人工脊椎関節
【解決手段】上椎骨と下椎骨の間の連結の少なくとも一部を作成するための人工脊椎関節(100)は、関節運動をする関節に置換するアッセンブリ(102)を備えている。この関節運動型関節置換アッセンブリは、上椎骨と下椎骨の間の椎間円板空間内へと伸張する前方関節置換構成要素(106、112)と、第1後方関節置換構成要素(108、114)と、前方関節置換構成要素と第1後方関節置換構成要素の間に連結された第1ブリッジ構成要素(110、116)と、を備えている。この人工脊椎関節は、更に、支持関節置換アッセンブリ(104)を備えている。支持関節置換アッセンブリは、上椎骨と下椎骨の間の椎間円板空間内へと伸張する前方支持構成要素(146、152)と、第2後方関節置換構成要素(148、154)と、前方支持構成要素と第2後方関節置換構成要素の間に連結された第2ブリッジ構成要素(150、156)と、を備えている。前方支持構成要素は、関節運動型関節置換構成要素と係合している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、概括的には、脊椎外科処置を実施するための装置と方法に関し、より具体的には、実施形態の中には、椎間板空間に後方進入的に挿入可能な脊椎関節形成用装置に関するものもある。本発明では、天然の脊椎関節の円板及び関節面機能の両方を、後方進入法によって置換する全脊椎関節形成術での使用を含め、各種実施形態を想定している。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2004年1月9日出願の米国仮特許出願第60/534,960号「後方腰椎関節形成術」からの優先権を主張する。以下の出願も、上記仮特許出願に対する優先権を主張しており、本出願にも関連している。それら一連の出願を参考文献として本願に援用する。米国特許出願番号不詳(弁理士事件番号PC1146)、2005年1月7日出願、「脊椎関節形成装置及び方法」;米国特許出願番号不詳(弁理士事件番号P21769)、2005年1月7日出願、「二重関節運動式脊椎装置及び方法」;米国特許出願番号不詳(弁理士事件番号P21756)、2005年1月7日出願、「分割式脊椎装置及び方法」;米国特許出願番号不詳(弁理士事件番号P21752)、2005年1月7日出願、「相互接続式脊椎装置及び方法」;米国特許出願番号不詳(弁理士事件番号P21743)、2005年1月7日出願、「支持構造装置及び方法」;米国特許出願番号不詳(弁理士事件番号P21765)、2005年1月7日出願、「中央関節運動式脊椎装置及び方法」;及び、米国特許出願番号不詳(弁理士事件番号P21751)、2005年1月7日出願、「後方脊椎装置及び方法」
当技術では既知のように、ヒトの解剖学的構造において、脊椎は、一般的には、引張及び圧縮荷重を受け止める可撓性のある柱であり、屈曲動作を可能にすると共に、肋骨、筋肉、及び靭帯の接合場所を提供している。脊柱は、大まかには3つの部分、即ち、頚椎、胸椎、腰椎に分けられる。図1は、健康なヒトの脊柱の腰椎1と仙骨領域3を概略的に示している。脊椎の部分は、椎骨と呼ばれる個々の骨から成り、椎骨同士は、その間に収まっている椎間円板によって分離されている。
【0003】
図2は、2つの隣接する椎骨7、9の間に配置された健康な椎間円板5を有する腰椎領域の右側面の一部を示している。所与の何れの関節においても、上側の椎骨を上椎骨と呼び、下側の椎骨を下椎骨と呼ぶ。各椎骨は、重量を支える主要領域である略円筒形の椎体7a、9aと、3つの骨突起、例えば7b、7c、7d(図2ではこの内2つが見える)を備えている。図7Aでは、全ての突起が見えているが、この図に示すように、突起7b、7c、7dは、椎体7の円周方向に間隔を空けた位置から外向きに伸張している。突起は、他にも機能はあるが、特に筋肉と靭帯を接合するための領域を提供している。隣り合う椎骨は、関節面構成要素7e(図2)を介して互いに対して動くが、この関節面構成要素7eは、椎骨の円筒形の椎体から伸張し、屈曲時は互いに重なり合って滑動し脊椎の動きを誘導するようになっている。面関節は2つあり、それぞれ、隣接する椎骨に関わりを持つ上側及び下側関節面構成要素によって画定されている。健康な椎間円板を図3に示している。図3に示すように、椎間円板には4つの領域、即ち、髄核11、遷移領域13、内層線維輪領域15、外層線維輪領域17がある。一般に、内層線維輪領域15と外層線維輪領域17は、その上方及び下方の椎体にしっかりと取り付いた繊維性軟骨質物質の層で構成されている。通常、髄核11は、より水和した状態にある。
【0004】
これら椎間円板は、衝撃吸収装置と関節の機能を兼ね備えている。椎間円板は、脊柱が受ける圧縮及び引張荷重を吸収すると同時に、隣接する椎体が、特に脊椎の屈曲(撓む)時に、互いに対して或る制限された量だけ動けるように作られている。この様に、椎間円板は、常に筋肉及び/又は重力による圧力の下にあるので、一般に腰椎の中では「摩耗と断裂」の徴候が現れる最初の部分である。
【0005】
面関節は脊椎と共に殆ど常に動いているため、面関節変性も普通に起こる。実際に、面関節変性と円板変性は併発する頻度が高い。一般的には、一方が一次的な問題であり、他方は脊椎の機構が変質したことにより生じる二次的問題であるかもしれないが、外科的選択肢を考慮する段階までに、面関節変性と円板変性の両方が通常は発症している。例えば、面関節及び/又は椎間円板の機構が変質したせいで、脊髄の狭窄、変性脊椎すべり症、及び変性脊柱側弯症が引き起こされることもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記症状を治療するための外科的処置の1つに、脊椎関節固定術(spinal arthrodesis)(即ち、脊椎固定術(spine fusion))があり、これは前方進入法及び/又は後方進入法の両方で実施されてきた。後方進入法による処置には、現場固定術(in-situ fusion)、後側方的器具使用による融合、経椎間孔腰椎椎体間固定術(transforaminal lumbar interbody fusion)(「TLIF」)及び後方腰椎椎体間固定術(posterior lumbar interbody fusion)(「PLIF」)が含まれる。脊椎体節の固定的融合(solidly fusing)でそのレベルの動きを無くしてしまうと、当面の症候は緩和されるが、患者によっては動きを維持するのが好都合な場合もある。変性した円板又は面関節をそれぞれ人工円板又は人工面関節に外科的に置換することも知られている。しかしながら、既知の装置又は方法には、本開示の実施形態の利点を提供できるものは皆無である。
【0007】
従って、上記状況は、既知の移植片及び外科処置技法の欠点及び不都合を回避した、改良された脊椎関節形成術の必要性を示している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
或る実施形態では、上椎骨と下椎骨の間の連結の少なくとも一部を作成するための人工脊椎関節は、関節運動をする関節に置換するためのアッセンブリを備えている。この関節運動型関節置換アッセンブリは、上椎骨と下椎骨の間の椎間円板空間内へと伸張する前方関節置換構成要素と、第1後方関節置換構成要素と、前方関節置換構成要素と第1後方関節置換構成要素の間に連結された第1ブリッジ構成要素と、を備えている。この人工脊椎関節は、支持関節置換アッセンブリを更に備えている。支持関節置換アッセンブリは、上及び下椎骨の間の椎間円板空間内へと伸張する前方支持構成要素と、第2後方関節置換構成要素と、前方支持構成要素と第2後方関節置換構成要素の間に連結された第2ブリッジ構成要素と、を備えている。前方支持構成要素は、関節運動型関節置換構成要素と係合している。
【0009】
別の実施形態では、人工脊椎関節を移植する方法が提供されている。この方法は、椎間円板空間にアクセスするために患者の背部に第1露出部を作成する段階と、椎間円板空間にアクセスするために患者の背部に第2露出部を作成する段階と、第1露出部を通して第1経路に沿って椎間円板空間に人工脊椎関節の関節運動アッセンブリ部分を送り込む段階と、第2露出部を通して第2経路に沿って椎間円板空間に人工脊椎関節の支持アッセンブリ部分を送り込む段階と、関節運動アッセンブリ部分を支持アッセンブリ部分と係合させる段階と、を含んでいる。この実施形態では、第1露出部は第2露出部よりも大きい。
【0010】
別の実施形態では、上椎骨と下椎骨の間に連結を作成するためのシステムにおいて、上椎骨と下椎骨の間の椎間円板空間内へと、経椎間孔進入法(transforaminal approach)経椎間孔を介して移植するための前方関節運動アッセンブリと、前方関節運動アッセンブリに接続され、椎間円板空間の後方に伸張する第1後方関節運動アッセンブリと、を備えているシステムが提供されている。前方関節運動アッセンブリは、吻側関節運動面と係合している尾側関節運動面を備えており、この尾側と吻側の関節運動面の係合により回転の中心が画定されている。回転の中心は、一般的には、椎間円板空間を通る前後方向中心軸に沿って位置している。
【0011】
開示されている実施形態は、腰椎の外傷後の、椎間板に起因する、関節面痛又は脊椎すべり症の退行性変化、及び/又は腰椎の複数レベルの運動機能の維持に有用である。
【0012】
追加的及び代わりの特徴、利点、使用法及び実施形態は、以下の説明、図面及び特許請求の範囲に記載しており、その中で明らかになるであろう。
【実施例】
【0013】
各図面は、椎間円板、又は椎間円板と少なくとも1つの対応する面関節との組み合わせを置換するための人工脊椎関節の様々な実施形態を示している。本開示の原理による人工脊椎関節の各種実施形態は、関節置換に陥り易い問題の何れを治療するのにも使用することができ、特に、例えば、腰椎の外傷後の、椎間板に起因する、関節面痛又は脊椎すべり症の退行性変化、及び/又は腰椎の複数のレベルの運動機能維持に使用することができる。
【0014】
図4−図7は、人工脊椎関節の第1の代表的な実施形態を示している。図4及び図5に示すように、各関節は2つの関節形成用半部から構成され、各半部は、スペーサ又は円板19と保持部21とを有している。保持部21は、第1保持部21aと第2保持部21bを含んでいる。図4に示す例では、第1保持部21aは、第2保持部21bに対して上位(上方)にあり、円板19がその間に収まっている。この代表的な実施形態による人工脊椎関節は、第1保持部と第2保持部それぞれとして2つの半部を有しているが、代わりの実施形態は、人工脊椎関節が、1つの第1保持部材と、1つの第2保持部材と、1つのスペーサを有するように実施してもよいと理解されたい。また、代わりの実施形態は、それぞれに大きさの異なる半部又は2つより多い構成要素で構成されている、第1保持部と、第2保持部と、及び/又は円板とを有する関節形成用装置で実施してもよい旨理解されたい。
【0015】
また、図4に示すように、第1保持部21aと第2保持部21bは、2つの隣接する椎骨の間に装着されている。より具体的には、第1保持部は2つの隣接椎骨の内の上側の椎骨の下面に沿って装着され、第2保持部は、2つの隣接する椎骨の内の下側の椎骨の上面上方に装着される。しかしながら、当業者には理解頂けるように、第1保持部と第2保持部は、このような配置に限定されず、ここに図示したものとは異なる位置に配置し及び/又は異なる形状であってもよい。
【0016】
椎骨の残っている終板に接する関節形成用装置の保持部21a、21bの表面は、骨の内部成長とそれらの間の堅固な接合を促すために、ビード付き材料で被覆され又はプラズマ噴霧されていてもよい。具体的には、骨の内部成長を促す面は、コバルトクロムモリブデン合金に、チタン/カルシウム/リン酸塩の二重被覆、メッシュ面、又は他の効果的な面仕上げを施したものでもよい。代わりに、又は組み合わせて、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のような接着剤又はセメントを、終板の一方又は両方に移植片の全体又は一部を固定するために使用してもよい。
【0017】
後で詳しく説明するが、外層線維輪領域17(例えば、図4、7B参照)の大部分、或る実施形態では約300度は、終板の下部分にそのまま残され、これは、骨の内部成長が起こって保持部を相手方の各椎骨にしっかりと取り付けるまで、下側保持部を所定の位置に保持するストッパとして機能する(図4は、残されている外層線維輪17の一部しか示していない)。対照的に、従来の前方関節形成術では、通常、外層線維輪17の約270度が取り除かれる。また、当面の固定には椎弓根スクリュー(pedicle screws)も使用することができ、これについては後で論じる他の実施形態に結び付けて詳しく説明する。
【0018】
本開示の各種実施形態では、第1保持部21aと第2保持部21bは、両者の間に円板19を保持できる構造に作られている。例えば、2つの凸状面19aを備えた円板19の場合、第1保持部21aと第2保持部21bは、それぞれ、円板19が保持される空間を画定する凹状面21cを有している。例えば、図4に示す代表的な実施形態では、円板19の上側凸状面19aは、第1保持部21aの凹状面21cにより画定されている陥凹部内に嵌め込まれ、円板19の下側凸状面19bは、第2保持部21bの凹状面21cにより画定されている陥凹部内に嵌め込まれる。
【0019】
図5は、組み立て済みの代表的な人工脊椎関節の、関節形成用半部が両方共に所定の位置に配置された状態の前面図を示しており、図6は、図5に示す組み立て済み人工脊椎関節の側面図を示している。図5と図6に示すように、円板19は、第1保持部21aと第2保持部21bの間に保持されている。なお、円板19は第1保持部21aと第2保持部21bの間に保持されているが、円板19は、第1保持部21aの対応する面21aと第2保持部21bとにより画定された空間内で自由に滑動できるものと理解されたい。この様にして、隣接する椎骨の間の制限された動きを実現している。
【0020】
図4、5、6に示す代表的な実施形態では、円板19は、第1保持部21aと第2保持部21bの間に挿入される別体の構成要素である。しかしながら、下に論じるように、スペーサ又は円板19は、第1保持部21aと第2保持部21bの一方又は両方と共に形成してもよいし、一体に形成してもよいと理解されたい。
