説明

中継無線通信システム、及び、伝達関数推定方法

【課題】送信局と宛先局との間の伝搬路ごとの伝達関数を短時間で送信局と宛先局が取得することができる中継無線通信システム、及び、伝達関数推定方法を提供する。
【解決手段】タイムスロットT1〜T3において、送信局無線装置Txと、宛先局無線装置Rxと、中継局無線装置R1とが所定のトレーニング信号を送信し、他の無線装置からの受信信号とトレーニング信号とに基づき、自装置と他無線装置との間の経路の伝達関数を算出し、タイムスロットT4において、中継局無線装置R1が、算出した伝達関数を通知する伝達関数通知用信号を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継局を介する無線通信システムにおける無線装置間の伝達関数の推定値を算出する中継無線通信システム、及び、伝達関数推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中継局を介して無線信号の送受信を行う中継無線通信システムの分野において、無線装置は、各装置間の伝搬路における伝達関数を取得し、送受信する無線信号に対し、取得した伝達関数による信号処理を行う。この伝達関数の取得方法として、例えば、非特許文献1には、送信局や、宛先局が、自装置の信号が到達する装置と自装置との間の伝搬路の伝達関数を取得する技術が示されている。
【0003】
一方、このような中継無線通信システムにおいて、高品質な通信を提供するためには、送信局、及び宛先局が、自装置が無線信号を送受信する際の伝搬路に含まれる全ての経路ごとの伝達関数を予め取得しておくことが望ましい。以下、送信局と宛先局とが全ての経路ごとの伝達関数を取得する際の手順について説明する。
【0004】
図12(a)は、1の中継局を備える中継無線通信システムの構成を示し、図12(b)は、伝達関数の取得手順の概要を示す図である。
図12(a)において、中継無線通信システムは、送信局無線装置Txと中継局無線装置R1と、宛先局無線装置Rxとを備える。また、送信局無線装置Txから宛先局無線装置Rxまでの無線信号の伝搬路は、送信局無線装置Txから宛先局無線装置Rxに直接無線信号が到達する経路TRと、中継局無線装置R1を介する経路TR1と経路R1Rとからなる伝搬路の2つがある。
【0005】
また、各装置は、伝達関数の取得に用いる所定の信号として共通の信号パターン(ここでは、例えば、トレーニング信号α)を予め記憶している。
次に、図12(a)における信号の流れ、及び、信号処理の結果取得する伝達関数について、図12(b)を用いて説明する。図12(b)に示すように、各装置は、各タイムスロットごとに、トレーニング信号αを送信し、送信元以外の装置が、受信信号とトレーニング信号αとに基づき、送信元の装置と自装置との間の経路における伝達関数を算出する。
【0006】
具体的には、タイムスロットT1において、送信局無線装置Txがトレーニング信号αを送信すると、経路TR1における伝達関数HTx−R1に基づき変化した受信信号HTx−R1αが中継局無線装置R1に到達する。同様に、送信局無線装置Txが送信するトレーニング信号αは、経路TRにおける伝達関数HTx−Rxにより変化した受信信号HTx−Rxαが宛先局無線装置Rxに到達する。
【0007】
中継局無線装置R1は、受信信号HTx−R1αと、予め記憶するトレーニング信号αとを比較することにより、経路TR1の伝達関数HTx−R1を算出する。また、宛先局無線装置Rxは、受信信号HTx−Rxαと、予め記憶するトレーニング信号αとに基づき、経路TRにおける伝達関数HTx−Rxを算出する。
以下、同様に、タイムスロットT2において、宛先局無線装置Rxがトレーニング信号αを送信し、中継局無線装置R1が経路R1Rの伝達関数HR1−Rxを算出し、送信局無線装置Txが経路TRの伝達関数HTx−Rxを算出する。
【0008】
タイムスロットT3において、中継局無線装置R1がトレーニング信号αを送信し、送信局無線装置Txが経路TR1の伝達関数HTx−R1を算出し、宛先局無線装置Rxが経路R1Rの伝達関数HR1−Rxを算出する。
タイムスロットT3までの処理により、非特許文献1に示すように、送信局無線装置Txと宛先局無線装置Rxとが、自装置と他の装置間の伝搬路に関する伝達関数を取得する。
【0009】
次に、送信局無線装置Txと宛先局無線装置Rxとが、他の装置間の伝搬路の伝達関数を取得するための処理について説明する。
ここでは、送信局無線装置Txにおいて、経路R1Rの伝達関数HR1−Rxが取得対象の伝達関数であり、宛先局無線装置Rxにおいて、経路TR1の伝達関数HTx−R1が取得対象の伝達関数である。
【0010】
他装置間の伝搬路の伝達関数の取得方法として、図12(b)に示すように、取得対象の伝達関数を他の装置から通知させる方法がある。
例えば、送信局無線装置Txの取得対象である伝達関数HR1−Rxは、タイムスロットT3終了時点において、中継局無線装置R1、及び宛先局無線装置Rxが取得済みである。したがって、タイムスロットT4において、宛先局無線装置Rx、又は、中継局無線装置R1のいずれか一方が、取得済みの伝達関数HR1−Rxを送信局無線装置Txに通知する。同様に、タイムスロットT5において、中継局無線装置R1、又は送信局無線装置Txのいずれか一方が、伝達関数HTx−R1を宛先局無線装置Rxに通知する。タイムスロットT4、及び、タイムスロットT5における処理により、送信局無線装置Txと宛先局無線装置Rxとが経路TR1、経路R1R、経路TRの全ての伝達関数を取得することができる。
【0011】
また、複数の中継局、例えば、2つの中継局がある場合も同様である。図13(a)は、中継局が、中継局無線装置R1と中継局無線装置R2との2つある場合におけるシステムの全体構成を示し、図13(b)は、送信局無線装置Txと宛先局無線装置Rxとにおける全ての伝搬路の伝達関数の取得手順の一例を示す図である。
図13(a)に示すように、送信局無線装置Txから宛先局無線装置Rxまでの無線信号の経路は、経路TR1と経路R1Rとからなる経路と、経路TRと、経路TR2と経路R2Rとからなる経路との3つの経路がある。
【0012】
図12(b)と同様に、図13(b)において、送信局無線装置Tx、宛先局無線装置Rx、中継局無線装置R1、中継局無線装置R2は、それぞれ、タイムスロットT1〜T4のいずれか1のタイムスロットにおいて、トレーニング信号αを送信する。
タイムスロットT4後、送信局無線装置Txは、伝達関数HTx−R1と、伝達関数HTx−Rxと、伝達関数HTx−R2とを取得している。したがって、送信局無線装置Txにおける取得対象の伝達関数は、経路R1Rの伝達関数HR1−Rxと、経路R2Rの伝達関数HR2−Rxとの2つである。
【0013】
したがって、タイムスロットT5において、伝達関数HR1−Rxを取得済みの中継局無線装置R1、又は、宛先局無線装置Rxのいずれか一方が送信局無線装置Txに対して伝達関数HR1−Rxを通知する。また、タイムスロットT6において、伝達関数HR2−Rxを取得済みの中継局無線装置R2、又は、宛先局無線装置Rxのいずれか一方が送信局無線装置Txに対して伝達関数HR2−Rxを通知する。
【0014】
同様に、タイムスロットT4後の宛先局無線装置Rxにおける取得対象の伝達関数は、伝達関数HTx−R1、伝達関数HTx−R2の2つである。タイムスロットT7において、伝達関数HTx−R1を取得済みの送信局無線装置Tx、又は、中継局無線装置R1のいずれか一方が宛先局無線装置Rxに対して伝達関数HTx−R1を通知する。また、タイムスロットT8において、伝達関数HTx−R2を取得済みの送信局無線装置Tx、又は、中継局無線装置R2のいずれか一方が宛先局無線装置Rxに対して伝達関数HTx−R2を通知する。
【0015】
上述したように、送信局無線装置Tx、及び、宛先局無線装置Rxが互いに全経路の伝達関数を取得するためには、8タイムスロットを要する。中継局が3以上の場合についても同様である。
【非特許文献1】K.Yamamoto、S.Yoshida、「Tradeoff between Area Spectral Efficiency and End-to-End Throughput in Rate-Adaptive Multihop Radio Networks」、IEICE transactions on communications、社団法人電子情報通信学会、2005年9月1日、Vol.E88−B, No.9、pp. 3532−3540
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、通信の信頼性を向上させるために必要となる伝達関数の取得処理について、送信局無線装置Txと宛先局無線装置Rxとが全ての経路の伝達関数を取得する場合、上述したように、多くのタイムスロットを必要とするため、データの伝送効率が低下するという問題がある。また、全ての伝達関数を取得するために必要なタイムスロット数が増えることにより、伝達関数取得処理に時間がかかることとなる。ここで、伝達関数は、周囲環境の時間的な変化により変動するため、取得した伝達関数と、この伝達関数の取得時点における伝達関数との間で誤差が生じ、通信品質が劣化してしまうという問題がある。
【0017】
