説明

乗り物用表示制御装置及びプログラム

【課題】乗り物情報画像の代わりに他の画像を表示させる場合、前記乗り物情報画像を容易に再表示できないかもしれないというユーザの不安感を軽減する乗り物用表示制御装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】CPU101aは、車両情報を取得する。CPU101aは、車両情報を表す画像である車両情報画像を計器表示部109に表示するとともに、車両情報画像の代わりに他の画像を計器表示部109に表示する。さらに、車両情報画像の痕跡を示す痕跡画像を前記他の画像とともに計器表示部109に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物用表示制御装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、デジタル式の速度計を表す画像と、指針式のアナログ速度計を表す画像とを表示する第1表示モードから、デジタル式の速度計を表す画像と、車両の走行経路を表す画像とを表示する第2表示モードへ表示を切り換える車両用メーターユニットが開示されている。この車両用メーターユニットは、第1表示モードから第2表示モードへ表示を切り換える場合に、アナログ速度計を表す画像を縮小しつつ最終的に消去する方法をとっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−179240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された車両用メーターユニットでは、表示画像を切り替える際に、切り替える前に表示されていた表示画像を完全に消去してしまい、その痕跡がないため、ユーザ(運転者)は、消去された表示画像を容易に再表示できないかもしれないという不安感を覚えるという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、乗り物情報画像の代わりに他の画像を表示させる場合、前記乗り物情報画像を容易に再表示できないかもしれないというユーザの不安感を軽減する乗り物用表示制御装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第一の観点に係る乗り物用表示制御装置は、
乗り物の計器を表す計器画像を表示可能な計器表示部を制御する乗り物用表示制御装置であって、
前記乗り物の情報である乗り物情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段が取得した前記乗り物情報を表す画像である乗り物情報画像を前記計器表示部に表示する第1の処理と前記乗り物情報画像の代わりに他の画像を前記計器表示部に表示する第2の処理とを行う表示処理手段と、を備え、
前記表示処理手段は、前記乗り物情報画像の痕跡を示す痕跡画像を前記他の画像とともに前記計器表示部に表示する。
【0007】
また上記目的を達成するため、本発明の第二の観点に係るプログラムは、
乗り物の計器を表す計器画像を表示可能な計器表示部を制御するコンピュータを、
前記乗り物の情報である乗り物情報を取得する情報取得手段、
前記情報取得手段が取得した前記乗り物情報を表す画像である乗り物情報画像を前記計器表示部に表示する第1の処理と前記乗り物情報画像の代わりに他の画像を前記計器表示部に表示する第2の処理とを行う表示処理手段、として機能させ、
前記表示処理手段は、前記乗り物情報画像の痕跡を示す痕跡画像を前記他の画像とともに前記計器表示部に表示する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、乗り物情報画像の代わりに他の画像を表示させる場合、この乗り物情報画像を容易に再表示できないかもしれないというユーザの不安感を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る乗り物用表示制御装置の一構成例を示すハードウェア構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る乗り物用表示制御装置が実行する表示制御処理の一例を表すフローチャートである。
【図3】速度計画像及び回転数計画像を表示する表示部の表示例を表す図である。
【図4】縮小パターンAの速度計画像及び回転数計画像からナイトビュー画像への表示切替の開始時の表示部の表示例を表す図である。
【図5】縮小パターンAの速度計画像及び回転数計画像からナイトビュー画像への表示切替の途中の表示部の表示例を表す図である。
