説明

什器システム

【課題】給電部から受電部への給電を行うとき以外は、給電部を通電していない状態とすることができる。
【解決手段】テーブル(固定什器)2に設けられ外部から給電される給電部5と、カート(移動什器)3に設けられカート3がテーブル2に近接した際に給電部5と対向配置し給電部5から給電される受電部4と、給電部5への給電と、給電部5への給電の停止とを切り替えるスイッチ部9と、を備える。スイッチ部9は、カート3がテーブル2に近接または当接することによって給電部5へ給電し、カート3がテーブル2から離間することによって給電部5への給電を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスや病院、公共施設等における執務空間、および家庭等の居住空間にて使用され、受電部が設置された移動什器と給電部が設置された固定什器とを備える什器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、物品を載置、収納する手段を有しつつ、床面上を走行可能なカートなどの移動什器が知られている。このような移動什器は、例えば、病院や介護施設等で病室を回診する際などに利用されており、近年、カルテなどの電子化に伴って情報端末などの電子機器を載置可能とするため、電源が組み込まれている。
【0003】
このような移動什器は受電部を備えており、移動什器を移動させて受電部のコネクタを固定什器に設けられた給電部のコネクタに電気的に接続させることによって給電部から受電部に給電され、移動什器で電力を取り出せるようにしている(特許文献1参照)。
また、電源が組み込まれた移動什器に給電する方法としては、建物の床面に設けた給電部のコイルと、移動什器に搭載した受電部のコイルとの間に生じる電磁誘導を利用した非接触給電装置によって、移動什器に給電する方法が特許文献2に、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−118247号公報
【特許文献2】特許第4469290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された什器では、給電部は常に通電しているため、通電している給電部へ使用者やコネクタ以外の異物が接触しないように配慮しなければならない。また、給電部と受電部とが電気的に接続されていないときにも待機電力が消費されているため、この待機電力を削減することが望まれている。
また、特許文献2に開示された什器においても、給電部のコイルに受電部のコイル以外の金属などが近づいた際に、給電部のコイルに電流が流れないようにする必要がある。
【0006】
本発明は、上述する事情に鑑みてなされたもので、給電部から受電部への給電を行うとき以外は、給電部を通電していない状態とすることができる什器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る什器システムは、床面上に移動可能に設けられた移動什器と、床面上に載置された固定什器とを備えた什器システムであって、前記固定什器に設けられ電力供給手段から給電される給電部と、前記移動什器に設けられ前記移動什器が前記固定什器に近接した際に前記給電部と対向配置し前記給電部から給電される受電部と、前記電力供給手段から前記給電部へ給電するオン状態と、前記電力供給手段から前記給電部への給電の停止するオフ状態とを切り替えるスイッチ部と、を備え、前記スイッチ部は、前記移動什器が前記固定什器に近接または当接することによって前記オン状態となり、前記移動什器が前記固定什器から離間することによって前記オフ状態となることを特徴とする。
【0008】
本発明では、スイッチ部は、移動什器が固定什器に近接または当接することによってオン状態となり、移動什器が固定什器から離間することによってオフ状態となることにより、給電部が受電部へ給電を行う時以外は、給電部を通電していない状態とすることができるため、安全性を向上させることができる。
また、移動什器が固定什器に近接または当接する動作および離間する動作に連動してスイッチ部のオン状態とオフ状態とを切り替えることができるため、移動什器に給電を行う作業性を良好に維持することができる。
【0009】
また、本発明に係る什器システムでは、前記スイッチ部は、前記固定什器に取り付けられて前記移動什器の一部が当接することによって前記オン状態および前記オフ状態を切り替える物理スイッチとしてもよい。
