説明

乳化化粧料

【課題】
油中水中油乳化剤形などの多層乳化剤形も包含した広義の油中水乳化剤形を製剤化するに際して、使用性を損なわず安定性を向上せしめる技術を提供する。
【解決手段】
連続相として油相を構成要素とする乳化化粧料に1)非ブロックコポリマーである、ジメチルシリコーンポリオキシアルキレンラバーと、2)ブロックコポリマーである、ジメチルポリシロキサンポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーとを含有させる。ジメチルシリコーンポリオキシアルキレンラバーは、ジメチルシリコーンポリオキシエチレンラバー((ジメチコン/ポリオキシエチレン)クロスポリマー)であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧料に関し、更に詳細には乳化化粧料に好適な化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
油相を連続相とし、最外相に配した乳化剤形は一般的に油中水乳化剤形と称され、該連続相中には水相滴乃至は水中油乳化滴などの滴が一様に分散している形態を取っている。かかる剤形においては油相が最外相に位置する為、汗などの水分き起因する化粧崩れが著しく抑制される為、化粧崩れを防ぐアンダーメークアップ化粧料などの下地化粧料に好適に適用されている。この様な油中水乳化剤形においては、前記の機能的メリットが存するものの、塗布時ののびが水中油乳化製剤に比して重く、その結果、この化粧料の上に塗布する、ファンデーションなどのメークアップ化粧料の塗布膜が厚くなりやすい傾向にあった。即ち、ここに外相が油相である乳化剤形の下地化粧料に於いて、そののびを改善する必要が存していると言える。
【0003】
この様な油中水乳化剤形の化粧料に於いて、その塗布時ののびを改善する方法としては、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサンを界面活性剤とし、ジステアリルジメチルシロキサン変性粘土鉱物などの油性ゲル化剤を併用して乳化を高内相油中水乳化形態とする方法が開発されている(例えば特許文献1を参照)。しかしながら、有機変性粘土鉱物は配合される電解質の影響を受けやすく、ともに配合する成分の種類が限られてしまう場合が存した。これに代わって、電解質の影響を受けにくく乳化構造の維持効果を高める成分としてはデキストリン脂肪酸エステルが開発されている(例えば、特許文献2を参照)が、かかる技術においては最終製品の硬度が高くなり、その結果のびも重くなり、高内相を採用した意味合いが喪われてしまう場合が存した。
【0004】
一方、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサンの特殊形態である、ジメチルポリシロキサンポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーは、皮膚外用剤用の非イオン界面活性剤として知られている(例えば、特許文献3を参照)が、(ジメチコン/ポリオキシエチレン)クロスポリマーと併用して、安定で使用性に優れる油中水乳化物を作る技術は全く知られていない。尚、一般的にポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン乃至はポリエーテル変性シリコーンと言う名称が存するが、かかる言葉が包含している化合物には、ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレングラフトコポリマー、ジメチルシリコーンポリオキシアルキレンラバー((ジメチコン/ポリオキシエチレン)クロスポリマー)、ジメチルポリシロキサンポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー等が存し、殆ど場合がジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレングラフトコポリマーを指す場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−255623号公報
【特許文献2】特開2005−170847号公報
【特許文献3】EP1855597
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこの様な状況下為されたものであり、ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレングラフトコポリマーや(ジメチコン/ポリオキシエチレン)クロスポリマーを用いて、連続相が油相である乳化剤形、即ち、油中水中油乳化剤形などの多層乳化剤形も包含した広義の油中水乳化剤形を製剤化するに際して、使用性を損なわず安定性を向上せしめる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決する為の手段】