【0021】
本開示の代表的な実施形態では、図4、6、7A、7Bを見れば良く分かるように、人工脊椎関節の各保持部は、第1人工関節面構成要素23aと第2人工関節面構成要素23bを含んでいる。図7Aと図7Bに示すように、第1人工関節面構成要素23aは面25aを有し、対応する第2人工関節面構成要素23bは面25bを有しており、面25aが面25bに嵌り込んで隣接する椎骨を安定化させると共に、各椎骨の他方の椎骨に対する可動性を留保し及び案内するように構成されている。上側及び下側保持部21a及び21bの各セットは、一対の関節面構成要素23a、23bを有し、それらは一体となって面関節を画定している。この実施形態による関節面を用いた関節全置換術(total joint replacement)の場合、左右の関節形成用装置は、後方から見た場合に2つの隣接する面関節を画定することになる。
【0022】
人工面関節が設けられているか否かに関わりなく、関節形成用装置の左右半部に関係付けられた各上側及び下側保持部は、互いに完全に独立している。即ち、図7Aに示すように、例えば、各半部に対応付けられた第1保持部21aは、互いに直接接触しているわけではない。図7Bに示す第2保持部21bに関しても同じことが当てはまる。しかしながら、当業者には理解頂けるように、人工面関節を含んでいる本開示の実施形態においてさえ、各半部の第1保持部21aの少なくとも一部、及び/又は各半部の第2保持部21bの少なくとも一部は、互いに直接接触し及び/又は接続されていてもよく、これについては図17から図18の説明に関連付けて更に詳しく説明する。
【0023】
また、本開示の様々な実施形態では、円板19、第1保持部21a、及び第2保持部21bは、圧縮力及び引張力を伝達する接続をやり易くすると共に、隣接面それぞれの間で略横方向に上記のような滑動運動ができるようにするのに適していれば、どの様な材料で作ってもよい。例えば、第1の実施形態では、第1保持部21aと第2保持部21bは、通常、ステンレス鋼、チタン、及びコバルトクロムのような外科用移植片適している金属又は金属合金、又は炭素繊維のような複合材料、又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のようなプラスチック材料、又は他の適した材料で作られる。円板は、高分子量ポリエチレン又はPEEKのようなプラスチックから、又はセラミック、金属、及び限定するわけではないが、炭素繊維、ゴム、又は他の適した材料のような天然又は合成繊維から作られる。一般的に、面の滑動特性を維持し易くするため、面は、研磨し及び/又は被覆して滑らかな面にする。例えば、面が金属製の場合、金属面は研磨された金属でもよい。
【0024】
図8から図14は、人工脊椎関節の第2の実施形態を示している。第1の実施形態と異なる特徴だけをここでは詳しく説明する。第2の代表的な実施形態では、例えば椎弓根スクリュー(pedicle screws)27のような固定用構成要素が設けられ、第1保持部21a及び/又は第2保持部21bそれぞれの間に、対応する椎骨に対してよりしっかりした且つ直接的な接合を形成している。更に、この実施形態は、一方の保持部、ここでは下側保持部21bと一体に作られた円板19を示している。円板19は、その保持部と同じ材料で一体成形してもよいし、似た又は異なる材料で別個に成形した後、保持部に永続的に接合して一体の装置を形成してもよい。この実施形態では、円板19と保持部は全て金属で作られている。
【0025】
図15と図16は、人工脊椎関節の第3の実施形態を示している。第3の代表的な実施形態では、例えばテンションバンド31のような追加の固定用構成要素が設けられ、第1保持部21aを第2保持部21bに締結することによって隣接する椎骨の間の可動性を制限する、後靭帯の機能を補い、又はこれに置き換えている。図15と図16に示すように、後部テンションバンド31は、対応する椎弓根スクリュー27同士の周りに、又は他の都合のよい取り付け箇所に巻きつけることにより設けられる。
【0026】
図17と図18は、人工脊椎関節の第4の実施形態を示している。図17と図18に示す代表的な実施形態では、人工脊椎関節は、人工関節面構成要素を除いて、上に論じた特徴を全て備えている。この実施形態では、天然の面関節が留保されている。靭帯のテンションバンドが無傷のまま残される実施形態もある。加えて、この実施形態は、第1保持部21aと第2保持部21bの配置を維持するのに役立つ各上側及び下側保持部の間の前方正中線接合の具体的な事例を含んでいる。
【0027】
図17と図18は、第1保持部21aに、第2保持部21bに形成された対応する嵌め込み部分と相補形のロック・キー式のパターンを設けることができることを示している。より具体的には、第1保持部21aの一方の半部は、U字形状部35aの外側境界を有しており、対応する第1保持部21aの他方の半部は、U字形状部35aに嵌る突き出た部分35bの形をした外側境界を有している。その結果、第1保持部21a、21bの各半部は、所定の位置に維持される。しかしながら、上側又は下側保持部は、移植し易くし及び/又は関節を概ね安定した対称的構成に形成し及び/又は維持するのを支援する何らかのやり方で、椎体間空間、例えばその正中線前方部で、一体に嵌め合わせ、及び/又は接続してもよい。図18に示す下側の終板に残された線維輪17により与えられる内向きの力によって、下側保持部の間にそのような接合を作り出すことがなおさら重要である。各下側保持部の間の正中線接合は、保持部を正中線37に向けて移動させようとする外層線維輪の力に抵抗することになる。
【0028】
各種代表的実施形態に示すように、ロックとキーのように一体に嵌り合って各部の互いに対する配置を維持する第1及び/又は第2保持部以外の部分も、人工脊椎関節の各半部は、椎骨の正中線37を中心に概ね対称になっている。
【0029】
繰り返すが、これらの代表的実施形態は、単に説明を目的としており、本発明の可能な設計、実施例、変更及び使用例を網羅することを意図しているわけではない。また、本開示の或る実施形態に関連して説明した特徴は、上に明示的に述べていなくとも、他の実施形態に結び付けて使用することができる。
【0030】
上に論じたことから当業者には自明であろうが、人工関節の移植に使用するのに適した外科処置の手法を以下に簡単に説明する。一般的には、上で論じたように、人工脊椎関節は、既知のTLIF又はPLIF手法に類似の後方孔横断式進入法を用いて体内に移植される。この進入法によれば、患者の背部に正中線切開のような切開を施し、この孔を経由して罹患した円板の一部又は全部と周辺組織を取り出す。面関節を一部でも置換するか否かによるが、天然の面関節を削って人工面関節用の空間を作成する。次いで、人工脊椎関節の各半部を、左右の孔横断開口部を通してそれぞれ一個ずつ挿入する。即ち、関節面構成要素を備えている場合もいない場合もあるが、上側及び下側保持部と、人工円板が別体で設けられていればその人工円板と、を含んでいる人工脊椎関節の各部品を、孔を通して適切な椎間空間に配置する。人工関節の各部品は、完全に別々でもよいし、又は孔を通して挿入する前にその内の2つ又は3つ以上を、布又は当技術で既知の材料で一体に繋ぎ又はパッケージ化してもよい。天然の円板の外層線維輪の少なくとも一部を残しておける場合、人工脊椎関節の各側の下側保持部は、線維輪の対応する部分に当接するように挿入する。正中線前方接合が設けられている場合、保持部材の左右半部は、嵌め合わされ、外層線維輪で所定の位置に保持される。すると、線維輪の残り部分は、それが処置前に在ったのと実質的に同じ場所に位置することになる。
【0031】
また、天然円板の線維輪全体を取り除かねばならない場合、又は残っている線維輪が不十分である場合は、例えば、人工脊椎関節の諸部品が確実に定位置に留まるように、椎弓根スクリューを使用している本開示の実施形態を用いることができる。なお、当業者には理解頂けるように、後方進入法の利点が限定されることにはなるが、人工関節は、前方進入法又は前方進入法と後方進入法の組み合わせにより実施することもできる。例えば、人工脊椎関節の部品の一部を前方進入法で挿入し、他の部品を後方進入法で挿入してもよい。前方及び後方進入法で配置された部品は、図17と図18に示す実施形態と同じように一体に嵌め合せることができる。
【0032】
次に、図19と図20に示す実施形態では、人工椎間関節100は、椎骨7、9の間に挿入される2つの関節形成用半部102、104を含んでいる。関節形成用半部102は、関節運動型関節置換アッセンブリであり、吻側前方構成要素106と、吻側後方関節構成要素108と、前方構成要素106と後方構成要素108の間を伸張する吻側ブリッジ110と、を含んでいる。吻側前方構成要素106は、更に、凸状の壁部107を含んでいる。関節形成用半部102は、更に、尾側前方関節構成要素112と、尾側後方関節構成要素114と、前方構成要素112と後方構成要素114の間を伸張する尾側ブリッジ116と、を含んでいる。尾側前方構成要素112は、更に、凸状の壁部115を含んでいる。吻側前方関節構成要素106は骨接触面106aを含んでおり、尾側前方関節構成要素112は骨接触面112aを含んでいる。
【0033】
「吻側(rostral)」及び「尾側(caudal)」という用語は、幾つかの実施形態で、それら実施形態の構成要素の位置を説明するのに使用している。吻側は、当技術では通常、頭部に向く位置を説明するのに用いられ、尾側は、尾部又は足に向く位置を説明するのに用いられており、吻側と尾側は、ここでは単に図示の実施形態の構成要素の相対位置に対する修飾語として用いている。例えば、吻側構成要素は、図示の関節の一方の側にあり、尾側は当該関節の別の側にある。構成要素は、図示の実施形態を説明するために吻側及び尾側と称しているからといって、患者の解剖学的構造に対する装置又は方法の適用の方向を限定することも、特許請求の範囲を何れかの装置又は方法に限定することも、意図しているわけではない。
【0034】
この実施形態では、吻側ブリッジ110は、神経根を外に出すための出口ポータルと人工孔を作成するために凹凸117を含んでいる。ブリッジ110、116の何れか、具体的には尾側ブリッジ116は、天然の椎弓根を補助又は置換する「スーパー」又は人工椎弓根であってもよい。更にこの実施形態では、尾側前方関節構成要素112は、湾曲した突起118のような尾側関節運動面を含んでおり、尾側後方関節構成要素114は、後方関節運動部120を含んでいる。吻側前方関節構成要素106は、湾曲突起部118を受け入れるように作られた前方ソケットのような吻側関節運動面を含んでいる。湾曲突起部118の曲率半径を前方ソケット122の曲率半径とガタの無いように整合させて、拘束のきついボール・ソケット型係合を作成している。前方ソケット122を湾曲突起部118と係合させると、回転中心125が決まる。代わりの実施形態では、湾曲突起部に比較してソケットの曲率半径を大きくすることにより、湾曲突起部がソケット内で並進できるようにしている。
【0035】
吻側後方関節構成要素108は、後方関節運動部120と係合するように作られた後方ソケット124を含んでいる。後方関節運動部120の曲率半径は、後方ソケット124の曲率半径よりも小さいので、後方関節構成要素108、114の間の運動を許容し且つ結合を制限している。後方ソケット124と後方関節運動部120の曲率半径は、関節形成用半部102の共通の回転中心から放射されていてもよい。この実施形態では、後方ソケット124の曲率半径は比較的大きいので、得られた関節は拘束が緩い。代わりの実施形態では、尾側後方構成要素の後方突起部のガタの無い曲率半径が、ガタの無い曲率半径を有する吻側後方構成要素と嵌り合って、拘束のきつい後方関節を作成している。
【0036】
関節形成用半部104は、支持関節置換アッセンブリであり、吻側前方支持構成要素146と、吻側後方関節構成要素148と、前方構成要素146と後方構成要素148の間を伸張する吻側ブリッジ150と、を含んでいる。吻側前方構成要素146は、更に、凹状の壁部147を含んでいる。関節形成用半部104は、更に、尾側前方支持構成要素152と、尾側後方関節構成要素154と、前方構成要素152と後方構成要素154の間を伸張する尾側ブリッジ156と、を含んでいる。尾側前方構成要素152は、更に、凹状の壁部155を含んでいる。吻側前方支持構成要素146は、骨接触面146aを含んでおり、尾側前方支持構成要素152は、骨接触面152aを含んでいる。
【0037】
この実施形態では、吻側ブリッジ150は、神経根を外に出すための出口ポータルと人工孔を作成するために凹凸157を含んでいる。この実施形態でも、尾側後方関節構成要素154は、後方関節運動部160を含んでいる。吻側後方関節構成要素148は、後方関節運動部160と係合するように作られた後方ソケット162を含んでいる。後方関節運動部160の曲率半径は、後方ソケット162の曲率半径よりも小さいので、後方関節構成要素148、154の間の運動を許容し且つ結合を制限している。後方ソケット162と後方関節運動部160の曲率半径は、関節形成用半部104の共通の回転中心から放射されていてもよい。この実施形態では、後方ソケット162の曲率半径は比較的大きいので、得られた関節は拘束が緩い。代わりの実施形態では、尾側後方構成要素の後方突起部のガタの無い曲率半径が、ガタの無い曲率半径を有する吻側後方構成要素と嵌り合って、拘束のきつい後方関節を作成している。
【0038】
前方構成要素106、112、146、152及びブリッジ構成要素110、116、150、156の大きさと形状は、後方外科的進入法又は経椎間孔外科的進入法の制約により制限される。例えば、前方構成要素106、112、146、152は、後方の外科的露出部、カムビン(Kambin)の三角形、及び他の神経要素の間を通過させて装着できるようにしながら、最大の椎骨終板面積を覆って荷重を分散し沈下を少なくするように構成される。ブリッジ構成要素110、116、150、156の幅も、カムビンの三角形を通過して、神経要素と共存させるために、できる限り小さくされている。
