき、移動軌跡L1、L2は、水平面Lと平行で且つ水平面Lの近傍に位置する。この水平方向の移動軌跡L1、L2は、第1可動部材23a及び第2可動部材23bは、進入空間26fに対向している。図7に示すように、蓋部材2が左側開位置にあり蓋部材2の左端側が右端側に対して上側に位置するように移動軌跡L1、L2が傾斜しているときに、蓋部材2の左端側に設けられている第1可動部材23aは、進入空間26fに対向し、蓋部材2の右端側に設けられている第2可動部材23bは、拡径部26dに対向している。図8に示すように、蓋部材2が右側開位置にあり、蓋部材2の左端側が右端側に対して下側に位置するように移動軌跡L1、L2が傾斜しているときに、第1可動部材23aは拡径部26dに対向し、第2可動部材23bは進入空間26fに対向している。
【0027】
図2、図10、図11に示すように、第1可動部材23aの前端部及び後端部の左端側には、第1凹部22aに進出又は後退することにより、第1凹部22aを開閉するロック爪23cが突出している。また、第2可動部材23bの前端部及び後端部の右端には、第2凹部22bに進出又は後退することにより、第2凹部22bを開閉するロック爪23dが突出している。第1可動部材23aのロック爪23cは、下蓋材22の底部22fであって前端部及び後端部の左端側に形成された開口部22cを通って、下蓋材22の底部22fから下方に突出している。また、図2に示すように、第2可動部材23bのロック爪23dも、下蓋材22の前端部及び後端部の右端側に形成された図略の開口部を通って、下蓋材22の底部22fから下方に突出している。これらの開口部22cは、ロック爪23c、23dが左右方向に移動可能な形状である。
【0028】
図2、図3に示すように、第1可動部材23a及び第2可動部材23bの中央部よりもやや前方側には、それぞれ上面側が窪む凹状段部23eが形成されている。第1可動部材23aの凹状段部23e及び第2可動部材23bの凹状段部23eには、それぞれ嵌合部としての嵌合凸部23f、23gが形成されている。第1可動部材23aの右側部及び第2可動部材23bの左端部には、付勢部材25を保持する座部23h、23iが設けられている。
【0029】
スライド部材24は、第1可動部材23a及び第2可動部材23bに形成された凹状段部23eの上に左右方向にスライド可能に配置されている。スライド部材24の左端部及び右端部には、それぞれ左操作部24a及び右操作部24bが形成されている。左操作部24a及び右操作部24bは、下蓋材22の左端部及び右端部に形成された枠状部22d、22eの中に配置されている。
【0030】
また、スライド部材24には、遊嵌部としての2つの遊嵌穴24c、24dが形成されている。遊嵌穴24c、24dには、第1可動部材23a及び第2可動部材23bに形成された嵌合凸部23f、23gがそれぞれ左右方向に移動可能に遊嵌している。
【0031】
付勢部材25は、圧縮バネであり、第1可動部材23aの座部23hと第2可動部材23bの座部23iとの間に介在して、第1可動部材23aと第2可動部材23bとの間を離間させる方向に第1可動部材23aと第2可動部材23bとを付勢している。これにより、第1可動部材23aは左側へ、第2可動部材23bは右側へ常時付勢される。
【0032】
次に、本例の両開き収納ボックスの作動について説明する。まず、図4に示すように、蓋部材2が開口11を閉止していて、左操作部24a及び右操作部24bを操作していない場合には、蓋部材2の中の第1可動部材23a及び第2可動部材23bが、付勢部材25により左端側及び右端側にそれぞれ付勢されている。第1可動部材23aの嵌合凸部23fは、スライド部材24の遊嵌穴24cの左端部に係止され、第2可動部材23bの嵌合凸部23gは、遊嵌穴24dの右端部に係止される。これにより、スライド部材24の左端部及び右端部に固定されている左操作部24a及び右操作部24bは、蓋部材2の枠状部22d、22eの初期位置に保持される。
【0033】
このとき、図10に示すように、第1可動部材23aのロック爪23cが、第1軸12aに係合されている第1凹部22aを閉止することで、第1軸12aに蓋部材2の左端側が支持される。また、第2可動部材23bのロック爪23dも、第2軸12bに係合されている第2凹部22bを閉止することで、第2軸12bに蓋部材2の右端部が支持される。これにより、蓋部材2の揺動は阻止される。
【0034】
