説明

二軸スクリュ式押出機の混練方法及び装置

【課題】本発明は、混練部に1条幅広スクリュ又はダムフライトスクリュを用い、副原料の分散性を向上させることを目的とする。
【解決手段】本発明による二軸スクリュ式押出機の混練方法及び装置は、シリンダ(1)内に内設された一対のスクリュ(7)の第2混練部(11)のフライトを上流から下流にかけて順方向に捻ることにより形成された1条幅広スクリュ(13A)又はダムフライトスクリュ(13B)を用いて主原料(3)と副原料(5)の混練を行うようにした方法と構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二軸スクリュ式押出機の混練方法及び装置に関し、特に、混練部に1条幅広スクリュ又はダムフライトスクリュを用い、副原料の分散性を向上させるための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種の二軸スクリュ式押出機用混練スクリュ及び装置としては、特許文献1及び特許文献2で提案されている構成を挙げることができる。
図20において符号1で示されるものは、副原料分散用二軸スクリュ式押出機2のシリンダであり、このシリンダ1の上流側には、主原料3を供給するための主原料供給部4が設けられ、この主原料供給部4の下流側には、副原料5を供給するための副原料供給部6が設けられている。
【0003】
前記シリンダ1内には、互いに噛み合い同方向回転する一対のスクリュ7が回転自在に内設されている。
前記各スクリュ7により、前記副原料分散用二軸スクリュ式押出機2は、その上流側から下流側へ向けて、第1輸送部8、第1混練部9、第2輸送部10、第2混練部11及び第3輸送部12が順に形成されている。
【0004】
次に、動作について説明する。まず、主原料供給部4より二軸スクリュ式押出機2内に供給された主原料3は、第1輸送部8により第1混練部9まで輸送され、この第1混練部9で剪断力を付加されつつ溶融して下流側へ輸送される。
前記副原料供給部6から供給された副原料5は、前記主原料3と共に第2輸送部10により第2混練部11へ輸送され、この第2混練部11で剪断を付加されることで、前記主原料3中に均一分散されつつ下流側へ輸送され、前記第3輸送部により先端のダイス(図示せず)側から外部へ吐出される。
【0005】
また、前述の特許文献1の構成においては、主原料3と副原料5とが均一に分散される第2混練部11に、図21及び図22に示される逆リードを有したフライトに切欠きを設けた形状のスクリュピース13を配備することにより、混練効率を向上させている。
【0006】
一方、前述の特許文献2の構成においては、主原料3と副原料5とが均一に分散される第2混練部11に、図23及び図24に示されるようなニーディングと称される多段ディスク構成の混練用スクリュ14が配設されており、このニーディングディスク15のディスク幅Dはシリンダ内径Dの半分に設定されている。
前述のように、ディスク幅Dの広い混練用スクリュ14を用いることにより、原料がディスク山頂部とシリンダ内面の間を通過しやすくなり、副原料の分散性の効率を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−120271号公報
【特許文献2】実用新案登録公報第2551212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の二軸スクリュ式押出機の混練方法及び装置は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、前述の従来構成による副原料分散方法では、その原料によっては過剰な剪断力が負荷され、原料の温度が上昇し、原料の分解により品質が低下することになっていた。
