中空構造体の形成方法
【課題】発泡性材料の流動を規制する仕切部を形成することの容易な中空構造体の形成方法を提供する。
【解決手段】中空構造体は、中空構造の中空部に発泡体を充填して用いられる。発泡体は、中空部において発泡性材料を硬化させることで形成される。中空構造体は、中空部を仕切る仕切部を有している。仕切部は、中空部において発泡性材料の流動を規制する。中空構造体の形成方法では、第1仕切部12を一体成形してなる第1構成部材11と、第2仕切部22を一体成形してなる第2構成部材21とを組み付けることで中空構造を形成する。このとき、第1仕切部12と第2仕切部22とを面接触させることで仕切部を形成する。
【解決手段】中空構造体は、中空構造の中空部に発泡体を充填して用いられる。発泡体は、中空部において発泡性材料を硬化させることで形成される。中空構造体は、中空部を仕切る仕切部を有している。仕切部は、中空部において発泡性材料の流動を規制する。中空構造体の形成方法では、第1仕切部12を一体成形してなる第1構成部材11と、第2仕切部22を一体成形してなる第2構成部材21とを組み付けることで中空構造を形成する。このとき、第1仕切部12と第2仕切部22とを面接触させることで仕切部を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空部に発泡体を充填して用いられる中空構造体の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中空構造体に発泡体を充填するに際して、中空構造の中空部に予め仕切板を配設させる構成が知られている(特許文献1参照)。特許文献1では、第1構成部材、第2構成部材、及び、仕切板を予め準備し、それら構成部材と仕切板とを組み付けることで中空部の仕切られた中空構造体を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭64−69308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、中空構造体の中空部に仕切部材を配設することで、中空部が仕切られた中空構造体を形成している。中空構造体の中空部に発泡体を充填するに際には、中空部に流動性を有する発泡性材料が流入される。このとき、発泡性材料の流動が仕切部材で規制されることで、中空部の所定の位置に発泡体が充填される。これにより、中空構造体において、例えば補強を必要とする部位に発泡体を配置させることができる。ここで、上記の仕切部材は、発泡性材料の流動を規制するために、中空構造体の内周面との隙間が極力小さくなるように設計されることになる。そして、設計された仕切部材の成形には高い精度が要求されることになる。このように、発泡性材料の流動の規制を考慮して仕切部材を形成することは煩雑であるのが実情である。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、発泡性材料の流動を規制する仕切部を形成することの容易な中空構造体の形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、中空構造の中空部において発泡性材料を硬化させることで発泡体が充填される際に前記発泡性材料の流動を規制すべく前記中空部を仕切る仕切部を有してなる中空構造体の形成方法であって、第1仕切部を一体成形してなる第1構成部材と、第2仕切部を一体成形してなる第2構成部材とを組み付けることで前記中空構造を形成するとともに、前記第1仕切部と前記第2仕切部とを面接触させることで前記仕切部を形成することを要旨とする。
【0007】
この発明では、第1仕切部は、第1構成部材に一体成形されるとともに、第2仕切部は、第2構成部材に一体成形される。そして、仕切部は、第1仕切部と第2仕切部とを面接触させることで形成される。これにより、発泡性材料の流動の規制を考慮する部位は、仕切部の外周縁全体にわたらず、第1仕切部と第2仕切部との接触面に集約されることになる。こうした接触面の設計については、例えば、仕切部材を中空構造の内周面形状に合わせるといった設計よりも自由度が確保される。これにより、接触面を単純な形状にすることができるようになる。すなわち、発泡性材料の流動の規制を考慮した仕切部の設計や成形を簡素化することが可能となる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の中空構造体の形成方法において、前記第1仕切部と前記第2仕切部とを重ね合わせることで、前記仕切部を形成することを要旨とする。
【0009】
この方法によれば、第1仕切部と第2仕切部とを重ね合わせる部位の大きさを調整することで、第1仕切部と第2仕切部との接触面積を容易に調整することができる。例えば、接触面積の拡大により、接触部分に流入した発泡性材料の流動抵抗が高まるため、発泡性材料の流動を規制する仕切部としての機能性を高めることが容易である。また、重ね合わされる部位により、第1仕切部と第2仕切部との寸法誤差を吸収させることができる。また、第1仕切部と第2仕切部とを重ね合わせることで、第1構成部材と第2構成部材との相対的な移動が規制されるため、各構成部材の位置決めを行うこともできる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、中空構造の中空部において発泡性材料を硬化させることで発泡体が充填される際に前記発泡性材料の流動を規制すべく前記中空部を仕切る仕切部を有してなる中空構造体の形成方法であって、仕切部本体を一体成形してなる第1構成部材と、第2構成部材とを組み付けることで前記中空構造を形成するとともに、前記仕切部本体と前記第2構成部材との間に介在させた緩衝部材を圧縮変形させることで前記仕切部を形成することを要旨とする。
【0011】
この発明では、仕切部本体は、第1構成部材に一体成形される。そして、仕切部は、仕切部本体と第2構成部材との間に介在させた緩衝部材を圧縮変形させることで形成される。これにより、発泡性材料の流出が懸念される部位は、仕切部の外周縁全体にわたらず、緩衝部材に集約されることになる。こうした緩衝部材や仕切部本体の設計については、例えば、仕切部材を中空構造の内周面形状に合わせるといった設計よりも自由度が確保される。これにより、緩衝部材や仕切部本体を単純な形状にすることが可能となる。すなわち、発泡性材料の流動の規制を考慮した仕切部の設計や成形を簡素化することができる。また、緩衝部材の圧縮変形により、仕切部本体の寸法誤差を吸収させることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、中空構造の中空部において発泡性材料を硬化させることで発泡体が充填される際に前記発泡性材料の流動を規制すべく前記中空部を仕切る仕切部を有してなる中空構造体の形成方法であって、第1仕切部を一体成形してなる第1構成部材と、第2仕切部を一体成形してなる第2構成部材とを組み付けることで前記中空構造を形成するとともに、前記第1仕切部と前記第2仕切部との間に介在させた緩衝部材を圧縮変形させることで前記仕切部を形成することを要旨とする。
【0013】
この発明では、第1仕切部は、第1構成部材に一体成形されるとともに、第2仕切部は、第2構成部材に一体成形される。そして、仕切部は、第1仕切部と第2仕切部との間に介在させた緩衝部材を圧縮変形させることで形成される。これにより、発泡性材料の流出が懸念される部位は、仕切部の外周縁全体にわたらず、緩衝部材に集約されることになる。こうした緩衝部材や各仕切部の設計については、例えば、仕切部材を中空構造の内周面形状に合わせるといった設計よりも自由度が確保される。これにより、緩衝部材や各仕切部を単純な形状にすることが可能となる。すなわち、発泡性材料の流動の規制を考慮した仕切部の設計や成形を簡素化することができる。また、緩衝部材の圧縮変形により、各仕切部の寸法誤差を吸収させることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の中空構造体の形成方法において、前記第1仕切部と前記第2仕切部とを前記緩衝部材を介して重ね合わせることで、前記仕切部を形成することを要旨とする。
【0015】
この方法によれば、第1仕切部と第2仕切部とを重ね合わせる部位の大きさや緩衝部材の大きさを調整することで、緩衝部材と各仕切部との接触面積を容易に調整することができる。例えば、接触面積の拡大により、接触部分に流入した発泡性材料の流動抵抗が高まるため、発泡性材料の流動を規制する仕切部としての機能性を高めることが容易である。また、重ね合わされる部位により、第1仕切部と第2仕切部との寸法誤差を吸収させることができる。また、重ね合わされる部位により、第1構成部材と第2構成部材との相対的な位置を規定させることもできる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の中空構造体の形成方法において、前記第1構成部材及び前記第2構成部材の少なくとも一方が、樹脂材料から構成されることを要旨とする。
