説明

乳化化粧料

【課題】経時安定性が良好で、塗布しやすく、スキンケア効果及び痩身効果に優れた乳化化粧料の提供。
【解決手段】次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)ポリエーテル変性シリコーン、
(B)油剤、
(C)水溶性高分子増粘剤、
(D)黄花菜又はその抽出物
(E)水
を含有する乳化化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキンケア効果及び痩身効果に優れた乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満は消費エネルギーに対して過剰な摂取エネルギーが、白色脂肪細胞に中性脂肪として蓄積して生じるものである。内臓脂肪としての蓄積が大きい肥満は、インスリン抵抗性や動脈硬化などの病態との関係が指摘されており、また、皮下脂肪として蓄積が大きい肥満は、美容の観点からも男女を問わず、大きな問題となっている。
【0003】
従来、顔や身体の余分な脂肪を減らし、引き締まった身体を保つために、各種運動や食事制限等に加え、体内の新陳代謝を促すようなマッサージ用ジェル、クリーム等の化粧料が用いられている。このような化粧料には、脂肪の分解を促進し、痩身効果を得ることを目的として、カフェインや、脂肪分解促進作用を有する植物抽出物(特許文献1)などが用いられている。
しかしながら、いずれも十分な効果を有するものではなく、より痩身効果に優れた化粧料が望まれていた。
【0004】
また、このような化粧料においては、身体の広範囲に塗布して使用するため、液だれ等がなく、手に取りやすく、皮膚に塗布しやすい、マッサージしやすいことなども求められる。
【特許文献1】特開2005−60366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、塗布しやすく、スキンケア効果及び痩身効果に優れた化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、ポリエーテル変性シリコーン、油剤及び水溶性高分子増粘剤と、特定の植物又はその抽出物を組合わせて用いることにより、経時安定性が良好で、塗布しやすく、スキンケア効果及び痩身効果に優れた乳化化粧料が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)ポリエーテル変性シリコーン、
(B)油剤、
(C)水溶性高分子増粘剤、
(D)黄花菜又はその抽出物、
(E)水
を含有する乳化化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の乳化化粧料は、経時安定性が良好で、のびが良く、皮膚に塗布しやすく、スキンケア効果及び痩身効果に優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明で用いる成分(A)のポリエーテル変性シリコーンとしては、例えば、次の一般式(1)〜(3)で表わされるものが挙げられる。
【0010】
【化1】

【0011】
〔式中、R1 は炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基を示し、R2 は式-(CH2)r-O-(C2H4O)s-(C3H6O)t-R5(R5 は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、rは1〜5の数、sは1〜50の数、tは0〜30の数)で表わされる基を示し、R3 及びR4 はR1 又はR2 の何れか一つと同一の基を示し、pは5〜300の数、qは1〜50の数を示す。ただし、R1 のすべてがフェニル基となることはない〕
【0012】
【化2】

【0013】
〔式中、R1、R2、p及びqは前記と同じ意味を示し、R6は炭素数2〜20のアルキル基を示し、R7 及びR8 はR1 、R2 又はR6 の何れか一つと同一の基を示し、uは1〜30の数を示す。ただし、R1 のすべてがフェニル基となることはない〕
【0014】
【化3】

【0015】
〔式中、R9 は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R10は式-Q1-O-(C2H4O)x-(C3H6O)yR14(Q1 は炭素数1〜4の炭化水素基、R14は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はアセチル基、xは1以上の整数、yは0以上の整数)で表わされる基を示し、R11は式-Q2-O-R15(Q2 は炭素数1〜4の炭化水素基、R15は炭素数8〜30の炭化水素基)で表わされる基を示し、R12及びR13はR9、R10又はR11の何れか一つと同一の基を示し、αは0以上の整数、β及びγは1以上の整数を示す〕
