説明

両面粘着テープ

少なくとも2つの感圧接着剤層と、合成ポリマーからなり、前記感圧接着剤層の間にある支持体層とからなる多層積層品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
感圧接着剤(Haftklebstoffe)は、自己接着性製品、例えばラベル、粘着テープ又は自己接着性シートの製造に使用される。自己接着性製品は、一般的に、複数の層、特に支持体層、感圧接着剤層及び感圧接着剤層をその使用まで保護する剥離可能な非粘着層からなる。特殊な使用目的のためには、両面粘着テープも提供される。これらの粘着テープは一般的に、安定な支持体からなり、例えば両面が感圧接着剤で塗工されている編織布である。
【0002】
両面粘着テープの製造の際に、まず最初に支持体の一方の面が塗工され、ついで第二の処理工程においてもう一方の面が塗工される。
【0003】
故に、これまで知られた両面粘着テープの場合に不利であるのは、労力を要する製造方法である。より単純な製造方法が望まれている。さらに、他の支持体材料、特にまたより薄く、かつより軽い支持体を使用する可能性も望まれている。
【0004】
故に、本発明の課題は、両面粘着テープのより単純な製造方法であり、課題は、また、新しい層構成を有する改良された両面粘着テープでもあった。
【0005】
それに応じて、冒頭に定義された多層積層品、前記積層品の使用及びその製造方法が見出された。
【0006】
感圧接着剤層について
本発明による積層品は、少なくとも2つの感圧接着剤層を含有し、すなわち前記の双方の層はその都度感圧接着剤からなる。
【0007】
感圧接着剤は、室温(21℃)で永久的に粘着性の接着剤である。
【0008】
以下の説明は、前記層の一方が具体的に関連付けられていない限り、双方の層の感圧接着剤に当てはまる。
【0009】
前記の感圧接着剤は、結合剤として好ましくは合成ポリマーを含有する(以下に感圧接着剤ポリマーと呼ぶ)。
【0010】
感圧接着剤ポリマーとして、ラジカル重合されたポリマー、ポリエステル又は重付加物が考慮に値する。特に、ラジカル重合により得ることができるポリマー、特に好ましくは乳化重合により得ることができるポリマーである。感圧接着剤ポリマーは、極めて特に好ましくはエマルションポリマーである。
【0011】
特に、感圧接着剤ポリマーは、ラジカル重合可能な化合物(モノマー)から合成されている。好ましくは、前記ポリマーは少なくとも40質量%、特に好ましくは少なくとも60質量%、極めて特に好ましくは少なくとも80質量%がいわゆる主モノマーからなる。
【0012】
主モノマーは、C1〜C20−アルキル(メタ)アクリラート、炭素原子20個までを有するカルボン酸のビニルエステル、炭素原子20個までを有するビニル芳香族化合物、エチレン系不飽和ニトリル、ビニルハロゲン化物、炭素原子1〜10個を有するアルコールのビニルエーテル、炭素原子2〜8個及び二重結合1個又は2個を有する脂肪族炭化水素又はこれらのモノマーの混合物から選択されている。
【0013】
例えば、C1〜C10−アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えばメタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル及びアクリル酸2−エチルヘキシルを挙げることができる。
【0014】
特に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの混合物も適している。
【0015】
炭素原子1〜20個を有するカルボン酸のビニルエステルは、例えばラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルエステル(Versaticsaeurevinylester)及び酢酸ビニルである。
【0016】
ビニル芳香族化合物として、ビニルトルエン、α−及びp−メチルスチレン、α−ブチルスチレン、4−n−ブチルスチレン、4−n−デシルスチレン及び好ましくはスチレンが考慮に値する。ニトリルの例は、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルである。
