説明

乾燥装置

【課題】乾燥容器を減圧するためだけにエネルギーを必要としない乾燥装置を提供する。
【解決手段】乾燥装置1は、乾燥容器20と、開閉弁34が設けられた材料供給口30aを介して乾燥容器20と連通する一時貯留容器30と、乾燥空気を吹き出す送風手段21と、乾燥空気供給流路2aと、バイパス流路2cと、切換弁24とを備える。乾燥空気供給流路2aは、乾燥送風手段21と乾燥容器20に接続され、送風手段21から吹き出される乾燥空気を乾燥容器20に供給するための流路である。バイパス流路2cは、乾燥媒体供給流路に接続され、乾燥空気供給流路2a内の乾燥空気を送風手段21に供給するための流路である。切換弁24は、乾燥空気供給流路2a内の乾燥空気の少なくとも一部がバイパス流路2cを通過して送風手段21に供給される連通状態と、バイパス流路2cを遮断する遮断状態とを切り換え可能な弁である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥容器内に乾燥媒体を供給して乾燥容器内の粉粒体材料を乾燥させる乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば樹脂成形材料である樹脂ペレットなどの粉粒体を乾燥させるために乾燥装置が用いられている。例えば特許文献1の乾燥装置は、乾燥容器と、乾燥容器に乾燥空気を供給する送風手段と、乾燥容器に供給される材料を一時的に貯留する一時貯留容器と、一時貯留容器内を吸引して一時貯留容器に材料を気力輸送する吸引手段とを備えている。一時貯留容器は、乾燥容器と連通する材料供給口に開閉弁を有している。この開閉弁は、一時貯留容器の材料の重量と開閉弁の自重により開弁する。
【0003】
また、乾燥容器に供給される乾燥空気によって乾燥容器内が大気圧よりも高圧となると、一時貯留容器に材料が貯留されていても開閉弁が開弁しなくなるため、乾燥容器内を減圧するために、特許文献1の乾燥装置では、吸引手段が、一時貯留容器を吸引して材料を輸送する手段であると共に、乾燥容器を減圧する手段を兼ねている。具体的には、吸引手段と一時貯留容器とを接続する配管の途中に三方弁を設けて、この三方弁に乾燥容器に至る分岐管を接続している。そして、吸引手段により一時貯留容器内を吸引して材料の輸送を所定時間行った後、乾燥容器内が大気圧よりも高圧の場合に、三方弁を乾燥容器と吸引手段とが連通する状態に切り換えて、乾燥容器内を吸引手段により吸引して減圧している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−260185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の乾燥装置では、吸引手段による一時貯留容器への材料の輸送が終了した後で、乾燥容器内が大気圧よりも高圧の場合に、乾燥容器内を減圧するためだけに吸引手段を駆動させている。つまり、乾燥容器を減圧するためだけに、吸引手段を駆動させるエネルギーを必要としている。
【0006】
そこで、本発明は、乾燥容器を減圧するためだけにエネルギーを必要としない乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
第1の発明の乾燥装置は、乾燥容器と、開閉弁が設けられた材料供給口を介して前記乾燥容器と連通し、前記乾燥容器に供給される材料を一時的に貯留する一時貯留容器と、乾燥媒体を吹き出す送風手段と、前記送風手段と前記乾燥容器に接続され、前記送風手段から吹き出される乾燥媒体を前記乾燥容器に供給するための乾燥媒体供給流路と、前記乾燥媒体供給流路に接続され、前記乾燥媒体供給流路内の乾燥媒体を前記送風手段に供給するためのバイパス流路と、前記乾燥媒体供給流路内の乾燥媒体の少なくとも一部が前記バイパス流路を通過して前記送風手段に供給される連通状態と、前記バイパス流路を遮断する遮断状態とを切り換え可能な切換手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
