説明

乳清タンパク質及び脂質を含む組成物、並びにそれらを調製する方法

本発明は、様々な食料品及び飲料を、オメガ3脂肪酸などの多価不飽和脂肪酸で強化するのに適する、乳清タンパク質、及び脂質、特に魚油を含む、液体及び粉末の組成物、並びにエマルジョンに関する。組成物を、そのようなものとして消費してもよい。さらに、本発明は、このような組成物及びエマルジョンを調製する方法に関する。本発明の方法の主な特徴は、脂質のマイクロカプセル化を、タンパク質の微粒子化と同時に行うことである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な食料品及び飲料を、例えば、オメガ3脂肪酸などの多価不飽和脂肪酸で強化するのに適する、乳清タンパク質、及び脂質、特に魚油を含む、液体及び粉末の組成物、並びにエマルジョンに関する。組成物を、それ自体消費してもよい。さらに、本発明は、このような組成物及びエマルジョンを調製する方法に関する。
【0002】
以下において、「エマルジョン」及び「粉末」の語を用いることがある。しかし、これらの語は、本明細書において、「液体及び粉末化した組成物」の語を包含するものと考えるべきである。さらに、本明細書で単独で用いる「組成物」の語は、「液体及び粉末化した組成物、並びにエマルジョン」の語を包含するものと考えるべきである。
【0003】
本明細書で用いられる「脂質」又は「脂質成分」の語は、油、脂肪、脂肪酸、又は、エステル及びトリグリセリドなどの脂肪酸の誘導体を包含する。
【背景技術】
【0004】
主に食品又は飲料組成物による、ある種の多価不飽和脂肪酸(PUFA)の摂取は、様々な健康上の懸念に対して有益である。オメガ3脂肪酸の健康上の利点についての強力な科学的証拠は、発表されている6000を超える研究によって支持されている。オメガ3の非常に長い鎖の多価不飽和脂肪酸(EPA及びDHA)に富む食餌は、血中トリグリセリド(脂肪)のレベルを低減することによって、血圧の調節を支持し、一定の心拍を維持することによって、心臓及び心血管系の性能を維持するのを助けることが示唆されている。さらに、オメガ3多価不飽和脂肪酸は、特に炎症を防ぐことにより、健康な骨及び関節を維持するのに有益な効果を示している。オメガ3PUFAは、統合失調症、うつ病、アルツハイマー病、神経発生的な、及び他の精神障害にプラスの効果があることも、増大する証拠によって示唆されている。オメガ3多価不飽和脂肪酸は、妊娠中及び小児の発達にも重要な役割を果たしている。
【0005】
オメガ3及びオメガ6のPUFAは健康に不可欠であると考えられており、したがって、機能性食品の成分として用いる場合には、他の食品成分に類を見ない多数の利点を提供する。
【0006】
西半球における栄養には、オメガ3及びオメガ6脂肪酸の不均衡があり、オメガ6脂肪酸の割合が高すぎると考える科学者もいる。したがって、多くの科学者は、オメガ3脂肪酸の摂取を増加するよう推奨している。
【0007】
したがって、PUFA、特に長鎖オメガ3脂肪酸で食品を強化することは、大いに望ましい。しかし、油及び食品業界からなされる多大な努力にかかわらず、異臭の形成及び不十分な貯蔵安定性をもたらす、オメガ3脂肪酸及びその供給源の酸化的変質により、風味のよい食品及び飲料製品を調製するのは、未だに難題である。
【0008】
清潔な感覚特性とともに初期品質の良好なPUFAの供給源は、この種の食品強化における重要な局面である。長鎖オメガ3脂肪酸の最も一般的な供給源は、サケ、タラ、メンハーデン、及びマグロの眼窩を含めた様々な供給源からの魚油(DHA及びEPA)、並びに藻類供給源(DHA)である。他の海洋及び植物油、並びに脂肪は、やはりPUFAの供給源である。
【0009】
酸敗をもたらす脂質の酸化は、貯蔵中及び加工中の魚油及び魚の脂肪に富む製品につながる問題点である。
【0010】
口臭、おくび、及び「魚」臭の息、皮膚、さらには尿など、魚油サプリメントの摂取の不快な副作用が報告されている。揮発性の魚油酸化生成物による嫌な魚の異臭は、このように、魚油を強化した食品及び飲料の開発における障害である。
【0011】
食品産業にとって、強力な魚の風味及び香りなど、PUFA成分の使用に典型的に関連する、望ましくない副作用を克服することは、重大な難題である。
【0012】
さらに、乳清タンパク質は、栄養上の利点が十分に記述されている。乳清は、全てのタンパク質の中で生物学的価値が最も高く、必須アミノ酸を全て含んでおり、ヒトの代謝に不可欠であり、ヒトの身体の機能を健康に対して適正にする。乳清は、また、自然界に見出される、最高濃度の分岐鎖アミノ酸(BCAA)をほこる。BCAAは、運動中には重要なエネルギーの供給源であり、タンパク質合成では重要な役割を果たしている。このため、乳清は、運動選手及び運動をする者にとって、最も人気の高いタンパク質となっている。
【0013】
魚油をカプセル化することは、酸化、ゆえに魚油を含む食品の酸敗を防ぐ最も有望な方法の1つである。
【0014】
さらに、このようなオメガ3油の高度の感受性により、そのために食品の適用を好適にするマトリックスにおけるマイクロカプセル化が論証される。例えば、200バールを超える圧力で油とカゼイン塩の水溶液との混合物を均一化することによる、少なくとも10%の含量の高度不飽和脂肪酸を有する油又は脂肪のマイクロカプセル化に関する、国際特許出願第WO9401001号に開示されている通りである。次いで、得られたエマルジョンを、易流動性のマイクロカプセルを得るためにそれ自体知られている方法を用いることにより、乾燥させる。
【0015】
これらオメガ3油を安定化する一方で、マイクロカプセル化により、添加の利便性、製品の適合性、焼付け及び押出しなどの2次的な熱プロセスからの保護、成分の相互作用の保護(例えば、DHAは、ある種の人工の色素及び香料と負の相互作用をするので)などの他の理由でも、様々な食品製品において含まれるのが好ましく、とりわけ強化食品の保存期間を延長するのに好ましいことがある組成物が提供される。
