説明

乗用型田植機

【課題】 乗用型田植機において、前輪及び後輪を機体にサスペンション機構を介して支持した場合、安定した乗り心地が得られ、安定した植付作業が行えるように構成する。
【解決手段】 運転部のフロア20、前輪1の車軸54と後輪2の車軸43との間でフロア20の上側に位置する運転席11、運転席11の後側に位置するホッパー12及び繰り出し部13、前輪1の車軸54の前側に位置する予備苗のせ台37、機体の後部から後方に延出されたリンク機構3に支持された苗植付装置5を備える。植付作業状態においてフロア20が略水平となるように、サスペンション機構60,67を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乗用型田植機において、右及び左の前輪、右及び左の後輪による機体の支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
右及び左の前輪、右及び左の後輪を備えた乗用型田植機では、例えば特許文献1に開示されているように、右及び左の前輪を機体にサスペンション機構を介して支持したものがあり、水田での走行安定性の向上を図ったものがある。
【0003】
【特許文献1】特開2003−220812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乗用型田植機では右及び左の前輪に加えて、右及び左の後輪も機体にサスペンション機構を介して支持することにより、水田での走行安定性をさらに向上させることが考えられている。
本発明は乗用型田植機において、右及び左の前輪を機体にサスペンション機構を介して支持し、右及び左の後輪を機体にサスペンション機構を介して支持した場合、安定した乗り心地が得られるように構成することを目的としており、安定した植付作業が行えるように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、乗用型田植機において次のように構成することにある。
右及び左の前輪を機体にサスペンション機構を介して支持させ、右及び左の後輪を機体にサスペンション機構を介して支持させる。運転部のフロアと、右及び左の前輪の車軸と右及び左の後輪の車軸との間でフロアの上側に位置する運転席と、運転席の後側に位置するホッパー及び繰り出し部と、右及び左の前輪の車軸の前側に位置する予備苗のせ台と、機体の後部から後方に延出されたリンク機構に支持された苗植付装置とを備える。植付作業状態においてフロアが略水平となるように、サスペンション機構を設定する。
【0006】
(作用)
本発明の第1特徴によると、植付作業状態(例えば運転席に運転者が着座し、ホッパーに肥料が貯留され、予備苗のせ台に苗が載置され、苗植付装置の苗のせ台に苗が載置された状態)において、サスペンション機構(右及び左の前輪、右及び左の後輪)により走行時の振動等が適切に吸収されながら、フロアが略水平に維持されるようになる。
【0007】
(発明の効果)
本発明の第1特徴によると、乗用型田植機において、右及び左の前輪を機体にサスペンション機構を介して支持し、右及び左の後輪を機体にサスペンション機構を介して支持した場合、植付作業状態において走行時の振動等が適切に吸収されながら、フロアが略水平に維持されるようになって、安定した乗り心地を得ることができるのであり、安定した植付作業が行えることにより苗植付装置の植付性能を向上させることができた。
【0008】
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の乗用型田植機において次のように構成することにある。
サスペンション機構の伸長側の作動限界及び収縮側の作動限界を決める規制機構を備えて、サスペンション機構の植付作業状態での伸長側の作動限界への作動ストロークよりもサスペンション機構の植付作業状態での収縮側の作動限界への作動ストロークが大きなものとなるように、規制機構を構成する。
【0009】
(作用)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
前項[I]に記載のようなサスペンション機構を備えた場合、サスペンション機構は植付作業状態(サスペンション機構の作動ストロ−クの中間位置)から伸長側及び収縮側に作動するのであり、サスペンション機構の伸長側の作動限界及び収縮側の作動限界を決める規制機構を備えることが一般的である。
本発明の第2特徴によると、サスペンション機構の植付作業状態での収縮側の作動限界への作動ストロークが大きなものとなっているので、特に大きな凸部に前輪又は後輪が乗り上げた場合にサスペンション機構が大きく収縮して、フロアが略水平に維持されようとする。
【0010】
(発明の効果)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第2特徴によると、特に大きな凸部に前輪又は後輪が乗り上げた場合にサスペンション機構が大きく収縮して、フロアが略水平に維持されるようにすることができて、安定した乗り心地を得ることができるのであり、安定した植付作業が行えることにより苗植付装置の植付性能を向上させることができた。
【0011】
[III]
(構成)
