説明

予備部品の在庫管理

製造企業のために予備部品及び工具を管理する方法が開示される。求められる入手可能性のパーセンテージ、部品リードタイム、及び流通部品の統計的な需要レベルに基づいて、過去の需要値が統計的に分析され、予備部品の最適な在庫レベルが決定される。リードタイムに従って必要に応じて注文された部品を用いた計画的なメンテナンス及び予防的なメンテナンスの時間枠に基づいて、部品在庫の決定を行うことも可能である。予備部品の在庫管理では、企業規模のコンピュータシステムを利用して、部品需要計画を製造工程及び設備メンテナンスシステムに対する技術変更及び他の変更に用いられるシステムと統合化することが可能となる。コンピュータシステムは、様々な度合いの部品の追加注文及び計画処理を行うことができ、部品管理者が他の問題点についての決定を行う一方で、特定のステップの自動化を図ることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
長年にわたり製造工程が存在してきたが、その間、予備部品及び交換部品の必要性もまた存在してきた。現代の製造工程は、何千もの個別の部品及び部品組立品からなり、これらの各々は、使用強度及び環境への配慮などの無数の要因に依存して、最終的に修理又は交換を必要とすることになる。工程のメンテナンスは、製造企業の収益性にとって不可欠なものであると共に、整備及び修理のスケジューリングを伴うものであり、このような修理を迅速に行うために、適切な部品及び工具が入手可能であることを条件としている。加えて、予期せぬ部品交換のために十分な部品が入手可能でなければならない。
【0002】
現代の製造企業は、全世界に散らばった複数の設備において稼働する多くの工程を利用している。さらに、このような企業を支えるために購入され、在庫の形で保有されている予備部品の総価額は数億ドルに達する。予備部品の在庫の誤った管理は、2つの大きなリスクをもたらすことになる。すなわち、予備部品の在庫が不適切であれば、製造工程は潜在的に最大の利益を出せる状態で稼働できないし、一方、不要な予備部品の余剰在庫は、さらに有効な方法で別様に利用できたはずの資本を誤って利用したことを意味するものとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
効果的な在庫管理に対する圧力が存在しているにもかかわらず、多くの設備を有する企業の一部の製造設備のなかには、依然として互いに単独で予備部品の管理を行っている設備もある。この原因として、しばしば複数の設備において異なる工程が使用され、それらの工程では、同じ部品が異なる名称の下に識別されるという事実を含む多くの要因が挙げられる。企業によっては、中央保管庫を利用して、或る部品について自身の在庫を保持している設備に予備部品の配送を行う企業も存在するが、部品の量は、実際の部品需要、中央保管庫の外部にある部品在庫、部品要求の動的性質、又は設備投資についての意味合いを考慮せずに、設定済みの在庫要件に基づいて管理されている。従って、多くの設備を有する企業に対する予備部品の注文及び配送のニーズをより正確に判断するために、上記のような要因を考慮に入れた統合的部品管理システムの必要性が存在する。
【0004】
予備部品管理の有効性を示す1つの尺度として「捲き数比」と呼ばれるものがあり、この捲き数比は、所定時間にわたって予備部品の在庫使用量をとり、該時間の間の在庫ストック量で除算することにより得られるものである。在庫で保持される部品に対する部品使用量が増加した結果として、より高い捲き数比が得られ、これは、低い捲き数比に比べて、部品管理がより効果的に行われていることを示すものである。典型的な大規模製造企業の場合、予備部品在庫の捲き数比は、1前後又はそれ以下となる。企業は、販売在庫管理についての捲き数比は上昇させてきたが、予備部品等の内部在庫管理についての捲き数比の劇的な上昇は達成していない。
【0005】
製造企業は、SAP(登録商標)などの業務用統合ソフト及び会計システムを利用して、製造資産の履歴及びコストを追跡することができる。製造工程の設計及び見直しに追加のコンピュータシステムを利用することも可能である。しかしながら、これら既存のシステムは、予備部品の管理用として最適化されたものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
企業規模の部品在庫の管理方法は、各々が製造工程のサポートに使用される予備部品又は工具のいずれかである複数の部品を識別するステップと、中央ハブと設備ベースの部品倉庫との両方を含むことができる、部品の少なくとも1つの在庫保管庫を維持管理するステップと、部品の各々について企業規模で需要計画を計算するステップと、上記在庫保管庫に保持されている部品数を、上記需要計画に基づいて調整するステップとを含むことができる。上記調整は、予備部品に対する注文書を発行、又は変更し、設備間で予備部品を輸送し、或いは余剰の予備部品を販売するステップを含むことができる。
【0007】
需要計画を計算するステップは、部品又は工程全体の追加又は削除のような、技術者による、工程の部品に対する要件の変化を考慮に入れることができる。部品の利用が打ち切られた場合、既存の在庫ストックを最大限可能な限り使い切るように需要計画を計算することが可能であり、また、新たな部品が追加された場合、この新たな部品がオンラインとなったときに、予備部品が入手可能となるように保証するためのリードタイムについての考慮を計画に含めることもできる。上記方法は、相手先ブランド(OEM)による変更などの別の要因によって生じる部品の変更を考慮することもできる。
【0008】
過去の需要パターンを基に統計的に導き出された安全在庫についての考慮に基づいて需要計画を計算することにより、部品の十分な蓄えが維持され、所定の部品の入手可能性を求める要求に従う、部品の追加注文に必要なリードタイム期間中に、部品の破損需要を満たすことが可能となる。この需要計画により、計画された部品交換の決定、又は予防メンテナンスのための部品交換の決定に基づく部品注文を通じて、非破損需要を満たすこともできる。企業の資源計画コンピュータシステムに関連するデータを利用して、需要値を特定することも可能である。
