説明

乗り物用シート

【課題】4節リンク機構を用いてシート本体をフロア面に対して水平方向に回転移動させる構成において、シート本体の剥離防止強度の向上を図る。
【解決手段】シート本体1とフロア面Fとの間には一対の横スライダ機構20,30と4節リンク機構10とが階層状に配設されている。横スライダ機構20,30はフロア面Fに対して固定設置されたロアレール22,32に対してアッパレール21,31がスライド移動可能でかつ上方側への剥離移動が防止された構成となっている。シートクッション1Cの骨格体2と後側の横スライダ機構30のアッパレール31との間に構成された4節リンク機構10は回動リンクとなるリンクアーム13,14の前側の面部が前側の横スライダ機構20のアッパレール21に対してシート本体1の回転移動を許容した状態にそれぞれ連結されており、シート本体1の各横スライダ機構20,30に対する剥離移動を防止している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物用シートに関する。詳しくは、着座部となるシート本体がフロア面上に正面を向いて配設された乗り物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用シートにおいて、着座部となるシート本体をフロア面に対して水平方向に回転移動させられるようにした技術が知られている。例えば、下記特許文献1には、シート本体とフロア面との間に、シート本体を回転移動させるための4節リンク機構を配設した技術が開示されている。
この開示では、4節リンクのうちの1節が、固定リンクとしてフロア面上に固定設置されている。そして、この固定リンクの両隣側の2節は、固定リンクとの連結点を中心にリンク回動する回動リンクとなっている。そして、上述した固定リンクに対向して設けられる残りの1節は、上述した各回動リンクとリンク連結されて、これらの回動によって揺動操作される可動リンクとなっている。この可動リンクは、シート本体に固定されており、上述した各回動リンクが互いに異なる態様で回動する動きを受けて、シート本体をフロア面(固定リンク)に対して水平方向に回転移動させられるようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−109746号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記開示の従来技術では、シート本体が実質的に2本の回動リンクによって固定リンクに対して片持ち状態で支持されており、車両衝突時等の大荷重作用時に、重量物であるシート本体がフロア面から剥離移動しないように支持するには不向きな構造となっている。
【0005】
本発明は、上記した問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、4節リンク機構を用いてシート本体をフロア面に対して水平方向に回転移動させる構成において、シート本体のフロア面に対する剥離防止強度の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の乗り物用シートは次の手段をとる。
先ず、第1の発明は、着座部となるシート本体がフロア面上に正面を向いて配設された乗り物用シートである。シート本体とフロア面との間には、フロア面に対して水平に直線運動する横並び一対のスライダ機構と、フロア面に対して水平に回転運動する4節リンク機構と、が階層状に配設されている。横並び一対のスライダ機構は、互いに離間して配設されている。これらスライダ機構は、それぞれ、その下層側の面上に固定設置される長尺状のロアレールに対して、アッパレールがロアレールの断面形状に沿って長手方向にスライド移動可能に嵌め込まれた構成となっている。各アッパレールは、各ロアレールとの嵌合構造によって、その上方側に引き抜かれる剥離移動が防止された構成となっている。4節リンク機構のうちの1節は、その上層側に配されたシート本体に固定されてこれを支持する支持リンクとして構成されている。他の1節は、4節リンク機構の下層側に配された一方側のスライダ機構のアッパレール上に固定設置される固定リンクとして構成されている。残りの2節は、支持リンクと固定リンクとをそれぞれリンク連結する回動リンクとして構成されている。4節リンク機構は、各回動リンクを回動させて、支持リンクを固定リンクに対して相対移動させる動きによって、シート本体をフロア面に対して水平方向に回転移動させる構成となっている。更に、シート本体の水平方向の回転移動に伴って動く支持リンク等の作動部品を、他方側のスライダ機構のアッパレールに対してシート本体の回転移動を許容しかつ剥離移動を防止した状態として連結する連結構造が設けられている。この連結構造により、シート本体が、各スライダ機構に対してそれぞれ剥離防止された状態に連結されている。
この第1の発明によれば、シート本体は、各スライダ機構のアッパレールがロアレールに対してスライド移動する動きによって、フロア面に対して水平に直線移動する。そして、シート本体は、4節リンク機構の各回動リンクが回動する動きによって、フロア面に対して水平に回転移動する。この4節リンク機構は、固定リンクが一方側のスライダ機構のアッパレール上に固定設置されて支持されている。そして、シート本体を支持する支持リンクは、2本の回動リンクを介して固定リンクに連結されており、固定リンクに対して片持ち状態で支持されている。しかし、この支持リンク等のシート本体と共に回転移動する作動部品は、連結構造によって他方側のスライダ機構のアッパレールに連結されている。これにより、シート本体を支える4節リンク機構が、その回転移動が許容された状態として、フロア面上に固定設置された互いに離間した一対のスライダ機構に対して、それぞれ剥離防止可能に連結された両端支持状態とされる。
【0007】
