説明

人工物検出システム、該システムに用いられる人工物検出方法及び人工物検出制御プログラム

【課題】広範囲の海底や水底に存在する人工物を、埋没している場合も含めて一度に効率良く検出することが可能な人工物検出システムを提供する。
【解決手段】海底又は水底Bに配置されている人工地震発生手段(たとえば、人工地震の震源11)により、人工地震が発生し、海中又は水中に配置されている振動波検出手段(たとえば、振動センサ12)により、人工地震により発生する音波が検出されると共に、同音波よりも速い伝搬速度で地震波qwを伝搬する海底又は水底Bから海中又は水中に放射される振動波が検出される。そして、人工物存在判定手段(たとえば、データ処理装置13)により、振動センサ12で検出される振動波のレベルが相対的に高くなるとき、同振動波の到来方位が検出され、同到来方位の海底又は水底Bに人工物HWが存在することが判定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人工物検出システム、該システムに用いられる人工物検出方法及び人工物検出制御プログラムに係り、特に、海底又は水底に存在する潜水艦、機雷、沈船などの人工物を検出する場合に用いて好適な人工物検出システム、該システムに用いられる人工物検出方法及び人工物検出制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
海底又は水底に存在する人工物(たとえば、潜水艦、機雷、沈船など)は、水中音波探査装置(ソナー)を用いて検出することが困難である。その理由は、水中音波探査装置では、周波数の高い水中音波を海底に放射しても、その反響音から自然の砂泥の海底と人工物とを判別することが殆ど不可能なことによる。このため、海底又は水底の人工物を検出する方法として、高周波高分解能のサイドスキャン・ソナーにより海底又は水底の表面形状を観測する方法が実用化されている。
【0003】
この種の関連するサイドスキャン・ソナーは、たとえば図4に示すように、音源兼音波センサ1と、データ処理装置2と、表示器3とから構成されている。また、海底又は水底Bに、たとえば沈船などの人工物HWが存在する。このサイドスキャン・ソナーでは、音源兼音波センサ1の音源が、図示しない船舶の船体側面又は曳航体の側面に装備され、船舶の進行方向に対して垂直な方向に音波swaが放射される。また、音源兼音波センサ1の音波センサにより、受波した音波swbの音圧が電気信号euに変換されて出力される。この音波センサは、船舶の進行方向に高い分解能を有するようにアレイ配列されている。データ処理装置2では、音源兼音波センサ1から出力される電気信号euが、船舶の進行方向に指向性合成されて、その指向性ビーム毎の信号強度が図示しないメモリに蓄積される。船舶の進行に伴い、表示器3により、蓄積された海底又は水底Bからの信号強度が、地図状に色や濃淡で表現することによって表示される。これにより、海底又は水底Bの形状が観測される。
【0004】
上記のサイドスキャン・ソナーの他、この種の関連技術としては、たとえば、特許文献1に記載された人工物の音響検出装置がある。
この音響検出装置では、一つ又はそれ以上の周波数を有する音響信号が、地中、水中又は沈殿層に進入して地雷のような歪変形可能な物体を振動させる。これにより、探査信号の非線形な歪が現れ、高調波や結合周波数を含む音響波(非線形信号)が発生する。この音響波が解析されて人工物が探知される。
【0005】
また、特許文献2に記載された走錨監視方式では、錨装置が、錨、同錨に連結された錨鎖、及び同錨鎖を巻き上げるための巻上機などを備え、さらに、振動音検知装置が設けられている。この振動音検知装置により、走錨時に発する錨からの振動音が検知され、船舶の走錨が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2001−510901号公報
【特許文献2】特開昭62−059866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記関連技術では、次のような課題があった。
すなわち、図4のサイドスキャン・ソナーでは、一度に観測できる範囲が狭く、広範囲の海底又は水底Bに存在する人工物HWの捜索には非常に時間がかかり、処理効率が悪いという課題がある。また、このサイドスキャン・ソナーでは、海底又は水底Bの形状が観測されるため、人工物HWが海底又は水底Bに埋没している場合は検出されないという課題がある。
【0008】
また、特許文献1に記載された音響検出装置は、地中又は海底中の地雷などの人工物又は鉱石を音波により探知する構成とされているものであり、この発明とは構成が異なる。
【0009】