【図6】縮小パターンAの速度計画像及び回転数計画像からナイトビュー画像への表示切替の終了時の表示部の表示例を表す図である。
【図7】縮小パターンBの速度計画像及び回転数計画像からナイトビュー画像への表示切替の開始時の表示部の表示例を表す図である。
【図8】縮小パターンBの速度計画像及び回転数計画像からナイトビュー画像への表示切替の途中の表示部の表示例を表す図である。
【図9】縮小パターンBの速度計画像及び回転数計画像からナイトビュー画像への表示切替の途中の表示部の表示例を表す図である。
【図10】縮小パターンBの速度計画像及び回転数計画像からナイトビュー画像への表示切替の途中の表示部の表示例を表す図である。
【図11】縮小パターンBの速度計画像及び回転数計画像からナイトビュー画像への表示切替の終了時の表示部の表示例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る一実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は下記で説明される実施形態(図面の記載内容も含む)によって限定されるものではない。下記で説明される実施形態に変更(構成要素の削除も含む)を加えることができるのはもちろんである。また、以下の説明では、実施形態の理解を容易にするために、重要でない公知の技術的事項の説明を適宜省略する。
【0011】
本実施形態に係る図1の乗り物用表示制御装置100は、自動車内(乗り物内)に設置される計器装置である。乗り物用表示制御装置100は、設置される自動車(以下、自車という。)の情報である車両情報(乗り物情報)を表す画像(以下、車両情報画像という。)を組み込んだ画面(以下、全体画像という。)を計器表示部109に表示する。
【0012】
車両情報は、自車の運転状況を表す情報である。車両情報としては、計器で表示される、自車の状態を表す情報である計器情報、ユーザ(運転者)による運転に補助的に参照される、自車の置かれた状況を表す情報である補助情報等がある。
【0013】
計器情報は、例えば、自車の走行速度(つまり、車速)、自車のエンジンの回転数で表されるエンジン出力(以下単に、車両出力という)、エンジンの水温、自車が有する燃料の残量、及び自車が有するギアの位置(つまり、ギアポジション)等の自車の状態についての検出値(計測値等)の情報である。また、補助情報としては、緯度経度等で表される自車の位置や、自車の周囲の風景等の自車の位置に関する情報がある。
【0014】
計器情報を表す車両情報画像(以下、計器画像という。)は、前記の検出値を表す計器の画像である。補助情報を表す車両情報画像(以下、補助画像という。)は、地図上に自車の位置を示すことによって、緯度経度等で表される自車の位置を表す画像(所謂、カーナビゲーションシステムにおけるナビ画像)や、自車に取り付けられた暗視カメラによって自車の周囲の風景を撮影することによって自車の位置を表す暗視画像(所謂、ナイトビジョンシステムにおけるナイトビュー画像)等である。
【0015】
乗り物用表示制御装置100は、図1に示すように、表示制御部101と計器表示部109と、を含む。計器表示部109の表示を制御する表示制御部101は、CPU(Central Processing Unit)101a、フラッシュメモリ101b、RAM(Random Access Memory)101c、入力部101d、描画LSI(Large Scale Integration)101e、及びグラフィックメモリ101fを備える。
【0016】
CPU101aは、フラッシュメモリ101bに格納されたプログラムに従った処理を実行することで、乗り物用表示制御装置100を構成する各部を制御し、後述の処理を行う。例えば、CPU101aは、前記のプログラムに従って、計器表示部109に表示させる全体画像の画像データを生成し、生成した画像データを描画LSI101eへ出力する。
【0017】
CPU101aは、ECU(Engine Control Unit)200と通信インターフェース(以下単に、通信IFという)300及びシリアルバス10を介して接続され、CPU101aは、これらを介してECU200と通信を行う。
【0018】
フラッシュメモリ101bは、前記のプログラムの他、画像データの生成に使用される図形データ等のCPU101aが使用するデータを記憶する。
【0019】
RAM101cは、処理中にCPU101aが使用するデータを一時的に記憶するメインメモリとして機能する。
【0020】
