説明

中間生成体の製造方法、中間生成体及び光アシスト磁気ヘッド

【課題】回折格子を精度良く形成した、光アシスト磁気ヘッドを製造するための中間生成体の製造方法、中間生成体及び光アシスト磁気ヘッドを提供する。
【解決手段】供給源Nより中央流路部M12を介して溶融樹脂を圧送すると、溶融樹脂は、中央流路部M12を通過して、更にランナ形成部及びゲート形成部を通過して、クアビティCVに至る。このとき、ランナ形成部から細長いキャビティ内への樹脂の流動方向は一方向になり、環状のキャビティに比べ一様な流動を確保できる。又、回折格子を転写形成するためのストレート溝M15が、キャビティCV内で樹脂の流動方向に一致しているので、以上の相乗効果によって、ストレート溝M15の底まで樹脂が流れ込み転写性が良好となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光アシスト磁気ヘッド用の光学素子を製造するための中間生成体の製造方法、中間生成体及び光アシスト磁気ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なHDD(ハードディスクドライブ)に用いられる磁気記録方式は、記録密度を高くしようとすると磁気ビットの間隔が狭くなり、超常磁性効果等により極性が不安定になる。このため高い保磁力を有する記録媒体が必要になるが、そのような記録媒体を使用すると記録時に必要な磁場も大きくなる。しかるに、記録ヘッドによって発生する磁場は飽和磁束密度によって上限が決まるが、その値は材料限界に近づいており飛躍的な増大は望めないという実情がある。そこで、記録時に局所的に加熱して磁気軟化を生じさせて、保磁力が小さくなった状態で記録し、その後、加熱を止めて自然冷却することにより、記録した磁気ビットの安定性を保証する記録方式が提案されている。この記録方式は熱アシスト磁気記録方式と呼ばれている。
【0003】
熱アシスト磁気記録方式では、記録媒体の加熱を瞬間的に行うことが望ましい。また、加熱する機構と、高速で回転する記録媒体とが接触することは許されない。このため、加熱はレーザ光の微小スポットを記録媒体に照射して行われることが一般的であり、よって加熱に光を用いるこの方式は光アシスト磁気記録方式と呼ばれている。光アシスト式で超高密度記録を行う場合、必要なスポット径は20nm程度になるが、通常の光学系では回折限界があるため、光をそこまで集光することはできない。
【0004】
そのため、入射光波長以下のサイズの光学的開口から発生する近接場光(近視野光と称する場合がある)を利用する光ヘッドが利用されている(特許文献1参照)。この光ヘッドは、光源から出射したレーザ光を集光レンズで集光し、光ファイバを介してスライダ上に設けられた光学素子に入射させ、この入射したレーザ光は回折格子を形成した光学素子の偏向面により偏向され、プラナ導波路に入射する。プラナ導波路の側面にはグレーティングカプラが形成されており、これを介して入射したレーザ光は、プラナ導波路内で集光され、光束径が絞られて磁気記録ヘッドから出射するようになっており、微小なディスク領域を加熱し、加熱されたディスク領域のみが磁気記録されることとなる。
【0005】
ところで、光アシスト磁気ヘッドの或るタイプでは、ストレートな回折格子を光学素子に形成し、その回折作用を利用して光源からの光束を導波路に結合させるようにしている。しかるに、このようなストレートな回折格子は微細構造であるため、金型の転写性に問題がある。
【0006】
より具体的には、特に回折格子の形状が高アスペクト比の場合、樹脂が微細な溝の底に入り込みにくく、精度良い転写を得にくいのである。一方、この転写性を向上するためには、保圧(樹脂の固化時の収縮を抑えるための加圧)を高く、樹脂温度を高く、金型温度を高く、射出速度を速くするなど、成形条件を変更する必要があるが、いずれの条件変更でも、金型の分割面に樹脂が入り込み易くなり、バリが多く発生してしまうという問題がある。
【0007】
また、細長い形状の光学素子を金型で成形しようとする場合、流動抵抗等により、ゲートに近い側における転写性と、ゲートから離れた側(キャビティ末端)における転写性に違いが生じてしまうという問題も発生する。このように、成形する光学素子の位置によって転写性に違いが生じてしまうと、成形した光学素子を複数個にカットして光学素子(完成品)として使用する場合、完成品の品質にバラつきが生じる原因となるため好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−268856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これに対し、特許文献1には、ストレートな回折パターンを光通信用の円形の光学素子に形成する技術が開示されている。特許文献1によれば、金型における直線状の回折格子パターンが、ゲート通路の方向に沿って形成されているので、ゲート通路を介して送り込まれたキャビティ内の樹脂材は金型の直線状の格子パターンに沿って円滑に移動することになり、それにより樹脂材は金型に形成された微小な回折格子パターン形状に追随することができ、形状転写性の良好な光通信用の回折光学素子を得ることができる。
【0010】
