予測プログラム、予測装置及び予測方法
【課題】より少ない工数で実測された実測値を用いて、ファンに関するデータを予測する。
【解決手段】予測装置100は、以下の取得部121、予測部122を有する。すなわち、予測装置100の取得部121は、所定の回転数N[rpm]で回転する場合のファンに関するデータの実測値111を取得する。そして、予測装置100は、取得されたデータの実測値に基づいて、ファンが所定の回転数Nとは異なる回転数N´で回転する場合のファンに関するデータを予測する。
【解決手段】予測装置100は、以下の取得部121、予測部122を有する。すなわち、予測装置100の取得部121は、所定の回転数N[rpm]で回転する場合のファンに関するデータの実測値111を取得する。そして、予測装置100は、取得されたデータの実測値に基づいて、ファンが所定の回転数Nとは異なる回転数N´で回転する場合のファンに関するデータを予測する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予測プログラム、予測装置及び予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器には、該電子機器に含まれる電子部品を冷却するファンが実装されることが多い。電子機器に実装されるファンは、該電子機器の動作や周囲環境等に起因して発生する電子部品の発熱を抑制するので、発熱による電子機器の故障や高温となった電子機器に利用者が触れることによる火傷等を防止することができる。
【0003】
近年では、電子機器が種々の機能を有することにより電子部品数が増加することや、電子機器の小型化に伴い圧力損失が増大することで、ファンをより一層回転させることとなり、ファンの動作音による騒音が問題となっている。このため、静音化が要求される電子機器に対しては、該電子機器の設計段階において適切な冷却設計、ファンの選択及びファン回転数の制御等を検討することが好ましい。
【0004】
電子機器におけるファンによる騒音の予測については、一つの態様として、ファンのメーカ等から提供される無負荷時及び定格時の回転数において、吸気側正面から1メートル離れた位置の音圧レベル値に基づいて予測する方法がある。また、電子機器におけるファンによる騒音の予測については、他の態様として、動作点での負荷騒音に基づいて予測する手法もある。
【0005】
最近では、熱解析により動作点でのファン前後の圧力差を予測し、ファンの負荷騒音やPQ特性等から動作点での負荷騒音や風量を予測する技術がある。ファンの負荷騒音とは、ファンの通風流路に負荷をかけた状態における音圧レベルを指す。また、PQ特性とは、各ファンにおける、ファン前後の差圧、すなわち静圧(Pressure)と、ファンが回転することで通風流路に流れる空気の風量(Quantity)との関係を指す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−108642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術では、ある回転数での負荷騒音や風量などのファンに関するデータを予測するために、予め予測対象として想定される多数の回転数毎にファンの負荷騒音、PQ特性の各データを実測しておく必要がある。そのため、実測の工数が多大となるという課題がある。
【0008】
また、ファンの負荷騒音、風量は、それぞれ目標条件を満たすことが望まれる。すなわち、ファンの回転数は、ファンの負荷騒音が目標負荷騒音未満となり、風量が目標風量より大きくなるような回転数であることが望まれる。負荷騒音と風量との関係について説明すると、ファンの回転数を下げると、ファンの負荷騒音は小さくなるが、風量は小さくなる。また、ファンの回転数を上げると、風量は大きくなるが、ファンの負荷騒音は大きくなる。このように、ファンの負荷騒音と、風量とは、目標条件を満たすことについて、互いにトレードオフの関係にあるといえる。ここで、このようなトレードオフの関係にある負荷騒音および風量の両方の目標条件を、ファンが満たすことが可能か否かを予測し、予測結果を、ファンを組み込む電子機器などの設計に用いることが考えられる。このような予測を行う方法としては、次のような方法が考えられる。例えば、負荷騒音と、PQ特性を、代表的なファンの回転数毎に実測し、これら実測値を対応付けて記憶し、負荷騒音と風量の予測の際に実測値を用いることが考えられる。このようにして、負荷騒音および風量の両方の目標条件をファンが満たすことが可能か否かの予測、すなわちファンに関するデータの予測を行う場合にも、ファンの回転数毎の多大な各データを実測するので、実測の工数が多大となるという課題がある。
【0009】
そこで、本願に開示する技術は、上記に鑑みてなされたものであって、より少ない工数で実測された実測値を用いて、ファンに関するデータを予測することが可能である予測プログラム、予測装置及び予測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本願に開示する予測プログラムは、コンピュータに、所定の回転数で回転する場合のファンに関するデータの実測値を取得させる。そして、当該予測プログラムは、取得されたデータの実測値に基づいて、コンピュータに、次のような処理を実行させることを特徴とする。すなわち、当該予測プログラムは、コンピュータに、前記ファンが前記所定の回転数とは異なる回転数で回転する場合の前記ファンに関するデータを予測する処理を実行させることを特徴とする。
【0011】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するため、本願に開示する予測プログラムは、コンピュータに、次のような処理を実行させることを特徴とする。すなわち、当該予測プログラムは、まず、コンピュータに、所定の回転数で回転する場合のファンの回転に起因する音の音圧レベルの実測値、および所定の目標音量に基づいて、第1の回転数を予測する処理を実行させる。ここで、第1の回転数は、前記ファンの回転に起因する音の音圧レベルが、前記目標音量が示す条件を満たす場合の前記ファンの回転数である。そして、当該予測プログラムは、コンピュータに、第1の回転数、所定の回転数で回転する場合のファンの静圧と風量とに関する特性の実測値、およびファンの通風流路における圧力損失特性に基づいて、第1の風量を予測する処理を実行させる。ここで、第1の風量は、前記予測された第1の回転数で回転する場合の前記ファンにより前記通風流路に流れる空気の風量である。
【発明の効果】
【0012】
本願に開示する予測プログラム、予測装置及び予測方法の一つの態様は、より少ない工数で実測された実測値を用いて、ファンに関するデータを予測することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施例1に係る予測装置の構成例を示す図である。
【図2】図2は、実測値の一例を示す図である。
【図3】図3は、PQ特性の予測を説明するための図である。
【図4】図4は、出力部による出力結果の一例を示す図である。
【図5】図5は、実施例1に係る予測処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図6】図6は、実施例2に係る予測装置の構成例を示す図である。
【図7】図7は、音圧レベルの検出方法の一例について説明するための図である。
【図8】図8は、実施例2に係る予測処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図9】図9は、実施例2に係る予測処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図10】図10は、取得プログラム、予測プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。
【図11】図11は、回転数予測プログラム、風量予測プログラム、目標風量時回転数予測プログラム、音量予測プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本願に開示する予測プログラム、予測装置及び予測方法の実施例を説明する。なお、以下の各実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0015】
[予測装置の構成]
図1を用いて、実施例1に係る予測装置の構成を説明する。本実施例に係る予測装置は、所定の回転数で回転する場合のファンに関するデータの実測値に基づいて、ファンが所定の回転数とは異なる回転数で回転する場合のファンに関するデータを予測するものである。ファンに関するデータの一例としては、音圧レベル、PQ特性、およびファン電力が挙げられる。ここで、PQ特性とは、静圧風量特性とも称され、各ファンにおける、静圧(P)と、ファンが回転することで通風流路に流れる空気の風量(Q)との関係を指す。また、ファン電力とは、ファンに供給される電力を指す。このファン電力の大きさによって、ファンの回転数は変化する。一般的には、ファン電力が大きくなるほど、回転数は、高くなる。
【0016】
図1は、本実施例に係る予測装置の構成例を示す図である。例えば、図1に示すように、予測装置100は、記憶部110と、制御部120とを有する。また、予測装置100は、入力部130と、出力部140とに接続されている。
【0017】
入力部130は、外部から情報を入力する。例えば、入力部130は、ユーザからの指示などの各種情報を受け付けて、受け付けた指示などの各種情報を制御部110に入力する。なお、指示としては、例えば、詳細を後述する「予測処理」を実行する指示がある。この予測処理を実行する指示には、ファンの回転数N´[rpm]が含まれる。ここで、ユーザによって入力部130から入力される予測処理を実行する指示に含まれる回転数N´は、後述する実測値111を実測した際のファンの回転数Nとは異なる回転数であるものとする。これは、ユーザは、後述する実測値111を実測した際のファンの回転数Nとは異なる回転数でファンが回転する場合の各データの予測結果をユーザは把握したいからである。入力部130は、例えば、マウスやキーボードなどの入力装置である。
【0018】
出力部140は、外部へ情報を出力する。例えば、出力部140は、後述する予測結果などの情報を予測部122から受け付ける。出力部140は、受け付けた予測結果などの情報を出力する。出力部140は、例えば、ディスプレイなどの表示装置である。この場合、ディスプレイに予測結果などの情報が表示される。また、出力部140は、例えば、スピーカーなどの音声出力装置であってもよい。この場合、スピーカーから音声によって予測結果などの情報が出力される。また、出力部140は、通信によって外部の装置に予測結果などの情報を出力してもよい。
【0019】
記憶部110は、制御部120による各種処理に要するデータや、制御部120による各種処理結果を記憶する。このほか、記憶部110は、後述する実測値111を記憶する。記憶部110は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置である。