【0009】
修理履歴及び修理個所などの、個々の部品に関するデータ追跡を含めて、部品の過去の利用状況を追跡することができる。バーコード、RFIDチップ、又は他の識別証印を利用して部品を追跡することも可能である。
【0010】
企業規模の部品在庫の管理方法は、製造工程のサポートに使用される予備部品又は工具からなる部品に関連する少なくとも1つの識別装置をモニタするステップと、上記モニタステップに応じて部品の物理的な所在位置を判定するステップと、上記部品の所在位置に基づいて部品の在庫データを調整するステップとを含むことができる。
【0011】
上記モニタステップは、製造工程において使用中の、又は入庫中の部品に関連するRFIDタグをスキャンするステップを含むものであってもよい。
【0012】
企業規模の部品在庫の管理方法は、各々が少なくとも1つの製造工程のサポートに使用される部品又は工具からなる複数の部品を識別するステップと、個々の部品の保証データを維持管理するステップと、上記部品データに基づいて、部品の履歴及び保証データを含む部品の状態を評価するステップと、保証範囲が有効であれば、個々の部品の保証データに従って修理を行うステップとを含むことができる。上記修理ステップは、保証範囲が有効であれば、修理サービスプロバイダに対して部品の修理要求及び積荷書類を作成するステップを含むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の最良の形態を含む本発明の十分且つ実施可能な開示について、本明細書の残りの部分において添付図面を参照しながら当業者に対してさらに詳細に説明を行う。
【0014】
本明細書及び図面における参照番号の反復使用は、本発明の同じ又は類似の特徴又は要素を表すことを意図するものである。
【0015】
1又はそれ以上の例が添付図面に例示されている、予備部品の在庫管理システムの本実施形態について以下詳細に説明するが、同じ参照番号は、ほぼ同一の構造要素を表すものとする。説明を目的として個々の例を示すが、本発明を限定するものとしてこれらの例を示すものではない。実際、当業者には自明であるように、本開示及び請求項の範囲又は思想から逸脱することなく修正及び変更を行うことが可能である。例えば、1つの実施形態の一部として例示又は説明される特徴を別の実施形態に利用して、さらに別の実施形態をもたらすことも可能である。従って、本明細書に開示される予備部品の在庫管理システムには、添付の請求項及びそれら均等物の範囲内で行われる修正及び変更が含まれることが意図されている。
【0016】
製造設備トポロジー
図1は、設備10、12、14、及び16の例示的構成を示す図である。個々の設備は、1又は複数の建物からなり、そこでは、製造工程A、B、及びC、又はそれら工程の部品を稼働させることができる。例示の設備は単なる例であり、本発明の対象となる方法は、図1に示す設備よりもさらに多数の設備又は少数の設備で実行することが可能である。個々の設備は、同じ数の又は異なる数の製造工程を収容することができる。図1の設備10に例示されているように、1つの実施形態では、企業は1又はそれ以上の部品倉庫を維持管理し、そこでは製造工程は実際に稼働していない。部品倉庫を中央保管庫として利用し、単一の又は複数のハブアンドスポーク構成の形で複数の設備へ部品を供給してもよい。或いは、稼働中の製造工程を有する設備がハブとしての機能を果たし、他の製造工程の設備がスポークとしての機能を果たすようにしてもよい。これらの設備は、互いから物理的に任意の距離に位置することができ、企業規模でコンピュータネットワーク19とリンクされる。部品及び材料の輸送ネットワーク18は、トラック、鉄道、飛行機、及び別の輸送手段を介して輸送及び物流サポートを提供する。
【0017】
個々の設備は、点線で示される、予備部品の1又は複数の在庫保管庫に関連づけられており、この点線部分は、設備において維持管理される予備部品の在庫を表すものである。図1に例示のように、説明を容易にするために2種類の例示的な予備部品20と20’とを示している。図1には2種類の予備部品しか描かれていないが、現代の製造工程において一般に必要とされる何千もの予備部品を含む任意の数の部品により、本明細書で開示される予備部品の在庫管理システムを利用することが可能である。また、本明細書で使用される「予備部品」という用語は、この製造工程により生成又は処理された製品又は材料を除いた、製造工程のサポートにおいて利用される他の任意の部品を含むものである。このような部品は、新たな予備部品及び使用済みの予備部品、工具、工具一式、又は工程の部品組立品を含むことができる。在庫の形で保持される個々の予備部品の種類の数は、ゼロ以上の値で変動し得るものである。
【0018】
個々の設備の手元にある予備部品の在庫記録は、コンピュータのデータベース、又はコンピュータネットワーク19を介してアクセスされた別のデータの編集物を用いて保持される。実際のデータベースが、ある特定の実施形態の特定のニーズ及び効率に依存して、離散データベース又はサブデータベースの組み合わせ、或いは、単一の統一データベースを含むことができるように、「データベース」という用語は本明細書では広い意味で用いられている。
【0019】
革新的な部品在庫計画の基礎
実需と一定の在庫量とに基づく応答管理ではなく、部品の需要予測に基づく革新的な予備部品管理を通じて、コスト削減と製造工程のダウンタイムの短縮との両方が達成可能となる。
【0020】
第1のステップは、現在どのような部品が在庫の形で保持されているか、及び企業の製造工程で利用されているかを正確に描くことである。典型的な製造工程は、稼働のために何千もの部品を必要とする場合があり、これらの部品要求は、ワークフローのグレードアップ又は変更などの工程の変化、並びに、その工程を使用して製造される特定の製品の種類又は個数の変化に基づいて変動することがある。通常、大規模な製造企業では、多くの工程が常に稼働中となる。加えて、そういった企業は、将来的にさらに別の製造工程を稼働させようと計画している場合がある。従って、企業は、通常の稼働のために多種多様の部品を必要とすることになる。