【0017】
例えば、第1構成部材を樹脂材料から構成されることで軽量化され、かつ、発泡体の充填により補強される用途の中空構造体を形成する方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、発泡性材料の流動を規制する仕切部を形成することの容易な中空構造体の形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態の中空構造体の要部を示す分解斜視図。
【図2】中空構造体の要部を示す斜視図。
【図3】(a)は図2の3a−3a線に沿った断面図、(b)は中空部に発泡性材料が流入されている状態を示す概略図、(c)は中空部に発泡体が充填された状態を示す概略図。
【図4】第2の実施形態の中空構造体の要部を示す分解斜視図。
【図5】(a)は中空構造体の要部を示す斜視図、(b)は(a)の5b−5b線に沿った断面図。
【図6】(a)は中空構造体の変更例を示す分解平面図、(b)は中空構造体の変更例を示す平面図。
【図7】第3の実施形態の中空構造体の要部を示す分解斜視図。
【図8】(a)は中空構造体の要部を示す斜視図、(b)は(a)の8b−8b線に沿った断面図。
【図9】第4の実施形態の中空構造体の要部を示す分解斜視図。
【図10】(a)は中空構造体の要部を示す斜視図、(b)は(a)の10b−10b線に沿った断面図。
【図11】第5の実施形態の中空構造体の要部を示す分解斜視図。
【図12】(a)は中空構造体の要部を示す斜視図、(b)は(a)の12b−12b線に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
本発明を具体化した第1の実施形態について図1〜図3に基づいて詳細に説明する。
図1に示されるように、中空構造体の中空構造は、第1構成部材11と第2構成部材21とを組み付けることで形成される。図2に示されるように、中空構造体の中空部は、板状の仕切部31により仕切られている。この中空構造体は、中空部において発泡性材料を硬化させることで発泡体を充填して用いられる。仕切部31は、中空部における発泡性材料の流動を規制するために設けられている。以下の説明において上下方向は、図1を基準とした上下方向を示す。
【0021】
図1及び図2に示されるように、中空構造体は上下方向に延びる多角筒状をなしており、第1構成部材11及び第2構成部材21は、上下方向に沿った面を分割面として中空構造体を二分割した形状に成形されている。第1構成部材11及び第2構成部材21には、上下方向に沿った屈曲部が複数形成されている。複数の屈曲部は、上下方向を軸とした周方向において所定の間隔で位置している。こうした複数の屈曲部により、中空構造体の断面形状は所定の多角形状に設定される。なお、本実施形態では、第1構成部材11の屈曲部は第2構成部材21よりも多く形成されることで、第1構成部材11は第2構成部材21よりも複雑な断面形状をなしている。第1構成部材11の両側において上下方向に延在する端面と、第2構成部材21の両側において上下方向に延在する端面とは、第1構成部材11と第2構成部材21とが組み付けられる際の接合部11a,21aとして構成されている。
【0022】
仕切部31は、第1構成部材11と一体成形されている第1仕切部12と、第2構成部材21と一体成形されている第2仕切部22とから構成されている。第1仕切部12及び第2仕切部22は、それぞれ第1構成部材11及び第2構成部材21において凹面状をなす内周面、すなわち中空部側の面に立設されている。本実施形態の第1仕切部12及び第2仕切部22は、上下方向に対して直交する方向に延在されている。第1仕切部12の端面及び第2仕切部22の端面は、中空構造体を形成する際に面接触される接触面12a,22aとして構成されている。本実施形態の接触面12a,22aは、それぞれ接合部11a,21aの端面と同一平面上に形成されている。
【0023】
本実施形態の第1構成部材11及び第2構成部材21は、いずれも樹脂材料から構成されるとともに、第1仕切部12及び第2仕切部22についても同じく樹脂材料から構成されている。樹脂材料は、中空構造体に要求される特性に応じて適宜選択される。樹脂材料としては、例えば、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を用いることができる。なお、樹脂材料としては、各種繊維で強化されたFRPを用いることもできる。
【0024】
第2構成部材21において第2仕切部22の上方の所定位置には、発泡性材料を注入するための貫通孔21bが形成されている。
中空構造体を形成するには、接合部11a,21a同士を合わせるとともに、接触面12a,22a同士を合わせるようにして、第1構成部材11及び第2構成部材21を配置させる。こうして第1構成部材11及び第2構成部材21を組み付けることで、図2及び図3(a)に示されるように中空構造が形成される。このとき、接触面12a,22aが面接触されることで、第1仕切部12及び第2仕切部22からなる仕切部31が形成される。なお、接合部11a,21aは接着、溶着等の接合手段により接合される。
【0025】
ここで、上記の第1仕切部12及び第2仕切部22は、それぞれ第1構成部材11及び第2構成部材21と一体成形されている。そして、仕切部31は、第1仕切部12と第2仕切部22とを面接触させることで形成されている。これにより、発泡性材料の流動の規制を考慮する部位は、仕切部31の外周縁全体にわたらず、第1仕切部12と第2仕切部22との接触面12a,22aに集約されることになる。こうした接触面12a,22aの設計については、例えば、仕切部材を中空構造の内周面形状に合わせるといった設計よりも自由度が確保される。これにより、接触面12a,22aを単純な形状にすることができるようになる。すなわち、発泡性材料の流動の規制を考慮した仕切部31の設計や成形を簡素化することが可能となる。
【0026】
中空構造体に発泡体を充填するには、まず、図3(b)に示されるように、貫通孔21bに挿入されたノズルNから中空部に発泡性材料71を注入する。発泡性材料71の流動は仕切部31により規制されることで、中空部において仕切部31よりも上方の領域に発泡性材料71が流入される。そして、所定量の発泡性材料71が流入された後、ノズルNは貫通孔21bから抜き出される。発泡性材料71は室温で放置されることにより硬化し、図3(c)に示されるように発泡体72が形成される。この発泡体72より、中空構造体の中空部の一部が閉塞される。
【0027】
発泡性材料71としては、特に限定されず、例えば二液の常温硬化型ウレタン系材料を用いることができる。二液の常温硬化型ウレタン系材料は、一般に、ポリオールを含む主剤と、イソシアネートを含む硬化剤とから構成される。発泡性材料71は、例えば発泡体72の密度や硬度に応じて市販品から適宜選択することができる。
【0028】
発泡体72の充填された中空構造体は、例えば、自動車、鉄道等の車両、船舶、航空機、建築物等に用いられる。こうした中空構造体の断面形状は、例えば適用箇所や要求される強度等に応じて適宜変更されることになる。これに伴って、仕切部31の外形についても適宜変更されることになる。この点、本実施形態の中空構造体の形成方法によれば、発泡性材料71の流動の規制を考慮した仕切部31の設計や成形について簡素化することが可能となるため、様々な断面形状の中空構造体を形成する方法として有効である。
【0029】
本実施形態によって発揮される効果について以下に記載する。
(1)中空構造体の形成方法では、第1仕切部12の接触面12aと第2仕切部22の接触面22aとを面接触させることで仕切部31を形成している。このため、発泡性材料71の流動の規制を考慮する部位は、仕切部31の外周縁全体にわたらず、第1仕切部12と第2仕切部22との接触面12a,22aに集約されることになる。このため、発泡性材料71の流動の規制を考慮した仕切部31の設計や成形を簡素化することが可能となる。従って、発泡性材料71の流動を規制する仕切部31を形成することが容易となる。これにより、中空構造体の断面形状の変更に対応して、所定の位置に所定の形状の仕切部31を配置した中空構造体を形成することが容易となる。例えば、様々な断面形状を有する中空構造体において中空部を仕切ることが容易となるため、多品種の中空構造体の製造に対応することが容易となる。
【0030】
(2)第1構成部材11及び第2構成部材21は、樹脂材料から構成されているため、軽量化され、かつ、発泡体72の充填により補強される用途の中空構造体を形成する方法が提供される。
【0031】
(第2の実施形態)
本発明を具体化した第2の実施形態について図4〜図6を参照して第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。本実施形態では、主に、第1仕切部12の形状が第1の実施形態と異なっている。
【0032】