本発明は、このような事情を考慮し、上記の問題を解決すべくなされたもので、その目的は、送信局と宛先局との間の伝搬路ごとの伝達関数を短時間で送信局と宛先局が取得することができる中継無線通信システム、及び、伝達関数推定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記問題を解決するために、本発明は、送信局装置と、中継局装置と、宛先局装置とを備え、前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とがそれぞれ、所定の伝達関数推定用信号と、伝達関数通知用信号とを送受信することにより、前記中継局装置を介して前記送信局装置から前記宛先局装置までの無線信号の伝搬路における各装置間の伝達関数を算出する中継無線通信システムにおいて、前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とが、それぞれ、前記所定の伝達関数推定用信号を、前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とのうち、自装置以外であって前記伝搬路上において隣接する装置に送信する伝達関数推定用信号送信部と、前記所定の伝達関数推定用信号、又は、前記伝達関数通知用信号のいずれかの信号を前記伝搬路上において隣接する装置から受信する受信部と、前記受信部により受信される信号と、前記所定の伝達関数推定用信号とに基づき、伝達関数を算出する伝達関数算出部とを備え、前記中継局装置が、さらに、前記伝達関数算出部が算出する前記伝達関数のうち、前記送信局装置に対する通知対象の伝達関数と、前記宛先局装置に対する通知対象の伝達関数と、前記伝達関数推定用信号とに基づき、前記伝達関数を通知する伝達関数通知用信号を算出し、算出した伝達関数通知用信号を前記送信局装置と前記宛先局装置とに送信する伝達関数通知用信号送信部を備えることを特徴とする中継無線通信システムである。
【0019】
また、本発明は、前記中継局装置装置が備える前記伝達関数通知用信号送信部が、前記通知対象の伝達関数、又は、前記伝達関数の逆数のいずれか一方と、前記所定の伝達関数推定用信号とを乗算することにより、伝達関数通知用信号を算出することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の前記中継無線通信システムにおける通信方式は、マルチキャリア伝送方式であり、前記中継局装置装置が備える前記伝達関数推定用信号送信部が、前記伝達関数通知用信号生成部が生成する前記伝達関数通知用信号を含むサブキャリア信号と、前記伝達関数推定用信号を含むサブキャリア信号とを組み合わせた信号を送信し、前記送信局装置と、前記宛先局装置とがそれぞれ備える前記伝達関数算出部が、前記中継局装置の無線装置から受信する前記伝達関数通知用信号と前記伝達関数推定用信号とを組み合わせた信号に基づき、前記サブキャリアごとに伝達関数を算出し、算出した伝達関数を補間することにより、全キャリアの伝達関数を算出することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の前記中継無線通信システムは、複数の中継局装置を備え、前記中継局装置の前記伝達関数通知用信号送信部が、前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とのうち、前記前記伝搬路上において自装置と隣接するいずれか2の装置に対し、通知対象の伝達関数と、前記伝達関数推定用信号とに基づき、前記伝達関数を通知する伝達関数通知用信号を算出することを特徴とする。
【0022】
本発明は、送信局装置と、中継局装置と、宛先局装置とを備え、前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とがそれぞれ、所定の伝達関数推定用信号と、伝達関数通知用信号とを送受信することにより、前記中継局装置を介して前記送信局装置から前記宛先局装置までの無線信号の伝搬路における各装置間の伝達関数を算出するマルチキャリア伝送方式の中継無線通信システムにおいて、前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とが、それぞれ、前記所定の伝達関数推定用信号を、前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とのうち、自装置以外であって、前記伝搬路上において隣接する装置に送信する伝達関数推定用信号送信部と、前記所定の伝達関数推定用信号、又は、前記伝達関数通知用信号のいずれかの信号を前記伝搬路上において隣接する装置から受信する受信部と、前記受信部により受信される信号と、前記所定の伝達関数推定用信号とに基づき、伝達関数を算出する伝達関数算出部とを備え、前記中継局装置が、さらに、前記伝達関数算出部が算出する前記伝達関数のうち、前記伝搬路上において隣接する装置に対する通知対象の伝達関数と、前記伝達関数推定用信号とに基づき、前記伝達関数を通知する伝達関数通知用信号を算出し、算出した伝達関数通知用信号を生成する伝達関数通知用信号生成部を備え、前記中継局装置の前記推定用信号送信部が、前記伝達関数通知用信号生成部が生成する伝達関数通知用信号を含むサブキャリア信号と、前記伝達関数推定用信号を含むサブキャリア信号とを組み合わせた信号を送信し、前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とがそれぞれ備える前記伝達関数算出部が、前記中継局装置から受信する前記伝達関数通知用信号と前記伝達関数推定用信号とを組み合わせた信号に基づき、前記サブキャリアごとに伝達関数を算出し、算出した伝達関数を補間することにより、全キャリアの伝達関数を算出することを特徴とする中継無線通信システムである。
【0023】
また、本発明の前記中継局装置が備える前記伝達関数通知用信号生成部は、前記通知対象の伝達関数、又は、前記伝達関数の逆数のいずれか一方と、前記所定の伝達関数推定用信号とを乗算することにより、伝達関数通知用信号を算出することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の前記中継局装置が備える前記伝達関数通知用信号生成部は、2つの異なる前記通知対象の伝達関数に基づき、伝達関数通知用信号を算出することを特徴とする。
【0025】
本発明は、送信局装置と、中継局装置と、宛先局装置とを備え、前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とがそれぞれ、所定の伝達関数推定用信号と、伝達関数通知用信号とを送受信することにより、前記中継局装置を介して前記送信局装置から前記宛先局装置までの無線信号の伝搬路における各装置間の伝達関数を算出する中継無線通信システムにおける伝達信号推定方法であって、前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とが、それぞれ、前記所定の伝達関数推定用信号を、前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とのうち、自装置以外であって、前記伝搬路上において隣接する装置に送信する伝達関数推定用信号送信過程と、前記所定の伝達関数推定用信号を前記伝搬路上において隣接する装置から受信する伝達関数推定用信号受信過程と、受信した伝達関数推定用信号と、前記所定の伝達関数推定用信号とに基づき、伝達関数を算出する伝達関数算出過程とを有し、前記中継局装置が、さらに、算出した前記伝達関数のうち、前記伝搬路上において隣接する2の装置に対する通知対象の2の伝達関数と、前記伝達関数推定用信号とに基づき、前記伝達関数を通知する伝達関数通知用信号を算出し、算出した伝達関数通知用信号を前記伝搬路上において隣接する2の装置に送信する伝達関数通知用信号送信過程を有し、前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とのうち、前記中継局装置による前記伝達関数通知用信号の送信先の2の装置が、それぞれ、前記中継局装置から前記伝達関数通知用信号を受信する伝達関数通知用信号受信過程と、受信した前記伝達関数通知用信号と、前記所定の伝達関数推定用信号とに基づき、前記伝達関数を算出する通知伝達関数算出過程とを有することを特徴とする伝達関数推定方法である。
【0026】
本発明は、送信局装置と、中継局装置と、宛先局装置とを備え、前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とがそれぞれ、所定の伝達関数推定用信号と、伝達関数通知用信号とを送受信することにより、前記中継局装置を介して前記送信局装置から前記宛先局装置までの無線信号の伝搬路における各装置間の伝達関数を算出するマルチキャリア伝送方式の中継無線通信システムにおける伝達関数推定方法であって、前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とが、それぞれ、前記所定の伝達関数推定用信号を、前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とのうち、自装置以外であって、前記伝搬路上において隣接する装置に送信する伝達関数推定用信号送信過程と、前記所定の伝達関数推定用信号を前記伝搬路上において隣接する装置から受信する受信過程と、受信した信号と、前記所定の伝達関数推定用信号とに基づき、伝達関数を算出する伝達関数算出過程とを有し、前記中継局装置が、さらに、算出した前記伝達関数のうち、前記伝搬路上において隣接する装置に対する通知対象の伝達関数と、前記伝達関数推定用信号とに基づき、前記伝達関数を通知する伝達関数通知用信号を算出し、算出した伝達関数通知用信号を生成する伝達関数通知用信号生成過程を有し、前記伝達関数推定用信号送信過程において、生成した伝達関数通知用信号を含むサブキャリア信号と、前記伝達関数推定用信号を含むサブキャリア信号とを組み合わせた信号を送信し、前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とのうち、前記中継局装置による前記伝達関数通知用信号の送信先の2の装置が、それぞれ、前記伝達関数通知用信号と前記伝達関数推定用信号とを組み合わせた信号を前記中継局装置から受信する信号受信過程と、受信した前記伝達関数通知用信号と前記伝達関数推定用信号とを組み合わせた信号と、前記伝達関数推定用信号とに基づき、前記サブキャリアごとに伝達関数を算出し、算出した伝達関数を補間することにより、全キャリアの伝達関数を算出する補間過程とを有することを特徴とする伝達関数推定方法である。
