説明

二重エアゾール製品の残ガス排出機構、その残ガス排出機構を備えた二重エアゾール製品、および、その二重エアゾール製品の充填方法

【課題】本発明は、エアゾールバルブを介して外部から操作することによって、収められた貫通手段を押し出すことができる残ガス排出機構を備えた二重エアゾール製品を提供する。
【解決手段】容器本体11と、その容器本体内部に挿入される内袋12と、容器本体の開口部に内袋を挟んで取り付けられるバルブ13と、そのバルブの下端に取り付けられた内袋の容積が所定の大きさになったときに内袋を突き破る残ガス排出機構14と、内袋の内部空間(原液室)に充填される原液Aと、容器本体と内袋の隙間空間(ガス室)に充填される加圧剤Bとからなる二重エアゾール製品10。残ガス排出機構14は、貫通手段を有する貫通部材とその貫通手段を収納することができる保護部材とからなり、バルブ13から操作することにより、貫通手段を保護部材から押し出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重エアゾール製品における隔壁を破り、隔壁によって密封されている加圧剤を外部に排出するための残ガス排出機構に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平9−267876号公報
【特許文献2】特開平11−171268号公報
【0003】
二重エアゾール製品は、容器本体と、その開口部に取り付けられるエアゾールバルブ(以下、バルブという)と、容器本体内に充填される原液および加圧剤とを備え、さらに容器本体は、原液が充填される原液室と、その原液室を加圧する加圧剤を充填するガス室と、原液室とガス室とを区画し原液が少なくなるに従って原液室の容積を減少させる隔壁を備えている。
このように構成されているため、二重エアゾール製品の原液室と連通しているバルブを開放することにより、原液室がバルブを介して大気と連通し、原液室が隔壁を介して加圧剤の圧力により縮小させられ、原液が押し出される。
【0004】
このような二重エアゾール製品は、原液が隔壁により密封されているため、二重エアゾール製品をどのような向き(例えば、二重エアゾール製品を逆さにする等)にして使用しても原液を吐出することができる。また、ゲルやペースト等の粘度の高い原液、さらにイソペンタン等の発泡剤を含む微発泡性の原液であっても確実に吐出することができる。そのため、二重エアゾール製品はパック剤やシェービングフォーム等の多くの化粧品に使用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、二重エアゾール製品の加圧剤を充填するガス室は、隔壁によって大気と遮断されているため、使用者は噴射部材を押し下げてバルブを開放し続けても加圧剤を排出することができない。つまり、二重エアゾール製品の原液を全量吐出しても、加圧剤は容器内に残ることになり、加圧剤を容器内に残した状態で廃棄することは必ずしも安全とは言うことができない。
【0006】
このような問題を鑑みて本出願人は、特許文献1に示すように、内袋を備えた二重エアゾール製品において、内袋内の原液が吐出されて内袋を収縮させたときに、内袋を内部から破るガス抜き治具を提案している。このガス抜き治具は、バルブの下部外周部位に取り付けられるものであり、内袋の内壁に向けて傾斜する尖鋭突起を備えている。このように構成されているため、このガス抜き治具を備えた二重エアゾール製品は、噴射部材等を操作してバルブを開放させて原液をほぼ全量吐出させるだけで、内袋を破ることができ、内袋と容器本体の隙間(ガス室)に入っている加圧剤を外部に排出させることができる。
【0007】
さらに、本出願人は、特許文献2に示すように、二重エアゾール製品の内袋を破るガス抜き用具であって鋭利な先端を備えた本体と、その本体の先端を囲むように配置される保護体とからなるガス抜き用具を開示している。このガス抜き用具は、保護体が内袋の収縮により変形する程度の可撓性を有している。
このガス抜き用具は、前述のように吐出操作をするだけで内袋を破ることができるほか、組立作業のときに鋭利な先端が露出していないため、作業者および鋭利な先端を保護することができる。
しかし特許文献1、2の尖鋭突起はマウンティングカップの立上壁の外径と同程度に張り出している。そして、内袋を備えた二重エアゾール容器は、内袋の開口部とマウンティングカップの立上壁とがほぼ同じ寸法であるため、少しでも位置がずれると尖鋭突起が内袋の開口部に引っかかり、内袋を傷つける。そのため、バルブを内袋の開口部に載置する際には、ほぼ真上からまっすぐに下降させなくてはならず、手間がかかる。
【0008】
本発明は、作業者や隔壁(内袋)を傷つけることなく手間がかからずに製造できると共に、特許文献1および特許文献2とは異なる視点から創作されたものであり、エアゾールバルブを容器本体にクリンプした後にエアゾールバルブを介して外部から操作することによって、収められた貫通部材を露出させることができる残ガス排出機構、その残ガス排出機構を備えた二重エアゾール製品、および、その二重エアゾール製品の充填方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の二重エアゾール製品用の残ガス排出機構は、容器本体と、その開口部に取り付けられるエアゾールバルブと、容器本体内に充填される原液および加圧剤と、前記容器本体内を原液が充填される原液室とその原液室を加圧する加圧剤が充填されるガス室とに区画し原液が少なくなるに従って原液室の容積を減少させる隔壁とを備えた二重エアゾール製品に設けられる、前記原液室の容積が所定の大きさになったときに隔壁を貫通して原液室とガス室とを連通させる残ガス排出機構であって、隔壁を破る穿孔部を有する貫通部材と、その穿孔部を覆うことができる保護部材とを備えており、前記穿孔部が保護部材に収められた第1状態と、前記穿孔部が保護部材から露出された第2状態とを有し、前記第1状態で容器本体内に挿入され、エアゾールバルブを容器本体に取り付けた後、エアゾールバルブを介して操作することによって第2状態にすることができることを特徴としている。
【0010】
このような残ガス排出機構であって、貫通部材が受圧部を有し、移動自在および/または変形自在に保護部材に収容されており、前記第1状態からエアゾールバルブを介して前記受圧部に圧力を加えることによって第2状態にすることができるものが好ましい。そして、前記貫通部材が、上部に設けられた受圧部と、下部に設けられた穿孔部とを備えているものが好ましい。さらに、穿孔部が複数の尖鋭突起からなり、その尖鋭突起が環状に拡がるようにして押し出されるようにしてもよく、穿孔部が下方にのびる尖鋭突起であるようにしてもよい。
また、貫通部材が移動自在および/または変形自在に保護部材に収容されるものであって、保護部材が、穿孔部を収容する収容部を有し、収容部の底部に穿孔部がスライドする底板を備えているものが好ましい。また、前記保護部材が、エアゾールバルブのハウジングであってもよい。
さらに、保護部材が受圧部を有し、貫通部材またはバルブのハウジングに脱離可能な状態で装着されており、前記第1状態からエアゾールバルブを介して前記受圧部に圧力を加えることによって第2状態にすることができるものが好ましい。また、保護部材が有底筒状であり、底部にガス連通孔を備えているものが好ましい。
また、前記貫通部材または保護部材への圧力が原液の充填圧力であってもよく、ステムの押し下げによる力であってもよい。
【0011】
本発明の二重エアゾール製品は、容器本体と、その開口部に取り付けられるエアゾールバルブと、容器本体内に充填される原液および加圧剤と、前記容器本体を原液が充填される原液室とその原液室を加圧する加圧剤を充填するガス室とに区画し、原液が少なくなるに従って原液室の容積を減少させる隔壁と、原液室の容積が所定の大きさになったときに隔壁を貫通して原液室とガス室とを連通させる残ガス排出機構とを備えており、前記残ガス排出機構は、隔壁を破る穿孔部を有する貫通部材と、その貫通部材を収容する保護部材とを備えており、前記穿孔部が保護部材に収められた第1状態と、前記穿孔部が保護部材から露出した第2状態とを有し、前記第1状態で容器本体内に挿入され、エアゾールバルブを容器本体に取り付けた後で第2状態にすることができることを特徴としている。
【0012】
