説明

人工器官

【解決手段】本出願の1つの実施形態は、患者の脊椎の1つの椎骨と荷重伝達関係を形成するための1つの端部分(32a)と、患者の脊椎の別の椎骨と荷重伝達関係を形成するためのもう1つの端部分(32b)とを備えている人工脊椎円板器官(30)を含んでいる。チューブ(52)が、端部分(32a、32b)同士を一体に接続しており、緩衝材(60)がチューブ(52)の内側に配置されている。端部分(32a、32b)は、それぞれ、対応する磁界を発生させるために磁石(40a、40b)を含んでいる。それら磁界は、磁気支承器を提供するために、両端部分(32a、32b)の間に反発力を提供するように向けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工器官装置及びその使用法に関し、より具体的には、排他的にではなく、磁気的荷重支承器を提供し且つ患者の骨の間に植え込むことができるように作られている人工器官に関する。随意的には、この支承器は、異なる用途に対して動的に働き及び/又は順応する。
【背景技術】
【0002】
整形外科的な傷害及び疾患に対して処置を施すために人工インプラント器官を使用することは普通になってきている。
【特許文献1】米国特許第5,595,563号明細書
【特許文献2】米国特許第6,387,096号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
とはいえ、その様な装置の各種製造及び動作的態様に関しては、更なる課題がなお存在している。而して、この技術分野には更なる貢献が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願の1つの実施形態は、特有の人工器官である。他の実施形態は、植え込み可能な人工器官が関与する、特有の方法、システム、装置、及び装置機構を含んでいる。
別の実施形態は、特有の荷重支承人工器官を含んでいる。それは、2つ又はそれ以上の骨の間に形成された空間に植え込むように整えられ、1つ又はそれ以上の骨によって与えられる機械的荷重に対する磁気的支承器を提供している。
【0005】
別の実施形態は、患者の脊椎の2つの椎骨の間に空洞を形成する段階と、それぞれの椎骨に係合させるための互いに反対側の端部分と、それら端部分を一体に接続する人工リンク器官構造とを含んでいる人工脊椎円板器官を空洞に植え込む段階と、を含んでいる。更に、端部分を、椎骨と荷重支承関係に係合させながら離間した関係に維持するために、反発性磁力を提供する磁界が、それぞれの端部分に設けられている。1つの形態では、少なくとも一方の端部分の磁界は、電磁石を設けて形成されており、別の形態では、少なくとも一方の端部分には、永久磁石が設けられている。代わりに又は追加して、人工器官構造は、両端部分の間に緩衝材料が入ったスリーブを含んでいる。
【0006】
更に別の実施形態は、椎間円板空洞に植え込むための人工脊椎円板器官装置に着眼している。この装置は、第1の椎骨に係合させる第1端部分と、第2の椎骨に係合させる、第1端部分の反対側に配置されている第2端部分と、を含んでいる。第1端部分は、第1磁極を提供する構造に作られており、第2端部分は、第2磁極を提供する構造に作られていて、両磁極は同じ極性である。連結構造は、第1磁極と第2磁極を互いに向かい合わせにして反発性磁力を発生させ、荷重を支承するときに第1端部分と第2端部分が互いに離間した関係に維持されるようにして、第1端部分と第2端部分を一体に接続している。
【0007】
更に別の実施形態は、患者の2つ又はそれ以上の骨の間に空洞を形成するための外科処置を行う段階と;第1荷重支承部材と、反対側の第2荷重支承部材と、第1部材と第2部材を一体に接続するリンク構造と、を含んでいる人工器官を空洞に植え込んで、骨の間に荷重支承関係を確立する段階と;第1部材と第2部材の間に磁界パターンを提供する段階と、を含んでいる。このパターンは、第1部材と第2部材を骨の間に荷重支承関係に係合させながら離間した関係に維持するための反発性磁力を発生させるように、向けられている。
【0008】
