説明

二輪車における後輪懸架装置

【課題】 自転車における乗り心地を改善しながらスタートダッシュなどの急加速を効果的に実現し得るようにする。
【解決手段】ハウジング部21における作動油の流路に伸縮体1の収縮作動時に所定のクラッキング圧になると開放作動して伸縮体1内の作動油のアキュムレータ2内への流入を許容する圧側減衰バルブ3が配設されてなると共に、ハウジング部21に圧側減衰バルブ3を迂回してアキュムレータ2に連通するバイパス路Lが形成されてなり、このバイパス路Lにこのバイパス路Lの開閉を可能にする開閉弁4が配設されてなると共に、この開閉弁4が外部信号の入力で開閉作動するとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、二輪車における後輪懸架装置に関し、特に、二輪車のスタートダッシュ時などの急加速時におけるスクウォート現象の発現の阻止に向く二輪車における後輪懸架装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
二輪車たる、たとえば、ダウンヒル仕様の自転車にあっては、走行時の衝撃を緩和するために油圧緩衝器からなるフロントフォークで前輪懸架装置を構成すると共に、同じく油圧緩衝器などからなるいわゆるクッションユニットで後輪懸架装置を構成することが多い。
【0003】
そして、この後輪懸架装置を構成するものとして従来から種々の提案があるが、その中で、たとえば、特許文献1には、自転車の乗り心地の改良に向く気体ばねの提案が開示されている。
【0004】
すなわち、この特許文献1に開示の気体ばねは、車輪側部材とされるシリンダ体内に車体側部材とされるロッド体が出没可能に挿通されてなると共に、シリンダ体内に臨在するロッド体の端部にシリンダ体内に摺動可能に収装のピストン体が連設されるなどで保持されてなるとし、このピストン体は、シリンダ体内に大きい容量となるピストン側室と小さい容量となるロッド側室とを画成するとしている。
【0005】
そして、この気体ばねにあっては、ピストン側室とロッド側室が、たとえば、シリンダ体外に配設される切換バルブを介して連通されてなるとしており、切換バルブを遮断状態にするとき、ピストン側室のみが収縮されてばね力を発揮し、また、切換バルブを連通状態にするとき、ピストン側室とロッド側室の両方が収縮されてばね力を発揮するとしている。
【0006】
それゆえ、この特許文献1に開示の提案にあっては、たとえば、自転車のペダルを踏む動作たるペタリング動作に応じて切換バルブを連通状態あるいは遮断状態に切り換えることで、大きいばね力あるいは小さいばね力の選択を可能にして自転車における乗り心地を改善し得ると共に、特に、大きいばね力を選択する場合には、自転車のスタートダッシュ時などの急加速時におけるスクウォート現象の発現をも阻止し得ると言い得ることになる。
【特許文献1】特開2005‐48179号公報(明細書中の段落0013〜同0015,同0074,図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した特許文献1に開示の気体ばねにあっては、自転車の乗り心地を良くする点ではなんら問題はないが、自転車のスタートダッシュ時などの急加速時におけるスクウォート現象の発現の阻止に関しては些か問題があると指摘される可能性がある。
【0008】
すなわち、特許文献1に開示されているところでは、二輪車たる自転車の後輪懸架装置を構成するのが気体ばねであるから、ばね力を大きくするためにいわゆる気体室の容量を小さくするとしても、同じ流体たる液体に比較して圧縮比が2以上となる分この気体ばねにおいて気体室の収縮を阻止するいわゆるロック現象の発現が困難になる。
【0009】
それゆえ、自転車のスタートダッシュ時などの急加速時を観察すると、ライダーは、勢いをつけながら全体重をペダルに架けるようにするから、気体ばねにあって切換バルブが切り換えられて大きいばね力を発揮する状態にあるとしても、気体ばねがさらに収縮することになり、ロック現象を発現し得ないことになる。
【0010】
その結果、自転車のライダーにあっては、勢いをつけながら全体重をペダルに架けるようにするペタリング動作でスタートダッシュなどの急加速を試みても、いわゆる力抜けとも称されるロス感を体感することになると指摘される可能性がある。
【0011】