【0021】
工程が異なるにもかかわらず、製造工程の多くは、実際には同じ部品を異なる名称の下で使用している場合がある。例えば、他の点では異なるいくつかの製造工程も、すべてコンベヤ装置を利用して、完成までの様々な段階を通じて製品を移動させることが考えられる。製造中、おむつ及びティッシュペーパーなどの製品は、両方とも、切断及び折り畳み(又は別の処理)を必要とする可能性があり、ブレード又はアクチュエータなどの或る種の部品を共用する場合もある。他には共通点のない工程も、故障時に修理できるよう手元に置いておくべき一定の電気用又は配管用の専門工具一式を必要とするような、共通したメンテナンスが必要となる場合がある。部品の共通性を示す単純化した例が図1に示されている。工程Aは部品20を利用し、工程Bは部品20’を利用する。工程CはA及びBとは異なるが、20と20’の両方を利用する。
【0022】
しかしながら、異なる製造工程のサポートに利用されるこれら別個の部品はすべて、初めから別個の部品番号の下で仕様化されたものであると考えられる。個々の工程がその工程専用に集められた部品を必要とすることになるため、このような仕様化は、水増しされたレベルの部品需要を示す原因となる。共通の種類の部品に共通の部品識別子を割り当てることにより、この水増しを明らかにすることができる。本明細書で開示されるシステムは、部品が利用されている工程とは無関係に部品を識別し、共通の種類の部品に対して共通の識別子を用いるものである。この部品識別子は、部品番号又は英数字による別の名称であってもよい。個々の部品に割り当てられた作成済みの名称を利用することにより部品の識別が可能となり、この識別により、コンピュータのデータベースが、機械部品番号、企業の割り当て番号、及びメーカー部品番号などの、相互リンクする異種の番号を含むようにすることができる。英数字タグ、バーコード、又はRFIDチップ、若しくは部品又は部品が保管されたコンテナに関連づけられたチップにより物理的な部品そのものを識別することも可能である。
【0023】
図1に示される部品20及び20’などの部品が、同様の部品を表す共通の指示子により識別されると、個々の部品の在庫量が決定される。設備の在庫保管庫に保管されている個々の部品に関連づけられたバーコード又はRFIDタグをスキャンすることにより上記の達成が可能となる。設備の中に入るとき、又は設備を出るとき、或いは、工程で実際に使用するために在庫保管庫から移動する際に、同様に部品のスキャンを行うことができる。別のデータエントリ手段も同様に利用することができる。部品の識別、及び現在の在庫量と配送の決定について図2のステップ100において大まかに表している。
【0024】
例えば、図1では、設備16がバーコードベースのシステムを実現している。設備16の作業員22が、部品の在庫量を示すために、部品保管庫の内部又は外部で部品をスキャンしたときに在庫データベースの更新が行われる。設備12はRFIDベースのシステムを実現しており、作業員24は、自分の携帯用RFIDスキャナの届く範囲で移動して、部品をデータベースに登録するだけで十分である。設備14は大規模RFIDスキャナ26を利用して、その在庫保管庫を出入りする部品全体を(図1ではトラック27を介して)自動的にスキャンする。
【0025】
従って、部品の種類と特定の部品例の両方について、要望通りの高いレベルの詳細情報まで部品情報を維持管理することができる。1つの実施形態では、データベースは、個々の部品について、購入日、メーカー、原産国、品番、メーカー部品番号、メーカーシリアル番号、部品の位置データ、工場の部門及び部屋、状態、製造資産番号及び下位番号、稼働リードタイム補正値、カタログ情報、所望の在庫量、及び工場又は中央保管庫内などの在庫場所、通常の発行量、工場での年間予想使用量、工場の現在の安全在庫量、中央保管庫の現在の安全在庫量、及び工場の配送時刻に関する情報を含むことができる。
【0026】
部品需要予測
現在、製造設備は、SAP(登録商標)などの専門ソフトウェアを利用することができ、このSAPには、平均故障間隔、平均メンテナンス間隔の計算などの部品性能データに基づくメンテナンスサイクルの計画を可能にする工場のメンテナンスモジュールが含まれる。部品のメンテナンス要求を追跡するのにこのソフトウェアを利用することも可能であり、非破損需要レベルから部品の破損需要レベルを分離するのにこのようなデータを利用することも可能である。非破損需要レベルとは、計画済みのメンテナンスサイクルなどに従って、サービスから外される計画部品に対する要望を表わすものである。破損需要レベルとは、思いがけない部品の故障時に、製造工程の稼働状態を保持する目的で手元に保持しておく必要がある部品(安全在庫)を反映したものである。
【0027】
設備のグループが、それら個々の予備部品の需要レベルの管理を積極的に開始すると、個々の設備それぞれについてのデータが相互参照され、組み合わされて、企業全体に対し、工場間で共通の統一化された需要計画の展開が可能となる。図1に示すように、工程A及びCの利用に基づく計算の結果、部品20に対する或る需要レベルが得られることになり、一方、B及びCにより、部品20’に対する需要レベルが得られることになる。専門のソフトウェアツールを利用して、個々の設備に対して保持されているデータから上記部品情報を取り出し、それを組み合わせて、設備全体にわたって部品20及び20’のそれぞれについて破損需要と非破損需要との合計レベルを決定することができる。
【0028】
この企業規模の需要計算を利用して、メンテナンス要求、生産及び部品のリードタイム、既存の工程に対する変更、新たな工程の追加、相手先ブランド(OEM)によって行われる部品に対する変更、及び予備部品に対する最適な設備投資の決定などの要因に基づいて、部品のハブ及び個々の設備において在庫の形で保持されている予備部品の数を調整することが可能となる。需要計算について図2の10において大まかに表し、例示を目的として115においてリストされているような様々な考察を考慮に入れた形で115において示している。当業者は、この需要計算を以下でさらに詳細に論じられているように進めることが可能であり、予備部品の需要計画に関連すると思われる他の要因をこの需要計算で考慮することも可能である。
