説明

中断の無い会議コールのための方法

開示される本発明は回線交換網に於ける会議の不安定問題に関し、H.320の会議リンクと並列にバックアップの“音声のみの”電話通信リンクを確立する方法を提供する。コールするパーテイ間の該2つのリンクは1つの論理的なコールの実体として扱われる。オーディオは該H.320リンクのステイタスがOKの時は該バックアップ音声電話通信リンク上では消される。もし該H.320リンク上で通信問題が検出されると、オーディオは該H.320リンク上では消され、代わりに該バックアップ音声電話通信リンクにスイッチされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は会議(conferencing)に関し、特に回線交換網に於ける会議(circuit switched conferencing)の不安定問題(instability problems)に関する。
【背景技術】
【0002】
ISDNの様な回線交換網(circuit switched network)上でのマルチメディア通信(multimedia communications)用の共通標準は国際電気通信連合(International Telecommunications Union){アイテーユー(ITU)}からのH.320標準(H.320 standard)である。H.320は種々のプロトコル層(protocol layers)を規定する幾つかの副標準(sub standard)を有する包括標準(umbrella standard)である。1例はH.221である。H.221はH.320のフレーム化プロトコル(framing protocol)である。この勧告(recommendation)の目的は視聴用遠隔サービス(audiovidual teleservices)のためのフレーム構造(frame structure)を規定することである。
【0003】
ISDNネットワーク上のビデオ会議コール(Video conferencing
call)(以下H.320コールと呼ぶ)は普通の音声電話通信コール(voice
telephony calls)より広いバンド幅(bandwidth)を必要とする。普通ボンディングテーエム(BONDINGTM)と呼ばれるプロトコルISO13871は、分離したISDNチャンネルの1セット上での通信をサポートし、それらのバンド幅を、以下H.320リンクと呼ばれる、単一コヒーレントチャンネル(single coherent channel)に組み合わせる。例えば、256kb/sのデータストリーム(data stream)が4つの64kb/sチャンネル上でサポートされる。音声と画像の品質は使われる該チェンネル数(バンド幅)と相関がある。
【0004】
ボンディングテーエム(ISO13871)はボンディングコンソーシアム(BONDING consortium)により最初に草案化され、その後、国際標準化機構(International Organization for Standardiztion){アイエスオー(ISO)}により維持されている技術である。該技術は多数の交換網の56/64kb/sチャンネルを組み合わせることにより広帯域通信接続(wideband communication connection)を確立するためのフレーム構造と手順(frame structures and procedures)を創るため使われる。ボンディングテーエムは元々該ボンディングコンソーシアムにより発行された“Nx56/64kb/sコール用の相互動作性要求(Interoperability Requirements for Nx56/64 kbit/s Calls)”仕様書(specification)で説明された。現在のプロトコルは該国際標準化機構により維持される仕様書ISO13871、“デジタルチャンネルアグレゲーション(Digital Channel Aggregaton)”で説明される。ボンディングテーエム技術の主な課題は個別チャンネルのデータオクテット(data octets)を整合することである。広帯域接続用に使われるチャンネルは相互に独立のルートを取り、かくして各チャンネル内のデータは他のチャンネルのデータに対し別々に遅延する。各56/64kb/sベアラーチャンネル(bearer channel)用の規定されたフレーム構造は、終端(terminating end)で個別チャンネルを合成直列データストリーム(composite serial data stream)に再形成する前に、該個別チャンネルからのデータオクテットのそれらの元のシーケンスへの整合(alignment)をもたらす。
【0005】
{ベアラー能力(bearer capability)“無拘束デジタル(unrestricted digital)”を使いISDN上でデータを送信する}H.320コールは{ベアラー能力“スピーチ(speech)”を使いISDN上で音声を送信する}普通の音声電話通信コールより多く低品質の(ノイズの多い)ISDNネットワーク上の不安定性(instability)及び遮断作用(disconnections)に曝される。低品質ISDNネットワーク条件はH.320コールの屡々の遮断作用を引き起こす。これはH.320リンクが該ボンディングテーエム過程により組み合わされた幾つかの別々のISDNチャンネルで作られるからである。1例として、1つのチャンネルのタイミングがスリップすると、リンク全体用の再同期化過程(resynchronization process)が要求される。これはユーザーには他のパーテイとの通信を混乱させる中断(interruption)に見える。更に、H.320リンクは時々Bチャンネルの1つのルートを取り直させねばならない(has to re−route)。その時該ボンディングテーエム手順が再び実行されねばならず、ユーザーはタイミングスリップ用と同じ中断を経験するだろう。該中断も又完全な遮断作用を引き起こす。