入力部101dは、ユーザからの各種操作を受け付ける操作ボタン、タッチパネルのセンサ部等を備える。入力部101dは、ユーザからの操作を受け付け、受け付けた操作を示す操作信号を生成してCPU101aに出力する。ユーザからの操作としては、計器表示部109に表示する画像を切り替える操作等がある。計器表示部109に表示する画像を切り替える操作を示す操作信号は、切替指示信号としてCPU101aに供給される。なお、CPU101aは、切替指示信号を通信IF300経由でECU200から取得してもよい。
【0021】
描画LSI101eは、CPU101aから供給される画像データを受け取ると共に、受け取った画像データに基づいて画像全体のデータをグラフィックメモリ101f上に展開する。その後、描画LSI101eは、展開した画像全体のデータを、計器表示部109に出力し、計器表示部109は画像を表示する。このように、描画LSI101eは、画像を計器表示部109に描画する機能を有し、CPU101aは描画LSI101eを用いて計器表示部109に画像(全体画像)を表示する。
【0022】
計器表示部109は、例えば、TFT(Thin Film Transistor)型のLCD(Liquid Crystal Display)109aと、LCD109aの背後に設置され、LCD109aを照光するバックライトモジュール109bとを備え、描画LSI101eによって出力された全体画像をLCD109aとバックライトモジュール109bとを用いて表示する。LCD109aには、タッチパネルのセンサ部(入力部101d)を備えるタッチパネルでもある。つまり、計器表示部109は、タッチパネルを含む。
【0023】
なお、ECU200は、車速センサー210、車両出力検出ユニット220、水温センサー230、燃料残量センサー240、及びギアポジション検出部250に接続され、それぞれのセンサー及び検出部が検出した車速、車両出力、水温、燃料の残量、及びギアポジションを表すアナログ信号をそれぞれのセンサー及び検出部から取得する。その後、ECU200は、A−D(Analog−to−Digital)変換器を用いて、アナログ信号をデジタルデータに変換した後に、変換したデータを、例えば、CAN(Controller Area Network)通信によって乗り物用表示制御装置100へ送信する。これらのデジタルデータは、計器情報を表すデータに該当する。
【0024】
また、ECU200は、暗視カメラであるナイトビューカメラ260、及び全地球測位システム(Grobal Positioning System、以下GPS)受信機270に接続されている。ECU200は、ナイトビューカメラ260が撮影した暗視画像(つまり、ナイトビュー)を表す暗視画像データをナイトビューカメラ260から取得するとともに、GPS受信機270が検出した自車の位置を表す自車位置データをGPS受信機270から取得し、取得した各データを乗り物用表示制御装置100へ送信する。これらのデータは、補助情報を表すデータに該当する。
【0025】
次に、乗り物用表示制御装置100が取得する表示設定情報について説明する。図1のCPU101aは、入力部101dから供給された操作信号に基づいて、ユーザが指定した縮小パターンを表す情報(以下、縮小パターン情報という)を取得する。
【0026】
縮小パターンには、例えば、図4〜図6に示すような、現在表示している車両情報画像を全体的に縮小し、これに合わせて新しく表示する車両情報画像を徐々に拡大し、最終的に切り替え後の車両情報画像と切り替え前の車両情報画像の痕跡を表す痕跡画像(例えば、図6の黒丸)とを表示する縮小パターンAがある。他の例では、図7〜図11で示すような、現在表示している車両情報画像を上下から圧縮して線分状にした後、線分長を縮小し、これに合わせて新しく表示する車両情報画像を徐々に拡大し、最終的に切り替え後の車両情報画像と切り替え前の車両情報画像の痕跡画像(例えば、図11の黒丸)とを表示する縮小パターンBがある。なお、現在表示している車両情報画像を縮小する際、これに合わせて新しく表示する車両情報画像を徐々に拡大しなくてもよい。この場合、例えば、最終的に切り替え前の車両情報画像の痕跡画像を表示する際に、切り替え後の車両情報画像を表示する。
【0027】
また、CPU101aは、操作信号に基づいて、ユーザが指定した車両情報画像の縮小した最終形状(痕跡画像の形状)を表す情報(以下、痕跡情報という)を取得する。CPU101aは、操作信号に基づいて、ユーザが指定した最終形状(痕跡)の配置位置を表す情報(以下、配置位置情報という)を取得する。CPU101aは、操作信号に基づいて、ユーザが指定した表示画像を切り替えるまでに要する時間を表す情報(以下、切替時間情報という)を取得する。つまり、ユーザは、痕跡画像の形状、痕跡画像の配置位置、切り替えの期間を指定できる。
【0028】
