中空のカプセル構造体およびその製造方法
【課題】 電子伝導性が良好で、比表面積が広く、物質伝達が容易な中空のカプセル構造体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は中空のカプセル構造体およびその製造方法に関し、上記中空のカプセル構造体は球状のナノ気孔を含む外殻を有する。
本発明による中空のカプセル構造体は、気孔が相互連結されており、電子伝導性が良好で、比表面積が広い。さらに、外殻に含まれているナノ気孔による毛細管現象により物質伝達が容易である。触媒担持体、カーボンナノチューブ成長用支持体、活物質、導電剤、分離剤、脱臭剤、浄水剤、吸着剤、ディスプレイ用エミッタ層形成用物質、フィルターなど様々な分野で広く利用できる。
【解決手段】本発明は中空のカプセル構造体およびその製造方法に関し、上記中空のカプセル構造体は球状のナノ気孔を含む外殻を有する。
本発明による中空のカプセル構造体は、気孔が相互連結されており、電子伝導性が良好で、比表面積が広い。さらに、外殻に含まれているナノ気孔による毛細管現象により物質伝達が容易である。触媒担持体、カーボンナノチューブ成長用支持体、活物質、導電剤、分離剤、脱臭剤、浄水剤、吸着剤、ディスプレイ用エミッタ層形成用物質、フィルターなど様々な分野で広く利用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は中空のカプセル構造体およびその製造方法に関する。より詳しくは、電子伝導性が良好で、比表面積が広く、物質伝達が容易な中空のカプセル構造体およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、多孔性物質は物質内に気孔を含むもので、触媒の担体、分離システム、低誘電定数物質、水素含有物質、フォトニクスクリスタルなど多くの分野で利用されている。この多孔性物質としては、無機物質、金属、ポリマー、炭素などが挙げられ、特に炭素物質は、化学的、機械的、および熱的安定性に優れて様々な分野に適用できる有用な物質である。
【0003】
さらに、多孔性炭素物質は、燃料電池分野で広く利用することができる。これは表面特性、イオン伝導性、耐腐食性に優れて且つ費用の面で有利であるためである。種々の種類と形態の多孔性炭素物質が現在燃料電池分野で利用されており、その代表的な例が触媒担体に使用される活性炭素およびカーボンブラックである。より詳しくは、カーボンブラックまたはVulcan XC-72は、燃料電池の電極触媒用担体として使用されており、実際市販されているE-TCK触媒は、Vulcan XC-72に担持されたPt-Ru合金触媒である。
【0004】
最近は、種々の種類の炭素物質、例えば、メソ構造の炭素(meso structured carbon)、グラファイト性炭素ナノファイバー(graphitic carbon nanofiber)、およびメソ炭素マイクロビーズ(meso carbon microbead)等が金属触媒の活性を高めるための触媒担持体として広く使用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような多孔性炭素物質において、比表面積が広く、相互連結構造を有する多孔性炭素物質を合成することは、依然として非常に難しい作業である。最近は、ゼオライト、メソ多孔性物質、およびコロイダルクリスタルを用いるテンプレート複製法により、規則的に整列した多孔性炭素物質を合成している。この合成方法は、固形の多孔性シリカモールドに炭素前駆体を注入し、非酸化条件下で炭素前駆体を炭化した後、HFまたはNaOH溶液中に上記シリカモールドを溶解して多孔性炭素物質を製造するものである。しかし、これは単一大きさの気孔を有する炭素物質であって比表面積の増大に限界がある。そこでこれより広い比表面積を有し、相互連結構造の多孔性炭素物質に関する研究が求められる。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、電子伝導性が良好で、比表面積が広く、容易に物質伝達をすることが可能な、新規かつ改良された中空のカプセル構造体を提供することである。また本発明の目的は、上記中空のカプセル構造体の製造方法を提供することである。
また本発明の目的は、上記中空のカプセル構造体を有する燃料電池用触媒および燃料電池用膜−電極接合体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は球状のナノ気孔を含む外殻を有する中空のカプセル構造体を提供する。
【0008】
また、本発明は、マクロ気孔形成粒子に陽イオン性ポリマーを吸着させる段階と、上記陽イオン性ポリマーが吸着したマクロ気孔形成粒子にナノ気孔形成粒子を付着させて、中空のカプセル構造体の鋳型(以下、テンプレートという。)を形成する段階と、上記中空のカプセル構造体のテンプレートを焼成して陽イオン性ポリマーを除去する段階と、上記陽イオン性ポリマーが除去された中空のカプセル構造体のテンプレート空隙に中空のカプセル構造体の前駆体を注入する段階と、上記中空のカプセル構造体の前駆体が注入されたテンプレート内のナノ気孔形成粒子およびマクロ気孔形成粒子を除去する段階とを含む中空のカプセル構造体の製造方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、上記中空のカプセル構造体および上記中空のカプセル構造体に担持された活性物質を含有する燃料電池用触媒を提供する。
【0010】
また本発明は、上記触媒を含む燃料電池用膜−電極接合体を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明による中空のカプセル構造体は、電子伝導性が良好で、比表面積が広く、且つマクロサイズの中空と外殻に含まれているナノ気孔の間の毛細管現象により物質伝達が容易である。触媒担持体、活物質、導電剤、分離剤、脱臭剤、浄水剤、吸着剤、ディスプレイ用エミッタ層形成用物質、フィルターなど様々な分野で広く利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本明細書においては、特に断らない限り、多孔性物質は気孔が形成された物質を意味し、マイクロ気孔(micro pore)は気孔直径が2nm以下の気孔を意味し、メソ気孔(meso pore)は気孔直径が2〜50nmの気孔を意味し、マクロ気孔(macro pore)は気孔直径が50nmを超過する気孔を意味し、ナノ気孔(nano pore)は気孔直径が2〜100nmの気孔を意味する。以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0013】
最近、多孔性炭素物質に対する様々な合成方法が研究されている。例えば、鋳型を利用した多孔性炭素物質の合成方法として、球状のシリカ粒子が積層されたコロイド結晶鋳型に炭水化物や高分子単量体など前駆体を注入し、重合反応と炭素化過程を行った後、鋳型を溶解して除去することにより、規則的で一定の大きさを有する新たなマクロ多孔性炭素物質の合成することに対する技術が報告されている(A.A.Zajhidov,R.H.Baughman,Z.Iqubal,C.Cui,I.Khayrullin,S.O.Dantas,J.Matri and V.G.Ralchenko,Science1998,282,897;J.-S.Yu,S.B.Yoon and G.S.Chai,Carbon2001,399,1442-1446;J.-S.Yu,S.J.Lee and S.B.Yoon,Mol.Cryst.Liq.Cryst.,2001,371,107-110)。しかし、このような方法で製造された多孔性炭素物質は、その外殻や壁に均一な大きさのメソ多孔性が存在しない。また、外殻が均一なチャンネル形態の多孔性を示す、内部が中空型の二重多孔性物質である場合、外殻の気孔サイズが10nm以下で、物質伝達および支持体としての使用が容易ではないので用途が限られるという問題点があった。
【0014】
そこで本発明では、マクロサイズの粒子にナノサイズの粒子を複数層付着した鋳型粒子を用いて中空のカプセル構造体を製造するようにした。このような製造方法により、中空のカプセル構造体の表面積を簡単に制御することができる。また、このような製造方法により製造された中空のカプセル構造体は、電子伝導性が良好で、比表面積が広く、燃料電池用触媒担持体、リチウム2次電池用活物質または導電剤、分離剤、脱臭剤、浄水剤、吸着剤、ディスプレイ用エミッタ層形成用物質、フィルターなど様々な分野で広く利用することができる。
【0015】
本発明の一実施例による中空のカプセル構造体は、球状のナノ気孔を含む外殻を有する。
【0016】
上記中空のカプセル構造体において、カプセル構造体の中央に位置する中空は、マクロ水準が気孔直径を有することが好ましい。詳しくは、100nm〜5μmの気孔直径を有することが好ましく、300nm〜2μmの気孔直径を有することがより好ましい。このような範囲の気孔直径を有することが、マクロ気孔形成粒子の表面に多くのナノサイズの球状粒子の接合が容易となり好ましい。
【0017】
上記外殻に含まれているナノ気孔は球状であることが好ましい。
ナノ気孔の形状が球状であれば、中空のカプセル構造体が担持体として用いられる場合、従来外殻に含まれている気孔の形状が線状である場合と比べて担持がより容易であり、さらに担持後にも物質伝達効果が優れている。
【0018】
上記ナノ気孔は5〜100nmの気孔直径を有することが好ましい、より好ましくは10〜100nm、さらに好ましくは15〜100nm、最も好ましくは20〜100nmである。さらに最も好ましくは20〜60nmである。このような気孔直径を有するナノ気孔を含むことにより、気孔が詰まるおそれがなく、毛細管現象により物質伝達が容易となる。
【0019】
また、外殻に位置するナノ気孔サイズと中空との比率が1:1〜1:200であることが好ましく、1:3〜1:100がより好ましい。このような気孔サイズの比率を有する場合、多くの球状のナノ気孔の形成が容易となり好ましい。上記における中空のサイズは、中空のカプセル構造体の(平均)直径から、外殻の厚さを引いた値である。
【0020】
上記ナノ気孔を含む外殻は断層であってもよく、複層であってもよい。複層構造を有する場合、外殻の層数は2層〜5層であることが好ましく、2層〜4層であることがより好ましい。5層を超過すれば、カプセルがネットワークを形成するおそれがあるので好ましくない。
【0021】
このような中空およびナノ気孔を含む中空のカプセル構造体は、広い比表面積を有し優れた物質の吸着、着脱効果を示す。詳しくは、上記中空のカプセル構造体は、500m2/g〜2000m2/gの比表面積を有し、より好ましくは700m2/g〜1800m2/gの比表面積を有する。なお、中空のカプセル構造体の比表面積(BET表面積)は、液体質素(−196℃)下でMicromeritics社製、ASAP2020を用いて窒素ガス吸脱着法を利用して測定することができる。
【0022】
また、上記中空のカプセル構造体内の中空と外殻のナノ気孔が相互連結されて3次元ネットワークを形成することにより優れた電子伝導性を提供する。また、上記ナノ気孔の間には数nmの気孔直径を有するボイド(void)がさらに含まれていてもよい。上記ボイドは、ナノ気孔サイズの90〜95%の気孔サイズを有することが好ましい。このようなボイドの形成により10nm以下の気孔直径を有するようになる。上記中空のカプセル構造体は、炭素、高分子物質および無機酸化物からなる群より選択されるものを含む。
【0023】
上記高分子物質としては、ジビニルベンゼン、アクリロニトリル、塩化ビニル、ビニルアセテート、スチレン、(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジアルキル(メタ)アクリレート、ウレア(urea)、メラミン(melamin)、CR1R2=CR3R4(ここでR1〜R4は同一であるか互いに独立的に水素、アルキル基、およびアリール基からなる群より選択される。また、上記アルキル基はC1〜C6のアルキル基であることが好ましく、上記アリール基はC6〜C12のアリール基であることが好ましい。)、フェノール−フォルムアルデヒド、フェノール、フルフリルアルコール(furfuryl alcohol)、レゾルシノール-フォルムアルデヒド(RF)、アルデヒド、スクロース、グルコース、キシロース、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される単量体の共重合により形成された共重合体が含まれる。
【0024】
また、上記高分子物質は、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセンチレン、ポリアセン、ポリチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリ(p-フェニレン)、ポリフェニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンビニレン、ポリフラン、ポリアセンチレン、ポリセレノフェン(polyselenophene)、ポリイソチアナフテン、ポリチオフェンビニレン、ポリペリナフタレン(polyperinaphthalene)、ポリアントラセン、ポリナフタレン、ポリアズレン(polyazulene)、およびこれらの共重合体からなる群より選択される伝導性高分子である。
【0025】
また、上記無機金属酸化物は、Al、Zr、Ti、Sn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される酸化物である。
【0026】
上記のように、本発明の一実施例による中空のカプセル構造体は、触媒担持体、カーボンナノチューブ形成用支持体、活物質、導電剤、分離剤、脱臭剤、浄水剤、吸着剤、ディスプレイ用エミッタ層形成用物質、およびフィルターからなる群より選択されるものに適用可能である。
【0027】
図1は本発明の他の一実施例による中空のカプセル構造体の製造方法を示すフローチャートである。
【0028】
図1を参照すれば、上記中空のカプセル構造体の製造方法は、マクロ気孔形成粒子に陽イオン性ポリマーを吸着させる段階(ステップS1)、上記陽イオン性ポリマーが吸着したマクロ気孔形成粒子にナノ気孔形成粒子を付着させて、中空のカプセル構造体のテンプレートを形成する段階(ステップS2)、上記中空のカプセル構造体のテンプレートを焼成して陽イオン性ポリマーを除去する段階(ステップS3)、上記陽イオン性ポリマーが除去された中空のカプセル構造体のテンプレート空隙に中空のカプセル構造体の前駆体を注入する段階(ステップS4)、上記中空のカプセル構造体の前駆体が注入された中空のカプセル構造体のテンプレート内ナノ気孔形成粒子およびマクロ気孔形成粒子を除去する段階(ステップS5)、およびナノ気孔を含む外殻を有する中空のカプセル構造体を得る段階(ステップS6)を含む。