また、モータへの負荷も大きくなるため、イニシャルコスト及びランニングコストが増加することになっていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による二軸スクリュ式押出機の混練方法は、加熱冷却可能なシリンダ内に一対のスクリュを内設し、前記各スクリュを駆動機にて同方向回転させ、少なくとも輸送部と混練部とを有する前記シリンダ内に供給した主原料と副原料を分散させる領域において、幅広のフライト山頂部を有し、前記輸送部における輸送用スクリュのように上流から下流にかけてフライトを連続的に順方向に捻ることにより形成された1条幅広スクリュ又はダムフライトスクリュを用いて前記主原料と副原料の混練を行う方法であり、また、前記ダムフライトスクリュはフライト山頂部の一部が削られてなる構成であり、また、前記ダムフライトスクリュは、軸直角断面において、前記スクリュのスクリュ中心点をO、前記フライト山頂部の第1〜第3フライト頂点をA,B,Cとした場合、フライトPの幅は∠AOCの第1角度a=99.4°で形成され、前記フライトPの上流側は原料を輸送するための輸送フライトQ、その下流側には原料を混練する混練フライトRで形成され、前記輸送フライトQの幅は∠AOBの第2角度b≧16.8°で形成され、前記混練フライトRの幅は∠BOCの第3角度cは≦82.6°で形成され、前記輸送フライトQと混練フライトRの段差δは0D<δ≦0.09D(Dはシリンダ内径)である方法であり、また、本発明による二軸スクリュ式押出機の混練装置は、加熱冷却可能なシリンダ内に一対のスクリュを内設し、前記各スクリュを駆動機にて同方向回転させ、少なくとも輸送部と混練部とを有する前記シリンダ内に供給した主原料と副原料を分散させる領域において、幅広のフライト山頂部を有し、前記輸送部における輸送用スクリュのように上流から下流にかけてフライトを連続的に順方向に捻ることにより形成された1条幅広スクリュ又はダムフライトスクリュを用いて前記主原料と副原料の混練を行う構成であり、また、前記ダムフライトスクリュはフライト山頂部の一部が削られてなる構成であり、また、前記ダムフライトスクリュは、軸直角断面において、前記スクリュのスクリュ中心点をO、前記フライト山頂部の第1〜第3フライト頂点をA,B,Cとした場合、フライトPの幅は∠AOCの第1角度a=99.4°で形成され、前記フライトPの上流側は原料を輸送するための輸送フライトQ、その下流側には原料を混練する混練フライトRで形成され、前記輸送フライトQの幅は∠AOBの第2角度b≧16.8°で形成され、前記混練フライトRの幅は∠BOCの第3角度cは≦82.6°で形成され、前記輸送フライトQと混練フライトRの段差δは0D<δ≦0.09D(Dはシリンダ内径)である構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明による二軸スクリュ式押出機の混練方法及び装置は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、加熱冷却可能なシリンダ内に一対のスクリュを内設し、前記各スクリュを駆動機にて同方向回転させ、少なくとも輸送部と混練部とを有する前記シリンダ内に供給した主原料と副原料を分散させる領域において、幅広のフライト山頂部を有し、前記輸送部における輸送用スクリュのように上流から下流にかけてフライトを連続的に順方向に捻ることにより形成された1条幅広スクリュ又はダムフライトスクリュを用いて前記主原料と副原料の混練を行うことにより、副原料の分散領域に幅の広いフライト山頂部を有した輸送スクリュを配備しているため、副原料を円滑に分散させて混練することが可能であり、フライト山頂部を削り段差を設けていることにより、低温で副原料を混練させることができ、モータへの負荷を低減できる。
また、前記ダムフライトスクリュはフライト山頂部の一部が削られてなることにより、前述のように低温での副原料の分散が可能である。
また、前記ダムフライトスクリュは、軸直角断面において、前記スクリュのスクリュ中心点をO、前記フライト山頂部の第1〜第3フライト頂点をA,B,Cとした場合、フライトPの幅は∠AOCの第1角度a=99.4°で形成され、前記フライトPの上流側は原料を輸送するための輸送フライトQ、その下流側には原料を混練する混練フライトRで形成され、前記輸送フライトQの幅は∠AOBの第2角度b≧16.8°で形成され、前記混練フライトRの幅は∠BOCの第3角度cは≦82.6°で形成され、前記輸送フライトQと混練フライトRの段差δは0D<δ≦0.09D(Dはシリンダ内径)であることにより、混練時における溶融樹脂の温度を下げ、分散性も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による二軸スクリュ式押出機の混練方法及び装置を示す断面構成図である。