この構成によると、切換手段を連通状態にして、送風手段から吹き出される乾燥媒体の少なくとも一部をバイパス流路を介して送風手段に戻すことにより、送風手段から吹き出される乾燥媒体を全て乾燥容器に供給する場合に比べて、乾燥容器内の圧力を低くできる。そのため、一時貯留容器の材料の自重(および開閉弁の自重)によって開閉弁を開弁させることができ、一時貯留容器の材料を確実に乾燥容器に供給することができる。
また、乾燥容器内を吸引することで減圧する場合、吸引手段を駆動するためのエネルギーが、乾燥容器を減圧するためだけに必要となるが、本発明では、送風手段から送られる乾燥媒体の流れを変更することで乾燥容器内を減圧しているため、乾燥容器を減圧するためだけに新たなエネルギーを要することなく、乾燥容器内を減圧できる。
【0009】
第2の発明の乾燥装置は、第1の発明において、前記一時貯留容器内を吸引して前記一時貯留容器に材料を気力輸送する吸引手段をさらに備え、前記切換手段は、前記吸引手段が駆動しているときに前記遮断状態であって、前記吸引手段が停止したときに自動的に前記遮断状態から前記連通状態に切り換わることを特徴とする。
【0010】
この構成によると、吸引手段が駆動されて一時貯留容器に材料が輸送されているときは、切換手段は遮断状態であるため、送風手段から吹き出される乾燥媒体は全て乾燥容器に供給される。そのため、乾燥容器に乾燥媒体を十分に供給することができる。
また、吸引手段を停止して一時貯留容器への材料の輸送を停止したときに自動的に切換手段は遮断状態から連通状態に切り換わる。これにより、乾燥容器が減圧されて開閉弁が開弁し、一時貯留容器内の材料が乾燥容器に供給される。したがって、一時貯留容器への材料の輸送の停止から、乾燥容器への材料の供給の開始を円滑に行うことができる。
【0011】
第3の発明の乾燥装置は、第1または第2の発明において、前記乾燥媒体供給流路に、前記乾燥媒体を加熱するヒーターが設けられており、前記バイパス流路は、前記ヒーターを通過した乾燥媒体を前記送風手段に供給することを特徴とする。
【0012】
バイパス流路が、ヒーターを通過する前の乾燥媒体を送風手段に供給するように構成されている場合、切換手段が連通状態のときにヒーターを通過する風量は、切換手段が遮断状態のときよりも少なくなる。そのため、切換手段が連通状態の場合、ヒーターの熱源にかかる負荷が大きく、熱源の寿命が短くなる。また、切換手段を切り換えたとき、ヒーターを通過する乾燥媒体の風量が変化するため、乾燥媒体を目標温度に加熱することが難しく、ヒーターを通過した乾燥媒体の温度が変動してしまう。
一方、本発明では、バイパス流路が、ヒーターを通過した乾燥媒体を送風手段に供給するように構成されているため、ヒーターを通過する風量は一定である。そのため、ヒーターの熱源にかかる負荷の増大を防止できるとともに、乾燥媒体の温度の変動を防止できる。
なお、「バイパス流路が、ヒーターを通過した乾燥媒体を送風手段に供給する」とは、バイパス流路がヒーターの出口に接続されている場合と、乾燥媒体供給流路のヒーターより下流側に接続されている場合を含む。
【0013】
第4の発明の乾燥装置は、第3の発明において、前記乾燥媒体供給流路における前記ヒーターより下流側に、温度センサーが設けられており、前記バイパス流路は、前記温度センサーを通過した乾燥媒体を前記送風手段に供給することを特徴とする。
【0014】
配管内の乾燥媒体の熱は配管を介して放熱されるため、配管内の温度は内周面側が中心側よりも低くなり、この温度勾配は配管を通過する風量が少ないほど大きくなる。
バイパス流路が、温度センサーを通過する前の乾燥媒体を送風手段に供給するように構成されている場合、本発明のように温度センサーを通過した後の乾燥媒体を送風手段に供給するように構成されている場合に比べて、切換手段が連通状態のときに温度センサーを通過する風量が少なくなる。そのため、配管内の乾燥媒体の温度を精度良く測定するには、配管中心の温度を検知できるように温度センサーを配置しなければならず、位置決めが難しい。
