説明

中耕除草機

【課題】一定の耕深を保って中耕を行う。
【解決手段】中耕除草機10は、トラクタ100後部の3点リンク機構205に連結するための連結機構70と、圃場の中耕を行う中耕機構30と、連結機構70と中耕機構30とを支持するフレーム機構120と、中耕機構30よりも機体進行方向前方のフレーム機構120に設けられ、未中耕の土壌表面Gに対する検出機構支持フレーム230下面の高さHを検出する高さ検出機構220と、高さ検出機構220によって検出された高さHを、トラクタ100の昇降調整機構216に伝達する高さ伝達機構240と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物の条間を進行しながら、条間の土を中耕することで除草を行う中耕除草機に関する。
【背景技術】
【0002】
中耕除草は、作物の播種または移植後に、条間の表土を中耕して、作物および土壌中の微生物が必要とする空気や水分を透通しやすくし、また、条間に自生繁茂する雑草を除去することを目的に行われる管理作業である。このような中耕除草のための作業機としては、チゼル爪をけん引する方式のカルチベータと、ロータリ爪を原動機で回転駆動する方式のロータリカルチベータが一般に知られている(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
また、最近では、中耕除草用の作業機として、複数のディスク対を用いて圃場の中耕を行うディスク方式の中耕除草機が提案されている(例えば、特許文献3)。このディスク方式の中耕除草機は、土をディスクでほぐしながら移動させるため、湿潤な土壌条件でも高精度な作業ができる。また、作業速度を高めても連続して土の移動ができるため、作業能率を高めることができる。
【特許文献1】実開昭54−27031号公報
【特許文献2】実開昭61−152205号公報
【特許文献3】特開2004−208645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献3に記載されたような中耕除草機では、ディスクによる中耕深さ(以下、耕深と呼ぶ)を調整するために、定規輪(接地輪ともいう)が設けられている。この定規輪に対する機体フレームの高さを調整することで、耕深を調整することができる。しかしながら、定規輪を用いて耕深を調整する方式の場合、湿潤な土壌状態で作業を行うと、定規輪の土壌への沈下量の変動が大きくなるため、一定の耕深を保って中耕を行うことが困難となる。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、一定の耕深を保って圃場の中耕を行うことができる中耕除草機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の中耕除草機は、トラクタ後部のリンク機構に連結するための連結機構と、圃場の中耕を行う中耕機構と、連結機構と中耕機構とを支持するフレームと、中耕機構よりも機体進行方向前方のフレームに設けられ、未中耕の土壌表面に対するフレームの高さを検出する検出手段と、検出手段によって検出されたフレームの高さの情報を、トラクタの昇降調整手段に伝達する伝達手段と、を備える。
【0007】
この中耕除草機は、作業機の昇降を制御する昇降調整手段を有するトラクタに連結されて用いられる。この態様によると、未中耕の土壌表面に対するフレームの高さの情報を検出手段によって検出し、そのフレーム高さの情報をトラクタの昇降調節手段に伝達する構成としたので、一定の耕深を保って中耕を行うことができる。
【0008】
検出手段は、未中耕の土壌表面に当接し、フレームに対して上下動可能な接地体を有してもよい。また、伝達手段は、接地体の上下移動量を昇降調整手段に伝達するリンク機構を有してもよい。この場合、単純な構成で中耕除草機のフレームの高さの情報を検出できる。
【0009】
接地体をソリ体としてもよい。この場合、土壌が湿潤で軟らかいときであっても、接地体の沈下が少なく、土壌表面に対する中耕除草機のフレームの高さを精度よく検出できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、一定の耕深を保って中耕除草を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態を示す図面中の矢印Fは機体進行方向を示す。明細書中の「左」または「右」の記載は、機体後部から機体進行方向を向いた場合の方向を意味する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係る中耕除草機10を説明するための図である。図2は、本発明の実施の形態に係る中耕除草機10の平面図である。この中耕除草機10は、トラクタ後部の3点リンク機構に連結され、作物の条間を進行しながら、複数のディスクによって条間の土を中耕することで除草を行うことができる。また、中耕除草機10は、ディスクの位置や方向を変えることにより、条間の土を作物の茎周辺に移動させる培土作業を行うことができる。図1では、中耕除草機10とともに、中耕除草機10が連結されるトラクタ100の一部の構成についても図示している。