【0016】
なお、一般式(1)〜(3)で表わされるポリエーテル変性シリコーン類は、その目的を逸脱しない範囲で、シリコーン主鎖に分岐構造を有していたり、ポリエーテル以外の官能基で共変性されていてもよい。
【0017】
前記一般式(1)で表わされる化合物としては、例えばKF−6017(信越化学工業社製)、SH−3772C(東レ・ダウコーニング社製)等が挙げられる。一般式(2)で表わされる化合物は、アルキルポリエーテル変性シリコーンと称されるもので、例えばKF−6038(信越化学工業社製)、アビルWE−09(ゴールドシュミット社製)等が挙げられる。一般式(3)で表わされる化合物は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル共変性オルガノポリシロキサンで、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサンをポリオキシアルキレンアリルエーテルとアリルアルキルエーテルで共変性することにより容易に製造することができる。
【0018】
また、成分(A)としては、部分架橋型ポリエーテル変性シリコーンを用いることができる。かかる部分架橋型ポリエーテル変性シリコーンは、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと脂肪族不飽和基含有化合物とを付加重合させたもので、特開平4-272932号公報、特開平5-140320号公報等に記載されているものが例示される。部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物は、下記一般式(4)
16a17bcSiO(4-a-b-c)/2 (4)
【0019】
〔式中、R16は炭素数1〜18の置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基又はハロゲン化炭化水素基を示し、R17は式-CnH2nO(C2H4O)d(C3H6O)eR18(R18は水素原子、炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基又は-C(O)-R19(R19は炭素数1〜5の飽和脂肪族炭化水素基)で表わされる基を示し、dは2〜200の整数、eは0〜200の整数、d+eは3〜200の整数、nは2〜6をそれぞれ示す)で表わされるポリオキシアルキレン基を示し、aは1≦a≦2.5、bは0.001≦b≦1、cは0.001≦c≦1をそれぞれ示す〕
で表わされるオルガノハイドロジェンポリシロキサン及び/又は一般式(5)
16fgSiO(4-f-g)/2 (5)
【0020】
〔式中、R16は前記と同じ意味を示し、fは1.0≦f≦3.0、gは0.001≦g≦1.5をそれぞれ示す〕
で表わされるオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、一般式(a)
m2m-1O(C24O)h(C36O)im2m-1 (a)
【0021】
〔式中、hは2〜200の整数、iは0〜200の整数、h+iは3〜200の整数、mは2〜6をそれぞれ示す〕
で表わされるポリオキシアルキレン及び/又は一般式(b)
16j20kSiO(4-j-k)/2 (b)
【0022】
〔式中、R16は前記と同じ意味を示し、R20は末端に脂肪族不飽和基を有する炭素数2〜10の1価炭化水素基を示し、jは1≦j≦3、kは0.001≦k≦1.5をそれぞれ示す〕
で表わされるオルガノポリシロキサンとの組合せにおいて、上記一般式(4)及び/又は一般式(a)で表わされる成分を必須原料とする重合物である。
【0023】
成分(A)としては、特に、アルキルポリエーテル変性シリコーンが、さらには部分架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーンが、経時安定性および皮膚への塗布性により優れているので好ましい。
【0024】
成分(A)のポリエーテル変性シリコーンは、1種以上を用いることができ、全組成中に0.5〜15質量%、特に1〜10質量%含有するのが、経時安定性及び皮膚への塗布性により優れるので好ましい。
【0025】
本発明で用いる成分(B)の油剤としては、通常の乳化化粧料に用いられるものであれば特に制限されないが、例えば、炭化水素油、動植物油、エステル油、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン油、リン脂質、スフィンゴシン誘導体等が挙げられる。
これらのうち、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素油;ジメチルポリシロキサン等のシリコーン油が好ましい。
【0026】