更に別の実施形態は、人工器官と磁界制御装置を備えているシステムに着眼している。この人工器官は、第1荷重支承部分と、これと反対側の第2荷重支承部分と、それら両部分を一体に接続している連結構造と、を含んでいる。磁界制御装置は、両部分によって提供される磁界パターンの発生を調整するために人工器官と通信している。このパターンは、人工器官が2つ又はそれ以上の骨の間に植え込まれたときに、荷重支承部分の間に反発性磁力を発生させて、それらを離間した関係に維持することができるように作られる。
【0009】
本出願の1つの目的は、特有の人工器官を提供することである。
代わりに又は追加して、本出願の別の目的は、特有の人工器官方式、システム、装置、又は装置機構を提供することである。
【0010】
本出願の更なる実施形態、形態、特徴、態様、有益性、目的、及び利点は、詳細な説明及び添付図面から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の原理の理解を促すために、これより図に示している各実施形態を参照してゆくが、説明に際して特定の言語を使用する。しかしながら、これによって本発明の範囲を限定する意図はないものと理解頂きたい。説明している実施形態に対する変更や更なる修正、及びここに説明する本発明の原理のこの他の応用は、本発明が関連する分野の当業者であれば普通に想起されるものと考えている。
【0012】
本出願の1つの実施形態は、患者の身体内部の2つ又はそれ以上の骨の間に植え込むために整えられた人工器官である。この人工器官は、対向する磁界生成部分を含んでおり、この対向する磁界生成部分は、両者の間に反発性の磁力を提供する向きに配置され、荷重を支承するために使用されている。1つの形態では、磁界生成部分から生じる磁界パターンは、所与の患者の異なる身体活動レベルに対応させるため、及び/又は人工器官の動作を所与の患者に対して特別仕様にするために、調整することができる。
【0013】
図1は、本出願の別の実施形態の人工器官システム20を示している。システム20は、部分的に略図化されており、軸Aに沿って患者の脊椎Sの一部に関係付けて示されている。軸Aは、患者の上半身が直立した状態のときの、脊椎Sの公称荷重支承軸である。脊椎Sは、代表の椎骨V1及び椎骨V2で示されている。システム20は、オペレータの入出力(I/O)装置24及び人工脊椎円板器官30と作動的に通信している磁界制御装置22を含んでいる。人工器官30は、椎骨V1と椎骨V2の間の椎間空洞Cに配置され、以下に詳しく説明する磁気支承器70を提供するように作られている。椎骨V1とV2の間の椎間空間(空洞C)は、通常は、外科処置の間に病変のある及び/又は傷害のある円板を切除することにより形成される。次いで、この外科処置の次の段階で、空洞Cに人工器官30が植え込まれる。
【0014】
更に図2と図3には、人工器官30に関する更なる詳細が示されている。図2は、図1に示す断面線2−2に対応する断面図であり、図3は、図2に示す断面線3−3に対応する部分断面破断図である。人工器官30は、端部分32aと、反対側の端部分32bを含んでいる。端部分32aは、椎骨V1に押し付けて機械的荷重伝達又は支承関係に設置することができる構造に作られている支承面36aを画定する荷重支承部材34aを含んでいる。端部分32bは、椎骨V2に押し付けて機械的荷重伝達又は支承関係に設置することができる構造に作られている支承面36bを画定する荷重支承部材34bを含んでいる。
【0015】
端部分32aと32bは、それぞれ、磁石40aと40bを含んでいる。人工器官30では、磁石40aと40bは、更に、対応する電磁石42aと42bとして規定されている。電磁石42aと42bは、それぞれ、標準的型式の対応する電気伝導性コイル44aと44bを有しており、それらは断面図で概略的に示されている。人工リンク器官構造50は、端部分32aと32bを相互接続している。この相互接続は、接着剤、1つ又は複数のファスナ、又は当業者には想起されるはずの他の結合技法によって行うことができる。図示の様に、リンク構造50は、可撓性を有する織物スリーブ又はチューブ52の形態をしている。チューブ52は、織られた天然繊維及び/又は合成繊維で形成することができ、手で容易に付形し直したり整形し直すことができる。チューブ52の織物を構成する材料の例としては、ガラス、グラファイト、金属、及び/又は有機ポリマーが挙げられる。チューブ52は、端部分32aと32bの間に室54を画定している。室54には緩衝材60が配置されており、この緩衝材は、より具体的に弾力性を有するポリマー固体62として示されている。1つの形態では、固体62は、1つ又は複数の種類のシリコンの形態をしている。なお、緩衝材60は、図2の断面では明解さを期して示していないが、図4に示す緩衝材60と同様の外観を有しているものと理解頂きたく、それについて以下に詳しく説明する。
