説明

仕切り材

【課題】一体板からの組み立て成形の場合でも、組み立て後に底部などの組み上げの境界部で強度に欠けることなく、特に底板が紙片で構成されても衝撃等によって裂け、破れ、挫掘が生じにくく、生産性のよい仕切り材の提供。
【解決手段】側部四方に構成された外周枠と、外周枠内を全枠幅に亘って仕切る中仕切り板22と、中仕切り板22の幅方向複数個所で交差して貼り付けられ、外周枠内を奥行き方向に亘って複数個所に仕切る複数の小仕切り片41を有し、複数の小仕切り片41それぞれの底部と連なり、前記外周枠の枠内を枠幅全体に亘って縦板状に仕切って構成された帯板43とを有して構成され、帯板43の端縁に沿って返し板44を連接形成し、返し板44を帯板43側へ折り返して貼り付けることで、縦板状の上げ底部を2重に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
医療用容器収納箱の取り扱い時の衝撃や輸送時の微振動等で、該箱に収納した割れ易い容器が相互接触等により損傷することを防止するために、箱内部に挿入する緩衝機能付の仕切り材に関する。
【背景技術】
【0002】
アンプル、バイアル、ドリンク等の医療用の容器収納箱は、取り扱い時の衝撃等によって容器が割れたり損傷したりを防止するために、箱内部に例えば緩衝機能付きの中仕切りを必要とする。
【0003】
従来、箱内部に挿入する緩衝機能付中仕切りとして、左右貼付板と中仕切り板と左右側板と前後板の七面と中前貼付板を組合せ、中仕切り板を境に複数の仕切りを構成した、折り畳み可能な中仕切りが開示される(特許文献1参照)。この中仕切りは、後板に蓋板と差し込み板を連接し、蓋板に突起を形成し、前記中前貼付板に形成した仕切り片の下辺に勾配を付して段と該段と連接する帯び板を形成し、突起と帯び板とにより二方向に緩衝機能を付与したもの、とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−268725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記仕切りケースは底部などの組み上げの境界部で強度に欠けるものであった。特に底板が紙片で構成され、中仕切り板がくりぬき片の貼り合わせによって構成される一体板からの組み立て成形の場合、くりぬきの際の切断部分に応力集中が生じ、衝撃等によって容易に裂け、破れ、挫掘等が生じてしまうという問題が生じていた。
【0006】
そこで本発明では、一体板からの組み立て成形の場合でも、組み立て後に底部などの組み上げの境界部で強度に欠けることなく、特に底板が紙片で構成されても衝撃等によって裂け、破れ、挫掘が生じにくく、生産性のよい仕切り材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決すべく以下(1)〜(5)の手段を採用している。
(1)本発明の仕切り材は、
前板14、後板12が側板11、13を介して連なることで側部四方に構成された外周枠1と、
そのいずれか一部から連なり、外周枠1の枠内を枠幅全体に亘って仕切る中仕切り板22と、
中仕切り板22の幅方向複数個所で交差して貼り付けられ、中仕切り板22と前板11の板間、又は中仕切り板22と後板12の板間を奥行き方向に亘って複数個所に仕切る複数の小仕切り片41,31と、
複数の小仕切り片41,31それぞれの底部と連なり、前記外周枠1の枠内を枠幅全体に亘って縦板状に仕切って構成された帯板43,33とを有して構成される仕切り材であって、
帯板43,33の端縁に沿って返し板44,34を連接形成し、返し板44,34を帯板43,33側へ折り返して貼り付けることで、縦板状の上げ底部を2重に形成しうることを特徴とする。
(2)前記仕切り材において、
帯板43,33に連接される複数の小仕切り片41、31が、帯板43,33との連接境界のうち帯板43,33寄りの一端側にて、帯板43,33側へ突出して連なる形状の凸状連接端41T,31Tを有しており、この凸状連接端41T,31Tの突出端が、略円弧曲線からなる切断凹部43D,33Dの切断縁と連なることが好ましい。
(3)前記いずれか記載の仕切り材において、
切断凹部43D,33Dは帯板43,33を幅方向に対して45度〜60度の角度で切り欠く片方向へ傾斜して構成される一辺と、幅方向に対して60度〜120度の角度で切り欠く前記片方向と反対方向へ傾斜して構成される他辺と、一辺及び他辺の間に挟まれた半円曲線縁からなる切り欠き底部とによって構成されることが好ましい。
