説明

並列18パルス整流回路

【課題】降圧用に絶縁変圧器を必要とする低圧大容量の用途に対して、小形かつ安価な並列18パルス整流回路を提供する。
【解決手段】1次巻線が3相交流電源に接続され、基準位相に対してそれぞれ0度、+30度、−30度の位相差を持つ2次巻線2A,2B,2Cを有する絶縁変圧器2と、同一鉄心上に複数の巻線が巻かれた相間リアクトル35,34と、直流側が互いに並列接続された3相ブリッジ整流器1A,1B,1Cとを備え、2次巻線2Aと整流器1Aの交流側がリアクトル35を介して接続され、リアクトル35,34を介して2次巻線2Bと整流器1Bの交流側が接続され、2次巻線2Cと整流器1Cの交流側が接続され、リアクトル35,34は、整流器1A,1B,1Cの交流回路に流れる電流実効値が等しく、各電流位相が0度、+20度、−20度の場合に、鉄心に作用する起磁力がほぼゼロになるように複数の巻線が磁気結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3相交流電圧を3相ブリッジ整流器により整流して直流電圧を得る整流回路に関し、詳しくは、3台の3相ブリッジ整流器の直流側が並列接続されてなる並列18パルス整流回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
3相交流電力を直流電力に変換する電力変換器として、3相ブリッジ整流器がよく用いられている。3相ブリッジ整流器は、電源の1サイクルに6回の転流を行うことから、その回路は6パルス整流回路とも呼ばれている。更に、3相ブリッジ整流器を複数台組み合わせることにより、12パルス整流回路または18パルス整流回路などの多パルス整流回路を構成することが可能である。
これらの多パルス整流回路は、転流回数が増えるため、電源に流れる高調波電流を低減できること、大容量化できることは、利点として良く知られている。
【0003】
図5及び図6は、ダイオードまたはサイリスタにより構成された2台の3相ブリッジ整流器からなる12パルス整流回路の構成例を示しており、例えば非特許文献1に記載された回路と原理的に同一である。
図5及び図6において、1A,1Bは3相ブリッジ整流器、2は一方の2次巻線がスター結線、他方の2次巻線がデルタ結線され、両2次巻線の出力電圧が30度の位相差をもつ3巻線絶縁変圧器である。また、U,V,Wは3相入力端子、P,Nは直流出力端子を示している。
【0004】
図5の回路では、2台の3相ブリッジ整流器1A,1Bが直列接続されており、主に高圧大容量用途に適している。
一方、図6の回路は、相間リアクトル5を介して2台の3相ブリッジ整流器1A,1Bの直流回路が並列接続された並列12パルス整流回路であり、主に低圧大容量用途に適している。ここで、相間リアクトル5は、並列接続された3相ブリッジ整流器1A,1B間を横流する高調波電流を抑制する作用を果している。
図5及び図6の回路では、2台の3相ブリッジ整流器1A,1Bが発生する第5次及び第7次の高調波が理想的には相殺されるので、電源の高調波を低減することができる。
【0005】
次に、図7は、非特許文献2に記載されている回路と原理的に同一の回路である。
この回路では、図5や図6に示した絶縁変圧器2に代えて、一相あたり3巻線が磁気結合された相間リアクトル31が用いられている。31U,31U,31U,31V,31V,31V,31W,31W,31Wは巻線である。
以下では、この種のリアクトルを交流相間リアクトルと呼び、図6に示した直流側の相間リアクトル5を直流相間リアクトルと呼ぶことにする。
【0006】
図7において、交流相間リアクトル31では異なる相の巻線が互いに磁気結合されていることにより、リアクトル31の入出力間において移相機能が生じる。
同一鉄心上に巻かれた3巻線(例えば巻線31U,31U,31U)の巻数N,N,Nを、
:N:N=3.73:2.73:1.0
に設計することにより、2組のリアクトルの出力電圧が30度の位相差をもった交流電源を構成し、整流器1A,1Bに30度の位相差をもつ3相交流電圧を供給することができる。これにより、図7の従来技術では、図6に示す回路と同様な並列12パルス整流回路の機能を得ようとするものである。
なお、図7の回路では、交流相間リアクトル31が整流器1A,1B間を流れる横流を抑制するので、図6のような直流相間リアクトル5は不要となる。
【0007】
次いで、図8は、特許文献1に記載されている回路と原理的に同一の回路である。なお、32U,32U,32U,32V,32V,32V,32W,32W,32Wは交流相間リアクトル32の巻線である。
この回路では、交流相間リアクトル32の同一鉄心上に巻かれた3巻線(例えば巻線32U,32U,32U)の巻数N,N,Nを、
:N:N=√3:1:1
に設計する。これにより、非特許文献2と同様に、並列12パルス整流回路の機能を得ようとするものである。
【0008】
更に、図9は、非特許文献3に記載されている回路と原理的に同一の回路である。
