説明

二環芳香族ヒドロキシカルボン酸の製造方法

【課題】二環芳香族ヒドロキシカルボン酸の位置特異的に酸化する酵素を用いることにより新規な二環芳香族ヒドロキシカルボン酸を効率的に生産する方法を開発すること、及び、該方法によって新規な二環芳香族ヒドロキシカルボン酸を開発すること。
【解決手段】本発明は、二環芳香族カルボン酸モノオキシゲナーゼと二環芳香族カルボン酸とを反応させるステップを含む、二環芳香族ヒドロキシカルボン酸の製造方法を提供する。前記二環芳香族カルボン酸は、2−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、インドール−2−カルボン酸、インドール−6−カルボン酸及びキノリン−6−カルボン酸からなるグループから選択される場合がある。前記二環芳香族カルボン酸モノオキシゲナーゼは、配列番号10又は12のアミノ酸配列からなるタンパク質の場合がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二環芳香族ヒドロキシカルボン酸の製造方法と、二環芳香族ヒドロキシカルボン酸を含む新規蛍光色素と、新規二環芳香族ヒドロキシカルボン酸とに関する。
【背景技術】
【0002】
二環芳香族ヒドロキシカルボン酸は、医薬品、染料、EL素子、ポリマー等の原料として産業的に有用である。とくにヒドロキシ−2−ナフトエ酸(Hy2NA)は有用であり、そのうち、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(3Hy2NA)と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(6Hy2NA)は2−ナフトールへのカルボキシル基の導入(コルベ・シュミット反応)により大量生産されており(上野製薬、非特許文献1)、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(1Hy2NA)も和光純薬から試薬として市販されている。しかしながら、他の位置に水酸基が導入されたHy2NAは、その合成法が確立されていないことからも用途開発は進んでいないと考えられる。
【0003】
Hy2NAを合成する手法として、2−ナフトエ酸(2NA)に水酸基を導入する手法が最も簡便で工業的にも有効な製造法であり、位置選択性の高い酵素による合成法、特に酸化酵素(モノオキシゲナーゼ)を用いることが効果的である。2NAを変換可能なモノオキシゲナーゼとしては、植物に広く存在するケイ皮酸モノオキシゲナーゼCYP73が2NAの6位を酸化して6Hy2NAを生成することが報告されている(非特許文献2)。また、ブルクホルデリア・エスピー(Burkholderia sp.)由来のモノオキゲナーゼが2NAの1位を酸化して1Hy2NAを生成することが報告されている(非特許文献3)。しかし、2NAの他の位置を特異的に酸化したHy2NAを生成する酵素は知られていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】http://www.ueno−fc.co.jp/chem01.htmL
【非特許文献2】Eur. J. Biochem., 224, 835−844 (1994)
【非特許文献3】FEMS Microbiol. Lett., 273, 22−27 (2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、二環芳香族ヒドロキシカルボン酸を位置特異的に酸化する酵素を用いることにより新規な二環芳香族ヒドロキシカルボン酸を効率的に生産する方法を開発すること、及び、該方法によって新規な二環芳香族ヒドロキシカルボン酸を開発することが本発明の解決しようとする課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、二環芳香族カルボン酸モノオキシゲナーゼと二環芳香族カルボン酸とを反応させるステップを含む、二環芳香族ヒドロキシカルボン酸の製造方法を提供する。
【0007】
本発明の二環芳香族ヒドロキシカルボン酸の製造方法において、前記二環芳香族カルボン酸は、ナフタレン、インドール及びキノリンのモノカルボン酸の場合がある。
【0008】
本発明の二環芳香族ヒドロキシカルボン酸の製造方法において、前記二環芳香族カルボン酸は、環を構成する炭素原子のうち少なくとも1個に一酸素原子が付加される場合がある。
【0009】
本発明の二環芳香族ヒドロキシカルボン酸の製造方法において、前記二環芳香族カルボン酸は、2−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、インドール−2−カルボン酸、インドール−6−カルボン酸及びキノリン−6−カルボン酸からなるグループから選択される場合がある。
【0010】
本発明の二環芳香族ヒドロキシカルボン酸の製造方法において、前記二環芳香族カルボン酸モノオキシゲナーゼは、(1)配列番号10又は12のアミノ酸配列からなるタンパク質と、(2)配列番号10又は12に記載のアミノ酸配列に1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、二環芳香族カルボン酸モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質と、(3)配列番号10又は12に記載のアミノ酸配列と78%以上、あるいは、90%以上の相同性を示すアミノ酸配列からなり、かつ、二環芳香族カルボン酸モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質と、(4)配列番号9又は11に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと80%以上、あるいは、90%以上の相同性を示すポリヌクレオチドによってエンコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、二環芳香族カルボン酸モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質と、(5)配列番号9又は11に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下で雑種形成するポリヌクレオチドによってエンコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、二環芳香族カルボン酸モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質と、(6)特異的結合タグペプチドが前記(1)ないし(5)のいずれかのタンパク質に連結した、融合タンパク質とからなるグループから選択される場合がある。
【0011】
本発明の融合タンパク質は、特異的結合タグペプチドが前記(1)ないし(5)のいずれかのタンパク質のアミノ末端又はカルボキシル末端に連結したものである。
【0012】
本発明の特異的結合タグペプチドは、前記(1)ないし(5)のいずれかのタンパク質を調製する際に、発現したタンパク質の検出、分離又は精製をより容易に行うことを可能にするために、他のタンパク質、多糖類、糖脂質、核酸及びこれらの誘導体、樹脂等と特異的に結合するポリペプチドである。特異的結合タグと結合するリガンドは、水溶液中に溶解した遊離状態の場合も固体支持体に不動化される場合もある。そこで、本発明の融合タンパク質は固体支持体に不動化されたリガンドに特異的に結合するため、発現系の他の成分を洗浄除去することができる。その後、遊離状態のリガンドを添加したり、pH、イオン強度その他の条件を変えることにより、固体支持体から前記融合タンパク質を分離して回収することができる。本発明の特異的結合タグは、Hisタグ、mycタグ、HAタグ、インテインタグ、MBP、GSTその他これらに類するポリペプチドが含まれるが、これらに限定されない。本発明の特異的結合タグは、融合タンパク質が二環芳香族カルボン酸モノオキシゲナーゼ活性を保持することを条件としていかなるアミノ酸配列を有してもかまわない。
