説明

二本針ミシンの針棒機構

【課題】 針棒の落下を防止する。
【解決手段】 縫い針を保持する一対の針棒20と、各針棒を上下動可能に個々に支持する針棒支持体40と、各針棒を保持する針棒抱き51を用いて各針棒を上下動させる針棒上下動機構50と、針棒抱きによるそれぞれの針棒の保持を選択的に保持状態と解除状態とに切り換え可能なクラッチ機構60と、クラッチ機構により保持を解除状態とされた針棒を針棒支持体に保持させるストッパ機構70と、を備え、各針棒に、針棒抱きに係止されて落下を停止させる落下防止用の係止部26を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二本の針棒を同時又は選択的に用いて縫製を行うミシンの針棒機構に関する。
【背景技術】
【0002】
一対の針棒の上下動を選択的に停止可能な片針停止機能を備えた二本針ミシンの針棒機構にあっては、第一、第二の係合穴を形成した一対の針棒と、一対の針棒を上下動可能に個々に支持する針棒支持体と、一対の針棒を個々に保持する針棒抱きを用いて各針棒を上下動させる針棒上下動機構と、第一の係合穴に対して先端を挿脱させるクラッチ部材を備えて針棒抱きによるそれぞれの針棒の保持を選択的に保持状態と解除状態とに切り換え可能なクラッチ機構と、先端を第二の係合穴に対して挿脱させるストッパ部材を備えてクラッチ機構により針棒抱きに対して保持を解除状態とされた方の針棒を針棒支持体に保持させるストッパ機構とを備えている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
二本の針棒は、それぞれ第一の係合穴にクラッチ機構のクラッチ部材が挿入された状態で針棒抱きと共に上下動を行う。また、一方の針棒の上下動を停止させるには、当該針棒について、クラッチ部材を後退させて解除状態とすると共に第二の係合穴にストッパ部材を挿入する。これにより、一方の針棒は針棒抱きから解放されて針棒支持体に対して保持状態となる。
【0004】
このような針棒機構を備えた二本針ミシンは、例えばズボンのポケットのような、縫着する布地の縁に沿って二重に平行な縫い目を形成する場合に、直線区間では二本の針を同時に上下動させて縫製を行い、角部では、内側となる縫い目の針数が少なくなるために、内側の縫い針の上下動を一時的に停止させる縫製が行われていた。
【特許文献1】特開平1−300990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の二本針ミシンの針棒機構にあっては、いずれかの針棒について上下動を停止させる場合や停止状態から上下動を再開する場合に、ストッパ機構或いはクラッチ機構による保持が外れて針棒を落下させてしまう場合があった。そして、針棒が落下した状態或いは落下して深く被縫製物に突き通された状態で、縫製動作が継続されると、縫製物や縫い針等のミシンの構成物に破損するおそれがあるという問題があった。
さらに、針棒に落下を生じると、当該針棒の第二の係合穴にクラッチ部材が挿入されてしまうことがあり、その場合、針棒が通常よりも下方の位置で上下動を行うこととなり、縫い針の下方に位置する縫製物やミシンの構成物が縫い針や針棒に打たれて破損してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、針棒の落下の問題を抑制することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、一対の針棒の上下動を選択的に停止可能な片針停止機能を備えた二本針ミシンの針棒機構において、縫い針を保持する一対の針棒と、一対の針棒を上下動可能に個々に支持する針棒支持体と、一対の針棒を個々に保持する針棒抱きを用いて各針棒を上下動させる針棒上下動機構と、針棒抱きによるそれぞれの針棒の保持を選択的に保持状態と解除状態とに切り換え可能なクラッチ機構と、クラッチ機構により保持を解除状態とされた針棒を針棒支持体に保持させるストッパ機構と、を備え、各針棒に、針棒抱きに係止されて落下を停止させる落下防止用の係止部を設ける、という構成を採っている。
【0008】
上記構成では、二本の針棒についてクラッチ機構に保持状態とされている場合には、針棒抱きと共に上下動を行う。
また、一方の針棒のみを上下動させるためには、他方の針棒を、クラッチ機構から解除状態としつつストッパ機構により針棒支持体に保持させる。これにより、他方の針棒は上下動が規制され、一方の針棒のみが上下動を行うこととなる。
そして、上記構成では、ストッパ機構又はクラッチ機構で針棒の保持をし損じた場合でも、係止部により針棒は針棒抱きに係止され、落下が防止される。また、針棒は係止部により針棒抱き上に係止されるので当該針棒抱きと共に上下動を行う。但し、針棒抱きは針棒を保持しているわけではないので当該針棒抱きに対する針棒の上方への移動は規制されず、針棒抱きの下降動作に伴い針棒が下降した場合であっても、縫い針がその下方に位置する被縫製物やミシンの構成を打撃することはない。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、各針棒に、クラッチ機構が係合する第一の係合穴とストッパ機構が係合する第二の係合穴とを設け、係止部を、針棒抱きの上死点への移動により、第二の係合穴にストッパ機構を係合させることが可能な配置又は第一の係合穴にクラッチ機構を係合させることが可能な配置で各針棒に設ける、という構成を採っている。