CPU101aは、操作信号に基づいて取得した各情報を表示設定情報として、図1のフラッシュメモリ101bへ保存する。なお、CPU101aは、縮小パターン情報、痕跡情報、配置位置情報、及び切替時間情報のいずれか1つまたはこれらの2以上の組み合わせを取得してもよい。また、これらの表示設定情報は、ECU200から通信IF300経由で取得してもよいし、もともとプログラミングされており、フラッシュメモリ101bに格納されていてもよい。
【0029】
次に、乗り物用表示制御装置100のCPU101aが行う処理を説明する。図1のCPU101aは、図2に示すような表示制御処理を実行する。まず、バッテリーからイグニッションの両端子に電圧が印加されると、乗り物用表示制御装置100が始動する。乗り物用表示制御装置100のCPU101aは、この始動によって、表示制御処理を開始する。
【0030】
CPU101aは、フラッシュメモリ101bが記憶している表示設定情報を読み出す(ステップS01)。次に、CPU101aは、各種車両情報の取得を開始する(ステップS02)。例えば、乗り物用表示制御装置100が始動すると、まず、CPU101aは、図1のECU200に対して各種車両情報の送信要求を行い、ECU200に各種車両情報を表すデータを送信させる。このようにして、CPU101aは、ECU200から、各種の計器情報、補助情報を表すデータを取得することを開始する。以降、CPU101aは、表示制御処理中、定期的に、各種車両情報を表すデータを取得し続ける。
【0031】
次に、CPU101aは、取得した各種車両情報のうち、予め定められている車両情報を表す車両情報画像を1以上組み込んだ全体画像を計器表示部109に表示させる(ステップS03)。予め定められている車両情報画像が、車速を表す計器画像(スピードメータの画像)と、車両出力を表す計器画像(タコメータの画像)である場合には、CPU101aは、車速を表す計器画像である速度計画像C1と、エンジンの回転数を表す計器画像である車両情報を示す回転数計画像C2と、を含む全体画像の画像データを生成し、描画LSI101eに供給し、前記全体画像を計器表示部109に表示させる。
【0032】
具体的には、CPU101aは、図1のフラッシュメモリ101bから速度計のマスター画像等を読み出し、ECU200から取得した車速を表す車両情報に基づいて、速度を示す指針の指針画像を速度計のマスター画像に合成して、速度計画像C1を生成する。また同様に、CPU101aは、図1のフラッシュメモリ101bからタコメーター(つまり、回転数計)のマスター画像等を読み出し、ECU200から取得したエンジンの回転数を表す車両情報に基づいてエンジンの回転数を示す指針の指針画像を回転数計のマスター画像に合成して回転数計画像C2を生成する。
【0033】
そして、CPU101aは、図1のフラッシュメモリ101bから初期の全体画像のマスター画像等を読み出し、このマスター画像に速度計画像C1と回転数計画像C2とを合成し、図3に示すような全体画像Dを生成する。CPU101aは、このような処理によって、全体画像Dの画像データを生成し、描画LSI101eに供給し、全体画像Dを計器表示部109に表示する制御を行う。
【0034】
なお、CPU101aは、以降の処理において、ECU200から定期的に供給される車両情報のうち、現在表示中の車両情報画像(以降の処理で新たに表示される車両情報画像も含む。)の表示に使用される車両情報を用いて、上記の手順で全体画像の新たな画像データを生成し、描画LSI101eに供給する処理をリアルタイムで繰り返す(画像の更新)。これによって、計器表示部109に表示されている部分画像は、車両情報の内容の変化に従って、リアルタイムで変化するので、車両情報がリアルタイムで表示される。
【0035】
次に、CPU101aは、入力部101dに切替指示信号が入力されたか否かを判断する(ステップS04)。入力部101dに切替指示信号が入力されない場合(ステップS04;NO)、CPU101aは、ステップS04の処理を再度行い、切替指示信号の監視を続ける。入力部101dに切替指示信号が入力された場合(ステップS04;YES)、CPU101aは、入力部101dから切替指示信号を受け取り、ステップS01で読み出した表示設定情報に基づいて、現在表示されている車両情報画像を縮小する(ステップS05)。そして、CPU101aは、切り替え前の車両情報画像の痕跡を表す画像(以下、痕跡画像という)と切り替え後の車両情報画像とを表示し(ステップS06)、ステップS04の処理に戻る。表示制御処理は、イグニッションがオフになる等して、乗り物用表示制御装置100の動作が終了するまで続けられる。
【0036】
