説明

両面粘着テープおよび研磨部材

【課題】両面粘着テープを用いて研磨部材を定盤に固定する際に貼り直しを容易にする。
【解決手段】本発明のある実施の形態の両面粘着テープ10は、定盤への粘着面となる第1の粘着剤層30と、研磨部材への粘着面となる第2の粘着剤層40と、第1の粘着剤層30と第2の粘着剤層40との間の基材20とを含む。このような層構成の両面粘着テープ10において、第1の粘着剤層30のループタック粘着力が16N/50mm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶用ガラスなどの被研磨材の研磨に用いられる研磨部材を定盤に固定するための両面粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶用ガラス、シリコンウェハ、ハードディスク基板などの表面を研磨する研磨装置が知られている。研磨装置では、被研磨部材を支持する研磨パッドを定盤に固定する際や、研磨布を定盤に固定する際に両面粘着テープが用いられている。
【0003】
近年、たとえば、液晶ディスプレイの大型化に伴なって液晶用ガラスの大型化が進行している。大型化した被研磨部材を研磨するために、研磨装置で使用される研磨パッドや研磨布(以下、研磨パッドと研磨布を総称して研磨部材ともいう)も大型化してきており、大型化した研磨パッドや研磨布を定盤に固定する要求に応えるため広幅の両面粘着テープが必要とされている。たとえば、広幅の両面粘着テープとして、基材フィルムの幅が2m以上である両面粘着テープが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−90359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
両面粘着テープの大型化に伴って、両面粘着テープの取り扱いが難しさが増している。このため、一方の粘着面が研磨部材に接着された両面粘着テープの他方の粘着面を定盤に接着する際の位置決めが困難になり、所定の位置に両面粘着テープを接着するために貼り直しをする必要に迫られる。この場合、従来の両面粘着テープでは、定盤に対する接着力が強すぎるため貼り直しが難しい。また、定盤に一度接着した両面粘着テープを剥がすと、定盤表面に両面粘着テープの粘着剤(糊)が残ってしまうため、両面粘着テープの貼り直しが困難になっている。両面粘着テープの貼り直しができず、最終的に両面粘着テープの貼り合わせに失敗すると、研磨部材を取り替える必要がある。この場合に、研磨部材の大型化に伴って研磨部材が高価になるため、損失が大きくなるという問題がある。
【0006】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、特に大型化(大面積化・広幅化)した両面粘着テープを用いて研磨部材を定盤に固定する際に貼り直しを容易にすることができる技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、両面粘着テープである。当該両面粘着テープは、基材と、基材の一方の面に設けられた第1の粘着剤層と、基材の他方の面に設けられた第2の粘着剤層と、第1の粘着剤層および/または第2の粘着剤層に積層された剥離ライナーと、を備え、SUS板に対する第1の粘着剤層のループタック粘着力が16N/50mm以下であることを特徴とする。
【0008】
この態様の両面粘着テープによれば、第2の粘着剤層に研磨部材を固定した状態で、第1の粘着剤層を定盤に接着した後、貼り直しや位置修正が必要となった場合に、第1の粘着剤層を定盤から容易に剥がすことができる。
【0009】
上記態様の両面粘着テープにおいて、第1の粘着剤層が天然ゴムおよび/または合成ゴムを主成分とするゴム系粘着剤層であってもよい。第2の粘着剤層がアクリル系ポリマーを主成分とするアクリル系粘着剤層であってもよい。アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単量体主成分としてもよい。第2の粘着剤層に研磨部材が接着された状態で、第1の粘着剤層が研磨装置の定盤に着脱可能に固定されてもよい。両面粘着テープは、ロール状に巻回され、かつ巻回体の幅方向の長さが3000mm以下であってもよい。
【0010】
本発明の他の態様は、研磨部材である。当該研磨部材は、上述したいずれかの態様の両面粘着テープの第2の粘着剤層が表面に貼付されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、両面粘着テープを用いて研磨部材を定盤に固定する際に貼り直しを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態に係る両面粘着テープの構成を示す概略断面図である。
【図2】図2(A)乃至図2(D)は、ループタック粘着力の測定方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、実施の形態に係る両面粘着テープ10の構成を示す概略断面図である。両面粘着テープ10は、基材20、第1の粘着剤層30、第2の粘着剤層40、剥離ライナー50a、剥離ライナー50bとを備える。本実施の形態の両面粘着テープ10の用途として、液晶用ガラスなどの被研磨部材を研磨するための研磨装置の定盤への研磨布、研磨パッドなどの研磨部材の固定が挙げられる。
【0015】
(基材)