【0013】
本発明は2−ナフトエ酸を7−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸又は8−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に変換する酵素を提供する。
【0014】
本発明は、2−ナフトエ酸を7−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸又は8−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に変換する酵素組成物を提供する。本発明の酵素組成物は、(1)配列番号10又は12のアミノ酸配列からなるタンパク質と、(2)配列番号10又は12に記載のアミノ酸配列に1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、二環芳香族カルボン酸モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質と、(3)配列番号10又は12に記載のアミノ酸配列と78%以上、あるいは、90%以上の相同性を示すアミノ酸配列からなり、かつ、二環芳香族カルボン酸モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質と、(4)配列番号9又は11に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと80%以上、あるいは、90%以上の相同性を示すポリヌクレオチドによってエンコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、二環芳香族カルボン酸モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質と、(5)配列番号9又は11に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下で雑種形成するポリヌクレオチドによってエンコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、二環芳香族カルボン酸モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質と、(6)特異的結合タグペプチドが前記(1)ないし(5)のいずれかのタンパク質に連結した、融合タンパク質とからなるグループから選択されるタンパク質を含む。
【0015】
本発明の酵素組成物は、電子伝達系タンパク質を含む場合がある。
【0016】
本発明は、8−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸及び/又はその誘導体を含む、蛍光色素を提供する。
【0017】
本発明は、本発明の蛍光色素を光透過性媒体に分散した、白色蛍光変換膜を提供する。
【0018】
本発明は、本発明の白色蛍光変換膜と、発光素子部とからなる白色発光素子を提供する。
【0019】
本発明は、3−ヒドロキシキノリン−6−カルボン酸を提供する。
【0020】
本発明は、3−ヒドロキシキノリン−6−カルボン酸のエステル結合による重合体を提供する。
【0021】
本発明は、3−ヒドロキシキノリン−6−カルボン酸のエステル結合による重合体を含む合成樹脂組成物を提供する。
【0022】
本発明の製造方法に用いる二環芳香族カルボン酸モノオキシゲナーゼと、本発明の2−ナフトエ酸を7−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸又は8−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に変換する酵素組成物に含まれるモノオキシゲナーゼとは、いずれも、いかなる生物種に由来するモノオキシゲナーゼタンパク質であってもよい。前記モノオキシゲナーゼタンパク質は、ダイズ根粒菌ブラディリゾビウム・ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum)等のブラディリゾビウム属根粒菌と、ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)等のロドシュードモナス属紅色非硫黄細菌とを含む細菌と、糸状菌又は菌類と、古細菌と、植物と、動物とを含むいずれかの生物から由来する場合がある。本発明のモノオキシゲナーゼは、ダイズ根粒菌ブラディリゾビウム・ジャポニカムUSDA110のP450モノオキシゲナーゼ(GenBank登録番号:BAC46313、以下、「CYP199A1」という。)と、ロドシュードモナス・パルストリスCGA009(ATCC登録番号:BAA−98)由来P450モノオキシゲナーゼ(GenBank登録番号:CAE27312、以下、「CYP199A2」という。)とを含むが、これらに限定されるものではない。
【0023】
CYP199A1遺伝子の1209個の塩基からなるヌクレオチド配列は配列番号9に列挙され、CYP199A1タンパク質の402個のアミノ酸からなるアミノ酸配列は配列番号10に列挙される。CYP199A2遺伝子の1218個の塩基からなるヌクレオチド配列は配列番号11に列挙され、CYP199A2タンパク質の405個のアミノ酸からなるアミノ酸配列は配列番号12に列挙される。CYP199A1タンパク質のアミノ酸配列はCYP199A2タンパク質のアミノ酸配列と78%の相同性を有する。
【0024】
本発明の2−ナフトエ酸を7−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸又は8−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に変換する酵素組成物に含まれる電子伝達系タンパク質は、NADH、NADPH等の電子供与体が酸化する際に発生する電子を前記モノオキシゲナーゼに伝達することができることを条件として、いかなる電子伝達系タンパク質を用いてもよい。好ましい電子伝達系タンパク質は、例えば、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida、ATCC登録番号:17453)由来のプチダレドキシン(GenBank登録番号:P00259、以下、「pdx」という。)と、プチダレドキシンレダクターゼ(GenBank登録番号:P16640、以下、「pdR」という。)と、ロドシュードモナス・パルストリス由来のパルストリスレドキシン(GenBank登録番号CAE27313、以下、「pux」という。)と、ホウレンソウ由来のフェレドキシン(以下、「Fdx」という。)及びフェレドキシンレダクターゼ(以下、「FdR」という。)とを含むが、これらに限定されない。Fdx及びFdRはともに、例えばSigma−Aldridge社から入手可能である(カタログ番号F3013及びF6028)。
【0025】