【0017】
ビニルハロゲン化物は、塩素、フッ素又は臭素で置換されたエチレン系不飽和化合物、好ましくは塩化ビニル及び塩化ビニリデンである。
【0018】
ビニルエーテルとして、例えばビニルメチルエーテル又はビニルイソブチルエーテルを挙げることができる。炭素原子1〜4個を有するアルコールのビニルエーテルが好ましい。
【0019】
炭素原子2〜8個及びオレフィン系二重結合1個又は2個を有する炭化水素として、ブタジエン、イソプレン及びクロロプレン、エチレン又はプロピレンを挙げることができる。ブタジエン又はイソプレンから得られたポリマー又はコポリマーは、その後に水素化されることもできる。
【0020】
主モノマーとして、ビニルエステル、好ましくは酢酸ビニル、特にまたエチレンとの組合せで(略して酢酸ビニル/エチレンコポリマー)、ブタジエン、特にまたスチレンとの組合せで(略してブタジエン/スチレンコポリマー)及びC1〜C10−アルキルアクリラート及びC1〜C10−アルキルメタクリラート、特にC1〜C8−アルキルアクリラート及びC1〜C8−アルキルメタクリラート(略してポリアクリラート)が好ましく、その際にポリアクリラートがその都度特に好ましい。
【0021】
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸オクチル及びアクリル酸2−エチルヘキシル並びにこれらのモノマーの混合物が極めて特に好ましい。
【0022】
主モノマーに加えて、感圧接着剤ポリマーは、別のモノマー、例えばカルボン酸基、スルホン酸基又はホスホン酸基を有するモノマーを含有していてよい。カルボン酸基が好ましい。例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸又はフマル酸を挙げることができる。
【0023】
別のモノマーは、例えば、ヒドロキシル基も有するモノマー、特にC1〜C10−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート、(メタ)アクリルアミド及びウレイド基を有するモノマー、例えばウレイド(メタ)アクリラートである。
【0024】
別のモノマーとして、さらにまた、フェニルオキシエチルグリコールモノ(メタ)アクリラート、グリシジルアクリラート、グリシジルメタクリラート、アミノ(メタ)アクリラート、例えば2−アミノエチル(メタ)アクリラートを挙げることができる。
【0025】
二重結合に加えてさらに別の官能基、例えばイソシアナート官能基、アミノ官能基、ヒドロキシ官能基、アミド官能基又はグリシジル官能基を有するモノマーは、例えば、基材への付着を改善することができる。特に、環状ラクタム、例えばN−ビニルピロリドン又はN−ビニルカプロラクタムも考慮に値する。
【0026】
性質が、光化学的な架橋により、例えば電子線又は紫外線の照射により、調節されることができる感圧接着剤も考慮に値する(BASFのacResin(登録商標))。
【0027】
感圧接着剤ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−65〜+10℃、特に好ましくは−65〜0℃、極めて特に好ましく−65〜−10℃、もしくは−65〜−20℃であり、極めて特に好ましい一実施態様において、ガラス転移温度は−55〜−30℃、もしくは−50〜−40℃である。
【0028】
ポリマーのガラス転移温度は、常法、例えば示差熱分析法又は示差走査熱量測定法(例えばASTM 3418/82参照、いわゆる"中間点温度(midpoint temperature)")に従って決定されることができる。
【0029】
前記感圧接着剤は、結合剤(感圧接着剤ポリマー)から単独でなっていてよいか又はさらに別の添加剤も含有していてよい。例えば、いわゆる粘着性にする樹脂(粘着付与剤)が考慮に値する。
【0030】
粘着付与剤は、例えば天然樹脂、例えばコロホニウム樹脂及び不均化又は異性化、重合、二量化、水素化により生じるそれらの誘導体である。これらは、それらの塩の形(例えば一価又は多価の対イオン(カチオン)を有する)又は好ましくはそれらのエステル化された形で存在していてよい。エステル化に使用されるアルコールは、一価又は多価であってよい。例は、メタノール、エタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,3−プロパンチオール、ペンタエリトリトールである。