本発明の第3特徴は、本発明の第2特徴の乗用型田植機において次のように構成することにある。
サスペンション機構が伸長側の作動限界及び収縮側の作動限界に達した際の衝撃を吸収する緩衝機構を備えている。
【0012】
(作用)
本発明の第3特徴によると、本発明の第2特徴と同様に前項[I][II]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
前項[II]に記載のように、サスペンション機構の伸長側の作動限界及び収縮側の作動限界を決める規制機構を備えた場合、本発明の第3特徴によると、サスペンション機構が伸長側の作動限界及び収縮側の作動限界に達した際の衝撃が吸収されるのであり、この衝撃がフロア等に伝達される状態が抑えられる。
【0013】
(発明の効果)
本発明の第3特徴によると、本発明の第2特徴と同様に前項[I][II]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第3特徴によると、サスペンション機構が伸長側の作動限界及び収縮側の作動限界に達した際の衝撃が吸収され、この衝撃がフロア等に伝達される状態が抑えられるようになって、安定した乗り心地を得ることができるのであり、安定した植付作業が行えることにより苗植付装置の植付性能を向上させることができた。
【0014】
[IV]
(構成)
本発明の第4特徴は、本発明の第3特徴の乗用型田植機において次のように構成することにある。
緩衝機構が弾性部材で構成されている。
【0015】
(作用)
本発明の第4特徴によると、本発明の第3特徴と同様に前項[I][II][III]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
本発明の第4特徴によると、前項[III]に記載の緩衝機構がサスペンション機構とな別の弾性部材によって構成されるので、サスペンション機構の調整及び緩衝機構(弾性部材)の調整を各々別々に行うことができるのであり、サスペンション機構及び緩衝機構(弾性部材)を各々別々に適切な状態で設定することができる。
【0016】
(発明の効果)
本発明の第4特徴によると、本発明の第3特徴と同様に前項[I][II][III]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第4特徴によると、サスペンション機構及び緩衝機構(弾性部材)を各々別々に適切な状態で設定することができるようになり、安定した乗り心地を得ることができるのであり、安定した植付作業が行えることにより苗植付装置の植付性能を向上させることができた。
【0017】
[V]
(構成)
本発明の第5特徴は、本発明の第3特徴の乗用型田植機において次のように構成することにある。
ピッチが大きい部分とピッチが小さい部分とを備えた不等ピッチのコイルバネを備えてサスペンション機構を構成し、コイルバネによって緩衝機構が構成されている。
【0018】
(作用)
本発明の第5特徴によると、本発明の第3特徴と同様に前項[I][II][III]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
本発明の第5特徴のように、ピッチが大きい部分とピッチが小さい部分とを備えた不等ピッチのコイルバネを備えてサスペンション機構を構成すると、サスペンション機構が伸縮する際に、コイルバネのピッチが大きい部分及びピッチが小さい部分が同じように伸縮する。
【0019】
これにより、例えばサスペンション機構が収縮して、コイルバネのピッチが小さい部分のピッチが消失すると、コイルバネのピッチが小さい部分はコイルバネとして機能しなくなるので、サスペンション機構が収縮側の作動限界に達した状態となるのであるが、コイルバネのピッチが大きい部分はまだピッチが消失しておらず、コイルバネとして機能するので、コイルバネのピッチが大きい部分が、サスペンション機構が伸長側の作動限界及び収縮側の作動限界に達した際の衝撃を吸収する緩衝機構として機能する。
このように本発明の第5特徴によると、サスペンション機構を構成するコイルバネに緩衝機構の機能を備えさせることができて、専用の緩衝機構を廃止することができる(専用の緩衝機構を備えたとしても小規模のものでよい)。
【0020】
(発明の効果)
本発明の第5特徴によると、本発明の第3特徴と同様に前項[I][II][III]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第5特徴によると、サスペンション機構を構成するコイルバネに緩衝機構の機能を備えさせることができて、専用の緩衝機構を廃止することができるようになり(専用の緩衝機構を備えたとしても小規模のものでよくなり)、構造の簡素化の面で有利なものとなった。
【0021】
[VI]
(構成)
本発明の第6特徴は、本発明の第1〜第5特徴のうちのいずれか一つの乗用型田植機において次のように構成することにある。
機体の後部に苗植付装置を昇降自在に支持して、苗植付装置を昇降駆動する昇降機構を備える。昇降機構により苗植付装置が田面から所定高さを越えて上昇駆動されると、右及び左の後輪を機体に支持するサスペンション機構を強制的に伸長側に作動させる伸長駆動機構を備えている。
【0022】
(作用)
