説明

乳癌を治療するための組成物および方法

本発明の主題は、癌治療法の分野に関する。特に、本発明は、患者における乳癌の治療および/または予防に関する。また、本方法を実践するための組成物であって、子宮においてプロゲステロンアゴニストとして、および胸部組織においてプロゲステロンアンタゴニストとして機能し、かつ糖質コルチコイドおよびエストロゲン受容体に対する低親和性のみを示す選択的プロゲステロン受容体モジュレーターを含む組成物が開示される。また、本発明の態様は、ホルモン置換療法またはエストロゲン療法を受けている患者における乳癌の発症を予防するための方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2008年4月28日に出願された米国仮出願No.61/048452の利益を主張し、その内容は参照により本明細書に援用される。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、乳癌治療のための組成物および方法に関する。より具体的には、本発明は、乳癌を治療するための低グルココルチコイド活性を有する1つまたは複数の選択的プロゲステロン受容体モジュレーターを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
2007年には、約200,000人の米国人女性が乳癌と診断されるだろう。最近のデータは、プロゲステロンが本疾患の発症において役割を果たすことを示唆する。
【0004】
いくつかの研究は、プロゲステロンが子宮と乳房において反対の機能を有することを証明した:プロゲステロンは、子宮においてはエストロゲンの増殖作用に対抗する分化剤として機能し、乳房においては分裂促進剤として機能する。具体的には、プロゲスチンは、イヌおよびマウスにおける自然発生乳癌の発症率を増加させることが示された。さらにまた、プロゲステロン受容体ノックアウトマウスにおける研究は、乳腺を特異的に標的とする化学発癌物質がプロゲステロン受容体に依存することを示す。加えて、組織培養実験は、プロゲスチンの作用は、1ラウンドの増殖に限られ、続いて停止し得ることを示す。プロゲスチンがEGF、c-erbB2およびc-erbB3に対する受容体をアップレギュレートし、また成長因子の結合の下流のこれらの活性を増強し得ることが見出された。これは、プロゲスチンが増殖に対して組織を「刺激する」という可能性を高め、ホルモン依存状態から成長因子依存状態へ転換し得る。
【0005】
Women’s Health Initiative (WHI)およびThe Million Women Studyからの近年の大規模臨床試験は、乳癌の発症とプロゲステロンの役割を関連づけ、増加した乳癌の危険性が、抱合ウマエストロゲン(CEE)およびプロゲスチンメドロキシプロゲステロンアセテート(MPA)および偽薬で構成されるホルモン置換療法(HRT)を受けている女性に存在するという結論を支持する。Million Women Studyにおいて、いくつかのプロゲステロンアゴニスト(MPA、ノルエチステロン、ノルゲストレル/レボノルゲストレル)の1つとの任意のエストロゲンの併用は、エストロゲン単独使用を上回って危険性を高め、使用の継続とともに危険性は上昇した。これらの統計データはまた、HRTの一部としてのプロゲスチンメドロキシプロゲステロンアセテート(MPA)を使用する女性が、より強度の末端の管小葉の単位増殖を示すことを提供する組織学的データにより支持される。臨床データに加えて、外科的に閉経期を作製したマカクザルにおける実験データは、エストロゲンとプロゲステロンの併用療法が、エストロゲン単独に比較して高レベルの乳房増殖および過形成に至ることを示す。追跡調査において、Clineらは、MPAと抱合ウマエストロゲンの組み合わせ(すなわち女性における標準的なHRT組み合わせ)が、乳房腺上皮の比率およびマカクザルの乳房上皮細胞の小葉におけるKi-67染色(増殖)を増加させることを見いだした。
【0006】
プロゲスチンは、「リガンド依存的転写因子」として知られる構造的に関連する遺伝子制御因子のクラスに属するプロゲステロン受容体(PR)との相互作用を介してこれらの機能を達成する(R. M. Evans、Science、240、889、1988)。プロゲステロン受容体ファミリーは細胞内受容体ファミリーのサブセットであり、エストロゲン受容体(ER)、アンドロゲン受容体(AR)、糖質コルチコイド受容体(GR)および無機質コルチコイド受容体(MR)を含む。細胞内プロゲステロン受容体(PR)は、大部分のプロゲステロンの作用の中心である。ヒトにおいて、2つの異なるPRアイソフォーム:PRAおよびPRBが存在する。両方のPRは、ホルモン活性化転写因子であり、活性化に応じて、転写調節ゲノム配列および他の転写因子と直接的に相互作用する。PRの転写機能はプロゲスチンとの相互作用に依存する。生殖可能年齢女性のプロゲステロン応答性組織は、月経周期の間のPRの発現レベルが非常に異なる。
【0007】
多くの異なる化合物が、PRのプロゲスチン依存的活性化に影響を及ぼすことが、当該技術分野において知られている。これらの化合物のいくつかは、すべての組織のプロゲステロンの機能を遮断することが知られている。これらの化合物は、純粋アンタゴニストと称され、組織に応じてプロゲステロンアゴニストストまたはプロゲステロンアンタゴニストのいずれかとして作用し得る選択的プロゲステロン受容体モジュレーター(SPRM)と区別されるべきである。当該技術分野において公知のSPRMの例は、抗プロゲスチンRu 486およびZK112993がある。
【0008】
Ru 486(ミフェプリストーン)は、7,12,-ジメチルベンズ(α)アントラセン(DMBA)での発癌開始に続いて3週間毎日投与される場合、ラットにおける腫瘍の発現を遅延させることが示された。Ru 486はまた、定着した腫瘍を有する動物における対照と比較して、腫瘍サイズを減少させることが示された。しかし、腫瘍サイズにおける減少は、血清ERおよびプロゲステロンの上昇を伴っていた。転移性乳癌を有する女性における2つの小規模臨床試験は、Ru 486が当該疾患に対してある程度の有効性を有することを示したが、大規模第2相試験では示されなかった。後の研究において、副腎不全の症候が観察された。これらの副作用は、女性における慢性使用を妨げるRu 486の著しい抗糖質コルチコイド活性およびその血清ERを上昇させる傾向からみて驚くにはあたらない。
【0009】
統計学的データは、2005年に乳癌と診断された200,000人の米国人女性中、ほぼ60%が外科手術時に転移性疾患を有さないが、同群の30%が最終的に再発することを示す。一次病巣がエストロゲン受容体(ER)およびプロゲステロン受容体(PR)を含む女性は、主に抗ER(たとえばタモキシフェンまたはアロマターゼ阻害薬)を使用するホルモン療法で治療される。ER-およびPR-陽性患者のほぼ70%はタモキシフェンに反応する。ERおよびPRの両方の存在が反応のために重要であり、ERがPRを誘導するが、乳癌の発症および進行の有望なモジュレーターとしての抗プロゲスチン開発に対する取り組みは殆ど行われていない。したがって、ヒト乳癌のプロゲステロン反応性を利用する療法は、ホルモン応答性の乳癌における大きな利点となり得る。国立癌研究所(NCI)による1998年の合意声明は、タモキシフェンが乳癌発症の防止するために予防的に有用であり得ることを報告した。このような療法は、HRTを受けている患者における乳癌の発症防止における特別な利点となり得る。好ましくは、このような療法は、多くの抗プロゲスチン性化合物と関連する抗糖質コルチコイド活性を回避する。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、女性におけるホルモン応答性の乳癌を治療するために抗プロゲスチンを使用する方法に関する。より具体的には、本発明は、胸部組織の増殖を抑制するために、糖質コルチコイド受容体に対する低親和性および低エストロゲン/抗エストロゲン活性を有する抗プロゲスチンを使用する。抗プロゲスチンは、抗プロゲスチンが糖質コルチコイド受容体に対する低親和性を有し、乳房組織の増殖を抑制する有効量で投与される限り、純粋の抗プロゲスチンまたは選択的プロゲステロン受容体モジュレーター(SPRM)でもよい。本発明の方法はまた、閉経期ホルモン置換療法などのホルモン治療を受けている患者における、過剰増殖およびその後の乳癌発症を防止するために使用し得る。
【0011】
本発明の組成物はまた、子宮内膜の過剰増殖、精神的鬱病、胆嚢疾患、高血圧症、耐糖能異常および凝固能亢進状態などのその他の症状の治療に有用であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】無処置(C =対照)、10mg RU-486処置(RU)、10mgプロゲステロン処置(P4)、20mg、10mg、2mg、1mg、0.1mg CDB-4124(4124)処置および同濃度のCDB-4124+10mgプロゲステロン処置(4124+P4)下のラットの腫瘍増殖パターンを描くグラフである。28日の検査期間にわたって少なくとも33%まで断面積が増加した腫瘍は、増殖しているとみなされる(黒色四角形)。同期間にわたって33%まで減少したものは、退行している(白色四角形)とみなされる。その他は、静止しているとみなされる(灰色四角形)。腫瘍を示す各処置群におけるタイプ別の増殖パターンの割合が示される。
【図2】高レベルのアロマターゼを発現するように操作されたT47D(ヒト乳癌)細胞に対する1μM、2μM、3μM、4μMおよび5μMの濃度でのCDB-4124の作用を示すグラフである。未処置の細胞を対照として用いた。グラフは、CDB-4124の処置がT47Darom細胞の増殖を用量依存的に阻害することを明示する。
【図3】1nMテストステロンの存在下でのT47Darom細胞に対する50μM、75μM、100μMまたは150μMのDL-アミノグルテチミド(AGM)の作用を示すグラフである。
【図4】(1)100μMのDL-アミノグルテチミド(AGM)+1μM CDB-4124;(2)100μMのDL-アミノグルテチミド(AGM)+2μM CDB-4124;(3)100μMのDL-アミノグルテチミド(AGM)+3μM CDB-4124;または(4)1nMテストステロンの存在下でのT47Darom細胞に対する100μMのDL-アミノグルテチミド(AGM)+4μM CDB-4124の作用を示すグラフである。グラフは、アロマターゼを発現する乳癌細胞の増殖抑制におけるAGMおよびCDB-4124の組み合わせの相乗効果を明示する。細胞増殖のほぼ70%の阻害が、別々に同濃度の同一化合物を用いた場合に観察される30%未満の阻害と比較して、4μM CDB-4124および100μM AGMの組み合わせで観察された。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
用語「有効用量」は、特定の症状を治療するために十分な組成物の活性成分の量を意味する。
【0014】
用語「選択的プロゲステロン受容体モジュレーター」は、組織特異的にプロゲステロン受容体の機能に影響を及ぼす化合物を意味する。化合物は、ある組織(たとえば胸部組織)においてプロゲステロン受容体アゴニストとして作用し、その他の組織(たとえば子宮)においてプロゲステロン受容体アゴニストとして作用する。
【0015】
本明細書に使用される用語「治療する」または「治療」は、増殖停止の障害、アポトーシスまたは増殖老化に関連する障害または疾患の任意の治療をいい、障害もしくは疾病の阻害、障害または疾病の発症の停止、障害や疾病の軽減、たとえば、障害や疾病の軽減、または疾病もしくは障害により生じる症状の軽減、疾病もしくは障害の症状の軽減などを含むが、これらに限定されない。
【0016】
用語「予防する」または「予防」は、成長停止の不全、アポトーシスまたは増殖老化に関連する障害または疾病に関して、何も生じなかった場合の障害もしくは疾病の発症を予防すること、またはすでに障害もしくは疾病が存在する場合にさらなる障害または疾病の発現を予防することを意味する。たとえば、本発明の組成物は、腫瘍の再発を防止するために使用し得る。腫瘍の再発は、後に臨床的に検出可能な腫瘍に拡大する、腫瘍細胞の残留する顕微鏡学的群または温床のため、生じ得る。
【0017】
用語「プロゲステロンアゴニスト」は、プロゲステロン受容体に結合し、天然のホルモン作用を模倣する化合物を意味する。
【0018】
用語「プロゲステロンアンタゴニスト」は、プロゲステロン受容体に結合し、プロゲステロン作用を阻害する化合物を意味する。
【0019】
乳房組織の増殖に関して本明細書で使用される「抑制する」または「抑制する(単数)」または「抑制」は、子宮内膜組織の有糸分裂の増殖が、同一条件下の未処置の乳房組織と比較して、プロゲステロンアンタゴニストの投与で抑制されることを意味し、たとえばアポトーシスを介するような細胞死から区別されるべきである。子宮内膜の有糸分裂の増殖抑制におけるプロゲステロンアンタゴニストの活性は、たとえば乳癌細胞株において、たとえばプロゲステロンで処置した細胞におけるブロモデオキシウリジン(BrdU)の取込みを対照(未処置)細胞と比較することによって試験され得る。
【0020】
女性のホルモンレベルに関して本明細書で使用される用語「実質的に減少されない」は、ホルモンレベルが本発明の組成物の投与の間正常範囲内に維持されることを意味する。したがって、ホルモンレベルが正常範囲内で維持される限り、ホルモンレベルの多少減少が生じ得ると考えられる。
【0021】
女性のホルモンレベルに関して本明細書に使用される「実質的に増大されない」は、ホルモンレベルが本発明の組成物の投与の間正常範囲内で維持されることを意味するしたがって、ホルモンレベルが正常範囲内で維持される限り、ホルモンレベルの多少の上昇が生じ得ると考えられる。
【0022】
本発明は、乳癌組織の増殖を抑制するのに十分な量で1つまたは複数の高プロゲスチンを含む組成物を投与することによって、乳癌を治療する方法に関する。本方法は、一定の抗プロゲスチンが乳癌組織におけるアポトーシスの誘導および乳癌組織の増殖抑制の両方に効果的であるという予想外の発見に起因し、したがって、これらの化合物は、乳癌組織のアポトーシスを誘導するが同組織の増殖は抑制し得ないRU 486のような他の高プロゲスチンと区別される。したがって、本発明の抗プロゲスチンは、既存の腫瘍の増殖を減少させて、胸部組織における新たな腫瘍の発生を防止することにおいて、驚くほど有効である。抗プロゲスチンが低糖質コルチコイド活性を有する限り、抗プロゲスチンは純粋の抗プロゲスチンでも、または特異的プロゲステロン受容体モジュレーター(SPRM)でもよい。好ましくは、引き続き抗プロゲスチンの投与を受ける患者において血清エストロゲンレベルが実質的に維持されるように、抗プロゲスチンは低エストロゲン/抗エストロゲン活性を有する。
【0023】
本発明の一つの側面において、1つまたは複数の抗プロゲスチンの有効量を含む本発明の組成物は、乳癌を治療するために乳癌患者に投与される。抗プロゲスチンの量は乳癌組織の増殖を抑制するのに有効である。
【0024】
関連する側面において、本発明は、乳癌細胞の増殖を抑制するための抗プロゲスチンの使用を提供する。乳癌細胞はヒト乳癌細胞などの哺乳動物乳癌細胞であり得る。乳癌細胞はまた、タモキシフェンなどの抗エストロゲンに耐性であり得る。
【0025】
本発明の別の側面において、1つまたは複数の抗プロゲスチンの有効量を含む本発明の組成物は、乳癌を治療するために、抗エストロゲン治療に耐性の1つまたは複数の腫瘍を有する乳癌患者に投与される。たとえば、本発明の化合物は患者のタモキシフェン耐性の乳癌を治療するために特に有用であり得る。
【0026】
本発明のさらなる側面において、乳癌組織の増殖を抑制するために、1つまたは複数の抗プロゲスチンの有効な量を含む本発明の組成物は、乳癌治療のための併用治療的投与法の1成分として投与される。この点に関して、本発明の組成物は、乳癌治療を対象とする任意の治療薬の投与の前、間または後に投与され得る。たとえば、本発明の抗プロゲスチンは、抗エストロゲン、抗アンドロゲン、タモキシフェンなどの選択的エストロゲン受容体モジュレーター、アナストロゾールなどのアロマターゼ阻害薬、レトロゾール、エキセメスタンまたはDL-アミノグルテチミド、アントラサイクリン、タキサン、アルキル化剤、メトトレキセート、ビンブラスチン、ビンクリスチン、シスプラチンなどの化学療法剤または任意のこれらの組み合わせと、組み合わせて使用し得る。本発明の組成物は、抗エストロゲン、抗アンドロゲン、アロマターゼ阻害剤などのその他の活性薬剤と相乗的に作用して患者の乳癌細胞増殖を阻害し得る。好ましい態様では、本発明の組成物は、女性患者の乳癌を治療するために1つまたは複数のアロマターゼ阻害薬と同時投与される。また本発明にしたがって、抗プロゲスチンおよびアロマターゼ阻害薬の有効量を含む組成物が意図される。好ましい組成物は、CDB-4124およびアナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタンおよびDL-アミノグルテチミドからなる群より選択されるアロマターゼ阻害薬を含む。
【0027】
本発明の別の側面では、乳癌組織の増殖を抑制するのに十分な1つまたは複数の抗プロゲスチンの有効量を含む本発明の組成物が、乳癌の発症を予防するためのホルモン治療を受けている女性に投与される。たとえば、本発明の組成物は、乳癌の発症を予防するためにホルモン置換療法を受けている女性に投与され得る。本発明の組成物はまた、乳癌の発症を予防するためにエストロゲン療法を受けている女性に投与され得る。
【0028】
本発明の化合物は、化合物が低糖質コルチコイド受容体結合活性のみを有し、その結果糖質コルチコイドの機能を妨げないので、ホルモン遮断治療を受けている乳癌患者において要される長期使用に適している。したがって、化合物の適用は、副作用、たとえば糖質グルココルチコイド受容体に対する高親和性を有する高プロゲスチンが用いられた場合に典型的にみられる気分変動、疲労および体重減少を減少したかもしれない。好ましくは、本発明の化合物はまた、低または実質的に無の、エストロゲン、抗エストロゲン、および抗アンドロゲン活性を有する。この点に関しては、好ましい抗プロゲスチンはCDB-4124およびCDB-4059であり、それぞれ低抗グルココルチコイド活性を有し、および少なくとも6ヶ月の投与期間の間ヒト女性にいて正常範囲内にエストロゲンレベルを維持することが見出された。
【0029】
任意の本発明の方法は、最少1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31またはより多くの日の投与期間、乳癌組織の増殖を抑制するために十分な抗プロゲスチンの量を含む組成物を投与することを含み得る。組成物はまた、最少1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはより多くの月の投与期間投与され得る。組成物はまた、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはより多くの年の投与期間投与され得る。投与期間の間、組成物は、一日おき、一か月おき等、毎日、または周期的に投与され得る。組成物はまた、断続的にまた投与され得る。たとえば、組成物は、1、2、3、4、5またはより多くの月の投与期間投与され得、後に一定期間中断し、同様に1、2、3、4、5またはより多くの月の投与期間が続く。
【0030】
上記の化合物の特徴を有する任意の公知の抗プロゲステロンは、本発明を実践する技術者によって使用され得る。特に有用な化合物は、その全体を参照することによって本明細書に組み入れられる、米国特許第6,861,415号に開示されたものなどの化合物、すなわち以下の一般式を有する21-置換19-ノルプレグナンである:
【0031】
【化1】