図4に示されるように、第1仕切部12は、接合部11aの端面よりも外方に突出する突出部12bを有している。突出部12bは、一方の接合部11aから他方の接合部11aにわたる幅方向全体から突出されている。この突出部12bは、図5(a)及び図5(b)に示されるように、第1構成部材11と第2構成部材21とを組み付けた際に、第2仕切部22に重なるように構成されている。本実施形態の第1仕切部12は、第2仕切部22よりも上方に位置されている。
【0033】
中空構造体を形成するには、接合部11a,21a同士を合わせるとともに、突出部12bを第2仕切部22に重ね合わせるようにして、第1構成部材11及び第2構成部材21を配置させる。このとき、第2仕切部22に突出部12bが当接されることで、第2構成部材21に対する第1構成部材11の下方への移動が規制される。またこのとき、突出部12bの下面と第2仕切部22の上面とが重ね合わされることで、突出部12bの下面と第2仕切部22の上面の一部とを接触面12a,22aとして第1仕切部12と第2仕切部22とが面接触された仕切部31が形成される。
【0034】
なお、第1仕切部12と第2仕切部22との重ね合わされる部位の形状は四角形状をなしているが、その形状は特に限定されない。例えば、図6(a)及び(b)に示されるように、第2仕切部22の形状を変更することで重ね合わされる部位の形状を変更することができる。
【0035】
また、図6(a)及び図6(b)に示される第2構成部材21は、図4に示される第2構成部材21よりも複雑な断面形状をなしている。このように、複雑な断面形状をなす第2構成部材21であっても、第1仕切部12と第2仕切部22との面接触を利用することで、発泡性材料の流動を規制する仕切部31を形成することが容易となる。この点、第1の構成部材の断面形状がさらに複雑化した場合や、上記第1の実施形態についても同様のことが言える。
【0036】
本実施形態によれば、第1の実施形態の(1)及び(2)に記載した効果に加えて以下の効果が発揮される。
(3)本実施形態では、第1仕切部12と第2仕切部22とを重ね合わせることで仕切部31を形成している。この方法によれば、重ね合わせる部位の大きさを調整することで、第1仕切部12と第2仕切部22との接触面積を容易に調整することができる。例えば、接触面積の拡大により、接触部分に流入した発泡性材料の流動抵抗が高まるため、発泡性材料の流動を規制する仕切部31としての機能性を高めることが容易である。また、重ね合わされる部位により、第1仕切部12と第2仕切部22との寸法誤差を吸収させることができる。また、第1仕切部12と第2仕切部22とを重ね合わせることで、第1構成部材11と第2構成部材21との相対的な移動が規制されるため、各構成部材11,21の位置決めを行うこともできる。
【0037】
(第3の実施形態)
本発明を具体化した第3の実施形態について図7及び図8を参照して第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。本実施形態では、主に、仕切部の構成が第1の実施形態と異なっている。
【0038】
図7及び図8(a)に示されるように、本実施形態の仕切部32は、第1構成部材11と一体成形されている仕切部本体42と、仕切部本体42に設けられる緩衝部材43とから構成されている。本実施形態の第2構成部材21は、第2仕切部を有していない。
【0039】
仕切部本体42は、接合部11aの端面よりも外方に突出する突出部42aを有している。突出部42aの外周面には、緩衝部材43が予め固定されている。緩衝部材43は、接着剤、粘着剤等の固定手段により突出部42aに固定することができる。緩衝部材43は、仕切部本体42よりも軟質な材料から構成される。こうした緩衝部材43は、例えば樹脂系材料、ゴム系材料、樹脂系材料とゴム系材料との混合材料等を基材として構成される。緩衝部材43には、例えば充填材が含有されていてもよい。緩衝部材43としては、軽量化、及び硬さの調整が容易であることから、発泡材から構成することが好ましい。
【0040】
中空構造体を形成するには、図8(a)及び図8(b)に示されるように、緩衝部材43を第2構成部材21に当接させるようにして、第1構成部材11及び第2構成部材21を配置させる。こうして第1構成部材11及び第2構成部材21を組み付けることで、仕切部本体42と第2構成部材21との間に介在された緩衝部材43は圧縮変形される。このように配置された仕切部本体42と緩衝部材43とにより仕切部32が形成される。
【0041】
さて、上記の仕切部本体42は、第1構成部材11と一体成形されている。そして、仕切部32は、仕切部本体42と第2構成部材21との間に介在させた緩衝部材43を圧縮変形させることで形成されている。これにより、発泡性材料の流出が懸念される部位は、仕切部32の外周縁全体にわたらず、緩衝部材43に集約されることになる。こうした緩衝部材43や仕切部本体42の設計については、例えば、仕切部材を中空構造の内周面形状に合わせるといった設計よりも自由度が確保される。これにより、緩衝部材43や仕切部本体42を単純な形状にすることが可能となる。
【0042】
本実施形態によれば、第1の実施形態の(1)及び(2)に記載した効果に加えて以下の効果が発揮される。
(4)仕切部32は、仕切部本体42と第2構成部材21との間に介在させた緩衝部材43を圧縮変形させることで形成される。この緩衝部材43の圧縮変形により、仕切部本体42の寸法誤差を吸収させることができる。
【0043】
(第4の実施形態)
本発明を具体化した第4の実施形態について図9及び図10を参照して第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。本実施形態では、主に、仕切部の構成が第1の実施形態と異なっている。
【0044】
図9及び図10(a)に示されるように、本実施形態の仕切部32は、第1構成部材11と一体成形されている第1仕切部52と、第2構成部材21と一体成形されている第2仕切部62と、第1仕切部52に設けられる緩衝部材43とから構成されている。
【0045】
第1仕切部52の端面には、緩衝部材43が予め固定されている。なお、第1仕切部52の端面は、接合部11aの端面よりも若干内側に位置している。緩衝部材43は、接着剤、粘着剤等の固定手段により固定することができる。緩衝部材43は、第1仕切部52及び第2仕切部62よりも軟質な材料から構成される。緩衝部材43としては、上記第3の実施形態で説明したものを適用することができる。
【0046】
中空構造体を形成するには、図10(a)及び図10(b)に示されるように、緩衝部材43を第2仕切部62に当接させるようにして、第1構成部材11及び第2構成部材21を配置させる。こうして第1構成部材11及び第2構成部材21を組み付けることで、第1仕切部52と第2仕切部62との間に介在された緩衝部材43は圧縮変形される。このように配置された第1仕切部52、第2仕切部62、及び緩衝部材43により仕切部32が形成される。
【0047】
さて、上記の第1仕切部52は、第1構成部材11に一体成形されるとともに、第2仕切部62は、第2構成部材21に一体成形されている。そして、仕切部32は、第1仕切部52と第2仕切部62との間に介在させた緩衝部材43を圧縮変形させることで形成されている。これにより、発泡性材料の流出が懸念される部位は、仕切部32の外周縁全体にわたらず、緩衝部材43に集約されることになる。こうした緩衝部材43や各仕切部52,62の設計については、例えば、仕切部材を中空構造の内周面形状に合わせるといった設計よりも自由度が確保される。これにより、緩衝部材43及び各仕切部52,62を単純な形状にすることが可能となる。
【0048】
本実施形態によれば、第1の実施形態の(1)及び(2)に記載した効果に加えて以下の効果が発揮される。
(5)仕切部32は、第1仕切部52と第2仕切部62との間に介在させた緩衝部材43を圧縮変形させることで形成されている。この緩衝部材43の圧縮変形により、各仕切部52,62の寸法誤差を吸収させることができる。
【0049】
(6)上記第3の実施形態では、第2構成部材21の断面形状が複雑化するにつれて緩衝部材43の形状が複雑化するおそれがある。この点、本実施形態では、第2仕切部62を一体成形してなる第2構成部材21を用いているため、緩衝部材43の形状が複雑化することを回避することができる。
【0050】
(第5の実施形態)
本発明を具体化した第5の実施形態について図11及び図12を参照して第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。本実施形態では、主に、仕切部の構成が第1の実施形態と異なっている。
【0051】
図11及び図12(a)に示されるように、本実施形態の仕切部32は、第1構成部材11と一体成形されている第1仕切部52と、第2構成部材21と一体成形されている第2仕切部62と、第2仕切部62に設けられる緩衝部材43とから構成されている。