基材20は、プラスチックフィルム、紙、金属箔、織布、不織布等が使用でき、特に限定するものではないが、強度や厚み精度の点からは、プラスチックフィルムが好ましい。プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系フィルム等が使用できる。基材の厚さとしては、特に限定するものではないがたとえば、10μm〜300μm、好ましくは、25μm〜100μmである。
【0016】
(第1の粘着剤層)
第1の粘着剤層30は、基材20の一方の面に設けられた粘着剤層であり、研磨装置の定盤への接着に用いられる。本実施の形態の第1の粘着剤層30は、SUS板に対する第1の粘着剤層30のループタック粘着力が16N/50mm以下、好ましくは13N/50mm以下、さらに好ましくは10N/50mm以下(下限値としては、1N/50mm以上)である。本発明の両面粘着テープは、第1の粘着剤層30のループタック粘着力を上記範囲とすることで、第1の粘着剤層を研磨装置の定盤に接着した後、貼り直しや位置修正が必要となった場合に、第1の粘着剤層を定盤から容易に剥がすことができる。かかる効果は、特に両面粘着テープを広幅化(幅が2100mm以上3000mm以下、好ましくは2500mm以上3000mm以下)した場合に顕著となる。ループタック粘着力は、後述する測定方法によって求められる。第1の粘着剤層30の厚さは、たとえば、20μm〜100μmである。
【0017】
第1の粘着剤層30の成分は、ループタック粘着力が16N/50mm以下であれば、特に限定されないが、天然ゴムおよび/または合成ゴムを主成分とする粘着剤層が好適に用いられる。
【0018】
第1の粘着剤層30に用いられる合成ゴムは、特に限定されないが、たとえば、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、前記スチレン系ブロック共重合体の水素添加物、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリイソブチレン(PIB)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられる。また、第1の粘着剤層30に用いられる天然ゴムとしては、特に限定されないが、素練ロールにて素練りし、ムーニー粘度をたとえば10〜100程度になるよう調整して用いられる。
【0019】
第1の粘着剤層30は、上記天然ゴムおよび/または合成ゴムに加えて、粘着付与剤を含んでいてもよい。粘着付与剤としては、テルペンフェノール樹脂、ロジン系樹脂、石油系樹脂などが挙げられる。粘着付与剤の使用量は、ループタック粘着力が16N/50mm以下になるような範囲で適宜選択でき、天然ゴムおよび/または合成ゴム100質量部に対して、たとえば20〜150質量部である。特に本発明の第1の粘着剤層に用いられる粘着剤組成物としては、天然ゴムとスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を併用し、さらに、フェノール変性ロジンとイソシアネート架橋剤を必須の成分とすることがループタック粘着力を特定範囲に調整する観点からは好ましい。これは、フェノール変性ロジンとイソシアネート架橋剤が、主ポリマーである天然ゴム・合成ゴムの間に入り込み易いため、粘着剤の固さを維持したまま、粘着特性を発現するように働くためであると推察される。
【0020】
第1の粘着剤層30には、上述した成分以外に、必要に応じて軟化剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤、着色剤などの適宜な添加剤が含まれていてもよい。
【0021】
(第2の粘着剤層)
第2の粘着剤層40は、基材20の他方の面に設けられた粘着剤層であり、研磨部材の接着に用いられる。第2の粘着剤層40の厚さは、たとえば、20μm〜100μmである。
【0022】
第2の粘着剤層40は、研磨部材に対する接着力が十分であれば、特に限定されないが、アクリル系ポリマーを主成分とする粘着剤層や熱可塑性ポリマーを主成分とする熱接着剤層が挙げられる。
【0023】
第2の粘着剤層40に用いられるアクリル系ポリマーは、炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルをモノマー単位として50質量%以上含有する。前記アクリル系ポリマーは、炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。アクリル系ポリマーは、重合開始剤とともに、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを重合(たとえば、溶液重合、エマルション重合、UV重合)させることにより得ることができる。
【0024】
炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合は、アクリル系ポリマーを調製するためのモノマー成分全量に対して50質量%以上99.9質量%以下、好ましくは、60質量%以上、さらに70質量%以上であることが好ましい。
【0025】
炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等の(メタ)アクリル酸C1−20アルキルエステル、好ましくは(メタ)アクリル酸C2−14アルキルエステル、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸C2−10アルキルエステル等が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとはアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルをいい、「(メタ)・・・」は全て同様の意味である。