次に、第2の発明は、上述した第1の発明において、支持リンク等の作動部品と他方側のアッパレールとを連結する連結構造は、この両部材を剥離防止可能に連結する連結軸が、一方の部材に対して湾曲形状の長孔内にスライド移動可能に挿着された構造となっている。これにより、連結軸が湾曲形状の長孔内でスライド移動する動きによって、シート本体の回転移動が許容されるようになっている。シート本体の回転移動時には、作動部品と連結された他方側のアッパレールが、連結軸からの動力伝達を受けてロアレールに対してスライド移動する構成となっている。
この第2の発明によれば、連結軸は、シート本体の回転移動に伴って、湾曲形状の長孔内をスライド移動する。このとき、この連結軸に連結された他方側のアッパレールも、連結軸のスライド移動に追従してロアレールに対してスライド移動する。これにより、連結軸をスライド移動させるのに必要な長孔の長さが、アッパレールのスライド移動によって吸収されて短く抑えられる。
【0008】
次に、第3の発明は、上述した第1又は第2の発明において、横並び一対のスライダ機構は、シート本体をフロア面に対して横方向にスライド移動させる横スライダ機構として構成されている。更に、一対の横スライダ機構とフロア面との間には、一対の横スライダ機構に対して直交方向に直線運動する横並び一対の縦スライダ機構が設けられている。この一対の縦スライダ機構の各アッパレールに対して、一対の横スライダ機構の各ロアレールの端部が結合されて固定されている。
この第3の発明によれば、縦スライダ機構は、フロア面上に横並び一対で固定設置される。そして、一対の横スライダ機構は、各縦スライダ機構に対して直交方向に向けられた状態で、それらのロアレールの各端部が各縦スライダ機構のアッパレールに結合されて固定される。そして、この横スライダ機構の上層側に、4節リンク機構を介してシート本体が連結される。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上述した手段をとることにより、次の効果を得ることができる。
先ず、第1の発明によれば、シート本体を支持する4節リンク機構を、フロア面上に固定設置された各スライダ機構のアッパレールに剥離防止可能に連結したことにより、シート本体をフロア面に対して水平に直線移動させたり回転移動させたりすることができる上に、シート本体をフロア面に対して高い剥離防止強度をもたせて連結することができる。
更に、第2の発明によれば、シート本体の回転移動時に、支持リンク等の作動部品と共に他方側のアッパレールをスライドさせて追従移動させるようにしたことにより、長孔に必要な長さをアッパレールのスライド移動によって吸収して短くすることができる。これにより、シート本体をフロア面に対して高い剥離防止強度をもたせて連結することができる。
更に、第3の発明によれば、横スライダ機構とフロア面との間に縦スライダ機構を設けて両者を井桁状に固定したことにより、シート本体をフロア面に対して縦横両方向に移動可能にして高い剥離防止強度をもたせて連結することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための最良の形態の実施例について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0011】
始めに、実施例1の乗り物用シートの構成について、図1〜図9を用いて説明する。
ここで、図1には、本実施例の乗り物用シートの概略構成が分解斜視図によって示されている。この乗り物用シートは、自動車の助手席用シートとして配置構成されており、シート本体1が車両正面を向いた姿勢でフロア面F上に設置されている。したがって、この状態でシート本体1に乗員が着座すると、乗員も車両正面を向いた姿勢で着座することとなる。
【0012】
このシート本体1は、背凭れ部となるシートバック1Bと、着座部となるシートクッション1Cと、頭部の支持部となるヘッドレスト1Hと、を有する。なお、図1では、本実施例の要部構成を中心に説明するために、シートクッション1Cの下側にその骨格を成す骨格体2が示されており、シートバック1Bやヘッドレスト1Hの骨格構造は省略されている。
そして、上述したシートクッション1Cの両サイドには、樹脂製のシールド3,3が配設されている。そして、図示向かって右側サイドのシールド3上には、3個の操作レバー4a〜4cが配設されている。これら操作レバー4a〜4cの各機能については、後に詳しく説明する。
【0013】
そして、図2及び図3に示されるように、シート本体1とフロア面Fとの間には、4節リンク機構10と、一対の横スライダ機構20,30と、一対の縦スライダ機構40,50と、が階層状に積まれて設けられている。
ここで、図1に戻って、4節リンク機構10は、シート本体1をフロア面Fに対して水平に回転移動させるための構成となっている。そして、横スライダ機構20,30は、車両の前後方向に互いに間を空けて並べられた一対の構成となっており、シート本体1をフロア面Fに対して車両幅方向にスライド移動させられる構成となっている。そして、縦スライダ機構40,50は、車両幅方向に互いに間を空けて並べられた一対の構成となっており、シート本体1をフロア面Fに対して車両前後方向にスライド移動させられる構成となっている。
これにより、シート本体1は、上記各機構を作動させることによって、フロア面Fに対して水平に回転移動させたり、車両前後方向や幅方向にスライド移動させたりできるようになっている。
【0014】
このシート本体1を回転移動させたりスライド移動させたりする操作は、シートクッション1Cの図示向かって右側サイドに設けられた各操作レバー4a〜4cを手動で引き上げる操作によって行えるようになっている。