【0016】
次に、図1から図3を概括的に参照しながら、システム20の或る特定の作動的態様を説明する。疾患、傷害、先天性欠陥などにより、天然の脊椎円板を置換する必要が生じた場合、外科的介入処置が必要となる。1つの外科的処置では、隣接する椎骨の間から欠陥のある円板を取り除き、得られた椎間円板空間(空洞C)を洗浄して前処理し、人工器官30を空洞Cに植え込む。その際、荷重支承部材34aが一方の椎骨(図1の椎骨V1)に押し付けて設置するように配置され、荷重支承部材34bが反対側の椎骨(図1の椎骨V2)に押し付けて設置するように配置される。
【0017】
人工器官30は、植え込んだ後、その公称使用期間の大部分の間、患者が直立しているときなどに圧縮荷重を受けるものと考えて頂きたい。この圧縮荷重に機械的に対抗するため、磁気支承器70が、人工器官30により提供されており、脊椎S内に存る間は部材34aと34bの間に所望の公称離間度を維持するように作られている。システム20では、磁気支承器70は、磁界制御装置24により起動され制御される。制御装置24は、オペレータの装置22による入力に応答し、電磁石42a及び42bを選択的に起動し及び/又は調整する。電磁石42aと42bは、同じ磁極P1が内側に互いに向きあって対立した関係になるように向けて配置されている。対応して、各電磁石の反対の磁極P2は外側に向いている。なお、各磁石40aと40bについて、極P1は北(N)極でも南(S)極でもよく、その場合、極P2は他方の(反対の)極であるものと理解頂きたい。
【0018】
同じ極が互いに対向しているこの配置では、起動した電磁石42aと42b並びに対応する端部分32aと32bは、図2の双頭矢印により表される反発性磁力Rで互いに反発し合う。電磁石42aと42bの対応する磁界F1とF2は、室54の内側に部分的に示された破線の磁界線により表されている。それら磁界線で表されるように、磁界F1とF2は、同じ極の場合に予測される標準的な様式で互いに反発し合う。室54の外側の磁界線は、明解さを期して省略している。集合的に、磁界F1とF2は、脊椎Sによる圧縮荷重を支えるために使用される反発性磁力に対応する磁界パターン80を提供している。
【0019】
反発性磁力Rは、端部分32aと32bを、リンク構造50により規定される最大距離Dだけ互いから離間した状態に置く。具体的には、手で容易に付形し直される図示の織物チューブ52では、反発性磁力Rは、対抗する力が加えられないとき、リンク構造50を張力の掛かった状態に置く。その結果、リンク構造50は、磁石40aと40bの極方位を維持し、対応して、端部分32aと32bを最大距離Dに拘束する。更に、使用時、人工器官30は、椎骨V1及び/又はV2を通る軸A沿って荷重を受け、その荷重を軸Aに沿って一方から他方に伝達するように働く。しかしながら、力Rは有限なので、この外部荷重により或る程度まで相殺され、端部分32aと32bは、これに応じて軸Aに沿って互いに近づく傾向にある。更に、この端部分32aと32bの間の相対運動で、緩衝材60は圧縮されることになり、実線62で表すその特定の形態のために、図2に示すように外側に僅かに出っ張る。対応して、緩衝材60は、軸方向の圧縮荷重を和らげ、磁気支承器70を、特に荷重の突然の変化に関して、補完する。また、チューブ52と固体62は、一緒になって軸Aに直交する方向に沿う動きを制限し、部材34a及び/又は部材34bを軸Aに対して転位させかねない剪断荷重に抵抗する。
【0020】
