説明

什器システム

【課題】コネクタに設けられたマグネット部材にクリップや安全ピンなどの金属片が吸着されることを防止することができる。
【解決手段】テーブル(固定什器)2に設けられ磁石からなるマグネット部材52を有する給電側コネクタ(第一のコネクタ)7と、カート(移動什器)3に設けられ磁性体からなる磁性部材53を有しカート3がテーブル2に近接した際に給電側コネクタ7と電気的に接続されるとともにマグネット部材52に磁性部材53が磁気的に吸着される受電側コネクタ(第二のコネクタ)22と、給電側コネクタ7を覆い受電側コネクタ22が挿入可能な開口部62が形成されたカバー部材61と、カバー部材61の開口部62に開閉可能に設けられカート3がテーブル2に近接する動作に連動して開口部62を開放する開閉部材63と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスや病院、公共施設等における執務空間、および家庭等の居住空間にて使用され、受電部が設置された移動什器と給電部が設置された固定什器とを備える什器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、物品を載置、収納する手段を有しつつ、床面上を走行可能なカートなどの移動什器が知られている。このような移動什器は、例えば、病院や介護施設等で病室を回診する際などに利用されており、近年、カルテなどの電子化に伴って情報端末などの電子機器を載置可能とするため、電源が組み込まれている。
【0003】
このような移動什器はコネクタを備えており、移動什器を移動させて移動什器のコネクタを電力供給部のコネクタに電気的に接続させることによって移動什器で電力を取り出せるようにしている(特許文献1参照)。
そして、これらのコネクタには、それぞれマグネット部材が設けられていて、マグネット部材どうしが吸着されることによって、コネクタどうしが接触して電気的に接続されている。なお、電気的に接続された両コネクタは、マグネット部材どうしの吸着力以上の外力によって、その電気的な接続が解除されている。
【0004】
また、マグネット部材の吸着力を利用したコネクタとして、特許文献2に、ピン端子を備えたプラグと、ピン端子の先端に接触する接触バネを備えたコンセントとを、磁気的な吸着力によって互いに着脱自在としたコネクタが開示されている。
このコンセントには、ピン端子が挿入される通孔が形成されていると共に、通孔を閉鎖する扉部材が設けられている。そして、プラグをコンセントに接続させるときには、プラグのピン端子で扉部材を押し開け、これによりピン端子が通孔に挿入され、ピン端子とコンセント内の接触バネとが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−118247号公報
【特許文献2】特開平9−153385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された什器などでは、什器においてクリップや安全ピンなどの金属片を使用することがあり、コネクタに設けられたマグネット部材に吸着されないようにする必要があった。
【0007】
本発明は、上述する事情に鑑みてなされたもので、コネクタに設けられたマグネット部材にクリップや安全ピンなどの金属片が吸着されることを防止しつつ、移動什器と固定什器との間で確実にコネクタ同士を接続して受電することができる什器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る什器システムは、床面上に移動可能に設けられた移動什器と、床面上に載置された固定什器とを備えた什器システムであって、前記固定什器と前記移動什器の一方に設けられ磁石からなるマグネット部材を有する第一のコネクタと、前記固定什器と前記移動什器の他方に設けられ磁性体からなる磁性部材を有し前記移動什器が前記固定什器に近接した際に前記第一のコネクタと電気的に接続されるとともに前記マグネット部材に前記磁性部材が磁気的に吸着される第二のコネクタと、前記第一のコネクタを覆い前記第二のコネクタが挿入可能な開口部が形成されたカバー部材と、該カバー部材の前記開口部に開閉可能に設けられ前記移動什器が前記固定什器に近接する動作に連動して前記開口部を開放する開閉部材と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明では、マグネット部材を有する第一のコネクタを覆い第一のコネクタと磁性部材が設置された第二のコネクタとが電気的に接続されるときに第二のコネクタが挿入可能な開口部が形成されたカバー部材と、この開口部に開閉可能に設けられ移動什器が固定什器に近接する動作に連動して開口部を開放する開閉部材と、が設けられている。