本発明の第6特徴によると、本発明の第1〜第5特徴のうちのいずれか一つと同様に前項[I]〜[V]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
乗用型田植機は一般に機体の後部に苗植付装置を昇降自在に支持して、苗植付装置を昇降駆動する昇降機構を備えている。乗用型田植機は一般に右及び左の後輪の駆動力によって前進するので、右及び左の後輪の駆動反力により機体の前部が持ち上げられようとするのであるが、機体の後部に支持された苗植付装置が接地していることによって、機体の前部が持ち上げられようとする状態が抑えられる。
しかし、乗用型田植機は一回の植付行程が終了して畦際に達すると、苗植付装置を田面から大きく上昇駆動し、畦際で機体を旋回させて、次の作業行程に入ることがある。従って、この場合、苗植付装置により機体の前部が持ち上げられようとする状態を抑えることが消えるので、右及び左の後輪の駆動反力により機体の前部が持ち上げられようとして、右及び左の前輪の接地圧が低下し、機体の旋回が円滑に行えないような状態になることがある。
【0023】
本発明の第6特徴によれば、昇降機構により苗植付装置が田面から所定高さを越えて上昇駆動されると、伸長駆動機構により右及び左の後輪を機体に支持するサスペンション機構が強制的に伸長側に作動させられて、右及び左の後輪が下降駆動される。
これにより、機体の後部が持ち上げられて機体の重心が少し前方に移動したり、機体が前下がり気味の状態になったりするので、苗植付装置により機体の前部が持ち上げられようとする状態を抑えることが消えて、右及び左の後輪の駆動反力により機体の前部が持ち上げられようとしても、右及び左の後輪が下降駆動されることによって、右及び左の後輪の駆動反力により機体の前部が持ち上げられる状態が抑えられ、右及び左の前輪の接地圧の低下が抑えられる。
【0024】
本発明の第6特徴によると、前述のように昇降機構により苗植付装置が田面から所定高さを越えて上昇駆動されて、右及び左の後輪が下降駆動される際、右及び左の後輪が下降駆動される途中で、右及び左の後輪の接地圧が一時的に大きなものになる。
これにより、昇降機構により苗植付装置を田面から上昇駆動しながら機体の旋回を開始するような場合、右及び左の後輪の接地圧が一時的に大きなものになることにより、右及び左の後輪の駆動力が耕盤に適切に伝達されて、機体の旋回が円滑に開始されるようになる。
【0025】
(発明の効果)
本発明の第6特徴によると、本発明の第1〜第5特徴のうちのいずれか一つと同様に前項[I]〜[V]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第6特徴によると、昇降機構により苗植付装置が田面から所定高さを越えて上昇駆動されると、右及び左の後輪が下降駆動されるように構成することにより、右及び左の前輪の接地圧の低下を抑えることができ、右及び左の前輪の接地圧の低下により機体の旋回が円滑に行えない状態を避けることができるようになって、乗用型田植機の旋回性能を向上させることができた。
【0026】
本発明の第6特徴によると、昇降機構により苗植付装置が田面から所定高さを越えて上昇駆動されて、右及び左の後輪が下降駆動される際、右及び左の後輪の接地圧が一時的に大きなものになり、右及び左の後輪の駆動力が耕盤に適切に伝達されるようになるので、このときに機体の旋回を円滑に開始することができるようになって、乗用型田植機の旋回性能を向上させることができた。
【0027】
[VII]
(構成)
本発明の第7特徴は、本発明の第6特徴の乗用型田植機において次のように構成することにある。
昇降機構により苗植付装置が田面から所定高さを越えて上昇駆動されると、昇降機構の駆動力が右及び左の後輪を機体に支持するサスペンション機構に伝達されて、右及び左の後輪を機体に支持するサスペンション機構が強制的に伸長側に作動されるように、伸長駆動機構を構成する。
【0028】
(作用)
本発明の第7特徴によると、本発明の第6特徴と同様に前項[I]〜[VI]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
本発明の第7特徴によれば、昇降機構により苗植付装置が田面から所定高さを越えて上昇駆動されると、昇降機構の駆動力が伸長駆動機構を介して、右及び左の後輪を機体に支持するサスペンション機構に伝達されて、右及び左の後輪が下降駆動される。これによって、昇降機構が右及び左の後輪を下降駆動する駆動機構に兼用されることになり、右及び左の後輪を下降駆動する専用の駆動機構が不要になる(右及び左の後輪を下降駆動する専用の駆動機構を備えたとしても、小規模のものでよい)。
【0029】
(発明の効果)
本発明の第7特徴によると、本発明の第6特徴と同様に前項[I]〜[VI]に記載の「発明の効果」を備えておりこれに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第7特徴によれば、右及び左の後輪を下降駆動する専用の駆動機構が不要になり(右及び左の後輪を下降駆動する専用の駆動機構を備えたとしても、小規模のものでよくなり)、構造の簡素化の面で有利なものとなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
