中空ゴム用錐
【課題】 切削部の先端を軸心より外側に突出し、外側面延長線上に設け、軸心の一方向に形成することにより、ウェザーストリップのクリップ取付部(中空部)における孔あけ加工時において、切屑を確実に外側へ排出できる中空ゴム用錐を提供する。
【解決手段】 錐軸本体の下部に切削部の先端を軸心より外側に、突出してなる1枚刃を設けたことを特徴とする中空ゴム用錐。
【解決手段】 錐軸本体の下部に切削部の先端を軸心より外側に、突出してなる1枚刃を設けたことを特徴とする中空ゴム用錐。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
自動車のドアに取り付けるウェザーストリップにクリップを取り付けるための孔を加工する中空ゴム用錐に関するものである。
【背景技術】
【0002】
まず、ウェザーストリップ及びクリップの形状や取り付け状態について、従来例を示す。一例として、ウェザーストリップは本体部とクリップとを備えている。本体部は自動車のドア開口周縁のフランジに沿う略平板状の基部と、中空状のシール部とを備えている。基部のフランジ側壁面には、略平板形状をなし、略同一の厚みを有する緩衝部が設けられている。前記基部は、硬質素材からなり、シール部と緩衝部とは、比較的柔軟性を持つ軟質材からなる。そして、ウェザーストリップをフランジに係止固定させる際には、クリップによって、基部がフランジに向けて押し付けられることで、緩衝部が弾性変形させられる。このため、本体部とフランジとの隙間が確実に封鎖され、水等の浸入を抑制できるものがある。(特許文献1参照)
【0003】
また、別の従来例として、自動車ボディパネルのインナーパネルとアウターパネルを重合して形成したボディフランジに沿って、取付基部と中空シール部を備えたボディサイドウェザーストリップを取付けた取付構造であって、前記取付基部を、前記インナーパネルのボディフランジ近傍にクリップによって固定するものがある。(特許文献2参照)
【0004】
上記のような構造のウェザーストリップに対してクリップを取り付ける場合、孔加工を行う必要がある。
この時、使用される中空ゴム用錐TKとして以下の工具がある。
円筒状の本体Hの下端全周に円形状の切刃Kを設けてなるものが主に使用されている。
本体H内に切屑KZが詰まり、最悪の場合、中空部内に残ったり、完全に切削できず、引っ掛ってしまう。
【特許文献1】 特開2005−153601号公報
【特許文献2】 特開2004−306833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来の中空ゴム用錐TKによれば、本体H内に切屑KZが詰まり、最悪の場合、中空部内に残ったり、完全に切削できず、引っ掛ってしまう。よって、クリップを孔に入れることができず、切屑KZを取り除き、再度入れているため多大な時間と労力を要しているため、切屑KZを中空部内に残すことのない中空ゴム用錐が望まれている。
【0006】
本発明は、上記のような従来の構成が有していた問題を解決しようとするもので、切削部の先端を軸心より外側に突出し、外側面延長線上に設け、軸心の一方向に形成することにより、ウェザーストリップのクリップ取付部(中空部)における孔あけ加工時において、切屑を確実に外側へ排出できる中空ゴム用錐を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するための手段として、錐軸本体の下部に切削部の先端を軸心より外側に、突出してなる1枚刃を設けたことを特徴とする。
また、切削部の先端を、錐軸本体の外側面延長線上に設けてなる。
そして、切削部を、錐軸本体の軸心の一方向に形成してなる。
さらに、切削部の刃先角を、約15°とする。
さらにまた、切削部の背面角を、軸心に対して約30°とする。
そしてまた、切削部の切削面を、1/4略楕円形状とする。
そして、切削部の背面を、半たまご形状とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
1)、錐軸本体の下部の切削部の先端を、軸心より外側に突出し、錐軸本体の外側面延長線上に設けた切削部を軸心の一方向に形成してなる1枚刃により、切削部の先端がウェザーストリップのクリップ部(中空部)に回転しながら食い込み、ゴムの弾力性により切削を切削部の先端に引っ掛け、上方に確実に排出することができる。
