説明

両面粘着テープ及びその製造方法

【課題】架橋剤非存在下でも良好なX−Y方向追従性とZ方向追従性とを有する両面粘着テープを提供する。
【解決手段】ポリエチレンフォーム基材の両面にアクリル系粘着層が形成されてなる両面粘着テープであって、ポリエチレンフォーム基材が電子線架橋処理されたものであり、アクリル系粘着層が、アクリル系モノマーと光重合開始剤とを含有する無溶媒型光重合性モノマー組成物に紫外線を照射して光重合により形成されたものであり、重量平均分子量2000〜10000の粘着性付与ポリマーと、架橋剤非存在下において光重合により得られる重量平均分子量が700000〜3000000のアクリル系ポリマーAと、架橋剤非存在下において光重合により得られる重量平均分子量が350000〜650000のアクリル系ポリマーBとを含有するものであり、分子量分布が2.4〜4.4であることを特徴とする両面粘着テープ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエチレンフォーム基材の両面に、光重合により形成されたアクリル系粘着層が設けられた両面粘着テープ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、電気製品、建築物等において、構造材同士の接合、あるいは構造材への部品の接合の際に、ポリオレフィンフィルムやアクリルフィルムなどの支持体の両面に、光硬化性粘着組成物から形成されたアクリル系粘着層を設けた両面粘着テープが広く使用されている。
【0003】
ところで、このような両面粘着テープを構成するアクリル系粘着層の改良に関し、粘着力や凝集力等の粘着特性に優れたアクリル系粘着層として、アクリル系モノマー、重量平均分子量100000〜200000のアクリル酸エステル系ポリマー、重量平均分子量20000以下の粘着性付与発現のための高Tg低分子量ポリマー、光重合開始剤及び架橋剤を含有する無溶媒型樹脂組成物の塗布膜を光重合させたものが提案されている(特許文献1)。
【0004】
他方、このような両面粘着テープを構成する支持体の改良に関し、線膨張係数の異なる平坦な材料同士を両面粘着テープで貼り合わせたときの当該両面粘着テープのX−Y方向追従性(換言すれば、曲面接着性)を改善するために、支持体としてアクリルフォーム基材が使用されているが、X−Y方向追従性を更に改善するために、アクリルフォーム基材に比べて伸び性が若干劣るもののクリープ現象が生じ難いポリエチレンフォーム基材を使用することが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−49130号公報
【特許文献2】特開平6−49418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の無溶媒型樹脂組成物からアクリル系粘着層を形成する場合、アクリル系粘着層の機械的特性を改善するために無溶媒型樹脂組成物に架橋剤を配合することが前提となっており、そのため、アクリル系粘着層の柔軟性の低下や接着力の低下が生じ、2以上の成型品を曲面で貼り合わせたときや成形歪みをキャンセルするときのZ方向追従性(換言すれば、90度クリベージ試験による割裂強度)が低下するという問題がある。
【0007】
また、このようなアクリル系粘着層を有する両面粘着テープに対しては、さまざまな被着体の材質や表面状態の相違に対応できるようにするために、支持体上にアクリル系粘着層を形成する際に、架橋剤が配合されていないアクリル系粘着層形成用樹脂組成物を使用することも想定されるが、そのような場合であっても、両面粘着テープに対しては良好なX−Y方向追従性と良好なZ方向追従性とを同時に示すことが求められている。
【0008】
また、両面粘着テープの基材としてポリエチレンフォーム基材を使用した場合には、前述したとおり、両面粘着テープのX−Y方向追従性を改善できるものの、粘着剤の応力緩和特性が不十分のためにZ方向追従性の改善が十分とは言い難いという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、上述した従来の問題を解決しようとするものであり、ポリエチレンフォーム基材の両面に紫外線照射により光硬化したアクリル系粘着層を有する両面粘着テープに対し、架橋剤非存在下でも良好なX−Y方向追従性やZ方向追従性を示すようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、アクリル系粘着層形成用の樹脂組成物を、相対的に高分子量のアクリル系ポリマーと低分子量のアクリル系ポリマーとの混合アクリル系ポリマーと、より低分子量の粘着性付与ポリマーとから構成し、しかも分子量分布を特定範囲に制御することにより、架橋剤非存在下で形成したアクリル系粘着層を有する両面粘着テープに良好なZ方向追従性を付与することができ、更にポリエチレンフォーム基材として電子線架橋処理されたものを使用することにより両面粘着テープに良好なX−Y方向追従性を付与することができることを見出した。更に、本発明者らは、そのような混合アクリル系ポリマーを調製するには、まず、光重合開始剤を含有するアクリル系モノマー組成物を光重合させて比較的高分子量のアクリル系ポリマーを含有するポリマーシロップを調製し、それにより低分子量の粘着性付与ポリマーを配合して成膜した後、膜中で残存する未反応のアクリル系モノマーを比較的低分子量のアクリル系ポリマーに光重合させ、分子量分布が比較的広いアクリル系粘着層とすることにより、上述の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
即ち、本発明は、ポリエチレンフォーム基材の両面にアクリル系粘着層が形成されてなる両面粘着テープであって、
該ポリエチレンフォーム基材が電子線架橋処理されたものであり、
該アクリル系粘着層が、アクリル系モノマーと光重合開始剤とを含有する無溶媒型光重合性モノマー組成物に紫外線を照射して当該アクリル系モノマーから光重合により形成された硬化樹脂組成物から形成されたものであり、
硬化樹脂組成物は、重量平均分子量2000〜10000の粘着性付与ポリマーと、架橋剤非存在下において光重合により得られる重量平均分子量が700000〜3000000のアクリル系ポリマーAと、架橋剤非存在下において光重合により得られる重量平均分子量が350000〜650000のアクリル系ポリマーBとを含有するものであり、
硬化樹脂組成物の、テトラヒドロフランを用いるゲルパーミエーションクロマト法により測定した分子量分布が2.4〜4.4であることを特徴とする両面粘着テープを提供する。
【0012】
また、本発明は、ポリエチレンフォーム基材の両面にアクリル系粘着層が形成されてなる両面粘着テープの製造方法であって、以下の工程(a)〜(e):
工程(a)
アクリル系モノマーと光重合開始剤とを含有する無溶媒型光重合性モノマー組成物に紫外線を照射して当該アクリル系モノマーから、架橋剤非存在下での光重合により重量平均分子量が700000〜3000000となるアクリル系ポリマーAを生成させ、それによりアクリル系ポリマーAと未反応アクリル系モノマーとを含有するポリマーシロップを調製する工程;
工程(b)
該ポリマーシロップに重量平均分子量2000〜10000の粘着性付与ポリマーを混合して粘着剤塗工液を調製する工程;
工程(c)
該粘着剤塗工液を剥離フィルム基材に塗布して粘着剤塗布膜を形成する工程;
工程(d)
該粘着剤塗布膜に紫外線を照射し、粘着剤塗布膜中の未反応アクリル系モノマーから、架橋剤非存在下での光重合により重量平均分子量が350000〜650000となるアクリル系ポリマーBを生成させることにより、アクリル系ポリマーA、アクリル系ポリマーB及び粘着性付与ポリマーを含有する硬化樹脂組成物からアクリル系粘着剤層を形成する工程(ここで、硬化樹脂組成物のうち、テトラヒドロフランに溶解する成分の分子量分布は2.4〜4.4である);及び
工程(e)
電子線架橋処理されたポリエチレンフォーム基材の両面のそれぞれに、剥離フィルム基材上のアクリル系粘着層をラミネートする工程
を有することを特徴とする製造方法を提供する。
【0013】
更に、本発明は、ポリエチレンフォーム基材の両面にアクリル系粘着層が形成されてなる両面粘着テープであって、
該ポリエチレンフォーム基材が電子線架橋処理されたものであり、