【0006】
コールするパーテイ間のこの様な通信の停止(breakdowns)はユーザにビデオ会議に伴う悪い経験を与える。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本書に収められた独立請求項で規定される特徴は本配備と方法を性格付ける。
【0008】
特に、本発明は会議通信リンク(conference communication
link)をサポートする方法を開示するが、該方法は、該会議通信リンクの始動時非送信状態(non−transmitting state)でISDNオーディオリンク(ISDN audio link)を確立する過程と、予め規定されたエラー及び/又はイベントについて該会議通信リンクをモニターする過程と、そして前記エラー及び/又はイベントの1つ以上が検出された時該ISDNオーディオリンクを送信状態(transmitting state)に、そして該会議通信リンクを非送信状態に変える過程を具備する。
【実施例1】
【0009】
本発明を実施する最良モード
下記では、本発明が、好ましい実施例を説明し、付属図面を参照することにより論じられる。しかしながら、当業者は、本書に収められた独立請求項で規定される本発明の範囲内で、他の応用及び変型を実現するであろう。
【0010】
本発明によれば、ビデオ会議用に割り当てられたISDNチャンネルの1つがバックアップの“音声のみの(voice only)”電話通信リンク(telephony link)として使われる。このバックアップリンク(backup link)は該H.320リンクと並列にセットアップされる。コールするパーテイ間の該2つのリンクは1つの論理的なコールの実体(one logical call entity)として取り扱われる。
【0011】
オーディオは、該H.320リンクの状態がOKの時は該バックアップ音声電話通信リンク上では消される(muted)。もし該H.320リンク上で通信問題が検出される
なら、オーディオは該H.320上では消され、代わりに該バックアップ音声電話通信リンクへスイッチされる。バックアップ音声電話通信リンクを用いた該ビデオコールモード(video call mode)はこの後音声バックアップモード(voice backup mode)と呼ばれる。
【0012】
本発明は上記図面を参照する実施例により下記で図解される。図3は2つのパーテイ、a及びb、間のH.320コールをセットアップ(setting up)する過程を図解する。この場合該a側は8つの利用可能なISDNのBチャンネルを有し、音声バックアップモードでランすることが出来て(enabled to run)、一方該b側は6つの利用可能なISDNのBチャンネルを有し、音声バックアップモードでランすることが出来る。
【0013】
該a側は1つのISDNのBチャンネルをセットアップすることにより該b側へのコールを始動する。Bチャンネルを求める要求は、該セットアップ(SETUP)又はコネクト(CONNECT)メッセージ内のベアラー能力フイールド(bearer capability field)を“無拘束デジタル”にセットすることにより該ISDNのDチャンネル経由で送信される(データチャンネル)。この最初のチャンネルが確立されると、該a側は該b側に8チャンネルを該コール用にリザーブするよう要求することにより該ボンディングテーエム過程をスタートしてもよい。該b側システムは利用出来る6チャンネルのみしか有しないので、それはそれが6チャンネルしか使用出来ないことを答えるが、該6チャンネルの中で1チャンネルはバックアップ音声電話通信リンクとしてセットアップされ得る。
【0014】
該ボンディングテーエム手順では、図2で図解される、情報チャンネルフレーム(Information Channel Frames)は該Bチャンネル内の該ボンディングテーエム用の制御情報(control information)を通信する。本発明によれば、該情報チャンネルメッセージ内のリザーブされたビット(reserved bits){アールイーエス(Res)}の1つが該システム間の音声バックアップモード能力を合図するため使われるのが好ましい。これらのビットは普通1にセットされ、受信時無視される。しかしながら、音声バックアップモードを許容するエンドポイント(End−Points)は、これらのビットを無視しないようコンフィギュア(configured)されるべきであり、1と異なる或るビットパターンのみ(a certain bit pattern different from 1’s only)が、バックアップ音声リンクの確立を示し得る。
【0015】