一方、本発明では、バイパス流路が、温度センサーを通過した乾燥媒体を送風手段に供給するように構成されており、温度センサーが設けられた配管を通過する風量が大きいため、配管内の温度勾配は小さくなる。そのため、精度よく温度を検知できる範囲が広くなり、温度センサーの位置決めが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る乾燥装置の回路図であって、材料をローダーホッパに輸送している状態を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る乾燥装置の回路図であって、材料を乾燥容器に供給している状態を示す図である。
【図3】乾燥装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の他の実施形態に係る乾燥装置の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態の乾燥装置1は、樹脂ペレットなどの粉粒体の材料を乾燥させるための装置である。図1に示すように、乾燥装置1は、材料を乾燥させる乾燥ホッパ(乾燥容器)20、乾燥ブロワ(送風手段)21、ヒーター22、温度センサー23、切換弁(切換手段)24、乾燥空気フィルタ25等が接続されてなる乾燥ライン2と、乾燥ホッパ20に供給される材料を一時的に貯留するローダーホッパ(一時貯留容器)30、材料タンク31、輸送ブロワ(吸引手段)32、およびフィルタ33が接続されてなる輸送ライン3と、図示しない制御部とで構成されている。
【0017】
輸送ライン3は、材料タンク31に貯蔵される材料をローダーホッパ30に輸送するためのラインであって、材料タンク31とローダーホッパ30とを接続する材料輸送流路3aと、輸送ブロワ32とローダーホッパ30とを接続する吸引流路3bとを有する。
【0018】
ローダーホッパ30は、下部が先細り状に形成された円筒状の容器である。ローダーホッパ30の上壁には、材料輸送流路3aと吸引流路3bが接続されている。ローダーホッパ30は、乾燥ホッパ20の上側に配置されており、ローダーホッパ30の下部は、乾燥ホッパ20の上壁を貫通して、乾燥ホッパ20内に配置されている。乾燥ホッパ20内に位置するローダーホッパ30の下端には、材料供給口30aが形成されている。この材料供給口30aには、開閉弁34が設けられている。
【0019】
開閉弁34は、V字状に折り曲げられた金属板で構成されており、その折り曲げられた部分を中心に揺動できるように、乾燥ホッパ20の天井面に吊り下げられている。乾燥装置1の運転を行っていない状態では、開閉弁34は、図1中破線で示すように材料供給口30aから離間している。ローダーホッパ30の内圧が乾燥ホッパ20側の内圧よりも所定値以上低くなると、開閉弁34は、図2中実線で示すように材料供給口30a側に引き寄せられて材料供給口30aを閉塞する。
【0020】
輸送ブロワ32は、吸引流路3bを介してローダーホッパ30内を吸引するために設けられている。ローダーホッパ30内を吸引することで、材料タンク31内の材料が材料輸送流路3aを介してローダーホッパ30に気力輸送される。
【0021】
また、吸引流路3bにはフィルタ33が設けられている。フィルタ33は、吸引流路3bを通過する空気に混入した粉塵や材料を捕捉するために設けられている。
【0022】
乾燥ライン2は、乾燥ホッパ20と乾燥ブロワ21の吹出口とを接続する乾燥空気供給流路(乾燥媒体供給流路)2aと、乾燥ホッパ20と乾燥ブロワ21の吸込口とを接続する乾燥空気戻り流路2bと、乾燥空気供給流路2aの途中と乾燥空気戻り流路2bの途中とを接続するバイパス流路2cとを有する。乾燥ライン2内には、乾燥ホッパ20内の材料の乾燥させるための乾燥空気(乾燥媒体)が流れる。
【0023】