該アクリル系粘着層が、アクリル系モノマーと光重合開始剤とを含有する無溶媒型光重合性モノマー組成物に紫外線を照射して当該アクリル系モノマーから光重合により形成された硬化樹脂組成物から形成されたものであり、
硬化樹脂組成物は、重量平均分子量2000〜10000の粘着性付与ポリマーと、架橋剤非存在下において光重合により得られる重量平均分子量が700000〜3000000のアクリル系ポリマーAと、架橋剤非存在下において且つ粘着性付与ポリマーとアクリル系ポリマーAとの存在下において光重合により得られる重量平均分子量が350000〜650000のアクリル系ポリマーBとを含有するものであり、
硬化樹脂組成物の、テトラヒドロフランを用いるゲルパーミエーションクロマト法により測定した分子量分布が2.4〜4.4であることを特徴とする両面粘着テープを提供する。
【0014】
加えて、本発明は、ポリエチレンフォーム基材の両面にアクリル系粘着層が形成されてなる両面粘着テープであって、
該ポリエチレンフォーム基材が電子線架橋処理されたものであり、
該アクリル系粘着層が、アクリル系モノマーと光重合開始剤と架橋剤とを含有する無溶媒型光重合性モノマー組成物に紫外線を照射して当該アクリル系モノマーから光重合により形成された硬化樹脂組成物から形成されたものであり、
硬化樹脂組成物は、重量平均分子量2000〜10000の粘着性付与ポリマーと、架橋剤非存在下において光重合により得られる重量平均分子量が700000〜3000000のアクリル系ポリマーAと、架橋剤非存在下において且つ粘着性付与ポリマーとアクリル系ポリマーAとの存在下において光重合により得られる重量平均分子量が350000〜650000のアクリル系ポリマーBとを含有するものであり、
硬化樹脂組成物の、テトラヒドロフランを用いるゲルパーミエーションクロマト法により測定した分子量分布が2.4〜4.4であることを特徴とする両面粘着テープを提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の両面粘着テープにおいては、基材として電子線架橋処理されたポリエチレンフォーム基材を使用する。このため、架橋剤非存在下でアクリル系粘着層を形成した場合でも、両面粘着テープに良好なX−Y方向追従性を付与することができる。また、そのアクリル系粘着層を、アクリル系モノマーと光重合開始剤と架橋剤とを含有する無溶媒型光重合性モノマー組成物に紫外線を照射して当該アクリル系モノマーから光重合により形成された硬化樹脂組成物であって、架橋剤非存在下での光重合により得られる重量平均分子量が700000〜3000000の高分子量のアクリル系ポリマーAと、架橋剤非存在下での光重合により得られる重量平均分子量が350000〜650000の低分子量のアクリル系ポリマーBとの混合アクリル系ポリマーに、更に重量平均分子量が2000〜10000の非常に低分子量の粘着性付与ポリマーを配合した硬化樹脂組成物から構成し、しかも、硬化樹脂組成物の、テトラヒドロフランを用いるゲルパーミエーションクロマト法により測定した分子量分布を特定の範囲に制御している。このため、架橋剤非存在下でアクリル系粘着層を形成した場合でも、両面粘着テープに良好なZ方向追従性を付与することができる。
【0016】
また、本発明の両面粘着テープの製造方法においては、アクリル系モノマーと光重合開始剤を含有するアクリル系モノマー組成物に紫外線を照射して当該アクリル系モノマーから、架橋剤非存在下での光重合により得られる重量平均分子量が700000〜3000000のアクリル系ポリマーAを含有するポリマーシロップを調製し、それに重量平均分子量が2000〜10000の粘着性付与ポリマーを配合して成膜した後、膜に紫外線を照射し、残存する未反応のアクリル系モノマーから、架橋剤非存在下での光重合により得られる重量平均分子量350000〜650000のアクリル系ポリマーBを生成させ、分子量分布が比較的広いアクリル系粘着層とする。そして、このアクリル系粘着層を、電子線架橋処理されたポリエチレンフォーム基材の両面に配する。このため、得られる両面粘着テープに対し、架橋剤非存在下でも良好なX−Y方向追従性とZ方向追従性とを付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の両面粘着テープは、電子線架橋処理されたポリエチレンフォーム基材の両面にアクリル系粘着層が形成されてなる両面粘着テープである。
【0018】
本発明の両面粘着テープを構成するアクリル系粘着層は、アクリル系モノマーと光重合開始剤とを含有する無溶媒型光重合性モノマー組成物に紫外線を照射して当該アクリル系モノマーから光重合により形成された硬化樹脂組成物から形成されたものである。この硬化樹脂組成物は、架橋剤非存在下において光重合により得られる重量平均分子量が700000〜3000000、好ましくは750000〜1000000となるアクリル系ポリマーAと、架橋剤非存在下において光重合により得られる重量平均分子量が350000〜650000、好ましくは450000〜650000となるアクリル系ポリマーBと、更に重量平均分子量2000〜10000、好ましくは3000〜8000の粘着性付与ポリマーとを含有する。そして、この硬化樹脂組成物の、テトラヒドロフランを用いるゲルパーミエーションクロマト法により測定した分子量分布は、2.4〜4.4、好ましくは2.7〜3.5である。なお、本明細書において、重量平均分子量の数値もゲルパーミエーションクロマト法で測定したものである。
【0019】
なお、硬化樹脂組成物の組成に関し、その好ましい調製過程の観点を加味すると、以下のように定義される。即ち、硬化樹脂組成物は、重量平均分子量2000〜10000の粘着性付与ポリマーと、架橋剤非存在下において光重合により得られる重量平均分子量が700000〜3000000のアクリル系ポリマーAと、架橋剤非存在下において且つ粘着性付与ポリマーとアクリル系ポリマーAとの存在下において光重合により得られる重量平均分子量が350000〜650000のアクリル系ポリマーBとを含有するものであり、硬化樹脂組成物の、テトラヒドロフランを用いるゲルパーミエーションクロマト法により測定した分子量分布が2.4〜4.4である。
【0020】
アクリル系粘着層を構成するアクリル系ポリマーAの重量平均分子量は、前述したように700000〜3000000であるが、これはこの範囲を下回ると両面粘着テープの保持力が低下し、超えると定荷重剥離特性が低下する蓋然性が高くなるからである。なお、選択するアクリル系モノマーによっては、そのような蓋然性を考慮する必要がない場合も希にあるが、後述するように、無溶媒型光重合性モノマー組成物に架橋剤を含有させた場合には、本発明を特徴づける分子量分布を実現し易くなるため、そのような蓋然性を考慮した上で、アクリル系ポリマーAの重量平均分子量を700000〜3000000の範囲内に調整する。
【0021】
他方、アクリル系粘着層を構成するアクリル系ポリマーBの重量平均分子量は、前述したように350000〜650000であるが、これはこの範囲を下回ると両面粘着テープの曲面接着性が低下し、超えると定荷重剥離特性が低下する蓋然性が高くなるからである。
【0022】
なお、アクリル系ポリマーBの分子量は、それ単独を測定することが困難であるため、アクリル系ポリマーA及び後述する粘着性付与ポリマーの存在下で後述するようなアクリル系モノマーを重合させて得たアクリル系粘着層全体の分子量から、アクリル系ポリマーA及び粘着性付与ポリマーが寄与している部分を差し引いて求めることができる。具体的には、例えば、テトラヒドロフランを用いるゲルパーミエーションクロマト法により測定したアクリル系粘着層全体の重量平均分子量がWt、アクリル系ポリマーAの重量平均分子量がWa、粘着性付与ポリマーの重量平均分子量がWcである場合に、アクリル系ポリマーBの重量平均分子量Wbは、WtからWaとWcとを減じることにより求めることができる。また、Wc<<Wt,Waである場合、Wbの算出に際しWcを考慮対象から外すことができる。
【0023】
また、アクリル系粘着層の分子量分布、即ち、主としてアクリル系ポリマーAと粘着性付与ポリマーとアクリル系ポリマーBとからなる硬化樹脂組成物の、テトラヒドロフランを用いるゲルパーミエーションクロマト法により測定した分子量分布は、架橋剤の非存在下で形成された場合に2.4〜4.4であるが、この範囲を下回ると両面粘着テープの定荷重剥離特性が低下する傾向があり、超えると凝集力が高くなりすぎてタックが低下する蓋然性が高まるからである。