【0032】
式中:
Xは、たとえば、アルキル、アルケニル、アルキニル、水素、ハロ、モノアルキルアミノまたはN,N-ジメチルアミノなどのジアルキルアミノアミノであってもよく;
R1は、たとえば、O、NOHまたはNO-メチルであってもよく;
R2は、たとえば、水素またはアセチルであってもよく;および
R3は、たとえば、メンチルオキシ、ホルミルオキシ、アセトキシ、アシロキシ、S-アルコキシ、アセチルテオニル、グリシメート、ビニルエーテル、アセチルオキシメチル、炭酸メチル、ハロゲン、メチル、ヒドロキシおよびエチルオキシであってもよい。
【0033】
21-置換19-ノルブレグナンの例は、これらに限定されないが、下記に開示される24の化合物を含む。
1. 以下の構造式を有するCDB-4247(21-プロピオニルオキシ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0034】
【化2】

【0035】
2. 以下の構造式を有するCDB-4361(21-ビニルエーテル-17α-アセトキシ-11β-(4 N(N-ジメチルアミノフェニル))-19、-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0036】
【化3】

【0037】
3. 以下の構造式を有するCDB-4059(21-アセトキシ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0038】
【化4】

【0039】
4. 以下の構造式を有するCDB-4124(21-メトキシ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0040】
【化5】

【0041】
5. 以下の構造式を有するCDB-4031(21-ブロミン-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0042】
【化6】

【0043】
6. 以下の構造式を有するCDB-3876(21-クロリン-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0044】
【化7】

【0045】
7. 以下の構造式を有するCDB-4058(21-フロウリン-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0046】
【化8】

【0047】
8. 以下の構造式を有するCDB-4030(21-メチル-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0048】
【化9】

【0049】
9. 以下の構造式を有するCDB-4152(21-ヒドロキシ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0050】
【化10】

【0051】
10. 以下の構造式を有するCDB-4167(21-エチルオキシ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0052】
【化11】

【0053】
11. 以下の構造式を有するCDB-4101(21-メトキシチオ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0054】
【化12】

【0055】
12. 以下の構造式を有するCDB-4110(21-アセトニド-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0056】
【化13】

【0057】
13. 以下の構造式を有するCDB-4111(21-BMD-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0058】
【化14】

【0059】
14. 以下の構造式を有するCDB-4125(21-(Cyp*-ヒドロキシ)-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0060】
【化15】

【0061】
15. 以下の構造式を有するCDB-4205(3-ヒドロキシアミノ-21-メトキシ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0062】
【化16】

【0063】
16. 以下の構造式を有するCDB-4206(3-ヒドロキシアミノ-21-アセトキシ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0064】
【化17】

【0065】
17. 以下の構造式を有するCDB-4226(3-ヒドロキシアミノ-21-エチルオキシ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0066】
【化18】

【0067】
18. 以下の構造式を有するCDB-4262(3-メトキシアミノ-21-エチルオキシ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0068】
【化19】

【0069】
19. 以下の構造式を有するCDB-4223(21-メチルチオ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0070】
【化20】

【0071】
20. 以下の構造式を有するCDB-4119(4-ベンゾイン-21-アセチルチオ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0072】
【化21】

【0073】
21. 以下の構造式を有するCDB-4239(4-ベンゾイン-21-メトキシ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0074】
【化22】

【0075】
22. 以下の構造式を有するCDB-4306(21-グリシネート-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0076】
【化23】

【0077】
23. 以下の構造式を有するCDB-4352(21-シアノチオ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン)):
【0078】
【化24】

【0079】
24. 以下の構造式を有するCDB-4362(21-メトキシアセチル-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0080】
【化25】