特許文献2に記載された走錨監視方式は、振動音検知装置により、船舶の錨が海底を引きずる振動を検出し、船舶が流されていることを検出するものであり、この発明とは構成が異なる。また、海底に鎮座した潜水艦のような海底面上の人工物を検出することはできない。
【0010】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、広範囲の海底や水底に存在する人工物を、埋没している場合も含めて一度に効率良く検出する人工物検出システム、該システムに用いられる人工物検出方法及び人工物検出制御プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、この発明の第1の構成は、海底又は水底に存在する人工物を検出する人工物検出システムに係り、海底又は水底に配置され、所定の規模の人工地震を発生する人工地震発生手段と、海中又は水中に配置され、前記人工地震により発生する音波を検出すると共に、前記音波よりも速い伝搬速度で地震波を伝搬する前記海底又は水底から海中又は水中に放射される振動波を検出する振動波検出手段と、該振動検出手段で検出される前記振動波のレベルが相対的に高くなるとき、該振動波の到来方位を検出し、該到来方位の海底又は水底に人工物が存在することを判定する人工物存在判定手段とを備えてなることを特徴としている。
【0012】
この発明の第2の構成は、海底又は水底に存在する人工物を検出する人工物検出システムに用いられる人工物検出方法に係り、海底又は水底に配置されている人工地震発生手段が、所定の規模の人工地震を発生する人工地震発生処理と、海中又は水中に配置されている振動波検出手段が、前記人工地震により発生する音波を検出すると共に、前記音波よりも速い伝搬速度で地震波を伝搬する前記海底又は水底から海中又は水中に放射される振動波を検出する振動波検出処理と、人工物存在判定手段が、前記振動検出手段で検出される前記振動波のレベルが相対的に高くなるとき、該振動波の到来方位を検出し、該到来方位の海底又は水底に人工物が存在することを判定する人工物存在判定処理とを行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
この発明の構成によれば、水中の音波の影響を受けることなく、海底又は水底Bに存在する人工物を一度に広範囲で検出できると共に、海底又は水底に埋没した人工物を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の第1の実施形態である人工物検出システムの要部の構成及び同システムが用いられる環境を示す図である。
【図2】データ処理装置13で解析される信号の例を示す図である。
【図3】この発明の第2の実施形態である人工物検出システムの要部の構成及び同システムが用いられる環境を示す図である。
【図4】サイドスキャン・ソナーの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記人工物存在判定手段が、レベルが相対的に高くなる上記振動波を、上記人工地震の地震波で上記人工物が振動することにより発生した低周波振動として検出する構成とされている人工物検出システムを提供する。
【0016】
また、上記人工物存在判定手段は、人工地震により発生する音波が振動波検出手段に到達する前に、同振動波検出手段で検出される振動波を周波数分析し、この分析結果に基づいて、人工物の存在を検出する構成とされている。
また、上記振動波検出手段は、東西方向及び南北方向の水平方向に上記振動波を検出するための指向性を有し、上記人工物存在判定手段は、上記振動波検出手段で検出される上記振動波の検出結果に基づいて、該振動波の到来方位を検出する構成とされている。
【0017】
また、上記振動波検出手段は、海中又は水中に離隔して配置された複数の振動センサを有し、上記各振動センサが上記海底又は水底から海中又は水中に放射される振動波を検出する構成とされ、上記人工物存在判定手段は、上記各振動センサで検出される上記各振動波のレベルが相対的に高くなるとき、上記各振動波の到来方位を検出し、上記各到来方位と三角測量の原理とを用いて海底又は水底に存在する上記人工物の位置を特定する構成とされている。また、上記人工地震発生手段は、爆発物で構成され、爆発エネルギーが下向き又は横向きの指向性を有する。
【実施形態1】
【0018】
図1は、この発明の第1の実施形態である人工物検出システムの要部の構成及び同システムが用いられる環境を示す図である。
この形態の人工物検出システムは、同図に示すように、人工地震の震源11と、振動センサ12と、データ処理装置13と、表示器14とから構成されている。人工地震の震源11は、海底又は水底Bに配置され、所定の規模(小規模)の人工地震を発生する。特に、この実施形態では、人工地震の震源11は、海面又は水面から投下された爆発物で構成され、爆発エネルギーが下向き又は横向きの指向性を有する。