【図2】図1の第2混練部を示す拡大正面図である。
【図3】図2の断面図である。
【図4】図2の他の形態(ダムフライトスクリュ)を示す正面図である。
【図5】図4の断面図である。
【図6】本発明による二軸スクリュ式押出機の混練方法の副原料の分散実験に用いるフルフライトスクリュを示す正面図である。
【図7】図6の側面のデータを示す側面図である。
【図8】図6の実験に用いる1条幅広スクリュを示す正面図である。
【図9】図8の側面のデータを示す側面図である。
【図10】図6の実験に用いるダムフライトスクリュを示す正面図である。
【図11】図10の側面のデータを示す側面図である。
【図12】図6の実験に用いるダムフライトスクリュを示す正面図である。
【図13】図12の側面のデータを示す側面図である。
【図14】図6の実験でフルフライトスクリュを用いた分散性の実験結果である。
【図15】図14で1条幅広スクリュを用いた場合の実験結果である。
【図16】図14でダムフライトスクリュを用いた場合の実験結果である。
【図17】図14でダムフライトスクリュを用いた場合の実験結果である。
【図18】本発明による分散性の実験における樹脂温度とスクリュ回転速度の関係を示す特性図である。
【図19】本発明による分散性の実験におけるスクリュ形状における比エネルギー(Esp)とスクリュ回転速度の関係を示す特性図である。
【図20】従来の副原料分散用二軸スクリュ式押出機を示す断面図である。
【図21】従来の副原料分散用スクリュを示す正面図である。
【図22】図21のスクリュの側面図である。
【図23】図20の副原料分散用二軸スクリュ式押出機の混練用スクリュを示す正面図である。
【図24】図23の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、混練部に1条幅広スクリュ又はダムフライトスクリュを用い、副原料の分散性を向上させるようにした二軸スクリュ式押出機の混練方法及び装置を提供することを目的とする。
【実施例】
【0013】
以下、図面と共に本発明による二軸スクリュ式押出機の混練方法及び装置の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を用いて説明する。
図1において、符号1で示されるものは、副原料分散用二軸スクリュ式押出機2のシリンダであり、このシリンダ1の上流側には、主原料3を供給するための主原料供給部4が設けられ、この主原料供給部4の下流側には、副原料5を供給するための副原料供給部6が設けられている。
【0014】
前記シリンダ1内には、互いに噛み合い同方向回転する一対のスクリュ7が回転自在に内設されている。
前記各スクリュ7により、前記シリンダ1は、その上流側から下流側へ向けて、第1輸送部8、第1混練部9、第2輸送部10、第2混練部11及び第3輸送部12が順に形成されている。
【0015】
前記主原料3と副原料5を分散させる領域である前記第2混練部11のスクリュピース13を図2及び図3で示されるように、幅広のフライト山頂部13aを有すると共に前記各輸送部8,10,12の輸送用スクリュのように上流側から下流にかけてフライトを連続的に順方向に捻ることにより形成された1条幅広スクリュ13Aを用いて主原料と副原料の混練を行うように構成されている。
【0016】
また、前記1条幅広スクリュ13Aからなるスクリュピース13の前記フライト山頂部13aの一部を削り取ると、図4及び図5で示されるダムフライトスクリュ13Bが形成され、このダムフライトスクリュ13Bを前記1条幅広スクリュ13Aの代りに用いることができる。
【0017】
