説明

他の治療法と併用した、活性ビタミンD化合物による肺癌の治療法

本発明は、1種類もしくは複数の化学療法剤または放射線治療薬/放射線療法と併用して活性ビタミンD化合物を高用量パルス投与によって動物に投与することにより、動物の肺癌を治療または改善する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、1種類もしくは複数の化学療法剤または放射線治療薬/放射線治療と併用して活性ビタミンD化合物を高用量パルス投与によって動物に投与することにより、動物の肺癌を治療または改善する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術
肺癌は、米国における癌による第1位の死亡原因である。米国癌学会(American Cancer Society)は、米国で172,000例の新症例の肺癌が2003年に診断され、同疾患による死亡者数は157,000人に上ると推定している(American Cancer Society, 「Cancer Facts and Figures 2003」, 2003, Atlanta, p.5)。肺癌患者の予後は依然として悪い。外科的手法の改善により、肺癌の1年生存率は1975年の34%から1998年には42%へと上昇しているが、5年生存率は15%に過ぎない。こうした予後の不良は主に、初期段階で診断が下される症例が極めて少ないという事実による。
【0003】
非小細胞肺癌(NSCLC)は肺癌の主な型であり、全症例の約80%を占める。局所的なNSCLCは外科的に治療される場合があるほか、場合によっては放射線療法と化学療法の併用によって治療される場合がある。しかしながら、外科的に切除可能な症例の約50%、および局所進行症例の約80%が再発する。
【0004】
局所進行(IIIB期)のNSCLC、または遠隔転移を伴うNSCLC(IV期)の治療は治癒に至らない。放射線療法は、原発巣または遠隔転移部位のいずれかを対象に、症状の緩和に使用される場合がある。
【0005】
NSCLCの化学療法は治癒に至らないものの、切除不能な癌を有する患者の生存を延長させることが報告されている(Souquet et al., Lancet 342: 19-21 (1993))。多種多様な化学療法剤が、NSCLCに対して単剤活性を有することがわかっている。このような薬剤には例えば、シスプラチン、カルボプラチン、ビノレルビン、ゲムシタビン、パクリタキセル、およびドセタキセルなどがある。IIIB期またはIV期のNSCLCの第1次(first line)療法では、一般にこれらの薬剤が組み合わされて使用される。多くの場合、第1次の化学療法は白金系薬剤(シスプラチンまたはカルボプラチンのいずれか)と他の化学療法剤からなる。Schillerたちによって最近報告された研究では、4種類の白金系の化学療法剤の比較から、同等の客観的な腫瘍反応率、および全生存期間が得られることが判明している(Schiller et al., N. Eng. J. Med. 346: 92-8 (2002))。同研究で明らかとなった反応率は19%であり、生存期間の中央値は7.9か月であった。さらに最近になって、シスプラチンと併用したドセタキセル(TAXOTERE)がNSCLCの第1次療法として承認されている。米国において米食品医薬品局からNSCLCの第2次の化学療法に使用が承認されている薬剤はドセタキセルだけである。
【0006】
ビタミンDは、カルシウム恒常性の正の調節因子として不可欠な脂溶性ビタミンである(Harrison's Principles of Internal Medicine:Part Thirteen、「Disorders of Bone and Mineral Metabolism」、Chapter 353、pp.2214〜2226、A.S.Fauciら(編)、McGraw-Hill、New York(1998)を参照)。ビタミンDの活性型は、カルシトリオールとしても知られる1α,25-ジヒドロキシビタミンD3である。活性型ビタミンD化合物に対する特異的な核受容体は、カルシウム恒常性に関与しない多様な臓器の細胞で発見されている。Millerら、Cencer Res. 52:515-520(1992)。カルシウム恒常性に影響を及ぼすことに加えて、活性型ビタミンD化合物は、骨形成、免疫応答の調節、脾臓B細胞によるインスリン分泌過程の調節、筋肉細胞の機能、ならびに上皮組織および造血組織の分化および成長と関連づけられている。
【0007】
また、過増殖疾患(例えば癌、乾癬)の治療における活性型ビタミンD化合物の有用性を示す、いくつかの報告がある。例えば、一部のビタミンD化合物および類似体が、悪性細胞(具体的には白血病細胞)の非悪性マクロファージ(単球)への分化を誘導することによる強力な抗白血病活性を有し、かつ白血病の治療に有用であることが報告されている。Sudaら、米国特許第4,391,802号;Partridgeら、米国特許第4,594,340号。カルシトリオールおよび他のビタミンD3類似体の抗増殖作用および分化作用は、前立腺癌(Bishopら、米国特許第5,795,882号)、皮膚癌(Chida et al., Cancer Research 45: 5426-5430 (1985))、および結腸癌(Disman et al., Cancer Res. 47: 21-25 (1987))の治療についても報告されている。ビタミンDは、動物に移植された肺癌細胞の転移を阻害することが報告されている(Sato et al., Tohoku J. Exp. Med. 138: 445-446 (1982))。カルシトリオールは、高レベルのビタミンD受容体を含む肺癌細胞系列の成長を阻害するが、わずかなレベルの同受容体を有する肺癌細胞系列の成長を阻害しないことが報告されている(Higashimoto et al., Anticancer Res. 16: 2653-2660 (1996))。活性ビタミンD化合物の治療上の重要性を示唆する他の報告は、Rodriguezらによる米国特許第6,034,074号にまとめられている。
【0008】
活性ビタミンD化合物は、過増殖疾患治療用の他の薬剤、特に細胞毒性剤を併用して投与されてもいる。例えば、活性ビタミンD化合物による過増殖細胞の前治療と、続く細胞毒性剤による治療は、細胞毒性剤の有効性を高めることがわかっている(米国特許第6,087,350号;第6,559,139号)。
【0009】
活性型ビタミンD化合物の投与は実質的な治療上の利益をもたらす可能性があるが、このような化合物を使用した過増殖疾患の治療は、これらの化合物がカルシウム代謝に影響を及ぼすために制限されている。抗増殖剤としての効果的な使用のためにインビボで必要とされるレベルでは、活性型ビタミンD化合物は、固有のカルシウム血症作用によって、著しく高値で危険性を秘めた血中カルシウム濃度を招く場合がある。すなわち、抗増殖剤としてのカルシトリオールおよび他の活性型ビタミンD化合物の臨床使用は、高カルシウム血症のリスクをふまえて極めて限られている。
【0010】
抗増殖作用を維持しつつもカルシウム代謝に対する作用が低い、ビタミンDの類似体および誘導体を同定すべく多くの研究が行われている。高カルシウム血作用の低いものが多い数百種類の化合物が作製されているが、高カルシウム血作用が完全に除去された一方で抗増殖活性が保たれた化合物は発見されていない。
【0011】
全身性の高カルシウム血症の問題が、重度の高カルシウム血症の発症を避けつつ抗増殖作用が認められるような、十分な用量の活性型ビタミンD化合物の「高用量パルス投与」(HDPA)によって克服可能であることが報告されている。米国特許第6,521,608号によれば、活性型ビタミンD化合物は、3日に1回以下、例えば週に1回の少なくとも0.12 μg/kg/日(体重70 kgの場合、8.4 μg)の用量で投与可能である。第6,521,608号に記載されたHDPA治療プログラムに使用される薬学的組成物は、5〜100 μgの活性型ビタミンD化合物を含み、経口、静脈内、筋肉内、局所、経皮、舌下、経鼻、腫瘍内投与の剤形、または他の調製物の状態で投与可能である。軟治性の悪性腫瘍の患者を対象にカルシトリオールを毎週投与する第I相臨床試験では、カルシトリオールのHDPAは、用量制限毒性を生じず、また治療域の平均ピークカルシトリオールレベルを生じることが判明している(Beer et al., Cancer 91: 2431-39 (2001))。
【発明の開示】
【0012】
発明の概要