【0031】
好ましい粘着付与剤は、天然のコロホニウム樹脂又は化学的に変性されたコロホニウム樹脂である。コロホニウム樹脂は主部分がアビエチン酸又はアビエチン酸誘導体からなる。
【0032】
前記感圧接着剤に添加されることができる別の添加剤は、例えば酸化防止剤、充填剤、染料、増粘剤、レベリング助剤(Verlaufshilfsmittel)である。
【0033】
前記感圧接着剤は、水又はその他の溶剤を除き、特に40質量%超、特に好ましくは60質量%超及び極めて特に好ましくは80質量%超が感圧接着剤ポリマーからなり、それらは、異なる感圧接着剤ポリマーの混合物でもあると理解されるべきである(上記参照)。
【0034】
感圧接着剤の本質的な性質は、粘着性(付着)及び内部強さ(凝集)である。
【0035】
当業者には、どのようにしてその都度所望の感圧接着剤特性に調節されることができるかが知られている。架橋性モノマー又は外部架橋剤の併用の際に、感圧接着剤の内部強さが高められ、一般的に粘着性の損失となる。そのような感圧接着剤で塗工されている自己接着性製品は、通例、残留物なしで再び剥離可能である(剥離可能な感圧接着剤)。他の感圧接着剤は、極めて極性のモノマー及び場合によってはより大量の粘着付与剤の併用により、極めて高い粘着性を有し、そのように仕上加工された自己接着性製品は殆ど再び剥離されることができない(永久的な感圧接着剤)。
【0036】
本発明による積層品中で、任意の感圧接着剤が互いに組み合わされることができる。双方の感圧接着剤層は、剥離可能な又は永久的な感圧接着剤であってよい。しかしまた、双方の感圧接着剤層の一方は、剥離可能な感圧接着剤であり、かつ他の層が永久的な感圧接着剤であってよい。
【0037】
感圧接着剤層の厚さは、その都度例えば1〜500μmであってよく;特に厚さは一般的に少なくとも3μm、特に好ましくは少なくとも5μmもしくは少なくとも10μmであり;一般的に、厚さは、300μm以下、特に好ましくは200μmもしくは100μm以下である。
【0038】
支持体層について
支持体層は、合成ポリマーを含有する組成物からなる(略して支持体ポリマー)。
【0039】
支持体ポリマーとして、同様にラジカル重合されたポリマー、ポリエステル又は重付加物が考慮に値する。特に、ラジカル重合により得ることができるポリマー、特に好ましくは乳化重合により得ることができるポリマーである。支持体ポリマーは、極めて特に好ましくは同様にエマルションポリマーである。
【0040】
特に、支持体ポリマーは、ラジカル重合可能な化合物(モノマー)から合成されている。好ましくは、前記ポリマーは少なくとも40質量%、特に好ましくは少なくとも60質量%、極めて特に好ましくは少なくとも80質量%がいわゆる主モノマーからなる。
【0041】
主モノマーは、C1〜C20−アルキル(メタ)アクリラート、炭素原子20個までを有するカルボン酸のビニルエステル、炭素原子20個までを有するビニル芳香族化合物、エチレン系不飽和ニトリル、ビニルハロゲン化物、炭素原子1〜10個を有するアルコールのビニルエーテル、炭素原子2〜8個及び二重結合1個又は2個を有する脂肪族炭化水素又はこれらのモノマーの混合物から選択されている。
【0042】
例えば、C1〜C10−アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えばメタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル及びアクリル酸2−エチルヘキシルを挙げることができる。
【0043】
特に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの混合物も適している。
【0044】
炭素原子1〜20個を有するカルボン酸のビニルエステルは、例えばラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルエステル(Versaticsaeurevinylester)及び酢酸ビニルである。