【0029】
以下、各段階を詳しく説明する。まず、マクロ気孔形成粒子に陽イオン性ポリマーを吸着する(ステップS1)。
【0030】
上記マクロ気孔形成粒子としては、後の酸または塩基によるエッチング工程時に除去が容易であるか、あるいは熱による物理的焼成工程を通じて除去できる物質であれば特に制限なく使用可能である。その例として、熱による物理的焼成工程を実施できる物質としてポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレートのようなポリアルキル(メタ)アクリレート、およびこれらの共重合体を含む高分子またはマクロエマルジョンポリマービードが挙げられる。さらに、酸や塩基によるエッチング工程時に除去が容易な物質としては、Si、Al、Zr、Ti、Sn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素を含む無機酸化物と、銅、銀、金などの球状金属、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものが挙げられる。
【0031】
上記マクロ気孔形成粒子は、最終製造される中空のカプセル構造体において中空が形成され中空の大きさによって粒子が変わり得る。詳細には、100nm〜5μmの粒子大きさを有することが好ましく、300nm〜2μmの粒子大きさを有することが好ましい。このような粒子大きさを有するマクロ気孔形成粒子を使用することで、最終製造される中空のカプセル構造体における中空の大きさを、物質の移動が容易となり、かつ単位重量に対する表面積の広いマクロサイズに形成することができる。
【0032】
上記陽イオン性ポリマーは、ジアリールジアルキルアンモニウムハロゲン化合物、アクリルオキシアルキルアンモニウムハロゲン化合物、メタクリルオキシアルキルアンモニウムハロゲン化合物、ビニルアリールアルキルアンモニウムハロゲン化合物、3-アクリルアミド−3−アルキルアンモニウムハロゲン化合物、およびその混合物から構成された群より選択された化合物を単量体として製造された重合体であって、詳細には、ジアリールジアルキルアンモニウムハロゲン化合物、アクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、3-アクリルアミド-3-メチルブチルトリメチルアンモニウムクロライドおよびその混合物から構成された群より選択された単量体から製造される重合体が好ましい。上記陽イオン性ポリマーは、マクロ気孔形成粒子に対して表面処理され、後のナノ気孔の形成粒子の付着が容易となるように、マクロ気孔形成粒子表面が+電荷を有するようにする。
【0033】
上記マクロ気孔形成粒子に対する陽イオン性ポリマーの吸着工程は、通常の表面処理方法により行われる。詳しくは、塗布法、含浸法などの方法があり、含浸法が好ましい。
【0034】
上記含浸法は、コーティングまたは表面改質などの目的で水溶液または有機溶液に浸して処理する製法であり、陰極を有するマクロ物質を互いに極性が異なる陽イオン性ポリマー溶液に含浸してマクロ物質の表面を陽極に切り換えることにより、陰極を有するナノサイズの物質を容易に接合することができる。
【0035】
次に、上記陽イオン性ポリマーが吸着したマクロ気孔形成粒子にナノ気孔形成粒子を付着して、中空のカプセル構造体のテンプレートを形成する(ステップS2)。
上記ナノ気孔形成粒子としては、上記のマクロ気孔形成粒子と同じく、後の酸または塩基によるエッチング工程時に除去される物質または焼成工程により除去される物質であれば使用可能である。
【0036】
上記ナノ気孔形成粒子は、後に最終製造される中空のカプセル構造体において外殻内ナノ気孔を形成するもので、5〜100nmの粒子大きさを有することが好ましく、より好ましくは10〜100nm、さらに好ましくは15〜100nm、最も好ましくは20〜100nmである。ナノ気孔形成粒子の大きさが上記範囲である場合、最終製造される中空のカプセル構造体におけるナノ気孔を上記範囲で形成することができ、その結果、広い比表面積の提供とともに、詰るおそれなく毛細管現象によって容易に物質を伝達することができる。
【0037】
上記陽イオン性ポリマーにより表面処理されたマクロ気孔形成粒子に対するナノ気孔形成粒子の付着工程では自己組立法を使用する。自己組立法の例としては、分散媒の中に分散させた陽イオン性ポリマーによって表面処理されたマクロ気孔形成粒子を遠心分離して分散媒を除去し、処理されたマクロ気孔形成粒子を得る。この後、マクロ気孔形成粒子を分散媒の中に分散させ、ナノ気孔形成粒子を添加した後、充分攪拌し、遠心分離を行って形成された粒子を乾燥させる。ここで、乾燥と同時に初期均一な混合のため、超音波処理のような補助手段を用いることも可能である。
【0038】
上記マクロ気孔形成粒子に対する陽イオン性ポリマーの吸着工程(ステップS1)およびナノ気孔形成粒子の付着工程(ステップS2)を繰り返し実施することにより、マクロ気孔形成粒子にナノ気孔形成粒子の層を複数層形成することができる。
次に、上記製造された中空のカプセル構造体のテンプレートを焼成して陽イオン性ポリマーを除去する(ステップS3)。
【0039】
上記焼成工程は450〜700℃で行うことが好ましく、550〜600℃で行うことがより好ましい。上記温度範囲内で焼成工程を行うと、陽イオン性ポリマーが残留するおそれなく、短時間で効率的に除去することができる。陽イオン性ポリマーが除去されず残留すれば不純物として作用し、炭素表面の末端期の変形を起こす可能性があり好ましくない。
【0040】
また、上記焼成工程は、質素、アルゴンのような不活性気体の雰囲気下で行うことが好ましい。
【0041】
次に、上記陽イオン性ポリマーが除去された中空のカプセル構造体のテンプレート空隙に中空のカプセル構造体の前駆体を注入する(ステップS4)。
【0042】
上記中空のカプセル構造体の前駆体注入工程は、液相法または気相法で行うことができる。上記液相法としては、沈澱法(sedimentation)、遠心法(centrifugation)、濾過法(filteration)などがあり、詳しくは、テンプレートを液状の前駆体溶液に浸漬して行う。前駆体の性状が液状の場合、テンプレートを直接浸漬し、前駆体が固体の場合、キノリン(quinoline)、トルエン、アルコール類、ケトン類、およびこれらの組み合わせなどの溶媒を使用する。また、気相法としては、真空を利用した気相法、または真空ではなく還流(reflux)システムで加熱しながら気相吸着する方法などがある。詳細には、真空で固形状の前駆体物質を加熱し、テンプレートに気相で前駆体を注入して行う。上記気相法としては、真空を利用した気相法、または真空ではない還流(reflux)システムで加熱しながら気相吸着する方法が挙げられるが、これに限定されるわけではない。上記気相法の一例は、高分子前駆体が酸性触媒下で反応が起こる場合には、シリカ表面を酸性に変化させた後、高分子前駆体を沸点以上に加熱し、高分子前駆体気体が酸性に変化した酸性触媒表面に付いて高分子化反応が行われる。
【0043】
上記中空のカプセル構造体の前駆体としては、炭素前駆体、高分子前駆体または無機金属の前駆体を使用することができる。上記炭素前駆体としては、コールタールピッチ(pitch)、石油ピッチ、およびこれらの混合物などを使用することができる。なお、中空のカプセル構造体の前駆体とは、中空のカプセル構造体をつくるために使用される原料物質を意味する。
【0044】
上記炭素前駆体を用いる場合、テンプレート中のナノ気孔形成粒子およびマクロ気孔形成粒子の除去工程に先立って、炭素前駆体が注入されたテンプレートを炭化させる工程を選択的に行う。このとき、上記炭化工程は700〜3000℃で3〜20時間行うことが好ましく、800〜1500℃で5〜15時間行うことがより好ましい。上記温度および時間の範囲内では電気伝導性が高くなり、炭素の性質を有するので好ましい。しかし、上記温度および時間の範囲を外れる場合、炭素が形成されないという問題点が発生し得るので好ましくない。
【0045】
上記高分子前駆体としては、炭化反応により黒鉛性炭素を形成することができる物質が使用され、例えば、ジビニルベンゼン、アクリロニトリル、塩化ビニル、ビニルアセテート、スチレン、(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジアルキル(メタ)アクリレート、ウレア(urea)、メラミン(melamin)、CR1R2=CR3R4(ここでR1〜R4は同一であるか互いに独立的に水素、アルキル基、およびアリール基からなる群より選択される。また、上記アルキル基はC1〜C5のアルキル基であることが好ましく、上記アリール基はC6〜C10のアリール基であることが好ましい。)、フェノール-フォルムアルデヒド、フェノール、フルフリルアルコール(furfuryl alcohol)、レゾルシノール-フォルムアルデヒド(RF)、アルデヒド、スクロース、グルコース、キシロース、伝導性高分子形成用単量体およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものである。上記伝導性高分子形成用単量体の場合、ピロール、アニリンなどのように、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセンチレン、ポリアセン、ポリチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリ(p-フェニレン)、ポリフェニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンビニレン、ポリフラン、ポリアセンチレン、ポリセレノフェン(polyselenophene)、ポリイソチアナフテン、ポリチオフェンビニレン、ポリペリナフタレン(polyperinaphthalene)、ポリアントラセン、ポリナフタレン、ポリアズレン(polyazulene)等の電気伝導性高分子を形成することができる単量体物質であれば使用可能である。
【0046】
このような高分子前駆体を使用する場合、高分子前駆体の注入後に重合反応を行う。
上記高分子前駆体がフェノール-フォルムアルデヒド、フェノール、フルフリルアルコール(furfuryl alcohol)、レゾルシノール-フォルムアルデヒド(RF)、アルデヒド、スクロース、グルコース、キシロース、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものであれば、開始剤として酸触媒を使用することができる。このとき、酸触媒としては硫酸、塩酸、硝酸などの酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用することができる。
【0047】
上記単量体と開始剤は15:1〜35:1のモル比で混合して用いることが好ましく、20:1〜25:1のモル比で混合して使用することがより好ましい。上記範囲内では重合反応が温和な条件で行われ、且つ純度の高い生成物を得られるので好ましい。上記範囲を外れる場合は、特に開始剤の含有量が少ないと高分子化反応が起こらないおそれがあるので好ましくない。
【0048】
上記単量体に開始剤を添加すると付加重合反応により高分子が生成され、このような付加重合反応は各化合物の公知の最適の方法で行う。好ましくは60〜90℃で加熱し、3〜30時間重合反応を行うが、これに限定されるわけではない。上記温度および時間で重合反応を行うことにより、生成物の収率と純度が向上し、テンプレートの気孔表面で単量体の高分子化反応が起こるので、炭素構造体の気孔形成に有利である。
【0049】
また、このような高分子前駆体を用いる場合、上記重合反応後、テンプレート中のナノ気孔形成粒子およびマクロ気の孔形成粒子の除去工程に先立って、重合された高分子を含むテンプレートに対して炭化工程を選択的にさらに行うことができる。
【0050】
このとき、上記炭化工程は700〜3000℃で3〜20時間行うことが好ましく、800〜1500℃で5〜15時間行うことが好ましい。上記温度および時間の範囲内では電気伝導性が高くなり、炭素の性質を有するようになる。しかし、上記温度および時間の範囲を外れる場合は、炭素が形成されないという問題点がある。また、このときの昇温速度は1℃/分〜20℃/分が好ましく、より好ましくは1℃/分〜10℃/分である。上記範囲内では高分子末端基の変化を最少化するとともに、炭素収得率と純度を向上させることができる。
【0051】
上記無機金属の前駆体としては、Al、Zr、Ti、Sn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される金属を含む化合物が挙げられる。例えば、TiCl2のようなハロゲン化物、オキシドなどがある。
【0052】
上記無機金属前駆体はそれ自体を注入するのではなく、水または炭素数1〜6の低級アルコールに溶解してテンプレートに注入する。これにより、無機金属の前駆体は、テンプレート内で無機金属含有酸化物に変化するようになる。
【0053】
上記前駆体が注入された中空のカプセル構造体のテンプレートに対してナノ気孔形成粒子およびマクロ気孔形成粒子を除去し(ステップS5)、球状のナノ気孔を含む外殻を有する中空のカプセル構造体を得ることができる(ステップS6)。
【0054】
上記ナノ気孔またはマクロ気孔形成粒子は、ナノ気孔およびマクロ気孔形成粒子を溶解できる物質によるエッチング法、あるいは物理的焼成工程により除去することができる。
エッチング法では、例えばHF、NaOH、KOH、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用することができる。
【0055】
物理的焼成工程の場合、450〜700℃で行うことが好ましく、550〜600℃で行うことがより好ましい。このような温度範囲内で焼成工程を行う場合、ナノ気孔またはマクロ気孔形成粒子が残留することなく、短時間で効率的に除去することができる。
このようなナノ気孔形成粒子およびマクロ気孔形成粒子の除去工程後、選択的に黒鉛化工程をさらに行うことも可能である。
【0056】
上記黒鉛化工程は、2300℃〜3000℃の温度、好ましくは2300℃〜2600℃の温度で行うことが好ましい。このような黒鉛化工程により、炭素としての性質がさらに増大し、電気伝導度が向上し、炭素構造体としての性能が一層向上し、種々の分野に適用できる。
【0057】
