説明

二次元コードを印刷した書籍、および書籍閲覧装置

【課題】 情報量は文字が直接印刷された書物と同等でありながら、持ち運びが容易な書籍、およびそのような書籍の閲覧装置を提供する。
【解決手段】 二次元コード認識用の汎用ブラウザーおよびカメラを搭載した携帯端末により、アクセス用二次元コードC1を撮影すると、携帯端末は、二次元コードC1に記録されていたアクセス先のサーバにアクセスし、専用ブラウザーを取得する。専用ブラウザーを起動させた後、シールSの裏側に印刷されている書籍コードを入力すると、専用ブラウザーは書籍に対応した入れ換え規則を組み込む。この状態で、文章が記録された内容二次元コードC2〜C4を撮影すると、携帯端末は、記録されていた文章データを認識し、組み込んだ入れ換え規則に従って文字の順序を入れ換えて正常な文章として画面に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次元コードを印刷した書籍、およびそのような書籍を利用して文章を読むことが可能な装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、新聞、書籍、雑誌、辞書等のさまざまな書物が発行されている。近年では、電子化の進展により、文字データをデジタル化し、端末の画面において読むことが可能な電子書籍も普及しはじめている。
【0003】
一方、多くの情報を所定の形式にコード化した二次元コードも普及してきており、多くの情報をコンパクトにまとめるのに利用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
紙媒体の書物は、現在においても広く利用されているが、サイズが大きく携帯に不便であり、持ち運べる量が限られ、紙面も大きい。そのため、例えば、満員電車で読むには苦労を伴い、場合によっては不可能となることもある。また、電子書籍は、紙媒体ではないため、駅の売店等で販売するには不向きであるという問題がある。
【0005】
上記のような点に鑑み、本発明は、情報量は文字が直接印刷された書物と同等でありながら、持ち運びが容易な書籍、およびそのような書籍の閲覧装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、二次元コード読取手段、および当該二次元コード読取手段により読み取った二次元コードに記録された内容を画面表示する表示手段を有する端末装置で閲覧するための書籍であって、文字コードの集合として構成される文章データを内容として記録した二次元コードを印刷した書籍を提供する。
【0007】
また、本発明では、印刷された二次元コードを撮影する撮影手段と、前記撮影手段により撮影された二次元コードを認識して、当該二次元コードに記録された文章データを取得する二次元コード認識手段と、前記認識された文章データを構成する文字コードの順序を入れ換える順序入れ換え手段と、入れ換え後の文章データを画面表示する表示手段を有する書籍閲覧装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、文字コードの集合として構成される文章データを内容として記録した二次元コードを書籍に印刷しておき、この二次元コードを撮影して、その内容を携帯端末等の端末装置の画面に表示させるようにしたので、その書籍は、情報量は文字が直接印刷された書籍と同等でありながら、持ち運びが容易なものとなると共に、サーバへのアクセスが最小限のものとなるので、通信料金がかからないという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明に係る書籍について説明する。本実施形態では、書籍が第1用紙と第2用紙の2枚からなる場合について説明する。図1は、本発明に係る書物の第1用紙を示す図である。図1(a)は第1面、図1(b)は第2面となっている。図1(a)に示すように、第1面には、書籍のタイトル「○○○○」、著者「△△太郎」、発行した出版社「□□書籍」が印刷されている他、書籍の使用方法の説明が印刷されている。また、アクセス先のアドレスが記録されたアクセス用二次元コードC1が印刷されている。本実施形態では、アクセス先を後述するサーバコンピュータとし、そのアドレスとしてURLを採用している。また、二次元コードとしては、例えば、QRコード(登録商標)等の周知のものを採用することができる。URLを二次元コードに変換して印刷する技術としても周知のものを採用することができる。また、第1用紙の第1面には、説明が印刷されたシールSが貼付されている。