【0026】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の(メタ)アクリル酸エステルとしては、
たとえば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、
イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エ
ステルや、フェニル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリ
ル酸エステル、テルペン化合物誘導体アルコールから得られる(メタ)アクリル酸エステ
ル等が挙げられる。
【0027】
なお、アクリル系ポリマーは、凝集力、耐熱性、架橋性等の改質を目的として、必要に応じて、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な、他のモノマー成分(共重合性モノマー)を含んでいてもよい。従って、アクリル系ポリマーは、主成分としての、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共に、共重合性モノマーを含んでいてもよい。共重合性モノマーとしては、極性基を有するモノマーを好適に使用することができる。
【0028】
共重合性モノマーの具体的な例としてはアクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル等の水酸基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等のリン酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の(N−置換)アミド系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシヘキサメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド系モノマー;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルへキシルイタコンイミド、N−シクロへキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−(メタ)アクリロイル−2−ピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−ビニルモルホリン等の窒素含有複素環系モノマー;N−ビニルカルボン酸アミド類;N−ビニルカプロラクタム等のラクタム系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノアクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール等のグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等の複素環、ハロゲン原子、ケイ素原子等を有するアクリル酸エステル系モノマー;イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー、チオグリコール酸;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン等のオレフィンまたはジエン類;ビニルアルキルエーテル等のビニルエーテル類;塩化ビニル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド等のイミド基含有モノマー;2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基含有モノマー;フッ素原子含有(メタ)アクリレート;ケイ素原子含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、これらの共重合性モノマーは1種または2種以上使用できる。
【0029】
アクリル系ポリマーが、主成分としての(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共に共重合性モノマーを含有する場合、カルボキシル基含有モノマーを好適に使用することができる。その中でも、アクリル酸を好適に使用することができる。共重合性モノマーの使用量としては、特に制限されないが、通常、前記アクリル系ポリマーを調製するためのモノマー成分全量に対して、共重合性モノマーを0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜20質量%、さらに好ましくは1〜15質量%含有することができる。
【0030】
共重合性モノマーを0.1質量%以上含有することで、アクリル系粘着剤からなるア
クリル系粘着テープまたはシートの凝集力の低下を防ぎ、高いせん断力を得ることができる。また、共重合性モノマーの含有量を30質量%以下とすることで、凝集力が高くなるのを防ぎ、常温(25℃)でのタック感を向上させることができる。
【0031】
また、アクリル系ポリマーには、形成するアクリル系粘着剤の凝集力を調整するために必要に応じて多官能性モノマーを含有してもよい。
【0032】
多官能性モノマーとしては、たとえば、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートを好適に使用することができる。多官能(メタ)アクリレートは、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0033】