【発明の効果】
【0027】
中継局の無線装置が、他の無線装置からの受信信号と所定の伝達関数推定用信号とに基づき伝達関数を算出し、算出した伝達関数と伝達関数推定用信号とに基づき、伝達関数通知用信号を算出し、伝達関数通知用信号を他の無線装置に送信することにより、受信した少なくとも2の無線装置が同時に未知の伝達関数を取得することができ、無線装置間の伝達関数の取得時間を短縮することが可能になるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
<第1実施形態>
以下、本発明の一実施形態による中継無線通信システムを図面を参照して説明する。
図1(a)は、第1実施形態による中継無線通信システムの構成を示す図である。同図を用いて、中継無線通信システムの構成について説明する。中継無線通信システムは、送信局としての送信局無線装置Tx、中継局としての中継局無線装置R1、宛先局としての宛先局無線装置Rxとからなる。
送信局無線装置Txと、通信部10Txと、受信信号処理部20Txと、伝達関数推定回路30Txと、伝達関数記憶装置40Txと、伝達関数推定用信号付加回路60Txと、送信信号処理部70Txとを備え、送信対象の信号を無線信号に変換して送信する。また、送信局無線装置Txは、無線信号の伝搬路ごとに伝達関数を算出し、記憶する。
【0029】
次に、送信局無線装置Txの内部構成について説明する。
通信部10Txは、アンテナを備え、無線信号の送受信を行い、受信した無線信号を受信信号処理部20Txに出力し、送信信号処理部70Txから入力される信号を無線信号として送信する。
受信信号処理部20Txは、通信部10Txから入力される無線信号をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号を伝達関数推定回路30Txに出力する。
【0030】
伝達関数推定回路30Txは、受信信号処理部20Txから入力される信号のうち、トレーニング信号αに対応する信号部分を抽出し、抽出した信号と、予め内部に記憶しているトレーニング信号αとを比較することにより、伝達関数を算出する。また、他の無線装置間の経路、例えば、経路R1Rの伝達関数HR1−Rxについて、予め定められる他の無線装置からの通知方法に応じた後述する計算式に基づき、受信した無線信号のトレーニング信号α、又は、トレーニング信号αと既に算出した経路の伝達関数とを用いて算出する。
【0031】
伝達関数記憶装置40Txは、伝達関数推定回路30Txが算出する伝達関数を経路ごとに記憶する。
伝達関数推定用信号付加回路60Txは、送信対象の信号に対し、所定の伝達関数推定用信号として、例えば、プリアンブル信号などのトレーニング信号αを付加し、送信信号処理部70Txに出力する。
なお、伝達関数推定用信号は、無線装置間において共通の符号列であれば、いずれの符号列でも適用可能である。以下では、一例として、同期符号列として用いられるプリアンブル信号をトレーニング信号αとして伝達関数推定用信号に適用する場合について説明する。
送信信号処理部70Txは、伝達関数推定用信号付加回路60Txから入力された信号を無線信号に変換し、通信部10Txに出力する。
【0032】
なお、上述した送信局無線装置Txが備える機能部について、中継局無線装置R1と、宛先局無線装置Rxとが備える同様の機能部に対し、符号に共通の番号を付すとともに、識別のために末尾に各装置の符号を付し、異なる構成について説明する。
例えば、中継局無線装置R1における通信部10R1は、送信局無線装置Txにおける通信部10Txに対応し、同様の機能を備える。同図において、送信局無線装置Txと、宛先局無線装置Rxとは同様の構成である。一方、中継局無線装置R1は、送信局無線装置Txが備える構成に加えて、伝達関数推定用信号整形回路50R1をさらに備える。
【0033】
伝達関数推定用信号整形回路50R1は、自装置が伝達関数記憶装置40R1に記憶する伝達関数を他の無線装置に通知する際、通知対象の伝達関数と、トレーニング信号αとを所定の通知手順に基づき変換する。伝達関数推定用信号整形回路50R1は、変換した信号を伝達関数通知用信号として伝達関数推定用信号付加回路60R1に出力する。
また、中継局無線装置R1において、伝達関数推定用信号付加回路60R1は、伝達関数推定用信号整形回路50R1から伝達関数通知用信号が入力されると、トレーニング信号αに代えて、入力された伝達関数通知用信号を送信対象の信号に付加し、送信信号処理部70R1に出力する。
【0034】
次に、中継無線通信システムにおけるタイムスロットごとの信号の流れ、及び、各無線装置における伝達関数の取得状況の概要を図1(b)を用いて説明する。なお、同図において、タイムスロットT1〜T3は、上述した図12(b)と同様であるが、タイムスロットT4における処理が図12(b)と異なる。
本実施形態において、送信局無線装置Txと、宛先局無線装置Rxとが他無線装置間の伝達関数を取得する方法の一例として、中継局無線装置R1が通知対象の伝達関数の逆数を用いる場合について説明する。
【0035】
まず、図12(b)と同様に、タイムスロットT1〜T3において、各無線装置がそれぞれトレーニング信号αを送信することにより、各無線装置は、自装置を含む経路の伝達関数を算出する。次に、タイムスロットT4において、中継局無線装置R1が、トレーニング信号αに代えて、送信局無線装置Txと宛先局無線装置Rxとにおける取得対象の伝達関数を通知するための伝達関数通知用信号を送信する。これにより中継局無線装置R1は、送信局無線装置Txの取得対象である経路R1Rの伝達関数HR1−Rxと、宛先局無線装置Rxの取得対象である経路TR1の伝達関数HTx−R1とを送信局無線装置Txと宛先局無線装置Rxとに通知する。
【0036】
伝達関数通知用信号は、トレーニング信号αに対し、経路TR1の伝達関数HTx−R1の逆数と、経路R1Rの伝達関数HR1−Rxの逆数とを乗算した信号(α/(HTx−R1×HR1−Rx))である。送信局無線装置Txと、宛先局無線装置Rxとは、中継局無線装置R1が送信する伝達関数通知用信号により、取得対象の他無線装置間の伝達関数を取得する。
【0037】
図2は、無線信号について、送信信号と受信信号との関係を示す図である。例えば、図2(a)において、送信局無線装置Txがトレーニング信号αを送信すると、経路TRにおける伝搬路変動により、宛先局無線装置Rxが受信する信号は、送信されたトレーニング信号αに伝達関数HTx−Rxが乗算された受信信号HTx−Rxαとなる。
したがって、図2(b)に示すように、タイムスロットT4において中継局無線装置R1が送信する信号(α/(HTx−R1×HR1−Rx))は、以下の受信信号として送信局無線装置Txと宛先局無線装置Rxとに受信されることとなる。
【0038】
送信局無線装置Txは、中継局無線装置R1が送信する信号(α/(HTx−R1×HR1−Rx))に経路TR1の伝達関数HTx−R1が乗算された信号として、受信信号(α/HR1−Rx)を受信する。この受信信号とトレーニング信号αとに基づき、送信局無線装置Txは、信号(1/HR1−Rx)を算出し、算出した信号の逆数を算出することにより、伝達関数HR1−Rxを取得する。
同様に、宛先局無線装置Rxは、中継局無線装置R1が送信する信号(α/(HTx−R1×HR1−Rx))に経路R1Rの伝達関数HR1−Rxが乗算された信号として、受信信号(α/HTx−R1)を受信する。この受信信号とトレーニング信号αとに基づき、宛先局無線装置Rxは、信号(1/HTx−R1)を算出し、算出した信号の逆数を算出することにより、伝達関数HTx−R1を取得する。
【0039】
次に、本発明の第1実施形態による中継無線通信システムの動作について、図1(b)に示す信号処理概要における詳細な処理動作について図面を参照して説明する。図3は、第1実施形態における伝達関数取得処理の流れを示す図である。
タイムスロットT1において、送信局無線装置Txは、トレーニング信号αを送信する(ステップS1)。
中継局無線装置R1において、伝達関数推定回路30R1は、通信部10R1と、受信信号処理部20R1とを介して入力されるデジタル信号の受信信号HTx−R1αと、トレーニング信号αとに基づき、経路TR1の伝達関数HTx−R1を算出する。伝達関数推定回路30R1は、算出した経路TR1の伝達関数HTx−R1を伝達関数記憶装置40R1に記憶させる。
【0040】
同様に、宛先局無線装置Rxにおいて、伝達関数推定回路30Rxは、受信信号HTx−Rxαと、トレーニング信号αとに基づき、経路TRの伝達関数HTx−Rxを算出し、算出した伝達関数HTx−Rxを伝達関数記憶装置40Rxに記憶させる(ステップS2)。このステップS1、S2がタイムスロットT1における中継無線通信システムにおける処理である。
【0041】
タイムスロットT1と同様に、タイムスロットT2において、宛先局無線装置Rxがトレーニング信号αを送信し(ステップS3)、中継局無線装置R1が、経路R1Rの伝達関数HR1−Rxを算出し、送信局無線装置Txが、経路TRの伝達関数HTx−Rxを算出する(ステップS4)。また、タイムスロットT3において、中継局無線装置R1がトレーニング信号αを送信し(ステップS5)、送信局無線装置Txが、経路TR1の伝達関数HTx−R1を算出し、宛先局無線装置Rxが、経路R1Rの伝達関数HR1−Rxを算出する(ステップS6)。
【0042】