本発明の1つの局面は、1種類もしくは複数の化学療法剤または放射線治療薬/放射線療法と併用して治療的有効量の活性ビタミンD化合物をHDPAによって動物に投与する段階を含む、動物の肺癌を治療または改善する方法である。本発明の別の好ましい局面では、活性ビタミンD化合物はその高カルシウム血作用が低いため、高カルシウム血症を誘導することなく高用量の化合物の動物への投与が可能となる。
【0013】
本発明の好ましい態様において、1種類もしくは複数の化学療法剤は、単独療法または併用療法のいずれかにおいて、肺癌の治療または改善に有効なことが判明している薬剤でもよい。
【0014】
本発明の好ましい態様では、1種類もしくは複数の放射線治療薬または放射線療法は、外部照射放射線療法、近接照射療法、温熱療法、放射線手術、荷電粒子放射線療法、中性子放射線療法、光力学療法、または放射性核種療法でもよい。
【0015】
本発明の1つの態様では、活性ビタミンD化合物は、1種類もしくは複数の化学療法剤または放射線治療薬もしくは放射線療法の投与/実施前、投与/実施中、および/または投与/実施後に投与することができる。本発明の別の態様では、1種類もしくは複数の化学療法剤または放射線治療薬もしくは放射線療法と併用して活性ビタミンD化合物を投与する方法を複数回繰返す。
【0016】
活性ビタミンD化合物と、本発明の1種もしくは複数の化学療法剤または放射線治療薬または放射線治療との併用は、相加的な有効性または相加的な治療効果をもたらす場合がある。本発明は、治療効果が相加的より大きい、相乗的な併用も含む。好ましくは、このような併用は、望ましくない作用、すなわち有害作用を低下させたり回避したりもする。ある態様では、本発明に含まれる併用療法は、活性ビタミンD化合物または任意の化学療法剤または放射線治療薬または放射線治療の単独投与の場合と比較して、全体的な療法の改善をもたらす。ある態様では、既存または実験用の化学療法剤または放射線治療薬または放射線治療の用量または線量を低減させることができるほか、患者のコンプライアンスを高めるように低頻度で実施することで、治療を改善し、望ましくない作用または有害作用を抑えることができる。
【0017】
さらに本発明の方法は、過去に治療を受けた患者にとって有用なだけでなく、放射線療法、化学療法、および/または外科手術を含むがこれらに限定されない、現行の標準的および/または実験的な癌の治療に部分的もしくは完全に耐性を示す患者の治療にも有用である。好ましい態様では、本発明は、他の治療法に耐性を示した肺癌か、もしくは耐性を示す可能性のある肺癌、または他の治療法に反応しない肺癌を治療もしくは改善する方法を提供する。
【0018】
発明の詳細な説明
本発明の1つの局面は、1種類もしくは複数の化学療法剤または放射線治療薬/放射線療法と併用して治療的有効量の活性ビタミンD化合物をHDPAによって動物に投与する段階を含む、動物の肺癌を治療または改善する方法である(放射線治療薬または放射線療法は、肺癌の治療もしくは改善に現在使用されているものか、過去に使用されたことがあるものか、または有用なことが知られているものである)。本発明の別の好ましい局面では、活性ビタミンD化合物はその高カルシウム作用が低いため、高カルシウム血症を誘導することなく高用量の化合物の動物への投与が可能となる。
【0019】
任意の特定の理論に束縛されることは意図しないが、肺癌の治療において化学療法剤または放射線治療薬または放射線治療とともにビタミンD化合物を相加的または相乗的に作用させる能力の基礎となると考えられる、2つの異なる相互に関連する可能性のある分子機構が存在すると考えられている。第1の機構は、活性ビタミンD化合物が有する、おそらく細胞周期依存性キナーゼの阻害、およびこのようなキナーゼの調節因子の調節によって、細胞を細胞周期のG0/G1期で停止させる能力である。第2の機構は、活性ビタミンD化合物が有する、アポトーシスを制御する複数の重要な調節分子(例えばbcl-2、IAP群、Bax)を調節して、有意に高められたアポトーシス能力(アポトーシス促進変化)を細胞に生じさせる能力である。活性ビタミンD化合物に曝露されると、化学療法剤または放射線治療薬および放射線治療によるアポトーシス誘導に対する細胞の感受性は高くなる。
【0020】
本明細書で用いる「治療的有効量」という用語は、疾患の1つもしくは複数の症状の改善をもたらすか、または疾患の進行を抑えるか、または癌の退縮を引き起こすのに十分な治療薬量を意味する。例えば、肺癌の治療に関しては、治療的有効量は好ましくは、腫瘍成長速度を低下させる、腫瘍の大きさを縮小させる、転移数を減少させる、腫瘍が進行するまでの時間を延長させる、または生存期間を少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%延長する量の治療薬を意味する。
【0021】
本明細書で用いる「1種類もしくは複数の化学療法剤または放射線治療薬もしくは放射線療法と併用した活性ビタミンD化合物」という用語は、活性ビタミンD化合物を、1種類もしくは複数の化学療法剤または放射線治療薬もしくは放射線療法と併用して投与することを意味する(活性ビタミンD化合物は、化学療法剤または放射線治療薬もしくは放射線療法の投与/実施前、投与/実施と同時、または投与/実施後に投与することができる)。活性ビタミンD化合物は、化学療法剤または放射線治療薬もしくは放射線療法の前後に最長3か月間にわたって投与することが可能であり、この場合でも併用療法と見なされる。
【0022】
本明細書で用いる「肺癌」という用語は既知の任意の肺癌を意味し、非小細胞肺癌、扁平上皮癌、類表皮癌、腺癌、気管支肺胞細胞癌、小細胞肺癌、燕麦細胞癌、大細胞癌、巨細胞癌、明細胞癌、腺扁平上皮癌、カルチノイド腫瘍、気管支腺癌、軟部組織腫瘍、および中皮腫を非限定的に含んでもよい。これらの疾患の総説として、Fishman et al., 1985, Medicine, 2d Ed., J.B. Lippincott Co., Philadelphia, PA and Murphy et al., 1997, Informed Decisions: The Complete Book of Cancer Diagnosis, Treatment, and Recovery, Viking Penguin, New York, NYを参照されたい。
【0023】
本明細書で用いる「活性ビタミンD化合物」という用語は、被験対象に投与時に、または細胞に接触時における、生物学的に活性のあるビタミンD化合物を意味する。化合物の生物学的活性は、被験対象への投与後に化合物の代謝によって出現させたり高めたりすることができる。ビタミンD化合物の生物学的活性は、例えば、ビタミンDの調節を受ける遺伝子の発現を測定する免疫アッセイ法などの、当業者に周知のアッセイ法によって評価することができる。ビタミンD化合物は、身体における活性のレベルが異なる複数の形状で存在する。例えばビタミンD化合物は、最初に肝臓で炭素25位が水酸化を受けて部分的に活性化される場合があり、次に腎臓で炭素1位におけるさらなる水酸化を受けて完全に活性化される場合がある。プロトタイプの活性ビタミンD化合物は、1α,25-ヒドロキシビタミンD3(カルシトリオールとも呼ばれる)である。他の多くの活性ビタミンD化合物の存在が知られており、本発明の実施に使用可能である。本発明の活性ビタミンD化合物は、それぞれが参照により組み入れられる、以下の特許に記載されたビタミンD化合物の類似体、ホモログ、および誘導体を含むがこれらに限定されない:米国特許第4,391,802号(1α-ヒドロキシビタミンD誘導体);第4,717,721号(コレステロールまたはエルゴステロールの側鎖より側鎖が17残基長い1α-ヒドロキシ誘導体);第4,851,401号(シクロペンタノ-ビタミンD類似体);第4,866,048号および第5,145,846号(アルキニル側鎖、アルケニル側鎖、およびアルカニル側鎖を有するビタミンD3類似体);第5,120,722号(トリヒドロキシカルシフェロール);第5,547,947号(フルオロ-コレカルシフェロール化合物);第5,446,035号(メチル置換ビタミンD);第5,411,949号(23-オキサ-誘導体);第5,237,110号(19-ノル-ビタミンD化合物);第4,857,518号(水酸化24-ホモ-ビタミンD誘導体)。具体例には、ROCALTROL(Roche Laboratories社);CALCIJEX注射用カルシトリオール;EB 1089(24a,26a,27a-トリホモ-22,24-ジエン-1αa,25-(OH)2-D3、KH 1060(20-エピ-22-オキサ-24a,26a,27a-トリホモ-1α,25-(OH)2-D3)、MC 1288(1,25-(OH)2-20-エピ-D3)、およびMC 903(カルシポトリオール、1α24s-(OH)2-22-エン-26,27-デヒドロ-D3)を含むLeo Pharmaceuticals社の治験薬;1,25-(OH)2-16-エン-D3、1,25-(OH)2-16-エン-23-イン-D3、および25-(OH)2-16-エン-23-イン-D3を含むRoche Pharmaceuticals社の薬剤;中外製薬の22-オキサカルシトリオール(22-oxa-1α,25-(OH)2-D3);イリノイ大学の1α-(OH)-D5;ならびにZK 161422(20-メチル-1,25-(OH)2-D3)、およびZK 157202(20-メチル-23-エン-1,25-(OH)2-D3)を含むInstitute of Medical Chemistry-Schering AG社の薬剤;1α-(OH)-D2;1α-(OH)-D3および1α-(OH)-D4が含まれる。他の例には、

