説明

人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出及びその分泌物を抽出する方法

本発明はA.人または動物胚を原料にしてサンプリングし、サンプルに対して遠心処理を行う段階;B.酵素類消化液を利用してサンプルに対して消化をおこない、単細胞懸濁液を製造する段階、上記酵素類消化液はトリプシン−EDTAとIV型コラゲナーゼを含み;C.分離した単細胞に間葉系幹細胞A型培養液を入れ、細胞接種をおこなって培養する段階;D.細胞に対して付着純化処理をおこない、磁気ビーズ選別によって間葉系幹細胞を得る段階を含む人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出する方法に関するものである。また、本発明は間葉系幹細胞で分泌物を抽出する方法、その分泌物の美容、健康分野への応用、及びその分泌物を使って製造した上皮細胞修復液に関するものである。本発明は人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出する過程において、酵素類消化液としてトリプシン−EDTAとIV型コラゲナーゼ混合液を使用し、最も多い単細胞を獲得すると同時に細胞の損傷程度を最低に低めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は細胞生物学分野に関し、より具体的には、人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出及びその分泌物を抽出する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cells、MSC)は多分化潜在力及び自我更新能力を持つ一種の組織幹細胞であって、造骨、軟骨、脂肪、神経細胞などの多種組織細胞に分化することができる。これは最初に骨髄から、分離抽出され、最近では幹細胞/前駆細胞の特徴を持つ間葉系細胞は、骨髄、末梢血、緻密骨、軟骨、筋肉などの組織で分離抽出された。このような組織の共通の特徴は胚外中胚葉に由来した間葉系と血管で一緒に構成されたものであることである。間葉系幹細胞は易しく骨髄から、分離純化され、効果的な体外増殖をおこない、骨髄環境を改善し、造血再建を促進する作用を持つ。免疫特性分野において、間葉系幹細胞は未発現または無視可能な水準のMHCII類分子だけを発現し、未関連提供者の間葉系幹細胞は同種異形リンパ球反応(Allogeneic lymphocyte reaction)を起こさないものであり、同種異形免疫反応を下方調節することができる。上記特性を持つので、MSCは発見後迅速に細胞治療、遺伝子治療などの分野の理想的な細胞及び組織、特に骨または軟骨組織損傷修復において重要な種細胞(seed cells)になった。
【0003】
現在報告された間葉系幹細胞は主に骨髄に由来し、密度勾配分離法を使って獲得する。提供者は骨髄採取に比較的苦痛ある手術を経験し、採取過程において及び採取後に非常に高い感染確率がある;また、人体骨髄中に間葉系幹細胞の含有量が非常に少なく、毎10−10個単個核細胞においておおよそ1個の間葉系幹細胞のみであり、年齢の増加、または同時感染、腫瘍などの疾病により、骨髄に間葉系幹細胞の数量及び増殖分化能力が大幅に減少する。これは研究と応用、特に臨床応用において非常に大きい制限を受ける。
既存技術において、間葉系幹細胞を分離する常用方法は(1)子宮から胎盤を分娩後直ちに血を抜き、サンプルを得る段階;(2)持続的な貫流の方法を使用し、またはコラゲナーゼ消化法を使用し、単細胞懸濁液を獲得する段階;(3)単細胞懸濁液を密度勾配遠心法または免疫磁気ビーズ分離法によって、間葉系幹細胞を獲得する段階を含む。この既存技術は生産率が比較的低く、大量の間葉系幹細胞を早く得ることができないだけでなく、純度は比較的低い;尚、処理過程が細胞に対する損傷程度が比較的深刻であり、間葉系幹細胞の品質を確保しにくい;また、生産率が比較的低いので、高い有用性の見込みを持つ分泌物も抽出しにくい。
【0004】
従って、新規な人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出する方法の提供によって、大量の、高純度及び高品質の間葉系幹細胞を迅速に獲得できることは、強い要求がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一番目の目的は、人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出し、その分泌物を抽出する方法を提供するものであり、既存技術に存在する生産率、純度が比較的低いだけでなく、細胞品質を確保しにくい問題を解決するものである。
【0006】
発明の目的を実施するために、人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出する方法は、A.人または動物胚をサンプリングし、サンプルに対して遠心処理を行う段階;B.酵素類消化液を利用してサンプルに対して消化をおこない、単細胞懸濁液を製造する段階、なお上記酵素類消化液はトリプシン−EDTAとIV型コラゲナーゼを含む;C.分離した単細胞に間葉系幹細胞A型培養液を入れ、細胞接種をおこなって培養する段階;D.細胞に対して付着純化処理をおこない、磁気ビーズ選別によって間葉系幹細胞を得る段階を含む。
【0007】
好ましくは、上記段階Bにおいて、酵素類消化液はトリプシン0.125〜0.375g/L;EDTA0.075〜0.125g/L;及びIVコラゲナーゼ0.25〜0.75g/Lを含む。
上記段階Bにおいて酵素類消化液の製造は100mlに0.05gトリプシンと0.02gEDTA−4Naを含むD−HBSSと100mmlに0.01gIVコラゲナーゼを含む生理食塩水を1:1の体積比によって混合することを含む。
【0008】
好ましくは、上記間葉系幹細胞A型培養液は、
塩基性線維芽細胞成長因子1〜100ng/ml基質
上皮成長因子1〜100ng/ml基質
血小板由来成長因子1〜100ng/ml基質を含み、
そのうち、上記基質は、
DMEM培養液68〜97%
臍帯血血清1〜30%
抗生剤とグルタミン1%
非必須アミノ酸1%
抗酸化剤0〜0.1%(重量割合)を含む。
【0009】