本発明の酵素組成物は、前記二環芳香族カルボン酸モノオキシゲナーゼをエンコードするヌクレオチド配列からなるDNAと、電子伝達系タンパク質のアミノ酸配列をエンコードするヌクレオチド配列からなるDNAとを、無生物発現系か、宿主生物及び発現ベクターを使用する発現系かで発現させることにより産生される。前記二環芳香族カルボン酸モノオキシゲナーゼ及び電子伝達系タンパク質をエンコードするDNAは同一の発現ベクターに組み込まれてもよく、別々の発現ベクターに組み込まれてもよい。前記宿主生物は、大腸菌、枯草菌等のような原核生物と、酵母、菌類、植物、動物等のような真核生物とを含む。本発明の宿主生物及び発現ベクターを使用する発現系は、細胞や組織のような生物の一部か、生物の個体全体かの場合がある。前記二環芳香族カルボン酸モノオキシゲナーゼは補酵素としてヘム鉄を必要とし、本発明の電子伝達系タンパク質のうち、PdR及びFdRは補酵素としてフラビンを必要とし、Pdx及びFdxは鉄及びイオウを必要とする。前記二環芳香族カルボン酸モノオキシゲナーゼ及び電子伝達系タンパク質は、それぞれの酵素活性を保持することを条件として、無生物発現系又は宿主生物及び発現ベクターを使用する発現系の他の成分が混在する状態で本発明の二環芳香族ヒドロキシカルボン酸の製造方法に使用されてもよく、あるいは、精製された状態で前記製造方法に使用されてもよい。
【0026】
本明細書においてアミノ酸配列の相同性は、本発明のアミノ酸配列と、比較の対象となるアミノ酸配列との間で配列が一致するアミノ酸残基の数が最も多くなるように整列させて、配列が一致するアミノ酸残基の数の合計を本発明のアミノ酸配列のアミノ酸残基の総数で割った商の百分率で表される。本発明のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列の相同性は、当業者に周知の配列整列プログラムCLUSTALWを使用することにより算出することができる。同様に、本明細書においてヌクレオチド配列の相同性は、本発明のヌクレオチド配列と、比較の対象となるヌクレオチド配列との間でヌクレオチド配列が一致する部分が最も多くなるように整列させて、ヌクレオチド配列が一致する部分のヌクレオチドの数を本発明のヌクレオチド配列のヌクレオチドの総数で割った商の百分率で表される。
【0027】
本明細書において「ストリンジェントな条件」とは、Sambrook、J.及びRussell、D.W.、Molecular Cloning A Laboratory Manual 3rd Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press(2001)に説明されるサザンブロット法で以下の実験条件で行うことを指す。比較対象のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドをアガロース電気泳動によりバンドを形成させた上で毛管現象又は電気泳動によりニトロセルロースフィルターその他の固相に不動化する。6× SSC及び0.2% SDSからなる溶液で前洗浄する。本発明のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドを放射性同位元素その他の標識物質で標識したプローブと前記固相に不動化された比較対象のポリヌクレオチドとの間のハイブリダイゼーション反応を6× SSC及び0.2% SDSからなる溶液中で65°C、終夜行う。その後前記固相を1× SSC及び0.1% SDSからなる溶液中で65°C、各30分ずつ2回洗浄し、0.2× SSC及び0.1% SDSからなる溶液中で65°C、各30分ずつ2回洗浄する。最後に前記固相に残存するプローブの量を前記標識物質の定量により決定する。本明細書において「ストリンジェントな条件」でハイブリダイゼーションをするとは、比較対象のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドを不動化した固相に残存するプローブの量が、本発明のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドを不動化した陽性対照実験の固相に残存するプローブの量の少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%以上であることを指す。
【0028】
本発明の蛍光色素は、8−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を含む場合がある。また本発明の蛍光色素は、8−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の白色の蛍光を実質的に保持することを条件として、8−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸のいずれかの炭素原子又は酸素原子と共有結合を介して、あるいは、カルボキシル基又は水酸基とイオン結合その他の非共有結合を介して修飾されたいずれかの誘導体又は重合体を含む場合がある。本発明の蛍光色素は、8−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸と、8−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸のいずれかの誘導体又は重合体とからなるグループから選択される1つ又は2つ以上の物質を含む場合がある。
【0029】
本明細書において「白色」とは、白色の他、赤、緑及び青の光の三原色が実質的に混合して白色に近い色として視認される蛍光を指す。
【0030】
本発明の白色蛍光変換膜は、本発明の蛍光色素を光透過性媒体に分散したものである。前記光透過性媒体は、光透過性を有し、かつ膜形成性を有するものであればいかなるものでもかまわない。例えば高分子化合物や無機ガラス、さらには印刷用メジウムなどが用いられる。ここで、高分子化合物としては、例えばポリビニルピロリジノン,ポリアクリロニトリル,ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド),ポリ(N,N−ジメチルメタクリルアミド),ポリビニルアルコール,ポリメチルメタクリレート,ポリスチレン,ポリカーボネート,ポリビニルアセテート,ポリ塩化ビニル,ポリブテン,ポリエチレングリコール、及びこれらの共重合体などが挙げられ、また、無機ガラスとしては、例えばホウ酸ガラスやシリカガラスなどが挙げられる。これらの光透過性媒体の中で、特に光透過性,膜形成性,その他物性などの点からポリビニルピロリジノンが好適である。また、本発明においては、上記光透過性媒体のうち1種類を用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
本発明の白色発光素子は、本発明の白色蛍光変換膜と、発光素子部とからなる。本発明の白色発光素子に用いる発光素子部は、本発明の蛍光色素の励起光スペクトルの範囲の波長の光を発光することを条件として、いかなるものでもかまわないが、本発明の蛍光色素の励起光スペクトルに属する300nmの近辺の紫外領域に発光極大波長があることが好ましい。このような発光素子部と組み合わせるとき、本発明の白色蛍光変換膜は紫外領域での励起光によって可視領域の広範な範囲の波長で蛍光を発生するので、肉眼で白色と認識される。したがって、本発明の白色発光素子は、OA機器用バックライト,時計用バックライト,各種ディスプレイ用バックライトなどの用途に好ましい。
【0032】
本発明が提供する3−ヒドロキシキノリン−6−カルボン酸は、キノリン骨格を有する新規のポリマー原料のモノマー化合物である。3−ヒドロキシキノリン−6−カルボン酸は、カルボキシル基と水酸基との間でエステル結合を行うことにより重合することができる。また、他のモノマー化合物との共重合体を得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1−1】本発明のナフトエ酸系化合物の化学構造。