そして、移動什器が固定什器に近接していないときには、開閉部材によって開口部が閉塞され、第一のコネクタがカバー部材および開閉部材に覆われた状態となるため、マグネット部材の磁気的な吸着力によってクリップや安全ピンなどの金属片が第一のコネクタに吸着されることを防止することができる。
また、移動什器が固定什器に近接する動作に連動して開閉部材が開口部を開放するため、開口部を個別に開放させる必要がなく、移動什器に給電を行う作業性を良好に維持することができる。
【0010】
また、本発明に係る什器システムでは、前記開口部は、前記マグネット部材の磁気的な吸着力が低減する程度に該マグネット部材から離間する位置に設けられていることが好ましい。
このように、開口部はマグネット部材の磁気的な吸着力が低減する程度にマグネット部材から離間する位置に設けられていることにより、クリップや安全ピンなどの金属片が開口部からカバー部材内に入り込んで第一のコネクタに吸着されることを確実に防止することができる。
【0011】
また、本発明に係る什器システムでは、前記開閉部材は、前記第二のコネクタに当接され押されることによって前記開口部を開放することが好ましい。
このように、開閉部材は、第二のコネクタに当接され押されることによって開口部を開放することにより、使用者が開口部を開放する手間を省くことができる。そして、第二のコネクタは、開閉部材を押して開口部を開放した後に、そのまま第一のコネクタと接続できるため、移動什器に給電を行う作業性を良好に維持することができる。
【0012】
また、本発明に係る什器システムでは、前記開閉部材は、前記第二のコネクタが設けられた前記固定什器または前記移動什器の一部に当接され押されることによって前記開口部を開放してもよい。
このように、開閉部材は、第二のコネクタを備える固定什器または移動什器の一部に当接され押されることによって開口部を開放することにより、使用者が開口部を開放する手間を省くことができるため、移動什器に給電を行う作業性を良好に維持することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、マグネット部材が設置された第一のコネクタにクリップや安全ピンなどの金属片が吸着することを防止できるため、コネクタどうしを確実に接続できると共に、第一のコネクタに金属片が吸着して通電してしまうことを確実に防止できる。また、移動什器が固定什器に近接する動作に連動して開閉部材が開口部を開放するため、使用者が開口部を開放する手間を省くことができ、移動什器に給電を行う作業性を良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態による什器システムの一例を示す図である。
【図2】図2は図1に示す什器システム上面図である。
【図3】受電側コネクタおよび給電側コネクタを示す平面図である。
【図4】コネクタガイド部材を示す斜視図である。
【図5】(a)はカバー部材および開閉部材を説明する図で受電側コネクタと給電側コネクタとが接続されていない状態を示す側面図、(b)は受電側コネクタと給電側コネクタとが接続された状態を示す側面図である。
【図6】カバー部材および開閉部材の他の形態を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(什器システム)
以下、本発明の実施形態による什器システムについて、図1乃至図5に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態による什器システム1は、床面F上に配設されたテーブル(固定什器)2と、床面F上を走行可能に配設されたカート3(移動什器)と、を備えている。
カート3は、天板14に情報端末などの図示しない電子機器を載置可能であり、この電子機器のバッテリーのプラグが差し込まれるコンセントを備える受電部4が設けられている。そして、テーブル2には、受電部4と電気的に接続されたときに受電部4に電力を供給する給電部5が設けられている。