好ましくは、上記段階Dにおいて付着純化処理は、
ピペットで未付着した細胞を吸出し、生理食塩水を入れて洗い出して新しい間葉系幹細胞A型培養液を交換して引き続き培養し、付着した細胞が培養フラスコの予定容積まで増殖の時トリプシン−EDTAで消化し、単細胞懸濁液を獲得することを含む。
【0010】
好ましくは、上記段階Dにおいて磁気ビーズ選別は、
免疫磁気ビーズ分離法を使用し、上記単細胞において、CD271とCD73二重陽性の細胞種、即ち胚で分離した間葉系幹細胞を選別することを含む。
【0011】
好ましくは、上記段階D後に、
E.得た間葉系幹細胞を増殖と継代を行う段階;及び/または
F.間葉系幹細胞の分泌物を抽出し出す段階を更に含む。
【0012】
好ましくは、上記段階Fは、
F1.酵素類消化液を利用して間葉系幹細胞に対して消化処理を行う段階;
F2.収集した細胞に培地を入れて接種培養をおこない、間葉系幹細胞B型培養液を入れて細胞が分泌因子を生産することを促進する段階;
F3.収集した培養液に対して遠心濾過し、分泌物を得る段階を含む。
好ましくは、上記間葉系幹細胞B型培養液に塩基性線維芽細胞成長因子と血小板由来成長因子を含む。
【0013】
本発明の二番目の目的は、
A'.酵素類消化液を利用して間葉系幹細胞に対して消化処理を行う段階;
B'.収集した単細胞に培地を入れて接種培養をおこない、間葉系幹細胞B型培養液を入れて細胞が分泌因子を生産することを促進する段階;
C'.収集した培養液に対して遠心濾過し、分泌物を得る段階を含む間葉系幹細胞の分泌物を抽出する方法を提供するものである。
【0014】
好ましくは、上記段階A'は、
A'1.100mLに0.05gトリプシンと0.02gEDTA−4Naを含む消化液を利用して間葉系幹細胞に対して消化処理を行う段階;
A'2.間葉系幹細胞がラウンド脱落する場合、牛血清を含む1640培養液で消化を中止する段階を更に含む。
【0015】
好ましくは、上記間葉系幹細胞B型培養液は、
塩基性線維芽細胞成長因子1〜100ng/ml基質
血小板由来成長因子1〜100ng/ml基質を含み、
そのうち、上記基質は、
DMEM培養液96.9%
ピルビン酸ナトリウム1%
抗生剤とグルタミン1%
非必須アミノ酸1%
抗酸化剤0.1%(重量割合)の原料で製造することを含む。
【0016】
好ましくは、上記段階B'において間葉系幹細胞B型培養液を入れて細胞が分泌因子を生産することを促進する段階は、培養フラスコ内の細胞層が培養フラスコの予定容積まで増殖する場合、培養液を吸出して燐酸塩緩衝液で洗い;その後間葉系幹細胞B型培養液を入れ、間葉系幹細胞が分泌因子生産を刺激することを含む。
【0017】
好ましくは、上記段階B'において培地を入れて接種培養を行う段階は、
分離した単細胞に間葉系幹細胞培地を入れ、よく振って5〜8×10個細胞/mlの細胞密度で調節し;
調節後の細胞溶液を多数の培養フラスコに接種し、5〜10%C0、37℃、飽和湿度のインキュベーターに入れて培養することを含む。
【0018】
本発明の三番目の目的は、本発明による上記間葉系幹細胞の分泌物を抽出する方法によって生産された分泌物を提供するものである。
【0019】
本発明の四番目の目的は、本発明による上記間葉系幹細胞の分泌物を抽出する方法によって生産された分泌物の人体美容分野への応用を提供するものである。
【0020】
本発明の五番目の目的は、本発明による上記間葉系幹細胞の分泌物を抽出する方法によって生産された分泌物の健康製品分野への応用を提供するものである。
【0021】
本発明の六番目の目的は、
溶剤50〜94%
防腐剤0〜0.5%
湿潤剤0〜3%
分泌物0.5〜25%
コラーゲン5〜25%(重量割合)を含む上皮細胞修復液を提供するものである。
好ましくは、上記防腐剤はイミダゾリジニル尿素、プロピルパラベン及び/またはメチルパラベンを含み;上記湿潤剤はグリセロール及び/またはヒアルロン酸を含む。
【0022】
上記から分かるように、本発明は人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出する過程において、消化液として混合した酵素類消化液を使用し、より多い単細胞を獲得することができると同時に細胞の損傷程度を最低に低め;また付着純化と免疫磁気ビーズ分離によって間葉系幹細胞を選別し、純度を高める。また、分離した単細胞に間葉系幹細胞A型培養液を入れ、細胞接種をおこなって培養するので、細胞の成長と増殖を促進する。更に、間葉系幹細胞培養の過程において幹細胞B型培養液を入れ、間葉系幹細胞が分泌因子を生産することを刺激するので、間葉系幹細胞からより多い細胞分泌因子を含む分泌物を抽出する。
以下、図面及び実施例によって、本発明の詳細を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図A】図1、図2、図3を示す。図1は、本発明の一の実施例において、人または動物から間葉系幹細胞を抽出する方法の流れ図。図2は、本発明の一の実施例において、酵素類消化液を使って消化した後、初代細胞(primarycells)が付着成長する模式図である。図3は、本発明の他の実施例において、酵素類消化液を使って消化後、初代細胞が付着成長する模式図である。
【図B】図4〜8を示す。図4は本発明のまた他の実施例において、酵素類消化液を使って消化後、初代細胞が付着成長する模式図である。図5は、本発明の一の実施例において、間葉系幹細胞A型培養液を使って細胞接種をおこなって培養し、細胞が付着成長する状況を得る模式図である。図6は本発明の他の実施例において、間葉系幹細胞A型培養液を使って細胞接種をおこなって培養し、細胞が付着成長する状況を得る模式図である。図7は本発明のまた他の実施例において、間葉系幹細胞A型培養液を使って細胞接種をおこなって培養し、細胞が付着成長する状況を得る模式図である。図8は既存技術の培養液を使って細胞接種をおこなって培養し、細胞の付着成長の状況を得る模式図である。
【図C】図9を示す。本発明の更に他の実施例の人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出する方法の流れ図である。
【図D】図10〜11を示す。図10は、本発明の一の実施例において、間葉系幹細胞が表面蛋白を発現することを検出する模式図である。図11は、本発明の一の実施例において、細胞化学方法が胎盤間葉系幹細胞が脂肪、軟骨及び造骨細胞に分化することを誘導する模式図である。