【0052】
第2仕切部62は、接合部21aの端面よりも外方に突出する突出部62aを有している。突出部62aは、一方の接合部21aから他方の接合部21aにわたる幅方向全体から突出されている。突出部62aの上面には、緩衝部材43が予め固定されている。緩衝部材43は、接着剤、粘着剤等の固定手段により突出部62aに固定することができる。緩衝部材43は、第1仕切部52及び第2仕切部62よりも軟質な材料から構成される。緩衝部材43としては、上記第3の実施形態で説明したものを適用することができる。図12(a)及び図12(b)に示されるように、第1仕切部52は第2仕切部62よりも上方に位置されることで、第1構成部材11と第2構成部材21とを組み付けた際に、第1仕切部52は緩衝部材43に重なるように構成されている。
【0053】
中空構造体を形成するには、接合部11a,21a同士を合わせるとともに、第1仕切部52を緩衝部材43に重ね合わせるようにして、第1構成部材11及び第2構成部材21を配置させる。このとき、緩衝部材43に第1仕切部52が当接されることで、第2構成部材21に対する第1構成部材11の下方への移動が規制される。またこのとき、第1仕切部52の下面と緩衝部材43の上面とが重ね合わされることで、第1仕切部52と第2仕切部62との間に緩衝部材43が介在した仕切部32が形成される。
【0054】
本実施形態によれば、第4の実施形態に記載した作用効果に加えて以下の効果が発揮される。
(6)本実施形態では、第1仕切部52と第2仕切部62とを緩衝部材43を介して重ね合わせることで、仕切部32を形成している。この方法によれば、第1仕切部52と第2仕切部62とを重ね合わせる部位の大きさや緩衝部材43の大きさを調整することで、緩衝部材43と各仕切部52,62との接触面積を容易に調整することができる。例えば、接触面積の拡大により、接触部分に流入した発泡性材料の流動抵抗が高まるため、発泡性材料の流動を規制する仕切部32としての機能性を高めることが容易である。また、重ね合わされる部位により、第1仕切部52と第2仕切部62との寸法誤差を吸収させることができる。また、第1仕切部52と第2仕切部62とを重ね合わせることで、第1構成部材11と第2構成部材21との相対的な移動が規制されるため、各構成部材11,21の位置決めを行うこともできる。
【0055】
(変更例)
なお、上記実施形態を次のように変更して構成してもよい。
・第1及び第2の実施形態において、接触面12a,22aの形状は平坦状に形成されているが、例えば凹凸面に変更することで、接触面12a,22a同士が嵌合して接触するように構成してもよい。
【0056】
・第1及び第2の実施形態において、接触面12a,22aに予め接着剤又は粘着剤を塗布した後に、第1構成部材11と第2構成部材21とを組み付けてもよい。すなわち、第1仕切部12と第2仕切部22とは、接着層や粘着層を介して面接触させてもよい。この場合、第1仕切部12と第2仕切部22との僅かな隙間を接着層や粘着層により埋めることができる。
【0057】
・第2の実施形態において、第1仕切部12の有する突出部12bを省略するとともに第2仕切部22が突出部を有するように変更することで、各仕切部12,22が重ね合わされた仕切部31を形成することもできる。また、各仕切部12,22のいずれも突出部を有する構成に変更してもよい。
【0058】
・第3の実施形態において、緩衝部材43は仕切部本体42に予め固定されているが、第2構成部材21に予め固定されていてもよい。すなわち、緩衝部材43は、第1構成部材11側に固定されていてもよいし、第2構成部材21側に固定されていてもよい。第4の実施形態及び第5の実施形態においても、緩衝部材43は、第1構成部材11側に固定されていてもよいし、第2構成部材21側に固定されていてもよい。
【0059】
・第3から第5の実施形態において、緩衝部材43を予め固定せずに、第1構成部材11と第2構成部材21との組み付けの際に所定の箇所に介在させてもよい。例えば、第3の実施形態では、仕切部本体42と第2構成部材21との間に挟持させることで緩衝部材43を固定することができる。
【0060】
・前記第1仕切部12,52、第2仕切部22,62、仕切部本体42、及び緩衝部材43の厚みは特に限定されず、適宜変更することができる。例えば、第1仕切部12,52と第2仕切部22,62との厚みは同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0061】
・前記第1仕切部12,52、第2仕切部22,62、及び仕切部本体42は、上下方向に対して直交する方向に延在されているが、これに限定されず、上下方向に対して傾斜する方向に延在させてもよい。
【0062】
・前記緩衝部材43の外形は、仕切部32を形成可能な範囲で適宜変更してもよい。また、緩衝部材43は、単一の層から構成されていてもよいし、複数の層から構成されていてもよい。
【0063】
・各実施形態の中空構造体の形成方法は、中空部の一箇所が仕切部31,32により仕切られる中空構造体に適用しているが、中空部の複数箇所が複数の仕切部により仕切られる中空構造体に適用することもできる。例えば、貫通孔21bよりも上方においてさらに仕切部を設けることで、各仕切部の間に発泡体を充填させることができる。
【0064】
・前記各実施形態においては、第2構成部材21に形成された貫通孔21bから発泡性材料を注入しているが、発泡性材料を注入する箇所は、特に限定されず、例えば発泡体の充填領域、中空構造体の意匠性等を考慮して適宜変更することができる。
【0065】
・前記各実施形態において、第1構成部材11及び第2構成部材21の少なくとも一方を金属材料から構成することもできる。また、中空構造体は直線状をなしているが、湾曲した形状であってもよい。また、第1構成部材11及び第2構成部材21の断面形状は、全体にわたって同一の断面形状であってもよいし、上下方向(長さ方向)の各部で異なる断面形状をなしていてもよい。
【0066】
上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(イ)前記中空構造体の中空部において発泡性材料を硬化することで発泡体を充填する発泡体の充填方法であって、前記仕切部により発泡性材料の流動を規制させつつ前記中空部の一部で前記発泡体を形成する発泡体の充填方法。
【0067】
(ロ)前記中空構造体の中空部において発泡性材料を硬化することで発泡体の充填された中空構造体を製造する中空構造体の製造方法であって、前記第1構成部材と前記第2構成部材とを組み付けることで中空構造体を形成する工程と、前記仕切部により発泡性材料の流動を規制させつつ前記中空部の一部で前記発泡体を形成する工程とを備える中空構造体の製造方法。
【符号の説明】
【0068】
11…第1構成部材、12,52…第1仕切部、21…第2構成部材、22,62…第2仕切部、31,32…仕切部、42…仕切部本体、43…緩衝部材、71…発泡性材料、72…発泡体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空部に発泡体を充填して用いられる中空構造体の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中空構造体に発泡体を充填するに際して、中空構造の中空部に予め仕切板を配設させる構成が知られている(特許文献1参照)。特許文献1では、第1構成部材、第2構成部材、及び、仕切板を予め準備し、それら構成部材と仕切板とを組み付けることで中空部の仕切られた中空構造体を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭64−69308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、中空構造体の中空部に仕切部材を配設することで、中空部が仕切られた中空構造体を形成している。中空構造体の中空部に発泡体を充填するに際には、中空部に流動性を有する発泡性材料が流入される。このとき、発泡性材料の流動が仕切部材で規制されることで、中空部の所定の位置に発泡体が充填される。これにより、中空構造体において、例えば補強を必要とする部位に発泡体を配置させることができる。ここで、上記の仕切部材は、発泡性材料の流動を規制するために、中空構造体の内周面との隙間が極力小さくなるように設計されることになる。そして、設計された仕切部材の成形には高い精度が要求されることになる。このように、発泡性材料の流動の規制を考慮して仕切部材を形成することは煩雑であるのが実情である。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、発泡性材料の流動を規制する仕切部を形成することの容易な中空構造体の形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、中空構造の中空部において発泡性材料を硬化させることで発泡体が充填される際に前記発泡性材料の流動を規制すべく前記中空部を仕切る仕切部を有してなる中空構造体の形成方法であって、第1仕切部を一体成形してなる第1構成部材と、第2仕切部を一体成形してなる第2構成部材とを組み付けることで前記中空構造を形成するとともに、前記第1仕切部と前記第2仕切部とを面接触させることで前記仕切部を形成することを要旨とする。