幾つかのシステム制御モードが考えられる。1つの例では、磁界制御装置22は、患者の体外に残され、人工器官30の植え込みの間又はその直後にだけ、調整入力を提供する装置24を使用して磁界パターン80を所望の荷重支承レベルに調整するために使用される。このモードでは、制御装置22は、外部にあっても内部にあってもよく、電磁石42aと42bの植え込み型電力供給源(図示せず)の出力を、選択された荷重支承レベルに対応する出力に設定するのに使用される。一旦レベルが設定されると、制御装置22は、もはや必要ではなくなり、取り去られるので、磁界パターン80は、この植え込まれた電力供給源で維持される。別のモードでは、制御装置22は、人工器官30の動作を「微調整」し又は別のやり方で調整するために、医師又は他の医療提供者により定期的に起動される。このモードでは、制御装置22は、装置24と共に、又はこれを伴わずに植え込まれてもよいが、電磁石42aと42b用、制御装置22用、及び/又は必要に応じて装置24用の埋め込み式電力供給源を含んでいる。更に別のモードでは、制御装置22、及び随意的に装置24は、予想される身体活動などに基づいて患者(使用者)が磁界パターンを選択的に調整することができるようにして植え込まれる。電磁石42aと42b、制御装置22、及び/又は装置24の電力供給源は、このモードでは同様に植え込まれる。
【0021】
代わりに又は追加して、別のモードは、安全上の理由その他により、他の磁界と干渉し又はこれを混乱させることのないように、磁界を弱くし又は無くすことを考慮している。その様なモードでは、非磁性構成要素は、機械的に、磁界が弱くなり又は存在しないときに所望の荷重支承構造を提供できるように作られている。この機械的構造は、適宜、一時使用又は長期使用を目的とすることができる。更に別の実施形態では、当業者には想起されるように、異なる制御又は規制モードを考えている。具体的に、1つの代替例では、磁界の調整性能は一切無く、及び/又は制御装置22と装置24は存在しない。
【0022】
図4では、代わりの実施形態を人工脊椎円板器官130として示しており、同様の特性には同じ符号を付して示している。人工器官130は、人工器官30と同じように、椎骨を支承するため椎間円板空間に植え込まれるように作られている。人工器官30と同じように、人工器官130は、互いに反対側の端部分132aと132bを含んでおり、各端部分は、それぞれ荷重支承材134aと134bを含んでいる。荷重支承材134aと134bは、それぞれ荷重支承面136aと136bを画定している。端部分132aと132bは、更に、織物チューブ52の形態をしたリンク構造50で相互接続され、室154が画定されている。チューブ52は、先にシステム20に関連して説明したように、室154の内側の緩衝材60を取り囲んでいる。
【0023】
端部分132aと132bは、それぞれ、対応する磁石140aと140bを含んでいる。磁石40a及び40bとは対照的に、磁石140aと140bは、それぞれが永久磁石であり、更に、それぞれ符号142aと142bで規定されている。永久磁石142aと142bは、人工器官30に関連して説明したように、反発性磁力Rを作り出すために、同じ極P1が内側に互いに向き合うように配置されている。対応して、極P2(各々が極P1と反対)は、外向きに互いから離れ方向に向けられている。人工器官30と同様に、極P1の配置は、匹敵するやり方で使用される磁気支承器170を提供している。同様に、この極配置の結果として磁界パターン180が得られる。
【0024】
人工器官30と同様に、人工器官130は、磁界パターン180と得られる力Rが調整可能となるように形成することもできる。永久磁石では、その様な調整は、各種永久磁石の極の幾何学的配置及び対応する互いに対する形状の方位合わせを行うことにより機械的に行われる。Moisdonに与えられた米国特許第5,595,563号は、その様な調整技法に関する背景を更に詳しく説明しており、同特許の全内容を参考文献としてここに援用する。代わりに又は追加して、調整機能を提供するため、電磁石を永久磁石と組み合わせて使用してもよい。
【0025】
他にも本発明の実施形態が幾つか考えられる。例えば、1つの代替例では、システム20と人工器官130の様々な態様を組み合わせている。更に別の実施形態では、人工器官30、人工器官130、又はそれらの変型が、2つ又はそれ以上の椎骨以外の骨の間に植え込まれる。
【0026】