このような二重エアゾール製品であって、前記容器本体が、底部にガス室に加圧剤を充填するためのガス充填用バルブを備えているものが好ましい。また、隔壁が合成樹脂製の内袋、合成樹脂製のピストン、または、アルミニウム箔を貼り合せたパウチであってもよい。さらに、エアゾールバルブが下部に残ガス排出機構を装着する円筒状の係合部を備えており、前記貫通部材が上部に受圧部を備えており、受圧部は係合部に内挿されていてもよい。
また、穿孔部がエアゾールバルブのステムを所定の深さまで押し下げることによって保護部材から突出する第2状態となってもよく、前記エアゾールバルブのステムを所定の深さまで押し下げるための抵抗が設けられていてもよい。
【0013】
本発明の二重エアゾール製品の充填方法は、底部にガス充填用バルブを備えた容器本体と、その開口部に取り付けられるエアゾールバルブと、容器本体内に充填される原液および加圧剤と、前記容器本体を原液が充填される原液室とその原液室を加圧する加圧剤が充填されるガス室とに区画し、原液が少なくなるに従って原液室の容積を減少させる隔壁と、上述した残ガス排出機構とを備えた二重エアゾール製品の充填方法であって、前記容器本体の開口部にエアゾールバルブを固着し、前記ガス室にガス充填用バルブを介して加圧剤を充填し、原液室内の空気を排出して原液室の容積を減少させ、原液室にエアゾールバルブを介して原液を充填し、残ガス排出機構を第1状態から第2状態にすることを特徴としている。
【0014】
また、本発明の二重エアゾール製品の充填方法に第2の態様は、有底筒状の容器本体と、その開口部に取り付けられるエアゾールバルブと、容器本体内に充填される原液および加圧剤と、前記容器本体を原液が充填される原液室とその原液室を加圧する加圧剤が充填されるガス室とに区画し、原液が少なくなるに従って原液室の容積を減少させる隔壁と、上述した残ガス排出機構とを備えた二重エアゾール製品の充填方法であって、前記ガス室に加圧剤を充填すると共にエアゾールバルブを容器本体の開口部に固着し、原液室内の空気を排出して原液室の容積を減少させ、原液室にエアゾールバルブを介して原液を圧力充填し、残ガス排出機構を第1状態から第2状態にすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の残ガス排出機構は、貫通部材の穿孔部が保護部材に収められた第1状態と、穿孔部が保護部材から露出された第2状態とを有し、第1状態で容器本体内に挿入され、エアゾールバルブを容器本体に取り付けた後、エアゾールバルブを介して操作することにより第2状態とすることができるため、エアゾール製品の組み立て時に作業者等が穿孔部と接触することがなく、同時に、穿孔部の鋭さを保護することもできる。さらに、エアゾールバルブを容器本体の開口部に載置する際に隔壁を傷つけることがなく、製造に手間がかからない。
【0016】
このような残ガス排出機構であって、貫通部材が受圧部を有し、貫通部材をその内部で移動自在および/または変形自在に収容する保護部材を備えている、あるいは、前記保護部材が受圧部を有し、貫通部材またはバルブのハウジングに脱離可能な状態で装着されており、エアゾールバルブを介して前記受圧部に圧力を加えることにより、残ガス排出機構を第1状態から第2状態にすることができる場合、従来のエアゾールバルブに残ガス排出機構を備え付けるだけで、上記作用を得ることができる。
【0017】
このように貫通部材または保護部材に加える圧力が、原液の充填圧力である場合、あるいは、圧力がエアゾールバルブのステムの押し下げによって直接貫通部材を押し下げる力である場合、第2状態への移行を外部から容易に行える。特に、ステムを用いて貫通部材を押し下げる場合、原液がなくなった後、あるいは、使用者が二重エアゾール製品を不要と思ったときに、使用者によって確実に第2状態とすることができるため、不意に隔壁が貫通されることがなく、効率良くエアゾール製品を使用することができる。
【0018】
本発明の二重エアゾール製品は、本発明の残ガス排出機構を備えているため、上述した作用を備えた二重エアゾール製品が得られる。
本発明の二重エアゾール製品の充填方法は、原液室内の空気をほぼ全量排出し原液室内の酸素濃度を低くした後で原液を充填することができるため、酸化染毛剤などの酸化されやすい原液やビタミンAなどの分解されやすい成分を含む原液を充填することができ、本発明の残ガス排出機構を備えた二重エアゾール製品を充填するのに最も適した方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明を図面を用いて説明する。図1は本発明の二重エアゾール製品の一実施形態を示す断面側面図、図2aは図1の二重エアゾール製品の残ガス排出機構の第1状態を示す断面側面図、図2bはその第2状態を示す断面側面図、図3a、図3bはそれぞれ図1の二重エアゾール製品の保護部材を示す断面側面図、斜視図、図4aから図4dは図1の二重エアゾール製品の充填方法を示す工程図であり、図4eは排出状態を示す断面側面図、図5は本発明の二重エアゾール製品の他の実施形態を示す断面側面図、図6a、図6bは図5の二重エアゾール製品の残ガス排出機構の第1状態を示す断面側面図、図6cはその第2状態を示す断面側面図、図7aから図7bは図5の二重エアゾール製品の充填方法を示す工程図、図7cは通常の吐出状態を示す断面側面図、図7dは排出状態を示す断面側面図、図7eは図5の二重エアゾール製品の他の充填方法を示す工程図、図8は本発明の二重エアゾール製品のさらに他の実施形態を示す断面側面図、図9aは図8の二重エアゾール製品の残ガス排出機構の第1状態を示す断面側面図、図9bはその第2状態を示す断面側面図、図9cから図9eは図9aの残ガス排出機構に用いることができる貫通部材を示す斜視図、図10aから図10dは図8の二重エアゾール製品の充填方法を示す工程図、図10eは排出状態を示す断面側面図、図11は本発明の二重エアゾール製品のさらに他の実施形態を示す断面側面図、図12aは図11の二重エアゾール製品の残ガス排出機構の第1状態を示す断面側面図、図12bはその第2状態を示す断面側面図、図13は本発明の二重エアゾール製品のさらに他の実施形態を示す断面側面図、図14aはその残ガス排出機構を示す断面側面図、図14bその貫通部材を示す側面図、図14cはその貫通部材の穿孔部を示す天面図、図14dはその保護部材を示す断面側面図、図14eおよび図14fはそれぞれ残ガス排出機構の第1状態および第2状態を示す天面図、図14gはその残ガス排出機構に用いられる受圧部材の天面図、図14hはその受圧部材を用いた残ガス排出機構の第1状態を示す天面図、図15aから図15dは図13の二重エアゾール製品の充填方法を示す工程図、図15eは排出状態を示す断面側面図、図16a、図16bは本発明の残ガス排出機構のさらに他の実施形態を示す断面側面図、図16c、図16dは本発明の残ガス排出機構のさらに他の実施形態を示す断面側面図、図17a、図17bは本発明の残ガス排出機構のさらに他の実施形態を示す断面側面図、図18a、図18bは本発明の二重エアゾール製品の残ガス排出機構の第1状態を示す断面側面図、図18cはその第2状態を示す断面側面図である。
【0020】
図1に示す二重エアゾール製品10は、容器本体11と、その容器本体内部に挿入される内袋12と、容器本体の開口部に内袋を挟んで取り付けられるバルブ13と、そのバルブの下端に取り付けられた内袋の容積が所定の大きさになったときに内袋を突き破る残ガス排出機構14と、内袋の内部空間(原液室)に充填される原液Aと、容器本体と内袋の間の隙間空間(ガス室)に充填される加圧剤Bとからなる。
【0021】
容器本体11は、ブリキや錫−ニッケル系鋼板(TNS)などの金属板を円筒状に成形した胴部16と、その上端に二重巻き締めにより固着した目金部17と、胴部の下端に二重巻き締めにより固着した底部18とを備えたスリーピース缶であり、目金部の上端開口にはビード部19が形成されている。また、底部16は中心に向けてテーパー状に盛り上がる山型に形成されており、その中心にはガス充填用バルブ20が設けられている。
【0022】
内袋12は、ブロー成形などによって有底筒状に成形される薄肉の合成樹脂製の一体成形品であり、円筒状の胴部21と、その胴部の上端から径が縮まるように上方に延びる肩部22と、その肩部から上方に伸びる円筒状の首部23と、その首部の上端に形成されるフランジ部24と、胴部の下端に形成される底部25とからなる。また、底部25は、ブロー成形時に胴部の下端(底部)を密閉するピンチオフ部26を備えている。