成分(B)の油剤は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.5〜20質量%含有するのが、スキンケア効果に優れるので好ましく、特に2〜10質量%含有するのが、経時安定性もより優れるので好ましい。
【0027】
本発明で用いる成分(C)の水溶性高分子増粘剤としては、通常の乳化化粧料に用いられるものであれば特に制限されず、例えば、ビニル系高分子、セルロース系高分子、キサンタンガム、カラギーナン、ゼラチン、ヒアルロン酸、チューベロース多糖等が挙げられる。
【0028】
ビニル系高分子としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びこれらの塩等が挙げられる。
【0029】
これらのうちアクリル酸系(共)重合体としては、例えば、カーボポール(Noveon社)、シンタレン(3Vsigma社)、PEMULEN(Noveon社)などを使用することができる。
【0030】
また、セルロース系高分子としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
【0031】
また、成分(C)としては、カチオン性架橋共重合体を用いることができ、カチオン性基含有ビニル単量体(以下、単量体(c1))の少なくとも1種と、アミド基含有ビニル単量体(以下、単量体(c2))の少なくとも1種と、2個以上のビニル基を分子中に有する架橋性ビニル単量体(以下、単量体(c3))の少なくとも1種とを、ラジカル重合することにより得られるカチオン性架橋共重合体等を好適に使用することができる。
【0032】
単量体(c1)としては、ジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリルアミド類、ジアルキルアミノ基を有するスチレン類、ビニルピリジン類、N−ビニル複素環化合物類、アミノ基を有する単量体の酸中和物あるいは4級アンモニウム塩、ジアリル型4級アンモニウム塩などが挙げられる。
これらのうち、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの4級化剤で4級化した4級アンモニウム塩、あるいはジメチルジアリルアンモニウムクロライド等が好ましい。
【0033】
上記の酸中和物を得るための酸としては、塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸、コハク酸、アジピン酸、スルファミン酸などが挙げられ、4級アンモニウム塩を得るための好ましい4級化剤としては、塩化メチル、ヨウ化メチル等のハロゲン化アルキル、硫酸ジエチル、硫酸ジ−n−プロピルなどが挙げられる。
【0034】
単量体(c2)としては、一般式(6)又は(7)
【0035】
【化4】

【0036】
(式中、R21は水素原子又はメチル基を示し、R22及びR23は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基を示すか、R22とR23が一緒になって-(CH2)n-(nは3〜6の整数)又は-(CH2)2-O-(CH2)2- を示し、隣接する窒素原子を含む環を形成する)
【0037】
【化5】

【0038】
(式中、R21は前記と同じ意味を示し、A1は-(CH2)m-(mは2〜5の整数)を示す)
で表される単量体が挙げられる。
【0039】
具体的には、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。これらのうち、N,N−ジ置換アクリルアミドを用いた場合に使用感が好ましく、更には、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等が好ましい。
【0040】
単量体(c3)としては、多価アルコール又は不飽和アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、ジビニル化合物、ポリアリル化合物等が挙げられる。これらのうち、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのアリルエーテル化体、ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0041】
単量体(c1)と単量体(c2)との好ましい配合比率は、(c1)/(c2)のモル比で、2/98〜98/2であり、更に好ましくは3/97〜60/40である。モル比がこの範囲内であると、チキソトロピー性の発現と低シェアレート時の粘度保持の両特性が適度に発現するので好ましい。単量体(c1)の配合比率がここに示した範囲より過剰になった場合にはチクソトロピー性に欠けるような傾向となる。また、単量体(c2)の配合比率がここに示した範囲より過剰になった場合には低シェアレート時の粘度が低くなりやすい傾向となる。