【0029】
非破損需要
システムは、部品のリードタイムを考慮に入れ、部品交換が計画されたとき、適切な部品が手元にあるように保証することにより、部品に対する非破損需要に備えることができる。上記データを用いて、計画済みのメンテナンスサイクルと、部品の性能データと、部品のリードタイムとの組み合わせに基づいて、計画済みの及び予測済みのメンテナンスのために部品を購入するように設備を移行させることができ、1つの実施形態では、計画上の必要性に基づく部品の配送指示を受けて、このような部品を中央保管庫から取り出すことができる。この予測済みのメンテナンスは、部品供給者により提供される場合と、部品を使用した実際の経験から導き出される場合とにおける両方の平均故障間隔(MTBF)、及び部品が使用される環境などの他の懸案事項のような値に基づいて決定することができる。
【0030】
破損需要の統計分析
非破損需要の場合、統計分析を行って安全在庫の最適レベルを決定し、該最適レベルの在庫を中央保管庫に保持することができる。例えば、破損需要の分析により、部品が故障した場合でも設備の稼働状態を保持するために、メーカーが設備全体にわたって十分な数の部品を手元に保有していることを示すことが可能となる。一定の購入目標に基づいて、これら同じ部品のさらなる購入に資本を拘束するのではなく、故障部品をさらに購入する必要が本当に生じるまで、或いは安全在庫用として必要な在庫部品に資金が再割り当てされるまで、或いは、非破損需要を満たすために部品を購入する必要が本当に生じるまで、価値の下がらない資産に資金を投資することが可能となる。この統計分析には、企業の(単複の)コンピュータデータベースに保持されている過去の部品需要レベルを利用することができる。
【0031】
在庫レベルが理論上の再注文ポイントに達すると、部品の需要を評価し、部品の再注文に備えるように、上記部品管理システムを構成することができる。このようなポイントで部品の再注文に備えることにより、計画された破損需要を満たすのに十分な予備部品の在庫が手元に存在することがシステムにより保証されることになる。所定の部品の場合、この理論上の再注文ポイントは、部品に対するリードタイム中の予測需要に、理論上の安全在庫を加算した形で定められる。リードタイム中の予測需要は、部品の平均使用回数に部品のリードタイムを乗じることにより決定することができる。理論上の安全在庫は、上記の部品の平均需要を満たすために手元に保持しておく必要がある在庫量を表わすものとなる。1つの実施形態では、計画された部品需要の計算時に使用される「リードタイム」とは、実際には、OEMにより与えられたリードタイムと、実際の配送時間についての統計分析とに基づく部品の配送時間値のことである。
【0032】
理論上の安全在庫は統計的理論を用いて計算され、この理論上の安全在庫は、部品のリードタイム、部品に対する需要の日々の変動、及び一般に、要求される(この部品は、ほぼ間違いなく、95%の確率で入手できるに違いない、などの)入手可能性をパーセンテージで表した、部品に対して要求される入手可能性の関数である。入手可能性を求める要求が高ければ、安全在庫をより高いレベルで保持することが必要となる。需要レートの平均需要、日々の変動、及び標準偏差は、(単複の)部品データベース及び(単複の)製造データベースに保持されている、過去の需要データから計算することが可能となる。
【0033】
予備部品の在庫管理システムでは、予備部品の注文数量を決定する際に経済的要因を考慮することも可能である。例えば、部品在庫の維持管理には、単なる部品の購入よりも多くのコストがかかることになる。正しくは、総コストには、部品の実際のコスト、部品の注文コスト、及び部品の保有コストが含まれる。これらの値から、部品の年間価格、年間注文コスト、及び年間保有コストなどの係数に基づいて、経済的な注文数量を計算することができる。部品に対する需要を、部品取得についての経済性と相関づけて、製造工程にとっての必要性と、企業の財務的実態との両方に基づく最適な注文数量を決定することができる。或る部品在庫の決定には、アナリスト又は別の人員の介入が必要とされる。1つの実施形態では、予備部品の在庫管理システムは、いくつかの部品在庫を自動的に決定し、その他の部品在庫を、部品の価格決定についての考慮と使用量とに基づいて、工場の担当職員の決定に委ねるように構成される。
【0034】
革新的な予備部品の在庫管理
SAP(登録商標)などの製造管理コンピュータシステムとの統合化に加え、予備部品管理システムを既存の1又は複数の技術設計システムと統合化して、革新的な部品管理を可能にすることができる。図3に大まかに示すように、新たな工程の追加、又は既存の工程の再設計などの技術変更が行われた場合、予備部品管理システムの需要計画を計算する際に、上記変更に起因して生じる部品要求を考慮に入れることができる。
【0035】
例えば、図1に示すように、設備16における技術スタッフが、部品20’を1ユニットではなく2ユニット利用するように工程Cに変更を行ったと仮定する。この技術的設計変更では、(図3の200において示される)通知が部品管理システムにトリガされ、次いで、技術的部品データベースの変化が評価される。代替の実施形態では、予備部品管理システムが、定期的に技術システムに問合せを行って、部品リスト及び部品要求の変化をチェックする。いずれにせよ、最終的に部品20’の数の増加が考慮に入れられて、破損需要と非破損需要との両方の目的のために、計算された部品20’の需要が調整される。
【0036】