【0019】
振動センサ12は、たとえば、図示しない船舶などから吊り下げられて海中又は水中に配置され、人工地震により発生する爆発音se(音波、P波)を検出すると共に、同爆発音seよりも速い伝搬速度で地震波qw(P波、S波、及び表面波)を伝搬する海底又は水底Bから海中又は水中に放射される振動波を検出して電気信号svに変換する。海底又は水底Bでは、下向き又は横向きに指向性を有する爆発物を爆発させて人工地震を発生させると、水中で振動が伝搬する速度が1.5km/秒であるのに対して、海底では振動波が5〜7km/秒で伝搬する。従って、海中又は水中の爆発音よりも海底又は水底の振動波が3〜5倍も速く伝搬する。なお、海中又は水中は液体のため、人工地震による振動波のうちのP波だけが伝わる。また、軟質の砂泥に覆われた海底又は水底Bは、砂泥が振動を吸収するため、放射する振動波(P波)が減衰され、比較小さくなる。一方、金属などの硬質の人工物HWは、海底又は水底Bを伝搬してきた振動波(P波)を比較的減衰させないので、放射する振動波(P波)が比較的大きい。また、振動センサ12は、東西方向及び南北方向の水平方向に上記振動波(海底又は水底放射振動波bw、人工物放射振動波hw)を検出するための指向性を有している。
【0020】
データ処理装置13は、人工物検出制御プログラムに基づいて制御されるコンピュータで構成されて図示しない船舶などに搭載され、振動センサ12で検出される振動波の検出結果に基づいて、同振動波の到来方位を検出する。特に、この実施形態では、データ処理装置13は、電気信号svを解析し、振動センサ12で検出される振動波のレベルが相対的に高くなるとき、同振動波の到来方位を検出し、同到来方位の海底又は水底Bに人工物HW(たとえば、潜水艦、機雷、沈船など)が存在することを判定する。この場合、データ処理装置13は、レベルが相対的に高くなる上記振動波を、人工地震の地震波qwで人工物HWが振動することにより発生した低周波振動(すなわち、人工物放射振動波hw)として検出する。また、データ処理装置13は、人工地震により発生する爆発音se(音波)が振動センサ12に到達する前に、同振動センサ12で検出される振動波を周波数分析し、この分析結果に基づいて、人工物HWの存在を検出する。表示器14は、データ処理装置13による判定結果を表示し、たとえば、同データ処理装置13で検出された海底又は水底Bの人工物HWの方位を表示し、同人工物HWからの比較的大きな振動波を見分けやすくする。
【0021】
図2は、データ処理装置13で解析される信号の例を示す図であり、同図(a)は、南北の指向性を有する振動センサによる受波信号の例を示す図、同図(b)は、東西の指向性を有する振動センサによる受波信号の例を示す図、及び、同図(c)が、人工物HWの検出された方位計算の例を示す図である。
これらの図を参照して、この形態の人工物検出システムに用いられる人工物検出方法の処理内容について説明する。
この人工物検出システムでは、海底又は水底Bに配置されている人工地震の震源11が爆発物で構成され、同爆発物を爆発させることにより、下向き又は横向きの指向性をもつ爆発エネルギーが発生して所定の規模の人工地震が発生する(人工地震発生処理)。海中又は水中に配置されている振動センサ12により、上記人工地震により発生する音波が検出されると共に、同音波よりも速い伝搬速度で地震波qwを伝搬する海底又は水底Bから海中又は水中に放射される振動波が検出される(振動波検出処理)。データ処理装置13により、振動センサ12で検出される上記振動波のレベルが相対的に高くなるとき、同振動波の到来方位が検出され、同到来方位の海底又は水底Bに人工物HWが存在することが判定される(人工物存在判定処理)。そして、表示器14により、データ処理装置13による判定結果が表示される。
【0022】
また、上記人工物存在判定処理では、データ処理装置13により、レベルが相対的に高くなる上記振動波が、上記人工地震の地震波qwで人工物HWが振動することにより発生した低周波振動(人工物放射振動波hw)として検出される。また、上記人工物存在判定処理では、データ処理装置13により、上記人工地震により発生する音波が振動センサ12に到達する前に、同振動センサ12で検出される上記振動波が周波数分析され、この分析結果に基づいて、人工物HWの存在が検出される。また、上記人工物存在判定処理では、データ処理装置13により、東西方向及び南北方向の水平方向に上記振動波を検出するための指向性を有する振動センサ12で検出される検出結果に基づいて、同振動波の到来方位が検出される。
【0023】
図2(a),(b)では、音源方位45度かつS/N比が3dBの人工物HWからの振動波成分が加算されている。