具体的には、例えば操作レバー4aの引き上げ操作を行うことにより、各縦スライダ機構40,50をスライドロックしている各ロック装置43,53のロック状態が解除される。これにより、この操作レバー4aの引き上げ操作を維持した状態で、シート本体1を車両前後方向にスライド移動させて、その着座位置の調整を行うことができる。
そして、操作レバー4aの操作をやめることにより、各ロック装置43,53は再びロック状態に戻される。これにより、シート本体1のスライド位置を、その調整移動させた位置に固定することができる。
【0015】
また、操作レバー4bの引き上げ操作を行うと、各横スライダ機構20,30をスライドロックしている各ロック装置23,33のロック状態が解除される。これにより、この操作レバー4bの引き上げ操作を維持した状態で、シート本体1を車両幅方向にスライド移動させて、その着座位置の調整を行うことができる。
そして、操作レバー4bの操作をやめることにより、各ロック装置23,33は再びロック状態に戻される。これにより、シート本体1のスライド位置を、その調整移動させた位置に固定することができる。
【0016】
また、操作レバー4cの引き上げ操作を行うと、4節リンク機構10を回転ロックしている連結装置60のロック状態が解除される。更に、前述した車両前側に配置されている横スライダ機構20のロック装置23のロック状態も解除される。これにより、この操作レバー4cの引き上げ操作を維持した状態で、シート本体1を図8や図9に示されるように前側の横スライダ機構20のアッパレール21をスライド移動させながら左右に回転移動させて、その着座向きの調整を行うことができる。
そして、操作レバー4cの操作をやめることにより、上記した連結装置60やロック装置23は再びロック状態に戻される。これにより、シート本体1の着座向きを、その調整移動させた向きに固定することができる。
ここで、図8に示されるように、シート本体1を回転移動させて車両外側に向けることにより、着座者は自然な着座姿勢で車外の景色を楽しめるようになる。また、図9に示されるように、シート本体1を逆方向に回転移動させて車両内側に向けることにより、着座者は隣り合う運転席側シートの着座者とのコミュニケーションをとり易い姿勢となることができる。
【0017】
次に、図1に戻って、シートクッション1Cの骨格体2、4節リンク機構10、一対の横スライダ機構20,30及び一対の縦スライダ機構40,50の構成について、順に詳しく説明する。
先ず、シートクッション1Cの骨格体2の構成について説明する。
この骨格体2は、全体が枠状にフレームの組まれた構成となっている。具体的には、骨格体2は、その両サイドに、鉄板材からなるサイドフレームFa,Fbが配設された構成となっている。これらサイドフレームFa,Fbは、その上下側の縁部がシート本体1の内側に折り込まれる格好で、縦断面が「コ」符号状となる形状に形成されている。
【0018】
これにより、各サイドフレームFa,Fbの下側の縁部には、それぞれ底板部ta,tbが形成されている。そして、これら底板部ta,tbの後端寄りの面部には、板圧方向に貫通した長孔ha,hbがそれぞれ形成されている。これら長孔ha,hbの機能については、後に説明する。
そして、互いに離間した各サイドフレームFa,Fbの間には、これらを互いを連結するかたちで、鉄鋼製円管状の補強パイプP1〜P3が配設されている。これら補強パイプP1〜P3は、それらの各端部が、各サイドフレームFa,Fbに溶接によって剛結合されている。そして、各サイドフレームFa,Fbと各補強パイプP1〜P3とによって組まれた枠内には、金属製のワイヤWが網目状に張設されている。この網目状のワイヤWの上面部には、図示しないクッションパッドが配設されるようになっている。
【0019】
次に、4節リンク機構10の構成について説明する。
この4節リンク機構10は、鉄板材によって形成された2枚のリンクベース11,12と、2本のリンクアーム13,14とが、それぞれ、前後の各横スライダ機構20,30やシートクッション1Cの骨格体2に連結されることによって、全体として4節リンクの構成とされている。
ここで、2本のリンクアーム13,14が骨格体2に連結されてなるアーム構造が本発明の支持リンクに相当し、2枚のリンクベース11,12よりなるアーム構造が本発明の固定リンクに相当する。そして、各リンクアーム13,14が本発明の各回動リンクにそれぞれ相当する。そして、後側の横スライダ機構30が本発明の一方側のスライダ機構に相当し、前側の横スライダ機構20が本発明の他方側のスライダ機構に相当する。
ここで、各横スライダ機構20,30は、詳細は後述するが、それぞれ、横長状のロアレール22,32の上部を、アッパレール21,31が幅方向にスライド移動する構成となっている。そして、2枚のリンクベース11,12は、後側の横スライダ機構30のアッパレール31に対して、それぞれ一体的に連結されている。
【0020】
詳しくは、一方側のリンクベース11は、アッパレール31に下側から突き抜けて突設された2本の段付ボルトB1,B2が下側から挿通されて、その上面側でナットN1,N2によってそれぞれ締結されている。これにより、リンクベース11は、座面を有する段付ボルトB1,B2の頭部やナットN1,N2によって、アッパレール31から剥離しないように板圧方向に挟み付けられた状態で支持されている。
ここで、アッパレール31に突設された一方側の段付ボルトB1は、リンクベース11を突き抜けて、更に前述した骨格体2の長孔ha内に挿通されることによって底板部taを下側から突き抜けた状態で、その上面側でナットN1により締結されている。これにより、骨格体2(シートクッション1C)も、座面を有する段付ボルトB1の頭部やナットN1によって、アッパレール31から剥離しないように板圧方向に挟み付けられた状態として支持されている。この段付ボルトB1は、長孔haの孔形状の内部をスライド移動することができ、かつ、骨格体2のアッパレール31に対する回転移動を許容することのできる状態としてナットN1に締結されている。