この回路は交流相間リアクトル31,33を備えており、交流相間リアクトル31は巻線31U,31U,31U,31V,31V,31V,31W,31W,31Wを備え、交流相間リアクトル33は巻線33U,33U,33V,33V,33W,33Wを備えている。
そして、交流相間リアクトル33の巻線33U,33V,33Wは3相入力端子U,V,Wと整流器1Aとの間に接続され、巻線33U,33V,33Wは3相入力端子U,V,Wと交流相間リアクトル31の巻線31U,31V,31Wとの間に接続されている。
また、交流相間リアクトル31の巻線31U,31V,31Wは整流器1Bに、巻線31U,31V,31Wは整流器1Cにそれぞれ接続されている。
【0009】
なお、交流相間リアクトル31の同一鉄心上に巻かれた巻線(例えば巻線31U,31U,31U)の巻数N,N,Nは、
:N:N=2.88:1.88:1
の関係にある。
これにより、交流相間リアクトル31に接続された整流器1B,1Cの入力電流は実効値が等しく、かつ位相差が40度となる。
【0010】
一方、交流相間リアクトル33は同相の2巻線が磁気結合しているので移相機能はないが、整流器1Aに流れる電流と交流相間リアクトル31に流れる電流との比率を所定値にさせる機能がある。
交流相間リアクトル33の同一鉄心上に巻かれた巻線の巻数N,N(例えば巻線33U,33U)の巻数N,Nは、
:N=1.88:1
の関係にあり、これによって整流器1A,1B,1Cに流れる入力電流は実効値が等しく、その位相差は、整流器1Aを基準にすると、それぞれ0度、+20度、−20度となる。
【0011】
上記の位相差は18パルス整流回路を構成する場合の位相差に一致しており、図9の回路はこのことによって並列18パルス整流回路の機能を得ようとするものである。この場合、理想的には第5次、第7次、第11次、第13次の高調波が電源に流れず、並列12パルス整流回路より大容量で高調波の少ない整流回路を構成することができる。
【0012】
【非特許文献1】「電気工学ハンドブック(第6版)」,社団法人電気学会,20編パワーエレクトロニクス,846頁〜847頁
【非特許文献2】"A New 12-Pulse Rectifier Circuit with Line-Side Interphase Transformer and Nearly Sinusoidal Line Currents" by Manfred Depenbrock and Clemens Niermann, Proc. of 6th Conference on PEMC,vol.2,pp.374-378 (1990年)
【非特許文献3】"A New 18-Pulse Rectifier Circuit with Line-Side Interphase Transformer and Nearly Sinusoidal Line Currents" Proc. of 1990 IPEC-Tokyo, Vol.1, pp.539-546 (1990年)
【特許文献1】特開2000−358372号公報(請求項1,請求項4、段落[0019]〜[0025]、図1,図2等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
さて、金属の誘導加熱分野に適用されるインバータ用の直流電源や非鉄金属の製造に用いられる電解用の直流電源などでは、例えば電圧が数百V、出力が数千kW以上の低圧大容量の直流電源が必要になる。この種の直流電源は6kV級以上の高圧商用電源から得るのが望ましいので、降圧変圧器が必要になる。
上述したような分野において、例えば非特許文献1に記載された図6の回路を用いて3巻線変圧器2を降圧変圧器とすることにより、低圧大容量の整流回路(直流電源)を構成し、しかも電源の高調波を低減することが可能である。しかし、その場合には次のような問題が生じる。
【0014】
例えば6kV級以上の交流高電圧から最終的に数百V級の直流電圧を得ようとすると、3巻線変圧器2の2次巻線の巻数は必然的に多くできない。このため、変圧比の大きな降圧用の3巻線変圧器2を用いる必要があるが、この種の3巻線変圧器では、スター側とデルタ側の2組の2次電圧に実効値の誤差が生じやすくなる。
この電圧実効値誤差は、2台の3相ブリッジ整流器1A,1Bの直流電圧誤差となって現れるが、直流相間リアクトル5ではこの直流電圧誤差を補償できないので、両整流器1A,1B間を流れる直流成分の横流が過大になる。この結果、大きな容量をもった3相ブリッジ整流器1A,1Bや3巻線変圧器2が必要になる。同時に、3巻線変圧器2の2次電流には第5次及び第7次高調波が多く含まれるため、この高調波も3巻線変圧器2の容量増加の原因となる。
【0015】