乾燥ホッパ20は、下部が先細り状に形成された円筒状の容器である。乾燥ホッパ20の下端部には、材料排出口20aが形成されている。乾燥ホッパ20の側壁には、乾燥空気供給流路2aと乾燥空気戻り流路2bが接続されている。乾燥空気供給流路2aの先端部は、乾燥ホッパ20内に配置されている。乾燥空気供給流路2aの先端部は、下向きに開口しており、下側ほど径が大きくなるように形成されている。なお、図1では、乾燥空気供給流路2aは、乾燥ホッパ20の側壁を貫通しているが、乾燥ホッパ20の蓋を貫通していてもよい。また、乾燥ホッパ20内の上部には、乾燥ホッパ20内の材料の量を検知するためのレベル計(図示省略)が設けられている。
【0024】
乾燥空気供給流路2aは、乾燥ブロワ21から吹き出された乾燥空気を、乾燥ホッパ20に供給するための流路である。乾燥ブロワ21から吹き出される風量は一定である。
【0025】
乾燥空気供給流路2aには、乾燥空気を目標温度に加熱するためのヒーター22が設けられている。また、乾燥空気供給流路2aのヒーター22より下流側の位置には、温度センサー23が設けられている。ヒーター22は、温度センサー23で検知された温度と目標温度との温度差に応じてオン状態とオフ状態とを交互に繰り返すことで、温度調整を行う。また、ヒーター22は、空気の出口を2つ有しており、一方の出口にはバイパス流路2cが接続されている。
【0026】
乾燥空気戻り流路2bは、乾燥ホッパ20内の乾燥空気を乾燥ホッパ20から排出させて、乾燥ブロワ21に供給するための流路である。乾燥空気戻り流路2bには、乾燥ホッパ20側から順に、乾燥空気フィルタ25と、排出管26と、大気取込管27が設けられている。大気取込管27には大気フィルタ28が設けられている。乾燥ホッパ20から排出された乾燥空気は、乾燥空気フィルタ25によって粉塵が除去された後、その一部が排出管26を介して大気に排出される。また、大気取込管27に流入した大気は、大気フィルタ28によって塵埃が除去されてから、乾燥空気戻り流路2bを流れる乾燥空気と混合される。
【0027】
バイパス流路2cは、乾燥空気供給流路2a内の乾燥空気を乾燥ブロワ21に供給するための流路である。本実施形態では、バイパス流路2cは、その一端がヒーター22の出口に接続され、他端が乾燥空気戻り流路2bの排出管26と大気取込管27との間の部分に接続されている。したがって、バイパス流路2cは、ヒーター22を通過した乾燥空気を乾燥ブロワ21に供給するようになっている。
【0028】
バイパス流路2cには、切換弁24が設けられている。切換弁24は、電磁弁であって、非通電時には、図1に示すようにバイパス流路2cを遮断し(遮断状態)、通電時には、図2に示すようにバイパス流路2cを連通させる連通状態に切り換わる。連通状態では、乾燥空気供給流路2a内の乾燥空気の一部が、バイパス流路2cを通過して乾燥ブロワ21に供給される。
【0029】
次に、乾燥装置1の動作について、図3のフローチャートを用いて説明する。
【0030】
まず、ヒーター22と乾燥ブロワ21の駆動を開始する(ステップS1)。このとき、開閉弁34は図1中破線で示す開弁状態であって、切換弁24は図1に示す非通電状態である。したがって、乾燥ブロワ21から吹き出されてヒーター22によって加熱された乾燥空気は全て乾燥ホッパ20に供給される。また、乾燥ホッパ20内の乾燥空気は、乾燥空気戻り流路2bを介して排出と吸気が行われる。乾燥ホッパ20への乾燥空気の圧力バランスは、プラス圧となる。
【0031】
次に、乾燥ホッパ20内のレベル計(図示省略)により、乾燥ホッパ20内の材料が所定量未満(材料なしの場合を含む)であると検知されると(ステップS2、Yse)、輸送ブロワ32の駆動を開始する(ステップS3)。輸送ブロワ32によってローダーホッパ30内が吸引されて負圧となることにより、開閉弁34が材料供給口30a側に引き寄せられて材料供給口30aを閉塞する。さらにローダーホッパ30内が吸引されると、材料タンク31の材料がローダーホッパ30に気力輸送される。
【0032】