【0007】
この発明では、第1仕切部は、第1構成部材に一体成形されるとともに、第2仕切部は、第2構成部材に一体成形される。そして、仕切部は、第1仕切部と第2仕切部とを面接触させることで形成される。これにより、発泡性材料の流動の規制を考慮する部位は、仕切部の外周縁全体にわたらず、第1仕切部と第2仕切部との接触面に集約されることになる。こうした接触面の設計については、例えば、仕切部材を中空構造の内周面形状に合わせるといった設計よりも自由度が確保される。これにより、接触面を単純な形状にすることができるようになる。すなわち、発泡性材料の流動の規制を考慮した仕切部の設計や成形を簡素化することが可能となる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の中空構造体の形成方法において、前記第1仕切部と前記第2仕切部とを重ね合わせることで、前記仕切部を形成することを要旨とする。
【0009】
この方法によれば、第1仕切部と第2仕切部とを重ね合わせる部位の大きさを調整することで、第1仕切部と第2仕切部との接触面積を容易に調整することができる。例えば、接触面積の拡大により、接触部分に流入した発泡性材料の流動抵抗が高まるため、発泡性材料の流動を規制する仕切部としての機能性を高めることが容易である。また、重ね合わされる部位により、第1仕切部と第2仕切部との寸法誤差を吸収させることができる。また、第1仕切部と第2仕切部とを重ね合わせることで、第1構成部材と第2構成部材との相対的な移動が規制されるため、各構成部材の位置決めを行うこともできる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、中空構造の中空部において発泡性材料を硬化させることで発泡体が充填される際に前記発泡性材料の流動を規制すべく前記中空部を仕切る仕切部を有してなる中空構造体の形成方法であって、仕切部本体を一体成形してなる第1構成部材と、第2構成部材とを組み付けることで前記中空構造を形成するとともに、前記仕切部本体と前記第2構成部材との間に介在させた緩衝部材を圧縮変形させることで前記仕切部を形成することを要旨とする。
【0011】
この発明では、仕切部本体は、第1構成部材に一体成形される。そして、仕切部は、仕切部本体と第2構成部材との間に介在させた緩衝部材を圧縮変形させることで形成される。これにより、発泡性材料の流出が懸念される部位は、仕切部の外周縁全体にわたらず、緩衝部材に集約されることになる。こうした緩衝部材や仕切部本体の設計については、例えば、仕切部材を中空構造の内周面形状に合わせるといった設計よりも自由度が確保される。これにより、緩衝部材や仕切部本体を単純な形状にすることが可能となる。すなわち、発泡性材料の流動の規制を考慮した仕切部の設計や成形を簡素化することができる。また、緩衝部材の圧縮変形により、仕切部本体の寸法誤差を吸収させることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、中空構造の中空部において発泡性材料を硬化させることで発泡体が充填される際に前記発泡性材料の流動を規制すべく前記中空部を仕切る仕切部を有してなる中空構造体の形成方法であって、第1仕切部を一体成形してなる第1構成部材と、第2仕切部を一体成形してなる第2構成部材とを組み付けることで前記中空構造を形成するとともに、前記第1仕切部と前記第2仕切部との間に介在させた緩衝部材を圧縮変形させることで前記仕切部を形成することを要旨とする。
【0013】
この発明では、第1仕切部は、第1構成部材に一体成形されるとともに、第2仕切部は、第2構成部材に一体成形される。そして、仕切部は、第1仕切部と第2仕切部との間に介在させた緩衝部材を圧縮変形させることで形成される。これにより、発泡性材料の流出が懸念される部位は、仕切部の外周縁全体にわたらず、緩衝部材に集約されることになる。こうした緩衝部材や各仕切部の設計については、例えば、仕切部材を中空構造の内周面形状に合わせるといった設計よりも自由度が確保される。これにより、緩衝部材や各仕切部を単純な形状にすることが可能となる。すなわち、発泡性材料の流動の規制を考慮した仕切部の設計や成形を簡素化することができる。また、緩衝部材の圧縮変形により、各仕切部の寸法誤差を吸収させることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の中空構造体の形成方法において、前記第1仕切部と前記第2仕切部とを前記緩衝部材を介して重ね合わせることで、前記仕切部を形成することを要旨とする。
【0015】
この方法によれば、第1仕切部と第2仕切部とを重ね合わせる部位の大きさや緩衝部材の大きさを調整することで、緩衝部材と各仕切部との接触面積を容易に調整することができる。例えば、接触面積の拡大により、接触部分に流入した発泡性材料の流動抵抗が高まるため、発泡性材料の流動を規制する仕切部としての機能性を高めることが容易である。また、重ね合わされる部位により、第1仕切部と第2仕切部との寸法誤差を吸収させることができる。また、重ね合わされる部位により、第1構成部材と第2構成部材との相対的な位置を規定させることもできる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の中空構造体の形成方法において、前記第1構成部材及び前記第2構成部材の少なくとも一方が、樹脂材料から構成されることを要旨とする。
【0017】
例えば、第1構成部材を樹脂材料から構成されることで軽量化され、かつ、発泡体の充填により補強される用途の中空構造体を形成する方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、発泡性材料の流動を規制する仕切部を形成することの容易な中空構造体の形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態の中空構造体の要部を示す分解斜視図。
【図2】中空構造体の要部を示す斜視図。
【図3】(a)は図2の3a−3a線に沿った断面図、(b)は中空部に発泡性材料が流入されている状態を示す概略図、(c)は中空部に発泡体が充填された状態を示す概略図。
【図4】第2の実施形態の中空構造体の要部を示す分解斜視図。
【図5】(a)は中空構造体の要部を示す斜視図、(b)は(a)の5b−5b線に沿った断面図。
【図6】(a)は中空構造体の変更例を示す分解平面図、(b)は中空構造体の変更例を示す平面図。
【図7】第3の実施形態の中空構造体の要部を示す分解斜視図。
【図8】(a)は中空構造体の要部を示す斜視図、(b)は(a)の8b−8b線に沿った断面図。
【図9】第4の実施形態の中空構造体の要部を示す分解斜視図。
【図10】(a)は中空構造体の要部を示す斜視図、(b)は(a)の10b−10b線に沿った断面図。
【図11】第5の実施形態の中空構造体の要部を示す分解斜視図。
【図12】(a)は中空構造体の要部を示す斜視図、(b)は(a)の12b−12b線に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
本発明を具体化した第1の実施形態について図1〜図3に基づいて詳細に説明する。
図1に示されるように、中空構造体の中空構造は、第1構成部材11と第2構成部材21とを組み付けることで形成される。図2に示されるように、中空構造体の中空部は、板状の仕切部31により仕切られている。この中空構造体は、中空部において発泡性材料を硬化させることで発泡体を充填して用いられる。仕切部31は、中空部における発泡性材料の流動を規制するために設けられている。以下の説明において上下方向は、図1を基準とした上下方向を示す。
【0021】
図1及び図2に示されるように、中空構造体は上下方向に延びる多角筒状をなしており、第1構成部材11及び第2構成部材21は、上下方向に沿った面を分割面として中空構造体を二分割した形状に成形されている。第1構成部材11及び第2構成部材21には、上下方向に沿った屈曲部が複数形成されている。複数の屈曲部は、上下方向を軸とした周方向において所定の間隔で位置している。こうした複数の屈曲部により、中空構造体の断面形状は所定の多角形状に設定される。なお、本実施形態では、第1構成部材11の屈曲部は第2構成部材21よりも多く形成されることで、第1構成部材11は第2構成部材21よりも複雑な断面形状をなしている。第1構成部材11の両側において上下方向に延在する端面と、第2構成部材21の両側において上下方向に延在する端面とは、第1構成部材11と第2構成部材21とが組み付けられる際の接合部11a,21aとして構成されている。