などがある。他の例については米国特許第6,521,608号に記載されている。例えば

も参照されたい。
【0024】
本発明の好ましい態様では、活性ビタミンD化合物はビタミンDと比較して高カルシウム血作用が低いので、高用量の化合物を、高カルシウム血症を引き起こすことなく動物に投与することができる。低い高カルシウム血作用は、等量の1α,25-ヒドロキシビタミンD3(カルシトリオール)の投与によって誘導される高カルシウム血作用に満たない作用であると定義される。一例としてEB 1089は、カルシトリオールの高カルシウム血作用の50%の高カルシウム血作用を有する。低い高カルシウム血作用を有する他の活性ビタミンD化合物には、Hoffman La Roche社から入手可能なRo23-7553やRo24-5531などがある。高カルシウム血作用が低い活性ビタミンD化合物の他の例は、米国特許第4,717,721号に記載されている。活性ビタミンD化合物の高カルシウム血作用を決定することは、当技術分野でごく一般に行われており、またHansen et al., Curr. Pharm. Des. 6: 803-828 (2000)に記載された手順で実施することができる。
【0025】
本明細書で用いる「化学療法剤」という表現は、癌の治療または改善に有効な、当業者に既知の任意の化学療法剤を意味する。化学療法剤には、小分子;合成薬剤;ペプチド;ポリペプチド;タンパク質;核酸(例えば、アンチセンスヌクレオチド配列、3重らせん、および生物学的活性のあるタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むがこれらに限定されないDNAおよびRNAのヌクレオチド);抗体;合成または天然の無機分子;模倣剤;ならびに合成または天然の有機分子などがあるがこれらに限定されない。有用なことが既知の、または、癌の治療もしくは改善に過去に使用された薬剤、または現在使用されている任意の薬剤を、本明細書に記載された本発明に従って、活性ビタミンD化合物と組み合わせて使用することができる。癌の治療もしくは改善に過去に使用されたことがある治療薬、または現在使用されている治療薬に関する情報については例えば、Hardman et al., eds., 1996, Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis Of Basis Of Therapeutics 9th Ed, Mc-Graw-Hill, New York, NYを参照されたい。
【0026】
本発明の方法および組成物に有用な化学療法剤には、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗有糸分裂剤、エピポドフィロトキシン、抗生物質、ホルモンおよびホルモン拮抗剤、酵素、白金配位錯体、アントラセンジオン、置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、イミダゾテトラジン誘導体、細胞保護剤、DNAトポイソメラーゼ阻害剤、生物学的反応修飾物質、レチノイド、治療用抗体、分化剤、免疫調節剤、ならびに血管形成阻害剤などがある。
【0027】
好ましい化学療法剤には、過去に使用されたことがある薬剤、現在使用されている薬剤、肺癌の治療もしくは改善に有用なことが知られている薬剤などがある。好ましい薬剤には、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、エトポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビノレルビン、トポテカン、ゲムシタビン、イリノテカン、ゲフィチニブ、イホスファミド、タルセバ(tarceva)、オブリメルセン(oblimersen)、およびTLK286などがあるがこれらに限定されない。
【0028】
使用可能な他の化学療法剤には、アバレリクス、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アルトレタミン、アミフォスチン、アナストロゾール、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、生のBCG、ベバセイズマブ(bevaceizumab)、ベキサテロン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カルステロン(calusterone)、カンプトセシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、セレコキシブ、セツキシマブ、クロランブシル、シナカルセット、シスプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダルボポエチンアルファ、ダウノルビシン、デニロイキン・ジフチトクス、デクスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドロモスタノロン、エリオットB溶液、エピルビシン、エポエチンアルファ、エストラムスチン、エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチム、フロキシウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルベストラント、ゲムシタビン、ゲムツズマブ・オゾガミシン、ゲフィチニブ、ゴセレリン、ヒドロキシ尿素、イブリツマブ・ティウキセタン、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、イリノテカン、レトロゾール、ロイコボリン、レバミゾール、ロムスチン、メクロレタミン(meclorethamine)、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキセート、メトキサレン、メチルプレドニゾロン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、ナンドロロン、ノフェツモバブ(nofetumomab)、オブリメルセン、オプレルベキン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロン酸、ペガデマーゼ(pegademase)、ペグアスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペメトレキセド、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、ポリフェプロサン(polifeprosan)、ポルフィルマー、プロカルバジン、キナクリン、ラスブリカーゼ(rasburicase)、リツキシマブ、サルグラモスチム、ストレプトゾシン、タルク、タモキシフェン、タルセバ、テモゾロマイド、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン、チオテパ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレチノイン、ウラシル・マスタード、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、およびゾレドロン酸などがある。
【0029】
本明細書で用いる「放射線療法用薬剤」という用語は、癌の治療または改善に有効な、当業者に既知の任意の放射線治療法用薬剤を意味するがこれらに限定されない。例えば放射線療法用薬剤は、近接照射療法または放射性核種療法で使用される薬剤などの場合がある。
【0030】