【図E】図12〜13を示す。図12は、本発明の一の実施例において、間葉系幹細胞の分泌物を抽出する方法の流れ図である。図13は、本発明の一の実施例において、間葉系幹細胞の分泌因子を検出する模式図である。
【図F】図14〜15を示す。図14は、本発明の一の実施例において、検査によって、間葉系幹細胞の分泌物に大量の細胞成長因子群とコラーゲン分子群が含むことを示す模式図。図15は、本発明の一の実施例において、間葉系幹細胞の分泌物の上皮修復作用の模式図である。
【図G】図16〜17を示す。図16は、本発明の一の実施例の上皮細胞修復液がやけど傷面に対する修復の模式図である。図17は、本発明の一の実施例の上皮細胞修復液の人体美容分野での応用の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の目的、技術手段及び長所を更に明確に理解させるために、以下図面及び実施例をもとにして、本発明の進歩性を詳しく説明する。ここで述べた実施例は本発明を解釈することを目的とし、本発明を限定するものではない。
【0025】
図1は本発明の一の実施例において、人または動物で間葉系幹細胞を抽出する方法の流れ図を示し;段階S101において、人または動物胚を原料にしてサンプリングし、サンプルに対して遠心処理をおこない;段階S102において、酵素類消化液を利用してサンプルに対して消化をおこない、単細胞懸濁液を製造し;段階S103において、分離した単細胞に間葉系幹細胞A型培養液を入れ、細胞接種をおこなって培養し;段階S104において、細胞に対して付着純化処理をおこない、磁気ビーズ選別によって間葉系幹細胞を得ることを含む。
【0026】
本発明の一つの好ましい実施例において、上記段階S102は、
1.遠心後に、上澄液を吸引して捨てる。0.375gトリプシン、0.125gEDTAと0.25gIVコラゲナーゼを1L生理食塩水に溶解し、本発明の酵素類消化液を調製する。その後調製された酵素類消化液30mlを遠心管に入れて37℃恒温水槽震盪器において、1.5〜2h消化する。獲得した初代細胞付着成長の状況は図2に示される。本発明の他の実施例において、先に0.375gトリプシン、0.125gEDTAを500mLのD−HBSSに溶解し、その後0.25gIVコラゲナーゼを500ml生理食塩水に溶解し、その後500mlのD−HBSSと500ml生理食塩水を混合し、1Lの本発明の酵素類消化液を製造することができる。本発明のその他の実施例において、当業者はその他の方法、または緩衝液を使って本発明の酵素類消化液を調製することもできる。
【0027】
2.消化終了後の溶液に3〜5倍体積の生理食塩水を入れて希釈し、よく振り、電動ピペットで吸引して100mセルストレーナーを通過させ、単細胞懸濁液を製造する。
本発明の他の実施例において、100mlに0.05gトリプシンと0.02gEDTA−4Naを含むD−HBSSと100mmlに0.01gIVコラゲナーゼを含む生理食塩水を等体積で混合し、本発明の酵素類消化液を調製することができる。その後、調製された酵素類消化液30mlを遠心管に入れ、37℃恒温水槽震盪器において、1.5〜2h消化する。獲得した初代細胞付着成長の状況は図3に示される。本発明のその他の実施例において、例えばPBSを使って生理食塩水を取り替えることができる。本発明の好ましい実施例において、GIBCO社製のトリプシン−EDTA(0.05%)とコラゲナーゼ消化液(1mgIVコラゲナーゼ/ml生理食塩水)を1:1の体積比によって混合して製造することができる。
【0028】
本発明のまた他の実施例において、0.125gトリプシン、0.075gEDTAと0.75gIVコラゲナーゼを500ml生理食塩水と500mlD−HBSSの混合液に溶解し、本発明の酵素類消化液を調製することができる。その後調製された酵素類消化液30mlを遠心管に入れて37℃恒温水槽震盪器で1.5〜2h消化する。獲得した初代細胞付着成長の状況は図4に示される。
【0029】
本発明のその他の実施例において、その他の配合比、緩衝液または方法によって本発明の酵素類消化液を調製することもできる。例えば、0.2gトリプシン、0.05gEDTA−4Naを500mlD−HBSSに溶解する同時に0.5gIVコラゲナーゼを500ml生理食塩水またはPBSに溶解し、その後500mlのD−HBSSと500ml生理食塩水を混合し、1Lの本発明の酵素類消化液を製造する。
【0030】
GIBCO社製のトリプシン−EDTA(0.05%)とコラゲナーゼ消化液(1mgIVコラゲナーゼ/ml生理食塩水)を等体積で混合し、時間(1.5〜2h)消化し、酵素が細胞に対する消化損傷程度を最低に低めるようにできると同時に最大の単細胞を獲得することができるので、消化過程に二つの種類の酵素の配合と消化時間を調整することは、人胎盤の間葉系幹細胞を分離するために非常に重要である。
【0031】
本発明の一つの好ましい実施例において、上記間葉系幹細胞A型培養液は基質、塩基性線維芽細胞成長因子、上皮成長因子及び血小板由来成長因子を含む。基質において、塩基性線維芽細胞成長因子の濃度は1ng/ml、上皮成長因子の濃度は1ng/ml、血小板由来成長因子の濃度は1ng/mlである。この実施例において、基質は、97%重量割合のDMEM培地、1%重量割合の臍帯血血清、1%重量割合のペニシリン−ストレプトマイシン−グルタミン溶液、1%重量割合の非必須アミノ酸(Non−essential amino acids)を含む。上記間葉系幹細胞A型培養液を使って細胞接種をおこなって培養し、獲得した細胞付着成長の状況は図5に示される。
【0032】
本発明において、特別な説明以外、上記間葉系幹細胞A型培養液と上記間葉系幹細胞B型培養液の基質中の各組成成分は全てアメリカGIBCO社から購入した。
【0033】
本発明の他の好ましい実施例において、上記間葉系幹細胞A型培養液は、基質、塩基性線維芽細胞成長因子、上皮成長因子及び血小板由来成長因子を含む。基質において、塩基性線維芽細胞成長因子の濃度は25ng/ml、上皮成長因子の濃度は25ng/ml、血小板由来成長因子の濃度は25ng/mlである。この実施例において、基質は、77.9%重量割合のDMEM培地、20%重量割合の臍帯血血清、1%重量割合のペニシリン−ストレプトマイシン−グルタミン溶液、1%重量割合の非必須アミノ酸、0.1%重量割合のβ−メルカプトエタノールを含む。上記間葉系幹細胞A型培養液を使って細胞接種をおこなって培養し、獲得した細胞付着成長の状況は図6に示される。