【0039】
関節形成用半部102、104は、更に、椎骨7、9に固着するための造形を備えている。しかしながら、代わりの実施形態では、固定用の造形は省かれていると理解されたい。関節形成用半部104は、関節形成用半部102と実質的に同様な固定用の造形を含んでいるので、これ以上詳しくは説明しない。関節形成用半部102は、吻側前方関節構成要素106から吻側に伸張する接続用構成要素170を含んでいる。この実施形態の接続用構成要素170は、スクリュー172のような骨ファスナを受け入れるようになっている孔を含んでいる。接続用構成要素170は、スクリュー172を筒状の椎体7aに固着することができるような向きに配置されている。
【0040】
関節形成用半部102は、更に、尾側後方関節構成要素114に取り付けられるか、又はこれと一体に形成された接続用構成要素174を含んでいる。この実施形態の接続用構成要素174は、スクリュー176のような骨ファスナを受け入れるようになっている孔を含んでいる。接続用構成要素174は、スクリュー176が、中心軸から角度の付いた又は斜めに向いた、椎弓根を通して画定された経路を通るように、スクリュー176を椎弓根外的(extrapedicularly)に挿入できるような向きに配置されている。この実施形態では、スクリューは、椎弓根の壁を通過して、強力な皮質固定を実現する。椎弓根外固定(extrapedicular fixation)は、略後方−前方に椎弓根を通して画定された軸を下る経路を通らず椎弓根に固定されるどの様な固定でもよい。骨ファスナー172、176は、関節運動、軟組織及び天然構造に干渉しないように、埋め込まれる。
【0041】
或る代わりの実施形態では、後方構成要素から伸張する接続用構成要素は、スクリューが、略後方−前方に椎弓根を通して画定された軸を下って椎弓根内に挿入される向きに配置されている。なお、他の代わりの実施形態では、接続用構成要素は、関節形成用半部の様々な構成要素から、様々な角度で、様々な方向に伸張していると理解されたい。例えば、接続用構成要素は、吻側前方関節構成要素からではなく吻側ブリッジから伸張していてもよい。
【0042】
図19と図20に示すように、関節運動型関節置換アッセンブリ102の吻側構成要素106、108、110は、一体に形成されている。モジュール式の代わりの実施形態では、これら構成要素は、互いに取り外し可能に連結されていると理解されたい。例えば、吻側前方関節構成要素は、ブリッジとは別に装着してもよい。前方構成要素を所定の位置に配置した後、例えば、螺合接続、ボルト式接続、又はラッチ式接続のような当技術では既知の機構で、ブリッジを前方構成要素に取り付けてもよい。次いで、モジュール式吻側構成要素を、同様の締結機構でブリッジに取り付けて、関節形成用半部の吻側部分が完成する。同じように、尾側構成要素又は支持関節置換アッセンブリの構成要素はモジュール式でもよい。
【0043】
関節形成用半部102、104は、適した生体適合性を有する材料であれば、コバルト−クロム合金、チタン合金、ニッケルチタン合金、及び/又はステンレス鋼合金のような金属を含め、どの様な材料で形成してもよい。酸化アルミニウム又はアルミナ、酸化ジルコニウム又はジルコニア、粒子状ダイアモンドの圧縮物、及び/又は熱分解性炭素のようなセラミック材料も適している。ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、炭素強化PEEK、又はポリエーテルケトンケトン(PEKK)のようなポリアリルエーテルケトン(PAEK)系のあらゆる種類;ポリスルフォン;ポリエーテルイミド;ポリイミド;超高分子量ポリエチレン(UHMWPE);及び/又は架橋UHMWPEを含むポリマー材料も使用することができる。この関節形成半部102、104を備えている各種構成要素は、異なる材料で形成してもよく、従って、金属と金属、金属とセラミック、金属とポリマー、セラミックとセラミック、セラミックとポリマー、ポリマーとポリマーの積層構造とすることもできる。関節形成用半部102、104の骨接触面は、移植された人工器官の固定を強化する造形又は被覆を含んでいてもよい。例えば、面は、化学的エッチング、ビード吹き付け、サンダー仕上げ、研削、セレーション加工、及び/又はダイヤモンド切削などで、粗面加工を施してもよい。関節形成用半部102、104の骨接触面の全て又は一部は、骨の内部成長及び固定を促進するため、ヒドロキシアパタイト(HA)、リン酸三カルシウム(TCP)、及び/又は炭酸カルシウムのような生体適合性を有する骨誘導性の物質で被覆してもよい。代わりに、形質転換成長因子(TFG)ベータ上科由来のタンパク質、又はBMP2又はBMP7のような骨形態形成タンパク質のような骨誘発性被覆を使用してもよい。他の適した造形としては、スパイク、リッジ、及び/又は他の面の肌理が含まれる。
【0044】
人工椎間関節100は、以下に述べるように、椎骨7、9の間に装着される。一般に、人工椎間関節100は、既知のTLIF又はPLIFと同様の手法で後方経椎間孔進入法を使って体内に移植される。一般的に、PLIF進入法の方が正中寄りであり、椎骨内空間にアクセスするためには、横切っている神経根及び硬膜をより大きく後退させることになる。これら構造体の間の空間は、カムビンの三角形として知られている。TLIF進入法は、通常、もっと斜め方向になるので、出て行く神経根を後退させるのは少なくて済み、横切っている構造体の後退幅が小さいので硬膜外出血も少なくて済む。出て行く神経根の位置の上方且つカムビンの三角形の外側で、更に側方寄りの進入法を用いて、内空間にアクセスすることもできる。幾つかの事例では、関節面を切除せずに、更に側方寄りの進入法によって、内空間にアクセスすることもできる。また、腰筋を通る直接側方進入法も、既知である。この進入法は、後方の神経要素を完全に回避する。本発明の実施形態は、上記一般的な進入法の何れを利用する場合も想定している。
【0045】
上記進入法の少なくとも1つにより、患者の背部に正中切開のような切開を施して、罹患した円板の一部又は全部を周辺組織と共に孔を経由して取り出す。椎骨9の上終板面を削り、やすりをかけ、そうでなければ切除して、尾側前方骨接触面112aのプロフィールと整合させて、椎骨9の上終板面に作用する応力分布を正規化し、及び/又は骨の内部成長に先立つ初期固定を提供する。椎骨9の終板に前処理を施すことにより、面は平坦化され、又は、面輪郭が、ポケット、溝、又は骨接触面112a上の対応する造形に整合するものとなる。椎骨7の下終板は、出て行く神経根及び背根神経節が許容する範囲まで、吻側前方関節構成要素106を受け入れるように同様に前処理される。面関節を置換するか否かにより、椎骨7、9の天然の面関節を仕上げて、後方構成要素108、114のための空間を作り出す。
【0046】
次いで、人工椎間関節100の人工関節置換アッセンブリ102を、例えば左の経椎間孔の露出部(transforaminal exposure)を通して個別に挿入する。即ち、吻側及び尾側前方関節構成要素106、112を含んでいる人工関節置換アッセンブリ102の各部品を、それぞれ孔に通して、略円筒状椎体7a、9aの間の適切な椎間円板空間に配置する。前方関節構成要素106、112は、「インゲン豆」TLIFグラフトに使用されているものとよく似た湾曲経路に沿って送り込まれる。椎間円板空間内で、前方関節構成要素106、112は、前方ソケット122が湾曲突起部118と係合し、回転の中心125が、椎間円板空間を通る横方向に中心合わせされた前後方向軸127に概ね沿って位置するように、配置される。挿入時、関節運動型関節置換アッセンブリ102の各部品は、完全に別々でもよいし、又は孔を通して挿入する前にその内の2つ又は3つ以上を、布又は当技術で既知の材料により一体に繋ぎ又はパッケージ化してもよい。天然の円板の外層線維輪の少なくとも一部を残しておける場合、尾側前方関節構成要素は、線維輪の対応する部分に当接するように挿入する。
【0047】
上記のように、前方ソケット122が湾曲突起118と係合することにより形成される前方関節接合は、片側を送り込むことで完成される。支持関節置換アッセンブリ104が挿入できないか、又は一方の側方配置半部だけを使用するのが望ましい場合は、関節運動型関節置換アッセンブリ102は単独で機能する。関節運動型関節置換アッセンブリ102を単独で使用する場合は、回転の中心125は軸127に沿って位置するが、代わりの実施形態では、回転の中心は軸127の一方の側に位置する。前方関節接合のこの種の意図的な側性化は、脊柱側弯症の矯正又は平衡補正を要する他の病的症状を矯正する場合に望ましい楔効果を作り出す。関節運動用と支持用の両方の関節置換アッセンブリを装着する状況では、脊柱側弯症及び同様の病的症状は、高度と形状の異なる前方構成要素同士を使用して修復される。こうすると、関節運動型関節置換アッセンブリは、楔として機能して、支持関節置換アッセンブリとは異なる椎間高を作り出す。
【0048】
ブリッジ110、116は、前方関節構成要素106、112からそれぞれ後方に伸張し、椎間円板空間から後方に伸張している。後方構成要素108、114は、後方ソケット124が後方関節運動部120と係合した状態で、椎間円板空間の後方に配置される。これら後方構成要素108、114は、天然の面関節の機能を置換し又はこれを補う。
【0049】
次いで、人工椎間関節100の支持関節置換アッセンブリ104は、対側性露出部、例えば右の経椎間孔の露出部、を通して一個ずつ挿入される。即ち、吻側及び尾側前方支持構成要素146、152を含む関節運動型関節置換アッセンブリ104の各部品は、それぞれ対側性孔を通して略円筒形状の椎体7a、9aの間の適切な椎間円板空間に装着される。支持関節置換アッセンブリ104は、関節運動面がないので、関節運動型関節置換アッセンブリ102よりも少ない間隙で済む。この様に、関節運動型関節置換アッセンブリ102を挿入するのに必要な最小間隙は、支持関節置換アッセンブリ104を挿入するのに必要な最小間隙よりも小さく、右側の経椎間孔の露出部は、左側の経椎間孔の露出部よりも小さくてよい。前方支持構成要素146、152も、「インゲン豆」TLIFグラフトで使用されているものと同様の湾曲経路、又は構成要素の形状に対応する他の経路に沿って送り込まれる。支持関節置換アッセンブリ104の各部品は、完全に別々でもよいし、又は孔を通して挿入する前にその内の2つ又は3つ以上を、布又は当技術で既知の材料により一体に繋ぎ又はパッケージ化してもよい。椎間円板空間内で、前方支持構成要素146、152は、前方関節構成要素106、112にそれぞれ接続される。この実施形態では、尾側前方関節構成要素112の凸状壁115は、尾側前方支持構成要素152の凹状壁155と係合状態に配置される。吻側前方関節構成要素106は、吻側前方支持構成要素146に対して同様に配置される。前方支持構成要素146、152は、前方関節運動構成要素106、112の回転中心125を、椎間円板空間内の略中央位置に位置決めして維持する働きをすると共に、前方脊柱に沈下を制限する追加の表面積を提供する働きもする。この実施形態では、凸状壁115と凹状壁155の間の界面、又は凸状壁107と凹状壁147の間の界面において、軸旋回、滑動、又は回転運動を行うことができる。
【0050】
或る代わりの実施形態では、吻側の関節構成要素と支持構成要素だけが接続されている。別の実施形態では、尾側の関節構成要素と支持部関節構成要素だけが接続されている。別の実施形態では、処置中に問題が起きた場合は、対側性露出部は放棄される。従って、関節形成術は、関節運動型関節置換アッセンブリだけを片側から送り込むことによって完了する。ブリッジ150、156は、前方関節構成要素146、152から後方に伸張し、椎間円板空間から後方に伸張する。後方構成要素148、154は、後方ソケット162が後方関節運動部160と係合した状態で、椎間円板空間の後方に配置される。これら後方構成要素148、154は、天然の面関節の機能を置換し又はこれを補う。
【0051】
装着後、関節運動型関節置換アッセンブリ102と支持関節置換アッセンブリ104は、椎骨7、9に固定される。スクリュー172は、接続用構成要素170を通して、略円筒形の椎体7aにねじ込まれる。スクリュー176は、接続用構成要素174を通して挿入され、椎骨9に椎弓根外的に固着され、例えば、スクリュー176は、椎弓根の側壁を通過して強力な皮質固定を実現する。対応するファスナを使用して支持関節置換アッセンブリ104を固定する。なお、スクリューは、関節形成用半部全体を移植し終えた後、又は吻側及び尾側構成要素それぞれが移植された後の何れかに、移植できるものと理解されたい。
【0052】
装着された状態では、吻側前方関節構成要素106と尾側前方関節構成要素112により作成される前方ボール・ソケット型関節は、比較的安定し自己心出しする。前方及び後方関節は、両方共、関節形成用半部102が剪断力、特に前後方向の力に抵抗できるようにする。尾側前方関節構成要素112に対する吻側前方関節構成要素106の動きは、後方ソケット124内での後方関節運動部120の変位により制限される。例えば、尾側前方関節構成要素112に対する吻側前方関節構成要素106の側方の並進は、後方関節によって制限される。円筒形椎体7a、9aにより画定される長手方向軸周りの回転運動は、後方関節の拘束と、2つの関節形成用半部102、104により提供される合成的拘束の両方によって制限される。また、後方関節は、どの様な真の側方屈曲自由度にでも制約を課す。
【0053】