ここで、図1において、テーブル2に対してカート3が近接、離間する方向となる紙面左右方向を、前後方向と称し、紙面右側を前側とし、紙面左側を後側として以下説明する。
【0016】
テーブル2は、天板6と、天板6を支持し床面Fに設置された脚部8と、を備えている。天板6の下方には給電部5が設けられており、給電部5には受電部4の受電側コネクタ(第二のコネクタ)22と接続される給電側コネクタ(第一のコネクタ)7が設けられている。
【0017】
カート3は、キャスタ11を備えていて床面F上を移動可能な架台12と、架台12の上に設置されて物品を収容可能な収納部13と、収納部13の上方に設けられて上面に情報端末などの電子機器を載置可能な天板14と、を備えている。
【0018】
収納部13は、架台12上の左右側縁に立設した側面視倒立U字形をなす左右1対の側面枠15,15により構成されている。
各側面枠15は、前側に設けられた前部支柱16と、後側に設けられた後部支柱17と、前部支柱16の上端から後側に向けて水平に延び、かつ後部支柱17に連結された横桟18とにより枠組みされている。
上下方向を向く前部支柱16は、カート3の操作時に、障害物等との衝突による収容物の破損を防止する保護部材となる。前後両支柱16,17間には、複数のワイヤー部材19が上下に所望の間隔をもって前後方向に沿って架設されている。
【0019】
左右の側面枠15,15は、その前側上部間が、左右方向を向く連結杆20により連結されている。
また、左右の側面枠15,15間には、横桟18と略同じ高さに、天板14に載置された電子機器のバッテリーを収容可能なバッテリー収容部21が設けられている。このバッテリー収容部21は、後側となる後面が開口された箱状に形成されていて、後面から内部にバッテリーを挿入することができる。
バッテリー収容部21の内部には、バッテリーのプラグが接続可能なコンセントが取り付けられており、バッテリー収容部21の前面には、このコンセントと接続された受電側コネクタ22が、前側に突出するように設けられている。このコンセントと受電側コネクタ22とが受電部4を構成している。
【0020】
収納部13内における左右の側面枠15,15間には、収容物を収容可能な上下2段のトレイ23,23が配設されており、各トレイ23は、各側面枠15における前後両支柱16,17間に架設されたワイヤー部材19によって着脱自在に支持されている。
【0021】
左右の後部支柱17,17における各々の上部には、収納部13の上面より上方に離間する位置において、円弧状をなして前側に折曲させることにより、円弧状の折曲部と、前向部とが形成され、この折曲部により、カート操作用のハンドル部24,24が、また前向部により、天板支持部25,25がそれぞれ形成されている。左右の両天板支持部25,25上には、天板14が載置され、かつ固定されている。
これにより、収納部13の上部を構成する横桟18と、左右の天板支持部25,25および天板14の下面との間には、前側および前後方向に直交する左右方向両側に開口するとともに、後側がハンドル部24によって閉鎖された凹部26が形成されている。
【0022】
この凹部26は、カート3とテーブル2とが近接または当接したときに、テーブル2の天板6が進入するように構成されている。すなわち、高さ方向の位置がテーブル2の天板6と略等しくなるように形成されているとともに、天板6が挿入可能な高さ寸法となるように天板支持部25、25と横桟18、18との離間寸法が設定されている。また、凹部26にテーブル2の天板6が挿入された状態で、カート3の収納部13がテーブル2の天板6の下方に潜入し、カート3の天板14および天板支持部25,25がテーブル2の天板6の上方に位置している。これにより、カート3の天板14上に、パソコン等を載置したままの状態で、カート3の収納部13を、テーブル2の天板6の下方に潜入させて使用することができる。
【0023】
各天板支持部25、25には、ストッパ27が固定されている。このストッパ27の上面は、天板支持部25の上方に突出させることにより、天板14の下面を支持する天板受け部材を兼ねている。
ストッパ27の下部は、ハンドル部24より前側、さらに、カート3の天板14の後端14aより前側における天板支持部25の下面より垂下するように設けられており、外上方を向くフック片27aが設けられている。