近接照射療法は、癌の治療または改善に有効な、当業者に既知の任意のスケジュールまたは方法で実施できるがこれらに限定されない。一般に近接照射療法は、好ましくは健康組織の被曝を最小限に抑えながら、腫瘍が放射線源に最大限曝露されるように、癌の治療対象となる被験対象の体内への、好ましくは腫瘍そのものの内部への放射線源の挿入を含む。近接照射療法に使用可能な代表的な放射性同位元素には、リン32、コバルト60、パラジウム103、ルテニウム106、ヨウ素125、セシウム137、イリジウム192、キセノン133、ラジウム226、カリホルニウム252、または金198などがあるがこれらに限定されない。近接照射療法に有用な投与法ならびに装置および組成物は、それぞれの全体が参照により本明細書に組み入れられる、Mazeron et al.、Sem. Rad. Orc. 12: 95-108(2002)、ならびに米国特許第6,319,189号、第6,179,766号、第6,168,777号、第6,149,889号、および第5,611,767号に記載されている。
【0031】
放射性核種療法は、癌の治療または改善に有効な、当業者に既知の任意のスケジュールまたは方法で実施できるがこれらに限定されない。一般に放射性核種療法は、癌細胞内に選択的に蓄積するか、または癌細胞の表面に結合する放射性同位元素の全身投与を含む。放射性核種の選択的な蓄積には、増殖速度の速い細胞中への放射性核種の取り込み、特別の標的化のない癌組織による放射性核種の特異的な蓄積、または新生物に特異的な生体分子と放射性核種の結合を含むがこれらに限定されない、いくつかの機構が介在する場合がある。
【0032】
放射性核種療法に使用可能な代表的な放射性同位元素には、リン32、イットリウム90、ジスプロシウム165、インジウム111、ストロンチウム89、サマリウム153、レニウム186、ヨウ素131、ヨウ素125、ルテチウム177、およびビスマス213などがあるがこれらに限定されない。これらの放射性同位元素はいずれも、生体分子と結合して標的化の特異性をもたらす一方で、このような結合なしに、ヨウ素131、インジウム111、リン32、サマリウム153、およびレニウム186を全身投与することができる。当業者であれば、対象となる新生物表面に存在する細胞表面分子を元に、放射性核種療法における特定の新生物への標的化に使用可能な特定の生体分子を選択することができる。特定の細胞に対する特異性をもたらす生体分子の例は、参照により全体が本明細書に組み入れられる、Thomas, Cancer Biother. Radiopharm. 17: 71-82 (2002)の総説に記載されている。また、放射性核種療法に有用な投与法および組成物は、それぞれの全体が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第6,426,400号、第6,358,194号、第5,766,571号、および第5,563,250号に記載されている。
【0033】
本明細書で用いる「放射線療法」という表現は、癌の治療または改善に有効な、当業者に既知の任意の放射線療法を意味するがこれらに限定されない。例えば放射線療法は、外部照射放射線療法、温熱療法、放射線手術、荷電粒子放射線療法、中性子放射線療法、または光力学療法の場合がある。
【0034】
外部照射放射線療法は、癌の治療または改善に有効な、当業者に既知の任意のスケジュールまたは方法で実施できるがこれらに限定されない。一般に外部照射放射線療法は、被験対象の体内の一定体積に高エネルギービームを照射することで、対象体積内において細胞死を引き起こす段階を含む。照射体積は好ましくは、治療対象となる癌全体を含み、また好ましくは可能な限りわずかな健康組織を含む。外部照射放射線療法に有用な投与法ならびに装置および組成物は、それぞれの全体が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第6,449,336号、第6,398,710号、第6,393,096号、第6,335,961号、第6,307,914号、第6,256,591号、第6,245,005号、第6,038,283号、第6,001,054号、第5,802,136号、第5,596,619号、および第5,528,652号に記載されている。
【0035】
温熱療法は、癌の治療または改善に有効な、当業者に既知の任意のスケジュールまたは方法で実施できるがこれらに限定されない。ある態様では、温熱療法は凍結切除術の場合がある。他の態様では、温熱療法は温熱療法の場合がある。さらに他の態様では、温熱療法は、腫瘍の温度を、温熱療法の場合より高く上昇させる治療法の場合がある。
【0036】
凍結切除術は、新生物腫瘤を凍結させて、細胞内および細胞外における氷晶の蓄積;細胞膜、タンパク質、および細胞小器官の破壊;ならびに高浸透圧性の環境の誘導によって細胞死を引き起こす段階を含む。凍結切除術に有用な方法および装置は、それぞれの全体が参照により本明細書に組み入れられる、Murphy et al., Sem. Urol. Oncol. 19: 133-140 (2001)、ならびに米国特許第6,383,181号、第6,383,180号、第5,993,444号、第5,654,279号、第5,437,673号、および第5,147,355号に記載されている。
【0037】
温熱療法は典型的に、新生物腫瘤の温度を約42℃〜約44℃の範囲に上昇させる段階を含む。癌の温度は、この範囲以上にさらに上昇させることができるが、このような温度は、治療対象となる腫瘍内の細胞死の増加を引き起こさない一方で、周囲の健常組織の損傷度を高める恐れがある。腫瘍は、当業者に既知の任意の手段で温熱療法で加熱することができるが、これらに限定されない。例えば腫瘍は、マイクロ波、高強度集束超音波、強磁性熱源、局所電場、赤外線照射、ウェット型またはドライ型のラジオ波焼灼療法、レーザー光凝固術、レーザー組織内温度療法、および電気焼灼器によって加熱することができるが、これらの方法に限定されない。マイクロ波および電波は、導波管形アプリケータ、ホーン、スパイラル、カレントシート(current sheet)、およびコンパクトアプリケータによって発生させることができる。
【0038】
腫瘍の温度を上げるための他の方法、ならびに装置および組成物は、Wust et al., Lancet Oncol. 3: 487-97 (2002)の総説に記載されており、また米国特許第6,470,217号、第6,379,347号、第6,165,440号、第6,163,726号、第6,099,554号、第6,009,351号、第5,776,175号、第5,707,401号、第5,658,234号、第5,620,479号、第5,549,639号、ならびに第5,523,058号に記載され、これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0039】
放射線手術は、癌の治療または改善に有効な、当業者に既知の任意のスケジュールまたは方法で実施できるがこれらに限定されない。一般に放射線手術は、被験対象の体内の一定体積を、マニュアルで位置決めした放射線源に曝露させることで、対象体積内において細胞死を引き起こす段階を含む。照射体積は好ましくは、治療対象となる癌全体を含み、また好ましくは可能な限りわずかな健康組織を含む。典型的には、治療対象となる組織は最初に、従来の外科的手法で露出され、次に放射線源が対象体積に、外科医によってマニュアルで位置決めされる。あるいは放射線源は、例えば腹腔鏡を使用して照射対象組織の近傍に配置することができる。放射線手術に有用な方法および装置は、それぞれの全体が参照により本明細書に組み入れられる、Valentini et al., Eur. J. Surg. Oncol. 28: 180-185 (2002)、ならびに米国特許第6,421,416号、第6,248,056号、および第5,547,454号に詳しく記載されている。
【0040】
荷電粒子放射線療法は、癌の治療または改善に有効な、当業者に既知の任意のスケジュールまたは方法で実施できるがこれらに限定されない。ある態様では、荷電粒子放射線療法は陽子ビーム放射線療法の場合がある。他の態様では、荷電粒子放射線療法はヘリウムイオン放射線療法の場合がある。一般に荷電粒子放射線療法は、被験対象の体内の一定体積に荷電粒子ビームを照射することで、対象体積内において細胞死を引き起こす段階を含む。照射体積は好ましくは、治療対象となる癌全体を含み、また好ましくは可能な限りわずかな健康組織を含む。荷電粒子放射線療法の方法は、全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,668,371号に記載されている。
【0041】