次に、タイムスロットT4の処理について説明する。中継局無線装置R1は、伝達関数通知用信号として、信号(α/(HTx−R1×HR1−Rx))を送信する(ステップS7)。ステップS7において、中継局無線装置R1の伝達関数推定用信号整形回路50R1は、伝達関数記憶装置40R1から経路TR1の伝達関数HTx−R1と、経路R1Rの伝達関数HR1−Rxとを読み出し、読み出した伝達関数の逆数を算出する。
【0043】
伝達関数推定用信号整形回路50R1は、算出した通知対象の伝達関数の逆数(1/HTx−R1)と、逆数(1/HR1−Rx)と、トレーニング信号αとを乗算することにより、伝達関数通知用信号を生成する。伝達関数推定用信号整形回路50R1は、生成した伝達関数通知用信号を含む送信要求を伝達関数推定用信号付加回路60R1に出力し、伝達関数推定用信号付加回路60R1が通信部10R1を介して伝達関数通知用信号を送信する。
【0044】
上述したように、送信局無線装置Txは、受信信号(α/HR1−Rx)を受信する。伝達関数推定回路30Txは、通信部10Tx、受信信号処理部20Txを介して入力される受信信号(α/HR1−Rx)と、トレーニング信号αとに基づき、信号(1/HR1−Rx)を算出する。送信局無線装置Txと同様に、宛先局無線装置Rxにおいて、伝達関数推定回路30Rxは、受信信号(α/HTx−R1)と、トレーニング信号αとに基づき、信号(1/HTx−R1)を算出する(ステップS8)。
【0045】
送信局無線装置Txにおいて、伝達関数推定回路30Txは、算出した信号(1/HR1−Rx)の逆数を算出する。同様に、宛先局無線装置Rxにおいて、伝達関数推定回路30Rxは、算出した信号(1/HTx−R1)の逆数を算出する(ステップS9)。送信局無線装置Txにおいて、伝達関数推定回路30Txは、算出した逆数を経路R1Rの伝達関数HR1−Rxとして伝達関数記憶装置40Txに書き込む。また、宛先局無線装置Rxにおいて、伝達関数推定回路30Rxは、算出した逆数を経路TR1の伝達関数HTx−R1として伝達関数記憶装置40Rxに書き込む(ステップS10)。
【0046】
上述した第1実施形態によれば、タイムスロットT4において、中継局無線装置R1が伝達関数HTx−R1の逆数と伝達関数HR1−Rxの逆数とをトレーニング信号αに乗算した信号を伝達関数通知用信号として送信するようにした。これにより、送信局無線装置Txと宛先局無線装置Rxとに対し、それぞれ異なる取得対象の伝達関数を1タイムスロットで通知することができ、送信局無線装置Txと宛先局無線装置Rxとにおいて全ての経路の伝達関数を取得する時間を短縮することが可能になる。
【0047】
なお、上述の第1実施形態において、中継局無線装置R1は、伝達関数通知用信号として、伝達関数HTx−R1の逆数と伝達関数HR1−Rxの逆数とを用いることとして説明したが、これに限られず、トレーニング信号αに伝達関数HTx−R1と、伝達関数HR1−Rxとを乗算し、算出した信号を伝達関数通知用信号として送信することでもよい。
【0048】
この場合、送信局無線装置Txは、受信信号HTx−R1×HTx−R1×HR1−Rx×αを受信し、伝達関数推定回路30Txがトレーニング信号αと、伝達関数HTx−R1とに基づき、伝達関数HR1−Rxを算出する。同様に、宛先局無線装置Rxは、受信信号HTx−R1×HR1−Rx×HR1−Rxαを受信し、伝達関数推定回路30Rxが、伝達関数HR1−Rxと、トレーニング信号αとに基づき、伝達関数HTx−R1を算出する。
【0049】
また、伝達関数HTx−R1の逆数と、伝達関数HR1−Rxと、トレーニング信号αとを乗算した信号など、通知対象の伝達関数のいずれか一方の逆数を乗算した信号を伝達関数通知用信号としてよい。なお、第1実施形態において、伝達関数HTx−R1の逆数と、伝達関数HR1−Rxの逆数とを伝達関数通知用信号として用いることにより、経路TR1を伝搬する際に、経路TR1の伝達関数HTx−R1と伝達関数通知用信号の伝達関数HTx−R1の逆数とが打ち消しあうため、送信局無線装置Txが取得対象の伝達関数HR1−Rxとトレーニング信号αとに基づく信号を受信することができる。
【0050】
同様に、宛先局無線装置Rxにおいて、伝達関数通知用信号の伝達関数HR1−Rxの逆数と、経路R1Rの伝達関数HR1−Rxとが打ち消しあうため、トレーニング信号αと伝達関数HTx−R1とに基づく信号を受信することができる。これにより、送信局無線装置Txと、宛先局無線装置Rxとは、逆数を用いずに伝達関数HTx−R1と、伝達関数HR1−Rxと、トレーニング信号αとを乗算した場合に比して、伝達関数の二乗などを含まない単純化された受信信号を受信することが可能になるという効果がある。
【0051】
次に、第2実施形態として、図1(a)に示す中継無線通信システムに、マルチキャリア方式の通信方式を適用した場合の伝達関数の通知方法について図4を用いて説明する。図4(a)は、中継無線通信システムの構成を示し、図4(b)、(c)は、第2実施形態におけるサブキャリアごとの信号の流れを示す図である。ここで、マルチキャリア方式とは、異なる周波数帯域を割り当てた複数のサブキャリアごとに信号を送信する通信方式である。
【0052】
図4(b)に示す2n番目ただし、(n=1、2、・・・)のサブキャリア、すなわち、偶数番目のサブキャリアと、図4(c)に示すように、(2n−1)番目のサブキャリア、すなわち、奇数番目のサブキャリアとにおいて、タイムスロットT1とタイムスロットT2との信号の流れは、図1(b)と同様であるため、第1実施形態とで異なるタイムスロットT3について説明する。
【0053】
図4(b)のタイムスロットT3において、中継局無線装置R1は、2n番目のサブキャリアにおいて、第1実施形態のタイムスロットT4で送信する伝達関数通知用信号と同様に、伝達関数HTx−R1の逆数と、伝達関数HR1−Rxの逆数と、トレーニング信号αとを乗算した信号(α/(HTx−R1R1−Rx))を送信する。また、中継局無線装置R1は、図4(c)のタイムスロットT3において、(2n−1)番目のサブキャリアにおいて、トレーニング信号αを送信する。すなわち、中継局無線装置R1は、タイムスロットT3において、トレーニング信号αと、伝達関数通知用信号とを同時に送信する。これにより、送信局無線装置Txと宛先局無線装置Rxとは、タイムスロットT3において、2つの伝達関数を同時に算出することが可能になる。
【0054】
図5は、第2実施形態において、中継局無線装置R1が送信する信号の構成例を示す概念図である。送信局無線装置Txは、2n番目のサブキャリアにおける伝達関数HR1−Rxに基づき、(2n−1)番目のサブキャリアにおける伝達関数HR1−Rxの推定値を算出する。また、送信局無線装置Txは、(2n−1)番目のサブキャリアにおける伝達関数HTx−R1に基づき、2n番目のサブキャリアにおける伝達関数HTx−R1の推定値を算出する。この推定値の算出は、例えば、隣接するサブキャリアの伝達関数を線形補間することにより算出する。
【0055】
宛先局無線装置Rxにおいても、送信局無線装置Txと同様にしてサブキャリアごとに伝達関数HTx−R1と伝達関数HR1−Rxとを算出する。
なお、上述したように、トレーニング信号αと、伝達関数通知用信号とをサブキャリアごとに送信する方法の他の例として、サブキャリアごとに異なる伝達信号通知用信号として、信号αHTx−R1/HR1−Rxと、トレーニング信号αと、信号αHR1−Rx/HTx−R1と、信号(α/(HTx−R1R1−Rx))とを送信することとしてもよい。
【0056】
図6は、4つの信号をサブキャリアごとに送信する場合の信号の構成例を示す概念図である。同図に示すように、(4m−3)番目のサブキャリア(ただし、m=1、2、・・・)に、信号(α/(HTx−R1R1−Rx))を割当て、(4m−2)番目のサブキャリアに、トレーニング信号αを割当て、(4m−1)番目のサブキャリアに、信号αHR1−Rx/HTx−R1を割当て、4m番目のサブキャリアに信号αHTx−R1/HR1−Rxを割り当てた信号を中継局無線装置R1が送信することでもよい。
【0057】
図6に示す信号を中継局無線装置R1が送信した場合について、タイムスロットT3における送信局無線装置Txの受信信号は、以下の通りである。送信局無線装置Txは、(4m−3)番目のサブキャリアにおいて、受信信号α/HR1−Rxを受信し、(4m−2)番目のサブキャリアにおいて、受信信号伝達関数HTx−R1αを受信する。また、送信局無線装置Txは、(4m−1)番目のサブキャリアにおいて、受信信号αHR1−Rxを受信し、4m番目のサブキャリアにおいて、受信信号(α×HTx−R1×HTx−R1)/HR1−Rxを受信する。
【0058】
ここで、図6に示す信号構成における送信局無線装置Txの伝達関数の算出手順について、送信局無線装置Txを代表として説明する。送信局無線装置Txは、第1実施形態と同様に、受信信号と、トレーニング信号αとに基づき、(4m−3)番目のサブキャリアにおける伝達関数HR1−Rxを算出し、(4m−2)番目のサブキャリアにおける伝達関数HTx−R1を算出する。
【0059】
また、送信局無線装置Txは、(4m−1)番目のサブキャリアにおける受信信号αHR1−Rxと、トレーニング信号αとを比較することにより伝達関数HR1−Rxを算出する。また、送信局無線装置Txは、(4m−3)番目のサブキャリアと、(4m−1)番目のサブキャリアとにおける伝達関数HR1−Rxに基づき、(4m−2)番目のサブキャリアの伝達関数HR1−Rxと、4m番目のサブキャリアの伝達関数HR1−Rxとを補間して算出する。送信局無線装置Txは、4m番目のサブキャリアにおける受信信号(α×HTx−R1×HTx−R1)/HR1−Rxと、トレーニング信号αと、補間により算出した4m番目の伝達関数HR1−Rxに基づき、伝達関数HR1−Rxを算出する。