【0024】
アクリル系ポリマーA並びにアクリル系ポリマーBを形成するための無溶媒型光重合性モノマー組成物を構成するアクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル((メタ)アクリレート)と(メタ)アクリル酸とが挙げられる。ここで、“(メタ)アクリル酸”は、“アクリル酸”と“メタクリル酸”とを包含する意味である。同様に、“(メタ)アクリレート”とは、“アクリレート”と“メタクリレート”とを包含する意味である。
【0025】
好ましいアクリル系モノマーである(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−又はiso−プロピル(メタ)アクリレート、n−、iso−又はtert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸直鎖又は分岐アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;アリル(メタ)アクリレート等のアルケニル(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート等のアリール(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート等のアラルキル(メタ)アクリレート;フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のアリールオキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらにはヒドロキシル基、アルコキシル基等の置換基が結合していてもよい。
【0026】
好ましいアクリル系モノマーとしては、ヒドロキシ基で置換してもよいアルキル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸とを併用する。より具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、アクリル酸及び2−ヒドロキシエチルアクリレートを併用することが好ましい。この場合の相互の配合量に関し、2−エチルヘキシルアクリレートの配合割合が多すぎると両面粘着テープの180度剥離強度は高くなるが、定荷重剥離特性が低下する傾向があるので、2−エチルヘキシルアクリレートとブチルアクリレートの合計100質量部中に、2−エチルヘキシルアクリレートの割合が好ましくは25〜35質量部であり、他方、ブチルアクリレートの割合が、好ましくは75〜65質量部である。アクリル酸の配合割合は、少なすぎると両面粘着テープの保持力が低下し、多すぎると非極性樹脂への接着力が低下する傾向があるので、2−エチルヘキシルアクリレートとブチルアクリレートの合計100質量部に対し、好ましくは1〜10質量部、より好ましくは3〜5質量部であり、そして2−ヒドロキシエチルアクリレートの配合割合は、架橋剤を必要とした場合、少なすぎると架橋密度が下がり、保持力が低下する傾向があるので、好ましくは0.2〜0.5質量部である。
【0027】
本発明で使用する無溶媒型光重合性モノマー組成物には、生成するポリマーの重量平均分子量を調整するために、公知の連鎖移動剤を配合することができる。このような連鎖移動剤としてチオール、好ましくはアルキルチオール、特に好ましくはn−ドデシルメルカプタンを挙げることができる。連鎖移動剤の無溶媒型光重合性モノマー組成物への配合量は、総開始剤量1に対し、好ましくは1〜0.16である。
【0028】
無溶媒型光重合性モノマー組成物を構成する光重合開始剤としては、一般的なラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができ、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン[DC(ダロキュア)2959、チバガイギー社]、α−ヒドロキシ−α,α′−ジメチルアセトフェノン[DC1173、チバガイギー社]、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトン[IRG(イルガキュア)651、チバガイギー社]、2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン[IRG−184、チバガイギー社]などのアセトフェノン系光重合開始剤;ベンジルジメチルケタールなどのケタール系光重合開始剤;その他のハロゲン化ケトン、アシルフォスフィノキシド(例えば、ビス(2,4,6―トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド[IRG819、チバガイギー社])、アシルフォスファナートなどの光重合開始剤を挙げることができる。
【0029】
光重合開始剤の無溶媒型光重合性モノマー組成物における配合量は、少なすぎると重合反応が進まなくなり、多すぎると重合反応によって得られるポリマーの分子量が低くなる傾向があるので、アクリル系モノマー100質量部に対し、好ましくは0.005〜0.1質量部である。
【0030】
また、本発明において、アクリル系粘着層を構成する粘着性付与ポリマーの重量平均分子量を2000〜10000としたのは、この範囲を下回ると両面粘着テープの保持力が低下する傾向があり、超えると粘着性付与ポリマーのアクリル系ポリマーA及びBに対する相溶性が低下し、安定した接着力が得られなくなる傾向があるからである。
【0031】
このような粘着性付与ポリマーとしては、公知の粘着性付与ポリマーを使用することができ、中でも、併用されるアクリル系ポリマーA及びBに対する相溶性の観点からアクリル系粘着性付与ポリマーを好ましく使用することができる。アクリル系粘着性付与ポリマーとしては、シクロアルキル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と光重合開始剤とチオールなどの連鎖移動剤、好ましくはアルキルチオールとを光重合させたものが好ましく挙げられる。具体的には、シクロヘキシルメタクリレートとメタクリル酸とn−ドデシルメルカプタン(連鎖移動剤)と光重合開始剤とを光重合させたものである。この場合の相互の配合量に関し、シクロヘキシルメタクリレートの配合割合が少なすぎると両面粘着テープの非極性樹脂への接着力が低下し、多すぎると粘着性付与ポリマーのアクリル系ポリマーA、Bに対する相溶性が低下する傾向があることを前提に、シクロヘキシルメタクリレートの好ましい配合量を95〜97質量部としたときに、メタクリル酸の配合割合が少なすぎると粘着性付与ポリマーのアクリル系ポリマーA、Bに対する相溶性が低下し、多すぎるとメタクリル酸が選択的に反応し、ゲル化する傾向があるので、好ましくは3〜5質量部である。n−ドデシルメルカプタンの配合割合は、少なすぎると粘着性付与ポリマーの分子量が過度に高くなり、多すぎると過度に低くなる傾向があるので、好ましくは3〜6質量部である。工程(a)において説明したような光重合開始剤の配合割合は、少なすぎると重合反応が進まなくなり、多すぎると粘着性付与ポリマーの分子量が低くなる傾向があるので、モノマーの合計100重量部に対し、好ましくは0.25〜0.5質量部である。
【0032】
このような粘着性付与ポリマーの配合量は、少なすぎると表面エネルギーの低い樹脂に両面粘着テープが接着し難くなり、多すぎるとその保持力が低下する傾向があるので、モノマーの合計100質量部に対し、好ましくは10〜30質量部である。
【0033】
本発明の両面粘着テープを構成する無溶媒型光重合性モノマー組成物は、両面粘着テープの保持力改善のために、紫外線の照射による光重合時に架橋反応を生じさせることに寄与する架橋剤を含有してもよい。
【0034】