そして、ストッパ27の下部は、凹部26にテーブル2の天板6が進入したときに、テーブル2の天板6の後端部6aと当接してテーブル2の天板6が進入する奥行きを規制している。
【0024】
また、図2に示すように、テーブル2の天板6の下面には、この下面から突出しカート3を移動させて凹部26に天板6を進入させるときにカート3を案内するカートガイド部材28が設けられている。
カートガイド部材28,28は、凹部26に天板6が進入したときにカート3の両側方に配設された一対の棒状の部材で、それぞれ延在方向の途中で屈曲している。この屈曲している部分を屈曲点28aとする。
一対のカートガイド部材28,28は、互いの離間寸法Lが、後側となる基端28bにおいてカート3の左右方向の外幅寸法B、すなわち側面枠15、15同士の外幅寸法よりも大きいとともに、前側となる先端側に向かうに従って次第に小さくなり、屈曲点28aにおいてカート3の左右方向の外幅寸法Bと略等しくなり、先端側まで延設されている。
【0025】
このため、カート3を移動させて凹部26にテーブル2の天板6を進入させるときにカート3の位置がずれたとしても、カート3の前部支柱16がカートガイド部材28と当接することによって、カート3が左右方向に正しい位置に案内される。また、カート3を前側に所定位置まで移動すると、テーブル2の天板6の縁部がストッパ27(図1参照)に当接し、前側への移動が規制される。
【0026】
そして、図1に示すように、カート3の凹部26にテーブル2の天板6が進入し、ストッパ27によってテーブル2に対してカート3が位置決めされた状態で、受電部4と給電部5とが電気的に接続され、給電部5から受電部4に電力が供給されている。具体的には、カート3のバッテリー収容部21の前側に設けられた受電側コネクタ(第二のコネクタ)22と、テーブル2の下側に設けられた給電部5の給電側コネクタ(第一のコネクタ)7とが電気的に接続される。受電側コネクタ22と給電側コネクタ7は、床面Fから略同じ高さに設置されている。
【0027】
(コネクタ)
図3に示すように、受電側コネクタ22には、給電側コネクタ7が嵌合される凹部41が形成されていて、この凹部41内には前側に突出するピン端子42が設けられている。
そして、給電側コネクタ7には、孔部43が形成されていて、給電側コネクタ7と受電側コネクタ22とが嵌合されると、この孔部43に受電側コネクタ22のピン端子42が挿入される。
【0028】
また、受電側コネクタ22と給電側コネクタ7との間には、互いを磁気的に吸着させるマグネット機構51が設けられている。
マグネット機構51は、給電側コネクタ7に設けられたマグネット部材52と、受電側コネクタ22に設けられてマグネット部材52に磁気的に吸着される磁性体からなる磁性部材53とを備えている。磁性部材53としては、例えば鉄などの金属部材でも良いし、自身もマグネットからなるものとしても良い。また、互いに磁気的に吸着されたマグネット部材52と磁性部材53とは、その吸着力よりも大きい外力によって、互いに離間できるように構成されている。
【0029】
また、図4に示すように、給電側コネクタ7の側方および上方には、受電側コネクタ22(図3参照)が移動して給電側コネクタ7に接続されるときに、給電側コネクタ7の位置をガイドするコネクタガイド部材54が設けられている。
コネクタガイド部材54には、後側から前側に向って給電側コネクタ7に近づく第一の傾斜面54a及び一対の第二の傾斜面54bが形成されている。第一の傾斜面54aは、給電側コネクタ7の上方に、下方に向くように設けられていて、後側から前側に向かって次第に下方へ向かうように傾斜している。また、一対の第二の傾斜面54bは、給電側コネクタ7の左右方向両側に、互いに向き合い、かつ、後側から前側に向かって次第に互いに接近するように傾斜している。
そして、受電側コネクタ22が第一の傾斜面54aに下方に案内され、また、第二の傾斜面54bに左右方向に案内されて移動することで、受電側コネクタ22の位置が給電側コネクタ7の位置に整合され、受電側コネクタ22と給電側コネクタ7とを確実に接続することができる。
【0030】
(カバー部材)
図5(a)に示すように、給電側コネクタ7及びコネクタガイド部材54は、カバー部材61によって囲われている。カバー部材61は、給電側コネクタ7を覆うように設けられるとともに、前側に開口部62が形成され、前側の開口部62のみから給電側コネクタ7へのアクセスを可能としている。また、カバー部材61には、開口部62を開閉するための開閉部材63が回動可能に取り付けられている。