なお、図示されていないが、千鳥結線した4巻線絶縁変圧器を用いて3組の2次巻線の位相差を0度、+20度、−20度とし、直流側が並列接続された3台のブリッジ整流器を変圧器の各2次巻線に接続すれば、並列18パルス整流回路を構成することが可能である。ただし、この場合も、各整流器間を流れる直流成分の横流が過大になると言う点では図6の並列12パルス整流回路の場合と同様である。
【0016】
一方、非特許文献2,3や特許文献1に記載された従来技術は、絶縁変圧器や直流相間リアクトルを不要にした点に特徴がある。しかしながら、これらの従来技術により、上述したように交流高電圧を降圧して最終的に所定の直流電圧を得る場合、確かに直流相間リアクトルは不要になるが、3巻線変圧器に代わるものとして大形かつ高価な交流相間リアクトル31,32が必要になる。
以下に、交流相間リアクトルが大形かつ高価になる理由を説明する。
【0017】
まず第1の理由として、非特許文献2,3や特許文献1における交流相間リアクトル31,32は移相特性を持っている。このため、交流相間リアクトルの入力電圧に対して出力電圧の位相を変化させようとすると、交流相間リアクトル内の結合リアクトルの入出力間には移相に伴った基本波成分の電圧降下が生じ、更に、高調波分による電圧降下が生じる。
ここで、交流相間リアクトルの容量は、基本波成分の電圧降下と高調波成分の電圧降下とを加算した電圧と、交流相間リアクトルを流れる電流との積によって決定される。
【0018】
交流相間リアクトルの容量を決定するのは基本波成分の電圧降下の方が支配的であるが、図6に示した直流相間リアクトル5の容量決定にあたっては、基本波成分の電圧降下に相当する成分はない。すなわち、交流相間リアクトル31,32を用いる場合には、その容量決定に支配的である基本波成分の電圧降下分だけ、交流相間リアクトル31,32の容量を直流相間リアクトル5の容量に対して大きくする必要がある。
【0019】
また、図7,図8に示した並列12パルス整流回路の交流相間リアクトル31,32は±15度の移相を行なう。ところが、図9に示した並列18パルス整流回路の交流相間リアクトル31は±20度の移相を行なう。移相角が大きくなるほどリアクトルの容量が増えるので、小形化や低価格化の点で図9の並列18パルス整流回路は問題がある。
【0020】
更に、複数台の3相ブリッジ整流器間に流れようとする横流には3次高調波等の零相成分も存在する。この零相成分に対して横流の抑制効果を持たせようとすると、例えば単相リアクトルが必要になり、図9に示した並列18パルス整流回路の場合には、合計6台の単相リアクトルが必要になる。従って、直流相間リアクトルを用いる場合に比べて機器台数が増えることが大形化の要因になる。
また、図7,図8に示したような並列12パルス整流回路では第11次と第13次の高調波が存在するので、高調波フィルタを併用せざるを得ない場合があり、これも機器台数の増加や大形化を招く。
【0021】
そこで、本発明の解決課題は、降圧のために絶縁変圧器を必要とする低圧大容量の用途に対して上記種々の課題を解決し、小形かつ安価な並列18パルス整流回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、3相交流電圧を整流して直流電圧に変換する整流回路において、
1次巻線が3相交流電源に接続され、かつ、基準位相に対してそれぞれ0度、+30度、−30度の位相差をもつ第1〜第3の2次巻線を有する絶縁変圧器と、
同一鉄心上にそれぞれ複数の巻線が巻かれた第1及び第2の相間リアクトルと、
直流回路が互いに並列接続された第1〜第3の3相ブリッジ整流器と、
を備え、
前記第1の2次巻線と前記第1の3相ブリッジ整流器の交流回路とが、前記第1の相間リアクトルを介して接続され、
前記第1,第2の相間リアクトルを介して、前記第2の2次巻線と前記第2の3相ブリッジ整流器の交流回路とが接続されると共に、前記第3の2次巻線と前記第3の3相ブリッジ整流器の交流回路とが接続され、
前記第1の相間リアクトル及び前記第2の相間リアクトルは、前記第1〜第3の3相ブリッジ整流器の交流回路に流れる電流実効値が等しく、それぞれの電流位相が0度、+20度、−20度の場合に、鉄心に作用する起磁力がほぼゼロになるように複数の巻線が磁気結合されていることを特徴とする。
【0023】
請求項2に係る発明は、3相交流電圧を整流して直流電圧に変換する整流回路において、1次巻線が3相交流電源に接続され、かつ、基準位相に対してそれぞれ0度、ほぼ+20度、ほぼ−20度の位相差をもつ第1〜第3の2次巻線を有する絶縁変圧器と、
同一鉄心上にそれぞれ複数の巻線が巻かれた第1及び第2の相間リアクトルと、
直流回路が互いに並列接続された第1〜第3の3相ブリッジ整流器と、
を備え、
前記第1の2次巻線と前記第1の3相ブリッジ整流器の交流回路とが、前記第1の相間リアクトルを介して接続され、
前記第1,第2の相間リアクトルを介して、前記第2の2次巻線と前記第2の3相ブリッジ整流器の交流回路とが接続されると共に、前記第3の2次巻線と前記第3の3相ブリッジ整流器の交流回路とが接続され、