【0020】
実測値111は、ファンが所定の回転数で回転している場合に実測された、音圧レベルLp[dB]、PQ特性、およびファン電力[W]の実測値である。図2は、実測値の一例を示す図である。図2の例では、ファンが回転数N[rpm]で回転している場合に実測された、音圧レベルLp[dB]、PQ特性、ファン電力w[W]の実測値が示されている。
【0021】
制御部120は、制御プログラム、各種の処理手順等を規定したプログラム及び所要データを格納するための内部メモリを有する。制御部120は、予測装置100全体を制御する。また、制御部120は、取得部121と、予測部122とを有する。制御部120は、例えば、ASiC(Application Specific integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路、又は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路である。
【0022】
取得部121は、実測値を取得する。例えば、取得部121は、記憶部110から実測値111を取得する。
【0023】
予測部122は、ファンに関するデータを予測する。例えば、予測部122は、取得部121で取得された、ファンが所定の回転数N[rpm]で回転した場合の音圧レベルLp[dB]の実測値を、下記の式(1)により、音のエネルギーを示す音の強さLp´[W/m2]に変換する。
Lp´=10−12×10(Lp/10)[W/m2]・・・式(1)
【0024】
そして、予測部122は、所定の回転数N、音の強さLp´、ファンの回転数N´[rpm]を用いて、下記の式(2)により、ファンが回転数N´で回転する場合の音の強さLp´N´[W/m2]を予測する。
Lp´N´=Lp´×((N´)6÷N6)・・・式(2)
【0025】
ここで、式(2)の例では、乗数6を用いているが、乗数として5.5〜6.0付近の値を用いるようにしてもよい。厳密にはファン種類、風速等により乗数は変化するため、厳密な予測が必要な場合には実験等により対象のファンについて適切な乗数を事前に求めておくことが望ましい。以下、PQ特性、ファン電力についても同様である。また、ファンの回転数N´は、予測処理を実行する指示に含まれる値である。
【0026】
そして、予測部122は、下記の式(3)により、ファンが回転数N´で回転する場合の音圧レベルLpN´[dB]を予測する。
Lp´N´=10−12×10(LpN´/10)[W/m2]・・・式(3)
【0027】
また、予測部122は、取得部121で取得された、ファンが所定の回転数Nで回転した場合のPQ特性の実測値に基づいて、ファンが回転数N´で回転する場合のPQ特性を予測する。
【0028】
この予測の方法の一例について、図3を参照して説明する。図3は、PQ特性の予測を説明するための図である。図3の例では、横軸を風量Q[m3/min]とし、縦軸を静圧P[Pa]として、ファンが所定の回転数Nで回転している場合のPQ特性の実測値50が示されている。予測部122は、このようなPQ特性の実測値50の中から、風量と静圧との組(Q、P)を複数選択する。以下の説明では、風量Qi(i=1〜M)[m3/min]と、静圧Pi(i=1〜M)[Pa]との組(Qi、Pi)がM個選択された場合を想定する。そして、予測部122は、ファンの回転数がN´となる場合の各風量Qi´(i=1〜M)[m3/min]を、下記の式(4)により、予測する。
Qi´=Qi×(N´÷N)・・・式(4)
【0029】
続いて、予測部122は、ファンの回転数がN´となる場合の各静圧Pi´(i=1〜M)[Pa]を、下記の式(5)により、予測する。
Pi´=Pi×((N´)2÷N2)・・・式(5)
【0030】
その後、予測部122は、各風量Qi´と各静圧Pi´との各組(Qi´、Pi´)に対して補間処理を行うことにより、ファンが回転数N´で回転する場合のPQ特性を予測する。
【0031】
図3には、ファンが回転数N´で回転する場合のPQ特性の予測値52が示されている。なお、図3の例では、回転数N´は、回転数Nよりも小さい値とする。また、図3には、ファンが、回転数N´より小さい回転数N´´で回転する場合のPQ特性の予測値54が示されている。図3に示すように、回転数が小さくなるほど、同一の風量に対する静圧の大きさは小さくなる。
【0032】
また、予測部122は、取得部121で取得された、ファンが所定の回転数Nで回転した場合のファン電力w[W]の実測値、所定の回転数N、ファンの回転数N´を用いて、下記の式(6)により、ファンが回転数N´で回転する場合のファン電力w´[W]を予測する。
w´=w×((N´)3÷N3)・・・式(6)
【0033】
また、予測部122は、ファンが回転数N´で回転する場合の音圧レベルLpN´、PQ特性、ファン電力w´と、回転数N´とを出力部140に出力する。これにより、出力部から出力結果等が出力される。図4は、出力部による出力結果の一例を示す図である。図4に示すように、予測した音圧レベルLpN´、PQ特性、ファン電力w´と、その際のファンの回転数N´とが表示される。
【0034】
[予測処理]
次に、図5を用いて、本実施例に係る予測処理について説明する。図5は、本実施例に係る予測処理の流れの例を示すフローチャートである。図5に示す予測処理は、予測処理を実行する指示が入力部130から入力された場合に起動される。
【0035】
図5に示すように、取得部121は、記憶部110から実測値111を取得する(ステップS101)。そして、予測部122は、実測値111に基づいて、ファンが回転数N´で回転する場合の音圧レベルLpN´[dB]を予測する(ステップS102)。
【0036】
続いて、予測部122は、実測値111に基づいて、ファンが回転数N´で回転する場合のPQ特性を予測する(ステップS103)。その後、予測部122は、実測値111に基づいて、ファンが回転数N´で回転する場合のファン電力w´[W]を予測する(ステップS104)。
【0037】
そして、予測部122は、予測した音圧レベルLpN´、PQ特性、ファン電力w´と、回転数N´を出力部140に出力し(ステップS105)、処理を終了する。
【0038】
[実施例1による効果]
上述したように、予測装置100は、所定の回転数N[rpm]で回転する場合のファンに関するデータの実測値111を取得する。そして、予測装置100は、取得されたデータの実測値に基づいて、ファンが所定の回転数Nとは異なる回転数N´で回転する場合のファンに関するデータを予測する。このように、本実施例に係る予測装置100は、1つの回転数におけるファンに関するデータの実測値を用いて、他の回転数でのファンに関するデータを予測する。したがって、本実施例に係る予測装置100によれば、従来技術と比較して、より少ない工数で実測された実測値を用いて、ファンに関するデータを予測することができる。
【実施例2】
【0039】
さて、上記の実施例1では、ファンに関するデータとして、音圧レベルLpN´、PQ特性、ファン電力w´を予測する場合を例示したが、開示の装置はこれに限定されない。そこで、実施例2では、他のデータを予測する場合について説明する。
【0040】
[予測装置の構成]
図6を用いて、実施例2に係る予測装置の構成を説明する。本実施例に係る予測装置は、実測値111に基づいて、ファンの回転数、風量、音量を予測するものである。
【0041】
図6は、本実施例に係る予測装置の構成例を示す図である。図6に示すように、予測装置200は、記憶部110と、制御部220とを有する。かかる制御部220は、図1に示す実施例1に係る制御部120に比較して、実施例1の取得部121、予測部122に代えて、次に示す各部を有する点が異なる。すなわち、かかる制御部220は、回転数予測部221、風量予測部222、目標風量時回転数予測部223、音量予測部224を有する。なお、以下では、上記の実施例1と同様の機能を果たす各部については図1と同様の符号を付し、その説明は省略することとする。
【0042】
回転数予測部221は、実測値111に基づいて、目標音量が示す条件を満たす場合のファンの回転数を予測する。ここで、「目標音量が示す条件を満たす場合」とは、ファンの回転に起因する音の音圧レベルが、目標音量が示す音圧レベル以下あるいは未満となる場合である。例えば、回転数予測部221は、ユーザによって入力部130から入力された目標音量Lpg[dB]を、下記の式(7)により、音の強さLpg´[W/m2]に変換する。
Lpg´=10−12×10(Lpg/10)[W/m2]・・・式(7)
【0043】
そして、回転数予測部221は、音圧レベルLp[dB]の実測値を、上記の式(1)により、音の強さLp´[W/m2]に変換する。
【0044】
そして、回転数予測部221は、実測値111が示す回転数Nと、音の強さLpg´、Lp´とを用いて、下記の式(8)により、目標音量が示す条件を満たす場合のファンの回転数Ns´を予測する。
Lpg´=Lp´×((Ns´)6÷N6)・・・式(8)
【0045】
風量予測部222は、回転数予測部221で予測された回転数Ns´で回転する場合のファンにより、通風流路に流れる空気の風量を予測する。例えば、風量予測部222は、記憶部110に記憶された、圧力損失カーブの係数kを取得する。ここで、圧力損失カーブとは、ファンが搭載される装置の通風流路特有の圧力損失特性の曲線(P=kQ2)を指す。そして、風量予測部222は、圧力損失カーブと、PQ特性の実測値50の曲線との交点を動作点とし、動作点の風量を、回転数Ns´で回転する場合の風量として予測する。この予測の方法の具体例について、図3を参照して説明する。図3の例では、圧力損失カーブ56と、PQ特性の実測値50の曲線との交点である動作点58の風量は、4.5[m3/min]となる。したがって、図3の例の場合には、風量予測部222は、風量を4.5[m3/min]として予測する。
【0046】
目標風量時回転数予測部223は、目標風量が示す条件を満たす場合のファンの回転数を予測する。ここで、「目標風量が示す条件を満たす場合」とは、ファンの回転により通風流路に流れる空気の風量が、目標風量以上あるいは目標風量より大きい場合である。例えば、目標風量時回転数予測部223は、回転数Nと、圧力損失カーブとPQ特性の実測値50の曲線との交点である動作点の風量Qdと、目標風量Qgとを用いて、下記の式(9)により、目標風量Qgが示す条件を満たす場合のファンの回転数Nqを予測する。
Qg=Qd×(Nq÷N)・・・式(9)
【0047】
また、目標風量時回転数予測部223は、圧力損失カーブの係数kの値が変更可能であるか否かを判定する。ここで、係数kの値が変更可能である場合とは、ファンが搭載される装置の通風経路などが変更可能な場合であり、圧力損失特性の曲線(P=kQ2)についても変更可能な場合である。本実施例の一態様としては、このように係数kが変更可能である場合には、予め記憶部110に設けられた判別用フラグを所定値に設定し、目標風量時回転数予測部223は、判別用フラグを参照することで、係数kの値が変更可能であるか否かを判定する。
【0048】