【0034】
本発明の他の好ましい実施例において、上記間葉系幹細胞A型培養液は、基質、塩基性線維芽細胞成長因子、上皮成長因子及び血小板由来成長因子を含む。基質において、塩基性線維芽細胞成長因子の濃度は100ng/ml、上皮成長因子の濃度は100ng/ml、血小板由来成長因子の濃度は100ng/mlである。この実施例において、基質は、67.9%重量割合のDMEM培地、20%重量割合の臍帯血血清、1%重量割合のペニシリン−ストレプトマイシン−グルタミン溶液、1%重量割合の非必須アミノ酸、0.1%重量割合のメルカプトエタノールを含む。上記間葉系幹細胞A型培養液を使って細胞接種をおこなって培養し、獲得した細胞付着成長の状況は図7に示される。
【0035】
図8は既存技術の培養液を使って細胞接種をおこなって培養し、細胞付着成長の状況を獲得する模式図である。図5−8に示した細胞付着成長の状況を比べて、間葉系幹細胞A型培養液を使って培養をおこなった場合、細胞の成長を大幅に促進したことを見出すことができる。
【0036】
図9は本発明の一の実施例の人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出する方法の流れ図である。図9に示されるように、段階S901において、動物胎盤及び/または臍帯を原料にしてサンプリングし、サンプルに対して遠心処理を行う。
【0037】
本発明の一の実施例において、上記段階の具体的な実施過程は次のようである;
1.新鮮な胎盤をはさみで外面の膜を取り除き、内部暗紅の組織塊、最も好ましくは血管密集部位の組織を取る。血管は木の根形状のように交差されている。生理食塩水(ヘパリンを入れ、500ml塩水に2本ヘパリンを入れ、12500IU/本、最終濃度は50単位ヘパリン/ml生理食塩水)で組織の血液をきれいに洗い、ヘパリンを含まない生理食塩水で一度洗い、その後はさみで組織塊を細く切る(細いほど良い)。臍帯に対する処理は臍帯を毎段約2cmで切り、ヘパリンを含む塩水で血液をきれいに洗い、縦剪断し、内部の血液をきれいに洗い、その後ヘパリンを含まない生理食塩水で一度洗い、はさみで臍帯を細く切る。勿論、本発明は上記方法に限定されるのではなくて、本発明の原料として胚のその他部分を選択することもできる。
2.サンプルを生理食塩水を入れた遠心管に移し、遠心処理を行う。一つの好ましい実施例において、収集したサンプルを生理食塩水を入れた50ml遠心管に入れて置き、1200rpm、10min遠心を行う。
【0038】
段階S902において、酵素類消化液を利用してサンプルに対して消化をおこない、単細胞懸濁液を製造する。本発明の一の実施例において、上記段階の具体的な実施過程は次のようである;
1.遠心後、上澄液を吸引して捨て、体積比1:1によってトリプシン−EDTA(0.05%)とIV型コラゲナーゼ(1mg/ml)を混合し、30mlを遠心管に入れて37℃恒温水槽震盪器において、1.5〜2h消化する。勿論、消化処理の段階にその他の調製法を使用することもでき、具体的に記載した上記工程を参照することができる。
2.消化終了後の溶液に3〜5倍生理食塩水を入れて希釈し、よく振り、電動ピペットで吸引して100μmセルストレーナーを通過させ、単細胞懸濁液を製造する。
【0039】
段階S903において、単細胞懸濁液をへて分離した単細胞を得、分離した単細胞に間葉系幹細胞A型培養液を入れ、細胞接種をおこなって培養する。本発明の一の実施例中、上記段階の具体的な実施過程は次のようである;
1. 単細胞懸濁液を1600rpm、10min遠心をおこなった後上澄液を捨て;
2. 間葉系幹細胞A型培養液を入れ、よく振って5〜8×10個細胞/mlの細胞密度で調節し;
3. 調節後の溶液を多数ウェルプレート(例えば6ウェルプレート)に接種し、5%C0、37℃、飽和湿度のインキュベーターに入れて培養する。
勿論、本発明はその他の数値を選択して調製することもでき、上記の実施方法は本発明の保護範囲を限定するものではない。上記間葉系幹細胞A型培養液は上記実施例中のどの一つをも選択的に使うことができる。
【0040】
段階S904において、細胞に対して付着純化処理をおこない、磁気ビーズ選別へて間葉系幹細胞を得る。本発明の一の実施例において、上記段階の具体的な実施過程は次のようである;
1.付着純化処理;具体的にはピペットで未付着した細胞を吸出し、生理食塩水を入れて洗い、新しい間葉系幹細胞A型培養液を交換して引き続き培養し、付着した細胞が培養フラスコの容積の70%まで増殖の時トリプシン−EDTA(0.05%)で消化し、単細胞を獲得することを含む。
本発明において、トリプシン−EDTA(0.05%)によって消化後獲得した単細胞懸濁液を一般遠心(1600r/min)によって単細胞を獲得した、このような単細胞群体中には多様な生物学特性の他の細胞が含まれ、一部死んだ細胞も混雑されている。その後間葉系幹細胞の培養液で選別をおこなう。生存することができ、付着成長ができる細胞の大部分は間葉系幹細胞であるので、付着純化によって大量の非間葉系幹細胞を取り除くことができる。
2.磁気ビーズ選別;具体的には免疫磁気ビーズ分離法を使用し、上記単細胞において、CD271とCD73二重陽性の細胞群、即ち胎盤で分離した間葉系幹細胞を選別する。磁気ビーズ選別は最も短時間によって大量に生きている高純度の間葉系幹細胞を獲得することを含む。
【0041】
段階S905において獲得した間葉系幹細胞の増殖と継代を行う、その具体的な実施過程は次のようである;
1. ピペットでフラスコ内の培地を吸出する。
2. 少量の燐酸塩緩衝液を入れて軽く一度洗い、吸引して捨てる。pH値を平衡化する。
3.トリプシン−EDTA(0.05%)酵素液を入れてフラスコ底を浸す。顕微鏡下に観察し、大部分の細胞がラウンド脱落時牛胎児血清を含む1640培養液で消化を中止する。
4.ピペットでフラスコ内の培養液を吸引して細胞層をピペッティングし、細胞懸濁液を一つの50ml遠心管に収集し、その後PBSで培養フラスコを一度洗う。