図2(a),(b)中の受波信号の信号レベルが相対的に大きい部分について、データ処理装置13により、人工物HWからの振動波と判定され、その南北及び東西の信号レベル値の逆TAN関数により方位が算出される。逆TAN関数により方位を計算した結果、図2(c)中の中央からやや左側の方位45度付近の信号は、レベルが大きく方位が安定していることから、人工物HWからの振動波と判定される。なお、この場合、自然の砂泥の海底から放射される振動波は、無指向性としている。
【0024】
以上のように、この第1の実施形態では、海底又は水底Bに配置されている人工地震の震源11により、人工地震が発生し、海中又は水中に配置されている振動センサ12により、人工地震により発生する音波が検出されると共に、同音波よりも速い伝搬速度で地震波qwを伝搬する海底又は水底Bから海中又は水中に放射される振動波が検出され、データ処理装置13により、振動センサ12で検出される振動波のレベルが相対的に高くなるとき、同振動波の到来方位が検出され、同到来方位の海底又は水底Bに人工物HWが存在することが判定される。これにより、水中の爆発音(音波)の影響を受けることなく、海底又は水底Bに存在する硬質の人工物HWが一度に広範囲で検出されると共に、海底又は水底Bに埋没した硬質の人工物HWが検出される。
【実施形態2】
【0025】
図3は、この発明の第2の実施形態である人工物検出システムの要部の構成及び同システムが用いられる環境を示す図である。
この形態の人工物検出システムでは、同図3に示すように、図1中のデータ処理装置13に代えて、異なる機能を有するデータ処理装置13Aが設けられ、また、振動センサ15が付加されている。振動センサ15は、海中又は水中に振動センサ12と所定の距離だけ離隔して配置され、同振動センサ12と同様に、海底又は水底Bから海中又は水中に放射される振動波を検出する。データ処理装置13Aは、振動センサ12,15で検出される各振動波のレベルが相対的に高くなるとき、各振動波の到来方位を検出し、同各到来方位と三角測量の原理とを用いて海底又は水底Bに存在する人工物HWの位置を特定する。三角測量では、相互間に障害物のない環境で三角点を作り、その1辺及び2夾角を測定して他の2辺の長さを計算によって求め、また、1辺の方向角を与えて他の点の位置が求める。通常、上記三角点を多数接続させて広い範囲の測量が行われる。
【0026】
この人工物検出システムでは、データ処理装置13Aにより、振動センサ12,15で検出される各振動波のレベルに基づいて、各振動波の到来方位が検出され、同各到来方位と三角測量の原理とを用いることにより、海底又は水底Bに存在する人工物HWの位置が特定される。
【0027】
以上、この発明の実施形態を図面により詳述してきたが、具体的な構成は同実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても、この発明に含まれる。
たとえば、第2の実施形態では、2つの振動センサ12,15に限らず、3つ以上でも良い。また、人工地震の震源11としては、爆発物以外に、たとえば、圧電素子などを使用した電気式の振動子や、圧縮空気の炸裂音を用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0028】
この発明は、海底や水底に存在する人工物を検出する人工物検出システム全般に適用できる。
【符号の説明】
【0029】
11 人工地震の震源(人工地震発生手段)
12,15 振動センサ(振動波検出手段)
13,13A データ処理装置(人工物存在判定手段)
14 表示器(人工物検出システムの一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底又は水底に存在する人工物を検出する人工物検出システムであって、
海底又は水底に配置され、所定の規模の人工地震を発生する人工地震発生手段と、
海中又は水中に配置され、前記人工地震により発生する音波を検出すると共に、前記音波よりも速い伝搬速度で地震波を伝搬する前記海底又は水底から海中又は水中に放射される振動波を検出する振動波検出手段と、
該振動検出手段で検出される前記振動波のレベルが相対的に高くなるとき、該振動波の到来方位を検出し、該到来方位の海底又は水底に人工物が存在することを判定する人工物存在判定手段とを備えてなることを特徴とする人工物検出システム。
【請求項2】
前記人工物存在判定手段は、
レベルが相対的に高くなる前記振動波を、前記人工地震の地震波で前記人工物が振動することにより発生した低周波振動として検出する構成とされていることを特徴とする請求項1記載の人工物検出システム。
【請求項3】
前記人工物存在判定手段は、