また、目標風量時回転数予測部223は、係数kの値を変更し、回転数Nqを予測する処理を、係数kの値が所定の変更可能な範囲を超えるか、または後述の音量予測部224で予測された音圧レベルが、目標音量が示す条件を満たすまで繰り返し行う。
【0049】
音量予測部224は、目標風量が示す条件を満たす場合の回転数Nqでファンが回転した場合の音圧レベルを予測する。例えば、音量予測部224は、まず、圧力損失カーブとPQ特性の実測値50の曲線との交点である動作点の風量Qdに対応する音圧レベルLpqを検出する。ここで、この音圧レベルの検出方法について、図7を参照して説明する。図7は、音圧レベルの検出方法の一例について説明するための図である。図7の例では、圧力損失カーブ56と、PQ特性の実測値50の曲線との交点である動作点58の風量は、6.0[m3/min]となる。また、図7の例では、動作点58の風量6.0[m3/min]に対応する音圧レベルの実測値70の値は、50.00[dBA]となる。すなわち、図7の例では、音量予測部224は、動作点の風量に対応する音圧レベルを50.00[dBA]として検出する。
【0050】
そして、音量予測部224は、検出した音圧レベルLpqを、下記の式(10)により、音の強さLpq´[W/m2]に変換する。
Lpq´=10−12×10(Lpq/10)[W/m2]・・・式(10)
【0051】
そして、音量予測部224は、回転数Nと、音の強さLpq´と、目標風量が示す条件を満たす場合の回転数Nqとを用いて、下記の式(11)により、目標風量が示す条件を満たす場合の回転数Nqでファンが回転した場合の音の強さLpw´を予測する。
Lpw´=Lpq´×((Nq)6÷N6)・・・式(11)
【0052】
その後、音量予測部224は、予測した音の強さLpw´を、下記の式(12)により、音圧レベルLpwに変換することで、目標風量が示す条件を満たす場合の回転数Nqでファンが回転した場合の音圧レベルLpwを予測する。
Lpw´=10−12×10(Lpw/10)[W/m2]・・・式(12)
【0053】
[予測処理]
次に、図8、9を用いて、本実施例に係る予測処理について説明する。図8、9は、本実施例に係る予測処理の流れの例を示すフローチャートである。図8、9に示す予測処理は、予測処理を実行する指示が入力部130から入力された場合に起動される。
【0054】
図8に示すように、目標音量、目標風量が入力部130から入力されると(ステップS201肯定)、回転数予測部221は、記憶部110から実測値111を取得する(ステップS202)。そして、回転数予測部221は、目標音量が示す条件を満たす場合のファンの回転数Ns´を予測する。(ステップS203)。
【0055】
続いて、風量予測部222は、圧力損失カーブの係数kを取得する(ステップS204)。その後、風量予測部222は、回転数予測部221で予測された回転数Ns´で回転する場合のファンにより通風流路に流れる空気の風量を予測する。(ステップS205)。
【0056】
そして、風量予測部222は、ステップS205で予測された風量が、目標風量以下であるか否かを判定する(ステップS206)。ステップS205で予測された風量が、目標風量以下でない場合(ステップS206否定)には、風量予測部222は、目標音量および目標風量が示す各条件を満たすことが可能であると判別し、次のような処理を行う。すなわち、風量予測部222は、予測されたファンの回転数Ns´および風量を出力部140に出力し(ステップS207)、処理を終了する。
【0057】
一方、ステップS205で予測された風量が、目標風量以下である場合(ステップS206肯定)には、目標風量時回転数予測部223は、係数kの値が変更可能であるか否かを判定する(ステップS208)。係数kの値が変更可能でない場合(ステップS208否定)には、目標風量時回転数予測部223は、目標風量が示す条件を満たす場合のファンの回転数Nqを予測する(ステップS209)。続いて、音量予測部224は、目標風量が示す条件を満たす場合の回転数Nqでファンが回転した場合の音圧レベルを予測し(ステップS210)、これまでの予測結果を出力し(ステップS207)、処理を終了する。
【0058】
一方、PQ特性の係数kの値が変更可能である場合(ステップS208肯定)には、目標風量時回転数予測部223は、係数kを0.01大きくした場合の動作点風量に対応する音量を計算する(ステップS211)。そして、目標風量時回転数予測部223は、係数kを0.01小さくした場合の動作点風量に対応する音量を計算する(ステップS212)。
【0059】
目標風量時回転数予測部223は、ステップS212で計算された音量のほうが、ステップS211で計算された音量よりも小さいか否かを判定する(ステップS213)。ステップS212で計算された音量のほうが、ステップS211で計算された音量よりも大きいか、あるいは両方の音量が等しい場合(ステップS213否定)、目標風量時回転数予測部223は、kの値を0.01増加させる(ステップS214)。そして、ステップS216に移行する。
【0060】
一方、ステップS212で計算された音量のほうが、ステップS211で計算された音量よりも小さい場合(ステップS213肯定)、目標風量時回転数予測部223は、kの値を0.01減少させる(ステップS215)。そして、目標風量時回転数予測部223は、変更後の係数kを用いて、目標風量Qgが示す条件を満たす場合のファンの回転数Nqを予測する(ステップS216)。
【0061】
そして、音量予測部224は、目標風量が示す条件を満たす場合の回転数Nqでファンが回転した場合の音圧レベルを予測する(ステップS217)。そして、目標風量時回転数予測部223は、ステップS217で予測された音圧レベルが、目標音量が示す条件を満たすか否かを判定する(ステップS218)。ステップS217で予測された音圧レベルが、目標音量が示す条件を満たす場合(ステップS218肯定)には、目標風量時回転数予測部223は、目標音量および目標風量が示す各条件を満たすことが可能であると判別し、次のような処理を行う。すなわち、目標風量時回転数予測部223は、これまで予測した結果と、係数kを出力部140に出力し(ステップS219)、処理を終了する。
【0062】
一方、ステップS217で予測された音圧レベルが、目標音量が示す条件を満たさない場合(ステップS218否定)には、目標風量時回転数予測部223は、係数kの値が所定の変更可能な範囲を超えたか否かを判定する(ステップS220)。係数kの値が所定の変更可能な範囲を超えた場合(ステップS220肯定)には、目標音量および目標風量が示す両条件を満たすことが可能でないと判別し、次のような処理を行う。すなわち、目標風量時回転数予測部223は、これまで予測した結果を出力部140に出力し(ステップS221)、処理を終了する。一方、係数kの値が所定の変更可能な範囲を超えていない場合(ステップS220否定)には、ステップS211に移行する。
【0063】
[実施例2による効果]
上述したように、予測装置200は、所定の回転数Nで回転する場合のファンの回転に起因する音の音圧レベルの実測値、および目標音量に基づいて、音圧レベルが目標音量が示す条件を満たす場合のファンの回転数Ns´を予測する。そして、予測装置200は、回転数Ns´、回転数Nで回転する場合のファンの静圧と風量とに関する特性であるPQ特性の実測値、およびファンの通風流路における圧力損失特性を示す圧力損失カーブに基づいて、次のような処理を行う。すなわち、予測装置200は、予測された回転数Ns´で回転する場合のファンにより通風流路に流れる空気の風量を予測する。
【0064】
このように、本実施例に係る予測装置200は、1つの回転数におけるファンに関するデータの実測値を用いて、音圧レベルが目標音量が示す条件を満たす場合のファンの回転数Ns´を予測する。また、本実施例に係る予測装置200は、1つの回転数におけるファンに関するデータの実測値を用いて、回転数Ns´で回転する場合のファンにより通風流路に流れる空気の風量を予測する。したがって、本実施例に係る予測装置200によれば、従来技術と比較して、より少ない工数で実測された実測値を用いて、ファンに関するデータを予測することができる。また、本実施例に係る予測装置200によれば、目標音量が示す条件を満たす場合の予測された風量をユーザが把握することができるため、目標風量が示す条件を満たすか否かを判断することができる。これにより、設計段階で、目標音量が示す条件を満たすが、目標風量が示す条件を満たさない場合には、設計を変更し両方を満足する様にするか、製品コンセプトを見直す等により目標を見直すことを検討することができる。また、目標音量、目標風量が示す条件を両方とも満たす場合には、設計段階でさらに装置を小型化することや、冷却性能の低い低コスト部品への変更などが検討できる。
【0065】
また、予測装置200は、回転数Ns´で回転する場合の予測された空気の風量が、目標風量が示す条件を満たさない場合には、上記の関係、目標風量、およびPQ特性の実測値に基づいて、目標風量が示す条件を満たす場合のファンの回転数を予測する。そして、予測装置200は、予測されたファンの回転数、音圧レベルの実測値に基づいて、目標風量が示す条件を満たす場合のファンの回転に起因する音の音圧レベルを予測する。したがって、本実施例に係る予測装置200によれば、従来技術と比較して、より少ない工数で実測された実測値を用いて、ファンに関するデータを予測することができる。また、本実施例に係る予測装置200によれば、目標風量が示す条件を満たし、かつ目標音量が示す条件を満たさない場合の音圧レベルをユーザが把握することができる。これにより、設計段階で、設計を変更し両方の条件を満足する様にするか、製品コンセプトを見直す等により目標を見直すことを検討することができる。上記の通り、目標風量と目標音量とを共に満足しない場合は、いずれかを満足する場合のもう一つの予測値を設計者が知ることができるため、目標風量、目標音量を変更する場合の設計変更への影響度合いを把握できるため、適切な設計変更を従来より少ない工数でおこなえるようになる。
【0066】
また、予測装置200は、回転数Ns´で回転する場合の予測された空気の風量が、目標風量が示す条件を満たさない場合には、上記の関係を変更する。そして、予測装置200は、回転数Nqを予測する処理を、係数kの値が所定の変更可能な範囲を超えるか、または音量予測部224で予測された音圧レベルが、目標音量が示す条件を満たすまで繰り返し行う。そして、予測装置200は、予測された音圧レベルが、目標音量が示す条件を満たす場合には、目標音量および前記目標風量が示す各条件を満たすことが可能であると判別する。したがって、本実施例に係る予測装置200によれば、通風流路の圧力損失特性を変更することで、目標風量および目標音量が示す条件を満たす可能性があることをユーザが把握することができる。これにより、設計段階で、コストのかかる材料を用いて過剰に設計することを防止することができる。例えば、高性能のヒートシンクにより必要風量を下げる方法、特注のファンを用いる方法などコストのかかる方法を防止できる。
【0067】