多官能性モノマーの使用量としては、その分子量や官能基数等により異なるが、アクリル系ポリマーを調製するためのモノマー成分全量に対して、0.01〜3.0質量%、好ましくは0.02〜2.0質量%であり、さらに好ましくは0.03〜1.0質量%となるように添加する。
【0034】
多官能性モノマーの使用量が、アクリル系ポリマーを調製するためのモノマー成分全量に対して3.0質量%を超えると、たとえば、アクリル系粘着剤の凝集力が高くなりすぎ、接着力が低下したりする場合等がある。一方、0.01質量%未満であると、たとえば、アクリル系粘着剤の凝集力が低下する場合等がある。
【0035】
<重合開始剤>
アクリル系ポリマーの調製に際して、熱重合開始剤や光重合開始剤(光開始剤)等の重合開始剤を用いた熱や紫外線による硬化反応を利用して、アクリル系ポリマーを容易に形成することができる。特に、重合時間を短くすることができる利点等から、光重合開始剤を好適に用いることができる。重合開始剤は単独で、または2種以上組み合わせて使用することができる。
【0036】
熱重合開始剤としては、たとえば、アゾ系重合開始剤[たとえば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4´−アゾビス−4−シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2´−アゾビス(N,N´−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライド等]、過酸化物系重合開始剤(たとえば、ジベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルマレエート、過酸化ラウロイル等)、レドックス系重合開始剤等が挙げられる。
【0037】
熱重合開始剤の使用量としては、特に制限されず、従来、熱重合開始剤として利用可能な範囲であればよい。
【0038】
光重合開始剤としては、特に制限されず、たとえば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤等を用いることができる。
【0039】
具体的には、ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、たとえば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン[BASF社製、商品名:イルガキュア651]、アニソールメチルエーテル等が挙げられる。;アセトフェノン系光重合開始剤としては、たとえば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[BASF社製、商品名:イルガキュア184]、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン[BASF社製、商品名:イルガキュア2959]、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン[BASF社製、商品名:ダロキュア1173]、メトキシアセトフェノン等が挙げられる。;α−ケトール系光重合開始剤としては、たとえば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン等が挙げられる。;芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、たとえば、2−ナフタレンスルホニルクロライド等が挙げられる。;光活性オキシム系光重合開始剤としては、たとえば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシム等が挙げられる。
【0040】
また、ベンゾイン系光重合開始剤には、たとえば、ベンゾイン等が含まれる。ベンジル系光重合開始剤には、たとえば、ベンジル等が含まれる。;ベンゾフェノン系光重合開始剤には、たとえば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3´−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が含まれる。;ケタール系光重合開始剤には、たとえば、ベンジルジメチルケタール等が含まれる。;チオキサントン系光重合開始剤には、たとえば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントン等が含まれる。
【0041】
アシルフォスフィン系光重合開始剤としては、たとえば、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−n−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(1−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−t−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)シクロヘキシルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)オクチルホスフィンオキシド、ビス(2−メトキシベンゾイル)(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2−メトキシベンゾイル)(1−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジエトキシベンゾイル)(