【0081】
また、上記に開示した24個の化合物の11β-モノ脱メチル誘導体(すなわちXがN-メチルアミノであるもの)もまた、特に本発明の実施において有用である。この点に関しては、CDB-4124のモノ脱メチル化された誘導体である、CDB-4453(21-メトキシ-17α-アセトキシ-11β-(4-N-メチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン)は、その親よりさらに低い抗糖質コルチコイド活性を有することが示された。Attardiら、2002、Mol. Cell. Endocrin. 188:111-123は、その内容が参照により本明細書に援用される。
【0082】
上記の一般式の化合物およびこれらのモノ脱メチル化された誘導体が好ましいものであるが、抗プロゲスチンが乳癌組織の増殖を抑制することができる限り、任意の抗プロゲスチンをプロゲステロン受容体に作用するそのアンタゴニストのために本発明の実施に際して使用し得る。好ましくは、抗プロゲスチンは、また低抗糖質コルチコイド活性をゆうする。好ましくは、抗プロゲスチンは、最小のエストロゲンおよび抗エストロゲン活性を有する。
【0083】
本発明において有用な抗プロゲスチンは、限定されないが、DE 43 32 283およびDE 43 32 284に記述されたアソプリスニル(ベンズアルデヒド、4-[(11β,17β)-17-メトキシ-17-(メトキシメチル)-3-オキソエストラ-4,9-ジエン-11-イル]-1-(E)-オキシム;J867)、その代謝産物であるJ912(4-[17β-ヒドロキシ-17α-(メトキシメチル)-3-オキソエストラ-4,9-ジエン-11β-イル]ベンズアルデヒド-(1E)-オキシム)、並びにその他の化合物;Stratton ら、2000、Hu. Reprod. 15:1092-1099において記述されたCDB-2914(17α-アセトキシ-11β-(4-N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン)、並びにその他の化合物;Allanら、2006(、Steroids 71:949-954)において記述されたJNJ-1250132およびその他の化合物;Zhiら、1998、J. Med. Chem. 41:291-302において記述された5-アリール-1,2-ジヒドロクロメノ[3,4-f]キノリン;Zhangらに対する米国特許第6,509,334号、6,566,358号および6,713,478号において記述された1,4-ジヒドロ-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2-オン;Fensomeらに対する米国特許番号6,391,907において記述された1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン;Ulrichらに対する米国特許第6,417,214号において記述された2,3-ジヒドロ-1H-インドール;Zhangらに対する米国特許第6,380,235号において記述されたベンゾイミダゾロンおよびその類似体;Collinsらに対する米国特許第6,339,098号において記述された2,1-ベンゾイソチアゾリン2,2-ジオキシド;Santilliらに対する米国特許第6,306,851号および第6,441,019号において記述されたシクロカルバメートおよびシクロ-アミド;Zhangらに対する米国特許第6,369,056号において記述された環状尿素および環状アミド誘導体;並びにZhangらに対する米国特許第6,358,948号において記述されたキナゾリノンおよびベンゾオキサジン誘導体を含む。
【0084】
本発明において有用なその他の抗プロゲスチンは、限定されないが、米国特許第4,871,724号において記述された(6α,11β,17β)-11-(4-ジメチルアミノフェニル)-6-メチル-4',5'-ジヒドロスピロ[エストラ-4,9-ジエン-17,2'(3'H)-フラン]-3-オン(ORG-31710)およびその他の化合物;(11β,17α)-11-(4-アセチルフェニル)-17,23-エポキシ-19,24-ジノルコラ-4,9,20-トリエン-3-オン(ORG-33628);米国特許第4,921,845号において記述された(7β,11β,17β)-11-(4-ジメチルアミノフェニル-7-メチル]-4',5'-ジヒドロスピロ[エストラ-4,9-ジエン-17,2'(3'H)-フラン]-3-オン(ORG-31806)およびその他の化合物;Michnaら、1992、J. Steroid Biochem. Molec Biol. 41:339-348において記述されたZK-112993およびその他の化合物;ORG-31376;ORG-33245;ORG-31167;ORG-31343;RU-2992;RU-1479;RU-25056;RU-49295;RU-46556;RU-26819;LG1127;LG120753;LG120830;LG1447;LG121046;CGP-19984A;RTI-3021-012;RTI-3021-022;RTI-3021-020;RWJ-25333;ZK-136796;ZK-114043;ZK-230211;ZK-136798;ZK-98229;ZK-98734;およびZK-137316を含む。
【0085】
本発明において有用なさらに他の抗プロゲスチンは、限定されないが、米国特許第4,386,085号、第4,447,424号、第4,519,946号および第4,634,695号において記述された化合物;Jiangら、2006、Steroid 71:949-954において記述されたリン含有17β-側鎖ミフェプリストン類似体;米国特許第4,780,461号において記述されたオナプリストン(11β-[パラ-(ジメチルアミノ)フェニル]-17α-ヒドロキシ-17-(3-ヒドロキシプロピル)-13α-エストラ-4,9-ジエン-3-オン)およびその他の化合物;米国特許第4,609,651号において記述されたリロプリストン(((Z)-11β-[(4-ジメチルアミノ)フェニル]-17-β-ヒドロキシ-17α-(3-ヒドロキシ-1-プロペニル)エストラ-4,9-ジエン-3-オン)およびその他の化合物;Belagnerら、1981、Steroid 37:361-382において記述された11β-(4-メトキシフェニル)-17β-ヒドロキシ-17α-エチニル-4,9-エストラジエン-3-オンなどの11β置換19-ノルステロイド;米国特許第5,728,689号において記述された(Z)-11β-[(4-ジメチルアミノ)フェニル)]-17β-ヒドロキシ-17α-(3-ヒドロキシ-1-プロペニル)エステル-4-エン-3-オンのような11β-アリール-4-エストレン;米国特許第5,843,933号および第5,843,931号において記述された11β-アリール-エストレン誘導体;米国特許第5,693,628号において記述された4-[17β-メトキシ-17α-(メトキシメチル)-3-オキソエストラ-4,9-ジエン-11β-イル]ベンズアルデヒド-1-(E)-オキシムのような11-ベンズアルドキシム-エストラジエン誘導体;米国特許第5,576,310号において記述された4-[17β-メトキシ-17α-(メトキシメチル)-3-オキソエストラ-4,9-ジエン-11β-イル]ベンズアルデヒド-1-(E)-[O-(エチルアミノ)カルボニル]オキシムのような11-ベンズアルドキシム-17β-メトキシ-17α-メトキシメチル-エストラジエン誘導体;WO 99/45023において記述された4-[17β-メトキシ-17α-(メトキシメチル)-3-オキソエストラ-4,9-ジエン-11β-イル]ベンズアルデヒド-1-(E)-[O-(エチルチオ)カルボニル]オキシムなどのS-置換11β-ベンズアドオキシム-エストラ-4,9-ジエン-炭酸チオールエステル;DE 19652408、DE 4434488、DE 4216003、DE 4216004およびWO 98/24803において記述された(Z)-6'-(4-シアノフェニル)-9,11α-ジヒドロ-17β-ヒドロキシ-17α-[4-(1-オキソ-3-メチルブトキシ)-1-ブテニル]4'H-ナフト[3',2',1';10,9,11]エステル-4-エン-3-オンのようなステロイドエステル;WO 98/34947において記述された11β-(4-アセチルフェニル)-17β-ヒドロキシ-17α-(1,1,2,2,2-ペンタフルオロエチル)エストラ-4,9-ジエン-3-オンのようなフッ化1α-アルキル鎖ステロイド;米国特許第5,292,878号において記述された11β-(4-アセチルフェニル)-19,24-ジノル-17,23-エポキシ-17α-コラ-4,9,20-トリエン-3-オンのような17-スピロフラン-3'-イリデンステロイド;米国特許第5,439,913号において記述された(Z)-11β,19-[4-(3-ピリジニル)-o-フェニレン]-17β-ヒドロキシ-17α-[3-ヒドロキシ-1-プロペニル]-4-アンドロステン-3-オンおよびその他の化合物;米国特許第5,446,036号において記述された11β-[4-(1-メチルエテニル)フェニル]-17α-ヒドロキシ-17β-(3-ヒドロキシプロピル)-13α-エストラ-4,9-ジエン-3-オンのような13-アルキル-11-β-フェニルゴナン;米国特許第4,921,845号において記述された4',5'-ジヒドロ-11β-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]-6β-メチルスピロ[エストラ-4,9-ジエン-17β,2'(3'H)-フラン]-3-オンのような11-アリールステロイド;米国特許第4,829,060号、第4,814,327号および第5,089,488号において記述された11-β-アリール-エストラジエン;米国特許第5,739,125号、第5,407,928号および第5,273,971号において記述された11-β-アリール-4,9 ゴナジエンおよび11-β-アリール-13-アルキル-4,9-ゴナジエン;EP 289073において記述された11-β-アリール-6-アルキル(またはアルケニルまたはアルキニル)ステロイド;米国特許第5,093,507号において記述された10-β,11-β架橋ステロイド;米国特許第5,244,886号において記述された11-β-アリール-14-β-ステロイド;米国特許第5,095,129号、第5,446,178号、第5,478,956号および第5,232,915号において記述された19,11-β架橋ステロイド;米国特許第5,684,151号において記述された1-アリールスルホニル、アリールカルボニルおよび1-アリールホスホニル-3-フェニル-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン;米国特許第5,753,655号において記述された1-アリールスルホニル、アリールカルボニルおよびアリールチオカルボニルピリダジノ誘導体;米国特許第5,688,808号、第5,693,646号、第5,693,647号、第5,696,127号、第5,696,130号および第5,696,133号において記述された1,2-ジヒドロ-[1,2-g]キノリン誘導体および1,2-ジヒドロ-クロメノ-[3,4-f]キノリン誘導体;Kangら、2007、Bioorg. Med. Chem. Lett. 15:907-910において記述された(8S、13S、14R)-7-オキサ-エストラ-4,9-ジエン-3,17-ジオン1由来のオキサステロイド6;並びにKangら、2007、Bioorg. Med. Chem. Lett. 17:2531-2534において記述された7-オキサステロイド4を含む。
【0086】
好ましい態様において、抗プロゲスチンは、CDB-4059(21-アセトキシ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19、-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン))である。
【0087】
特に好ましい態様において、抗プロゲスチンは、CDB-4124(21-メトキシ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19、-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン))である。
【0088】
好ましくは、抗プロゲスチンは、乳癌細胞株の百細胞あたり少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%まで増殖細胞数を減少させる。乳癌細胞株は、MCF-7などのタモキシフェンに感受性であり得、またはLY-2などのタモキシフェンに対して耐性であり得る。
【0089】
別の態様では、本発明は、選択的プロゲステロン受容体結合活性を有する化合物を同定するために使用することができる方法を教示する。これらの方法は、抗McGinty、抗Clauberg、糖質コルチコイド、アンドロゲンで、エストロゲン、アンドロゲンおよび抗糖質コルチコイド(AG)、抗エストロゲンおよび抗アンドロゲン活性、並びに性交後および抗排卵活性などの受容体結合およびインビボバイオアッセイを含み、本発明の主要な化合物において参照として使用される。
【0090】
別の態様では、本発明は、また、潜在的抗プロゲスチンがさらにまたヒト細胞における転写活性に対するこれらの作用について解析され得ることを教示する。本発明において開示される抗プロゲスチンが参照として用いられる場合、この解析は、(1)抗プロゲスチンの受容体に対する候補化合物の相互作用、(2)その他の転写因子で活性化されたプロゲスチンの相互作用、および(3)プロゲステロン応答エレメント(PRE)での転写複合体の活性化に関する情報に関する情報を提供し得る。これらの実験において、ヒトPR-Bアイソフォーム(hPR-B)を発現するプラスミドは、PRE依存的なプロモーター下の関連技術の当業者に公知の任意のレポーターとともにHeLa、HepG2またはT47D細胞にコトランスフェクトすることができる。レポーターは、限定されないが、ルシフェラーゼ、β‐ガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質または黄色蛍光タンパク質を含む。トランスフェクション後、細胞は、候補化合物または陽性対照として働く本願に開示される抗プロゲスチンの1つで処理される。処理に続いて、細胞は、レポーター発現について測定される。
【0091】
別の態様では、本発明は、抗プロゲスチン候補を、ヒトリンパ性株細胞CEM-7におけるデキサメサゾン誘導の細胞死に対抗する能力について試験して、本願明細書において開示される抗プロゲスチンの効果と比較することができることを教示する。これらの実験において、デキサメサゾンは、細胞死を生じる濃度にて添加し得る。細胞は、次いで10-6から10-8Mの間の濃度にて、RU486、本発明の抗プロゲスチンの1つまたは試験化合物のいずれかで処理される。
【0092】
本発明にしたがって使用され得る抗プロゲスチン化合物は、米国特許第6,861,415号において開示されるものなどの当該技術分野において公知の合成化学技術を使用して合成することができる。ある種の官能基が反応条件下でその他の反応物質または試薬と干渉し、したがって一時的な保護を要する可能性があることを理解すべきである。保護基の使用は、’Protective Groups in Organic Synthesis’ 2nd edition, T. W. Greene & P. G. M. Wutz(Wiley-Interscience(1991))において記述される。
【0093】
一つの態様では、本発明の組成物は、1つまたは複数の抗プロゲスチンまたはその薬学的に許容される塩を含む。プロセス条件に応じて、得られた塩化合物は、中性、または塩形態のいずれでもあってもよい。塩形態は、水和物およびその他の溶媒和物、更には結晶性の多形を含む。遊離塩基およびこれらの最終産物の塩両方とも、本発明に従って使用し得る。
【0094】
酸付加塩は、それ自体公知の方法で、アルカリなどの塩基性物質を使用してまたはイオン交換によって遊離塩基に変換される。得られた遊離塩基は、有機または無機酸と塩をまた形成してもよい。
【0095】
酸付加塩の調製において、好ましくは、適切に薬学的に許容される塩を形成する酸が用いられる。このような酸の例は、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、脂肪酸、脂環式カルボン酸、またはスルホン酸、たギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、フマル酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸の酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、p-ヒドロキシ安息香酸、エンボン酸の酸、エタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、フェニル酢酸、マンデル酸、アロゲンベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ガラクタル酸、ガラクツロン酸またはナフタレンスルホン酸などである。全ての結晶形態形が、本発明に従って用いられ得る。
【0096】
塩基付加塩もまた、本発明にしたがって使用してよく、遊離酸型を、従来の方式で、塩を産生するために十分な量の所望の塩基と接触させることによって調製され得る。遊離酸形態は、塩形態を酸と接触させ、従来の方式で遊離酸を単離することによって再生してもよい。薬学的に許容される塩基付加塩は、アルカリおよびアルカリ土金属または有機アミンのような、金属またはアミンと形成されている。陽イオンとして使用される金属の例は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等である。適切なアミンの例は、リジン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン等のアミノ酸である。
【0097】
本発明の組成物は、経口、非経口的、経皮、直腸、経粘膜もしくは局所的な投与のために適切な用量単位または用量単位の形態で調製することができる。非経口投与は静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、クモ膜下および関節内投与を含むが、限定されない。
【0098】
本明細書の用語「経口投与」または「経口的に送達可能な」は、薬剤または組成物が嚥下されるかどうかにかかわらず、治療薬またはその組成物の任意の送達形態を含み、薬剤または組成物は、患者の口内に置かれる。したがって、「経口投与」は、口腔および舌下、並びに食道(たとえば吸入)投与を含む。
【0099】
さらに別の態様では、本発明の組成物は肛門坐剤として処方され、それはカカオ脂またはグリセリドを含むが限定されない坐剤基剤を含み得る。
【0100】
本発明の組成物はまた、吸入用に処方されてもよく、それは、限定されないが、溶液、懸濁液または乾燥粉末またはジクロロフルオロメタンまたはトリクロロフルオロメタンのような噴霧剤を使用するエアロゾル形態で投与され得る乳剤を含む形態であり得る。
【0101】
本発明の組成物はまた、経皮送達用に、たとえばクリーム、軟膏、ローション、ペースト、ゲル、医薬用硬膏剤、パッチまたは膜として処方され得る。このような組成物は、任意の適切な賦形剤、たとえば浸透増強剤等を含むことができる。
【0102】
本発明の組成物はまた、限定されないが、注射または持続注入によるものを含む、非経口投与用に処方され得る。注射用製剤は、懸濁液、溶液ならびに油性または水性媒体中のエマルションの形態でもよい。このような組成物は、限定されないが、無菌の、発熱性物質が含まれていない水、WFI等を含む適切な媒体で再構成される粉末形態で提供され得る。
【0103】
本発明の組成物はデボー製剤としてまた処方してもよく、それは移植または筋肉内注射によって投与され得る。このような組成物は、適切な高分子のまたは疎水性の材料(たとえば、許容される油中乳剤として)、イオン交換樹脂または難溶性誘導体として(たとえば難溶性塩として)と処方され得る。
【0104】
本発明の組成物はまた、リポソーム製剤として処方され得る。リポソーム製剤は、関心対象の細胞または角質層に浸透し、細胞膜と融合して細胞内にリポソームの内容物を送達することができる。たとえば、Yaroshに対する米国特許第5,077,211号、Redziniakらに対する米国特許第4,621,023号またはRedziniakらに対する米国特許第4,508,703号において記述されたもののようなリポソームを使用することができる。
【0105】
本発明の組成物は、錠剤(たとえば懸濁錠剤、咬合懸濁錠剤、迅速分散錠剤、咀嚼錠、発泡錠、二層錠剤、その他)、カプレット、カプセル(たとえば軟カプセルまたは硬ゼラチンカプセル)、粉末(たとえば包装粉末、ディスペンサブル粉末または発泡粉末)、ロゼンジ、サッシェ、カシェ剤、トローチ、ペレット、顆粒、微粒剤、カプセル化された微粒剤、粉末エアロゾル製剤または投与に合理的に適した他の任意の固形投与形態であり得る。
【0106】
錠剤は、多くの関連した周知の薬学技術のいずれかに従って調製することができる。一つの態様では、錠剤または他の固形投与形態は、限定されないが、以下の方法の1つまたは組み合わせを使用するプロセスにより調製され得る、(1)乾燥混合、(2)直接圧縮、(3)製粉、(4)乾燥または非水性造粒、(5)湿式造粒または(6)溶融。
【0107】
錠剤調製の湿式造粒プロセスにおける個々の工程は、典型的には成分の製粉およびふるい分け、乾燥粉末混合、ウエットマス、造粒および最終的な粉砕を含む。乾式造粒法は、粉末混合物を耐久性回転錠剤成形機の上で粗錠剤または「小塊(slug)」に圧縮することを含む。小塊は、次いで、粉砕操作によって、通常振動造粒機を通過することにより、粒状の粒子に分散する。個々の工程は、粉末の混合、圧縮(スラッギング)および粉砕(小塊減少または造粒)を含む。典型的には、湿式結合剤または水分は工程のいずれにおいても含まれない。
【0108】
別の態様では、固体投与形態は、抗プロゲスチンと1つまたは複数の医薬賦形剤を混合して実質的に均質な予備処方混合物を形成することにより調製することができる。予備処方混合物は、次いでさらに分割して、任意にさらに、任意の所望の剤形に加工することができる(たとえば、圧縮、カプセル化、包装、分散その他)。
【0109】
圧縮錠剤は、本発明の粉末または造粒組成物を圧縮することによって調製することができる。用語「圧縮錠剤」は、一般には、経口摂取に適切な、単純な素錠剤をいい、単一の圧縮によって、または圧縮前タッピングに続く最終圧縮によって調製される。本発明の錠剤は、被覆されるか、または別の方法で、改善された取扱性または保存特性の利点をもたらする投与形態を提供するために調合され得る。一つの態様では、任意のそのようなコーティングは、患者への投与の際に本発明の組成物の治療効果の開始を実質的に遅延させないように選択される。本明細書に使用される用語「懸濁錠剤」は、水に置かれた後、迅速に崩壊する圧縮錠剤をいう。
【0110】
本発明の組成物の適切な液体剤形は、溶液、水性または油性懸濁液、エリキシル、シロップ、乳剤、液体のエアロゾル製剤、ゲル、クリーム、軟膏、その他を含む。このような組成物はまた、使用前に水またはその他の適切な媒体で構成するための乾燥製品として処方され得る。
【0111】
一つの態様では、液体または半固体組成物は、室温、冷蔵(たとえば約5-10℃)温度または凍結温度のいずれかに約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12ヶ月の期間維持される密閉容器における貯蔵により、その中に存在する元の抗プロゲスチンの少なくとも約90%、少なくとも約92.5%、少なくとも約95%または少なくとも約97.5%を示す。
【0112】
本発明の組成物は、必要に応じて、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含むことができる。本明細書の用語「賦形剤」は、それ自体は治療剤ではなく、患者へ治療薬剤を送達するための担体または媒体として使用され、または薬学組成物にその取扱性もしくは保存性を改善するために添加され、または組成物の単位用量の形成を可能にし、もしくは促進するための任意の物質を意味する。賦形剤は、例示であって限定されないが、希釈剤、崩壊剤、結合剤、接着剤、湿潤剤、潤滑剤、流動促進剤(glidant)、表面修飾剤または界面活性物質、香料、懸濁化剤、乳化剤、非水系媒体、防腐剤、抗酸化剤、接着剤、pHおよび浸透圧調整剤(たとえば緩衝剤)、防腐剤、増粘剤、甘味剤、香料、味マスキング剤、着色剤または染料、浸透増強剤および組成物の外観を改善するために添加される物質を含む。
【0113】
本発明の組成物において任意に使用される賦形剤は、固体、半固体、液体またはこれらの組み合わせであることができる。賦形剤を含む本発明の組成物は、賦形剤と薬物または治療薬を混合することを含む薬学の任意の公知の技術によって調製することができる。
【0114】
本発明の組成物は、任意に1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤を賦形剤として含む。適切な希釈剤は、実例的には、個々にまたは組み合わせて、無水乳糖および乳糖一水和物を含む乳糖;直接圧縮性デンプンおよび加水分解デンプン(たとえば、Celutab(商標)およびEmdex(商標))を含むデンプン;マンニトール;ソルビトール;キシリトール;デキストロース(たとえば、Cerelose(商標) 2000)およびデキストロース一水和物;第二リン酸カルシウム二水和物;スクロースベースの希釈剤;粉砂糖;一塩基の硫酸カルシウム一水和物;硫酸カルシウム二水和物;粒状の乳酸カルシウムトリ水和物;デキストレート(dextrates);イノシトール;加水分解された穀粒の固体;アミロース;微結晶セルロース、食品等級のαおよび非結晶セルロース(たとえば、Rexcel(商標))および粉末セルロースを含むセルロース;炭酸カルシウム;グリシン;ベントナイト;ポリビニルピロリドン;等を含む。このような希釈剤は、存在する場合、組成物の総重量中、計約5%〜約99%、約10%〜約85%または約20%〜約80%で構成する。選択される任意の希釈剤(単数または複数)は、好ましくは適切な流動性および錠剤が望まれる場合、圧縮性を示す。
【0115】
外粒(extragranulara)微結晶性セルロース(すなわち乾燥工程の後、湿式造粒した組成物に添加された微結晶セルロース)は、硬度(錠剤用)および/または崩壊時間を改善するために使用することができる。
【0116】
本発明の組成物は、特に錠剤、カプセル剤またはその他の固形製剤については、賦形剤として任意に1つまたは複数の薬学的に許容される崩壊剤を含む。適切な崩壊剤は、個々にまたは組み合わせて、デンプングリコール酸ナトリウム(たとえば、PenWestのExplotab(商標))およびプレゼラチン化コーンスターチ(たとえば、National(商標) 1551、National(商標) 1550およびColocorn(商標) 1500)を含むデンプン、クレイ(たとえば、Veegum(商標) HV)、精製セルロース、微結晶セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム(たとえば、FMCのAc-Di-Sol(商標))のようなセルロース、アルギナート、クロスポビドンおよび寒天、グアー、キサンタン、イナゴマメ、カラヤゴム、ペクチンおよびタラカントガムのようなガムを含む。
【0117】
崩壊剤は、組成物の調整の間、特に造粒工程の前または圧縮前の潤滑工程の間の、任意の適切な工程にて添加し得る。このような崩壊剤は、存在する場合、組成物の総重量中、計約0.2%〜約30%、約0.2%〜約10%または約0.2%〜約5%を構成する。
【0118】
本発明の組成物は、特に錠剤製剤については、賦形剤として任意に1つまたは複数の薬学的に許容される結合剤または接着剤を含む。このような結合剤および接着剤は、好ましくは、錠剤化される粉末に十分な凝集力を与えて、サイジング、潤滑、圧縮および包装などの通常の加工作業を可能にするが、それでも摂取後に錠剤は崩壊し、組成物は吸収されるものとなる。適切な結合剤および接着剤は、個々にまたは組み合わせて、アカシア;トラガカンタ;スクロース;ゼラチン;グルコース;デンプン(たとえば、限定されないが、アルファ化でんぷん(たとえば、National(商標) 1511およびNational(商標) 1500));セルロース(たとえば、これらに限られないが、メチルセルロースおよびカルメロースナトリウム(たとえば、Tylose(商標));アルギン酸およびアルギン酸の塩;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;PEG;グアーガム;多糖類酸;ベントナイト;ポビドンK-15、K-30およびK-29/32のようなポビドン;ポリメタクリレート;HPMC;ヒドロキシプロピルセルロース(たとえば、Klucel(商標));およびエチルセルロース(たとえば、Ethocel(商標))を含む。このような結合剤および/または接着剤は、存在する場合、組成物の総重量中、計約0.5%〜約25%、約0.75%〜約15%または約1%〜約10%を構成する。
【0119】
本発明の組成物は、賦形剤として任意に1つまたは複数の薬学的に許容される湿潤剤を含む。本発明の組成物における湿潤剤として使用し得る界面活性剤の非限定的な例は、第4級アンモニウム化合物、たとえば塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムおよびセチルピリジニウム塩化物、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、たとえばノノキシノール9、ノノキシノール10およびオクトキシノール9、ポロキサマー(ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンブロック共重合体)、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリドおよび油、たとえばポリオキシエチレン(8)カプリル酸/カプリン酸モノおよびジグリセリド(たとえば、GattefossのLabrasol(商標)))、ポリオキシエチレン(35)ヒマシ油およびポリオキシエチレン水素化(40)ヒマシ油;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、たとえばポリオキシエチレン(20)セトステアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、たとえばポリオキシエチレン(40)ステアラート、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、たとえばポリソルベート20およびポリソルベート80(たとえば、ICIのTween(商標) 80)、プロピレングリコール脂肪酸エステルたとえばプロピレングリコールラウレート(たとえば、GattefossのLauroglycol(商標))、ドデシル硫酸ナトリウム、脂肪酸およびその塩、たとえばオレイン酸、オレイン酸ナトリウムおよびオレイン酸トリエタノールアミン、グリセリル脂肪酸エステル、たとえばモノステアリン酸グリセリン、ソルビタンエステル、たとえばソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテートおよびソルビタンモノステアレート、チロキサポールおよびこれらの混合物を含む。このような湿潤剤は、存在する場合、組成物の総重量中、計約0.25%〜約15%、約0.4%〜約10%または約0.5%〜約5%を構成する。
【0120】
本発明の組成物は、賦形剤として任意に、1つまたは複数の薬学的に許容される潤滑剤(抗付着剤および/または流動促進剤を含む)を含む。適切な潤滑剤は、個々にまたは組み合わせて、グリセリルベハペート(たとえば、Compritol(商標) 888);マグネシウム塩(ステアリン酸マグネシウム)、ステアリン酸カルシウムおよびナトリウムを含むステアリン酸およびその塩;水素添加植物油(たとえば、Sterotex(商標));コロイダルシリカ;タルク;ろう;ホウ酸;安息香酸ナトリウム;酢酸ナトリウム;ナトリウムフマル酸塩;塩化ナトリウム;DL-ロイシン;PEG(たとえば、Carbowax(商標) 4000およびCarbowax(商標) 6000);オレイン酸ナトリウム;ドデシル硫酸ナトリウム;およびマグネシウムラウリルサルフェートを含む。このような潤滑剤は、存在する場合、組成物の総重量中、計約0.1%〜約10%、約0.2%〜約8%または約0.25%〜約5%を構成する。
【0121】
適切な抗付着剤は、タルク、コーンスターチ、DL-ロイシン、ドデシル硫酸ナトリウムおよび金属ステアリン酸塩類を含む。タルクは抗付着剤または流動促進剤であり、たとえば、製剤の機器への粘着を減少させ、また混合物における静電気を減少させるために使用される。1つまたは複数の抗付着剤は、存在する場合、組成物の総重量中、計約0.1%〜約10%、約0.25%〜約5%または約0.5%〜約2%を構成する。
【0122】
流動促進剤は、固形製剤の粉末流動性を促進するために使用することができる。適切な流動促進剤は、コロイド状二酸化ケイ素、デンプン、タルク、第三リン酸カルシウム、粉末セルロースおよび三ケイ酸マグネシウムを含む。コロイド状二酸化ケイ素が特に好ましい。
【0123】
本発明の組成物は、1つまたは複数の消泡剤を含むことができる。シメチコンは、実例的な消泡剤である。消泡剤は、存在する場合、組成物の総重量中、計約0.001%〜約5%、約0.001%〜約2%または約0.001%〜約1%を構成する。
【0124】
本発明に使用するための実例的な抗酸化剤は、限定されないが、ブチルオキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、メタ重亜硫酸カリウム等を含む。1つまたは複数の抗酸化剤は、必要なら、典型的には、重量によって約0.01%〜約2.5%、たとえば約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.5%、約1%、約1.5%、約1.75%、約2%、約2.25%または約2.5%の量で本発明の組成物中に存在する。
【0125】
種々の態様において、本発明の組成物は保存剤を含むことができる。適切な保存剤は、限定されないが、塩化ベンザルコニウム、メチル、エチル、プロピルまたはブチルパラベン、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、ベンゼトニウム、メチルまたはプロピルp-ヒドロキシベンゾアートおよびソルビン酸またはこれらの組み合わせを含む。典型的には、任意の保存剤は、重量によって約0.01%〜約0.5%または約0.01%〜約2.5%の量で存在する。
【0126】
一つの態様では、本発明の組成物は任意に緩衝剤を含む。緩衝剤は、pH変化を減少させる物質を含む。本発明の種々の態様に使用するための緩衝剤の実例的なクラスは、たとえばIA族金属の重炭酸塩、IA族金属の炭酸塩のようなIA族金属塩、アルカリまたはアルカリ土類金属緩衝剤、アルミニウム緩衝剤、カルシウム緩衝剤、ナトリウム緩衝剤またはマグネシウム緩衝剤を含む。適切な緩衝剤は、任意の前述の炭酸塩、リン酸塩、炭酸水素塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、フタル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、たとえばリン酸、クエン酸、ホウ酸、酢酸、重炭酸および炭酸ナトリウムまたはカリウムを含む。
【0127】
適切な緩衝剤の非限定的な例は、アルミニウム、水酸化マグネシウム、アルミニウムグリシナート、酢酸カルシウム、重炭酸カルシウム、ホウ酸カルシウム、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、フタル酸カルシウム、リン酸カルシウム、コハク酸カルシウム、酒石酸カルシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、酢酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウム、ホウ酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、乳酸マグネシウム、マグネシウムメタケイ酸アルミン酸塩、酸化マグネシウム、マグネシウムフタル酸塩、リン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、酒石酸マグネシウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、ホウ酸カリウム、枸櫞酸カリウム、メタリン酸カリウム、フタル酸カリウム、リン酸カリウム、ポリリン酸カリウム、ピロリン酸カリウム、琥珀酸カリウム、酒石酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、ナトリウムリン酸水素、水酸化ナトリウム、乳酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、合成ヒドロタルサイト、ピロリン酸カリウム、ピロリン酸四ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸三ナトリウムおよびトロメタノールを含む(部分的にはMerck Index、Merck & Co. Rahway、N.J.(2001)に提供される一覧に基づく)。さらに、上述した緩衝剤の任意の2つ以上の組み合わせまたは混合物を、本明細書に記述される医薬組成物に使用することができる。1つまたは複数の緩衝剤は、必要に応じて、重量によって約0.01%〜約5%または約0.01%〜約3%の量で、本発明の組成物中に存在する。
【0128】
種々の態様において、本発明の組成物は、粘度を増加させる1つまたは複数の薬剤を含んでいてもよい。粘度を増加させる実例的な物質は、限定されないが、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、カラゲナン、カルボポールおよび/またはこれらの組み合わせを含む。典型的には、一つ以上の粘性を増加させる物質は、必要に応じて、重量によって約0.1%〜約10%または約0.1%〜約5%の量で本発明の組成物中に存在する。
【0129】
種々の態様において、本発明の組成物は、組成物の官能特性を改善する「官能物質」を含む。本明細書の用語「官能物質」は、香味または匂いを改善し得る任意の賦形剤または本発明の組成物の不快な香味または匂いをマスキングするのを補助し得る任意の賦形剤をいう。このような薬剤は、甘味料、香料および/または味マスキング剤を含む。適切な甘味料および/または香料は、医薬組成物を甘くしまたは香味をつける任意の薬剤を含む。近似の、任意の官能物質は、典型的には、約0.1mg/ml〜約10mg/ml、約0.5mg/ml〜5mg/mlまたは約lmg/mlの量で本発明の組成物中に存在する。
【0130】
実例的な甘味料または香料は、限定されないが、アカシアシロップ、アネトール、アニス油、芳香エリキシル、ベンズアルデヒド、ベンズアルデヒドエリキシル、シクロデキストリン、キャラウェー、カラウェー油、ショウズク油、ショウズクの種子、ショウズクスピリット、ショウズクチンキ、チェリージュース、サクラシロップ、ニッケイ、ケイ皮油、ニッケイ水、クエン酸、クエン酸シロップ、丁字油、ココア、ココアシロップ、コリアンダー油、デキストロース、エリオジクチオン、エリオジクチオン流エキス剤、エリオジクチオンシロップ、芳香族、酢酸エチル、エチルバニリン、茴香油、生姜、生姜流エキス剤、生姜樹脂油、デキストロース、グルコース、糖、マルトデキストリン、グリセリン、甘草、甘草エリキシル、甘草抽出物、純粋甘草抽出物、甘草流エキス、甘草シロップ、ハチ蜜、イソアルコリック‐エリキシル、ラベンダー油、レモン油、レモンチンキ、マンニトール、サリチル酸メチル、ニクズク油、オレンジ苦味酒、エリキシル、オレンジ苦味酒、油、橙花油、オレンジ花水、オレンジ油、オレンジピール、苦味酒、オレンジピールデザート、チンキ、オレンジ精神、オレンジシロップ、ペパーミント、ハッカ油、ペパーミントスピリット、ペパーミント水、フェニルエチルアルコール、キイチゴ果汁、キイチゴシロップ、ローズマリー油、ローズ油、ローズ水、ストロンジャー(stronger)、サッカリン、サッカリンカルシウム、サッカリンナトリウム、サルサシロップ、サルサ、ソルビトール溶液、スペアミント、スペアミント油、スクロース、スクラロース、シロップ、サイム油、トルーバルサム、トルーバルサムシロップ、バニラ、バニラチンキ、バニリン、野生のサクラシロップまたはこれらの組み合わせを含む。
【0131】
実例的な味マスキング剤は、限定されないが、シクロデキストリン、シクロデキストリン乳剤、シクロデキストリン粒子、シクロデキストリン複合体またはこれらの組み合わせを含む。
【0132】
実例的な懸濁剤は、限定されないが、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/糖シロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルおよび水素添加食用脂を含む。
【0133】
実例的な乳化剤は、限定されないが、レシチン、ソルビタンモノオレエートおよびアカアをを含む。非水系の媒体は、限定されないが、食用油、甘扁桃油、椰子油、油性エステル、プロピレングリコールおよびエチルアルコールを含む。
【0134】
前述の賦形剤は、当技術分野において公知のとおり複数の役割を有し得る。たとえば、デンプンは、崩壊剤と同様に充填剤として機能し得る。上記の賦形剤の分類は、いかなる方法でも限定したものとして構成されるべきでない。
【0135】
本発明の組成物は、限定されないが、経口的に、非経口的に、舌下に、経皮的に、直腸に、経粘膜的に、局所的に、吸入を介して、口腔内投与を介して、またはそれらの組み合わせを含む任意の方法で投与され得る。非経口投与は、限定されないが、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、髄腔内、関節内、脳室内投与を含む。
【0136】
治療上の使用に必要な組成物の治療的有効量は、とりわけ要因のなかで、活性が求められる時間の長さ、並びに治療される患者の年齢および症状により変化し、最終的には主治医によって決定される。しかし、一般的に、ヒト治療のために使用される用量は、典型的には1日あたり約0.001mg/kg〜1日約500mg/kg、たとえば1日あたり約1μg/kg〜約1mg/kgまたは1日あたり約1μg/kg〜約100μg/kg)の範囲である。大部分の大きな哺乳類については、1日総投与量は約1〜100mg、好ましくは約2〜80mgである。投与計画は、最適の治療反応を提供するように調整され得る。所望用量は、便利に単回投与され得、また適当な間隔で、たとえば1日あたり2、3、4またはそれ以上のサブドーズとして複数回投与され得る。
【0137】
実例的には、本発明の組成物は、患者にプロゲステロンアンタゴニストを提供するために、約1μ/kgから約1μ/kg体重で、たとえば約1μg/kg、約25μg/kg、約50μg/kg、約75μg/kg、約100μg/kg、約125μg/kg、約150μg/kg、約175μg/kg、約200μg/kg、約225μg/kg、約250μg/kg、約275μg/kg、約300μg/kg、約325μg/kg、約350μg/kg、約375μg/kg、約400μg/kg、約425μg/kg、約450μg/kg、約475μg/kg、約500μg/kg、約525μg/kg、約550μg/kg、約575μg/kg、約600μg/kg、約625μg/kg、約650μg/kg、約675μg/kg、約700μg/kg、約725μg/kg、約750μg/kg、約775μg/kg、約800μg/kg、約825μg/kg、約850μg/kg、約875μg/kg、約900μg/kg、約925μg/kg、約950μg/kg、約975μg/kgまたは約1 mg/kg 体重の量で投与し得る。
【0138】
本発明の組成物を用いた治療を受けている患者は、血清エストロゲンおよび糖質コルチコイドレベルについて定期的に測定されるべきである。
【0139】
以下の非限定的実施例は、本発明の教示を理解するのを助けるために提供される。
【0140】
実施例1 本発明の製剤は錠剤として調製され得る
本発明を実施するための錠剤を得るために、以下の成分を錠剤成形機で一緒に圧縮することができる:
10.0 mg CDB-4124
140.5 mg ラクトース
69.5 mg コーンスターチ
2.5 mg ポリ-N-ビニルピロリドン
2.0 mg アエロジル
0.5 mg ステアリン酸マグネシウム
【0141】
本発明を実施するための二層錠剤を得るために、以下の成分を錠剤成形機で一緒に圧縮することができる:
20.0 mg タモキシフェン
50.0 mg CDB-4124
105.0 mg ラクトース
40.0 mg コーンスターチ
2.5 mg ポリ-N-ビニルピロリドン 25
2.0 mg アエロジル
0.5 mg ステアリン酸マグネシウム
【0142】
本発明を実施するための抗エストロゲンを含む錠剤を得るため、たとえば、以下の成分を錠剤成形機で一緒に圧縮することができる:
10.0 mg ラロキシフェン
30.0 mg CDB-4124
125.0 mg ラクトース
50.0 mg コーンスターチ
2.5 mg ポリ-N-ビニルピロリドン 25
2.0 mg アエロジル
0.5 mg ステアリン酸マグネシウム
【0143】
本発明を実施するための油性製剤を得るために、たとえば、以下の成分を一緒に混合しアンプルに充填することができる:
100.0 mg CDB-4124
343.4 mg ヒマシ油
608.6 mg 安息香酸ベンジル
【0144】
実施例2 本発明の化合物は弱い抗糖質コルチコイド受容体結合活性のみを有する
一定のある抗プロゲスチンを、ウサギプロゲステロン受容体(rbPR)および糖質コルチコイド受容体(rbGR)の結合能力に関して受容体-結合アッセイで試験した。簡潔には、PRまたはGRを含むサイトゾルを、エストラジオール感作された未成熟のウサギの子宮または胸腺から、それぞれ、TEGMD緩衝液(10mM Tris、pH 7.2、1.5mM EDTA、0.2mMモリブデン酸ナトリウム、10%のグリセロール、1mM DTT)中に調製した。PR結合については、サイトゾルを6nM 1,2-[3H]プロゲステロン(50.0Ci/mmole)と共にインキュベートし、競合物質を2から100nMの濃度で添加した。GRに対する結合については、サイトゾルを6nM 6,7-[3H]-デキサメサゾン(40Ci/mmol)と共にインキュベートし、試験化合物を20から100nMまでの濃度で添加した。4℃で一晩インキュベーションした後、結合および非結合[3H]ステロイドを、デキストラン被覆活性炭の添加して、4℃にて15分間2100×gの遠心分離により分離した。[3H]-ステロイド受容体複合体を含む上清を、4mlのOptifluor(Packard Instrument Co.)を含むバイアルにデカントし、ボルテックスし、30分間液体シンチレーション計数器において平衡化して、次いで2分間計数した。計数データを4パラメーターS字形コンピュータープログラム(RiaSmart(登録商標) Immunoassay Data Reduction Program, Packard Instrument Co., Meriden, Conn.)に入力することによって、各標準曲線および各化合物曲線に関するEC50(有効濃度)を決定した。以下の方程式を使用して各化合物の相対結合親和性(RBA)を算出した:標準のEC50/試験化合物のEC50 x 100。PRおよびGRアッセイに関する標準は、それぞれ非標識プロゲステロンおよびデキサメタゾンであった。これらの実験の結果は、rbPRおよびrbGR受容体に対する各化合物の相対結合親和性の比率(rbPR/rbGR)として、表1に要約してある。この差異は、2つの受容体および必要な転写補因子を有する細胞または組織中の化合物の相対活量を反映する。
【0145】
抗McGintyおよび抗Claubergアッセイによるウサギ子宮における同一化合物の相対的生物学的活性も、表に示してある。CDB-2914を用いる実験の結果が以前に発表されていることから(Hild-Petitoら、1996; Passaroら、1997; Reelら、1998; Larnerら、2000)、化合物CDB-2914(表の末尾に記載)をこれらの実験のための対照または参照化合物(ウサギ生物学的活性=1.00)として用いた。抗McGinty試験については、未成熟の雌ウサギに、6連続日の間毎日10%エタノール/ゴマ油中のエストラジオール5μgのエストラジオールを皮下注射した。7日目に、動物に滅菌腹部手術を行い、両方の子宮角の3-4cmのセグメントを結紮した。適切な溶媒に入った試験化合物を一方の子宮角の結紮したセグメントに、そして媒体単独を他方に、腔内投与した。刺激用量のプロゲステロン(267μg/日)を、子宮内膜の増殖を誘導するために、次の3日間毎日各ウサギに皮下投与した。全動物は、子宮の除去のために10日目に屠殺して、結紮の中心となるセグメントを除去し、10%中性緩衝ホルマリン中に固定して、組織学的処理に供した。ヘマトキシリンおよびエオシンで染色した5ミクロン切片を、子宮内膜腺の増殖の程度に関して顕微鏡的に評価した。各ウサギに関する子宮内膜の増殖の阻害パーセントを算出し、5羽の動物群の平均を記録した。抗Clauberg試験に関しては、未成熟の雌ウサギに、6連続日の間毎日10%のエタノール/ゴマ油中のエストラジオール5μgを皮下注射した。7日目に、動物に皮下注射によるプロゲステロン160μg/日)および適切な媒体中の試験化合物を経口的または皮下的に、連続5日間投与した。ウサギの1群には、プロゲステロンのみを投与した。最終用量の24時間後に、全動物を屠殺して子宮を除去し、全ての脂肪および結合組織を取り除くと、ほぼ0.2mgの重さであり、その後の組織学的処理のために10%の中性緩衝ホルマリン中に入れた。ヘマトキシリン‐エオジンで染色した5ミクロン切片を、子宮内膜腺の増殖の程度に関して、顕微鏡的に評価した。試験化合物の各服用レベルにおける子宮内膜の増殖の阻害パーセントは、プロゲステロン刺激動物単独と比較することにより得た。表1に示したデータ(ウサギ生物学的活性)は、CDB-2914と比較した、抗McGintyおよび抗Claubergアッセイによる各化合物に関して得られた結果の平均を反映している。
【0146】
表1に記載したように、試験した抗プロゲスチンを、各化合物のウサギGRを超えるウサギPRに対する選択性に基づき、順位付けした。抗プロゲスチンはまた、ウサギ子宮における生物学的活性に基づき、順位付けした。表1に示したデータは、主要化合物のプロゲステロン受容体に対する親和性が糖質コルチコイド受容体に対するこれらの親和性より少なくとも1.5倍大きかったということを示す。
【0147】
これらの試験の結果はまた、2つの主要化合物CDB-4124およびCDB-4059が、Ru 486およびCDB-2914と比較して、ウサギ子宮における強力な抗プロゲスチン活性を有することも示す。両化合物は、エストロゲン、アンドロゲン、抗エストロゲンおよび抗アンドロゲンの活性を欠く。両化合物は、中程度の糖質コルチコイド受容体結合活性を有するRU 486およびCDB-2914とそれらを区別する特徴である最小の抗糖質コルチコイド受容体活性を有する。これらのアッセイにおいて、CDB-4124は、CDB-4059よりわずかに良好に機能する。
【0148】
【表1】