【0060】
次に、第2実施形態における動作処理の流れについて、図面を用いて説明する。図7は、第2実施形態における処理の流れを示すフロー図である。同図において、第1実施形態における図3と同様の処理については、同一のステップ番号を付し、異なる処理について説明する。
図3のステップS1、S2、S3、S4と同様に、タイムスロットT1とタイムスロットT2において、送信局無線装置Txと宛先局無線装置Rxとがトレーニング信号αを送信する。
【0061】
次に、中継局無線装置R1において、伝達関数推定用信号付加回路60R1は、奇数番目のサブキャリアとしてトレーニング信号αを、偶数番目のサブキャリアとして信号(α/(HTx−R1R1−Rx))を送信する(ステップS21)。
図3のステップS8、S9と同様に、送信局無線装置Txにおいて、伝達関数推定回路30Txは、奇数番目のサブキャリアの受信信号HTx−R1αと、トレーニング信号αとに基づき、当該サブキャリアにおける伝達関数HTx−R1を算出する。
【0062】
また、伝達関数推定回路30Txは、偶数番目のサブキャリアの受信信号(α/伝達関数HR1−Rx)と、トレーニング信号αとに基づき、伝達関数HR1−Rxを算出する。同様に、宛先局無線装置Rxにおいて、伝達関数推定回路30Rxは、奇数番目のサブキャリアにおける伝達関数HR1−Rxと、偶数番目のサブキャリアにおける伝達関数HTx−R1とを算出する(ステップS22〜S24)。
【0063】
送信局無線装置Txにおいて、伝達関数推定回路30Txは、算出した奇数番目のサブキャリアにおける伝達関数HTx−R1に基づき、補間処理により偶数番目のサブキャリアにおける伝達関数HTx−R1の推定値を算出する。また、伝達関数推定回路30Txは、算出した偶数番目のサブキャリアにおける伝達関数HR1−Rxの補間処理により、奇数番目のサブキャリアにおける伝達関数HR1−Rxの推定値を算出する。伝達関数推定回路30Txは、算出結果の伝達関数HTx−R1と伝達関数HR1−Rxとを伝達関数記憶装置40Txに書き込む。
【0064】
送信局無線装置Txと同様に、宛先局無線装置Rxの伝達関数推定回路30Rxは、算出した奇数番目のサブキャリアにおける伝達関数HR1−Rxに基づき、偶数番目のサブキャリアにおける伝達関数HR1−Rxの推定値を算出する。伝達関数推定回路30Rxは、算出した偶数番目のサブキャリアにおける伝達関数HTx−R1に基づき、奇数番目のサブキャリアにおける伝達関数HTx−R1の推定値を算出する。伝達関数推定回路30Rxは、算出結果の伝達関数HTx−R1と伝達関数HR1−Rxとを伝達関数記憶装置40Rxに書き込む(ステップS25)。
【0065】
本実施形態によれば、中継局無線装置R1が、一部のサブキャリアの信号としてトレーニング信号αを、他のサブキャリアの信号として伝達関数通知用信号を送信するようにした。これにより、タイムスロットT3における1タイムスロットで送信局無線装置Txと宛先局無線装置Rxとが伝達関数HTx−R1と伝達関数HR1−Rxとを算出することができ、第1実施形態に比して、さらに伝達関数の取得にかかる時間と、タイムスロット数とを減少させることが可能になるという効果がある。
【0066】
なお、図5、及び、図6に示す各サブキャリアごとの信号の構成は、一例であり、例えば、中継局無線装置R1が、2n番目のサブキャリアでトレーニング信号αを送信し、(2n−1)番目のサブキャリアで信号(α/(HTx−R1R1−Rx))を送信することなど、各サブキャリアに割り当てる信号の順番について入れ替える構成としてもよい。
【0067】
次に、本発明の第3実施形態として、中継局無線装置R1と中継局無線装置R2との2つの中継局を備える場合の中継無線通信システムについて説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成、動作については同一の符号を付し、異なる部分について説明する。
図8(a)は、第3実施形態における中継無線通信システムの全体構成を示し、図8(b)は、信号の流れの概略を示す図である。図8(a)において、第1実施形態における中継無線通信システムと異なる点は、送信局無線装置Txと、宛先局無線装置Rxと、中継局無線装置R1とに加え、中継局無線装置R2をさらに備える点である。
【0068】
なお、中継局無線装置R2を備えることにより、経路TR1、経路R1R、経路TRに加えて、送信局無線装置Txから宛先局無線装置Rxへの経路として中継局無線装置R2を介する経路TR2と経路R2Rとからなる経路がさらに加わる。また、中継局無線装置R2は、中継局無線装置R1と同様の構成である。
【0069】
本実施形態における信号の流れの概略について、図8(b)を用いて説明する。同図に示すように、タイムスロットT1〜T3において、図1(b)と同様に、送信局無線装置Txと、宛先局無線装置Rxと、中継局無線装置R1とがトレーニング信号αを送信する。ここで、中継局無線装置R2は、タイムスロットT1において受信する信号に基づき、経路TR2の伝達関数HTx−R2を算出し、タイムスロットT2において受信する信号に基づき、経路R2Rの伝達関数HR2−Rxを算出する。
【0070】
また、中継局無線装置R2は、タイムスロットT3において中継局無線装置R1が送信するトレーニング信号αを受信する場合がある。ここでは、中継局無線装置R1と中継局無線装置R2との間の経路は、送信局無線装置Txから宛先局無線装置Rxまでの無線信号の経路に含まれないため、中継局無線装置R2は、中継局無線装置R1と中継局無線装置R2との間の伝達関数を算出しないこととする。
【0071】
次に、タイムスロットT4において、中継局無線装置R2がトレーニング信号αを送信し、タイムスロットT3における処理と同様にして、送信局無線装置Txは、経路TR2の伝達関数HTx−R2を算出し、宛先局無線装置Rxは、経路R2Rの伝達関数HR2−Rxを算出する。
以上、タイムスロットT1〜T4において、全ての無線装置がトレーニング信号αを送信すると、送信局無線装置Txにおいて、伝達関数HR1−Rxと伝達関数HTx−R2との2つの伝達関数が取得対象となる。また、宛先局無線装置Rxにおいて、伝達関数HTx−R1と、伝達関数HTx−R2とが取得対象の伝達関数となる。
【0072】
第1実施形態におけるタイムスロットT4と同様に、タイムスロットT5において、中継局無線装置R1が伝達関数通知用信号として、信号(α/(HTx−R1R1−Rx))を送信し、送信局無線装置Txは、伝達関数HR1−Rxを算出し、宛先局無線装置Rxは、伝達関数HTx−R1を算出する。
次に、タイムスロットT6において、中継局無線装置R2は、伝達関数通知用信号として、伝達関数HTx−R2の逆数と、伝達関数HR2−Rxの逆数と、トレーニング信号αとを乗算した信号(α/(HTx−R2R2−Rx))を送信する。送信局無線装置Txは、受信信号(α/HR2−Rx)に基づき、伝達関数HR2−Rxを算出する。また、宛先局無線装置Rxは、受信信号(α/HTx−R2)に基づき、伝達関数HTx−R2を算出する。
【0073】
上述したように、伝達関数取得処理に要するタイムスロット数について、図13(b)の中継無線通信システムにおいて要する8タイムスロットに比して、本実施形態において6タイムスロットに短縮することができ、中継局が2以上の場合についても本発明を適用することにより伝達関数取得処理に要するタイムスロット数を減少させることが可能になるという効果がある。
【0074】
次に、第4実施形態として、第3実施形態における中継無線通信システムに対し、第2実施形態と同様に、マルチキャリア方式の通信方式を適用した場合について説明する。なお、第4実施形態において、第2実施形態と異なる処理について説明する。
図9(a)は、第4実施形態における中継無線通信システムの全体構成を示し、図9(b)、(c)は、サブキャリアごとの信号の流れの概略を示す図である。
【0075】
図9(b)において、第2実施形態と同様に、2n番目のサブキャリアに関して、タイムスロットT1〜T3において、送信局無線装置Tx、宛先局無線装置Rxがトレーニング信号αを送信し、中継局無線装置R1が信号(α/(HTx−R1R1−Rx))を送信する。また、上述の第3実施形態のタイムスロットT6と同様に、中継局無線装置R2は、伝達関数通知用信号として、伝達関数HTx−R2の逆数と、伝達関数HR2−Rxの逆数と、トレーニング信号αとを乗算した信号(α/(HTx−R2R2−Rx))を送信することにより、送信局無線装置Txが伝達関数HR2−Rxを算出し、宛先局無線装置Rxが伝達関数HTx−R2を算出する。
【0076】
また、図9(c)に示すように、(2n−1)番目のサブキャリアに関して、第2実施形態のタイムスロットT1〜T3と同様に、送信局無線装置Tx、宛先局無線装置Rx、中継局無線装置R1は、トレーニング信号αを送信する。また、中継局無線装置R2は、タイムスロットT4において、トレーニング信号αを送信することにより、送信局無線装置Txが伝達関数HTx−R2を算出し、宛先局無線装置Rxが伝達関数HR2−Rxを算出する。
【0077】
図10は、中継局無線装置R2がタイムスロットT4において送信する信号の構成例を示す概念図である。第2実施形態と同様に、送信局無線装置Txは、2n番目のサブキャリアにおける伝達関数HR2−Rxに基づき、(2n−1)番目のサブキャリアにおける取得対象の伝達関数HR2−Rxの推定値を算出する。また、送信局無線装置Txは、(2n−1)番目のサブキャリアにおける伝達関数HTx−R2に基づき、2n番目のサブキャリアにおける伝達関数HTx−R2を推定値を算出する。
【0078】