【0042】
単量体(c3)の割合は、単量体全量に対してモル比で0.0002〜2が好ましく、特に0.0002〜1、更に0.0002〜0.4が好ましい。単量体(c3)の割合が上記範囲であれば、得られる共重合体で形成されるハイドロゲルの粘度が十分であり、また、ハイドロゲルの感触は柔らかく、すべりの良いものとなる。
【0043】
カチオン性架橋共重合体は、必須構成単位である前記の3種類のビニル単量体のそれぞれ1種以上の他に、これらと共重合可能な他のビニル単量体を構成成分とすることができる。他のビニル単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;アクリル酸、メタアクリル酸等のアニオン性基含有単量体;N−(3−スルホプロピル)−N−アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−カルボキシメチル−N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン等のベタイン類などが挙げられる。
【0044】
このようなカチオン性架橋共重合体は、例えば、特開2005-170800号公報に記載の方法に従って、製造することができる。
【0045】
成分(C)の高分子増粘剤は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.05〜3質量%、特に0.1〜2質量%含有するのが、皮膚への塗布性が良好で、経時安定性にも優れるので好ましい。
【0046】
成分(D)の黄花菜は、ユリ科のショウヨウカンゾウ(Hemerocallis plicata Stepf(中薬大辞典,上海科学技術出版社及び小学館編,第1巻,株式会社小学館,昭和60年,p114))、ホンカンゾウ(Hemerocallis fulva L.(中薬大辞典,上海科学技術出版社及び小学館編,第1巻,株式会社小学館,昭和60年,p378))、ヤブカンゾウ(Hemerocallis fulva L.(中薬大辞典,上海科学技術出版社及び小学館編,第1巻,株式会社小学館,昭和60年,p381,p539))、マンシュウキスゲ(Hemerocallis flava L.(中薬大辞典,上海科学技術出版社及び小学館編,第1巻,株式会社小学館,昭和60年,p378,p539))、ホソバキスゲ(Hemerocallis minor Mill.(中薬大辞典,上海科学技術出版社及び小学館編,第1巻,株式会社小学館,昭和60年,p378,p539))及びこれら類縁植物を基原とする植物の花、蕾の総称である。
【0047】
本発明において、「黄花菜」とは、これら一連の植物全てを包含するものである。好ましくは市場で流通している黄花菜の蕾をそのまま又は乾燥したもの(別名:金針菜)が用いられる。なお、乾燥は、植物の乾燥に通常用いられる方法が適用でき、例えば、天日、風、加熱又は凍結乾燥のいずれでもよい。
【0048】
本発明で用いる黄花菜抽出物としては、上記「黄花菜」を、常温又は加温下にて抽出し、調製することにより得られる溶剤抽出液、その希釈液、その濃縮液又はその乾燥物が挙げられる。
【0049】
本発明において、黄花菜抽出物の抽出方法としては、例えば、浸漬、煎出、浸出、還流抽出、超臨界抽出、超音波抽出、マイクロ波抽出等が挙げられる。
【0050】
黄花菜抽出物を抽出するために用いる抽出溶剤は、極性溶剤又は非極性溶剤のいずれをも使用することができ、これらを混合して使用することができる。
【0051】
極性溶剤としては、例えば、水、アルコール類、ケトン類、非極性溶剤としては、例えば、エステル類、鎖状及び環状エーテル、ポリエーテル類、炭化水素類、芳香族炭化水素類、ピリジン類、超臨界二酸化炭素及び油脂、ワックス、その他のオイル等が挙げられる。
【0052】
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等が挙げられる。ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。エステル類としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル等が挙げられる。鎖状及び環状エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等が挙げられる。ポリエーテル類としては、例えば、ポリエチレングリコール等が挙げられる。炭化水素類としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等が挙げられる。芳香族炭化水素類としては、例えば、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。