運動の純粋な自由は、関節運動型関節置換アッセンブリ102の前方関節を通って画定される軸の周りの屈曲−伸展運動に制限される。しかしながら、或る一定の状況の下では、関節100は、上記設計上の制約を乗り越えて、一定の範囲内の横方向、回転方向、及び連結型の運動を許容する。例えば、前方関節構成要素106、112は相互接合から外れ、制限された「リフトオフ」状態になり、厳格な屈曲−伸展運動を超える追加的自由度と連結運動が可能になる。前方関節の自己心出し特性によって、リフトオフが生じた後の再接続と整列が確実に行われる。前方関節構成要素106、112の制限付き接続解除は、後方関節の拘束の程度により調節される。例えば、後方関節の拘束が比較的緩ければ、リフトオフの程度は大きくなる。しかしながら、後方関節の再接続と整列を確実に行うには、後方関節にある程度の制約があったほうが有効であろう。一般に、同一又は同程度の曲率半径を有する各構成要素できつく拘束した、単純な前方配置のボール・ソケット関節は、剪断力に抵抗し並進を制限しながら、屈曲−伸展、側方屈曲、及び捻り運動をできるようにする。後方構成要素に、更に拘束を強めたボール・ソケット関節を加えると、捻り等の自由度に制限を追加することもできる。追加の関節は、運動の自由度を更に制限する。前方又は後方関節が外れるか又は関節運動解除が許容される場合には、追加の自由度が上記のように許容される。ボールとソケットの間の隙間の形状を変えることによっても、追加の運動の自由度が許容されることになる。
【0054】
前方及び後方関節の頑丈で寛大な構造は、関節形成用半部102、104の配置に整列不良や僅かな精度不良があっても、これを許容する。例えば、前方関節構成要素106、112の自己整列型ボール・ソケット構造は、構成要素同士の或る一定量の整列不良を容認する。従って、構成要素106、112の挿入軌道は、少しならずれてもよい。後方突起120と後方ソケット124の相互作用は、関節形成用半部102、104の間の、平行整列不良及び/又は前後方向整列不良にも対応することができる。
【0055】
次に、図21に示す実施形態では、人工椎間関節は、以下に記載の相違点を除き、人工椎間関節100と実質的に同じである。この実施形態では、尾側前方関節構成要素202は、スロット204を含んでおり、尾側前方支持構成要素206は、タブ208を含んでいる。スロット204は、タブ208を受け入れて保持するように作られている。スロットは、湾曲していても傾斜していてもよいし、又は、尾側前方関節構成要素202と尾側前方支持構成要素206の間の固定及び選択的取り外し可能な接続を許容する別の種類の係止造形を備えていてもよい。スロット/タブ係合は、尾側前方構成要素又は吻側前方構成要素を接続するのに使用される接続機構の一種でしかない。ねじ付の陥凹部とねじ付のロッドの連結のような、当技術では既知の他の種類の機械的又は固着的接合機構を、接続機構として使用してもよい。
【0056】
次に、図22に示す実施形態では、後方関節構成要素への制御性を高めることにより、前方関節運動構成用要素の制御性を高めている。この代わりの実施形態では、人工椎間関節は、以下に記載の相違点を除き、人工椎間関節100と実質的に同じである。この実施形態では、尾側後方関節構成要素250は、開口(aperture)のような接続用構成要素252を含んでいる。吻側後方関節構成要素254は、細長い開口(elongated aperture)又はスロットのような接続用構成要素256を含んでいる。ブッシュを備えた骨スクリューのような骨ファスナ258を細長開口部256と開口部252に通して椎骨9に挿入する。ファスナ258は、細長開口部256内で並進することができる。従って、前方関節運動型関節置換構成要素は、ファスナ258が開口部256内で並進する際に、或る一定の範囲で屈曲−伸展運動することができる。この実施形態では、接続用構成要素は、椎弓根外的取り付けができるように構成されているが、椎弓根内的及び椎体内固定も、容認可能な選択肢である。
【0057】
或る代わりの実施形態では、上記椎間関節は、何れも、更に、吻側前方構成要素から伸張する吻側キール、及び/又は尾側前方関節構成要素から尾側ブリッジに沿って伸張する尾側キールを含んでいる。吻側キールは、椎骨7aの下終板と係合し、尾側キールは椎体9aの上終板及び椎骨9の椎弓根の上面と係合する。なお、椎体7aの下終板は、吻側キールを受け入れるために削られ又は前処理されるものと理解されたい。同様に、椎体9aの上終板と椎骨9の椎弓根は、尾側キールを受け入れる溝を作るために、削られ、彫られ、又は何らかのやり方で前処理される。キールは、骨への接続を助け、関節形成用半部の運動を所望の自由度に制限する。キールは、傾斜した又は半円筒状の断面を有している。2つ以上のキールを所与のどの構成要素に使用してもよいと理解されたい。
【0058】
以上、代表的な実施形態を幾つか詳しく説明してきたが、当業者には容易に理解頂けるように、これら代表的な実施形態には、本開示の新規な教示及び利点から実質的に逸脱すること無く、多くの修正を施すことができる。従って、そのような修正及び変更は、全て特許請求の範囲に定義する本発明の範囲内に含まれるものとする。当業者には理解頂けるように、そのような修正及び等価な構造又は方法は、本開示の精神及び範囲を逸脱するものではなく、本開示の精神及び範囲を逸脱することなく、様々な変化、置換、及び変更を施すことができる。「水平」、「垂直」、「上」、「上側」、「下側」、「下」、「左」、及び「右」など、空間についての言及は全て、説明だけを目的としたものであり、本開示の範囲内で変えることができるものと理解されたい。請求項において、手段プラス機能の節は、列挙した機能を実行するものとしてここに説明した構造を、構造的等価物だけではなく等価的構造も含めて、包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】健康な人間の脊柱の腰椎及び仙骨領域の側面概略図である。
【図2】図1に示す腰椎の右側の一部を示す詳細斜視図であり、健康な円板が2つの椎骨の間に配置されている状態を示している。
【図3】図2に示す椎間円板の上面斜視図であり、円板の主要部分を示している。
【図4】本開示の原理により構築された人工脊椎関節の第1の実施形態を示している、腰椎の一部の側面分解図である。
【図5】本開示の第1の実施形態により構築された、組み立て後の人工脊椎関節の左側及び右側半部の、上部分、円板、及び下部分を示す、腰椎の一部の前面図である。
【図6】図5に示す人工脊椎関節の右側半部の側面図である。
【図7A】図4に示す人工脊椎関節の上部分を示している、腰椎の一部を横断方向に下から見た図である。
【図7B】図4に示す人工脊椎関節の下部分を示している、腰椎の一部を横断方向に上から見た図である。
【図8】人工脊椎関節の上部分の第2の実施形態を示している腰椎の一部を横断方向に下から見た図であり、ここでは移植を支援するために椎弓根スクリューが使用されている。
【図9】人工脊椎関節の下部分の第2の実施形態を示している腰椎の一部を横断方向に上から見た図であり、ここでは移植を支援するために椎弓根スクリューが使用されている。
【図10】図8に示す人工脊椎関節の上部分を示している腰椎の一部の側面図であり、椎弓根スクリューの1つが見えている。
【図11】図9に示す人工の一体型脊椎関節の下部分及び一体構成の円板部分を示している腰椎の一部の側面図であり、椎弓根スクリューの1つが見えている。
【図12】図8に示す人工脊椎関節の上部分を示している腰椎の一部の後面図であり、椎弓根スクリューが2つ見えている。
【図13】図9に示す人工脊椎関節の下部分を示している腰椎の一部の後面図であり、椎弓根スクリューが2つ見えているる。
【図14】椎弓根スクリューを用いて組み立てられた状態の第2の実施形態を示している腰椎の一部の側面図である。
【図15】人工脊椎関節の下部分、円板、及び上部分の第3の実施形態を示している腰椎の一部の後面図であり、ここではテンションバンドを使用している。
【図16】組み立てた状態でテンションバンドが使用されている、第3の実施形態を示している、腰椎の一部の側面図である。
【図17】本開示の原理により構築された人工脊椎関節の第4の実施形態の上部分を示している腰椎の一部を横断方向に下から見た図であり、ここでは面関節は置換されていない。
【図18】人工脊椎関節の第4の実施形態の下部分を示している、腰椎の一部を横断方向に上から見た図である。
【図19】本開示の別の実施形態の分解斜視図である。
【図20】図19の実施形態の組み立てられた状態の斜視図である。
【図21】本開示の別の実施形態の分解斜視図である。
【図22】本開示の別の実施形態の分解斜視図である。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、概括的には、脊椎外科処置を実施するための装置と方法に関し、より具体的には、実施形態の中には、椎間板空間に後方進入的に挿入可能な脊椎関節形成用装置に関するものもある。本発明では、天然の脊椎関節の円板及び関節面機能の両方を、後方進入法によって置換する全脊椎関節形成術での使用を含め、各種実施形態を想定している。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2004年1月9日出願の米国仮特許出願第60/534,960号「後方腰椎関節形成術」からの優先権を主張する。以下の出願も、上記仮特許出願に対する優先権を主張しており、本出願にも関連している。それら一連の出願を参考文献として本願に援用する。米国特許出願番号不詳(弁理士事件番号PC1146)、2005年1月7日出願、「脊椎関節形成装置及び方法」;米国特許出願番号不詳(弁理士事件番号P21769)、2005年1月7日出願、「二重関節運動式脊椎装置及び方法」;米国特許出願番号不詳(弁理士事件番号P21756)、2005年1月7日出願、「分割式脊椎装置及び方法」;米国特許出願番号不詳(弁理士事件番号P21752)、2005年1月7日出願、「相互接続式脊椎装置及び方法」;米国特許出願番号不詳(弁理士事件番号P21743)、2005年1月7日出願、「支持構造装置及び方法」;米国特許出願番号不詳(弁理士事件番号P21765)、2005年1月7日出願、「中央関節運動式脊椎装置及び方法」;及び、米国特許出願番号不詳(弁理士事件番号P21751)、2005年1月7日出願、「後方脊椎装置及び方法」
当技術では既知のように、ヒトの解剖学的構造において、脊椎は、一般的には、引張及び圧縮荷重を受け止める可撓性のある柱であり、屈曲動作を可能にすると共に、肋骨、筋肉、及び靭帯の接合場所を提供している。脊柱は、大まかには3つの部分、即ち、頚椎、胸椎、腰椎に分けられる。図1は、健康なヒトの脊柱の腰椎1と仙骨領域3を概略的に示している。脊椎の部分は、椎骨と呼ばれる個々の骨から成り、椎骨同士は、その間に収まっている椎間円板によって分離されている。
【0003】
図2は、2つの隣接する椎骨7、9の間に配置された健康な椎間円板5を有する腰椎領域の右側面の一部を示している。所与の何れの関節においても、上側の椎骨を上椎骨と呼び、下側の椎骨を下椎骨と呼ぶ。各椎骨は、重量を支える主要領域である略円筒形の椎体7a、9aと、3つの骨突起、例えば7b、7c、7d(図2ではこの内2つが見える)を備えている。図7Aでは、全ての突起が見えているが、この図に示すように、突起7b、7c、7dは、椎体7の円周方向に間隔を空けた位置から外向きに伸張している。突起は、他にも機能はあるが、特に筋肉と靭帯を接合するための領域を提供している。隣り合う椎骨は、関節面構成要素7e(図2)を介して互いに対して動くが、この関節面構成要素7eは、椎骨の円筒形の椎体から伸張し、屈曲時は互いに重なり合って滑動し脊椎の動きを誘導するようになっている。面関節は2つあり、それぞれ、隣接する椎骨に関わりを持つ上側及び下側関節面構成要素によって画定されている。健康な椎間円板を図3に示している。図3に示すように、椎間円板には4つの領域、即ち、髄核11、遷移領域13、内層線維輪領域15、外層線維輪領域17がある。一般に、内層線維輪領域15と外層線維輪領域17は、その上方及び下方の椎体にしっかりと取り付いた繊維性軟骨質物質の層で構成されている。通常、髄核11は、より水和した状態にある。
【0004】
これら椎間円板は、衝撃吸収装置と関節の機能を兼ね備えている。椎間円板は、脊柱が受ける圧縮及び引張荷重を吸収すると同時に、隣接する椎体が、特に脊椎の屈曲(撓む)時に、互いに対して或る制限された量だけ動けるように作られている。この様に、椎間円板は、常に筋肉及び/又は重力による圧力の下にあるので、一般に腰椎の中では「摩耗と断裂」の徴候が現れる最初の部分である。
【0005】
面関節は脊椎と共に殆ど常に動いているため、面関節変性も普通に起こる。実際に、面関節変性と円板変性は併発する頻度が高い。一般的には、一方が一次的な問題であり、他方は脊椎の機構が変質したことにより生じる二次的問題であるかもしれないが、外科的選択肢を考慮する段階までに、面関節変性と円板変性の両方が通常は発症している。例えば、面関節及び/又は椎間円板の機構が変質したせいで、脊髄の狭窄、変性脊椎すべり症、及び変性脊柱側弯症が引き起こされることもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記症状を治療するための外科的処置の1つに、脊椎関節固定術(spinal arthrodesis)(即ち、脊椎固定術(spine fusion))があり、これは前方進入法及び/又は後方進入法の両方で実施されてきた。後方進入法による処置には、現場固定術(in-situ fusion)、後側方的器具使用による融合、経椎間孔腰椎椎体間固定術(transforaminal lumbar interbody fusion)(「TLIF」)及び後方腰椎椎体間固定術(posterior lumbar interbody fusion)(「PLIF」)が含まれる。脊椎体節の固定的融合(solidly fusing)でそのレベルの動きを無くしてしまうと、当面の症候は緩和されるが、患者によっては動きを維持するのが好都合な場合もある。変性した円板又は面関節をそれぞれ人工円板又は人工面関節に外科的に置換することも知られている。しかしながら、既知の装置又は方法には、本開示の実施形態の利点を提供できるものは皆無である。
【0007】
従って、上記状況は、既知の移植片及び外科処置技法の欠点及び不都合を回避した、改良された脊椎関節形成術の必要性を示している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