前記第1の相間リアクトル及び前記第2の相間リアクトルは、前記第1〜第3の3相ブリッジ整流器の交流回路に流れる電流実効値が等しく、それぞれの電流位相が0度、+20度、−20度の場合に、鉄心に作用する起磁力がほぼゼロになるように複数の巻線が磁気結合されていることを特徴とする。
【0024】
請求項3に係る発明は、3相交流電圧を整流して直流電圧に変換する整流回路において、基準位相に対してそれぞれ0度、+30度、−30度の位相差を有する2次電圧を出力する第1〜第3の絶縁変圧器と、
同一鉄心上にそれぞれ複数の巻線が巻かれた第1及び第2の相間リアクトルと、
直流回路が互いに並列接続された第1〜第3の3相ブリッジ整流器と、
を備え、
3相交流電源と前記第1の3相ブリッジ整流器の交流回路とが、前記第1の相間リアクトルと前記第1の絶縁変圧器とを介して接続され、
前記3相交流電源と前記第2の3相ブリッジ整流器の交流回路とが、前記第1,第2の相間リアクトルと前記第2の絶縁変圧器とを介して接続され、
前記3相交流電源と前記第3の3相ブリッジ整流器の交流回路とが、前記第1,第2の相間リアクトルと前記第3の絶縁変圧器とを介して接続され、
前記第1の相間リアクトル及び前記第2の相間リアクトルは、前記第1〜第3の3相ブリッジ整流器の交流回路に流れる電流実効値が等しく、それぞれの電流位相が0度、+20度、−20度の場合に、鉄心に作用する起磁力がほぼゼロになるように複数の巻線が磁気結合されていることを特徴とする。
【0025】
請求項4に係る発明は、3相交流電圧を整流して直流電圧に変換する整流回路において、基準位相に対してそれぞれ0度、ほぼ+20度、ほぼ−20度の位相差を有する2次電圧を出力する第1〜第3の絶縁変圧器と、
同一鉄心上にそれぞれ複数の巻線が巻かれた第1及び第2の相間リアクトルと、
直流回路が互いに並列接続された第1〜第3の3相ブリッジ整流器と、
を備え、
3相交流電源と前記第1の3相ブリッジ整流器の交流回路とが、前記第1の相間リアクトルと前記第1の絶縁変圧器とを介して接続され、
前記3相交流電源と前記第2の3相ブリッジ整流器の交流回路とが、前記第1及び第2の相間リアクトルと前記第2の絶縁変圧器とを介して接続され、
前記3相交流電源と前記第3の3相ブリッジ整流器の交流回路とが、前記第1及び第2の相間リアクトルと前記第3の絶縁変圧器とを介して接続され、
前記第1の相間リアクトル及び前記第2の相間リアクトルは、前記第1〜第3の3相ブリッジ整流器の交流回路に流れる電流実効値が等しく、それぞれの電流位相が0度、+20度、−20度の場合に、鉄心に作用する起磁力がほぼゼロになるように複数の巻線が磁気結合されていることを特徴とする。
【0026】
請求項5に係る発明は、3相交流電圧を整流して直流電圧に変換する整流回路において、複数の2次巻線の位相が少なくとも1つは異なる絶縁変圧器と、
同一鉄心上に複数の巻線が巻かれた相間リアクトルと、
直流回路が互いに並列接続された第1〜第3の3相ブリッジ整流器と、
を備え、
3相交流電源と前記3相ブリッジ整流器とは、前記絶縁変圧器と前記相間リアクトルとを介して接続され、
前記相間リアクトルは、前記第1〜第3の3相ブリッジ整流器の交流回路に流れる電流実効値が等しく、それぞれの電流位相が0度、+20度、−20度の場合に、鉄心に作用する起磁力がほぼゼロになるように複数の巻線が磁気結合されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、降圧用の絶縁変圧器が必要になる低圧大容量の用途に対して、絶縁変圧器による移相機能と、交流相間リアクトルの移相機能及び電流平衡化の効果を組合わせることにより、小形かつ安価な並列18パルス整流回路を実現することができる。
すなわち、請求項1の発明によれば、従来では交流相間リアクトルのみで±20度の移相を行っていたのに対し、±30度移相を行う4巻線絶縁変圧器を用いることにより、交流相間リアクトルにおける電圧降下を±10度相当にすることができる。
請求項2の発明によれば、±20度移相を行う千鳥結線の絶縁変圧器を用いることにより、交流相間リアクトルにおける基本波成分の電圧降下をほぼゼロにすることができる。
請求項3の発明によれば、従来では交流相間リアクトルのみで±20度の移相を行っていたのに対し、±30度移相を行う絶縁変圧器を用いることにより、交流相間リアクトルにおける電圧降下を±10度相当とし、かつ、交流相間リアクトルを高圧回路に接続することができる。
請求項4の発明によれば、±20度移相を行う千鳥結線の絶縁変圧器を用い、かつ、交流相間リアクトルを高圧回路に接続することができる。
このため、請求項1〜4の発明によれば、交流相間リアクトルひいては整流回路全体の小形化、低価格が可能になる。また、絶縁変圧器を用いることで零相電流が流れない回路構成を実現し、3相3脚鉄心の交流相間リアクトルを使用できることで小形化、低価格化に一層寄与するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