【0010】
上記構成では、前述したように、針棒抱きから針棒が落下しないように係止部が針棒抱きに係合しているときには、針棒の上方移動を規制しないので、針棒抱きが上死点まで上昇すると、慣性力で針棒だけがより上方まで跳ね上がる。従って、このような針棒の跳ね上がりにより第二の係合穴がストッパ機構に届く範囲又は第一の係合穴がクラッチ機構に届く範囲で針棒に係止部を設けることにより、針棒に落下を生じた場合でも、針棒抱きが上死点まで移動すると、針棒を上方に跳ね上がらせて、ストッパ機構又はクラッチ機構による保持状態を回復させる。
なお、「第二の係合穴にストッパ機構を係合させることが可能な配置又は前記第一の係合穴にクラッチ機構を係合させることが可能な配置」とは、上述のような針棒の跳ね上がりを考慮する配置と考慮しない配置の両方を含むものである。
つまり、跳ね上がりを考慮する場合には、係止部が針棒抱きに対して針棒を係止する位置は、クラッチ機構よりも針棒の跳ね上がり距離以下の範囲で第一の係合穴が下方となる位置、或いは、針棒抱きが上死点に位置するときにストッパ機構よりも針棒の跳ね上がり距離以下の範囲で第二の係合穴が下方となる位置となる。
また、跳ね上がりを考慮しない場合には、係止部が針棒抱きに対して針棒を係止する位置は、クラッチ機構と第一の係合穴が一致する位置、或いは、針棒抱きが上死点に位置するときにストッパ機構と第二の係合穴が一致する位置となる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明と同様の構成を備えると共に、ストッパ機構を上死点に位置するときの針棒抱きよりも上方に配置すると共に、係止部を第一の係合穴と第二の係合穴との間の位置に設け、という構成を採っている。
【0012】
上記構成において、ストッパ機構が上死点位置の針棒抱きよりも上方に位置するということは、ストッパ機構がクラッチ機構よりも上方に位置することを意味する。従って、針棒の第二の係合穴は第一の係合穴よりも上方に配置されていることになる。
このような場合に、針棒がクラッチ機構やストッパ機構から保持が外れて落下を生じると、第一の係合穴よりも上方に位置する第二の係合穴がクラッチ機構に係合し、針棒が通常よりも低い位置で針棒抱きに保持されてしまうことがある。
しかしながら、係止部を第一の係合穴と第二の係合穴との間に設けたので、針棒に落下を生じても針棒抱きに対して係止部の位置で制止され、針棒の第二の係合穴が針棒抱きまで到達し得ない。従って、クラッチ機構が第二の係合穴に係合することはない。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1,2又は3記載の発明と同様の構成を備えると共に、係止部を針棒に装備されたEリングとする構成を採っている。
上記構成では、針棒がクラッチ機構又はストッパ機構から外れた場合でも、針棒に設けたEリングが針棒抱きに係止され、落下が防止される。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明は、各針棒が係止部をそなえるため、針棒がストッパ機構又はクラッチ機構から保持が外れても落下を防止することが可能となる。
また、係止部は針棒抱きに対する針棒の下降を防止すると共に針棒の上方への移動は規制されないので、針棒抱きの上昇時に針棒をより上方に送り出すことができ、それにより、クラッチ機構又はストッパ機構による再保持の可能性を得ることが可能となる。
【0015】
請求項2記載の発明は、係止部を、針棒抱きの上死点への移動により、第二の係合穴にストッパ機構を係合させることが可能な配置又は第一の係合穴にクラッチ機構を係合させることが可能な配置で各針棒に設けているため、針棒がクラッチ機構又はストッパ機構から保持が外れた場合でも、その後、針棒抱きが上死点まで上昇したときに、針棒がクラッチ機構又はストッパ機構により保持可能な位置まで運ばれ、クラッチ機構又はストッパ機構による再保持を行うことが可能となる。
従って、針棒の保持が外れてしまった場合でも、縫製作業を中断する必要がなくなり、作業効率の向上を図ることが可能となる。さらに、復帰作業を不要とすることから、さらなる作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0016】
請求項3記載の発明は、係止部が針棒の第一の係合穴と第二の係合穴との間に設けられているため、針棒に落下を生じても、係止部により第二の係合穴が針棒抱きに到達する手前で針棒の落下を制止する。このため、クラッチ機構が第二の係合穴に係合することを原因とする通常よりも下方の位置での針棒の上下動を回避することができ、縫い針、針棒又はその下方に位置する縫製物やミシンの構成物の破損をより効果的に防止することが可能となる。