前記人工地震により発生する前記音波が前記振動波検出手段に到達する前に、該振動波検出手段で検出される前記振動波を周波数分析し、この分析結果に基づいて、前記人工物の存在を検出する構成とされていることを特徴とする請求項1又は2記載の人工物検出システム。
【請求項4】
前記振動波検出手段は、
東西方向及び南北方向の水平方向に前記振動波を検出するための指向性を有し、
前記人工物存在判定手段は、
前記振動波検出手段で検出される前記振動波の検出結果に基づいて、該振動波の到来方位を検出する構成とされていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の人工物検出システム。
【請求項5】
前記振動波検出手段は、
海中又は水中に離隔して配置された複数の振動センサを有し、前記各振動センサが前記海底又は水底から海中又は水中に放射される振動波を検出する構成とされ、
前記人工物存在判定手段は、
前記各振動センサで検出される前記各振動波のレベルが相対的に高くなるとき、前記各振動波の到来方位を検出し、前記各到来方位と三角測量の原理とを用いて海底又は水底に存在する前記人工物の位置を特定する構成とされていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の人工物検出システム。
【請求項6】
前記人工地震発生手段は、
爆発物で構成され、爆発エネルギーが下向き又は横向きの指向性を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の人工物検出システム。
【請求項7】
海底又は水底に存在する人工物を検出する人工物検出システムに用いられる人工物検出方法であって、
海底又は水底に配置されている人工地震発生手段が、所定の規模の人工地震を発生する人工地震発生処理と、
海中又は水中に配置されている振動波検出手段が、前記人工地震により発生する音波を検出すると共に、前記音波よりも速い伝搬速度で地震波を伝搬する前記海底又は水底から海中又は水中に放射される振動波を検出する振動波検出処理と、
人工物存在判定手段が、前記振動検出手段で検出される前記振動波のレベルが相対的に高くなるとき、該振動波の到来方位を検出し、該到来方位の海底又は水底に人工物が存在することを判定する人工物存在判定処理とを行うことを特徴とする人工物検出方法。
【請求項8】
前記人工物存在判定処理では、
人工物存在判定手段が、レベルが相対的に高くなる前記振動波を、前記人工地震の地震波で前記人工物が振動することにより発生した低周波振動として検出することを特徴とする請求項7記載の人工物検出方法。
【請求項9】
前記人工物存在判定処理では、
前記人工物存在判定手段が、前記人工地震により発生する前記音波が前記振動波検出手段に到達する前に、該振動波検出手段で検出される前記振動波を周波数分析し、この分析結果に基づいて、前記人工物の存在を検出することを特徴とする請求項7又は8記載の人工物検出方法。
【請求項10】
前記振動波検出手段は、東西方向及び南北方向の水平方向に前記振動波を検出するための指向性を有し、
前記人工物存在判定処理では、
前記人工物存在判定手段が、前記振動波検出手段で検出される前記振動波の検出結果に基づいて、該振動波の到来方位を検出することを特徴とする請求項7、8又は9記載の人工物検出方法。
【請求項11】
前記振動波検出手段は、海中又は水中に離隔して配置された複数の振動センサを有し、前記各振動センサが前記海底又は水底から海中又は水中に放射される振動波を検出する構成とされ、
前記人工物存在判定処理では、
前記人工物存在判定手段が、前記各振動センサで検出される前記各振動波のレベルが相対的に高くなるとき、前記各振動波の到来方位を検出し、前記各到来方位と三角測量の原理とを用いて海底又は水底に存在する前記人工物の位置を特定することを特徴とする請求項7、8、9又は10記載の人工物検出方法。
【請求項12】
前記人工地震発生手段を、爆発物で構成し、爆発エネルギーに下向き又は横向きの指向性をもたせることを特徴とする請求項7乃至11のいずれか一に記載の人工物検出方法。
【請求項13】
コンピュータを請求項1乃至6のいずれか一に記載の人工物存在判定手段として機能させるためのコンピュータ読み取り可能な人工物検出制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−33584(P2011−33584A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182780(P2009−182780)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(599161890)NECネットワーク・センサ株式会社 (71)
【Fターム(参考)】