【0021】
そして、他方側のリンクベース12も、アッパレール31に下側から突き抜けて突設された2本の段付ボルトB3,B4が下側から挿通されて、その上面側でナットN3,N4によってそれぞれ締結されている。これにより、リンクベース12は、座面を有する段付ボルトB3,B4の頭部やナットN3,N4によって、アッパレール31から剥離しないように板圧方向に挟み付けられた状態で支持されている。
ここで、アッパレール31に突設された一方側の段付ボルトB4は、リンクベース12を突き抜けて、更に前述した骨格体2の長孔hb内に挿通されることによって底板部tbを下側から突き抜けた状態で、その上面側でナットN4により締結されている。これにより、骨格体2(シートクッション1C)も、座面を有する段付ボルトB4の頭部やナットN4によって、アッパレール31から剥離しないように板圧方向に挟み付けられた状態として支持されている。この段付ボルトB4は、長孔hbの孔形状の内部をスライド移動することができ、かつ、骨格体2のアッパレール31に対する回転移動を許容することのできる状態としてナットN4に締結されている。
【0022】
次いで、一方側のリンクアーム13は、その後側の端部が、後述する連結装置60を介してリンクベース11に回動可能に連結されている。ここで、リンクアーム13は、リンクベース11の下層側に配置されている。そして、リンクアーム13の前側の端部は、骨格体2の底板部taに上側から突き抜けて突設された段付ボルトB5が挿通されて、その底面側でナットN5によって締結されている。これにより、骨格体2(シートクッション1C)は、座面を有する段付ボルトB5の頭部やナットN5によって、リンクアーム13から剥離しないように板圧方向に挟み付けられた状態で支持されている。この段付ボルトB5は、リンクアーム13の骨格体2に対する回転移動を許容することのできる状態としてナットN5に締結されている。
【0023】
ここで、リンクアーム13は、図3に示されるように、連結装置60に連結される図示右側の後板部13Aに対し、骨格体2に連結される図示左側の前板部13Bが段差状に高さの上がった形状に形成されている。これにより、リンクアーム13とリンクベース11との間に回転ロック用の連結装置60を設けても、リンクアーム13の前板部13Bがリンクベース11と同じ高さ位置(リンクベース11の高さを超えない位置)に配置できるようになっている。
そして、図1に戻って、このリンクアーム13の前端寄りの面部には、板圧方向に貫通した長孔13hが形成されている。そして、この長孔13h内には、前側の横スライダ機構20のアッパレール21に下側から突き抜けて突設された段付ボルトB6が下側から挿通されている。そして、この段付ボルトB6は、リンクアーム13の上面側で、ナットN6によって締結されている。この段付ボルトB6は、長孔13hの孔形状の内部をスライド移動することができ、かつ、骨格体2とリンクアーム13とアッパレール21との間の相互間の回転移動を許容することのできる状態としてナットN6に締結されている。ここで、段付ボルトB6が本発明の連結軸に相当する。
【0024】
次いで、他方側のリンクアーム14は、その後側の端部が、段付ボルトB7及びナットN7によってリンクベース12に回動可能に連結されている。ここで、リンクアーム14は、その後側の端部が、リンクベース12の下層側に配置されている。そして、リンクアーム14には、その下側からリンクベース12を貫通するように段付ボルトB7が挿通されており、この段付ボルトB7は、リンクベース12の上面側でナットN7によって締結されている。これにより、リンクアーム14は、座面を有する段付ボルトB7の頭部やナットN7によって、リンクベース12から剥離しないように板圧方向に挟み付けられた状態で支持されている。この段付ボルトB7は、リンクアーム14のリンクベース12に対する回転移動を許容することのできる状態としてナットN7に締結されている。
そして、リンクアーム14の前側の端部は、骨格体2の底板部tbに上側から突き抜けて突設された段付ボルトB8が挿通されて、その底面側でナットN8によって締結されている。これにより、骨格体2(シートクッション1C)は、座面を有する段付ボルトB8の頭部やナットN8によって、リンクアーム14から剥離しないように板圧方向に挟み付けられた状態で支持されている。この段付ボルトB8は、リンクアーム14の骨格体2に対する回転移動を許容することのできる状態としてナットN8に締結されている。
【0025】
ここで、リンクアーム14は、リンクベース12に連結される後板部14Aに対して骨格体2に連結される前板部14Bが段差状に高さの上がった形状に形成されている。これにより、リンクアーム14の前板部14Bが、前述したリンクアーム13の前板部13Bと同じ高さ位置に配置されている。
そして、このリンクアーム14の前端寄りの面部には、板圧方向に貫通した長孔14hが形成されている。そして、この長孔14h内には、前側の横スライダ機構20のアッパレール21に下側から突き抜けて突設された段付ボルトB9が下側から挿通されている。そして、この段付ボルトB9は、リンクアーム14の上面側で、ナットN9によって締結されている。この段付ボルトB9は、長孔14hの孔形状の内部をスライド移動することができ、かつ、骨格体2とリンクアーム14とアッパレール21との間の相互間の回転移動を許容することのできる状態としてナットN9に締結されている。ここで、段付ボルトB9が本発明の連結軸に相当する。
【0026】
次いで、連結装置60の構成について説明する。この連結装置60は、図4に示されるように、円盤状のラチェット61並びにガイド62、ポール63,63、押引カム64、回転カム65、セットプレート66及び巻きバネ67によって構成されている。なお、この連結装置60の基本的構成は、特開2002−360368号公報等に開示された公知のリクライニング装置の構成と同じものとなっている。したがって、以下では、連結装置60の概略構成について簡単に説明する。
