説明

二次電池

【課題】シールにより、電解液漏れを防止し、電気を取り出す端子とイオン交換膜の端部とが互いに電気的に接触せず、端子部に電解液が接触しない二次電池を提供する。
【解決手段】電極から引き出され炭素繊維2、2’を導電性接着剤で結合した端子1、1’、イオン交換膜4の端子側の端末とが接触しないようにする。そのために端子の炭素繊維との結合点を含む端子とイオン交換膜が接触しないよう配置した状態でフィルムによりシールするか、端子とイオン交換膜の位置関係を維持するよう合成樹脂でモールドする。またはイオン交換膜の端子側の端末部分を電気絶縁性で耐酸性の合成樹脂で被覆することにより、イオン交換膜を伝って電解液が滲み出てくるのを防ぐことができ、端子とイオン交換膜が接触することも防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールにより、電解液漏れを防止し、電気を取り出す端子とイオン交換膜の端部とが互いに電気的に接触せず、端子部に電解液が接触しない二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から電解質と電解液を用いた二次電池に関する発明は数多く見られる。しかし、シールにより、電解液漏れを防止し、電気を取り出す端子とイオン交換膜の端部とが互いに電気的に接触せず、端子部に電解液が接触しない電気を取り出す端子二次電池に関する発明は少ない。
【0003】
特許文献1にはラミネートフィルムで電池全体を包んだ薄型の電池が開示されている。この発明は封口部から水の侵入を防ぐために独特の構造としているが、端子部に電解液が接触しないための手法は開示されていない。
【0004】
特許文献2には薄型二次電池とその集合電池及びそれらの製造方法に関する発明が開示されている。この発明ではアルミラミネートシートで電池全体を包むことでコンパクトにすると共に、電解液の漏れを防ぐことを目的としている。ここには端子部に電解液が接触させないための手段は開示されていない。
【0005】
特許文献3には積層型リチウムイオン二次電池に関する発明が開示されている。この発明では、高容量化、小型化を図るために多孔質プラスチックフィルム内に電解液を保持させ、この多孔質プラスチックフィルムを収納した積層構造体からなる二次電池であって、電解液漏れを防ぐことができることが開示されているが、端子が電解液と接触させないための手段は開示されていない。
【0006】
特許文献4には、双極型二次電池において、発電要素を密封するシール部から電位を出力するためのリード線を通すために穿つた孔とリード線との隙間をモールドすることが開示されているが、端子部分と電解液を接触させないためのモールド体ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−214606号公報
【特許文献2】特開2006−344457号公報
【特許文献3】特開2010−97891号公報
【特許文献4】特開2011−18481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、二次電池の電気を取り出す端子に炭素繊維と金属線を併用した発明をすでに出願しており(特願2011−130744)、本願発明はその改良発明に相当するものである。主な改良点は二次電池の電気を取り出す端子部において、端子部分の炭素繊維を含めたイオン交換膜の位置関係をある程度固定することで、端子部の形態を安定させ、シールを簡単に行うことができ、電解液漏れを確実に防ぐことにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明の要旨とするところは、
(請求項1)
イオン交換膜と、
電解液と電解質の混合物が含浸され、前記イオン交換膜の片面に配置された正極用半電池と、
前記電解液と前記電解質の混合物が含浸され、前記イオン交換膜の他面に配置された負極用半電池と、
前記正極用半電池から連続する第1の導体と電気的に結合した、電気を取り出す第1端子と、
前記負極用半電池から連続する第2の導体と電気的に結合した、電気を取り出す第2端子と、
前記イオン交換膜、および前記正極用半電池、および前記負極用半電池、および前記第1端子、および前記第2端子とを有する二次電池構成体全体をシールする、電気絶縁性および耐酸性を有するラミネートフィルムと、を備え、