【0010】
図1(b)に示すように、第2面には、文字情報が記録された内容二次元コードが記録されている。図1(b)の例では、内容二次元コードC2〜C4が印刷されている。内容二次元コードC2は作者プロフィールの内容を記録したものであり、C3は目次の内容を記録したものであり、C4は1章の内容を記録したものである。内容二次元コードC2〜C4は、文字コードの集合である通常の文章データに対して、文字の順序を所定の入れ換え規則により入れ換えた後、二次元コードに変換し、印刷したものとなっている。本実施形態では、文字コードとして、シフトJISコードを採用している。
【0011】
図2は、本発明に係る印刷物の第2用紙の一例を示す図である。図2(a)は第1面、図2(b)は第2面となっている。図2(a)に示すように、第1面には、内容二次元コードC5、C6が印刷されている。内容二次元コードC5は2章の内容を記録したものであり、C6は3章の内容を記録したものである。内容二次元コードC5、C6も、内容二次元コードC2〜C4と同様、文字コードの集合である通常の文章データに対して、文字の順序を所定の入れ換え規則により入れ換えた後、二次元コードに変換し、印刷したものとなっている。
【0012】
図2(b)に示すように、第2面には、発行人等の制作者に関する情報等が印刷されている。なお、ここでは、説明の便宜上、図1、図2のように第1用紙、第2用紙を分離した状態で示したが、現実には1枚の用紙の中央に折り線を設け、この折り線を介して、第1用紙と第2用紙が形成される。そして、この1枚の用紙を折り線により2つ折りすることにより、本発明に係る書籍が形成されることになる。この場合、第1用紙の第2面と、第2用紙の第1面が内側となるように折り曲げ、外側から見ると、第1用紙の第1面が表紙となり、第2用紙の第2面が裏表紙となる。また、書籍を構成する用紙は、2枚に限定されず、より多数の枚数から構成されるものでも良いのは当然である。また、書籍の構成は、内容量が多ければ帳合いされた小冊子形式、カード数十枚がケースに収められたトランプ形式であったりしても良い。
【0013】
図1に示した書籍に印刷された内容二次元コードC2〜C6は文字コードの集合で構成される文章データであるので、二次元コード認識プログラムを組み込んだカメラ付端末装置で読み取ると、その内容を端末装置で閲覧することができる。しかし、内容二次元コードC2〜C6は、正常な文章データに対して、所定の入れ換え規則により文字の順序の入れ換えを行った文章データが記録されたものであるので、汎用ブラウザーとして提供される二次元コード認識プログラムで読み取った場合、画面には意味のわからない文章が表示されることになる。
【0014】
続いて、本発明に係る二次元コードを印刷した書籍を利用するために必要なシステムについて説明する。図3は、このようなシステムの構成図である。図3において、10は二次元コードを印刷した書籍、20は携帯端末、30はサーバ、40は携帯端末に付属したデジタルカメラ、50は携帯端末に付属した電子ディスプレイである。携帯端末20は、デジタルカメラ機能、インターネット接続機能、汎用演算処理機能、キーボート等によるデータ入力機能、復元文字情報を表示する電子ディスプレイ機能、および二次元コード認識プログラムを搭載した端末装置であり、携帯可能な小型のものである。なお、二次元コード認識プログラムは、QRコードに関しては汎用ブラウザーとして提供されている。現在、これらの機能を全て備えている携帯電話機が普及しているため、このような携帯電話機を携帯端末20として採用することができる。サーバ30は、Webサーバとしての機能を有するサーバコンピュータである。なお、携帯端末20とサーバ30の間には、携帯電話用の基地局が存在し、携帯端末20からの通信をインターネット用に変換する等の処理が適宜行われるが、これらは周知の技術であるので説明は省略する。
【0015】