先ず、ラチェット61は、その周縁部に、円筒状に突出した円筒部61pが形成されている。そして、この円筒部61pの内周面には、内歯61gが形成されている。そして、ラチェット61の円盤部61bには、複数の突出形状のダボ61a・・が形成されている。これらダボ61a・・は、図1に示されるように、リンクアーム13の後板部13Aに形成されたダボ孔13d・・に嵌め込まれた状態で、リンクアーム13に溶着されるようになっている。これにより、ラチェット61は、リンクアーム13と一体的に連結されている。
【0027】
次いで、図4に戻って、ガイド62は、その周縁部に、円筒状に突出した円筒部62pが形成されている。この円筒部62pは、ラチェット61とガイド62とが重ね合わされて組み付けられた状態では、その円筒内部にラチェット61の円筒部61pが緩やかに嵌め込まれるようになっている。これにより、ラチェット61とガイド62とが、互いの円筒状に突出し合った形状によって、互いに相対回動可能に支持し合う構成とされている。
このガイド62の円盤部62bには、十字状に窪んだガイド溝62dが形成されている。そして、このガイド溝62dの溝内部には、ポール63,63や押引カム64がスライド移動可能にガイドされた状態で収容されている。これにより、ポール63,63は、図5に示されるようにガイド溝62dの溝形状に沿って図示上下方向にのみスライド移動可能となるように支持されている。そして、押引カム64は、ガイド溝62dの溝形状に沿って図示左右方向にのみスライド移動可能となるように支持されている。
そして、図4に戻って、ガイド62の円盤部62bには、複数の突出形状のダボ62a・・が形成されている。これらダボ62a・・は、図1に示されるように、リンクベース11に形成されたダボ孔11d・・に嵌め込まれた状態で、リンクベース11に溶着されるようになっている。これにより、ガイド62は、リンクベース11と一体的に連結されている。
【0028】
次いで、ポール63,63は、互いに上下で対称な構成となっており、その外周面にはラチェット61の内歯61gとそれぞれ噛合可能な外歯63g,63gが形成されている。これらポール63,63は、図5に示されるように、押引カム64が図示左右方向にスライド移動する動きによって、各脚部63s,63sが押引カム64の各肩部64s,64sに乗り上げたり、各掛部63t,63tが押引カム64の各フック64c,64cに引き込まれたりして、半径方向の内外方にスライド移動操作されるようになっている。
これらポール63,63は、ガイド62に対しては、半径方向の内外方向、すなわち図示上下方向にしかスライド移動できないようにガイドされている。したがって、各ポール63,63が押引カム64に押圧されてラチェット61の内歯61gと噛合することにより、各ポール63,63を介してラチェット61のガイド62に対する相対回動は規制された状態となる。これにより、連結装置60が回転ロックされた状態となる。また、各ポール63,63が押引カム64に引き込まれて内歯61gとの噛合状態から外されることにより、ラチェット61のガイド62に対する相対回動は許容された状態となる。これにより、連結装置60の回転ロックが解除された状態となる。
【0029】
この押引カム64は、その貫通孔64hの内部に組み付けられた回転カム65が回転する動きを受けて、図示左右方向にスライド移動するようになっている。ここで、回転カム65は、図4に示されるように、ガイド62との間に掛着された巻きバネ67の内端が掛着されるバネ掛部65aと、回転カム65の貫通孔64hの凹み部位に入り込む凸部65bと、を備えて構成されている。
上記した巻きバネ67の外端は、ガイド62の円盤部62bに突出形成されたバネ掛部62tに掛着されている。これにより、回転カム65は、この巻きバネ67からの回転附勢力を受けて、常時は図5に示されるように押引カム64を図示左方向にスライド移動させて、各ポール63,63の外歯63g,63gをラチェット61の内歯61gに押し付けて噛合させた状態として保持している。
【0030】
この回転カム65には、図示しない操作軸が差し込まれて一体的に連結されている。これにより、回転カム65は、操作軸が上記した巻きバネ67の附勢力に抗して回転操作されることによって、上述した各ポール63,63の噛合状態を解除する方向に作動操作する。そして、回転カム65は、操作軸の操作が解除されることによって、再び、巻きバネ67の附勢力によって各ポール63,63をラチェット61に噛合させるように作動操作する。
ここで、操作軸は、図1に示されているリンクベース11やリンクアーム13に形成された各貫通孔11h,13jや、図4に示されているラチェット61やガイド62に形成された各貫通孔61h,62hに挿通されて設けられている。そして、この図示しない操作軸は、前述した操作レバー4cと繋がれており、操作レバー4cの引き上げ操作によって、連結装置60の回転ロックを解除する方向に回転操作されるようになっている。
【0031】
そして、図4に戻って、セットプレート66は、薄板リング状に形成された鉄板状部材が、板圧方向に曲げ成形されることによって、段差のついた円筒形状に形成されている。これにより、セットプレート66の内周側の縁板部が、ラチェット61の円盤部61bを外側から支持する保持板部66aとして形成されている。そして、セットプレート66の外周側の縁板部は、ラチェット61とガイド62とが組み付けられた状態で内側にかしめられることにより、ガイド62の円盤部62bを外側から支持することができる保持板部66bとして形成されている。
したがって、このセットプレート66の組み付けによって、ラチェット61とガイド62とが板圧方向に剥離しないように保持されるようになっている。