このように、スイッチ部は、移動什器の一部が当接することによってオン状態およびオフ状態を切り替える物理スイッチであるため、給電部への給電を確実に行うことができる。
【0010】
また、本発明に係る什器システムでは、前記スイッチ部は、前記固定什器に取り付けられていて、前記移動什器が近接したことを感知することによって前記オン状態および前記オフ状態を切り替える近接センサとしてもよい。
このように、スイッチ部は、移動什器が近接したことを感知することによってオン状態およびオフ状態を切り替える近接センサとすることによって、給電部への給電を確実に行うことができる。
【0011】
また、本発明に係る什器システムでは、前記給電部と前記受電部の一方に設けられ、磁石からなるマグネット部材を有する第一のコネクタと、前記給電部と前記受電部の他方に設けられ、磁性体からなる磁性部材を有し、前記移動什器が前記固定什器に近接した際に、前記第一のコネクタと電気的に接続されるとともに前記マグネット部材に前記磁性部材が磁気的に吸着される第二のコネクタと、を備えていてもよい。
このように、給電部と受電部の一方に設けられ、磁石からなるマグネット部材を有する第一のコネクタと、給電部と受電部の他方に設けられ磁性体からなる磁性部材を有し移動什器が固定什器に近接した際に第一のコネクタと電気的に接続されるとともにマグネット部材に磁性部材が磁気的に吸着される第二のコネクタと、を備えていることにより、マグネット部材の吸着力によって第一のコネクタと第二のコネクタとを確実に電気的に接続させることができる。
【0012】
また、本発明に係る什器システムでは、前記給電部と前記受電部とは非接触給電を行ってもよい。
このように、給電部と受電部とを近接させて非接触給電を行うことにより、使用者が受電部と給電部とを当接させて接続する作業を省くことができるため、利便性を向上させることができる。
また、給電部と受電部とは非接触給電を行うことにより、給電状態においても移動什器を固定什器から離間させて移動させることができる。
また、給電部と受電部とは非接触給電を行うことにより、給電部や受電部をカバーで覆っても給電を行うことができる。そして、給電部や受電部をカバーで覆うことによって、この什器システムで水や薬液などを使用する場合に、給電部や受電部へ直接水や薬液がかかることを防止することができる。
【0013】
また、本発明に係る什器システムでは、前記給電部から前記受電部への給電状態を表示する表示装置が設けられていることが好ましい。
このように、給電部から受電部への給電状態を表示する表示装置が設けられていることにより、使用者が給電状態を確認することができるため、使い勝手がよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、移動什器が固定什器に近接または当接することによって給電部が通電し、移動什器が固定什器から離間することによって給電部への給電が停止されることにより、給電部が受電部へ給電を行う時以外は、給電部を通電していない状態とすることができるため、給電時における作業性を良好なものにすることができると共に、安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1による什器システムの一例を示す図である。
【図2】図2は図1に示す什器システム上面図である。
【図3】受電側コネクタおよび給電側コネクタを示す平面図である。
【図4】コネクタガイド部材を示す斜視図である。
【図5】(a)、b)はスイッチ部を説明する図である。
【図6】本発明の第2実施形態による什器システムの一例を示す図である。
【図7】受電部および給電部を説明する図である。
【図8】スイッチ部を説明する図である。
【図9】本実施形態の変形例を示す図である。
【図10】本実施形態の他の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態による什器システムについて、図1乃至図5に基づいて説明する。
(什器システム)
図1に示すように、本実施形態による什器システム1Aは、床面F上に配設されたテーブル(固定什器)2と、床面F上を走行可能に配設されたカート3(移動什器)と、を備えている。