【0013】
図1に示すように、トラクタ100は、後輪214周辺に、作業機の昇降を制御する昇降調整機構216と、トラクタ100と中耕除草機10とを連結する3点リンク機構205と、を備える。昇降調整機構216は、リフトアーム200と、リフトロッド202と、ポテンショメータ208と、ワイヤ210と、油圧シリンダ212と、制御装置234と、油圧制御弁236と、を有する。3点リンク機構205は、トップリンク204と、トップリンク204を挟んで左右対称に設けられた2本のロアリンク206と、を有する。
【0014】
昇降調整機構216は、土壌表面Gに対する中耕除草機10の検出機構支持フレーム230下面の高さH(以下、高さHと呼ぶ)が、予め設定された検出機構支持フレーム230下面の目標高さH(以下、目標高さHと呼ぶ)に近づくよう、3点リンク機構205を介して中耕除草機10を昇降させる機能を有する。
【0015】
昇降調整機構216は、油圧シリンダ212の伸縮によりリフトアーム200を回転させて、リフトロッド202を介してロアリンク206を上下に昇降させるよう構成されている。制御装置234は、油圧制御弁236の開閉を制御することによって油圧シリンダ212の油圧を制御する。制御装置234には、ポテンショメータ208が電気的に接続されている。このポテンショメータ208は、ワイヤ210を介して中耕除草機10の高さ伝達機構240に接続されており、高さHが制御装置234に入力されるようになっている。
【0016】
制御装置234は、入力された高さHが、目標高さHに近づくように油圧シリンダ212の油圧を調整し、3点リンク機構205を介して中耕除草機10を昇降させる。例えば、高さHが低くなった場合、制御装置234は、中耕除草機10を上昇させ、目標高さHに近づくように油圧シリンダ212の油圧を制御する。逆に高さHが高くなった場合、制御装置234は、中耕除草機10を下降させ、目標高さHに近づくように油圧シリンダ212の油圧を調整する。
【0017】
次に、本実施の形態に係る中耕除草機10について説明する。図1、図2に示すように、中耕除草機10は、機体進行方向に直交する方向に伸びるツールバー54に、連結機構70、フレーム機構120が取り付けられた構造となっている。そしてフレーム機構120には、圃場の中耕を行う中耕機構30と、高さHを検出する高さ検出機構220と、高さ検出機構220によって検出された高さHの情報をトラクタ100の昇降調整機構216に伝達する高さ伝達機構240と、が取り付けられている。
【0018】
なお、本実施の形態に係る中耕除草機10は、3条の条間分の中耕を行うことができる中耕除草機であるが、図2では、1条間分の中耕機構30と、その中耕機構30を支持するフレームを示している。実際の中耕除草機10では、図2に示した中耕機構30の左右にそれぞれ中耕機構30と同様の構成の中耕機構が備えられる。
【0019】
連結機構70は、トラクタ100の3点リンク機構205に連結するための機構である。連結機構70は、トップリンク連結部102と、ロアリンク連結部104と、を備える。トップリンク連結部102は、一端部がツールバー54の中央部に接続され、他端の係止部102aにおいてトップリンク204に接続される。ロアリンク連結部104は、一端部がツールバー54に接続され、他端の係止部104aにおいてロアリンク206に接続される。図2に示すように、ロアリンク連結部104は、トップリンク連結部102を挟んで左右対称に設けられる。
【0020】
フレーム機構120は、中耕機構30、高さ検出機構220、高さ伝達機構240を支持するための機構である。フレーム機構120は、第1フレーム122と、第2フレーム124と、フレーム連結部材126と、マストフレーム50と、中耕機構支持ロッド28と、第2ディスク対支持フレーム90と、検出機構支持フレーム230と、を備える。
【0021】
第1フレーム122は、ツールバー54から機体下方に延設されている。この第1フレーム122は、リンク機構を有するフレーム連結部材126を介して第2フレーム124に接続されている。マストフレーム50は、ツールバー54から機体の後斜め上方に延設されている。マストフレーム50の先端は、中耕機構支持ロッド28に接続されている。中耕機構支持ロッド28の一端部は、第2フレーム124に接続されている。中耕機構支持ロッド28には、衝撃吸収用バネ48が外嵌されている。このように構成されたフレーム機構120は、中耕機構30を支持するとともに、中耕機構30の上下動を吸収する懸架装置として機能する。第2ディスク対支持フレーム90は、第2フレーム124から機体後方に延設されている。第1フレーム122の機体進行方向前方には、検出機構支持フレーム230が延設されている。