【図1−2】本発明の他の二環芳香族カルボン酸化合物の化学構造。
【図2】7Hy2NAのHMBC分析結果を示す2次元スペクトル図。
【図3】8Hy2NAのHMBC分析結果を示す2次元スペクトル図。
【図4】CYP199A1酵素による2NAの水酸化反応の産物の経時変化を示すグラフ。
【図5】CYP199A2酵素による2NAの水酸化反応の産物の経時変化を示すグラフ。
【図6】8Hy2NA及び6Hy2NAの蛍光スペクトルを示す波形図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下の実施例によって本発明について詳細な説明を行なうが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
【実施例1】
【0035】
P450モノオキシゲナーゼ遺伝子の発現ライブラリの構築
特定の基質を水酸化することのできるP450モノオキシゲナーゼを単離するために、さまざまな生物種由来のP450モノオキシゲナーゼを、その水酸化反応に必要な電子伝達系タンパク質とともに同一のエシェリヒア・コリ(Escherichia coli)内で発現させるプラスミドのライブラリを構築した。
【0036】
用いたP450モノオキシゲナーゼ遺伝子には、ダイズ根粒菌ブラディリゾビウム・ジャポニカムUSDA110のP450モノオキシゲナーゼ遺伝子(CYP199A1)と、ロドシュードモナス・パルストリスCGA009(ATCC登録番号:BAA−98)由来P450モノオキシゲナーゼ遺伝子(CYP199A2)とが含まれた。実施例2に示すスクリーニングの結果、CYP199A1及びCYP199A2遺伝子の産物が、2NAを酸化してHy2NAを生成する酵素活性を示した。そこで、これらのP450モノオキシゲナーゼについて、その水酸化反応に必要な電子伝達系タンパク質とともに同一のエシェリヒア・コリ内で発現させるプラスミドの作製の手順を説明する。
【0037】
ダイズ根粒菌ブラディリゾビウム・ジャポニカム及びロドシュードモナス・パルストリスのゲノム配列情報にもとづいて、CYP199A1遺伝子及びCYP199A2遺伝子を特異的に増幅するプライマーが設計された。前記プライマーの塩基配列は配列番号1−4に列挙される。CYP199A1遺伝子及びCYP199A2遺伝子の増幅は、それぞれの微生物の染色体DNAを鋳型としたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)をExpand High Fidelity PCR System(ロシュ)を用いて行った。4種類のデオキシヌクレオチドをそれぞれ0.2mM、プライマー0.5μM、それぞれの微生物の染色体DNA2ng/μL、DNAポリメラーゼ等を含む反応液は、95°C3分を1回、95°C30秒、55°C30秒、72°C1分10秒を30回(但し、11回目からは、72°Cでの反応時間を1回ごとに5秒ずつ延長する)、72°C7分を1回の温度条件で反応され、終了後は4°Cで保存された。その後、増幅産物及びベクターpET21aは制限酵素NdeI及びHindIIIで切断され、連結された後、エシェリヒア・コリBL21Star(DE3)株に導入された。CYP199A1遺伝子及びCYP199A2遺伝子がpET21aに挿入されたプラスミドは、それぞれpETA1及びpETA2と名付けられた。
【0038】
電子伝達系タンパク質として、シュードモナス・プチダ(ATCC登録番号:17453)由来のプチダレドキシン(pdx)及びプチダレドキシンレダクターゼ(pdR)が用いられた。シュードモナス・プチダ菌のゲノム配列情報にもとづいて、pdx遺伝子及びpdR遺伝子を特異的に増幅するプライマーが設計された。前記遺伝子を特異的に増幅するプライマーの塩基配列は配列番号5−8に列挙される。pdx遺伝子及びpdR遺伝子の増幅は、シュードモナス・プチダの染色体DNAを鋳型としたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)をExpand High Fidelity PCR System(ロシュ)を用いて行った。4種類のデオキシヌクレオチドをそれぞれ0.2mM、プライマー0.5μM、シュードモナス・プチダの染色体DNA2ng/μL、DNAポリメラーゼ等を含む反応液は、94°C2分を1回、94°C15秒、55°C30秒、72°C1分を30回(但し、11回目からは、72°Cでの反応時間を1回ごとに5秒ずつ延長する)、72°C7分を1回の温度条件で反応され、終了後は4°Cで保存された。その後、pdxの増幅産物及びベクターpET21aは制限酵素NdeI及びHindIIIで切断され、連結された後、エシェリヒア・コリBL21Star(DE3)に導入された。pdRの増幅産物及びベクターpET21aは制限酵素NdeI及びSacIで切断され、連結された後、エシェリヒア・コリBL21Star(DE3)株に導入された。pdx遺伝子及びpdR遺伝子がpET21aに挿入されたプラスミドは、それぞれpETpdx及びpETpdrと名付けられた。前記pETpdxからXbaI及びHindIIIで切り出されたpdx遺伝子がpMW218ベクター(Nippon Gene社)のXbaI及びHindIII部位の間に挿入され、さらに、pdx遺伝子の挿入部位の5’側にあるEcoRI及びSacI部位の間にpETpdrからXbaI及びSacIで切断されたpdR遺伝子が挿入された。EcoRIとXbaIは平滑化後に連結された。こうして、pdR遺伝子及びpdx遺伝子が、この順で5’から3’方向に直列に並んで挿入されたプラスミドpMWpdr−pdxが得られた。pETA1又はpETA2のいずれかと、pMWpdr−pdxとがエシェリヒア・コリBL21 Star (DE3)(Invirogen社)に同時に導入され、P450モノオキシゲナーゼ及び電子伝達系が同一エシェリヒア・コリ内で共発現するプラスミドが作製された。同様にして、さまざまな生物種由来のP450モノオキシゲナーゼについて、その水酸化反応に必要な電子伝達系とともに同一のエシェリヒア・コリ内で発現させるプラスミドが作製され、これらを集めたP450モノオキシゲナーゼ遺伝子発現ライブラリが構築された。
【実施例2】
【0039】
P450モノオキシゲナーゼ遺伝子発現ライブラリからの2NAモノオキシゲナーゼのスクリーニング
2NAモノオキシゲナーゼのスクリーニングは、2NA(図1−1、式1)を前記P450モノオキシゲナーゼ遺伝子発現ライブラリの各クローンの組換えエシェリヒア・コリの菌体とインキュベーションして、呈色試薬でHy2NAを生成するクローンを検出することによって実施された。前記組換えエシェリヒア・コリの菌体を調製するために、P450モノオキシゲナーゼ遺伝子発現ライブラリの各クローンの組換えエシェリヒア・コリを100μg/mL アンピシリン及び100μg/mL カナマイシンを含むLB培地に接種し、25°Cで12時間培養した。さらに、1mM イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド、0.5mM 5−アミノレブリン酸及び0.5mM FeSOを添加して12時間培養した。前記菌体は、集菌後に10%(v/v) グリセロールを含む50mM リン酸カリウムバッファー(pH7.5)で洗菌し、湿菌体重量濃度が50g/Lになるように同バッファーに懸濁して2NAとのインキュベーションに供された。前記調製菌体1体積部に、100mM 2NA/ジメチルスルホキシド溶液及び1M NADHがそれぞれ0.01体積部ずつ添加され、250μLの反応液が調製された。前記反応液は30°Cで3時間振とうしながらインキュベーションされた。前記インキュベーション後に、呈色試薬2,6−ジクロロキノン−4−クロロイミド又はファストブルーB塩が終濃度2mMになるように添加された。前記菌体中のP450モノオキシゲナーゼが2NAをHy2NAに水酸化した場合には、前記呈色試薬がHy2NAに作用して赤色又は青色の呈色反応が起こった。