【0149】
実施例3 腫瘍誘導および腫瘍出現の潜伏
乳房の腫瘍を誘導するために、Sprague-Dawley雌ラットに、50日齢にて10mg/kgのDMBAを投与した。14匹のラットの1群(第2群)には、DMBAなしの対照として、DMBAの代わりに50日齢にてゴマ油を投与した。動物は、病変または膨張の何らかの兆候を発見すべく、毎週計量し、また乳腺に沿って触診した。腫瘍小結節を確認し、毎週測径器で計測した。腫瘍が、いずれかの寸法において10-12mmのサイズに増大したとき、個々の動物を無作為に14群の1つに分けた。腫瘍は、強制飼養の39日後すぐに、遅くとも194日で出現した(後者の個体は研究に含めなかった)。腫瘍出現の潜伏期間の平均は106±30日であった。DMBA投与群の間に潜伏に関して差はなかった(p=0.545、Kruskal-Wallis検定)。
【0150】
動物は、以下のスケジュールで28日間処置した。第1群は媒体(ゴマ油中の10%エタノール)を毎日皮下注射した。第2群(DMBAなしの対照群−腫瘍は予想されない)は、3ヶ月間にわたって、事前に決定されたスケジュールで治療の開始をシミュレートするために媒体を投与した。第3群および第4群は、それぞれ毎日Ru 486または微粉化プロゲステロンを10mg/kg体重にて皮下注射した。第5〜9群は、それぞれ20mg/kg、10mg/kg、2mg/kg、1mg/kgおよび0.1mg/kgのCDB-4124を投与した。10mg/kgの微粉化プロゲステロンがまた注射組成物の成分として添加されたことを除いては、第10〜14群は第5〜9群に与えられた治療を反映させた。
【0151】
動物は、プロゲステロンレベルについて3回評価した:第一には、治療を開始する時点;第二に、治療21日後;および最後に、最後の皮下注射の処置後の2〜4日後の屠殺時。全ての血液試料は心臓穿刺によって採取する;血清を調製し、-40℃で凍結保持した。ステロイドホルモン、プロゲステロン、コルチゾールおよびコルチコステロンのレベルは、ELISAによって測定した。
【0152】
解析は、Statgraphics Plusを使用して行った。郡間の差は、群平均がよく分散している場合、ANOVAによって決定した。さもなければ、Kruskal-Wallis検定を使用した。平均の差は、群が、とがりも傾斜もないという基準を満たす場合、ステューデントt検定を使用して評価した。さもなければ、ノンパラメトリックなMann-Whitney-Wilcoxin検定を使用した。同一のラットが連続して評価されている場合、対のt検定(paired t-test)を使用した。データが比較のために群に分類され得る場合、フィッシャーの正確確率検定を使用した。
【0153】
実施例5 解剖での腫瘍数および腫瘍型
動物は28日の治療期間終了の3-5日後に屠殺し、採血し、そして腫瘍を除去し、計量し、計測し、検査し、および一部を組織病理のために凍結および/または10%のリン酸緩衝ホルマリンに入れた。組織試料は、切断して、ヘマトキシリン‐エオジンで染色して、組織病理学的分類を評価した。
【0154】
組織学的に、4つの型の腫瘍が確認された(表2):腺癌(ACA)、乳頭癌(PCA)、線維肉腫および線維腺腫または腺線維腫(FAまたはAF)、後者の2つの腫瘍型は明らかな悪性度を示すとは考えられていなかった。最も大きな(「主要」)腫瘍が、最小サイズに到達しなかった1つまたは複数のより小さな腫瘍を伴う場合、治療の開始のための腫瘍の最小数は≧1であった。表2は、これらの実験の結果を要約する。媒体単独で治療したラットにおけるACA+PCAの多重度は、屠殺時のラットあたり2.7腫瘍であった(ACA+PCA列は、必ずしも腫瘍が混合型であるというラット列ごとのACAとPCAの和ではない)。
【0155】
表2に報告されたように、第2群(発癌物質DMBAを与えられない)は腫瘍を有しなかった。DMBA単独で処置されるラットは、ラットあたり平均2.67の腫瘍を有した。プロゲステロンの添加は、ラットあたりの腫瘍の平均数をほぼ5に増加させた。CDB-4124の処置は、腫瘍数の減少において大きな効果を有した。最も有効だった最高の4つの処置群(すなわち20、10、2、1 mg/kg/日)にわたる平均多重度は、ラットあたり1.58腫瘍であった。各動物は、所定のサイズの1腫瘍の発見に基づき無作為に処置に登録されたものであったので、腫瘍数におけるこの減少は、CDB-4124が既存の腫瘍の成長を減少させることだけでなく、これらの動物における新たな腫瘍の発生を防止したことも実証する。
【0156】
【表2】