更に別の実施形態では、磁石及び対応する磁界及びその結果生じる磁界パターンは、反対の極性の磁石を互いに接近させて設置することにより得られる引力と、同じ極性の磁石を互いに接近させて設置することにより得られる反発力の両方を含んでいる。ここで使用する「反発性磁力」又は「反発力」とは、同じ極性の磁石を互いに接近させて設置することにより得られる力を指し、この場合、反対の極性の磁石を互いに接近させて設置することによる引力が存在していてもいなくても、何れでもよく、更に、多数の例が存在する場合には、その様な力の内の何れかを指す。米国特許第6,387,096号を、磁気引力と共に提供される反発力に関する追加情報源として引用し、ここに参考文献として援用する。別の代替的実施形態の例では、面36a、36b、136a、及び136bの1つ又はそれ以上は、椎骨面をしっかりと捕まえるため、粗されるか、別のやり方で骨係合構造を含んでいる。
【0027】
更に別の実施形態では、人工リンク器官構造は、1つ又はそれ以上の係留紐、ケーブル、編紐、ワイヤ、コード、帯、フィラメント、繊維、及び/又はシート;有機ポリマー、金属、及び/又は複合材で形成された非織物チューブ;織物、フィラメント状、繊維状、及び/又は織り構造を含んでいてもいなくてもよいが、アコーデオン又は蛇腹チューブの型式;上記の組み合わせ、又は当業者には想起されるはずの異なる装置を含んでいてもよい。
【0028】
代わりに又は追加して、リンク構造は、リンク構造部材又は部分の間に1つ又はそれ以上の開口部を設けて、その様な開口部が人工器官の端部分の間を伸張するように作ることもできる。1つの特定の代替例では、複数の離間して配置されたコードが互いに反対側の端部分を接続して、軸Aに対して横方向に比較的大きな開放空間を画定している。更に別の実施形態では、緩衝材60は、互いに反対側の端部分の間にリンク構造により画定されている液密室に入れられた流体の形態であってもよいし、及び/又はシリコン以外の固体で構成されていてもよい。その様な流体を基にする装置では、リンク構造は、可撓性又は弾性を有する有機ポリマーチューブ構造、又は金属製の蛇腹又はアコーデオンチューブ構造の様な、流体を保持するのに適した型式のものである。
【0029】
以上、本発明を図面に示し上記説明で詳細に説明してきたが、それらは説明を目的としており何ら限定を課すものではなく、選択された実施形態を図示し説明したに過ぎず、ここに説明し又は特許請求の範囲により定義した本発明の範囲に包含される全ての変更、等価物、及び修正は、保護されることを要求する。ここに提供している何れの実験、実験例、又は実験結果も、本発明を説明することを目的としたものであり、本発明の範囲を制限又は限定するものと捉えられるべきではない。また、ここで述べた何れの理論、作動機構、立証、又は知見も、本発明の理解を深めることを意図したものであり、本発明を、その様な理論、作動機構、立証、又は知見に、何ら限定するものではない。特許請求の範囲を解釈するに当たり、「或る」「1つの」、「少なくとも1つ」、及び「少なくとも一部」の様な語は、別段指定のない限り、特許請求の範囲を唯一つの品目に限定するものではない。また、「少なくとも一部」及び/又は「一部」という言葉を使用している場合、特許請求の範囲は、別段指定のない限り、一部及び/又は品目全体を含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】磁気支承器を有する人工器官を含んでいるシステムの部分概略図である。
【図2】図1の人工器官の、図1に示す断面線2−2に沿った断面側面図である。
【図3】図1の人工器官の、図2の断面線3−3に沿った部分断面破断図である。
【図4】磁気支承器を有する別の型式の人工器官の部分概略図、部分断面側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法において、
患者の脊椎の第1椎骨と第2脊椎の間に空洞を形成する段階と、
前記第1椎骨に係合させる第1端部分と前記第2椎骨に係合させる第2端部分を含んでおり、前記第1部分と前記第2部分は人工リンク器官構造により一体に接続されている、人工脊椎椎間円板器官を、前記空洞に植え込む段階と、
前記第1部分に第1磁界を、そして前記第2部分に第2磁界を提供する段階であって、前記第1磁界と前記第2磁界は、前記第1部分と前記第2部分を、前記第1椎骨及び前記第2椎骨と荷重支承関係に係合させながら互いに離間した関係に維持するため、反発性磁力を提供するように作られている、磁界を提供する段階と、から成る方法。