中性子放射線療法は、癌の治療または改善に有効な、当業者に既知の任意のスケジュールまたは方法で実施できるがこれらに限定されない。ある態様では、中性子放射線療法は中性子捕捉療法の場合がある。このような態様では、中性子照射時に放射線を発し、また新生物腫瘤に選択的に蓄積する化合物が被験対象に投与される。次に、低エネルギーの中性子ビームを腫瘍に照射して化合物を活性化し、癌細胞を死滅させる崩壊生成物を放出させる。活性化される化合物の標的組織への選択的な蓄積は、上述した放射性核種の標的化に有用な任意の方法で、または、それぞれの全体が参照により本明細書に組み入れられる、Laramore, Semin. Oncol. 24: 672-685 (1997)、ならびに米国特許第6,400,796号、第5,877,165号、第5,872,107号、および第5,653,957号に記載された方法で引き起こすことができる。
【0042】
他の態様では、中性子放射線療法は高速中性子放射線療法の場合がある。一般に高速中性子放射線療法は、被験対象の体内の一定体積に中性子ビームを照射することで、対象体積内における細胞死を引き起こす段階を含む。
【0043】
光力学療法は、癌の治療または改善に有効な、当業者に既知の任意のスケジュールまたは方法で実施できるがこれらに限定されない。一般に光力学療法は、新生物腫瘤に選択的に蓄積して、新生物を光に対して感作させる光感受性物質を投与し、次に腫瘍を適切な波長の光に曝露する段階を含む。このような曝露によって光感受性物質は、例えば癌細胞を死滅させる、一重項酸素などの細胞毒性物質の産生を触媒する。光力学療法に有用な投与法ならびに装置および組成物は、それぞれの全体が参照により本明細書に組み入れられる、Hopper, Lances Oncol. 1: 212-219 (2000)、ならびに米国特許第6,283,957号、第6,071,908号、第6,011,563号、第5,855,595号、第5,716,595号、および第5,707,401号に記載されている。
【0044】
任意の特定の操作理論に束縛されることを意図しないが、活性ビタミンD化合物は、放射線療法に対する癌細胞の感受性を高めることが可能であり、また、このような感受性の亢進は、アポトーシスおよび/または細胞周期を調節する細胞機構の変化に起因すると考えられている。活性ビタミンD化合物の投与は、現行の放射線療法には反応しないであろう癌の治療または改善における放射線療法の応用性を高めるだけでなく、同応用性を拡大する可能性もある。さらに、細胞を治療に感受性とすることで、放射線療法に関連する副作用を抑える、低線量の放射線療法の実施が可能な場合がある。
【0045】
腫瘍細胞を破壊する放射線療法は、外科手術の前または後に、化学療法の前または後に、また時には化学療法中に実施することができる。放射線療法は、癌の症状を緩和するために、例えば疼痛を和らげるための待期的な理由でも実施されうる。放射線療法で治療可能な腫瘍のなかには、完全には切除不可能な局所的な腫瘍や転移巣、および完全な切除が、受け入れられない機能上もしくは美容上の損傷を引き起こすか、または受け入れられない外科的リスクに関連する腫瘍がある。
【0046】
肺癌の治療に使用される特定の放射線量、および投与法はいずれも、さまざまな因子に依存することを理解されたい。したがって、本発明の方法で使用可能な放射線量は、各状況の特定の要件によって決定される。線量は、腫瘍の大きさ、腫瘍の部位、患者の年齢および性別、照射頻度、他の腫瘍の存在、転移の有無などの因子に依存する。放射線療法の当業者であれば、Hall, E. J., Radiobiology for the Radiobiologist, 5th edition, Lippincott Williams & Wilkins Publishers, Philadelphia, PA, 2000; Gunderson, L. L. and Tepper J. E., eds., Clinical Radiation Oncology, Churchill Livingstone, London, England, 2000;およびGrosch, D. S., Biological Effects of Radiation, 2nd edition, Academic Press, San Francisco, CA, 1980を参照することで、任意の特定の腫瘍に対する線量および実施方法を容易に確認することができ、これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0047】
活性ビタミンD化合物は好ましくは、約1μg〜約285μg、より好ましくは約15μg〜約200μgの用量で投与される。特定の態様では、有効量の活性ビタミンD化合物は、3μg、4μg、5μg、10μg、15μg、20μg、25μg、30μg、35μg、40μg、45μg、50μg、55μg、60μg、65μg、70μg、75μg、80μg、85μg、90μg、95μg、100μg、105μg、110μg、115μg、120μg、125μg、130μg、135μg、140μg、145μg、150μg、155μg、160μg、165μg、170μg、175μg、180μg、185μg、190μg、195μg、200μg、205μg、210μg、215μg、220μg、225μg、230μg、235μg、240μg、245μg、250μg、255μg、260μg、265μg、270μg、275μg、280μg、もしくは285μg、またはこれ以上である。ある態様では、有効量の活性ビタミンD化合物は、約1μg〜約285μgであり、より好ましくは約15μg〜約260μgであり、より好ましくは約30μg〜約240μgであり、より好ましくは約50μg〜約220μgであり、より好ましくは約75μg〜約200μgであり、より好ましくは約105μg〜約180μgであり、またさらにより好ましくは約165μgである。ある態様では、本発明の方法は、活性ビタミンD化合物を、約0.12 μg/kg体重〜約3 μg/kg体重の用量で投与する段階を含む。このような化合物は、経口、筋肉内、静脈内、腸管外、直腸内、鼻内、局所的、または経皮的な経路を含む任意の経路で投与することができる。
【0048】
本発明の方法に従って、活性ビタミンD化合物が、高カルシウム血症を誘導することなく高用量の活性ビタミンD化合物を投与可能とするように、HDPAによって投与される。パルス投与とは、活性ビタミンD化合物を、連続的な間欠的投与スケジュールか、または非連続的な間欠的な投与スケジュールのいずれかによって間欠的に投与することである。上記セクションで説明したように、高用量の活性ビタミンD化合物は、約3μgを上回る用量を含む。したがって、肺癌を治療または改善する方法は、高用量の活性ビタミンD化合物を間欠的に投与する段階を含む。HDPAの頻度は、化合物または製剤の薬物動態学的パラメータ、および動物に対する活性ビタミンD化合物の薬力学的作用を含むがこれらに限定されない、いくつかの因子によって制限される場合がある。例えば、腎機能が損なわれている肺癌の動物は、カルシウム排出能力が低下しているために、活性ビタミンD化合物の低頻度の投与を必要とする場合がある。
【0049】
以下の記述は、例示的に述べるだけであって、単にHDPAという表現が、当業者によって設計された任意の非連続的な投与法を含む場合があることを説明するためのものである。
【0050】
1つの例では、活性ビタミンD化合物は、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、7日毎、8日毎、9日毎、10日毎に1回まで投与することができる。投与は、1週間、2週間、3週間、もしくは4週間、または1か月間、2か月間、もしくは3か月間、もしくはこれ以上の期間、継続することができる。任意選択で、安静期間を設けた後に、活性ビタミンD化合物を、同じか、または異なるスケジュールで投与することができる。安静期間は、動物における活性ビタミンD化合物の薬力学的作用に従って、1週間、2週間、3週間、または4週間、またはこれ以上の期間とすることができる。もう1つの例では、活性ビタミンD化合物は短期間の間毎日断続的に、例えば1日に1回3日間投与することができ、1週間に1回以下の頻度で繰り返される。
【0051】
別の例では、活性ビタミンD化合物を週に1回、3か月間にわたって投与することができる。
【0052】
好ましい態様では、活性ビタミンD化合物を3週に1回のサイクルで投与することができる。1週間の安静期間後に、活性ビタミンD化合物を、同じか、または異なるスケジュールで投与することができる。