【0016】
マイクロカプセル化した油を生成するのに知られている多くの方法の中で、植物、卵、又は、乳清を含めたミルクからのタンパク質が、マイクロカプセル化物質として関与している。
【0017】
公開番号第2004/0062846号を有する米国特許出願は、クリーマー組成物、及びそれを作製し、用いる方法に関する。これらの組成物は、主要な(微粒子化した)要素の成分、及び2次的な要素の成分を含む。主要な微粒子化した要素の成分は、0.1〜80%の脂肪/油成分、及び0.1〜70%の微粒子化したタンパク質成分を含む。2次的な成分は、乳化剤及び増量剤を含む。言及したタンパク質の供給源は植物性タンパク質、乳製品タンパク質、動物性タンパク質、及びそれらの混合物である。クリーマー組成物を調製するプロセスは、液化するまで油/脂肪を加熱し、次いで水を加え撹拌し、すでに微粒子化しているタンパク質をさらに加え、次いで、最初に30から100バールの、2番目に100から300バールの2ステップで均一化することを必要とする。得られた組成物を、1つ又は複数の滅菌プロセスにかけて、微生物学的な安定性を与えなければならない。このプロセスは、やや煩雑であり、多数の様々なステップ及び多くの不可欠な成分のために高価である。
【0018】
国際特許出願第WO03/090560号では、食品又は飲料組成物として有用なタンパク質及び脂肪酸の組成物が開示されている。タンパク質成分を脂質成分と組み合わせてタンパク質/脂質混合物を形成し、この混合物を、(a)高いせん断条件、(b)均一化、及びこれらの組合せからなる群から選択される条件に曝すことによって組成物を調製する。微粒子化は言及されていない。前記方法では、均一化の間油の小胞の破壊を避けるために、乳化剤及びミネラルの添加が好ましい。
【0019】
現在、驚くべきことに、乳清タンパク質成分と脂質成分とを同時に微粒子化することによって、安定で、低温殺菌され、保存期間が長くて感覚受容性に魅力的であり、したがって、特に食品及び飲料に対する成分として様々な目的に有用である、高濃度の脂肪酸材料の組成物が得られることが見出されている。前記組成物は、必要であればUHT(超高温)処理にかけることができる。さらに、得られた組成物は、運動選手及び運動をする者に非常に望ましい、高含量の乳清タンパク質を有する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の主な目的は、炭水化物、乳化剤、増量剤、抗酸化剤などの、様々な種類のさらなる添加物を必要としない、脂質及びタンパク質の組成物を生成する簡単な方法を提供することである。
【0021】
本発明の別の一目的は、そのようなものとして、また、食品又は飲料に加えた場合に感覚受容性に魅力的である脂質及びタンパク質の組成物を提供することである。
【0022】
本発明の別の一目的は、許容できる保存安定性を有する、すなわち、味、匂い、酸化、及び微生物の増殖に関して安定であり、また、分離及び粘度に関して安定である(すなわち、物理学的に安定である)脂質及びタンパク質の組成物を提供することである。
【0023】
これら及び他の目的は、添付の特許請求の範囲において定義するような、組成物、方法、及び使用によって得られる。
【0024】
特に、本発明は、
a)タンパク質成分の供給源が、タンパク質の全濃度の40%以上の濃度の未変性乳清タンパク質を含み、他のタンパク質の任意のものの濃度がタンパク質の全濃度の40%未満であり、
組成物における個々の乳清タンパク質の変性率が50%から99%である、
液体及び/若しくは粉末の形態の乳清タンパク質濃縮物、及び/又は乳清の濃縮物、及び/又は非濃縮乳清、及び/又はそれらの混合物、並びに前記他のタンパク質からなるタンパク質成分;並びに
b)前記タンパク質成分に由来しない脂質成分
を含む組成物を提供する。
【0025】
さらに、本発明は、
a)当技術分野では知られている食品加工方法に従って、タンパク質成分の供給源が、タンパク質の全濃度の40%以上の濃度の未変性乳清タンパク質を含み、他のタンパク質の任意のものの濃度がタンパク質の全濃度の40%未満である、液体及び/若しくは粉末の形態の乳清タンパク質濃縮物、及び/又は乳清の濃縮物、及び/又は非濃縮乳清、及び/又はそれらの混合物、並びに前記他のタンパク質からなるタンパク質成分と、前記タンパク質成分に由来しない脂質成分とを混合して、均一な混合物を作製するステップと、
b)前記混合物を、穏やかに撹拌しながら60〜70℃に加熱するステップと、
c)ステップb)からの混合物を、温度が72〜110℃である、加熱セクションを構成する1つ又は複数の表面かき取り式熱交換器(SSHE)において>400s−1のせん断速度にするステップと、
d)1〜10分の保持時間の後、
e)ステップd)からの混合物を、冷却セクションを構成するさらなる1つ又は複数のSSHEにおいて>400s−1のせん断速度にして、冷却セクションを離れるときに乳清タンパク質の変性温度未満の温度を有する組成物を得るステップと、
を含む上記に定義するような組成物を調製するための方法を提供する。
【0026】
本発明は、上記に定義したように、そのようなものとしての又は食品及び飲料、健康食品、特別の食餌療法の目的のための栄養、乳児用調合乳、医薬品並びに飼料における成分としての、組成物の使用も提供する。
【0027】
食品は、ヨーグルト、クワルク、チーズ、クリームチーズ、サワークリーム、バター、マーガリン、スプレッド、ドレッシング、及びリコッタなどの発酵ミルクベースの製品;フィッシュケーキ、フィッシュプディング(fish pudding)、リソール、ハンバーガー、ミートローフ、及びパテなどの加工した魚及び肉製品;スープ及びソース;パン、ベーカリーズ(bakery’s)、ケーキ、ビスケット、穀粉混合物、及びシリアル;エネルギーバー、ケーキフィリング、チョコレート、及び菓子のキャンデーを含む。健康食品及び食品サプリメントも含まれる。