ところが、かかる従来技術においては、光学素子が円形であり、ゲートは成形品よりも相当に絞られた形状である。そのため、溶融樹脂がゲート通過後にキャビティ内に流入する際、流路が急激に広がることにより、キャビティの外側(フランジ部側)から回りこむように流れるなど、複雑な挙動を示すこととなる。即ち、ゲート位置を介して送り込まれたキャビティ内の樹脂材が全て金型の直線状の回折格子パターンに沿って円滑に移動するとは言えず、例えば回折格子パターンを横切って流れるなどすると、微小な回折格子パターン形状に追随できない場合もあり得る。
【0011】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、回折格子を精度良く形成した、光アシスト磁気ヘッドを製造するための中間生成体の製造方法、中間生成体及び光アシスト磁気ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の中間生成体の製造方法は、光アシスト磁気ヘッド用の光学素子を製造するための、ストレートな回折格子を有する棒状の中間生成体の製造方法であって、
前記回折格子を転写するためのストレート溝を有する第1の金型と第2の金型とを型締めして、前記ストレート溝を含み前記中間生成体を成形するための細長いキャビティと、前記キャビティと樹脂の供給源との間に位置するランナ形成部とを直線的に画成する工程と、
前記ランナ形成部から、前記ストレート溝に沿った方向に前記キャビティに対して樹脂を流入させる工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、前記中間生成体が棒状であることにより、前記ランナ形成部から前記細長いキャビティ内への樹脂の流動方向は一方向になり、環状のキャビティに比べ一様な樹脂の流動を確保できる。又、前記回折格子を転写形成するための前記ストレート溝が、前記キャビティ内で樹脂の流動方向に一致しているので、これらの相乗効果によって、前記ストレート溝の転写性が良好となる。
【0014】
また、前記回折格子を転写形成するための前記ストレート溝が、前記キャビティ内で樹脂の流動方向に一致しているので、中間成形体が棒状といった細長い形状を有する場合であっても、ゲートに近い側における転写性とゲートから離れた側(キャビティ末端)における転写性をともに良好にすることができ、中間成形体の位置による転写性の違いを低減することが可能になる。これにより、例えば、1つの中間成形体を複数個にカットして光学素子(完成品)として使用する場合、完成品の品質にバラつきが生じるのを低減することが可能になる。
【0015】
請求項2に記載の中間生成体の製造方法は、請求項1に記載の発明において、前記第1の金型と前記第2の金型とを型締めした状態で、前記ランナ形成部における樹脂の流れ方向に直交する断面積は、前記キャビティにおける樹脂の流れ方向に直交する断面積よりも大きくなっていることを特徴とする。これにより、前記キャビティ内への一方向への一様な樹脂の流動を確保できる。
【0016】
請求項3に記載の中間生成体の製造方法は、請求項1又は2に記載の発明において、前記第1の金型と前記第2の金型とを型締めした状態で、前記キャビティと前記ランナ形成部との間には、ゲート形成部が設けられており、前記ゲート形成部における樹脂の流れ方向に直交する断面積は、前記キャビティにおける樹脂の流れ方向に直交する断面積よりも小さくなっていることを特徴とする。本発明のように、前記キャビティを細長くした場合でも、前記ゲート形成部を前記キャビティの断面より更に小さく絞ることで、充填された樹脂が前記キャビティ内より前記ゲート形成部で早く冷却され固まるため、前記キャビティ内の溶融材料が冷却固化するまで流路を遮断し逆流を防ぐことができる。また、ゲートを細くすることで、後工程におけるゲートカット処理がしやすくなる。
【0017】
請求項4に記載の中間生成体の製造方法は、請求項3に記載の発明において、前記ゲート形成部における樹脂の流れ方向に直交する断面積は、前記キャビティにおける樹脂の流れ方向に直交する断面積の0.5倍以上1.0倍未満であることを特徴とする。上述したように、ゲートカット処理をしやすくするためには、前記ゲート形成部は細い方が望ましいが、細すぎると樹脂の円滑な流動を阻害する。前記ゲート形成部における樹脂の流れ方向に直交する断面積を、前記キャビティにおける樹脂の流れ方向に直交する断面積の0.5倍以上とすることで、前記ゲート形成部から前記キャビティに向かって、樹脂の流路の広がりが緩やかになるため、樹脂の流動がより円滑になる。その結果、前記ストレート溝の転写性がさらに良好となる。
【0018】
請求項5に記載の中間生成体の製造方法は、請求項1又は2に記載の発明において、前記第1の金型と前記第2の金型とを型締めした状態で、前記キャビティと前記ランナ形成部との間には、ゲート形成部が設けられていないことを特徴とする。前記ゲート形成部を設けないことで、前記ランナ形成部から前記キャビティに向かう樹脂の流動が円滑になる。
【0019】
請求項6に記載の中間生成体の製造方法は、請求項5に記載の発明において、前記キャビティのストレート溝は、前記ランナ形成部と接していないことを特徴とする。これにより、前記ランナ形成部から前記キャビティに向かう樹脂の流動が一層円滑になる。また、これにより、成形後の後工程において、キャビティで成形した成形品からランナ形成部で形成された不要な樹脂を切り離すカット処理を行う際に、カットしろをつくることができるので、成形品に形成されるストレート溝を傷つけることなくカット処理を行うことができる。
【0020】