【0022】
本実施の形態に係る中耕除草機10は、中耕機構30として第1ディスク対42と第2ディスク対44の2つのディスク対を備えた2連の中耕除草機である。この2連の中耕除草機10は、作物の条間を進行したときに、第1ディスク対42によって移動した土をさらに第2ディスク対44によって移動させるなどの作業を行うことができる。
【0023】
第1ディスク対42は、第3中耕ディスク16と、第4中耕ディスク18と、を有する。第2ディスク対44は、第1中耕ディスク12と、第2中耕ディスク14と、を有する。図2に示すように、第3中耕ディスク16は、第1中耕ディスク12より機体進行方向前方に設けられ、第4中耕ディスク18は、第2中耕ディスク14より機体進行方向前方に設けられる。また、第1中耕ディスク12および第3中耕ディスク16は、機体中央線Cよりも左側に設けられ、第2中耕ディスク14および第4中耕ディスク18は、中央線Cよりも右側に設けられる。
【0024】
各ディスクは、ディスク中央部が窪んだ浅皿状に形成されている。ディスクの窪んだ側の面を凹面と、窪んだ側の面と反対側の面を凸面と呼ぶ。中耕除草や培土を行う際には、ディスクの凹面が条間の土を移動する作用面として機能する。第1ディスク対42は、中耕除草作業時、培土作業時ともに、ディスクの凹面が機体外側を向くように定められる。一方、第2ディスク対44は、培土作業時にはディスクの凹面が機体外側を向くように定められ、中耕除草作業時にはディスクの凹面が機体内側を向くように定められる。各ディスクには、作業時にディスクに付着した土を掻き落とすためのスクレーパ56が設けられる。
【0025】
第1ディスク対42は、第1ディスク対支持機構74を介して第1ディスク対支持ロッド46に接続されている。この第1ディスク対支持ロッド46は、第2フレーム124から機体上方に延設された第1ディスク対支持部47に固定される。第1ディスク対支持ロッド46に設けた孔を第1ディスク対支持部47に設けた孔に合わせ、ピンで固定することによって、第1ディスク対42の高さ調整を行うことができる。第3中耕ディスク16および第4中耕ディスク18は、機体進行方向に対するディスクの角度θ(以下、ディスク角θと呼ぶ)を調整することができる。
【0026】
図2に示すように、第2ディスク対44を構成する第1中耕ディスク12、第2中耕ディスク14は、第1中耕ディスク支持ロッド20、第2中耕ディスク支持ロッド22を介して、機体進行方向に直交する方向に延びる第2ディスク対支持アーム198に接続されている。第2ディスク対支持アーム198は、中央部付近において第2ディスク対支持フレーム90に接続されている。第1中耕ディスク12、第2中耕ディスク14は、機体進行方向に対するディスクの角度θ(以下、ディスク角θと呼ぶ)を調整することができる。
【0027】
中耕機構30を構成する第1ディスク対42、第2ディスク対44は、上述したようにフレーム機構120の第2フレーム124、第2ディスク対支持フレーム90にそれぞれ固定される。従って、第1ディスク対42、第2ディスク対44は、フレーム機構120の変動に応じて上下動する。
【0028】
図1に示すように、第2フレーム124には、チゼル支持アーム36、チゼル取付部37を介してチゼル38が設けられている。チゼル38は、土中に貫入して土を膨軟にする。このチゼル38は、第1ディスク対42、第2ディスク対44よりも機体進行方向前方に設けられているので、チゼル38が膨軟にした土を各ディスクによって中耕することができる。図2に示す中耕除草機10は、3本のチゼル38を備えているが、チゼル38は1本または2本であってもよい。
【0029】
以上のように構成された中耕除草機10の動作について説明する。図2は、培土作業を行うときの中耕除草機10の状態を示している。培土作業を行うとき、図2に示すように、第1ディスク対42、第2ディスク対44は、それぞれのディスクの凹面が機体外側を向くように固定される。
【0030】
このように設定された中耕除草機10がトラクタ100に連結され、作物の条間を進行すると、チゼル38によって膨軟にされた条間の土は、第1ディスク対42によって左右方向に移動され、培土がなされる。また、第1ディスク対42による培土後に、第2ディスク対44によっても土が左右方向に移動され、培土が繰り返しなされるので、培土作業の効率を向上することができる。
【0031】