【0053】
本発明の方法に使用可能な投与スケジュールの他の例は、全体が参照により組み入れられる米国特許第6,521,608号に記載されている。
【0054】
上記の投与スケジュールは、説明目的でのみ提供されるものであり、制限する意図はないと解釈されるべきである。当業者であれば、あらゆる活性ビタミンD化合物が本発明の範囲内にあること、また活性ビタミンD化合物の正確な用量および投与スケジュールが多くの因子によって変動する場合があることを容易に理解すると思われる。
【0055】
疾患または障害の急性疾患または慢性疾患としての管理における治療的有効量の薬物量は、治療対象の疾患または障害、薬剤の種類、および投与経路を含むがこれらに限定されない諸因子に依存して異なる場合がある。本発明の方法では、有効量の活性ビタミンD化合物は、肺癌の治療もしくは改善に有効な任意の用量の化合物である。高用量の活性ビタミンD化合物の用量は、約3μg〜約285μgである場合があるほか、上述した範囲内の任意の用量の場合がある。用量、投与頻度、期間、またはこれらの任意の組み合わせも、動物の年齢、体重、反応、および病歴、ならびに薬剤の投与経路、薬物動態、および薬力学的作用によって変化する場合がある。これらの因子は、当業者によってルーチンに考慮される。
【0056】
ビタミンD化合物の吸収およびクリアランスの速度は、当業者に既知のさまざまな因子の影響を受ける。上述したように、活性ビタミンD化合物の薬物動態学的特性は、高カルシウム血症の発症を誘導することなく、血液中に取り込まれうるビタミンD化合物のピーク濃度を制限する。活性ビタミンD化合物の組織における吸収、分布、結合、または局在の速度および規模、生物学的変換、ならびに排出はいずれも、薬剤を投与可能な頻度に影響する可能性がある。
【0057】
本発明のある態様では、活性ビタミンD化合物は、約0.1 nM〜約20 nMの活性ビタミンD化合物のピーク血漿濃度を十分達成する用量で投与される。ある態様では、本発明の方法は、活性ビタミンD化合物を0.1 nM、0.2 nM、0.3 nM、0.4 nM、0.5 nM、0.6 nM、0.7 nM、0.8 nM、0.9 nM、1 nM、2 nM、3 nM、4 nM、5 nM、6 nM、7 nM、8 nM、9 nM、10 nM、12 .5nM、15 nM、17.5 nM、20 nM、22.5 nM、もしくは25 nM、またはこれらの任意の範囲の濃度のピーク血漿濃度を達成する用量で投与する段階を含む。他の態様では、活性ビタミンD化合物は、約0.5 nMを超える、好ましくは約0.5 nM〜約25 nM、より好ましくは約5 nM〜約20 nM、およびさらにより好ましくは約10 nM〜約15 nMの活性ビタミンD化合物のピーク血漿濃度を達成する用量で投与される。
【0058】
別の好ましい態様では、活性ビタミンD化合物は、少なくとも約0.12μg/kg体重の用量で、より好ましくは少なくとも約0.5μg/kg体重の用量で投与される。
【0059】
当業者であれば、このような標準的な用量が、約70 kgの平均サイズの成体に対するものであること、また上述のようにルーチンに考慮される因子に鑑みて調節可能なことを理解すると思われる。
【0060】
ある態様では、本発明の方法は、ピーク血漿濃度に速やかに(例えば4時間以内に)達する用量の活性ビタミンD化合物を投与する段階をさらに含む。別の態様では、本発明の方法は、迅速に除去される用量(例えば、除去半減期が12時間未満)の活性ビタミンD化合物を投与する段階を含む。
【0061】
高濃度の活性ビタミンD化合物が得られることが有益な一方で、臨床上の安全性(例えば高カルシウム血症)とのバランスをとらなければならない。したがって、本発明の1つの局面では、本発明の方法は、活性ビタミンD化合物の、肺癌を有する被験対象へのHDPA、および高カルシウム血症関連症状に関して被験対象をモニタリングする段階を含む。このような症状には、軟部組織(例えば心臓組織)の石灰化、骨密度の上昇、および高カルシウム血漿性腎症などがある。さらに別の態様では、本発明の方法は、高用量の活性ビタミンD化合物を、癌を有する被験対象に間欠的に投与する段階、および血漿カルシウム濃度を約10.2 mg/dL未満に確実に抑えるために、被験対象の血漿カルシウム濃度をモニタリングする段階を含む。
【0062】
ある態様では、高血中レベルのビタミンD化合物を、血液へのカルシウム輸送を減じながら安全に得ることができる。ある態様では、低カルシウム食とともに投与した場合に、より高い活性ビタミンD化合物濃度を高カルシウム血症を発症させることなく安全に得ることができる。1つの例では、カルシウムは、小腸を介して血液中に輸送されない吸着剤、吸収剤、リガンド、キレート、または他の結合部分に捕捉される場合がある。別の例では、溶骨細胞の活性化の速度は、ビスホスホネート、例えばゾレドロン酸、パミドロン酸、またはアレンドロン酸、またはデキサメタゾンもしくはプレドニゾンなどのコルチコステロイドなどを活性ビタミンD化合物と併用投与することで抑えられる場合がある。
【0063】
ある態様では、高血中レベルの活性ビタミンD化合物は、カルシウムのクリアランス速度を最大化するとともに安全に得られる。1つの例では、カルシウムの排出は、適切な水分補給および塩分摂取を確実に行うことで高めることができる。別の例では、利尿療法でカルシウムの排出を高めることができる。
【0064】
活性ビタミンD化合物は、薬学的に許容可能な担体を含む薬学的組成物の一部として投与することができる(活性ビタミンD化合物は、意図した目的、すなわち抗増殖作用の発揮を達成するのに有効な量で存在する)。薬学的組成物は、1種類もしくは複数の賦形剤、希釈剤、または当業者に既知の、また本発明の製剤化方法に関する他の任意の成分をさらに含む場合がある。薬学的組成物は、癌療法で典型的にはアジュバントとして使用される他の化合物(例えば、制吐剤、ステロイド)を追加的に含む場合がある。
【0065】
本明細書で用いる「薬学的組成物」という用語は、組成物の個々の成分または内容物それ自身が薬学的に許容可能である、例えば経口投与を見越している場合は経口使用に許容可能であり、局所投与を見越している場合は局所的に許容可能であるような組成物を意味していると理解される。
【0066】
活性ビタミンD化合物は、薬学的に許容可能な担体を含む薬学的組成物の一部として投与することができる(活性ビタミンD化合物は、意図した目的、すなわち抗増殖作用の発揮を達成するのに有効な量で存在する)。薬学的組成物は、1種類もしくは複数の賦形剤、希釈剤、または当業者に既知の、また本発明の製剤化方法に関する他の任意の成分をさらに含む場合がある。薬学的組成物は、癌療法で典型的にはアジュバントとして使用される他の化合物(例えば、制吐剤、ステロイド)を追加的に含む場合がある。
【0067】
静脈内剤形には、ボーラス注射および点滴注射などがあるがこれらに限定されない。好ましい態様では、静脈内投与剤形は無菌的であるか、または被験対象への投与前に無菌的にすることができる(典型的には、汚染に対して被験対象が備える天然の防御を迂回するため)。静脈内投与剤形の例には、注射用水USP;塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロースおよび塩化ナトリウムの注射液、および乳酸加リンゲル注射液を含むがこれらに限定されない水性溶媒;エチルアルコール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールを含むがこれらに限定されない水混和性溶媒;ならびにコーンオイル、綿実油、ピーナッツオイル、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、および安息香酸ベンジルを含むがこれらに限定されない非水性溶媒などがあるがこれらに限定されない。
【0068】
本発明の好ましい態様では、活性ビタミンD化合物を含む薬学的組成物は、乳濁液の事前濃縮製剤である。本発明の組成物は、患者への投与時における、化合物の望ましくない薬物動態パラメータを特に含む、当技術分野で遭遇する活性ビタミンD化合物療法に付随する問題に対処するか、またはこの問題を実質的に減少させる。
【0069】
本発明の1つの局面により、(a)親油相成分、(b)1種または複数種の界面活性物質、(c)活性型ビタミンD化合物を含む薬学的組成物を提供する(組成物はエマルジョン前濃縮物であり、組成物に対する比が約1:1またはそれ以上の水で希釈時に、400 nmにおける吸光度が0.3を上回るエマルジョンを生成する)。本発明の薬学的組成物は、親水相成分をさらに含む場合がある。
【0070】