5.細胞懸濁液を1200rpm、8min遠心を、上澄液を捨て、間葉系幹細胞A型培養液を入れ、細胞を均一にさせ、1:nの比例に従ってフラスコにて継代を行う。これによって大量の胎盤間葉系幹細胞を獲得する。そのうちn>1、例えばnの典型的な可能な値は4である。
【0042】
図10は本発明の一つの実施例において、間葉系幹細胞の表面蛋白の発現を検出する模式図である。本発明はフローサイトメトリーで胎盤間葉系幹細胞の表面サイトカインの発現を検査した。分離培養した胎盤間葉系幹細胞はCD9、CD29、CD105、CD166表面タンパク質を発現し、CD34、CD13、CD14、CD45表面タンパク質を発現しないことが分かった。この群の細胞生物特性は安定で、1代と2代増殖後の細胞同質性がそれぞれ95%と98%に到逹する。この図において、中が空いた淡い色曲線は一種のサイトカイン発現の陰性対照を表し、中が詰まった黒色図は細胞群体において、相応したサイトカイン発現の陽性率の高さを示す。中が詰まった黒色図が中が空いた淡い色曲線より遠く離れるほど、このようなサイトカインの陽性率がより高い。
【0043】
図11は本発明の一つの実施例において、細胞化学方法によって胎盤間葉系幹細胞が脂肪、軟骨及び造骨細胞に分化することを誘導する模式図である。胎盤間葉系幹細胞(PDMSC)は連続継代培養と冷凍保管後、変わることなく多分化潜在力を持つことだけではなく正常な核タイプ核テロメラーゼ活性を維持するが、自我分化は容易でなく、体外からの特定の誘発条件の下に、PDMSCは骨、軟骨、脂肪、腱、筋肉、神経などの多様な細胞に分化することができる。そのうち、図Aは脂肪誘導剤を入れた後に、胎盤間葉系幹細胞が脂肪細胞に分化してオイルレッド染色して陽性になることを示し、細胞質内にオレンジレッドの脂肪滴を見られる。図Bは、誘導剤を入れた後、胎盤間葉系幹細胞が造骨細胞に分化し、Von Kossaで造骨細胞の検出を行うことを示す。Von Kossa染色は細胞が暗褐色であり、間に黒色粒子がいっぱい散らばり、鉱物化基質沈積があることを示す。図Cは軟骨誘導剤を入れて細胞に対して誘導をおこない、アルシアンブルーで染色してタンパク質多糖の発現を示す。図Dは免疫組織化学方法によって検査し、誘導分化後軟骨細胞特有のコラーゲンII−軟骨細胞の発現を示す。
【0044】
さらに追加的に説明をおこなうと、人胚幹細胞(hESC)と鼠胚幹細胞(mESC)栄養層である胎盤間葉系幹細胞の応用である。細胞栄養層である胎盤間葉系幹細胞(PDMSC)は人胚幹細胞(hESC)と鼠胚幹細胞(mESC)への成長を可能にし、胚幹細胞が未分化状態にあることを維持する。現在、人胚幹細胞(hESC)と鼠胚幹細胞(mESC)の栄養層として鼠の胚纎維母細胞(MEF)を使う。しかし、幹細胞の成長栄養層として鼠の胚纎維母細胞(MEF)を使うことは幾多の制限を受ける;
1.動物由来性汚染の危険が存在し;
2.大量鼠の胚纎維母細胞(MEF)を抽出するためにきわめて多量の鼠を殺さなければならない。
【0045】
胚幹細胞の栄養層として元気な人由来胎盤間葉系幹細胞(PDMSC)を使うことは独特の優位性がある;
1.きわめて多量の犠牲を免れ、廃棄される人由来の胎盤組織を材料として選べ、
2.動物由来性汚染の危険を免れ、
3.人胚幹細胞の栄養層として人の胎盤間葉系幹細胞(PDMSC)を使えるので人胚幹細胞の培養に対してより有利である。従って、人胚幹細胞(hESC)栄養層の由来として、PDMSCは鼠の胚纎維母細胞(MEF)に比べて理想的な選択である。
【0046】
図12は本発明における一の実施例において、間葉系幹細胞の分泌物を抽出する方法の流れ図である。
【0047】
段階S1201において、酵素類消化液を利用して間葉系幹細胞に対して消化処理をおこなう。その具体的な過程は次のようである;
1. 細胞が大量増殖後、175cm培養フラスコで80%程度まで育った時、トリプシン−EDTA(0.05%)を入れて消化処理を行う。
2.上記間葉系幹細胞がラウンド脱落する場合、牛血清を含む1640培養液で消化を中止する。
【0048】
段階S1202において、収集した細胞に培地を入れて接種培養をおこない、間葉系幹細胞B型培養液を入れて細胞がより多量の分泌因子を生産することを促進する。その具体的な過程は;
1.収集した細胞に培地を入れて接種培養を行う。一つの好ましい実施例において、上記段階の具体的な過程は次のようである:収集した細胞に間葉系幹細胞培養液を入れ、よく振って5〜8×10個細胞/mlの細胞密度で調節し;調節後の溶液を培養フラスコに接種し、5%C0、37℃、飽和湿度のインキュベーターに入れて培養する。本発明のその他の実施例において、必要によって5%COの濃度を調節することもできる、例えば10%、8%、6%など。
2.間葉系幹細胞B型培養液を入れて細胞がより多量の分泌因子を生産することを促進する。一つの好ましい実施例において、上記段階の具体的な過程は次のようである:培養フラスコ中の細胞層が80%まで増殖する場合、培養液を吸出して燐酸塩緩衝液で洗うことを含む。
【0049】
本発明の一番目の好ましい実施例において、上記間葉系幹細胞B型培養液は基質、塩基性線維芽細胞成長因子及び血小板由来成長因子を含む。基質において、塩基性線維芽細胞成長因子の濃度は1ng/ml、血小板由来成長因子の濃度は1ng/mlである。この実施例において、基質は、96.8%重量割合のDMEM培地、1%重量割合のペニシリン−ストレプトマイシン−グルタミン溶液、1%重量割合の非必須アミノ酸、0.1%重量割合のβ−メカブトエタン及び1%重量割合のピルビン酸ナトリウムを含む。
【0050】
本発明の二番目の好ましい実施例において、上記間葉系幹細胞B型培養液は基質、塩基性線維芽細胞成長因子及び血小板由来ソングザングインザウル含む。基質において、含まれる塩基性線維芽細胞成長因子の濃度は25ng/ml、血小板由来成長因子の濃度は25ng/mlである。この実施例において、基質は、96.8%重量割合のDMEM培地、1%重量割合のペニシリン−ストレプトマイシン−グルタミン溶液、1%重量割合の非必須アミノ酸、0.1%重量割合のβ−メカブトエタン及び1%重量割合のピルビン酸ナトリウムを含む。
【0051】