従って、架橋剤を含有する場合のアクリル系粘着層は、アクリル系モノマーと光重合開始剤と架橋剤とを含有する無溶媒型光重合性モノマー組成物に紫外線を照射して当該アクリル系モノマーから光重合により形成された硬化樹脂組成物から形成されたものである。ここで、硬化樹脂組成物は、重量平均分子量2000〜10000の粘着性付与ポリマーと、架橋剤非存在下において光重合により得られる重量平均分子量が700000〜3000000のアクリル系ポリマーAと、架橋剤非存在下において且つ粘着性付与ポリマーとアクリル系ポリマーAとの存在下において光重合により得られる重量平均分子量が350000〜650000のアクリル系ポリマーBとを含有するものであり、硬化樹脂組成物の、テトラヒドロフランを用いるゲルパーミエーションクロマト法により測定した分子量分布は2.4〜4.4である。
【0035】
ただし、アクリル系ポリマーAの分子量が1000000を超える場合、架橋剤の使用は、アクリル系粘着層の凝集力を高くし、逆に定荷重剥離特性を低下させてしまうため、アクリル系ポリマーAの分子量が700000〜1000000の範囲で架橋剤を併用することが望ましい。
【0036】
架橋剤としては、エポキシ基を有する化合物(多官能エポキシ化合物)、イソシアネート基を有する化合物(多官能イソシアネート化合物)を挙げることができる。具体的には、エポキシ基を有する化合物としては、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂;エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンおよび1,3−ビス(N,N′−ジアミングリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等のエポキシ化合物;トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等のイソシアネート化合物、およびこれらのトリメチロールプロパンなどのポリオールとのアダクト体等を挙げることができる。
【0037】
架橋剤を使用する場合、無溶媒型光重合性モノマー組成物における配合量は、少なすぎるとアクリル系モノマーの重合反応が進まなくなり、多すぎると重合反応によって得られるポリマーの分子量が低くなる傾向があるので、アクリル系モノマー100質量部に対し、好ましくは0.005〜0.1質量部である。
【0038】
本発明の両面接着テープにおいては、アクリル系粘着層の支持体として、電子線架橋処理されたポリエチレンフォーム基材を使用する。電子線架橋処理されたポリエチレンフォーム基材を使用する理由は、ポリエチレンフォーム基材がクリープ現象の生じにくい材料であり、しかも電子線架橋処理されていることにより、アクリル系粘着層に架橋剤が使用されていなくても、両面粘着テープに良好なX−Y方向追従性を付与できるからである。
【0039】
ポリエチレンフォーム基材のフォームの状態は、良好な柔軟性と復元力(反発力)とを実現する点から独立気泡であることが好ましく、気泡の大きさは、小さすぎると柔軟性が低下する傾向があり、大きすぎると復元力が低下する傾向があるので、好ましくは10〜300μm、より好ましくは30〜300μmである。また、ポリエチレンフォーム基材の密度は、低すぎると厚み変化が大きくなる傾向があり、高すぎると柔軟性が低下する傾向があるので、好ましくは0.01〜0.4g/cm、より好ましくは0.03〜0.25g/cmである。
【0040】
なお、ポリエチレンフォーム基材の電子線架橋処理に関し、架橋処理のレベルが低過ぎると復元力が低下する傾向があり、高過ぎると柔軟性が低下する傾向があるので、好ましくは1.0〜5.0Mrad、より好ましくは1.7〜3.4Mradである。
【0041】
このようなポリエチレンフォーム基材の厚みは、薄すぎると圧縮力が低下する傾向があり、厚すぎると復元力が低下する傾向があるので、好ましくは0.1〜5.0mm、より好ましくは0.3〜5.0mmである。
【0042】
本発明の両面粘着テープは、以下の工程(a)〜(e)を有する製造方法により製造することができる。以下、工程毎に説明する。
【0043】
<工程(a)>
この工程は、ポリマーシロップを調製する工程であり、具体的には、アクリル系モノマーと光重合開始剤とを含有する無溶媒型光重合性モノマー組成物に紫外線を照射して当該アクリル系モノマーから、架橋剤非存在下での光重合により重量平均分子量が700000〜3000000となるアクリル系ポリマーAを生成させ、それによりアクリル系ポリマーAと未反応アクリル系モノマーとを含有するポリマーシロップを調製する。
【0044】
この工程で調製する目的物であるポリマーシロップは、架橋剤非存在下で調製した場合に重量平均分子量が700000〜3000000、好ましくは750000〜1000000のアクリル系ポリマーAと未反応アクリル系モノマーとを含有するものである。また、架橋剤存在下で調製した場合、アクリル系ポリマーAの好ましい重量平均分子量は750000〜1000000となる。
【0045】
ポリマーシロップの粘度(25℃)(B型粘度計、ローターNo.2、25℃)は、低すぎると工程(d)で粘着剤塗布膜の厚みを維持することが困難となり、高すぎると空気を巻き込みやすくなり酸素の影響で反応阻害が起こる傾向があるので、好ましくは200〜5000cps、より好ましくは800〜2000cpsである。
【0046】
ポリマーシロップにおけるアクリル系ポリマーAと未反応アクリル系モノマーとの存在割合は、工程(d)における適した塗工粘度のために、ポリマーシロップを調製するための無溶媒型光重合性モノマー組成物の重合率という観点に置き換えることができ、その重合率が好ましくは5〜25%、より好ましくは10〜15%となるような割合である。これは、重合率が低すぎると両面粘着テープの保持力と曲面接着性とが低下する傾向があり、高すぎると工程(d)で生成するアクリル系ポリマーBが減少することによって両面粘着テープの定荷重剥離特性が低下する傾向があるからである。ここで、重合率の算出は次のように行う。即ち、ポリマーシロップを0.5g秤量し、それを660Paに減圧した容器に投入し、120℃で2時間放置して揮発分を揮発させ、再度精秤して重量減少量を求めた。この重量減少量を残存モノマー及びオリゴマーの存在量としてみなし、次式により重合率を求めることができる。
【0047】
【数1】

【0048】
本工程(a)においては、撹拌しながら無溶媒型光重合性モノマー組成物に紫外線を照射し、光重合反応を行うが、その好ましい紫外線照射条件は以下のとおりである。
【0049】
1) 光重合反応時の酸素による連鎖移動停止反応を防止するために、窒素やアルゴンガス気流中などの不活性ガス雰囲気下で光重合反応を行う。
2) 光重合反応時の温度は、適度な反応速度と副反応の発生を抑制するために、好ましくは25〜130℃、より好ましく40〜120℃である。
3) 紫外線の波長は、この種の光重合時に使用されている光源(捕虫用ランプ、高圧水銀灯、ブラックライト等)からの250〜400nmの光を使用する。
4) 紫外線の出力は、適度な反応速度と副反応の発生を抑制するために、好ましくは15〜100mW/cmである。
5) 紫外線照射操作は、ポリマーシロップを適度な固形分、粘度、分子量に調製するために断続的に行うことが好ましい。その際、紫外線照射時間が短すぎると必要なエネルギーが足りず反応が進行せず、長すぎると加速度的に反応が進むので、好ましくは10〜60秒であり、所定の間隔(20〜40秒のアイドリング時間)を置いて好ましくは5〜20回程度行う。ここで、紫外線照射を連続的ではなく、断続的に行う理由は、重合反応温度の過度の上昇を防ぐためである。また、好ましいアイドリング時間を20〜40秒としたのは、短すぎると重合反応温度の過度の上昇を防止できず、長すぎると所定の重合反応温度を維持できなくなる傾向があるからである。更に、照射回数を好ましくは5〜20回程度としたのは、少なすぎても多すぎても適度な固形分、粘度、分子量のポリマーシロップが得られないためである。
【0050】
<工程(b)>
この工程は、工程(a)で取得したポリマーシロップから粘着剤塗工液を調製する工程であり、具体的には、該ポリマーシロップに重量平均分子量2000〜10000、好ましくは3000〜8000の粘着性付与ポリマーを混合して粘着剤塗工液を調製する。
【0051】
粘着剤塗工液の粘度(25℃)(B型粘度計、ローターNo.2、25℃)は、低すぎると工程(d)で粘着剤塗布膜の厚みを維持することが困難となり、高すぎると空気を巻き込みやすくなり酸素の影響で反応阻害が起こる傾向があるので、好ましくは200〜5000cps、より好ましくは800〜2000cpsである。