【0040】
結果
前記P450モノオキシゲナーゼ遺伝子発現ライブラリについて前記呈色反応により2NAモノオキシゲナーゼのスクリーニングを行ったところ、pETA1及びpETA2を含む組換えエシェリヒア・コリの反応液で呈色反応がみられた。pETA1で発現するCYP199A1遺伝子の1209個の塩基からなるヌクレオチド配列は配列番号9に列挙され、CYP199A1タンパク質の402個のアミノ酸からなるアミノ酸配列は配列番号10に列挙される。pETA2で発現するCYP199A2遺伝子の1218個の塩基からなるヌクレオチド配列は配列番号11に列挙され、CYP199A2タンパク質の405個のアミノ酸からなるアミノ酸配列は配列番号12に列挙される。CYP199A1タンパク質のアミノ酸配列はCYP199A2タンパク質のアミノ酸配列と78%の相同性を有する。
【実施例3】
【0041】
CYP199A1タンパク質及びCYP199A2タンパク質による2NA水酸化反応産物の構造決定
CYP199A1タンパク質及びCYP199A2タンパク質による2NA水酸化反応産物の構造決定は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析(FT−ICR/MS)及び核磁気共鳴分析(NMR)を用いて行なわれた。
【0042】
HPLC分析
実施例2に記載の反応液を用いて、CYP199A1タンパク質又はCYP199A2タンパク質を発現する組換えエシェリヒア・コリの菌体と2NAとのインキュベーションを行った。インキュベーション後の前記反応液に5N HClが終濃度1%(v/v)となるように添加され、酢酸エチルで抽出してHPLC分析用サンプルが用意された。HPLC分析は、HPLC装置(アジレント社、1100シリーズ)にカラム(ウォーターズ社、XTerra MS C18 IS、カラム長4.6×20mm、粒子径3.5μm)を装着して実施された。展開溶媒として、アセトニトリル、メタノール及び10mM リン酸カリウムバッファー(pH2.7)を2.5対2.5対95の割合で混合したA液と、アセトニトリル(CH3CN)からなるB液とが用いられた。流速1mL/分で0分から3分までB液0%で流した後、3分から12分までB液を直線勾配により70%まで上昇させてサンプルを溶出させた。
【0043】
HPLC分析の結果
CYP199A1及びCYP199A2の反応液をHPLCで分析すると、ともに、保持時間7.1分(以下、「化合物A」とする。)及び7.4分(以下、「化合物B」とする。)に顕著なピークがそれぞれ検出された(図示されない)。
【0044】
HPLCピーク分画の精製
2つのピーク分画で分離される化合物A及び化合物Bは以下のとおり精製された。反応産物を大量に調製するための反応液は、組換えエシェリヒア・コリの菌体20g/Lと、5mM 2NAと、5mM NADHと、10%(v/v)グリセロールとを含む50mM リン酸カリウムバッファー(pH7.5)100mLが用意された。水酸化反応のためのインキュベーションは30°Cで24時間振とうして行なわれた。インキュベーション後に1%(v/v)になるように5N HClが添加され、酢酸エチルで抽出された。ロータリーエバポレーターで酢酸エチルを除去した後に、残った固体を50mM ギ酸を含むジメチルスルホキシドに溶解してHPLC分離−フラクションコレクター分取用のサンプルとした。HPLC分離は、前記装置にカラム(ウォーターズ社、XTerra MS C18、カラム長4.6×250mm、粒子径3.5μm)を装着して実施された。展開溶媒として50mM ギ酸(A液)と、50mM ギ酸を含むアセトニトリル(B液)とが用いられた。流速0.6mL/分で0分から40分までB液を直線勾配により20%から80%まで上昇させてサンプルを溶出させた。化合物A及び化合物Bはフラクションコレクターによりピーク分画としてそれぞれ回収された。回収物の純度を高めるために、ロータリーエバポレーターで展開溶媒を除去した後、各反応産物を50mM ギ酸を含むジメチルスルホキシドに溶解して同一条件で再度HPLC分離−フラクションコレクター分取された。化合物A及び化合物Bは、再度ロータリーエバポレーターで展開溶媒が除去された後に以下の質量分析に供された。
【0045】
フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析(FT−ICR/MS)
精製された化合物A及び化合物Bの質量を測定するために質量分析計(サーモ社、Finnigan LTQ FT)を用いてFT−ICR/MS分析が行なわれた。前記FT−ICR/MS分析はエレクトロスプレーイオン化法によってネガティブモードで実施された。
【0046】
FT−ICR/MSの結果
化合物A及び化合物Bはともに、質量数187.0397にピークを示した。この質量数は2NAに1酸素原子が添加した化合物の水素原子脱離イオンの質量数(187.0385)に相当する。そこでこの結果から、化合物A及び化合物Bは2NAに1酸素原子が添加した化合物であることが明らかとなった(図示されない)。
【0047】
核磁気共鳴分析(NMR)
精製された化合物A及び化合物Bの構造を決定するためにNMR分析装置(ブルカー・バイオスピン社、AVANCE600)を用いてNMR分析が行なわれた。前記NMR分析は、13C NMR分析と、H NMR分析と、COSY(correlation spectroscopy)分析と、HMQC(heteronuclear multiple quantum coherence)分析と、HMBC(heteronuclear multiple bond coherence)分析とを含み、それぞれのスペクトルデータが取得された。
【0048】
化合物Aの結果
HMBC分析によって化合物Aでは、H−5からC−4、H−5からC−8a、H−5からC−7に渡るロングレンジカップリングが検出された(図2)。COSY分析によって化合物Aでは、H−3及びH−4の間と、H−5及びH−6の間とにカップリングが検出されたが、7位にはカップリングする水素基は検出されなかった(図示されない)。そこで、化合物Aは2NAの7位に水酸基が導入された7Hy2NA(図1、式2)と同定された。化合物A、すなわち、7Hy2NAのH NMR分析及び13C NMR分析の結果は以下のとおりである。
【0049】
H NMR(DMSO−d)δ)7.23(dd,1H,J=8.8,2.4Hz,H−6)、7.31(d,1H,J=2.3Hz,H−8)、7.76(dd,1H,J=8.4,1.5Hz,H−3)、7.85(d,1H,J=9.4Hz,H−5)、7.86(d,1H,J=9.3Hz,H−4)、8.38(s,1H,H−1)。
【0050】
13C NMR(13C NMR(DMSO−d)δ)110.8(C−8)、121.8(C−6)、122.9(C−3)、128.7(C−4)、129.3(C−2)、129.5(C−1)、130.1(C−5)、130.4(C−4a)、134.7(C−8a)、156.8(C−7)、168.6(C−2’)。
【0051】
化合物Bの結果
HMBC分析によって化合物Bでは、H−1からC−2’、H−1からC−3、H−1からC−4a、H−1からC−8、H−6からC−4a、H−6からC−8にわたるロングレンジカップリングが検出された(図3)。COSY分析によって化合物Bでは、H−3及びH−4の間、H−5及びH−6の間、H−6及びH−7の間とにカップリングが検出されたが、8位にはカップリングする水素基は検出されなかった(図示されない)。そこで、化合物Bは2NAの8位に水酸基が導入された8Hy2NAと同定された。化合物B、すなわち、8Hy2NAのH NMR分析及び13C NMR分析の結果は以下のとおりである。