まず、利用者は、図3に示したような本発明に係る書籍を購入等により入手する。利用者は、書籍10に印刷されている説明を読み、この説明に従って、携帯端末20に付属のデジタルカメラ40で二次元コードC1を撮影する。二次元コードC1を撮影することにより取得された二次元コードC1の画像データは、携帯端末20内の二次元コード認識プログラムにより処理されて、二次元コードC1に記録された内容が取得される。上述のように二次元コードC1には、サーバ30にアクセスするためのアドレスであるURLが記録されているので、携帯端末20は、サーバ30のURLを認識することになる。さらに、携帯端末20は、自身が有するインターネット接続機能により、認識したURLで特定されるサーバ30にアクセスする。
【0016】
サーバ30では、携帯端末20からのアクセスに対して、指定されたURLで特定される画面データを携帯端末20に返信する。携帯端末20では、受信した画面データを電子ディスプレイ50に表示させる。画面データには、書籍を閲覧するための専用プログラムである専用ブラウザーを取得するための手順が示されているので、この手順に従って、利用者は、専用ブラウザーをサーバ30からダウンロードする。これにより、携帯端末20において専用ブラウザーを起動し、書籍を閲覧することが可能な状態となる。すなわち、携帯端末20が書籍閲覧装置として機能するようになる。専用ブラウザーは、本発明に係る書籍に印刷された二次元コードに記録された情報に所定の処理を施して、電子ディスプレイ50に表示させるための専用のブラウザーである。二次元コードを撮影して取得した画像データから、二次元コードとして記録されたデータを認識する点については、汎用ブラウザーが有している機能と同様である。専用ブラウザーは、さらに、二次元コードから読み取った文章データ内の文字の順序を規則に従って入れ換えて表示させる機能を有している。順序の入れ換え規則は、専用ブラウザーのメインルーチンから呼び出し可能な関数の形式で用意されたデータであり、例えば、1文字目と3文字目を交換するような2文字置きに入れ換えるものや、1文字目と4文字目を交換するような3文字置きに入れ換えるもの等、専用ブラウザー内に多数用意されている。各入れ換え規則は書籍コードと対応付けられており、書籍コードが指定されると専用ブラウザーに組み込まれるようになっている。
【0017】
専用ブラウザーを起動させると、書籍コードの入力を促す画面が携帯端末20の電子ディスプレイ50に表示される。利用者は、書籍10に貼付されているシールSを剥がして、シールSの裏側に印刷されている書籍コードを確認し、その書籍コードを携帯端末20に入力する。携帯端末20は、書籍コードが入力されると、専用ブラウザーの機能により、入力された書籍コードに対応する入れ換え規則を自身に組み込む。この状態で、携帯端末20に付属のカメラで二次元コードC2を撮影すると、二次元コードC2に記録されている文章が認識される。続いて、携帯端末20は、専用ブラウザーが組み込んだ入れ換え規則に従って、認識した文章内の文字の順序を入れ換える処理を行う。文字の入れ換えが完了したら、入れ換え後の文章を画面に表示させる。専用ブラウザーに入力された書籍コードが正しければ、適正な入れ換え規則に従って画面表示が行われるため、正当な文章を読むことが可能になる。専用ブラウザーに入力された書籍コードが正しくなければ、適正な入れ換えが行われないことになるため、文字の順番がでたらめな意味不明の文章となり、利用者は内容を理解することができない。このため、シールSを廃棄してしまえば、書籍10のみを入手したとしても、書籍の内容を正しく読むことができないことになる。したがって、書籍を購入等により正当に入手したものしか書籍を読むことができない。
【0018】
二次元コードC2に対応する文章を読み終え、作者のプロフィールを理解したら、利用者は、二次元コードC3を携帯端末20に付属のデジタルカメラ40で撮影する。すると、携帯端末20は、上記と同様に、専用ブラウザーの機能により、認識した文章の文字の順序を入れ換え、電子ディスプレイ50に表示させる。電子ディスプレイ50には、書籍の目次が表示されることになる。同様に、二次元コードC3を撮影することにより、1章の内容が電子ディスプレイ50に表示され、二次元コードC4を撮影することにより、2章の内容が電子ディスプレイ50に表示され、二次元コードC5を撮影することにより、3章の内容が電子ディスプレイ50に表示される。利用者は、このようにして、二次元コードを携帯端末20に付属のデジタルカメラ40で撮影する作業を行うだけで、書籍10を読むことが可能になる。
【0019】