具体的には、CPU101aは、縮小パターン情報が示す縮小パターンで現在表示されている車両情報画像を縮小する。CPU101aは、最終的に、切り替え後の車両情報画像を表示すると共に、配置位置情報が示す配置位置に切り替え前の車両情報画像の痕跡画像を表示する。CPU101aは、これらの表示切替を切替時間情報が示す時間で行う。
【0037】
例えば、図3の状態で、ユーザがナイトビジョンシステムを起動させると、速度計画像および回転数計画像の表示からナイトビュー画像の表示に切り替える切替指示信号がCPU101aに入力される。フラッシュメモリ101bから読み出した表示設定情報のうち縮小パターン情報が縮小パターンAであった場合、まず、CPU101aは、図4のように、速度計画像C1及び回転数計画像C2の間に、所定の大きさに縮小されたナイトビュー画像Cnを表示させる。次に、CPU101aは、速度計画像C1及び回転数計画像C2を全体的に徐々に縮小し、これに合わせてナイトビュー画像Cnを徐々に拡大する。この途中段階では、図5のような表示になる。そして、CPU101aは、最終的に図6に示すように、ナイトビュー画像Cnと共に、速度計画像C1の痕跡を表す痕跡画像C11及び回転数計画像C2の痕跡を表す痕跡画像C21を含む全体画像Dを計器表示部109に表示させる。
【0038】
一方、フラッシュメモリ101bから読み出した表示設定情報のうち縮小パターン情報が縮小パターンBであった場合、まず、CPU101aは、図7のように、速度計画像C1及び回転数計画像C2の間に、所定の大きさに縮小されたナイトビュー画像Cnを表示させる。次に、CPU101aは、図8のように、速度計画像C1及び回転数計画像C2の縦幅を徐々に圧縮する。CPU101aは、図9のように速度計画像C1及び回転数計画像C2の縦幅を線分状になるまで圧縮すると、次に線分長を徐々に短くし、これに合わせてナイトビュー画像Cnを徐々に拡大する。この途中段階では、図10のような表示になる。そして、CPU101aは、最終的に図11に示すように、ナイトビュー画像Cnと共に、痕跡画像C11及び痕跡画像C21を含む全体画像Dを計器表示部109に表示させる。
【0039】
なお、図4又は図7に示すような表示切替の開始時に表示する所定の大きさに縮小されたナイトビュー画像Cnの代わりに、ナイトビュー画像Cnの痕跡を表す痕跡画像(例えば、黒丸)を表示してもよい。
【0040】
ユーザが再表示のための操作を行い、痕跡画像C11及び痕跡画像C21を速度計画像C1及び回転数計画像C2に復元する場合、CPU101aは、このような再表示を示す切替信号を取得すると、ステップS05乃至S06で、上述の処理と逆の処理を行う。即ち、縮小パターンAの場合、CPU101aは、痕跡画像C11及び痕跡画像C21に代えて、所定の大きさに縮小された速度計画像C1及び回転数計画像C2を表示する。CPU101aは、この縮小された速度計画像C1及び回転数計画像C2を徐々に拡大し、これに合わせてナイトビュー画像Cnを徐々に縮小する。この途中段階では、図5のような表示になる。そして、CPU101aは、最終的に図4に示すように、速度計画像C1および回転数計画像C2と所定の大きさに縮小されたナイトビュー画像Cnとを含む全体画像Dを計器表示部109に表示させる。
【0041】
縮小パターンBの場合、CPU101aは、痕跡画像C11及び痕跡画像C21に代えて、所定の大きさに縮小された速度計画像C1及び回転数計画像C2を表示する。CPU101aは、所定の大きさに縮小された速度計画像C1及び回転数計画像C2の横幅を徐々に拡大し、これに合わせてナイトビュー画像Cnを徐々に縮小する。CPU101aは、図10のように線分状になるまで速度計画像C1及び回転数計画像C2の横幅を拡大すると、次に徐々に縦幅を拡張する。この途中段階では、図10のような表示になる。そして、CPU101aは、最終的に図7に示すように、速度計画像C1および回転数計画像C2と所定の大きさに縮小されたナイトビュー画像Cnの痕跡情報とを含む全体画像Dを計器表示部109に表示させる。なお、速度計画像C1及び回転数計画像C2の復元時に表示されている所定の大きさに縮小されたナイトビュー画像Cnの代わりに、ナイトビュー画像Cnの痕跡情報を表す痕跡画像(例えば、黒丸)を表示してもよい。
【0042】
なお、再表示のための操作とは、例えば、入力部101dがユーザがタッチして操作を入力するタッチパネルのセンサ部を備える場合(つまり、このセンサ部と、計器表示部によって、タッチパネルが構成される場合)、ユーザがタッチパネル上の痕跡画像が表示されている領域をタッチする操作である。この場合、CPU101aは、現在表示している車両情報から、痕跡画像の元の車両情報の表示に切り替える切替指示信号を入力部101dから受け取る。