請求項7に記載の中間生成体の製造方法は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、前記第1の金型と前記第2の金型とを型締めした状態で、前記キャビティを挟んで前記ランナ形成部と反対側に樹脂溜まり部を設けたことを特徴とする。前記樹脂溜まり部を設けることにより、前記キャビティ内の空気や樹脂ガスの抜けが良くなると共に、前記キャビティの末端における樹脂の滞留等を抑制し、全体的にストレート溝の端部形状を精度良く転写できる。尚、前記樹脂溜まり部内で固化した樹脂は不要な部分であるため、成形後にカットすればよい。
【0021】
請求項8に記載の中間生成体の製造方法は、請求項7に記載の発明において、前記第1の金型と前記第2の金型とを型開きした後に、前記樹脂溜まり部で固化した樹脂をイジェクトピンで押し出す工程を有することを特徴とする。前記樹脂溜まり部で固化した樹脂をイジェクトピンで押し出すことにより、成形された中間生成体に対するピン押し出しを行う必要がなくなり、後工程で他部品を接着する際の障害となる圧痕等を抑制しつつ金型から分離させることができる。
【0022】
請求項9に記載の中間生成体の製造方法は、請求項1〜8のいずれかに記載の発明において、前記中間生成体は、前記光学素子の幅の3倍以上、30倍以下の長さを有することを特徴とする。前記キャビティの長さを適切にすることで、ストレート溝の転写性を高めると共に、前記中間生成体を切断分離することで、適切な数の光学素子を形成でき、取り扱いが容易となるため製造工数を大幅に削減できる。一般的にフェムトスライダのラジアル方向の幅は0.7mmであるが、これと前記光学素子の幅とを等しくすると、前記棒状部材の長さをその3倍の2.1mm以上とする事で、目視で確認できる長さとなり、通常のピンセットで容易にハンドリングができる。特に、汎用のエアーピンセットの吸着部パッドの最小寸法はφ2mm程度が一般的であり、このサイズのパットでも容易に棒状光学素子を吸着、保持する事ができる。よって、汎用のエアーピンセットで容易にハンドリングができるとともに組立・検査装置のハンドリング部材として利用する事が可能となり、設備のコスト抑制が可能となる。
【0023】
請求項10に記載の中間生成体は、請求項1〜8のいずれかに記載の中間生成体の製造方法により製造されたことを特徴とする。これによりストレートな回折格子を精度良く形成できる。
【0024】
請求項11に記載の中間生成体は、請求項10に記載の発明において、前記中間生成体に形成された回折格子は、以下の式を満たすことを特徴とする。
10≧h/p≧0.1 (1)
100≧h≧0.1 (2)
但し、h:回折格子の高さ(μm)、p:回折格子のピッチ(μm)
【0025】
h/pをアスペクト比という。アスペクト比が低い場合や、回折格子の高さhが低い場合には、本発明を用いなくても十分に転写できるのに対し、本発明の効果が特に顕著なのは、(1)、(2)式を満たす場合である。
【0026】
本明細書でいう回折格子は、回折作用を発揮する構造をいい、断面形状がブレーズ型構造と階段型構造とに大別される。ブレーズ型構造とは、図1(a)に示されるように、光路差付与構造を有する光学素子の光軸を含む断面形状が、鋸歯状の形状ということである。ブレーズ型構造において、1つのブレーズ単位の長さ(ピッチ)をpという(図1(a)参照)。また、ブレーズの段差の高さをhという(図1(a)参照)。
【0027】
また、階段型構造とは、図1(b)、(c)に示されるように、断面形状が、小階段状のもの(階段単位と称する)を複数有するということである。例えば、図1(b)に示す光路差付与構造を、5レベルの階段型構造といい、図1(c)に示す光路差付与構造を、2レベルの階段型構造(バイナリ構造ともいう)という。階段型構造において、1つの階段単位の長さ(ピッチ)をpという(図1(b)、(c)参照)。また、1つの階段単位の段差の高さをhという(図1(a)参照)。
【0028】
請求項12に記載の光アシスト磁気ヘッドは、ディスク状の記録媒体の回転に応じて、前記記録媒体に対して浮上して相対移動するスライダと、請求項10又は11に記載された中間生成体を長手方向に交差する方向で分断することによって形成され、前記スライダに設けられた光導波路に向けて光源からの光束を回折格子を用いて偏向する光学素子とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、回折格子を精度良く形成した、光アシスト磁気ヘッドを製造するための中間生成体の製造方法、中間生成体及び光アシスト磁気ヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】回折格子の例を示す断面図である。
【図2】光アシスト式磁気記録装置の概略構成を示す斜視図である。
【図3】光アシスト式磁気ヘッド及びヘッド支持部の分解斜視図である。
【図4】図3の光アシスト式磁気ヘッド3をIV-IV線を含む面で切断して矢印方向に見た図を示す図である。
【図5】プラナ導波路32aの断面図(図3のV-V断面)である。
【図6】別なプラナ導波路32a’の断面図である。
【図7】グレーティングカプラGCの入射光側から見た正面図である。
【図8】中間生成体IM2の射出成形工程を示す斜視図である。
【図9】図8(b)の構成をIX-IX線で切断して矢印方向に見た図である。
【図10】成形品MPの斜視図である。
【図11】成形品MPの一部拡大斜視図である。
【図12】中間生成体IM2の斜視図である。
【図13】中間生成体IM2を矢印XIII方向に見た図である。
【図14】中間生成体IM1,IM2を接合した後、長手方向に分断する工程を示す図である。
【図15】別な実施の形態の成形品MPの一部拡大斜視図である。