[1]
図1に示すように、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2を備えた機体の後部に、リンク機構3及びリンク機構3を昇降駆動する油圧シリンダ4(昇降機構に相当)が備えられており、リンク機構3の後部に6条植型式の苗植付装置5が支持されて、乗用型田植機が構成されている。
【0031】
図1に示すように、苗植付装置5は、伝動ケース6、伝動ケース6の後部に回転駆動自在に支持された植付ケース7、植付ケース7の両端に備えられた一対の植付アーム8、接地フロート9及び苗のせ台10等を備えて構成されている。これにより、苗のせ台10が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、植付ケース7が回転駆動され、苗のせ台10の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して田面に植え付ける。
【0032】
図1及び図3に示すように、機体の前部にミッションケース17が配置され、ミッションケース17の前部に連結された支持フレーム18に、エンジン19が支持されており、角パイプ状の右及び左の機体フレーム21が、ミッションケース17の後部の上部に連結されて後方に延出されている。ミッションケース17、右及び左の機体フレーム21の上部にフロア20が備えられ、フロア20の後部の上部に運転席11が備えられて、フロア20の前部にエンジン19及びエンジン19を覆うボンネット44が備えられており、ボンネット44の上部に操縦ハンドル27が備えられている。
【0033】
図1に示すように、ボンネット44の右及び左の横外側に、フロア20につながる右及び左のステップフロア36が備えられている。右及び左のステップフロア36の右及び左の横外側に、右及び左の予備苗のせ台37が備えられており、右及び左の予備苗のせ台37の各々に、3段の予備苗のせ部37aが上下に支持されている。
【0034】
図1に示すように、肥料を貯留するホッパー12及び繰り出し部13が運転席11の後側に固定されて、運転席11の下側にブロア14が備えられている。接地フロート9に作溝器15が備えられて、繰り出し部13と作溝器15とに亘ってホース16が接続されている。これにより、前述のような苗の植え付けに伴って、ホッパー12から肥料が所定量ずつ繰り出し部13によって繰り出され、ブロア14の送風により肥料がホース16を通って作溝器15に供給されるのであり、作溝器15を介して肥料が田面に供給される。肥料に代えて種籾をホッパー12に貯留することにより、ホッパー12から作溝器15を介して種籾を田面に供給する直播作業も行うことができる(この場合、苗植付装置5を停止させる)。
【0035】
[2]
次に、右及び左の前輪1の支持構造及び伝動構造について説明する。
図3及び図4に示すように、ミッションケース17の右及び左の横側面から右及び左の前車軸ケース23が延出されて、右及び左の前車軸ケース23の端部に円筒状の支持部23aが斜め前方下方(縦軸芯P1参照)に向いて備えられている。右及び左の前輪1を支持する前輪支持部24が、右及び左の前車軸ケース23の支持部23aに縦軸芯P1周りに回転自在及び縦軸芯P1の方向にスライド自在に支持されている。図2及び図3に示すように、ミッションケース17の下部にピットマンアーム25が縦軸芯P8周りに揺動自在に支持され後向きに延出されて、前輪支持部24とピットマンアーム25とに亘ってタイロッド26が接続されている。これにより、操縦ハンドル27によってピットマンアーム25を揺動操作することにより、右及び左の前輪1を操向操作する。
【0036】
図3及び図4に示すように、ミッションケース17の左の横側部に静油圧式無段変速装置33が連結されており、エンジン19の動力が静油圧式無段変速装置33に伝動ベルト35を介して伝達されている。静油圧式無段変速装置33の動力が、ミッションケース17に内装された副変速装置(図示せず)(高低2段に変速自在)、及びデフ機構(図示せず)を介して、右及び左の前車軸ケース23に内装された伝動軸45に伝達される。
【0037】
図4に示すように、右及び左の前車軸ケース23の支持部23aに、ベアリング46を介してベベルギヤ47(上側)及び受け部材48(下側)が支持され、伝動軸45に固定されたベベルギヤ49とベベルギヤ47とが咬合している。伝動軸50がスプライン構造によりベベルギヤ47及び受け部材48に一体回転及びスライド自在に取り付けられ、伝動軸50の下端にベベルギヤ52が固定されている。
【0038】
図4に示すように、前輪支持部24に右(左)の前輪1を支持する車軸54、車軸54に固定されたベベルギヤ55が備えられ、前輪支持部24の上端に円筒状のスリーブ56が固定されている。前輪支持部24及びスリーブ56がベアリング57により伝動軸50に回転自在に支持され、右及び左の前車軸ケース23の支持部23aとスリーブ56との間にシール部材58が備えられて、ベベルギヤ52,55が咬合している。上側のベアリング57に受け部材59が当て付けられて、受け部材48,59の間にコイルバネ40が内側及び外側に二重に備えられている。
【0039】