【0031】
開閉部材63は、開口部62を閉塞可能な略矩形板状の部材で、上端部63aがカバー部材61に左右方向に沿った軸回りに回転可能に取り付けられている。
そして、開閉部材63は、外力が作用しないとカバー部材61から垂下した状態となり、この状態で開口部62を閉塞している。また、開閉部材63は、外力によってその面方向となる前後方向前側に向かって押されることによって上端部63aを中心に前側へと回転し開口部62を開放することができる。
【0032】
図5(b)に示すように、この開口部62は、受電側コネクタ22と給電側コネクタ7とを電気的に接続するときに、受電側コネクタ22の少なくとも前端側をカバー部材61の内部に挿入するために形成されていて、受電側コネクタ22の前面視形状よりもやや大きく形成されている。
受電側コネクタ22と給電側コネクタ7とを電気的に接続するときは、使用者がカート3を前側に移動させることで、開閉部材63は、受電側コネクタ22によって、後側へと押し開けられて開口部62を開放する。また、図5(a)に示すように、受電側コネクタ22と給電側コネクタ7との電気的な接続を解除するときには、使用者がカート3を後側に移動させることで、開閉部材63は、重力によって垂下した状態となり開口部62を閉塞する。
ここで、開口部62および開閉部材63は、給電側コネクタ7のマグネット部材52の磁気的な吸着力が低減する程度にマグネット部材52から離間する位置に設けられていることが好ましい。具体的には、本実施形態の什器システム1において使用され得る安全ピンやクリップなどの金属片からなる部材が、マグネット部材52の磁力によって吸着され得ない程度に、当該磁力が低減するだけマグネット部材52から離間した位置に開口部62および開閉部材63が設けられていることが好ましい。
【0033】
次に、カート3の受電部4に給電を行う動作について説明する。
まず、図1に示すように、テーブル2と離間しているカート3を移動させて、カート3をテーブル2に近接させる。このとき、カート3をテーブル2の天板6の下側に設けられたカートガイド部材28(図2参照)に沿って移動させ、カート3の凹部26にテーブル2の天板6を進入させる。
そして、図5(a)に示す受電側コネクタ22を開閉部材63に当接させ、そのまま前側にカート3(図1参照)を前側へ移動させる。これにより、受電側コネクタ22は開閉部材63を押しあけて、開口部62を開放させる。そして、更にカート3を前側に移動させて、図5(b)に示すように、受電側コネクタ22と給電側コネクタ7とを嵌合させ電気的に接続させる。これにより給電部5から給電側コネクタ7および受電側コネクタ22を介して受電部4に電力が供給される。
【0034】
このとき、カバー部材61の内部に挿入された受電側コネクタ22は、コネクタガイド部材54(図3参照)に沿って給電側コネクタ7側に移動するため、その高さおよび幅方向の位置が給電側コネクタ7の位置に整合され、受電側コネクタ22と給電側コネクタ7とが確実に接続される。
また、給電側コネクタ7と受電側コネクタ22との間には、マグネット機構51が設けられていることにより、給電側コネクタ7と受電側コネクタ22とが磁気的に吸着して確実に接続される。
【0035】
次に、上述した什器システムの効果について図面を用いて説明する。
本実施形態による什器システム1によれば、カート3とテーブル2とが離間しているときは、マグネット部材52が設置された給電側コネクタ7がカバー部材61および開閉部材63で覆われた状態となる。
これにより、給電側コネクタ7のマグネット部材52の吸着力によって給電側コネクタ7にクリップや安全ピンなどの金属片が吸着することを防止することができるため、金属片が介在することなく受電側コネクタ22と給電側コネクタ7とを確実に接続することができると共に、給電側コネクタ7に金属片が吸着して通電してしまうことを確実に防止できる。
【0036】
また、給電側コネクタ7の電極に使用者が誤って接触してしまうことも確実に防止できる。
また、カート3をテーブル2に近接させると、これに連動して給電側コネクタ7が開閉部材63を押して開口部62を開放するため、使用者が個別に開口部62を開放させる必要がなく、カート3に給電を行う作業性を良好に維持することができる。
【0037】