【0045】
ビニル芳香族化合物として、ビニルトルエン、α−及びp−メチルスチレン、α−ブチルスチレン、4−n−ブチルスチレン、4−n−デシルスチレン及び好ましくはスチレンが考慮に値する。ニトリルの例は、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルである。
【0046】
ビニルハロゲン化物は、塩素、フッ素又は臭素で置換されたエチレン系不飽和化合物、好ましくは塩化ビニル及び塩化ビニリデンである。
【0047】
ビニルエーテルとして、例えばビニルメチルエーテル又はビニルイソブチルエーテルを挙げることができる。炭素原子1〜4個を有するアルコールのビニルエーテルが好ましい。
【0048】
炭素原子2〜8個及びオレフィン系二重結合1個又は2個を有する炭化水素として、ブタジエン、イソプレン及びクロロプレン、エチレン又はプロピレンを挙げることができる。ブタジエン又はイソプレンから得られたポリマー又はコポリマーは、その後に水素化されることもできる。
【0049】
主モノマーとして、C1〜C10−アルキル(メタ)アクリラート及びビニル芳香族化合物が好ましい。
【0050】
主モノマーに加えて、支持体ポリマーは、前記の別のモノマーも含有していてよい。
【0051】
支持体ポリマーは、好ましくは室温(21℃)で殆ど粘着性でなく、好ましくは全く粘着性ではなく、故に好ましくは感圧接着剤ではない。
【0052】
それに応じて、前記支持体の組成物で塗工されたポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタラート、PET)は、鋼上に21℃で特に0.5N/2.5cm未満、特に好ましくは0.2N/2.5cm未満の付着を有する。
【0053】
付着はその際に次の測定法に従って決定される(クイックスティック値(Quickstick-Wert)):
支持体組成物を、PETフィルムの25mm幅の部分に30g/m2(固体)でナイフコーティングし、90℃で3分間乾燥させる。
【0054】
クイックスティック値を決定するためには、17.5cm長さ及び2.5cm幅の試験片から、両端を引張試験機の挟み具に挟むことによってループを形成させ、ついでこのループをクロムめっきした鋼表面と30cm/minの速度で(ループを、クロムめっきした鋼板の方へ下げる)接触させる。全面的に接触させた後に、このループを1分間の接触時間後に再び除去し、かつその際に算出された最大力[単位:N/2.5cm]を、クイックスティック値の尺度として決定する。この測定は、20℃及び50%相対大気湿度で実施される。
【0055】
得られた値は、付着、ひいては粘着性の尺度である。支持体組成物は、故に好ましくは殆ど粘着性ではないか、もしくは特に好ましくは全く粘着性ではない。
【0056】
支持体ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−10℃を上回り、特に0℃を上回り、特に好ましくは20℃を上回り;これは、例えば−10〜+120℃、特に好ましくは0〜+100℃、極めて特に好ましくは+20〜+100℃、もしくは+30〜+100℃であり、極めて特に好ましい一実施態様において、ガラス転移温度は+40〜+100℃である。
【0057】
前記ポリマーのガラス転移温度は上記のように決定される。
【0058】
支持体組成物は、結合剤(支持体ポリマー)から単独でなっていてよいか又はさらに別の添加剤も含有していてよい。例えば酸化防止剤、充填剤、染料、増粘剤又はレベリング助剤が考慮に値する。
特に、支持体組成物の少なくとも60質量%、特に好ましくは少なくとも80質量%及び極めて特に好ましくは少なくとも90質量%が支持体ポリマーからなる。
【0059】
支持体層の厚さは、特に1〜500μmであってよく;特に、厚さは一般的に少なくとも5μm、特に好ましくは少なくとも10μm、極めて特に好ましくは少なくとも20μmもしくは少なくとも30μmであり;一般的に、厚さは、300μm以下、特に好ましくは200μmもしくは100μm以下である。
【0060】
感圧接着剤及び支持体組成物の製造