カート3は、天板14に情報端末などの図示しない電子機器を載置可能であり、この電子機器のバッテリーのプラグが差し込まれるコンセントを備える受電部4が設けられている。そして、テーブル2には、受電部4と電気的に接続されたときに受電部4に給電を行う給電部5とが設けられている。
また、給電部5は、図示しないコンセント(電力供給手段)に接続されていて給電されている。そして、什器システム1Aには、給電部5への給電およびこの給電の停止を切り替えるスイッチ部9が設けられている。スイッチ部9について詳しくは後述する。
ここで、図1において、テーブル2に対してカート3が近接、離間する方向となる紙面左右方向を、前後方向と称し、紙面右側を前側とし、紙面左側を後側として以下説明する。
【0017】
テーブル2は、天板6と、天板6を支持し床面Fに設置された脚部8と、を備えている。天板6の下方には給電部5が設けられており、給電部5には受電部4の受電側コネクタ(第二のコネクタ)22と接続される給電側コネクタ(第一のコネクタ)7が設けられている。
【0018】
カート3は、キャスタ11を備えていて床面F上を移動可能な架台12と、架台12の上に設置されて物品を収容可能な収納部13と、収納部13の上方に設けられて上面に情報端末などの電子機器を載置可能な天板14と、を備えている。
【0019】
収納部13は、架台12上の左右側縁に立設した側面視倒立U字形をなす左右1対の側面枠15,15により構成されている。
各側面枠15は、前側に設けられた前部支柱16と、後側に設けられた後部支柱17と、前部支柱16の上端から後側に向けて水平に延び、かつ後部支柱17に連結された横桟18とにより枠組みされている。
上下方向を向く前部支柱16は、カート3の操作時に、障害物等との衝突による収容物の破損を防止する保護部材となる。前後両支柱16,17間には、複数のワイヤー部材19が上下に所望の間隔をもって前後方向に沿って架設されている。
【0020】
左右の側面枠15,15は、その前側上部間が、左右方向を向く連結杆20により連結されている。
また、左右の側面枠15,15間には、横桟18と略同じ高さに、天板14に載置された電子機器のバッテリーを収容可能なバッテリー収容部21が設けられている。このバッテリー収容部21は、後側となる後面が開口された箱状に形成されていて、後面から内部にバッテリーを挿入することができる。
バッテリー収容部21の内部には、バッテリーのプラグが接続可能なコンセントが取り付けられており、バッテリー収容部21の前面には、このコンセントと接続された受電側コネクタ22が、前側に突出するように設けられている。このコンセントと受電側コネクタ22とが受電部4を構成している。
【0021】
収納部13内における左右の側面枠15,15間には、収容物を収容可能な上下2段のトレイ23,23が配設されており、各トレイ23は、各側面枠15における前後両支柱16,17間に架設されたワイヤー部材19によって着脱自在に支持されている。
【0022】
左右の後部支柱17,17における各々の上部には、収納部13の上面より上方に離間する位置において、円弧状をなして前側に折曲させることにより、円弧状の折曲部と、前向部とが形成され、この折曲部により、カート操作用のハンドル部24,24が、また前向部により、天板支持部25,25がそれぞれ形成されている。左右の両天板支持部25,25上には、天板14が載置され、かつ固定されている。
これにより、収納部13の上部を構成する横桟18と、左右の天板支持部25,25および天板14の下面との間には、前側および前後方向に直交する左右方向両側に開口するとともに、後側がハンドル部24によって閉鎖された凹部26が形成されている。
【0023】
この凹部26は、カート3とテーブル2とが近接または当接したときに、テーブル2の天板6が進入するように構成されている。すなわち、高さ方向の位置がテーブル2の天板6と略等しくなるように形成されているとともに、天板6が挿入可能な高さ寸法となるように天板支持部25、25と横桟18、18との離間寸法が設定されている。また、凹部26にテーブル2の天板6が挿入された状態で、カート3の収納部13がテーブル2の天板6の下方に潜入し、カート3の天板14および天板支持部25,25がテーブル2の天板6の上方に位置している。これにより、カート3の天板14上に、パソコン等を載置したままの状態で、カート3の収納部13を、テーブル2の天板6の下方に潜入させて使用することができる。