以上、本発明による什器システムの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態では、開閉部材63は、左右方向に沿った軸回りに回転可能であるが、図6に示すような、鉛直方向に沿った軸回りに回転可能とするとともに、2つの部材としてもよい。図6は上方から什器システムを見た図とする。この場合、開閉部材63は、開口部62を閉塞する方向にばねなどの付勢部材により付勢されており、受電側コネクタ22に押されることによって水平方向に回転して開口部62を開放している。このように付勢部材による付勢により開閉部材63が開口部62を閉塞した状態としつつ、付勢部材による付勢に抗して外力が作用した場合に開口部62を開放するようにしても良い。
【0038】
また、上述した実施形態では、給電側コネクタ7にマグネット部材52が取り付けられて、受電側コネクタ22に磁性部材53が取り付けられているが、給電側コネクタ7に磁性部材53が取り付けられていて受電側コネクタ22にマグネット部材52が取り付けられていてもよい。そして、受電部4をカバー部材61で囲い、給電側コネクタ7で開閉部材63を開放する構成としてもよい。
また、上述した実施形態では、受電側コネクタ22で開閉部材63を押し開けているが、受電側コネクタ22に代わってカート3の一部で開閉部材63を押し開ける構成としても良い。
【0039】
また、上述した実施形態では、カート3を移動什器としているが、カート3に代わって移動可能なテーブルやキャビネットなどを移動什器としてもよく、また、テーブル2以外の什器を固定什器としても良い。このとき、受電部4と給電部5が設けられる場所は適宜設定されて良い。
また、上述した実施形態では、受電側コネクタ22をガイドするコネクタガイド部材54が設けられているが、コネクタガイド部材54を備えない構成としてもよい。
また、本実施形態では、カバー部材61は、給電側コネクタ7を覆っているが、給電側コネクタ7および給電部5を覆っていてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 什器システム
2 テーブル(固定什器)
3 カート(移動什器)
4 受電部
5 給電部
6 天板
7 給電側コネクタ(第一のコネクタ)
22 受電側コネクタ(第二のコネクタ)
52 マグネット部材
53 磁性部材
61 カバー部材
62 開口部
63 開閉部材
F 床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上に移動可能に設けられた移動什器と、床面上に載置された固定什器とを備えた什器システムであって、
前記固定什器と前記移動什器の一方に設けられ、磁石からなるマグネット部材を有する第一のコネクタと、
前記固定什器と前記移動什器の他方に設けられ、磁性体からなる磁性部材を有し、前記移動什器が前記固定什器に近接した際に、前記第一のコネクタと電気的に接続されるとともに前記マグネット部材に前記磁性部材が磁気的に吸着される第二のコネクタと、
前記第一のコネクタを覆い前記第二のコネクタが挿入可能な開口部が形成されたカバー部材と、
該カバー部材の前記開口部に開閉可能に設けられ、前記移動什器が前記固定什器に近接する動作に連動して前記開口部を開放する開閉部材と、を備えることを特徴とする什器システム。
【請求項2】
前記開口部は、前記マグネット部材の磁気的な吸着力が低減する程度に該マグネット部材から離間する位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の什器システム。
【請求項3】
前記開閉部材は、前記第二のコネクタに当接され押されることによって前記開口部を開放することを特徴とする請求項1又は2に記載の什器システム。
【請求項4】
前記開閉部材は、前記第二のコネクタが設けられた前記固定什器または前記移動什器の一部に当接され押されることによって前記開口部を開放することを特徴とする請求項1又は2に記載の什器システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−19878(P2012−19878A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158903(P2010−158903)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】