【請求項2】
前記提供する段階は、前記第1端部分に含まれている第1永久磁石と前記第2端部分に含まれている第2永久磁石で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1端部分は電磁石を含んでおり、前記提供する段階は、前記電磁石で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1磁界と前記第2磁界の内の少なくとも一方を、前記人工脊椎円板器官と作動的に通信している磁界制御装置で調整する段階を含んでいる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記人工器官に関する患者の身体活動レベルを判定する段階と、
前記第1磁界と前記第2磁界の内の少なくとも一方を、前記患者の身体活動レベルに応じて変更する段階と、を含んでいる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記人工器官構造は、繊維状、フィラメント状、有機ポリマー系、織り、編み、及び織物の材料の内の1つ又はそれ以上を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記連結構造は、前記第1端部分と前記第2端部分の間に配置された固体弾性ポリマーを取り囲んでいる織物スリーブを含んでおり、前記第1端部分は第1磁極を画定しており、前記第2端部分は第2磁極を画定しており、前記第1端部分と前記第2端部分は、前記第1磁極と前記第2磁極が互いに向き合うように向けられており、前記第1磁極と前記第2磁極は、反発性磁力を提供するために同極になっている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
椎間空洞に植え込むための人工脊椎円板器官装置を備えている装置機構において、前記人工器官装置は、
第1の椎骨に係合させる第1端部分であって、第1磁極を提供する第1磁石を含んでいる、第1端部分と、
第2の椎骨に係合させる、前記第1端部分の反対側に配置されている第2端部分であって、第2磁極を提供する第2磁石を含んでいる、第2端部分と、
前記第1磁石と前記第2磁石が、その間に反発性磁力を発生させるため同じ極を向かい合わせにして配置されるように、前記第1端部分と前記第2端部分に接続されているリンク構造であって、前記反発性磁力に応じて前記第1端部分と前記第2端部分の分離量を最大距離までに拘束すると共に、1つ又はそれ以上の前記椎骨から伝達される圧縮荷重の変動に応じて前記第1端部分と前記第2端部分の間の相対移動を許容する、リンク構造と、を備えている装置機構。
【請求項9】
前記リンク構造は、編紐、織り物、天然繊維、有機ポリマー、及び金属系フィラメントの内の1つ又はそれ以上を含んでいる、請求項8に記載の装置機構。
【請求項10】
前記リンク構造は、前記第1端部分と前記第2端部分の間に配置された緩衝材を取り囲んでいる織物チューブを含んでいる、請求項9に記載の装置機構。
【請求項11】
前記第1磁石と前記第2磁石の内の少なくとも一方は永久磁石である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第1磁石と前記第2磁石の内の少なくとも一方は電磁石である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記電磁石で生成される磁界を制御するために前記電磁石と作動的に通信している磁界制御装置を更に備えている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
方法において、
第1荷重支承部材と、反対側の第2荷重支承部材と、前記第1部材と前記第2部材に接続されているリンク構造と、を含んでいる人工器官を選択する段階と、
前記人工器官を、患者の2つ又はそれ以上の骨の間の空洞に、前記第1部材を第1の骨に押し付け、前記第2部材を第2の骨に押し付けて配置することにより植え込んで、前記骨の間に荷重支承関係を確立する段階と、