(4)前記いずれか記載の仕切り材において、
小仕切り板4,3に形成した分岐曲線からなる切り加工によって、小仕切り板4,3の幅方向に亘る帯板43,33と、複数個が帯板43,33の下方にそれぞれ連接すると共に互いに前記幅方向へ隣接する小仕切り片41、31とが形成されるものであって、
各小仕切り片41、31と帯板43,33との連接境界のうち、帯板43,33と離間する他端側にて、帯板43,33から離間する側へ延出した形状の連接他端43T,33Tを有しており、この連接他端43T,33Tの延出端が、小仕切り片41、31の幅方向の構成辺と滑らかに連なることが好ましい。
(5)前記いずれか記載の仕切り材において、
前記返し板44,34には、帯板43,33の前記切断凹部43D,33Dに対応した幅方向位置に、切断凹部43D,33Dと同形状の複数の切り欠き部44D,34Dが形成され、返し板44,34と帯板43,33とは、互いの連接部たる折り返し辺を境界とした略対称形状からなることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の仕切り材は上記手段を講じており、帯板43,33が返し板との折り返し構造によって二重形成され、また好ましくは小仕切り片41、31との隣接境界が延長形成されているため、一体板からの組み立て成形の場合でも、組み立て後に底部などの組み上げの境界部で強度に欠けることなく、特に底板が紙片で構成されても衝撃等によって容易に裂けてしまのを防ぐことができ、耐久性に優れた中仕切りを提供するものとなっている。
また、帯板43,33、返し板及び複数の小仕切り片41、31を含む構成は、大判の一枚板への切り加工、折り加工、ハーフカット等の各種加工によって平面的に形成可能であり、サックマシンでの貼り合せ加工によって組み上げ可能であるため、折り畳みの作業性が向上し、生産性がよい仕切り材となっている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の仕切り材の表面展開図。
【図2】図1のα−α部拡大図。
【図3】実施例1の仕切り材の組み立て工程を示す説明図。
【図4】実施例1の仕切り材の組み立て途中及び組み立て後の状態を示す平面説明図。
【図5】A−A,B−B断面図。
【図6】前枠板を切り取った組み立て斜視図。
【図7】使用状態の開蓋平面図。
【図8】使用状態のB−B断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本仕切り材の実施形態を、実施例として示す各図と共に説明する。本発明の仕切り材は基本的に、前板14、後板12が側板11、13を介して連なることで側部四方に構成された外周枠1と、
そのいずれか一部から連なり、外周枠1の枠内を枠幅全体に亘って仕切る中仕切り板22と、
中仕切り板22の幅方向複数個所で交差して貼り付けられ、前板14と後板12との間を奥行き方向に亘って複数個所に仕切る小仕切り片41,31と、
複数の小仕切り片41,31それぞれの底部と連なり、前記外周枠の枠内を枠幅全体に亘って縦板状に仕切って構成された帯板43,33とを有して構成される。
【0011】
これら各構成は展開時に一体的に連接されて一枚の大判の板状に連なり、各所に切り加工、ハーフカット、リード罫(留め部を飛び形成した粗ミシン罫)、折り加工、及びエンボス加工が施されて、組み立て前の展開板として平面形成される(図1)。
【0012】
この大判の板状の展開板が、図3に示すような、各接着領域(30A,300A,35A,40A,400A,45A、34A,44A,32A,42A,36A,46A,23A)への接着剤塗布工程、図示一点鎖線での折り返し工程、そして図3最下図や図4に示す組み立て工程によって、図6に示すように、列ごとに共通の上げ底部を有して複数列の収容空間に仕切られた仕切り材として一体構成される。
【0013】
組み立てられた仕切り材は、側箱板51,53、前箱板54、後ろ箱板52、及びフラップ板510、蓋板520を有する外箱5内に収容されることで、箱内を仕切り構成する(図7,8)。
【0014】
外周枠1は、側板11、後板12、側板13、前板14が順に側方に連接する。このうち前板14の、前部貼り付け片との4カ所の接着箇所には、それぞれ小枠状のエンボス14Eが形成される(図1)。