図2に示すように、第2ディスク対支持アーム198には、複数のディスク位置調整孔198aが設けられており、土壌状態や条間距離に応じて第1中耕ディスク12、第2中耕ディスク14の左右方向の位置を適切に設定できるようになっている。
【0032】
また、本実施の形態に係る中耕除草機10は、ディスク角θを変化させることができるので、各ディスクによる土の移動量を調整することができる。例えば、培土を行う土の量を多くする場合には、ディスク角θを大きく設定し、培土を行う土の量を少なくする場合には、ディスク角θを小さく設定する。このように、本実施の形態に係る中耕除草機10は、ディスク角θおよびアーム角θを変更することで、様々な条件の培土作業に対応できる。
【0033】
中耕除草作業を行う際には、第2ディスク対44は逆ハの字型に定められる。このとき、第1中耕ディスク12、第2中耕ディスク14は、凹面がともに機体内側、すなわち中央線C側を向くように固定される。このように設定された中耕除草機10が作物の条間を進行すると、チゼル38によって膨軟にされた条間の土は、第1ディスク対42によって左右方向に移動される。第1ディスク対42によって移動された土は、その後、第2ディスク対44によって中耕機構30の中央線Cの方向に移動される。これにより、第1ディスク対42によって除草された雑草を、第2ディスク対44によって土の下に埋没させ、雑草が活着することを防ぐことができる。
【0034】
図3は、高さ検出機構220および高さ伝達機構240を説明するための図である。本実施の形態に係る中耕除草機10は、高さ検出機構220、高さ伝達機構240を用いることにより、土壌表面Gに対する検出機構支持フレーム230下面の高さHを検出し、トラクタ100の昇降調整機構216に伝達することができる。そして、トラクタ100の昇降調整機構216によって高さHが目標高さHに近づくようにフィードバック制御を行うことにより、耕深を一定に制御することができる。
【0035】
高さ検出機構220は、ソリ体222と、ソリ体支持ロッド228と、を備える。ソリ体支持ロッド228は、検出機構支持フレーム230の先端部から機体下方に延設されている。ソリ体支持ロッド228の下端部には、土壌表面に当接する接地体としてのソリ体222が、ソリ体回転軸238を中心として回動可能に支持されている。ソリ体222は、機体進行方向に直交する方向に所定の幅を有しており、その先端部に、円弧状に形成された接地部222aを有する。ソリ体222は、接地部222aにおいて土壌表面Gと当接している。接地体をソリ体とすることによって、土壌が湿潤で軟らかいときであっても、接地体の沈下が少なく、高さHを精度よく検出することができる。
【0036】
このように構成された高さ検出機構220は、高さHが変化すると、ソリ体222の接地部222aは上または下方向に動く。ある所定の基準高さをHとし、ソリ体222の上下移動量をDとすれば、高さHは、H=H−Dで求められる。つまり、ソリ体の上下動移動量Dを検出することによって、高さHを検出することができる。
【0037】
高さ伝達機構240は、高さ検出機構220によって検出されたソリ体222の上下移動量Dを、トラクタ100の昇降調整機構216に伝達するリンク機構である。高さ伝達機構240は、リンクロッド224と、リンクアーム226と、ワイヤ取付板232と、を備える。
【0038】
リンクアーム226は、その一端が検出機構支持フレーム230にリンクアーム回転軸218を中心として回動可能に取り付けられている。リンクアーム226の他端は、リンクロッド224を介してソリ体222に連結されている。ソリ体222が上下に移動すると、リンクアーム226は、リンクアーム回転軸218を中心として回動する。また、検出機構支持フレーム230には、ワイヤ取付板232もリンクアーム回転軸218を中心として回動可能に取り付けれている。このワイヤ取付板232は、リンクアーム226と一体に回動するように構成されている。つまり、リンクアーム226の回動に応じてワイヤ取付板232も回動する。ワイヤ取付板232には、トラクタ100の昇降調整機構216から延びるワイヤ210が接続される。
【0039】
ワイヤ210は、インナワイヤと、インナワイヤの外周を覆うアウタワイヤとを有している。インナワイヤは、アウタワイヤ内部を移動することができる。インナワイヤの先端には、インナワイヤ取付具210aが取り付けられている。このインナワイヤ取付具210aに設けられた孔と、ワイヤ取付板232に設けられたワイヤ取付孔232aを合わせて固定ピンを挿入することにより、インナワイヤがワイヤ取付板232に取り付けられる。
【0040】