【0028】
飲料は、ミルク、飲用ヨーグルト、フレーバー飲料、ジュース;並びに果物、ベリー類、及び/又は野菜ベースのネクター;スムージー、発酵ミルクベースの飲料及び他の発酵飲料、他のミルク又は果物ベースの飲料、ソフトドリンク、スポーツドリンク、水ベースの飲料、並びに機能性食品飲料を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明のタンパク質成分は、液体及び/若しくは粉末の形態の乳清タンパク質濃縮物、及び/又は乳清の濃縮物、及び/又は非濃縮乳清、及び/又はそれらの混合物、並びに他のタンパク質からなる。
【0030】
本明細書で用いられる「液体及び/又は粉末の形態の乳清タンパク質濃縮物」の語には、乳清タンパク質単離物、及び乳清タンパク質濃縮水が含まれる。
【0031】
本発明による組成物を調製するための出発材料として用いられるタンパク質成分は、タンパク質の全濃度の40%以上の濃度の未変性乳清タンパク質を含む。タンパク質成分の供給源が、タンパク質の全濃度の50%以上の濃度の未変性乳清タンパク質を含むのが好ましい。未変性乳清タンパク質の前記濃度が、60%、70%、75%、80%、85%、90%以上であるのがより好ましく、95%以上であるのが最も好ましい。
【0032】
乳清タンパク質の供給源は、非濃縮乳清及び乳清濃縮物、及び/又は乾燥物質における乳清タンパク質20%から90%までの乳清タンパク質(WPC20〜WPC90)の濃縮物、及び/又は乳清タンパク質単離物、及び/又はそれらの混合物であってよい。非濃縮乳清が、乳清タンパク質供給源の一部でなくてもよい。タンパク質成分は、液体の形態でも、又は粉末の形態でもよい。
【0033】
さらに、組成物における前記他のタンパク質の任意のものの濃度は、タンパク質の全濃度の40%未満である。
【0034】
他のタンパク質を用いる場合、これらは、カゼイン及びそのカゼイン酸塩(例えば、カゼイン酸ナトリウム、カゼイン酸カルシウム)、ミルクベースの粉末、バターミルク粉末、並びに/又は植物、野菜、及び/若しくは海洋性タンパク質、卵タンパク質若しくは他の動物性タンパク質、並びに微生物のタンパク質、或いは、液体及び/又は粉末の形態のそれらの加水分解物からなる群から選択することができる。
【0035】
液体の形態で存在する場合、組成物におけるタンパク質成分の量は、タンパク質の約1%から30%まで、より好ましくは3%から25%まで、さらにより好ましくは6%から20%まで、最も好ましくは11%から20%までを含む。全て、組成物の重量による。特に、組成物(すなわち、液体の形態における)におけるタンパク質成分の量は、組成物の>10重量%である。
【0036】
本発明における組成物において、個々の乳清タンパク質の変性率は、50%から99%である。好ましくは、個々の乳清タンパク質の変性率は70%を超え、より好ましくは、個々の乳清タンパク質の変性率は80%を超え、最も好ましくは、個々の乳清タンパク質の変性率は90%を超える。
【0037】
本発明の組成物に使用される脂質成分は、任意の食用の油又は脂肪を含む。油又は脂肪は、飽和、部分飽和、不飽和脂肪酸、及び/又はそれらの誘導体、及び/又はそれらの混合物を含んでいてよい。好ましくは、油又は脂肪は、高含量の多価不飽和脂肪酸又はその誘導体を含む。
【0038】
このような食用の油及び脂肪は、植物、動物、海洋、又は微生物の供給源に由来する。植物の供給源には、ダイズ油、カノーラ油、トウモロコシ油、綿実油、ラッカセイ油、ベニバナ油、ヒマワリ油、アブラナ油、ゴマ油、オリーブ油、ココナツ油、パーム核油、及びパーム油が含まれる。遺伝子改変の生物体(GMO)からの油及び脂肪が含まれる。
【0039】
微生物の供給源には、単細胞の生物体が含まれる。
【0040】
動物の供給源には、獣脂、バター、ラード、及び卵黄の油が含まれる。
【0041】
藻類の供給源を含む海洋の供給源(例えば、タラ、メンハーデン、マグロ、ニシン、イカナゴ、スプラット、カタクチイワシ、カラフトシシャモ、サーディン、サケ、マス、又はサバの油などの魚油;タラ、オヒョウ、又はサメの肝油などの魚肝油;オキアミ油;クジラ油;アザラシ油)からの油、及びそれらの混合物が好ましい。
【0042】
組成物における脂質成分の量は、70%までであってよい。
【0043】
液体の形態又はその粉末化した形態で存在する場合、好ましくは、組成物における脂質の量は、組成物の重量で、約1%から30%までであり、より好ましくは10%から25%であり、さらにより好ましくは12から25%である。
【0044】
本発明の組成物におけるタンパク質の脂肪に対する比率は、0.3から30.0、より好ましくは0.3から10.0、最も好ましくは0.3から4.0の範囲である。
【0045】
本発明による組成物における粒子サイズの中央値は約1μmであり、粒子サイズの中央値の分布は0.1μmから50μmまで、より好ましくは0.4μmから10μmまでの範囲である。
【0046】
本発明の組成物は、不可欠な成分としてタンパク質及び脂質の成分だけを含む特質を有する。エマルジョン又は粉末の安定性又は感覚受容性の性質を増強するための、乳化剤、炭水化物、塩、増量剤、ミネラル、着香料などのさらなる成分/材料を添加する必要はない。抗酸化剤の場合は、唯一用いられるものは、油をエマルジョン又は粉末で用いる前に保存するためのものである。エマルジョンを製造した後は、抗酸化剤を添加する必要はない。しかし、所望により、言及するさらなる成分、及び抗酸化剤を、エマルジョンの性質を悪化させることなしに加えることができる。
【0047】