前記イオン交換膜の端部、および前記第1の導体、および前記第1端子、および前記第1の導体と前記第1端子の前記結合部、および前記第2の導体、および前記第2端子、および前記第2の導体と前記第2端子の前記結合部とが、互いに電気的に接触せず、前記第1端子と前記第2端子の少なくとも先端部分を露出させてシールすることを特徴とする二次電池。
(請求項2)
イオン交換膜と、
電解液と電解質の混合物が含浸され、前記イオン交換膜の片面に配置された正極用半電池と、
前記電解液と前記電解質の混合物が含浸され、前記イオン交換膜の他面に配置された負極用半電池と、
前記正極用半電池から連続する第1の導体と電気的に結合した、電気を取り出す第1端子と、
前記負極用半電池から連続する第2の導体と電気的に結合した、電気を取り出す第2端子と、
前記第1の導体と前記第1端子の結合部、および前記第1の導体の前記結合部側の端部、および前記第1端子の前記結合部側の端部、および前記第2の導体と前記第2端子の結合部、および前記第2の導体の前記結合部側の端部、および前記第2端子の前記結合部側の端部の間を充填する、電気絶縁性および耐酸性を有するモールドと、
前記イオン交換膜、および前記正極用半電池、および前記負極用半電池、および前記第1の導体、および前記第2の導体、および前記第1端子、および前記第2端子、および前記モールドとを有する二次電池構成体全体をシールする、電気絶縁性および耐酸性を有するラミネートフィルムと、を備え、
前記イオン交換膜の端部、および前記第1の導体、および前記第1端子、および前記第1の導体と前記第1端子の前記結合部、および前記第2の導体、および前記第2端子、および前記第2の導体と前記第2端子の前記結合部とが、互いに電気的に接触せず、前記第1端子と前記第2端子の少なくとも先端部分を露出させてシールすることを特徴とする二次電池。
(請求項3)
イオン交換膜と、
電解液と電解質の混合物が含浸され、前記イオン交換膜の片面に配置された正極用半電池と、
前記電解液と前記電解質の混合物が含浸され、前記イオン交換膜の他面に配置された負極用半電池と、
前記正極用半電池から連続する第1の導体と電気的に結合した、電気を取り出す第1端子と、
前記負極用半電池から連続する第2の導体と電気的に結合した、電気を取り出す第2端子と、
前記第1の導体と前記第1端子の結合部、および前記第1の導体の前記結合部側の端部、および前記第1端子の前記結合部側の端部、および前記第2の導体と前記第2端子の結合部、および前記第2の導体の前記結合部側の端部、および前記第2端子の前記結合部側の端部を被覆する、電気絶縁性および耐酸性を有する合成樹脂部材と、
前記イオン交換膜、および前記正極用半電池、および前記負極用半電池、および前記第1の導体、および前記第2の導体、および前記第1端子、および前記第2端子、および前記合成樹脂部材とを有する二次電池構成体全体をシールする、電気絶縁性および耐酸性を有するラミネートフィルムと、を備え、
前記イオン交換膜の端部、および前記第1の導体、および前記第1端子、および前記第1の導体と前記第1端子の前記結合部、および前記第2の導体、および前記第2端子、および前記第2の導体と前記第2端子の前記結合部とが、互いに電気的に接触せず、前記第1端子と前記第2端子の少なくとも先端部分を露出させてシールすることを特徴とする二次電池。
(請求項4)
イオン交換膜と、
電解液と電解質の混合物が含浸され、前記イオン交換膜の片面に配置された正極用半電池と、
前記電解液と前記電解質の混合物が含浸され、前記イオン交換膜の他面に配置された負極用半電池と、
前記正極用半電池から連続する第1の導体と電気的に結合した、電気を取り出す第1端子と、
前記負極用半電池から連続する第2の導体と電気的に結合した、電気を取り出す第2端子と、
前記イオン交換膜の第1端子および第2端子側の端部を被覆する、電気絶縁性および耐酸性を有する合成樹脂部材と、
前記イオン交換膜、および前記正極用半電池、および前記負極用半電池、および前記第1の導体、および前記第2の導体、および前記第1端子、および前記第2端子、および前記合成樹脂部材とを有する二次電池構成体全体をシールする、電気絶縁性および耐酸性を有するラミネートフィルムと、を備え、
前記イオン交換膜の端部、および前記第1の導体、および前記第1端子、および前記第1の導体と前記第1端子の前記結合部、および前記第2の導体、および前記第2端子、および前記第2の導体と前記第2端子の前記結合部とが、互いに電気的に接触せず、前記第1端子と前記第2端子の少なくとも先端部分を露出させてシールすることを特徴とする二次電池。