このような製造方法により製造される中空のカプセル構造体におけるナノ気孔サイズおよび外殻の数と厚さ、これに伴う表面積を容易に調節することができる。このようにして製造される中空のカプセル構造体は、電子伝導性が良好で、比表面積が広く、さらにマクロサイズの中空と外殻に含まれているナノ気孔の間の毛細管現象により物質伝達が容易である。これにより、燃料電池用触媒担持体、カーボンナノチューブ成長用支持体、リチウム2次電池用活物質、または導電剤、分離剤、脱臭剤、浄水剤、吸着剤、ディスプレイ用エミッタ層形成用物質、フィルターなど種々の分野で広く利用することができる。
【0058】
また、本発明は、上記中空のカプセル構造体を含む燃料電池用触媒を提供する。
上記燃料電池用触媒は、中空のカプセル構造体および上記中空のカプセル構造体に担持された活性物質を含有する。上記中空のカプセル構造体は上記と同様である。
【0059】
上記活性物質は、燃料電池の反応に参加し、触媒として使用できるものであれば使用可能である。代表的な例として白金系触媒が挙げられる。上記白金系触媒として、白金、ルテニウム、オスミウム、白金-ルテニウム合金、白金-オスミウム合金、白金−パラジウム合金、白金−M合金(MはGa、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sn、Mo、W、Rh、Ru、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される遷移金属)の触媒を使用することができる。例えば、Pt、Pt/Ru、Pt/W、Pt/Ni、Pt/Sn、Pt/Mo、Pt/Pd、Pt/Fe、Pt/Cr、Pt/Co、Pt/Ru/W、Pt/Ru/Mo、Pt/Ru/V、Pt/Fe/Co、Pt/Ru/Rh/Ni、Pt/Ru/Sn/W、およびこれらの混合物からなる群より選択されるものを使用する。
【0060】
また、本発明は上記電極を含む膜−電極接合体を提供する。
上記膜電極接合体は、アノード電極およびカソード電極、および上記アノードとカソード電極との間に位置した高分子電解質膜を含み、上記アノード電極とカソード電極のうちの少なくとも一つは上記触媒を含む。
【0061】
上記カソード電極およびアノード電極は、電極基材と触媒層を含む。
上記触媒層は触媒を含み、これは上記と同様である。
【0062】
また、上記触媒層は、触媒層の接着力向上および水素イオンの伝達のためにバインダー樹脂をさらに含むこともできる。上記バインダー樹脂としては、水素イオン伝導性を有する高分子樹脂を使用することが好ましい。より好ましくは、側鎖にスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、フォスフォリン酸基、およびこれらの誘導体からなる群より選択される陽イオン交換基を含む高分子樹脂である。好ましくは、フッ素系高分子、ベンズイミダゾール系高分子、ポリイミド系高分子、ポリエーテルイミド系高分子、ポリフェニレンスルファイド系高分子、ポリスルホン系高分子、ポリエーテルスルホン系高分子、ポリエーテルケトン系高分子、ポリエーテル-エーテルケトン系高分子またはポリフェニルキノキサリン系高分子の中から選択される1種以上の水素イオン伝導性高分子を含むことができ、より好ましくは、ポリ(パーフルオロスルホン酸)、ポリ(パーフルオロカルボン酸)、スルホン酸基を含むテトラフルオロエチレンとフルオロビニルエーテルの共重合体、脱フッ素化された硫化ポリエーテルケトン、アリールケトン、ポリ[2、2'−(m−フェニレン)−5、5'−ビベンズイミダゾール](poly([2、2'−(m−phenylene)−5、5'−bibenzimidazole])、またはポリ2、5−ベンズイミダゾール)の中から選択される1種以上の水素イオン伝導性高分子を含むものを使用することができる。
【0063】
上記バインダー樹脂は、単一物または混合物の形態で使用可能であり、さらに、選択的に高分子電解質膜との接着力をより向上させるために非伝導性化合物とともに使用することもできる。その使用量は使用目的に応じて調節することが好ましい。
【0064】
上記非伝導性化合物としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン/テトラフルオロエチレン(ethylene/tetrafluoroethylene(ETFE))、三フッ化塩化エチレン-エチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンのコポリマー(PVdF-HFP)、ドデシルベンゼンスルホン酸およびソルビトール(Sorbitol)からなる群より選択した1種以上のものがより好ましい。
【0065】
上記電極基材は、電極を支持する役割をするとともに、触媒層に燃料および酸化剤を拡散し、触媒層に燃料および酸化剤が接近し易くする役割をする。上記電極基材としては導電性基材を使用し、代表的には、炭素紙(carbon paper)、炭素布(carbon cloth)、炭素フェルト(carbon felt)、または金属布((繊維状態の金属布からなる多孔性フィルムまたは高分子繊維により形成された布表面に金属フィルムが形成されているもの(metalized polymer fiber))があるが、これに限定されるわけではない。
【0066】
また、上記電極基材としては、フッ素系樹脂で撥水処理したものを使用することにより、燃料電池の駆動時発生する水によって反応物の拡散効率が低下することを防止することができる。上記フッ素系樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、FEP(Fluorinated ethylene propylene)、ポリ三フッ化塩化エチレン(polychlorotrifluoroethylene)、フルオロエチレンポリマーなどを使用する。
【0067】
また、上記電極基材における反応物の拡散効果を向上するための微細気孔層(microporous layer)をさらに有することもできる。この微細気孔層は、一般に粒径の小さい導電性粉末、例えば、炭素粉末、カーボンブラック、アセチレンブラック、活性炭素、カーボンファイバー、フラーレン(fullerene)、カーボンナノチューブ、カーボンナノワイヤー、カーボンナノホーン(carbon nano-horn)、またはカーボンナノリング(carbon nano ring)を含む。上記微細気孔層は、導電性粉末、バインダー樹脂および溶媒を含む組成物を上記電極基材にコーティングして製造される。上記バインダー樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートなどが好ましく使用され、上記溶媒としては、エタノール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、ブチルアルコールなどのようなアルコール、水、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドンなどが好ましく使用される。コーティング工程は、組成物の粘性によってスクリーンプリント法、スプレーコーティング法、またはドクターブレードを用いたコーティング法などが用いられるが、これに限定されるわけではない。
【0068】
上記高分子電解質膜は、アノード電極で生成された水素イオンをカソード電極に伝達する役割をするので、水素イオン伝導性高分子を使用することが好ましい。代表的な例としては、側鎖にスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、フォスフォニン酸基、およびこれらの誘導体からなる群より選択される陽イオン交換基を有する高分子樹脂が挙げられる。
【0069】
上記高分子樹脂の代表的な例としては、フッ素系高分子、ベンズイミダゾール系高分子、ポリイミド系高分子、ポリエーテルイミド系高分子、ポリフェニレンスルファイド系高分子、ポリスルホン系高分子、ポリエーテルスルホン系高分子、ポリエーテルケトン系高分子、ポリエーテル-エーテルケトン系高分子、ポリフェニルキノキサリン系高分子、およびこれらの共重合体からなる群より選択されるものが挙げられ、より好ましくは、ポリ(パーフルオロスルホン酸)(ナフィオンとして市販されている)、ポリ(パーフルオロカルボン酸)、スルホン酸基を含むテトラフルオロエチレンとフルオロビニルエーテルの共重合体、脱フッ素化された硫化ポリエーテルケトン、アリールケトン、ポリ(2、2'−m−フェニレン)−5、5'−ビベンズイミダゾール(poly(2、2'−(m-phenylene)−5、5'−bibenzimidazole)、ポリ(2、5−ベンズイミダゾール)、およびこれらの共重合体からなる群より選択されるものである。
また、このような水素イオン伝導性高分子の水素イオン伝導性基において、HをNa、K、Li、Csまたはテトラブチルアンモニウムに置換することもできる。側鎖末端のイオン交換基でHをNaに置換する場合は、触媒組成物の製造時にNaOHを、テトラブチルアンモニウムを使用する場合は、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドを用いて置換し、K、LiまたはCsも適切な化合物を用いて置換することができる。この置換方法は、該分野で公知であるのでここで詳しい説明を省略する。
【実施例】
【0070】
以下、本発明の好適な実施例および比較例を記載する。しかし下記の実施例は本発明の好適な一実施例に過ぎず、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0071】
(実施例1)
平均粒径500nmのSiO2粒子が分散した水分散液700mlを陽イオン性ポリマーのポリジアリールジメチルアンモニウムクロライド(polydiallyldimethylammonium chloride)に表面処理した後、平均粒径が約20nmのSiO2のコロイダル分散液(40%)12mlと混合して、陽イオン性ポリマー表面にSiO2を中空型ナノカプセル構造体のテンプレートを製造した。製造されたテンプレートを管路で約550℃、5時間熱処理して、陽イオン性ポリマーを除去した。次に、ジビニルベンゼン4mlにアゾビスイソブチロニトリル0.1845gを混合して高分子前駆体溶液を製造し、この高分子前駆体溶液に上記テンプレート2gを投入し、高分子前駆体溶液がSiO2粒子間の空隙を満たすようにした後、重合反応を行って高分子を重合した。次いで、重合された高分子をアルゴンガス下で7時間1000℃で加熱して炭化した。製造された炭化物をHF溶液100mlに入れ、残存する陽イオン性ポリマーおよびSiO2を溶解し、平均粒径500nmのマクロ気孔の中空部および平均粒径約20nmのナノ気孔が形成された外殻を含む中空型ナノカプセル構造体を製造した。
【0072】
(実施例2)
平均粒径500nmのSiO2粒子が分散した水分散液700mlを陽イオン性ポリマーのポリジアリールジメチルアンモニウムクロライド(polydiallyldimethylammonium chloride)に表面処理した後、平均粒径約20nmのSiO2のコロイダル分散液(40%)12mlと混合し、陽イオン性ポリマー表面にSiO2を接着した。このような接着工程を2回繰り返し行い、2層の外殻を有する中空型ナノカプセル構造体のテンプレートを製造した。製造されたテンプレートを管路で約550℃、5時間熱処理して陽イオン性ポリマーを除去した。
【0073】
次に、ジビニルベンゼン4mlにアゾビスイソブチロニトリル0.1845gを混合して高分子前駆体溶液を製造し、この高分子前駆体溶液に上記テンプレート2gを投入し、高分子前駆体溶液がSiO2粒子間の空隙を満たすようにした後、重合反応を行って高分子を重合した。次いで、重合された高分子をアルゴンガス下で7時間1000℃で加熱して炭化した。製造された炭化物をHF溶液100mlに入れ、残存する陽イオン性ポリマーおよびSiO2を溶解して、平均粒径500nmのマクロ気孔の中空部および平均粒径約20nmのナノ気孔が形成された外殻を含む中空型ナノカプセル構造体を製造した。
【0074】
(実施例3)
平均粒径500nmのSiO2粒子が分散した水分散液700mlを陽イオン性ポリマーのポリジアリールジメチルアンモニウムクロライド(polydiallyldimethylammonium chloride)に表面処理した後、平均粒径約20nmのSiO2のコロイダル分散液(40%)12mlと混合して、陽イオン性ポリマー表面にSiO2を接着した。このような接着工程を3回繰り返し行い、3層の外殻を有する中空型ナノカプセル構造体のテンプレートを製造した。製造されたテンプレートを管路で約550℃、5時間熱処理して陽イオン性ポリマーを除去した。
【0075】
次に、ジビニルベンゼン4mlにアゾビスイソブチロニトリル0.1845gを混合して高分子前駆体溶液を製造し、この高分子前駆体溶液に上記テンプレート2gを投入し、高分子前駆体溶液がSiO2粒子間の空隙を満たすようにした後、重合反応を行って高分子を重合した。次いで、重合された高分子をアルゴンガス下で7時間1000℃で加熱して炭化し。製造された炭化物をHF溶液100mlに入れ、残存する陽イオン性ポリマーおよびSiO2を溶解して、平均粒径500nmのマクロ気孔の中空部および平均粒径約20nmのナノ気孔が形成された外殻を含む中空型ナノカプセル構造体を製造した。
【0076】
上記実施例1〜3によるマクロサイズのシリカ粒子にナノサイズのシリカ粒子を付着し、中空型ナノカプセル構造体のテンプレートの製造時の中空型ナノカプセル構造体のテンプレートを走査電子顕微鏡で観察した。その結果を図2A〜図2Cに示した。
【0077】
図2Aは実施例1によるマクロサイズのシリカにナノサイズのシリカを1層に形成した中空型ナノカプセル構造体のテンプレートの写真であり、図2Bは実施例2によるナノサイズシリカを2層に形成した中空型ナノカプセル構造体のテンプレートの写真であり、図2Cは実施例3によるナノサイズシリカを3層に形成した中空型ナノカプセル構造体のテンプレートの写真である。
【0078】
図2A〜図2Cから、ナノサイズのシリカ層が多層構造でマクロサイズのシリカ表面に形成されていることが分かる。
【0079】
上記実施例3による中空のカプセル構造体を透過電子顕微鏡(TEM)で観察した。その結果を図3A〜図3Fに示した。
【0080】
図3A〜図3Fを参照すれば、中空のカプセル構造体内の中央にマクロサイズの中空が設けられ、上記中空を囲み、均一なナノサイズの気孔を含む外殻が複数形成されていることが分かる。
【0081】
(実施例4)