【0023】
バルブ13は、容器本体のビード部19に内袋のフランジ部24およびガスケット27を挟んで固着されるマウンティングカップ28と、マウンティングカップの中央に保持される筒状のハウジング29と、ハウジング内に上下移動自在に収容され大気と内袋12の内部空間(原液室)とを連通するステム孔30を備えたステム31と、そのステムを常に上方に付勢するスプリング32と、ステムが上方に位置するときステム孔30を塞ぐステムラバー33とを備えている。また、ハウジング29の下端には、残ガス排出機構14と係合する円筒状の係合部34が形成されている。これらの部材の材料は特に限定されず、金属、合成樹脂、ゴムなどから適宜選択する。
【0024】
残ガス排出機構14は、図2aに示すように、ハウジング29の係合部34の外周面34aと係合する円筒状の装着部37を有する保護部材35と、ハウジング29の係合部34の内部通路34bに挿入され、かつ、保護部材内に上下移動自在に収納される貫通部材36とからなる。
【0025】
保護部材35は、図3a、bに示すように、円筒状の装着部37と、逆T字状の収容部38と、装着部37と収容部38とを区画する区画板39とからなる。
装着部37は、ハウジングの係合部34とその外周面34aを覆うように係合する円筒状の部位であり、区画板39より上の位置に装着部内と原液室とを連通する連通孔40が形成されている。また区画板39の中心には貫通部材の受圧部48を挿入するための挿入孔39aが形成されている。
収容部38は、中空で扁平な円板状の収容部本体42と、その上面の中心から上方に延び、装着部の下端と連結する円筒状の連結部43とを別部材として備えたものである。しかし、一体に成形してもよい。収容部38の底面38aには中心孔44が形成されており、円筒状の外周壁38bには、後述する貫通部材36の脚47が押し出される窓45が形成されている。さらに、収容部38には、連結部43から収容部本体42にかけて軸方向に形成された切り欠き46が四方向に設けられている。収容部本体42は、中空で扁平な直方体状などでもよい。
【0026】
図2に戻って、貫通部材36は、円柱状の受圧部48と、その下端から延びる4本の脚47とからなり、脚47の先端49は鋭く削られており、この先端49が本発明でいう穿孔部(尖鋭突起)となる。さらに、脚47は四方に開閉自在に形成されている。貫通部材は隔壁よりも硬い合成樹脂、ステンレスなどの金属などを用いて成型や加工することにより得られる。
【0027】
このように形成された残ガス排出機構14は、貫通部材の脚47を閉じた状態で受圧部48を、保護部材の収容部38の中心孔44から区画板39の挿入孔39aを介して係合部の内部通路34b内に挿入し、次いで、貫通部材の脚47を若干開いて切り欠き46に収容し、収容部本体の底面38aに支持させて組み立てる。この残ガス排出機構14の状態が、貫通部材の先端49(穿孔部)が収納された第1状態となる(図2a参照)。
【0028】
なお、本実施形態では、収容部本体42と連結部43とを別部材としているため、貫通部材36を収容部本体42に収容してから連結部43を装着してもよい。
また、脚47の数は特に限定されないが、内袋がどのような形状で収縮しても確実に貫通できるように2〜10本、特に、3〜8本設けることが好ましい。さらに、脚と脚の間隔は圧力を受けたときの拡がりやすさを考慮して等角に設けることが好ましい。
さらに、窓は脚の本数に応じて形成することが好ましいが、環状の窓としてもよい。
【0029】
この状態において、バルブのステム孔30を開放して原液等の流体(好ましくは粘性流体)を内袋に向かって圧力充填することにより、原液はハウジングの下孔34cを通って係合部34の内部通路34bに至り、貫通部材36の受圧部48を下方に押し出して、装着部37の連通孔40から内袋に充填される。そして、このように貫通部材が下方に向けて圧力を受けることにより、貫通部材の脚47は収容部本体の底面38aを滑り、その先端49が収容部の窓45から突出し、残ガス排出機構14は第2状態となる(図2b参照)。また、二重エアゾール製品10のバルブ13を一度開放した後は、常に原液Aが係合部34内に充満している。そのため、貫通部材36が上昇し、第1状態に戻るおそれは小さい。
ここで圧力充填とは、ガス室に充填されている加圧剤の圧力(0.2〜1.0MPa)以上の圧力でもって原液等の流体をバルブから充填することをいう。
【0030】
次にこの二重エアゾール製品10の充填方法を説明する。初めに、容器本体11に内袋12を挿入し、第1状態の残ガス排出機構14を下端に取り付けたバルブ13を容器本体11の開口部にクリンプして固着する(図4a参照)。次いで、容器本体の底部18のガス充填用バルブ20から容器本体と内袋との隙間空間(ガス室)に加圧剤Bを充填する。このとき、内袋12は加圧剤の圧力により少し収縮する(図4b参照)。なお加圧剤としては、窒素ガス、炭酸ガス、亜酸化窒素ガス、圧縮空気などの圧縮ガスや、液化石油ガス、ジメチルエーテル、フロンなどの液化ガスを用いることができる。
【0031】
その後、ステム31を押し下げてステム孔30を開放し、内袋12の内部空間(原液室)の空気を外部に排出する。このとき、内袋は加圧剤によって圧力を受けているため、内部空間の空気はほぼ全量排出されて、内部空間の容積は満注量の10%以下、好ましくは5%以下となる。しかし残ガス排出機構14は第1状態であり貫通部材36の脚の先端49(穿孔部)は保護部材35内に収納されているため、内袋12は破られない(図4c参照)。最後に、ステム31を押し下げた状態で、内袋12内(原液室)に原液Aをステム31から圧力充填する。これにより、上述したように原液Aが貫通部材の脚の先端49(穿孔部)を保護部材35の窓45から押し出し、残ガス排出機構14を第2状態にすると同時にエアゾール製品10が完成する(図4d参照)。
【0032】
このように構成されている二重エアゾール製品10に噴射部材41を取り付けることにより、エアゾール製品を任意の向きで原液を吐出することができる。また、この二重エアゾール製品10は原液の吐出量に比例して原液室の容積が減少する。そのため、内袋12の容積が減少して所定の大きさになると、第2状態にある残ガス排出機構14によって内袋12が破られる。これにより、容器本体11と内袋12の隙間空間(ガス室)に密封して充填されている加圧剤Bが内袋12内に流れ込み、バルブ13を介して噴射部材41から排出される。このように、二重エアゾール製品10は、通常の噴射操作を行いながら、原液Aがなくなるのとほぼ同時に排出処理もなされる(図4e参照)。
【0033】
また、この二重エアゾール製品10は、残ガス排出機構14を貫通部材の脚の先端49(穿孔部)が保護部材35内に収納されている第1状態にして組み立てることができるため、作業者および内袋を突き破る先端49(穿孔部)を保護することができる。さらに、バルブを内袋の開口部に装着するときなど、製造工程で内袋等を傷つけたりすることがない。
さらに、上述したように原液室内の空気を外部に排出し、原液をバルブから充填する場合、特許文献1または2のガス排出用具を用いた二重エアゾール製品では、原液室内の空気を外部に排出した時点で内袋が破られてしまう。このように本発明の残ガス排出機構は、二重エアゾール製品の充填方法に限定されることなく共通の排出機構として用いることができる。
【0034】
図5に示す二重エアゾール製品50は、残ガス排出機構の貫通部材がステムの下端によって押し下げられるものである。この二重エアゾール製品50は、インパクト加工やしぼり・しごき加工などにより有底筒状に一体成形された容器本体51と、その内部に挿入する内袋52と、容器本体の開口部に内袋を挟んで取り付けられるバルブ53と、そのバルブの下端に取り付けられた内袋の容積が所定の大きさになったときに内袋を突き破る残ガス排出機構54と、内袋の内部空間に充填される原液Aと、容器本体と内袋の隙間空間に充填される加圧剤Bとからなる。
【0035】