【0053】
このうち、水或いはアルコール類の単独又は水−アルコール類混合液を用いるのが好ましく、より好ましくは水−アルコール類混合液、特に好ましくは水−メタノール或いは水−エタノール混合液である。水−アルコール類混合液の場合には、混合液に対するアルコールの混合割合(V/V)は、好ましくは0〜80%、より好ましくは0〜60%である。
【0054】
抽出溶剤の使用量は、溶剤の種類によっても異なるが、好ましくは黄花菜乾燥物1質量部に対して1〜100質量部、より好ましくは5〜20質量部である。
【0055】
また、抽出温度は、5〜70℃、好ましくは5〜50℃、より好ましくは10〜40℃である。抽出時間は、1時間〜30日間、好ましくは7〜14日間である。
【0056】
上記黄花菜抽出物は、抽出・調製後液体のまま又は希釈して用いることもできるが、当該抽出物の液体を減圧濃縮、凍結濃縮若しくは膜濃縮又は風、加熱若しくは凍結乾燥し、濃縮物、ペースト状又は乾燥物(粉末)に調製して用いてもよい。
【0057】
また、上記黄花菜抽出物は、さらに液々分配、固液分配、濾過膜、活性炭、吸着樹脂、イオン交換樹脂等の公知の技術によって不活性な夾雑物を除去したものを用いることが好ましい。さらに、必要に応じて脱臭、脱色等の処理を施してから用いても良い。
【0058】
成分(D)の黄花菜又はその抽出物は、全組成中に、乾燥物換算量で0.005〜5質量%、特に0.05〜2質量%含有するのが、本発明の効果を維持しながら、より安定性に優れるので好ましい。
【0059】
本発明に用いる成分(E)の水は、製品の塗布性、適度なさっぱり感、安定性を付与するもので、全組成中に57〜98質量%、特に76〜96質量%含有するのが好ましい。
【0060】
本発明の乳化化粧料は、更に(F)油ゲル化剤を含有することができ、経時安定性をより高めることができる。かかる油ゲル化剤としては、例えば、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン等の脂肪酸デキストリンが挙げられ、特にパルミチン酸デキストリンが好ましい。
【0061】
成分(F)の油ゲル化剤は、全組成中に、0.01〜1質量%含有するのが、使用感及び安定性に優れるので好ましく、特に0.1〜0.4質量%含有するのが、使用感及び安定性により優れるので好ましい。
【0062】
本発明の乳化化粧料は、更に(G)カフェイン又はその塩を含有することができ、スキンケア効果及び痩身効果をより高めることができる。
【0063】
カフェイン又はその塩としては、市販のものを用いてもよいが、コーヒー豆、緑茶葉、烏龍茶、紅茶及びマテ茶等のカフェイン含有率の高い植物から上記又は公知の抽出方法で抽出し、調製して得られた植物抽出物又は合成物でもよい。また、当該植物又はその抽出物をカフェイン供給源として用いてもよい。当該カフェインは、乾燥物、液体又はペースト状のいずれのものでもよい。
【0064】
カフェインの塩としては、例えば、塩酸、硫酸等の鉱酸塩、酢酸、クエン酸等の有機酸塩等が挙げられる。
【0065】
成分(G)のカフェイン又はその塩は、全組成中に、0.01〜2質量%、特に0.05〜0.5質量%含有するのが、本発明の効果を維持しながら、安定性により優れるので好ましい。
【0066】
本発明の乳化化粧料は、更に(H)メントールを含有することができ、ひきしめ感を感じることができる。
メントールは、全組成中に0.005〜1質量%含有するのが、ひきしめ感を感じることができる点から好ましく、特に0.05〜0.3質量%含有するのが、ひきしめ感及び清涼感を感じながら、安定性により優れるので好ましい。
【0067】
本発明の乳化化粧料は、前記成分以外に、通常の乳化化粧料に用いられる成分、例えば、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、色素、無機顔料、高分子粉体、香料などを含有することができる。
【0068】
本発明の乳化化粧料は、通常の方法により製造することができる。
本発明の乳化化粧料は、特に、25℃における粘度が10000〜100000mPa・sのミルクあるいはクリーム状の剤型とするのが好ましい。
【実施例】
【0069】
製造例1(黄花菜抽出物の製造)
黄花菜(新和物産社)40gに50%(v/v)エタノール−水混合溶液400mLを加え、室温(20〜30℃)で7日間抽出した後、ろ過し、抽出液340mLを得た。この抽出液から溶媒を減圧留去し、乾燥物18.4gを得た。
【0070】
実施例1〜14、比較例1〜4
表1及び表2に示す組成の乳化化粧料を製造し、経時安定性、皮膚への塗布性、スキンケア効果及び肌のひきしめ効果を評価した。結果を表1及び表2に併せて示す。なお、カフェインは市販のもの(和光純薬工業社)を用いた。
【0071】
(製造方法)