このとき、図6に示すように、第1可動部材23aは蓋部材2の左端側に設けられ、第2可動部材23bは蓋部材2の右端側に設けられており、揺動部材26は、第1可動部材23aの突起部23jの移動軌跡L1と第2可動部材23bの突起部23kの移動軌跡L2との間に配置されている。蓋部材2が閉位置であるときに、突起部23j、23kの移動軌跡L1、L2が水平方向である。この場合には、突起部23j、23kは、これらの移動軌跡L1、L2が進入空間26fに径方向で対向していて、進入空間26fと前後方向(軸方向)の位置が重なっている。進入空間26fへ進退することができる。ゆえに、第1可動部材23aは、蓋部材2の第1凹部22aの第1軸部12aへの支持又は離脱を自在に行うことができる。また、第2可動部材23bは、蓋部材2の第2凹部22bの第2軸部12bへの支持又は離脱を自在に行うことができる。したがって、蓋部材2が閉位置であるときには、揺動部材26は、第1可動部材23aの突起部23j及び第2可動部材23bの突起部23kの移動を規制せず、いずれもスライド可能である。
【0035】
次に、図5に示すように、左操作部24aが初期位置から枠状部22dの中に押し込まれると、スライド部材24が右方向にスライドし、遊嵌穴24cも右方向に移動する。このとき、遊嵌穴24cの左端部に保持されている嵌合凸部23fが、右方向に押動され、第1可動部材23aが付勢部材25の付勢力に抗して右方向に移動される。図11に示すように、第1可動部材23aのロック爪23cが、第1凹部22aから右方向に後退して第1凹部22aを開く。図5に示すように、もう一方の遊嵌穴24dは、嵌合凸部23gに対して右側に移動するため、第2可動部材23bは移動しない。したがって、第2可動部材23bのロック爪23dは、第2凹部22bを閉止し続ける。このとき、乗員が、蓋部材2の左端側を上方向に押し上げると、第1凹部22aが第1軸12aから脱離し、第2凹部22bは第2軸12bから脱離しない。このため、蓋部材2が、右側の第2軸12bを中心に左側が揺動して、左側が開く。
【0036】
左操作部24aから手を離すと、付勢部材25により第1可動部材23aが左側に戻る。嵌合凸部23fが遊嵌穴24cの左端部に保持されながら、スライド部材24を左側に戻し、左操作部24aが初期位置に戻る。
【0037】
ここで、図7に示すように、蓋部材2の左側が開いているときには、蓋部材2の右端側が左端側に対して下側に位置するように移動軌跡L1、L2が傾斜する。このとき、突起部23kは、突起部23jに対して下側に位置する。ゆえに、突起部23kは、拡径部26dの側面26iに径方向で対向して、第2可動部材23bの移動が規制され、第2軸部12bへの第2凹部22bの支持が維持される。この場合、右操作部24bを押圧しても、第2可動部材23bの移動が規制されているため、右操作部24bを押し込むことはできず、第2可動部材23bのロック爪23dは、第1軸12aに係合された第2凹部22bから後退することはできず蓋部材2の右端側を開くことはできない。
【0038】
一方、突起部23jは、進入空間26fに径方向で対向して、進入空間26fへ中心軸部26c側に向けて進退することができ、蓋部材2の第1軸部12aへの第1凹部22aの支持又は離脱を自在に行うことができる。この場合、左操作部24aを押圧すれば、スライド部材24及び第1可動部材23aが移動して、左操作部24aを押し込むことができる。
【0039】
次に、図4、図10に示すように、左側に開いた蓋部材2を倒して開口11を閉止すると、第1可動部材23aのロック爪23cの下面に形成されたテーパ面23mに第1軸12aが当接し、ロック爪23cを右側に押動して、第1凹部22aを開かせ、第1軸12aが第1凹部22aに収容されて蓋部材2が第1軸12aに支持される。ロック爪23cは、第1軸12aの押圧力から解除すると、付勢部材25の付勢力によって左側に戻り、第1凹部22aを閉止する。右操作部24bが枠状体22eの中に押し込まれると、左操作部24aと同様の原理により、第2可動部材23bのロック爪23dが第2凹部22bから後退し、第2凹部22bを第2軸12bから脱離させる。これにより、蓋部材2の左端部を中心にして、右端側が揺動可能となる。
【0040】