容器本体51は、アルミニウム、ブリキなどの金属板(円盤)を絞りしごき加工またはインパクト加工により底部56および円筒状の胴部57を備えた有底筒状に形成し、ついで、その胴部上端にネッキング加工を施して肩部58を形成し、肩部上端にカーリング加工によりビード部59を形成したものである。また、底部56は中心に向けてテーパー状に盛り上がる山型であり、ガス充填用バルブは備えていない。なお、この容器本体51として、合成樹脂や耐圧ガラスなど、耐圧性を有する他の材質のものを用いてもよい。
【0036】
内袋52は、図1の二重エアゾール製品10の内袋12と実質的に同じであり、薄肉の合成樹脂製の一体成形品である。
【0037】
バルブ53は、図1の二重エアゾール製品のバルブ13と同様に、マウンティングカップ61と、マウンティングカップに保持されるハウジング62と、ハウジング内に上下移動自在に収容されるステム63と、そのステムを常に上方に付勢する第1スプリング64と、ステムが一定の深さまで押し下げられたときにそのステムを上方に付勢する第2スプリング65と、ステム孔を塞ぐステムラバー66とを備えている。
【0038】
ハウジング62は、図6aに示すように、底面を有する円筒状のハウジング本体68と、その下端に形成された円筒状の係合部69と、ハウジング本体の側面に形成され、内袋52と連通する連通孔70とを備えている。係合部69の外周面69aは残ガス排出機構54と係合し、内周面の内部通路67に貫通部材の受圧部84と後述するステム下端の押部75を内挿する。また、係合部の内周面上部には、第2スプリング65を支持する段部71が形成されている。
ステム63は、円筒状のステム本体72と、その下部に形成された半径方向内側にいくにつれて下方に突出する2つの段部(第1段部73、第2段部74)と、下端に形成された円柱状の押部75とを備えている。
【0039】
第1スプリング64はハウジング本体68の底面とステムの第1段部73との間で支持され、第2スプリング65は係合部の内周面上部の段部71とステムの第2段部74との間で支持される。しかし、第2スプリング65の長さは、第1スプリング64が伸長しているとき(ステムが押し下げられていないとき)ステムの第2段部74とは当接しないように設計されている(図6a参照)。
【0040】
このように構成されたバルブ53のステム63は、ステム下端の押部75がハウジングの係合部の内部通路67に挿入された状態で、上下に移動可能である。しかし、ステム63を押し下げたときに、ステムの押部が内部通路67に挿入されるようにしてもよい。そして、ステムを押し下げるとステムの第2段部74が第2スプリング65と当接するまでは第1スプリング64の弾発力を先ず受ける。この状態において、ステム孔はステムラバー66から開放されており、内袋内の原液を吐出することができる(通常の吐出操作、図6b参照)。ついで、さらにステムを押し下げる場合、ステム63は第1スプリング64および第2スプリング65の弾発力を受けるため前述の通常の吐出操作よりも大きな操作力が必要となり、使用者が意図的に力を加えないと押し下げることができない。つまり、使用者は、ステム63を図6bに示す深さまで押し下げると2つのスプリングにかかる抵抗によりステム63が一定の深さまで押し下げられたことを認識することができる。
【0041】
残ガス排出機構54は、図6bに示すように、保護部材76と、貫通部材77とからなる。保護部材76は、中空で扁平な円柱状の収容部78と、その上面の中心から上方に延びハウジングの係合部69の外周面69aに装着される円筒状の装着部79とを備えたものである。収容部の底面78aには係合孔80が形成されており、収容部の外周壁78bには、窓81が四方に形成されている。さらに、保護部材76には、装着部79から収容部78にかけて軸方向に切り欠き82が窓81と同方向の四方向に形成されている。
【0042】
貫通部材77は、円柱状の受圧部84と、その下端から延びる4本の脚85と、その4本の脚の間に形成された留め具86とからなり、脚85の先端83(穿孔部)は鋭く削られて針状突起(尖鋭突起)を形成している。さらに、脚85は四方に開閉自在に形成されている。
【0043】
このように形成されているため、残ガス排出機構54は、保護部材76の装着部79の上端開口部から脚85を閉じた状態の貫通部材77を挿入して組み立てられる。このとき、脚85はやはり収容部の底面78aに支持されており、その先端83は収容部78から露出していない(第1状態)。その状態で保護部材76をハウジングの係合部69に連結する(図6a参照)。
次にステム63を上述した図6bに示す深さまで押し下げる(通常の吐出操作)。これにより、バルブラバー66が撓みステム孔が開放される。つまり、内袋52と大気は、バルブの連通孔70、ステム63のステム孔を介して連通する(図6b参照)。
【0044】
さらに通常の吐出操作よりも大きな操作力でステム63を深く押し下げる。これにより、ステム下端の押部75が、貫通部材77の受圧部上端面と当接し、貫通部材77を押し下げる。これにより、貫通部材の脚85の先端83は収容部の底面78aを滑り、窓81から突出し、残ガス排出機構54は第2状態となる(図6c参照)。このとき、貫通部材の留め具86は、保護部材の係合孔80に係合した状態で維持され、ステム63の押し下げを中止しても、貫通部材77が上方に上がることがない。
【0045】
次に、図7において、この二重エアゾール製品50の充填方法を説明する。この二重エアゾール製品は、先ず容器本体51に内袋52を挿入し、内袋52の内部空間(原液室)に原液Aを充填する。ついで、内袋の開口部に第1状態の残ガス排出機構54を取り付けたバルブを挿入して原液室内を気密状態にし、内袋52と容器本体51との隙間空間(ガス室)に加圧剤Bをアンダーカップ充填法により充填し、バルブ53を容器本体51にクリンプして固着する(図7a参照)。そして、この後、バルブのステム63を所定の深さ以上に押し下げることにより残ガス排出機構を第1状態から第2状態とするものである(図7b参照)。
【0046】
このように製造される二重エアゾール製品50は、図1の二重エアゾール製品10と同様に、バルブに噴射部材41等を取り付けることにより、原液Aを任意の方向に吐出することができる(図7c参照)。そして、残ガス排出機構54を第2状態とした後であれば、通常の吐出操作を行いながら、原液Aがなくなるのとほぼ同時に加圧剤の排出処理もなされる(図7d参照)。この二重エアゾール製品50は、図1の二重エアゾール製品10と同様に、製造段階において作業者に対して安全であり、貫通部材の先端83(穿孔部)を保護することができる。
【0047】
また、図7eに示すように、内袋52に原液を充填しない状態で内袋52と容器本体51との隙間空間(ガス室)に加圧剤Bをアンダーカップ充填法により充填してバルブを容器本体にクリンプし(工程I)、内袋52の内部空間の空気を排出し(工程II)、ステム63から原液Aを充填してもよい(工程III)。この充填方法では内袋52の内部空間の空気をほぼ全量排出することができるため、酸化されやすい、分解されやすい等の酸素との反応性の高い原液を用いる場合に好ましい。この場合、残ガス排出機構54は、原液Aを充填してから、つまり工程IIIの後にバルブ53のステム63を押し下げて第2状態とする。
【0048】
この二重エアゾール製品50は、製品を製造した後であれば、いずれの段階で残ガス排出機構54を第1状態から第2状態にしてもよい。つまり、製造者は第1状態の状態で二重エアゾール製品を出荷し、使用者が製品(原液)を使い切った後、その意思で第2状態としてもらうことにより、原液を一層効率良く使い切ることが可能である。
【0049】
また、内袋型の二重エアゾール製品は、原液をある程度吐出して内袋が収縮したとき、内袋の底部は幾分か上昇し、内袋は内袋の上端近辺のクリンプに吊り下げられた状態で保持される。そのため、使用者が使用の途中で誤って製品が横を向くようにして落下させると内袋がしなり、貫通部材によって内袋を貫通してしまうおそれがある。しかし、残ガス排出機構54を使用者の意思で第2状態としてもらう場合、そのようなおそれがない。
【0050】
図8に示す二重エアゾール製品90は、隔壁がピストンである二重エアゾール製品であり、容器本体91内に上下移動自在に配置されたピストン92と、ステムの下端によって押し下げられる貫通部材93を備えた残ガス排出機構94とを備えている。本実施形態では、二重エアゾール容器のバルブのハウジング99が残ガス排出機構94の保護部材を兼ねている。