(請求項5)
前記導線が炭素繊維を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の二次電池。
【発明の効果】
【0010】
本発明の二次電池に使用している端子部は、電気を取り出す端子とイオン交換膜が互いに電気的に接触しないよう配置されており、シールにより配置が固定されているとともに、電解液漏れを防止する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の端子部の構造の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の端子部の構造を他の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本発明の二次電池に使用する電気を取り出す端子について説明する。二次電池は正極用の電解質固体塩と電解液の混合物を含浸させた正極用半電池と、負極用の電解質固体塩と電解液の混合物を含浸させた負極用半電池とイオン交換膜を挟んで両側に配置された構造になっている。半電池の基体となっている電極用エレメントには織物部分と経糸のみからなる部分が連続した炭素繊維織物を使う。この炭素繊維織物の織物部分に電解質固体塩と電解液の混合物を含浸させたものを半電池とする。
【0013】
本発明では、この導体として炭素繊維、白金や金などの貴金属を用いることもできるが、半電池の経糸のみからなる部分の炭素繊維を用いることができ、電気を取り出す端子に結合させる。正極用端子を、電気を取り出す第1端子と云い、負極用端子を、電気を取り出す第2端子と云う。また、第1端子に結合している導体のことを第1の導体と云い、第2端子に結合している導体のことを第2の導体と云う。
【0014】
端子は導電性のある金属製のものを好ましく用いることができる。例を挙げれば、洋白にスズメッキしたもの、銅にスズメッキしたもの、鉄に銅メッキしさらにその上にスズメッキしたものなどである。用いる端子の形状はどのような形状のものでも良いが、短冊状のものが好ましく用いられる。端子に導体を接続させるには、導体を1本ずつ、または複数本まとめて導電性接着剤にて接着することにより目的を達することができる。好ましく用いられる導電性接着剤としては銀接着剤、銅接着剤、カーボン接着剤を例示することができるが、導電性を有する接着剤ならどのような種類の接着剤でも使用可能である。
【0015】
このようにして得られた導体を接着した端子の接着場所、導体、イオン交換膜、正極半電池および負極半電池を覆うように電気絶縁性のラミネートフィルムでシールする。この際、端子全体を覆うのではなく、電気取り出し用に使用する部分、すなわち、半電池に繋がっている側の端子先端部分とは反対側の端子の先端部分はシールせず、露出させておく。またイオン交換膜と第1端子、第2端子とは接触させない状態でシールすることが必要である。これは電解液がイオン交換膜の表面または内部を伝って滲み出してきた場合、第1端子、第2端子とイオン交換膜の間が離れていて、なお、その間はシールによって密着されているので、電解液が漏れ出すのを防ぐことができ、もし電解液が漏れ出てきたとしても、端子と電解液が接触することを防ぐことができるのである。
【0016】
ここで使用するラミネートフィルムとしては耐酸性で電気絶縁性を有しているフィルムが好ましく用いられ、熱可塑性プラスチックフィルムにアルミニウム箔をサンドイッチ状に挟んだラミネートフィルムを用いるのが好ましい。
【0017】
また、電解液が端子と接触することを防止するために採用できる他の端子部の構造としては端子の端部とイオン交換膜の間の空隙部に合成樹脂を充填し、第1端子、第2端子およびイオン交換膜を接触しないようにモールドした構造である。先に述べた構造はシールによりラミネートフィルムを密着することで液漏れを防ごうとするものであったが、この構造の端子を電池に組込んだ際、柔らかく形態安定性に欠けるきらいがあったので、端子の端部とイオン交換膜の間の空隙部を合成樹脂でモールドすることで形態安定性を向上させることができるのである。もちろん、第1端子、第2端子およびイオン交換膜はそれぞれが接触しないよう配置しなければならない。さらにシールによりラミネートフィルムを密着するので、電解液漏れを防ぐことができる。
【0018】