前記第1部材と前記第2部材の間に磁界パターンを提供する段階であって、前記磁界パターンは、前記第1部材と前記第2部材を、前記骨の間に圧縮荷重を支承する関係に係合させながら離間した関係に維持するための反発性磁力を発生させるように、向けられている、磁界パターンを提供する段階と、から成る方法。
【請求項15】
前記磁界パターンを提供する段階は、
前記第1部材に担持されている第1永久磁石で、第1磁界を発生させる段階と、
前記第2部材に担持されている第2永久磁石で、第2磁界を発生させる段階と、を含んでおり、前記第1永久磁石は第1極を有し、前記第2永久磁石は第2極を有し、前記第1極と前記第2極は同じ極性であり、互いに向かい合うように向けられている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記提供する段階は、前記第1部材に担持されている第1電磁石で実行される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記磁界パターンを、オペレータ入力に応えて、前記人工器官と作動的に通信している磁界制御装置で調整する段階を含んでいる、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記リンク構造は、繊維状、フィラメント状、有機ポリマー、織り、編み、コード、ワイヤ、帯、及び織物の材料の内の1つ又はそれ以上を含んでいる、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記リンク構造は、前記第1部材と前記第2部材の間に配置された緩衝材を取り囲んでいる織物スリーブを含んでおり、前記方法は、前記磁界パターンの除去を行う段階を更に含んでおり、前記織物スリーブと前記緩衝材は、前記反発性磁力が存在しない場合は、荷重を機械的に支持する構造に作られている、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
人工脊椎円板器官において、
患者の脊椎の第1椎骨と荷重伝達関係を形成する第1端部分と、
患者の脊椎の第2椎骨と荷重伝達関係を形成する第2端部分であって、前記第1端部分とは反対側に配置されている、第2端部分と、
前記第1端部分と前記第2端部分を一体に接続しているスリーブと、
前記第1端部分と前記第2端部分の間のスリーブの内側に配置されている緩衝材と、を備えており、
前記第1端部分は第1磁界を発生させる第1磁石を含んでおり、前記第2端部分は第2磁界を発生させる第2磁石を含んでおり、前記第1磁石と前記第2磁石は、前記第1端部分と前記第2端部分の間に前記第1磁界と前記第2磁界が発生したときに、それらの間に反発力を提供する向きに配置されている、人工器官。
【請求項21】
前記スリーブは、繊維状、フィラメント状、有機ポリマー、編紐、コード、帯、織り、又は織物の材料で構成されている、請求項20に記載の人工器官。
【請求項22】
前記スリーブは、織物材料で構成されており、前記緩衝材は、固体弾性ポリマーで構成されている、請求項21に記載の人工器官。
【請求項23】
前記第1磁石は、第1永久磁石を含んでおり、前記第2磁石は、第2永久磁石を含んでおり、前記第1永久磁石と前記第2永久磁石は、それぞれ、前記反発性磁力を発生させるために、内側に互いに向き合うように向けられた同じ磁極を有している、請求項20に記載の人工器官。
【請求項24】
前記第1磁気構造は第1電磁石を含んでおり、前記第2磁気構造は第2電磁石を含んでおり、前記第1電磁石と前記第2電磁石は、それぞれ、前記反発性磁力を提供するために、内側に互いに向き合うように向けられた同じ磁極を発生させるように働く、請求項20に記載の人工器官。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−539813(P2008−539813A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509217(P2008−509217)
【出願日】平成18年5月1日(2006.5.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/016484
【国際公開番号】WO2006/119124
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】