【0024】
各天板支持部25、25には、ストッパ27が固定されている。このストッパ27の上面は、天板支持部25の上方に突出させることにより、天板14の下面を支持する天板受け部材を兼ねている。
ストッパ27の下部は、ハンドル部24より前側、さらに、カート3の天板14の後端14aより前側における天板支持部25の下面より垂下するように設けられており、外上方を向くフック片27aが設けられている。
そして、ストッパ27の下部は、凹部26にテーブル2の天板6が進入したときに、テーブル2の天板6の後端部6aと当接してテーブル2の天板6が進入する奥行きを規制している。
【0025】
また、図2に示すように、テーブル2の天板6の下面には、この下面から突出しカート3を移動させて凹部26に天板6を進入させるときにカート3を案内するカートガイド部材28が設けられている。
カートガイド部材28,28は、凹部26に天板6が進入したときにカート3の両側方に配設された一対の棒状の部材で、それぞれ延在方向の途中で屈曲している。一対のカートガイド部材28,28は、互いの離間寸法Lが、後側となる基端28bにおいてカート3の左右方向の外幅寸法B、すなわち側面枠15、15同士の外幅寸法よりも大きいとともに、前側となる先端側に向かうに従って次第に小さくなり、屈曲点28aにおいてカート3の左右方向の外幅寸法Bと略等しくなり、先端側まで延設されている。
【0026】
このため、カート3を移動させて凹部26にテーブル2の天板6を進入させるときにカート3の位置がずれたとしても、カート3の前部支柱16がカートガイド部材28と当接することによって、カート3が左右方向に正しい位置に案内される。また、カート3を前側に所定位置まで移動すると、テーブル2の天板6の縁部がストッパ27に当接し、前側への移動が規制される。
【0027】
そして、図1に示すように、カート3の凹部26にテーブル2の天板6が進入し、ストッパ27によってテーブル2に対してカート3が位置決めされた状態で、受電部4と給電部5とが電気的に接続され、給電部5から受電部4に電力が供給されている。具体的には、カート3のバッテリー収容部21の前側に設けられた受電側コネクタ(第二のコネクタ)22と、テーブル2の下側に設けられた給電部5の給電側コネクタ(第一のコネクタ)7とが電気的に接続される。受電側コネクタ22と給電側コネクタ7は、床面Fから略同じ高さに設置されている。
【0028】
(コネクタ)
図3に示すように、受電側コネクタ22には、給電側コネクタ7が嵌合される凹部41が形成されていて、この凹部41内には前側に突出するピン端子42が設けられている。
そして、給電側コネクタ7には、孔部43が形成されていて、給電側コネクタ7と受電側コネクタ22とが嵌合されると、この孔部43に受電側コネクタ22のピン端子42が挿入される。
【0029】
また、受電側コネクタ22と給電側コネクタ7との間には、互いを磁気的に吸着させるマグネット機構51が設けられている。
マグネット機構51は、給電側コネクタ7に設けられたマグネット部材52と、受電側コネクタ22に設けられてマグネット部材52に磁気的に吸着される磁性体からなる磁性部材53とを備えている。磁性部材53としては、例えば鉄などの金属部材でも良いし、自身もマグネットからなるものとしても良い。また、互いに磁気的に吸着されたマグネット部材52と磁性部材53とは、その吸着力よりも大きい外力によって、互いに離間できるように構成されている。
【0030】
また、図4に示すように、給電側コネクタ7の側方および上方には、受電側コネクタ22(図3参照)が移動して給電側コネクタ7に接続されるときに、給電側コネクタ7の位置をガイドするコネクタガイド部材54が設けられている。
コネクタガイド部材54には、後側から前側に向って給電側コネクタ7に近づく第一の傾斜面54a及び一対の第二の傾斜面54bが形成されている。第一の傾斜面54aは、給電側コネクタ7の上方に、下方に向くように設けられていて、後側から前側に向かって次第に下方へ向かうように傾斜している。また、一対の第二の傾斜面54bは、給電側コネクタ7の左右方向両側に、互いに向き合い、かつ、後側から前側に向かって次第に互いに接近するように傾斜している。
【0031】