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジエトキシベンゾイル)(1−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジブトキシベンゾイル)(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)(2,4−ジペントキシフェニル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)ベンジルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2−フェニルプロピルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2−フェニルエチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)ベンジルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2−フェニルプロピルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2−フェニルエチルホスフィンオキシド、2,6−ジメトキシベンゾイルベンジルブチルホスフィンオキシド、2,6−ジメトキシベンゾイルベンジルオクチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,5−ジイソプロピルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2−メチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−4−メチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,5−ジエチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,3,5,6−テトラメチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジ−n−ブトキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)イソブチルホスフィンオキシド、2,6−ジメチトキシベンゾイル−2,4,6−トリメチルベンゾイル−n−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジブトキシフェニルホスフィンオキシド、1,10−ビス[ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド]デカン、トリ(2−メチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、などが挙げられる。
【0042】
これらの中でも特に、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド[BASF社製、商品名:イルガキュア819]、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジ−n−ブトキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド[BASF社製、商品名:ルシリンTPO]、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドが好ましい。
【0043】
光重合開始剤の使用量としては、特に制限されないが、たとえば、アクリル系ポリマーを調整するモノマー成分100質量部に対して0.01〜5質量部、好ましくは0.05〜3質量部、さらに好ましくは0.08〜2質量部の範囲内の量で配合される。
【0044】
ここで、光重合開始剤の使用量が、0.01質量部より少ないと、重合反応が不十分になる場合がある。光重合開始剤の使用量が、5質量部を超えると、光重合開始剤が紫外線を吸収することにより、紫外線が粘着剤層内部まで届かず、重合率の低下を生じたり、生成するポリマーの分子量が小さくなることによって、形成される粘着剤層の凝集力が低くなり、粘着剤層をフィルムから剥離する際に、粘着剤層の一部がフィルムに残り、フィルムの再利用ができなくなる場合がある。なお、光重合性開始剤は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0045】
凝集力を調整するには、前記した多官能性モノマー以外に架橋剤を用いることも可能である。架橋剤は通常用いる架橋剤を使用することができ、たとえば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、シリコーン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、シラン系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等を挙げることができる。特に、好適には、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤を使用することができる。
【0046】
具体的には、イソシアネート系架橋剤の例としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートおよびこれらのトリメチロールプロパン等のポリオールとのアダクト体を挙げることができる。
【0047】