前記1条幅広スクリュ13Aは、図3で示されるように、前記1条幅広スクリュ13Aの軸直角断面において、スクリュ中心点をO、前記フライト山頂部13aの一対のフライト頂点をA,Cとした場合、このフライト山頂部13aの角度aは99.4°である。
【0018】
また、前記ダムフライトスクリュ13Bは、図4及び図5で示されるように、フライトPは、輸送フライトQ及び混練フライトRとから構成され、側断面から示すと、図5の通り、前記フライト山頂部13aの第1〜第3フライト頂点をA,B,Cとした場合、フライトPの幅は、∠AOCの第1角度a=99.4°で形成され、前記フライトPの上流側には原料を輸送するための前記輸送フライトQ、その下流側には原料を混練する前記混練フライトRで形成され、前記輸送フライトQの幅は∠AOBの第2角度b≧16.8°で形成され、前記混練フライトRの幅は∠BOCの第3角度c≦82.6°で形成され、前記輸送フライトQと混練フライトRをなす輸送フライトQと混練フライトRの段差δは0D<δ≦0.09D(Dはシリンダ内径)である。
【0019】
すなわち、この発明の構成においては、原料の温度を上昇させずに、かつモータへの負荷を抑え、副原料を混練させるために、主原料3と副原料5を分散させる領域に、幅の広いフライト山頂部13aを有し、かつ輸送用スクリュのように上流から下流にかけてフライトを連続的に順方向に捻った形状を有した1条幅広スクリュ13A又はダムフライトスクリュ13Bを配備したものである。このフライト山頂部3aの幅を広くすることで、フライト山頂部13aとシリンダ1内面を通過する原料の量が増加し、効果的に主原料3と副原料5の混練分散が可能となり、また、上流から下流にかけてフライトを連続的に順方向に捻ることで原料輸送能力が向上し、過剰な剪断力が付加されることなく原料温度上昇を抑制することができる。
【0020】
次に、動作について述べる。まず、二軸スクリュ式押出機2内に供給された主原料3は、第1輸送部8により第1混練部9まで輸送され、第1混練部9で剪断力を付加されながら溶融し、下流側へ輸送される。第1混練部9の下流側から押出機2内へ供給された副原料5は、溶融した主原料3と共に第2輸送部10により第2混練部11まで輸送され、第2混練部11で剪断を付加されることで主原料3中に均一分散されながら下流側へ輸送される。この第2混練部11の下流側に配備された第3輸送部12により押出機2外へと吐出される。この主原料3と副原料5を分散させる第2混練部においては、幅の広いフライト山頂部13aを有し、かつ上流から下流にかけてフライトを連続的に順方向に捻った形状を有した図2と図3に示すような、混練性能と輸送性能を兼ね備えたスクリュである1条幅広スクリュ13Aを配備する。また、図4と図5に示すような、フライト山頂部13aの一部をカットした形状からなるダムフライトスクリュ13Bである方が、より望ましい。
【0021】
前述のダムフライトスクリュ13Bは、図4と図5に示すように、ダムフライトスクリュと称され、1条の順リードのフライトで形成されており、軸直角断面において、スクリュ中心点をOとし、各フライト頂点をA,B,Cとした場合、フライトPの幅は∠AOCの第1角度a=99.4°で形成され、フライトPは、上流側は原料を輸送するための輸送フライトQ、その下流側には原料を混練する混練フライトRの2段で構成されている。ダムフライトの輸送フライトQは機械的強度を考慮し、∠AOBの第2角度bがb≧16.8°で形成され、混練フライトRは、∠BOCの第3角度cがc≦82.6°で形成される。また、図5の輸送フライトQと混練フライトRの段差δは、0D<δ≦0.09Dである。Dはシリンダ内径である。主原料3及び副原料5は輸送フライトQの下流面で原料を輸送するため、原料は混練フライトR部分に占有されやすくなり、混練フライトRの山頂部とシリンダ内面で発生する剪断力により主原料3と副原料5は効果的に混練分散することが可能となる。また、混練フライトRでは段差δを調整することで、原料に過剰な剪断力を付加することなく、樹脂温度上昇を抑制することができる。
【0022】
次に、本発明による二軸スクリュ式押出機の混練方法及び装置における実際に実験をした実施例について述べる。