また、ワイヤ210のアウタワイヤには、アウタワイヤ取付具210bが取り付けられている。このアウタワイヤ取付具210bによって、アウタワイヤは検出機構支持フレーム230に固定される。ソリ体222の上下動によってワイヤ取付板232がリンクアーム回転軸218を中心に回動すると、検出機構支持フレーム230に固定されたアウタワイヤに対してインナワイヤが移動する。これにより、ソリ体222の上下移動量Dが昇降調整機構216のポテンショメータ208に伝達され、制御装置234は高さHの情報を取得する。
【0041】
図1に戻り、以上のように構成された高さ検出機構220、高さ伝達機構240の動作について説明する。図1に示すように、本実施の形態に係る中耕除草機10において、高さ検出機構220、高さ伝達機構240は、中耕機構30として機能する第1ディスク対42、第2ディスク対44よりも機体進行方向前方のフレーム機構120に設けられる。つまり、高さ検出機構220は、まだ中耕機構30によって中耕がなされていない未中耕の土壌表面Gに対する検出機構支持フレーム230下面の高さHを検出する。
【0042】
本実施の形態に係る中耕除草機10において、「耕深」とは、図1に示すように、未中耕の土壌表面Gに対する既中耕の土壌表面Hの高さE(以下、耕深Eと呼ぶ)である。耕深Eは、未中耕の土壌表面Gに対する検出機構支持フレーム230下面の高さHに応じて変化するので、高さHを一定に保てば、耕深Eを一定に保つことができる。
【0043】
ここでは、トラクタ100が圃場の土壌が軟らかい箇所に進行した場合を例にとって説明する。この場合、トラクタ100の後輪214が沈下することにより、3点リンク機構205に支持された中耕除草機10全体も沈下する。このとき、高さ検出機構220によって検出される高さHは低くなる。高さHの情報は、高さ伝達機構240、ワイヤ210を介して昇降調整機構216に伝達され、高さHが目標高さHに近づくよう中耕除草機10が上昇する。
【0044】
続いて、トラクタ100が圃場の土壌が軟らかい箇所を通過した場合、トラクタ100の後輪214が上昇することにより、中耕除草機10全体も上昇する。このとき、高さ検出機構220によって検出される高さHは高くなる。高さHの情報は、高さ伝達機構240、ワイヤ210を介して昇降調整機構216に伝達され、高さHが目標高さHに近づくよう中耕除草機10が下降する。
【0045】
このようにして、中耕除草機10は、未中耕の土壌表面Gに対する検出機構支持フレーム230下面の高さHを一定の目標高さHに保つように昇降制御されるので、耕深Eを一定に保ちながら中耕を行うことができる。
【0046】
図4は、中耕除草機10の変形例を示す図である。図4では、高さ検出機構220、高さ伝達機構240の構成が、図1に示す中耕除草機10と異なっている。本変形例においても、高さ検出機構220、高さ伝達機構240は、第1ディスク対42、第2ディスク対44よりも機体進行方向前方に設けられる。
【0047】
図4に示すように、高さ検出機構220は、ソリ体222と、ソリ体支持ロッド228と、を備える。高さ伝達機構240は、ワイヤ取付板232と、リンクロッド224と、を備える。高さ検出機構220、高さ伝達機構240は、チゼル支持アーム36の先端部から機体前方に延設された検出機構支持フレーム230によって支持される。
【0048】
検出機構支持フレーム230の中央付近には、ソリ体支持ロッド取付部230aが設けられ、ソリ体支持ロッド228を上下に移動可能に支持している。ソリ体支持ロッド228の下端には、ソリ体222が設けられる。ソリ体支持ロッド228の上端には、ワイヤ取付板232が設けられ、ワイヤ210のインナワイヤが取り付けられる。ワイヤ210のアウタワイヤは、検出機構支持フレーム230において、ソリ体支持ロッド取付部230aより機体前方の位置に固定される。検出機構支持フレーム230の先端部は、リンクロッド224を介してワイヤ取付板232の先端部に連結される。
【0049】
このように構成されたリンク機構により、本変形例においても、未中耕の土壌表面Gに対する検出機構支持フレーム230下面の高さHを検出し、トラクタの昇降調整機構に伝達することができる。そして、トラクタの昇降調整機構により、耕深Eを一定に保ちながら中耕を行うことができる。
【0050】
図5は、中耕除草機10の他の変形例を示す図である。図5も、高さ検出機構220、高さ伝達機構240の構成が、図1に示す中耕除草機10と異なっている。本変形例においても、高さ検出機構220、高さ伝達機構240は、第1ディスク対42、第2ディスク対44よりも機体進行方向前方に設けられる。
【0051】
図5に示すように、高さ検出機構220は、ソリ体222と、ソリ体支持ロッド228と、を備える。高さ伝達機構240は、ワイヤ取付板232と、リンクロッド224と、を備える。高さ検出機構220、高さ伝達機構240は、チゼル支持アーム36の先端部から機体前方に延設された検出機構支持フレーム230によって支持される。