【0052】
本工程(b)で使用する粘着性付与ポリマーを調製する際の光重合反応の好ましい紫外線照射条件は、工程(a)における光重合反応の場合と同一でも相違していてもよいが、代表的には以下のとおりである。
【0053】
1) 光重合反応時の酸素による連鎖移動停止反応を防止するために、窒素やアルゴンガス気流中などの不活性ガス雰囲気下で光重合反応を行う。
2) 光重合反応時の温度は、適度な反応速度と副反応の発生を抑制するために、好ましくは25〜130℃、より好ましく40〜120℃である。
3) 紫外線の波長は、この種の光重合時に使用されている光源(捕虫用ランプ、高圧水銀灯、ブラックライト等)からの250〜400nmの光を使用する。
4) 紫外線の出力は、適度な反応速度と副反応の発生を抑制するために、好ましくは15〜100mW/cmである。
5) なお、紫外線照射操作を、必要に応じ、低出力で比較的長時間の照射と、高出力で比較的短時間の照射に分けて行うことができる。
【0054】
<工程(c)>
この工程は、粘着剤塗布膜を形成する工程であり、具体的には工程(b)で取得した粘着剤塗工液を剥離フィルム基材に塗布して粘着剤塗布膜を形成する。
【0055】
粘着剤塗工液の剥離フィルム基材への塗布は、ドクタブレードコータ、コンマコータ等の公知の装置を用いて行うことができる。
【0056】
粘着剤塗布膜の厚みとしては、厚すぎると紫外線が深部まで到達せず硬化不良となる傾向があるので、好ましくは1.5mm未満、より好ましくは1.2mm未満である。なお、厚みの下限は、両面粘着テープの使用目的に応じて適宜決定することができるが通常、0.015〜0.02mmである。
【0057】
剥離フィルム基材としては、従来のアクリル系粘着テープに使用されているような剥離フィルム基材を使用することができる。例えば、シリコーン剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルムを好ましく挙げることができる。剥離フィルム基材は、両面粘着テープの使用に際し、除去されるものである。
【0058】
なお、剥離フィルム基材上に粘着剤塗工液を塗布したのち、別の剥離フィルム基材で覆い、ロール掛けして厚みを調整してもよい。この場合には、剥離フィルム基材が紫外線透過性であることが必要となる。
【0059】
<工程(d)>
この工程は、工程(c)で形成した粘着剤塗布膜からアクリル系粘着層を形成する工程であり、具体的には、粘着剤塗布膜に紫外線を照射し、粘着剤塗布膜中の未反応アクリル系モノマーから、架橋剤非存在下での光重合により重量平均分子量が350000〜650000となるアクリル系ポリマーBを生成させることにより、アクリル系ポリマーA、アクリル系ポリマーB及び粘着性付与ポリマーを含有する硬化樹脂組成物からアクリル系粘着剤層を形成する。ここで、硬化樹脂組成物の、テトラヒドロフランを用いるゲルパーミエーションクロマト法により測定した分子量分布は2.4〜4.4である。これにより、剥離フィルム基材上にアクリル系粘着層が形成されてなる転写テープが得られる。
【0060】
本工程で調製されるアクリル系ポリマーBの重量平均分子量が、前述したように350000〜650000、好ましくは450000〜650000となるのは以下のように考えられる。即ち、この工程においては、重合の進行と共に反応系の粘度が高くなり、分子の移動が非常に制限され、未反応アクリル系モノマーが重合してもアクリル系ポリマーAのような大きな重量平均分子量にならないと考えられる。
【0061】
この工程において、“硬化樹脂組成物の・・・分子量分布が2.4〜4.4”という意味は、アクリル系粘着層を構成する硬化樹脂組成物、即ち、主としてアクリル系ポリマーAと粘着性付与ポリマーとアクリル系ポリマーBとからなる硬化樹脂組成物の分子量分布が2.4〜4.4という意味である。
【0062】
また、分子量分布を2.4〜4.4としたのは、この範囲を下回ると両面粘着テープの定荷重剥離特性が低下し、超えると凝集力が高くなりすぎてタックが低下する蓋然性が高まるからである。
【0063】
本工程(d)における光重合反応の好ましい紫外線照射条件は、工程(a)や工程(b)の場合と異なり、重合度を80%以上にするために断続的ではなく連続的に紫外線照射を行う。代表的には以下のとおりである。
1) 光重合反応時の酸素による連鎖移動停止反応を防止するために、窒素やアルゴンガス気流中などの不活性ガス雰囲気下で光重合反応を行う。または、片面剥離処理したPET等の高分子フィルムからなる透明な剥離シートをかぶせて空気中の酸素を遮断したのち光重合反応を行う。
2) 光重合反応時の温度は、適度な反応速度と副反応の発生を抑制するために、好ましくは40〜90℃である。
3) 紫外線の波長は、この種の光重合時に使用されている光源(捕虫用ランプ、高圧水銀灯、ブラックライト等)からの250〜400nmの光を使用する。
4) 紫外線の出力は、小適度な反応速度と副反応の発生を抑制するために、好ましくは15〜100mW/cmである。
5) 紫外線照射時間は、短すぎると必要なエネルギーが足りず意図した反応が進行せず、長すぎると加速度的に反応が進むので、好ましくは10〜60秒である。
【0064】
<工程(e)>
次に、2つの転写テープを用意し、電子線架橋処理されたポリエチレンフォーム基材の両面のそれぞれに、転写テープのアクリル系粘着層を貼り付け、ローラーなどで圧着することでラミネートする。これにより、本発明の両面粘着テープを得ることができる。
【0065】
以上、本発明の製造方法について、架橋剤を併用しない例を説明したが、本発明においては、以上説明したような工程(c)で使用する粘着剤塗工液に、保持力改善のために架橋剤を配合してもよい。架橋剤の配合は、工程(b)で行ってもよく、工程(c)で配合してもよい。
【0066】
ただし、アクリル系ポリマーAの分子量が1000000を超える場合、架橋剤を併用することによって凝集力が高くなり、逆に定荷重剥離特性が低下してしまうため、アクリル系ポリマーAの分子量が700000〜1000000の範囲で架橋剤を使用することが望ましい。
【0067】
架橋剤としては、エポキシ基を有する化合物(多官能エポキシ化合物)、イソシアネート基を有する化合物(多官能イソシアネート化合物)を挙げることができる。具体的には、エポキシ基を有する化合物としては、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂;エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンおよび1,3−ビス(N,N′−ジアミングリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等のエポキシ化合物;トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等のイソシアネート化合物、およびこれらのトリメチロールプロパンなどのポリオールとのアダクト体等を挙げることができる。
【0068】
架橋剤を用いた場合、粘着剤塗工液中におけるその配合割合は、少なすぎると両面粘着テープの保持力が低下し、多すぎるとタック性が低下する傾向があるので、ポリマーシロップと粘着性付与ポリマーの合計100質量部に対し、好ましくは0.5〜3質量部、より好ましくは1.0〜2.0質量部である。
【0069】
なお、架橋剤存在下で形成されたアクリル系粘着層の分子量分布は、架橋剤非存在下で形成されたアクリル系粘着剤の分子量分布(2.4〜4.4)とほぼ一致する場合があるが、架橋剤による架橋反応が生じているため一致しない場合もある。例えば、分子量分布が2.2〜2.8、好ましくは2.4〜2.7と狭くなる場合がある。
【0070】
また、粘着剤塗工液には、本発明の効果を損なわない範囲で、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、クレー、タルク、酸化チタンなどの無機物、ガラスバルーン、シラスバルーン、セラミックバルーンなどの無機中空体、ナイロンビーズ、アクリルビーズ、シリコンビーズなどの有機物、塩化ビニリデンバルーン、アクリルバルーンなどの有機中空体等の充填剤;発泡剤;染料;顔料;重合禁止剤;安定剤等の一般的な粘着剤に配合されるような添加剤を配合してもよい。