本発明の別の局面では、水(または他の水溶液)、およびエマルジョン前濃縮物を含む薬学的エマルジョン組成物を提供する。
【0071】
本明細書で用いる「エマルジョン前濃縮物」という用語は、例えば水と接触時にエマルジョンを提供可能な系を意味することを意図する。本明細書で用いる「エマルジョン」という用語は、水と、疎水性(親油性)有機成分を含む有機成分を含むコロイド分散体を意味することを意図する。「エマルジョン」という用語は、当業者によって理解される従来のエマルジョン、ならびに以下に定義する「サブミクロン液滴エマルジョン」の両方を含むことを意図する。
【0072】
本明細書で用いる「サブミクロン液滴エマルジョン」という用語は、水と、疎水性(親油性)有機成分を含む有機成分を含む分散体を意味することを意図する(有機成分から生成する液滴または粒子の平均最大径は約1000 nm未満である)。
【0073】
サブミクロン液滴エマルジョンは、以下の1種または複数種の特性を有するものとして同定可能である。これらは、その成分が接触する際に自然に、または実質的に自然に生成する、すなわち、実質的なエネルギー供給なしに、例えば加熱せずに、高剪断装置(high shear equipment)を使用せずに、または他の実質的な攪拌を行わずに、生成する。これらは熱力学的な安定性を示し、かつ単相性である。
【0074】
サブミクロン液滴エマルジョンの粒子は球状の場合があるが、層状、六方晶系、または等方対称の液晶などの他の構造もとりうる。一般に、サブミクロン液滴エマルジョンは、最大径(例えば平均径)が約50 nm〜約1000 nm、また好ましくは約200 nm〜約300 nmの液滴または粒子を含む。
【0075】
本発明の薬学的組成物は一般に、水で希釈されるとエマルジョンを生成する。このエマルジョンは、エマルジョン前濃縮物を、組成物に対する比が約1:1またはそれ以上の水で希釈時に、本発明にしたがって生成する。本発明にしたがって、水と組成物の比は例えば1:1〜5000:1の間とすることができる。例えば、水と組成物の比は約1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、10:1、200:1、300:1、500:1、1000:1、または5000:1とすることができる。当業者は、任意の状況または環境に適した、水と組成物の特定の比を容易に確認することができる。
【0076】
本発明によれば、エマルジョン前濃縮物を水で希釈時に、400 nmにおける吸光度が0.3を上回るエマルジョンを生成する。本発明のエマルジョン前濃縮物を1:100で希釈時に生成するエマルジョンの、400 nmにおける吸光度は例えば0.3〜4.0の間でありうる。例えば、400 nmにおける吸光度は、例えば約0.4、0.5、0.6、1.0、1.2、1.6、2.0、2.2、2.4、2.5、3.0、または4.0の場合がある。溶液の吸光度を決定する方法は当業者に周知である。当業者であれば、水で希釈時に、本発明の範囲に含まれる任意の特定の吸光度を有するエマルジョンを得るために、本発明のエマルジョン前濃縮物の内容物の相対的な割合を確認して調整することができる。
【0077】
本発明の薬学的組成物は、例えば半固体状製剤、または液体状製剤の場合がある。本発明の半固体状製剤は、例えばゲル、ペースト、クリーム、および軟膏を含む、当技術分野で周知の任意の半固体状製剤の場合がある。
【0078】
本発明の薬学的組成物は親油相成分を含む。親油相成分としての使用に適した成分は、水と非混和性の任意の薬学的に許容される溶媒を含む。このような溶媒は、適切には界面活性物質の機能を含まないか、または実質的に含まない。
【0079】
親油相成分は、モノグリセリド、ジグリセリド、またはトリグリセリドを含む場合がある。本発明の範囲内で使用可能なモノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリドは、C6、C8、C10、C12、C14、C16、C18、C20、およびC22の脂肪酸に由来する化合物を含む。例示的なジグリセリドは、特にジオレイン、ジパルミトレイン(dipalmitolein)、およびカプリリン-カプリン(caprylin-caprin)混合型ジグリセリドを含む。好ましいトリグリセリドは、植物油、魚油、動物性脂肪、水素添加植物油、部分的水素添加植物油、合成トリグリセリド、改変トリグリセリド、分画したトリグリセリド、中鎖および長鎖のトリグリセリド、構造トリグリセリド、およびこれらの混合物を含む。
【0080】
上述のトリグリセリドのなかで、好ましいトリグリセリドは以下を含む:アーモンド油;ババス油;ルリヂサ油;ブラックカラント種子油;キャノラ油;ヒマシ油;ココナッツ油;コーン油;綿実油;メマツヨイグサ油;グレープシード油;ラッカセイ油;カラシ種子油;オリーブ油;パーム油;パーム核油;ピーナッツ油;ナタネ油;ベニバナ油;ゴマ油;鮫肝油;ダイズ油;ヒマワリ油;水素添加ヒマシ油;水素添加ココナッツ油;水素添加パーム油;水素添加ダイズ油;水素添加植物油;水素添加綿実油およびヒマシ油;部分的水素添加ダイズ油;部分的ダイズ油および綿実油;トリカプロン酸グリセリル;トリカプリル酸グリセリル;トリカプリン酸グリセリル;トリウンデカン酸グリセリル;トリラウリン酸グリセリル;トリオレイン酸グリセリル;トリリノール酸グリセリル;トリリノレン酸グリセリル;トリカプリル酸/カプリン酸グリセリル;トリカプリル酸/カプリン酸/ラウリン酸グリセリル;トリカプリル酸/カプリン酸/リノール酸グリセリル;ならびにトリカプリル酸/カプリン酸/ステアリン酸グリセリル。
【0081】
好ましいトリグリセリドは、商品名LABRAFAC CCとして入手可能な中鎖トリグリセリドである。他の好ましいトリグリセリドは、中性油、例えば中性植物油、特に製品:MIGLYOL 810;MIGLYOL 812;MIGLYOL 818;およびCAPTEX 355を含む、商品名MIGLYOLとして既知の、かつ市販されているような、分画したココナッツ油を含む。
【0082】
製品MYRITOL 813を含む、商品名MYRITOLとして既知の、かつ市販のカプリル酸-カプリン酸トリグリセリドなども適している。このクラスのさらに適切な製品は、CAPMUL MCT、CAPTEX 200、CAPTEX 300、CAPTEX 800、NEOBEE M5、およびMAZOL 1400である。
【0083】
親油相成分として、特に製品MIGLYOL 812(米国特許第5,342,625号を参照)が好ましい。
【0084】
本発明の薬学的組成物は、親水相成分をさらに含む場合がある。親水相成分は、例えば薬学的に許容される、低分子量のモノ-もしくはポリ-オキシ-アルカンジオールの、C1-5アルキルもしくはテトラヒドロフルフリルジエーテル、または部分エーテルを含む場合がある。適切な親水相成分は、例えばモノ-もしくはポリ-オキシ-アルカンジオール、特にモノ-もしくはジ-オキシ-アルカンジオール(2〜12個(特に4個)の炭素原子を含む)の、ジエーテルまたは部分エーテル(特に部分エーテル)を含む。好ましくは、モノ-もしくはポリ-オキシ-アルカンジオール部分は直鎖状である。本発明に関連して使用される例示的な親水相成分は、TRANSCUTOLおよびCOLYCOFUROL(米国特許第5,342,625号を参照)の商品名で知られており、かつ市販されている。
【0085】
特に好ましい態様では、親水相成分は、1,2-プロピレングリコールを含む。
【0086】
本発明の親水相成分は、1種または複数種の追加内容物を追加的に含む場合も当然ある。しかし好ましくは、任意の追加内容物は、活性型ビタミンD化合物担体溶媒としての親水性相の効力が物質的に損なわれないように、活性型ビタミンD化合物が十分可溶性である材料を含む。可能な追加的な親水相成分の例には、低級(例えばC1-5)アルカノール(特にエタノール)などがある。
【0087】
本発明の薬学的組成物は、1種または複数種の界面活性物質も含む。本発明と併せて使用可能な界面活性物質は、親水性または親油性の界面活性物質、またはこれらの混合物を含む。特に、非イオン性の親水性界面活性物質、および非イオン性の親油性界面活性物質が好ましい。
【0088】
適切な親水性界面活性物質には、天然植物油または水素添加植物油とエチレングリコールとの反応産物(例えば、ポリオキシエチレングリコール化された天然植物油または水素添加植物油(例えばポリオキシエチレングリコール化された天然ヒマシ油または水素添加ヒマシ油)などがある。このような産物は、既知の手順で、例えば天然ヒマシ油または水素添加ヒマシ油、またはこの分画をエチレンオキシドと、例えば約1:35〜約1:60のモル比で反応させ、この産物から遊離のポリエチレングリコール成分を、例えばGerman Auslegeschriften 第1,182,388号および第1,518,819号に記載された方法で任意選択で除去することで、得られる場合がある。