【0043】
また、痕跡情報の表示は、所定の大きさまで縮小した車両情報画像をそのまま痕跡画像として表示してもよいし、車両情報画像を所定の大きさ(例えば、痕跡画像の黒丸と同じ縦横幅)まで縮小した時点で、黒丸などの痕跡画像と入れ替えてもよい。同様に、縮小パターンBでは、速度計画像C1及び回転数計画像C2の縦幅を線分状になるまで圧縮した時点で、線分の画像に入れ替えてもよい。
【0044】
図6及び図11の例では、速度計画像C1の痕跡情報を表す痕跡画像C11と回転数計画像C2の痕跡情報を表す痕跡画像C21とをナイトビュー画像Cnと共に表示したが、ユーザの操作により、痕跡画像を消去可能にしてもよい。この場合、痕跡画像C11及び痕跡画像C21を完全に消去するわけではなく、一時的に表示を消去し、一時的に表示を消去している痕跡画像(痕跡画像C11及び痕跡画像C21)のデータをRAM101cに記憶する。また、ユーザの操作により痕跡画像を消去する場合、ユーザに痕跡画像の再表示のための操作を案内するとよい。また、同様に、前述のように痕跡画像C11及び痕跡画像C21を速度計画像C1及び回転数計画像C2に復元した際のナイトビュー画像Cnの痕跡画像も消去可能にしてもよい。
【0045】
なお、痕跡画像が消去されている場合の、痕跡画像の再表示のための操作は、例えば、ユーザがタッチパネル上の任意の場所をタッチする操作とする。CPU101aは、入力部101dからユーザがタッチパネル上の任意の場所をタッチした操作信号を受け取ると、RAM101cに記憶されている一時的に表示を消去している痕跡画像を元の配置位置に再表示する。
【0046】
以上のように、本実施形態の乗り物用表示制御装置100によれば、ある車両情報画像の代わりに他の画像を計器表示部109に表示する際に、前記の車両情報画像の痕跡を示す痕跡画像を前記の他の画像とともに計器表示部109に表示するので、前に表示されていた車両情報画像の痕跡が、計器表示部109が新たに表示する画面の中に残る。従って、この痕跡によって、車両情報画像がまだ、計器表示部109に残っている印象をユーザに与えることができるので、これにより、車両情報画像を他の画像に切り替えた時、前の車両情報画像を容易に再表示できないかもしれないというユーザの不安感を軽減することができる。特に運転中のユーザは、計器表示部109を長時間見ることが出来ないため、このようなことが有効になる。なお、上記では、他の画像も車両情報画像であったが、他の画像は、車両情報画像でなくても良い。
【0047】
また、上記実施形態では、車両情報画像を徐々に縮小し、最終的に痕跡画像になるように乗り物情報画像を変化させていく。ここで、痕跡画像は、車両情報画像を縮小した画像であってもよいし、縮小の途中で所定の図形に置き換えられた画像であってもよい。なお、痕跡画像の形状は、他の形状であってもよい。痕跡画像は、元の車両情報画像によって表される乗り物情報の内容(検出値等)及び種別(車速であるか、回転数であるか等の種類等)を認識できない画像であって、元の車両情報画像よりも小さい画像であることが望ましい(特に、乗り物情報の内容及び種別を認識できない程、小さい画像でることが望ましい。)。また、痕跡画像が、痕跡のみを表すものになり、痕跡画像の意義が明確になる。また、痕跡画像が、小さい画像であることによって、計器表示部109の表示スペースが確保される。痕跡画像は、特に、本実施形態における黒丸等の点状の画像であることが望ましい。これによって、表示スペースが確保される。
【0048】
本実施形態において、図1に示す乗り物用表示制御装置100の表示制御部101は、外部の表示部の表示を制御し、乗り物用表示制御装置100は、外部の表示部を制御する表示制御装置として機能してもよい。
【0049】
また、本実施形態では、上記構成によって、計器表示部109は、ユーザがタッチして操作を入力するタッチパネルを含み、CPU101aは、ユーザがタッチパネルの痕跡画像をタッチした場合に、痕跡情報に対応する元の車両情報画像を計器表示部109に再表示する再表示処理をさらに行う。これによって、ユーザは、直感的に、画像の再表示を行うことが出来る。
【0050】
また、表示制御部101は、ハードディスク等の他の不揮発性記憶装置を、フラッシュメモリ101bに加えて、又は、フラッシュメモリ101bの代わりに備え、この他の不揮発性記憶装置が、フラッシュメモリ101bが記憶するプログラムやデータの少なくとも一部を記憶してもよい。
【0051】
また、計器計器表示部109は、計器画像を一時的に全く表示しなくてもよい。
【0052】