容器本体91は、図1のエアゾール製品10の容器本体11と実質的に同じであり、底部にガス充填用バルブ95を備えたスリーピース缶である。この容器本体91内にピストン92が上下移動自在に配置されるが、このピストン92より上の空間が原液室になり、ピストン92より下の空間がガス室となる。つまり、原液室の原液Aが吐出されることにより、ピストン92は加圧剤Bに押され上方(バルブ側)に移動する。
【0051】
ピストン92は、合成樹脂などから成形される形状が山型のものであり、裾部97が容器本体91の内面と気密を保ちながら摺動するものである。また、天面中央には凹部98が形成されている。この凹部98は、原液が吐出されてピストン92が上昇することにより、最終的にバルブのハウジング99の外底部と当接し、後述する残ガス排出機構94の貫通部材93により貫通させられる部位である。なお凹部98は、貫通しやすくするために他の部分よりも薄肉にしてもよい。
【0052】
バルブ96のハウジング99は、図9aに示すように、内底面96aの中心に形成された貫通部材93を突出させる窓100と、側面下部に形成された原液Aが充填される原液室と連通する連通孔101と、側面中部の内側に形成された後述するステムの突起106と係合する係合突起102とを備えている。さらに、窓100には、段部103が形成されている。
バルブ96のステム104は、円筒状のステム本体105と、その側面中部の外周に形成された突起106と、下端に形成された円柱状の押部107とを備えている。バルブの他の構成は、図1のエアゾール製品のバルブ13と実質的に同じである。
【0053】
残ガス排出機構94は、一方の先端108(穿孔部)が鋭く削られた棒状の貫通部材93(図9c参照)を備えており、貫通部材の上部には半径方向外側に拡がる受圧部109が形成されている。また、この実施形態ではハウジングが残ガス排出機構の保護部材の役割を担う。
【0054】
この貫通部材93はハウジング内に挿入され、その先端108がハウジングの窓100内に位置するように配置される。また貫通部材93は、貫通部材の受圧部109がハウジング99の段部103に嵌入されたとき、貫通部材の先端108は窓100から突出するように設計されている。
また、貫通部材93を挿入したとき、図9aに示すように貫通部材の先端108と窓の径に隙間を設けず、段部103で止まるようにし、ステムの押部で圧力をかけないと窓100から突出しないようにしている。しかし、ステムの押部で圧力をかけなくても貫通部材の先端108が窓100内から突出するように先端と窓の径に隙間を設けてもよい。この場合であっても、貫通部材の先端に物が当たっても、抵抗なくハウジング内に収納されるため、大きな問題はない。しかし、図9aのように設計するほうが好ましい。
【0055】
また、ステム104をハウジング内に挿入するとき突起106がハウジングの側面中部に形成された係合突起102の上方にくるように配置する。そして、通常の吐出を行うときは、突起106が係合突起102を乗り越えて係合しない程度にステム104を押し下げる。そして、ステム104を下方に強く押し下げ、突起106が係合突起102を乗り越えて係合するときに、ステムの押部107が貫通部材の受圧部上端面と当接して押し下げるように構成されている。つまり、ステムの突起106と、ハウジングの係合突起102とが係合する前は、ステム104は上下移動可能であり、係合後は押し下げた位置で固定される。
【0056】
そのため、ステムの突起106とハウジングの係合突起102とを係合させる前は、たとえピストンが上昇しても凹部を突き破ることができない(第1状態)。そして、係合させた後は、ステム下端の押部107が貫通部材の受圧部109を押し下げた状態、つまり、窓100から先端108が突出した状態で固定され、ピストンが上方へ移動したとき、ピストンの凹部を突き破る(第2状態)。
【0057】
次に二重エアゾール製品90の充填方法を示す。初めに、図1の二重エアゾール製品と同様に原液および加圧剤を充填しない状態で容器本体91のビード部にバルブ96を固着する(図10a参照)。なおピストンは、容器本体を製造する際に、具体的には胴部に底部または目金部を二重巻き締めにより固着する前に挿入しておく。次いで、ガス充填用バルブ95から加圧剤Bを充填する(図10b参照)。このときピストンは幾分上方に移動する。次に、ステム104を通常に押し下げて原液室内の空気を排出する(図10c参照)。このとき、ピストン92はハウジング99の外底部と当接するまで上方するが、残ガス排出機構94が第1状態にあるため、ピストン92は破られない。その後、ステム104を通常に押し下げて原液Aをステム104から圧力充填するとピストンは加圧剤の圧力に逆らいながら下方へ移動する(図10d参照)。
【0058】
他の実施形態と同様に噴射部材41を取り付けて二重エアゾール製品90は製造される。この二重エアゾール製品90は、ステム104を強く押し下げて残ガス排出機構94を第2状態とすると、貫通手段がハウジングから突出するだけでなくステムも固定され、バルブが常に開放状態となる(図10e)。そのため、原液を完全に使用した後、あるいは、使用者が製品を廃棄するときに残ガス排出機構94を第2状態とする。
【0059】
図9dに示す貫通部材93aは、内部に管状のガスの排出通路87と、受圧部の側面に形成されており、その排出通路と連通するガス排出孔88とを備えた円筒状のものであり、他の構成は図9cの貫通部材93と実質的に同じである。このように構成されているため、この貫通部材93でピストンを破ると貫通部材の排出通路87、ガス排出孔88を通ってガスはバルブに入り、ステムから大気に放出され、加圧剤の排出が容易になる。
図9eに示す貫通部材93bは、先端89としてカッターの刃が取り付けられたものであり、他の構成は図9cの貫通部材93と実質的に同じである。このように本発明は先端の穿孔部として、棒状(針状)に限定されるものではなく、ピストンを破ることができるものであればよい。
【0060】
図11に示す二重エアゾール製品110は、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂製の容器本体111と、アルミニウム箔製の内袋112と、ハウジング113aを容器本体の口部に固着するためのカバーキャップ113cを備えたバルブ113と、ステム113bから原液を圧力充填することによって第1状態から第2状態とすることができる残ガス排出機構114とを備えている。
容器本体111は、パリソンから熱風を吹き込むことにより膨らませられたブロー成形による一体成形品である。容器本体はボトル状であり、口部外周にカップ状のカバーキャップ113cの下端外周をクリンチすることにより固着しており、底部にガス充填用バルブ111aを備えている。
内袋112は、円筒状の係合部材115と、その係合部材の外周面に張り合した折りたたみ可能なアルミニウム箔製のパウチ116とからなる。
【0061】
残ガス排出機構114は、図12aに示すように、上端開口にフランジ部119を有する有底筒状の保護部材117と、保護部材内に収容される貫通部材118とからなる。保護部材117は、円筒状の胴部の下部に窓120が四方に形成されており、窓の上方にはパウチ内と連通する連通孔125が設けられている。また、連通孔125の下端付近の内面に内方に突出する突起121が形成されている。貫通部材118は、円柱状の本体122と、その本体の下端から伸び折り曲げ可能な4本の脚123とからなり、本体122の上端面がフランジ状に形成されており、その外周縁が保護部材の胴部内面と摺動する受圧部124となっている。
【0062】
この残ガス排出機構114は、胴部の上部内周面とハウジングの係合部の外周面とが嵌着され、さらに、胴部の上部外周面を内袋の係合部材115の内周面に嵌着している。なお、係合部材115をなくし、胴部の外周面にパウチを直接貼り合せてみてもよい。
【0063】
このように残ガス排出機構114は構成されているため、貫通部材118は、保護部材117の胴部内部に収納される(第1状態)。そして、ステムから原液を圧力充填することによって貫通部材118の脚123は折り曲げられて、その屈曲部の先端が保護部材の窓120から押し出される(第2状態)。このとき、貫通部材118の受圧部124の外周縁が、保護部材117の突起121を超えて残ガス排出機構114が第2状態に移行し、貫通部材118の戻りを防止する。