以下、図面を交えて本発明を説明する。図1は第1の導体2を接着した第1端子1、第2の導体2’を接着した第2端子1’、その接着点の部分およびイオン交換膜をラミネートフィルムでシールした端子部分の構造を示す概略図である。電気を取り出す端子1、1’に半電池と繋がっている導体2、2’を一本ずつまたは複数本まとめて導電性接着剤で接着する。接着点を3で示す。導体を接着した端子の接着場所、導体、イオン交換膜4、正極半電池および負極半電池を覆うように電気絶縁性の2枚のラミネートフィルム5で挟み、両側から加熱、圧着してシールする。
【0019】
この端子部の構造で特徴的なことは、イオン交換膜4の端子側の先端と端子1,1’が接触しないよう距離を空けて配置されていることである。もし端子とイオン交換膜が接触していたら、イオン交換膜の表面または内部を通って滲み出てきた電解液が端子に付着し、端子を冒したりする原因にもなるので好ましくない。本発明では端子とイオン交換膜が形作る空間は2枚のラミネートフィルムでシールされているので、例え電解液が漏れ出てきたとしても端子に到達することはなく、ましてや電池外部への液漏れは起こらないのである。
【0020】
図2は端子1,1’とイオン交換膜4を接触しないように配置し、それら部材間の空隙を電気絶縁性の合成樹脂でモールドした端子部の構造を示した概略図である。電気を取り出す端子1、1’に半電池に繋がっている導体2、2’を一本ずつまたは複数本まとめて導電性接着剤にて接着する。接着点を3で示す。端子の端部とイオン交換膜4との間の空隙に電気絶縁性の合成樹脂6を充填し、硬化させて端子とイオン交換膜が接触しないようにしている。ここで用いられる合成樹脂は、常温で粘度が低く、熱または紫外線で硬化できる樹脂が好ましい。
【0021】
具体的に好ましく用いられる合成樹脂としては紫外線硬化型エポキシ樹脂、熱硬化型エポキシ樹脂が挙げられる。常温で粘度が低いと合成樹脂を充填する際、空隙部分に樹脂が入り込み易く好ましいのである。
【0022】
合成樹脂を充填した端子部の構造を図2(a) に示す。図2(b) は図2(a) のA−A’面の断面図で、図2(c) 図2(a) のB−B’面の断面図を示している。合成樹脂を充填するにはポッティング法を用いることができる。その工程を説明する。まず最初に電気を取り出す端子1、1’に半電池に繋がっている導体2、2’を1本ずつまたは複数本まとめて導電性接着剤で接着する。この端子を正極用1と負極用1’の2本を準備し、鋳型に入れ、さらにイオン交換膜4の端子側の先端部分を端子と接触しないように差し込み、次いで鋳型にエポキシ樹脂6を入れて熱または紫外線を照射してエポキシ樹脂を硬化させる。鋳型にセットする端子はその先端部は鋳型から出ていなければならない。
【0023】
エポキシ樹脂の粘度は300〜1000cps程度のものを使用する。また、熱硬化する場合には100℃程度加熱すれば良い。
【0024】
ポッティング法の他にモールド法も採用することができる。この場合は、予め導体を低粘度の合成樹脂で加工し、導体を固定した後、金型にセットして樹脂にてモールドする。モールド樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレン、ポリスチレン、液晶ポリマーなどを使用することができる。
【0025】
また、端子とイオン交換膜を接触させない手法として、第1端子、第1の導体、および第1の導体と第1端子の結合部、さらに第2端子、第2の導体、および第1の導体と第1端子の結合部を電気絶縁性、耐酸性を有する合成樹脂、例えばポリエチレンフィルムで被覆する手法を採用することができる。後でラミネートフィルムで全体をシールするので、被覆したフィルムもシールされて形態を固定され、また端子とイオン交換膜の間は密着されるため電解液を通すこともない。
【0026】
さらに別の方法としては、イオン交換膜の端子側の端部を電気絶縁性および耐酸性を有する合成樹脂で被覆する方法を採用することができる。イオン交換膜の端部は合成樹脂で被覆されているので、端子と接触しても電気的な接触にはならないのである。また、後でラミネートフィルムで全体をシールするので、端子とイオン交換膜の間は密着されるため電解液を通すこともない。
【0027】
以上のような構成を有する端子とイオン交換膜とイオン交換膜の両面に配置した正極用半電池、負極用半電池の全体を熱可塑性プラスチックフィルムにアルミニウム箔をサンドイッチ状に挟んだラミネートフィルム5で包み、端子の先端部分を露出させた状態でシールすることにより二次電池とすることができる。
【実施例】