好ましい抗酸化剤は、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、2,6−ジ−tert−ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、没食子酸プロピル(PG)、没食子酸、アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンK、トコフェロール及びトコトリエノール(ビタミンE)、クエン酸、テルペノイド(カロテン、アスタキサンチン、カンタキサンチン)並びに、例えば、ロスマリー(rosmary)、緑茶、ニンニク、フラボノール、フラボノイド、及びフェノール酸などの、野菜起源(スパイス、植物、ベリー類、果物)の様々な抗酸化剤など、食糧及びその誘導体で用いるための、天然及び合成の抗酸化剤である。
【0048】
本発明の方法な特徴は、油のマイクロカプセル化を、タンパク質の微粒子化と同時に行うことである。
【0049】
方法は、上記に定義したように組成物を調製することを含み、タンパク質及び脂質の成分を、まず第一に、当技術分野では知られている食品加工方法に従って混合して、均一の混合物を作製する。
【0050】
次いで、前記混合物を、前記混合物をもたらすことにより脂質のマイクロカプセル化ももたらすタンパク質成分の微粒子化にかけ、これを穏やかに撹拌しながら60〜70℃に加熱して、温度が72〜110℃である加熱セクションを構成する1つ又は複数の表面かき取り式熱交換器(SSHE)において>400s−1のせん断速度にし、1〜10分の保持時間の後、この温度で、混合物をさらに、冷却セクションを構成するさらなる1つ又は複数のSSHEにおいて>400s−1のせん断速度にして、冷却セクションを離れるときに乳清の変性温度未満の温度を有する組成物を得る。
【0051】
得られた組成物を約4℃にさらに冷却することは、所望により行うことができる。
【0052】
本発明の別の実施形態では、得られた組成物を、直ちに超高温(UHT)処理にかけてもよい。
【0053】
加熱セクションにおける温度は、好ましくは80〜105℃であり、より好ましくは85〜105℃であり、最も好ましくは90〜105℃である。
【0054】
SSHEにおけるせん断速度は、好ましくは600s−1を超え、より好ましくは600〜800s−1である。SSHEにおけるせん断速度は、1000s−1以下であるのが好ましい。
【0055】
加熱セクションと冷却セクションとの間の混合物の保持時間は、個々の乳清タンパク質の変性率が50%から99%までに到達するのに十分な時間、すなわち1〜10分である。
【0056】
冷却セクションを離れるときの組成物の温度は、好ましくは75℃未満であり、より好ましくは50℃未満である。
【0057】
本発明の好ましい一実施形態では、以前に知られている食品加工方法に従って前処理した混合物を、
i)60〜70℃に加熱し、穏やかな撹拌にかけ、
ii)温度が72〜100℃であり、せん断速度が600s−1を超える第1のSSHEに移し、この温度及びせん断速度を1〜5分間維持した後、
iii)せん断速度が第1のSSHEにおけるせん断速度に等しい第2のSSHEに移して、得られた組成物を75℃未満に冷却すること
によって、タンパク質成分の微粒子化及び脂質の同時マイクロカプセル化にかける。
【0058】
本発明は、個々の乳清タンパク質の変性率が50%から99%である、低温殺菌した組成物を達成するための独特のプロセスを提供する。得られた組成物に対してさらなる低温殺菌を行う必要はない。組成物の貯蔵安定性を増大するために、組成物における機能上の変更も行わずにUHT処理を容易に行うことができる。さらに、油の存在下で高いタンパク質の変性率を達成することで、さらなる乳化剤の必要なしにさらなるpH調節に抵抗することが可能な安定な組成物を可能にする、注目に値するマイクロカプセル化の性質がもたらされる。
【0059】
本発明に従って微粒子化及びマイクロカプセル化に同時にかける混合物におけるpHは変化してよく、そのため様々なpHの組成物がもたらされる。
【0060】
本発明の組成物は感覚受容性が際立っており、粒子サイズの中央値の分布は0.1μmから50μmまで、より好ましくは0.4μmから10μmまでの範囲である。
【0061】
液体/エマルジョンの形態の組成物を、スプレードライ、凍結乾燥、又は流動床乾燥によって脱水して、増量剤及び/又は乾燥剤の添加を必要とせずに粉末を形成することができる。
【0062】
しかし、所望により、乳化剤、炭水化物、塩、抗酸化剤、着香料、増量剤、及び/又は乾燥剤を、乾燥前にエマルジョンに加えてもよい。
【0063】
本発明のこの同時のプロセスにより、さらなる要素の成分の添加を必要としないエマルジョン又は粉末が生成される。乳清及び脂質が、唯一必要とされる成分である。
【0064】
エマルジョン又は粉末を用いて、例えばオメガ3油で、あらゆる種類の食品製品又は飲料を強化することができる。機能性健康食品、食事療法食、及び医薬品は、多価不飽和脂肪酸を含む高含量の油が望ましい場合は、本発明の組成物を添加することによって入手することも可能である。本発明の組成物は、そのようなものとして、エマルジョン、飲料、又は粉末の形態で消費してもよい。
【0065】
脂質の健康上の利点に加えて、本発明の乳清タンパク質マトリックスは、それ自体、いかなる添加物も含まず、油を酸化的劣化から保護する天然の栄養素である。
【0066】
本発明の組成物で提供される高含量の乳清タンパク質により、組成物は、スポーツ選手及びスポーツをする者に対するタンパク質サプリメントとして関連あるものとなっている。
【0067】
本発明は、味及び安定性に関して優れた性質を有するオメガ3PUFAを多量に含む組成物を提供する。
【0068】
以下の実施例において、本発明をより詳しく説明する。