この発明は、上記した事情を鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、自転車における乗り心地を改善し得るのはもちろんのこと、自転車におけるスタートダッシュなどの急加速を効果的に実現し得るようにして、その汎用性の向上を期待できる二輪車における後輪懸架装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した目的を達成するために、この発明による二輪車における後輪懸架装置の構成を、基本的には、二輪車における車体側と車輪側との間に配設されて伸縮可能とされる伸縮体と、この伸縮体の外部に配設されて伸縮体の伸縮作動時に伸縮体との間で作動油の流出入を許容するアキュムレータと、このアキュムレータと伸縮体とを連結しながら伸縮体内とアキュムレータ内とを連通する作動油の流路を形成させるハウジング部とを有してなる二輪車における後輪懸架装置において、ハウジング部における作動油の流路に伸縮体の収縮作動時に所定のクラッキング圧になると開放作動して伸縮体内の作動油のアキュムレータ内への流入を許容する圧側減衰バルブが配設されてなると共に、ハウジング部に圧側減衰バルブを迂回してアキュムレータに連通するバイパス路が形成されてなり、このバイパス路にこのバイパス路の開閉を可能にする開閉弁が配設されてなると共に、この開閉弁が外部信号の入力で開閉作動してなるとする。
【発明の効果】
【0013】
それゆえ、この発明にあっては、所定のクラッキング圧になると開放作動して伸縮体内の作動油のアキュムレータ内への流入を許容する圧側減衰バルブを有してなるから、伸縮体の作動で伸縮体から流出される作動油が圧側減衰バルブを介してアキュムレータに流入するときに、所定の圧側減衰力が発生されることになる。
【0014】
その一方で、この発明にあって、ハウジング部には、圧側減衰バルブを迂回してアキュムレータに連通するバイパス路を有すると共に、このバイパス路にこのバイパス路の開閉を可能にする開閉弁が配設されてなり、かつ、この開閉弁が外部信号の入力でバイパス路を閉鎖し得るとするから、圧側減衰バルブがクラッキング圧を超える油圧作用で開放作動することになるまで、伸縮体の収縮作動が阻止されることになる。
【0015】
このとき、開閉弁は、圧側減衰バルブのクラッキング圧を超えない油圧下にあるバイパス路を閉塞するとするから、この開閉弁が圧側減衰バルブとアキュムレータとを連通する流路を、すなわち、バイパス路と比較すれば高圧下となる流路を直接閉鎖する場合に比較して、開閉弁の構成をより小さくできると共に、開閉弁の作動をより小さい外力作用で具現化できることになる。
【0016】
そして、開閉弁に入力される信号が、たとえば、自転車におけるペタリング動作に起因する設定とされるとき、自転車におけるスタートダッシュ時などの急加速時におけるスクウォート現象の発現を阻止し得ることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、図示した実施形態に基づいて、この発明を説明するが、図示するところは、この発明による二輪車における後輪懸架装置が二輪車たる自転車の後輪側にあって車体側と車輪側との間に配設されるクッションユニットたる油圧緩衝器を構成するとしている。
【0018】
そこで、以下には、この油圧緩衝器について説明しながら、この発明による二輪車における後輪懸架装置について説明するが、油圧緩衝器は、図1に示すように、自転車(図示せず)における車体(図示せず)側と車輪(図示せず)側との間に配設されて伸縮可能とされる伸縮体1と、この伸縮体1の外部に配設されて伸縮体1の伸縮作動時に伸縮体1との間で作動油の流出入を許容するアキュムレータ2とを有してなるとしている。
【0019】
伸縮体1は、車輪側部材とされるシリンダ体11内に車体側部材とされるロッド体(図示せず)を懸架ばね12の配設下に出没可能に挿通させてなり、懸架ばね12の附勢力でロッド体がシリンダ体11内から突出する方向に、すなわち、伸長方向に附勢されてなるとしている。
【0020】
そして、この伸縮体1は、シリンダ体11内に摺動可能に収装されながらシリンダ体11内に臨在されるロッド体の端部に保持されてシリンダ体11内にロッド側室(図示せず)とピストン側室Rを画成するピストン体(図示せず)を有してなり、ピストン体がロッド側室とピストン側室Rの連通を許容する伸側減衰バルブ(図示せず)とこの伸側減衰バルブに並列する伸側チェック弁(図示せず)を有してなるとしている。
【0021】
それゆえ、この伸縮体1にあっては、シリンダ体11内をピストン体が上昇する伸長作動時には、シリンダ体11内のロッド側室にある作動油がピストン体に配設の伸側減衰バルブを介してピストン側室Rに流出され、伸側減衰バルブによって所定の伸側減衰力が発生されることになる。
【0022】