2)、切削部の刃先角を約15°に切削することにより、ウェザーストリップのクリップ取付部により確実に食い込むことができる。
3)、切削部の背面角を、軸心に対して約30°とすることにより、適度に切削の外周を押圧し、切削後の反力(弾力)により切屑を排出し易くするものである。
4)、切削面を1/4略楕円形状とすることにより、より確実にウェザーストリップのクリップ取付部に、より確実に食い込むことができるものである。
5)、背面を半たまご形状とすることにより、より一層確実に切屑を排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
中空ゴム用錐1は、錐軸本体2の下部に切削部3aの先端3a1を軸心Gより外側に突出し、軸本体2の外側面延長線S上に設けると共に、軸心Gの一方向(右側)に形成してなる一枚刃3を設けてなる。
上記一枚刃3は、切削部3aの刃先角Hを約15°とし、背面角H1を軸心Gに対して約30°とする。
また、切削面3a2を1/4略楕円形状とし、背面3a3を半たまご形状をするものである。
なお、錐軸本体2の軸径Kを一例としてφ3mmとする。
【0010】
上記中空ゴム用錐1の使用例を下記に述べる。
ウェザーストリップUのクリップ取付部KT(中空部T)に孔加工を行うべく、まず、中空ゴム用錐1を回転させ、1枚刃3の切削部3aの先端3a1をクリップ取付部KTに押圧しながら切削する。(図4)
この時、切削部3aの背面3a3にて、切屑KZ1の外周を適度に押しながら切り込まれる。(図5)
最終的に、1枚刃3の先端3a1にて、外へ排出され中空部T内に入り込むことなく、孔ANを加工することができる。(図6)
【0011】
上記のように孔加工したウェザーストリップUのクリップ取付部KTの孔AN1にクリップKPをアンカーKP1を中空部T内に圧入して取り付けるものである。
【0012】
上記の中空ゴム用錐1の実施例において、切削部の形状及び刃先角、背面角は多少形状や角度を同様な機能・効果の範囲で変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】 本発明の中空ゴム用錐の正面図。
【図2】 本発明の中空ゴム用錐の側面図。
【図3】 本発明の中空ゴム用錐の底面図。
【図4】 本発明の中空ゴム用錐第1切削状態図。
【図5】 本発明の中空ゴム用錐第2切削状態図。
【図6】 本発明の中空ゴム用錐第3切削状態図。
【図7】 ウェザーストリップの側面図。
【図8】 クリップの平面図。
【図9】 ウェザーストリップへのクリップの取付状態の正面図。
【図10】 ウェザーストリップへのクリップの取付状態の一部縦断側面図。
【図11】 従来例を示す中空ゴム用錐の要部の縦断面図。
【符号の説明】
【0014】
1−−−中空ゴム用錐
2−−−錐軸本体
3−−−一枚刃
3a−−切削部
3a1−先端
3a2−切削面
3a3−背面
G−−−軸心
S−−−外側面延長線
H−−−刃先角
H1−−背面角
K−−−軸径
U−−−ウェザーストリップ
KT−−クリップ取付部
T−−−中空部
KZ1−切屑
AN−−孔
KP−−クリップ
KP1−アンカー
【技術分野】
【0001】
自動車のドアに取り付けるウェザーストリップにクリップを取り付けるための孔を加工する中空ゴム用錐に関するものである。
【背景技術】
【0002】
まず、ウェザーストリップ及びクリップの形状や取り付け状態について、従来例を示す。一例として、ウェザーストリップは本体部とクリップとを備えている。本体部は自動車のドア開口周縁のフランジに沿う略平板状の基部と、中空状のシール部とを備えている。基部のフランジ側壁面には、略平板形状をなし、略同一の厚みを有する緩衝部が設けられている。前記基部は、硬質素材からなり、シール部と緩衝部とは、比較的柔軟性を持つ軟質材からなる。そして、ウェザーストリップをフランジに係止固定させる際には、クリップによって、基部がフランジに向けて押し付けられることで、緩衝部が弾性変形させられる。このため、本体部とフランジとの隙間が確実に封鎖され、水等の浸入を抑制できるものがある。(特許文献1参照)
【0003】
また、別の従来例として、自動車ボディパネルのインナーパネルとアウターパネルを重合して形成したボディフランジに沿って、取付基部と中空シール部を備えたボディサイドウェザーストリップを取付けた取付構造であって、前記取付基部を、前記インナーパネルのボディフランジ近傍にクリップによって固定するものがある。(特許文献2参照)