輸送ブロワ32の駆動を開始してから所定時間が経過するまで(ステップS4、No)、輸送ブロワ32の駆動を継続して材料の輸送を行う。開閉弁34にかかる材料の重量は徐々に大きくなるものの、輸送ブロワ32の吸引力が勝っており、開閉弁34は開弁しない。
【0033】
そして、駆動開始時から所定時間が経過したときに(ステップS4、Yes)、輸送ブロワ32を停止して材料の輸送を停止する(ステップS5)。輸送ブロワ32を停止させるときに自動的に切換弁24に通電して、切換弁24を遮断状態から連通状態に切り換える(ステップS6)。これにより、乾燥ブロワ21から吹き出されてヒーター22によって加熱された乾燥空気は、一部がバイパス流路2cを通って乾燥ブロワ21に戻され、残りが乾燥ホッパ20に供給される。そのため、乾燥ホッパ20内の圧力が低下する。これにより、開閉弁34が、材料の重量と開閉弁34の自重により開弁して、ローダーホッパ30内の材料が乾燥ホッパ20に供給される。そして、乾燥ホッパ20内に供給された材料は、乾燥空気によって乾燥される。
【0034】
切換弁24への通電を開始してから(連通状態に切り換えてから)所定時間が経過するまで(ステップS7、No)、切換弁24を連通状態で維持して、ローダーホッパ30内の材料を全て乾燥ホッパ20に供給する。そして、切換弁24への通電開始から所定時間経過したときに(ステップS7、Yes)、切換弁24への通電を停止して、切換弁24を連通状態から遮断状態に切り換える(ステップS8)。
【0035】
次に、乾燥ホッパ20内のレベル計(図示省略)により、乾燥ホッパ20内の材料が所定量未満であると検知されると(ステップS9、No)、所定量に達するまでステップS3からステップS8を繰り返す。乾燥ホッパ20内の材料が所定量に達した後、材料が排出されて所定量を下回った場合には(ステップS9、No)、再度ステップS3以降を行う。
【0036】
本実施形態の乾燥装置1によると、切換弁24を連通状態にして、乾燥ブロワ21から吹き出される乾燥空気の少なくとも一部をバイパス流路2cを介して乾燥ブロワ21に戻すことにより、乾燥ブロワ21から吹き出される乾燥空気を全て乾燥ホッパ20に供給する場合に比べて、乾燥ホッパ20内の圧力を低くできる。そのため、ローダーホッパ30の材料の重量と開閉弁34に自重によって開閉弁34を開弁させることができ、ローダーホッパ30の材料を確実に乾燥ホッパ20に供給することができる。
また、乾燥ホッパ20内を吸引することで減圧する場合、吸引手段を駆動するためのエネルギーが、乾燥ホッパ20を減圧するためだけに必要となるが、本実施形態では、乾燥ブロワ21から送られる乾燥空気の流れを変更することで乾燥ホッパ20内を減圧しているため、乾燥ホッパ20を減圧するためだけに新たなエネルギーを要することなく、乾燥ホッパ20内を減圧できる。
【0037】
また、本実施形態では、輸送ブロワ32が駆動されてローダーホッパ30に材料が輸送されているときは、切換弁24は遮断状態であるため、乾燥ブロワ21から吹き出される乾燥空気は全て乾燥ホッパ20に供給される。そのため、乾燥ホッパ20に乾燥空気を十分に供給することができる。
【0038】
また、本実施形態では、輸送ブロワ32を停止してローダーホッパ30への材料の輸送を停止したときに自動的に切換弁24は遮断状態から連通状態に切り換わる。これにより、乾燥ホッパ20が減圧されて開閉弁34が開弁し、ローダーホッパ30内の材料が乾燥ホッパ20に供給される。したがって、ローダーホッパ30への材料の輸送の停止から、乾燥ホッパ20への材料の供給の開始を円滑に行うことができる。
【0039】
バイパス流路が、ヒーターを通過する前の乾燥空気を乾燥ブロワに供給するように構成されている場合、切換弁が連通状態のときにヒーターを通過する風量は、切換弁が遮断状態のときにヒーターを通過する風量よりも少なくなる。そのため、切換弁が連通状態の場合、ヒーターの熱源にかかる負荷が大きく、熱源の寿命が短くなる。また、切換弁を切り換えたとき、ヒーターを通過する乾燥空気の風量が変化するため、乾燥空気を目標温度に温調することが難しく、ヒーターを通過した乾燥空気の温度が変動してしまう。