図3の215において示されるように、既存の工程に対する技術変更により、部品の使用が既存の工程から削除される場合がある。削除は、工程を使用して製造された製品の変化、それぞれのOEMによる部品に対する変更、又は他の懸案事項によって行われる場合がある。例えば、製品の再設計によるものであると仮定すると、部品20’の使用を中止するという形で、工程BとCの両方が変更されることになる。この変更は技術計画データベースにおいて行われる。部品表を評価すると共に、将来において部品20’がもはや必要とされることはない旨を確認する通知が、工程に対する変更により、部品管理システムにトリガされる。図3の215、225、及び235において示されるように、システムは、変更の有効日、その時点まで計算された部品20’に対する計画された需要、及び既存の在庫ストックを考慮して、部品20’の既存在庫を使い切るための企業規模の需要計画を調整し、その結果、予備部品の在庫に部品が残らないようにするか、或いは最小限の部品を残すようにする。部品がサービスの対象から外された時点によって、需要計画の調整は、予備部品20’の注文を減らしたり、或いは取り消したりすることができるようになる。例えば、在庫として多くの数量が保持されていない部品に対して前々から計画されていた変更を行う場合、多くの在庫がある部品に対してすぐに変更を行う場合と比べて、結果、需要計画に対する変更はより小さなものとなる。
【0037】
図3の216、220、及び230によって大まかに示されているように、技術変更には全く新しい工程の追加が含まれる場合もある。部品のメンテナンス計画システムは、適宜、最初の在庫要件を決定し、必要な部品を調達するためのアクションをとることができる。部品の追加又は削除を行う場合のように、部品のメンテナンス計画システムにより、新しい工程用の技術データから取得される部品表が評価される。既存の部品在庫、必要とされる新たな部品、新しい工程がラインに導入される有効日、及び新たな部品と古い部品とに対する予測需要に基づいて需要計画を変更することにより、新しい工程をラインに載せるのに適切な在庫が利用可能となる。
【0038】
予備部品の在庫調整
図2に示されるステップ120において需要予測が得られると、上述のような必要部品の入手可能性、リードタイム、及び経済上の考慮などの部品注文基準が、部品管理者により仕様化された規定に従って考慮される。ステップ130において、特定の部品にはさらなる分析が必要となることを示す基準に照らして、計画された部品注文のチェックが部品管理方法により進められる。その場合、135において示されるように、その部品は、再分析の対象としてフラグされ、注文が行われる前に当業者の介入を受けることになる。当業者であれば、この部品管理者による介入は、製造企業の特定の要望、及び部品管理システムのために仕様化された基準に依存して、部品管理プロセスの任意の段階において行われ得るということに気付くであろう。例外がないものと仮定すれば、140において示されるように、最終ステップでは、部品の注文、又は別の指示が生成されることになる。例えば、OEMから部品の注文を行うことも可能であるし、或いは設備間で部品の転送を行うことも可能である。
【0039】
物流についての考察
予測需要、並びに、必要時に部品の即時配送を行う保証の両方を考えるにあたって、部品在庫を決定する場合はすべて、部品のリードタイムを考慮に入れることが可能となる。例えば、技術システムに変更が行われた日付から90日後に、新しい工程がラインに導入された場合について考えてみる。さらに、この工程は、7日のリードタイムを伴う部品と、30日のリードタイムを伴う部品の2つの部品を必要とするものと仮定する。部品に対する需要計算を行った後、在庫管理システムは、必要な購入許可伝票を作成し、第1の(リードタイムが7日の)部品を変更の発生後83日で配送し、第2の(リードタイムが30日の)部品を変更後60日で配送するように部品に対して注文を出すことができる。
【0040】
工場の需要予測にも、注文及び配送の計画のみならず、手元にある予備部品の地理的に最適な配送の決定が組み入れられる。或る種の部品を1又は複数の中央ハブに保管する一方で、他の部品を設備の倉庫への配送用として取っておくことも可能である。例えば、設備14の近くで生成され、システム上需要の高くない部品については、部品メーカーから設備10へ直接出荷するのではなく、設備14の倉庫へ配送し、その後、いくつかのユニットを中央保管庫10及び/又は他の設備への転送用として割り当てるようにしてもよい。これにより、出荷時間及び出荷コストを抑えることが可能となる。システム上需要があることが判明した部品は、将来設備へ分配するためにハブに保管するようにしてもよい。部品管理システムは、部品配送に要するメーカーのリードタイム、及び部品の最適な配置を決定する際の部品需要に要する設備のリードタイムなどの要因を考慮に入れることが可能である。
【0041】
一般にバーコードを用いて行われるいずれの部品追跡も、代わりにスマートタグ又はUWB識別装置を用いることができる。当業者には自明であるように、「スマートタグ」、「UWB識別装置」、及び「RFIDタグ」はすべて、本明細書では区別なく使用され、部品と物理的に関連づけられた、遠隔地でのアクセスが可能なデータ記憶装置を意味するものである。例えば、部品管理システムでは、生産設備へ出荷された部品又は部品キットをバーコードを用いて識別するのではなく、それら部品が生産設備又は倉庫設備において受納されたときに、部品又は部品の梱包箱に埋め込まれたスマートタグを自動的に読み取るようにしてもよい。生成された電子コードにより部品を一意的に識別し、オンラインの部品属性へのリンクを可能にしたり、或いは、部品の取り付け履歴及び修理履歴、保証及び修理の指示などの必要な情報を含むように、このスマートタグをプログラムしたりすることも可能である。
【0042】
RFIDタグ技術の利用により、部品在庫及び部品の所在位置のリアルタイム表示が可能となる。このようにすることで、部品が物理的に異なる所在位置に存在するにもかかわらず、データベースによる追跡を配送ネットワークと組み合わせて利用することにより、実質的に企業規模の中央保管設備が設けられたことになる。26において示されるように、設備の職員が部品の仕分け又は識別を行う必要なく、部品が配送車輌で設備に到着したときに部品の積荷をスキャンし、部品データベースにログインすることが可能となる。或いは、設備12における作業員24によって示されるような在庫担当者がRFIDのスキャンを行うようにしてもよい。
【0043】