【0015】
中仕切り枠2は、前枠板14の枠端辺からさらに側方へ、貼付側板21、中仕切り板22、貼付側板23が順に連接する。このうち中仕切り板22は、片側の側枠板から、側枠板の半分幅の貼付側板21を介して連なり、枠板内を幅方向に縦板状に区切る。
小仕切り板4,3は、それぞれ中仕切り板22の上縁、後枠板12の上縁から上方へ連なって構成される。このうち中仕切り板22の上縁から上方へ連なる小仕切り板4は、下縁の基部貼り付け片40,400の上部に、切り加工によってくりぬき構成された複数の小仕切り片41が、幅方向へ等間隔に複数個連接形成され、複数の小仕切り片41それぞれの側端部に、前枠板14へ貼り付くための前部貼付片42,420が形成される。
【0016】
また後枠板12の上縁から上方へ連なる小仕切り板3は、下縁の基部貼り付け片30,300の上部に、切り加工によってくりぬき構成された複数の小仕切り片31が、幅方向へ等間隔に複数個連接形成され、複数の小仕切り片31、310それぞれの側端部に、中仕切り板22へ貼り付くための前部貼付片32,320が形成される。
【0017】
また小仕切り板4,3には、複数の小仕切り片41、31の上端を連ねて幅方向全体に亘る帯板43,33が形成され、この帯板43,33の上縁に、当該上縁辺を境とした略対称形状の返し板34が隣接形成される。また帯板43,33の両側辺には、それぞれ側部貼付片45、46が隣接形成される。
【0018】
帯板43,33は小仕切り片41,31の小仕切り方向の略中央位置(奥行き方向の前後4分の1位置)にて縦板状に亘ることで、収容物を小仕切り片41,31の下端よりも上方で支える上げ底部を構成する。なお帯板43,33の亘り位置は、前板14と中仕切り板22の奥行き方向中間、及び中仕切り板22と後板12の奥行き方向中間となっている(図4、図5、図7)。
【0019】
そして小仕切り板3、4それぞれの構成として、帯板43,33の端縁に沿って返し板44を連接形成し、返し板44,34を前記端縁に沿って帯板43,33側へ折り返して貼り付けることで、縦板状の上げ底部を2重に形成しうるものとなっている。このうち小仕切り板4の詳細構成を図2に示す。なお小仕切り板3の構成は図2と同様であり、図2において符号の第一数字のみ3に変換したものがその詳細構成となる。
【0020】
帯板43,33に連接される複数の小仕切り片41、31は、帯板43,33との連接境界のうち帯板43,33寄りの一端側にて、帯板43,33側へ突出して連なる形状の凸状連接端41T,31Tを有する。この凸状連接端41T,31Tの突出端は略円弧曲線からなり、同一の略円弧曲線の外側が、切断凹部43D,33Dの切断縁を構成する。
【0021】
切り欠き部43D,33Dは、帯板43,33の幅方向に沿って等間隔に複数個が設けられ、それぞれは返し板44,34との連接辺に対して略垂直に切り込まれた垂直辺からなる一辺と、半円弧曲線縁からなる湾曲部を切り欠き底部として逆方向に折れ曲がって直線状に傾斜した傾斜辺からなる他辺とが連なって構成される。
【0022】
前記傾斜辺を含む帯板43,33の外縁形状は、隣接する小仕切り片41,31側のカット形状に対応するものであり、複数の切断凹部43D,33Dにて折り返し辺側へ凹状にくぼむとともに、複数の凸状連接端41T,31Tにて折り返し辺と反対側へ突出する。そして各切断凹部43D,33Dと凸状連接端41T,31Tとは幅方向同位置に形成され、各幅方向位置の各切断凹部43D,33Dと凸状連接端41T,31Tとをつないだ直線辺が、小仕切り片41,31の折り返し部を構成する。
【0023】
なお実施例では上記のように、切断凹部43D,33Dを構成する一辺が垂直辺からなるものとしているが、帯板43,33の強度を考慮して、幅方向に対して45度〜60度の角度で切り欠く片方向へ傾斜して構成されるものであればよい。また実施例では上記のように、切断凹部43D,33Dを構成する他辺が垂直辺からなるものとしているが、帯板43,33及び小仕切り片42の強度を考慮して、返し板44,34を幅方向に対して60度〜120度の角度で切り欠く前記片方向と反対方向へ傾斜して構成されるものであればよい。
【0024】