【0052】
検出機構支持フレーム230先端部の上端には、ワイヤ取付板232の一端が回動可能に連結される。また、検出機構支持フレーム230において、ワイヤ取付板232の回動中心の下方にリンクロッド224の一端が回動可能に連結される。ワイヤ取付板232の他端は、ソリ体支持ロッド228の上端に連結される。さらにソリ体支持ロッド228の中間部には、リンクロッド224の他端が連結される。ソリ体支持ロッド228の下端にはソリ体222が固定される。ワイヤ210のインナワイヤは、ワイヤ取付板232に固定され、アウタワイヤは検出機構支持フレーム230先端の下端部に固定される。
【0053】
このように構成されたリンク機構により、本変形例においても、未中耕の土壌表面Gに対する検出機構支持フレーム230下面の高さHを検出し、トラクタの昇降調整機構に伝達することができる。そして、トラクタの昇降調整機構により、耕深Eを一定に保ちながら中耕を行うことができる。
【0054】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素の組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0055】
上述した実施の形態で示した高さ検出機構および高さ伝達機構は、チゼル爪をけん引する方式のカルチベータや、ロータリ爪を原動機で回転駆動する方式のロータリカルチベータ等の中耕除草機に対して装着してもよい。この場合も、耕深を一定に保って中耕を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態に係る中耕除草機を説明するための側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る中耕除草機の平面図である。
【図3】高さ検出機構および高さ伝達機構を説明するための側面図である。
【図4】中耕除草機の変形例を示す側面図である。
【図5】中耕除草機の他の変形例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0057】
10 中耕除草機、 12 第1中耕ディスク、 14 第2中耕ディスク、 16 第3中耕ディスク、 18 第4中耕ディスク、 30 中耕機構、 42 第1ディスク対、 44 第2ディスク対、 54 ツールバー、 70 連結機構、 100 トラクタ、 102 トップリンク連結部、 104 ロアリンク連結部、 120 フレーム機構、 200 リフトアーム、 202 リフトロッド、 204 トップリンク、 205 3点リンク機構、 206 ロアリンク、 208 ポテンショメータ、 210 ワイヤ、 212 油圧シリンダ、 216 昇降調整機構、 220 高さ検出機構、 222 ソリ体、 224 リンクロッド、 226 リンクアーム、 228 ソリ体支持ロッド、 230 検出機構支持フレーム、 232 ワイヤ取付板、 234 制御装置、 236 油圧制御弁、 240 高さ伝達機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタ後部のリンク機構に連結するための連結機構と、
圃場の中耕を行う中耕機構と、
前記連結機構と前記中耕機構とを支持するフレームと、
前記中耕機構よりも機体進行方向前方の前記フレームに設けられ、未中耕の土壌表面に対する前記フレームの高さを検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記フレームの高さの情報を、トラクタの昇降調整手段に伝達する伝達手段と、
を備えることを特徴とする中耕除草機。
【請求項2】
前記検出手段は、未中耕の土壌表面に当接し、前記フレームに対して上下動可能な接地体を有することを特徴とする請求項1に記載の中耕除草機。
【請求項3】
前記伝達手段は、前記接地体の上下移動量を前記昇降調整手段に伝達するリンク機構を有することを特徴とする請求項2に記載の中耕除草機。
【請求項4】
前記接地体をソリ体としたことを特徴とする請求項2または3に記載の中耕除草機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−267643(P2007−267643A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−95470(P2006−95470)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【出願人】(390010836)小橋工業株式会社 (198)
【Fターム(参考)】