これにより、図3及び図4に示すように、静油圧式無段変速装置33の動力が、伝動軸45から伝動軸50及び車軸54を介して右及び左の前輪1に伝達される。前輪支持部24が、右及び左の前車軸ケース23の支持部23aに縦軸芯P1周りに回転自在及び縦軸芯P1の方向にスライド自在に支持されるのであり、前輪支持部24の縦軸芯P1の方向へのスライドに対してコイルバネ40が作用する。
以上のように右及び左の前車軸ケース23の支持部23a、前輪支持部24及びコイルバネ40等により、右及び左の前輪1のサスペンション機構60が構成されている。
【0040】
[3]
次に、右及び左の後輪2の支持構造について説明する。
図3,5,6に示すように、横長の中央部28aと、中央部28aから斜め後方下方に延出された右及び左の横側部28bとを備えて、後車軸ケース28が形成されており、後車軸ケース28の右及び左の横側部28bに右及び左の後輪2が支持されている。断面コ字状で縦長の右及び左のブラケット22が後車軸ケース28の中央部28aの前部に固定され、右及び左のブラケット22の上部の横軸芯P2周りに右及び左の上リンク29が上下に揺動自在に支持されて前方に延出されており、右及び左の機体フレーム21の中間部の横軸芯P3周りに、右及び左の上リンク29が上下に揺動自在に支持されている。
【0041】
図3,5,6に示すように、後車軸ケース28の右及び左の横側部28bの内側部において、右及び左の後輪2を支持する車軸43と同芯状に支持ピン31が内向きに固定されて、支持ピン31の端部と後車軸ケース28の右及び左の横側部28bとに亘ってブラケット62が固定されている。支持ピン31の横軸芯P4周りに右及び左の下リンク30が上下に揺動自在に支持されて前方に延出されており、ミッションケース17の後部の下部の横軸芯P5周りに、右及び左の下リンク30が上下に揺動自在に支持されている。
【0042】
図5及び図6に示すように、細長い板材を縦長のコ字状に折り曲げてサスペンションフレーム61が構成されて、サスペンションフレーム61の下部に固定されたブラケット61aが支持ピン31の横軸芯P4周りに揺動自在に支持されており、サスペンションフレーム61がリンク機構3の右及び左のロアリンク3aの右及び左の横外側、後車軸ケース28の右及び左の横側部28bの内側、後車軸ケース28の中央部28aの後側において上方に延出されている。右及び左の機体フレーム21の後部に支持ピン21aが固定されて、サスペンションフレーム61の上部に形成された長孔61bに、右及び左の機体フレーム21の支持ピン21aが挿入されており、2本の抜け止めピン63が右及び左の機体フレーム21の支持ピン21aに取り付けられている。
【0043】
図5及び図6に示すように、サスペンションフレーム61の上部にスライド自在に受け部材64が外嵌されており、サスペンションフレーム61のブラケット61aと受け部材64との間に位置するように、コイルバネ32がサスペンションフレーム61に外嵌されている。サスペンションフレーム61の長孔61bの下部に位置にゴム部材65が取り付けられ、サスペンションフレーム61の上部にゴム部材66が取り付けられており、コイルバネ32の付勢力により受け部材64が、右及び左の機体フレーム21の支持ピン21aに押圧されている。図3,5,6に示すように、左の機体フレーム21に固定されたブラケット21cの前後軸芯P6周りに、ラテラルロッド34が上下に揺動自在に支持されて、後車軸ケース28の中央部28aの前後軸芯P7周りに、ラテラルロッド34が上下に揺動自在に支持されている。
【0044】
以上のようにサスペンションフレーム61及びコイルバネ32等により、右及び左の後輪2のサスペンション機構67が構成されている。これにより、図1,3,5,6に示すように、後車軸ケース28が右及び左のコイルバネ32により上下動及びローリング自在に支持されるのであり、右及び左の上リンク29、右及び左の下リンク30により後車軸ケース28の前後方向の位置が決められ、ラテラルロッド34により後車軸ケース28の左右方向の位置が決められる。
【0045】
[4]
次に、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2の支持状態について説明する。
図4,5,6に示す状態は、植付作業状態(例えば苗のせ台10、予備苗のせ台37及びホッパー12の満載状態の約40%の状態)を示している。植付作業状態において、図5及び図6に示すように、右及び左の支持フレーム21の支持ピン21aがサスペンションフレーム61の長孔61bの中央に位置しており(コイルバネ32の作動ストロークの中央位置)、図4に示すように、右及び左の前車軸ケース23の支持部23aにおいて、前輪支持部24が作動ストロークの中央に位置している。これにより、植付作業状態において、図1に示すフロア20、右及び左のステップフロア36が略水平な状態となる。
【0046】
前述の植付作業状態について言い換えると、
LA:コイルバネ40の変位量 LB:コイルバネ32の変位量
FA:右(左)の前輪1に掛かる荷重 FB:右(左)の後輪2に掛かる荷重
RA:二重のコイルバネ40のバネ定数 RB:コイルバネ32のバネ定数
において、
LA=FA/RA ≒ FB/RB=LB