【0052】
H NMR(H NMR(DMSO−d)δ)6.97(dd,1H,J=7.4,1.0Hz,H−7)、7.41(d,1H,J=8.2Hz,H−5)、7.46(dd,1H,J=7.4,7.4Hz,H−6)、7.90(d,1H,J=8.5Hz,H−4)、7.96(dd,1H,J=8.5,1.7Hz,H−3)及び8.86(s,1H,H−1)。
【0053】
13C NMR(13C NMR(DMSO−d)δ)109.8(C−7)、119.1(C−5)、124.5(C−8a)、125.9(C−1)、126.2(C−3)、127.6(C−2)、128.6(C−4)、130.0(C−6)、137.2(C−4a)、155.3(C−8)、168.5(C−2’)。
【実施例4】
【0054】
CYP199A1タンパク質及びCYP199A2タンパク質による2NAの7Hy2NA及び8Hy2NAへの変換
CYP199A1タンパク質又はCYP199A2タンパク質による2NAの7Hy2NA及び8Hy2NAへの変換を経時的に測定した。前記測定は、実施例2に記載の方法によってCYP199A1タンパク質又はCYP199A2タンパク質を発現する組換えエシェリヒア・コリの菌体と、2NAとを反応させ、実施例3に記載の方法によってHPLC分析することによって実施された。
【0055】
結果
CYP199A1タンパク質及びCYP199A2タンパク質による2NAの7位又は8位への水酸化反応を経時的に測定した結果を図4及び5に示す。組換えエシェリヒア・コリで発現するCYP199A1タンパク質は、反応開始時に1mMあった2NAを、30分後には0.7mM、60分後には0.4mM、120分後には0.1mMに減少させ、180分後には全て酵素反応に消費された。この間に、7Hy2NAの濃度は、30分後で0.1mM、60分後で0.15mM、120分後で0.2mM、180分後で0.25mMに増加してプラトーに達した。また8Hy2NAの濃度は、30分後で0.1mM、60分後で0.2mM、120分後で0.45mM、180分後で0.5mMに増加してプラトーに達した(図4)。反応産物の7Hy2NA及び8Hy2NAの比率は34対66で、モル収率は81%であった。この結果から、CYP199A1は、効率的に2NAを基質として水酸化反応を起こすが、8位の水酸基置換のほうが7位の水酸化置換より1.9倍選択的に起こることが明らかになった。
【0056】
組換えエシェリヒア・コリで発現するCYP199A2タンパク質によって、反応開始時に1mMあった2NAは、30分後には0.5mM、60分後には0.2mMに減少し、120分後には全て酵素反応に消費された。この間に、7Hy2NAの濃度は、30分後で0.15mM、60分後で0.25mM、120分後で0.3mMに増加してプラトーに達した。また8Hy2NAの濃度は、30分後で0.15mM、60分後で0.3mM、120分後で0.45mMに増加してプラトーに達した(図5)。反応産物の7Hy2NA及び8Hy2NAの比率は38対62であり、モル収率は75%であった。この結果から、CYP199A2タンパク質はCYP199A1タンパク質と同様に効率的に2NAを基質として水酸化反応を起こすこと、及び、CYP199A2タンパク質は、CYP199A1タンパク質と同様に、8位の水酸基置換のほうが7位の水酸化置換より1.6倍選択的に起こすことが明らかになった。
【0057】
なお、電子伝達系タンパク質としてpdxのかわりにロドシュードモナス・パルストリス由来のパルストリスレドキシン(pux)をCYP199A1タンパク質又はCYP199A2タンパク質とともに同一のエシェリヒア・コリ内で発現させるプラスミドにおいても、8位の水酸基置換のほうが7位の水酸化置換より2倍選択的な2NAのモノオキシゲナーゼ活性が検出された(図示されない)。そこで、CYP199A1タンパク質及びCYP199A2タンパク質による2NAの水酸化反応の基質位置の選択性は、電子伝達系タンパク質によって決定されるわけではないと結論された。
【実施例5】
【0058】
CYP199A1タンパク質及びCYP199A2タンパク質によるさまざまな二環芳香族ヒドロキシカルボン酸の生産
実施例2に記載の方法によって組換えエシェリヒア・コリで発現するCYP199A1タンパク質及びCYP199A2タンパク質の基質として2NAのかわりにさまざまな二環芳香族カルボン酸を用いて、CYP199A1タンパク質又はCYP199A2タンパク質の基質特異性を検討した。2NAのかわりに基質として用いた二環芳香族カルボン酸は、1Hy2NA(式4)、3Hy2NA(式6)、6Hy2NA(式8)、インドール−2−カルボン酸(式10)、インドール−6−カルボン酸(式13)及びキノリン−6−カルボン酸(式15)であった。それぞれの基質について、実施例3で説明された手順で反応産物の構造決定が行なわれた。
【0059】
1Hy2NA(式4)を基質とした反応産物の構造解析の結果
1Hy2NA(式4)を基質としたCYP199A1タンパク質及びCYP199A2タンパク質による反応産物は、いずれの酵素でも主な反応産物は1種類だけで、H NMR分析及び13C NMR分析の結果ともに同じ構造を示した。
【0060】
H NMR(H NMR(DMSO−d)δ)7.14(dd,1H,J=8.7,2.1Hz,H−6)、7.27(d,1H,J=8.6Hz,H−4)、7.46(d,1H,J=1.9Hz,H−8)、7.55(d,1H,J=8.5Hz,H−3)、7.73(d,1H,J=8.8Hz,H−5)。
【0061】
13C NMR(13C NMR(DMSO−d)δ)113.1(C−8)、116.6(C−2)、126.0(C−4)、128.6(C−6)、129.5(C−3)、134.8(C−8a)、137.3(C−5)、139.0(C−4a)、163.4(C−7)、163.8(C−1)、172.4(C−2’)。
【0062】
この結果から、CYP199A1タンパク質及びCYP199A2タンパク質のいずれについても、1Hy2NA(式4)を基質とした反応産物は、1,7−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸(1,7DiHy2NA(式5))と同定された。
【0063】
3Hy2NA(式6)を基質とした反応産物の構造解析の結果
3Hy2NA(式6)を基質としたCYP199A1タンパク質及びCYP199A2タンパク質の反応産物は、いずれの酵素でも主な反応産物は1種類だけで、H NMR分析及び13C NMR分析の結果ともに同じ構造を示した。
【0064】
H NMR(H NMR(DMSO−d)δ)7.17(dd,1H,J=8.8,2.4Hz,H−6)、7.19(d,1H,J=1.9Hz,H−8)、7.24(s,1H,H−4)、7.65(d,1H,J=8.8Hz,H−5)、8.33(s,1H,H−1)。
【0065】
13C NMR(13C NMR(DMSO−d)δ)110.3(C−8)、111.8(C−4)、116.0(C−2)、123.2(C−6)、128.3(C−5)、128.8(C−7)、131.1(C−1)、132.8(C−4a)、154.4(C−8a)、154.7(C−3)、172.6(C−2’)。
【0066】