平均粒径300nmのSiO2粒子が分散した分散液700mlを陽イオン性ポリマーのポリジアリールジメチルアンモニウムクロライド(polydiallydimethylammonium chloride)に表面処理した後、平均粒径約20nmのSiO2のコロイダル分散液(40濃度%)12mlと混合し、陽イオン性ポリマー粒子表面にSiO2を接着して製造したテンプレートを使用した以外は実施例3と同様にして行う。
【0082】
(比較例1)
約133nmの直径を有する球状のシリカ粒子約1.5gが分散した分散液にオクタデシルトリメトキシシラン(C18−TMS)とテトラエチルオルトシリケート(TEOS)の混合物(このとき、C18−TMSのモール数:4.72mmol、TEOS/C18−TMSのモル比:4.7)を添加して反応させた後、管路で約550℃、5時間熱処理して上記C18−TMSを除去することにより、3.8nmのメソ多孔性外殻を有する中空型シリカ鋳型粒子を合成した。
【0083】
上記製造された中空型シリカ粒子を鋳型として使用し、高分子前駆体としてジビニルベンゼンと、アゾビスイソブチロニトリルラジカル開始剤を混合して、上記中空型シリカ粒子の鋳型に注入した後、70℃で一日間の重合してジビニルベンゼン高分子-シリカ鋳型複合物を得た。このとき、高分子単量体とラジカル開始剤のモル比は約25:1とした。また得られたジビニルベンゼン高分子-シリカ複合物の一部を1000℃で質素雰囲気下で7時間加熱して炭素化した後、炭素-シリカ複合物を形成した。次いで、HF水溶液に入れてシリカ鋳型を除去し、多孔性高分子および炭素カプセルを分離して乾燥させた。
【0084】
上記製造された炭素カプセルを観察した結果、炭素カプセルは細孔の大きさが約440nmマクロ中心と4.8nmのメソ細孔を有する外殻を有する。また炭素カプセルのメソ細孔は、不規則なメソ細孔の分布を示した。
【0085】
(実施例5:触媒の製造)
H2PtCl60.9544gを80mlの蒸溜水に溶解して金属塩溶液を製造した。上記製造された金属塩溶液に、上記触媒担持体として実施例3で製造した中空のカプセル構造体0.1481gを蒸溜水150mlに分散させた分散液を添加して混合溶液を製造した後、混合溶液の中に金属塩の全体濃度が2mMとなるように蒸溜水を添加して希釈した。20wt%NaOH溶液を用いて希釈した上記混合溶液のpHを約8.5に調整した後、還元剤としてNaBH41.6gを溶解した水溶液40mlを上記混合溶液に添加して沈殿を形成した。混合溶液の上層溶液が澄んだ後、0.2μmのナイロンろ過紙を使用し濾過して得られた濾過物を蒸溜水で数回洗浄した後、80℃で乾燥し、担持体に担持されたPt触媒を製造した。このとき、上記Ptの担持量は触媒の総重量に対して60重量%であった。
【0086】
(実施例6:触媒の製造)
上記実施例4で製造した中空のカプセル構造体を触媒担持体として使用する以外は上記実施例5と同様にして行ってPt触媒を製造した。
【0087】
(比較例2:触媒の製造)
上記比較例1で製造した炭素カプセルを触媒担持体として使用する以外は上記実施例5と同様にして行ってPt触媒を製造した。
【0088】
(実施例7:燃料電池用膜−電極接合体の製造)
実施例3で製造された中空のカプセル構造体に、Pt−Ruブラック(Johnson
Matthey社製造)を2mg/cm2に担持させてPt−Ru/C触媒を製造した。上記Pt−Ru/C触媒、蒸溜水、イソプロピルアルコール、およびナフィオンイオノマ溶液(アルドリッチ社、5重量%)を1:1:10:1の重量比に混合し、アノード電極用触媒層形成用組成物を製造した。
【0089】
また、実施例3で製造された中空のカプセル構造体にPtブラック(Johnson
Matthey社製造)を2mg/cm2担持させてPt/C触媒を製造した。上記Pt/C触媒、蒸溜水、イソプロピルアルコール、およびナフィオンイオノマ溶液(アルドリッチ社、5重量%)を1:1:10:1の重量比で混合してカソード電極用触媒層形成用組成物を製造した。
【0090】
上記アノード/カソード電極用触媒層形成用組成物をテフロン(登録商標)処理を行ったカーボンペーパ基材にそれぞれコーティングして燃料電池用アノード電極およびカソード電極を製造した。次に、上記アノード電極およびカソード電極の間に高分子電解質膜(Nafion 115 Membrane、Dupont)を位置させ、燃料電池用膜−電極接合体を製造した。
【0091】
上記実施例5および比較例2で製造されたPt-Ru合金触媒の触媒活性を比較した。
下記のような半電池テスト方法により実施例5、および比較例2の触媒に対する活性を評価した。また、比較例3として商業的触媒であるPtブラック(Johnson Matthey社製造)触媒を使用して触媒効率を比較評価した。その結果を図4に示す。
0.5Mの硫酸溶液を電解質として含む反応セル(cell)に基準電極として銀/塩化銀(Ag/AgCl)を、作業電極としてそれぞれ実施例5および比較例2および3の触媒を炭素ペーパ(1.5cm×1.5cm)に塗布して製造した電極(触媒ローディング量:2mg/cm2)を、相対電極として白金電極(Ptgauze、100mesh、Aldrich)を位置させた。
【0092】
上記反応セルに対して−350mV〜1350mVの範囲で20mV/sのスキャン速度(scan rate)で電位を変化させながら、電流特性を測定し、これをbaseとして示した。また、上記反応セルに対し1.0Mのメタノール溶液を供給しながら、350mV〜1350mVの範囲で20mV/sのスキャン速度で電位を変化させて電流特性を測定し、ここで作業電極として実施例5、および比較例2、3を用いて測定した結果を図3に示す。
【0093】
図4に示すように、商用触媒の比較例3のPtブラック触媒、および炭素カプセルの触媒担持体として含む比較例2のPt触媒よりも、本発明による中空のカプセル構造体を触媒担持体として含む実施例5のPt触媒がそれぞれ91%および40%より向上した触媒活性を示した。このように比較例1の炭素カプセルの触媒担持体に比べて実施例3の中空のカプセル構造体が触媒活性をより改善できるのは、実施例3の中空のカプセル構造体の場合、5〜100nmの円形のナノ気孔を含み、気孔間のネットワーク形成で毛細管現象による物質伝達が容易となる反面、比較例1の炭素カプセルの場合は、メソ気孔のサイズが2〜5nmと非常に小さく、また、カプセル構造体自体のチャンネル構造によって物質伝達が容易でないためである。
【0094】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の中空のカプセル構造体の製造方法を示すフローチャート。
【図2A】実施例1によるマクロサイズのシリカにナノサイズのシリカを1層に形成した中空型ナノカプセル構造体のテンプレートの写真。
【図2B】実施例2によるナノサイズのシリカを2層に形成した中空型ナノカプセル構造体のテンプレートの写真。
【図2C】実施例3によるナノサイズのシリカを3層に形成した中空型ナノカプセル構造体のテンプレートの写真。
【図3A】本発明の実施例3による中空のカプセル構造体の透過電子顕微鏡の観察写真。
【図3B】本発明の実施例3による中空のカプセル構造体の透過電子顕微鏡の観察写真。
【図3C】本発明の実施例3による中空のカプセル構造体の透過電子顕微鏡の観察写真。
【図3D】本発明の実施例3による中空のカプセル構造体の透過電子顕微鏡の観察写真。
【図3E】本発明の実施例3による中空のカプセル構造体の透過電子顕微鏡の観察写真。
【図3F】本発明の実施例3による中空のカプセル構造体の透過電子顕微鏡の観察写真。
【図4】本発明の実施例5、比較例2および3の触媒活性の評価結果を示すグラフ。
【技術分野】
【0001】
本発明は中空のカプセル構造体およびその製造方法に関する。より詳しくは、電子伝導性が良好で、比表面積が広く、物質伝達が容易な中空のカプセル構造体およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、多孔性物質は物質内に気孔を含むもので、触媒の担体、分離システム、低誘電定数物質、水素含有物質、フォトニクスクリスタルなど多くの分野で利用されている。この多孔性物質としては、無機物質、金属、ポリマー、炭素などが挙げられ、特に炭素物質は、化学的、機械的、および熱的安定性に優れて様々な分野に適用できる有用な物質である。
【0003】
さらに、多孔性炭素物質は、燃料電池分野で広く利用することができる。これは表面特性、イオン伝導性、耐腐食性に優れて且つ費用の面で有利であるためである。種々の種類と形態の多孔性炭素物質が現在燃料電池分野で利用されており、その代表的な例が触媒担体に使用される活性炭素およびカーボンブラックである。より詳しくは、カーボンブラックまたはVulcan XC-72は、燃料電池の電極触媒用担体として使用されており、実際市販されているE-TCK触媒は、Vulcan XC-72に担持されたPt-Ru合金触媒である。
【0004】
最近は、種々の種類の炭素物質、例えば、メソ構造の炭素(meso structured carbon)、グラファイト性炭素ナノファイバー(graphitic carbon nanofiber)、およびメソ炭素マイクロビーズ(meso carbon microbead)等が金属触媒の活性を高めるための触媒担持体として広く使用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような多孔性炭素物質において、比表面積が広く、相互連結構造を有する多孔性炭素物質を合成することは、依然として非常に難しい作業である。最近は、ゼオライト、メソ多孔性物質、およびコロイダルクリスタルを用いるテンプレート複製法により、規則的に整列した多孔性炭素物質を合成している。この合成方法は、固形の多孔性シリカモールドに炭素前駆体を注入し、非酸化条件下で炭素前駆体を炭化した後、HFまたはNaOH溶液中に上記シリカモールドを溶解して多孔性炭素物質を製造するものである。しかし、これは単一大きさの気孔を有する炭素物質であって比表面積の増大に限界がある。そこでこれより広い比表面積を有し、相互連結構造の多孔性炭素物質に関する研究が求められる。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、電子伝導性が良好で、比表面積が広く、容易に物質伝達をすることが可能な、新規かつ改良された中空のカプセル構造体を提供することである。また本発明の目的は、上記中空のカプセル構造体の製造方法を提供することである。
また本発明の目的は、上記中空のカプセル構造体を有する燃料電池用触媒および燃料電池用膜−電極接合体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は球状のナノ気孔を含む外殻を有する中空のカプセル構造体を提供する。
【0008】
また、本発明は、マクロ気孔形成粒子に陽イオン性ポリマーを吸着させる段階と、上記陽イオン性ポリマーが吸着したマクロ気孔形成粒子にナノ気孔形成粒子を付着させて、中空のカプセル構造体の鋳型(以下、テンプレートという。)を形成する段階と、上記中空のカプセル構造体のテンプレートを焼成して陽イオン性ポリマーを除去する段階と、上記陽イオン性ポリマーが除去された中空のカプセル構造体のテンプレート空隙に中空のカプセル構造体の前駆体を注入する段階と、上記中空のカプセル構造体の前駆体が注入されたテンプレート内のナノ気孔形成粒子およびマクロ気孔形成粒子を除去する段階とを含む中空のカプセル構造体の製造方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、上記中空のカプセル構造体および上記中空のカプセル構造体に担持された活性物質を含有する燃料電池用触媒を提供する。
【0010】
また本発明は、上記触媒を含む燃料電池用膜−電極接合体を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明による中空のカプセル構造体は、電子伝導性が良好で、比表面積が広く、且つマクロサイズの中空と外殻に含まれているナノ気孔の間の毛細管現象により物質伝達が容易である。触媒担持体、活物質、導電剤、分離剤、脱臭剤、浄水剤、吸着剤、ディスプレイ用エミッタ層形成用物質、フィルターなど様々な分野で広く利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本明細書においては、特に断らない限り、多孔性物質は気孔が形成された物質を意味し、マイクロ気孔(micro pore)は気孔直径が2nm以下の気孔を意味し、メソ気孔(meso pore)は気孔直径が2〜50nmの気孔を意味し、マクロ気孔(macro pore)は気孔直径が50nmを超過する気孔を意味し、ナノ気孔(nano pore)は気孔直径が2〜100nmの気孔を意味する。以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0013】
最近、多孔性炭素物質に対する様々な合成方法が研究されている。例えば、鋳型を利用した多孔性炭素物質の合成方法として、球状のシリカ粒子が積層されたコロイド結晶鋳型に炭水化物や高分子単量体など前駆体を注入し、重合反応と炭素化過程を行った後、鋳型を溶解して除去することにより、規則的で一定の大きさを有する新たなマクロ多孔性炭素物質の合成することに対する技術が報告されている(A.A.Zajhidov,R.H.Baughman,Z.Iqubal,C.Cui,I.Khayrullin,S.O.Dantas,J.Matri and V.G.Ralchenko,Science1998,282,897;J.-S.Yu,S.B.Yoon and G.S.Chai,Carbon2001,399,1442-1446;J.-S.Yu,S.J.Lee and S.B.Yoon,Mol.Cryst.Liq.Cryst.,2001,371,107-110)。しかし、このような方法で製造された多孔性炭素物質は、その外殻や壁に均一な大きさのメソ多孔性が存在しない。また、外殻が均一なチャンネル形態の多孔性を示す、内部が中空型の二重多孔性物質である場合、外殻の気孔サイズが10nm以下で、物質伝達および支持体としての使用が容易ではないので用途が限られるという問題点があった。
【0014】
そこで本発明では、マクロサイズの粒子にナノサイズの粒子を複数層付着した鋳型粒子を用いて中空のカプセル構造体を製造するようにした。このような製造方法により、中空のカプセル構造体の表面積を簡単に制御することができる。また、このような製造方法により製造された中空のカプセル構造体は、電子伝導性が良好で、比表面積が広く、燃料電池用触媒担持体、リチウム2次電池用活物質または導電剤、分離剤、脱臭剤、浄水剤、吸着剤、ディスプレイ用エミッタ層形成用物質、フィルターなど様々な分野で広く利用することができる。