相応する感圧接着剤ポリマー及び支持体ポリマーは、常用の重合方法によって製造されることができる。好ましくは、感圧接着剤ポリマー並びに支持体ポリマーは、乳化重合により製造される。感圧接着剤ポリマー及び支持体ポリマーは、故に好ましくはエマルションポリマーとして、すなわち水性ポリマー分散液として存在する。
【0061】
感圧接着剤及び支持体組成物の別の成分は、水性ポリマー分散液中へ撹拌混入されることができる。
【0062】
感圧接着剤及び支持体組成物は、故に好ましくは水性の感圧接着剤もしくは支持体組成物として存在する。
【0063】
水性の感圧接着剤及び支持体組成物の固体含量は、好ましくは少なくとも20質量%、特に好ましくは少なくとも30質量%、極めて特に好ましくは少なくとも40質量%であり、一般的にこれは80質量%以下、特に75質量%以下、もしくは70質量%以下である。
【0064】
多層積層品全体の構成
前記多層積層品は、別の層を有していてよい。特に、感圧接着剤層は、非粘着層で(感圧接着剤へ向かって、付着しない、すなわち剥離可能な面で)覆われていてよい。非粘着層は、特に、シリコーン処理された紙又はシリコーン処理されたフィルムである。非粘着層は、感圧接着剤層を使用まで保護すべきである。使用の直前に非粘着層は除去される。
【0065】
双方の感圧接着剤層は相応して、剥離可能な非粘着層で覆われていてよい。前記積層品が巻き取られるべき場合には、一方の面のみを非粘着層で覆うので十分であるが、しかしこの非粘着層は、両面に付着性でない、すなわち例えばシリコーンコーティングが設けられているべきである。この非粘着層の上面は、巻き取られる際に下の感圧接着剤コーティングと接触状態になり、かつこれらを同時に保護する。
【0066】
多層積層品は、(再剥離可能な非粘着層なしで)好ましくは全体で30μm〜3mm、特に好ましくは50μm〜500μm、極めて特に好ましくは60μm〜200μmの層厚を有する。
【0067】
積層品の製造
前記多層積層品は特に、感圧接着剤及び支持体組成物が水性分散液又は溶液として存在し(上記参照)、かつ塗工されることによる塗工法により得ることができる。
【0068】
前記製造方法の場合に、故に好ましくは、水性の感圧接着剤及び水性の支持体組成物から、これらが上記で定義されているように、出発することができ、これを非粘着層(例えばシリコーン処理された紙又はフィルム)上へ塗工し、かつ得られたコーティングを乾燥させる。
【0069】
好ましい一実施態様において、水性の感圧接着剤及び水性の支持体組成物の塗工は、1つの方法工程において、すなわち同時に行われる。
【0070】
このために適した塗工法は、2005年09月01日に発行された独国特許出願公開(DE-A)第10 2004 007 927号明細書から知られている。この方法の場合に、多重カスケードダイが使用される。
【0071】
多層積層品は、それに応じて好ましくは、少なくとも3つの流動性の、好ましくは水性の組成物(2つの感圧接着剤及び1つの支持体組成物)が、連続的にウェブ状(bahnfoermiges)基材、好ましくは非粘着層上へ塗工されることによる方法により製造される。その際に、前記塗工は、好ましくは多重カスケードダイの使用下に行われる。
【0072】
ウェブ状支持体の速度は、好ましくは毎分30〜1500メートル、特に好ましくは毎分50〜60メートル、極めて特に好ましくは毎分80〜400メートルである。
【0073】
感圧接着剤及び支持体組成物は、異なる貯蔵容器中に存在し;これらの貯蔵容器は、それぞれの感圧接着剤及び支持体組成物の液体フィルムを供給する。
【0074】
多重カスケードダイの本質的な特徴は、これが、塗工すべき個々のフィルムから全フィルムが形成されることである。この全フィルム中で、個々のフィルムは、例えばこれは後で多層積層品中で望ましいような空間配置で存在する。全フィルムは、多重カスケードダイから運動するウェブ状支持体上へ添加される。
【0075】
好ましくは前記方法は、スライド塗工法(Slide coating-Verfahren)である。スライド塗工法及びその選択的に、スロット塗工法は例えば、"Liquid Film Coating, Chapman & Hall, London 1997, 章11a "Slot Coating"及び11b "Slide Coating"に記載されている。スライド塗工の場合に、全フィルムは、面、例えば金属面全体に滑動し(sliding)、かつその後、基材上に堆積される。