本発明の三番目の好ましい実施例において、上記間葉系幹細胞B型培養液は基質、塩基性線維芽細胞成長因子及び血小板由来成長因子を含む。基質において、含まれる塩基性線維芽細胞成長因子の濃度は100ng/ml、血小板由来成長因子の濃度は100ng/mlである。この実施例において、基質は、96.8%重量割合のDMEM培地、1%重量割合のペニシリン−ストレプトマイシン−グルタミン溶液、1%重量割合の非必須アミノ酸、0.1%重量割合のβ−メカブトエタン及び1%重量割合のピルビン酸ナトリウムを含む。
【0052】
段階S1203において、収集した培養液に対して遠心濾過し、分泌物を得る。上記段階の具体的な過程は次のようである;
1.培養液を収集し、2000rpm、8min遠心をおこなった後上澄液を収集する。
一つの好ましい実施例において、上記段階の具体的な過程は次のようである;3日培養後培養液を収集する。収集液を2000G、8min遠心を経って、細胞切れを取り除き、上澄液を収集する。
2.0.22μmの濾過器で濾過し、分泌物を得る。
一つの好ましい実施例において、上記段階の具体的な過程は次のようである:0.22μの濾過器で濾過し、濾液を収集して−20℃の条件の下に2日保存し、その後−80℃の条件の下において長期保管する。
【0053】
本発明好ましい実施例において、上記間葉系幹細胞の分泌物を抽出する方法は上記分泌物に対して濃縮を行うことを更に含む。一の実施例において、濃縮段階の具体的な実施過程は先に限外濾過膜を準備し;まず75%酒精で限外濾過膜を洗って10min浸け;ピンセットで膜端を抓み、注射用水で3回洗ったその後、きれいな容器に盛られた注射用水に入れて浸け、一晩置いて保管することを含む。
1.収集液を限外濾過コップに作業体積まで入れ、組み立てを完成する。一つの好ましい実施例において、上記段階の具体的な過程は次のようである:限外濾過コップのマニュアルによって膜片、コップ本体、撹拌システムを設置し、収集液を作業体積まで入れた後、コップ蓋、保護カバーを更に配置する。
2.窒素ガスを入れ込んで濾過をおこない、濾過後の濃縮液を収集する。一つの好ましい実施例において、上記段階の具体的な過程は次のようである:窒素ガスを入れ込んで濾過を始め、気を付けなければならないことは濾過開始時にゆっくり加圧し、圧力がある後磁気ミキサーをつけなければならないことであり;濾過において、窒素ガス圧力は55PSIを超過することができないし;濾過終了後ゆっくり圧力を低めなければならない。最後に、限外濾過コップ中の収集液を25倍まで濃縮される場合濃縮を停止し、スーパークリーンベンチに濃縮液を収集し、−80℃冷蔵庫に保存する。
【0054】
間葉系幹細胞B型培養液を使用しない場合、濃縮後の分泌物において、含まれるタンパク質濃度は0.2mg/mlである。上記一番目の実施例の間葉系幹細胞B型培養液を使用する場合、濃縮後の分泌物において、含まれるタンパク質濃度は0.3mg/ml;上記二番目の実施例の間葉系幹細胞B型培養液を使用する場合、濃縮後の分泌物において、含まれるタンパク質濃度は1.5mg/ml;上記三番目の実施例の間葉系幹細胞B型培養液を使用する場合、濃縮後の分泌物において、含まれるタンパク質濃度は2mg/mlである。
【0055】
図13は本発明における一の実施例において、間葉系幹細胞の分泌因子を検出する模式図である。胎盤間葉系幹細胞分泌因子産物において、大量のタンパク質分子を含む。胎盤間葉系幹細胞培養増殖過程において、胎盤間葉系幹細胞は極めて多い成長因子、タンパク質、活性ペプチッドなどの細胞成長、組織再生を促進する物質を分泌する。この図において、銀染色によって胎盤間葉系幹細胞が分泌したサイトカインは対照群と著しい差があることを示し、胎盤間葉系幹細胞分泌物において、大量の独特なタンパク質分子を含む。
【0056】
図14は本発明の一の実施例において、検査の結果、間葉系幹細胞の分泌物には、大量の細胞成長因子群とコラーゲン分子群を含むことを示す。サイトカイン抗体アレイを利用して胎盤間葉系幹細胞分泌因子タンパク質群について評価を行った。大量胎盤間葉系幹細胞が独特の遺伝子産物を分泌することを見出した。このような遺伝子産物において、大量の細胞成長と代謝に関した成長因子群、例えば、BDNF、EGF、FGF、FGF17、FGF4、FGF6、FGP7、FGF9、GDNF、HGF、IGFBp、PDGFB、PIGF、TGFB1、TGFb2、TNFRSF11B、YEGF、IGF1とLEPなど;及び大量のコラーゲン分子群、例えば、COL11A1、COL12A1、COL16A1、COL1A、COL3A1、COL4A1、COL5AとCOL6Aなどを含む。このようなタンパク質分子群は、細胞の成長と代謝を促進することに重要な作用を持つ。この図において、検査によって、胎盤間葉系幹細胞分泌物は、大量の細胞成長因子群とコラーゲン分子群を含むことを見出した。図に矢印によって示される。
次いで、間葉系幹細胞の分泌物の機能を説明する。主に上皮修復、人体美容、再生医学、健康製品等の幾つの分野における作用を説明する。
【0057】
本発明は、また上皮細胞修復液を提供することであり、水71%、防腐剤0.5%、湿潤剤3%、分泌物5.5%、コラーゲン20%を含む。そのうち、防腐剤はイミダゾリジニル尿素0.15%、プロピルパラベン0.2%とメチルパラベン0.15%を含むことができるし、湿潤剤はグリセロール2%とヒアルロン酸1%を含む。当該分泌物は上記方法によって獲得することができる。
【0058】
本発明の他の実施例において、この上皮細胞修復液は水94%、湿潤剤0.5%、分泌物0.5%、コラーゲン5%を含む。そのうち、湿潤剤はグリセロール0.25%とヒアルロン酸0.25%を含む。
【0059】
本発明の他の実施例において、この上皮細胞修復液は水88%、イミダゾリジニル尿素0.1%、プロピルパラベン0.2%、メチルパラベン0.1%、グリセロール1%、ヒアルロン酸1%、分泌物2%、コラーゲン7.5%を含む。本発明の他の実施例において、この上皮細胞修復液は水50%、分泌物25%、コラーゲン25%を含む。本発明のまた他の実施例において、この細胞修復液は水68.5%、イミダゾリジニル尿素0.3%、プロピルパラベン0.2%、グリセロール1%、ヒアルロン酸1%、分泌物15%、コラーゲン14%を含む。
【0060】
本発明の間葉系幹細胞分泌物は肌線維芽細胞に対して著しい保護作用がある。過酸化水素の損傷対して線維芽細胞を修復する実験において、培養液を胎盤間葉系幹細胞物(CM)に入れた後、過酸化水素の損傷による細胞死亡率を大幅に低めるので、生きている線維芽細胞の生存率を向上することを示す。過酸化水素の損傷に対して、線維芽細胞を修復する実験中、培養液に胎盤肝葉幹細胞分泌物を入れた後、過酸化水素の損傷による細胞死亡率を大幅に低めるだけでなく、CM量の増加によって、その線維芽細胞の生存率も大幅に高くなる(図15参照)。