RFIDタグ又は他の識別情報を部品の個々の例と関係付けて、部品の利用状況、メンテナンス、保証情報、又は他の部品固有のデータを追跡することが可能である。個々の部品及び同じ種類の部品の集合についての利用データを、平均故障間隔などの現実の故障データの測定に利用することも可能である。計算値を、メーカーにより提供された情報と比較することも可能であり、特定の設備についての、及び製造会社全体としての需要予想の微調整にこの計算値を利用することも可能である。
【0044】
さらに、工程の機械に設置された部品又は部品組立品のスマートタグを読み取るRFIDスキャナに基づいて、正しい部品が取り付けられていることを検証することにより、工程の部品表を自動的にチェックすることが可能となる。UWB送信機又はスマートタグを用いて、中央保管庫、製造場所、又は別の設備内における、部品の物理的位置を追跡することにより部品の在庫管理を単純化することもできる。GPSシステムの場合と同様に、UWB装置を用いて放出信号を三角測量することにより、その信号のソースの位置がわかるようになる。RFID技術を用いれば、スキャナが設備の中を通り抜けるようにするか、或いは設備内に多くのスキャナを備え、スキャナから短い距離の範囲内にある物体を検出するようにするかのいずれかの方法により、スキャナと検出器とが、保管設備における非常に多くの部品の所在位置を読み取り、記録できるようになる。部品の所在位置は、その部品について保持されているデータに記録することができる。部品が工程で利用されているか、倉庫内にあるか、運送中か、又は別の目的に利用されているかに関する部品の所在位置に基づいて、在庫レベルを継続的に調整することが可能となる。
【0045】
さらに、在庫担当者及びメンテナンス担当者が身に付けている、或いは持ち運んでいるスマートチップ又はUWB装置を紙のチェックリストの代わりに利用して、適正製造規範(GMP)により求められる一般的なメンテナンス作業義務、機械の状態チェック、在庫チェック、又は他のアクションの完了を記録することができる。
【0046】
別の実施形態では、オペレータが身に付けている、或いは持ち運んでいるスマートチップ又はUWB装置を利用して、特定のオペレータのアクションを追跡し、記録することができる。例えば、オペレータを識別するスマートタグを、EWMAシステム又は(分散制御システムなどの)別のHMI(ヒューマン−マシーン・インタフェース)システムに関連する様々な入力装置及び制御装置によって読み取り、オペレータの身元確認を行うことが可能となる。オペレータが立入禁止区域の中に入ったり、或いは機械の一部を物理的に変更したり、若しくは予備部品在庫の一部を移動させたりした場合、特定の関心のある場所のRFIDリーダが、部品の近くに居るオペレータの物理的存在又は行動を追跡し、そのオペレータを、機械又は在庫に対して当該時間中に及び当該場所において行われた変更と関連付けて、その後に生じ得るトラブル・シューティング又は問題解決の分析を行うことが可能となる。
【0047】
一例として、インテリタグ500という名称のRFIDタグ及びRFIDリーダは、ワシントン州エベレットのインターメックテクノロジ社、及び、ニューメキシコ州アルバカーキに在るインターメック社のアムテックシステム事業部から購入することが可能であり、或いは、RFIDリーダは、テキサス州ダラスのテキサスインツルメント社製のコマンダ320、13.56MHzのRFIDリーダであってもよい。RF SAW社(テキサス州ダラス)から得られるRF SAW(無線周波数表面弾性波)技術などの別の自動識別システム及び対象追跡システムを利用することも可能である。
【0048】
部品の在庫計画における追加考察
予備部品の在庫管理システム内に保証管理モジュールを組み込んで、修理過程をさらに合理化し、資産活用を最適化することが可能となる。この保証モジュールは、個々の部品における保証範囲及び損害賠償請求の履歴を追跡することができる。例えば、データベースの中に、保証範囲、どのような種類の修理が保証されているか、修理用部品がどこへ出荷されるか、及び修理過程を完了させるために必要な別の情報の長さ又は別の尺度を含まれるようにしてもよい。或る部品の修理には、故障の原因又は種類によっては保証が適用されない場合もあり、保証モジュールは、部品についての保存データに基づいてこのような考察を評価するか、或いはユーザにさらに多くの情報を要求することができる。
【0049】
メンテナンスのために、又は部品故障に起因して部品が外される場合、データベース内に保持されている情報にアクセスして、何らかの保証が適用されるのであれば、その部品に対してどのような保証範囲が適用可能かを確認することができる。例えば、保証範囲は、部品を購入してからの時間の長さに依存する場合もあれば、或いは部品を使用した長さ又は量に依存する場合もある。部品は、一定の時間の間だけ保証される場合もあり、保証モジュールは、保証が適用可能かどうかをその部品の履歴に基づいて評価することができる。保証範囲が適用可能であれば、部品管理システムは、必要な出荷書類及び保証請求書類及び指示を作成することができる。その後、保証手続きに従って、OEM又は他の修理サービスプロバイダへ部品を出荷することが可能となる。
【0050】
1つの実施形態では、予備部品の在庫管理システムは、統合化を可能にするソフトウェアを追加し、部品供給者とインターフェイス接続することにより拡張される。予備部品の注文書を単独で発行するのではなく、予備部品の管理システムは、需要計画又はその一部を部品OEMに提供する。その結果、OEMは、需要予測に基づいて、適切な製造能力又は値下げを提供できるようになる。
【0051】
一般的考察