【0007】
かかる状況に鑑みて、本発明者らは、ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレングラフトコポリマーや(ジメチコン/ポリオキシエチレン)クロスポリマーを用いて、連続相が油相である乳化剤形、即ち、油中水中油乳化剤形などの多層乳化剤形も包含した広義の油中水乳化剤形を製剤化するに際して、使用性を損なわず安定性を向上せしめる技術を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、ブロックコポリマーである、ジメチルポリシロキサンポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーを組み合わせて含有させることにより、安定性と使用性の向上が得られることを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
<1>連続相として油相を構成要素とする乳化化粧料に於いて、1)非ブロックコポリマーである、ジメチルシリコーンポリオキシアルキレンラバーと、2)ブロックコポリマーである、ジメチルポリシロキサンポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーとを含有することを特徴とする、乳化化粧料。
<2>ジメチルシリコーンポリオキシアルキレンラバーは、ジメチルシリコーンポリオキシエチレンラバー((ジメチコン/ポリオキシエチレン)クロスポリマー)であることを特徴とする、<1>に記載の乳化化粧料。
<3>更に、親油性界面活性剤として、ソルビタン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする、<1>又は<2>に記載の乳化化粧料。
<4>有機変性粘土鉱物及びデキストリン脂肪酸エステルを含有しないことを特徴とする、<1>〜<3>何れかに記載の乳化化粧料。
<5>更に、パール粉体を含有することを特徴とする、<1>〜<4>何れかに記載の乳化化粧料。
<6>前記パール粉体は虹彩箔及び鱗片状ガラスであることを特徴とする、<5>に記載の乳化化粧料。
<7>更に、ピロリドンカルボン酸変性ジメチルポリシロキサンを含有することを特徴とする、<5>又は<6>に記載の乳化化粧料。
<8>下地化粧料であることを特徴とする、<5>〜<7>何れかに記載の乳化化粧料。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレングラフトコポリマーや(ジメチコン/ポリオキシエチレン)クロスポリマーを用いて、連続相が油相である乳化剤形、即ち、油中水中油乳化剤形などの多層乳化剤形も包含した広義の油中水乳化剤形を製剤化するに際して、使用性を損なわず安定性を向上せしめる技術を提供することができる。
【発明を実施する為の形態】
【0009】
<1>本発明の化粧料の必須成分であるジメチルシリコーンポリオキシアルキレンラバー
本発明の化粧料は乳化化粧料であって、連続相が油相であり、ジメチルシリコーンポリオキシアルキレンラバー((ジメチコン/ポリオキシアルキレン)クロスポリマー)を含有することを特徴とする。前記ポリオキシアルキレン部分としては、ポリオキシエチレン残基、ポリオキシプロピレン残基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン残基などが好適に例示でき、これらの中ではポリオキシエチレン残基が特に好ましい。また、かかるオキシアルキレンの平均付加モル数は5〜20が好ましい。かかるクロスポリマーは架橋構造を有する為、通常この様な条件ではラバー状を呈する。かかるラバー状のものを揮発性シリコーン、例えば、粘度が1mPascal・s以下のジメチコンやシクロメチコン等で溶解、希釈したものが市販されており、これを購入して用いることが出来る。好ましいものとしては信越化学株式会社製の「シリコーンKSG−210」((ジメチコン/ポリオキシエチレン10・ポリオキシエチレン15)クロスポリマーのジメチコン溶液;濃度25質量%)が特に好適に例示できる。かかる成分は、後記ジメチルポリシロキサンポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーとの組合せによって、安定な油中水乳化系を形成する。かかる効果を発揮する為には、前記(ジメチコン/ポリオキシアルキレン)クロスポリマーの含有量は、0.1〜1質量%が適当であり、0.2〜0.3質量%がより好ましい。また、かかる成分は後記ジメチルポリシロキサンポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーの総質量に対して0.05〜0.4質量部であることが好ましい。また、この様な組合せの界面活性剤で乳化された油中水乳化剤形においては、乳化系自体が親油性非イオン界面活性剤の存在下、優れた粉体分散性を発揮する。取り分け虹彩箔のような光干渉色を呈するパール剤のパール光沢を損なわない特性を有し、かかるパール粉体の分散媒として好適である。