また、予測装置200は、変更された上記の関係が、変更可能な範囲を超えた場合には、目標音量および目標風量が示す両条件を満たすことが可能でないと判別する。したがって、本実施例に係る予測装置200によれば、目標音量および目標風量が示す両条件を満たすことが可能でないことを把握することができる。これにより、設計段階で、圧力損失特性以外の設計変更が必要であること、もしくは目標音量、目標風量の見直しが必要であることを把握できる。
【0068】
さて、これまで本願に開示する予測装置の実施例について説明したが、上述した実施例以外にも種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、(1)装置の構成、(2)プログラムにおいて異なる実施例を説明する。
【0069】
(1)装置の構成
また、上記文書中や図面中等で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメタ等を含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。また、図示した予測装置100、200の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は、図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負担や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合することができる。
【0070】
(2)プログラム
ところで、上記実施例では、ハードウェアロジックによって各種の処理を実現する場合を説明したが、予め用意されたプログラムをコンピュータで実行することによって実現するようにしても良い。そこで、以下では、図10を用いて、上記実施例1に示した予測装置100と同様の機能を有する取得プログラム、予測プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。また、図11を用いて、上記実施例2に示した予測装置200と同様の機能を有する回転数予測プログラム、風量予測プログラム、目標風量時回転数予測プログラム、音量予測プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図10は、取得プログラム、予測プログラムを実行するコンピュータの例を示す図である。
【0071】
図10に示すように、予測装置100としてのコンピュータ11は、バス18で接続されるHDD13、CPU14、ROM15及びRAM16等を有する。
【0072】
ROM15には、上記実施例に示した予測装置100と同様の機能を発揮する取得プログラム、予測プログラムが予め記憶されている。つまり、ROM15には、図10に示すように、取得プログラム15aと、予測プログラム15bとが予め記憶されている。なお、これらのプログラム15a〜プログラム15bについては、図1に示した予測装置100の各構成要素と同様、適宜統合または分散しても良い。
【0073】
そして、CPU14がこれらのプログラム15a〜プログラム15bをROM15から読み出して実行する。これにより、図10に示すように、プログラム15a〜プログラム15bは、取得プロセス14aと、予測プロセス14bとして機能するようになる。なお、プロセス14a〜プロセス14bは、図1に示した、取得部121と、予測部122とに対応する。そして、CPU14は、RAM16に記録されたデータに基づいてこれらのプログラムを実行する。
【0074】
図11は、回転数予測プログラム、風量予測プログラム、目標風量時回転数予測プログラム、音量予測プログラムを実行するコンピュータの例を示す図である。図11に示すように、予測装置200としてのコンピュータ11´は、図10の例のコンピュータ11と同様に、バス18で接続されるHDD13、CPU14、ROM15及びRAM16等を有する。
【0075】
ROM15には、上記実施例に示した予測装置200と同様の機能を発揮する回転数予測プログラム、風量予測プログラム、目標風量時回転数予測プログラム、音量予測プログラムが予め記憶されている。つまり、ROM15には、図11に示すように、回転数予測プログラム15cと、風量予測プログラム15dと、目標風量時回転数予測プログラム15eと、音量予測プログラム15fとが予め記憶されている。なお、これらのプログラム15c〜プログラム15fについては、図6に示した予測装置200の各構成要素と同様、適宜統合または分散しても良い。
【0076】
そして、CPU14がこれらのプログラム15c〜プログラム15fをROM15から読み出して実行する。これにより、図11に示すように、プログラム15c〜プログラム15fは、回転数予測プロセス14cと、風量予測プロセス14dと、目標風量時回転数予測プロセス14eと、音量予測プロセス14fとして機能するようになる。なお、プロセス14c〜プロセス14fは、図6に示した、回転数予測部221と、風量予測部222と、目標風量時回転数予測部223と、音量予測部224とに対応する。そして、CPU14は、RAM16に記録されたデータに基づいてこれらのプログラムを実行する。
【0077】
なお、上記各プログラムについては、必ずしも最初からROM15に記憶させておく必要はない。例えば、コンピュータ11、11´に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、iCカード等の「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させておいても良い。また、例えば、コンピュータ11、11´の内外に備えられるHDD等の「固定用の物理媒体」に各プログラムを記憶させておいても良い。また、例えば、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ11、11´に接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」等に各プログラムを記憶させておいても良い。そして、コンピュータ11、11´がこれから各プログラムを読み出して実行するようにしても良い。
【符号の説明】
【0078】
100 予測装置
110 記憶部
111 実測値
120 制御部
121 取得部
122 予測部
【技術分野】
【0001】
本発明は、予測プログラム、予測装置及び予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器には、該電子機器に含まれる電子部品を冷却するファンが実装されることが多い。電子機器に実装されるファンは、該電子機器の動作や周囲環境等に起因して発生する電子部品の発熱を抑制するので、発熱による電子機器の故障や高温となった電子機器に利用者が触れることによる火傷等を防止することができる。
【0003】
近年では、電子機器が種々の機能を有することにより電子部品数が増加することや、電子機器の小型化に伴い圧力損失が増大することで、ファンをより一層回転させることとなり、ファンの動作音による騒音が問題となっている。このため、静音化が要求される電子機器に対しては、該電子機器の設計段階において適切な冷却設計、ファンの選択及びファン回転数の制御等を検討することが好ましい。
【0004】
電子機器におけるファンによる騒音の予測については、一つの態様として、ファンのメーカ等から提供される無負荷時及び定格時の回転数において、吸気側正面から1メートル離れた位置の音圧レベル値に基づいて予測する方法がある。また、電子機器におけるファンによる騒音の予測については、他の態様として、動作点での負荷騒音に基づいて予測する手法もある。
【0005】
最近では、熱解析により動作点でのファン前後の圧力差を予測し、ファンの負荷騒音やPQ特性等から動作点での負荷騒音や風量を予測する技術がある。ファンの負荷騒音とは、ファンの通風流路に負荷をかけた状態における音圧レベルを指す。また、PQ特性とは、各ファンにおける、ファン前後の差圧、すなわち静圧(Pressure)と、ファンが回転することで通風流路に流れる空気の風量(Quantity)との関係を指す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−108642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術では、ある回転数での負荷騒音や風量などのファンに関するデータを予測するために、予め予測対象として想定される多数の回転数毎にファンの負荷騒音、PQ特性の各データを実測しておく必要がある。そのため、実測の工数が多大となるという課題がある。
【0008】
また、ファンの負荷騒音、風量は、それぞれ目標条件を満たすことが望まれる。すなわち、ファンの回転数は、ファンの負荷騒音が目標負荷騒音未満となり、風量が目標風量より大きくなるような回転数であることが望まれる。負荷騒音と風量との関係について説明すると、ファンの回転数を下げると、ファンの負荷騒音は小さくなるが、風量は小さくなる。また、ファンの回転数を上げると、風量は大きくなるが、ファンの負荷騒音は大きくなる。このように、ファンの負荷騒音と、風量とは、目標条件を満たすことについて、互いにトレードオフの関係にあるといえる。ここで、このようなトレードオフの関係にある負荷騒音および風量の両方の目標条件を、ファンが満たすことが可能か否かを予測し、予測結果を、ファンを組み込む電子機器などの設計に用いることが考えられる。このような予測を行う方法としては、次のような方法が考えられる。例えば、負荷騒音と、PQ特性を、代表的なファンの回転数毎に実測し、これら実測値を対応付けて記憶し、負荷騒音と風量の予測の際に実測値を用いることが考えられる。このようにして、負荷騒音および風量の両方の目標条件をファンが満たすことが可能か否かの予測、すなわちファンに関するデータの予測を行う場合にも、ファンの回転数毎の多大な各データを実測するので、実測の工数が多大となるという課題がある。
【0009】
そこで、本願に開示する技術は、上記に鑑みてなされたものであって、より少ない工数で実測された実測値を用いて、ファンに関するデータを予測することが可能である予測プログラム、予測装置及び予測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本願に開示する予測プログラムは、コンピュータに、所定の回転数で回転する場合のファンに関するデータの実測値を取得させる。そして、当該予測プログラムは、取得されたデータの実測値に基づいて、コンピュータに、次のような処理を実行させることを特徴とする。すなわち、当該予測プログラムは、コンピュータに、前記ファンが前記所定の回転数とは異なる回転数で回転する場合の前記ファンに関するデータを予測する処理を実行させることを特徴とする。