となる。これにより、水平な舗装面に右及び左の前輪1、右及び左の後輪2が接地した状態で、フロア20、右及び左のステップフロア36が略水平な状態となる。
【0047】
次に苗のせ台10、予備苗のせ台37及びホッパー12の満載状態において、図5及び図6に示す右及び左の支持フレーム21の支持ピン21aが、サスペンションフレーム61の長孔61bの下端に位置して、右及び左の後輪2(後車軸ケース28)が機体に対して下降可能であるが、機体に対してこれ以上は上昇できない状態となる。同様に図4に示す前輪支持部24(スリーブ56)が、ベアリング46又は受け部材48に接当して、右及び左の前輪1が機体(右及び左の前車軸ケース23の支持部23a)に対して下降可能であるが、機体(右及び左の前車軸ケース23の支持部23a)に対してこれ以上は上昇できない状態となる。
【0048】
次に苗のせ台10、予備苗のせ台37及びホッパー12の空状態において、図5及び図6に示す右及び左の支持フレーム21の支持ピン21aが、サスペンションフレーム61の長孔61bの上端に位置して、右及び左の後輪2(後車軸ケース28)が機体に対して上昇可能であるが、機体に対してこれ以上は下降できない状態となる。同様に図4に示す伝動軸50の上端のストッパーリング50aがベベルギヤ47に接当して、右及び左の前輪1が機体(右及び左の前車軸ケース23の支持部23a)に対して上昇可能であるが、機体(右及び左の前車軸ケース23の支持部23a)に対してこれ以上は下降できない状態となる。
【0049】
[5]
次に、右及び左の後輪2への伝動構造について説明する。
図2及び図3に示すように、ミッションケース17の後部に出力軸68が後向き突出して、後車軸ケース28の中央部28aの前部に入力軸38が前向きに突出しおり、出力軸68と入力軸38とが、自在継手69、伸縮継手70及び伝動軸71を介して接続されている。
【0050】
図2に示すように、後車軸ケース28に伝動軸39が備えられ、入力軸38に固定されたベベルギヤ38aが、伝動軸39に固定されたベベルギヤ39aに咬合している。伝動軸39の右及び左の端部に、摩擦多板型式の右及び左のサイドクラッチ41が備えられており、右及び左のサイドクラッチ41と右及び左の後輪2の車軸43との間に、伝動軸42が備えられている。これにより図2及び図3に示すように、静油圧式無段変速装置33の動力が出力軸68、伝動軸71、入力軸38、伝動軸39、右及び左のサイドクラッチ41、伝動軸42を介して右及び左の後輪2に伝達される。
【0051】
図2に示すように、右及び左のサイドクラッチ41はバネ(図示せず)により伝動状態に付勢されており、右及び左のサイドクラッチ41を遮断状態に操作する右及び左の操作アーム51が備えられ、ピットマンアーム25と右及び左の操作アーム51とに亘って連係ロッド53が接続されている。図2に示す状態は、右及び左の前輪1が直進位置A0に操向操作された状態で、右及び左のサイドクラッチ41が伝動状態に操作された状態であり、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2に動力が伝達されている。右及び左の前輪1が直進位置A0と右及び左の設定角度A1との間に操向操作されていても、前述の状態が維持されており、機体は直進又は緩やかに右又は左に向きを変える。
【0052】
図2に示すように、右及び左の前輪1が右の設定角度A1と右の操向限度A2との間に操向操作されると、ピットマンアーム25により右の連係ロッド53が引き操作されて、右の操作アーム51により右のサイドクラッチ41が遮断状態に操作されて、右の後輪2が自由回転状態となる。この場合、左のサイドクラッチ41は伝動状態に残されており、左の後輪2に動力が伝達されている。右及び左の前輪1が左の設定角度A1と左の操向限度A2との間に操向操作されると、ピットマンアーム25により左の連係ロッド53が引き操作されて、左の操作アーム51により左のサイドクラッチ41が遮断状態に操作されて、左の後輪2が自由回転状態となる。この場合、右のサイドクラッチ41は伝動状態に残されており、右の後輪2に動力が伝達されている。
【0053】
以上のように右及び左の前輪1が右の設定角度A1と右の操向限度A2との間、又は左の設定角度A1と左の操向限度A2との間に操向操作されると、右及び左の前輪1、旋回外側の後輪2に動力が伝達された状態で、旋回中心側の後輪2への動力が遮断されて、旋回中心側の後輪2が自由回転状態となり、右又は左への旋回が行われる。これにより、旋回中心側の後輪2が旋回に伴って適度に回転しながら前進する状態となり、旋回時に旋回中心側の後輪2によって田面が荒らされる状態が少なくなる。
【0054】
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]のサスペンション機構67に代えて、図7に示すようにサスペンション機構67を構成してもよい。
図7に示すように、ロッド状のサスペンションフレーム72が備えられて、サスペンションフレーム72の下部に固定されたブラケット72aが支持ピン31の横軸芯P4周りに揺動自在に支持されており、右及び左の機体フレーム21に固定されたブラケット21bに、サスペンションフレーム72が上下スライド自在に挿入されて、サスペンションフレーム72の上端に受け部材72bが固定されている。