ここで、図8に示すように、蓋部材2の右側が開いているときには、蓋部材2の左端側が右端側に対して下側に位置するように移動軌跡L1、L2が傾斜する。このとき、突起部23jは、突起部23kに対して下側に位置する。ゆえに、突起部23jは、拡径部26dの側面26iに径方向で対向していて、中心軸部26cに向けて移動しようとしても、拡径部26dの側面26iに当接して移動が規制される。したがって、第1可動部材23aは移動が規制され、蓋部材2の第1凹部22aが第1軸部12aに支持され、蓋部材2の左側を開けることはできない。一方、第2可動部材23bは、進入空間26fに径方向で対向して、進入空間26fに中心軸部26c側に向けて進退することができ、第2凹部22bの第2軸部12bへの支持又は離脱を自在に行うことができる。
【0041】
第1の実施形態においては、蓋部材2に設けられた第1可動部材23aの突起部23jの移動軌跡L1及び第2可動部材23bの突起部23kの移動軌跡L2は、蓋部材2の揺動に伴って傾斜する。この移動軌跡L1、L2の間に,蓋部材2に対して揺動自在な揺動部材26が配置されている。揺動部材26の重心は、中心軸部26aから偏心位置Gに向かう方向に偏っており、この偏心方向側に拡径部26dが設けられている。それゆえ、蓋部材2が揺動して閉位置から左側開位置又は右側開位置のいずれの角度に揺動していても、常に偏心位置Gが中心軸部26cに対して真下に位置している。ゆえに、進入空間26fよりも偏心位置G側に設けられた拡径部26dは、進入空間26fよりも常に下側に位置している。
【0042】
このため、図8に示すように、蓋部材2が右側開位置にあり、蓋部材2の左端側が右端側に対して下側に位置するように移動軌跡L1、L2が傾斜しているときに、下側に位置する第1可動部材23aの突起部23jは揺動部材26の拡径部26dの側面26iに対向して、第1可動部材23aの移動が規制され、蓋部材2の第1凹部22aが第1軸部12aに支持される。従って、蓋部材2の操作部24aを押しても、蓋部材2の第1凹部22aが第1軸部12aに支持され続けるため、蓋部材2の左側が開くことはない。
【0043】
また、図7に示すように、蓋部材2が左側開位置にあり、蓋部材2の左端側が右端側に対して上側に位置するように移動軌跡L1、L2が傾斜しているときには、第1可動部材23aの突起部23jは進入空間26fに対向する。ゆえに、突起部23jは、進入空間26fに進退することができ、第1凹部22aの第1軸部12aへの支持又は離脱を自在に行うことができる。一方、右端側の第2可動部材23bの突起部23kは、揺動部材26の拡径部26dの側面26iに対向するため、第2可動部材23bの移動が規制され、蓋部材2の第2凹部22bが第2軸部12bに支持され続ける。従って、蓋部材2の操作部24bを押しても、蓋部材2の右側が開くことはない。
【0044】
また、図6に示すように、蓋部材2が閉位置にあるときには、第1可動部材23a及び第2可動部材23bの突起部23j、23kは、揺動部材26の進入空間26fに対向している。このため、第1可動部材23a及び第2可動部材23bはいずれも移動することができる。しかし、第1可動部材23a及び第2可動部材23bの嵌合凸部23f、23gとスライド部材24の遊嵌穴24c、24dとの嵌合位置のズレによって、第1可動部材23a及び第2可動部材23bの一方が移動しても、その他方は移動しない。ゆえに、第1可動部材23a及び第2可動部材23bの双方が、第1凹部22a及び第2凹部22bから後退することはない。従って、蓋部材2が閉位置でも、左端側及び右端側の双方が同時に外れることが防止される。
【0045】
揺動部材26の拡径部26dは、中心を中心軸部26cにもつ円弧形状である。このため、蓋部材2の揺動により第1可動部材23a及び第2可動部材23bの拡径部26dに対する傾斜角度がどの程度であっても、拡径部26dに第1可動部材23a及び第2可動部材23bが当接して、第1可動部材23a及び第2可動部材23bの移動を規制することができる。
【0046】
したがって、本例の両開き収納ボックス10によれば、蓋部材2の左端側及び右端側の両方が同時に外れることを防止することができる。
【0047】
(第2の実施形態)
第2の実施形態においては、図12、図13に示すように、開口11の後側の左側及び右側にロッド状の第1可動部材28a及び第2可動部材28bを配置している。第1可動部材28a及び第2可動部材28bに設けられた突起部28j、28kの移動軌跡L1、L2上には、それぞれ第1揺動部材26a及び第2揺動部材26bが配置されている。