【図16】更に別な実施の形態の成形品MPの一部拡大斜視図である。
【図17】更に別な実施の形態の成形品MPを成形する金型の一部拡大断面図である。
【図18】更に別な実施の形態の成形品MPの一部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図2に、光アシスト式磁気記録ヘッドを搭載した光アシスト式磁気記録装置(例えばハードディスク装置)の概略構成を示す。光アシスト式磁気記録装置1は、記録用の複数枚の回転可能なディスク(磁気記録媒体)2と、ヘッド支持部4と、トラッキング用アクチュエータ6と、光アシスト式磁気ヘッド3と、図示しない駆動装置と、を筐体1A内に備えている。ヘッド支持部4は、支軸5を支点として矢印Aの方向(トラッキング方向)に回転可能に設けられている。トラッキング用アクチュエータ6は、ヘッド支持部4に取り付けられている。光アシスト式磁気ヘッド3は、ヘッド支持部4の先端に取り付けられている。図示しない駆動装置は、ディスク2を矢印Bの方向に回転させる。この光記録装置1は、光アシスト式磁気ヘッド3がディスク2の上面(又は下面)に対して浮上しながら相対的に移動しうるように構成されている。
【0032】
図3に、光アシスト式磁気ヘッド3及びヘッド支持部4の分解斜視図を示す。又、図4に、図3の光アシスト式磁気ヘッド3をIV-IV線を含む面で切断して矢印方向に見た図を示す。光アシスト式磁気ヘッド3は、ディスク2に対する情報記録に光を利用する光ヘッドであって、光学素子31とスライダ32と光源33とコリメートレンズ34とを備えている。図3において、ヘッド支持部4は、支軸5に一端を取り付けたサスペンションアーム41と、フレクシャ(板ばね)44とを備えている。サスペンションアーム41とフレクシャ44とは、溶接などによって固定されている。
【0033】
サスペンションアーム41の先端部には、矩形状の開口部42が形成されている。この開口部42の一辺には、開口部42の内側に向かって突出するピボット(突出部)43が設けられている。一方、フレクシャ44の先端部には矩形状の開口部45が形成されている。この開口部45の一辺から、その内部に張り出すようにして、平坦な面を有する舌片部46が突出している。この舌片部46は、開口部42に対して傾いて突出した後、略水平になるよう折り曲げられた接合面46aを有する。
【0034】
図3において、光アシスト式磁気ヘッド3のスライダ32の手前側端部上面に、光学素子31が接合され、スライダ32の奥側端部上面に、矩形板状の半導体レーザである光源33が接合され、光源33と光学素子31との間のスライダ32の上面に、コリメートレンズ34が固定配置されている。本実施の形態においては、フレクシャ44の接合面36aの下面が光源33の上面に接着されて、サスペンションアーム41の先端部に光アシスト式磁気ヘッド3が固定されるようになっているが、これに限られない。
【0035】
光学素子31はプラスチック又はガラスなどの透明な素材からなる。光学素子31は、後述するように射出成形などによって作製される。射出成形用の樹脂としては、熱可塑性樹脂であるポリカーボネイト(例えばAD5503、帝人化成株式会社)やZEONEX 480R(日本ゼオン株式会社)などが挙げられる。
【0036】
光学素子31は、台形状であって、入射面31aと上面31bと偏向面31cと下面31dとを有する。上面31bと下面31dとは平行であり、入射面31aはそれらに直交する。スライダ32の上面に対して傾いた斜面である偏向面31cには、後述するようにして回折格子D(図4では簡略図示)が形成されている。回折格子Dは、回折効率が比較的高いブレーズ形状を採用すると好ましい。回折格子Dは、入射光の光軸及びプラナ導波路32aの軸線に対して直交する方向(長手方向)に延在するように形成されている。
【0037】
光源33は、レーザ光の出射口33aを光学素子31の入射面31aに対向させて配置されている。光源33から出射される光の波長は可視光から近赤外の波長(波長帯としては、0.6μmから2μm程度であり、具体的な波長としては、650nm、830nm、1310nm、1550nmなどが挙げられる)が好ましい。
【0038】
スライダ32のディスク2と対向する面(図4で下面)は、浮上特性向上のための空気ベアリング面(ABS:Air Bearing Surface)であり、浮上エア捕獲用の溝31gを形成している。
【0039】
またスライダ32は、光学素子の下面31dに対向して、上下に貫通したプラナ導波路(光導波路)32aを有する。又、プラナ導波路32aを挟んで、磁気記録部32bと磁気再生部32cとが設けられている。
【0040】
図5、6は、プラナ導波路32aの断面図(図3のV-V断面)である。図5に示すプラナ導波路32aは,ミラー型集光機能を有するプラナーソリッドイマージョンミラー(PSIM)であり,図6に示すプラナ導波路32a’は,レンズ型集光機能を有するプラナーソリッドイマージョンレンズ(PSIL)である。その導波路構造は,いずれも基板上に高屈折率層HLを積層し,その周りに低屈折率層LLを積層することにより構成され,高屈折率層HLと低屈折率層LLとの境界面での光学的作用(つまり,反射作用又は屈折作用)によりレーザ光が集光されるものである。また,プラナ導波路32a,32a’の上部には光束結合部分としてグレーティングカプラGC(図7)が設けられており,直線形状の回折素子であるグレーティングカプラGCからプラナ導波路32a,32a’内ヘ平行光(又は略平行光)が導入される構成になっている。つまり,プラナ導波路32a,32a’は,ディスク2に近づくに従って光束を絞る集光機能だけでなく,プラナ導波路32a,32a’の側面側から入射した光束をグレーティングカプラGCで内部に取り込む結合機能も備えている。