【0017】
請求項4記載の発明は、係止部として汎用性、流通性の高いEリングを用いるので、装置の生産性の向上を図ることが可能となる。また、Eリングであれば取付が容易である点からも生産性の向上を図れ、されに、既存の針棒機構にも容易に設置可能であることから、既存の資源の節約及び再生を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(発明の実施形態の全体構成)
以下、図1乃至図9に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態たる二本針ミシンの針棒機構10の正面図、図2(A)は針棒20の一部省略した側面図、図2(B)は正面図、図3は針棒下降時の針棒機構10の正面図を示している。この針棒機構10は、二本針ミシンの図示しないアーム部の先端内部に設けられ、二本の縫い針(図示略)をそれぞれ個別に保持する一対の針棒20を同時又は選択的に上下動させるものである。以下の説明において、垂直上下方向をZ軸方向、水平面に設置した状態における二本針ミシンのアーム部の長手方向をY軸方向、図示しない針板の板面に平行であってY軸方向直交する方向をX軸方向とする。なお、X軸方向とY軸方向とZ軸方向とは互いに直交するものとする。
【0019】
二本針ミシンの針棒機構10は、それぞれ第一の係合穴21及び第二の係合穴22が形成された一対の針棒20と、各針棒20を上下動可能に個々に支持する針棒支持体としての針棒支持枠40と、一対の針棒20を個々に保持する針棒抱き51を用いて各針棒20を上下動させる針棒上下動機構50と、各針棒20の第一の係合穴21に対して先端を挿脱させる一対のクラッチ部材61を用いて針棒抱き51によるそれぞれの針棒20の保持を選択的に保持状態と解除状態とに切り換え可能なクラッチ機構60と、クラッチ機構60により保持を解除状態とされた針棒20の第二の係合穴22に対して先端を挿脱させるストッパ部材71を用いて針棒支持枠40に保持させるストッパ機構70と、人為的な入力操作によりいずれかの針棒20を選択してクラッチ機構60における保持状態と解除状態を切り替える切り替え機構80とを備えている。
【0020】
(針棒)
各針棒20は針棒支持枠40により通常はZ軸方向に沿った状態で支持され、針振りを行う場合には、針棒支持枠40を介して各針棒20の長手方向中間位置でY軸方向に沿った軸を中心に回転揺動動作が付与される。かかる揺動が行われたときには、各針棒20はその上下端部がそれぞれX軸方向に沿って揺動する。
【0021】
各針棒20は、図示のように、断面円形の丸棒の周面の一部に平坦面23を形成した棒状体であり、その下端部で図示しない縫い針の保持を行っている。
針棒20がZ軸方向に沿って支持された状態において平坦面23はY−Z平面に沿った状態となるように針棒支持枠40に支持される。かかる平坦面23の面上であってZ軸方向における中間位置には、当該長手方向に沿って溝部24が形成されている。
【0022】
また、平坦面23の平面上であって溝部24の下端部と上端部の近傍には、当該溝部24に重なるように、第一の係合穴21と第二の係合穴22とが形成されている。
第一の係合穴21は、クラッチ部材61の先端部が挿入可能なようにその先端形状に対応して、長方形状に形成されている。かかる長方形状は、クラッチ部材61の先端部が略矩形状に突出していることに対応しており、長方形の長辺と短辺の長さがそれぞれクラッチ部材61の略矩形状先端部の横幅と縦幅よりもわずかに大きく設定されている。
第二の係合穴22は、第一の係合穴21よりも上方に位置し、後述するストッパ部材71の先端部の形状に対応して、正面視で矩形状であって側面視で半円状に形成されている。
【0023】
溝部24の内部には、当該溝部24の長手方向に沿って揺動板25が揺動可能に取り付けられている。かかる揺動板25は、第一の係合穴21と第二の係合穴22との中間位置でY軸方向に沿った支持軸に支持されており、揺動によりその両端部はX軸方向に沿って移動する。つまり、揺動板25の一端部と他端部とはそれぞれ第一の係合穴21と第二の係合穴22の内部を各係合穴21,22の深度方向に沿って移動を行う。
また、揺動板25はその一端部が第一の係合穴21の深部近傍まで押し込まれると、他端部が第二の係合穴22内で平坦面23まで押し出され、その他端部が第二の係合穴22の深部近傍まで押し込まれると、一端部が第一の係合穴21内で平坦面23まで押し出される形状に形成されている。
つまり、同一の針棒20について、第一の係合穴21にクラッチ部材61が挿入されると、既に第二の係合穴22に挿入されていたストッパ部材71が揺動板25により押し出され、第二の係合穴22にクラッチ部材71が挿入されると、既に第一の係合穴21に挿入されていたクラッチ部材61が揺動板25により押し出されるようになっている。
【0024】