まず、図1は請求項1に相当する本発明の第1実施形態を示す回路図である。図1において、3相交流電源に接続された3相入力端子U,V,Wには、第1〜第3の2次巻線2A,2B,2Cを有する4巻線絶縁変圧器2の1次巻線2Sが接続されている。
図示するように、1次巻線2Sをデルタ結線、第1の2次巻線2Aをデルタ結線、第2,第3の2次巻線2B,2Cをスター結線とすると、第1の2次巻線2Aの位相を基準にした場合、各2次巻線2A,2B,2Cの位相が順に0度(基準位相)、+30度,−30度の位相差を持つ4巻線絶縁変圧器2を構成することができる。
【0029】
上記絶縁変換器2の2次巻線2A,2B,2Cは、巻数がN〜Nである各相の3巻線が同一鉄心(3相3脚鉄心)上に巻かれた第1の交流相間リアクトル35に接続されている。詳しくは、2次巻線2Aは交流相間リアクトル35の巻線35U,35V,35W(何れも巻数はN)を介して第1の3相ブリッジ整流器1Aの交流回路に接続され、2次巻線2Bは交流相間リアクトル35の巻線35U,35V,35W(何れも巻数はN)を介して後述する第2の交流相間リアクトル34に接続され、2次巻線2Cは交流相間リアクトル35の巻線35U,35V,35W(何れも巻数はN)を介して第2の交流相間リアクトル34に接続されている。
【0030】
第2の交流相間リアクトル34は、巻数がN〜Nの各相の3巻線が同一鉄心(3相3脚鉄心)上に巻かれており、巻線34U,34V,34W(何れも巻数はN)は前記巻線35U,35V,35Wに接続されていると共に、第2の3相ブリッジ整流器1Bの交流回路に接続されている。また、巻線34U,34V,34W(何れも巻数はN)は前記交流相間リアクトル35の巻線35U,35V,35Wに接続されていると共に、図示するように互いに異なる相の巻線34U,34V,34W(何れも巻数はN)にそれぞれ直列接続されており、これらの巻線34U,34V,34Wは第3の3相ブリッジ整流器1Cの交流回路に接続されている。
ここで、上述した各巻線の巻数N〜Nは、図7〜図9に示した従来技術における各巻線の巻数N〜Nと同一であることを意味するものではない。
なお、第1〜第3の3相ブリッジ整流器1A〜1Cの直流回路は並列接続されており、直流出力端子P,N間には平滑コンデンサ4が接続されている。
【0031】
ここで、第2の交流相間リアクトル34は、各整流器1A〜1Cに流れる電流の方向を交流電流の正方向と定めるならば、巻線34U,34V,34Wと巻線34U,34V,34Wとは同極性に磁気結合され、巻線34U,34V,34Wはこれらと逆極性に磁気結合されている。
なお、これらの巻線の巻数比は、
:N:N=1.35:0.532:1
に設定されている。
【0032】
ところで、交流相間リアクトルは同一鉄心上に巻かれた巻線による起磁力の総和が理想的にはゼロになるように作用する。第2の交流相間リアクトル34の巻線の結線状態及び上記巻数比の場合、巻線34U,34V,34Wと巻線34U,34V,34W(直列接続された巻線34U,34V,34Wも同一)の電流は、理想的には実効値が等しく、位相差が40度(±20度)になる。
【0033】
一方、第1の交流相間リアクトル35においては、巻線35U,35V,35Wと巻線35U,35V,35Wとは同極性に磁気結合しているのに対し、巻線35U,35V,35Wは逆極性に磁気結合している。
更に、これらの巻線の巻数比は、
:N:N=1.88:1:1
に設定されている。
上記交流相間リアクトル35の巻線の結線状態及び上記巻数比の場合、巻線35U,35V,35W、巻線35U,35V,35W、及び巻線35U,35V,35Wに流れる電流は理想的には実効値が等しく、巻線35U,35V,35Wに流れる電流を基準位相にとると、電流の位相差はそれぞれ0度、+20度、−20度となる。
【0034】
次に、交流相間リアクトル35の作用をベクトル図を用いて説明する。
図2は、上述した各巻線を流れる電流の関係を示したベクトル図であり、I〜Iはそれぞれ巻線35U,35V,35W、巻線35U,35V,35W、及び巻線35U,35V,35Wに流れる電流を表わしている(なお、明細書本文ではベクトルを示すドットを省略する)。
【0035】
図示するように、電流I,Iの実効値が等しく、これらの位相差が40度(±20度)であることは、前述した交流相間リアクトル35の作用による。
更に、交流相間リアクトル35の巻線の結線状態及び巻数比から、数式1が成り立つ。
【0036】
【数1】

【0037】
数式1における1.88は、2×cos(20度)を意味しており、図2は、Iを基準にとるとIの位相差は+20度、Iの位相差は−20度であり、更にI〜Iの実効値が等しいことを示している。
上記の結果、ブリッジ整流器1A〜1Cの入力位相は0度(基準位相)、+20度、−20度となって、本回路は18パルス整流回路として動作する。
【0038】