【0157】
実施例6 腫瘍進行に対する抗プロゲスチンの作用
CDB-4124、RU486およびプロゲステロンの腫瘍増殖および進行に対するプロゲステロンの作用を評価するために、増殖動態および腫瘍サイズを治療期間の間測定した。試験における腫瘍を有する動物からの個々の腫瘍は、毎週測径器を用いて二次元で測定した。これらの実験の結果は、図1に要約される。データは、非悪性のFA/AF腫瘍型を除外するために修正される。28日の検査期間にわたって少なくとも最低33%まで断面積において増加した腫瘍は、増殖していると考えられる(図1、黒四角)。およそ33%まで減少したものは、退行していると考えられる(図1、白四角)。その他は、静止していると考えられる(図1、灰色四角)。図1に示したように、プロゲステロン処置は増殖している乳房腫瘍を増加させた。
【0158】
プロゲステロンを投与された群において退縮する腫瘍の比率(8%)は統計学的に対照と同様であったが、増殖する腫瘍の比率(80%)は有意に高かった(p<0.004、フィッシャーの正確検定)。Ru 486の処置は、対照と比較して退縮する腫瘍の比率における明らかな増大をもたらした。
【0159】
プロゲステロンとは異なり、10mg/kg体重でのCDB-4124処置は、増殖する腫瘍の比率を減少させ(p<0.013)、退縮した腫瘍の比率を増加させた(p<0.003)。結果は、腫瘍の70%が、CDB-4124処置の後退縮していたことを示した。明らかな用量依存性が存在し、CDB-4124の最低用量のみ効果がなかった。CDB-4124の作用は、動物が5倍以上の比率でさらなるプロゲステロンで処置された場合になくなった。より低い比率で投与されたプロゲステロンは、CDB-4124の作用を越えられなかった。増殖速度に関して、10mg/kgのCDB-4124の用量は、20mg/kgに比較してより効果的であり、20mg/kgのCDB-4124の腫瘍の増殖に対する作用はプロゲステロンの作用に匹敵しない(p=0.0008、フィッシャーの正確検定、両側)ものの、高用量ではCDB-4124はある程度のプロゲステロンアゴニスト活性を有し得ることを示唆する。しかし、20mg/kgの用量(より低い用量でなく)はまた、有意に循環プロゲステロンレベルを増加させ、その効果は用量依存的であった。したがって、CDB-4124はラット乳腺のDMBA誘導腫瘍の増殖を抑制することができ、およびこの抑制は乳房腫瘍のサイズおよび数の減少を含む。プロゲステロンはそれ自体が増殖性であり、かつ腫瘍を増強することが示され、定着した、または新生の乳腺の腫瘍を有する動物におけるプロゲステロンの抑制の重要性を説明する。CDB-4059における結果は、CDB-4124について上記で開示したものと同様であった。したがって、CDB-4059の腫瘍抑制活性はCDB-4124のそれと同様であり、および両方の化合物はRu 486より強力な腫瘍抑制活性を有する。CDB-4124が中程度の濃度で単独で投与される場合またはプロゲステロンを上回って投与される場合、その作用は有力であり、および腫瘍の退縮を促進する。反対に、プロゲステロンが単独で投与される場合またはCDB-4124を上回って投与される場合、プロゲステロンの作用は増殖増強である。
【0160】
実施例7 解剖での腫瘍数、腫瘍サイズおよび腫瘍組織量
表3は、腫瘍サイズの中央値および動物あたりの全腫瘍重量の合計(腫瘍組織量)に及ぼすプロゲステロン、RU486およびCDB-4124の作用を示す。表3における結果はACA、PCAおよび混合したACA/PCAに対するものであるが、FAまたはAF腫瘍は除外される。
【0161】
【表3】