また、図6と同様に、中継局無線装置R1、及び、中継局無線装置R2は、伝達関数推定用信号として、2つの伝達関数の逆数と、トレーニング信号αとを乗算した信号のほか、通知対象のいずれか一方の伝達関数の逆数と、他方の伝達関数と、トレーニング信号αとを乗算した信号を用いることも可能である。
上述した第4実施形態によれば、送信局無線装置Txと、宛先局無線装置Rxとが全ての経路の伝達関数を取得するために要するタイムスロット数は、第3実施形態における6タイムスロットよりもさらに少ない4タイムスロットに減少させることが可能になるという効果がある。
【0079】
次に、第5実施形態として、送信局無線装置Txと宛先局無線装置Rxとが複数の中継局を介して通信する場合について図面を用いて説明する。
図11(a)は、複数の中継局を介する場合の一例として、送信局無線装置Txと宛先局無線装置Rxとの間に中継局無線装置R1と、中継局無線装置R2と、中継局無線装置R3との3つの中継局が備えられた中継無線システムの構成を示し、図11(b)は、本実施形態における信号の流れを示す概念図である。
【0080】
本実施形態において、第1実施形態〜第4実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、異なる構成、処理について説明する。図11(a)に示すように、送信局無線装置Txが送信する無線信号は、中継局無線装置R1が中継局無線装置R2に中継し、中継局無線装置R2が中継局無線装置R3に中継し、中継局無線装置R3が宛先局無線装置Rxに中継することにより宛先局無線装置Rxが無線信号を受信する。すなわち、送信局無線装置Txから宛先局無線装置Rxまでの無線信号の伝搬路は、経路TR1と、経路R1R2と、経路R2R3と、経路R3Rとからなる。
【0081】
本実施形態において、図11(b)に示すように、タイムスロットT1〜T5において、無線装置がそれぞれトレーニング信号αを送信する。タイムスロットT1において、送信局無線装置Txが送信するトレーニング信号αに基づき、中継局無線装置R1は、経路TR1の伝達関数HTx−R1を算出する。タイムスロットT2において、中継局無線装置R1が送信するトレーニング信号αに基づき、送信局無線装置Txは、伝達関数HTx−R1を算出し、中継局無線装置R2は、伝達関数HR1−R2を算出する。
【0082】
タイムスロットT3において、中継局無線装置R2が送信するトレーニング信号αに基づき、中継局無線装置R1は、伝達関数HR1−R2を算出し、中継局無線装置R3は、伝達関数HR2−R3を算出する。タイムスロットT4において中継局無線装置R3が送信するトレーニング信号αに基づき、中継局無線装置R2は、伝達関数HR2−R3を算出し、宛先局無線装置Rxは、伝達関数HR3−Rxを算出する。タイムスロットT5において、宛先局無線装置Rxが送信するトレーニング信号αに基づき、中継局無線装置R3は伝達関数HR3−Rxを算出する。
【0083】
次に、タイムスロットT6において、中継局無線装置R3は、伝達関数HR2−R3の逆数と、伝達関数HR3−Rxの逆数とトレーニング信号αとを乗算した信号(α/HR2−R3R3−Rx)を伝達関数通知用信号として送信する。同様に、タイムスロットT7において、中継局無線装置R2は、伝達関数通知用信号として、信号(α/HR1−R2R2−R3)を送信し、タイムスロットT8において、中継局無線装置R1は、伝達関数通知用信号として、信号(α/HTx−R1R1−R2)を送信する。
【0084】
上述のタイムスロットT6〜T8により、各無線装置は、他装置間の伝達関数として以下の伝達関数を新たに取得する。宛先局無線装置Rxは、伝達関数HR2−R3を取得し、中継局無線装置R3は、伝達関数HR1−R2を取得し、中継局無線装置R2は、伝達関数HR3−Rxと伝達関数HTx−R1とを取得し、中継局無線装置R1は、伝達関数HR2−R3を取得し、送信局無線装置Txは、伝達関数HR1−R2を取得する。
【0085】
以下、タイムスロットT9〜T13において、中継局無線装置R1〜R3は、新たに取得した伝達関数を伝達関数通知用信号により通知する。タイムスロットT9において、中継局無線装置R1は、伝達関数HR2−R3を通知する伝達関数通知用信号として、例えば、伝達関数HR2−R3とトレーニング信号αとを乗算した信号を送信する。
【0086】
同様に、タイムスロットT10において、中継局無線装置R3が、伝達関数HR1−R2を通知する伝達関数通知用信号を送信し、タイムスロットT11において、中継局無線装置R2が、伝達関数HTx−R1と伝達関数HR3−Rxとを通知する伝達関数通知用信号を送信し、タイムスロットT12において、中継局無線装置R3が、伝達関数HTx−R1を通知する伝達関数通知用信号を送信し、タイムスロットT13において、中継局無線装置R1が、伝達関数HR3−Rxを通知する伝達関数通知用信号を送信する。
これにより、送信局無線装置Txと、宛先局無線装置Rxとは、経路TR1から経路R3Rまでの全経路の伝達関数を取得することができる。
【0087】
次に、第6実施形態として、第5実施形態の中継無線通信システムにおいて、マルチキャリア方式の通信方式を適用した場合について、信号の流れを説明する。
本実施形態において、タイムスロットT1〜T6の処理は、図11(b)の第5実施形態と同様であるため、タイムスロットT7以降の処理について説明する。タイムスロットT6の処理終了時点において、中継局無線装置R2は、伝達関数HR1−R2と、伝達関数HR2−R3と、伝達関数HR3−Rxとが取得済みとなる。
【0088】
タイムスロットT7において、中継局無線装置R2は、偶数、又は、奇数番目のいずれか一方のサブキャリアにおいて、伝達関数HR1−R2の逆数と、伝達関数HR2−R3の逆数と、トレーニング信号αとを乗算した信号(α/HR1−R2R2−R3)を送信し、他方のサブキャリアにおいて、伝達関数HR3−Rxを通知する伝達関数通知用信号を送信する。これにより、中継局無線装置R1は、伝達関数HTx−R1と、伝達関数HR1−R2と、伝達関数HR2−R3と、伝達関数HR3−Rxとが取得済みとなる。
【0089】
タイムスロットT8において、中継局無線装置R1は、(3k−2)番目(ただし、k=1、2、3、・・・)のサブキャリアにおいて、伝達関数HTx−R1の逆数と、伝達関数HR1−R2の逆数と、トレーニング信号αとを乗算した信号(α/HTx−R1R1−R2)を送信し、(3k−1)番目のサブキャリアにおいて、トレーニング信号αと伝達関数HR2−R3とを乗算した信号HR2−R3αを送信し、3k番目のサブキャリアにおいてトレーニング信号αとHR3−Rxとを乗算した伝達関数HR3−Rxαを送信する。
【0090】
これにより、送信局無線装置Txは、受信信号のうち、(3k−2)番目のサブキャリアに基づき伝達関数HR1−R2を算出し、(3k−1)番目のサブキャリアに基づき伝達関数HR2−R3を算出し、3k番目のサブキャリアにおいて伝達関数HR2−R3を算出することにより、全ての経路の伝達関数を取得する。また、中継局無線装置R2は、受信信号のうち、(3k−2)番目のサブキャリアに基づき伝達関数HTx−R1を算出する。
【0091】
次に、タイムスロットT9において、中継局無線装置R3は、偶数、又は、奇数番目のいずれか一方のサブキャリアにおいて、トレーニング信号αと伝達関数HTx−R1とを乗算した信号HTx−R1αを送信し、他方のサブキャリアにおいてトレーニング信号αと伝達関数HR1−R2とを乗算した信号HR1−R2αを送信する。これにより、宛先局無線装置Rxは、上述の算出手順と同様に、伝達関数HTx−R1と、伝達関数HR1−R2とを算出することにより、全ての経路の伝達関数を取得する。
【0092】
本実施形態によれば、第5実施形態に要する13タイムスロットに比して少ない9タイムスロットにより、送信局無線装置Txと宛先局無線装置Rxとが全ての経路の伝達関数を取得することが可能になるという効果がある。
【0093】
さらに、第6実施形態において、全ての無線装置がトレーニング信号αを送信後、サブキャリアごとに伝達関数通知用信号を送信するようにしたが、これに限らず、順次取得した伝達関数を通知することでもよい。例えば、タイムスロットT2において、宛先局無線装置Rxがトレーニング信号αを送信することにより、中継局無線装置R3が伝達関数HR3−Rxを算出する。次に、タイムスロットT3において、中継局無線装置R2は、タイムスロットT1において取得した伝達関数HTx−R1とトレーニング信号αとを乗算した信号HTx−R1αと、トレーニング信号αとを偶数番目、奇数番目のサブキャリアにおいてそれぞれ送信することにより、送信局無線装置Txが伝達関数HTx−R1を算出し、中継局無線装置R2が伝達関数HR1−R2と伝達関数HTx−R1とを算出する。
【0094】
同様に、タイムスロットT4において、中継局無線装置R3は、タイムスロットT2において算出した伝達関数HR3−Rxとトレーニング信号αとを乗算した信号HR3−Rxαと、トレーニング信号αとをサブキャリアごとに送信することにより、宛先局無線装置Rxが伝達関数HR3−Rxを算出し、中継局無線装置R2が伝達関数HR2−R3と伝達関数HR3−Rxとを算出する。
【0095】
このように、順次、各無線装置が取得した伝達関数をサブキャリアごとに通知することにより、タイムスロットT5において、中継局無線装置R2は、トレーニング信号αと、信号(α/HR1−R2R2−R3)と、信号(α/HTx−R1R3−Rx)とをサブキャリアごとに送信する。タイムスロットT6において、中継局無線装置R1は、タイムスロットT5の受信信号に基づき算出した伝達関数に基づき、信号HR1−R2αと、信号HR2−R3αと、信号HR3−Rxαとをサブキャリアごとに送信することにより、中継局無線装置R1が全経路の伝達関数を算出する。
【0096】