また、上記針棒20は、上下動を行うときには、その第一の係合穴21によりクラッチ機構60と係合して針棒抱き51に保持される。一方、片針で縫製するために上下動が制止されるときにはクラッチ機構60が解除されると共に第二の係合穴22によりストッパ機構70と係合して針棒支持枠40の保持される。
このように、各針棒20は、通常は、クラッチ機構60またはストッパ機構70のいずれかに保持されることになるが、各係合穴への係合がうまく行かず、クラッチ機構60又はストッパ機構70から脱落することがある。
このため、かかる脱落を防止するために、各針棒20には、針棒抱き51に係止されて落下を停止させる落下防止用の係止部としてEリング26が第一の係合穴21と第二の係合穴22との間に装備されている。即ち、このEリング26は、その外径が針棒20全体の外径よりも大きいものが使用され、これにより、針棒抱き51の挿通穴を通過できず、当該針棒抱き51の上端部に当接して針棒20の落下を防止するものである。
【0025】
そして、このEリング26は、針棒20の長手方向における配置が、第一の係合穴21にクラッチ機構60が係合した場合の針棒抱き51の上端部から上方にわずかに隙間を設けた位置に設定されている。なお、このEリング26の配置は、第二の係合穴22にストッパ機構70が係合した場合であって上死点位置にある針棒抱き51の上端部から上方にわずかに隙間を設けた位置でもある(図4参照)。
Eリング26を上記配置とした場合、脱落を生じた針棒20は、隙間分だけ下方に移動すると共に、そのEリング26を針棒抱き51の上端部に接した状態で針棒抱き51と共に上下動を行うこととなる。そして、針棒抱き51が上死点まで移動すると、慣性力で針棒20が上昇し、第一の係合穴21がクラッチ機構60の係合するか或いは、第二の係合穴がストッパ機構70に係合する。従って、針棒は脱落状態からの復帰が図られる。
なお、上記Eリング26と針棒抱き51の上端部との隙間は、一般的な縫製速度において、針棒抱き51に対してフリー状態の針棒抱き20が上死点位置で跳ね上げられる距離の範囲であればより大きく設定しても良い。
また、Eリング26の配置は、第一の係合穴21にクラッチ機構60が係合した場合の針棒抱き51の上端部にちょうど接する位置、或いは、第二の係合穴22にストッパ機構70が係合した場合であって上死点位置にある針棒抱き51の上端部にちょうど接する位置としても良い。この場合には、上死点位置での針棒20の跳躍を待つまでもなく保持状態の復帰が図られる。
【0026】
(針棒支持枠)
図4は針棒機構10の、一方の針棒20の中心線を通過すると共にX−Z平面に沿った断面による断面図である。図1及び図4に示すように、針棒支持枠40は、その上部と下部とに針棒20をY軸方向に二本並ぶように挿通させる挿通穴が形成されており、これらにより各針棒20を上下動可能に支持している。
針棒支持枠40の下部における針棒20の支持部の近傍には、潤滑油或いはグリス等が供給される不織布或いはウレタン等の供給部材41が設けられており、当該供給部材41を摺動するように各針棒20が配設されている。これにより、潤滑油又はグリスが各針棒20と針棒支持枠40との摺動部に供給され、上下動が円滑に行われる。
【0027】
また、針棒支持枠40の上部における針棒20の支持部近傍にはストッパ機構70が設けられており、針棒支持枠40のストッパ機構70のすぐ下側には切り替え機構80が設けられている。ストッパ機構70及び切り替え機構80については後に詳述する。
さらに、針棒支持枠40に支持された針棒20の近傍には、各針棒20に対して上下動の駆動力を付与するリンク体54の一端部に設けられた角駒55の上下動を案内するガイド溝42が形成されている。
【0028】
また、針棒支持枠40のY軸方向一端部における上下方向中間位置に、針振りの揺動駆動力を付与する揺動軸43の一端部が連結されている。かかる揺動軸43は、Y軸方向に沿った状態で回転可能にミシン機枠に支持され、針棒20の上下動と同期して揺動を行う揺動機構に連結されている。また、揺動機構は、周知の構成によりその揺動角度範囲を0から所定の角度範囲まで調節可能であり、必要に応じて各針棒20に保持された縫い針をX軸方向に沿って任意の振り幅で針振りさせることが可能となっている。また、前述したように、針振りを行わない状態にあっては、各針棒20がZ軸方向に沿って状態となるように、針振りの揺動機構は調整されている。
【0029】
(針棒上下動機構)
針棒上下動機構50は、図1に示すように、クラッチ機構60を介して各針棒20を支持する針棒抱き51と、各針棒20の上下動駆動源たるミシンモータ(図示せず)により回転駆動されるミシン主軸52と、ミシン主軸52の一端部に固定装備された回転錘53と、回転錘53と針棒抱き51との間を連結するリンク体54と、リンク体54の針棒抱き側の端部をZ軸方向に沿って移動させる角駒55とを備えている。
【0030】
針棒抱き51は、二本の針棒20を平行にそれぞれ挿通させる挿通穴が形成されており、各挿通穴に挿入されている針棒20に対してクラッチ機構60により保持を行う。