部品在庫管理の当業者には自明であるように、本明細書に開示される方法及びシステムは、コンピュータソフトウェアを利用して実現することが可能である。このようなソフトウェアは、オブジェクト指向のプログラム言語及び別のプログラム言語、並びにマイクロソフト社の.NET(登録商標)フレームワークなどのアプリケーション間で共通のプログラミングフレームワークを含むものである。本明細書に開示される方法論に基づく規則及び計算に従って、1又はそれ以上の構造型又は非構造型データベースにアクセスして、情報の保存、検索、及び変更を行うことが可能である。本明細書に開示される部品の在庫管理システムは、単一のコンピュータにおいて、又は複数のコンピュータシステムにわたって実行が可能であり、特定の企業に対する最適な構成に依存して、他の関連性のないコンピュータシステムに保存されているデータ、及び他の関連性のないコンピュータシステムにより保存されているデータの利用又は変更を行うことも可能である。部品の在庫管理システムは、個別のサブモジュールの組み合わせを利用して、或いはソフトウェアの統一部分として実現及び実行が可能である。さらに、私的ネットワーク、公衆インターネット、又は複数のネットワークの組み合わせを介して、予備部品の管理システムの作動に利用されるデータを送信することが可能である。
【0052】
本明細書で説明したシステムによりサポートされる製造設備に最もよく適合する組み合わせにおいて、様々なデータ入出力方式及び様々なデータ入出力装置を利用することができる。例えば、1つの実施形態では、データベースにウェブベースのフロントエンドを用いることにより、ユーザは、部品データ及び入手可能性データ並びに入手可能性を求める要求にアクセスし、それらを修正できるようになる。部品在庫管理システムにアクセス可能なネットワークと適当にリンクした任意のコンピュータ装置を介して、データベースにアクセスするようにしてもよい。これらの装置は、パーソナルコンピュータ、端末及びサーバ、及びPDAなどの携帯用コンピュータ装置を含むことができる。部品に関連する1又は複数のタグをRFIDスキャンすることにより、又はバーコードをスキャンすることにより、或いは部品識別データを、機械での読み取りが可能な他の任意のフォーマットに変換することにより部品情報を手で入力して、特定の部品をコンピュータシステムに保存されているデータと関連付けることが可能となる。
【0053】
在庫要求、在庫の購入許可、及び在庫のリードタイムに関する決定は、コンピュータシステムに入力された規定に基づいて行うことができ、また、これらの決定を完全に又は部分的に自動化し、コンピュータインタフェースを介して承認/変更の管理のための選択肢又は許可を提示することが可能である。1つの実施形態では、部品は用途、コスト、及び在庫削減の潜在性に基づいてカテゴリに分類され、そして、本明細書に開示されるシステムによる管理の度合いは、そのカテゴリに応じて変更される。例えば、ボルト又はワッシャなどの極めて低コストの又は標準的な品目の再注文は、本明細書に開示されるような需要管理の利用から得られる在庫削減の潜在性が極めて少ないため、個々の設備によって管理を行うようにしてもよい。別の部品については、図2の130及び135において示し、上述したような予め定義された或る種の基準を満たす需要予測により、管理の介入を促すことができる。例えば、部品の需要予測が非常に高いか、非常に低いか、或いは予期した型番と適合しないような場合、部品アナリスト又は管理者の留意の下で購入又は在庫の決定を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本明細書に開示される予備部品管理システム及びその方法論に従って稼働する製造設備の代表的な構成を示す図である。
【図2】上記管理システムの1つの実施形態で予備部品の在庫管理を行うための例示的なフローチャートを表わす。
【図3】本明細書に開示される予備部品の在庫管理システムの別の側面に従う革新的な部品需要管理ステップを示す例示的なフローチャートを表わす。
【符号の説明】
【0055】
19 コンピュータネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
企業規模で部品在庫を管理する方法であって、
a.各々が少なくとも1つの製造工程のサポートに用いられる部品又は工具からなる複数の部品を識別するステップと、
b.前記部品の少なくとも1つの在庫保管庫を維持管理するステップと、
c.前記部品の各々について企業規模で需要計画を計算するステップと、
d.前記在庫保管庫において維持管理される前記部品の個数を、前記需要計画に基づいて調整するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記需要計画を計算するステップは、製造工程の部品表の変更により開始されるトリガに応答するステップを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記トリガは工程からの部品の削除により開始され、前記需要計画は前記部品の残りの在庫を使い切るように計算される、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記トリガは以前使用していない部品の追加により開始され、前記需要計画は前記部品の最初の在庫レベルを準備するように計算され、その結果、以前使用した部品のサービスの有効日以降の需要を満たすために前記予備部品が入手可能となるようにする、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの在庫保管庫を維持管理するステップは、中央保管庫に複数の部品を保管するステップを含み、前記需要計画を計算するステップは、前記部品のリードタイムを含む以前の需要の統計的な分析に基づいて、前記部品の安全在庫レベルを決定するステップを含む、
ことを特徴とする上記請求項のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記部品の履歴を追跡するステップをさらに含み、該履歴は前記需要計画の計算時に利用される、
ことを特徴とする上記請求項のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記需要計画の計算時に利用される前記履歴は、前記部品の故障頻度を含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記履歴を追跡するステップは、前記部品の少なくとも1つの個々の例の記録を維持管理するステップを含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記維持管理される記録は、前記部品の前記個々の例についての修理履歴を含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記維持管理される記録は、前記部品の前記個々の例の物理的所在位置を含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記追跡ステップは、前記部品の前記個々の例に関連する少なくとも1つのRFID装置をスキャンするステップを含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