【0015】
本発明の一実施例による中空のカプセル構造体は、球状のナノ気孔を含む外殻を有する。
【0016】
上記中空のカプセル構造体において、カプセル構造体の中央に位置する中空は、マクロ水準が気孔直径を有することが好ましい。詳しくは、100nm〜5μmの気孔直径を有することが好ましく、300nm〜2μmの気孔直径を有することがより好ましい。このような範囲の気孔直径を有することが、マクロ気孔形成粒子の表面に多くのナノサイズの球状粒子の接合が容易となり好ましい。
【0017】
上記外殻に含まれているナノ気孔は球状であることが好ましい。
ナノ気孔の形状が球状であれば、中空のカプセル構造体が担持体として用いられる場合、従来外殻に含まれている気孔の形状が線状である場合と比べて担持がより容易であり、さらに担持後にも物質伝達効果が優れている。
【0018】
上記ナノ気孔は5〜100nmの気孔直径を有することが好ましい、より好ましくは10〜100nm、さらに好ましくは15〜100nm、最も好ましくは20〜100nmである。さらに最も好ましくは20〜60nmである。このような気孔直径を有するナノ気孔を含むことにより、気孔が詰まるおそれがなく、毛細管現象により物質伝達が容易となる。
【0019】
また、外殻に位置するナノ気孔サイズと中空との比率が1:1〜1:200であることが好ましく、1:3〜1:100がより好ましい。このような気孔サイズの比率を有する場合、多くの球状のナノ気孔の形成が容易となり好ましい。上記における中空のサイズは、中空のカプセル構造体の(平均)直径から、外殻の厚さを引いた値である。
【0020】
上記ナノ気孔を含む外殻は断層であってもよく、複層であってもよい。複層構造を有する場合、外殻の層数は2層〜5層であることが好ましく、2層〜4層であることがより好ましい。5層を超過すれば、カプセルがネットワークを形成するおそれがあるので好ましくない。
【0021】
このような中空およびナノ気孔を含む中空のカプセル構造体は、広い比表面積を有し優れた物質の吸着、着脱効果を示す。詳しくは、上記中空のカプセル構造体は、500m2/g〜2000m2/gの比表面積を有し、より好ましくは700m2/g〜1800m2/gの比表面積を有する。なお、中空のカプセル構造体の比表面積(BET表面積)は、液体質素(−196℃)下でMicromeritics社製、ASAP2020を用いて窒素ガス吸脱着法を利用して測定することができる。
【0022】
また、上記中空のカプセル構造体内の中空と外殻のナノ気孔が相互連結されて3次元ネットワークを形成することにより優れた電子伝導性を提供する。また、上記ナノ気孔の間には数nmの気孔直径を有するボイド(void)がさらに含まれていてもよい。上記ボイドは、ナノ気孔サイズの90〜95%の気孔サイズを有することが好ましい。このようなボイドの形成により10nm以下の気孔直径を有するようになる。上記中空のカプセル構造体は、炭素、高分子物質および無機酸化物からなる群より選択されるものを含む。
【0023】
上記高分子物質としては、ジビニルベンゼン、アクリロニトリル、塩化ビニル、ビニルアセテート、スチレン、(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジアルキル(メタ)アクリレート、ウレア(urea)、メラミン(melamin)、CR1R2=CR3R4(ここでR1〜R4は同一であるか互いに独立的に水素、アルキル基、およびアリール基からなる群より選択される。また、上記アルキル基はC1〜C6のアルキル基であることが好ましく、上記アリール基はC6〜C12のアリール基であることが好ましい。)、フェノール−フォルムアルデヒド、フェノール、フルフリルアルコール(furfuryl alcohol)、レゾルシノール-フォルムアルデヒド(RF)、アルデヒド、スクロース、グルコース、キシロース、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される単量体の共重合により形成された共重合体が含まれる。
【0024】
また、上記高分子物質は、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセンチレン、ポリアセン、ポリチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリ(p-フェニレン)、ポリフェニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンビニレン、ポリフラン、ポリアセンチレン、ポリセレノフェン(polyselenophene)、ポリイソチアナフテン、ポリチオフェンビニレン、ポリペリナフタレン(polyperinaphthalene)、ポリアントラセン、ポリナフタレン、ポリアズレン(polyazulene)、およびこれらの共重合体からなる群より選択される伝導性高分子である。
【0025】
また、上記無機金属酸化物は、Al、Zr、Ti、Sn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される酸化物である。
【0026】
上記のように、本発明の一実施例による中空のカプセル構造体は、触媒担持体、カーボンナノチューブ形成用支持体、活物質、導電剤、分離剤、脱臭剤、浄水剤、吸着剤、ディスプレイ用エミッタ層形成用物質、およびフィルターからなる群より選択されるものに適用可能である。
【0027】
図1は本発明の他の一実施例による中空のカプセル構造体の製造方法を示すフローチャートである。
【0028】
図1を参照すれば、上記中空のカプセル構造体の製造方法は、マクロ気孔形成粒子に陽イオン性ポリマーを吸着させる段階(ステップS1)、上記陽イオン性ポリマーが吸着したマクロ気孔形成粒子にナノ気孔形成粒子を付着させて、中空のカプセル構造体のテンプレートを形成する段階(ステップS2)、上記中空のカプセル構造体のテンプレートを焼成して陽イオン性ポリマーを除去する段階(ステップS3)、上記陽イオン性ポリマーが除去された中空のカプセル構造体のテンプレート空隙に中空のカプセル構造体の前駆体を注入する段階(ステップS4)、上記中空のカプセル構造体の前駆体が注入された中空のカプセル構造体のテンプレート内ナノ気孔形成粒子およびマクロ気孔形成粒子を除去する段階(ステップS5)、およびナノ気孔を含む外殻を有する中空のカプセル構造体を得る段階(ステップS6)を含む。
【0029】
以下、各段階を詳しく説明する。まず、マクロ気孔形成粒子に陽イオン性ポリマーを吸着する(ステップS1)。
【0030】
上記マクロ気孔形成粒子としては、後の酸または塩基によるエッチング工程時に除去が容易であるか、あるいは熱による物理的焼成工程を通じて除去できる物質であれば特に制限なく使用可能である。その例として、熱による物理的焼成工程を実施できる物質としてポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレートのようなポリアルキル(メタ)アクリレート、およびこれらの共重合体を含む高分子またはマクロエマルジョンポリマービードが挙げられる。さらに、酸や塩基によるエッチング工程時に除去が容易な物質としては、Si、Al、Zr、Ti、Sn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素を含む無機酸化物と、銅、銀、金などの球状金属、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものが挙げられる。
【0031】
上記マクロ気孔形成粒子は、最終製造される中空のカプセル構造体において中空が形成され中空の大きさによって粒子が変わり得る。詳細には、100nm〜5μmの粒子大きさを有することが好ましく、300nm〜2μmの粒子大きさを有することが好ましい。このような粒子大きさを有するマクロ気孔形成粒子を使用することで、最終製造される中空のカプセル構造体における中空の大きさを、物質の移動が容易となり、かつ単位重量に対する表面積の広いマクロサイズに形成することができる。
【0032】
上記陽イオン性ポリマーは、ジアリールジアルキルアンモニウムハロゲン化合物、アクリルオキシアルキルアンモニウムハロゲン化合物、メタクリルオキシアルキルアンモニウムハロゲン化合物、ビニルアリールアルキルアンモニウムハロゲン化合物、3-アクリルアミド−3−アルキルアンモニウムハロゲン化合物、およびその混合物から構成された群より選択された化合物を単量体として製造された重合体であって、詳細には、ジアリールジアルキルアンモニウムハロゲン化合物、アクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、3-アクリルアミド-3-メチルブチルトリメチルアンモニウムクロライドおよびその混合物から構成された群より選択された単量体から製造される重合体が好ましい。上記陽イオン性ポリマーは、マクロ気孔形成粒子に対して表面処理され、後のナノ気孔の形成粒子の付着が容易となるように、マクロ気孔形成粒子表面が+電荷を有するようにする。
【0033】
上記マクロ気孔形成粒子に対する陽イオン性ポリマーの吸着工程は、通常の表面処理方法により行われる。詳しくは、塗布法、含浸法などの方法があり、含浸法が好ましい。
【0034】
上記含浸法は、コーティングまたは表面改質などの目的で水溶液または有機溶液に浸して処理する製法であり、陰極を有するマクロ物質を互いに極性が異なる陽イオン性ポリマー溶液に含浸してマクロ物質の表面を陽極に切り換えることにより、陰極を有するナノサイズの物質を容易に接合することができる。
【0035】
次に、上記陽イオン性ポリマーが吸着したマクロ気孔形成粒子にナノ気孔形成粒子を付着して、中空のカプセル構造体のテンプレートを形成する(ステップS2)。
上記ナノ気孔形成粒子としては、上記のマクロ気孔形成粒子と同じく、後の酸または塩基によるエッチング工程時に除去される物質または焼成工程により除去される物質であれば使用可能である。
【0036】
上記ナノ気孔形成粒子は、後に最終製造される中空のカプセル構造体において外殻内ナノ気孔を形成するもので、5〜100nmの粒子大きさを有することが好ましく、より好ましくは10〜100nm、さらに好ましくは15〜100nm、最も好ましくは20〜100nmである。ナノ気孔形成粒子の大きさが上記範囲である場合、最終製造される中空のカプセル構造体におけるナノ気孔を上記範囲で形成することができ、その結果、広い比表面積の提供とともに、詰るおそれなく毛細管現象によって容易に物質を伝達することができる。
【0037】
上記陽イオン性ポリマーにより表面処理されたマクロ気孔形成粒子に対するナノ気孔形成粒子の付着工程では自己組立法を使用する。自己組立法の例としては、分散媒の中に分散させた陽イオン性ポリマーによって表面処理されたマクロ気孔形成粒子を遠心分離して分散媒を除去し、処理されたマクロ気孔形成粒子を得る。この後、マクロ気孔形成粒子を分散媒の中に分散させ、ナノ気孔形成粒子を添加した後、充分攪拌し、遠心分離を行って形成された粒子を乾燥させる。ここで、乾燥と同時に初期均一な混合のため、超音波処理のような補助手段を用いることも可能である。
【0038】
上記マクロ気孔形成粒子に対する陽イオン性ポリマーの吸着工程(ステップS1)およびナノ気孔形成粒子の付着工程(ステップS2)を繰り返し実施することにより、マクロ気孔形成粒子にナノ気孔形成粒子の層を複数層形成することができる。
次に、上記製造された中空のカプセル構造体のテンプレートを焼成して陽イオン性ポリマーを除去する(ステップS3)。
【0039】
上記焼成工程は450〜700℃で行うことが好ましく、550〜600℃で行うことがより好ましい。上記温度範囲内で焼成工程を行うと、陽イオン性ポリマーが残留するおそれなく、短時間で効率的に除去することができる。陽イオン性ポリマーが除去されず残留すれば不純物として作用し、炭素表面の末端期の変形を起こす可能性があり好ましくない。
【0040】
また、上記焼成工程は、質素、アルゴンのような不活性気体の雰囲気下で行うことが好ましい。
【0041】
次に、上記陽イオン性ポリマーが除去された中空のカプセル構造体のテンプレート空隙に中空のカプセル構造体の前駆体を注入する(ステップS4)。
【0042】
上記中空のカプセル構造体の前駆体注入工程は、液相法または気相法で行うことができる。上記液相法としては、沈澱法(sedimentation)、遠心法(centrifugation)、濾過法(filteration)などがあり、詳しくは、テンプレートを液状の前駆体溶液に浸漬して行う。前駆体の性状が液状の場合、テンプレートを直接浸漬し、前駆体が固体の場合、キノリン(quinoline)、トルエン、アルコール類、ケトン類、およびこれらの組み合わせなどの溶媒を使用する。また、気相法としては、真空を利用した気相法、または真空ではなく還流(reflux)システムで加熱しながら気相吸着する方法などがある。詳細には、真空で固形状の前駆体物質を加熱し、テンプレートに気相で前駆体を注入して行う。上記気相法としては、真空を利用した気相法、または真空ではない還流(reflux)システムで加熱しながら気相吸着する方法が挙げられるが、これに限定されるわけではない。上記気相法の一例は、高分子前駆体が酸性触媒下で反応が起こる場合には、シリカ表面を酸性に変化させた後、高分子前駆体を沸点以上に加熱し、高分子前駆体気体が酸性に変化した酸性触媒表面に付いて高分子化反応が行われる。
【0043】
上記中空のカプセル構造体の前駆体としては、炭素前駆体、高分子前駆体または無機金属の前駆体を使用することができる。上記炭素前駆体としては、コールタールピッチ(pitch)、石油ピッチ、およびこれらの混合物などを使用することができる。なお、中空のカプセル構造体の前駆体とは、中空のカプセル構造体をつくるために使用される原料物質を意味する。
【0044】
上記炭素前駆体を用いる場合、テンプレート中のナノ気孔形成粒子およびマクロ気孔形成粒子の除去工程に先立って、炭素前駆体が注入されたテンプレートを炭化させる工程を選択的に行う。このとき、上記炭化工程は700〜3000℃で3〜20時間行うことが好ましく、800〜1500℃で5〜15時間行うことがより好ましい。上記温度および時間の範囲内では電気伝導性が高くなり、炭素の性質を有するので好ましい。しかし、上記温度および時間の範囲を外れる場合、炭素が形成されないという問題点が発生し得るので好ましくない。
【0045】