このとき、ピストン側室Rにおいては、ロッド体の退出体積分に相当する量の作動油が不足することになるが、この不足する量の作動油については、後述するようにして、アキュムレータ2からピストン側室Rに補充される。
【0023】
一方、この伸縮体1にあって、シリンダ体11内をピストン体が下降する収縮作動時には、シリンダ体11内のピストン側室Rにある作動油がピストン体に配設の伸側チェック弁を介してロッド側室に流入され、このとき、ピストン側室Rで余剰となるロッド体の侵入体積分に相当する量の作動油は、後述するようにして、アキュムレータ2に流出されることになる。
【0024】
つぎに、アキュムレータ2は、このアキュムレータ2と伸縮体1とを連結させるハウジング部21の言わば一端側に形成されてなるとするもので、フリーピストン22で画成されるガス室Gと油室R1を有してなる。
【0025】
このとき、ハウジング部21は、上記したように、一端側にアキュムレータ2を一体に有しながら、他端側が伸縮体1の端部部材、すなわち、図示するところでは、伸縮体1の下端部材とされるボトム部材23を形成するとしている。
【0026】
ちなみに、このボトム部材23は、シリンダ体11の下端開口を液密構造下に閉塞するとしており、しかも、自転車における後輪側となる軸の貫通を許容するアイ24を有してなるとしている。
【0027】
このように、ハウジング部21がアキュムレータ2とアイ24を一体に有してなるとすることで、この油圧緩衝器の自転車への架装にあって、アキュムレータ2の配設位置を一定化し得ることになる。
【0028】
一方、ハウジング部21は、伸縮体1内たるシリンダ体11内のピストン側室Rとアキュムレータ2内たる油室R1とを連通する作動油の流路(符示せず)を形成してなるとしている。
【0029】
それゆえ、アキュムレータ2にあっては、伸縮体1が伸長作動するときにピストン側室Rで不足することになる量の作動油の流路を介しての補充と、伸縮体1が収縮作動するときにピストン側室Rで余剰となる量の作動油の流路を介しての吸収を可能にすることになる。
【0030】
ところで、この発明にあって、上記のハウジング部21における作動油の流路には、伸縮体1の収縮作動時に所定のクラッキング圧になると開放作動して伸縮体1内の作動油のアキュムレータ2内への流入を許容する圧側減衰バルブ3が配設されてなると共に、ハウジング部21における流路に圧側減衰バルブ3を迂回してアキュムレータ2に連通するバイパス路Lが形成されてなり、このバイパス路Lにこのバイパス路Lの開閉を可能にする開閉弁4が配設されてなると共に、この開閉弁4が外部信号の入力で作動するとしている。
【0031】
そこで、まず、圧側減衰バルブ3について説明すると、この圧側減衰バルブ3は、図示する実施形態では、図2に示すように、上記の流路を伸縮体1側とアキュムレータ2側とに画成する画成部材たるバルブシート部材31に開穿の流路たる圧側ポート31aの下流側端を開閉可能に閉塞するとしている。
【0032】
そして、上記のバルブシート部材31は、上記の圧側ポートに並行する流路たる伸側ポート31bを併せて開穿させていて、この伸側ポート31bの下流側端を開閉可能に閉塞して上記の圧側減衰バルブ3に並列することになる圧側チェック弁32を有してなるとしている。
【0033】
ちなみに、図示する実施形態にあって、圧側ポート31aの上流側端および伸側ポート31bの上流側端は、それぞれ常時開放状態に維持されている。
【0034】
それゆえ、上記の圧側減衰バルブ3および圧側チェック弁32を有するいわゆる減衰部にあっては、伸縮体1内から流出される作動油における油圧が圧側減衰バルブ3におけるクラッキング圧を超える油圧にあるとき、圧側減衰バルブ3が開放作動して所定の圧側減衰力を発生することになる。
【0035】
そして、上記の減衰部にあっては、伸縮体1内がアキュムレータ2側に比較して負圧傾向になるとき、圧側チェック弁32が開放作動してアキュムレータ2からの作動油の伸縮体1内への流入を許容して、伸縮体1における負圧化現象の発現を阻止することになる。
【0036】
ところで、上記の圧側減衰バルブ3におけるクラッキング圧についてであるが、図示するところでは、圧側減衰バルブ3を迂回するバイパス路Lにおける伸縮体1内側となる開閉弁4の上流側に配設の絞り構造(符示せず)で設定されてなるとしている。
【0037】
すなわち、図示する実施形態にあって、上記したバルブシート部材31は、言わば流路の軸芯部に配設されるセンターロッド33の外周に介装されてこの流路を伸縮体1側とアキュムレータ2側とに画成しているが、このバルブシート部材31を外装させるセンターロッド33は、軸芯部に伸縮体1側に開口する透孔33aを有していて、この透孔33aのアキュムレータ2側となる開口端を絞り構造で絞り流路にするとしている。