【0010】
<2>本発明の化粧料の必須成分であるジメチルポリシロキサンポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー
本発明の化粧料は、連続相を油相とする乳化剤形の化粧料であって、ジメチルポリシロキサンポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーを必須成分として含有することを特徴とする。かかるブロックコポリマーには既に市販品が存し、かかる市販品を購入して利用することが出来る。東レ株式会社から販売されている「シルウェットFZ2233」等が好適に例示できる。その他にはグランシルDMG6、アビルB8832等の類似原料が存在する。かかる成分は前記(ジメチコン/ポリオキシアルキレン)クロスポリマーと働いて、安定性と使用性に優れる油中水乳化剤形を形成する。かかる効果を奏する為には、前記ジメチルポリシロキサンポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーは総量で化粧料全量に対して、0.5〜5質量%含有されることが好ましく、1〜4質量%含有されることがより好ましい。
【0011】
<3>本発明の化粧料
本発明の化粧料は、前記必須成分を含有し、油中水乳化剤形であることを特徴とする。かかる成分以外に本発明の化粧料では、通常化粧料で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン、ソルビタンモノイソステアレート等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面処理されていても良い鱗片状ガラス、多層樹脂小片、魚鱗箔、虹彩箔を包含するチタンマイカ、チタン金雲母、チタンセリサイト等のパール剤、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。
【0012】
これらの成分の内、特に好ましいものとしては、補助的に界面活性作用を高める親油性界面活性剤であり、中でもソルビタン脂肪酸エステルが好ましく、該ソルビタン脂肪酸エステルの脂肪酸残基としては、イソステアリン酸残基が好適に例示でき、エステルの価数としてはモノエステルが特に好ましい。かかる成分を組み合わせることにより、乳化粒子がより細かくなり、のびなどの使用性が著しく向上する。この様な効果を奏する為には、かかる成分は0.1〜5質量%含有することが好ましく、0.5〜3質量%含有することがより好ましい。
【0013】
前記の乳化剤形においては、乳化剤形の安定性と使用性そのものが向上すると同時に、粉体分散特性も向上し、これを利用して粉体を含有させることも好ましい。特に、酸化チタンの被覆量が60質量%以上と非常に多く、これ故に乳化系では光学効果が著しく失われる虹彩箔について、本発明の乳化基剤に分散させることにより、かかるパール感の損失が防げる為、その加法光学修正効果を遺憾なく発揮することが出来る。即ち、かかるパール剤を含有する本発明の乳化化粧料を下地料として用いることにより、ファンデーションに下地からの加法光学効果を加味できる為、血色の良い、明るい健康的な仕上がりを発現させることが出来る。同様にガラス積層構造の干渉効果にのみ光学効果を依存している鱗片状ガラスについても、同様に光学効果の損失を抑制できる為、かかる粉体を含有することも好ましい。かかる鱗片状ガラスについては、その平均粒径を50〜300μm程度の小さいサイズに揃えることにより、単相被覆効果を発揮するので光学効果を最大化できる。前記平均粒径はコールターカウンターを用いて測定することが好ましい。かかる虹彩箔、鱗片状ガラスの含有量はそれぞれを0.01〜1質量ととし、その総和を0.05〜1質量%となるように含有させることが好ましい。
【0014】
以下に、実施例を示し、本発明について更に詳細に説明を加える。
【実施例1】
【0015】
以下に示す処方に従って、本発明の乳化化粧料である下地料1を製造した。即ち、イ、ロの成分をそれぞれ80℃に加温し、イにハの成分を分散させ、攪拌下これにロを徐々に加えた。添加終了後一様になるまで攪拌し、しかる後に室温まで攪拌下冷却し、下地料1を得た。このものの電導度は殆どなく、連続相が油相であることが判明した。同様に操作して、「シリコーンKSG210」を「シルウェットFZ2233」に置換した比較例1、「シルウェットFZ2233」を「シリコーンKSG210」に置換した比較例2も同様に作成した。
【0016】
【表1】