【0048】
第1可動部材28a及び第2可動部材28bは、蓋部材2の揺動軸方向(前後方向)に長尺状に延び、その前端には嵌合凸部28dが形成され、後端には軸ピン28eが固定されている。軸ピン28eは、下蓋材2に形成された保持穴20に貫通保持されている。
【0049】
第1可動部材28aの前端と後端の間の中間部分は、屈曲された部分をもち、当該屈曲部分の右側には突起部28jが突設されている。第2可動部材28bの前端と後端の間の中間部分も、屈曲部分をもち、その左側には突起部28kが突設されている。第1可動部材28a及び第2可動部材28bは、下蓋材22に形成されたガイド壁22iに沿って前後方向に移動する。
【0050】
図14に示すように、第1可動部材28a及び第2可動部材28bは、前後方向に移動し、これらの突起部28j、28kの移動軌跡L1、L2の方向は前後方向である。第1可動部材28aの突起部28jの移動軌跡L1及び第2可動部材28bの突起部28kの移動軌跡L2上には、それぞれ第1揺動部材26a及び第2揺動部材26bが配置されている。第1揺動部材26a及び第2揺動部材26bは、第1の実施形態と同様に、中心軸部23cと、円弧形状の拡径部23dと、縮径部23eと、進入空間23fとをもつ。移動軌跡L1,L2は、第1揺動部材26a及び第2揺動部材26bの中心軸部23cを通る水平面Lと平行であり、且つ水平面Lの近傍に位置している(図9参照)。
【0051】
図12、図13に示すように、左側の第1可動部材28aは、前端側の嵌合凸部28dで、第3可動部材27aに設けられたガイド穴27cに遊嵌している。左側の第1可動部材23aのガイド穴27cは、前方向に対して左側に傾斜している。右側の第2可動部材28bは、前端側の嵌合凸部28dで、第4可動部材27bに設けられたガイド穴27cに遊嵌している。第4可動部材27bのガイド穴27cは、前方向に対して右側に傾斜している。第3可動部材27a及び第4可動部材27bのガイド穴27cは、第3可動部材27a及び第4可動部材27bの左右方向の移動を第1可動部材28a及び第2可動部材28bに前後方向の移動に変換して伝達する。
【0052】
左側の第3可動部材27aは、左端部に左操作部27dを一体に有している。右側の第4可動部材27bは、右端部に右操作部27eを一体に有している。また、第3可動部材27a及び第4可動部材27bは、いずれも前端部に左右外側に突出する部分の先端にロック溝27fを有している。下蓋材22の前方側には、左右2箇所に、コ字状に突出して付勢部材25を保持する保持部22hが設けられている。付勢部材25は、コイルバネである。第3可動部材27aの右端部及び第4可動部材27bの左端部は、付勢部材25の内部に挿入され保持部22hとともに付勢部材25を保持する突部27iをもつ。第3可動部材27a及び第4可動部材27bは、付勢部材25によって左側方向又は右側方向に常時付勢されている。
【0053】
図12に示すように、第3可動部材27a及び第4可動部材27bの左右方向のスライドによって、ロック溝27fは、下蓋材22に形成された左側の第1凹部22aと、右側の第2凹部22bとに進退する。第1凹部22a及び第2凹部22bは、それぞれ第1軸12a及び第2軸12bに脱離可能に係合している係合部である。ロック溝27fが、第1軸12a及び第2軸12bに形成された非円形状の係止凸部12cに係脱可能に係止することで、蓋部材2は、第1軸12a及び第2軸12bに係脱自在に支持されている。
【0054】
開口11の前方側の対向壁15の左側及び右側の固定穴15aには、第1軸12a及び第2軸12bが固定されている。
【0055】
開口11の後方側の対向壁15の左側及び右側には、それぞれ第1支持部としての第1軸穴16aと第2支持部としての第2軸穴16bとが開口している。開口11の後方側の第1軸穴16a及び第2軸穴16bは、それぞれ開口11の前方側の第1軸12aと第2軸12bと同一軸線上に位置している。第1軸穴16a及び第2軸穴16bには、それぞれ第1可動部材28aに固定された軸ピン28e及び第2可動部材23bに固定された軸ピン28eが脱離可能に支持されている。
【0056】