【0162】
プロゲステロンは明らかに腫瘍組織量および腫瘍サイズ中央値を増加させた。しかし、値は、対照のものと比較して統計学的に有意でなかった(p>0.4、Mann-Whitney-Wilcoxin検定)。プロゲステロンのデータは、抗プロゲスチンのものとは際立って対照的である。RU486およびCDB-4124は、腫瘍組織量および腫瘍サイズ中央値を低下させた(RU 486の場合5倍(p<0.01)、CDB-4124の場合10倍(p<0.001))。その他の群における腫瘍組織量および腫瘍サイズの減少は、10、2および1mg/kgにて腫瘍サイズに影響を及ぼすCDB-4124と一致していた。CDB-4124は最低治療レベルにて効果がなく、またCDB-4124の最高用量(20mg/kg)は10mg/kg用量ほど効果的でなかった。いくつかの腫瘍が完全に退行して、もはや触知できなくなったことに注目すべきである。治療の間追跡調査されたこの型の11の腫瘍の中で、我々は出血性の物質で満たされた嚢胞性の構造を解剖にて見いだし、これは退行を示唆している。これらの構造は、RU 486(n=2)で治療された群、20、10、2または1mg/kg(n=7)にてCDB-4124で処置した群、または20mg/kg CDB-4124+10mg/kgのプロゲステロン(n=2)で治療した群だけにおいて見いだされた。これらを組織学的に評価することができないのでこれらの同一性は確認できない。それにもかかわらず、これらの結果は抗プロゲスチンが完全に腫瘍を退縮し得ることを示唆する。
【0163】
実施例8 試験の間の動物の体重
対照動物の体重は、よりよく毒性を評価するため、特にCDB-4124のために、ホルモン療法を受けているものと比較した。動物は、27週の試験期間の間毎週計量した。実験終了時において、処置動物の体重は対照動物に対して有意差は見られず、このことは高用量レベルでさえ、CDB-4124が毒性でないことを示す。
【0164】
実施例9 腫瘍増殖およびアポトーシス
細胞増殖に対するプロゲスチンおよび抗プロゲスチンの作用を評価するために、処置した対照動物からの46の個々のラット腫瘍由来の組織切片を、Ki-67抗体(NeoMarkers, Fremont, CA)を使用する増殖マーカーKi-67の発現測定および免疫組織化学により評価した。第3群および第6群における多くの腫瘍のサイズの減少並びに第3群および第6群における次の処置は、これらを再切断できないほど小さくしたのに対し、第1、3、4、6および11群由来の7-12のASAは再切断された。増殖実験の結果は表4に要約され、増殖はKi-67を発現する細胞のパーセントとして測定された。
【0165】
【表4】