【0011】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するため、本願に開示する予測プログラムは、コンピュータに、次のような処理を実行させることを特徴とする。すなわち、当該予測プログラムは、まず、コンピュータに、所定の回転数で回転する場合のファンの回転に起因する音の音圧レベルの実測値、および所定の目標音量に基づいて、第1の回転数を予測する処理を実行させる。ここで、第1の回転数は、前記ファンの回転に起因する音の音圧レベルが、前記目標音量が示す条件を満たす場合の前記ファンの回転数である。そして、当該予測プログラムは、コンピュータに、第1の回転数、所定の回転数で回転する場合のファンの静圧と風量とに関する特性の実測値、およびファンの通風流路における圧力損失特性に基づいて、第1の風量を予測する処理を実行させる。ここで、第1の風量は、前記予測された第1の回転数で回転する場合の前記ファンにより前記通風流路に流れる空気の風量である。
【発明の効果】
【0012】
本願に開示する予測プログラム、予測装置及び予測方法の一つの態様は、より少ない工数で実測された実測値を用いて、ファンに関するデータを予測することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施例1に係る予測装置の構成例を示す図である。
【図2】図2は、実測値の一例を示す図である。
【図3】図3は、PQ特性の予測を説明するための図である。
【図4】図4は、出力部による出力結果の一例を示す図である。
【図5】図5は、実施例1に係る予測処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図6】図6は、実施例2に係る予測装置の構成例を示す図である。
【図7】図7は、音圧レベルの検出方法の一例について説明するための図である。
【図8】図8は、実施例2に係る予測処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図9】図9は、実施例2に係る予測処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図10】図10は、取得プログラム、予測プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。
【図11】図11は、回転数予測プログラム、風量予測プログラム、目標風量時回転数予測プログラム、音量予測プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本願に開示する予測プログラム、予測装置及び予測方法の実施例を説明する。なお、以下の各実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0015】
[予測装置の構成]
図1を用いて、実施例1に係る予測装置の構成を説明する。本実施例に係る予測装置は、所定の回転数で回転する場合のファンに関するデータの実測値に基づいて、ファンが所定の回転数とは異なる回転数で回転する場合のファンに関するデータを予測するものである。ファンに関するデータの一例としては、音圧レベル、PQ特性、およびファン電力が挙げられる。ここで、PQ特性とは、静圧風量特性とも称され、各ファンにおける、静圧(P)と、ファンが回転することで通風流路に流れる空気の風量(Q)との関係を指す。また、ファン電力とは、ファンに供給される電力を指す。このファン電力の大きさによって、ファンの回転数は変化する。一般的には、ファン電力が大きくなるほど、回転数は、高くなる。
【0016】
図1は、本実施例に係る予測装置の構成例を示す図である。例えば、図1に示すように、予測装置100は、記憶部110と、制御部120とを有する。また、予測装置100は、入力部130と、出力部140とに接続されている。
【0017】
入力部130は、外部から情報を入力する。例えば、入力部130は、ユーザからの指示などの各種情報を受け付けて、受け付けた指示などの各種情報を制御部110に入力する。なお、指示としては、例えば、詳細を後述する「予測処理」を実行する指示がある。この予測処理を実行する指示には、ファンの回転数N´[rpm]が含まれる。ここで、ユーザによって入力部130から入力される予測処理を実行する指示に含まれる回転数N´は、後述する実測値111を実測した際のファンの回転数Nとは異なる回転数であるものとする。これは、ユーザは、後述する実測値111を実測した際のファンの回転数Nとは異なる回転数でファンが回転する場合の各データの予測結果をユーザは把握したいからである。入力部130は、例えば、マウスやキーボードなどの入力装置である。
【0018】
出力部140は、外部へ情報を出力する。例えば、出力部140は、後述する予測結果などの情報を予測部122から受け付ける。出力部140は、受け付けた予測結果などの情報を出力する。出力部140は、例えば、ディスプレイなどの表示装置である。この場合、ディスプレイに予測結果などの情報が表示される。また、出力部140は、例えば、スピーカーなどの音声出力装置であってもよい。この場合、スピーカーから音声によって予測結果などの情報が出力される。また、出力部140は、通信によって外部の装置に予測結果などの情報を出力してもよい。
【0019】
記憶部110は、制御部120による各種処理に要するデータや、制御部120による各種処理結果を記憶する。このほか、記憶部110は、後述する実測値111を記憶する。記憶部110は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置である。
【0020】
実測値111は、ファンが所定の回転数で回転している場合に実測された、音圧レベルLp[dB]、PQ特性、およびファン電力[W]の実測値である。図2は、実測値の一例を示す図である。図2の例では、ファンが回転数N[rpm]で回転している場合に実測された、音圧レベルLp[dB]、PQ特性、ファン電力w[W]の実測値が示されている。
【0021】
制御部120は、制御プログラム、各種の処理手順等を規定したプログラム及び所要データを格納するための内部メモリを有する。制御部120は、予測装置100全体を制御する。また、制御部120は、取得部121と、予測部122とを有する。制御部120は、例えば、ASiC(Application Specific integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路、又は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路である。
【0022】
取得部121は、実測値を取得する。例えば、取得部121は、記憶部110から実測値111を取得する。
【0023】
予測部122は、ファンに関するデータを予測する。例えば、予測部122は、取得部121で取得された、ファンが所定の回転数N[rpm]で回転した場合の音圧レベルLp[dB]の実測値を、下記の式(1)により、音のエネルギーを示す音の強さLp´[W/m2]に変換する。
Lp´=10−12×10(Lp/10)[W/m2]・・・式(1)
【0024】
そして、予測部122は、所定の回転数N、音の強さLp´、ファンの回転数N´[rpm]を用いて、下記の式(2)により、ファンが回転数N´で回転する場合の音の強さLp´N´[W/m2]を予測する。
Lp´N´=Lp´×((N´)6÷N6)・・・式(2)
【0025】
ここで、式(2)の例では、乗数6を用いているが、乗数として5.5〜6.0付近の値を用いるようにしてもよい。厳密にはファン種類、風速等により乗数は変化するため、厳密な予測が必要な場合には実験等により対象のファンについて適切な乗数を事前に求めておくことが望ましい。以下、PQ特性、ファン電力についても同様である。また、ファンの回転数N´は、予測処理を実行する指示に含まれる値である。
【0026】
そして、予測部122は、下記の式(3)により、ファンが回転数N´で回転する場合の音圧レベルLpN´[dB]を予測する。
Lp´N´=10−12×10(LpN´/10)[W/m2]・・・式(3)
【0027】
また、予測部122は、取得部121で取得された、ファンが所定の回転数Nで回転した場合のPQ特性の実測値に基づいて、ファンが回転数N´で回転する場合のPQ特性を予測する。
【0028】
この予測の方法の一例について、図3を参照して説明する。図3は、PQ特性の予測を説明するための図である。図3の例では、横軸を風量Q[m3/min]とし、縦軸を静圧P[Pa]として、ファンが所定の回転数Nで回転している場合のPQ特性の実測値50が示されている。予測部122は、このようなPQ特性の実測値50の中から、風量と静圧との組(Q、P)を複数選択する。以下の説明では、風量Qi(i=1〜M)[m3/min]と、静圧Pi(i=1〜M)[Pa]との組(Qi、Pi)がM個選択された場合を想定する。そして、予測部122は、ファンの回転数がN´となる場合の各風量Qi´(i=1〜M)[m3/min]を、下記の式(4)により、予測する。
Qi´=Qi×(N´÷N)・・・式(4)
【0029】
続いて、予測部122は、ファンの回転数がN´となる場合の各静圧Pi´(i=1〜M)[Pa]を、下記の式(5)により、予測する。
Pi´=Pi×((N´)2÷N2)・・・式(5)
【0030】
その後、予測部122は、各風量Qi´と各静圧Pi´との各組(Qi´、Pi´)に対して補間処理を行うことにより、ファンが回転数N´で回転する場合のPQ特性を予測する。
【0031】
図3には、ファンが回転数N´で回転する場合のPQ特性の予測値52が示されている。なお、図3の例では、回転数N´は、回転数Nよりも小さい値とする。また、図3には、ファンが、回転数N´より小さい回転数N´´で回転する場合のPQ特性の予測値54が示されている。図3に示すように、回転数が小さくなるほど、同一の風量に対する静圧の大きさは小さくなる。
【0032】
また、予測部122は、取得部121で取得された、ファンが所定の回転数Nで回転した場合のファン電力w[W]の実測値、所定の回転数N、ファンの回転数N´を用いて、下記の式(6)により、ファンが回転数N´で回転する場合のファン電力w´[W]を予測する。
w´=w×((N´)3÷N3)・・・式(6)
【0033】
また、予測部122は、ファンが回転数N´で回転する場合の音圧レベルLpN´、PQ特性、ファン電力w´と、回転数N´とを出力部140に出力する。これにより、出力部から出力結果等が出力される。図4は、出力部による出力結果の一例を示す図である。図4に示すように、予測した音圧レベルLpN´、PQ特性、ファン電力w´と、その際のファンの回転数N´とが表示される。
【0034】
[予測処理]
次に、図5を用いて、本実施例に係る予測処理について説明する。図5は、本実施例に係る予測処理の流れの例を示すフローチャートである。図5に示す予測処理は、予測処理を実行する指示が入力部130から入力された場合に起動される。
【0035】
図5に示すように、取得部121は、記憶部110から実測値111を取得する(ステップS101)。そして、予測部122は、実測値111に基づいて、ファンが回転数N´で回転する場合の音圧レベルLpN´[dB]を予測する(ステップS102)。
【0036】
続いて、予測部122は、実測値111に基づいて、ファンが回転数N´で回転する場合のPQ特性を予測する(ステップS103)。その後、予測部122は、実測値111に基づいて、ファンが回転数N´で回転する場合のファン電力w´[W]を予測する(ステップS104)。