【0038】
このとき、絞り構造は、図示する実施形態では、尖端が透孔33aにおけるアキュムレータ2側の開口の内側に臨在されるニードル体5を有してなり、このニードル体5がその背後側に連繋されるアジャスタ51の回動操作によって図中で左右方向に移動するように進退するとしている。
【0039】
ちなみに、アジャスタ51は、ディテント機構52を有していて、アジャスタ51の回動操作にいわゆるメリハリをつけることで、ニードル体5の進退量を認識できるように配慮されている。
【0040】
それゆえ、上記の絞り構造によれば、伸縮体1側から透孔33a内に流入する作動油における油圧がいわゆる低い場合には、ニードル体5の尖端周りに出現する絞り流路を介して作動油がバイパス路Lに流出することになり、この絞り流路を通過できないほどに伸縮体1側からの油圧が高くなる場合には、圧側減衰バルブ3が開放作動して作動油が流路に流出することになる。
【0041】
そして、上記の絞り構造によれば、ニードル体5の尖端周りに出現する絞り流路における流路面積をニードル体5の透孔33aの開口に対する進退で変更できるから、圧側減衰バルブ3のクラッキング圧以下となる作動領域の乗り心地をいわゆるハード仕様にするかソフト仕様にするかの選択を可能にし得ることになる。
【0042】
一方、開閉弁4は、上記の絞り構造によって現出される絞り流路に通じるバイパス路Lの開閉を可能にするもので、図示する実施形態では、ハウジング部21に出没可能な状態に保持されると共に、ソレノイド41(図1参照)への外部信号の入力たる通電によって前進し、ソレノイド41への外部信号の入力たる通電の解除で後退するニードル体42を有してなり、このニードル体42が前進時にバイパス路Lを閉鎖するとしている。
【0043】
このとき、ソレノイド41に入力される外部信号についてであるが、およそ周知のものが適用されて良く、たとえば、自転車のライダーによる手動操作に起因する設定としても良いが、自転車のライダーによるペタリング動作に起因する設定とするとき、自転車におけるスタートダッシュ時などの急加速時におけるスクウォート現象の発現を阻止し効果的に実現し得ることになる。
【0044】
それゆえ、以上のように形成された開閉弁4にあっては、これがバイパス路Lを閉鎖することで、伸縮体1からの作動油の油圧が圧側減衰バルブ3のクラッキング圧を超えることになる迄の間、伸縮体1からの作動油は、アキュムレータ2内に流入し得ないことになり、したがって、伸縮体1を収縮作動し得ない状態にして、いわゆるロック状態を現出し得ることになる。
【0045】
このとき、この発明にあって、開閉弁4は、圧側減衰バルブ3のクラッキング圧を超えない油圧下にあるバイパス路Lを閉塞するとするから、この開閉弁4が圧側減衰バルブ3とアキュムレータ2とを連通する流路を、すなわち、バイパス路Lと比較すれば高圧下となる流路を直接閉鎖する場合に比較して、開閉弁4の構成をより小さくできると共に、開閉弁4の作動をより小さい外力作用で具現化できることになる利点がある。
【0046】
一方、伸縮体1が上記のいわゆるロック状態にあるときに、たとえば、自転車が路面突起を乗り越えるなどでして突き上げ作用を受ける場合には、伸縮体1における油圧が圧側減衰バルブ3のクラッキング圧を超えることになり、したがって、圧側減衰バルブ3が開放作動して、すなわち、リリーフ作動して伸縮体1からの作動油をアキュムレータ2に流出させる、すなわち、伸縮体1が突き上げによる衝撃を緩和することになる。
【0047】
ところで、路面突起を乗り越えることによる衝撃緩和に関してだが、前記した特許文献1に開示の気体ばねにあっては、収縮作動で突起の乗り越えによる突き上げを吸収し得ることになるが、突き上げ力がなくなった時点で収縮されていた気体が膨張するから、いわゆる反動として跳ね上げ動作が発現されることになり、却って乗り心地を悪くすることが危惧されることになる。
【0048】
その点、この発明では、いわゆる減衰作用で突起乗り越え時の突き上げに対処するから、反動としての突き上げ感をライダーに体感させることがなく、乗り心地を良好にすることが可能になる。
【0049】