ポリエーテル変性シリコーン、油剤を室温にて分散させ、さらに加熱し、撹拌混合して油相を調製する。油ゲル化剤を添加する場合には加熱した油相に添加する。水溶性高分子増粘剤を精製水に分散させて得られた水相を、油相にゆっくりと添加しながら、十分撹拌する。均一に乳化させた後、冷却し、室温にて他の含有成分を添加する。このとき、カフェイン及び/又はメントールを含有する場合にはこれらも添加する。さらに、黄花菜抽出物溶液を添加、混合して、乳化化粧料を得た。
【0072】
(評価方法)
(1)経時安定性:
各乳化化粧料を50℃で30日保存した後、その外観を目視により以下の基準で評価した。
3:変化は認められず、均一で安定である。
2:一部変化が認められる。
1:分離等の変化が認められる。
【0073】
(2)皮膚への塗布性:
3名の専門パネルにより、各乳化化粧料について、前腕内側に一定量を塗布したときの、のびやすさ、マッサージのしやすさを総合的に評価し、以下の5段階で判定した。結果を平均値で示した。
5:非常に良い。
4:良い。
3:どちらともいえない。
2:やや悪い。
1:悪い。
【0074】
(3)スキンケア効果:
乳化化粧料0.2gを前腕内側の直径3cmの円内に均一に塗布し、塗布1時間後に水洗、乾燥させる。コルネオメーターCM825PC(COLOGNE製)により、水洗・乾燥後の皮膚コンダクタンスを測定した。処理前の皮膚コンダクタンスからの変化量(Δ皮膚コンダクタンス)から、以下の基準でスキンケア効果を評価した。この数値が大きいものほど、スキンケア効果が高い。
4:皮膚コンダクタンス値が極めて上昇(Δ皮膚コンダクタンス≧15)。
3:皮膚コンダクンタス値が上昇(15>Δ皮膚コンダクタンス≧5)。
2:皮膚コンダクンタス値がわずかに上昇(5>Δ皮膚コンダクタンス≧2)。
1:皮膚コンダクタンス値が変化しない(2>Δ皮膚コンダクタンス)。
【0075】
(4)肌のひきしめ効果:
5名の専門パネルにより、各乳化化粧料をふくらはぎに1ヶ月間連用したときのひきしめ効果について、総合的に評価し、以下の4段階で判定した。結果を平均値で示した。
4:ひきしめ効果を強く感じる。
3:ひきしめ効果を感じる。
2:ひきしめ効果をわずかに感じる。
1:ひきしめ効果はなかった。
【0076】
【表1】

【0077】
【表2】

【0078】
実施例15
以下に示す組成の乳化化粧料を製造した。得られた乳化化粧料について、実施例1〜14と同様にして、経時安定性、皮膚への塗布性、スキンケア効果及び肌のひきしめ効果を評価した。その結果、経時安定性:3、皮膚への塗布性:4.7、スキンケア効果:4、肌のひきしめ効果:3.6であった。
【0079】
(組成)
(1)架橋アルキルポリエーテル変性シリコーン
(KSG310、信越シリコーン社製) 5.0(質量%)
(2)架橋型メチルポリシロキサン
(KSG15、信越シリコーン社製) 2.0
(3)シリコーン(10cs) 3.0
(4)流動パラフィン 4.0
(5)モノイソステアリン酸ポリグリセリル
(コスモール41V、日清オイリオ社製) 0.5
(6)エタノール 3.0
(7)メントール 0.1
(8)パルミチン酸デキストリン 0.1
(9)カチオン性架橋重合体
(ソフケアKG-301P、花王社製) 0.4
(10)黄花菜抽出物(製造例1) 0.5
(11)カフェイン 0.2
(12)メチルパラベン 0.2
(13)精製水 バランス
(14)香料 適量
【0080】
(製造方法)
成分(1)〜(5)及び(8)を室温にて分散させ、さらに加熱して撹拌混合した油相に、成分(9)を成分(13)に分散させた水相を加え、十分撹拌する。均一に乳化させた後、冷却し、室温にて成分(6)、(7)及び(12)を混合したものを添加し、さらに成分(10)、(11)及び(14)を添加、混合して、乳化化粧料を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)ポリエーテル変性シリコーン、
(B)油剤、
(C)水溶性高分子増粘剤、
(D)黄花菜又はその抽出物、
(E)水
を含有する乳化化粧料。
【請求項2】
更に、(F)油ゲル化剤を含有する請求項1記載の乳化化粧料。
【請求項3】
更に、(G)カフェイン又はその塩を含有する請求項1又は2記載の乳化化粧料。
【請求項4】
更に、(H)メントールを含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の乳化化粧料。

【公開番号】特開2008−120732(P2008−120732A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−306273(P2006−306273)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】