したがって、上記構成の連結装置60を4節リンク機構10の回転ロック装置として用いることにより、上述した歯と歯の噛合いピッチ(2度)毎に小刻みに4節リンク機構10の回転ロックを行えるようになっている。
【0032】
次に、図1に戻って、前側の横スライダ機構20にかかる構成について説明する。
すなわち、前側の横スライダ機構20は、車両幅方向に延びる長尺状のロアレール22と、このロアレール22の断面形状に沿って車両幅方向にスライド移動するアッパレール21とから構成されている。このアッパレール21は、図6に示されるように、ロアレール22との嵌合構造によって、ロアレール22から上方側に引き抜かれる剥離移動が防止された構成となっている。
そして、このアッパレール21には、ロアレール22との間に、ロアレール22に対するスライド移動をロック可能なロック装置23が設けられている。このロック装置23は、アッパレール21やロアレール22に形成された係合孔21h,22hに入り込むことのできる爪部材23tを備えた構成となっている。
【0033】
このロック装置23は、常時は、アッパレール21との間に掛着された図示しないバネ部材の附勢力によって、爪部材23tを各係合孔21h,22hに貫通させた状態に保持されている。これにより、ロック装置23は、常時はアッパレール21のロアレール22に対するスライド移動をロックした状態となっている。
この爪部材23tには、図1において前述した操作レバー4bや操作レバー4cの引き上げ操作によって押し下げ操作される操作部23rが設けられている。そして、図6に示されるように爪部材23tは、操作部23rが押し下げ操作されることによって、各係合孔21h,22hから脱した姿勢へと切り換えられる。これにより、アッパレール21のロアレール22に対するスライドロック状態が解除される。
【0034】
次に、図1に戻って、後側の横スライダ機構30にかかる構成について説明する。なお、この横スライダ機構30の構成は、前述した前側の横スライダ機構20にかかる構成と基本的な構成は同じとなっている。したがって、以下では、前側の横スライダ機構20にかかる構成と実質的に同じとなる構成については、その構成を列挙するにとどめ、詳しい説明は省略することとする。
この後側の横スライダ機構30は、車両幅方向に延びる長尺状のロアレール32と、このロアレール32上を車両幅方向にスライド移動するアッパレール31とから構成されている。そして、図6に示されるように、このアッパレール31には、スライドロック用のロック装置33が設けられている。このロック装置33は、アッパレール31やロアレール32に形成された係合孔31h,32hに入り込むことのできる爪部材33tを備えている。この爪部材33tには、図1において前述した操作レバー4bの引き上げ操作によって押し下げ操作される操作部33rが設けられている。したがって、爪部材33tは、操作部33rが押し下げ操作されることによって、各係合孔31h,32hから脱してスライドロックを解除した姿勢へと切り換えられる。
【0035】
次に、図1に戻って、フロア面F上に固定設置された縦スライダ機構40,50にかかる構成について説明する。なお、各縦スライダ機構40,50の構成は、前述した前側の横スライダ機構20にかかる構成に対してその配設位置や向きは異なるが、基本的な構成は同じとなっている。したがって、以下では、前側の横スライダ機構20にかかる構成と実質的に同じとなる構成については、その構成を列挙するにとどめ、詳しい説明は省略することとする。
この縦スライダ機構40(50)は、車両前後方向に延びる長尺状のロアレール42(52)と、このロアレール42(52)上を車両前後方向にスライド移動するアッパレール41(51)とから構成されている。そして、図6に示されるように、このアッパレール41(51)には、スライドロック用のロック装置43(53)が設けられている。このロック装置43(53)は、アッパレール41(51)やロアレール42(52)に形成された係合孔41h,42h(51h,52h)に入り込むことのできる爪部材43t(53t)を備えている。この爪部材43t(53t)には、図1において前述した操作レバー4aの引き上げ操作によって押し下げ操作される操作部43r(53r)が設けられている。したがって、爪部材43t(53t)は、操作部43r(53r)が押し下げ操作されることによって、各係合孔41h,42h(51h,52h)から脱してスライドロックを解除した姿勢へと切り換えられる。
【0036】
上述した各縦スライダ機構40,50は、図1に示されるように、それらのロアレール42,52がフロア面F上に固定設置されることによって、フロア面F上に横並び状に配設されている。そして、各横スライダ機構20,30は、それらのロアレール22,32が、前述した各縦スライダ機構40,50のアッパレール41,51間に井桁状に架け渡された状態で、それらの各端部が各アッパレール41,51に対して一体的に結合されている。
詳しくは、各横スライダ機構20,30のロアレール22,32には、それらの両端側の底面部に、段付ボルトB10〜B15がそれぞれ上側から突き抜けて突設されている。そして、これら段付ボルトB10〜B15は、各縦スライダ機構40,50のアッパレール41,51上に配設された各屋根部材44,54に上側から挿通されて、これら屋根部材44,54の底面側で図示しないナットによってそれぞれ締結されている。ここで、各屋根部材44,54は、図示しないボルト及びナットの締結によって、各アッパレール41,51と一体的に結合されている。これにより、各ロアレール22,32、座面を有する段付ボルトB10〜B15の頭部やナット(図示省略)によって、各屋根部材44,54から剥離しないように板圧方向に挟み付けられた状態で支持されている。
【0037】