【0071】
以上説明した本発明の両面粘着テープは、従来の両面粘着テープと同様に使用することができ、例えば、両面粘着テープの片面のアクリル系粘着層を被着体に接着させ、反対面の剥離フィルム基材を剥離し、露出したアクリル系粘着層に対し、別の被着体を接着することにより、二つの被着体を一体化することができる。
【実施例】
【0072】
以下、発明を実施例により具体的に説明する。
【0073】
参考例1〜6(ポリマーシロップの調製)
表1の配合の混合物を、窒素ガス導入管と撹拌装置と温度形とを備えた2L反応容器に仕込み、窒素ガスを流通(窒素流量300ml、窒素置換時間60分)させながら、混合物を撹拌(150rpm)しながら、混合物を表1の重合開始温度まで加熱し、紫外線(365nm)を出力40mW/cmで10秒間照射し、40秒間(アイドリング時間)放置し、この照射・放置のサイクルを表1に記載の回数を行った。それにより、表1に示す粘度、重合率、重量平均分子量、分子量分布のポリマーシロップを得た。この得られた重量平均分子量がアクリル系ポリマーAに相当する。
【0074】
なお、粘度は、25℃で、ローターNo.2を備えたB型粘度計(東京計器社製)を用いて測定した。
【0075】
重合率は、ポリマーシロップを0.5g秤量し、それを660Paに減圧した容器に投入し、120℃で2時間放置して揮発分を揮発させ、再度精秤して重量減少量を求めた。この重量減少量を残存モノマー及びオリゴマーの存在量としてみなし、次式により重合率を求めた。
【0076】
【数2】

【0077】
重量平均分子量及び分子量分布は、展開溶媒としてテトラヒドロフランを使用するゲルパーミエーションクロマト法(Shodex GPC SYSTEM−21、昭和電工(株))により求めた。
【0078】
【表1】

【0079】
参考例7(粘着性付与ポリマーの調製)
シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)5820g、メタクリル酸180g、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(DC1173、チバガイギー社)20g及びn−ドデシルメルカプタン240gを、窒素ガス導入管と撹拌装置と温度形とを備えた2L反応容器に仕込み、窒素ガスを流通(窒素流量6L、窒素置換時間30分)させながら、反応混合物を撹拌(200rpm)して60.0℃に加温し、紫外線(365nm)を出力40mW/cmで30分間照射し、反応混合物の上昇した温度が70.0℃になるまで約10分間放置し、この照射、放置のサイクルを3回繰り返すことにより粘着性付与ポリマー溶液を得た。得られた粘着性付与ポリマー溶液500gをステンレス製の容器に移し、アイグラフィックス製、コンベア式UV照射機ECS−151Uを用いて紫外線(365nm)を出力90mW/cmで3分間照射した。それにより重量平均分子量7153の粘着性付与ポリマーを得た。
【0080】
実施例1〜4及び比較例1、2(架橋剤非存在下での両面粘着テープの製造)
参考例1〜6(R1〜R6)のいずれのポリマーシロップ100g、参考例7の粘着性付与ポリマー20g、t−ブチルアクリレート6.67g、フェノキシエチルアクリレート6.67g、更に、光重合開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンとビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシドの4:1(重量比)の混合物)0.53gとを均一に混合することにより架橋剤を含有しないアクリル系粘着剤塗工液を調製した。
【0081】
得られた、架橋剤を含有しないアクリル系粘着剤塗工液を、シリコーン剥離処理された50μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムに厚さ50μmとなるように粘着剤を用いて塗布し、更にその上に、シリコーン剥離処理された50μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムを重ね、0.05mmの間隙が保持された一対のロール間をラインスピード5m/分で通過させ、通過後に捕虫用蛍光ランプから紫外線(主波長352nm)を出力2.0mW/cmで60秒間照射し、更に、高圧水銀灯から紫外線(主波長365nm)を出力35.5mW/cmで30秒間照射することにより、転写層として光重合させて得たアクリル系粘着層が剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムで挟持されてなる転写テープを得た。
【0082】
次に、電子線架橋処理された0.3mm厚のポリエチレンフォーム基材(ボラーラXL−H、積水化学工業(株))を用意し、2つの転写テープのそれぞれの片面の剥離フィルムを取り除き、一方の転写フィルムのアクリル系粘着層をポリエチレンフォーム基材の片面にラミネートし、他方の転写フィルムのアクリル系粘着層をポリエチレンフォーム基材の他面にラミネートした。ラミネートは、200g/cm、65℃という条件で行った。これにより、架橋剤非存在下で形成されたアクリル系粘着層を有する両面粘着テープを得た。
【0083】
(架橋剤を含有しないアクリル系粘着層を有する両面粘着テープの評価)
得られた両面粘着テープについて、アクリル系粘着層の重量平均分子量(粘着剤可溶分分子量)及び分子量分布を、展開溶媒としてテトラヒドロフランを使用するゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置(Shodex GPC SYSTEM−21、昭和電工(株)製)を使用して測定し、測定結果からアクリル系ポリマーBの重量平均分子量を算出した。得られた結果を表2に示す。ここで、粘着剤可溶分とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置での分析の際に展開溶媒テトラヒドロフランで溶出され得る成分を意味する。
【0084】
また、架橋剤を含有しないアクリル系粘着層を有する両面粘着テープのZ方向追従性を評価するために90度剥離強度を以下に説明するように測定した。得られた結果を表2に示す。なお、剥離強度が高い程、Z方向追従性が良好であることを意味する。
【0085】
<90度クリベージ試験>
10mm幅、50mm長さの粘着テープを、有機印刷塗装が施されたアクリル板(3.0mm厚、50mm角)の一辺に沿って仮貼りし、剥離フィルムを引き剥がし、ABS板(3.0mm厚、50mm角)を粘着テープの面積分だけ一辺に沿って重なるように、2kg圧着ロールを一往復して貼り合わせる。重なったアクリル板が上になるように、ABS板をクランプで固定し、アクリル板の端部にL字のフックを掛けて90度方向に、300mm/分の速度で引っ張ったときの剥離強度(N/500mm)を、引張試験機(テンシロンRTA−250、オリエンテック(株)製)で測定した。剥離強度の数値は大きいほど好ましい。
【0086】
また、架橋剤を含有しないアクリル系粘着層を有する両面粘着テープのX−Y方向追従性を評価するために曲面接着性を以下に説明するように測定した。得られた結果を表2に示す。なお、アルミニウムプレートのような被接着体に対する浮きが小さい程、X−Y方向追従性が良好であることを意味する。実用上も浮きがないことが望まれる。
【0087】
<曲面接着性>
20mm幅、150mm長さの粘着テープを、アルミニウムプレート(0.5mm厚み、20mm幅、150mm長)に仮貼りして剥離フィルムを引き剥がし、2mm厚のポリスチレンプレート又はABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー)プレート(各25mm幅、200mm長)の中央領域に、プレートの両端それぞれに25mmほど余して、自重2kgの圧着ロールを一往復することでアルミニウムプレートを接着した。これを室温で24時間養生した後、アルミニウムプレートを表にして、両端部間隔が190mmとなるように湾曲させ、その状態を維持したまま60℃の恒温層中で24時間放置し、ポリスチレンプレート又はABSプレート表面と、それから浮き上がったアルミニウムプレートの端部との間の距離(剥離距離)を測定した。剥離距離は短いほど好ましい。