【0041】
図5に示す高屈折率層HLと低屈折率層LLとの境界面では,その屈折率差によって全反射を生じさせる構成としている。境界面は略放物面の一部形状を成しているので,プラナ導波路32aに平行光が入射すると,略放物面の焦点位置で光源像が形成されることになる。つまり,プラナ導波路32aでは全反射を利用したミラー効果によりレーザ光を1方向に集光して,微小な光スポットを形成することができる。一方、図6に示すプラナ導波路32a’では,高屈折率層HLと低屈折率層LLとの境界面が,シリンドリカル面の一部形状を成しており,その屈折率差によって屈折を生じさせる構成としている。境界面はシリンドリカル面の一部形状を成しているので,プラナ導波路32a’に平行光が入射する,シリンドリカル面の焦点位置で光源像が形成されることになる。つまり,プラナ導波路32a’では屈折率差を利用したレンズ効果によりレーザ光を1方向に集光して,微小な光スポットを形成することができる。
【0042】
上記のように集光機能を有するプラナ導波路32a,32a’を用いれば,微小な光スポットを得ることができる。また光アシスト式磁気ヘッド3では,へッド先端にプラナ導波路32aが配置され,へッド先端部側面のグレーティングカプラGCで光束をプラナ導波路内32aに導く構成になっているため, 光束との結合面積を大きくすることができる。 このため,プラナ導波路端部に対し導波路幅で光束を結合させる場合と比べると,光学素子31の配置精度を緩くすることができ,へッド全体の小型化が容易になる。しかし,プラナ導波路32aにグレーティングカプラGCを用いると,グレーティングカプラGCに対する入射角度や入射位置の調整に高い精度が要求されるため, 高い結合効率を得ることが困難になる等の問題が生じてしまう。
【0043】
上記問題点を解決しているのが光学素子31の偏向面31cである。図4に示す光アシスト式磁気ヘッド3は,集光機能を有するプラナ導波路32aの側面に光学素子31からの光束を導入するグレーティングカプラGCを有し,このグレーティングカプラGCに向けて光束を偏向させる偏向面31cを光学素子31に有する構成となっている。 これにより,高い光利用効率で微小な光スポットを得ることが可能となり,その光スポットを用いて高密度の情報記録を行うことが可能となる。また,サスぺンション4の先端に近い部分ほどディスク2の被記録部分に近づけることができるので,プラナ導波路32aはサスぺンション4のより先端側に配置されるのが効率的である。よってスライダ32の上面において、サスぺンション4の先端側にプラナ導波路32aを配置し,サスぺンション4の根元側に光源33を配置しており、プラナ導波路32aとの光学的な結合を行うために,光源33からスライダ32の先端側に向かって出射されたレーザ光を,コリメートレンズ34で平行光とした後、光学素子31に入射させ、偏向面31cで折り返すことによりグレーティングカプラGCに入射させることが好ましい。
【0044】
ところで、スライダ32のプラナ導波路32a上に設けられたグレーティングカプラGCへの光の入射角は、結合効率が最大となる最適な角度が存在するが、その最適角度は波長依存性がある。従って、光源33に半導体レーザ(LD)を用いた場合には、温度により波長が変動する特性があるため、最適入射角も変動する。そこで、本実施の形態では偏向面31cに回折格子Dを付け、波長変動が生じた場合に偏向面31cからの反射光の角度を補正することで、波長変動による最適入射角の変動を補償している。これについては、例えば特願2008-190828、特願2008-186842に詳細に記載されている。
【0045】
記録/再生時において、スライダ32の浮上はディスク2に近接した状態で安定させる必要があり、スライダ32に浮上力を抑える圧力を適宜加える必要がある。このため、光学素子31の上に固定されるヘッド支持部4は、光アシスト式磁気ヘッド3のトラッキングを行う機能の他に、スライダ32の浮上力を抑える力を適宜加える機能を有している。サスペンションアーム41に形成されたピボット43とフレクシャ44のばね効果とによって光アシスト式磁気ヘッド3に圧力を加えることで、スライダ32のディスク2と対向する面に設けられた図示しない空気ベアリング面が受ける空気の浮上力とバランスが取れ、スライダ32とディスク2とは数十nmの浮上量を保つことができる。このようにスライダ32とディスク2との間の距離が非常に狭いため、表面にしか存在しない近接場光であっても、ディスク2を加熱することができる。
【0046】
スライダ32は、浮上しながら磁気記録媒体であるディスク2に対して相対的に移動するが、媒体に付着したごみや媒体に欠陥がある場合には、ディスク2と接触する可能性がある。その場合に発生する摩擦を低減するために、スライダ32の材質には耐摩擦性の高い硬質の材料を用いることが望ましい。例えば、Al23を含むセラミック材料、AlTiCやジリコニア、TiNなどを用いれば良い。また、摩擦防止処理として、スライダ32のディスク2側の面に耐摩擦性を増すために表面処理を行っても良い。例えば、DLC(Diamond Like Carbon)被膜を用いると、近赤外光の透過率も高く、ダイヤモンドに次ぐHv=3000以上の硬度が得られる。
【0047】