第2の実施形態の作動について説明する。蓋部材2が開口11を閉止していて、左操作部27d及び右操作部27eを操作していない場合には、蓋部材2の中の第3可動部材27a及び第4可動部材27bが、付勢部材25により左端側及び右端側にそれぞれ付勢されている。図16に示すように、第3可動部材27aのロック溝27fは、第1軸12aの係止凸部12cに係止していて、第1軸12aから第1凹部22aが脱離することを阻止している。また、第4可動部材27bのロック溝27fも、第2軸12bの係止凸部12cに係止していて、第2軸12bから第2凹部22bが脱離することを阻止している。また、第3可動部材27aが左側に付勢されることで、第3可動部材27aに連係している第1可動部材28aが後方側に位置して、軸ピン28eを第1軸穴16aに挿着している。第4可動部材27bも、第3可動部材27aと同様に、第2可動部材28b及び軸ピン28eを後方側に位置させて、軸ピン28eを第2軸穴16bに挿着している。これにより、蓋部材2は、前方側を第1軸12a及び第2軸12bに、後方側を第1軸穴16a及び第2軸穴16bに支持されて、蓋部材2の揺動が阻止される。また第3可動部材27aの左端部に形成された左操作部27dは、蓋部材2の枠状部22dの初期位置に保持され、第4可動部材27bの右端部に形成された右操作部27eは、蓋部材2の枠状部22eの初期位置に保持される。
【0057】
このとき、図14に示すように、第1揺動部材26aは、第1可動部材28aの突起部28jの移動軌跡L1上に配置されている。第2揺動部材26bは、第2可動部材28bの突起部28kの移動軌跡L2上に配置されている。蓋部材2が閉位置であるときに、突起部28j、28kの移動軌跡L1、L2はいずれも前後方向で水平である。この場合には、突起部28j、28kは、これらの移動軌跡L1、L2が第1揺動部材26a及び第2揺動部材26bの進入空間26fに前後方向で対向していて、左右方向(径方向)の位置が進入空間26fと重なっている。このため、突起部28j、28kは、進入空間26fへ前後方向に進退することができる。ゆえに、第1可動部材28a又は第2可動部材28bは、第1軸部12a又は第2軸部12bへの軸ピン28eの挿着又は離脱を自在に行うことができる。したがって、蓋部材2が閉位置であるときには、第1揺動部材26a及び第2揺動部材26bは、第1可動部材28aの突起部23j及び第2可動部材28bの突起部23kの移動を規制せず、いずれもスライド可能である。
【0058】
次に、左操作部27dが初期位置から押し込まれると、第3可動部材27aが付勢部材25の付勢力に抗して右方向にスライドする。図17に示すように、第3可動部材27aに形成されたロック溝27fが、第1軸12aの係止凸部12cから抜け出て、第1軸12aを第1凹部22aから脱離可能とする。また、図13に示すように、第3可動部材27aに形成されたガイド穴27cが第1可動部材28aの嵌合凸部28dを後端部に係止させながら前方内側に移動する。これにより、左側の第1可動部材28aが前方側に移動されて、軸ピン26eを第1軸穴16aから抜け出させる。このとき、右側の右操作部27eは操作されていないため、右側の第4可動部材27bのロック溝27fは第2軸12bを係止し、右側の軸ピン27eは第2軸穴16bに支持されている。したがって、右側の第2軸12b及び軸ピン27eを回転中心として、蓋部材2の左側が揺動可能となる。そして、図17に示すように、蓋部材2の左側を上方に持ち上げると、第1軸12aが第1凹部22aから脱離して、蓋部材2の左側が開く。
【0059】
ここで、図15に示すように、蓋部材2の左側が開いているときには、蓋部材2の右端側が左端側に対して下側に位置するように第1可動部材28a及び第2可動部材28bの移動軌跡L1、L2が傾斜する。このとき、第2可動部材28bの突起部28kは、第1可動部材28aの突起部28jに対して下側に位置する。突起部28kは、拡径部26dの後方側の端面26jに軸方向(前後方向)で対向していて、中心軸部26aに向けて移動しようとしても、拡径部26dの端面26jに当接して移動が規制される。したがって、第2可動部材28bは移動が規制され、軸ピン28eはボックス本体1に設けられた第2軸穴16bに支持される。この場合、右操作部27eを押圧しても、第2可動部材28b及び第4可動部材27bの移動が規制されているため、右操作部27eは押し込めず、蓋部材2の右側は第2軸穴16b及び第2軸12bに支持され続け、蓋部材2の右側を開けることはできない。一方、第1可動部材28aは、進入空間26fに軸方向で対向して、縮径部26eの外側であって拡径部26dよりも径方向内側の進入空間26fへ進退することができ、第1軸部12aの軸ピン28eの支持又は離脱を自在に行うことができる。