今、該例に戻ると、該システムは該コール用に6つのISDNチャンネルを使うことに同意し、その1つはバックアップ音声電話通信リンクとして使われる。該a側は該b側に該5つの残りのISDNチャンネルのダイアル番号(dial numbers)を要求するだろう。該b側は該番号を返し、該a側はそのコールのセットアップ過程を始動する。該5つのチャンネルは同時に、すなわち並列に、セットアップされる。該チャンネルの1つ、例えば、チャンネル2は該音声電話通信リンクとしてセットアップされる。このチャンネル用に、該セットアップ又はコネクトメッセージ内のベアラー能力フイールド(bearer capability field)は“スピーチ(speech)”にセットされる。該4つの他のチャンネル3,4,5そして6はベアラー能力“無拘束デジタル”を使ってセットアップされる。
【0016】
該ボンディングテーエム手順が完了すると、チャンネル1,3,4,5そして6は該H.320リンクを形成し、チャンネル2は該バックアップ音声電話通信リンクとなる。該H.320が確立されると、該バックアップ音声電話通信リンク上のオーディオは消され、一方オーディオ及びビデオは該H.320リンク上で送信される。該バックアップ音声電話通信リンクは入力部(input)で消される(muted)のが好ましく、それは普通受信されるであろうデータが受信器(receiver)の入力部で捨てられる(discarded)ことを意味する。この方法では、該リンクはもし該H.320リンクが失敗するならば瞬時のバックアップ用に準備が出来ている。
【0017】
代わりの方法は該バックアップ音声電話通信リンクを出力部(output)で消すことであり、それは普通送信されて来たであろうデータが該送信器の出力部で捨てられることを意味する。
【0018】
本発明によれば、バックアップ音声電話通信リンクが確立されると、パーテイ間の通信は、或るエラーが検出された時、H.320からバックアップ音声電話通信リンクへスイッチされる。これは図4で図解される。H.320通信で起こりそうな2つの主なエラー状況があり、メディアストリーム(media stream)内のエラーとフレーム化(framing)でのエラーである{エフエイエス/ビーエイエス(fas/bas)}。該ボンディングコンソーシアムにより発行された上記で引用した“Nx56/64kb/sコール用相互動作性要求”ではボンディング動作の4つのモード、モード0,1,2そして3が説明されている。モード2と3はインバンドモニタリング機能(in−band monitoring functions)を提供する。モード1はインバンドモニタリング機能を提供しない。従って、1つ以上のチャンネル上のエラー条件は自動的には認識されない。モード1については、エラー検出は、該メディアストリーム上の巡回冗長検査(cyclic redundancy checks)及びフレーム化エラー検出用機構(mechanisms for detecting framing errors)を用いて実現され得る。
【0019】
これらのカテゴリーのエラーが起こると、ビデオシステムは再同期化過程(resynchronization process)を始動するのが典型的である。バックアップ音声モードでランしているビデオシステムが再同期化過程を始動すると、該システム(図4で図解されるb側)は該H.320リンク上のオーディオを消し、オーディオを該バックアップ音声リンクへスイッチする。再び、該それぞれの受信器入力部上で消し動作が達成されるので、データはなお発生されるが、受信されない。反対に、該入力部上でこのリンクからのデータをこれ以上捨てないことにより、該バックアップ音声リンクはオンにスイッチされる。次いで該b側は、その問題についてプロトコルH.221Aビット内にある機構を使ってa側に知らせる。プロトコルH.221の該Aビットは、関与するパーテイが同期しているかどうか、又は再同期化過程を始動したかどうか(whether a participating party is in sync or has initiated a resynchronization process)を示す。もし該a側が該b側からハイのH.221Aビット信号を受信するなら、それは該H.320リンク上のオーディを消し、オーディオを該バックアップ音声リンクへスイッチする。もし該a側が何かの理由で該H.221Aビットメッセージを受信しないなら、該システムは予め規定されたタイムアウトの後(after a predefined timeout)オーディオを該バックアップ音声リンクへスイッチするであろう。
【0020】
タンドバーグ6000(Tandberg 6000)の様な進んだビデオ会議システムは、再同期化及びダウンスピーディング(down speeding)(そのコール用に使われるISDNチャンネルの数を減じる)の様な機構を使って失敗したH.320リンクを再確立するよう自動的に試みるであろう。これらの企ては成功するかも知れないが、又失敗するかも知れない。システムが該H.320リンクを自動的に再確立するのに成功しない時、そのコールは遮断されるだろう。
【0021】
従って、バックアップモードへのスイッチの後普通のH.320コールモードを再確立
するためには2つのシナリオがある:
ビデオ会議システムはその通信問題の後該H.320リンクを再確立するよう運営せず、該H.320リンクに付随する全ISDNチャンネルが遮断される。
【0022】