実験に使用した副原料分散用二軸スクリュ式押出機2については、図1に示される構成を使用し、一対のスクリュ7が互いに噛み合って同方向回転している構成であり、図1の第2混練部11にて前記主原料3と副原料5を分散混練させ、図6、図8、図10、図12の各スクリュを用いた場合について実験を行った。
【0023】
まず、
主原料;LDPE(MI=2)
副原料;カーボンマスターバッチ
シリンダ内径;69φmm
処理能力;200〜300kg/h(カーボンは1phr供給)
スクリュ回転速度;150〜450rpm
実験で使用したスクリュのうち、第1実験例として、図6、図7に示す一般的な輸送用スクリュであるフルフライトスクリュ30を第2混練部11に6.0D組み込み、その最下流に抵抗となる混練翼を0.5Dシールリングを組込んだ構成である。
【0024】
第2実験例は、第2混練部11に混練性能と輸送性能を有した図8、図9の1条幅広スクリュを6.0D組込み、その直後に0.5Dのシールリングを組込んだ構成である。
第3、第4実験例は、図10と図11及び図12と図13に示すように、第2混練部11に混練性能と輸送性能を有したダムフライトスクリュ13Bを6.0D組込み、その直後に0.5Dのシールリングを組込んだ構成である。
【0025】
前述の図6、図7のフルフライトスクリュ30は、フライトリードEは1.5D、フライトPの幅は∠AOBの角度a=16.8°で形成される幅とした。図8、図9の1条幅広スクリュ13Aは、フライトリードEは1.5Dとし、フライトPの幅は∠AOCの角度a=99.4°で形成される幅とした。図10、図11のダムフライトスクリュ13Bは、フライトリードEは1.5Dとし、フライトPは∠AOCの角度a=99.4°で形成し、輸送フライトQは∠AOBの角度b=26.3°、混練フライトRは∠BOCの角度c=73.1°で形成される幅とし、段差δ0.04Dとし、図12、図13の構成では、0.09Dとした。
その他の領域のシリンダ1内のスクリュについては、全て同じ形状構成とし、第2混練部11の違いによる性能比較を実施した。
【0026】
前述の各実験結果は次の通りである。すなわち、図14〜図17、図18、図19に実験データを示す。
図14〜図17は各スクリュ形状における副原料であるカーボンマスターバッチの分散性を示しており、二軸スクリュ式押出機2の出口で採取したサンプルを厚さ0.3mmにカットし、顕微鏡にて100倍の倍率で撮影した結果である。濃い黒い領域がカーボンの凝集物を示している。1条幅広スクリュ13Aとダムフライトスクリュ13Bはカーボンの凝集体が少ないため、良く分散できていることが分かる。一方、フルフライトスクリュ30はカーボンの凝集体が多いことから、分散性は悪いことが分かる。
【0027】
図18に前述の各スクリュにおける押出機出口での樹脂温度を示す。1条幅広スクリュ13Aはカーボンの分散性は良かったが、樹脂温度が高いことが分かる。一方、ダムフライトスクリュ13Bは、1条幅広スクリュ13Aより樹脂温度が約1.7%(4℃)低下した。また、フルフライトスクリュ30は分散性は低いが樹脂温度は最も低い。
図19に各スクリュ形状における比エネルギー(Esp.)を示す。1条幅広スクリュ13Aは最もEsp.が高い。一方、ダムフライトスクリュ13Bは、1条幅広スクリュ13AよりEsp.が約8.5%(0.017kWh/kg)低下しており、フルフライトスクリュ30とほぼ同程度であった。
以上のように、この発明によれば、副原料分散領域に幅の広いフライト山頂部を有した輸送スクリュを配備することで、副原料を混練することが可能であり、フライト山頂部を削り段差を設けることで、低温で副原料を混練させることができ、かつモータへの負荷を低減できることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明による二軸スクリュ式押出機の混練方法及び装置は、主原料及び副原料を樹脂等に限らず、食品材料等に適用できる。
【符号の説明】
【0029】
1 シリンダ
2 副原料分散用二軸スクリュ式押出機
3 主原料
4 主原料供給部