この結果から、CYP199A1タンパク質及びCYP199A2タンパク質のいずれについても、3Hy2NA(式6)を基質とした反応産物は3,7−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸(3,7DiHy2NA(式7))と同定された。
【0067】
6Hy2NA(式8)を基質とした反応産物の構造解析の結果
6Hy2NA(式8)を基質としたCYP199A1タンパク質及びCYP199A2タンパク質の反応産物は、いずれの酵素でも主な反応産物は1種類だけで、H NMR分析及び13C NMR分析の結果ともに同じ構造を示した。
【0068】
H NMR(H NMR(DMSO−d)δ)7.19(s,1H,H−5)、7.28(s,1H,H−8)、7.65(d,1H,J=8.5Hz,H−4)、7.69(d,1H,J=8.5Hz,H−3)、8.28(s,1H,H−1)。
【0069】
13C NMR(13C NMR(DMSO−d)δ)110.2(C−5)、111.7(C−8)、123.3(C−3)、125.8(C−2)、126.5(C−4)、128.6(C−8a)、129.3(C−1)、132.1(C−4a)、148.4(C−7)、150.0(C−6)、168.8 (C−2’)。
【0070】
この結果から、CYP199A1タンパク質及びCYP199A2タンパク質のいずれについても、6Hy2NA(式8)を基質とした反応産物は6,7−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸(6,7DiHy2NA(式9))と同定された。
【0071】
インドール−2−カルボン酸(式10)を基質とした反応産物の構造解析の結果
組換えエシェリヒア・コリで発現するCYP199A1タンパク質及びCYP199A2タンパク質によるインドール−2−カルボン酸(式10)の水酸化反応では2種類の反応産物が得られた。
【0072】
反応産物1
H NMR(H NMR(DMSO−d)δ)6.79(dd,1H,J=8.8,2.3Hz,H−6)、6.89(m,1H,H−3)、6.90(d,1H,J=2.3Hz,H−4)、7.24(d,1H,J=8.8Hz,H−7)。
【0073】
13C NMR(13C NMR(DMSO−d)δ)112.5(C−4)、114.4(C−3)、121.2(C−7)、123.8(C−6)、135.7(C−3a)、136.6(C−2)、140.2(C−7a)、159.3(C−5)、171.0(C−2’)。
【0074】
反応産物2
H NMR(H NMR(DMSO−d)δ)6.60(dd,1H,J=8.6,2.1Hz,H−5)、6.78(d,1H,J=2.1Hz,H−7)、6.96(m,1H,H−3)、7.41(d,1H,J=8.6Hz,H−4)。
【0075】
13C NMR(13C NMR(DMSO−d)δ)104.4(C−7)、115.9(C−3)、119.9(C−5)、128.6(C−3a)、130.7(C−4)、134.8(C−2)、146.8(C−7a)、163.6(C−6)、170.9(C−2’)。
【0076】
この結果から、反応産物1は5−ヒドロキシインドール−2−カルボン酸(式11)と同定された。また反応産物2は6−ヒドロキシインドール−2−カルボン酸(式12)と同定された。
【0077】
インドール−6−カルボン酸(式13)を基質とした反応産物の構造解析の結果
インドール−6−カルボン酸(式13)を基質としたCYP199A1タンパク質及びCYP199A2タンパク質の反応産物は、いずれの酵素でも主な反応産物は1種類だけで、H NMR分析及び13C NMR分析の結果ともに同じ構造を示した。
【0078】
H NMR(H NMR(DMSO−d)δ)3.56(s,2H,H−3)、7.32(d,1H,J=7.7Hz,H−4)、7.34(d,1H,J=1.1Hz,H−7)、7.57(dd,1H,J=7.7,1.5Hz,H−5)。
【0079】
13C NMR(13C NMR(DMSO−d)δ)44.0(C−3)、117.3(C−7)、130.8(C−5)、132.4(C−4)、138.2(C−6)、139.3(C−3a)、152.1(C−7a)、175.3(C−6’)、184.2(C−2)。
【0080】
この結果から、CYP199A1タンパク質及びCYP199A2タンパク質のいずれについても、インドール−6−カルボン酸(式13)を基質とした反応産物は2−インドリノン−6−カルボン酸(式14)と同定された。
【0081】
キノリン−6−カルボン酸(式15)を基質とした反応産物の構造解析の結果
キノリン−6−カルボン酸(式15)を基質としたCYP199A1タンパク質及びCYP199A2タンパク質の反応産物は、いずれの酵素でも主な反応産物は1種類だけで、H NMR分析及び13C NMR分析の結果ともに同じ構造を示した。
【0082】
H NMR(H NMR(DMSO−d)δ)7.70(d,1H,J=2.7Hz,H−4)、7.97−7.98(overlapping signals,H−7,H−8)、8.49(s,1H,H−5)、8.69(d,1H,J=2.8Hz,H−2)。
【0083】
13C NMR(13C NMR(DMSO−d)δ)117.3(C−4)、126.2(C−7)、129.3(C−4aor6)、129.7(C−8)、130.1(C−4a,5or6)、130.2(C−4a,5or6)、144.8(C−8a)、146.9(C−2)、152.4(C−3)、68.2(C−6’)。
【0084】
この結果から、キノリン−6−カルボン酸(式15)を基質とした反応産物は3−ヒドロキシキノリン−6−カルボン酸(式16)と同定された。3−ヒドロキシキノリン−6−カルボン酸(式16)はエステル結合により重合できるので、キノリン骨格を有する新規ポリマーの原料として、医薬品、染料、EL素子等に利用することができる。
【0085】
以上のとおり、CYP199A1タンパク質及びCYP199A2タンパク質はいずれも、2NA(式1)及びインドール−2−カルボン酸(式10)を基質とする場合には分子内の2つの異なる位置の炭素と反応するが、1Hy2NA(式4)、3Hy2NA(式6)、6Hy2NA(式8)、インドール−6−カルボン酸(式13)及びキノリン−6−カルボン酸(式15)を基質とする場合には、分子内の1つの位置の炭素だけと反応する。
【実施例6】
【0086】
Hy2NAの蛍光能評価
今回CYP199A1タンパク質又はCYP199A2タンパク質によって酵素合成された7Hy2NA(式2)、8Hy2NA(式3)は、従来有機合成法による報告しかないが、有機合成法は多段階反応であり、反応選択性(位置選択性)が低いため、収率が低い。そこで、これらのHy2NA化合物の物性、特に蛍光特性を検討した。
【0087】
化合物の蛍光特性を評価するために、市販品の2NA(式2)、1Hy2NA(式4)、3Hy2NA(式6)及び6Hy2NA(式8)と、CYP199A1タンパク質又はCYP199A2タンパク質によって酵素合成された7Hy2NA(式2)及び8Hy2NA(式3)とを用いた。具体的には、前記化合物について1mM ジメチルスルホキシド溶液を調製し、トランスイルミネーターを用いて励起波長302nmの紫外線を照射して可視光領域での蛍光が発生するかどうかを肉眼で評価した。その結果、8Hy2NAは強い白色の蛍光を示すことがわかった。
【0088】
8Hy2NAの蛍光スペクトル分析
8Hy2NAの蛍光スペクトルは、2μM ジメチルスルホキシド溶液を調製し、蛍光分光光度計(日本分光、FP−750)を用いて励起波長300nmで測定した。6Hy2NAの2μM ジメチルスルホキシド溶液を対照として用いた。
【0089】
8Hy2NAの蛍光スペクトル分析の結果