ここで着目することは、移相機能をもつ絶縁変圧器2の存在である。交流相間リアクトル35を介して交流相間リアクトル34の巻線34U,34V,34W、巻線34U,34V,34Wに接続される絶縁変圧器2の第2,第3の2次巻線2B,2Cの位相差は±30度ある。このことにより、交流相間リアクトル34では、±30度と±20度との差分である±10度移相分の電圧降下しか発生しない。
非特許文献3に係る従来技術では、交流相間リアクトル31において±20度移相分の電圧降下が発生するので、本実施形態では上記従来技術に比較して交流相間リアクトル34の容量を小さくして小形化、低価格化を図ることができる。
【0039】
なお、この実施形態において、4巻線絶縁変圧器2に代えて3台の2巻線絶縁変圧器を使用しても良い。また、デルタ/スター結線などによる絶縁変圧器の移相機能は、交流相間リアクトルトとは異なり、機器容量が増加しないことも言うまでもない。
【0040】
次に、請求項2に相当する本発明の第2実施形態を説明する。
図1における絶縁変圧器2の1次巻線または2次巻線を千鳥結線とすれば、±30度以外の位相差をつくることも可能である。そこで、第2実施形態では、絶縁変圧器2の1次巻線または2次巻線を千鳥結線にすることにより、2次巻線2A,2B,2Cの位相を0度(基準位相)、+20度、−20度とする。なお、厳密に0度、+20度、−20度にする必要はなく、例えば0度、+25度、−25度の位相差であっても良い。
これにより、交流相間リアクトル34には移相に伴う基本波成分(電源周波数成分)の電圧降下は発生せず、交流相間リアクトル34の容量を低減して小形化、低価格化を図ることができる。
【0041】
図3は、請求項3に相当する本発明の第3実施形態を示す回路図である。
図3において、33は第1の交流相間リアクトルであり、3相入力端子U,V,Wと第1の絶縁変圧器21Aの1次巻線21Aとの間に接続された巻線33U,33V,33W(何れも巻数はN)と、3相入力端子U,V,Wと第2の交流相間リアクトル31との間に接続された巻線33U,33V,33W(何れも巻数はN)とから構成されている。
【0042】
また、第2の交流相間リアクトル31は、前記巻線33U,33V,33Wに接続された巻線31U,31V,31W(何れも巻数はN)と、この巻線と第2,第3の絶縁変圧器21B,21Cの1次巻線21B,21Cとの間に接続された巻線31U,31V,31W(何れも巻数はN)、31U,31V,31W(何れも巻数はN)とから構成されている。
なお、上述した各巻線の巻数N〜Nは、図1における各巻線の巻数N〜Nと同一であることを意味するものではない。このことは、第4実施形態においても同様である。
【0043】
交流相間リアクトル33の巻線33U,33V,33W,33U,33V,33W、及び、交流相間リアクトル31の巻線31U,31V,31W,31U,31V,31W,31U,31V,31Wは、それぞれ同一鉄心(3相3脚鉄心)上に巻かれている。
更に、第1〜第3の絶縁変圧器21A,21B,21Cの2次巻線21A,21B,21Cは3相ブリッジ整流器1A,1B,1Cの交流回路にそれぞれ接続されており、その直流回路は互いに並列に接続されている。
ここで、前記絶縁変圧器21Aはデルタ/デルタ結線であり、入出力位相差はゼロである。絶縁変圧器21Bはデルタ/スター結線であり、入力位相に対して出力位相は30度進んでいる。絶縁変圧器21Cはデルタ/スター結線であり入力位相に対して出力位相は30度遅れている。
【0044】
いま、各ブリッジ整流器1A,1B,1Cに流れる電流の方向を交流電流の正方向と定めるならば,交流相間リアクトル33の巻線33U,33V,33Wと巻線33U,33V,33Wとは逆極性に磁気結合されている。
これらの巻線の巻数比は、
:N=1.88:1
に設定されている。
【0045】
また、図3から明らかなように、交流相間リアクトル31の巻線31U,31V,31Wは互いに異なる相の巻線31U,31V,31W,31U,31V,31Wに直列接続されていると共に、巻線31U,31V,31Wと巻線31U,31V,31Wとは同極性に磁気結合し、これらに対して巻線31U,31V,31Wは逆極性に磁気結合している。
これらの巻線の巻数比は、
:N:N=4.41:5.41:1
に設定されている。
【0046】
この実施形態において、交流相間リアクトル31は入力位相に対して出力位相を±20度移相する作用があるが、その出力側に接続された±30度移相する第2,第3の絶縁変圧器21B,21Cの作用により、交流相間リアクトル31における電圧降下はその差分である±10度相当の値となる。
前述した非特許文献3に係る従来技術では、交流相間リアクトル31が±20度移相するので、本実施形態によれば、上記従来技術に比較して交流相間リアクトル31の容量を小さくして小形化、低価格化を図ることができる。
また、本実施形態では交流相間リアクトル31が高圧回路に接続されているので、巻線電流が減少する点でも相間リアクトル31の小形化、低価格化に寄与するものである。