或る実施形態では、上椎骨と下椎骨の間の連結の少なくとも一部を作成するための人工脊椎関節は、関節運動をする関節に置換するためのアッセンブリを備えている。この関節運動型関節置換アッセンブリは、上椎骨と下椎骨の間の椎間円板空間内へと伸張する前方関節置換構成要素と、第1後方関節置換構成要素と、前方関節置換構成要素と第1後方関節置換構成要素の間に連結された第1ブリッジ構成要素と、を備えている。この人工脊椎関節は、支持関節置換アッセンブリを更に備えている。支持関節置換アッセンブリは、上及び下椎骨の間の椎間円板空間内へと伸張する前方支持構成要素と、第2後方関節置換構成要素と、前方支持構成要素と第2後方関節置換構成要素の間に連結された第2ブリッジ構成要素と、を備えている。前方支持構成要素は、関節運動型関節置換構成要素と係合している。
【0009】
別の実施形態では、人工脊椎関節を移植する方法が提供されている。この方法は、椎間円板空間にアクセスするために患者の背部に第1露出部を作成する段階と、椎間円板空間にアクセスするために患者の背部に第2露出部を作成する段階と、第1露出部を通して第1経路に沿って椎間円板空間に人工脊椎関節の関節運動アッセンブリ部分を送り込む段階と、第2露出部を通して第2経路に沿って椎間円板空間に人工脊椎関節の支持アッセンブリ部分を送り込む段階と、関節運動アッセンブリ部分を支持アッセンブリ部分と係合させる段階と、を含んでいる。この実施形態では、第1露出部は第2露出部よりも大きい。
【0010】
別の実施形態では、上椎骨と下椎骨の間に連結を作成するためのシステムにおいて、上椎骨と下椎骨の間の椎間円板空間内へと、経椎間孔進入法(transforaminal approach)経椎間孔を介して移植するための前方関節運動アッセンブリと、前方関節運動アッセンブリに接続され、椎間円板空間の後方に伸張する第1後方関節運動アッセンブリと、を備えているシステムが提供されている。前方関節運動アッセンブリは、吻側関節運動面と係合している尾側関節運動面を備えており、この尾側と吻側の関節運動面の係合により回転の中心が画定されている。回転の中心は、一般的には、椎間円板空間を通る前後方向中心軸に沿って位置している。
【0011】
開示されている実施形態は、腰椎の外傷後の、椎間板に起因する、関節面痛又は脊椎すべり症の退行性変化、及び/又は腰椎の複数レベルの運動機能の維持に有用である。
【0012】
追加的及び代わりの特徴、利点、使用法及び実施形態は、以下の説明、図面及び特許請求の範囲に記載しており、その中で明らかになるであろう。
【実施例】
【0013】
各図面は、椎間円板、又は椎間円板と少なくとも1つの対応する面関節との組み合わせを置換するための人工脊椎関節の様々な実施形態を示している。本開示の原理による人工脊椎関節の各種実施形態は、関節置換に陥り易い問題の何れを治療するのにも使用することができ、特に、例えば、腰椎の外傷後の、椎間板に起因する、関節面痛又は脊椎すべり症の退行性変化、及び/又は腰椎の複数のレベルの運動機能維持に使用することができる。
【0014】
図4−図7は、人工脊椎関節の第1の代表的な実施形態を示している。図4及び図5に示すように、各関節は2つの関節形成用半部から構成され、各半部は、スペーサ又は円板19と保持部21とを有している。保持部21は、第1保持部21aと第2保持部21bを含んでいる。図4に示す例では、第1保持部21aは、第2保持部21bに対して上位(上方)にあり、円板19がその間に収まっている。この代表的な実施形態による人工脊椎関節は、第1保持部と第2保持部それぞれとして2つの半部を有しているが、代わりの実施形態は、人工脊椎関節が、1つの第1保持部材と、1つの第2保持部材と、1つのスペーサを有するように実施してもよいと理解されたい。また、代わりの実施形態は、それぞれに大きさの異なる半部又は2つより多い構成要素で構成されている、第1保持部と、第2保持部と、及び/又は円板とを有する関節形成用装置で実施してもよい旨理解されたい。
【0015】
また、図4に示すように、第1保持部21aと第2保持部21bは、2つの隣接する椎骨の間に装着されている。より具体的には、第1保持部は2つの隣接椎骨の内の上側の椎骨の下面に沿って装着され、第2保持部は、2つの隣接する椎骨の内の下側の椎骨の上面上方に装着される。しかしながら、当業者には理解頂けるように、第1保持部と第2保持部は、このような配置に限定されず、ここに図示したものとは異なる位置に配置し及び/又は異なる形状であってもよい。
【0016】
椎骨の残っている終板に接する関節形成用装置の保持部21a、21bの表面は、骨の内部成長とそれらの間の堅固な接合を促すために、ビード付き材料で被覆され又はプラズマ噴霧されていてもよい。具体的には、骨の内部成長を促す面は、コバルトクロムモリブデン合金に、チタン/カルシウム/リン酸塩の二重被覆、メッシュ面、又は他の効果的な面仕上げを施したものでもよい。代わりに、又は組み合わせて、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のような接着剤又はセメントを、終板の一方又は両方に移植片の全体又は一部を固定するために使用してもよい。
【0017】
後で詳しく説明するが、外層線維輪領域17(例えば、図4、7B参照)の大部分、或る実施形態では約300度は、終板の下部分にそのまま残され、これは、骨の内部成長が起こって保持部を相手方の各椎骨にしっかりと取り付けるまで、下側保持部を所定の位置に保持するストッパとして機能する(図4は、残されている外層線維輪17の一部しか示していない)。対照的に、従来の前方関節形成術では、通常、外層線維輪17の約270度が取り除かれる。また、当面の固定には椎弓根スクリュー(pedicle screws)も使用することができ、これについては後で論じる他の実施形態に結び付けて詳しく説明する。
【0018】
本開示の各種実施形態では、第1保持部21aと第2保持部21bは、両者の間に円板19を保持できる構造に作られている。例えば、2つの凸状面19aを備えた円板19の場合、第1保持部21aと第2保持部21bは、それぞれ、円板19が保持される空間を画定する凹状面21cを有している。例えば、図4に示す代表的な実施形態では、円板19の上側凸状面19aは、第1保持部21aの凹状面21cにより画定されている陥凹部内に嵌め込まれ、円板19の下側凸状面19bは、第2保持部21bの凹状面21cにより画定されている陥凹部内に嵌め込まれる。
【0019】
図5は、組み立て済みの代表的な人工脊椎関節の、関節形成用半部が両方共に所定の位置に配置された状態の前面図を示しており、図6は、図5に示す組み立て済み人工脊椎関節の側面図を示している。図5と図6に示すように、円板19は、第1保持部21aと第2保持部21bの間に保持されている。なお、円板19は第1保持部21aと第2保持部21bの間に保持されているが、円板19は、第1保持部21aの対応する面21aと第2保持部21bとにより画定された空間内で自由に滑動できるものと理解されたい。この様にして、隣接する椎骨の間の制限された動きを実現している。
【0020】
図4、5、6に示す代表的な実施形態では、円板19は、第1保持部21aと第2保持部21bの間に挿入される別体の構成要素である。しかしながら、下に論じるように、スペーサ又は円板19は、第1保持部21aと第2保持部21bの一方又は両方と共に形成してもよいし、一体に形成してもよいと理解されたい。
【0021】
本開示の代表的な実施形態では、図4、6、7A、7Bを見れば良く分かるように、人工脊椎関節の各保持部は、第1人工関節面構成要素23aと第2人工関節面構成要素23bを含んでいる。図7Aと図7Bに示すように、第1人工関節面構成要素23aは面25aを有し、対応する第2人工関節面構成要素23bは面25bを有しており、面25aが面25bに嵌り込んで隣接する椎骨を安定化させると共に、各椎骨の他方の椎骨に対する可動性を留保し及び案内するように構成されている。上側及び下側保持部21a及び21bの各セットは、一対の関節面構成要素23a、23bを有し、それらは一体となって面関節を画定している。この実施形態による関節面を用いた関節全置換術(total joint replacement)の場合、左右の関節形成用装置は、後方から見た場合に2つの隣接する面関節を画定することになる。
【0022】
人工面関節が設けられているか否かに関わりなく、関節形成用装置の左右半部に関係付けられた各上側及び下側保持部は、互いに完全に独立している。即ち、図7Aに示すように、例えば、各半部に対応付けられた第1保持部21aは、互いに直接接触しているわけではない。図7Bに示す第2保持部21bに関しても同じことが当てはまる。しかしながら、当業者には理解頂けるように、人工面関節を含んでいる本開示の実施形態においてさえ、各半部の第1保持部21aの少なくとも一部、及び/又は各半部の第2保持部21bの少なくとも一部は、互いに直接接触し及び/又は接続されていてもよく、これについては図17から図18の説明に関連付けて更に詳しく説明する。
【0023】
また、本開示の様々な実施形態では、円板19、第1保持部21a、及び第2保持部21bは、圧縮力及び引張力を伝達する接続をやり易くすると共に、隣接面それぞれの間で略横方向に上記のような滑動運動ができるようにするのに適していれば、どの様な材料で作ってもよい。例えば、第1の実施形態では、第1保持部21aと第2保持部21bは、通常、ステンレス鋼、チタン、及びコバルトクロムのような外科用移植片適している金属又は金属合金、又は炭素繊維のような複合材料、又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のようなプラスチック材料、又は他の適した材料で作られる。円板は、高分子量ポリエチレン又はPEEKのようなプラスチックから、又はセラミック、金属、及び限定するわけではないが、炭素繊維、ゴム、又は他の適した材料のような天然又は合成繊維から作られる。一般的に、面の滑動特性を維持し易くするため、面は、研磨し及び/又は被覆して滑らかな面にする。例えば、面が金属製の場合、金属面は研磨された金属でもよい。
【0024】
図8から図14は、人工脊椎関節の第2の実施形態を示している。第1の実施形態と異なる特徴だけをここでは詳しく説明する。第2の代表的な実施形態では、例えば椎弓根スクリュー(pedicle screws)27のような固定用構成要素が設けられ、第1保持部21a及び/又は第2保持部21bそれぞれの間に、対応する椎骨に対してよりしっかりした且つ直接的な接合を形成している。更に、この実施形態は、一方の保持部、ここでは下側保持部21bと一体に作られた円板19を示している。円板19は、その保持部と同じ材料で一体成形してもよいし、似た又は異なる材料で別個に成形した後、保持部に永続的に接合して一体の装置を形成してもよい。この実施形態では、円板19と保持部は全て金属で作られている。
【0025】
図15と図16は、人工脊椎関節の第3の実施形態を示している。第3の代表的な実施形態では、例えばテンションバンド31のような追加の固定用構成要素が設けられ、第1保持部21aを第2保持部21bに締結することによって隣接する椎骨の間の可動性を制限する、後靭帯の機能を補い、又はこれに置き換えている。図15と図16に示すように、後部テンションバンド31は、対応する椎弓根スクリュー27同士の周りに、又は他の都合のよい取り付け箇所に巻きつけることにより設けられる。
【0026】
図17と図18は、人工脊椎関節の第4の実施形態を示している。図17と図18に示す代表的な実施形態では、人工脊椎関節は、人工関節面構成要素を除いて、上に論じた特徴を全て備えている。この実施形態では、天然の面関節が留保されている。靭帯のテンションバンドが無傷のまま残される実施形態もある。加えて、この実施形態は、第1保持部21aと第2保持部21bの配置を維持するのに役立つ各上側及び下側保持部の間の前方正中線接合の具体的な事例を含んでいる。
【0027】
図17と図18は、第1保持部21aに、第2保持部21bに形成された対応する嵌め込み部分と相補形のロック・キー式のパターンを設けることができることを示している。より具体的には、第1保持部21aの一方の半部は、U字形状部35aの外側境界を有しており、対応する第1保持部21aの他方の半部は、U字形状部35aに嵌る突き出た部分35bの形をした外側境界を有している。その結果、第1保持部21a、21bの各半部は、所定の位置に維持される。しかしながら、上側又は下側保持部は、移植し易くし及び/又は関節を概ね安定した対称的構成に形成し及び/又は維持するのを支援する何らかのやり方で、椎体間空間、例えばその正中線前方部で、一体に嵌め合わせ、及び/又は接続してもよい。図18に示す下側の終板に残された線維輪17により与えられる内向きの力によって、下側保持部の間にそのような接合を作り出すことがなおさら重要である。各下側保持部の間の正中線接合は、保持部を正中線37に向けて移動させようとする外層線維輪の力に抵抗することになる。
【0028】
各種代表的実施形態に示すように、ロックとキーのように一体に嵌り合って各部の互いに対する配置を維持する第1及び/又は第2保持部以外の部分も、人工脊椎関節の各半部は、椎骨の正中線37を中心に概ね対称になっている。
【0029】
繰り返すが、これらの代表的実施形態は、単に説明を目的としており、本発明の可能な設計、実施例、変更及び使用例を網羅することを意図しているわけではない。また、本開示の或る実施形態に関連して説明した特徴は、上に明示的に述べていなくとも、他の実施形態に結び付けて使用することができる。
【0030】
上に論じたことから当業者には自明であろうが、人工関節の移植に使用するのに適した外科処置の手法を以下に簡単に説明する。一般的には、上で論じたように、人工脊椎関節は、既知のTLIF又はPLIF手法に類似の後方孔横断式進入法を用いて体内に移植される。この進入法によれば、患者の背部に正中線切開のような切開を施し、この孔を経由して罹患した円板の一部又は全部と周辺組織を取り出す。面関節を一部でも置換するか否かによるが、天然の面関節を削って人工面関節用の空間を作成する。次いで、人工脊椎関節の各半部を、左右の孔横断開口部を通してそれぞれ一個ずつ挿入する。即ち、関節面構成要素を備えている場合もいない場合もあるが、上側及び下側保持部と、人工円板が別体で設けられていればその人工円板と、を含んでいる人工脊椎関節の各部品を、孔を通して適切な椎間空間に配置する。人工関節の各部品は、完全に別々でもよいし、又は孔を通して挿入する前にその内の2つ又は3つ以上を、布又は当技術で既知の材料で一体に繋ぎ又はパッケージ化してもよい。天然の円板の外層線維輪の少なくとも一部を残しておける場合、人工脊椎関節の各側の下側保持部は、線維輪の対応する部分に当接するように挿入する。正中線前方接合が設けられている場合、保持部材の左右半部は、嵌め合わされ、外層線維輪で所定の位置に保持される。すると、線維輪の残り部分は、それが処置前に在ったのと実質的に同じ場所に位置することになる。