【0060】
一方、右操作部27eを押し込んだにも、左操作部27dを操作したときと同様の作動により、蓋部材2の右側が開く。蓋部材2の右側が開いているときには、蓋部材2の左端側が右端側に対して下側に位置するように移動軌跡L1、L2が傾斜する。このとき、左側の第1可動部材28aの突起部28jは、右側の第2可動部材28bの突起部28kに対して下側に位置する。ゆえに、突起部23jは、拡径部26dの後方側の端面26jに軸方向で対向して、第1可動部材28aの移動が規制され、軸ピン28eの第1軸穴16aへの支持が維持される。この場合、左操作部27dを押圧しても、第1可動部材28a及び第3可動部材27aの移動が規制されているため、左操作部27dは押し込めず、蓋部材2の左側は第1軸穴16a及び第1軸12aに支持され続け、蓋部材2の左側を開けることはできない。一方、第2可動部材28bの突起部28kは、進入空間26fに軸方向で対向して、進入空間26fへ進退することができる。
【0061】
第2の実施形態においては、第1可動部材28aと第2可動部材28bに対してそれぞれ第1揺動部材26aと第2揺動部材26bを設けている。このため、第1可動部材28a及び第2可動部材28bは、それぞれ、これらの突起部28j、28kの移動軌跡L1、L2の方向によって第1揺動部材26a及び第2揺動部材26bの拡径部26dの後方側の端面26jに対向したり、進入空間26fに対向したりする。したがって、蓋部材2が開位置のとき、蓋部材2の左端側及び右端側の両方が同時に外れることを防止することができる。
【0062】
第2の実施形態においては、第1可動部材28a及び第2可動部材28bがロッド体であり、ボックス本体1に設けられた第1軸穴16a及び第2軸穴16bに係脱自在に支持されている。しかし、第2の実施形態における第3可動部材27a及び第4可動部材27bにそれぞれ第1揺動部材26a及び第2揺動部材26bを配設してもよい。
【0063】
また、第2の実施形態においては、第1可動部材28aと第2可動部材28bのそれぞれに対して第1揺動部材26aと第2揺動部材26bとを配設しているが、第1可動部材28aと第2可動部材28bに対して1つの揺動部材を配設してもよい。例えば、第1可動部材28aと第2可動部材28bの突起部28j、28k間を近接させ、両者の間に揺動部材26を配置する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る両開き収納ボックスの斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係る両開き収納ボックスの分解斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係る、第1可動部材、第2可動部材、スライド部材及び付勢部材を組み付けた下蓋材の斜視図である。
【図4】第1の実施形態に係る、蓋部材で開口が閉止されている両開き収納ボックスの断面図である。
【図5】第1の実施形態に係る、蓋部材の左側を開くときの両開き収納ボックスの断面図である。
【図6】第1の実施形態に係る、閉位置にある蓋部材の要部拡大断面図である。
【図7】第1の実施形態に係る、左側開位置にある蓋部材の要部拡大断面図である。
【図8】第1の実施形態に係る、右側開位置にある蓋部材の要部拡大断面図である。
【図9】第1の実施形態に係る、揺動部材の斜視図である。
【図10】第1の実施形態に係る、ロック爪で第1支持部が閉止されているときの両開き収納ボックスの要部拡大断面図である。
【図11】第1の実施形態に係る、ロック爪がスライドして第1支持部が開いたときの両開き収納ボックスの要部拡大断面図である。
【図12】第2の実施形態に係る両開き収納ボックスの分解斜視図である。
【図13】第2の実施形態に係る、蓋部材の平面方向で切断したときの両開き収納ボックスの断面図である。
【図14】第2の実施形態に係る、蓋部材が閉位置であるときの、第1揺動部材及び第2揺動部材と第1可動部材及び第2可動部材の要部拡大斜視図である。
【図15】第2の実施形態に係る、蓋部材が左側開位置であるときの、第1揺動部材及び第2揺動部材と第1可動部材及び第2可動部材の要部拡大斜視図である。
【図16】第2の実施形態に係る、第1軸がロック溝に係止されているときの蓋部材の要部拡大断面図である。