【0047】
次に、図4は本発明の第4実施形態を示す回路図である。ここでは、図3に示した第3実施形態と同一の構成要素には同一の参照符号を付して説明を省略し、図3との相違点を中心に説明する。
図4に示す第4実施形態では、第2,第3の絶縁変圧器22B,22Cに千鳥結線形の絶縁変圧器を使用しており、1次巻線22B,22Cに対する2次巻線22B,22Cの位相差をそれぞれ±20度としている。
【0048】
このため、本回路を並列18パルス整流回路として動作させるために、第2の交流相間リアクトル33’の移相機能は不要となる。すなわち、交流相間リアクトル33’は、その巻線33U’,33V’,33W’(何れも巻数をNとする)と巻線33U’,33V’,33W’(何れも巻数をNとする)との巻数比を、
:N=1:1
として同相の巻線を逆極性に磁気結合させている。これにより、巻線33U’,33V’,33W’及び巻線33U’,33V’,33W’を流れる電流は実効値が等しく、同位相になる。
【0049】
また、第1の交流相間リアクトル33は、図3と同様に巻線33U,33V,33W(何れも巻数をNとする)及び巻線33U,33V,33W(何れも巻数をNとする)から構成されており、同相の巻線33U,33U、33V,33V、33W1,33Wをそれぞれ逆極性に磁気結合し、巻数比を、
:N=2:1
と設定する。
これにより、巻線33U,33V,33W及び巻線33U,33V,33Wに流れる電流は、実効値の比が1:2となり、同位相となる。
【0050】
上記のことから、巻線33U’,33V’,33W’、巻線33U’,33V’,33W’及び巻線33U,33V,33Wの電流は実効値が等しく、かつ同位相になる。
更に、絶縁変圧器22B,22Cの移相機能により、3相ブリッジ整流器1A〜1Cの入力電流は実効値が等しく、位相が0度(基準位相)、+20度、−20度となるので、本回路は並列18パルス整流回路として動作する。
【0051】
以上のように、第4実施形態においては、±20度移相を行なう千鳥結線形の絶縁変圧器22B,22Cを用いることにより、交流相間リアクトル33’における基本波成分の電圧降下をゼロとし、しかも交流相間リアクトル33’を高圧回路に接続しているため、交流相間リアクトル33’を一層小形かつ安価にすることができる。
【0052】
なお、本発明は、上述した第1〜第4実施形態に何ら限定されるものではなく、請求項5に示すように、複数の2次巻線の位相が少なくとも1つは異なる絶縁変圧器と、同一鉄心上に複数の巻線が巻かれた相間リアクトルと、直流回路が互いに並列接続された第1〜第3の3相ブリッジ整流器と、を備え、3相交流電源と前記3相ブリッジ整流器とは、前記絶縁変圧器と前記相間リアクトルとを介して接続され、前記相間リアクトルは、第1〜第3の3相ブリッジ整流器の交流回路に流れる電流実効値が等しく、それぞれの電流位相が0度、+20度、−20度の場合に、鉄心に作用する起磁力がほぼゼロになるように複数の巻線が磁気結合されていれば、所期の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1,第2実施形態を示す回路図である。
【図2】第1実施形態における交流相間リアクトルの作用を説明するためのベクトル図である。
【図3】本発明の第3実施形態を示す回路図である。
【図4】本発明の第4実施形態を示す回路図である。
【図5】非特許文献1に記載された従来技術の回路図である。
【図6】非特許文献1に記載された従来技術の回路図である。
【図7】非特許文献2に記載された従来技術の回路図である。
【図8】特許文献1に記載された従来技術の回路図である。
【図9】非特許文献3に記載された従来技術の回路図である。
【符号の説明】
【0054】
1A,1B,1C:3相ブリッジ整流器
2,21A,21B,21C,22B,22C:絶縁変圧器
31,33,33’,34,35:交流相間リアクトル
4:平滑コンデンサ
U,V,W:3相入力端子
P,N:直流出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3相交流電圧を整流して直流電圧に変換する整流回路において、
1次巻線が3相交流電源に接続され、かつ、基準位相に対してそれぞれ0度、+30度、−30度の位相差をもつ第1〜第3の2次巻線を有する絶縁変圧器と、
同一鉄心上にそれぞれ複数の巻線が巻かれた第1及び第2の相間リアクトルと、
直流回路が互いに並列接続された第1〜第3の3相ブリッジ整流器と、
を備え、
前記第1の2次巻線と前記第1の3相ブリッジ整流器の交流回路とが、前記第1の相間リアクトルを介して接続され、
前記第1,第2の相間リアクトルを介して、前記第2の2次巻線と前記第2の3相ブリッジ整流器の交流回路とが接続されると共に、前記第3の2次巻線と前記第3の3相ブリッジ整流器の交流回路とが接続され、