【0088】
実施例5〜8及び比較例3、4(架橋剤存在下での両面粘着テープの製造)
参考例1〜6(R1〜R6)のいずれのポリマーシロップ100g、参考例7の粘着性付与ポリマー20g、t−ブチルアクリレート6.67g、フェノキシエチルアクリレート6.67g、更に、光重合開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンとビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシドの4:1混合物(重量比))0.53g、ポリイソシアネート系架橋剤(コロネートL、日本ポリウレタン工業(株))1.78gとを均一に混合することにより、架橋剤を含有する紫外線硬化型のアクリル系粘着剤塗工液を調製した。
【0089】
得られた紫外線硬化型のアクリル系粘着剤塗工液を使用し、実施例1と同様に、転写層として、光重合させて得たアクリル系粘着層が、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムで挟持されてなる転写テープを得、更に、電子線架橋処理されたポリエチレンフォーム基材の両面に、転写テープのアクリル系粘着層を転写させることにより、架橋剤存在下で形成されたアクリル系粘着剤層を両面に有する両面粘着テープを得た。
【0090】
(架橋硬化したアクリル系粘着剤層を有する両面粘着テープの評価)
得られた両面粘着テープについて、実施例1と同様に、アクリル系粘着層の重量平均分子量及び分子量分布を測定した。また、実施例1と同様に、両面粘着テープのZ方向追従性を評価するために90度クリベージ試験を行い、また、両面粘着テープのX−Y方向追従性を評価するために曲面接着性を試験評価した。得られた結果を表3に示す。実用上50N/500mm以上であることが望まれる。
【0091】
【表2】

【0092】
【表3】

【0093】
<評価結果>
(X−Y方向追従性)
実施例1〜8の両面粘着テープは、いずれも基材として、電子線架橋処理したポリエチレンフォーム基材を使用し、使用したポリマーシロップ(アクリル系ポリマーAに相当)の重量平均分子量が700000〜3000000の範囲内であり、また、実施例1〜4の両面粘着テープは、架橋剤非存在下で形成されたアクリル系粘着層(粘着剤可溶分(アクリル系ポリマーBに相当))の分子量分布が2.4〜4.4の間にあり、粘着層が架橋剤存在下で形成されていること以外は、実施例1〜4と同様の構成を有する実施例5〜8の両面粘着テープも、分子量分布が2.4〜2.7の間にあるので、良好なX−Y方向追従性を示した。
【0094】
他方、架橋剤非存在下で作成した比較例1の両面粘着テープは、使用したポリマーシロップの重量平均分子量が700000を大きく下回っており、しかも、アクリル系粘着層の分子量分布が2.4を下回る2.2となっているため、架橋剤非存在下の実施例1〜4の両面粘着テープに比べてX−Y方向追従性が、大きく低下していた。また、比較例2の場合、アクリル系粘着層の分子量分布が2.4であったが、使用したポリマーシロップの重量平均分子量が700000を大きく下回っていたので、比較例1よりはX−Y方向追従性が向上しているものの、実施例1〜4に比べて低下していた。
【0095】
また、架橋剤存在下の比較例3の両面粘着テープは、アクリル系粘着層の分子量分布が4.2であったが、使用したポリマーシロップの重量平均分子量が700000を大きく下回っていたので、架橋剤存在下の実施例5〜8の両面粘着テープに比べてX−Y方向追従性が、大きく悪化していた。また、比較例4の場合も、アクリル系粘着層の分子量分布が4.0であったが、使用したポリマーシロップの重量平均分子量が700000を大きく下回っていたので、比較例3よりはX−Y方向追従性が向上しているものの、実施例5〜8に比べて良くない結果であった。
【0096】
(Z方向追従性)
(1)架橋剤非存在下で形成されたアクリル系粘着層を有する両面粘着テープの評価
実施例1〜4及びアクリル系ポリマーAの分子量が低い比較例1、2の結果(表2)から、架橋剤非存在下で形成されたアクリル系粘着層を有する両面粘着テープのZ方向追従性は、アクリル系ポリマーA及びアクリル系ポリマーBの重量平均分子量が高いほど値が良くなっていることが分かる。また、分子量分布が広い方が良好な結果が得られる傾向があることがわかる。
【0097】
(2)架橋剤存在下で形成されたアクリル系粘着層を有する両面粘着テープの評価
実施例5〜8及びアクリル系ポリマーAの分子量が低い比較例3、4の結果により、架橋剤存在下で形成されたアクリル系粘着層を有する両面粘着テープのZ方向追従性も、アクリル系ポリマーAの重量平均分子量や分子量分布が大きくなるにつれて得られる数値が良い方向へシフトする傾向を示した。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明の両面粘着テープは、基材として電子線架橋処理されたポリエチレンフォーム基材としてものを使用する。このため、アクリル系粘着層が架橋剤非存在下で形成されたものであっても、良好なX−Y方向追従性を示すことができる。また、本発明の両面粘着テープは、そのアクリル系粘着層を、重量平均分子量が700000〜3000000の高分子量のアクリル系ポリマーAと重量平均分子量が350000〜650000の低分子量のアクリル系ポリマーBとの混合アクリル系ポリマーに更に重量平均分子量が2000〜10000の非常に低分子量の粘着性付与ポリマーを配合したものから構成し、しかも特定の分子量分布に制御している。このため、架橋剤非存在下でも良好なZ方向追従性を示すことができる。よって、本発明の両面粘着テープは、自動車、電気製品、建築物等の構造材の接合に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンフォーム基材の両面にアクリル系粘着層が形成されてなる両面粘着テープであって、
該ポリエチレンフォーム基材が電子線架橋処理されたものであり、
該アクリル系粘着層が、アクリル系モノマーと光重合開始剤とを含有する無溶媒型光重合性モノマー組成物に紫外線を照射して当該アクリル系モノマーから光重合により形成された硬化樹脂組成物から形成されたものであり、
硬化樹脂組成物は、重量平均分子量2000〜10000の粘着性付与ポリマーと、架橋剤非存在下において光重合により得られる重量平均分子量が700000〜3000000のアクリル系ポリマーAと、架橋剤非存在下において光重合により得られる重量平均分子量が350000〜650000のアクリル系ポリマーBとを含有するものであり、
硬化樹脂組成物の、テトラヒドロフランを用いるゲルパーミエーションクロマト法により測定した分子量分布が2.4〜4.4であることを特徴とする両面粘着テープ。
【請求項2】
アクリル系ポリマーAの重量平均分子量が、750000〜1000000である請求項1記載の両面粘着テープ。
【請求項3】
無溶媒型光重合性モノマー組成物が、アクリル系モノマーとして、ヒドロキシ基で置換してもよい(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリル酸を含有する請求項1又は2記載の両面粘着テープ。
【請求項4】
無溶媒型光重合性モノマー組成物が、アクリル系モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、アクリル酸及び2−ヒドロキシエチルアクリレートを含有する請求項1〜3のいずれかに記載の両面粘着テープ。
【請求項5】
無溶媒型光重合性モノマー組成物が、アクリル系モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート25〜35質量部、ブチルアクリレート75〜65質量部、2−エチルヘキシルアクリレートとブチルアクリレートとの合計100質量部に対しアクリル酸3〜5質量部及び2−ヒドロキシエチルアクリレート0.2〜0.5質量部を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の両面粘着テープ。
【請求項6】
無溶媒型光重合性モノマー組成物が、アクリル系モノマー100質量部に対し、光重合開始剤を0.005〜0.1質量部含有する請求項1〜5のいずれかに記載の両面粘着テープ。