図6に8Hy2NA及び6Hy2NAの蛍光スペクトル波形図を示す。蛍光強度は相対値(a.u.)で示す。太い線で示す8Hy2NAの蛍光スペクトルは、370nmでの蛍光強度が10、420nmでの蛍光強度が75、490nmでの蛍光強度が25となる長波長側がややなだらかな曲線を描いた。これに対し細い線で示す6Hy2NAの蛍光スペクトルは、340nmでの蛍光強度が10、370nmでの蛍光強度が230のピークに達し、420nmでの蛍光強度が75となる長波長側がややなだらかな曲線を描いて、500nmで蛍光が消失した。6Hy2NAのピークの蛍光強度は8Hy2NAのピークの蛍光強度よりも3倍高いが、450nm以上の可視領域ではほとんど蛍光がなかった。8Hy2NAは350nmから600nmまでの広範な波長領域で蛍光を発するため、肉眼で白く見えると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二環芳香族カルボン酸モノオキシゲナーゼと二環芳香族カルボン酸とを反応させるステップを含むことを特徴とする、二環芳香族ヒドロキシカルボン酸の製造方法。
【請求項2】
前記二環芳香族カルボン酸は、ナフタレン、インドール及びキノリンのモノカルボン酸であることを特徴とする、請求項1に記載の二環芳香族ヒドロキシカルボン酸の製造方法。
【請求項3】
前記二環芳香族カルボン酸は、環を構成する炭素原子のうち少なくとも1個に一酸素原子が付加されることを特徴とする、請求項2に記載の二環芳香族ヒドロキシカルボン酸の製造方法。
【請求項4】
前記二環芳香族カルボン酸は、2−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、インドール−2−カルボン酸、インドール−6−カルボン酸及びキノリン−6−カルボン酸からなるグループから選択されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の二環ヒドロキシカルボン酸の製造方法。
【請求項5】
前記二環芳香族カルボン酸モノオキシゲナーゼは、
(1)配列番号10又は12のアミノ酸配列からなるタンパク質と、
(2)配列番号10又は12に記載のアミノ酸配列に1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、二環芳香族カルボン酸モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質と、
(3)配列番号10又は12に記載のアミノ酸配列と78%以上の相同性を示すアミノ酸配列からなり、かつ、二環芳香族カルボン酸モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質と、
(4)配列番号9又は11に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと80%以上の相同性を示すポリヌクレオチドによってエンコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、二環芳香族カルボン酸モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質と、
(5)配列番号9又は11に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下で雑種形成するポリヌクレオチドによってエンコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、二環芳香族カルボン酸モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質と、
(6)特異的結合タグペプチドが前記(1)ないし(5)のいずれかのタンパク質に連結した、融合タンパク質とからなるグループから選択されることを特徴とする、請求項1ないし4に記載の二環ヒドロキシカルボン酸の製造方法。
【請求項6】
2−ナフトエ酸を7−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸又は8−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に変換することを特徴とする酵素。
【請求項7】
(1)配列番号10又は12のアミノ酸配列からなるタンパク質と、
(2)配列番号10又は12に記載のアミノ酸配列に1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、二環芳香族カルボン酸モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質と、
(3)配列番号10又は12に記載のアミノ酸配列と78%以上の相同性を示すアミノ酸配列からなり、かつ、二環芳香族カルボン酸モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質と、
(4)配列番号9又は11に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと80%以上の相同性を示すポリヌクレオチドによってエンコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、二環芳香族カルボン酸モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質と、
(5)配列番号9又は11に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下で雑種形成するポリヌクレオチドによってエンコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、二環芳香族カルボン酸モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質と、
(6)特異的結合タグペプチドが前記(1)ないし(5)のいずれかのタンパク質に連結した、融合タンパク質とからなるグループから選択されるタンパク質を含むことを特徴とする、2−ナフトエ酸を7−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸又は8−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に変換する酵素組成物。
【請求項8】
電子伝達系タンパク質を含むことを特徴とする、請求項7に記載の酵素組成物。
【請求項9】
8−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸及び/又はその誘導体を含むことを特徴とする、蛍光色素。
【請求項10】
請求項9に記載の蛍光色素を光透過性媒体に分散したことを特徴とする、白色蛍光変換膜。
【請求項11】
請求項10に記載の白色蛍光変換膜と、発光素子部とからなることを特徴とする、白色発光素子。
【請求項12】
3−ヒドロキシキノリン−6−カルボン酸。
【請求項13】
3−ヒドロキシキノリン−6−カルボン酸のエステル結合による重合体。
【請求項14】
請求項13に記載の重合体を含むことを特徴とする、合成樹脂組成物。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−158177(P2010−158177A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−933(P2009−933)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【出願人】(899000068)学校法人早稲田大学 (602)
【Fターム(参考)】