一方、本実施形態では、バイパス流路2cが、ヒーター22を通過した乾燥空気を乾燥ブロワ21に供給するように構成されているため、ヒーター22を通過する風量は一定である。そのため、ヒーター22の熱源にかかる負荷の増大を防止できるとともに、ヒーター22を通過した乾燥空気の温度の変動を防止できる。
【0040】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上記の実施形態は以下のように変更して実施することができる。なお、上記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。
【0041】
上記実施形態では、輸送ブロワ32を停止させたときに自動的に切換弁24が遮断状態から連通状態に切り換わるようになっているが、切換弁24を遮断状態から連通状態に切り換えるタイミングは、これに限定されない。例えば、乾燥ホッパ20内の圧力を検知する圧力センサーを設置して、ステップS5の後、乾燥ホッパ20内の圧力が所定値以上の場合にのみ、切換弁24を遮断状態から連通状態に切り換えるようにしてもよい。
【0042】
上記実施形態では、バイパス流路2cの上流端は、乾燥空気供給流路2aのヒーター22の2つの出口の一方に接続されているが、この構成に限定されない。
例えば、乾燥空気供給流路2aのヒーター22より上流側にバイパス流路を接続してもよい。
また、例えば、乾燥空気供給流路2aのヒーター22より下流側にバイパス流路を接続してもよい。この場合、上記実施形態と同様に、ヒーター22を通過する風量が一定となるため、ヒーター22の熱源にかかる負荷の増大を防止できるとともに、乾燥空気の温度の変動を防止できる。
【0043】
また、乾燥空気供給流路2aのヒーター22より下流側にバイパス流路を接続する場合、温度センサー23とヒーター22との間にバイパス流路を接続してもよく、温度センサー23より下流側にバイパス流路を接続してもよい。但し、以下の点において、温度センサー23より下流側にバイパス流路を接続することが好ましい。
配管内の乾燥空気の熱は、配管を介して放熱されるため、配管内の温度は内周面側が中心側よりも低くなり、この温度勾配は配管を通過する風量が少ないほど大きくなる。バイパス流路が、温度センサー23とヒーター22との間に接続されている場合、温度センサー23より下流側に接続されている場合に比べて、切換弁24が連通状態のときに温度センサー23を通過する風量が少なくなる。そのため、配管内の乾燥空気の温度を精度良く測定するには、配管中心の温度を検知できるように温度センサー23を配置しなければならず、位置決めが難しい。一方、バイパス流路が、温度センサー23より下流側に接続されている場合、温度センサー23が設けられた配管を通過する風量が大きいため、配管内の温度勾配は小さくなる。そのため、精度よく温度を検知できる範囲が広くなり、温度センサー23の位置決めが容易となる。
【0044】
また、上記実施形態では、バイパス流路2cの下流端は、乾燥空気戻り流路2bの排出管26と大気取込管27との間に接続されているが、この構成に限定されない。バイパス流路2cの下流端は、乾燥空気戻り流路2bの上記以外の部分に接続されていてもよく、乾燥ブロワ21の吸込口に接続されていてもよい。
【0045】
上記実施形態では、切換弁24は、バイパス流路2cの途中に配置されているが、バイパス流路2cと乾燥空気供給流路2aとの接続部に配置してもよく、バイパス流路2cと乾燥空気戻り流路2bとの接続部に配置してもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、切換弁24が連通状態のとき、乾燥空気供給流路2a内の乾燥空気の一部がバイパス流路2cを通過するように構成されているが、切換手段が連通状態のとき、乾燥空気供給流路2a内の乾燥空気が全てバイパス流路2cを通過するように構成されていてもよい。具体的には、例えば、図4に示すように、切換弁124が、バイパス流路102cと乾燥空気供給流路102aとの接続部に設けられた三方弁であって、乾燥ブロワ21から吹き出された乾燥空気を全てバイパス流路102cに通過させる連通状態と、バイパス流路102cを遮断する遮断状態とを切換可能となっていてもよい。この場合、温度センサー23は、乾燥空気供給流路102aの切換弁124とヒーター22との間に設けられる。