また、本発明に係る乗り物用表示制御装置は、計器表示部109を備えず、外部の計器表示部を制御する表示制御装置として機能してもよい。
【0053】
なお、CPU101aは、各種車両情報のうち、全体画像の表示に必要な車両情報のみを取得してもよい。この場合、CPU101aは、必要な車両情報の取得要求をECU200に供給し、ECU200は、この取得要求に基づいて、必要な車両情報をCPU101aに供給する。このような場合、ECU200は、車両情報の供給に不必要なセンサ、検出部、装置等については、動作させなくても良い。
【0054】
また、本発明に係る乗り物用表示制御装置は、船舶、二輪車、飛行機等の他の乗り物用であってもよい。運転は、飛行機についての操縦等の表現を含む。
【0055】
CPU101aを動作させる上記プログラムの配布方法は任意であり、例えば、メモリカード、CD−ROM、又はDVD−ROMなどの記録媒体に格納して配布できる他、インターネットなどの通信媒体を介して配布することもできる。このようにして、上記プログラムをコンピュータにインストールすることによって、コンピュータを上記の乗り物用表示制御装置として機能させてもよい。
【符号の説明】
【0056】
100 乗り物用表示制御装置
101 表示制御部
101a CPU
101b フラッシュメモリ
101c RAM
101d 入力部
101e 描画LSI
101f グラフィックメモリ
109 計器表示部
109a LCD
109b バックライトモジュール
200 ECU
210 車速センサー
220 車両出力検出ユニット
230 水温センサー
240 燃料残量センサー
250 ギアポジション検出部
260 ナイトビューカメラ
270 GPS受信機
300 通信インターフェース
C1 速度計画像
C2 回転数計画像
C11 痕跡画像
C21 痕跡画像
Cn ナイトビュー画像
D 全体画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物の計器を表す計器画像を表示可能な計器表示部を制御する乗り物用表示制御装置であって、
前記乗り物の情報である乗り物情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段が取得した前記乗り物情報を表す画像である乗り物情報画像を前記計器表示部に表示する第1の処理と前記乗り物情報画像の代わりに他の画像を前記計器表示部に表示する第2の処理とを行う表示処理手段と、を備え、
前記表示処理手段は、前記乗り物情報画像の痕跡を示す痕跡画像を前記他の画像とともに前記計器表示部に表示する、
ことを特徴とする乗り物用表示制御装置。
【請求項2】
前記表示処理手段は、前記乗り物情報画像を徐々に縮小し、最終的に前記痕跡画像になるように前記乗り物情報画像を変化させていくことを特徴とする請求項1に記載の乗り物用表示制御装置。
【請求項3】
前記痕跡画像は、前記乗り物情報画像によって表される前記乗り物情報の内容及び種別を認識できない画像であることを特徴とする請求項1又は2に記載の乗り物用表示制御装置。
【請求項4】
前記痕跡画像は、点状の画像であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の乗り物用表示制御装置。
【請求項5】
前記計器表示部は、ユーザがタッチして操作を入力するタッチパネルを含み、
前記表示処理手段は、ユーザが前記タッチパネルの前記痕跡画像をタッチした場合に、前記痕跡情報に対応する元の前記乗り物情報画像を前記計器表示部に再表示する再表示処理をさらに行う、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の乗り物用表示制御装置。
【請求項6】
乗り物の計器を表す計器画像を表示可能な計器表示部を制御するコンピュータを、
前記乗り物の情報である乗り物情報を取得する情報取得手段、
前記情報取得手段が取得した前記乗り物情報を表す画像である乗り物情報画像を前記計器表示部に表示する第1の処理と前記乗り物情報画像の代わりに他の画像を前記計器表示部に表示する第2の処理とを行う表示処理手段、として機能させ、
前記表示処理手段は、前記乗り物情報画像の痕跡を示す痕跡画像を前記他の画像とともに前記計器表示部に表示する、
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−181766(P2012−181766A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45563(P2011−45563)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】