【0037】
そして、予測部122は、予測した音圧レベルLpN´、PQ特性、ファン電力w´と、回転数N´を出力部140に出力し(ステップS105)、処理を終了する。
【0038】
[実施例1による効果]
上述したように、予測装置100は、所定の回転数N[rpm]で回転する場合のファンに関するデータの実測値111を取得する。そして、予測装置100は、取得されたデータの実測値に基づいて、ファンが所定の回転数Nとは異なる回転数N´で回転する場合のファンに関するデータを予測する。このように、本実施例に係る予測装置100は、1つの回転数におけるファンに関するデータの実測値を用いて、他の回転数でのファンに関するデータを予測する。したがって、本実施例に係る予測装置100によれば、従来技術と比較して、より少ない工数で実測された実測値を用いて、ファンに関するデータを予測することができる。
【実施例2】
【0039】
さて、上記の実施例1では、ファンに関するデータとして、音圧レベルLpN´、PQ特性、ファン電力w´を予測する場合を例示したが、開示の装置はこれに限定されない。そこで、実施例2では、他のデータを予測する場合について説明する。
【0040】
[予測装置の構成]
図6を用いて、実施例2に係る予測装置の構成を説明する。本実施例に係る予測装置は、実測値111に基づいて、ファンの回転数、風量、音量を予測するものである。
【0041】
図6は、本実施例に係る予測装置の構成例を示す図である。図6に示すように、予測装置200は、記憶部110と、制御部220とを有する。かかる制御部220は、図1に示す実施例1に係る制御部120に比較して、実施例1の取得部121、予測部122に代えて、次に示す各部を有する点が異なる。すなわち、かかる制御部220は、回転数予測部221、風量予測部222、目標風量時回転数予測部223、音量予測部224を有する。なお、以下では、上記の実施例1と同様の機能を果たす各部については図1と同様の符号を付し、その説明は省略することとする。
【0042】
回転数予測部221は、実測値111に基づいて、目標音量が示す条件を満たす場合のファンの回転数を予測する。ここで、「目標音量が示す条件を満たす場合」とは、ファンの回転に起因する音の音圧レベルが、目標音量が示す音圧レベル以下あるいは未満となる場合である。例えば、回転数予測部221は、ユーザによって入力部130から入力された目標音量Lpg[dB]を、下記の式(7)により、音の強さLpg´[W/m2]に変換する。
Lpg´=10−12×10(Lpg/10)[W/m2]・・・式(7)
【0043】
そして、回転数予測部221は、音圧レベルLp[dB]の実測値を、上記の式(1)により、音の強さLp´[W/m2]に変換する。
【0044】
そして、回転数予測部221は、実測値111が示す回転数Nと、音の強さLpg´、Lp´とを用いて、下記の式(8)により、目標音量が示す条件を満たす場合のファンの回転数Ns´を予測する。
Lpg´=Lp´×((Ns´)6÷N6)・・・式(8)
【0045】
風量予測部222は、回転数予測部221で予測された回転数Ns´で回転する場合のファンにより、通風流路に流れる空気の風量を予測する。例えば、風量予測部222は、記憶部110に記憶された、圧力損失カーブの係数kを取得する。ここで、圧力損失カーブとは、ファンが搭載される装置の通風流路特有の圧力損失特性の曲線(P=kQ2)を指す。そして、風量予測部222は、圧力損失カーブと、PQ特性の実測値50の曲線との交点を動作点とし、動作点の風量を、回転数Ns´で回転する場合の風量として予測する。この予測の方法の具体例について、図3を参照して説明する。図3の例では、圧力損失カーブ56と、PQ特性の実測値50の曲線との交点である動作点58の風量は、4.5[m3/min]となる。したがって、図3の例の場合には、風量予測部222は、風量を4.5[m3/min]として予測する。
【0046】
目標風量時回転数予測部223は、目標風量が示す条件を満たす場合のファンの回転数を予測する。ここで、「目標風量が示す条件を満たす場合」とは、ファンの回転により通風流路に流れる空気の風量が、目標風量以上あるいは目標風量より大きい場合である。例えば、目標風量時回転数予測部223は、回転数Nと、圧力損失カーブとPQ特性の実測値50の曲線との交点である動作点の風量Qdと、目標風量Qgとを用いて、下記の式(9)により、目標風量Qgが示す条件を満たす場合のファンの回転数Nqを予測する。
Qg=Qd×(Nq÷N)・・・式(9)
【0047】
また、目標風量時回転数予測部223は、圧力損失カーブの係数kの値が変更可能であるか否かを判定する。ここで、係数kの値が変更可能である場合とは、ファンが搭載される装置の通風経路などが変更可能な場合であり、圧力損失特性の曲線(P=kQ2)についても変更可能な場合である。本実施例の一態様としては、このように係数kが変更可能である場合には、予め記憶部110に設けられた判別用フラグを所定値に設定し、目標風量時回転数予測部223は、判別用フラグを参照することで、係数kの値が変更可能であるか否かを判定する。
【0048】
また、目標風量時回転数予測部223は、係数kの値を変更し、回転数Nqを予測する処理を、係数kの値が所定の変更可能な範囲を超えるか、または後述の音量予測部224で予測された音圧レベルが、目標音量が示す条件を満たすまで繰り返し行う。
【0049】
音量予測部224は、目標風量が示す条件を満たす場合の回転数Nqでファンが回転した場合の音圧レベルを予測する。例えば、音量予測部224は、まず、圧力損失カーブとPQ特性の実測値50の曲線との交点である動作点の風量Qdに対応する音圧レベルLpqを検出する。ここで、この音圧レベルの検出方法について、図7を参照して説明する。図7は、音圧レベルの検出方法の一例について説明するための図である。図7の例では、圧力損失カーブ56と、PQ特性の実測値50の曲線との交点である動作点58の風量は、6.0[m3/min]となる。また、図7の例では、動作点58の風量6.0[m3/min]に対応する音圧レベルの実測値70の値は、50.00[dBA]となる。すなわち、図7の例では、音量予測部224は、動作点の風量に対応する音圧レベルを50.00[dBA]として検出する。
【0050】
そして、音量予測部224は、検出した音圧レベルLpqを、下記の式(10)により、音の強さLpq´[W/m2]に変換する。
Lpq´=10−12×10(Lpq/10)[W/m2]・・・式(10)
【0051】
そして、音量予測部224は、回転数Nと、音の強さLpq´と、目標風量が示す条件を満たす場合の回転数Nqとを用いて、下記の式(11)により、目標風量が示す条件を満たす場合の回転数Nqでファンが回転した場合の音の強さLpw´を予測する。
Lpw´=Lpq´×((Nq)6÷N6)・・・式(11)
【0052】
その後、音量予測部224は、予測した音の強さLpw´を、下記の式(12)により、音圧レベルLpwに変換することで、目標風量が示す条件を満たす場合の回転数Nqでファンが回転した場合の音圧レベルLpwを予測する。
Lpw´=10−12×10(Lpw/10)[W/m2]・・・式(12)
【0053】
[予測処理]
次に、図8、9を用いて、本実施例に係る予測処理について説明する。図8、9は、本実施例に係る予測処理の流れの例を示すフローチャートである。図8、9に示す予測処理は、予測処理を実行する指示が入力部130から入力された場合に起動される。
【0054】
図8に示すように、目標音量、目標風量が入力部130から入力されると(ステップS201肯定)、回転数予測部221は、記憶部110から実測値111を取得する(ステップS202)。そして、回転数予測部221は、目標音量が示す条件を満たす場合のファンの回転数Ns´を予測する。(ステップS203)。
【0055】
続いて、風量予測部222は、圧力損失カーブの係数kを取得する(ステップS204)。その後、風量予測部222は、回転数予測部221で予測された回転数Ns´で回転する場合のファンにより通風流路に流れる空気の風量を予測する。(ステップS205)。
【0056】
そして、風量予測部222は、ステップS205で予測された風量が、目標風量以下であるか否かを判定する(ステップS206)。ステップS205で予測された風量が、目標風量以下でない場合(ステップS206否定)には、風量予測部222は、目標音量および目標風量が示す各条件を満たすことが可能であると判別し、次のような処理を行う。すなわち、風量予測部222は、予測されたファンの回転数Ns´および風量を出力部140に出力し(ステップS207)、処理を終了する。
【0057】
一方、ステップS205で予測された風量が、目標風量以下である場合(ステップS206肯定)には、目標風量時回転数予測部223は、係数kの値が変更可能であるか否かを判定する(ステップS208)。係数kの値が変更可能でない場合(ステップS208否定)には、目標風量時回転数予測部223は、目標風量が示す条件を満たす場合のファンの回転数Nqを予測する(ステップS209)。続いて、音量予測部224は、目標風量が示す条件を満たす場合の回転数Nqでファンが回転した場合の音圧レベルを予測し(ステップS210)、これまでの予測結果を出力し(ステップS207)、処理を終了する。
【0058】
一方、PQ特性の係数kの値が変更可能である場合(ステップS208肯定)には、目標風量時回転数予測部223は、係数kを0.01大きくした場合の動作点風量に対応する音量を計算する(ステップS211)。そして、目標風量時回転数予測部223は、係数kを0.01小さくした場合の動作点風量に対応する音量を計算する(ステップS212)。
【0059】
目標風量時回転数予測部223は、ステップS212で計算された音量のほうが、ステップS211で計算された音量よりも小さいか否かを判定する(ステップS213)。ステップS212で計算された音量のほうが、ステップS211で計算された音量よりも大きいか、あるいは両方の音量が等しい場合(ステップS213否定)、目標風量時回転数予測部223は、kの値を0.01増加させる(ステップS214)。そして、ステップS216に移行する。
【0060】
一方、ステップS212で計算された音量のほうが、ステップS211で計算された音量よりも小さい場合(ステップS213肯定)、目標風量時回転数予測部223は、kの値を0.01減少させる(ステップS215)。そして、目標風量時回転数予測部223は、変更後の係数kを用いて、目標風量Qgが示す条件を満たす場合のファンの回転数Nqを予測する(ステップS216)。
【0061】
そして、音量予測部224は、目標風量が示す条件を満たす場合の回転数Nqでファンが回転した場合の音圧レベルを予測する(ステップS217)。そして、目標風量時回転数予測部223は、ステップS217で予測された音圧レベルが、目標音量が示す条件を満たすか否かを判定する(ステップS218)。ステップS217で予測された音圧レベルが、目標音量が示す条件を満たす場合(ステップS218肯定)には、目標風量時回転数予測部223は、目標音量および目標風量が示す各条件を満たすことが可能であると判別し、次のような処理を行う。すなわち、目標風量時回転数予測部223は、これまで予測した結果と、係数kを出力部140に出力し(ステップS219)、処理を終了する。