結果として生じる捲き数比は、例えば2.5よりも大きいように、1よりも大きい、
ことを特徴とする上記請求項のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項13】
a.部品に関連する少なくとも1つの識別装置をモニタするステップと、
b.前記モニタステップに応答して、前記部品の物理的所在位置を判定するステップと、
c.前記部品の前記所在位置に基づいて、前記部品の在庫データを調整するステップと、
を含むことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の方法。
【請求項14】
前記モニタステップは、製造工程において使用中の部品に関連するRFIDタグをスキャンするステップを含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記モニタステップは、複数の保管された部品に関連するRFIDタグをスキャンするステップを含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
企業規模で部品在庫を管理する方法であって、
a.複数の設備において存在する複数の製造工程のサポートに用いられる予備部品の需要値を特定するステップと、
b.前記予備部品の少なくとも1つの在庫保管庫を維持管理するステップと、
c.個々の予備部品についての破損需要を、個々の予備部品についての非破損需要から分離させるステップと、
d.個々の予備部品についての平均需要レベルを決定するステップと、
e.破損需要値の統計的分布、前記部品の計画された配送時刻、及び前記部品に対する入手可能性を求める要求の分析に基づいて、個々の予備部品についての理論的安全在庫レベルを計算するステップと、
f.前記平均需要レベル、計画された配送時刻、及び理論的安全在庫レベルに基づいて、個々の予備部品について予測需要を計算するステップと、
g.前記在庫保管庫に十分な個数の個々の予備部品を保管して、前記計算された需要を満たすように個々の予備部品に対して注文を出すステップと、
h.計画された配送時刻に従って十分な部品を設備へ配送し、非破損需要を満たすように個々の予備部品に対して注文を出すステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
前記在庫保管庫は、複数の製造設備にサービスを提供する中央ハブであり、前記部品注文は、前記中央ハブが十分な個数の個々の予備部品を保管して、前記ハブに関連する前記すべての設備について計算された需要を満たすように出される、
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記予備部品の需要値は、部品の利用を打ち切る、工程の部品要件の変更に応答して調整され、前記予測需要は、前記打ち切られた部品の在庫を使い切るように調整される、
ことを特徴とする請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記予備部品の需要値は、新たな部品を追加する、工程の部品要件の変更に応答して調整され、前記予測需要は、前記新たな部品の最初の在庫レベルを準備するように調整される、
ことを特徴とする請求項16、17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記需要値は、企業の資源計画コンピュータシステムに関連するデータを用いて特定される、
ことを特徴とする請求項16、17、18又は19に記載の方法。
【請求項21】
企業規模で部品在庫を管理する方法であって、
a.各々が少なくとも1つの製造工程のサポートに用いられる部品又は工具からなる複数の部品を識別するステップと、
b.個々の部品についての保証データを維持管理するステップと、
c.前記部品の履歴と前記保証データとを含む、部品の状態に基づく部品データを評価するステップと、
d.個々の部品についての前記保証データに従って修理を行うステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
前記識別ステップは、前記部品に関連する少なくとも1つの識別装置をモニタするステップを含む、
ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記識別装置は、無線周波数信号を放出するスマートタグを備え、前記識別ステップは、前記放出される無線周波数信号をスキャニング装置から受信するステップを備える、
ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記修理を行うステップは、保証範囲が有効であれば、修理サービスプロバイダに対して前記部品についての修理要求及び積荷書類を生成するステップを含む、
ことを特徴とする請求項21、22又は23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−522637(P2009−522637A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548506(P2008−548506)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【国際出願番号】PCT/US2006/038937
【国際公開番号】WO2007/078371
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】