専用ブラウザーはコピーガード機能を有しているため、表示させた文章は保存しておくことができず、他人の携帯端末やコンピュータに転送することはできない。したがって、書籍を購入して書籍コードを入手したものだけが、適正な入れ換え規則に従って正当な文章を読むことができる。尚、携帯端末として携帯電話を利用する場合においては、携帯電話のアーキテクチャー構成上、スクラッチパッド(登録商標)がアプリケーションプログラムごとに割り当てられ、あるアプリケーションプログラムから他のアプリケーションプログラムに割り当てられたスクラッチパッドにアクセスすることは原則として許されていない。従って当該専用ブラウザのスクラッチパッド領域に別アプリケーションプログラムからアクセスすることは出来ず、復元した画面表示データを当該スクラッチパッドに保管する限りに於いては、上記コピーガード機能は満たされることとなる。
【0020】
(第2の実施形態)
次に、本発明第2の実施形態について説明する。第2の実施形態における書籍の形態は、第1の実施形態と同様であり、図1、図2に示したようなものとなっている。しかし、内容二次元コードに印刷された文章データの形式が異なっている。内容二次元コードには、文章データを圧縮した形式のデータが記録されている。すなわち当該実施形態を二次元コードとしてQRコードを用いて実現する場合に於いては、バイナリモードを用いることとなる。
【0021】
ここで、元の文章データから二次元コード記録用のコード用記録データを作成する処理について説明する。元の文章データは、通常の文章データであるので、文字コードの連続となっている。このような文章データに対して、まず、文章データ中において出現する頻度の高い文字コード列の並びパターン(以下、これを語という。ここでいう語は日本語としての意味をなす単語である必要はない。ひらがな1文字であっても出現頻度が高ければ語として扱うこともできる、また日本語として意味をなす単語と助詞の組み合わせなどでも構わない。)をその出現頻度の高い順に、所定の可変長符号により符号長の短い順に符号を割り当てる処理を行う。そして、文章データ中の出現頻度の高い語を、当該可変長符号に置き換える。さらに、置き換えた符号と対応する語との関係を示す対応表データを辞書データとする。文章本体データにおいては、頻出する語をデータ量の少ない所定のデータで置き換えているため、全体としてデータ量が削減された圧縮データとなっている。ここで、圧縮データの構成例を図4(a)に示す。圧縮データにおいては、先頭に辞書データが記録され、続いて文章本体データが配置されている。このうち、先頭ビットを0としたワイル符号系の可変長符号を採用した場合の辞書データの構成例を図4(b)に示す。辞書データには、先頭に語数(固定長2バイト)および語長記録域の長さをビット単位で表した数(この例では固定長4ビットの非負整数表示)が記載される。続いて各語の語長(先頭で記載のビット数の固定長、語長記述単位はバイト)、語(可変長)が語数分だけ繰り返して記録されている。図2(b)の例では、辞書データに語が252個登録されていることを示している。また、文章データ中で最も出現数の多い語は「日本」であり、2番目に出現数の多い語は「富士山」であることを示している。シフトJISコードでは、漢字1文字に2バイトを要するため、語長は「日本」については4バイト、「富士山」については6バイトとして記録されている。
【0022】
またシフトJISコードでの2バイトの全角文字では先頭ビットが必ず1となるようにして、半角と全角の区別を行うようになっている。当該方法では通常の未圧縮の文字コード列中に可変長符号が混入することになるので、文字境界とバイト境界にずれが生じることとなり、可変長符号と通常のJISコードの区切りを認識する必要が生じる。そのために当該方法では半角カタカナは使用せず半角文字は英数のみとし電話番号や英語表記などの半角文字列が文中に現れる場合は、それが出現頻度が少なくとも辞書に登録することにより、未圧縮文字コード列はすべて全角表現となるようにし、圧縮に用いる可変長符号は先頭ビットが0で始まる符号系をあえて若干の符号表現効率の劣化を許容してワイル符号の場合は図5、ハフマン符号の場合は図7のようにとる。このような符号表現を用いることで、たとえば図5の符号系を用いる場合には、先頭ビットが0の場合は0の連続個数をカウントすることで語境界を知り、その語境界までデータを一塊と認識することで辞書データの対応語を取得できる。