【0061】
本発明の上皮細胞修復液を使って、線維芽細胞、血管内皮細胞の分裂繁殖及び促進細胞外基質の合成分泌を促進することができるので、肉芽組織の成長を促進し、竇道(sinus tract)を浅くし;上皮細胞の分裂繁殖を促進するので、傷面の上皮化を促進する。これをやけど傷面に応用し、線維芽細胞、血管内皮細胞の分裂繁殖及び細胞外基質の合成分泌を促進することができるので、肉芽組織の成長を促進し、傷面を浅くし;残存した毛嚢、汗線及び傷周り上皮細胞の分裂繁殖を促進するので、傷面の上皮を促進する(図16参照)。
【0062】
本発明の分泌物の人体美容分野への応用;
胎盤間葉系幹細胞分泌物の美容作用は胎盤間葉系幹細胞の分泌した因子がコラーゲンの生産量を増加して肌繊維母細胞の成長を促進することができることを利用して実施するものである。肌が弾性を豊かに帩偮ことは、主に肌真皮層内の線維芽細胞の分泌したコラーゲンが肌のサポートを形成したからであり、このような分泌物は肌繊維母細胞が製造したコラーゲンの体積を数倍増加させると同時に纎維母細胞の体積も30%超過増加させる。そのため、絶えず自我コラーゲンを生産し、肌真皮層の厚さと密度を増加させることができるし、皺を埋め、傷跡を取り除き、肌弾性と光沢を回復する。
【0063】
一般的に間葉系幹細胞分泌物を化粧品に入れた処方において、このような分泌物を含んだ多様な活性成分、特に細胞成長因子群とコラーゲン群は、ハイドロキシプロリンの合成を促進し、コラーゲン及びコラゲナーゼ合成を促進し、コラーゲン物質、ヒアルロン酸及び糖タンパク質を分泌し、コラーゲン纎維を調節することができ、肌をしっとりするようにし、肌弾性を増強、肌皺の減少と肌老化を防止する作用を提供する。本発明の上記の上皮細胞修復液は肌皺を減少させて肌老化を防止するのに使うことができ、その効果は図17に示されるように、大幅に肌弾性を改善し、肌に張りがあり、眼角(Canthus)及び額皺が浅くなって、肌が柔らかくなるだけでなく、色素沈着をある程度改善する。
【0064】
分泌物の健康製品分野への応用;
現在、損傷された肌を修復するのに一番理想的な高度先端技術の経口美容製品は一般的に各種活性因子、例えば塩基性纎維細胞成長因子(FGF)と上皮成長因子(EGF)を豊かに含む。しかし胎盤間葉系幹細胞は大量にこのような成長因子を分泌することができるし、このような成長因子は上皮細胞の分化を調節することができるだけでなく、肌の更新を増殖促進し、肌の弾性を増加し、肌の潤沢も回復することができる。これは甘草などの鎮静修復の成分を含んでおり、角質層に対して修復をおこない、また、豊かなブドウ種子OPCは抗酸化、抗フリーラジカルの有効成分であり、これは細胞を修復することができるし、角質の修復を強化し、角質層を保護、角質層の酸化黄変も防止することができる。従って、本発明の間葉系幹細胞分泌物とブドウ種子OPCを一般的な美容スキンケア製品に添加すると、その効能を倍加する。本発明により、当業者は本発明の分泌物を既存の化粧品、スキンケア製品及び薬品において応用する各種方法が理解できるし、このような方法によって各種必要な化粧品、スキンケア製品及び薬品を獲得することができる。
実施例は、本発明の比較的好ましい実施例であり、本発明を制限するものではなく、本発明の思想と原則内でおこなったどんな修正、同等な入れ替え及び改良などは、本発明の保護内にある。

【図A】

【図B】

【図C】

【図D】

【図E】

【図F】

【図G】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
A.人または動物胚を原料にしてサンプリングし、サンプルに対して遠心処理を行う段階;
B.酵素類消化液を利用してサンプルに対して消化をおこない、単細胞懸濁液を製造する段階、上記酵素類消化液はトリプシン−EDTAとIV型コラゲナーゼを含む;
C.分離した単細胞に間葉系幹細胞A型培養液を入れ、細胞接種をおこなって培養する段階;
D.細胞に対して付着純化処理をおこない、磁気ビーズ選別によって間葉系幹細胞を得る段階を含むことを特徴とする人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出する方法。
【請求項2】
請求項1記載の人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出する方法において、上記段階Bにおいて酵素類消化液は、
トリプシン0.125〜0.375g/L;
EDTA0.075〜0.125g/L;及び
IVコラゲナーゼ0.25〜0.75g/Lを含むことを特徴とする人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出する方法。
【請求項3】
請求項2記載の人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出する方法において、上記段階Bにおいて酵素類消化液の製造は、
100mlに0.05gトリプシンと0.02gEDTA−4Naを含むD−HBSSと100mmlに0.01gIVコラゲナーゼを含む生理食塩水を1:1の体積比によって混合することを含むことを特徴とする人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出する方法。
【請求項4】
請求項1記載の人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出する方法において、上記間葉系幹細胞A型培養液は、
塩基性線維芽細胞成長因子1〜100ng/ml基質
上皮成長因子1〜100ng/ml基質
血小板由来成長因子1〜100ng/ml基質を含み、
そのうち、上記基質は、
DMEM培養液68〜97%
臍帯血血清1〜30%
抗生剤とグルタミン1%
非必須アミノ酸1%
抗酸化剤0〜0.1%(重量割合)を含むことを特徴とする人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出する方法。
【請求項5】