ミシン主軸52は、Y軸方向に沿った状態でミシン機枠に回転可能に支持されている。そして、ミシン主軸52の一端部はミシンモータと連結され、他端部は円板状の回転錘53の回転中心位置に連結されている。
リンク体54は、その一端部が回転錘53の中心から偏心した位置でY軸方向を中心に回転可能に連結され、他端部は針棒抱き51に対してY軸方向を中心に回転可能に連結されている。
リンク体54の他端部に設けられた角駒55は、針棒支持枠40のガイド溝42によりZ軸方向(支持されている針棒20の長手方向)に沿ってのみ移動可能に制限されている。このため、リンク体54の一端部は回転錘53と共に周回運動を行うが、リンク体54の他端部では上下動のみを行い、その結果、針棒抱き51を介して各針棒20に上下駆動力を付与するようになっている。
【0031】
(クラッチ機構)
クラッチ機構60は、図1及び図4に示すように、針棒抱き51の正面から各挿通穴まで貫通した円形の支持穴57に挿入される二つのクラッチ部材61と、各クラッチ部材61をそれぞれ個別に進退移動させる二つの従動リンク62と、各従動リンク62を介して各クラッチ部材61に対して前進方向の移動力を個別に付与する二つの押圧バネ63と、各クラッチ部材61を後退した状態(退避位置)でそれぞれ係止する二つの係止爪64と、各係止爪64が係止を行う方向にそれぞれ押圧する二つの押圧バネ65と、各係止爪64による係止を解除する操作を外部から入力可能な解除ピン66とを備えている。
【0032】
針棒抱き51の二つの支持穴57はX軸方向に沿って形成され、略円柱状のクラッチ部材61をX軸方向に沿って滑動可能に支持している。
図5はクラッチ部材61の斜視図である。各クラッチ部材61は、その先端部(針棒20側の端部)に、先端面の形状が略矩形状である突起61aが形成されている。かかる突起61aの先端形状及びその大きさが、針棒20の第一の係合穴21の形状とほぼ一致しており、クラッチ部材61の前進移動(針棒20側への移動)により第一の係合穴21への挿入が可能となっている。また、各クラッチ部材61の突起の先端面61bは幾分傾斜状態で形成され、第一の係合穴21への挿入が容易となっている。
そして、クラッチ部材61の突起61aを第一の係合穴21に挿入すると、針棒抱き51に対して針棒20を保持した状態となり、針棒抱き51と共に針棒20を上下動させることが可能となる。また、クラッチ部材61の突起61aが第一の係合穴21に挿入されると、針棒20の溝部24内に設けられた揺動板25の下端部が押圧され、当該下端部が後退移動すると共に上端部が前進移動するようになっている。
さらに、各クラッチ部材61の突起61aの下部には、係止爪64の先端部が係止される切り欠き61cが形成されている。かかる切り欠き61cは、クラッチ部材61が所定の後退位置(その先端部の突起61aが針棒20の第一の係合穴21に届かない位置)まで後退した状態で初めて係止爪64が係止可能となる位置に設けられている。
【0033】
各従動リンク62は、その中間で屈曲した形状に形成され、当該屈曲中間部で針棒抱き51に揺動可能に支持されている。そして、従動リンク62の一端部はクラッチ部材61の後端部に連結され、他端部は押圧バネ63に常時押圧されている。そして、押圧バネ63は、従動リンク62がクラッチ部材61を前進させる方向に揺動するように押圧している。
また、各従動リンク62は、その他端部に対して押圧バネ63が下方から押圧しているが、クラッチ部材61を後退させる場合には、針棒抱き51の上方移動により従動リンク62の他端部に対して後述する切り替え機構80の切り替え部材81の当接突起81aが上方から当接し、押圧バネ63に抗して押し下げて揺動させることでクラッチ部材61を後退移動させることが可能となっている。
【0034】
各係止爪64は、針棒抱き51によりクラッチ部材61の下方で揺動可能に支持されている。かかる各係止爪64は、その揺動端部が上下に揺動可能であると共に、上方に揺動することにより爪先端部が後退位置にあるクラッチ部材61の切り欠き61cに進入し、前進しないように保持することを可能としている。また、各押圧バネ65は下方から各係止爪64を常時上方に押圧している。このため、係止爪64は、その爪先端部がクラッチ部材61側に付勢されており、当該クラッチ部材61が後退して切り欠き61cが爪位置まで来ると爪先端部が速やかに挿入される。
【0035】
解除ピン66は、針棒抱き51の上端部から各クラッチ部材61の間を通過して各係止爪64に届くまで上下に針棒抱き51を貫通して設けられており、上下動可能に支持されている。解除ピン66の下端部は、各係止爪64に設けられた図示しない当接部に対して同時に接触可能に配置されている。つまり、解除ピン66の下端面の半分の領域が一方の係止爪64の当接部に当接し、残る半分の領域が他方の係止爪64の当接部に当接するように構成されている。