上記高分子前駆体としては、炭化反応により黒鉛性炭素を形成することができる物質が使用され、例えば、ジビニルベンゼン、アクリロニトリル、塩化ビニル、ビニルアセテート、スチレン、(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジアルキル(メタ)アクリレート、ウレア(urea)、メラミン(melamin)、CR1R2=CR3R4(ここでR1〜R4は同一であるか互いに独立的に水素、アルキル基、およびアリール基からなる群より選択される。また、上記アルキル基はC1〜C5のアルキル基であることが好ましく、上記アリール基はC6〜C10のアリール基であることが好ましい。)、フェノール-フォルムアルデヒド、フェノール、フルフリルアルコール(furfuryl alcohol)、レゾルシノール-フォルムアルデヒド(RF)、アルデヒド、スクロース、グルコース、キシロース、伝導性高分子形成用単量体およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものである。上記伝導性高分子形成用単量体の場合、ピロール、アニリンなどのように、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセンチレン、ポリアセン、ポリチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリ(p-フェニレン)、ポリフェニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンビニレン、ポリフラン、ポリアセンチレン、ポリセレノフェン(polyselenophene)、ポリイソチアナフテン、ポリチオフェンビニレン、ポリペリナフタレン(polyperinaphthalene)、ポリアントラセン、ポリナフタレン、ポリアズレン(polyazulene)等の電気伝導性高分子を形成することができる単量体物質であれば使用可能である。
【0046】
このような高分子前駆体を使用する場合、高分子前駆体の注入後に重合反応を行う。
上記高分子前駆体がフェノール-フォルムアルデヒド、フェノール、フルフリルアルコール(furfuryl alcohol)、レゾルシノール-フォルムアルデヒド(RF)、アルデヒド、スクロース、グルコース、キシロース、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものであれば、開始剤として酸触媒を使用することができる。このとき、酸触媒としては硫酸、塩酸、硝酸などの酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用することができる。
【0047】
上記単量体と開始剤は15:1〜35:1のモル比で混合して用いることが好ましく、20:1〜25:1のモル比で混合して使用することがより好ましい。上記範囲内では重合反応が温和な条件で行われ、且つ純度の高い生成物を得られるので好ましい。上記範囲を外れる場合は、特に開始剤の含有量が少ないと高分子化反応が起こらないおそれがあるので好ましくない。
【0048】
上記単量体に開始剤を添加すると付加重合反応により高分子が生成され、このような付加重合反応は各化合物の公知の最適の方法で行う。好ましくは60〜90℃で加熱し、3〜30時間重合反応を行うが、これに限定されるわけではない。上記温度および時間で重合反応を行うことにより、生成物の収率と純度が向上し、テンプレートの気孔表面で単量体の高分子化反応が起こるので、炭素構造体の気孔形成に有利である。
【0049】
また、このような高分子前駆体を用いる場合、上記重合反応後、テンプレート中のナノ気孔形成粒子およびマクロ気の孔形成粒子の除去工程に先立って、重合された高分子を含むテンプレートに対して炭化工程を選択的にさらに行うことができる。
【0050】
このとき、上記炭化工程は700〜3000℃で3〜20時間行うことが好ましく、800〜1500℃で5〜15時間行うことが好ましい。上記温度および時間の範囲内では電気伝導性が高くなり、炭素の性質を有するようになる。しかし、上記温度および時間の範囲を外れる場合は、炭素が形成されないという問題点がある。また、このときの昇温速度は1℃/分〜20℃/分が好ましく、より好ましくは1℃/分〜10℃/分である。上記範囲内では高分子末端基の変化を最少化するとともに、炭素収得率と純度を向上させることができる。
【0051】
上記無機金属の前駆体としては、Al、Zr、Ti、Sn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される金属を含む化合物が挙げられる。例えば、TiCl2のようなハロゲン化物、オキシドなどがある。
【0052】
上記無機金属前駆体はそれ自体を注入するのではなく、水または炭素数1〜6の低級アルコールに溶解してテンプレートに注入する。これにより、無機金属の前駆体は、テンプレート内で無機金属含有酸化物に変化するようになる。
【0053】
上記前駆体が注入された中空のカプセル構造体のテンプレートに対してナノ気孔形成粒子およびマクロ気孔形成粒子を除去し(ステップS5)、球状のナノ気孔を含む外殻を有する中空のカプセル構造体を得ることができる(ステップS6)。
【0054】
上記ナノ気孔またはマクロ気孔形成粒子は、ナノ気孔およびマクロ気孔形成粒子を溶解できる物質によるエッチング法、あるいは物理的焼成工程により除去することができる。
エッチング法では、例えばHF、NaOH、KOH、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用することができる。
【0055】
物理的焼成工程の場合、450〜700℃で行うことが好ましく、550〜600℃で行うことがより好ましい。このような温度範囲内で焼成工程を行う場合、ナノ気孔またはマクロ気孔形成粒子が残留することなく、短時間で効率的に除去することができる。
このようなナノ気孔形成粒子およびマクロ気孔形成粒子の除去工程後、選択的に黒鉛化工程をさらに行うことも可能である。
【0056】
上記黒鉛化工程は、2300℃〜3000℃の温度、好ましくは2300℃〜2600℃の温度で行うことが好ましい。このような黒鉛化工程により、炭素としての性質がさらに増大し、電気伝導度が向上し、炭素構造体としての性能が一層向上し、種々の分野に適用できる。
【0057】
このような製造方法により製造される中空のカプセル構造体におけるナノ気孔サイズおよび外殻の数と厚さ、これに伴う表面積を容易に調節することができる。このようにして製造される中空のカプセル構造体は、電子伝導性が良好で、比表面積が広く、さらにマクロサイズの中空と外殻に含まれているナノ気孔の間の毛細管現象により物質伝達が容易である。これにより、燃料電池用触媒担持体、カーボンナノチューブ成長用支持体、リチウム2次電池用活物質、または導電剤、分離剤、脱臭剤、浄水剤、吸着剤、ディスプレイ用エミッタ層形成用物質、フィルターなど種々の分野で広く利用することができる。
【0058】
また、本発明は、上記中空のカプセル構造体を含む燃料電池用触媒を提供する。
上記燃料電池用触媒は、中空のカプセル構造体および上記中空のカプセル構造体に担持された活性物質を含有する。上記中空のカプセル構造体は上記と同様である。
【0059】
上記活性物質は、燃料電池の反応に参加し、触媒として使用できるものであれば使用可能である。代表的な例として白金系触媒が挙げられる。上記白金系触媒として、白金、ルテニウム、オスミウム、白金-ルテニウム合金、白金-オスミウム合金、白金−パラジウム合金、白金−M合金(MはGa、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sn、Mo、W、Rh、Ru、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される遷移金属)の触媒を使用することができる。例えば、Pt、Pt/Ru、Pt/W、Pt/Ni、Pt/Sn、Pt/Mo、Pt/Pd、Pt/Fe、Pt/Cr、Pt/Co、Pt/Ru/W、Pt/Ru/Mo、Pt/Ru/V、Pt/Fe/Co、Pt/Ru/Rh/Ni、Pt/Ru/Sn/W、およびこれらの混合物からなる群より選択されるものを使用する。
【0060】
また、本発明は上記電極を含む膜−電極接合体を提供する。
上記膜電極接合体は、アノード電極およびカソード電極、および上記アノードとカソード電極との間に位置した高分子電解質膜を含み、上記アノード電極とカソード電極のうちの少なくとも一つは上記触媒を含む。
【0061】
上記カソード電極およびアノード電極は、電極基材と触媒層を含む。
上記触媒層は触媒を含み、これは上記と同様である。
【0062】
また、上記触媒層は、触媒層の接着力向上および水素イオンの伝達のためにバインダー樹脂をさらに含むこともできる。上記バインダー樹脂としては、水素イオン伝導性を有する高分子樹脂を使用することが好ましい。より好ましくは、側鎖にスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、フォスフォリン酸基、およびこれらの誘導体からなる群より選択される陽イオン交換基を含む高分子樹脂である。好ましくは、フッ素系高分子、ベンズイミダゾール系高分子、ポリイミド系高分子、ポリエーテルイミド系高分子、ポリフェニレンスルファイド系高分子、ポリスルホン系高分子、ポリエーテルスルホン系高分子、ポリエーテルケトン系高分子、ポリエーテル-エーテルケトン系高分子またはポリフェニルキノキサリン系高分子の中から選択される1種以上の水素イオン伝導性高分子を含むことができ、より好ましくは、ポリ(パーフルオロスルホン酸)、ポリ(パーフルオロカルボン酸)、スルホン酸基を含むテトラフルオロエチレンとフルオロビニルエーテルの共重合体、脱フッ素化された硫化ポリエーテルケトン、アリールケトン、ポリ[2、2'−(m−フェニレン)−5、5'−ビベンズイミダゾール](poly([2、2'−(m−phenylene)−5、5'−bibenzimidazole])、またはポリ2、5−ベンズイミダゾール)の中から選択される1種以上の水素イオン伝導性高分子を含むものを使用することができる。
【0063】
上記バインダー樹脂は、単一物または混合物の形態で使用可能であり、さらに、選択的に高分子電解質膜との接着力をより向上させるために非伝導性化合物とともに使用することもできる。その使用量は使用目的に応じて調節することが好ましい。
【0064】
上記非伝導性化合物としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン/テトラフルオロエチレン(ethylene/tetrafluoroethylene(ETFE))、三フッ化塩化エチレン-エチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンのコポリマー(PVdF-HFP)、ドデシルベンゼンスルホン酸およびソルビトール(Sorbitol)からなる群より選択した1種以上のものがより好ましい。
【0065】
上記電極基材は、電極を支持する役割をするとともに、触媒層に燃料および酸化剤を拡散し、触媒層に燃料および酸化剤が接近し易くする役割をする。上記電極基材としては導電性基材を使用し、代表的には、炭素紙(carbon paper)、炭素布(carbon cloth)、炭素フェルト(carbon felt)、または金属布((繊維状態の金属布からなる多孔性フィルムまたは高分子繊維により形成された布表面に金属フィルムが形成されているもの(metalized polymer fiber))があるが、これに限定されるわけではない。
【0066】
また、上記電極基材としては、フッ素系樹脂で撥水処理したものを使用することにより、燃料電池の駆動時発生する水によって反応物の拡散効率が低下することを防止することができる。上記フッ素系樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、FEP(Fluorinated ethylene propylene)、ポリ三フッ化塩化エチレン(polychlorotrifluoroethylene)、フルオロエチレンポリマーなどを使用する。
【0067】
また、上記電極基材における反応物の拡散効果を向上するための微細気孔層(microporous layer)をさらに有することもできる。この微細気孔層は、一般に粒径の小さい導電性粉末、例えば、炭素粉末、カーボンブラック、アセチレンブラック、活性炭素、カーボンファイバー、フラーレン(fullerene)、カーボンナノチューブ、カーボンナノワイヤー、カーボンナノホーン(carbon nano-horn)、またはカーボンナノリング(carbon nano ring)を含む。上記微細気孔層は、導電性粉末、バインダー樹脂および溶媒を含む組成物を上記電極基材にコーティングして製造される。上記バインダー樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートなどが好ましく使用され、上記溶媒としては、エタノール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、ブチルアルコールなどのようなアルコール、水、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドンなどが好ましく使用される。コーティング工程は、組成物の粘性によってスクリーンプリント法、スプレーコーティング法、またはドクターブレードを用いたコーティング法などが用いられるが、これに限定されるわけではない。
【0068】
上記高分子電解質膜は、アノード電極で生成された水素イオンをカソード電極に伝達する役割をするので、水素イオン伝導性高分子を使用することが好ましい。代表的な例としては、側鎖にスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、フォスフォニン酸基、およびこれらの誘導体からなる群より選択される陽イオン交換基を有する高分子樹脂が挙げられる。
【0069】
上記高分子樹脂の代表的な例としては、フッ素系高分子、ベンズイミダゾール系高分子、ポリイミド系高分子、ポリエーテルイミド系高分子、ポリフェニレンスルファイド系高分子、ポリスルホン系高分子、ポリエーテルスルホン系高分子、ポリエーテルケトン系高分子、ポリエーテル-エーテルケトン系高分子、ポリフェニルキノキサリン系高分子、およびこれらの共重合体からなる群より選択されるものが挙げられ、より好ましくは、ポリ(パーフルオロスルホン酸)(ナフィオンとして市販されている)、ポリ(パーフルオロカルボン酸)、スルホン酸基を含むテトラフルオロエチレンとフルオロビニルエーテルの共重合体、脱フッ素化された硫化ポリエーテルケトン、アリールケトン、ポリ(2、2'−m−フェニレン)−5、5'−ビベンズイミダゾール(poly(2、2'−(m-phenylene)−5、5'−bibenzimidazole)、ポリ(2、5−ベンズイミダゾール)、およびこれらの共重合体からなる群より選択されるものである。