返し板44,34には、切断凹部43D,33D及び連接他端43T,33Tの形状に合わせて片側傾斜した切り欠き部44D,34Dと、切り欠き部44D,34Dの非傾斜縁の端部であるコーナー部44C,34Cとが構成される。コーナー部44C,34Cは四半円弧状に湾曲し、そこから先に切り欠き部が形成される。
【0025】
切り欠き部44D,34Dは、前記コーナー部44C,34Cから帯板43,33との連接辺に対して略垂直に切り込まれた垂直辺からなる一辺と、直線状部の先端にて鋭角の折曲部を切り欠き底部として逆方向に折れ曲がって直線状に傾斜した傾斜辺からなる他辺とが連なって構成される。前記傾斜辺を含む返し板44,34の外縁形状は、帯板43、33の小仕切り片41,31側のカット形状に対応するものであり、返し板44,34と帯板43,33は、直線状の折り返し辺を境としてその両側へ略線対称形状に形成される。
【0026】
なお実施例では上記のように、切り欠き部44D,34Dを構成する一辺が垂直辺からなるものとしているが、帯板43,33の形状に合わせて、返し板44,34を幅方向に対して45度〜60度の角度で切り欠く片方向へ傾斜して構成されるものであればよい。また実施例では上記のように、切り欠き部44D,34Dを構成する他辺が垂直辺からなるものとしているが、帯板43,33の形状に合わせて、返し板44,34を幅方向に対して60度〜120度の角度で切り欠く前記片方向と反対方向へ傾斜して構成されるものであればよい。
【0027】
ただし、直線状部の先端による鋭角の折曲部からなる切り欠き底部とし、帯板43,33の切断凹部43D,33Dに設けた半円曲線縁からなる切り欠き底部よりもおおきくかつ異なる形状の切り欠き底部とすることで、小仕切り片41,31の切り起こし角度を妨げないようにしている。
【0028】
返し板44,34がこの折り返し辺を境として折り返されて貼り付けられることで、コーナー部44Cが連接他端43Tの延出形状の基部大半を覆い、切り欠き部44Dが切断凹部43Dの円弧形状の外側を、凸状連接端の形状と同形状で覆う。
【0029】
ここで前記折り返し辺は、両端及び辺内の長さ方向等間隔に離間して複数の留め部を有する粗ミシン罫、すなわちリード罫の加工が施される。当該リード罫の加工によって、返し板4434の折り返し部の膨らみの発生を防止し、折り返しに伴う形状の歪みを回避すると共に、折り返し及び貼り付けの作業をサックマシンで確実に自動処理できるようにしている。
【0030】
帯板43,33に連接される複数の小仕切り片41、31が、帯板43,33との連接境界の一端側(帯板43,33及び返し板寄りの連接境界端側)にて、帯板43,33側へ突出して連なる凸状連接端41T,31Tを有しており、この凸状連接端41T,31の突出端の先側が、略円弧曲線からなる切断凹部43D,33Dを構成する。凸状連接端41T,31Tは、帯板43,33側への直線状の片傾斜部の先が半円弧状に湾曲した切断縁を有する切り加工によって片側形成される。この半円弧状の切断縁の円弧方向から連なる折り辺に沿って折り返すことで、小仕切り片41、31が連接される。
【0031】
切断凹部43D,33Dは帯板43,33を幅方向に切り欠く方向に片傾斜して構成されたものであるが、その切り欠き底が、略円弧曲線の切断縁によって構成されることで、上げ底部として構成されたときに、容易に破断しないだけの十分な強度を確保するものとなっている。
【0032】
また複数の小仕切り片41、31が、帯板43,33との連接境界の他端側(帯板43,33と離間する側の連接境界端側)にて、帯板43,33から離間する側へ延出した形状の連接他端43Tを有しており、前記凸連接端41Tから連接他端43Tまでの延長距離をもって連接境界が構成されることで、小仕切り片41、31と帯板43,33との強固な連接を確保するものとなっている。この連接他端41Tの延出端は具体的には二次曲線状に湾曲しながら、帯板43,33から垂直に離間する方向へ延出し、その先で、小仕切り片41、31の幅方向の構成辺と滑らかに連なる。
【0033】
なお、連接他端43T,33Tを前記延出した形状とすることによって、連接他端の切断縁と隣り合う前部貼り付け片の角部がラウンド状に形成される。このラウンド状に形成された角部は、略円弧曲線からなる切断凹部43D,33Dの切断縁と連なる。
【0034】
また、切り起こされた各小仕切り片41,31の側方先部が折り曲げられることで、それぞれ、中仕切り板又は前板ヘ貼り付けられる前部貼り付け片42及び420,並びに32及び320が形成されるのであるが、この前部貼り付け片42及び420,並びに32及び320の帯板43,33寄りのコーナー部44C,43Cが、湾曲縁からなるラウンド状の先部で構成される。