そして、この突き上げ感を体感させないようにするために、上記したところに加えて、バイパス路Lにおけるいわゆる高圧化で開閉弁4におけるニードル体42がソレノイド41の励磁力に抗して後退し得るように設定して、バイパス路における高圧を、すなわち、伸縮体1側における高圧をいわゆるリリーフ作動する開閉弁4を介してアキュムレータ2に開放し得るように設定するとしても良く、この場合には、前記した圧側減衰バルブ3におけるリリーフ作動に加えていわゆるダブルのリリーフ機能を有すると言い得ることになる。
【0050】
前記したところは、伸縮体1を構成するシリンダ体11が車輪側部材とされて油圧緩衝器がいわゆる正立型とされてなるとしているが、この発明が意図するところからすれば、また、アキュムレータ2がフリーピストン22を有して気液を分離する構造に形成されてなることからすれば、シリンダ体11が車体側部材とされて油圧緩衝器が倒立型とされてなるとしても良いことはもちろんである。
【0051】
そして、前記したところでは、この発明が二輪車たる自転車に具現化される場合を例にして説明したが、この発明が意図するところからすれば、この発明が二輪車たる自動二輪車に具現化されるとしても良いことはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】この発明による二輪車における後輪懸架装置を構成する油圧緩衝器の下端側部を一部破断して示す部分縦断面図である。
【図2】油圧緩衝器を構成する伸縮体の下端部とアキュムレータとの連結部分たるハウジング部の一実施形態を示す部分拡大縦断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 伸縮体
2 アキュムレータ
3 圧側減衰バルブ
4 開閉弁
5 絞り構造を構成するニードル体
11 シリンダ体
21 ハウジング部
23 ボトム部材
32 圧側チェック弁
42 開閉弁を構成するニードル体
L バイパス路
R ピストン側室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二輪車における車体側と車輪側との間に配設されて伸縮可能とされる伸縮体と、この伸縮体の外部に配設されて伸縮体の伸縮作動時に伸縮体との間で作動油の流出入を許容するアキュムレータと、このアキュムレータと伸縮体とを連結しながら伸縮体内とアキュムレータ内とを連通する作動油の流路を形成させるハウジング部とを有してなる二輪車における後輪懸架装置において、ハウジング部における作動油の流路に伸縮体の収縮作動時に所定のクラッキング圧になると開放作動して伸縮体内の作動油のアキュムレータ内への流入を許容する圧側減衰バルブが配設されてなると共に、ハウジング部に圧側減衰バルブを迂回してアキュムレータに連通するバイパス路が形成されてなり、このバイパス路にこのバイパス路の開閉を可能にする開閉弁が配設されてなると共に、この開閉弁が外部信号の入力で開閉作動してなることを特徴とする二輪車における後輪懸架装置。
【請求項2】
開閉弁が尖端部をバイパス路中に臨在させて外部信号の入力による作動時にバイパス路を閉鎖するニードル体を有すると共に、このニードル体が外部信号の入力時および外部信号の解除時にハウジング部に対し出没されてなる請求項1に記載の二輪車における後輪懸架装置。
【請求項3】
バイパス路における伸縮体内側となる開閉弁の上流側に流路面積を可変にする絞り流路が配設されてなる請求項1に記載の二輪車における後輪懸架装置。
【請求項4】
圧側減衰バルブに圧側チェック弁が並列されてなる請求項1に記載の二輪車における後輪懸架装置。
【請求項5】
ハウジング部がアキュムレータを一体に有しながら伸縮体の端部部材を形成してなる請求項1に記載の二輪車における後輪懸架装置。
【請求項6】
伸縮体が車輪側部材とされるシリンダ体内に車体側部材とされるロッド体を出没可能に挿通させてなる一方で、シリンダ体内に摺動可能に収装されながらシリンダ体内に臨在されるロッド体の端部に保持されてシリンダ体内にロッド側室とピストン側室を画成するピストン体を有してなり、ピストン体がロッド側室とピストン側室の連通を許容する伸側減衰バルブとこの伸側減衰バルブに並列する伸側チェック弁を有してなる請求項1に記載の二輪車における後輪懸架装置。
【請求項7】
伸縮体がこの伸縮体を伸長方向に附勢する懸架バネを外装させてなる請求項1に記載の二輪車における後輪懸架装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−292218(P2007−292218A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−121548(P2006−121548)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】