それとは異なり、スロット塗工法(slot coating Verfahren)の場合に全フィルムは、スロット又はダイから、直接的に、すなわち滑動なしで、基材上へ添加される。
【0076】
好ましくは、さらにカーテン塗工法(curtain coating)である。カーテン塗工法の場合に、自由落下するフィルムカーテンは、基材上に堆積される。フィルムカーテンが自由落下できるためには、ダイ又はその他の出口開口部と、運動する基材との間の距離は、塗工すべき層厚よりも大きくなければならない。
【0077】
特に好ましくは、カーテン塗工法との組合せでのスライド塗工法である。カスケードダイ及び基材に対するその位置は、独国特許出願公開(DE-A)第10 2004 007 927号明細書の図4.1(スライド塗工)及び図4.2(カーテン塗工を有するスライド塗工)に表現されている。
【0078】
使用
多層積層品は、自己接着性製品として、特に両面粘着テープとして適している。本発明は、自己接着性製品、特に両面粘着テープの単純な製造を可能にする。両面粘着テープは単純に構成されており;また支持体として合成ポリマーが使用されることができる。自己接着性製品、もしくは粘着テープは、引き裂けに強く(reissfest)、かつ良好な機械的性質を有し、かつ良好な接着特性を有する。
【0079】
実施例
多層積層品の製造
個々の層の組成:
第1感圧接着剤:
Acronal(登録商標) V 215、感圧接着剤用のBASFのカルボキシル基含有ポリアクリラートの水性分散液、固体含量69質量%、ガラス転移温度−43℃;前記分散液に、湿潤剤1.0質量%及び増粘剤0.2質量%を、ポリマー(固体)を基準として添加した。
【0080】
第2感圧接着剤:
Acronal(登録商標) A 110 215、感圧接着剤用のBASFのカルボキシル基含有ポリアクリラートの水性分散液、固体含量55質量%、ガラス転移温度−55℃;前記分散液に、湿潤剤1.0質量%及び増粘剤0.2質量%を、ポリマー(固体)を基準として添加した。
【0081】
支持体組成物
Acronal(登録商標) S 728、塗工液用のBASFのスチレン含有ポリアクリラートの水性分散液、固体含量50質量%、ガラス転移温度15℃;前記分散液に、湿潤剤1.0質量%及び増粘剤0.2質量%を、ポリマー(固体)を基準として添加した。
【0082】
製造方法:
双方の感圧接着剤と支持体組成物とから、多層積層品を、連続塗工法において製造した。
【0083】
ウェブ状支持体として、シリコーン処理されたポリマーフィルムを使用した。ウェブ状支持体の速度はメートル/分であった。
【0084】
双方の感圧接着剤及び支持体組成物を、多重カスケードダイを用いて、独国特許出願公開(DE-A)第10 2004 007 927号明細書、図4.2のようにして塗工した。前記方法は、カーテン塗工法との組合せでのスライド塗工法である。双方の感圧接着剤及び支持体組成物を、別個の容器中で予備貯蔵し;多重カスケードダイ中でフィルムに成形し;この3枚のフィルムが一緒になるので、これらは重なり合っており、かつ一緒に全フィルムとして塗工される。全フィルムは、多重カスケードダイ中でまず最初に金属面全体に滑動し、その後カーテンとして、落下するカーテンに対して垂直に動く支持体ウェブ上へ落下する。
【0085】
塗工量は次の通りであった:
第1感圧接着剤層:26.8g/m2(乾燥、26.8μmの層厚に相当)
支持体組成物:50g/m2(乾燥、50μmの層厚に相当)
第2感圧接着剤層:19g/m2(乾燥、19μmの層厚に相当)。
【0086】
得られた多重コーティングを連続的に乾燥させ、そのために塗工されたウェブを乾燥装置へ導く。乾燥後に、上の感圧接着剤層上へさらに別のシリコーン処理されたポリエチレンフィルムを堆積する。
【0087】
得られた多層積層品は次の構成を有し、その際に層の順序は、空間配置に対応する:
シリコーン処理されたフィルム(使用前に除去される)