また、解除ピン66は図示しないバネにより常時上方に押圧されており、その上端部が針棒抱き51の上方に突出している。そして、当該解除ピン66の上端部は、針棒抱き51の上方移動により後述する切り替え機構80の切り替え部材81の当接突起81aが上方から当接することで、下方に押圧され、係止状態の係止爪64の先端部を下方に押し下げて係止の解除を行うようになっている。
【0036】
(切り替え機構)
切り替え機構80は、針棒抱き51の上死点よりも若干上方となる位置において針棒支持枠40に形成されたガイド溝部82と、ガイド溝部82に沿って滑動可能に支持された切り替え部材81と、切り替え部材81のガイド溝部82からの脱落を防止する押さえカバー83とを備えている。
ガイド溝部82は、針棒支持枠40の上部においてY軸方向に沿って形成され、同方向に沿って切り替え部材81を滑動可能に支持している。
【0037】
切り替え部材81は、その全体が略角柱形状であり、その一端部には長手方向に直交する方向に突出した当接突起81aが形成され、その他端部はミシン機枠の外部に設けられた図示しない操作入力手段に連結されている。
切り替え部材81は、当接突起81aが下方に向けられた状態でガイド溝部82に支持される。そして、切り替え部材81のY軸方向に沿った移動により、針棒抱き51の上死点到達時におけるクラッチ機構60の一方の従動リンク62,他方の従動リンク62又は解除ピン66のいずれかを押圧可能な位置に当接突起81aを切り替えることが可能となっている。そして、当接突起81aの切り替えは、ミシン機枠の外部から前述した操作入力手段に対する人為的な操作により行われる。なお、この当接突起81aは、上死点位置まで上昇した針棒抱き51の各従動リンク62,62及び解除ピン66に対して、各々の解除動作に要するストローク分下方に押し下げることが可能な突出長さに設定されている。
【0038】
(ストッパ機構)
ストッパ機構70は、針棒支持枠40の上端部において当該針棒支持枠40の正面から針棒20の挿通穴まで貫通した二つの円形の貫通穴を有する支持部72と、各支持部72の貫通穴に挿入される二つのストッパ部材71と、各ストッパ部材71をそれぞれ個別に前進方向(針棒20側)の移動力を付与する二つの押圧バネ73と、各押圧バネ73を後方で支持すると共に支持部72の貫通穴を覆い塞ぐカバー体74とを備えている。
【0039】
支持部72の各貫通穴はいずれもX軸方向に沿って形成され、略円柱状のストッパ部材71をX軸方向に沿って滑動可能に支持している。
図6はストッパ部材71の斜視図である。各ストッパ部材71は、その先端部71a(針棒20側の端部)がX軸方向からの正面視で矩形状であり、Y軸方向から側面視した場合に先端が半円形に形成されている。かかる先端部71aの形状は、前述した第二の係合穴22の形状と対応している。
前述したように、ストッパ部材71はその後方から押圧バネ73により前方に押圧されている。そして、かかる押圧によりストッパ部材72の先端部72aが第二の係合穴22に挿入されると、針棒支持枠40に対して針棒20の上下動が制止された状態となる。
【0040】
但し、各ストッパ機構71に対する押圧バネ73の押圧力による揺動板25を揺動させる力は、押圧バネ65が従動リンク62を介してクラッチ部材61に付与する押圧力による揺動板25を揺動させる力よりも小さく設定されている。従って、クラッチ部材61の突起61aとストッパ部材71の先端部71aとをそれぞれ第一の係合穴21と第二の係合穴22とに挿入しようとすると、クラッチ部材61の突起61aが第一の係合穴21に進入し、ストッパ部材71の先端部71aは押し負けて第二の係合穴22には進入できないようになっている。
また、ストッパ部材71の先端部71aが第二の係合穴22に挿入されると、針棒20の溝部24内に設けられた揺動板25の上端部が押圧され、当該上端部を前進移動させると共に下端部を後退移動させることが可能となっている。
【0041】
なお、針棒抱き51が上死点にあるときのクラッチ機構60のクラッチ部材61からストッパ機構70のストッパ部材71までのZ軸方向における距離は、針棒20の第一の係合穴21から第二の係合穴22までの距離と一致するように設定されている。これにより、針棒抱き51が上死点位置にある時に、針動20をストッパ機構70による保持状態に切り替え、又は保持状態の針棒20をクラッチ機構60に係合させることが可能となっている。
【0042】
(二本針ミシンの針棒機構の動作説明)
図1乃至図9に基づいて二本針ミシンの針棒機構10の動作説明を行う。図7,図9はそれぞれ針棒機構10の動作説明図であり、図8は図7の動作状態における一方の針棒20の中心線を通過する断面による針棒機構10の断面図である。
図1は、各針棒20がいずれも上死点位置にある針棒抱き51に保持された状態を示しており、ここから動作説明を開始する。
【0043】
ミシンモータの駆動により針棒上下動機構50のミシン主軸52,回転錘53及びリンク体54を介して針棒抱き51に下降移動力が付与される。これにより、針棒抱き51は二本の針棒20と共に下死点まで移動する(図3の状態)。