【0028】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0029】
(実施例1)
電気を取り出す端子としてスズメッキした洋白の短冊状切片を使用した。経糸と緯糸のみからなる炭素繊維部分(導体)と炭素繊維織物部分が繋がっている連続織物を半電池用の素材とした。織物部分に4価の硫酸バナジウム塩と硫酸の混合物を含浸させ、正極用の半電池とした。また、別に用意した同種の織物部分に3価のバナジウム硫酸塩と硫酸の混合物を含浸させ、負極用の半電池とした。イオン交換膜は旭硝子社製、セレミオンのアニオン交換膜を使用した。
【0030】
洋白の短冊状切片の片面で端末に近い部分に正極用半電池または負極用半電池に繋がっている炭素繊維(導体)を10本まとめて銀接着剤で接着し、正極用端子または負極用端子とした。この両極端子の間にイオン交換膜を端子の一部とイオン交換膜が接触しないように配置し、その両側から端子の先端部分を露出させた状態でラミネートフィルムでヒートシールしたことにより、電解液が液漏れせず、端子に触れることのない二次電池が得られた。
【0031】
(実施例2)
実施例1と同様にして正極用端子および負極用端子を得た。別に用意した鋳型に得られた端子とイオン交換膜の端子側の端末を配置し、鋳型に熱硬化型エポキシ樹脂(住友ベークライト社製、商品名スミマック)を注入し、100℃に加熱して樹脂を硬化させた。この際、イオン交換膜の端末は端子と接触しないように配置した。また端子の先端部分は鋳型の外に出るようにした。
【0032】
得られたエポキシ樹脂でモールドされた端子と正極半電池、負極半電池およびイオン交換膜全体をポリエチレンフィルムの間にアルミニウム箔をサンドイッチ状に挟んだラミネートフィルムで包み、端子の先端部分を露出させた状態でヒートシールし、二次電池を得た。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上説明したように、本発明の二次電池はその端子部分とイオン交換膜と接触しておらず、端子部分とイオン交換膜の間はフィルムでヒートシールされて密着されているため、電解液漏れを防止することができ、また、イオン交換膜の表面または内部を通って漏れてくる電解液が端子と接触することがないので、端子を構成している金属が腐食することを防ぐことができる。そのため、端子の材料として高価な貴金属線や黒鉛電極を使う必要も無くなり、製造コストを大幅に下げることができるようになった。
【符号の説明】
【0034】
1 …… 電気取り出し用正極端子(第1端子)
1’…… 電気取り出し用負極端子(第2端子)
2 …… 正極用半電池に繋がっている第1の導体
2’…… 負極用半電池に繋がっている第2の導体
3 …… 接着点
4 …… イオン交換膜
5 …… ラミネートフィルム
6 …… 合成樹脂


【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン交換膜と、
電解液と電解質の混合物が含浸され、前記イオン交換膜の片面に配置された正極用半電池と、
前記電解液と前記電解質の混合物が含浸され、前記イオン交換膜の他面に配置された負極用半電池と、
前記正極用半電池から連続する第1の導体と電気的に結合した、電気を取り出す第1端子と、
前記負極用半電池から連続する第2の導体と電気的に結合した、電気を取り出す第2端子と、
前記イオン交換膜、および前記正極用半電池、および前記負極用半電池、および前記第1端子、および前記第2端子とを有する二次電池構成体全体をシールする、電気絶縁性および耐酸性を有するラミネートフィルムと、を備え、
前記イオン交換膜の端部、および前記第1の導体、および前記第1端子、および前記第1の導体と前記第1端子の前記結合部、および前記第2の導体、および前記第2端子、および前記第2の導体と前記第2端子の前記結合部とが、互いに電気的に接触せず、前記第1端子と前記第2端子の少なくとも先端部分を露出させてシールすることを特徴とする二次電池。
【請求項2】
イオン交換膜と、
電解液と電解質の混合物が含浸され、前記イオン交換膜の片面に配置された正極用半電池と、
前記電解液と前記電解質の混合物が含浸され、前記イオン交換膜の他面に配置された負極用半電池と、
前記正極用半電池から連続する第1の導体と電気的に結合した、電気を取り出す第1端子と、
前記負極用半電池から連続する第2の導体と電気的に結合した、電気を取り出す第2端子と、