ビデオ会議システムが自動的にH.320リンクの再確立に成功する。
【0023】
今図5を参照すると、該H.320リンクが完全に遮断され、唯バックアップ音声電話通信リンクのみがオープンしている場合は、ユーザーが該H.320リンクを再接続するのを助けるために下記機構が作られ得る:
該a側(元々コールを始動した)のシステムは、自動的にか、又はそのユーザーからの手動に確認の後に、新しいH.320リンクをセットアップするよう企てる。該b側は最初のISDNチャンネルをセットアップする要求を受け入れる。もっと多くのISDNチャンネルをセットアップするよう該ボンディングテーエム過程を続ける前に、該a側はその新コールは故障したH.320リンクを再接続する企てであることを通信せねばならない(最初のISDNチャンネル上で)。その到来するコールが丁度遮断された同じエンドポイントから発していることを該b側に知らせる信号が送られねばならない。もしこれが合図されないなら、該b側は該コールを受け入れないであろうし、そして最初のISDNチャンネルは遮断されるであろう。これは進行中の会議/コールが妨害されないことを保証するだろう。もし該再接続信号が送られるなら、該ボンディングテーエム過程は該H.320リンクが再確立されるまで続くであろう。システムが該H.320リンクがOKであるよう診断すると、上記で説明した該H.221Aビット機構は、該バックアップ音声電話通信リンク上のオーディオを消し、オーディオを該H.320リンクへスイッチする時を同期するために使われる。該コールするパーテイは該再接続手順中バックアップ音声電話通信リンク経由で通信することが出来る。
【0024】
該システムが、自動再同期化及び(時には)ダウンスピーディング手順を通してランした後該H.320リンクの再確立に成功した場合、両端のシステムがH.320リンクをOKであると診断した時音声オーディオは該バックアップリンク上で消され、該H.320リンクへスイッチされる。このスイッチも又該H.221Aビット合図手順を使って同期化され得る。
【0025】
本発明をより容易に理解可能にするために、付随する論議は付属図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のチャンネル構成を図解する。
【図2】ボンディング手順で使われる情報チャンネルフレームのブロック線図である。
【図3】バックアップモードのセットアップ手順を図解する時間フローチャートである。
【図4】オーディオのH.320リンクからバックアップ音声リンクへのスイッチを図解する時間フローチャートである。
【図5】H.320の再確立後オーディオのバックアップ音声リンクからH.320リンクへのスイッチを図解する時間フローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のエンドポイント間の通信用の会議リンクをサポートする方法に於いて、該方法が
該会議リンクを始動する時該エンドポイント間にISDNオーディオリンクを確立する過程と、
予め規定されたエラー及び/又はイベントについて該会議リンクをモニターする過程と、
1つ以上の前記エラー及び/又はイベントが検出された時通信を該会議リンクから該ISDNオーディオリンクへスイッチする過程と、
前記検出されたエラー及び/又はイベントが消えた時及び/又は該会議リンクが再確立された時、該通信を該ISDNオーディオリンクから該会議リンクへ戻るようスイッチする過程と、を具備することを特徴とする該方法。
【請求項2】
該会議リンクがボンディングテーエム手順により一緒に合体された多数のISDNデータリンクを有するH.320リンクであることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項3】
前記ISDNオーディオリンクを確立する該過程が更に、該ボンディングテーエム手順の情報チャンネルフレームのアールイーエスフイールド内に予め規定されたビットパターンを挿入することによりISDNオーディオリンクの存在を示す過程を備えることを特徴とする請求項2の方法。
【請求項4】
該ISDNオーディオリンクが使用されない時送信エンドポイントの出力部上のデータを捨てる過程を具備することを特徴とする該請求項1−3の1つの方法。
【請求項5】
該ISDNオーディオリンクが使用されない時受信するエンドポイントの入力部上のデータを捨てる過程を具備することを特徴とする該請求項1−3の1つの方法。
【請求項6】
前記予め規定されたイベントの1つが前記H.320リンクの再同期化過程の生起であることを特徴とする該請求項2−5の1つの方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−528163(P2007−528163A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501739(P2007−501739)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【国際出願番号】PCT/NO2005/000073
【国際公開番号】WO2005/086482
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(505199337)タンドベルク・テレコム・エイ・エス (33)
【Fターム(参考)】