以上の構成を有する光アシスト式磁気ヘッド3の作用について、図4を参照して説明する。光源33から出射した発散光は、コリメートレンズ34で平行光に変換され、光学素子31の入射面31aから入射し、偏向面31cで反射回折した後、下面31dから出射し、スライダ32のプラナ導波路32aのグレーティングカプラGCに結合する。
【0048】
グレーティングカプラGCで結合された光は、スライダ32のプラナ導波路32aの集光機能により、ディスク2に近づくに従って光束径が絞られて、ディスク2に向かって伝播する。光アシスト式磁気ヘッド3から出射した光が微小な光スポットとしてディスク2に照射されると、ディスク2の照射された領域の温度が一時的に上昇してディスク2の保磁力が低下する。保磁力が低下した領域が磁気記録部32bに達すると、磁気記録部32bに設置された図示しないコイルにより発生させられた磁場によって、保磁力が低下した領域に情報が記録される。保磁力が低下した領域が磁気記録部32bを通過すると、この領域は自然冷却されて、記録された磁気ビットの磁化が安定して保持される。また、磁気再生部32cが、記録された磁化の方向を検出することで情報の再生を行うこともできる。
【0049】
光学素子31は、後述するように中間生成体IM2から分断されて形成されるが、プラスチックの射出成形等により、偏向面31cと回折格子Dとを金型により一度に成形することで偏向面31cの傾きと回折格子Dの溝方向の精度を確保している。
【0050】
次に、光アシスト式磁気ヘッド3の製造方法について説明する。まず、光学素子31を形成するための中間生成体IM2を射出成形で形成する工程を説明する。
【0051】
図8は中間生成体IM2の射出成形工程を示す斜視図である。図9は、図8(b)の構成をIX-IX線で切断して矢印方向に見た図である。図8において、上型M10は、中央に貫通した中央流路部M11と、上型M10の下面で中央流路部M11から放射状に等間隔で6本延在する放射上溝部M12と、放射上溝部M12の外方端から外方に延在するゲート上溝部M13と、ゲート上溝部M13の外方端から外方に延在する上転写部M14とを有する。中央流路部M11の上端は、樹脂の供給源Nに接続されている。
【0052】
一方、上型10に対向する下型M20は、その上面中央に配置された中央凹部M21と、下型M10の上面で中央凹部M21から放射状に等間隔で6本延在する放射下溝部M22と、放射下溝部M22の外方端から外方に延在するゲート下溝部M23と、ゲート下溝部M23の外方端から外方に延在する下転写部M24とを有する。
【0053】
図9において、断面が一様な台形溝状の上転写部M14の斜面には、複数のストレート溝M15が紙面垂直方向に互いに平行に延在して形成されている。ストレート溝M15は、図1(a)と同様な断面形状を有している。
【0054】
成形時には、図8(b)に示すように上型M10と下型M20とを接近させて型締めを行う。このとき、放射上溝部M12と放射下溝部M22とが対向して、円形断面のランナ形成部を構成し、ゲート上溝部M13とゲート下溝部M23と対向して、矩形断面又は台形断面のゲート形成部を構成し、上転写部M14と下転写部M24が対向して台形断面のキャビティCV(図9)を形成する。尚、ランナ形成部、ゲート形成部及びキャビティCVは放射状に直線的に配置されており、樹脂の流れ方向に直交する断面において、ランナ形成部の断面積が最も大きく、次いでキャビティCVの断面積が大きく、ゲート形成部の断面積は最も小さくなっている。ゲート形成部(図9に点線で示す)の断面積はキャビティCVの断面積の0.5倍以上1.0倍未満であると望ましい。また、図8(b)に示すように、細長い形状を有するキャビティCVの短辺側からゲート形成部を介して、溶融樹脂をキャビティCVに流入させることが可能となっている。
【0055】
かかる状態から供給源Nより中央流路部M12を介して溶融樹脂を圧送すると、溶融樹脂は、中央流路部M12を通過して、そこから放射状にランナ形成部及びゲート形成部を通過して、キャビティCVに至る。このとき、ランナ形成部から細長いキャビティ内への樹脂の流動方向は一方向になり、環状のキャビティを設けた場合に比べ一様な流動を確保できる。又、回折格子を転写形成するためのストレート溝M15が、キャビティCV内で樹脂の流動方向に一致しているので、以上の相乗効果によって、ストレート溝M15の底まで樹脂が流れ込み転写性が良好となる。
【0056】
樹脂が固化した後、図8(c)に示すように、上型M10に対して下型M20を型開きした後、中間生成体IM2を含む成形品MPを取り出すことができる。
【0057】
成形品MPは、図10に示すように、ランナ形成部により形成されたランナLNと、ゲート形成部により形成されたゲートGTと、中間生成体IM2とを接合した状態で有する。
【0058】
図11は、成形品MPの中間生成体IM付近を拡大して示す図である。ニッパ等を用いて、ゲートGTのCで示す位置を切断することにより、図12に示すような中間生成体IM2を得ることができる。ゲートGTの切断跡は、そのまま残しても特に問題はない。図13は、図12の中間生成体IM2を矢印XIII方向に見た図である。中間生成体IM2は、上面IM2aと、下面IM2bと、側面IM2cと、斜面IM2dを有し、斜面IM2dにはストレートな回折格子IM2eが形成されている。回折格子IM2eは、図1(a)と同様な断面形状を有しており、以下の式を満たす。
10≧h/p≧0.1 (1)
100≧h≧0.1 (2)
但し、h:回折格子の高さ(μm)、p:回折格子のピッチ(μm)