また、このような水素イオン伝導性高分子の水素イオン伝導性基において、HをNa、K、Li、Csまたはテトラブチルアンモニウムに置換することもできる。側鎖末端のイオン交換基でHをNaに置換する場合は、触媒組成物の製造時にNaOHを、テトラブチルアンモニウムを使用する場合は、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドを用いて置換し、K、LiまたはCsも適切な化合物を用いて置換することができる。この置換方法は、該分野で公知であるのでここで詳しい説明を省略する。
【実施例】
【0070】
以下、本発明の好適な実施例および比較例を記載する。しかし下記の実施例は本発明の好適な一実施例に過ぎず、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0071】
(実施例1)
平均粒径500nmのSiO2粒子が分散した水分散液700mlを陽イオン性ポリマーのポリジアリールジメチルアンモニウムクロライド(polydiallyldimethylammonium chloride)に表面処理した後、平均粒径が約20nmのSiO2のコロイダル分散液(40%)12mlと混合して、陽イオン性ポリマー表面にSiO2を中空型ナノカプセル構造体のテンプレートを製造した。製造されたテンプレートを管路で約550℃、5時間熱処理して、陽イオン性ポリマーを除去した。次に、ジビニルベンゼン4mlにアゾビスイソブチロニトリル0.1845gを混合して高分子前駆体溶液を製造し、この高分子前駆体溶液に上記テンプレート2gを投入し、高分子前駆体溶液がSiO2粒子間の空隙を満たすようにした後、重合反応を行って高分子を重合した。次いで、重合された高分子をアルゴンガス下で7時間1000℃で加熱して炭化した。製造された炭化物をHF溶液100mlに入れ、残存する陽イオン性ポリマーおよびSiO2を溶解し、平均粒径500nmのマクロ気孔の中空部および平均粒径約20nmのナノ気孔が形成された外殻を含む中空型ナノカプセル構造体を製造した。
【0072】
(実施例2)
平均粒径500nmのSiO2粒子が分散した水分散液700mlを陽イオン性ポリマーのポリジアリールジメチルアンモニウムクロライド(polydiallyldimethylammonium chloride)に表面処理した後、平均粒径約20nmのSiO2のコロイダル分散液(40%)12mlと混合し、陽イオン性ポリマー表面にSiO2を接着した。このような接着工程を2回繰り返し行い、2層の外殻を有する中空型ナノカプセル構造体のテンプレートを製造した。製造されたテンプレートを管路で約550℃、5時間熱処理して陽イオン性ポリマーを除去した。
【0073】
次に、ジビニルベンゼン4mlにアゾビスイソブチロニトリル0.1845gを混合して高分子前駆体溶液を製造し、この高分子前駆体溶液に上記テンプレート2gを投入し、高分子前駆体溶液がSiO2粒子間の空隙を満たすようにした後、重合反応を行って高分子を重合した。次いで、重合された高分子をアルゴンガス下で7時間1000℃で加熱して炭化した。製造された炭化物をHF溶液100mlに入れ、残存する陽イオン性ポリマーおよびSiO2を溶解して、平均粒径500nmのマクロ気孔の中空部および平均粒径約20nmのナノ気孔が形成された外殻を含む中空型ナノカプセル構造体を製造した。
【0074】
(実施例3)
平均粒径500nmのSiO2粒子が分散した水分散液700mlを陽イオン性ポリマーのポリジアリールジメチルアンモニウムクロライド(polydiallyldimethylammonium chloride)に表面処理した後、平均粒径約20nmのSiO2のコロイダル分散液(40%)12mlと混合して、陽イオン性ポリマー表面にSiO2を接着した。このような接着工程を3回繰り返し行い、3層の外殻を有する中空型ナノカプセル構造体のテンプレートを製造した。製造されたテンプレートを管路で約550℃、5時間熱処理して陽イオン性ポリマーを除去した。
【0075】
次に、ジビニルベンゼン4mlにアゾビスイソブチロニトリル0.1845gを混合して高分子前駆体溶液を製造し、この高分子前駆体溶液に上記テンプレート2gを投入し、高分子前駆体溶液がSiO2粒子間の空隙を満たすようにした後、重合反応を行って高分子を重合した。次いで、重合された高分子をアルゴンガス下で7時間1000℃で加熱して炭化し。製造された炭化物をHF溶液100mlに入れ、残存する陽イオン性ポリマーおよびSiO2を溶解して、平均粒径500nmのマクロ気孔の中空部および平均粒径約20nmのナノ気孔が形成された外殻を含む中空型ナノカプセル構造体を製造した。
【0076】
上記実施例1〜3によるマクロサイズのシリカ粒子にナノサイズのシリカ粒子を付着し、中空型ナノカプセル構造体のテンプレートの製造時の中空型ナノカプセル構造体のテンプレートを走査電子顕微鏡で観察した。その結果を図2A〜図2Cに示した。
【0077】
図2Aは実施例1によるマクロサイズのシリカにナノサイズのシリカを1層に形成した中空型ナノカプセル構造体のテンプレートの写真であり、図2Bは実施例2によるナノサイズシリカを2層に形成した中空型ナノカプセル構造体のテンプレートの写真であり、図2Cは実施例3によるナノサイズシリカを3層に形成した中空型ナノカプセル構造体のテンプレートの写真である。
【0078】
図2A〜図2Cから、ナノサイズのシリカ層が多層構造でマクロサイズのシリカ表面に形成されていることが分かる。
【0079】
上記実施例3による中空のカプセル構造体を透過電子顕微鏡(TEM)で観察した。その結果を図3A〜図3Fに示した。
【0080】
図3A〜図3Fを参照すれば、中空のカプセル構造体内の中央にマクロサイズの中空が設けられ、上記中空を囲み、均一なナノサイズの気孔を含む外殻が複数形成されていることが分かる。
【0081】
(実施例4)
平均粒径300nmのSiO2粒子が分散した分散液700mlを陽イオン性ポリマーのポリジアリールジメチルアンモニウムクロライド(polydiallydimethylammonium chloride)に表面処理した後、平均粒径約20nmのSiO2のコロイダル分散液(40濃度%)12mlと混合し、陽イオン性ポリマー粒子表面にSiO2を接着して製造したテンプレートを使用した以外は実施例3と同様にして行う。
【0082】
(比較例1)
約133nmの直径を有する球状のシリカ粒子約1.5gが分散した分散液にオクタデシルトリメトキシシラン(C18−TMS)とテトラエチルオルトシリケート(TEOS)の混合物(このとき、C18−TMSのモール数:4.72mmol、TEOS/C18−TMSのモル比:4.7)を添加して反応させた後、管路で約550℃、5時間熱処理して上記C18−TMSを除去することにより、3.8nmのメソ多孔性外殻を有する中空型シリカ鋳型粒子を合成した。
【0083】
上記製造された中空型シリカ粒子を鋳型として使用し、高分子前駆体としてジビニルベンゼンと、アゾビスイソブチロニトリルラジカル開始剤を混合して、上記中空型シリカ粒子の鋳型に注入した後、70℃で一日間の重合してジビニルベンゼン高分子-シリカ鋳型複合物を得た。このとき、高分子単量体とラジカル開始剤のモル比は約25:1とした。また得られたジビニルベンゼン高分子-シリカ複合物の一部を1000℃で質素雰囲気下で7時間加熱して炭素化した後、炭素-シリカ複合物を形成した。次いで、HF水溶液に入れてシリカ鋳型を除去し、多孔性高分子および炭素カプセルを分離して乾燥させた。
【0084】
上記製造された炭素カプセルを観察した結果、炭素カプセルは細孔の大きさが約440nmマクロ中心と4.8nmのメソ細孔を有する外殻を有する。また炭素カプセルのメソ細孔は、不規則なメソ細孔の分布を示した。
【0085】
(実施例5:触媒の製造)
H2PtCl60.9544gを80mlの蒸溜水に溶解して金属塩溶液を製造した。上記製造された金属塩溶液に、上記触媒担持体として実施例3で製造した中空のカプセル構造体0.1481gを蒸溜水150mlに分散させた分散液を添加して混合溶液を製造した後、混合溶液の中に金属塩の全体濃度が2mMとなるように蒸溜水を添加して希釈した。20wt%NaOH溶液を用いて希釈した上記混合溶液のpHを約8.5に調整した後、還元剤としてNaBH41.6gを溶解した水溶液40mlを上記混合溶液に添加して沈殿を形成した。混合溶液の上層溶液が澄んだ後、0.2μmのナイロンろ過紙を使用し濾過して得られた濾過物を蒸溜水で数回洗浄した後、80℃で乾燥し、担持体に担持されたPt触媒を製造した。このとき、上記Ptの担持量は触媒の総重量に対して60重量%であった。
【0086】
(実施例6:触媒の製造)
上記実施例4で製造した中空のカプセル構造体を触媒担持体として使用する以外は上記実施例5と同様にして行ってPt触媒を製造した。
【0087】
(比較例2:触媒の製造)
上記比較例1で製造した炭素カプセルを触媒担持体として使用する以外は上記実施例5と同様にして行ってPt触媒を製造した。
【0088】
(実施例7:燃料電池用膜−電極接合体の製造)
実施例3で製造された中空のカプセル構造体に、Pt−Ruブラック(Johnson
Matthey社製造)を2mg/cm2に担持させてPt−Ru/C触媒を製造した。上記Pt−Ru/C触媒、蒸溜水、イソプロピルアルコール、およびナフィオンイオノマ溶液(アルドリッチ社、5重量%)を1:1:10:1の重量比に混合し、アノード電極用触媒層形成用組成物を製造した。
【0089】
また、実施例3で製造された中空のカプセル構造体にPtブラック(Johnson
Matthey社製造)を2mg/cm2担持させてPt/C触媒を製造した。上記Pt/C触媒、蒸溜水、イソプロピルアルコール、およびナフィオンイオノマ溶液(アルドリッチ社、5重量%)を1:1:10:1の重量比で混合してカソード電極用触媒層形成用組成物を製造した。
【0090】
上記アノード/カソード電極用触媒層形成用組成物をテフロン(登録商標)処理を行ったカーボンペーパ基材にそれぞれコーティングして燃料電池用アノード電極およびカソード電極を製造した。次に、上記アノード電極およびカソード電極の間に高分子電解質膜(Nafion 115 Membrane、Dupont)を位置させ、燃料電池用膜−電極接合体を製造した。
【0091】
上記実施例5および比較例2で製造されたPt-Ru合金触媒の触媒活性を比較した。
下記のような半電池テスト方法により実施例5、および比較例2の触媒に対する活性を評価した。また、比較例3として商業的触媒であるPtブラック(Johnson Matthey社製造)触媒を使用して触媒効率を比較評価した。その結果を図4に示す。
0.5Mの硫酸溶液を電解質として含む反応セル(cell)に基準電極として銀/塩化銀(Ag/AgCl)を、作業電極としてそれぞれ実施例5および比較例2および3の触媒を炭素ペーパ(1.5cm×1.5cm)に塗布して製造した電極(触媒ローディング量:2mg/cm2)を、相対電極として白金電極(Ptgauze、100mesh、Aldrich)を位置させた。
【0092】
上記反応セルに対して−350mV〜1350mVの範囲で20mV/sのスキャン速度(scan rate)で電位を変化させながら、電流特性を測定し、これをbaseとして示した。また、上記反応セルに対し1.0Mのメタノール溶液を供給しながら、350mV〜1350mVの範囲で20mV/sのスキャン速度で電位を変化させて電流特性を測定し、ここで作業電極として実施例5、および比較例2、3を用いて測定した結果を図3に示す。
【0093】
図4に示すように、商用触媒の比較例3のPtブラック触媒、および炭素カプセルの触媒担持体として含む比較例2のPt触媒よりも、本発明による中空のカプセル構造体を触媒担持体として含む実施例5のPt触媒がそれぞれ91%および40%より向上した触媒活性を示した。このように比較例1の炭素カプセルの触媒担持体に比べて実施例3の中空のカプセル構造体が触媒活性をより改善できるのは、実施例3の中空のカプセル構造体の場合、5〜100nmの円形のナノ気孔を含み、気孔間のネットワーク形成で毛細管現象による物質伝達が容易となる反面、比較例1の炭素カプセルの場合は、メソ気孔のサイズが2〜5nmと非常に小さく、また、カプセル構造体自体のチャンネル構造によって物質伝達が容易でないためである。
【0094】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の中空のカプセル構造体の製造方法を示すフローチャート。
【図2A】実施例1によるマクロサイズのシリカにナノサイズのシリカを1層に形成した中空型ナノカプセル構造体のテンプレートの写真。
【図2B】実施例2によるナノサイズのシリカを2層に形成した中空型ナノカプセル構造体のテンプレートの写真。
【図2C】実施例3によるナノサイズのシリカを3層に形成した中空型ナノカプセル構造体のテンプレートの写真。
【図3A】本発明の実施例3による中空のカプセル構造体の透過電子顕微鏡の観察写真。
【図3B】本発明の実施例3による中空のカプセル構造体の透過電子顕微鏡の観察写真。
【図3C】本発明の実施例3による中空のカプセル構造体の透過電子顕微鏡の観察写真。
【図3D】本発明の実施例3による中空のカプセル構造体の透過電子顕微鏡の観察写真。
【図3E】本発明の実施例3による中空のカプセル構造体の透過電子顕微鏡の観察写真。
【図3F】本発明の実施例3による中空のカプセル構造体の透過電子顕微鏡の観察写真。
【図4】本発明の実施例5、比較例2および3の触媒活性の評価結果を示すグラフ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
球状のナノ気孔を含む外殻を有することを特徴とする中空のカプセル構造体。
【請求項2】
前記外殻は5〜100nmの気孔直径を有するナノ気孔を含むことを特徴とする請求項1に記載の中空のカプセル構造体。
【請求項3】
前記中空のカプセル構造体における中空は100nm〜5μmの直径を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の中空のカプセル構造体。
【請求項4】
前記中空のカプセル構造体は外殻に位置するナノ気孔の気孔直径と中空の直径との比率が1:1〜1:200である中空およびナノ気孔を含むことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の中空のカプセル構造体。
【請求項5】
前記外殻は複数層に形成されることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の中空のカプセル構造体。