また、コネクタガイド部材54は、上下に進退可能であるとともに、左右に進退可能である。そして、コネクタガイド部材54は、図示しない付勢する手段により下方に、また左右方向両側にそれぞれ付勢されていて、外力が作用しない状態では、上下方向の可動範囲内で最下端に位置しているとともに、左右方向の可動範囲内で略中央に位置している。
そして、受電側コネクタ22が第一の傾斜面54aに案内され、また、第二の傾斜面54bに左右方向に案内されて、コネクタガイド部材54が付勢に抗して相対移動することで、給電側コネクタ7の位置が受電側コネクタ22の位置に整合され、受電側コネクタ22と給電側コネクタ7とを確実に接続することができる。なお、受電側コネクタ22は、第一の傾斜面54aに当接するように、若干給電側コネクタ7よりも上側に位置するように上下方向の位置が設定されている。
【0032】
(スイッチ部)
図5(a)に示すように、コネクタガイド部材54の前側には、給電部5が通電しているオン状態と、給電部5への給電を停止するオフ状態とを切り替えるリミットスイッチ(物理スイッチ)61が設けられている。リミットスイッチ61は、スイッチ本体62とヒンジレバー63とを備える公知の構造である。このリミットスイッチ61およびコネクタガイド部54がスイッチ部9を構成している。
【0033】
ヒンジレバー63は、スイッチ本体62とコネクタガイド部材54との間に設置されている。また、ヒンジレバー63は、上下方向に延在し、上端部63aがスイッチ本体62と連結されており、自身の弾性により下端部63bが前後方向に首振り可能とされている。ヒンジレバー63は、自身の弾性によりスイッチ本体62から離間する方向に付勢されいて、図5(a)に示すように、給電側コネクタ7と受電側コネクタ22とが離間した状態では、コネクタガイド部材54が付勢により上下方向の可動範囲の下端に位置し、これによりヒンジレバー63は、下端部63bがコネクタガイド部材54によって前側に押圧され、これにより作用部64cがスイッチ本体62を押圧しオフ状態となっている。
【0034】
一方、図5(b)に示すように、コネクタガイド部材54の第一傾斜面54aに受電側コネクタ22が当接して案内され給電側コネクタ7と接続されると、コネクタガイド部材54は付勢に抗して上方へ移動され、これによりヒンジレバー63が自身の付勢によって後側に移動する。このため、ヒンジレバー63の作用部63cによるスイッチ本体62の押圧が解除され、リミットスイッチ61はオン状態となる。
【0035】
このように、給電部5は、受電側コネクタ22が給電側コネクタ7と接続されたときは通電して受電部4への給電が可能となり、受電側コネクタ22が給電側コネクタ7と離間しているときは給電されずに通電していない状態となる。
【0036】
(表示装置)
図1に示すように、カート3の天板14の上面には、給電状態を表示する給電表示部と、バッテリー収容部21に収容されたバッテリーに対する充電状態を表示する充電表示部とを備えた表示装置71が設けられている。給電表示部および充電表示部は、発光ダイオード(LED)が使用され、それぞれ受電部4および給電部5に接続されて受信した信号に応じて点灯するようになっている。
【0037】
次に、カート3の受電部4に給電を行う動作について説明する。
まず、図1に示すように、テーブル2と離間しているカート3を移動させて、カート3をテーブル2に近接させる。このとき、カート3をテーブル2の天板6の下側に設けられたカートガイド部材28(図2参照)に沿って移動させ、カート3の凹部26にテーブル2の天板6を進入させる。
そして、カート3を更に前側に移動させて、受電側コネクタ22をコネクタガイド部材54に沿って前側に移動させて給電側コネクタ7と接続させる。
このとき、給電側コネクタ7と受電側コネクタ22との間には、マグネット機構51が設けられていることにより、給電側コネクタ7と受電側コネクタ22とが磁気的に吸着して確実に接続される。
【0038】
そして、図5(a)および(b)に示すように、受電側コネクタ22と給電側コネクタ7とが接続されるときに、受電側コネクタ22がコネクタガイド部材54の第1の傾斜面54aに当接しコネクタガイド部材54を上側に押圧することによって、コネクタガイド部材54が上側に移動する。これによりリミットスイッチ61はオン状態となり、給電部5に電力が供給され、給電部5から受電部4に給電が行われる。
【0039】