【0064】
この二重エアゾール製品110の充填方法は、パウチ116を折り畳んだ状態で容器本体内に挿入し、バルブを容器本体に固着し、底部のガス充填用バルブ111aから加圧剤を充填する。次いで、パウチ内(原液室)の空気を全量排出し、ステムから原液を圧力充填すると共に、残ガス排出機構を第2状態に移行する(図12b)。また、図5の二重エアゾール製品50と同様に、ガス充填用バルブをなくしアンダーカップ充填により加圧剤Bを充填し、バルブ113を固着し、バルブ113から原液Aを内袋112に充填してもよく、さらに、バルブ113を固着する前に、原液Aを内袋112に充填しておき、その後、アンダーカップ充填により加圧剤Bを充填し、バルブを固着してもよい。
【0065】
図13に示す二重エアゾール製品130は、容器本体131と、その容器本体内に挿入される内袋132と、その容器本体および内袋の開口部を閉じるバルブ133と、そのバルブの上面を覆って容器本体に固着するカバーキャップ134と、そのバルブの下端に取り付けられた残ガス排出装置135とからなる。
【0066】
容器本体131は、アルミニウムやブリキなどの金属から有低筒状に成型され、円筒状の胴部136と、その胴部の下端に形成された底部137と、その胴部の上端に形成されたテーパー状の肩部138と、その肩部の上端に形成された首部139とからなり、首部の外周面には環状凹部140が形成されている。また、この容器本体の底部にはガス充填用バルブ137aが設けられている。さらに、この容器本体131の上端(首部上端)には、カール部が形成されておらず、まっすぐ上を向いた円筒形状である。
【0067】
バルブ133は、ポリアセタールやナイロンなどの合成樹脂を用いて成型したマウンティングカップ141が、ハウジングを保持する上底を有する円筒状のハウジング保持部142と、容器本体の首部に嵌入されるリング状の周壁部143と、ハウジング保持部と周壁部とを下端で連結する連結底部144とからなる。また、ハウジング保持部の上底には、ステムを通す中心開口部145が形成されており、周壁部143の上端には外側に突出するフランジ146が形成されており、さらに、周壁部143の下端には容器本体の環状凹部140と内袋を介して係合する段部147が形成されている。そして、ハウジング保持部の外面と周壁部の内面とによって環状溝148を形成している。ハウジング、ステム等の他の構成は図1のバルブ13と実質的に同じである。
【0068】
カバーキャップ134は、アルミニウムやブリキなどの金属薄板を有底筒状に成形したものであり、上面中央にステムを通す開口部149が形成されている。そして、この下端134aの外周を容器本体の環状凹部140にクリンプして固着される。
【0069】
このようにバルブ133が形成されているため、マウンティングカップのフランジ146が、シール材150を介して容器本体の上端によって保持され、その上からカバーキャップ134の下端134aを容器本体にクリンプすることによって組み立てられる。
【0070】
内袋132は、首部に蛇腹151が形成され、開口部にフランジがなく円筒状に成型されたものであり、他の構成は図1の内袋12と実質的に同じである。
【0071】
残ガス排出装置135は、図14aに示すように、貫通部材152と、その貫通部材を上下移動自在に収納する保護部材153とからなる。
貫通部材152は、図14bに示すように、下部156aが縮径した円柱状の受圧部材156と、その下端と連結する穿孔部材157とからなる。穿孔部材157は、図14cに示すように円筒状の連結部159と、その下端からのびる4本の脚160とからなり、その脚の先端は鋭く削られている。また、穿孔部材のそれぞれの脚160の上部にはヒンジ部161が形成されており、これにより、脚160の開閉を容易にする。
このように構成されているため、貫通部材152は、受圧部材の下部156aを穿孔部材の連結部159に嵌入させて連結する。
【0072】
保護部材153は、図14dに示すように、円筒状の装着部材162と、下方に向かって拡がるテーパー部163を備えた筒状の収容部材164とからなる。収容部材164はその底部に内袋とバルブとを連通する連通孔165が形成されており、外周壁166aに貫通部材の脚を露出させる窓166が四方に形成されている。
【0073】
このように形成された残ガス排出機構135は、貫通部材の脚160を畳んだ状態(脚が広がっていない状態)で保護部材153内に挿入する。ついで、貫通部材の脚160を若干開き、先端が収容部の窓から露出しないように収容部本体の底面に支持させる。さらに貫通部材の先端が窓116に位置するように廻して所定の位置に入れる。この残ガス排出機構135が第1状態となり、ハウジングの係合部に装着される(図14a、e参照)。
この状態において、バルブから原液等の流体を圧力充填することにより、貫通部材の受圧部材156が下方に圧力を受け、穿孔部材の脚160の先端が窓166から押し出される(図14f参照)。
【0074】
図15に二重エアゾール製品130の製造方法を示す。初めに、容器本体131に内袋132を挿入し、第1状態の残ガス排出機構135を下端に取り付けたバルブ133を容器本体の開口部に挿入し、カバーキャップの下端134aをクリンプして固着する(図15a参照)。次いで、容器本体の底部137のガス充填用バルブ137aから加圧剤Bを充填する(図15b参照)。その後、ステム31を押し下げて内袋132内の空気を外部に排出する(図15c参照)。このとき、残ガス排出機構の貫通部材152は保護部材153内に収容されているため、内袋132は破られない。最後に、ステム31を押し下げた状態で原液Aをステムから圧力充填する(図15d参照)。これにより、貫通部材の脚160の先端が保護部材の窓166から押し出され、残ガス排出機構135を第2状態とすると共に二重エアゾール製品130が完成する。
【0075】
このようにして製造された二重エアゾール製品130は、噴射部材41を取り付けて使用される。そして、この二重エアゾール製品130を使用し、内袋132の容積が減少して所定の大きさになると、第2状態にある残ガス排出機構135によって内袋132が破られる。つまり、二重エアゾール製品130としての製品寿命が終わった瞬間に、内袋が破られて加圧剤Bが内袋132内に流れ込み、バルブを介して噴射部材41から排出される。
【0076】
また、二重エアゾール製品130の貫通部材として、図14gに示すような受圧部材168を用いても良い。このものは上面に下方に向かって流れるように形成された渦巻き溝167が形成されている。
このような受圧部材168は、残ガス排出機構135を組み立てるとき、貫通部材の脚160の先端が保護部材の外周壁166aに当接するようにして挿入する(図15h参照)。そして、原液を圧力充填する際、貫通部材は渦巻き溝167の方向(図では左方向)に回転しながら下方に押される。そのため、貫通部材の脚160が窓と係合するようにして押し出される。このようにすることにより、残ガス排出機構153の組み立てが容易になる。
【0077】
また、この残ガス排出機構135は、受圧部材がステムによって圧力を受けるように、図5の二重エアゾール製品50に用いても良い。さらに、この場合、受圧部材の上端にステムと係合するように係合溝を形成しておいても良い。これにより、ステムを回転させることによって、貫通部材の脚の先端が外周壁166aと当接するように挿入された貫通部材を回転させて、窓から突出させることができる。
【0078】
図16aに貫通部材を兼ねたバルブ170を示す。このバルブ170は、図8に示すようなピストン型の二重エアゾール製品に用いられるものである。このバルブ170は下端に下方に突出した筒状の穿孔部171を有するハウジングを備えており、その内部通路172がバルブ170と原液室とを連通する。
【0079】
このバルブ170の穿孔部171を有底筒状の保護部材173で覆うように嵌合することにより残ガス排出機構の第1状態となる。このとき、保護部材173は、底部173aに穿孔部の内部通路172の断面積より小さい開口(ガス連通孔)173bを備えている。そのため、原液室内の空気をバルブを介して外部に排出することを妨げない。
【0080】