【0022】
仕切部31は、第1構成部材11と一体成形されている第1仕切部12と、第2構成部材21と一体成形されている第2仕切部22とから構成されている。第1仕切部12及び第2仕切部22は、それぞれ第1構成部材11及び第2構成部材21において凹面状をなす内周面、すなわち中空部側の面に立設されている。本実施形態の第1仕切部12及び第2仕切部22は、上下方向に対して直交する方向に延在されている。第1仕切部12の端面及び第2仕切部22の端面は、中空構造体を形成する際に面接触される接触面12a,22aとして構成されている。本実施形態の接触面12a,22aは、それぞれ接合部11a,21aの端面と同一平面上に形成されている。
【0023】
本実施形態の第1構成部材11及び第2構成部材21は、いずれも樹脂材料から構成されるとともに、第1仕切部12及び第2仕切部22についても同じく樹脂材料から構成されている。樹脂材料は、中空構造体に要求される特性に応じて適宜選択される。樹脂材料としては、例えば、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を用いることができる。なお、樹脂材料としては、各種繊維で強化されたFRPを用いることもできる。
【0024】
第2構成部材21において第2仕切部22の上方の所定位置には、発泡性材料を注入するための貫通孔21bが形成されている。
中空構造体を形成するには、接合部11a,21a同士を合わせるとともに、接触面12a,22a同士を合わせるようにして、第1構成部材11及び第2構成部材21を配置させる。こうして第1構成部材11及び第2構成部材21を組み付けることで、図2及び図3(a)に示されるように中空構造が形成される。このとき、接触面12a,22aが面接触されることで、第1仕切部12及び第2仕切部22からなる仕切部31が形成される。なお、接合部11a,21aは接着、溶着等の接合手段により接合される。
【0025】
ここで、上記の第1仕切部12及び第2仕切部22は、それぞれ第1構成部材11及び第2構成部材21と一体成形されている。そして、仕切部31は、第1仕切部12と第2仕切部22とを面接触させることで形成されている。これにより、発泡性材料の流動の規制を考慮する部位は、仕切部31の外周縁全体にわたらず、第1仕切部12と第2仕切部22との接触面12a,22aに集約されることになる。こうした接触面12a,22aの設計については、例えば、仕切部材を中空構造の内周面形状に合わせるといった設計よりも自由度が確保される。これにより、接触面12a,22aを単純な形状にすることができるようになる。すなわち、発泡性材料の流動の規制を考慮した仕切部31の設計や成形を簡素化することが可能となる。
【0026】
中空構造体に発泡体を充填するには、まず、図3(b)に示されるように、貫通孔21bに挿入されたノズルNから中空部に発泡性材料71を注入する。発泡性材料71の流動は仕切部31により規制されることで、中空部において仕切部31よりも上方の領域に発泡性材料71が流入される。そして、所定量の発泡性材料71が流入された後、ノズルNは貫通孔21bから抜き出される。発泡性材料71は室温で放置されることにより硬化し、図3(c)に示されるように発泡体72が形成される。この発泡体72より、中空構造体の中空部の一部が閉塞される。
【0027】
発泡性材料71としては、特に限定されず、例えば二液の常温硬化型ウレタン系材料を用いることができる。二液の常温硬化型ウレタン系材料は、一般に、ポリオールを含む主剤と、イソシアネートを含む硬化剤とから構成される。発泡性材料71は、例えば発泡体72の密度や硬度に応じて市販品から適宜選択することができる。
【0028】
発泡体72の充填された中空構造体は、例えば、自動車、鉄道等の車両、船舶、航空機、建築物等に用いられる。こうした中空構造体の断面形状は、例えば適用箇所や要求される強度等に応じて適宜変更されることになる。これに伴って、仕切部31の外形についても適宜変更されることになる。この点、本実施形態の中空構造体の形成方法によれば、発泡性材料71の流動の規制を考慮した仕切部31の設計や成形について簡素化することが可能となるため、様々な断面形状の中空構造体を形成する方法として有効である。
【0029】
本実施形態によって発揮される効果について以下に記載する。
(1)中空構造体の形成方法では、第1仕切部12の接触面12aと第2仕切部22の接触面22aとを面接触させることで仕切部31を形成している。このため、発泡性材料71の流動の規制を考慮する部位は、仕切部31の外周縁全体にわたらず、第1仕切部12と第2仕切部22との接触面12a,22aに集約されることになる。このため、発泡性材料71の流動の規制を考慮した仕切部31の設計や成形を簡素化することが可能となる。従って、発泡性材料71の流動を規制する仕切部31を形成することが容易となる。これにより、中空構造体の断面形状の変更に対応して、所定の位置に所定の形状の仕切部31を配置した中空構造体を形成することが容易となる。例えば、様々な断面形状を有する中空構造体において中空部を仕切ることが容易となるため、多品種の中空構造体の製造に対応することが容易となる。
【0030】
(2)第1構成部材11及び第2構成部材21は、樹脂材料から構成されているため、軽量化され、かつ、発泡体72の充填により補強される用途の中空構造体を形成する方法が提供される。
【0031】
(第2の実施形態)
本発明を具体化した第2の実施形態について図4〜図6を参照して第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。本実施形態では、主に、第1仕切部12の形状が第1の実施形態と異なっている。
【0032】
図4に示されるように、第1仕切部12は、接合部11aの端面よりも外方に突出する突出部12bを有している。突出部12bは、一方の接合部11aから他方の接合部11aにわたる幅方向全体から突出されている。この突出部12bは、図5(a)及び図5(b)に示されるように、第1構成部材11と第2構成部材21とを組み付けた際に、第2仕切部22に重なるように構成されている。本実施形態の第1仕切部12は、第2仕切部22よりも上方に位置されている。
【0033】
中空構造体を形成するには、接合部11a,21a同士を合わせるとともに、突出部12bを第2仕切部22に重ね合わせるようにして、第1構成部材11及び第2構成部材21を配置させる。このとき、第2仕切部22に突出部12bが当接されることで、第2構成部材21に対する第1構成部材11の下方への移動が規制される。またこのとき、突出部12bの下面と第2仕切部22の上面とが重ね合わされることで、突出部12bの下面と第2仕切部22の上面の一部とを接触面12a,22aとして第1仕切部12と第2仕切部22とが面接触された仕切部31が形成される。
【0034】
なお、第1仕切部12と第2仕切部22との重ね合わされる部位の形状は四角形状をなしているが、その形状は特に限定されない。例えば、図6(a)及び(b)に示されるように、第2仕切部22の形状を変更することで重ね合わされる部位の形状を変更することができる。
【0035】
また、図6(a)及び図6(b)に示される第2構成部材21は、図4に示される第2構成部材21よりも複雑な断面形状をなしている。このように、複雑な断面形状をなす第2構成部材21であっても、第1仕切部12と第2仕切部22との面接触を利用することで、発泡性材料の流動を規制する仕切部31を形成することが容易となる。この点、第1の構成部材の断面形状がさらに複雑化した場合や、上記第1の実施形態についても同様のことが言える。
【0036】
本実施形態によれば、第1の実施形態の(1)及び(2)に記載した効果に加えて以下の効果が発揮される。
(3)本実施形態では、第1仕切部12と第2仕切部22とを重ね合わせることで仕切部31を形成している。この方法によれば、重ね合わせる部位の大きさを調整することで、第1仕切部12と第2仕切部22との接触面積を容易に調整することができる。例えば、接触面積の拡大により、接触部分に流入した発泡性材料の流動抵抗が高まるため、発泡性材料の流動を規制する仕切部31としての機能性を高めることが容易である。また、重ね合わされる部位により、第1仕切部12と第2仕切部22との寸法誤差を吸収させることができる。また、第1仕切部12と第2仕切部22とを重ね合わせることで、第1構成部材11と第2構成部材21との相対的な移動が規制されるため、各構成部材11,21の位置決めを行うこともできる。
【0037】
(第3の実施形態)
本発明を具体化した第3の実施形態について図7及び図8を参照して第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。本実施形態では、主に、仕切部の構成が第1の実施形態と異なっている。
【0038】