【0166】
プロゲステロンは、対照およびCDB-4124処置した動物と比較して増殖細胞の割合を増加させた。プロゲステロンは増殖する細胞の最も高い比率を導き、その成長は対照、RU 486またはCDB-4124+プロゲステロン群でみられるものを超えた。CDB-4124単独の処置は他のいかなる処置よりもKi-67陽性細胞のより低い比率を導き、その比率は対照でみられるものより小さかった。CDB-4124で処置したラットからの組織試料は、Ru 486で処置したラットからの組織試料より少ない増殖(より少しのKi-67陽性細胞)を示した(p = 0.021、t検定)。したがって、CDB-4124は、胸部組織の増殖抑制においてRu 486より強力である(p = 0.011、片側t検定)。CDB-4124の作用はまた、CDB-4124+P4とは異なった(p=0.048、t検定)。その上、CDB-4124+P4での処置は、P4単独より増殖細胞が少なくなった(p=0.030、t検定)。増殖は、群において、以下の順で下降した:プロゲステロン(ほとんどの増殖)>対照=RU486=CDB-4124+プロゲステロン>CDB-4124単独。したがって、CDB-4124は、添加されたプロゲステロンの等量の存在下においてさえ増殖細胞を減少させた。
【0167】
アポトーシスは、アポトーシスハイブリダイゼーションキット(Oncor、Gaithersburg、Md)によって、同一腫瘍において評価した。アポトーシスにおける細胞を、腫瘍周辺部および壊死から離れた部位において評価した。腫瘍切片あたり少なくとも1,000の細胞を評価した。表5で示すように、対照未処置動物のものと比較して処置群の間に明確な差があった。
【0168】
【表5】

【0169】
多重範囲検定によるポスト解析は、CDB-4124+プロゲステロンが、対照またはプロゲステロン処置動物より高いアポトーシスを誘導したことを示した。さらに、RU 486、CDB-4124およびプロゲステロン+CDB4124は、対照腫瘍でみられたものより高いアポトーシス細胞死を誘導した。CDB-4124処置の作用は、RU486とは異ならなかった(p=0.73、t検定)。同様に、CDB-4124の作用は、CDB-4124+p4と同様であった(p=0.98、t検定)。これらの結果は、プロゲステロンのほぼ等量の存在下において、腫瘍が抗プロゲスチンCDB4124に対してアポトーシスという形で反応することを示唆する。反対に、CDB-4124は、P4と比較して、アポトーシスを増加させる(p=0.020、t検定)。CDB-4124およびプロゲステロンの間には明らかな相乗作用はない。CDB-4124とRu 486間の大きな差異の1つが、CDB-4124がRu 486より非常に有効に増殖を抑制したことであることから、CDB-4124の増殖抑制能力はCDB-4124の腫瘍抑制作用にとって重要であると思われる。プロゲステロンの強力な増殖効果の妨害または抑制は、CDB-4124が増殖を減少させ得る納得できるメカニズムである。
【0170】
実施例10 腫瘍組織におけるエストロゲンおよびプロゲステロン受容体(ERおよびPR)の発現
増殖およびアポトーシスについて評価された腫瘍は、免疫組織化学(IHC)によって、エストロゲンおよびプロゲステロン受容体の発現についてまた評価された。ERおよびPR陽性の細胞の割合を決定して解析した。腫瘍は、4つの異なるカテゴリーにグループ化した:ER発現細胞が0%の腫瘍、ER発現細胞が10%の腫瘍、ER発現細胞が15〜30%の腫瘍およびER発現細胞が30-50%の腫瘍。一般に、未処置の腫瘍はERを一貫して発現していた。解析された12の腫瘍中、12全てがERを発現していた。これらの12の腫瘍中4つは、30-50%のER陽性細胞を含んでいた。未処置の対照腫瘍とは対照的に、解析されたCDB-4124処置腫瘍の7つのうち3つはER発現細胞を含まず、1つの試料のみが30-50%のER陽性細胞を含んでいた。したがって、Ru 486またはCDB-4124処置は、ER発現細胞の数を減少させた。
【0171】
プロゲステロン処置は、CDB-4124またはRu 486処置動物由来の試料と比較して、増加したER発現細胞数をもたらした。CDB-4124とプロゲステロンの組み合わせは、CDB-4124単独処置のものと同様のパターンを生ずる傾向があった。この結果は、10mg/kgのCDB-4124+10mg/kgプロゲステロンの組み合わせが、腫瘍数の減少、腫瘍増殖の阻害および腫瘍重量の減少を含む腫瘍抑制効果を有したという知見と一致する。一般に、抗プロゲスチンによる長期治療は腫瘍のERレベルを下げる傾向があるが、一方、プロゲステロンは反対の方向に作用する傾向がある。
【0172】
実施例11 腫瘍におけるプロゲステロン受容体(PR)の発現
未処置の腫瘍は、PRを一貫して発現した(12/12腫瘍)。一般に、未処置の腫瘍はERおよびPRの両受容体を発現し、したがって、多くの悪性腫瘍がこれら2つの転写因子のエクスプレッサーである可能性がある。Ru 486処置はPRにについてはっきりしないようにみえ、CDB-4124はPR発現のレベルを低下させた。興味深いことに、3つの腫瘍において、Ru 486はERを減少させたが、PRの低陽性レベルを保持した。プロゲステロンはPR発現を上昇させる傾向があった。CDB-4124とプロゲステロンの組み合わせは、CDB-4124単独のものと、より似たパターンを生む傾向があった;これは10mg/kgのCDB-4124+10mg/kgプロゲステロンの組み合わせの、腫瘍数、成長パターンおよび腫瘍重量に対する効果と再び一致している。一般に、CDB-4124の長期治療は腫瘍におけるPRのレベルを低下させる傾向があり、一方、プロゲステロンは反対の方向に作用する傾向がある。したがって、腫瘍は、プロゲステロンの存在下においてプロゲステロン反応性を維持する。
【0173】
実施例12 血清ホルモンに対する抗プロゲスチンの作用試験
ステロイドホルモンの濃度は、試験の間3回測定した:処置開始前、処置の21日後、および最終的には最後の皮下注射後2-4日時点の屠殺時の処置後。全試料は、心臓穿刺によって摂取した。血清を取得し、−40℃にて凍結保持した。ステロイドホルモンのレベルはELISAによって決定した。
【0174】
ラットにおけるプロゲステロン測定の結果は、表6に示してある:
【表6】