エポキシ系架橋剤としては、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミンおよび1,3-ビス(N,N'-ジアミングリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。これら架橋剤の添加量としては、特に限定するものではないが、アクリル系ポリマー100質量部に対して、たとえば0.001〜10質量部である。
【0048】
アクリル系ポリマーを主成分とする粘着剤には、上述した成分以外に、必要に応じて粘着付与剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤、着色剤などの適宜な添加剤が含まれていてもよい。
【0049】
粘着付与剤としては、たとえば、ロジン系粘着付与剤、テルペン系粘着付与剤、フェノール系粘着付与剤、石油系粘着付与剤等の粘着付与剤を使用することができる。
【0050】
第2の粘着剤層40に用いられる熱可塑性ポリマーは、加熱溶融して接着性を発揮できるものであれば特に限定されないが、スチレン系ブロック共重合体をベースポリマーとし、さらに粘着付与剤を配合した組成の熱接着剤が好ましく例示される。
【0051】
上記スチレン系ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−共役ジエンブロック共
重合体が好ましく例示される。スチレン−共役ジエンブロック共重合体としては、スチレ
ンポリマーのブロックと共役ジエンポリマーのブロックが交互に存在するA−B−A型ブ
ロック共重合体が好ましく用いられる。具体的には、スチレンとブタジエンやイソプレン
などの共役ジエンとのブロック共重合体、あるいはその水素添加物が挙げられ、耐久性の
点よりスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体ないしその水素添加物が好まし
い。
【0052】
このようなスチレン−共役ジエンブロック共重合体におけるスチレンポリマーの含有量
(以下、スチレン含量という)としては、通常10〜40重量%、好ましくは13〜35
重量%である。また、共重合体全体の重量平均分子量としては、5万〜70万が好ましく
、より好ましくは10万〜40万である。
【0053】
上記粘着付与剤としては、たとえば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂、
水添石油系樹脂、脂肪族炭化水素系樹脂、芳香族炭化水素系樹脂などが挙げられる。なか
でも、スチレン系粘着付与樹脂を必須成分のひとつとして使用することが好ましく、スチ
レン系粘着付与樹脂をスチレン系ブロック共重合体100重量部に対し、10〜100重
量部、好ましくは20〜70重量部用いることが好ましい。このような配合により、室温
ではタックが少なく、研磨部材を固定するための位置決め作業を行いやすく、一方この位
置決め後加熱することにより容易に接着できるため好ましい。また、上記スチレン系粘着
付与樹脂に加えて、それ以外の粘着付与剤も併用することが好ましく、その場合は粘着付
与剤の合計量(スチレン系粘着付与樹脂とそれ以外の粘着付与剤の合計量)が、スチレン
系ブロック共重合体100重量部に対し、40〜200重量部の範囲となるように配合す
ることが好ましい。
【0054】
(剥離ライナー)
剥離ライナー50aは、第1の粘着剤層30の基材20と反対側の粘着面に積層されている。剥離ライナー50aは、露出面から順に(A)ポリマー層52aと(B)紙基材層54aとを有する。
【0055】
(A)ポリマー層52aは、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体またはこれらの混合物からなるポリオレフィンからなる群より選ばれる。ポリマー層52aの厚さは、たとえば、10μm〜300μmである。
【0056】
(B)紙基材層54aは、グラシン紙、クラフト紙、上質紙からなる群より選ばれる。紙基材層54aの厚さは、たとえば、50μm〜200μmである。紙基材層54aの第1の粘着剤層30の側の表面はシリコーン系剥離剤などの剥離処理剤により剥離処理されていることが好ましい。
【0057】
剥離ライナー50bは、第2の粘着剤層40の基材20と反対側の粘着面に積層されている。剥離ライナー50bは、露出面から順に(C)ポリマー層52bと(D)紙基材層54bとを有する。(C)ポリマー層52b、(D)紙基材層54bは、剥離ライナー50aの(A)ポリマー層52a、(B)紙基材層54aにそれぞれ対応する層であり、説明を省略する。以下、剥離ライナー50a、剥離ライナー50bを総称して剥離ライナー50と呼ぶときがある。
【0058】
本実施の形態の両面粘着テープ10の幅は、1300mm以上3000mm以下、より好ましくは1500mm以上2800mm以下、さらに好ましくは2100mm以上2500mm以下である。
【0059】
本実施の形態の両面粘着テープ10は、広幅(好ましくは2100mm以上3000mm以下、好ましくは2500mm以上3000mm以下)の基材または剥離ライナーを準備し、基材または剥離ライナーの幅に対応した広幅の粘着剤組成物塗工装置にて粘着剤組成物を塗布することが好ましい。広幅の粘着剤組成物塗工装置としては、たとえば、グラビアコーター、ファウンテンダイコーター、リップコーター、コンマコーター等のロール幅が2100mm以上3000mm以下の塗工装置にて塗工することが好ましい。かかる広幅の粘着剤組成物塗工装置を使用して、広幅の粘着剤層を一括で塗工することで、外観不良発生リスクをより低減化させることができる。
【0060】