【0035】
ここで、小仕切り片41、31は、中仕切り後枠3/前枠4に設けた切り加工によって、複数個が幅方向に切り離して隣接形成されると共に、それぞれの上端の一部が、幅方向全体に亘る帯板43,33と連接される。この切り加工によって切り分けられた複数の中仕切り板をそれぞれ、縦方向の境界縁で折り曲げて切り起こすことで、複数の小仕切り片41,31が、外周枠1内でそれぞれ平面視縦方向を向いて等間隔に並設することで、幅方向への複数の収容空間を形成する(図4b)。
【0036】
またその底部にて幅方向に帯板43,33が縦板状に亘って収容空間の上げ底部を形成することとなる。帯板43,33は、仕切り枠と外周枠の間を幅方向全体に亘ることで、縦板状の上げ底部を構成する(図4b、図5b)。
【0037】
(比較試験)
上記実施例の10本入りバイアルの仕切り材について、上げ底部(帯板)の強度比較試験を行った。測定方法として、収容物であるバイアルと略同径の円柱棒を、帯板で構成される上げ底部に対して垂直に当接させ、帯板が折れまがるまで力を加え、折れ曲がった時点での加圧値を測定した。測定個所は、図4bの(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(ヘ)の6カ所とし、それぞれn=5の平均値を測定値とした。
【0038】
サンプルAとして図1〜3に示す実施例のもの、サンプルBとして前記サンプルAから返し板を取り外したもの、サンプルCとして返し板を取り外し、かつ連接他端43Tを設けずに前部貼付片の角部42C,420Cを90度の折曲線縁で構成したものを、それぞれ使用した。測定機器として、株式会社島津製作所社製引っ張り試験機AG−IS型を使用し、試験速度100mm/min、ロードセル容量50Nの測定条件とした。試験結果を表1に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
上記結果より、サンプルC、B、Aの順に総箇所平均強度(挫掘強度)が増加しており、特にサンプルAはサンプルBに対して平均1.60倍、サンプルCに対して平均1.79倍の強度となることが確認された。
【0041】
また各収容部においても概ね挫掘強度が増加しており、中でもサンプルAは、平面視四隅の収容部(ロ)(ハ)(ホ)(ヘ)において、サンプルBとの比較で1.32〜1.73倍の値となることが確認された。
【0042】
また特に帯板の長手方向中央の測定個所(イ)(ニ)においては、連接他端の有無によって1.33〜1.46倍の値(サンプルBとCの比較)、さらに返し板の貼り付けの有無によって1.64〜1.91倍の値(サンプルAとBの比較)となっており、連接他端の曲線状の延出部の形成、並びに返し板の延設とその折り返し・貼り付けによって、挫掘強度を効果的に増加させうることが確認された。
【0043】
(作用)
本発明は上記構成を採用しており、上げ底部を構成する帯板43,33の端縁に沿って延設した返し板44,34の折り返しによって2重形成することで、上げ底部の強度を持たせる、帯板43,33の帯幅が比較的小さく構成しても十分な強度を確保することで、様々な収容物高さに対応可能となった。
【0044】
また帯板43,33と小仕切り片41,31との連接境界を、凸状連接端41T,31T、連接他端43T,33Tによって下方及び上方へ長く確保したため、小仕切り片41,31の支持強度を持たせることができた。また凸状連接端41T,31Tの形成に伴う切断凹部43D,33Dの切り欠き形状を、ラウンド状の緩湾曲縁によって形成したため、応力集中の発生を避けて強度を持たせることができた。
【0045】
帯板及び小仕切り片の連接強度及びこれらの各強度を確保することで、各収容部に収容したバイアル等の収容品が縦横に整列し、また天面が高さ方向に揃った状態となり、収容時の体裁に優れると共に、仕切り材から取り出しやすいものとなった。
【0046】
上記各構成を、大判の一枚板の外方延設とカット加工の形状のみによって確保し、余分な切り抜き孔や別部材の接合を必要としないため、自動製函機による連続加工が容易であって生産性に優れるものとなった。特にバイアルの仕切り材として使用する場合、仕切り材の原材カット、加工、組み立てからバイアルの挿入までを自動的に行うことで、自動包装ラインに対応することができ、衛生上の要求を満たすことが可能となった。