【0004】
上記のような構造のウェザーストリップに対してクリップを取り付ける場合、孔加工を行う必要がある。
この時、使用される中空ゴム用錐TKとして以下の工具がある。
円筒状の本体Hの下端全周に円形状の切刃Kを設けてなるものが主に使用されている。
本体H内に切屑KZが詰まり、最悪の場合、中空部内に残ったり、完全に切削できず、引っ掛ってしまう。
【特許文献1】 特開2005−153601号公報
【特許文献2】 特開2004−306833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来の中空ゴム用錐TKによれば、本体H内に切屑KZが詰まり、最悪の場合、中空部内に残ったり、完全に切削できず、引っ掛ってしまう。よって、クリップを孔に入れることができず、切屑KZを取り除き、再度入れているため多大な時間と労力を要しているため、切屑KZを中空部内に残すことのない中空ゴム用錐が望まれている。
【0006】
本発明は、上記のような従来の構成が有していた問題を解決しようとするもので、切削部の先端を軸心より外側に突出し、外側面延長線上に設け、軸心の一方向に形成することにより、ウェザーストリップのクリップ取付部(中空部)における孔あけ加工時において、切屑を確実に外側へ排出できる中空ゴム用錐を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するための手段として、錐軸本体の下部に切削部の先端を軸心より外側に、突出してなる1枚刃を設けたことを特徴とする。
また、切削部の先端を、錐軸本体の外側面延長線上に設けてなる。
そして、切削部を、錐軸本体の軸心の一方向に形成してなる。
さらに、切削部の刃先角を、約15°とする。
さらにまた、切削部の背面角を、軸心に対して約30°とする。
そしてまた、切削部の切削面を、1/4略楕円形状とする。
そして、切削部の背面を、半たまご形状とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
1)、錐軸本体の下部の切削部の先端を、軸心より外側に突出し、錐軸本体の外側面延長線上に設けた切削部を軸心の一方向に形成してなる1枚刃により、切削部の先端がウェザーストリップのクリップ部(中空部)に回転しながら食い込み、ゴムの弾力性により切削を切削部の先端に引っ掛け、上方に確実に排出することができる。
2)、切削部の刃先角を約15°に切削することにより、ウェザーストリップのクリップ取付部により確実に食い込むことができる。
3)、切削部の背面角を、軸心に対して約30°とすることにより、適度に切削の外周を押圧し、切削後の反力(弾力)により切屑を排出し易くするものである。
4)、切削面を1/4略楕円形状とすることにより、より確実にウェザーストリップのクリップ取付部に、より確実に食い込むことができるものである。
5)、背面を半たまご形状とすることにより、より一層確実に切屑を排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
中空ゴム用錐1は、錐軸本体2の下部に切削部3aの先端3a1を軸心Gより外側に突出し、軸本体2の外側面延長線S上に設けると共に、軸心Gの一方向(右側)に形成してなる一枚刃3を設けてなる。
上記一枚刃3は、切削部3aの刃先角Hを約15°とし、背面角H1を軸心Gに対して約30°とする。
また、切削面3a2を1/4略楕円形状とし、背面3a3を半たまご形状をするものである。
なお、錐軸本体2の軸径Kを一例としてφ3mmとする。
【0010】
上記中空ゴム用錐1の使用例を下記に述べる。
ウェザーストリップUのクリップ取付部KT(中空部T)に孔加工を行うべく、まず、中空ゴム用錐1を回転させ、1枚刃3の切削部3aの先端3a1をクリップ取付部KTに押圧しながら切削する。(図4)
この時、切削部3aの背面3a3にて、切屑KZ1の外周を適度に押しながら切り込まれる。(図5)
最終的に、1枚刃3の先端3a1にて、外へ排出され中空部T内に入り込むことなく、孔ANを加工することができる。(図6)
【0011】
上記のように孔加工したウェザーストリップUのクリップ取付部KTの孔AN1にクリップKPをアンカーKP1を中空部T内に圧入して取り付けるものである。
【0012】