請求項4記載の人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出する方法において、上記段階Dにおいて付着純化処理は、
ピペットで未付着した細胞を吸出し、生理食塩水を入れて洗い、新しい間葉系幹細胞A型培養液を交換して引き続き培養し、付着した細胞が培養フラスコの予定容積まで増殖の時、トリプシン−EDTAで消化し、単細胞懸濁液を獲得することを含むことを特徴とする人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出する方法。
【請求項6】
請求項5記載の人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出する方法において、上記段階Dにおいて磁気ビーズ選別は、
免疫磁気ビーズ分離法を使用し、上記単細胞が、CD271とCD73二重陽性の細胞であり、胚で分離した間葉系幹細胞を選別することを含むことを特徴とする人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出する方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出する方法において、上記段階D後に
E.得た間葉系幹細胞を増殖と継代を行う段階;及び/または
F.間葉系幹細胞の分泌物を抽出し出す段階を更に含むことを特徴とする人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出する方法。
【請求項8】
請求項7記載の人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出する方法において、上記段階Fは、
F1.酵素類消化液を利用して間葉系幹細胞に対して消化処理を行う段階;
F2.収集した細胞に培地を入れて接種培養をおこない、間葉系幹細胞B型培養液を入れて細胞が分泌因子を生産することを促進する段階;
F3.収集した培養液に対して遠心濾過し、分泌物を得る段階を含むことを特徴とする人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出する方法。
【請求項9】
請求項8記載の人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出する方法において、上記間葉系幹細胞B型培養液において塩基性線維芽細胞成長因子と血小板由来成長因子を含むことを特徴とする人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出する方法。
【請求項10】
A'.酵素類消化液を利用して間葉系幹細胞に対して消化処理を行う段階;
B'.収集した単細胞に培地を入れて接種培養をおこない、間葉系幹細胞B型培養液を入れて細胞が分泌因子を生産することを促進する段階;
C'.収集した培養液に対して遠心濾過し、分泌物を得る段階を含むことを特徴とする間葉系幹細胞の分泌物を抽出する方法。
【請求項11】
請求項10記載の人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出する方法において、上記段階A'は、
A'1.100mLに0.05gトリプシンと0.02gEDTA−4Naを含む消化液を利用して間葉系幹細胞に対して消化処理を行う段階;
A'2.間葉系幹細胞がラウンド脱落する場合、牛血清を含む1640培養液で消化を中止する段階を更に含むことを特徴とする間葉系幹細胞の分泌物を抽出する方法。
【請求項12】
請求項10記載の人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出する方法において、上記間葉系幹細胞B型培養液は、
塩基性線維芽細胞成長因子1〜100ng/ml基質
血小板由来成長因子1〜100ng/ml基質を含み、
そのうち、上記基質は
DMEM培養液96.9%
ピルビン酸ナトリウム1%
抗生剤とグルタミン1%
非必須アミノ酸1%
抗酸化剤0.1%(重量割合)の原料で製造することを含むことを特徴とする間葉系幹細胞の分泌物を抽出する方法。
【請求項13】
請求項12記載の人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出する方法において、上記段階B'において間葉系幹細胞B型培養液を入れて細胞が分泌因子を生産することを促進する段階は培養フラスコ中の細胞層が培養フラスコの予定容積まで増殖する場合、培養液を吸出して燐酸塩緩衝液で洗い;その後間葉系幹細胞B型培養液を入れ、間葉系幹細胞が分泌因子を生産することを刺激することを含むことを特徴とする間葉系幹細胞の分泌物を抽出する方法。
【請求項14】
請求項10記載の人または動物胚から間葉系幹細胞を抽出する方法において、上記段階B'において培地を入れて接種培養を行う段階は、
分離した単細胞に間葉系幹細胞培地を入れ、よく振って5〜8×10個細胞/mlの細胞密度で調節し;
調節後の細胞溶液を多数の培養フラスコに接種し、5〜10%C0、37℃、飽和湿度のインキュベーターに入れて培養することを含むことを特徴とする間葉系幹細胞の分泌物を抽出する方法。
【請求項15】
請求項10〜14のいずれか一項に記載の方法によって生産された分泌物。
【請求項16】
請求項15によって生産された分泌物の人体美容分野への応用。
【請求項17】
請求項15によって生産された分泌物の健康製品分野への応用。
【請求項18】
溶剤50〜94%
防腐剤0〜0.5%
湿潤剤0〜3%
分泌物0.5〜25%
コラーゲン5−25%(重量割合)を含むことを特徴とする上皮細胞修復液。

【公表番号】特表2010−538681(P2010−538681A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532419(P2010−532419)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【国際出願番号】PCT/CN2009/074031
【国際公開番号】WO2010/040302
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(510068079)深▲セン▼市嘉天源生物科技有限公司 (1)
【Fターム(参考)】