【0059】
ここで、中間生成体IMの全長はLであり、分断後の光学素子31の幅はwであり(図13参照)、L≧3wの条件を満たしている。一般的なフェムトスライダ幅は、0.7mm程度であるので、少なくともL≧2.1mmとできるから、中間生成体IM2をハンドリングするには十分大きなサイズとなっている。尚、L≦30wである事が望ましい。あまり中間生成体IM2の全長が長いとハンドリングの際に折れてしまう危険があるためである。w=0.7mmの場合、L≦21mmであるが、例えばシャープペンシルの芯が長さ60mmであり、その約1/3に抑えられるためハンドリングの際に誤って折ってしまう事を抑制できる。
【0060】
射出成形により形成された中間生成体IM2において、側面IM2c及び下面IM2bに反射防止膜を、また斜面IM2dに金などの反射膜(図4)を蒸着等により形成する。以上で、中間生成体IM2の形成工程が完了する。
【0061】
次に、スライダ32の製造について説明する。ここでは、スライダの素材として、同様に棒状の中間生成体IM1を用いる。半導体製造工程等を経て、棒状の中間生成体IM1を形成する。次いで、中間生成体IM1と中間生成体IM2を接合する。より具体的には、図14において、y方向を中間生成体IM1の長手方向とし、x方向を短手方向とする。中間生成体IM1と中間生成体IM2との接合部に紫外線硬化樹脂を塗布し、中間生成体IM1上に中間生成体IM2を載せる。この際、y方向の中間生成体IM2の位置精度は、回折格子溝方向なのでラフでよい。一方、x方向の位置決めは、中間生成体IM2の側面IM2cと中間生成体IM1に設けたアライメントマークWAMとの間隔が所定の距離になるようにすることで行う。尚、中間生成体IM2の面と、中間生成体IM1の面の間隔が所定の距離になるように配置しても良いし、転写成形時等に中間生成体IM1にアライメントマークを形成し、中間生成体IM1に設けたアライメントマークWAMと合うように位置決めしても良い。
【0062】
更に、紫外線を、上方から中間生成体IM2を介して照射し、接合面に塗布した光硬化性接着剤を硬化させて、中間生成体IM1と中間生成体IM2とを接着する。その後、光源33とコリメートレンズ34を、中間生成体IM1に設けたアライメントマークWAMを基準として、中間生成体IM1に対して順次位置決めし固定する。更に中間生成体IM2上の光源と光源との中間(図14の点線の位置)で、短手方向に中間生成体IM1と中間生成体IM2とを一度に分断するステップを実行することで、幅wである6個の光アシスト式磁気ヘッド3を効率的に製造することができる。中間生成体IM2は、ストレートな回折格子IM2eを末端まで精度良く形成しているので、末端まで光学素子として利用可能であり、歩留まりを向上できる。
【0063】
図15は、別な実施の形態にかかる成形品MPの一部を示す斜視図である。本実施の形態においては、ゲート形成部を設けていない(即ちランナ形成部とキャビティが接した)金型により成形品MPの成形を行ったものである。これにより、図15の成形品MPにおいて、ランナLNと中間生成体IM2とが接した状態で形成され、回折格子IM2eを精度良く転写できる。中間生成体IM2は最終的には分断されるので、ゲートが設けられていなくても、特に問題はない。
【0064】
図16は、更に別な実施の形態にかかる成形品MPの一部を示す斜視図である。本実施の形態においては、図15の例と同様にゲート形成部を設けていないが、ランナ形成部の近傍のキャビティにおいてストレート溝を設けない(即ちランナ形成部とストレート溝が接していない)金型により成形品MPの成形を行ったものである。本実施の形態では、ランナLNの近傍は平面FPとなっており、よってこの部分の中間生成体IM2は光学素子として用いないものである。
【0065】
図17は、更に別な実施の形態にかかる成形品MPを形成する金型の一部を示す断面図であり、図18は、図17の金型により成形された成形品MPの一部を示す斜視図である。図17に示すように、上型M10は、上転写部M14の外方端から外方に延在する樹脂溜まり上環状部M16を有する。一方、下型M20は、下転写部M24の外方端から外方に延在する樹脂溜まり下環状部M26と、イジェクトピンIPを摺動可能に嵌合する貫通溝M27とを有する。貫通溝M27は、樹脂溜まり下環状部M26と、放射下溝部M22に開口している。樹脂溜まり上環状部M16と樹脂溜まり下環状部M26とを対向させることで、略環状の樹脂溜まり部を形成する。それ以外の構成は、上述の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
【0066】
図17に示す金型を用いて成形品MPを成形すると、キャビティCV内の空気や樹脂ガスの抜けが良くなると共に、キャビティCVの末端における樹脂の滞留等を抑制し、ストレート溝M15(図9)の端部形状を精度良く転写できるが、図18に示すように、中間生成体IM2の半径方向外側に、樹脂溜まり部内で固化した樹脂PLが残存する。
【0067】
本実施の形態では、樹脂PLを成形品MPの金型からの分離に利用する。即ち、図18に示すように、一対のイジェクトピンIPで、中間生成体IM2を挟んだ両側においてランナLNと樹脂PLとを上方に押し出すことにより、中間生成体IM2を変形させる応力を抑えつつ、下型M20から成形品MPを分離させることができる。成形品MPを取り出した後、後工程で樹脂PLを把持するなどして利用でき、ハンドリング性が向上する。最終的には、樹脂PLは切断される。