【0031】
また、天然円板の線維輪全体を取り除かねばならない場合、又は残っている線維輪が不十分である場合は、例えば、人工脊椎関節の諸部品が確実に定位置に留まるように、椎弓根スクリューを使用している本開示の実施形態を用いることができる。なお、当業者には理解頂けるように、後方進入法の利点が限定されることにはなるが、人工関節は、前方進入法又は前方進入法と後方進入法の組み合わせにより実施することもできる。例えば、人工脊椎関節の部品の一部を前方進入法で挿入し、他の部品を後方進入法で挿入してもよい。前方及び後方進入法で配置された部品は、図17と図18に示す実施形態と同じように一体に嵌め合せることができる。
【0032】
次に、図19と図20に示す実施形態では、人工椎間関節100は、椎骨7、9の間に挿入される2つの関節形成用半部102、104を含んでいる。関節形成用半部102は、関節運動型関節置換アッセンブリであり、吻側前方構成要素106と、吻側後方関節構成要素108と、前方構成要素106と後方構成要素108の間を伸張する吻側ブリッジ110と、を含んでいる。吻側前方構成要素106は、更に、凸状の壁部107を含んでいる。関節形成用半部102は、更に、尾側前方関節構成要素112と、尾側後方関節構成要素114と、前方構成要素112と後方構成要素114の間を伸張する尾側ブリッジ116と、を含んでいる。尾側前方構成要素112は、更に、凸状の壁部115を含んでいる。吻側前方関節構成要素106は骨接触面106aを含んでおり、尾側前方関節構成要素112は骨接触面112aを含んでいる。
【0033】
「吻側(rostral)」及び「尾側(caudal)」という用語は、幾つかの実施形態で、それら実施形態の構成要素の位置を説明するのに使用している。吻側は、当技術では通常、頭部に向く位置を説明するのに用いられ、尾側は、尾部又は足に向く位置を説明するのに用いられており、吻側と尾側は、ここでは単に図示の実施形態の構成要素の相対位置に対する修飾語として用いている。例えば、吻側構成要素は、図示の関節の一方の側にあり、尾側は当該関節の別の側にある。構成要素は、図示の実施形態を説明するために吻側及び尾側と称しているからといって、患者の解剖学的構造に対する装置又は方法の適用の方向を限定することも、特許請求の範囲を何れかの装置又は方法に限定することも、意図しているわけではない。
【0034】
この実施形態では、吻側ブリッジ110は、神経根を外に出すための出口ポータルと人工孔を作成するために凹凸117を含んでいる。ブリッジ110、116の何れか、具体的には尾側ブリッジ116は、天然の椎弓根を補助又は置換する「スーパー」又は人工椎弓根であってもよい。更にこの実施形態では、尾側前方関節構成要素112は、湾曲した突起118のような尾側関節運動面を含んでおり、尾側後方関節構成要素114は、後方関節運動部120を含んでいる。吻側前方関節構成要素106は、湾曲突起部118を受け入れるように作られた前方ソケットのような吻側関節運動面を含んでいる。湾曲突起部118の曲率半径を前方ソケット122の曲率半径とガタの無いように整合させて、拘束のきついボール・ソケット型係合を作成している。前方ソケット122を湾曲突起部118と係合させると、回転中心125が決まる。代わりの実施形態では、湾曲突起部に比較してソケットの曲率半径を大きくすることにより、湾曲突起部がソケット内で並進できるようにしている。
【0035】
吻側後方関節構成要素108は、後方関節運動部120と係合するように作られた後方ソケット124を含んでいる。後方関節運動部120の曲率半径は、後方ソケット124の曲率半径よりも小さいので、後方関節構成要素108、114の間の運動を許容し且つ結合を制限している。後方ソケット124と後方関節運動部120の曲率半径は、関節形成用半部102の共通の回転中心から放射されていてもよい。この実施形態では、後方ソケット124の曲率半径は比較的大きいので、得られた関節は拘束が緩い。代わりの実施形態では、尾側後方構成要素の後方突起部のガタの無い曲率半径が、ガタの無い曲率半径を有する吻側後方構成要素と嵌り合って、拘束のきつい後方関節を作成している。
【0036】
関節形成用半部104は、支持関節置換アッセンブリであり、吻側前方支持構成要素146と、吻側後方関節構成要素148と、前方構成要素146と後方構成要素148の間を伸張する吻側ブリッジ150と、を含んでいる。吻側前方構成要素146は、更に、凹状の壁部147を含んでいる。関節形成用半部104は、更に、尾側前方支持構成要素152と、尾側後方関節構成要素154と、前方構成要素152と後方構成要素154の間を伸張する尾側ブリッジ156と、を含んでいる。尾側前方構成要素152は、更に、凹状の壁部155を含んでいる。吻側前方支持構成要素146は、骨接触面146aを含んでおり、尾側前方支持構成要素152は、骨接触面152aを含んでいる。
【0037】
この実施形態では、吻側ブリッジ150は、神経根を外に出すための出口ポータルと人工孔を作成するために凹凸157を含んでいる。この実施形態でも、尾側後方関節構成要素154は、後方関節運動部160を含んでいる。吻側後方関節構成要素148は、後方関節運動部160と係合するように作られた後方ソケット162を含んでいる。後方関節運動部160の曲率半径は、後方ソケット162の曲率半径よりも小さいので、後方関節構成要素148、154の間の運動を許容し且つ結合を制限している。後方ソケット162と後方関節運動部160の曲率半径は、関節形成用半部104の共通の回転中心から放射されていてもよい。この実施形態では、後方ソケット162の曲率半径は比較的大きいので、得られた関節は拘束が緩い。代わりの実施形態では、尾側後方構成要素の後方突起部のガタの無い曲率半径が、ガタの無い曲率半径を有する吻側後方構成要素と嵌り合って、拘束のきつい後方関節を作成している。
【0038】
前方構成要素106、112、146、152及びブリッジ構成要素110、116、150、156の大きさと形状は、後方外科的進入法又は経椎間孔外科的進入法の制約により制限される。例えば、前方構成要素106、112、146、152は、後方の外科的露出部、カムビン(Kambin)の三角形、及び他の神経要素の間を通過させて装着できるようにしながら、最大の椎骨終板面積を覆って荷重を分散し沈下を少なくするように構成される。ブリッジ構成要素110、116、150、156の幅も、カムビンの三角形を通過して、神経要素と共存させるために、できる限り小さくされている。
【0039】
関節形成用半部102、104は、更に、椎骨7、9に固着するための造形を備えている。しかしながら、代わりの実施形態では、固定用の造形は省かれていると理解されたい。関節形成用半部104は、関節形成用半部102と実質的に同様な固定用の造形を含んでいるので、これ以上詳しくは説明しない。関節形成用半部102は、吻側前方関節構成要素106から吻側に伸張する接続用構成要素170を含んでいる。この実施形態の接続用構成要素170は、スクリュー172のような骨ファスナを受け入れるようになっている孔を含んでいる。接続用構成要素170は、スクリュー172を筒状の椎体7aに固着することができるような向きに配置されている。
【0040】
関節形成用半部102は、更に、尾側後方関節構成要素114に取り付けられるか、又はこれと一体に形成された接続用構成要素174を含んでいる。この実施形態の接続用構成要素174は、スクリュー176のような骨ファスナを受け入れるようになっている孔を含んでいる。接続用構成要素174は、スクリュー176が、中心軸から角度の付いた又は斜めに向いた、椎弓根を通して画定された経路を通るように、スクリュー176を椎弓根外的(extrapedicularly)に挿入できるような向きに配置されている。この実施形態では、スクリューは、椎弓根の壁を通過して、強力な皮質固定を実現する。椎弓根外固定(extrapedicular fixation)は、略後方−前方に椎弓根を通して画定された軸を下る経路を通らず椎弓根に固定されるどの様な固定でもよい。骨ファスナー172、176は、関節運動、軟組織及び天然構造に干渉しないように、埋め込まれる。
【0041】
或る代わりの実施形態では、後方構成要素から伸張する接続用構成要素は、スクリューが、略後方−前方に椎弓根を通して画定された軸を下って椎弓根内に挿入される向きに配置されている。なお、他の代わりの実施形態では、接続用構成要素は、関節形成用半部の様々な構成要素から、様々な角度で、様々な方向に伸張していると理解されたい。例えば、接続用構成要素は、吻側前方関節構成要素からではなく吻側ブリッジから伸張していてもよい。
【0042】
図19と図20に示すように、関節運動型関節置換アッセンブリ102の吻側構成要素106、108、110は、一体に形成されている。モジュール式の代わりの実施形態では、これら構成要素は、互いに取り外し可能に連結されていると理解されたい。例えば、吻側前方関節構成要素は、ブリッジとは別に装着してもよい。前方構成要素を所定の位置に配置した後、例えば、螺合接続、ボルト式接続、又はラッチ式接続のような当技術では既知の機構で、ブリッジを前方構成要素に取り付けてもよい。次いで、モジュール式吻側構成要素を、同様の締結機構でブリッジに取り付けて、関節形成用半部の吻側部分が完成する。同じように、尾側構成要素又は支持関節置換アッセンブリの構成要素はモジュール式でもよい。
【0043】
関節形成用半部102、104は、適した生体適合性を有する材料であれば、コバルト−クロム合金、チタン合金、ニッケルチタン合金、及び/又はステンレス鋼合金のような金属を含め、どの様な材料で形成してもよい。酸化アルミニウム又はアルミナ、酸化ジルコニウム又はジルコニア、粒子状ダイアモンドの圧縮物、及び/又は熱分解性炭素のようなセラミック材料も適している。ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、炭素強化PEEK、又はポリエーテルケトンケトン(PEKK)のようなポリアリルエーテルケトン(PAEK)系のあらゆる種類;ポリスルフォン;ポリエーテルイミド;ポリイミド;超高分子量ポリエチレン(UHMWPE);及び/又は架橋UHMWPEを含むポリマー材料も使用することができる。この関節形成半部102、104を備えている各種構成要素は、異なる材料で形成してもよく、従って、金属と金属、金属とセラミック、金属とポリマー、セラミックとセラミック、セラミックとポリマー、ポリマーとポリマーの積層構造とすることもできる。関節形成用半部102、104の骨接触面は、移植された人工器官の固定を強化する造形又は被覆を含んでいてもよい。例えば、面は、化学的エッチング、ビード吹き付け、サンダー仕上げ、研削、セレーション加工、及び/又はダイヤモンド切削などで、粗面加工を施してもよい。関節形成用半部102、104の骨接触面の全て又は一部は、骨の内部成長及び固定を促進するため、ヒドロキシアパタイト(HA)、リン酸三カルシウム(TCP)、及び/又は炭酸カルシウムのような生体適合性を有する骨誘導性の物質で被覆してもよい。代わりに、形質転換成長因子(TFG)ベータ上科由来のタンパク質、又はBMP2又はBMP7のような骨形態形成タンパク質のような骨誘発性被覆を使用してもよい。他の適した造形としては、スパイク、リッジ、及び/又は他の面の肌理が含まれる。
【0044】
人工椎間関節100は、以下に述べるように、椎骨7、9の間に装着される。一般に、人工椎間関節100は、既知のTLIF又はPLIFと同様の手法で後方経椎間孔進入法を使って体内に移植される。一般的に、PLIF進入法の方が正中寄りであり、椎骨内空間にアクセスするためには、横切っている神経根及び硬膜をより大きく後退させることになる。これら構造体の間の空間は、カムビンの三角形として知られている。TLIF進入法は、通常、もっと斜め方向になるので、出て行く神経根を後退させるのは少なくて済み、横切っている構造体の後退幅が小さいので硬膜外出血も少なくて済む。出て行く神経根の位置の上方且つカムビンの三角形の外側で、更に側方寄りの進入法を用いて、内空間にアクセスすることもできる。幾つかの事例では、関節面を切除せずに、更に側方寄りの進入法によって、内空間にアクセスすることもできる。また、腰筋を通る直接側方進入法も、既知である。この進入法は、後方の神経要素を完全に回避する。本発明の実施形態は、上記一般的な進入法の何れを利用する場合も想定している。
【0045】
上記進入法の少なくとも1つにより、患者の背部に正中切開のような切開を施して、罹患した円板の一部又は全部を周辺組織と共に孔を経由して取り出す。椎骨9の上終板面を削り、やすりをかけ、そうでなければ切除して、尾側前方骨接触面112aのプロフィールと整合させて、椎骨9の上終板面に作用する応力分布を正規化し、及び/又は骨の内部成長に先立つ初期固定を提供する。椎骨9の終板に前処理を施すことにより、面は平坦化され、又は、面輪郭が、ポケット、溝、又は骨接触面112a上の対応する造形に整合するものとなる。椎骨7の下終板は、出て行く神経根及び背根神経節が許容する範囲まで、吻側前方関節構成要素106を受け入れるように同様に前処理される。面関節を置換するか否かにより、椎骨7、9の天然の面関節を仕上げて、後方構成要素108、114のための空間を作り出す。
【0046】