【請求項6】
前記外殻はナノ気孔サイズの90〜95%の直径を有するボイドをさらに含むことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の中空のカプセル構造体。
【請求項7】
前記中空のカプセル構造体は500〜2000m2/gの比表面積を有することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の中空のカプセル構造体。
【請求項8】
前記中空のカプセル構造体は、炭素、高分子および無機金属の酸化物からなる群より選択される少なくとも1つのものを含むことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の中空のカプセル構造体。
【請求項9】
前記中空のカプセル構造体は、触媒担持体、カーボンナノチューブ成長用支持体、活物質、導電剤、分離剤、脱臭剤、浄水剤、吸着剤、ディスプレイ用エミッタ層形成用物質、およびフィルターからなる群より選択される少なくとも1つのものに適用されることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の中空のカプセル構造体。
【請求項10】
球状のナノ気孔を含む外殻を有する中空のカプセル構造体と、
前記中空のカプセル構造体に担持された活性物質とを含むことを特徴とする燃料電池用触媒。
【請求項11】
前記外殻は5〜100nmの気孔直径を有するナノ気孔を含むことを特徴とする請求項10に記載の燃料電池用触媒。
【請求項12】
前記炭素カプセル構造体における中空は100nm〜5μmの気孔直径を有することを特徴とする請求項10又は11に記載の燃料電池用触媒。
【請求項13】
前記中空のカプセル構造体は1:1〜1:200の気孔サイズ比を有する中空およびナノ気孔を含むことを特徴とする請求項10〜12の何れかに記載の燃料電池用触媒。
【請求項14】
前記外殻は複数層に形成されることを特徴とする請求項10〜13の何れかに記載の燃料電池用触媒。
【請求項15】
前記外殻はナノ気孔サイズの90〜95%の気孔直径を有するボイドをさらに含むことを特徴とする請求項10〜14の何れかに記載の燃料電池用触媒。
【請求項16】
前記中空のカプセル構造体は500〜2000m2/gの比表面積を有することを特徴とする請求項10〜15の何れかに記載の燃料電池用触媒。
【請求項17】
前記中空のカプセル構造体は、炭素、高分子および無機金属の酸化物からなる群より選択されるものを含むことを特徴とする請求項10〜16の何れかに記載の燃料電池用触媒。
【請求項18】
アノード電極およびカソード電極と、
前記アノード電極とカソード電極との間に位置する高分子電解質膜とを含み、
前記アノード電極およびカソード電極のうち少なくとも一つは、触媒の担体として球状のナノ気孔を含む外殻を有する中空のカプセル構造体を含むことを特徴とする燃料電池用膜−電極接合体。
【請求項19】
マクロ気孔形成粒子に陽イオン性ポリマーを吸着させる段階と、
前記陽イオン性ポリマーが吸着したマクロ気孔形成粒子にナノ気孔形成粒子を付着させて、中空のカプセル構造体の鋳型を形成する段階と、
前記中空のカプセル構造体の鋳型を焼成して陽イオン性ポリマーを除去する段階と、
前記陽イオン性ポリマーが除去された中空のカプセル構造体の鋳型の空隙に中空のカプセル構造体の前駆体を注入する段階と、
前記中空のカプセル構造体の前駆体が注入された鋳型内のナノ気孔形成粒子およびマクロ気孔形成粒子を除去する段階とを含むことを特徴とする中空のカプセル構造体の製造方法。
【請求項20】
前記マクロ気孔形成粒子またはナノ気孔形成粒子は、ポリスチレン、ポリアルキル(メタ)アクリレート、およびこれらの共重合体を含む高分子またはマクロエマルジョンポリマービードと、Si、Al、Zr、Ti、Sn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの元素を含む無機酸化物粒子と、銅、銀、金およびこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの金属粒子と、これらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つのものであることを特徴とする請求項19に記載の中空のカプセル構造体の製造方法。
【請求項21】
前記マクロ気孔形成粒子は100nm〜5μmの粒子大きさを有することを特徴とする請求項19又は20に記載の中空のカプセル構造体の製造方法。
【請求項22】
前記ナノ気孔形成粒子は5〜100nmのナノ粒子大きさを有することを特徴とする請求項19〜21の何れかに記載の中空のカプセル構造体の製造方法。
【請求項23】
陽イオン性ポリマーは、ジアリールジアルキルアンモニウムハロゲン化合物、アクリルオキシアルキルアンモニウムハロゲン化合物、メタクリルオキシアルキルアンモニウムハロゲン化合物、ビニルアリールアルキルアンモニウムハロゲン化合物、3−アクリルアミド-3−アルキルアンモニウムハロゲン化合物、およびその混合物から構成された群より選択される少なくとも1つの化合物を単量体として製造された重合体であることを特徴とする請求項19〜22の何れかに記載の中空のカプセル構造体の製造方法。
【請求項24】
前記ナノ気孔形成粒子の付着工程は自己組立法により行われることを特徴とする請求項19〜23の何れかに記載の中空のカプセル構造体の製造方法。
【請求項25】
前記中空のカプセル構造体の鋳型の焼成工程は450〜700℃で行われることを特徴とする請求項19〜24の何れかに記載の中空のカプセル構造体の製造方法。
【請求項26】
前記中空のカプセル構造体の前駆体は、炭素前駆体、高分子前駆体および無機金属の前駆体からなる群より選択される少なくとも1つのものであることを特徴とする請求項19〜25の何れかに記載の中空のカプセル構造体の製造方法。
【請求項27】
前記中空のカプセル構造体の前駆体注入工程は、液相法または気相法により行われることを特徴とする請求項19〜26の何れかに記載の中空のカプセル構造体の製造方法。
【請求項28】
前記マクロ気孔形成粒子およびナノ気孔形成粒子の除去工程は、酸または塩基によるエッチング法により行われることを特徴とする請求項19〜27の何れかに記載の中空のカプセル構造体の製造方法。
【請求項29】
前記製造方法は、中空のカプセル構造体の前駆体注入後に鋳型を炭化する工程をさらに含むことを特徴とする請求項19〜28の何れかに記載の中空のカプセル構造体の製造方法。
【請求項1】
球状のナノ気孔を含む外殻を有することを特徴とする中空のカプセル構造体。
【請求項2】
前記外殻は5〜100nmの気孔直径を有するナノ気孔を含むことを特徴とする請求項1に記載の中空のカプセル構造体。
【請求項3】
前記中空のカプセル構造体における中空は100nm〜5μmの直径を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の中空のカプセル構造体。
【請求項4】
前記中空のカプセル構造体は外殻に位置するナノ気孔の気孔直径と中空の直径との比率が1:1〜1:200である中空およびナノ気孔を含むことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の中空のカプセル構造体。
【請求項5】
前記外殻は複数層に形成されることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の中空のカプセル構造体。
【請求項6】
前記外殻はナノ気孔サイズの90〜95%の直径を有するボイドをさらに含むことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の中空のカプセル構造体。
【請求項7】
前記中空のカプセル構造体は500〜2000m2/gの比表面積を有することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の中空のカプセル構造体。
【請求項8】
前記中空のカプセル構造体は、炭素、高分子および無機金属の酸化物からなる群より選択される少なくとも1つのものを含むことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の中空のカプセル構造体。
【請求項9】
前記中空のカプセル構造体は、触媒担持体、カーボンナノチューブ成長用支持体、活物質、導電剤、分離剤、脱臭剤、浄水剤、吸着剤、ディスプレイ用エミッタ層形成用物質、およびフィルターからなる群より選択される少なくとも1つのものに適用されることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の中空のカプセル構造体。
【請求項10】
球状のナノ気孔を含む外殻を有する中空のカプセル構造体と、
前記中空のカプセル構造体に担持された活性物質とを含むことを特徴とする燃料電池用触媒。
【請求項11】
前記外殻は5〜100nmの気孔直径を有するナノ気孔を含むことを特徴とする請求項10に記載の燃料電池用触媒。
【請求項12】
前記炭素カプセル構造体における中空は100nm〜5μmの気孔直径を有することを特徴とする請求項10又は11に記載の燃料電池用触媒。
【請求項13】
前記中空のカプセル構造体は1:1〜1:200の気孔サイズ比を有する中空およびナノ気孔を含むことを特徴とする請求項10〜12の何れかに記載の燃料電池用触媒。
【請求項14】
前記外殻は複数層に形成されることを特徴とする請求項10〜13の何れかに記載の燃料電池用触媒。
【請求項15】
前記外殻はナノ気孔サイズの90〜95%の気孔直径を有するボイドをさらに含むことを特徴とする請求項10〜14の何れかに記載の燃料電池用触媒。
【請求項16】
前記中空のカプセル構造体は500〜2000m2/gの比表面積を有することを特徴とする請求項10〜15の何れかに記載の燃料電池用触媒。
【請求項17】
前記中空のカプセル構造体は、炭素、高分子および無機金属の酸化物からなる群より選択されるものを含むことを特徴とする請求項10〜16の何れかに記載の燃料電池用触媒。
【請求項18】
アノード電極およびカソード電極と、
前記アノード電極とカソード電極との間に位置する高分子電解質膜とを含み、
前記アノード電極およびカソード電極のうち少なくとも一つは、触媒の担体として球状のナノ気孔を含む外殻を有する中空のカプセル構造体を含むことを特徴とする燃料電池用膜−電極接合体。
【請求項19】
マクロ気孔形成粒子に陽イオン性ポリマーを吸着させる段階と、
前記陽イオン性ポリマーが吸着したマクロ気孔形成粒子にナノ気孔形成粒子を付着させて、中空のカプセル構造体の鋳型を形成する段階と、
前記中空のカプセル構造体の鋳型を焼成して陽イオン性ポリマーを除去する段階と、
前記陽イオン性ポリマーが除去された中空のカプセル構造体の鋳型の空隙に中空のカプセル構造体の前駆体を注入する段階と、
前記中空のカプセル構造体の前駆体が注入された鋳型内のナノ気孔形成粒子およびマクロ気孔形成粒子を除去する段階とを含むことを特徴とする中空のカプセル構造体の製造方法。
【請求項20】
前記マクロ気孔形成粒子またはナノ気孔形成粒子は、ポリスチレン、ポリアルキル(メタ)アクリレート、およびこれらの共重合体を含む高分子またはマクロエマルジョンポリマービードと、Si、Al、Zr、Ti、Sn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの元素を含む無機酸化物粒子と、銅、銀、金およびこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの金属粒子と、これらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つのものであることを特徴とする請求項19に記載の中空のカプセル構造体の製造方法。
【請求項21】
前記マクロ気孔形成粒子は100nm〜5μmの粒子大きさを有することを特徴とする請求項19又は20に記載の中空のカプセル構造体の製造方法。
【請求項22】
前記ナノ気孔形成粒子は5〜100nmのナノ粒子大きさを有することを特徴とする請求項19〜21の何れかに記載の中空のカプセル構造体の製造方法。
【請求項23】
陽イオン性ポリマーは、ジアリールジアルキルアンモニウムハロゲン化合物、アクリルオキシアルキルアンモニウムハロゲン化合物、メタクリルオキシアルキルアンモニウムハロゲン化合物、ビニルアリールアルキルアンモニウムハロゲン化合物、3−アクリルアミド-3−アルキルアンモニウムハロゲン化合物、およびその混合物から構成された群より選択される少なくとも1つの化合物を単量体として製造された重合体であることを特徴とする請求項19〜22の何れかに記載の中空のカプセル構造体の製造方法。
【請求項24】
前記ナノ気孔形成粒子の付着工程は自己組立法により行われることを特徴とする請求項19〜23の何れかに記載の中空のカプセル構造体の製造方法。
【請求項25】
前記中空のカプセル構造体の鋳型の焼成工程は450〜700℃で行われることを特徴とする請求項19〜24の何れかに記載の中空のカプセル構造体の製造方法。
【請求項26】
前記中空のカプセル構造体の前駆体は、炭素前駆体、高分子前駆体および無機金属の前駆体からなる群より選択される少なくとも1つのものであることを特徴とする請求項19〜25の何れかに記載の中空のカプセル構造体の製造方法。
【請求項27】
前記中空のカプセル構造体の前駆体注入工程は、液相法または気相法により行われることを特徴とする請求項19〜26の何れかに記載の中空のカプセル構造体の製造方法。
【請求項28】
前記マクロ気孔形成粒子およびナノ気孔形成粒子の除去工程は、酸または塩基によるエッチング法により行われることを特徴とする請求項19〜27の何れかに記載の中空のカプセル構造体の製造方法。
【請求項29】
前記製造方法は、中空のカプセル構造体の前駆体注入後に鋳型を炭化する工程をさらに含むことを特徴とする請求項19〜28の何れかに記載の中空のカプセル構造体の製造方法。
【図1】
【図4】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【公開番号】特開2009−132607(P2009−132607A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304638(P2008−304638)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】
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