そして続くビット列において先頭ビットが1の場合はそれが通常のシフトJISコードでの全角文字であるので、そこから16ビットを一全角文字として解釈ればよい。一方、図7の符号系を用いる場合は、図6の辞書データからメモリー上にハフマン木をリスト構造等で復元しておき、先頭ビットが0の場合は、ハフマン木を辿ることで語境界までのデータを一塊として認識することが出来る。そして辞書データを用いて、そのデータの対応語を取得できる。先頭ビットが1の場合には上記と同様に以下に続く16ビットを通常のシフトJISコードと解釈すればよい。
【0023】
以上のように辞書データに登録される語は、文章データ中において、よりデータ量の小さい可変長符号による表現置き換えられる。このようにして、文章データ中において、辞書データに登録される語を全て可変長符号に置き換えたものが圧縮データ中における文章本体データとなる。したがって、頻出する語がデータ量の小さい符号に置き換えられることになり、全体のデータ量が削減されることになる。
【0024】
図4(a)に示したような圧縮データから先頭の128バイトを先頭データとして分離し、残りを二次元コードに変換して記録するためのコード用記録データとする。この図の例においては辞書データが128バイト以上ある場合を想定しており、先頭データは、図4(d)に示すように、辞書データの先頭部となる。辞書データが先頭データよりも小さい場合は、先頭データには、辞書データが全て含まれ、さらに文章本体データの先頭の一部も含まれることになる。この先頭データは、サーバ30に書籍コードと対応付けて記録される。図4(c)に示したコード用記録データは、二次元コード形式に変換された後、書籍に印刷される。なお、先頭データを128バイトとしたのは、現状、携帯電話機を利用してインターネット接続する場合、データを128バイトのパケット単位で送受信するためであり、通信量を最小とすることおよび出現頻度の高い語の辞書データの欠落による十分な安全性確保ができれば、異なるサイズに設定しても良い。
【0025】
上述のように、文章データ中の語を符号に置き換えることにより、文章本体データが得られるが、この対応関係となる変換テーブルの先頭ビットを0としたワイル符号による表現例を図5に示す。図5は、図の簡略化のため、符号の下位ビットを「*」で表現したものとなっている。「*」は0、1の任意の値を示す。図5において、符号は、文章本体データ中に記録されているビット列を示しており、この例では、最小は4ビット、最大は14ビットとなっている。出現順は、辞書データ中における出現の順番を示している。1行目の「01**」は出現順0〜3番目のものに対応している。具体的には、「0100」が出現順0番目のもの、「0101」が出現順1番目のもの、「0110」が出現順2番目のもの、「0111」が出現順3番目のものとなっている。2行目以降も同様である。辞書データでは、文章データ中の出現頻度の高いものほど先に出現するので、出現頻度の高いものほど短いビット列で表現される。図5のような変換テーブルにより、252個の文字列を置き換えることが可能となる。図5に示すような変換テーブルは、専用ブラウザーの一部として組み込まれている。
【0026】
一方、図6は先頭ビットを0にしたハフマン符号を可変長符号として採用した場合のデータ構造を示している。ハフマン符号の場合には、ワイル符号とは異なり図7に見られるようにデータは木構造の葉の部分に割り付けられ、その符号割付に対する対応テーブルが必要となる。そしてその中にはワイル符号の場合と異なり、可変長符号をそのデータ長とともに各語に対して記述する必要がある。従って図6のように辞書データの先頭に語数(この例では固定長2バイトの非負整数)、語長記述域の長さ(固定長、辞書登録語の最大語長をいくつに取るかに応じてこの領域のビット数仕様を定めるが、この例では最大16文字と考えて4ビットととる。)を辞書冒頭にとり、その後に語数分の可変長符号の長さ(固定長、記述領域の長さは最大語数に応じて定まる。この例では8ビットとる。データ記述の単位はビット)、可変長符号(可変長)、語長(固定長。データ記述の単位はバイト)、および語(可変長)のデータ列の繰り返しが続くものとなる。データ記述効率はハフマン符号系の方がワイル符号系より優れているが、このように対応テーブルを記述しなくてはならないというオーバーヘッドが生じる。