したがって、上記構成の各縦スライダ機構40,50及び各横スライダ機構20,30は、上述した締結構造によって、それぞれがフロア面Fから剥離しないように固定されている。そして、各横スライダ機構20,30の上層側に連結されたシート本体1も、4節リンク機構10の前述した骨格体2や各横スライダ機構20,30に対する締結構造によって、フロア面Fから剥離しないように前後左右にそれぞれ両端支持された状態として連結されている。
上記構成のシート本体1は、図2に示されるように、各操作レバー4a〜4cを操作する前の初期状態では、車両正面を向いた姿勢状態に固定できるようになっている。
【0038】
そして、図1に示されるように、この初期状態から、操作レバー4cの引き上げ操作を行うことにより、4節リンク機構10の回転ロックをしている連結装置60のロック状態と、前側の横スライダ機構20のロック装置23のロック状態が解除される。これにより、この操作レバー4cの引き上げ操作を維持した状態で、シート本体1を図7の初期状態から図8や図9に示されるように左右に回転移動させて、その着座向きの調整を行うことができる。
このシート本体1の回転移動は、4節リンク機構10の両リンクアーム13,14が各リンクベース11,12に対して回転移動する動きによって行われる。このとき、両リンクアーム13,14は、それらの長孔13h,14hの内部に挿通された各段付ボルトB6,B9に回転方向の押圧力を付与しながら回転移動する。これにより、前側の横スライダ機構20のアッパレール21は、各段付ボルトB6,B9に押動されて、各リンクアーム13,14の回転移動に追従する格好で幅方向にスライド移動する。
このアッパレール21は、図8に示されるようにシート本体1が車両外側に7度回転した移動時において、図7の初期状態からロアレール22に対して40mm車両外側にスライド移動するようになっている。そして、アッパレール21は、図9に示されるようにシート本体1が車両内側に10度回転した移動時において、図7の初期状態からロアレール22に対して85mm車両内側にスライド移動するようになっている。
【0039】
したがって、各リンクアーム13,14を回転移動させた際に、これらを前側の横スライダ機構20に対して剥離防止可能に連結している各段付ボルトB6,B9が各長孔13h,14hの内部を相対的にスライド移動する逃げの移動量は、前側のアッパレール21がスライド移動する移動量によって吸収される。これにより、各長孔13h,14hに必要な孔の長さが短く抑えられている。
これら長孔13h,14hの形状は、各リンクアーム13,14が回転移動する動きによってアッパレール21を幅方向にスライド移動させられるように、それぞれ円弧状に斜めに湾曲した形状に形成されている。
そして、シート本体1が回転移動する時には、シートクッション1Cの骨格体2の後端部を後側の横スライダ機構30に対して剥離防止可能に連結している各段付ボルトB1,B4が、この骨格体2に形成された各長孔ha,hbの内部をスライド移動する。これにより、シート本体1が後側の横スライダ機構30に対して相対回転する動きが逃がされるようになっている。
なお、本実施例の使用方法については、図1において前述した各操作レバー4a〜4cの引き上げ操作をして、シート本体1をスライド移動させたり回転移動させたりする構成によって説明されているため、省略する。
【0040】
このように、本実施例の乗り物用シートによれば、シート本体1を支持する4節リンク機構10を、フロア面F上に固定設置された各横スライダ機構20,30のアッパレール21,31に剥離防止可能に連結したことにより、シート本体1をフロア面Fに対して水平に直線移動させたり回転移動させたりすることができる上に、シート本体1をフロア面Fに対して高い剥離防止強度をもたせて連結することができる。
更に、シート本体1の回転移動時に、かかる作動部品と共に前側のアッパレール21をスライドさせて追従移動させるようにしたことにより、長孔13h,14hに必要な長さをアッパレール21のスライド移動によって吸収して短くすることができる。これにより、シート本体1をフロア面Fに対して高い剥離防止強度をもたせて連結することができる。
更に、横スライダ機構20,30とフロア面Fとの間に縦スライダ機構40,50を設けて両者を井桁状に固定したことにより、シート本体1をフロア面Fに対して縦横両方向に移動可能にして高い剥離防止強度をもたせて連結することができる。
【0041】
以上、本発明の実施形態を1つの実施例について説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施できるものである。
例えば、上記実施例で示した乗り物用シートは、自動車等車両以外にも、航空機や船舶等の乗り物用のシートとして適用することができる。
また、横スライダ機構とフロア面との間に縦スライダ機構が配設された構成を例示したが、縦スライダ機構のない構成であってもよい。また、このとき、横スライダ機構に代えて縦スライダ機構を採用し、4節リンク機構をこの縦スライダ機構の配設向きに合わせて配設するようにしても、4節リンク機構の回転運動によってシート本体を回転移動させることができる。
また、シート本体の回転移動に伴って動く作動部品のうち、前側の横スライダ機構(他方側のスライダ機構)のアッパレールに連結される作動部品として、4節リンク機構の両リンクアームを示した。しかし、例えばシートクッションの骨格体を、長孔を用いた回転許容構造を用いて、アッパレールに直接連結するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施例1の乗り物用シートの分解斜視図である。
【図2】乗り物用シートの斜視図である。
【図3】乗り物用シートの側面図である。
【図4】リクライニング装置の分解斜視図である。
【図5】リクライニング装置の作動構造を表した構成図である。
【図6】スライダ機構のロック構造を表した構成図である。
【図7】シート本体が車両正面向きとされた状態を表した平面図である。