次いで、人工椎間関節100の人工関節置換アッセンブリ102を、例えば左の経椎間孔の露出部(transforaminal exposure)を通して個別に挿入する。即ち、吻側及び尾側前方関節構成要素106、112を含んでいる人工関節置換アッセンブリ102の各部品を、それぞれ孔に通して、略円筒状椎体7a、9aの間の適切な椎間円板空間に配置する。前方関節構成要素106、112は、「インゲン豆」TLIFグラフトに使用されているものとよく似た湾曲経路に沿って送り込まれる。椎間円板空間内で、前方関節構成要素106、112は、前方ソケット122が湾曲突起部118と係合し、回転の中心125が、椎間円板空間を通る横方向に中心合わせされた前後方向軸127に概ね沿って位置するように、配置される。挿入時、関節運動型関節置換アッセンブリ102の各部品は、完全に別々でもよいし、又は孔を通して挿入する前にその内の2つ又は3つ以上を、布又は当技術で既知の材料により一体に繋ぎ又はパッケージ化してもよい。天然の円板の外層線維輪の少なくとも一部を残しておける場合、尾側前方関節構成要素は、線維輪の対応する部分に当接するように挿入する。
【0047】
上記のように、前方ソケット122が湾曲突起118と係合することにより形成される前方関節接合は、片側を送り込むことで完成される。支持関節置換アッセンブリ104が挿入できないか、又は一方の側方配置半部だけを使用するのが望ましい場合は、関節運動型関節置換アッセンブリ102は単独で機能する。関節運動型関節置換アッセンブリ102を単独で使用する場合は、回転の中心125は軸127に沿って位置するが、代わりの実施形態では、回転の中心は軸127の一方の側に位置する。前方関節接合のこの種の意図的な側性化は、脊柱側弯症の矯正又は平衡補正を要する他の病的症状を矯正する場合に望ましい楔効果を作り出す。関節運動用と支持用の両方の関節置換アッセンブリを装着する状況では、脊柱側弯症及び同様の病的症状は、高度と形状の異なる前方構成要素同士を使用して修復される。こうすると、関節運動型関節置換アッセンブリは、楔として機能して、支持関節置換アッセンブリとは異なる椎間高を作り出す。
【0048】
ブリッジ110、116は、前方関節構成要素106、112からそれぞれ後方に伸張し、椎間円板空間から後方に伸張している。後方構成要素108、114は、後方ソケット124が後方関節運動部120と係合した状態で、椎間円板空間の後方に配置される。これら後方構成要素108、114は、天然の面関節の機能を置換し又はこれを補う。
【0049】
次いで、人工椎間関節100の支持関節置換アッセンブリ104は、対側性露出部、例えば右の経椎間孔の露出部、を通して一個ずつ挿入される。即ち、吻側及び尾側前方支持構成要素146、152を含む関節運動型関節置換アッセンブリ104の各部品は、それぞれ対側性孔を通して略円筒形状の椎体7a、9aの間の適切な椎間円板空間に装着される。支持関節置換アッセンブリ104は、関節運動面がないので、関節運動型関節置換アッセンブリ102よりも少ない間隙で済む。この様に、関節運動型関節置換アッセンブリ102を挿入するのに必要な最小間隙は、支持関節置換アッセンブリ104を挿入するのに必要な最小間隙よりも小さく、右側の経椎間孔の露出部は、左側の経椎間孔の露出部よりも小さくてよい。前方支持構成要素146、152も、「インゲン豆」TLIFグラフトで使用されているものと同様の湾曲経路、又は構成要素の形状に対応する他の経路に沿って送り込まれる。支持関節置換アッセンブリ104の各部品は、完全に別々でもよいし、又は孔を通して挿入する前にその内の2つ又は3つ以上を、布又は当技術で既知の材料により一体に繋ぎ又はパッケージ化してもよい。椎間円板空間内で、前方支持構成要素146、152は、前方関節構成要素106、112にそれぞれ接続される。この実施形態では、尾側前方関節構成要素112の凸状壁115は、尾側前方支持構成要素152の凹状壁155と係合状態に配置される。吻側前方関節構成要素106は、吻側前方支持構成要素146に対して同様に配置される。前方支持構成要素146、152は、前方関節運動構成要素106、112の回転中心125を、椎間円板空間内の略中央位置に位置決めして維持する働きをすると共に、前方脊柱に沈下を制限する追加の表面積を提供する働きもする。この実施形態では、凸状壁115と凹状壁155の間の界面、又は凸状壁107と凹状壁147の間の界面において、軸旋回、滑動、又は回転運動を行うことができる。
【0050】
或る代わりの実施形態では、吻側の関節構成要素と支持構成要素だけが接続されている。別の実施形態では、尾側の関節構成要素と支持部関節構成要素だけが接続されている。別の実施形態では、処置中に問題が起きた場合は、対側性露出部は放棄される。従って、関節形成術は、関節運動型関節置換アッセンブリだけを片側から送り込むことによって完了する。ブリッジ150、156は、前方関節構成要素146、152から後方に伸張し、椎間円板空間から後方に伸張する。後方構成要素148、154は、後方ソケット162が後方関節運動部160と係合した状態で、椎間円板空間の後方に配置される。これら後方構成要素148、154は、天然の面関節の機能を置換し又はこれを補う。
【0051】
装着後、関節運動型関節置換アッセンブリ102と支持関節置換アッセンブリ104は、椎骨7、9に固定される。スクリュー172は、接続用構成要素170を通して、略円筒形の椎体7aにねじ込まれる。スクリュー176は、接続用構成要素174を通して挿入され、椎骨9に椎弓根外的に固着され、例えば、スクリュー176は、椎弓根の側壁を通過して強力な皮質固定を実現する。対応するファスナを使用して支持関節置換アッセンブリ104を固定する。なお、スクリューは、関節形成用半部全体を移植し終えた後、又は吻側及び尾側構成要素それぞれが移植された後の何れかに、移植できるものと理解されたい。
【0052】
装着された状態では、吻側前方関節構成要素106と尾側前方関節構成要素112により作成される前方ボール・ソケット型関節は、比較的安定し自己心出しする。前方及び後方関節は、両方共、関節形成用半部102が剪断力、特に前後方向の力に抵抗できるようにする。尾側前方関節構成要素112に対する吻側前方関節構成要素106の動きは、後方ソケット124内での後方関節運動部120の変位により制限される。例えば、尾側前方関節構成要素112に対する吻側前方関節構成要素106の側方の並進は、後方関節によって制限される。円筒形椎体7a、9aにより画定される長手方向軸周りの回転運動は、後方関節の拘束と、2つの関節形成用半部102、104により提供される合成的拘束の両方によって制限される。また、後方関節は、どの様な真の側方屈曲自由度にでも制約を課す。
【0053】
運動の純粋な自由は、関節運動型関節置換アッセンブリ102の前方関節を通って画定される軸の周りの屈曲−伸展運動に制限される。しかしながら、或る一定の状況の下では、関節100は、上記設計上の制約を乗り越えて、一定の範囲内の横方向、回転方向、及び連結型の運動を許容する。例えば、前方関節構成要素106、112は相互接合から外れ、制限された「リフトオフ」状態になり、厳格な屈曲−伸展運動を超える追加的自由度と連結運動が可能になる。前方関節の自己心出し特性によって、リフトオフが生じた後の再接続と整列が確実に行われる。前方関節構成要素106、112の制限付き接続解除は、後方関節の拘束の程度により調節される。例えば、後方関節の拘束が比較的緩ければ、リフトオフの程度は大きくなる。しかしながら、後方関節の再接続と整列を確実に行うには、後方関節にある程度の制約があったほうが有効であろう。一般に、同一又は同程度の曲率半径を有する各構成要素できつく拘束した、単純な前方配置のボール・ソケット関節は、剪断力に抵抗し並進を制限しながら、屈曲−伸展、側方屈曲、及び捻り運動をできるようにする。後方構成要素に、更に拘束を強めたボール・ソケット関節を加えると、捻り等の自由度に制限を追加することもできる。追加の関節は、運動の自由度を更に制限する。前方又は後方関節が外れるか又は関節運動解除が許容される場合には、追加の自由度が上記のように許容される。ボールとソケットの間の隙間の形状を変えることによっても、追加の運動の自由度が許容されることになる。
【0054】
前方及び後方関節の頑丈で寛大な構造は、関節形成用半部102、104の配置に整列不良や僅かな精度不良があっても、これを許容する。例えば、前方関節構成要素106、112の自己整列型ボール・ソケット構造は、構成要素同士の或る一定量の整列不良を容認する。従って、構成要素106、112の挿入軌道は、少しならずれてもよい。後方突起120と後方ソケット124の相互作用は、関節形成用半部102、104の間の、平行整列不良及び/又は前後方向整列不良にも対応することができる。
【0055】
次に、図21に示す実施形態では、人工椎間関節は、以下に記載の相違点を除き、人工椎間関節100と実質的に同じである。この実施形態では、尾側前方関節構成要素202は、スロット204を含んでおり、尾側前方支持構成要素206は、タブ208を含んでいる。スロット204は、タブ208を受け入れて保持するように作られている。スロットは、湾曲していても傾斜していてもよいし、又は、尾側前方関節構成要素202と尾側前方支持構成要素206の間の固定及び選択的取り外し可能な接続を許容する別の種類の係止造形を備えていてもよい。スロット/タブ係合は、尾側前方構成要素又は吻側前方構成要素を接続するのに使用される接続機構の一種でしかない。ねじ付の陥凹部とねじ付のロッドの連結のような、当技術では既知の他の種類の機械的又は固着的接合機構を、接続機構として使用してもよい。
【0056】
次に、図22に示す実施形態では、後方関節構成要素への制御性を高めることにより、前方関節運動構成用要素の制御性を高めている。この代わりの実施形態では、人工椎間関節は、以下に記載の相違点を除き、人工椎間関節100と実質的に同じである。この実施形態では、尾側後方関節構成要素250は、開口(aperture)のような接続用構成要素252を含んでいる。吻側後方関節構成要素254は、細長い開口(elongated aperture)又はスロットのような接続用構成要素256を含んでいる。ブッシュを備えた骨スクリューのような骨ファスナ258を細長開口部256と開口部252に通して椎骨9に挿入する。ファスナ258は、細長開口部256内で並進することができる。従って、前方関節運動型関節置換構成要素は、ファスナ258が開口部256内で並進する際に、或る一定の範囲で屈曲−伸展運動することができる。この実施形態では、接続用構成要素は、椎弓根外的取り付けができるように構成されているが、椎弓根内的及び椎体内固定も、容認可能な選択肢である。
【0057】
或る代わりの実施形態では、上記椎間関節は、何れも、更に、吻側前方構成要素から伸張する吻側キール、及び/又は尾側前方関節構成要素から尾側ブリッジに沿って伸張する尾側キールを含んでいる。吻側キールは、椎骨7aの下終板と係合し、尾側キールは椎体9aの上終板及び椎骨9の椎弓根の上面と係合する。なお、椎体7aの下終板は、吻側キールを受け入れるために削られ又は前処理されるものと理解されたい。同様に、椎体9aの上終板と椎骨9の椎弓根は、尾側キールを受け入れる溝を作るために、削られ、彫られ、又は何らかのやり方で前処理される。キールは、骨への接続を助け、関節形成用半部の運動を所望の自由度に制限する。キールは、傾斜した又は半円筒状の断面を有している。2つ以上のキールを所与のどの構成要素に使用してもよいと理解されたい。
【0058】
以上、代表的な実施形態を幾つか詳しく説明してきたが、当業者には容易に理解頂けるように、これら代表的な実施形態には、本開示の新規な教示及び利点から実質的に逸脱すること無く、多くの修正を施すことができる。従って、そのような修正及び変更は、全て特許請求の範囲に定義する本発明の範囲内に含まれるものとする。当業者には理解頂けるように、そのような修正及び等価な構造又は方法は、本開示の精神及び範囲を逸脱するものではなく、本開示の精神及び範囲を逸脱することなく、様々な変化、置換、及び変更を施すことができる。「水平」、「垂直」、「上」、「上側」、「下側」、「下」、「左」、及び「右」など、空間についての言及は全て、説明だけを目的としたものであり、本開示の範囲内で変えることができるものと理解されたい。請求項において、手段プラス機能の節は、列挙した機能を実行するものとしてここに説明した構造を、構造的等価物だけではなく等価的構造も含めて、包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】健康な人間の脊柱の腰椎及び仙骨領域の側面概略図である。
【図2】図1に示す腰椎の右側の一部を示す詳細斜視図であり、健康な円板が2つの椎骨の間に配置されている状態を示している。
【図3】図2に示す椎間円板の上面斜視図であり、円板の主要部分を示している。
【図4】本開示の原理により構築された人工脊椎関節の第1の実施形態を示している、腰椎の一部の側面分解図である。
【図5】本開示の第1の実施形態により構築された、組み立て後の人工脊椎関節の左側及び右側半部の、上部分、円板、及び下部分を示す、腰椎の一部の前面図である。
【図6】図5に示す人工脊椎関節の右側半部の側面図である。
【図7A】図4に示す人工脊椎関節の上部分を示している、腰椎の一部を横断方向に下から見た図である。
【図7B】図4に示す人工脊椎関節の下部分を示している、腰椎の一部を横断方向に上から見た図である。
【図8】人工脊椎関節の上部分の第2の実施形態を示している腰椎の一部を横断方向に下から見た図であり、ここでは移植を支援するために椎弓根スクリューが使用されている。
【図9】人工脊椎関節の下部分の第2の実施形態を示している腰椎の一部を横断方向に上から見た図であり、ここでは移植を支援するために椎弓根スクリューが使用されている。
【図10】図8に示す人工脊椎関節の上部分を示している腰椎の一部の側面図であり、椎弓根スクリューの1つが見えている。
【図11】図9に示す人工の一体型脊椎関節の下部分及び一体構成の円板部分を示している腰椎の一部の側面図であり、椎弓根スクリューの1つが見えている。
【図12】図8に示す人工脊椎関節の上部分を示している腰椎の一部の後面図であり、椎弓根スクリューが2つ見えている。
【図13】図9に示す人工脊椎関節の下部分を示している腰椎の一部の後面図であり、椎弓根スクリューが2つ見えているる。
【図14】椎弓根スクリューを用いて組み立てられた状態の第2の実施形態を示している腰椎の一部の側面図である。