従って圧縮対象文章が少ない場合などオーバーヘッドが相対的に大きい場合にはワイル符号系が有利となり、それ以外の場合にはハフマン符号系が有利となる。ちなみに図7では、文章から語の出現頻度を計量したところ図7(a)のデータが得られ、通常のハフマン木構成と同様の方法でハフマン木を作成した結果が図7(b)である。ここでルートノードの両枝に”00”、”01”の2桁の二進数が割り当てられているが、ここが記述効率を落として先頭ビットを0とする操作を施している部分に相当している。このハフマン木から符号対応テーブルを起こしたものが図7(c)であり、このデータをもとに図6の辞書データを生成する。先頭データの分離とサーバーへの別置に関しては図4と同様である。
【0027】
続いて、書籍閲覧処理について説明する。第2の実施形態においても、書籍閲覧に必要なシステム構成は、第1の実施形態と同様となっている。第1の実施形態と異なるのは、サーバ30が、専用ブラウザーを記録しているだけでなく、先頭データを書籍コードに対応付けて記録している点である。まず、利用者は、書籍の入手後、第1の実施形態と同様に、携帯端末20に付属のカメラで二次元コードC1を撮影する。これにより、携帯端末20は、二次元コードC1に記録されたURLを認識し、認識したURLで特定されるサーバ30にアクセスする。さらに、上記第1の実施形態と同様にして、書籍を閲覧するための専用ブラウザーをサーバ30からダウンロードする。これにより、携帯端末20において専用ブラウザーを起動し、書籍を閲覧することが可能な状態となる。ただし、第2の実施形態における専用ブラウザーは、第1の実施形態における専用ブラウザーと機能が異なり、変換テーブルを有しており、二次元コードから読み取ったコード用記録データと受信した先頭データを利用して、文章データを復元し、画面に表示させる機能を有している。
【0028】
専用ブラウザーを起動させると、書籍コードの入力を促す画面が携帯端末20上に表示されるので、第1の実施形態と同様、シールSを剥がして書籍コードを確認し、携帯端末20に入力する。携帯端末20は、書籍コードが入力されると、専用ブラウザーは、入力された書籍コードを認識する。
【0029】
この状態で、携帯端末20に付属のカメラで二次元コードC2を撮影すると、二次元コードC2に記録されているコード用記録データが取得される。携帯端末20は、コード用記録データを認識すると、専用ブラウザーが書籍コードをサーバ30に送信する。サーバ30は、書籍コードを受信すると、受信した書籍コードに対応する先頭データを携帯端末20に送信する。携帯端末20は、サーバ30から先頭データを受信すると、受信した先頭データと、撮影により取得したコード用記録データにより圧縮データを復元する。続いて、携帯端末20は、専用ブラウザーの機能により、圧縮データの先頭に存在する辞書データ、および変換テーブルを参照して、文章本体データに記録された符号を文字コードに置き換え、文字コードの集合となる通常の文章データを復元する。さらに、携帯端末20は、復元した文章データを画面に表示させる。書籍コードが正しければ、適正な辞書データに従って復元が行われるため、正当な文章を読むことが可能になる。書籍コードが正しくなければ、辞書データが不完全なものとなるため、適正に文章データを復元することができず、利用者は内容を理解することができない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る二次元コードを印刷した書籍の紙面を示す図である。
【図2】本発明に係る二次元コードを印刷した書籍の他の紙面を示す図である。
【図3】本発明に係る二次元コードを印刷した書籍を閲覧するために必要なシステム構成を示す図である。
【図4】第2の実施形態において利用する各データの構成を先頭ビットを0としたワイル符号による可変長符号系を用いて実現する場合を示す図である。
【図5】第2の実施形態において辞書データ中の語の出現順と対応する先頭ビットを0としたワイル符号との対応関係を記録した変換テーブルを示す図である。
【図6】第2の実施形態において利用する各データの構成を先頭ビットを0としたハフマン符号による可変長符号系を用いて実現する場合を示す図である。