そして、一方の針棒20(ここでは左側の針棒20を例に説明する)について、上下動を停止させる場合には、針棒抱き51が下降を介して再び上死点に戻るまでの間に、ミシン機枠の外部に設けられた図示しない操作入力手段を操作して、切り替え部材81の当接突起81aを左側の従動リンク62の上方位置に合わせる。
【0044】
ミシンモータの駆動により再び針棒抱き51が上死点まで移動すると、切り替え部材81の当接突起81aが左側の従動リンク62を下方に押圧する(図7及び図8の状態)。
これにより、左側の従動リンク62は、押圧バネ63に抗してクラッチ部材61を後退方向に移動させ、当該クラッチ部材61の下方にある係止爪64の先端部が押圧バネ65に押圧されて切り欠き内に進入し、クラッチ部材61を前進しないように係止する。
さらに、クラッチ部材61が後退移動を行うことにより、第一の係合穴21から抜け出て、左側の針棒20の溝部24内の揺動板25の下端部が押圧状態から解放され、上端部に圧接していたストッパ部材71の先端部が第二の係合穴内に進入する。これにより、左側の針棒20は、その上死点位置で針棒支持枠40に保持された状態となる。
従って、図9に示すように、再び針棒抱き51が下降移動すると、右側の針棒20のみが針棒抱き51と共に下降し、左側の針棒20は上死点位置に残される。
【0045】
また、かかる状態から再び針棒20を上下動させるには、針棒抱き51の下降開始から上死点に戻るまでの間に、ミシン機枠の外部に設けられた図示しない操作入力手段を操作して、切り替え部材81の当接突起81aを解除ピン66の上方位置に合わせる。
【0046】
ミシンモータの駆動により再び針棒抱き51が上死点まで移動すると、切り替え部材81の当接突起81aが解除ピン66を下方に押圧する(図1及び図4の状態)。
これにより、解除ピン66は、その下端部が左側の係止爪64の当接部を押圧し、押圧バネ65に抗して係止爪64の先端部を下方に移動させる。その結果、係止爪64はクラッチ部材61の切り欠き61cへの係止状態が解除され、当該クラッチ部材61は押圧バネ63に押圧されて前進移動する。そして、クラッチ部材61は針棒支持枠40に保持された針棒20の第一の係合穴21に進入し、揺動板25の下端部を押圧し、上端部を押圧していたストッパ部材71を押し返して第二の係合穴22の外部に送り出す。
これにより、当該針棒20は、ストッパ部材71により保持されていた状態が解除され、針棒抱き51に保持された状態となり、再び上下動を開始する。
【0047】
また、上記動作の過程において、針棒20をクラッチ機構60又はストッパ機構70により保持させるべきところを、何らかの要因により保持されず、針棒20の落下を生じる場合がある。このとき、針棒20の落下によりEリング26が針棒抱き51の上端部に当接した状態となる。つまり、針棒20は予め設定されたEリング26と針棒抱き51の上端部との隙間距離分だけ落下を生じることとなる。そして、かかる状態で針棒抱き51が上端部に上方移動すると、針棒20は慣性力により針棒抱き51に対して上方に跳躍し、第一の係合穴21に対してクラッチ部材61が挿入可能な配置、又は第二の係合穴22に対してストッパ部材71が挿入可能な配置となる。従って、針棒20は、脱落状態からクラッチ機構60又はストッパ機構70による保持状態に復帰することとなる。
【0048】
(実施形態の効果)
上述した針棒機構10は、各針棒20が係止部としてのEリング26をそなえるため、針棒20がストッパ機構70又はクラッチ機構60から保持が外れても落下を防止することが可能となる。
また、Eリング26は、クラッチ機構60が第一の係合穴21に係合する場合の針棒抱き51の上端部よりも隙間を設けてやや上方に配置されているため、或いは、ストッパ機構70が第二の係合穴22に係合する場合に上死点位置にある針棒抱き51の上端部よりも隙間を設けてやや上方に配置されている。このため、脱落後の針棒20は、針棒抱き51と共に上下動し、且つその上死点位置で針棒20は慣性力により跳躍するため、第一の係合穴21又は第二の係合穴22をクラッチ機構60又はストッパ機構70の保持位置に移動させることができ、これらに保持されることで、針棒20の保持状態を復帰させることが可能である。
従って、針棒20の保持が外れてしまった場合でも、縫製作業を中断する必要がなくなり、作業効率の向上を図ることが可能となる。さらに、復帰作業を不要とすることから、さらなる作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0049】
さらに、Eリング26は針棒20の第一の係合穴21と第二の係合穴22との間に設けられているため、針棒20に落下を生じても、Eリング26により第二の係合穴22がクラッチ機構60まで下降する手前で制止される。このため、クラッチ機構60が第二の係合穴22に係合することを原因とする通常よりも下方の位置での針棒20の上下動を回避することができ、縫い針、針棒20又はその下方に位置する縫製物やミシンの構成物の破損をより効果的に防止することが可能となる。
【0050】