このとき、給電部5から受電部4に給電が行われると、表示装置71の給電表示部と、充電表示部とが、それぞれ受電部4および給電部5から受信した信号に応じて点灯するため、使用者は表示装置71を確認することで給電部5から受電部4への給電状態とバッテリーの充電状態を確認することができる。
【0040】
そして、給電部5から受電部4への給電が終了したら、カート3をテーブル2から離間させることによって、受電側コネクタ22が給電側コネクタ7と離間すると共にコネクタガイド部材54と離間するため、コネクタガイド部材54が下側に移動してリミットスイッチ61がオフ状態となる。これにより給電部5は通電していない状態となる。
【0041】
次に、上述した第1実施形態による什器システム1Aの効果について図面を用いて説明する。
第1実施形態による什器システム1Aによれば、給電部5から受電部4への給電が行われていないときには、給電部5が通電していない状態とすることができるため、安全性を高めることができる。例えば、給電部5から受電部4への給電が行われていないときに使用者が誤って給電側コネクタ7に触れたとしても感電する懼れがないため、安全性を高めることができる。
また、給電部5から受電部4への給電が行われていないときの待機電力を削減することができる。
また、カート3がテーブル2に近接する動作および離間する動作に連動してスイッチ部9のオン状態およびオフ状態を切り替えることができるため、使用者がカート3を移動させる作業と別にスイッチ部9を切り替える必要がなく作業性がよい。
【0042】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図6乃至図8に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
図6に示すように、第2実施形態による什器システム1Bは、第1実施形態における受電側コネクタ22(図1参照)と給電側コネクタ7(図1参照)との接続による給電に代わって、テーブル2に設けられた給電部80の給電側コイル81とカート3に設けられた受電部90の受電側コイル91とを近接させ、給電側コイル81の電流により生じる電磁誘導によって受電側コイル91に電流を発生させることによる非接触給電を行うように構成されている。
【0043】
(給電部)
図6および図7に示すように、給電部80は、周波数変換器82(図7参照)を備えた給電側コイル81とスイッチ部83とが薄型箱形状のカバー体84(図6参照)に収納されている。給電部80は電源ケーブルを介して図6に示すテーブル2の天板6に設けられているコンセント(不図示)に接続されている。
【0044】
図6に示すように、カバー体84は、上面が開口になっており、テーブル2の天板6の下面の所定位置に固定されている。そして、給電側コイル81は、そのコイル給電面81aを下向きにした状態でカバー体84に収容されている。
また、後述する受電部90のカバー体85の上面には、上方に向けて突出する凸部85が設けられていて、カバー体84にはこの凸部85が進入可能な開口84aが設けられている。カート3がテーブル2に近接することによって、凸85が開口84aに進入するように構成されている。
【0045】
(スイッチ部)
図8(a)、(b)に示すように、スイッチ部83は、第一実施形態のスイッチ部9(図1参照)に代わるもので、バネ部材101を備えた回転作動板102がそのバネ部材101の付勢に抗して回転したときに、その回転作動板102の作用端102aでスイッチ103をオン状態にする構成となっている。
回転作動板102は、カバー体84の底面84bに直交する方向の回転軸102cを中心に回転する平面視で略扇形状の回転板102Aを有し、この回転板102Aの周方向の一端(基端102b)には、回転板102Aの半径方向外側に突出する張出し片102B(図8(b)参照)が設けられている。
【0046】
さらに、回転作動板102の円弧を形成する外周部には、張出し片102Bをカバー体84の開口84aの位置、すなわち凸部85の進入路を塞ぐ位置に配置させた状態で、付勢された前記バネ部材101が取り付けられている。
つまり、図8(b)に示すように、回転作動板102は、開口84aからカバー体84内に進入する凸部85によって張出し片102Bが押圧され、これによりバネ部材101の付勢に抗して回転軸102cを中心にして矢印E方向に回転し、図8(b)で二点鎖線の位置へ移動する構成となっている。
【0047】