本実施の形態の両面粘着テープ10では、第1の粘着剤層30は研磨装置の定盤への接着に用いられる粘着面であり、第2の粘着剤層40は研磨部材の固定に用いられる粘着面である。第1の粘着剤層30のSUS板に対するループタック粘着力が16N/50mm以下であるため、第2の粘着剤層40に研磨部材を固定した状態で、第1の粘着剤層30を定盤に接着した後、第1の粘着剤層30を定盤から容易に剥がすことができる。また、本実施の形態の両面粘着テープ10は、第1の粘着剤層30を定盤から剥がしたときに、粘着剤(糊)が残りにくい。このため、一方の面に研磨部材が接着された両面粘着テープ10を定盤に接着する際に、必要に応じて両面粘着テープ10を定盤に貼り直して位置決めすることが容易になる。この結果、研磨部材を定盤に接着する過程で、両面粘着テープによる接着の不具合により研磨部材を無駄にすることを抑制でき、ひいては、被研磨部材の研磨工程に要するコストを低減することができる。
【0061】
なお、上述した実施の形態の両面粘着テープ10では、剥離ライナー50が第1の粘着剤層30の側、第2の粘着剤層40の側の両方に設けられているが、剥離ライナー50は、第1の粘着剤層30の側、第2の粘着剤層40の側のいずれか一方に設けられていてもよい。この場合、剥離ライナーの両表面層が剥離処理されているものを使用できる。
【実施例】
【0062】
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により
何ら限定されるものではない。
【0063】
表1は、実施例1、実施例2および比較例1に係る両面粘着テープの成分および層厚等を示す。
【0064】
【表1】

【0065】
(実施例1)
<アクリル系粘着剤組成物の作製>
ブチルアクリレート(70質量部)、2−エチルヘキシルアクリレート(30質量部)、アクリル酸(3質量部)、および4−ヒドロキシブチルアクリレート(0.05質量部)トルエン152質量部の混合溶媒中に添加し、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.08質量部を加えた。その後、60℃で6時間溶液重合してアクリル系粘着剤用ポリマー溶液(粘度:28Pa・s、固形量:40質量%)を得た。アクリル系粘着剤用ポリマー溶液中のアクリレート系ポリマーは重量平均分子量440000であった。調製したアクリル系粘着剤用ポリマー溶液のアクリル系ポリマー固形分100質量部に対し、重合ロジンペンタエリスリトールエステル(荒川化学社製「ペンセルD125」)30質量部を加えた後、架橋剤としてイソシアネート(日本ポリウレタン社製、商品名「コロネートL」2質量部)を加え、アクリル系粘着剤組成物を得た。
【0066】
<ゴム系粘着剤組成物の作製>
天然ゴム(ムーニー粘度75)100部、SIS(日本ゼオン社製、商品名「クインタック3460C」放射状構造SIS、スチレン含有量25質量%)30質量部、無水マレイン酸変性C5,C9レジン(日本ゼオン社製、商品名「クイントンD−200」)40質量部、フェノール変性ロジン(住友ベークライト社製、商品名「スミライトPR12603N」)40質量部、およびフェノール系老化防止剤(大内新興社製、商品名「ノクラックNS−6」)1質量部をトルエンに溶解させた後、架橋剤として、イソシアネート(日本ポリウレタン社製、商品名「コロネートL」)3質量部を加えてゴム系粘着剤溶液を調製した。
【0067】
<粘着剤層の作製>
片面にポリエチレンからなるポリマー層(厚さ19μm)を積層したグラシン紙(坪量:55g/m)からなる紙基材層を用意した。なお、ポリエチレンからなるポリマー層の表面(露出面)は、セミマット処理を施した冷却ロールに接触させた。ポリマー層が積層された側と反対側の紙基材層の表面上に、シリコーン系剥離剤による剥離処理を施し剥離ライナーAを用意した。剥離ライナーAと同様な手順にて、剥離ライナーBを用意した。また、剥離ライナーAおよび剥離ライナーBの幅は、2500mmであった。
【0068】
基材として厚さ75μm、幅2500mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意した。
【0069】
基材の一方の面に、上述したゴム系粘着剤組成物を塗工幅が2500mmの粘着剤塗工装置(コンマコーター)にて塗工し、100℃のオーブン中で3分間加熱し溶剤を除去して幅2500mm、乾燥後の厚さが40μmのゴム系粘着剤層(第1の粘着剤層)を備えた積層体Aを作製した。
【0070】
次に、剥離ライナーAの紙基材層の側(シリコーン系剥離剤で剥離処理された面)をゴム系粘着剤層の表面に向けて、ゴム系粘着剤層に剥離ライナーAをラミネートした。
【0071】
剥離ライナーBの紙基材層側(シリコーン系剥離剤で剥離処理された面)にアクリル系粘着剤組成物を塗工幅が2500mmの粘着剤塗工装置(コンマコーター)にて塗工し、100℃のオーブン中で3分間加熱し溶剤を除去して幅2500mm、乾燥後の厚さが60μmのアクリル系粘着剤層(第2の粘着剤層)を備えた積層体Bを作製した。
【0072】
次に、積層体Aの基材側を積層体Bのアクリル系粘着剤層に向けて、積層体Bに積層体Aをラミネートし、実施例1の両面粘着テープ(剥離ライナーA/ゴム系粘着剤層/PETフィルム/アクリル系粘着剤層/剥離ライナーB)を得た。なお、実施例1の両面粘着テープの幅方向の長さは、2500mmである。
【0073】
(実施例2)