また、針棒20の係止部として汎用性、流通性の高いEリング26を用いるので、装置の生産性の向上を図ることが可能となる。また、Eリング26であれば取付や調達が容易である点からも生産性の向上を図れ、されに、既存の針棒機構にも容易に設置可能であることから、既存の資源の節約及び再生を図ることが可能となる。
【0051】
但し、係止部としては少なくとも針棒20が針棒抱き51に対して下方に移動することを規制する機能を有してれば、他の構成でも良い。図10は係止部の他の例を示す説明図である。図10(A)はEリング26と同位置において針棒20に設けられたネジ26Aである。図10(B)はEリング26と同位置において針棒20に設けられた割ピン26Bである。図10(C)はEリング26と同位置において針棒20に設けられたリング体であるスラストカラー26Cである。図10(D)はEリング26と同位置において針棒20に設けられた段差部26Dである。
これらの構成であっても、Eリング26とほぼ同様の効果を奏する。
【0052】
また、上記実施の形態は、針棒20の支持を針振り機構の針棒揺動台(針棒支持枠40)に支持したもので説明したが、必ずしも針振りする必要はなく、針棒支持体は針棒を上下動可能に支持していれば良く、例えば、ミシン機枠に固定されたものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】発明の実施形態たる二本針ミシンの針棒機構の正面図であって、二本針保持状態で上死点位置にある状態を示している。
【図2】図2(A)は針棒の側面図、図2(B)は正面図である。
【図3】二本針ミシンの針棒機構の正面図であって、二本針保持状態で下死点位置にある状態を示している。
【図4】図1の動作状態における一方の針棒の中心線を通過すると共にX−Z平面に沿った断面による針棒機構の断面図である。
【図5】クラッチ部材の斜視図である。
【図6】ストッパ部材の斜視図である。
【図7】二本針ミシンの針棒機構の正面図であって、一方の針棒の保持状態を解除した直後の状態を示している。
【図8】図7の動作状態における一方の針棒の中心線を通過すると共にX−Z平面に沿った断面による針棒機構の断面図である。
【図9】二本針ミシンの針棒機構の正面図であって、一方の針棒の保持状態を解除して下死点に移動した状態を示している。
【図10】図10(A)は係止部の他の例としてのネジを装備した針棒を示す説明図であり、図10(B)は係止部の他の例としての割ピンを装備した針棒を示す説明図であり、図10(C)は係止部の他の例としてのスラストカラーを装備した針棒を示す説明図であり、図10(D)は係止部の他の例としての段差部を設けた針棒を示す説明図である。
【符号の説明】
【0054】
10 二本針ミシンの針棒機構
20 針棒
21 第一の係合穴
22 第二の係合穴
26 Eリング(係止部)
26A ネジ(係止部)
26B 割ピン(係止部)
26C スラストカラー(係止部)
26D 段差部(係止部)
40 針棒支持枠(針棒支持体)
50 針棒上下動機構
51 針棒抱き
60 クラッチ機構
61 クラッチ部材
61a 突起
66 解除ピン
70 ストッパ機構
71 ストッパ部材
71a 先端部
80 切り替え機構
81 切り替え部材
81a 当接突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の針棒の上下動を選択的に停止可能な片針停止機能を備えた二本針ミシンの針棒機構において、
縫い針を保持する一対の針棒と、
前記一対の針棒を上下動可能に個々に支持する針棒支持体と、
前記一対の針棒を個々に保持する針棒抱きを用いて前記各針棒を上下動させる針棒上下動機構と、
前記針棒抱きによるそれぞれの針棒の保持を選択的に保持状態と解除状態とに切り換え可能なクラッチ機構と、
前記クラッチ機構により保持を解除状態とされた針棒を前記針棒支持体に保持させるストッパ機構と、を備え、
前記各針棒に、前記針棒抱きに係止されて落下を停止させる落下防止用の係止部を設けたことを特徴とする二本針ミシンの針棒機構。
【請求項2】
前記各針棒に、前記クラッチ機構が係合する第一の係合穴と前記ストッパ機構が係合する第二の係合穴とを設け、
前記係止部を、前記針棒抱きの上死点への移動により、前記第二の係合穴にストッパ機構を係合させることが可能な配置又は前記第一の係合穴にクラッチ機構を係合させることが可能な配置で前記各針棒に設けたことを特徴とする請求項1記載の二本針ミシンの針棒機構。
【請求項3】
前記ストッパ機構を上死点に位置するときの前記針棒抱きよりも上方に配置すると共に、
前記係止部を前記第一の係合穴と第二の係合穴との間の位置に設けたことを特徴とする請求項2記載の二本針ミシンの針棒機構。
【請求項4】
前記係止部は、前記針棒に装備されたEリングであることを特徴する請求項1,2又は3記載の二本針ミシンの針棒機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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