第1感圧接着剤層
支持体層
第2感圧接着剤層
シリコーン処理されたフィルム(使用前に除去される)。
【0088】
前記多層積層品は、両面粘着テープとして適している。
【0089】
第1感圧接着剤層は、これが、高い付着及び凝集を有するように調節されている。これは特に強固な、永久的な接着に適していた(室温で1日貯蔵後のガラス上への剥離強さ:32N/25mm、ガラス上への25×25mmの大きさの試験ストリップの接着、1kgのおもりでの前記ストリップの負荷、前記ストリップが剥離するまでの時間により測定されるせん断強さ:24時間を上回る)。
【0090】
第2感圧接着剤層は、これが低い付着を有するように調節されており、これは再剥離可能な接着に適している(剥離強さ2.3、せん断強さ1.7時間)。
【0091】
前記多層積層品は、極めて良好な機械的強さ(極限引張強さ(Reissfestigkeit))を有し、かつ容易に取り扱い可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの感圧接着剤層と、合成ポリマーからなり、前記感圧接着剤層の間にある支持体層とからなる、多層積層品。
【請求項2】
双方の感圧接着剤層が、結合剤として合成ポリマーを含有する感圧接着剤からなる(略して感圧接着剤ポリマーと呼ぶ)、請求項1記載の多層積層品。
【請求項3】
感圧接着剤ポリマーがエマルションポリマーである、請求項1又は2記載の多層積層品。
【請求項4】
支持体層が、結合剤としてエマルションポリマーを含有する(略して支持体ポリマーと呼ぶ)組成物からなる(略して支持体組成物)、請求項1から3までのいずれか1項記載の多層積層品。
【請求項5】
支持体組成物が粘着性ではない、請求項1から4までのいずれか1項記載の多層積層品。
【請求項6】
支持体ポリマーが、0℃よりも高いガラス転移温度を有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の多層積層品。
【請求項7】
感圧接着剤層及び支持体層の層厚がその都度1〜100μmである、請求項1から6までのいずれか1項記載の多層積層品。
【請求項8】
多層積層品が、別の層、特に一方の面に又は両面に剥離可能な非粘着層を含有する、請求項1から7までのいずれか1項記載の多層積層品。
【請求項9】
感圧接着剤及び支持体組成物が水性分散液又は溶液として存在することによる塗工法により得ることができる、請求項1から7までのいずれか1項記載の多層積層品。
【請求項10】
感圧接着剤及び支持体組成物が、水性分散液又は溶液として存在し、塗工され、引き続き乾燥されることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の多層積層品の製造方法。
【請求項11】
感圧接着剤及び支持体組成物の塗工を、1つの方法工程において、すなわち同時に行う、請求項10記載の方法。
【請求項12】
感圧接着剤及び支持体組成物の塗工を、多重カスケードダイを用いて行う、請求項10又は11記載の方法。
【請求項13】
塗工法がスライド法である、請求項10から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
塗工法がカーテン塗工法(curtain coating)である、請求項10から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
自己接着性製品としての、請求項1から14までのいずれか1項記載の多層積層品の使用。
【請求項16】
両面粘着テープとしての請求項1から14までのいずれか1項記載の多層積層品の使用。

【公表番号】特表2009−536675(P2009−536675A)
【公表日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508338(P2009−508338)
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054251
【国際公開番号】WO2007/131876
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】