【実施例】
【0069】
(実施例1)
本発明の組成物の優れた性質を実証するために、本発明の方法に従って調製した組成物のサンプルの分析をいくつか行った。先行技術から知られている方法に従って調製した組成物の同様の分析も、比較の目的で行った。
【0070】
本発明の組成物の調製
エマルジョン
組成物水相中のタンパク質濃度20%の全固形分における乳清タンパク質濃度60%(WPC60)を有する未変性乳清タンパク質及び組成物の2%のカゼイン酸ナトリウム、及び魚油20%の混合物を、従来の食品加工方法に従って調製した。次いで、混合物をSSHEに移し、せん断速度>600s−1及び85〜95℃の温度に1〜5分間かけた。第2のSSHEにおいて同じせん断速度及び<75℃の温度でさらなる処理後、エマルジョンが得られた。
【0071】
粉末
上記で調製したエマルジョンを、従来のスプレードライによって乾燥した。
【0072】
比較組成物A1及びA2の調製
組成物水相中のタンパク質濃度20%の全固形分の乳清タンパク質濃度60%(WPC60)を有する未変性乳清タンパク質及び組成物の2%のカゼイン酸ナトリウム、及び魚油20%の混合物を、従来の食品加工方法に従って調製し、2つの異なる条件の均一化にかけて、2つの異なるエマルジョンA1、A2を形成した。
【0073】
A1:均一化を、150バールで1回行った。
A2:均一化を、150バールで3回行った。
【0074】
500バールの均一化によって加工した第3のエマルジョン(A3)は、エマルジョンの粘度がこの種の装置に対して高すぎたので得ることができなかった。
【0075】
従来のスプレードライによって、エマルジョンA1及びA2を粉末に形成した。エマルジョンの粘度が高かったので、スプレードライを可能にするために、組成物に大量の水を加えなければならなかった。
【0076】
比較組成物B1、B2、及びB3の調製
組成物水相中のタンパク質濃度20%の全固形分の乳清タンパク質濃度60%(WPC60)を有する未変性乳清タンパク質及び組成物の2%のカゼイン酸ナトリウムの混合物を、従来の食品加工方法にかけた。この混合液を、以前に知られている技術に従って微粒子化した。微粒子化したタンパク質に魚油20%を加え、次いでこの混合物を3つの異なる条件下で均一化して3つの異なるエマルジョンB1、B2、B3を得た。
【0077】
B1:均一化を、150バールで1回行った。
B2:均一化を、150バールで3回行った。
B3:均一化を、500バールで1回行った。
【0078】
B3の生成は、組成物に大量の水を加え、組成物を加工前に約60〜70℃に加熱した後に唯一可能であった。この前処理を行わないと、組成物の粘度が非常に増大して、この方法によって加工することができなかった。
【0079】
従来のスプレードライによって、エマルジョンB1、B2、及びB3を粉末に形成した。組成物A1及びA2と同様に、エマルジョンB1〜B3の粘度は高く、スプレードライを可能にするために大量の水を加えなければならなかった。
【0080】
分析
実施したエマルジョン及び粉末を、貯蔵安定性に関して、酸化安定性及び物理的性質に関して、例えば、味、粒子サイズ分布、レオロジーパラメータ、タービスキャン(turbiscan)及び遠心分離の安定性、タンパク質/脂肪の比率、タンパク質変性の程度、並びに可溶性などを試験した。本発明によるエマルジョン及び粉末は、エマルジョンA1、A2、B1、B2、及びB3、並びにそれらの粉末に比べて、行った全ての試験において良好な結果を示した。
【0081】
本発明によるエマルジョンは、際立って粘度が低く、物理的安定性が高く、望まれない魚の臭気がなく匂い及び味が良かった。4カ月を超える長期の貯蔵期間の間、エマルジョンの物理的安定性は非常に高く、粘度は低く、良好且つ許容できる味であったことがさらに見出された。
【0082】
本発明のエマルジョンの粘度は低いので、スプレードライのプロセスを、比較実施例のエマルジョンに対する場合よりも濃度の高い溶液を使用することによって行うことができた。これは、本発明の粉末にとって、より良好な生産経済性をもたらした。
【0083】
本発明による粉末は、良好且つ許容できる味を有し(すなわち、魚の臭気がなく)、4カ月を超える良好な貯蔵安定性があった。
【0084】
(実施例2)
本発明の組成物を以下の通りに調製した:
組成物水相中のタンパク質濃度10%の全固形分の乳清タンパク質濃度60%(WPC60)を有する未変性乳清タンパク質及び組成物の2%のカゼイン酸ナトリウム、及び魚油10%の混合物を、従来の食品加工方法に従って調製した。次いで、混合物をSSHEに移し、せん断速度>600s−1及び85℃の温度に1〜5分間かけた。第2のSSHEにおいて同じせん断速度及び<75℃の温度でさらなる処理後、得られた組成物をスプレードライにかけ、粉末が得られた。
【0085】
提供された組成物(エマルジョン)を、物理的安定性及び感覚受容性の性質の両方に対して試験し、これらの試験で良好なスコアが得られた。
【0086】
(実施例3)
本発明の組成物を以下の通りに調製した:
組成物水相中のタンパク質濃度10%の全固形分の乳清タンパク質濃度60%(WPC60)を有する未変性乳清タンパク質及び組成物の2%のカゼイン酸ナトリウム、及び魚油10%の混合物を、従来の食品加工方法に従って調製した。次いで、混合物をSSHEに移し、せん断速度>600s−1及び95℃の温度に1〜5分間かけた。第2のSSHEにおいて同じせん断速度及び<75℃の温度でさらなる処理後、得られた組成物をスプレードライにかけ、粉末が達成された。
【0087】
提供された組成物(エマルジョン)を、物理的安定性及び感覚受容性の性質の両方に対して試験し、これらの試験で良好なスコアが得られた。
【0088】
(実施例4)
本発明の組成物を以下の通りに調製した:
組成物水相中のタンパク質濃度10%の全固形分の乳清タンパク質濃度60%(WPC60)を有する未変性乳清タンパク質及び組成物の2%のカゼイン酸ナトリウム、及び魚油25%の混合物を、従来の食品加工方法に従って調製した。次いで、混合物をSSHEに移し、せん断速度>600s−1及び85℃の温度に1〜5分間かけた。第2のSSHEにおいて同じせん断速度及び<75℃の温度でさらなる処理後、エマルジョンが得られた。
【0089】
提供されたエマルジョンを、物理的安定性及び感覚受容性の性質の両方に対して試験し、これらの試験で良好なスコアが得られた。
【0090】
(実施例5)
本発明の組成物を以下の通りに調製した:
組成物水相中のタンパク質濃度10%の全固形分の乳清タンパク質濃度60%(WPC60)を有する未変性乳清タンパク質及び組成物の2%のカゼイン酸ナトリウム、及び魚油25%の混合物を、従来の食品加工方法に従って調製した。次いで、混合物をSSHEに移し、せん断速度>600s−1及び95℃の温度に1〜5分間かけた。第2のSSHEにおいて同じせん断速度及び<75℃の温度でさらなる処理後、エマルジョンが得られた。
【0091】
提供されたエマルジョンを、物理的安定性及び感覚受容性の性質の両方に対して試験し、これらの試験で良好なスコアが得られた。
【0092】
(実施例6)
本発明の組成物を以下の通りに調製した:
組成物水相中のタンパク質濃度20%の全固形分の乳清タンパク質濃度60%(WPC60)を有する未変性乳清タンパク質及び組成物の2%のカゼイン酸ナトリウム、及び魚油10%の混合物を、従来の食品加工方法に従って調製した。次いで、混合物をSSHEに移し、せん断速度>600s−1及び85℃の温度に1〜5分間かけた。第2のSSHEにおいて同じせん断速度及び<75℃の温度でさらなる処理後、エマルジョンが得られた。
【0093】
提供されたエマルジョンを、物理的安定性及び感覚受容性の性質の両方に対して試験し、これらの試験で良好なスコアが得られた。
【0094】
(実施例7)
本発明の組成物を以下の通りに調製した:
組成物水相中のタンパク質濃度20%の全固形分の乳清タンパク質濃度60%(WPC60)を有する未変性乳清タンパク質及び組成物の2%のカゼイン酸ナトリウム、及び魚油10%の混合物を、従来の食品加工方法に従って調製した。次いで、混合物をSSHEに移し、せん断速度>600s−1及び95℃の温度に1〜5分間かけた。第2のSSHEにおいて同じせん断速度及び<75℃の温度でさらなる処理後、エマルジョンが得られた。
【0095】
提供されたエマルジョンを、物理的安定性及び感覚受容性の性質の両方に対して試験し、これらの試験で良好なスコアが得られた。
【0096】
(実施例8)
本発明の組成物を以下の通りに調製した:
組成物水相中のタンパク質濃度15%の全固形分の乳清タンパク質濃度80%(WPC80)を有する未変性乳清タンパク質及び組成物の2%のダイズタンパク質、及び魚油15%の混合物を、従来の食品加工方法に従って調製した。次いで、混合物をSSHEに移し、せん断速度>600s−1及び85℃の温度に1〜5分間かけた。第2のSSHEにおいて同じせん断速度及び<75℃の温度でさらなる処理後、エマルジョンが得られた。
【0097】
提供されたエマルジョンを、物理的安定性及び感覚受容性の性質の両方に対して試験し、これらの試験で良好なスコアが得られた。
【0098】
(実施例9)
本発明の組成物を以下の通りに調製した:
組成物水相中のタンパク質濃度15%の全固形分の乳清タンパク質濃度80%(WPC80)を有する未変性乳清タンパク質及び組成物の2%のダイズタンパク質、及び魚油15%の混合物を、従来の食品加工方法に従って調製した。次いで、混合物をSSHEに移し、せん断速度>600s−1及び95℃の温度に1〜5分間かけた。第2のSSHEにおいて同じせん断速度及び<75℃の温度でさらなる処理後、エマルジョンが得られた。
【0099】
提供されたエマルジョンを、物理的安定性及び感覚受容性の性質の両方に対して試験し、これらの試験で良好なスコアが得られた。
【0100】
(実施例10)
本発明の組成物を以下の通りに調製した:
組成物水相中のタンパク質濃度15%の全固形分の乳清タンパク質濃度80%(WPC80)を有する未変性乳清タンパク質及び組成物の2%のカゼイン酸ナトリウム、及び魚油25%の混合物を、従来の食品加工方法に従って調製した。次いで、混合物をSSHEに移し、せん断速度>600s−1及び85℃の温度に1〜5分間かけた。第2のSSHEにおいて同じせん断速度及び<75℃の温度でさらなる処理後、エマルジョンが得られた。
【0101】
提供されたエマルジョンを、物理的安定性及び感覚受容性の性質の両方に対して試験し、これらの試験で良好なスコアが得られた。
【0102】
(実施例11)
本発明の組成物を以下の通りに調製した:
組成物水相中のタンパク質濃度15%の全固形分の乳清タンパク質濃度80%(WPC80)を有する未変性乳清タンパク質及び組成物の2%のカゼイン酸ナトリウム、及び魚油25%の混合物を、従来の食品加工方法に従って調製した。次いで、混合物をSSHEに移し、せん断速度>600s−1及び95℃の温度に1〜5分間かけた。第2のSSHEにおいて同じせん断速度及び<75℃の温度でさらなる処理後、エマルジョンが得られた。
【0103】
提供されたエマルジョンを、物理的安定性及び感覚受容性の性質の両方に対して試験し、これらの試験で良好なスコアが得られた。
【0104】
(実施例12)
本発明の組成物を以下の通りに調製した:
組成物水相中のタンパク質濃度20%の全固形分の乳清タンパク質濃度80%(WPC80)を有する未変性乳清タンパク質及び組成物の2%のカゼイン酸ナトリウム、及び魚油20%の混合物を、従来の食品加工方法に従って調製した。次いで、混合物をSSHEに移し、せん断速度>600s−1及び85℃の温度に1〜5分間かけた。第2のSSHEにおいて同じせん断速度及び<75℃の温度でさらなる処理後、得られた組成物をスプレードライにかけ、粉末が達成された。