図7及び図8(a)に示されるように、本実施形態の仕切部32は、第1構成部材11と一体成形されている仕切部本体42と、仕切部本体42に設けられる緩衝部材43とから構成されている。本実施形態の第2構成部材21は、第2仕切部を有していない。
【0039】
仕切部本体42は、接合部11aの端面よりも外方に突出する突出部42aを有している。突出部42aの外周面には、緩衝部材43が予め固定されている。緩衝部材43は、接着剤、粘着剤等の固定手段により突出部42aに固定することができる。緩衝部材43は、仕切部本体42よりも軟質な材料から構成される。こうした緩衝部材43は、例えば樹脂系材料、ゴム系材料、樹脂系材料とゴム系材料との混合材料等を基材として構成される。緩衝部材43には、例えば充填材が含有されていてもよい。緩衝部材43としては、軽量化、及び硬さの調整が容易であることから、発泡材から構成することが好ましい。
【0040】
中空構造体を形成するには、図8(a)及び図8(b)に示されるように、緩衝部材43を第2構成部材21に当接させるようにして、第1構成部材11及び第2構成部材21を配置させる。こうして第1構成部材11及び第2構成部材21を組み付けることで、仕切部本体42と第2構成部材21との間に介在された緩衝部材43は圧縮変形される。このように配置された仕切部本体42と緩衝部材43とにより仕切部32が形成される。
【0041】
さて、上記の仕切部本体42は、第1構成部材11と一体成形されている。そして、仕切部32は、仕切部本体42と第2構成部材21との間に介在させた緩衝部材43を圧縮変形させることで形成されている。これにより、発泡性材料の流出が懸念される部位は、仕切部32の外周縁全体にわたらず、緩衝部材43に集約されることになる。こうした緩衝部材43や仕切部本体42の設計については、例えば、仕切部材を中空構造の内周面形状に合わせるといった設計よりも自由度が確保される。これにより、緩衝部材43や仕切部本体42を単純な形状にすることが可能となる。
【0042】
本実施形態によれば、第1の実施形態の(1)及び(2)に記載した効果に加えて以下の効果が発揮される。
(4)仕切部32は、仕切部本体42と第2構成部材21との間に介在させた緩衝部材43を圧縮変形させることで形成される。この緩衝部材43の圧縮変形により、仕切部本体42の寸法誤差を吸収させることができる。
【0043】
(第4の実施形態)
本発明を具体化した第4の実施形態について図9及び図10を参照して第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。本実施形態では、主に、仕切部の構成が第1の実施形態と異なっている。
【0044】
図9及び図10(a)に示されるように、本実施形態の仕切部32は、第1構成部材11と一体成形されている第1仕切部52と、第2構成部材21と一体成形されている第2仕切部62と、第1仕切部52に設けられる緩衝部材43とから構成されている。
【0045】
第1仕切部52の端面には、緩衝部材43が予め固定されている。なお、第1仕切部52の端面は、接合部11aの端面よりも若干内側に位置している。緩衝部材43は、接着剤、粘着剤等の固定手段により固定することができる。緩衝部材43は、第1仕切部52及び第2仕切部62よりも軟質な材料から構成される。緩衝部材43としては、上記第3の実施形態で説明したものを適用することができる。
【0046】
中空構造体を形成するには、図10(a)及び図10(b)に示されるように、緩衝部材43を第2仕切部62に当接させるようにして、第1構成部材11及び第2構成部材21を配置させる。こうして第1構成部材11及び第2構成部材21を組み付けることで、第1仕切部52と第2仕切部62との間に介在された緩衝部材43は圧縮変形される。このように配置された第1仕切部52、第2仕切部62、及び緩衝部材43により仕切部32が形成される。
【0047】
さて、上記の第1仕切部52は、第1構成部材11に一体成形されるとともに、第2仕切部62は、第2構成部材21に一体成形されている。そして、仕切部32は、第1仕切部52と第2仕切部62との間に介在させた緩衝部材43を圧縮変形させることで形成されている。これにより、発泡性材料の流出が懸念される部位は、仕切部32の外周縁全体にわたらず、緩衝部材43に集約されることになる。こうした緩衝部材43や各仕切部52,62の設計については、例えば、仕切部材を中空構造の内周面形状に合わせるといった設計よりも自由度が確保される。これにより、緩衝部材43及び各仕切部52,62を単純な形状にすることが可能となる。
【0048】
本実施形態によれば、第1の実施形態の(1)及び(2)に記載した効果に加えて以下の効果が発揮される。
(5)仕切部32は、第1仕切部52と第2仕切部62との間に介在させた緩衝部材43を圧縮変形させることで形成されている。この緩衝部材43の圧縮変形により、各仕切部52,62の寸法誤差を吸収させることができる。
【0049】
(6)上記第3の実施形態では、第2構成部材21の断面形状が複雑化するにつれて緩衝部材43の形状が複雑化するおそれがある。この点、本実施形態では、第2仕切部62を一体成形してなる第2構成部材21を用いているため、緩衝部材43の形状が複雑化することを回避することができる。
【0050】
(第5の実施形態)
本発明を具体化した第5の実施形態について図11及び図12を参照して第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。本実施形態では、主に、仕切部の構成が第1の実施形態と異なっている。
【0051】
図11及び図12(a)に示されるように、本実施形態の仕切部32は、第1構成部材11と一体成形されている第1仕切部52と、第2構成部材21と一体成形されている第2仕切部62と、第2仕切部62に設けられる緩衝部材43とから構成されている。
【0052】
第2仕切部62は、接合部21aの端面よりも外方に突出する突出部62aを有している。突出部62aは、一方の接合部21aから他方の接合部21aにわたる幅方向全体から突出されている。突出部62aの上面には、緩衝部材43が予め固定されている。緩衝部材43は、接着剤、粘着剤等の固定手段により突出部62aに固定することができる。緩衝部材43は、第1仕切部52及び第2仕切部62よりも軟質な材料から構成される。緩衝部材43としては、上記第3の実施形態で説明したものを適用することができる。図12(a)及び図12(b)に示されるように、第1仕切部52は第2仕切部62よりも上方に位置されることで、第1構成部材11と第2構成部材21とを組み付けた際に、第1仕切部52は緩衝部材43に重なるように構成されている。
【0053】
中空構造体を形成するには、接合部11a,21a同士を合わせるとともに、第1仕切部52を緩衝部材43に重ね合わせるようにして、第1構成部材11及び第2構成部材21を配置させる。このとき、緩衝部材43に第1仕切部52が当接されることで、第2構成部材21に対する第1構成部材11の下方への移動が規制される。またこのとき、第1仕切部52の下面と緩衝部材43の上面とが重ね合わされることで、第1仕切部52と第2仕切部62との間に緩衝部材43が介在した仕切部32が形成される。
【0054】
本実施形態によれば、第4の実施形態に記載した作用効果に加えて以下の効果が発揮される。
(6)本実施形態では、第1仕切部52と第2仕切部62とを緩衝部材43を介して重ね合わせることで、仕切部32を形成している。この方法によれば、第1仕切部52と第2仕切部62とを重ね合わせる部位の大きさや緩衝部材43の大きさを調整することで、緩衝部材43と各仕切部52,62との接触面積を容易に調整することができる。例えば、接触面積の拡大により、接触部分に流入した発泡性材料の流動抵抗が高まるため、発泡性材料の流動を規制する仕切部32としての機能性を高めることが容易である。また、重ね合わされる部位により、第1仕切部52と第2仕切部62との寸法誤差を吸収させることができる。また、第1仕切部52と第2仕切部62とを重ね合わせることで、第1構成部材11と第2構成部材21との相対的な移動が規制されるため、各構成部材11,21の位置決めを行うこともできる。
【0055】
(変更例)
なお、上記実施形態を次のように変更して構成してもよい。
・第1及び第2の実施形態において、接触面12a,22aの形状は平坦状に形成されているが、例えば凹凸面に変更することで、接触面12a,22a同士が嵌合して接触するように構成してもよい。
【0056】
・第1及び第2の実施形態において、接触面12a,22aに予め接着剤又は粘着剤を塗布した後に、第1構成部材11と第2構成部材21とを組み付けてもよい。すなわち、第1仕切部12と第2仕切部22とは、接着層や粘着層を介して面接触させてもよい。この場合、第1仕切部12と第2仕切部22との僅かな隙間を接着層や粘着層により埋めることができる。
【0057】