【0175】
処置前(p=0.49、ANOVA)または処置後(p=0.35、ANOVA)の群の間の血清プロゲステロンレベルに差はなかった、しかし、処置状態に有意な変化が見出された(p=0.000、ANOVA)。特にRU 486およびCDB-4124の最高量を投与した群において、多くの処方計画が、対照と比較してプロゲステロンを上昇させた(表6)。21日間処置した群間に生じた有意差は、以下の群に特異的であった(p=7x10-6、Kruskal-Wallis検定):Ru 486、CDB-4124の3つの最高用量およびCDB-4124+プロゲステロンの最高の2用量。CDB-4059は、試験された10mg/kgの用量レベルにて、処置前にみられたものを超えて血清プロゲステロンを上昇させなかった。血清プロゲステロンは、処置の中止時に、血清プロゲステロンの下降を示さなかった20mg/kg CDB-4124+プロゲステロン投与群を除き、すべての群において0日目のレベルに戻った(p=0.004、対のt検定、片側)。プロゲステロン単独がそれ自体の血清濃度を上昇させなかったことは理解しにくいが、高外来性プロゲステロンが、内因性の産生を抑制したという事実によるものであったかもしれない。外来性プロゲステロンはまた、皮下注射と20-24時間後に行われる採血の間に代謝された可能性がある。女性の内因性プロゲステロンレベルに対する10mg/kg濃度でのCDB-4059の作用の欠如は、その濃度でのCDB-4124に勝る利点を提供し得る。
【0176】
実施例13 コルチゾール測定
Ru 486がヒトおよび霊長類における強力な抗糖質コルチコイド特性を有するため、いくつかの異なる実験系はRu 486がコルチゾールを増加させるという結論を支持する。
【0177】
しかし、10mg/kgのRu 486で処置したラットは、コルチゾールレベルにおいて有意差を示さなかった。対照的に、同一用量のCDB-4124またはCDB-4059で処置したラットは、対照群のラットより有意に高い血清コルチゾールレベルを有した。
【0178】
これらの高レベルは、3-4μg/dl(30-40ng/ml)の範囲であった。CDB-4124の用量の増加がコルチゾールの増加をもたらした点で、当該効果は用量依存的であった。
【0179】
Ru 486と対比したCDB-4124またはCDB-4059のコルチゾールレベルに対するこの作用の差は、21日の慢性投与後、ラットの肝臓が2つのCDB化合物のどちらかより良好にRu 486を代謝し得るという仮定により説明することができる。
【0180】
実施例14 コルチコステロン測定
コルチコステロンは、ラットにおいて最も大量の糖質コルチコイドである。コルチゾールに対するSPRMの作用は、コルチコステロンに対する最強の効果に次ぎ得る。さらにこの現象を探索するために、コルチコステロンレベルを群において測定したところ、たとえば20mg/kgまたは10mg/kgのCDB-4124で処置した群など、コルチゾールレベルにおいて最強の変化を示した。比較のために、以下の群も分析した:20mg/kg CDB-4124+10mg/kgプロゲステロン投与群、10mg/kg CDB-4124+10mg/kgプロゲステロン投与群、10mg/kg Ru 486投与群、10mg/kgプロゲステロン単独投与群、対照群およびDMBA無投与で腫瘍を有しない群。コルチコステロンレベルは、コルチゾールレベルより10-40倍高かった。しかし、平均コルチコステロンレベルについてはほとんど差がみられなかった。8群間に、治療前(p = 0.43、Kruskal-Wallis検定)、処置の21日後(p = 0.57、Kruskal-Wallis検定)または処置の28日後および屠殺時(p = 0.061、Kruskal-Wallis検定)差はなかった。腫瘍を有する動物と腫瘍のない動物の間に、21日(p = 0.94、t検定、両側)または屠殺時(p = 0.37、t検定、両側)のいずれでも、有意差はなかった。
【0181】
血清コルチコステロンに対する外来性プロゲステロンの作用を測定するために、コルチコステロンレベルを、外来性プロゲステロンを投与したかどうかで異なる3対の群で比較した(たとえば、対照対プロゲステロンまたは20mg/kgのCDB-4124対20mg/kgのCDB-4124+プロゲステロンまたは10mg/kgのCDB-4124対10mg/kgのCDB-4124+プロゲステロンの比較)。統計学的に有意な差が検出された:コルチコステロンのレベルは、処置の21日後に、プロゲステロン処置した動物において低下した(p = 0.029、Mann-Whitney Wilcoxin検定、両側)。この作用は、屠殺時に採取される血清においては検証されなかった。プロゲステロンとCDB-4124群間、プロゲステロンとRU-486群間、またはRU-486群とCDB-4124群間に、血清コルチコステロンについて差はみられなかった。
【0182】
各群の血清コルチゾールと血清コルチコステロンの間の関係をまた調べた。2者間の強力な正の線形相関が、20mg/kgのCDB-4124(r2 = 0.78)、10mg/kgのCDB-4124(r2 = 0.82)、およびRu 486(r2 = 0.85)において存在した。初めの2つのCDB-4124群へのプロゲステロン添加は、その関係性を弱めた(それぞれ、r2 = 0.34、第10群およびr2 = 0.37、第11群)。プロゲステロンそれ自体はこのような正の関係を示さなかった(r2 =-1.0)。対照群は、2つの糖質コルチコイド間に何の関係性も示さなかった(r2 = 0.064)。したがって、CDB-4124投与群におけるコルチゾールレベルの増加は、コルチコステロンレベルと相関しており、おそらく何らかの形で増強されるコルチコステロンからの変換に起因する。これは、上記のCDB-4124の作用と一致する:プロゲステロンおよびコルチゾールレベルに関与する代謝性酵素に対する作用。
【0183】
ラットの主要糖質コルチコイドに対するCDB-4124の強力な作用は見いだされなかったが、それでもなお、安全上の理由で、第1相臨床試験においてCDB-4124またはCDB-4059を投与される患者は、血清コルチゾール、コルチコステロンまたはACTHの推定される増大を含む推定される抗グルココルチコイド作用について監視されるべきである。
【0184】
実施例15 タモキシフェン耐性の乳癌細胞におけるSPRMの抗増殖作用試験
2つの細胞株を用いた:MCF-7(抗エストロゲン、タモキシフェン感受性細胞株)およびLY-2(タモキシフェン耐性のMCF-7変異体)。増殖は、96ウェルマイクロタイタープレートで測定した。5x103細胞を各ウェルに添加する。培養液および薬液を、Perkin Elmer Cetus Pro/PETTEでウェルに添加する。培養液は5%ウシ胎児血清添加IMEMである。8つの薬剤濃度を、二重に0.078μMから10μMまで試験する。試料は、タモキシフェン単独、本願発明の各化合物とタモキシフェンの組み合わせを含む。
【0185】
4日間のインキュベーションの後、培地を、薬物を含有する新鮮培地と交換し、計7日の後、細胞単層をトリクロル酢酸で固定してスルホローダミン色素で染色する。抽出された色素溶液の吸光度(492nm)は、Titertekマルチスキャンプレートリーダーで測定する。用量反応曲線(対照吸光度のパーセント対薬剤濃度)は、50%の増殖を阻害した薬剤濃度(μM)として定義されるIC50値を推定するために作図する。IC50値は、細胞増殖阻害について試験された薬物の能力と相関し、したがってタモキシフェン耐性の乳癌細胞の過剰増殖を予防する適切な化合物の同定に要される情報を提供する。
【0186】
実施例16 アロマターゼを過剰発現するT47D乳癌細胞におけるCDB-4124およびアロマターゼ阻害薬DL-アミノグルテチミドの抗増殖作用
アロマターゼ阻害は、ステロイド受容体陽性の乳癌患者にとって第一選択の治療となった。インビトロでのアロマターゼ阻害薬の有効性の決定は、公知の乳癌細胞がごくわずかなアロマターゼ活性しか発現していないため、困難であった。したがって、アロマターゼを過剰発現するT47D細胞株を、哺乳動物発現ベクターpcDNA3.1にヒト胎盤cDNA由来アロマターゼ遺伝子(hCYP19A1)をクローニングし、対照として空のベクターを保持するT47D乳癌細胞に安定にトランスフェクトして構築した。hCYP19A1を持つ組換えpcDNA3.1のシーケンシングデータは、hCYP19A1 ORF領域に対して100%のBlastヒットを示した。アロマターゼトランスフェクト細胞は、アロマターゼ活性タンパク質の過剰発現についてスクリーニングして選択した。単細胞クローン(T47Darom)のアロマターゼ発現は、RT-PCR、ウエスタンブロット、エストロンELISAおよび細胞増殖アッセイによって確認した。RT-PCRは親T47D細胞と比較してT47DaromにおいてアロマターゼmRNAのおよそ32倍より高い発現を示し、テストステロン誘導の有無にかかわらずアロマターゼmRNAの高発現を明示した。58kdのアロマターゼタンパク質の発現は、マウスモノクローナル抗アロマターゼ抗体を使用して、ウエスタンブロット解析によって確認した。アロマターゼ発現は、T47D対照細胞では検出されなかった。T47Darom細胞における高アロマターゼ活性は、エストロンELISAキットによって確認した。簡潔には、高レベルのエストロンが、T47D対照細胞と比較して、24時間の10nMアンドロステロンでの処置で検出された。エストロンELISAは、T47D対照細胞と比較して、T47Darom細胞において450nMにてより少ない吸収を示す。
【0187】
T47Darom細胞を10,000細胞/ウェルで24ウェルプレートにまき、2日間インキュベートし、そして通常培養液培養液(10% charcoal strip FBS/phenolフリーMEM培地)下で4日間1μM、2μM、3μM、4μMおよび5μM濃度のCDB-4124で処置した。未処置の細胞を対照として用いた。クリスタルバイオレットを細胞増殖の測定に使用した。このアッセイの色素、クリスタルバイオレットはDNAを染色する。可溶化すると、細胞に取り込まれる色素の量を分光光度計で定量化することができる。CDB-4124の処置は、用量依存的にT47Darom細胞の増殖を阻害した。図2を参照されたい。
【0188】
次いで、T47Darom細胞を10,000細胞/ウェルにて24ウェルプレートにまき、2日間のインキュベーションの後、1nMテストステロン存在下で4日間、50μM、75μM、100μMまたは150μMのDL-アミノグルテチミド(AGM)で処置し、細胞増殖作用を測定した。結果は、図3にて提供される。
【0189】
T47Darom細胞は、次いで10,000細胞/ウェルにて24ウェルプレートにまかれ、2日間のインキュベーションの後、1nMテストステロン存在下の通常培養条件で、4日間(1)100μMのDL-アミノグルテチミド(AGM)+1μM CDB-4124;(2)100μMのDL-アミノグルテチミド(AGM)+2μM CDB-4124;(3)100μMのDL-アミノグルテチミド(AGM)+3μM CDB-4124;または(4)100μMのDL-アミノグルテチミド(AGM)+4μM CDB-4124で処置し、細胞増殖に対する作用を測定する。結果は、図4に示される。AGMおよびCDB-4124の組み合わせでの処置の間の細胞増殖阻害は用量依存的であった。驚くべきことに、アロマターゼを発現する乳癌細胞の増殖阻害においてAGMおよびCDB-4124の組み合わせの相乗的な効果が観察された。図4を見るに、同一化合物を同一濃度で別々に用いた場合の30%未満の阻害に比し、4mMのCDB-4124およびAGMの組み合わせで、細胞増殖の70%近い阻害が観察されたことを示す。言い換えると、AGMとCDB-4124の組み合わせの処置の間に観察される細胞増殖阻害は、AGMまたはCDB-4124単独で観察される阻害に基づく予測より大きかった。
【0190】
これらの結果は、アロマターゼ阻害を伴う高用量でのCDB-4124が、乳癌治療における相乗的に増強された化学療法効果の適応を提供することを明示する。CDB-4124とその他のアロマターゼ阻害薬を組み合わせる場合に、細胞増殖に対する同様の相乗効果が期待されるだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌を治療するための方法であって、その必要のある女性に、一般式:
【化1】

の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の乳癌組織増殖を抑制する用量を含む組成物を投与することを含み、式中:
Xは、アルキル、アルケニル、アルキニル、水素、ハロ、1アルキルアミノ、ジアルキルアミノまたはアミノN,N-ジメチルアミノを表し;
R1は、O、NOHまたはNO-メチルを表し;
R2は、水素またはアセチルを表し;および、
R3は、メンチルオキシ、ホルミルオキシ、アセトキシ、アシロキシ、S-アルコキシ、アセチルテオニル、グリシマート、ビニルエーテル、アセチルオキシメチル、炭酸メチル、ハロゲン、メチル、ヒドロキシ、またはエチルオキシを表す、方法。
【請求項2】
前記化合物がCDB-4124またはCDB-4059である、請求項1の方法。
【請求項3】
前記化合物がCDB-4124である、請求項2の方法。
【請求項4】
前記化合物が0.5mg/kg〜500mg/kgの投薬量で投与される、請求項2の方法。
【請求項5】
プロゲステロン受容体に対する前記化合物の結合親和性が、糖質コルチコイド受容体に対する前記化合物の結合親和性よりも少なくとも1.5倍大きい、請求項1の方法。
【請求項6】
前記化合物が乳癌株化細胞における百細胞あたりの増殖細胞の数を少なくとも20パーセントまで減少させる、請求項1の方法。
【請求項7】
女性におけるプロゲステロンレベルが実質的に増加されない、請求項1の方法。
【請求項8】
前記その必要のある女性がホルモン置換療法を受けている女性である、請求項2の方法。
【請求項9】
前記その必要のある女性は、エストロゲン療法を受けている女性である、請求項2の方法。
【請求項10】
前記組成物がアロマターゼ阻害薬の有効量と共に前記女性に同時投与される、請求項1の方法。
【請求項11】
アロマターゼ阻害薬が、アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタンおよびDL-アミノグルテチミドからなる群より選択される、請求項10の方法。
【請求項12】
前記組成物および前記アロマターゼ阻害薬が同時に投与される、請求項10の方法。
【請求項13】
乳癌組織の増殖を阻害するための方法であって、前記乳癌組織をアロマターゼ阻害薬および一般式:
【化2】

の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の増殖を抑制する量と同時に接触する工程を含み、式中:
Xは、アルキル、アルケニル、アルキニル、水素、ハロ、1アルキルアミノ、ジアルキルアミノまたはアミノN,N-ジメチルアミノを表し;
R1は、O、NOHまたはNO-メチルを表し;
R2は、水素またはアセチルを表し;および、
R3は、メンチルオキシ、ホルミルオキシ、アセトキシ、アシロキシ、S-アルコキシ、アセチルテオニル、グリシマート、ビニルエーテル、アセチルオキシメチル、炭酸メチル、ハロゲン、メチル、ヒドロキシまたはエチルオキシを表す、方法。
【請求項14】
前記化合物がCDB-4124またはCDB-4059である、請求項13の方法。
【請求項15】
前記アロマターゼ阻害薬がアナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタンおよびDL-アミノグルテチミドからなる群より選択される、請求項13の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−518883(P2011−518883A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507559(P2011−507559)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/041836
【国際公開番号】WO2009/134723
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(509115199)レプロス セラピューティクス インコーポレイティド (6)
【Fターム(参考)】