【0047】
切換弁24は、電磁弁に限定されない。例えば、手動で連通状態と遮断状態に切り換え可能な弁であってもよい。
【0048】
開閉弁34は、ローダーホッパ30側の圧力と乾燥ホッパ20側の圧力差に応じて開閉する構成であれば、上記実施形態の構成に限定されない。
【0049】
上記実施形態では、ローダーホッパ30内を輸送ブロワ32で吸引することでローダーホッパ30内に材料を気力輸送しているが、ローダーホッパ30に材料を供給するための構成は、これに限定されない。例えば、手動で材料をローダーホッパ30に供給してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 乾燥装置
2a、102a 乾燥空気供給流路(乾燥媒体供給流路)
2c、102c バイパス流路
20 乾燥ホッパ(乾燥容器)
21 乾燥ブロワ(送風手段)
22 ヒーター
23 温度センサー
24、124 切換弁(切換手段)
30 ローダーホッパ(一時貯留容器)
30a 材料供給口
32 輸送ブロワ(吸引手段)
34 開閉弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥容器と、
開閉弁が設けられた材料供給口を介して前記乾燥容器と連通し、前記乾燥容器に供給される材料を一時的に貯留する一時貯留容器と、
乾燥媒体を吹き出す送風手段と、
前記送風手段と前記乾燥容器に接続され、前記送風手段から吹き出される乾燥媒体を前記乾燥容器に供給するための乾燥媒体供給流路と、
前記乾燥媒体供給流路に接続され、前記乾燥媒体供給流路内の乾燥媒体を前記送風手段に供給するためのバイパス流路と、
前記乾燥媒体供給流路内の乾燥媒体の少なくとも一部が前記バイパス流路を通過して前記送風手段に供給される連通状態と、前記バイパス流路を遮断する遮断状態とを切り換え可能な切換手段とを備えることを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
前記一時貯留容器内を吸引して前記一時貯留容器に材料を気力輸送する吸引手段をさらに備え、
前記切換手段は、前記吸引手段が駆動しているときに前記遮断状態であって、前記吸引手段が停止したときに自動的に前記遮断状態から前記連通状態に切り換わることを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記乾燥媒体供給流路に、前記乾燥媒体を加熱するヒーターが設けられており、
前記バイパス流路は、前記ヒーターを通過した乾燥媒体を前記送風手段に供給することを特徴とする請求項1または2に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記乾燥媒体供給流路における前記ヒーターより下流側に、温度センサーが設けられており、
前記バイパス流路は、前記温度センサーを通過した乾燥媒体を前記送風手段に供給することを特徴とする請求項3に記載の乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−32879(P2013−32879A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169234(P2011−169234)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000129183)株式会社カワタ (120)
【Fターム(参考)】