【図15】人工脊椎関節の下部分、円板、及び上部分の第3の実施形態を示している腰椎の一部の後面図であり、ここではテンションバンドを使用している。
【図16】組み立てた状態でテンションバンドが使用されている、第3の実施形態を示している、腰椎の一部の側面図である。
【図17】本開示の原理により構築された人工脊椎関節の第4の実施形態の上部分を示している腰椎の一部を横断方向に下から見た図であり、ここでは面関節は置換されていない。
【図18】人工脊椎関節の第4の実施形態の下部分を示している、腰椎の一部を横断方向に上から見た図である。
【図19】本開示の別の実施形態の分解斜視図である。
【図20】図19の実施形態の組み立てられた状態の斜視図である。
【図21】本開示の別の実施形態の分解斜視図である。
【図22】本開示の別の実施形態の分解斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上椎骨と下椎骨の間の連結の少なくとも一部を作成するための人工脊椎関節において、
前記上椎骨及び前記下椎骨の間の椎間円板空間内に配置するための前方関節置換構成要素と、第1後方関節置換構成要素と、前記前方関節置換構成要素及び前記第1後方関節置換構成要素の間で連結された第1ブリッジ構成要素とを備えている、関節運動型関節置換アッセンブリと、
前記上椎骨及び前記下椎骨の間の椎間円板空間内に配置するための前方支持構成要素と、第2後方関節置換構成要素と、前記前方支持構成要素及び前記第2後方関節置換構成要素の間で連結された第2ブリッジ構成要素とを備えている、支持関節置換アッセンブリとを備え、
前記前方支持構成要素が、前記前方関節置換構成要素と係合するするようになっている、人工脊椎関節。
【請求項2】
前記前方関節置換構成要素は凸状壁を備え、前記前方支持構成要素は凸状壁を備えており、前記凸状壁は、前記凹状壁と滑動可能に係合している、請求項1に記載の人工椎間関節。
【請求項3】
前記前方関節置換構成要素は第1接続機構を含み、前記前方支持構成要素は第2接続機構を含んでおり、前記第1接続機構は前記第2接続機構に取り付けられている、請求項1に記載の人工脊椎関節。
【請求項4】
前記第1接続機構はスロットを含み、前記第2接続機構はタブを含んでおり、前記タブは前記スロットに挿入されるようになっている、請求項3に記載の人工脊椎関節。
【請求項5】
前記第1接続機構はねじ付の陥凹部を含み、前記第2接続部はねじ付の柱を含んでいる、請求項3に記載の人工脊椎関節。
【請求項6】
前記前方支持構成要素は、前記前方関節置換構成要素に可動的に係合されている、請求項1に記載の人工脊椎関節。
【請求項7】
前記第1ブリッジ構成要素は、前記前方関節置換構成要素から後方に、且つ前記椎間円板空間の外側に伸張している、請求項1に記載の人工脊椎関節。
【請求項8】
前記前方関節置換構成要素は、尾側前方構成要素と係合した吻側前方構成要素を含んでいる、請求項1に記載の人工脊椎関節。
【請求項9】
前記第1ブリッジ構成要素は、前記吻側前方構成要素から伸張する吻側ブリッジを備えている、請求項8に記載の人工脊椎関節。
【請求項10】
前記吻側ブリッジ構成要素は、神経要素が通過できるようにする凹凸を備えている、請求項9に記載の人工脊椎関節。
【請求項11】
前記第1ブリッジ構成要素は、前記尾側前方構成要素から伸張する尾側ブリッジを備えている、請求項8に記載の人工脊椎関節。
【請求項12】
前記第1後方関節置換構成要素は、
後方ソケットを含んでいる吻側後方構成要素と、
後方関節運動部を含んでいる尾側後方構成要素と、を備えており、
前記後方関節運動部は、前記後方ソケットと関節運動するようになっている、請求項1に記載の人工脊椎関節。
【請求項13】
ファスナを更に備えており、
前記後方関節運動部は開口部を備えており、
前記ファスナは前記開口部を通して、前記上椎骨又は前記下椎骨に挿入されるようになっており、更に、前記ファスナの少なくとも一部は、前記後方ソケットと関節運動するようになっている、請求項12に記載の人工椎間関節。
【請求項14】
前記後方ソケットはスロットを備えており、前記ファスナは、前記スロット内で関節運動するようになっている、請求項13に記載の人工脊椎関節。
【請求項15】
前記ファスナは骨スクリューである、請求項13に記載の人工脊椎関節。
【請求項16】
前記人工脊椎関節を、前記上椎骨又は前記下椎骨の何れかに取り付けるための骨ファスナを更に備えている、請求項1に記載の人工脊椎関節。
【請求項17】
前記後方関節置換構成要素は、前記骨ファスナを受け入れるようになっている接続用構成要素を備えている、請求項16に記載の人工脊椎関節。
【請求項18】
前記骨ファスナは骨スクリューであり、前記接続用構成要素は、更に、前記受け入れた骨スクリューを前記下椎骨に椎弓根外的に接続されるように方向決めするようになっている、請求項17に記載の人工脊椎関節。
【請求項19】
前記骨ファスナは骨スクリューであり、前記接続用構成要素は、更に、前記受け入れたスクリューを前記上椎骨の略円筒形状の椎体内へと方向決めするようになっている、請求項17に記載の人工脊椎関節。
【請求項20】
前記前方関節置換構成要素は、前方ソケットと係合する湾曲突起部を含んでいる、請求項1に記載の人工脊椎関節。
【請求項21】
前記前方関節置換構成要素は、カムビンの三角形を通して挿入できる大きさに作られている、請求項1に記載の人工脊椎関節。
【請求項22】
前記第1ブリッジ構成要素は、人工椎弓根の少なくとも一部である、請求項1に記載の人工脊椎関節。
【請求項23】
上椎骨と下椎骨の間の連結の少なくとも一部を作成するための人工脊椎関節において、
前記上椎骨及び前記下椎骨の間の椎間円板空間内へと伸張する前方関節置換構成要素と、
前記前方関節置換構成要素に連結され、前記前方関節置換構成要素から後方に、前記椎間円板空間を越えて伸張するブリッジ構成要素と、
前記ブリッジに連結されている後方関節置換構成要素であって、後方ソケットと係合する後方突起部を含んでいる後方関節置換構成要素とを備え、
前記ブリッジ及び前記後方関節置換構成要素が、前記上椎骨と前記下椎骨との間に画定されている横方向に中心合わせされた前後方向軸の一方の側に配置されるようになっている、人工脊椎関節。
【請求項24】
前記前方関節置換構成要素は、回転の中心を画定し、前記回転の中心は前記前後方向軸に沿って位置している、請求項23に記載の人工脊椎関節。
【請求項25】
前記前方関節置換構成要素は、回転の中心を画定し、前記回転の中心は前記一方の側に位置している、請求項23に記載の人工脊椎関節。
【請求項26】
上椎骨と下椎骨の間の連結の少なくとも一部を作成するためのシステムにおいて、
前記上椎骨及び前記下椎骨の間の椎間円板空間で関節運動ができるようにする第1手段と、
前記椎間円板空間の後方で関節運動ができるようにする第2手段と、
前記第1手段及び前記第2手段の間を連結するための第3手段と、
前記椎間円板空間内で前記第1手段を支持するための第4手段とを備えている、システム。
【請求項1】
上椎骨と下椎骨の間の連結の少なくとも一部を作成するための人工脊椎関節において、
前記上椎骨及び前記下椎骨の間の椎間円板空間内に配置するための前方関節置換構成要素と、第1後方関節置換構成要素と、前記前方関節置換構成要素及び前記第1後方関節置換構成要素の間で連結された第1ブリッジ構成要素とを備えている、関節運動型関節置換アッセンブリと、
前記上椎骨及び前記下椎骨の間の椎間円板空間内に配置するための前方支持構成要素と、第2後方関節置換構成要素と、前記前方支持構成要素及び前記第2後方関節置換構成要素の間で連結された第2ブリッジ構成要素とを備えている、支持関節置換アッセンブリとを備え、
前記前方支持構成要素が、前記前方関節置換構成要素と係合するするようになっている、人工脊椎関節。
【請求項2】
前記前方関節置換構成要素は凸状壁を備え、前記前方支持構成要素は凸状壁を備えており、前記凸状壁は、前記凹状壁と滑動可能に係合している、請求項1に記載の人工椎間関節。
【請求項3】
前記前方関節置換構成要素は第1接続機構を含み、前記前方支持構成要素は第2接続機構を含んでおり、前記第1接続機構は前記第2接続機構に取り付けられている、請求項1に記載の人工脊椎関節。
【請求項4】
前記第1接続機構はスロットを含み、前記第2接続機構はタブを含んでおり、前記タブは前記スロットに挿入されるようになっている、請求項3に記載の人工脊椎関節。
【請求項5】
前記第1接続機構はねじ付の陥凹部を含み、前記第2接続部はねじ付の柱を含んでいる、請求項3に記載の人工脊椎関節。
【請求項6】
前記前方支持構成要素は、前記前方関節置換構成要素に可動的に係合されている、請求項1に記載の人工脊椎関節。
【請求項7】
前記第1ブリッジ構成要素は、前記前方関節置換構成要素から後方に、且つ前記椎間円板空間の外側に伸張している、請求項1に記載の人工脊椎関節。
【請求項8】
前記前方関節置換構成要素は、尾側前方構成要素と係合した吻側前方構成要素を含んでいる、請求項1に記載の人工脊椎関節。
【請求項9】
前記第1ブリッジ構成要素は、前記吻側前方構成要素から伸張する吻側ブリッジを備えている、請求項8に記載の人工脊椎関節。
【請求項10】
前記吻側ブリッジ構成要素は、神経要素が通過できるようにする凹凸を備えている、請求項9に記載の人工脊椎関節。
【請求項11】
前記第1ブリッジ構成要素は、前記尾側前方構成要素から伸張する尾側ブリッジを備えている、請求項8に記載の人工脊椎関節。
【請求項12】
前記第1後方関節置換構成要素は、
後方ソケットを含んでいる吻側後方構成要素と、
後方関節運動部を含んでいる尾側後方構成要素と、を備えており、
前記後方関節運動部は、前記後方ソケットと関節運動するようになっている、請求項1に記載の人工脊椎関節。
【請求項13】
ファスナを更に備えており、
前記後方関節運動部は開口部を備えており、
前記ファスナは前記開口部を通して、前記上椎骨又は前記下椎骨に挿入されるようになっており、更に、前記ファスナの少なくとも一部は、前記後方ソケットと関節運動するようになっている、請求項12に記載の人工椎間関節。
【請求項14】
前記後方ソケットはスロットを備えており、前記ファスナは、前記スロット内で関節運動するようになっている、請求項13に記載の人工脊椎関節。
【請求項15】
前記ファスナは骨スクリューである、請求項13に記載の人工脊椎関節。
【請求項16】
前記人工脊椎関節を、前記上椎骨又は前記下椎骨の何れかに取り付けるための骨ファスナを更に備えている、請求項1に記載の人工脊椎関節。
【請求項17】
前記後方関節置換構成要素は、前記骨ファスナを受け入れるようになっている接続用構成要素を備えている、請求項16に記載の人工脊椎関節。
【請求項18】
前記骨ファスナは骨スクリューであり、前記接続用構成要素は、更に、前記受け入れた骨スクリューを前記下椎骨に椎弓根外的に接続されるように方向決めするようになっている、請求項17に記載の人工脊椎関節。
【請求項19】
前記骨ファスナは骨スクリューであり、前記接続用構成要素は、更に、前記受け入れたスクリューを前記上椎骨の略円筒形状の椎体内へと方向決めするようになっている、請求項17に記載の人工脊椎関節。
【請求項20】
前記前方関節置換構成要素は、前方ソケットと係合する湾曲突起部を含んでいる、請求項1に記載の人工脊椎関節。
【請求項21】
前記前方関節置換構成要素は、カムビンの三角形を通して挿入できる大きさに作られている、請求項1に記載の人工脊椎関節。
【請求項22】
前記第1ブリッジ構成要素は、人工椎弓根の少なくとも一部である、請求項1に記載の人工脊椎関節。
【請求項23】
上椎骨と下椎骨の間の連結の少なくとも一部を作成するための人工脊椎関節において、
前記上椎骨及び前記下椎骨の間の椎間円板空間内へと伸張する前方関節置換構成要素と、
前記前方関節置換構成要素に連結され、前記前方関節置換構成要素から後方に、前記椎間円板空間を越えて伸張するブリッジ構成要素と、
前記ブリッジに連結されている後方関節置換構成要素であって、後方ソケットと係合する後方突起部を含んでいる後方関節置換構成要素とを備え、
前記ブリッジ及び前記後方関節置換構成要素が、前記上椎骨と前記下椎骨との間に画定されている横方向に中心合わせされた前後方向軸の一方の側に配置されるようになっている、人工脊椎関節。
【請求項24】
前記前方関節置換構成要素は、回転の中心を画定し、前記回転の中心は前記前後方向軸に沿って位置している、請求項23に記載の人工脊椎関節。
【請求項25】
前記前方関節置換構成要素は、回転の中心を画定し、前記回転の中心は前記一方の側に位置している、請求項23に記載の人工脊椎関節。
【請求項26】
上椎骨と下椎骨の間の連結の少なくとも一部を作成するためのシステムにおいて、
前記上椎骨及び前記下椎骨の間の椎間円板空間で関節運動ができるようにする第1手段と、
前記椎間円板空間の後方で関節運動ができるようにする第2手段と、
前記第1手段及び前記第2手段の間を連結するための第3手段と、
前記椎間円板空間内で前記第1手段を支持するための第4手段とを備えている、システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公表番号】特表2007−517618(P2007−517618A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549472(P2006−549472)
【出願日】平成17年1月10日(2005.1.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/000656
【国際公開番号】WO2005/070278
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月10日(2005.1.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/000656
【国際公開番号】WO2005/070278
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】
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