前記第1の相間リアクトル及び前記第2の相間リアクトルは、前記第1〜第3の3相ブリッジ整流器の交流回路に流れる電流実効値が等しく、それぞれの電流位相が0度、+20度、−20度の場合に、鉄心に作用する起磁力がほぼゼロになるように複数の巻線が磁気結合されていることを特徴とする並列18パルス整流回路。
【請求項2】
3相交流電圧を整流して直流電圧に変換する整流回路において、
1次巻線が3相交流電源に接続され、かつ、基準位相に対してそれぞれ0度、ほぼ+20度、ほぼ−20度の位相差をもつ第1〜第3の2次巻線を有する絶縁変圧器と、
同一鉄心上にそれぞれ複数の巻線が巻かれた第1及び第2の相間リアクトルと、
直流回路が互いに並列接続された第1〜第3の3相ブリッジ整流器と、
を備え、
前記第1の2次巻線と前記第1の3相ブリッジ整流器の交流回路とが、前記第1の相間リアクトルを介して接続され、
前記第1,第2の相間リアクトルを介して、前記第2の2次巻線と前記第2の3相ブリッジ整流器の交流回路とが接続されると共に、前記第3の2次巻線と前記第3の3相ブリッジ整流器の交流回路とが接続され、
前記第1の相間リアクトル及び前記第2の相間リアクトルは、前記第1〜第3の3相ブリッジ整流器の交流回路に流れる電流実効値が等しく、それぞれの電流位相が0度、+20度、−20度の場合に、鉄心に作用する起磁力がほぼゼロになるように複数の巻線が磁気結合されていることを特徴とする並列18パルス整流回路。
【請求項3】
3相交流電圧を整流して直流電圧に変換する整流回路において、
基準位相に対してそれぞれ0度、+30度、−30度の位相差を有する2次電圧を出力する第1〜第3の絶縁変圧器と、
同一鉄心上にそれぞれ複数の巻線が巻かれた第1及び第2の相間リアクトルと、
直流回路が互いに並列接続された第1〜第3の3相ブリッジ整流器と、
を備え、
3相交流電源と前記第1の3相ブリッジ整流器の交流回路とが、前記第1の相間リアクトルと前記第1の絶縁変圧器とを介して接続され、
前記3相交流電源と前記第2の3相ブリッジ整流器の交流回路とが、前記第1,第2の相間リアクトルと前記第2の絶縁変圧器とを介して接続され、
前記3相交流電源と前記第3の3相ブリッジ整流器の交流回路とが、前記第1,第2の相間リアクトルと前記第3の絶縁変圧器とを介して接続され、
前記第1の相間リアクトル及び前記第2の相間リアクトルは、前記第1〜第3の3相ブリッジ整流器の交流回路に流れる電流実効値が等しく、それぞれの電流位相が0度、+20度、−20度の場合に、鉄心に作用する起磁力がほぼゼロになるように複数の巻線が磁気結合されていることを特徴とする並列18パルス整流回路。
【請求項4】
3相交流電圧を整流して直流電圧に変換する整流回路において、
基準位相に対してそれぞれ0度、ほぼ+20度、ほぼ−20度の位相差を有する2次電圧を出力する第1〜第3の絶縁変圧器と、
同一鉄心上にそれぞれ複数の巻線が巻かれた第1及び第2の相間リアクトルと、
直流回路が互いに並列接続された第1〜第3の3相ブリッジ整流器と、
を備え、
3相交流電源と前記第1の3相ブリッジ整流器の交流回路とが、前記第1の相間リアクトルと前記第1の絶縁変圧器とを介して接続され、
前記3相交流電源と前記第2の3相ブリッジ整流器の交流回路とが、前記第1及び第2の相間リアクトルと前記第2の絶縁変圧器とを介して接続され、
前記3相交流電源と前記第3の3相ブリッジ整流器の交流回路とが、前記第1及び第2の相間リアクトルと前記第3の絶縁変圧器とを介して接続され、
前記第1の相間リアクトル及び前記第2の相間リアクトルは、前記第1〜第3の3相ブリッジ整流器の交流回路に流れる電流実効値が等しく、それぞれの電流位相が0度、+20度、−20度の場合に、鉄心に作用する起磁力がほぼゼロになるように複数の巻線が磁気結合されていることを特徴とする並列18パルス整流回路。
【請求項5】
3相交流電圧を整流して直流電圧に変換する整流回路において、
複数の2次巻線の位相が少なくとも1つは異なる絶縁変圧器と、
同一鉄心上に複数の巻線が巻かれた相間リアクトルと、
直流回路が互いに並列接続された第1〜第3の3相ブリッジ整流器と、
を備え、
3相交流電源と前記3相ブリッジ整流器とは、前記絶縁変圧器と前記相間リアクトルとを介して接続され、
前記相間リアクトルは、前記第1〜第3の3相ブリッジ整流器の交流回路に流れる電流実効値が等しく、それぞれの電流位相が0度、+20度、−20度の場合に、鉄心に作用する起磁力がほぼゼロになるように複数の巻線が磁気結合されていることを特徴とする並列18パルス整流回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−278715(P2008−278715A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−122341(P2007−122341)
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】