【請求項7】
該粘着性付与ポリマーが、アクリル系粘着性付与ポリマーである請求項1〜6のいずれかに記載の両面粘着テープ。
【請求項8】
無溶媒型光重合性モノマー組成物が更に架橋剤を含有する請求項1〜7のいずれかに記載の両面粘着テープ。
【請求項9】
ポリエチレンフォーム基材の両面にアクリル系粘着層が形成されてなる両面粘着テープの製造方法であって、以下の工程(a)〜(e):
工程(a)
アクリル系モノマーと光重合開始剤とを含有する無溶媒型光重合性モノマー組成物に紫外線を照射して当該アクリル系モノマーから、架橋剤非存在下での光重合により重量平均分子量が700000〜3000000となるアクリル系ポリマーAを生成させ、それによりアクリル系ポリマーAと未反応アクリル系モノマーとを含有するポリマーシロップを調製する工程;
工程(b)
該ポリマーシロップに重量平均分子量2000〜10000の粘着性付与ポリマーを混合して粘着剤塗工液を調製する工程;
工程(c)
該粘着剤塗工液を剥離フィルム基材に塗布して粘着剤塗布膜を形成する工程;
工程(d)
該粘着剤塗布膜に紫外線を照射し、粘着剤塗布膜中の未反応アクリル系モノマーから、架橋剤非存在下での光重合により重量平均分子量が350000〜650000となるアクリル系ポリマーBを生成させることにより、アクリル系ポリマーA、アクリル系ポリマーB及び粘着性付与ポリマーを含有する硬化樹脂組成物からアクリル系粘着剤層を形成する工程(ここで、硬化樹脂組成物の、テトラヒドロフランを用いるゲルパーミエーションクロマト法により測定した分子量分布は2.4〜4.4である);及び
工程(e)
電子線架橋処理されたポリエチレンフォーム基材の両面のそれぞれに、剥離フィルム基材上のアクリル系粘着層をラミネートする工程
を有することを特徴とする製造方法。
【請求項10】
工程(a)におけるポリマーシロップの25℃における粘度が、200〜5000cpsである請求項9記載の製造方法。
【請求項11】
工程(a)におけるアクリル系ポリマーAの重量平均分子量が、750000〜1000000である請求項9又は10記載の製造方法。
【請求項12】
工程(a)における無溶媒型光重合性モノマー組成物の重合率が、5〜25%である請求項9〜11のいずれかに記載の製造方法。
【請求項13】
無溶媒型光重合性モノマー組成物が、アクリル系モノマーとして、ヒドロキシ基で置換してもよい(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリル酸を含有する請求項9〜12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項14】
無溶媒型光重合性モノマー組成物が、アクリル系モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、アクリル酸及び2−ヒドロキシエチルアクリレートを含有する請求項9〜13のいずれかに記載の製造方法。
【請求項15】
無溶媒型光重合性モノマー組成物が、アクリル系モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート25〜35質量部、ブチルアクリレート75〜65質量部、2−エチルヘキシルアクリレートとブチルアクリレートの合計100質量部に対しアクリル酸3〜5質量部及び2−ヒドロキシエチルアクリレート0.2〜0.5質量部を含有する請求項9〜14のいずれかに記載の製造方法。
【請求項16】
無溶媒型光重合性モノマー組成物が、アクリル系モノマー100質量部に対し、光重合開始剤を0.005〜0.1質量部含有する請求項9〜15のいずれかに記載の製造方法。
【請求項17】
工程(a)における紫外線照射条件が、不活性ガス雰囲気下、25〜130℃の重合開始温度で、波長250〜400nmの光を15〜100mW/cmの出力で10〜60秒間照射することを、20〜40秒のアイドリングを挟んで、5〜20回行うことである請求項9〜16のいずれかに記載の製造方法。
【請求項18】
工程(b)における粘着性付与ポリマーが、シクロアルキル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と連鎖移動剤と光重合開始剤とを光重合させたものである請求項9〜17記載の製造方法。
【請求項19】
工程(b)における粘着性付与ポリマーが、シクロヘキシルメタクリレートとメタクリル酸とn−ドデシルメルカプタンと光重合開始剤とを光重合させたものである請求項9〜17記載の製造方法。
【請求項20】
工程(b)における粘着性付与ポリマーが、シクロヘキシルメタクリレート95〜97質量部とメタクリル酸3〜5質量部とn−ドデシルメルカプタン3〜6質量部と、光重合開始剤0.25〜0.5質量部とを光重合させたものである請求項19記載の製造方法。
【請求項21】
工程(b)における紫外線照射条件が、不活性ガス雰囲気下、25〜130℃の温度で、波長250〜400nmの光を15〜100mW/cmの出力で10〜60秒間照射することを、20〜40秒間のアイドリングを挟んで、5〜20回行うことである請求項9〜20のいずれかに記載の製造方法。
【請求項22】
工程(d)におけるアクリル系ポリマーBの重量平均分子量が350000〜650000である請求項9〜21のいずれか記載の製造方法。
【請求項23】
工程(d)における紫外線照射条件が、不活性ガス雰囲気下、40〜90℃の温度で、波長250〜400nmの光を15〜100mW/cmの出力で10〜60秒間照射することである請求項9〜22のいずれかに記載の製造方法。
【請求項24】
工程(c)における粘着剤塗工液に、更に架橋剤が配合されている請求項9〜23のいずれかに記載の製造方法。
【請求項25】
ポリエチレンフォーム基材の両面にアクリル系粘着層が形成されてなる両面粘着テープであって、
該ポリエチレンフォーム基材が電子線架橋処理されたものであり、
該アクリル系粘着層が、アクリル系モノマーと光重合開始剤とを含有する無溶媒型光重合性モノマー組成物に紫外線を照射して当該アクリル系モノマーから光重合により形成された硬化樹脂組成物から形成されたものであり、
硬化樹脂組成物は、重量平均分子量2000〜10000の粘着性付与ポリマーと、架橋剤非存在下において光重合により得られる重量平均分子量が700000〜3000000のアクリル系ポリマーAと、架橋剤非存在下において且つ粘着性付与ポリマーとアクリル系ポリマーAとの存在下において光重合により得られる重量平均分子量が350000〜650000のアクリル系ポリマーBとを含有するものであり、
硬化樹脂組成物の、テトラヒドロフランを用いるゲルパーミエーションクロマト法により測定した分子量分布が2.4〜4.4であることを特徴とする両面粘着テープ。
【請求項26】
ポリエチレンフォーム基材の両面にアクリル系粘着層が形成されてなる両面粘着テープであって、
該ポリエチレンフォーム基材が電子線架橋処理されたものであり、
該アクリル系粘着層が、アクリル系モノマーと光重合開始剤と架橋剤とを含有する無溶媒型光重合性モノマー組成物に紫外線を照射して当該アクリル系モノマーから光重合により形成された硬化樹脂組成物から形成されたものであり、
硬化樹脂組成物は、重量平均分子量2000〜10000の粘着性付与ポリマーと、架橋剤非存在下において光重合により得られる重量平均分子量が700000〜3000000のアクリル系ポリマーAと、架橋剤非存在下において且つ粘着性付与ポリマーとアクリル系ポリマーAとの存在下において光重合により得られる重量平均分子量が350000〜650000のアクリル系ポリマーBとを含有するものであり、
硬化樹脂組成物の、テトラヒドロフランを用いるゲルパーミエーションクロマト法により測定した分子量分布が2.4〜4.4であることを特徴とする両面粘着テープ。

【公開番号】特開2012−251143(P2012−251143A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−108496(P2012−108496)
【出願日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【出願人】(000108410)デクセリアルズ株式会社 (595)
【Fターム(参考)】