【0068】
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0069】
1 光アシスト式磁気記録装置
2 ディスク
3 光アシスト式磁気ヘッド
4 ヘッド支持部
5 支軸
6 トラッキング用アクチュエータ
31 光学素子
31a 入射面
31b 上面
31c 偏向面
31d 下面
31g 溝
32 スライダ
32a プラナ導波路
32b 磁気記録部
32c 磁気再生部
33 光源
33a 出射口
34 コリメートレンズ
36a 接合面
41 サスペンションアーム
42 開口部
43 ピボット
44 フレクシャ
45 開口部
46 舌片部
46a 接合面
CV キャビティ
D 回折格子
GC グレーティングカプラ
GT ゲート
HL 高屈折率層
IM1 中間生成体
IM2 中間生成体
IM2a 上面
IM2b 下面
IM2c 側面
IM2d 斜面
IM2e 回折格子
IP イジェクトピン
LL 低屈折率層
LN ランナ
M10 上型
M11 中央流路部
M12 放射上溝部
M13 ゲート上溝部
M14 上転写部
M15 ストレート溝
M16 樹脂溜まり上環状部
M17 貫通溝
M20 下型
M21 中央凹部
M22 放射下溝部
M23 ゲート下溝部
M24 下転写部
M26 樹脂溜まり下環状部
MP 成形品
N 供給源
PL 樹脂
WAM アライメントマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光アシスト磁気ヘッド用の光学素子を製造するための、ストレートな回折格子を有する棒状の中間生成体の製造方法であって、
前記回折格子を転写するためのストレート溝を有する第1の金型と第2の金型とを型締めして、前記ストレート溝を含み前記中間生成体を成形するための細長いキャビティと、前記キャビティと樹脂の供給源との間に位置するランナ形成部とを直線的に画成する工程と、
前記ランナ形成部から、前記ストレート溝に沿った方向に前記キャビティに対して樹脂を流入させる工程と、を有することを特徴とする中間生成体の製造方法。
【請求項2】
前記第1の金型と前記第2の金型とを型締めした状態で、前記ランナ形成部における樹脂の流れ方向に直交する断面積は、前記キャビティにおける樹脂の流れ方向に直交する断面積よりも大きくなっていることを特徴とする請求項1に記載の中間生成体の製造方法。
【請求項3】
前記第1の金型と前記第2の金型とを型締めした状態で、前記キャビティと前記ランナ形成部との間には、ゲート形成部が設けられており、前記ゲート形成部における樹脂の流れ方向に直交する断面積は、前記キャビティにおける樹脂の流れ方向に直交する断面積よりも小さくなっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の中間生成体の製造方法。
【請求項4】
前記ゲート形成部における樹脂の流れ方向に直交する断面積は、前記キャビティにおける樹脂の流れ方向に直交する断面積の0.5倍以上1.0倍未満であることを特徴とする請求項3に記載の中間生成体の製造方法。
【請求項5】
前記第1の金型と前記第2の金型とを型締めした状態で、前記キャビティと前記ランナ形成部との間には、ゲート形成部が設けられていないことを特徴とする請求項1又は2に記載の中間生成体の製造方法。
【請求項6】
前記キャビティのストレート溝は、前記ランナ形成部と接していないことを特徴とする請求項5に記載の中間生成体の製造方法。
【請求項7】
前記第1の金型と前記第2の金型とを型締めした状態で、前記キャビティを挟んで前記ランナ形成部と反対側に樹脂溜まり部を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の中間生成体の製造方法。
【請求項8】
前記第1の金型と前記第2の金型とを型開きした後に、前記樹脂溜まり部で固化した樹脂をイジェクトピンで押し出す工程を有することを特徴とする請求項7に記載の中間生成体の製造方法。
【請求項9】
前記中間生成体は、前記光学素子の幅の3倍以上、30倍以下の長さを有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の中間生成体の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載の中間生成体の製造方法により製造されたことを特徴とする中間生成体。
【請求項11】
前記中間生成体に形成された回折格子は、以下の式を満たすことを特徴とする請求項10に記載の中間生成体。
10≧h/p≧0.1 (1)
100≧h≧0.1 (2)
但し、h:回折格子の高さ(μm)、p:回折格子のピッチ(μm)
【請求項12】
ディスク状の記録媒体の回転に応じて、前記記録媒体に対して浮上して相対移動するスライダと、請求項10又は11に記載された中間生成体を長手方向に交差する方向で分断することによって形成され、前記スライダに設けられた光導波路に向けて光源からの光束を回折格子を用いて偏向する光学素子とを有することを特徴とする光アシスト磁気ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−201129(P2011−201129A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70448(P2010−70448)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】