5 副原料
6 副原料供給部
7 スクリュ
8 第1輸送部
9 第1混練部
10 第2輸送部
11 第2混練部
12 第3輸送部
13 スクリュピース
13A 1条幅広スクリュ
13B ダムフライトスクリュ
13a 幅広のフライト山頂部
P フライト幅
Q 輸送フライト
R 混練フライト
30 フルフライトスクリュ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱冷却可能なシリンダ(1)内に一対のスクリュ(7)を内設し、前記各スクリュ(7)を駆動機にて同方向回転させ、少なくとも輸送部と混練部とを有する前記シリンダ(1)内に供給した主原料(3)と副原料(5)を分散させる領域において、幅広のフライト山頂部(13a)を有し、前記輸送部における輸送用スクリュのように上流から下流にかけてフライトを連続的に順方向に捻ることにより形成された1条幅広スクリュ(13A)又はダムフライトスクリュ(13B)を用いて前記主原料(3)と副原料(5)の混練を行うことを特徴とする二軸スクリュ式押出機の混練方法。
【請求項2】
前記ダムフライトスクリュ(13B)はフライト山頂部(13a)の一部が削られてなることを特徴とする請求項1記載の二軸スクリュ式押出機の混練方法。
【請求項3】
前記ダムフライトスクリュ(13B)は、軸直角断面において、前記スクリュ(7)のスクリュ中心点をO、前記フライト山頂部(13a)の第1〜第3フライト頂点をA,B,Cとした場合、フライトPの幅は∠AOCの第1角度a=99.4°で形成され、前記フライトPの上流側は原料を輸送するための輸送フライトQ、その下流側には原料を混練する混練フライトRで形成され、前記輸送フライトQの幅は∠AOBの第2角度b≧16.8°で形成され、前記混練フライトRの幅は∠BOCの第3角度cは≦82.6°で形成され、前記輸送フライトQと混練フライトRの段差δは0D<δ≦0.09D(Dはシリンダ内径)であることを特徴とする請求項2記載の二軸スクリュ式押出機の混練方法。
【請求項4】
加熱冷却可能なシリンダ(1)内に一対のスクリュ(7)を内設し、前記各スクリュ(7)を駆動機にて同方向回転させ、少なくとも輸送部と混練部とを有する前記シリンダ(1)内に供給した主原料(3)と副原料(5)を分散させる領域において、幅広のフライト山頂部(13a)を有し、前記輸送部における輸送用スクリュのように上流から下流にかけてフライトを連続的に順方向に捻ることにより形成された1条幅広スクリュ(13A)又はダムフライトスクリュ(13B)を用いて前記主原料(3)と副原料(5)の混練を行うことを特徴とする二軸スクリュ式押出機の混練装置。
【請求項5】
前記ダムフライトスクリュ(13B)はフライト山頂部(13a)の一部が削られてなることを特徴とする請求項4記載の二軸スクリュ式押出機の混練装置。
【請求項6】
前記ダムフライトスクリュ(13B)は、軸直角断面において、前記スクリュ(7)のスクリュ中心点をO、前記フライト山頂部(13a)の第1〜第3フライト頂点をA,B,Cとした場合、フライトPの幅は∠AOCの第1角度a=99.4°で形成され、前記フライトPの上流側は原料を輸送するための輸送フライトQ、その下流側には原料を混練する混練フライトRで形成され、前記輸送フライトQの幅は∠AOBの第2角度b≧16.8°で形成され、前記混練フライトRの幅は∠BOCの第3角度cは≦82.6°で形成され、前記輸送フライトQと混練フライトRの段差δは0D<δ≦0.09D(Dはシリンダ内径)であることを特徴とする請求項5記載の二軸スクリュ式押出機の混練装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−104870(P2011−104870A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262345(P2009−262345)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000004215)株式会社日本製鋼所 (840)
【Fターム(参考)】