同様に、タイムスロットT7において、中継局無線装置R3は、タイムスロットT5の受信信号に基づき算出した伝達関数に基づき、信号HTx−R1αと、信号HR1−R2αと、信号HR2−R3αとをサブキャリアごとに送信することにより、宛先局無線装置Rxが全経路の伝達関数を算出する。
これにより、第6実施形態に要する9タイムスロットより、さらに少ない7タイムスロットにより、送信局無線装置Txと宛先局無線装置Rxとが、全経路の伝達関数を取得することが可能になるという効果がある。
【0097】
さらに、図11(b)に示す第5実施形態において、タイムスロットT1では、送信局無線装置Txと中継局無線装置R1のみが動作することとしていたが、他の装置が同時に信号送信処理、伝達関数算出処理を行うこととしてもよい。この場合、信号の受信先となる無線装置において、複数の無線装置から送信される無線信号同士が干渉しないことを条件とする。例えば、図11(b)に示す手順のうち、タイムスロットT1において、中継局無線装置R2、中継局無線装置R3、宛先局無線装置Rxは信号の送信、受信のいずれも行わないため、タイムスロットT1において、送信局無線装置Txと宛先局無線装置Rxとがトレーニング信号αを送信するようにしてもよい。
【0098】
このように、1タイムスロット中に複数の無線装置が信号を送信する構成と、順次各無線装置が取得した伝達関数をサブキャリアごとに通知する構成とを組み合わせることにより、図11(a)に示すシステムにおいて、送信局無線装置Txと宛先局無線装置Rxとは、5タイムスロットにより、全経路の伝達関数を取得することが可能になる。
信号送信手順の一例を示す。タイムスロットT1において、送信局無線装置Txと宛先局無線装置Rxとがトレーニング信号αを送信する。タイムスロットT2において、中継局無線装置R1がトレーニング信号αと、信号HTx−R1αとをサブキャリアごとに送信し、タイムスロットT3において、中継局無線装置R3が、トレーニング信号αと信号HR3−Rxαとをサブキャリアごとに送信する。タイムスロットT4において、中継局無線装置R2が、トレーニング信号αと、信号(α/HR1−R2R2−R3)と、信号(α/HTx−R1R3−Rx)とをサブキャリアごとに送信する。
【0099】
タイムスロットT5において、中継局無線装置R1が、信号HR1−R2αと、信号HR2−R3αと、信号HR3−Rxαとをサブキャリアごとに送信し、同時に、中継局無線装置R3が、信号HTx−R1αと、信号HR1−R2αと、信号HR2−R3αとをサブキャリアごとに送信することにより、送信局無線装置Txと、宛先局無線装置Rxとが全経路の伝達関数を算出することが可能になる。
【0100】
以上、上述した第1〜第6実施形態によれば、中継局の無線装置が、複数の伝達関数を1タイムスロットで通知する伝達関数通知用信号を送信することにより、送信局無線装置Txと宛先局無線装置Rxとの間の通信において、複数の中継局を介した信号送受信における経路ごとの伝達関数について、全ての経路の伝達関数を取得するために要するタイムスロット数を少なくし、また、伝達関数の取得までにかかる時間を短縮することが可能になるという効果がある。
これにより、全ての伝達関数を取得するまでの時間が短時間にすることで、周囲環境の時間変化に基づく伝達関数の変化も小さくなるため、伝達関数の誤差が小さくなり、通信品質を向上させることが可能になるという効果がある。
【0101】
なお、上述した第2実施形態、及び、第4実施形態におけるサブキャリア間の伝達関数の推定値の算出方法は、線形補間に限らず、例えば、スプライン補間により推定値を算出することなど、いずれの算出方法でも適用可能である。
また、上述した信号の送信手順や、サブキャリアごとの伝達関数通知用信号の構成は、一例であり、信号送信のタイムスロットの入替えや、サブキャリアごとの信号構成の入替えなどを行うことも可能である。
また、伝達関数通知用信号において、通知対象の伝達関数は、各無線装置間において、予め送信する信号の内容が定められていれば、トレーニング信号αに対し、乗算、あるいは、除算いずれの場合も適用可能である。
また、サブキャリアごとの信号構成は、上述した2n、3kごとに限らず、4サブキャリア以上を1グループとする信号構成であっても適用可能である。
【0102】
なお、上述の送信局無線装置Tx、宛先局無線装置Rx、中継局無線装置R1、中継局無線装置R2、及び、中継局無線装置R3の各無線装置は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、送信局無線装置Txの通信部10Tx、受信信号処理部20Tx、伝達関数推定回路30Tx、伝達関数記憶装置40Tx、伝達関数推定用信号付加回路60Tx、送信信号処理部70Tx、中継局無線装置R1〜中継局無線装置R3の伝達関数推定用信号整形回路50R1の動作の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータシステムが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでいう「コンピュータシステム」とは、CPU及び各種メモリやOS、周辺機器等のハードウェアを含むものである。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
【0103】
また、図3、図7に示す各ステップを実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、また、図1(b)、図4(b)、図4(c)、図8(b)、9(b)、図9(c)、図11(b)に示す信号処理の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、また、図1(a)における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、送信局無線装置Txと宛先局無線装置Rxとが全経路の伝達関数を算出し、取得する処理を行ってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0104】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の第1実施形態による中継無線通信システムを示す図である。
【図2】無線信号について、送信信号と受信信号との関係を示す図である。
【図3】第1実施形態における伝達関数取得処理の流れを示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態におけるサブキャリアごとの信号の流れを示す概略図である。
【図5】同実施形態において、中継局無線装置R1が送信する信号の構成例を示す概念図である。
【図6】4つの信号をサブキャリアごとに送信する場合の信号の構成例を示す概念図である。
【図7】同実施形態における処理の流れを示すフロー図である。
【図8】本発明の第3実施形態における中継無線通信システムの全体構成と、信号の流れの概略を示す図である。
【図9】本発明の第4実施形態における中継無線通信システムの全体構成と、信号の流れの概略を示す図である。
【図10】同実施形態において、中継局無線装置R2がタイムスロットT4において送信する信号の構成例を示す概念図である。
【図11】本発明の第5実施形態における中継無線通信システムの全体構成と、信号の流れの概略を示す図である。
【図12】1の中継局を備える中継無線通信システムの構成、及び、伝達関数の取得手順の概要を示す図である。
【図13】中継局が、2つある場合における全ての伝搬路の伝達関数の取得手順の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0106】
R1、R2、R3 中継局無線装置
10R1 通信部
20R1 受信信号処理部
30R1 伝達関数推定回路
40R1 伝達関数記憶装置
50R1 伝達関数推定用信号整形回路
60R1 伝達関数推定用信号付加回路
70R1 送信信号処理部
Tx 送信局無線装置
10Tx 通信部
20Tx 受信信号処理部
30Tx 伝達関数推定回路
40Tx 伝達関数記憶装置
60Tx 伝達関数推定用信号付加回路
70Tx 送信信号処理部
Rx 宛先局無線装置
10Rx 通信部
20Rx 受信信号処理部
30Rx 伝達関数推定回路
40Rx 伝達関数記憶装置
60Rx 伝達関数推定用信号付加回路
70Rx 送信信号処理部
TR1 経路
TR2 経路
TR 経路
R1R 経路
R2R 経路
R1R2 経路
R2R3 経路
R3R 経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信局装置と、中継局装置と、宛先局装置とを備え、前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とがそれぞれ、所定の伝達関数推定用信号と、伝達関数通知用信号とを送受信することにより、前記中継局装置を介して前記送信局装置から前記宛先局装置までの無線信号の伝搬路における各装置間の伝達関数を算出する中継無線通信システムにおいて、
前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とは、それぞれ、
前記所定の伝達関数推定用信号を、前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とのうち、自装置以外であって前記伝搬路上において隣接する装置に送信する伝達関数推定用信号送信部と、
前記所定の伝達関数推定用信号、又は、前記伝達関数通知用信号のいずれかの信号を前記伝搬路上において隣接する装置から受信する受信部と、
前記受信部により受信される信号と、前記所定の伝達関数推定用信号とに基づき、伝達関数を算出する伝達関数算出部とを備え、
前記中継局装置は、さらに、