【0062】
一方、ステップS217で予測された音圧レベルが、目標音量が示す条件を満たさない場合(ステップS218否定)には、目標風量時回転数予測部223は、係数kの値が所定の変更可能な範囲を超えたか否かを判定する(ステップS220)。係数kの値が所定の変更可能な範囲を超えた場合(ステップS220肯定)には、目標音量および目標風量が示す両条件を満たすことが可能でないと判別し、次のような処理を行う。すなわち、目標風量時回転数予測部223は、これまで予測した結果を出力部140に出力し(ステップS221)、処理を終了する。一方、係数kの値が所定の変更可能な範囲を超えていない場合(ステップS220否定)には、ステップS211に移行する。
【0063】
[実施例2による効果]
上述したように、予測装置200は、所定の回転数Nで回転する場合のファンの回転に起因する音の音圧レベルの実測値、および目標音量に基づいて、音圧レベルが目標音量が示す条件を満たす場合のファンの回転数Ns´を予測する。そして、予測装置200は、回転数Ns´、回転数Nで回転する場合のファンの静圧と風量とに関する特性であるPQ特性の実測値、およびファンの通風流路における圧力損失特性を示す圧力損失カーブに基づいて、次のような処理を行う。すなわち、予測装置200は、予測された回転数Ns´で回転する場合のファンにより通風流路に流れる空気の風量を予測する。
【0064】
このように、本実施例に係る予測装置200は、1つの回転数におけるファンに関するデータの実測値を用いて、音圧レベルが目標音量が示す条件を満たす場合のファンの回転数Ns´を予測する。また、本実施例に係る予測装置200は、1つの回転数におけるファンに関するデータの実測値を用いて、回転数Ns´で回転する場合のファンにより通風流路に流れる空気の風量を予測する。したがって、本実施例に係る予測装置200によれば、従来技術と比較して、より少ない工数で実測された実測値を用いて、ファンに関するデータを予測することができる。また、本実施例に係る予測装置200によれば、目標音量が示す条件を満たす場合の予測された風量をユーザが把握することができるため、目標風量が示す条件を満たすか否かを判断することができる。これにより、設計段階で、目標音量が示す条件を満たすが、目標風量が示す条件を満たさない場合には、設計を変更し両方を満足する様にするか、製品コンセプトを見直す等により目標を見直すことを検討することができる。また、目標音量、目標風量が示す条件を両方とも満たす場合には、設計段階でさらに装置を小型化することや、冷却性能の低い低コスト部品への変更などが検討できる。
【0065】
また、予測装置200は、回転数Ns´で回転する場合の予測された空気の風量が、目標風量が示す条件を満たさない場合には、上記の関係、目標風量、およびPQ特性の実測値に基づいて、目標風量が示す条件を満たす場合のファンの回転数を予測する。そして、予測装置200は、予測されたファンの回転数、音圧レベルの実測値に基づいて、目標風量が示す条件を満たす場合のファンの回転に起因する音の音圧レベルを予測する。したがって、本実施例に係る予測装置200によれば、従来技術と比較して、より少ない工数で実測された実測値を用いて、ファンに関するデータを予測することができる。また、本実施例に係る予測装置200によれば、目標風量が示す条件を満たし、かつ目標音量が示す条件を満たさない場合の音圧レベルをユーザが把握することができる。これにより、設計段階で、設計を変更し両方の条件を満足する様にするか、製品コンセプトを見直す等により目標を見直すことを検討することができる。上記の通り、目標風量と目標音量とを共に満足しない場合は、いずれかを満足する場合のもう一つの予測値を設計者が知ることができるため、目標風量、目標音量を変更する場合の設計変更への影響度合いを把握できるため、適切な設計変更を従来より少ない工数でおこなえるようになる。
【0066】
また、予測装置200は、回転数Ns´で回転する場合の予測された空気の風量が、目標風量が示す条件を満たさない場合には、上記の関係を変更する。そして、予測装置200は、回転数Nqを予測する処理を、係数kの値が所定の変更可能な範囲を超えるか、または音量予測部224で予測された音圧レベルが、目標音量が示す条件を満たすまで繰り返し行う。そして、予測装置200は、予測された音圧レベルが、目標音量が示す条件を満たす場合には、目標音量および前記目標風量が示す各条件を満たすことが可能であると判別する。したがって、本実施例に係る予測装置200によれば、通風流路の圧力損失特性を変更することで、目標風量および目標音量が示す条件を満たす可能性があることをユーザが把握することができる。これにより、設計段階で、コストのかかる材料を用いて過剰に設計することを防止することができる。例えば、高性能のヒートシンクにより必要風量を下げる方法、特注のファンを用いる方法などコストのかかる方法を防止できる。
【0067】
また、予測装置200は、変更された上記の関係が、変更可能な範囲を超えた場合には、目標音量および目標風量が示す両条件を満たすことが可能でないと判別する。したがって、本実施例に係る予測装置200によれば、目標音量および目標風量が示す両条件を満たすことが可能でないことを把握することができる。これにより、設計段階で、圧力損失特性以外の設計変更が必要であること、もしくは目標音量、目標風量の見直しが必要であることを把握できる。
【0068】
さて、これまで本願に開示する予測装置の実施例について説明したが、上述した実施例以外にも種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、(1)装置の構成、(2)プログラムにおいて異なる実施例を説明する。
【0069】
(1)装置の構成
また、上記文書中や図面中等で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメタ等を含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。また、図示した予測装置100、200の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は、図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負担や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合することができる。
【0070】
(2)プログラム
ところで、上記実施例では、ハードウェアロジックによって各種の処理を実現する場合を説明したが、予め用意されたプログラムをコンピュータで実行することによって実現するようにしても良い。そこで、以下では、図10を用いて、上記実施例1に示した予測装置100と同様の機能を有する取得プログラム、予測プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。また、図11を用いて、上記実施例2に示した予測装置200と同様の機能を有する回転数予測プログラム、風量予測プログラム、目標風量時回転数予測プログラム、音量予測プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図10は、取得プログラム、予測プログラムを実行するコンピュータの例を示す図である。
【0071】
図10に示すように、予測装置100としてのコンピュータ11は、バス18で接続されるHDD13、CPU14、ROM15及びRAM16等を有する。
【0072】
ROM15には、上記実施例に示した予測装置100と同様の機能を発揮する取得プログラム、予測プログラムが予め記憶されている。つまり、ROM15には、図10に示すように、取得プログラム15aと、予測プログラム15bとが予め記憶されている。なお、これらのプログラム15a〜プログラム15bについては、図1に示した予測装置100の各構成要素と同様、適宜統合または分散しても良い。
【0073】
そして、CPU14がこれらのプログラム15a〜プログラム15bをROM15から読み出して実行する。これにより、図10に示すように、プログラム15a〜プログラム15bは、取得プロセス14aと、予測プロセス14bとして機能するようになる。なお、プロセス14a〜プロセス14bは、図1に示した、取得部121と、予測部122とに対応する。そして、CPU14は、RAM16に記録されたデータに基づいてこれらのプログラムを実行する。
【0074】
図11は、回転数予測プログラム、風量予測プログラム、目標風量時回転数予測プログラム、音量予測プログラムを実行するコンピュータの例を示す図である。図11に示すように、予測装置200としてのコンピュータ11´は、図10の例のコンピュータ11と同様に、バス18で接続されるHDD13、CPU14、ROM15及びRAM16等を有する。
【0075】
ROM15には、上記実施例に示した予測装置200と同様の機能を発揮する回転数予測プログラム、風量予測プログラム、目標風量時回転数予測プログラム、音量予測プログラムが予め記憶されている。つまり、ROM15には、図11に示すように、回転数予測プログラム15cと、風量予測プログラム15dと、目標風量時回転数予測プログラム15eと、音量予測プログラム15fとが予め記憶されている。なお、これらのプログラム15c〜プログラム15fについては、図6に示した予測装置200の各構成要素と同様、適宜統合または分散しても良い。
【0076】
そして、CPU14がこれらのプログラム15c〜プログラム15fをROM15から読み出して実行する。これにより、図11に示すように、プログラム15c〜プログラム15fは、回転数予測プロセス14cと、風量予測プロセス14dと、目標風量時回転数予測プロセス14eと、音量予測プロセス14fとして機能するようになる。なお、プロセス14c〜プロセス14fは、図6に示した、回転数予測部221と、風量予測部222と、目標風量時回転数予測部223と、音量予測部224とに対応する。そして、CPU14は、RAM16に記録されたデータに基づいてこれらのプログラムを実行する。
【0077】
なお、上記各プログラムについては、必ずしも最初からROM15に記憶させておく必要はない。例えば、コンピュータ11、11´に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、iCカード等の「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させておいても良い。また、例えば、コンピュータ11、11´の内外に備えられるHDD等の「固定用の物理媒体」に各プログラムを記憶させておいても良い。また、例えば、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ11、11´に接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」等に各プログラムを記憶させておいても良い。そして、コンピュータ11、11´がこれから各プログラムを読み出して実行するようにしても良い。