【図17】第2の実施形態に係る、第1軸がロック溝から脱離したときの蓋部材の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0065】
1:ボックス本体、2:蓋部材、9:センターコンソール、10:両開き収納ボックス、11:開口、12a:第1軸、12b:第2軸、12c:係止凸部、15:対向壁、15a:固定穴、16a:第1軸穴、16b:第2軸穴、21:上蓋材、22:下蓋材、22a:第1凹部、22b:第2凹部、22d、22e:枠状部、22f:底部、22h:保持部、22i:座部、23a:第1可動部材、23b:第2可動部材、23c、23d:ロック爪、23e:凹状段部、23f、23g:嵌合凸部、23h、23i:座部、23j、23k:突起部、24:スライド部材、24a:左操作部、24b:右操作部、24c、24d:遊嵌穴、25:付勢部材、26:揺動部材、26a:第1揺動部材、26b:第2揺動部材、26c:中心軸部、26d:拡径部、26e:縮径部、26f:進入空間、26j:側面、26i:端面、27a:第3可動部材、27b:第4可動部材、27c:ガイド穴、27d:左操作部、27e:右操作部、27f:ロック溝、28a:第1可動部材、28b:第2可動部材、28j、28k:突起部、28d:嵌合凸部、28e:軸ピン。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口をもつボックス本体と、該開口の一端側と他端側の両方から開閉する蓋部材と、よりなる両開き収納ボックスにおいて、
該開口の一端側に設けられた支持部と,
前記蓋部材の一端側に移動可能に設けられ前記支持部に向かって進退することにより前記支持部に前記蓋部材を支持又は脱離させる可動部材と、
該可動部材の移動軌跡上に配置され、前記蓋部材に揺動自在に支持された揺動部材と、をもち、
該揺動部材は、重心が偏心位置に設定されており、
該蓋部材に揺動自在に枢支された中心軸部と、該中心軸部に対して前記偏心位置側に設けられた拡径部と、前記中心軸部に対して前記偏心位置と反対側に設けられ前記拡径部よりも縮径された縮径部と、該縮径部の外周部に設けられ前記可動部材を前記拡径部よりも径方向内側に進入させる進入空間とをもち、
前記移動軌跡が水平方向であるとき、又は前記蓋部材の一端側が他端側に対して上側に位置するように前記移動軌跡が傾斜しているときに、前記可動部材は、前記進入空間に進入可能に対向しており、
前記蓋部材の一端側が他端側に対して下側に位置するように前記移動軌跡が傾斜しているときに、前記可動部材は、前記拡径部に対向して移動が規制されていることを特徴とする両開き収納ボックス。
【請求項2】
前記拡径部は、中心を前記中心軸部にもつ円弧形状である請求項1記載の両開き収納ボックス。
【請求項3】
前記開口の一端側には、第1の前記支持部が設けられ、
前記蓋部材の一端側には、前記第1の支持部に前記蓋部材を支持又は脱離させる第1の前記可動部材が設けられ、
前記開口の他端側には、第2の前記支持部が設けられ、
前記蓋部材の他端側には、前記第2の支持部に前記蓋部材を支持又は脱離させる第2の前記可動部材が設けられ、
前記揺動部材は、前記第1の可動部材の前記移動軌跡と前記第2の可動部材の前記移動軌跡との間に配置されている請求項1又は請求項2に記載の収納ボックス。
【請求項4】
前記開口の一端側には、第1の前記支持部が設けられ、
前記蓋部材の一端側には、前記第1の支持部に前記蓋部材を支持又は脱離させる第1の前記可動部材が設けられ、
前記開口の他端側には、第2の前記支持部が設けられ、
前記蓋部材の他端側には、前記第2の支持部に前記蓋部材を支持又は脱離させる第2の前記可動部材が設けられ、
前記第1の可動部材の前記移動軌跡上には第1の前記揺動部材が配置され、
前記第2の可動部材の前記移動軌跡上には第2の前記揺動部材が配置されている請求項1又は請求項2に記載の収納ボックス。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−59724(P2010−59724A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228114(P2008−228114)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】