このように構成されているため、バルブ170を備えた二重エアゾール製品は、図10と同様にして、バルブ170を容器本体のビード部に固着して加圧剤が充填され、次いで、バルブを開放してステムから原液室の空気を排出する。そして、ステムから原液を圧力充填する際、穿孔部171の内部通路172より小さい開口173bを有する底部173aが受圧部となって原液の充填圧力を受けて下方に押され、保護部材173が原液室内に落ちる。これにより、図16bに示すように穿孔部171が露出する(第2状態)。
【0081】
また、図16cに示すように、ハウジングの係合部174の内部通路172に先端が尖っている管状の貫通部材175を挿入し、係合部の外周面174aに有底筒状の保護部材173の開口部を脱離可能となるように装着しても良い。この保護部材の底部173aにも内部通路172(この場合は貫通部材の排出通路87)の断面積よりも小さな開口173bを設けており、底部173aが受圧部となり原液の充填圧力を受けるとハウジングから外れて原液室内に落下する。これにより、図16dに示すように穿孔部171が露出する(第2状態)。
【0082】
図17aに、保護部材を貫通部材に装着して収容する残ガス排出機構を備えたバルブ180を示す。このバルブ180は、隔壁として内袋やパウチを用いた二重エアゾール製品に用いられるものである。このバルブ180はハウジングの係合部183の外周面183aに貫通部材181を装着している。貫通部材181は、筒状の装着部184と、装着部の下端から斜め下方に伸びる4本の尖鋭突起185とを備えている。保護部材182は有底筒状であり、筒部186の内周壁187が尖鋭突起185と係合するものであり、貫通部材から脱離可能な状態で装着されている。この保護部材の底部188にも内部通路183bの断面積よりも小さな開口189が設けられている。この底部188が受圧部となり原液の充填圧力を受けることにより、保護部材182は、貫通部材181から外れて原液室内に落下する。これにより、図17bに示すように尖鋭突起185が露出する(第2状態)。
【0083】
図18aのバルブ190は、保護部材191を貫通部材192に装着して収容する残ガス排出機構を備えたものであり、バルブのステム193を操作することによって保護部材191を原液室内に落下させるものである。バルブ190は、図6aに示すバルブ53と実質的に同じものであり、通常の吐出操作と残ガス排出機構を第1状態から第2状態にする操作とでステムの押し下げ抵抗が異なるものである。
【0084】
貫通部材192は、筒状の装着部194と、装着部の下端から斜め下方に伸びる4本の尖鋭突起195とを備えている。また、保護部材191は有底筒状であり、貫通部材の尖鋭突起195と係合する筒部196の内周壁197と、バルブのハウジングの係合部198の内部通路199に挿入される中心柱200とを備えており、この中心柱200の上端が受圧部となる。
【0085】
バルブ190はこのように構成されているため、ステム193を通常の吐出操作(図18b参照)の状態より押し下げることにより(図18c参照)、ステムの下端が保護部材の中心柱200上端を押圧し、保護部材191を押し下げ、保護部材191を原液室内に落下させる。これにより貫通部材の尖鋭突起195が露出し、特定の容積まで減少した内袋を破ることができる。
【0086】
図16から図18に示すように本発明の残ガス排出機構は、操作することによって保護部材を移動させ、第1状態から第2状態にするものも含む。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の二重エアゾール製品の一実施形態を示す断面側面図である。
【図2】図2aは図1の二重エアゾール製品の残ガス排出機構の第1状態を示す断面側面図であり、図2bはその第2状態を示す断面側面図である。
【図3】図3a、図3bはそれぞれ図1の二重エアゾール製品の保護部材を示す断面側面図、斜視図である。
【図4】図4aから図4dは図1の二重エアゾール製品の充填方法を示す工程図であり、図4eはその排出状態を示す断面側面図である。
【図5】本発明の二重エアゾール製品の他の実施形態を示す断面側面図である。
【図6】図6a、図6bは図5の二重エアゾール製品の残ガス排出機構の第1状態を示す断面側面図であり、図6cはその第2状態を示す断面側面図である。
【図7】図7a、図7bは図5の二重エアゾール製品の充填方法を示す工程図であり、図7cは通常の吐出状態を示す断面側面図であり、図7dは排出状態を示す断面側面図であり、図7eは図5の二重エアゾール製品の他の充填方法を示す工程図である。
【図8】本発明の二重エアゾール製品のさらに他の実施形態を示す断面側面図である。
【図9】図9aは図8の二重エアゾール製品の残ガス排出機構の第1状態を示す断面側面図であり、図9bはその第2状態を示す断面側面図であり、図9cから図9eは図9aの残ガス排出機構に用いることができる貫通部材を示す斜視図である。
【図10】図10aから図10dは図8の二重エアゾール製品の充填方法を示す工程図であり、図10eは排出状態を示す断面側面図である。
【図11】本発明の二重エアゾール製品のさらに他の実施形態を示す断面側面図である。
【図12】図12aは図11の二重エアゾール製品の残ガス排出機構の第1状態を示す断面側面図であり、図12bはその第2状態を示す断面側面図である。
【図13】本発明の二重エアゾール製品のさらに他の実施形態を示す断面側面図である。
【図14】図14aはその残ガス排出機構を示す断面側面図であり、図14bその貫通部材を示す側面図であり、図14cはその貫通部材の穿孔部材を示す天面図であり、図14dはその保護部材を示す断面側面図であり、図14eおよび図14fはそれぞれ残ガス排出機構の第1状態および第2状態を示す天面図であり、図14gはその残ガス排出機構に用いられる受圧部材の天面図であり、図14hはその受圧部材を用いた残ガス排出機構の第1状態を示す天面図である。
【図15】図15aから図15dは図13の二重エアゾール製品の充填方法を示す工程図であり、図15eは排出状態を示す断面側面図である。
【図16】図16a、図16bは本発明の残ガス排出機構のさらに他の実施形態を示す断面側面図であり、図16c、図16dは本発明の残ガス排出機構のさらに他の実施形態を示す断面側面図である。
【図17】図17a、図17bは本発明の残ガス排出機構のさらに他の実施形態を示す断面側面図である。
【図18】図18a、図18bは本発明の二重エアゾール製品の残ガス排出機構の第1状態を示す断面側面図であり、図18cはその第2状態を示す断面側面図である。
【符号の説明】
【0088】
A 原液
B 加圧剤
10 二重エアゾール製品
11 容器本体
12 内袋
13 エアゾールバルブ
14 残ガス排出機構
16 胴部
17 目金部
18 底部
19 ビード部
20 ガス充填用バルブ
21 胴部
22 肩部
23 首部
24 フランジ部
25 底部
26 ピンチオフ部
27 ガスケット
28 マウンティングカップ
29 ハウジング
30 ステム孔
31 ステム
32 スプリング
33 ステムラバー
34 係合部
34a 外周面
34b 内部通路
35 保護部材
36 貫通部材
37 装着部
38 収容部
38a 底面
38b 側面
39 区画板
39a 挿入孔
40 連通孔
41 噴射部材
42 収納部本体
43 連結部
44 中心孔
45 窓
46 切り欠き
47 脚
48 受圧部
49 先端(穿孔部)
50 二重エアゾール製品
51 容器本体
52 内袋
53 バルブ
54 残ガス排出機構
56 底部
57 胴部
58 肩部
59 ビード部
61 マウンティングカップ
62 ハウジング
63 ステム
64 第1スプリング
65 第2スプリング
66 ステムラバー
67 内部通路
68 ハウジング本体
69 係合部
69a 外周面
70 連通孔
71 段部
72 ステム本体
73 第1段部
74 第2段部
75 押部
76 保護部材
77 貫通部材
78 収容部
78a 収容部の底面
78b 収容部の外周壁
79 装着部
80 係合孔
81 窓
82 切り欠き
83 先端
84 受圧部
85 脚
86 留め具
87 排出通路
88 ガス排出孔
89 先端
90 二重エアゾール製品
91 容器本体
92 ピストン
93 貫通部材
93a 貫通部材
93b 貫通部材
94 残ガス排出機構
95 ガス充填バルブ
96 バルブ
96a ハウジングの内底面
97 裾部
98 凹部
99 ハウジング
100 窓
101 連通孔