【0017】
<製造直後の観察>
下地料1、比較例1、比較例2を顕微鏡下観察し、粉体の凝集物と50μmを越える乳化粒子の数を計数した。計数値は4視野の平均を算出した。結果を表2に示す。これより、本発明の化粧料である下地料1は乳化安定性と粉体分散性に優れることが判る。また、前腕内側部に塗布して明るさを調べたところ、下地料1>>比較例1=比較例2であり、下地料1が特に粉体分散性に優れていることも確認された。
【0018】
【表2】

【0019】
<保存試験>
下地料1、比較例1、比較例2を40℃で1ヶ月保存したところ、比較例1、比較例2は二相に分離したが下地料1は安定であった。
【0020】
<べたつきの評価1>
下地料1、比較例1,比較例2を0.05g計りとり、直径4cmのシャーレ底部に均一に塗布した。15分乾燥させた後、直径2mmのジルコニアビーズ467個をシャーレに塗布した下地料膜上になるべく均一に置いた。ビーズの上から軽く押さえ、ビーズと塗布膜を良く密着させた後、シャーレを逆さにし、シャーレから落下したビーズを数え、以下の式によってべたつきを評価した結果を表3に示す。

落下したビーズの数
= べたつき度 (数値が高いほど、べたつきがない)
全ビーズの数
【0021】
<べたつきの評価2>
下地料1、比較例1、比較例2を肌上に塗布した場合のべたつきを熟練評価者6名により、以下のスコア基準に従って評価した。評価スコアは6名の平均点とした。結果を表3に示す。

スコア1 べたつきが非常にある。
スコア2 べたつきがある。
スコア3 べたつきがややある。
スコア4 べたつきがない。
【0022】
【表3】

【0023】
<のびの評価1>
3cm×50cmの短冊状に裁断した人工皮膚上に、下地料1、比較例1、比較例2を0.06g計り取り、ドクターブレード(厚さ0.5mil)を用い、約6cm/秒の速度で塗り広げた時の塗膜がのびた長さをのびの良さとした。塗膜ののびた長さが長いほど、のびが良いとした。結果を表4に示す。
【0024】
<のびの評価2>
下地料1、比較例1、比較例2を肌上に塗布した場合ののびを熟練評価者6名により、以下のスコア基準に従って評価した。評価スコアは6名の平均点とした。結果を表4に示す。
スコア1 のびが非常に悪い。
スコア2 のびが悪い。
スコア3 のびがやや悪い。
スコア4 のびが良い。
【0025】
【表4】

【0026】
表3及び表4から明らかなように下地料1は粉体の分散性、保存安定性に優れるばかりでなく、べたつきがなく、肌上でののびも良好であるという点で使用性にも優れることがわかる。
【実施例2】
【0027】
実施例1と同様に下記処方に従って、本発明の化粧料である下地料2(油中水乳化剤形)を得た。このものの粉体凝集物の平均値は3.5であり、50μm以上の乳化粒子の数は1.3であった。このものを40℃1ヶ月保存しても安定であった。乳化性と分散性の見地からソルビタンモノイソステアレートを含有することが好ましいことが判る。また、べたつきの評価1の結果は0.765、評価2も結果は3.50であり、のびの評価1の結果は19.8cmであり、評価2の結果は3.67であった。
【0028】
【表5】

【実施例3】
【0029】
実施例1と同様に下記処方に従って、本発明の化粧料である下地料3(油中水乳化剤形)を得た。このものは40℃1ヶ月の保存でも安定であった。また、べたつきの評価1の結果は0.758、評価2も結果は3.50であり、のびの評価1の結果は20.2cmであり、評価2の結果は3.83であった。
【0030】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は化粧料に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続相として油相を構成要素とする乳化化粧料に於いて、1)非ブロックコポリマーである、ジメチルシリコーンポリオキシアルキレンラバーと、2)ブロックコポリマーである、ジメチルポリシロキサンポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーとを含有することを特徴とする、乳化化粧料。
【請求項2】
ジメチルシリコーンポリオキシアルキレンラバーは、ジメチルシリコーンポリオキシエチレンラバー((ジメチコン/ポリオキシエチレン)クロスポリマー)であることを特徴とする、請求項1に記載の乳化化粧料。
【請求項3】
更に、親油性界面活性剤として、ソルビタン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の乳化化粧料。
【請求項4】
有機変性粘土鉱物及びデキストリン脂肪酸エステルを含有しないことを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の乳化化粧料。
【請求項5】
更に、パール粉体を含有することを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の乳化化粧料。
【請求項6】
前記パール粉体は虹彩箔及び鱗片状ガラスであることを特徴とする、請求項5に記載の乳化化粧料。
【請求項7】
更に、ピロリドンカルボン酸変性ジメチルポリシロキサンを含有することを特徴とする、請求項5又は6に記載の乳化化粧料。
【請求項8】
下地化粧料であることを特徴とする、請求項5〜7何れか1項に記載の乳化化粧料。

【公開番号】特開2010−215515(P2010−215515A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60351(P2009−60351)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】