スイッチ103は、レバー式のスイッチであり、レバー部103aが回転作動板102の作用端102aの位置によってオンオフの位置を選択的に取り得るものである。つまり、スイッチ103は、回転作動板102が回転していないときにはオフ状態であり、回転作動板102の回転により作用端102aによってレバー部103aが押圧されてオン状態となる。そして、スイッチ103がオン状態になるとき、給電側コイル81(図8(a)参照)に電流が流れるようになっている。
【0048】
(受電部)
図6に示すように、受電部90は、カート3の凹部26の下側に設けられている。図6および図7に示すように、受電部90は、整流器92(図7参照)を備えた受電側コイル91と、受電側コイル91に電圧変換器93を介して接続されたバッテリーユニット94とが、薄型箱形状のカバー体95(図6参照)に収納され、バッテリーユニット94の出力側には天板14(図6参照)上で使用される電子機器P用のコンセント(不図示)が接続されている。
【0049】
図6に示すように、受電側コイル91は、そのコイル受電面91aを上向きにして、カート3がテーブル2に対して組合せ位置に位置する状態で、給電側コイル81のコイル給電面81aに間隔をもって対向する位置に配置されている。
図7に示すように、バッテリーユニット94は、バッテリー本体96と、受電側コイル91より入力される電気を充電制御する充電制御部97と、バッテリー本体96から出力される電圧を制御する出力制御部98とを備えている。
【0050】
このように構成される給電部80および受電部90では、給電側コイル81と受電側コイル91とを近接させると、給電部80においてスイッチ部83のスイッチ103がオン状態になり、例えば交流100Vの電気が直流電源により直流24Vに変換されて給電側コイル81に流れる。そして、給電側コイル81の電流により生じる電磁誘導によって受電側コイル91に電流が発生して非接触給電が行われる。さらに、受電部90において、受電側コイル91で給電された電圧が電圧変換器93で直流17Vに変換されてバッテリー本体96に充電され、出力時には出力制御部98より直流15Vに変換されてコンセント側に出力されることになる。
【0051】
次に、上述した第2実施形態による什器システムの効果について図面を用いて説明する。
第2実施形態による什器システム1Bによれば、給電側コイル81と受電側コイル91とが対向配置したときに、スイッチ部83のスイッチ103がオン状態となって給電側コイル81に電流が流れることにより、給電側コイル81と受電側コイル91とが対向配置しているとき以外は給電側コイル81に電流が流れることがないため、安全性を高めることができる。
例えば、給電側コイル81に受電側コイル91以外の金属などが対向配置されたとしても、給電側コイル81に電流が流れて発熱する懼れがない。
【0052】
また、給電部80および受電部90は非接触給電を行うことにより、給電部80や受電部90をカバーで覆った状態でも給電を行うことができる。そして、給電部80や受電部90をカバーで覆うことで、テーブル2やカート3に水や薬液などがかかったとしても、給電部80および受電部90にこの水や薬液がかかることを防ぐことができ、更に安全性を高めることができる。
【0053】
以上、本発明による什器システムの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した第1実施形態では、スイッチ部9は、受電側コネクタ22がコネクタガイド部材54と当接・離間することで外部から給電部5への給電および給電の停止を切り替えているが、カート3がテーブル2に近接する際にカート3の天板14がテーブル2に取り付けられたスイッチに当接することで外部から給電部5へ給電し、このスイッチからカート3の天板14が離間することで給電部5への給電が停止する構成としてもよい。
また、カート3の天板14だけでなく、図9に示すようにカート3の前部支柱16がスイッチ110に当接してもよく、図10に示すように、カート3のキャスタ11が、スイッチに当接する構成としてもよい。
また、スイッチ部は、カート3が近接することを感知して、オン状態とオフ状態とを切り替える近接センサとしてもよい。この近接センサとしては、例えば、電磁誘導を利用した高周波発振型センサ、磁石を用いた磁気型センサ、静電容量の変化を利用した静電容量型センサなどが挙げられる。
【0054】