前記第1の導体と前記第1端子の結合部、および前記第1の導体の前記結合部側の端部、および前記第1端子の前記結合部側の端部、および前記第2の導体と前記第2端子の結合部、および前記第2の導体の前記結合部側の端部、および前記第2端子の前記結合部側の端部の間を充填する、電気絶縁性および耐酸性を有するモールドと、
前記イオン交換膜、および前記正極用半電池、および前記負極用半電池、および前記第1の導体、および前記第2の導体、および前記第1端子、および前記第2端子、および前記モールドとを有する二次電池構成体全体をシールする、電気絶縁性および耐酸性を有するラミネートフィルムと、を備え、
前記イオン交換膜の端部、および前記第1の導体、および前記第1端子、および前記第1の導体と前記第1端子の前記結合部、および前記第2の導体、および前記第2端子、および前記第2の導体と前記第2端子の前記結合部とが、互いに電気的に接触せず、前記第1端子と前記第2端子の少なくとも先端部分を露出させてシールすることを特徴とする二次電池。
【請求項3】
イオン交換膜と、
電解液と電解質の混合物が含浸され、前記イオン交換膜の片面に配置された正極用半電池と、
前記電解液と前記電解質の混合物が含浸され、前記イオン交換膜の他面に配置された負極用半電池と、
前記正極用半電池から連続する第1の導体と電気的に結合した、電気を取り出す第1端子と、
前記負極用半電池から連続する第2の導体と電気的に結合した、電気を取り出す第2端子と、
前記第1の導体と前記第1端子の結合部、および前記第1の導体の前記結合部側の端部、および前記第1端子の前記結合部側の端部、および前記第2の導体と前記第2端子の結合部、および前記第2の導体の前記結合部側の端部、および前記第2端子の前記結合部側の端部を被覆する、電気絶縁性および耐酸性を有する合成樹脂部材と、
前記イオン交換膜、および前記正極用半電池、および前記負極用半電池、および前記第1の導体、および前記第2の導体、および前記第1端子、および前記第2端子、および前記合成樹脂部材とを有する二次電池構成体全体をシールする、電気絶縁性および耐酸性を有するラミネートフィルムと、を備え、
前記イオン交換膜の端部、および前記第1の導体、および前記第1端子、および前記第1の導体と前記第1端子の前記結合部、および前記第2の導体、および前記第2端子、および前記第2の導体と前記第2端子の前記結合部とが、互いに電気的に接触せず、前記第1端子と前記第2端子の少なくとも先端部分を露出させてシールすることを特徴とする二次電池。
【請求項4】
イオン交換膜と、
電解液と電解質の混合物が含浸され、前記イオン交換膜の片面に配置された正極用半電池と、
前記電解液と前記電解質の混合物が含浸され、前記イオン交換膜の他面に配置された負極用半電池と、
前記正極用半電池から連続する第1の導体と電気的に結合した、電気を取り出す第1端子と、
前記負極用半電池から連続する第2の導体と電気的に結合した、電気を取り出す第2端子と、
前記イオン交換膜の第1端子および第2端子側の端部を被覆する、電気絶縁性および耐酸性を有する合成樹脂部材と、
前記イオン交換膜、および前記正極用半電池、および前記負極用半電池、および前記第1の導体、および前記第2の導体、および前記第1端子、および前記第2端子、および前記合成樹脂部材とを有する二次電池構成体全体をシールする、電気絶縁性および耐酸性を有するラミネートフィルムと、を備え、
前記イオン交換膜の端部、および前記第1の導体、および前記第1端子、および前記第1の導体と前記第1端子の前記結合部、および前記第2の導体、および前記第2端子、および前記第2の導体と前記第2端子の前記結合部とが、互いに電気的に接触せず、前記第1端子と前記第2端子の少なくとも先端部分を露出させてシールすることを特徴とする二次電池。
【請求項5】
前記導線が炭素繊維を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の二次電池。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−16279(P2013−16279A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146548(P2011−146548)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(511143081)
【出願人】(503280905)
【出願人】(508266694)
【Fターム(参考)】