【図7】第2の実施形態において利用する各データの構成を先頭ビットを0としたハフマン符号による可変長符号系を用いて実現する場合の再構成したハフマン木を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
10・・・書籍
20・・・携帯端末
30・・・サーバ
40・・・デジタルカメラ
50・・・電子ディスプレイ
C1・・・アクセス用二次元コード
C2〜C6・・・内容二次元コード



【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次元コード読取手段、および当該二次元コード読取手段により読み取った二次元コードに記録された内容を画面表示する表示手段を有する端末装置で閲覧するための書籍であって、
文字コードの集合として構成される文章データを内容として記録した二次元コードを印刷した書籍。
【請求項2】
前記印刷された二次元コードに記録された文章データは、正常な文章における文字の順序に変更を加えたものであることを特徴とする請求項1に記載の書籍。
【請求項3】
印刷された二次元コードを撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により撮影された二次元コードを認識して、当該二次元コードに記録された文章データを取得する二次元コード認識手段と、
前記認識された文章データを構成する文字コードの順序を入れ換える順序入れ換え手段と、
入れ換え後の文章データを画面表示する表示手段と、
を有することを特徴とする書籍閲覧装置。
【請求項4】
二次元コード読取手段、および当該二次元コード読取手段により読み取った二次元コードに記録された内容を画面表示する表示手段を有する端末装置で内容を閲覧する書籍であって、
元の文章データを語の出現頻度に応じて辞書データとリンクされた可変長符号に置換したデータを記録した二次元コードを印刷した書籍。
【請求項5】
前記文章データを構成する文字コードは、日本語の場合に先頭ビットが1となる2バイトコードで表現されるシフトJISコード形式であり、辞書データの参照を行うか否かの識別を語区切りの先頭ビット値により行うために、圧縮表現に用いられる前記可変長符号に先頭ビットが0となる符号系を用いたことを特徴とする請求項4に記載の二次元コードを印刷した書籍。
【請求項6】
コピーなどによる無制限再配布を抑止するために、元の文章データから語の出現頻度に応じて作成した辞書データの全部もしくは出現頻度の高い語を登録した部分を先頭データとして通信パケットサイズに応じてサーバに別置し、当該サーバに別置された前記先頭データを利用して元の文章データを復元し、閲覧する装置であって、
書籍コードを入力する書籍コード入力手段と、印刷された二次元コードを撮影する撮影手段と、前記撮影手段により撮影された二次元コードを認識して、当該二次元コードに記録されたコード用記録データを取得する二次元コード認識手段と、前記入力された書籍コードをサーバに送信すると共に、前記送信した書籍コードに対応する先頭データを前記サーバからネットワークを介して取得するデータ通信手段と、前記ネットワークを介して取得した先頭データと前記コード用記録データに基づいて、頻出する文字列を出現頻度順に記録した辞書データを復元すると共に、前記コード用記録データ内の文章本体データ内の符号を、前記辞書データ、および符号と辞書データ内の出現順序を記録した変換テーブルを利用して対応する文字コードに変換して、元の文章データを復元する文章データ復元手段と、変換後の文章データを画面表示する表示手段と、を有することを特徴とする書籍閲覧装置。
【請求項7】
前記文章データを構成する文字コードは、日本語の場合に先頭ビットが1となる2バイトコードで表現されるシフトJISコード形式であり、辞書データの参照を行うか否かの識別を語区切りの先頭ビット値により行うために、圧縮表現に用いられる前記可変長符号に先頭ビットが0となる符号系を用いたことを特徴とする請求項6に記載の書籍閲覧装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−198890(P2006−198890A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−12843(P2005−12843)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】