【0055】
図7に示すように、サスペンションフレーム72のブラケット72aと右及び左の機体フレーム21のブラケット21bとの間に、比較的長い第1コイルバネ73が外嵌され、サスペンションフレーム72の受け部材72bと右及び左の機体フレーム21のブラケット21bとの間に、比較的短い第2コイルバネ74が外嵌されている。サスペンションフレーム72のブラケット72aに第1円筒部材75(規制機構に相当)が固定されて、第1円筒部材75にゴム等の第1弾性部材77(緩衝機構に相当)が固定されており、サスペンションフレーム72の受け部材72bに第2円筒部材76(規制機構に相当)が固定されて、第2円筒部材76にゴム等の第2弾性部材78(緩衝機構に相当)が固定されている。以上のようにサスペンションフレーム72、第1及び第2コイルバネ73,74等により、右及び左の後輪2のサスペンション機構67が構成されている。
【0056】
図7に示す状態は、植付作業状態(例えば苗のせ台10、予備苗のせ台37及びホッパー12の満載状態の約40%の状態)を示している。植付作業状態において第1円筒部材75(第1弾性部材77)と右及び左の機体フレーム21のブラケット21bとの間の距離L1が、第2円筒部材76(第1弾性部材78)と右及び左の機体フレーム21のブラケット21bとの間の距離L2よりも長いものとなっている(サスペンション機構67の植付作業状態での伸長側の作動限界への作動ストロークよりも、サスペンション機構67の植付作業状態での収縮側の作動限界への作動ストロークが大きなものとなる状態)。
【0057】
これにより、図7に示すように、植付作業状態からサスペンション機構67が収縮して収縮側の作動限界に達すると、第1円筒部材75(第1弾性部材77)が右及び左の機体フレーム21のブラケット21bに接当する。植付作業状態からサスペンション機構67が伸長して伸長側の作動限界に達すると、第2円筒部材76(第1弾性部材78)が右及び左の機体フレーム21のブラケット21bに接当する。
以上のような第1及び第2円筒部材75,76、第1及び第2弾性部材77,78の構造及び機能を、右及び左の前輪1のサスペンション機構60に適用してもよい。
【0058】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明の実施の第1別形態]のサスペンション機構67において、図8に示すように、第1及び第2円筒部材75,76、第1及び第2弾性部材77,78を廃止し、第1及び第2コイルバネ73,74を、ピッチが大きい部分73a,74aとピッチが小さい部分73b,74bとを備えた不等ピッチのコイルバネに構成している。
【0059】
図8に示す状態は、植付作業状態(例えば苗のせ台10、予備苗のせ台37及びホッパー12の満載状態の約40%の状態)を示している。植付作業状態において、第1コイルバネ73の長さが、第2コイルバネ74の長さよりも長いものとなっている(サスペンション機構67の植付作業状態での伸長側の作動限界への作動ストロークよりも、サスペンション機構67の植付作業状態での収縮側の作動限界への作動ストロークが大きなものとなる状態)。
【0060】
これにより、図8に示すように、植付作業状態からサスペンション機構67が収縮して収縮側の作動限界に達する場合、第1コイルバネ73のピッチが大きい部分73a及びピッチが小さい部分73bが同じように収縮しながら、第1コイルバネ73のピッチが小さい部分73bのピッチが消失して、第1コイルバネ73のピッチが小さい部分73bがコイルバネとして機能しなくなり、サスペンション機構67が収縮側の作動限界に達した状態となる。この場合に、第1コイルバネ73のピッチが大きい部分73aはまだピッチが消失しておらずコイルバネとして機能するので、第1コイルバネ73のピッチが大きい部分73aが、サスペンション機構67が収縮側の作動限界に達した際の衝撃を吸収する緩衝機構として機能する。
【0061】
図8に示すように、植付作業状態からサスペンション機構67が伸長して伸長側の作動限界に達する場合、第2コイルバネ74のピッチが大きい部分74a及びピッチが小さい部分74bが同じように収縮しながら、第2コイルバネ74のピッチが小さい部分74bのピッチが消失して、第2コイルバネ74のピッチが小さい部分74bがコイルバネとして機能しなくなり、サスペンション機構67が伸長側の作動限界に達した状態となる。この場合に、第2コイルバネ74のピッチが大きい部分74aはまだピッチが消失しておらずコイルバネとして機能するので、第2コイルバネ74のピッチが大きい部分74aが、サスペンション機構67が伸長側の作動限界に達した際の衝撃を吸収する緩衝機構として機能する。
以上のような第1及び第2コイルバネ73,74の構造及び機能を、右及び左の前輪1のサスペンション機構60に適用してもよい。
【0062】
[発明の実施の第3別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]において、図9に示すように構成してもよい。