【0105】
提供された組成物(エマルジョン)を、物理的安定性及び感覚受容性の性質の両方に対して試験し、これらの試験で良好なスコアが得られた。
【0106】
(実施例13)
本発明の組成物を以下の通りに調製した:
組成物水相中のタンパク質濃度20%の全固形分の乳清タンパク質濃度80%(WPC80)を有する未変性乳清タンパク質及び組成物の2%のカゼイン酸ナトリウム、及び魚油20%の混合物を、従来の食品加工方法に従って調製した。次いで、混合物をSSHEに移し、せん断速度>600s−1及び95℃の温度に1〜5分間かけた。第2のSSHEにおいて同じせん断速度及び<75℃の温度でさらなる処理後、得られた組成物をスプレードライにかけ、粉末が達成された。
【0107】
提供された組成物(エマルジョン)を、物理的安定性及び感覚受容性の性質の両方に対して試験し、これらの試験で良好なスコアが得られた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)タンパク質成分の供給源が、タンパク質の全濃度の40%以上の濃度の未変性乳清タンパク質を含み、
他のタンパク質の任意のものの濃度がタンパク質の全濃度の40%未満であり、
組成物における個々の乳清タンパク質の変性率が50%から99%である、
液体及び/若しくは粉末の形態の乳清タンパク質濃縮物、及び/又は乳清の濃縮物、及び/又は非濃縮乳清、及び/又はそれらの混合物、並びに前記他のタンパク質からなるタンパク質成分;並びに
b)前記タンパク質成分に由来しない脂質成分
を含む組成物。
【請求項2】
タンパク質供給源における未変性乳清タンパク質の濃度が、タンパク質成分の全濃度の50%以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
タンパク質供給源における未変性乳清タンパク質の濃度が、タンパク質成分の全濃度の60%以上である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
タンパク質供給源における未変性乳清タンパク質の濃度が、タンパク質成分の全濃度の70%以上である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
タンパク質供給源における未変性乳清タンパク質の濃度が、タンパク質成分の全濃度の75%以上である、請求項1から4までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
タンパク質供給源における未変性乳清タンパク質の濃度が、タンパク質成分の全濃度の80%以上である、請求項1から5までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
タンパク質供給源における未変性乳清タンパク質の濃度が、タンパク質成分の全濃度の85%以上である、請求項1から6までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
タンパク質供給源における未変性乳清タンパク質の濃度が、タンパク質成分の全濃度の90%以上である、請求項1から7までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
タンパク質供給源における未変性乳清タンパク質の濃度が、タンパク質成分の全濃度の95%以上である、請求項1から8までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
組成物における個々の乳清タンパク質の変性率が70%を超える、請求項1から9までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
組成物における個々の乳清タンパク質の変性率が80%を超える、請求項1から10までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
組成物における個々の乳清タンパク質の変性率が90%を超える、請求項1から11までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
乳清タンパク質の供給源が、非濃縮乳清及び乳清濃縮物、及び/又は乾燥物質における乳清タンパク質20%から90%までの乳清タンパク質の濃縮物、及び/又は乳清タンパク質単離物、及び/又はそれらの混合物である、請求項1から12までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
乳清タンパク質の供給源が、乳清濃縮物、及び/又は乾燥物質における乳清タンパク質20%から90%までの乳清タンパク質の濃縮物、及び/又は乳清タンパク質単離物、及び/又はそれらの混合物である、請求項1から13までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
乳清タンパク質の供給源が液体又は粉末の形態である、請求項1から14までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記他のタンパク質が、カゼイン、カゼイン塩、ミルクベースの粉末、バターミルク粉末、並びに/又は植物、野菜、及び/若しくは海洋性のタンパク質、卵タンパク質、及び/若しくは他の動物性タンパク質、及び微生物タンパク質、又は、液体及び/若しくは粉末の形態のそれらの加水分解物からなる群から選択される、請求項1から15までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