また、上述した実施形態では、カート3を移動什器としているが、カート3に代わって移動可能なテーブルやキャビネットなどを移動什器としてもよく、また、テーブル2以外の什器を固定什器としても良い。このとき、受電部4と給電部5が設けられる場所は適宜設定されていてもよい。
また、上述した実施形態では、カート3の天板14の上面に、給電状態を表示する給電表示部と、バッテリー収容部21に収容されたバッテリーに対する充電状態を表示する充電表示部とを備えた表示装置71が設けられているが、カート3の天板14に代わってバッテリー収容部21の上面やテーブル2の天板6の上面などに表示装置71が設けられていてもよい。また、什器システム1A,1Bに表示装置71がない構成としてもよい。
また、上述した第2実施形態では、給電側コイル81と受電側コイル91とを近接させ、給電側コイル81の電流により生じる電磁誘導によって受電側コイル91に電流を発生させる非接触給電を行っているが、このような非放射型の電磁誘導による送電方式であることに限定されることはなく、例えば、非放射型の磁界共鳴方式や、放射型の電磁波(マイクロ波送電)方式を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0055】
1A,1B 什器システム
2 テーブル(固定什器)
3 カート(移動什器)
4,90 受電部
5,80 給電部
6 天板
7 給電側コネクタ(第二のコネクタ)
9,83 スイッチ部
22 受電側コネクタ(第一のコネクタ)
51 マグネット機構
52 マグネット部材
53 磁性部材
71 表示装置
81 給電側コイル
91 受電側コイル
F 床面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上に移動可能に設けられた移動什器と、床面上に載置された固定什器とを備えた什器システムであって、
前記固定什器に設けられ電力供給手段から給電される給電部と、
前記移動什器に設けられ前記移動什器が前記固定什器に近接した際に前記給電部と対向配置し前記給電部から給電される受電部と、
前記電力供給手段から前記給電部へ給電するオン状態と、前記電力供給手段から前記給電部への給電の停止するオフ状態とを切り替えるスイッチ部と、を備え、
前記スイッチ部は、前記移動什器が前記固定什器に近接または当接することによって前記オン状態となり、前記移動什器が前記固定什器から離間することによって前記オフ状態となることを特徴とする什器システム。
【請求項2】
前記スイッチ部は、前記固定什器に取り付けられて前記移動什器の一部が当接することによって前記オン状態および前記オフ状態を切り替える物理スイッチであることを特徴とする請求項1に記載の什器システム。
【請求項3】
前記スイッチ部は、前記固定什器に取り付けられていて、前記移動什器が近接したことを感知することによって前記オン状態および前記オフ状態を切り替える近接センサであることを特徴とする請求項1に記載の什器システム。
【請求項4】
前記給電部と前記受電部の一方に設けられ、磁石からなるマグネット部材を有する第一のコネクタと、
前記給電部と前記受電部の他方に設けられ、磁性体からなる磁性部材を有し、前記移動什器が前記固定什器に近接した際に、前記第一のコネクタと電気的に接続されるとともに前記マグネット部材に前記磁性部材が磁気的に吸着される第二のコネクタと、を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の什器システム。
【請求項5】
前記給電部と前記受電部とは非接触給電を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の什器システム。
【請求項6】
前記給電部から前記受電部への給電状態を表示する表示装置が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の什器システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−19876(P2012−19876A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158901(P2010−158901)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】