【符号の説明】
【0078】
100 予測装置
110 記憶部
111 実測値
120 制御部
121 取得部
122 予測部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
所定の回転数で回転する場合のファンに関するデータの実測値を取得し、
取得した前記データの実測値に基づいて、前記ファンが前記所定の回転数とは異なる回転数で回転する場合の前記ファンに関するデータを予測する
処理を実行させることを特徴とする予測プログラム。
【請求項2】
コンピュータに、
所定の回転数で回転する場合のファンの回転に起因する音の音圧レベルの実測値、および所定の目標音量に基づいて、前記ファンの回転に起因する音の音圧レベルが前記目標音量が示す条件を満たす場合の前記ファンの回転数である第1の回転数を予測し、
予測された第1の回転数、前記所定の回転数で回転する場合の前記ファンの静圧と風量とに関する特性の実測値、および前記ファンの通風流路における圧力損失特性に基づいて、前記予測された第1の回転数で回転する場合の前記ファンにより前記通風流路に流れる空気の風量である第1の風量を予測する
処理を実行させることを特徴とする予測プログラム。
【請求項3】
予測された第1の風量が、所定の目標風量が示す条件を満たさない場合には、前記圧力損失特性、前記目標風量、および前記ファンの静圧と風量とに関する特性の実測値に基づいて、前記目標風量が示す条件を満たす場合の前記ファンの回転数である第2の回転数を予測し、
予測された第2の回転数、前記音圧レベルの実測値に基づいて、前記目標風量が示す条件を満たす場合の前記ファンの回転に起因する音の音圧レベルを予測する
処理をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする請求項2記載の予測プログラム。
【請求項4】
予測された第1の風量が、前記目標風量が示す条件を満たさない場合には、前記圧力損失特性を変更し、変更された前記圧力損失特性、前記目標風量、および前記ファンの静圧と風量とに関する特性の実測値に基づいて、前記目標風量が示す条件を満たす場合の前記ファンの回転数である第2の回転数を予測し、予測された第2の回転数、前記音圧レベルの実測値に基づいて、前記目標風量が示す条件を満たす場合の前記ファンの回転に起因する音の音圧レベルを予測することを、予測された音圧レベルが、前記目標音量が示す条件を満たすか、または、変更された前記圧力損失特性が、前記圧力損失特性が変更可能な範囲を超えるまで繰り返し行い、
予測された音圧レベルが、前記目標音量が示す条件を満たす場合には、前記目標音量および前記目標風量が示す両条件を満たすことが可能であると判別する
処理をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする請求項2記載の予測プログラム。
【請求項5】
変更された前記圧力損失特性が、前記範囲を超えた場合には、前記目標音量および前記目標風量が示す各条件を満たすことが可能でないと判別する
処理をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする請求項4記載の予測プログラム。
【請求項6】
所定の回転数で回転する場合のファンに関するデータの実測値を取得する取得部と、
前記取得部で取得されたデータの実測値に基づいて、前記ファンが前記所定の回転数とは異なる回転数で回転する場合の前記ファンに関するデータを予測する予測部
を有することを特徴とする予測装置。
【請求項7】
所定の回転数で回転する場合のファンの回転に起因する音の音圧レベルの実測値、および所定の目標音量に基づいて、前記ファンの回転に起因する音の音圧レベルが、前記目標音量が示す条件を満たす場合の前記ファンの回転数である第1の回転数を予測する回転数予測部と、
前記回転数予測部で予測された第1の回転数、前記所定の回転数で回転する場合の前記ファンの静圧と風量とに関する特性の実測値、および前記ファンの通風流路における圧力損失特性に基づいて、前記回転数予測部で予測された第1の回転数で回転する場合の前記ファンにより前記通風流路に流れる空気の風量である第1の風量を予測する風量予測部と
を有することを特徴とする予測装置。
【請求項8】
予測装置が有する予測部が、所定の回転数で回転する場合のファンに関するデータの実測値を取得し、
取得された前記データの実測値に基づいて、前記ファンが前記所定の回転数とは異なる回転数で回転する場合の前記ファンに関するデータを予測する
ことを特徴とする予測方法。
【請求項9】
予測装置が有する回転数予測部が、所定の回転数で回転する場合のファンの回転に起因する音の音圧レベルの実測値、および所定の目標音量に基づいて、前記ファンの回転に起因する音の音圧レベルが、前記目標音量が示す条件を満たす場合の前記ファンの回転数である第1の回転数を予測し、
前記予測装置が有する風量予測部が、前記回転数予測部で予測された第1の回転数、前記所定の回転数で回転する場合の前記ファンの静圧と風量とに関する特性の実測値、および前記ファンの通風流路における圧力損失特性に基づいて、前記回転数予測部で予測された第1の回転数で回転する場合の前記ファンにより前記通風流路に流れる空気の風量である第1の風量を予測する
ことを特徴とする予測方法。
【請求項1】
コンピュータに、
所定の回転数で回転する場合のファンに関するデータの実測値を取得し、
取得した前記データの実測値に基づいて、前記ファンが前記所定の回転数とは異なる回転数で回転する場合の前記ファンに関するデータを予測する
処理を実行させることを特徴とする予測プログラム。
【請求項2】
コンピュータに、
所定の回転数で回転する場合のファンの回転に起因する音の音圧レベルの実測値、および所定の目標音量に基づいて、前記ファンの回転に起因する音の音圧レベルが前記目標音量が示す条件を満たす場合の前記ファンの回転数である第1の回転数を予測し、
予測された第1の回転数、前記所定の回転数で回転する場合の前記ファンの静圧と風量とに関する特性の実測値、および前記ファンの通風流路における圧力損失特性に基づいて、前記予測された第1の回転数で回転する場合の前記ファンにより前記通風流路に流れる空気の風量である第1の風量を予測する
処理を実行させることを特徴とする予測プログラム。
【請求項3】
予測された第1の風量が、所定の目標風量が示す条件を満たさない場合には、前記圧力損失特性、前記目標風量、および前記ファンの静圧と風量とに関する特性の実測値に基づいて、前記目標風量が示す条件を満たす場合の前記ファンの回転数である第2の回転数を予測し、
予測された第2の回転数、前記音圧レベルの実測値に基づいて、前記目標風量が示す条件を満たす場合の前記ファンの回転に起因する音の音圧レベルを予測する
処理をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする請求項2記載の予測プログラム。
【請求項4】
予測された第1の風量が、前記目標風量が示す条件を満たさない場合には、前記圧力損失特性を変更し、変更された前記圧力損失特性、前記目標風量、および前記ファンの静圧と風量とに関する特性の実測値に基づいて、前記目標風量が示す条件を満たす場合の前記ファンの回転数である第2の回転数を予測し、予測された第2の回転数、前記音圧レベルの実測値に基づいて、前記目標風量が示す条件を満たす場合の前記ファンの回転に起因する音の音圧レベルを予測することを、予測された音圧レベルが、前記目標音量が示す条件を満たすか、または、変更された前記圧力損失特性が、前記圧力損失特性が変更可能な範囲を超えるまで繰り返し行い、
予測された音圧レベルが、前記目標音量が示す条件を満たす場合には、前記目標音量および前記目標風量が示す両条件を満たすことが可能であると判別する
処理をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする請求項2記載の予測プログラム。
【請求項5】
変更された前記圧力損失特性が、前記範囲を超えた場合には、前記目標音量および前記目標風量が示す各条件を満たすことが可能でないと判別する
処理をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする請求項4記載の予測プログラム。
【請求項6】
所定の回転数で回転する場合のファンに関するデータの実測値を取得する取得部と、
前記取得部で取得されたデータの実測値に基づいて、前記ファンが前記所定の回転数とは異なる回転数で回転する場合の前記ファンに関するデータを予測する予測部
を有することを特徴とする予測装置。
【請求項7】
所定の回転数で回転する場合のファンの回転に起因する音の音圧レベルの実測値、および所定の目標音量に基づいて、前記ファンの回転に起因する音の音圧レベルが、前記目標音量が示す条件を満たす場合の前記ファンの回転数である第1の回転数を予測する回転数予測部と、
前記回転数予測部で予測された第1の回転数、前記所定の回転数で回転する場合の前記ファンの静圧と風量とに関する特性の実測値、および前記ファンの通風流路における圧力損失特性に基づいて、前記回転数予測部で予測された第1の回転数で回転する場合の前記ファンにより前記通風流路に流れる空気の風量である第1の風量を予測する風量予測部と
を有することを特徴とする予測装置。
【請求項8】
予測装置が有する予測部が、所定の回転数で回転する場合のファンに関するデータの実測値を取得し、
取得された前記データの実測値に基づいて、前記ファンが前記所定の回転数とは異なる回転数で回転する場合の前記ファンに関するデータを予測する
ことを特徴とする予測方法。
【請求項9】
予測装置が有する回転数予測部が、所定の回転数で回転する場合のファンの回転に起因する音の音圧レベルの実測値、および所定の目標音量に基づいて、前記ファンの回転に起因する音の音圧レベルが、前記目標音量が示す条件を満たす場合の前記ファンの回転数である第1の回転数を予測し、
前記予測装置が有する風量予測部が、前記回転数予測部で予測された第1の回転数、前記所定の回転数で回転する場合の前記ファンの静圧と風量とに関する特性の実測値、および前記ファンの通風流路における圧力損失特性に基づいて、前記回転数予測部で予測された第1の回転数で回転する場合の前記ファンにより前記通風流路に流れる空気の風量である第1の風量を予測する
ことを特徴とする予測方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−69597(P2012−69597A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211231(P2010−211231)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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