【図8】シート本体が回転移動して車両外側に向けられた状態を表した平面図である。
【図9】シート本体が回転移動して車両内側に向けられた状態を表した平面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 シート本体
1B シートバック
1C シートクッション
1H ヘッドレスト
2 骨格体(支持リンク)
Fa,Fb サイドフレーム
ta,tb 底板部
ha,hb 長孔
P1〜P3 補強パイプ
W ワイヤ
3 シールド
4a〜4c 操作レバー
10 4節リンク機構
11 リンクベース(固定リンク)
11h 貫通孔
11d ダボ孔
12 リンクベース(固定リンク)
13 リンクアーム(回動リンク)
13A 後板部
13B 前板部
13d ダボ孔
13h 長孔
13j 貫通孔
14 リンクアーム(回動リンク)
14A 後板部
14B 前板部
14h 長孔
20 横スライダ機構(他方側のスライダ機構)
21 アッパレール
21h 係合孔
22 ロアレール
22h 係合孔
23 ロック装置
23t 爪部材
23r 操作部
30 横スライダ機構(一方側のスライダ機構)
31 アッパレール
31h 係合孔
32 ロアレール
32h 係合孔
33 ロック装置
33t 爪部材
33r 操作部
40 縦スライダ機構
41 アッパレール
41h 係合孔
42 ロアレール
42h 係合孔
43 ロック装置
43t 爪部材
43r 操作部
44 屋根部材
50 縦スライダ機構
51 アッパレール
51h 係合孔
52 ロアレール
52h 係合孔
53 ロック装置
53t 爪部材
53r 操作部
54 屋根部材
60 連結装置
61 ラチェット
61b 円盤部
61p 円筒部
61g 内歯
61a ダボ
61h 貫通孔
62 ガイド
62b 円盤部
62p 円筒部
62d ガイド溝
62a ダボ
62h 貫通孔
62t バネ掛部
63 ポール
63g 外歯
63t 掛部
63s 脚部
64 押引カム
64h 貫通孔
64s 肩部
64c フック
65 回転カム
65a バネ掛部
65b 凸部
66 セットプレート
66a 保持板部
66b 保持板部
67 巻きバネ
F フロア面
N1〜N9 ナット
B1〜B15 段付ボルト(連結軸)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座部となるシート本体がフロア面上に正面を向いて配設された乗り物用シートであって、
前記シート本体とフロア面との間には、該フロア面に対して水平に直線運動する横並び一対のスライダ機構と、前記フロア面に対して水平に回転運動する4節リンク機構と、が階層状に配設されており、
前記横並び一対の各スライダ機構は互いに離間して配設されており、それぞれ、その下層側の面上に固定設置される長尺状のロアレールに対してアッパレールが該ロアレールの断面形状に沿って長手方向にスライド移動可能に嵌め込まれた構成となっており、該各アッパレールは該各ロアレールとの嵌合構造によってその上方側に引き抜かれる剥離移動が防止された構成となっており、
前記4節リンク機構のうちの1節はその上層側に配されたシート本体に固定されてこれを支持する支持リンクとして構成されており、他の1節は該4節リンク機構の下層側に配された一方側のスライダ機構のアッパレール上に固定設置される固定リンクとして構成されており、残りの2節は前記支持リンクと前記固定リンクとをそれぞれリンク連結する回動リンクとして構成されており、該4節リンク機構は前記各回動リンクを回動させて前記支持リンクを前記固定リンクに対して相対移動させる動きによって前記シート本体をフロア面に対して水平方向に回転移動させる構成となっており、
更に、前記シート本体の水平方向の回転移動に伴って動く支持リンク等の作動部品を他方側のスライダ機構のアッパレールに対して前記シート本体の回転移動を許容しかつ剥離移動を防止した状態として連結する連結構造が設けられており、該連結構造により前記シート本体が前記各スライダ機構に対してそれぞれ剥離防止された状態に連結されていることを特徴とする乗り物用シート。
【請求項2】
請求項1に記載の乗り物用シートであって、
前記支持リンク等の作動部品と前記他方側のアッパレールとを連結する連結構造は、この両部材を剥離防止可能に連結する連結軸が一方の部材に対して湾曲形状の長孔内にスライド移動可能に挿着された構造となっており、該連結軸が湾曲形状の長孔内でスライド移動する動きによって前記シート本体の回転移動が許容されるようになっており、該シート本体の回転移動時には前記作動部品と連結された他方側のアッパレールが前記連結軸からの動力伝達を受けてロアレールに対してスライド移動する構成となっていることを特徴とする乗り物用シート。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の乗り物用シートであって、
前記横並び一対のスライダ機構は前記シート本体をフロア面に対して横方向にスライド移動させる横スライダ機構として構成されており、
更に、該一対の横スライダ機構とフロア面との間には該一対の横スライダ機構に対して直交方向に直線運動する横並び一対の縦スライダ機構が設けられており、該一対の縦スライダ機構の各アッパレールに対して前記一対の横スライダ機構の各ロアレールの端部が結合されて固定されていることを特徴とする乗り物用シート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−149222(P2009−149222A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329878(P2007−329878)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】