上記の中空ゴム用錐1の実施例において、切削部の形状及び刃先角、背面角は多少形状や角度を同様な機能・効果の範囲で変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】 本発明の中空ゴム用錐の正面図。
【図2】 本発明の中空ゴム用錐の側面図。
【図3】 本発明の中空ゴム用錐の底面図。
【図4】 本発明の中空ゴム用錐第1切削状態図。
【図5】 本発明の中空ゴム用錐第2切削状態図。
【図6】 本発明の中空ゴム用錐第3切削状態図。
【図7】 ウェザーストリップの側面図。
【図8】 クリップの平面図。
【図9】 ウェザーストリップへのクリップの取付状態の正面図。
【図10】 ウェザーストリップへのクリップの取付状態の一部縦断側面図。
【図11】 従来例を示す中空ゴム用錐の要部の縦断面図。
【符号の説明】
【0014】
1−−−中空ゴム用錐
2−−−錐軸本体
3−−−一枚刃
3a−−切削部
3a1−先端
3a2−切削面
3a3−背面
G−−−軸心
S−−−外側面延長線
H−−−刃先角
H1−−背面角
K−−−軸径
U−−−ウェザーストリップ
KT−−クリップ取付部
T−−−中空部
KZ1−切屑
AN−−孔
KP−−クリップ
KP1−アンカー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錐軸本体の下部に切削部の先端を軸心より外側に、突出してなる1枚刃を設けたことを特徴とする中空ゴム用錐。
【請求項2】
切削部の先端を、錐軸本体の外側面延長線上に設けてなることを特徴とする請求項1記載の中空ゴム用錐。
【請求項3】
切削部を、錐軸本体の軸心の一方向に形成してなることを特徴とする請求項1又は2記載の中空ゴム用錐。
【請求項4】
切削部の刃先角を、約15°とすることを特徴とする請求項1、2又は3記載の中空ゴム用錐。
【請求項5】
切削部の背面角を、軸心に対して約30°とすることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の中空ゴム用錐。
【請求項6】
切削部の切削面を、1/4略楕円形状とすることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の中空ゴム用錐。
【請求項7】
切削部の背面を、半たまご形状とすることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の中空ゴム用錐。
【請求項1】
錐軸本体の下部に切削部の先端を軸心より外側に、突出してなる1枚刃を設けたことを特徴とする中空ゴム用錐。
【請求項2】
切削部の先端を、錐軸本体の外側面延長線上に設けてなることを特徴とする請求項1記載の中空ゴム用錐。
【請求項3】
切削部を、錐軸本体の軸心の一方向に形成してなることを特徴とする請求項1又は2記載の中空ゴム用錐。
【請求項4】
切削部の刃先角を、約15°とすることを特徴とする請求項1、2又は3記載の中空ゴム用錐。
【請求項5】
切削部の背面角を、軸心に対して約30°とすることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の中空ゴム用錐。
【請求項6】
切削部の切削面を、1/4略楕円形状とすることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の中空ゴム用錐。
【請求項7】
切削部の背面を、半たまご形状とすることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の中空ゴム用錐。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−290108(P2007−290108A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−148967(P2006−148967)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【出願人】(595018064)株式会社オカモト (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【出願人】(595018064)株式会社オカモト (3)
【Fターム(参考)】
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