前記伝達関数算出部が算出する前記伝達関数のうち、前記送信局装置に対する通知対象の伝達関数と、前記宛先局装置に対する通知対象の伝達関数と、前記伝達関数推定用信号とに基づき、前記伝達関数を通知する伝達関数通知用信号を算出し、算出した伝達関数通知用信号を前記送信局装置と前記宛先局装置とに送信する伝達関数通知用信号送信部を備える
ことを特徴とする中継無線通信システム。
【請求項2】
前記中継局装置が備える前記伝達関数通知用信号送信部は、
前記通知対象の伝達関数、又は、前記伝達関数の逆数のいずれか一方と、前記所定の伝達関数推定用信号とを乗算することにより、伝達関数通知用信号を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の中継無線通信システム。
【請求項3】
前記中継無線通信システムにおける通信方式は、マルチキャリア伝送方式であり、
前記中継局装置装置が備える前記伝達関数推定用信号送信部は、
前記伝達関数通知用信号送信部が生成する前記伝達関数通知用信号を含むサブキャリア信号と、前記伝達関数推定用信号を含むサブキャリア信号とを組み合わせた信号を送信し、
前記送信局装置と、前記宛先局装置とがそれぞれ備える前記伝達関数算出部は、
前記中継局装置の無線装置から受信する前記伝達関数通知用信号と前記伝達関数推定用信号とを組み合わせた信号に基づき、前記サブキャリアごとに伝達関数を算出し、算出した伝達関数を補間することにより、全キャリアの伝達関数を算出する
ことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の中継無線通信システム。
【請求項4】
前記中継無線通信システムは、複数の中継局装置を備え、
前記中継局装置の前記伝達関数通知用信号送信部は、
前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とのうち、前記前記伝搬路上において自装置と隣接するいずれか2の装置に対し、通知対象の伝達関数と、前記伝達関数推定用信号とに基づき、前記伝達関数を通知する伝達関数通知用信号を算出する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の中継無線通信システム。
【請求項5】
送信局装置と、中継局装置と、宛先局装置とを備え、前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とがそれぞれ、所定の伝達関数推定用信号と、伝達関数通知用信号とを送受信することにより、前記中継局装置を介して前記送信局装置から前記宛先局装置までの無線信号の伝搬路における各装置間の伝達関数を算出するマルチキャリア伝送方式の中継無線通信システムにおいて、
前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とは、それぞれ、
前記所定の伝達関数推定用信号を、前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とのうち、自装置以外であって、前記伝搬路上において隣接する装置に送信する伝達関数推定用信号送信部と、
前記所定の伝達関数推定用信号、又は、前記伝達関数通知用信号のいずれかの信号を前記伝搬路上において隣接する装置から受信する受信部と、
前記受信部により受信される信号と、前記所定の伝達関数推定用信号とに基づき、伝達関数を算出する伝達関数算出部とを備え、
前記中継局装置は、さらに、
前記伝達関数算出部が算出する前記伝達関数のうち、前記伝搬路上において隣接する装置に対する通知対象の伝達関数と、前記伝達関数推定用信号とに基づき、前記伝達関数を通知する伝達関数通知用信号を算出し、算出した伝達関数通知用信号を生成する伝達関数通知用信号生成部を備え、
前記中継局装置の前記推定用信号送信部は、
前記伝達関数通知用信号生成部が生成する伝達関数通知用信号を含むサブキャリア信号と、前記伝達関数推定用信号を含むサブキャリア信号とを組み合わせた信号を送信し、
前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とがそれぞれ備える前記伝達関数算出部は、
前記中継局装置から受信する前記伝達関数通知用信号と前記伝達関数推定用信号とを組み合わせた信号に基づき、前記サブキャリアごとに伝達関数を算出し、算出した伝達関数を補間することにより、全キャリアの伝達関数を算出する
ことを特徴とする中継無線通信システム。
【請求項6】
前記中継局装置が備える前記伝達関数通知用信号生成部は、
前記通知対象の伝達関数、又は、前記伝達関数の逆数のいずれか一方と、前記所定の伝達関数推定用信号とを乗算することにより、伝達関数通知用信号を算出する
ことを特徴とする請求項5に記載の中継無線通信システム。
【請求項7】
前記中継局装置が備える前記伝達関数通知用信号生成部は、
2つの異なる前記通知対象の伝達関数に基づき、伝達関数通知用信号を算出する
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の中継無線通信システム。
【請求項8】
送信局装置と、中継局装置と、宛先局装置とを備え、前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とがそれぞれ、所定の伝達関数推定用信号と、伝達関数通知用信号とを送受信することにより、前記中継局装置を介して前記送信局装置から前記宛先局装置までの無線信号の伝搬路における各装置間の伝達関数を算出する中継無線通信システムにおける伝達信号推定方法であって、
前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とが、それぞれ、
前記所定の伝達関数推定用信号を、前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とのうち、自装置以外であって、前記伝搬路上において隣接する装置に送信する伝達関数推定用信号送信過程と、
前記所定の伝達関数推定用信号を前記伝搬路上において隣接する装置から受信する伝達関数推定用信号受信過程と、
受信した伝達関数推定用信号と、前記所定の伝達関数推定用信号とに基づき、伝達関数を算出する伝達関数算出過程とを有し、
前記中継局装置が、さらに、
算出した前記伝達関数のうち、前記伝搬路上において隣接する2の装置に対する通知対象の2の伝達関数と、前記伝達関数推定用信号とに基づき、前記伝達関数を通知する伝達関数通知用信号を算出し、算出した伝達関数通知用信号を前記伝搬路上において隣接する2の装置に送信する伝達関数通知用信号送信過程を有し、
前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とのうち、前記中継局装置による前記伝達関数通知用信号の送信先の2の装置が、それぞれ、
前記中継局装置から前記伝達関数通知用信号を受信する伝達関数通知用信号受信過程と、
受信した前記伝達関数通知用信号と、前記所定の伝達関数推定用信号とに基づき、前記伝達関数を算出する通知伝達関数算出過程とを有する
ことを特徴とする伝達関数推定方法。
【請求項9】
送信局装置と、中継局装置と、宛先局装置とを備え、前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とがそれぞれ、所定の伝達関数推定用信号と、伝達関数通知用信号とを送受信することにより、前記中継局装置を介して前記送信局装置から前記宛先局装置までの無線信号の伝搬路における各装置間の伝達関数を算出するマルチキャリア伝送方式の中継無線通信システムにおける伝達関数推定方法であって、
前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とが、それぞれ、
前記所定の伝達関数推定用信号を、前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とのうち、自装置以外であって、前記伝搬路上において隣接する装置に送信する伝達関数推定用信号送信過程と、
前記所定の伝達関数推定用信号を前記伝搬路上において隣接する装置から受信する受信過程と、
受信した信号と、前記所定の伝達関数推定用信号とに基づき、伝達関数を算出する伝達関数算出過程とを有し、
前記中継局装置が、さらに、
算出した前記伝達関数のうち、前記伝搬路上において隣接する装置に対する通知対象の伝達関数と、前記伝達関数推定用信号とに基づき、前記伝達関数を通知する伝達関数通知用信号を算出し、算出した伝達関数通知用信号を生成する伝達関数通知用信号生成過程を有し、
前記伝達関数推定用信号送信過程において、生成した伝達関数通知用信号を含むサブキャリア信号と、前記伝達関数推定用信号を含むサブキャリア信号とを組み合わせた信号を送信し、
前記送信局装置と、前記中継局装置と、前記宛先局装置とのうち、前記中継局装置による前記伝達関数通知用信号の送信先の2の装置が、それぞれ、
前記伝達関数通知用信号と前記伝達関数推定用信号とを組み合わせた信号を前記中継局装置から受信する信号受信過程と、
受信した前記伝達関数通知用信号と前記伝達関数推定用信号とを組み合わせた信号と、前記伝達関数推定用信号とに基づき、前記サブキャリアごとに伝達関数を算出し、算出した伝達関数を補間することにより、全キャリアの伝達関数を算出する補間過程とを有する
ことを特徴とする伝達関数推定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−11349(P2010−11349A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−171192(P2008−171192)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】