剥離ライナーとして、坪量が70g/mのクラフト紙の片面にポリエチレンからなるポリマー層(厚さ20μm)を積層した紙基材層を使用し、ポリマー層が積層された側と反対側の紙基材層の表面上に、シリコーン系剥離剤による剥離処理を施した剥離ライナーを用いたことを除き、実施例1と同様の手順で両面粘着テープを作製した。なお、この剥離ライナーのポリマー層には、セミマット処理を施した冷却ロールに接触させなかった。
【0074】
(比較例1)
比較例1の両面粘着テープは、第1の粘着剤層にアクリル系粘着剤層を用い、第2の粘着剤層にゴム系粘着剤層を用いたことを除き、実施例1と同様な手順で作製された。すなわち、比較例1の両面粘着テープは、実施例1の両面粘着テープのうち、第1の粘着剤層と第2の粘着剤層とが入れ替えられた層構成に相当する。
【0075】
<ループタック測定方法>
実施例1乃至2、比較例1の各両面粘着テープについて、第1の粘着剤層のループタック粘着力を以下の方法で測定した。
【0076】
図2(A)乃至図2(D)は、ループタック粘着力の測定方法を示す概略図である。まず、各両面粘着テープ(50mm×250mm)の剥離ライナーBを剥がし、測定面となる第1の粘着剤層とは反対側の第2の粘着剤層に厚さ25μmのPETフィルムを裏打ちした。
【0077】
次に、図2(A)に示すように、試料となる両面粘着テープ10の第1の粘着剤層の側が外側になるようにループを作る。続いて、図2(B)に示すように、両面粘着テープ10の長手方向の一方の端部と他方の端部を重ね合わせ、端部から25mmの部分を紙100を用いて固定する。
【0078】
次に、図2(C)に示すように、被着体(SUS板)110の上方で、ループ面が下側になるように両面粘着テープ10を引張試験機に配置し、第1の粘着剤層の側の剥離ライナーAを剥がす。
【0079】
次に、図2(D)に示すように、両面粘着テープ10を徐々に降下させて、両面粘着テープ10のループ状の第1の粘着剤層を被着体(SUS板)110に接触させる。さらに、両面粘着テープ10を降下させて、両面粘着テープ10の端部と被着体110との距離Hが80mmに達した直後に両面粘着テープ10を速度300mm/分で引き上げ、被着体から両面粘着テープ10を引き剥がす際の強度を測定した。各実施例および比較例の両面粘着テープにおけるループタック粘着力の測定結果を表2に示す。また表2に、試料となる両面粘着テープを被着体から引き上げた後に、第1の粘着剤層が被着体に残っているかどうか、いわゆる糊残りについて調べた。
【0080】
以上説明したループタック粘着力の測定方法は、粘着テープの評価基準「TEST METHODS 14th Edition」(Pressure Sentitive Tape Council)中の「PSTC−16 Loop Tack」で規定された方法に準拠し、試料の寸法を変えた方法である。
【0081】
【表2】

【0082】
表2に示すように、実施例1乃至2の両面粘着テープでは、SUS板に対するループタック粘着力が16N/50mm以下、さらには、10N/50mm以下であった。これにより、被着体に一旦貼り合わせた両面粘着テープを剥がして貼り直すことが容易であることが確認された。また、両面粘着テープをSUS板から剥がしたときにSUS板上に糊残りが生じないことが確認された。これに対して、比較例1では、SUS板に対するループタック粘着力が16N/50mmを超え、18.3N/50mmに達しており、両面粘着テープを貼り直すことが困難であり、かつ、両面粘着テープをSUS板から剥がしたときにSUS板上に糊残りが生じることが確認された。
【符号の説明】
【0083】
10 両面粘着テープ、20 基材、30 第1の粘着剤層、40 第2の粘着剤層、50a 剥離ライナー、50b 剥離ライナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の一方の面に設けられた第1の粘着剤層と、
前記基材の他方の面に設けられた第2の粘着剤層と、
前記第1の粘着剤層および/または第2の粘着剤層に積層された剥離ライナーと、
を備え、
SUS板に対する前記第1の粘着剤層のループタック粘着力が16N/50mm以下であることを特徴とする両面粘着テープ。
【請求項2】
前記第1の粘着剤層が天然ゴムおよび/または合成ゴムを主成分とするゴム系粘着剤層である請求項1に記載の両面粘着テープ。
【請求項3】
前記第2の粘着剤層がアクリル系ポリマーを主成分とするアクリル系粘着剤層である請求項1または2に記載の両面粘着テープ。
【請求項4】
アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単量体主成分とする請求項3に記載の両面粘着テープ。
【請求項5】
前記第2の粘着剤層に研磨部材が接着された状態で、前記第1の粘着剤層が研磨装置の定盤に着脱可能に固定される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の両面粘着テープ。
【請求項6】
ロール状に巻回され、かつ巻回体の幅方向の長さが3000mm以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の両面粘着テープ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の両面粘着テープの第2の粘着剤層が表面に貼付された研磨部材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−102165(P2012−102165A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249070(P2010−249070)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】