図9に示すように、リンク機構3の右及び左のロアリンク3aの基部に操作アーム3b(伸縮駆動機構に相当)が固定されており、苗植付装置5が田面に位置している状態で、リンク機構3の右及び左の操作アーム3bはサスペンションフレーム61の上部から上方に離れている。これにより、苗植付装置5が油圧シリンダ4により田面から所定高さの範囲で昇降駆動される状態では、リンク機構3の右及び左の操作アーム3bはサスペンションフレーム61の上部に接当しない。
【0063】
次に、苗植付装置5が油圧シリンダ4により田面から所定高さを越えて上昇駆動されると、リンク機構3の右及び左の操作アーム3bがサスペンションフレーム61の上部に接当し、サスペンションフレーム61が下方に押し操作されて、右及び左の後輪2(後車軸ケース28)が下降駆動される(サスペンション機構67が強制的に伸長側に作動させられる)。この場合、苗植付装置5が油圧シリンダ4により上限位置に上昇駆動されると、右及び左の支持フレーム21の支持ピン21aがサスペンションフレームの長孔61bの上端に達して、サスペンション機構67が伸長側の作動限界に達する。
以上のようなリンク機構3の右及び左の操作アーム3bの構造及び機能を、[発明の実施の第1別形態][発明の実施の第2別形態]のサスペンション機構67に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】乗用型田植機の全体側面図
【図2】後車軸ケース、右及び左の後輪への伝動系を示す平面図
【図3】右及び左の前輪支持ケースの支持構造、後車軸ケースの支持構造を示す平面図
【図4】前輪支持部の付近の縦断正面図
【図5】後車軸ケースの支持構造を示す側面図
【図6】後車軸ケースの支持構造を示す背面図
【図7】発明の実施の第1別形態における後車軸ケースの支持構造を示す側面図
【図8】発明の実施の第2別形態における後車軸ケースの支持構造を示す側面図
【図9】発明の実施の第3別形態における後車軸ケースの支持構造を示す側面図
【符号の説明】
【0065】
1 右及び左の前輪
2 右及び左の後輪
3 リンク機構
3b 伸長駆動機構
4 昇降機構
5 苗植付装置
11 運転席
12 ホッパー
13 繰り出し部
20 フロア
37 予備苗のせ台
43 右及び左の後輪の車軸
54 右及び左の前輪の車軸
60,67 サスペンション機構
73,74 コイルバネ
73a,74a コイルバネのピッチが大きい部分
73b,74b コイルバネのピッチが小さい部分
75,76 規制機構
77,76 緩衝機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
右及び左の前輪を機体にサスペンション機構を介して支持させ、右及び左の後輪を機体にサスペンション機構を介して支持させて、
運転部のフロアと、右及び左の前輪の車軸と右及び左の後輪の車軸との間で前記フロアの上側に位置する運転席と、前記運転席の後側に位置するホッパー及び繰り出し部と、右及び左の前輪の車軸の前側に位置する予備苗のせ台と、機体の後部から後方に延出されたリンク機構に支持された苗植付装置とを備えると共に、
植付作業状態において前記フロアが略水平となるように、前記サスペンション機構を設定してある乗用型田植機。
【請求項2】
前記サスペンション機構の伸長側の作動限界及び収縮側の作動限界を決める規制機構を備えて、前記サスペンション機構の植付作業状態での伸長側の作動限界への作動ストロークよりも、前記サスペンション機構の植付作業状態での収縮側の作動限界への作動ストロークが大きなものとなるように、前記規制機構を構成してある請求項1に記載の乗用型田植機。
【請求項3】
前記サスペンション機構が伸長側の作動限界及び収縮側の作動限界に達した際の衝撃を吸収する緩衝機構を備えてある請求項2に記載の乗用型田植機。
【請求項4】
前記緩衝機構が弾性部材で構成されている請求項3に記載の乗用型田植機。
【請求項5】
ピッチが大きい部分とピッチが小さい部分とを備えた不等ピッチのコイルバネを備えて前記サスペンション機構を構成し、前記コイルバネによって緩衝機構が構成されている請求項3に記載の乗用型田植機。
【請求項6】
機体の後部に苗植付装置を昇降自在に支持して、前記苗植付装置を昇降駆動する昇降機構を備えると共に、
前記昇降機構により苗植付装置が田面から所定高さを越えて上昇駆動されると、右及び左の後輪を機体に支持するサスペンション機構を強制的に伸長側に作動させる伸長駆動機構を備えてある請求項1〜5のうちのいずれか一つに記載の乗用型田植機。
【請求項7】
前記昇降機構により苗植付装置が田面から所定高さを越えて上昇駆動されると、前記昇降機構の駆動力が右及び左の後輪を機体に支持するサスペンション機構に伝達されて、右及び左の後輪を機体に支持するサスペンション機構が強制的に伸長側に作動されるように、前記伸長駆動機構を構成してある請求項6に記載の乗用型田植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−136289(P2006−136289A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−330869(P2004−330869)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】