102 係合突起
103 段部
104 ステム
105 ステム本体
106 突起
107 押部
108 貫通部材の先端
109 受圧部
110 二重エアゾール製品
111 容器本体
111a ガス充填用バルブ
112 内袋
113 バルブ
113a ハウジング
113b ステム
113c カバーキャップ
114 残ガス排出機構
115 係合部材
116 パウチ
117 保護部材
118 貫通部材
119 フランジ部
120 窓
121 突起
122 本体
123 脚
124 受圧部
125 連通孔
130 二重エアゾール製品
131 容器本体
132 内袋
133 バルブ
134 カバーキャップ
134aカバーキャップの下端
135 残ガス排出機構
136 胴部
137 底部
137a ガス充填用バルブ
138 肩部
139 首部
140 環状凹部
141 マウンティングカップ
142 ハウジング保持部
143 周壁部
144 連結底部
145 中心開口部
146 フランジ
147 段部
148 環状溝
149 開口部
150 シール材
151 蛇腹
152 貫通部材
153 保護部材
156 受圧部材
156a 受圧部材の下部
157 穿孔部材
159 連結部
160 脚
161 ヒンジ部
162 装着部材
163 テーパー部
164 収容部材
165 連通孔
166 窓
166a 外周壁
167 渦巻き溝
168 受圧部材
170 バルブ
171 穿孔部
172 内部通路
173 保護部材
173a 底部
173b 開口
174 係合部
174a 外周面
175 貫通部材
180 バルブ
181 貫通部材
182 保護部材
183 係合部
183a 外周面
183b 内部通路
184 装着部
185 尖鋭突起
186 筒部
187 内周壁
188 底部
189 開口
190 バルブ
191 保護部材
192 貫通部材
193 ステム
194 装着部
195 尖鋭突起
196 筒部
197 内周壁
198 ハウジングの係合部
199 内部通路
200 中心柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、その開口部に取り付けられるエアゾールバルブと、容器本体内に充填される原液および加圧剤と、前記容器本体内を原液が充填される原液室とその原液室を加圧する加圧剤が充填されるガス室とに区画し原液が少なくなるに従って原液室の容積を減少させる隔壁とを備えた二重エアゾール製品に設けられる、前記原液室の容積が所定の大きさになったときに隔壁を貫通して原液室とガス室とを連通させる残ガス排出機構であって、
隔壁を破る穿孔部を有する貫通部材と、その穿孔部を覆うことができる保護部材とを備えており、
前記穿孔部が保護部材に収められた第1状態と、前記穿孔部が保護部材から露出された第2状態とを有し、
前記第1状態で容器本体内に挿入され、エアゾールバルブを容器本体に取り付けた後、エアゾールバルブを介して操作することによって第2状態にすることができる、二重エアゾール製品用の残ガス排出機構。
【請求項2】
前記貫通部材が受圧部を有し、移動自在および/または変形自在に保護部材に収容されており、
前記第1状態からエアゾールバルブを介して前記受圧部に圧力を加えることによって第2状態にすることができる、請求項1記載の残ガス排出機構。
【請求項3】
前記貫通部材が、上部に設けられた受圧部と、下部に設けられた穿孔部とを備えている請求項2記載の残ガス排出機構。
【請求項4】
前記穿孔部が複数の尖鋭突起からなり、前記受圧部に圧力が加わったとき、その尖鋭突起が環状に拡がるようにして押し出される請求項3記載の残ガス排出機構。
【請求項5】
前記穿孔部が下方にのびる尖鋭突起である請求項3記載の残ガス排出機構。
【請求項6】
前記保護部材が、穿孔部を収容する収容部を有し、収容部の底部に穿孔部がスライドする底板を備えている請求項2記載の残ガス排出機構。
【請求項7】
前記保護部材が、エアゾールバルブのハウジングである請求項2記載の残ガス排出機構。
【請求項8】
前記保護部材が受圧部を有し、貫通部材またはバルブのハウジングに脱離可能な状態で装着されており、
前記第1状態からエアゾールバルブを介して前記受圧部に圧力を加えることによって第2状態にすることができる、請求項1記載の残ガス排出機構。
【請求項9】
前記保護部材が有底筒状であり、底部にガス連通孔を備えている、請求項8記載の残ガス排出機構。
【請求項10】
前記貫通部材または保護部材への圧力が原液の充填圧力である請求項2または8記載の残ガス排出機構。
【請求項11】
前記貫通部材または保護部材への圧力がエアゾールバルブのステムの押し下げによる力である請求項2または8記載の残ガス排出機構。
【請求項12】
容器本体と、その開口部に取り付けられるエアゾールバルブと、容器本体内に充填される原液および加圧剤と、前記容器本体を原液が充填される原液室とその原液室を加圧する加圧剤を充填するガス室とに区画し、原液が少なくなるに従って原液室の容積を減少させる隔壁と、原液室の容積が所定の大きさになったときに隔壁を貫通して原液室とガス室とを連通させる残ガス排出機構とを備えており、
前記残ガス排出機構は、隔壁を破る穿孔部を有する貫通部材と、その貫通部材を収容する保護部材とを備えており、
前記穿孔部が保護部材に収められた第1状態と、
前記穿孔部が保護部材から露出した第2状態とを有し、
前記第1状態で容器本体内に挿入され、エアゾールバルブを容器本体に取り付けた後で第2状態にすることができる、二重エアゾール製品。
【請求項13】
前記容器本体が、底部にガス室に加圧剤を充填するためのガス充填用バルブを備えている請求項12記載の二重エアゾール製品。
【請求項14】
前記隔壁が合成樹脂製の内袋、合成樹脂製のピストン、または、アルミニウム箔を貼り合せたパウチである、請求項12記載の二重エアゾール製品。
【請求項15】
前記エアゾールバルブが下部に残ガス排出機構を装着する円筒状の係合部を備えており、前記貫通部材が上部に受圧部を備えており、受圧部は係合部に内挿されている請求項12記載の二重エアゾール製品。
【請求項16】
前記穿孔部がエアゾールバルブのステムを所定の深さまで押し下げることによって、保護部材から突出して第2状態となる請求項12記載の二重エアゾール製品。
【請求項17】
前記エアゾールバルブのステムを所定の深さまで押し下げるときに抵抗する抵抗手段が設けられている請求項12記載の二重エアゾール製品。
【請求項18】
底部にガス充填用バルブを備えた容器本体と、その開口部に取り付けられるエアゾールバルブと、容器本体内に充填される原液および加圧剤と、前記容器本体を原液が充填される原液室とその原液室を加圧する加圧剤が充填されるガス室とに区画し、原液が少なくなるに従って原液室の容積を減少させる隔壁と、請求項10または11記載の残ガス排出機構とを備えた二重エアゾール製品の充填方法であって、
前記容器本体の開口部にエアゾールバルブを固着し、前記ガス室にガス充填用バルブを介して加圧剤を充填し、原液室内の空気を排出して原液室の容積を減少させ、原液室にエアゾールバルブを介して原液を充填し、残ガス排出機構を第1状態から第2状態にする、二重エアゾール製品の充填方法。
【請求項19】
有底筒状の容器本体と、その開口部に取り付けられるエアゾールバルブと、容器本体内に充填される原液および加圧剤と、前記容器本体を原液が充填される原液室とその原液室を加圧する加圧剤が充填されるガス室とに区画し、原液が少なくなるに従って原液室の容積を減少させる隔壁と、請求項10または11記載の残ガス排出機構とを備えた二重エアゾール製品の充填方法であって、
前記ガス室に加圧剤を充填すると共にエアゾールバルブを容器本体の開口部に固着し、原液室内の空気を排出して原液室の容積を減少させ、原液室にエアゾールバルブを介して原液を充填し、残ガス排出機構を第1状態から第2状態にする、二重エアゾール製品の充填方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−261632(P2007−261632A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−89065(P2006−89065)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】