組成物における脂質成分の濃度が組成物の70重量%以下である、請求項1から16までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
液体の形態又はその粉末化した形態で存在する場合、組成物における脂質成分の濃度が組成物の約1重量%から30重量%である、請求項1から17までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
液体の形態又はその粉末化した形態で存在する場合、組成物における脂質成分の濃度が組成物の約10重量%から25重量%である、請求項1から18までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
組成物中のタンパク質/脂質の比率が0.3から30.0の範囲である、請求項1から19までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
組成物中のタンパク質/脂質の比率が0.3から4.0の範囲である、請求項1から20までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
脂質成分が、飽和、部分飽和、不飽和脂肪酸及び/又はその誘導体及び/又はそれらの混合物を含む、任意の食用の油又は脂肪である、請求項1から21までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
脂質成分が高含量の多価不飽和脂肪酸又はその誘導体を含む、請求項1から22までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
脂質成分が海洋由来の油である、請求項1から23までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記組成物が、乳化剤、炭水化物、塩、抗酸化剤、及び/又は着香料をさらに含む、請求項1から24までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
a)当技術分野では知られている食品加工方法に従って、タンパク質成分の供給源が、タンパク質の全濃度の40%以上の濃度の未変性乳清タンパク質を含み、他のタンパク質の任意のものの濃度がタンパク質の全濃度の40%未満である、液体及び/若しくは粉末の形態の乳清タンパク質濃縮物、及び/又は乳清の濃縮物、及び/又は非濃縮乳清、及び/又はそれらの混合物、並びに前記他のタンパク質からなるタンパク質成分と、前記タンパク質成分に由来しない脂質成分とを混合して、均一な混合物を作製するステップと、
b)前記混合物を、穏やかに撹拌しながら60〜70℃に加熱するステップと、
c)ステップb)からの混合物を、温度が72〜110℃である、加熱セクションを構成する1つ又は複数の表面掻き取り式熱交換器(SSHE)において>400s−1のせん断速度にするステップと、
d)1〜10分の保持時間の後、
e)ステップd)からの混合物を、冷却セクションを構成するさらなる1つ又は複数の表面かき取り式熱交換器(SSHE)において>400s−1のせん断速度にして、冷却セクションを離れるときに乳清タンパク質の変性温度未満の温度を有する組成物を得るステップと
を含む、請求項1に記載の組成物を調製する方法。
【請求項27】
加熱セクションの温度が80〜105℃である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
加熱セクションの温度が85〜105℃である、請求項26及び27に記載の方法。
【請求項29】
せん断速度が>600s−1である、請求項26から28までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
せん断速度が600〜800s−1である、請求項26から29までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
得られた組成物をさらに約4℃まで冷却にかける、請求項26から30までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
冷却セクションから離れた直後に、得られた組成物を超高温(UHT)処理にかける、請求項26から30までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
得られた組成物を、スプレードライ、凍結乾燥、又は流動床乾燥による脱水にさらにかけて、増量剤及び/又は乾燥剤を加える必要なく、粉末を形成する、請求項26から32までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
食品及び飲料、健康食品、特別な食餌療法の要求のための栄養、乳児用調合乳、医薬品、及び飼料における、請求項1から25までのいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項35】
食品及び飲料、健康食品、特別な食餌療法の要求のための栄養、乳児用調合乳、医薬品、及び特殊な食品としての、請求項1から25までのいずれか一項に記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2009−517082(P2009−517082A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543223(P2008−543223)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際出願番号】PCT/NO2006/000445
【国際公開番号】WO2007/064225
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(505318558)
【Fターム(参考)】