【0047】
本発明の実施例は上述の各構成を有するものであるが、本発明は同実施例に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜構成要素の抽出、代替、形態変更、要素の省略又は寸法比率を含む形状の変更が可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 外周枠
11 側枠板
12 後枠板
13 側枠板
14 前枠板
11FC ハーフカット
2 中仕切り枠
21 貼付側板
22 仕切り板
23 貼付側板
3 中仕切り後枠
30,300,40,400 基部貼付片
31,41 小仕切り片
32,320,41,420 前部貼付片
33,43 帯板
44,34 返し板
35、36,45,46 側部貼付片
4 中仕切り前枠
41T,31T 凸状連接端
43D 切断凹部
42C 角部
43T 連接他端
44C コーナー部
44D 切欠き部




【特許請求の範囲】
【請求項1】
前板(14)、後板(12)が側板(11、13)を介して連なることで側部四方に構成された外周枠(1)と、
そのいずれか一部から連なり、外周枠(1)の枠内を枠幅全体に亘って仕切る中仕切り板(22)と、
中仕切り板(22)の幅方向複数個所で交差して貼り付けられ、前板(14)、後板(12)の間を奥行き方向に亘って複数個所に仕切る複数の小仕切り片(41,31)と、
複数の小仕切り片(41,31)それぞれの底部と連なり、前記外周枠(1)の枠内を枠幅全体に亘って縦板状に仕切って構成された帯板(43,33)とを有して構成される仕切り材であって、
帯板(43,33)の端縁に沿って返し板(44,34)を連接形成し、返し板(44,34)を帯板(43,33)側へ折り返して貼り付けることで、縦板状の上げ底部を2重に形成しうることを特徴とする仕切り材。
【請求項2】
帯板(43,33)に連接される複数の小仕切り片(41,31)が、帯板(43,33)との連接境界のうち帯板(43,33)寄りの一端側にて、帯板(43,33)側へ突出して連なる形状の凸状連接端(41T,31T)を有しており、この凸状連接端(41T,31T)の突出端が、略円弧曲線からなる切断凹部(43D,33D)の切断縁と連なる請求項1記載の仕切り材。
【請求項3】
切断凹部(43D,33D)は帯板(43,33)を幅方向に対して45度〜60度の角度で切り欠く方向へ片傾斜して構成される一辺と、幅方向に対して60度〜120度の角度で切り欠く反対方向へ傾斜して構成される他辺と、一辺及び他辺の間に挟まれた半円曲線縁からなる切り欠き底部とによって構成される請求項1又は2に記載の仕切り材。
【請求項4】
小仕切り板(4,3)に形成した分岐曲線からなる切り加工によって、小仕切り枠板の幅方向に亘る帯板(43,33)と、複数個が帯板(43,33)の下方にそれぞれ連接すると共に互いに前記幅方向へ隣接する小仕切り片(41,31)とが形成されるものであって、
帯板(43,33)との連接境界のうち帯板(43,33)と離間する他端側にて、帯板(43,33)から離間する側へ延出した形状の連接他端(43T,33T)を有しており、この連接他端(43T,33T)の延出端が、小仕切り片(41,31)の幅方向の構成辺と滑らかに連なる請求項1、2又は3のいずれかに記載の仕切り材。
【請求項5】
前記返し板(44,34)は、帯板(43,33)の前記切断凹部(43D,33D)に対応した位置に切断凹部(43D,33D)と同形状の複数の切り欠き部(44D,34D)が形成され、返し板(44,34)と帯板(43,33)とは、互いの連接部を境界とした略対称形状からなる請求項1、2、3又は4のいずれかに記載の仕切り材。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−219101(P2011−219101A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87368(P2010−87368)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(000202154)相互印刷紙器株式会社 (43)
【Fターム(参考)】