・第2の実施形態において、第1仕切部12の有する突出部12bを省略するとともに第2仕切部22が突出部を有するように変更することで、各仕切部12,22が重ね合わされた仕切部31を形成することもできる。また、各仕切部12,22のいずれも突出部を有する構成に変更してもよい。
【0058】
・第3の実施形態において、緩衝部材43は仕切部本体42に予め固定されているが、第2構成部材21に予め固定されていてもよい。すなわち、緩衝部材43は、第1構成部材11側に固定されていてもよいし、第2構成部材21側に固定されていてもよい。第4の実施形態及び第5の実施形態においても、緩衝部材43は、第1構成部材11側に固定されていてもよいし、第2構成部材21側に固定されていてもよい。
【0059】
・第3から第5の実施形態において、緩衝部材43を予め固定せずに、第1構成部材11と第2構成部材21との組み付けの際に所定の箇所に介在させてもよい。例えば、第3の実施形態では、仕切部本体42と第2構成部材21との間に挟持させることで緩衝部材43を固定することができる。
【0060】
・前記第1仕切部12,52、第2仕切部22,62、仕切部本体42、及び緩衝部材43の厚みは特に限定されず、適宜変更することができる。例えば、第1仕切部12,52と第2仕切部22,62との厚みは同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0061】
・前記第1仕切部12,52、第2仕切部22,62、及び仕切部本体42は、上下方向に対して直交する方向に延在されているが、これに限定されず、上下方向に対して傾斜する方向に延在させてもよい。
【0062】
・前記緩衝部材43の外形は、仕切部32を形成可能な範囲で適宜変更してもよい。また、緩衝部材43は、単一の層から構成されていてもよいし、複数の層から構成されていてもよい。
【0063】
・各実施形態の中空構造体の形成方法は、中空部の一箇所が仕切部31,32により仕切られる中空構造体に適用しているが、中空部の複数箇所が複数の仕切部により仕切られる中空構造体に適用することもできる。例えば、貫通孔21bよりも上方においてさらに仕切部を設けることで、各仕切部の間に発泡体を充填させることができる。
【0064】
・前記各実施形態においては、第2構成部材21に形成された貫通孔21bから発泡性材料を注入しているが、発泡性材料を注入する箇所は、特に限定されず、例えば発泡体の充填領域、中空構造体の意匠性等を考慮して適宜変更することができる。
【0065】
・前記各実施形態において、第1構成部材11及び第2構成部材21の少なくとも一方を金属材料から構成することもできる。また、中空構造体は直線状をなしているが、湾曲した形状であってもよい。また、第1構成部材11及び第2構成部材21の断面形状は、全体にわたって同一の断面形状であってもよいし、上下方向(長さ方向)の各部で異なる断面形状をなしていてもよい。
【0066】
上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(イ)前記中空構造体の中空部において発泡性材料を硬化することで発泡体を充填する発泡体の充填方法であって、前記仕切部により発泡性材料の流動を規制させつつ前記中空部の一部で前記発泡体を形成する発泡体の充填方法。
【0067】
(ロ)前記中空構造体の中空部において発泡性材料を硬化することで発泡体の充填された中空構造体を製造する中空構造体の製造方法であって、前記第1構成部材と前記第2構成部材とを組み付けることで中空構造体を形成する工程と、前記仕切部により発泡性材料の流動を規制させつつ前記中空部の一部で前記発泡体を形成する工程とを備える中空構造体の製造方法。
【符号の説明】
【0068】
11…第1構成部材、12,52…第1仕切部、21…第2構成部材、22,62…第2仕切部、31,32…仕切部、42…仕切部本体、43…緩衝部材、71…発泡性材料、72…発泡体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空構造の中空部において発泡性材料を硬化させることで発泡体が充填される際に前記発泡性材料の流動を規制すべく前記中空部を仕切る仕切部を有してなる中空構造体の形成方法であって、
第1仕切部を一体成形してなる第1構成部材と、第2仕切部を一体成形してなる第2構成部材とを組み付けることで前記中空構造を形成するとともに、前記第1仕切部と前記第2仕切部とを面接触させることで前記仕切部を形成することを特徴とする中空構造体の形成方法。
【請求項2】
前記第1仕切部と前記第2仕切部とを重ね合わせることで、前記仕切部を形成することを特徴とする請求項1に記載の中空構造体の形成方法。
【請求項3】
中空構造の中空部において発泡性材料を硬化させることで発泡体が充填される際に前記発泡性材料の流動を規制すべく前記中空部を仕切る仕切部を有してなる中空構造体の形成方法であって、
仕切部本体を一体成形してなる第1構成部材と、第2構成部材とを組み付けることで前記中空構造を形成するとともに、前記仕切部本体と前記第2構成部材との間に介在させた緩衝部材を圧縮変形させることで前記仕切部を形成することを特徴とする中空構造体の形成方法。
【請求項4】
中空構造の中空部において発泡性材料を硬化させることで発泡体が充填される際に前記発泡性材料の流動を規制すべく前記中空部を仕切る仕切部を有してなる中空構造体の形成方法であって、
第1仕切部を一体成形してなる第1構成部材と、第2仕切部を一体成形してなる第2構成部材とを組み付けることで前記中空構造を形成するとともに、前記第1仕切部と前記第2仕切部との間に介在させた緩衝部材を圧縮変形させることで前記仕切部を形成することを特徴とする中空構造体の形成方法。
【請求項5】
前記第1仕切部と前記第2仕切部とを前記緩衝部材を介して重ね合わせることで、前記仕切部を形成することを特徴とする請求項4に記載の中空構造体の形成方法。
【請求項6】
前記第1構成部材及び前記第2構成部材の少なくとも一方が、樹脂材料から構成されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の中空構造体の形成方法。
【請求項1】
中空構造の中空部において発泡性材料を硬化させることで発泡体が充填される際に前記発泡性材料の流動を規制すべく前記中空部を仕切る仕切部を有してなる中空構造体の形成方法であって、
第1仕切部を一体成形してなる第1構成部材と、第2仕切部を一体成形してなる第2構成部材とを組み付けることで前記中空構造を形成するとともに、前記第1仕切部と前記第2仕切部とを面接触させることで前記仕切部を形成することを特徴とする中空構造体の形成方法。
【請求項2】
前記第1仕切部と前記第2仕切部とを重ね合わせることで、前記仕切部を形成することを特徴とする請求項1に記載の中空構造体の形成方法。
【請求項3】
中空構造の中空部において発泡性材料を硬化させることで発泡体が充填される際に前記発泡性材料の流動を規制すべく前記中空部を仕切る仕切部を有してなる中空構造体の形成方法であって、
仕切部本体を一体成形してなる第1構成部材と、第2構成部材とを組み付けることで前記中空構造を形成するとともに、前記仕切部本体と前記第2構成部材との間に介在させた緩衝部材を圧縮変形させることで前記仕切部を形成することを特徴とする中空構造体の形成方法。
【請求項4】
中空構造の中空部において発泡性材料を硬化させることで発泡体が充填される際に前記発泡性材料の流動を規制すべく前記中空部を仕切る仕切部を有してなる中空構造体の形成方法であって、
第1仕切部を一体成形してなる第1構成部材と、第2仕切部を一体成形してなる第2構成部材とを組み付けることで前記中空構造を形成するとともに、前記第1仕切部と前記第2仕切部との間に介在させた緩衝部材を圧縮変形させることで前記仕切部を形成することを特徴とする中空構造体の形成方法。
【請求項5】
前記第1仕切部と前記第2仕切部とを前記緩衝部材を介して重ね合わせることで、前記仕切部を形成することを特徴とする請求項4に記載の中空構造体の形成方法。
【請求項6】
前記第1構成部材及び前記第2構成部材の少なくとも一方が、樹脂材料から構成されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の中空構造体の形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−86381(P2012−86381A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232589(P2010−232589)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000101905)イイダ産業株式会社 (47)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000101905)イイダ産業株式会社 (47)
【Fターム(参考)】
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