【0089】
本発明の薬学的化合物に使用される適切な親水性界面活性物質は、例えば以下の製品を含む、既知の、かつ商品名TWEENで市販されているタイプのポリオキシエチレン-ソルビタン-脂肪酸エステル、例えばモノ-およびトリラウリルエステル、パルミチルエステル、ステアリルエステル、およびオレイルエステルも含む:
TWEEN 20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、
TWEEN 40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)、
TWEEN 60(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート)、
TWEEN 80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、
TWEEN 65(ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート)、
TWEEN 85(ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート)、
TWEEN 21(ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノラウレート)、
TWEEN 61(ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノステアレート)、および
TWEEN 81(ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレエート)。
【0090】
本発明の組成物に使用される、このクラスの特に好ましい産物は、上記の製品TWEEN 40およびTWEEN 80(Hauerら、米国特許第5,342,625号を参照)である。
【0091】
本発明の薬学的化合物に使用される親水性界面活性物質としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンステアリン酸エステル;ポリグリセロール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレングリセリド;ポリオキシエチレン植物油;ポリオキシエチレン水素添加植物油;ポリオールと、例えば脂肪酸、グリセリド、植物油、水素添加植物油、およびステロールとの反応混合物;ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー;ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;コハク酸ジオクチル、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ジ-[2-エチルヘキシル]-コハク酸、またはラウリル硫酸ナトリウム;リン脂質(特に、例えばダイズレシチンなどのレシチン);プロピレングリコールのモノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エステル(例えば、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジラウリン酸プロピレングリコール、ヒドロキシステアリン酸プロピレングリコール、イソステアリン酸プロピレングリコール、ラウリン酸プロピレングリコール、リシノレイン酸プロピレングリコール、ステアリン酸プロピレングリコール、および特に好ましくはカプリル酸-カプリン酸プロピレングリコールジエステル、ならびに胆汁酸塩(例えばタウロコール酸ナトリウムなどのアルカリ金属塩)も適している。
【0092】
適切な親油性界面活性物質には、アルコール;ポリオキシエチレンアルキルエーテル;脂肪酸;胆汁酸;グリセロール脂肪酸エステル;アセチル化グリセロール脂肪酸エステル;低級アルコール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル;ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレングリセリド;モノ/ジグリセリドの乳酸エステル;プロピレングリコールジグリセリド;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;トランスエステル化植物油;ステロール;糖エステル;糖エーテル;スクログリセリド;ポリオキシエチレン植物油;ポリオキシエチレン水素添加植物油;ポリオールと、脂肪酸、グリセリド、植物油、水素添加植物油、およびステロールからなる群の少なくとも1つの要素(member)との反応混合物;ならびにこれらの混合物などがある。
【0093】
本発明の薬学的化合物に使用される、適切な親油性界面活性物質は、天然の植物油トリグリセリドとポリアルキレンポリオールのトランスエステル化産物も含む。このようなトランスエステル化産物は当技術分野で周知であり、例えば米国特許第3,288,824号に記載された一般的な手順で得られる。これには、さまざまな天然(例えば非水素添加)の植物油(例えば、トウモロコシ油、核油、アーモンド油、すり潰したナッツ油、オリーブ油、およびパーム油、およびこれらの混合物)と、ポリエチレングリコール(特に、平均分子量が200〜800のポリエチレングリコール)のトランスエステル化産物が含まれる。2モルの天然の植物油トリグリセリドと、1モルのポリエチレングリコール(例えば平均分子量が200〜800)のトランスエステル化によって得られる産物が好ましい。特定のクラスのさまざまな状態のトランスエステル化産物は既知であり、商品名LABRAFILとして市販されている。
【0094】
本発明の薬学的組成物との併用に適した他の親油性界面活性物質には、脂溶性ビタミン誘導体、例えばコハク酸トコフェロールPEG-1000(「ビタミンE TPGS」)などがある。
【0095】
本発明の薬学的化合物中に使用する親油性界面活性物質として、モノグリセリド、ジグリセリド、およびモノ/ジグリセリド、特にカプリル酸またはカプリン酸とグリセロールのエステル化産物;ソルビタン脂肪酸エステル;ペンタエリトリトール脂肪酸エステル、およびポリアルキレングリコールエーテル、例えばペンタエリトリット-ジオレエート、-ジステアレート、-モノラウレート、-ポリグリコールエーテル、および-モノステアレート、ならびにペンタエリトリット脂肪酸エステル;モノグリセリド(例えば、モノオレイン酸グリセロール、モノパルミチン酸グリセロール、およびモノステアリン酸グリセロール;トリ酢酸グリセロール、または(1,2,3)-トリアセチン;ならびにステロールおよびそれらの誘導体(例えば、コレステロール、およびこの誘導体、特にフィトステロール(例えば、シトステロール、カンペステロール、またはスチグマステロール))、およびこのエチレンオキサイド付加物(例えばダイズステロール、およびこの誘導体)を含む産物も適している。
【0096】
複数の市販の界面活性物質組成物が、典型的には、例えばトランスエステル化反応におけるトリグリセリド出発材料の不完全な反応の結果として、少量〜中程度の量のトリグリセリドを含むことが当業者に理解される。したがって、本発明の薬学的組成物における使用に適した界面活性物質には、トリグリセリドを含むこのような界面活性物質などがある。トリグリセリドを含む市販の界面活性物質組成物の例には、界面活性物質ファミリーGELUCIRES、MAISINES、およびIMWITORSの一部の物質などがある。このような化合物の具体例は、GELUCIRE 44/14(飽和ポリグリコール化グリセリド);GELUCIRE 50/13(飽和ポリグリコール化グリセリド);GELUCIRE 53/10(飽和ポリグリコール化グリセリド);GELUCIRE 33/01(C8〜C18飽和脂肪酸の半合成トリグリセリド);GELUCIRE 39/01(半合成グリセリド);他のGELUCIRE(37/06、43/01、35/10、37/02、46/07、48/09、50/02、62/05など);MAISINE 35-I(リノール酸グリセリド);ならびにIMWITOR 742(カプリル酸/カプリン酸グリセリド)(米国特許第6,267,985号を参照)である。
【0097】
有意なトリグリセリド量を有する、さらに他の市販の界面活性物質組成物は当技術分野で周知である。トリグリセリドならびに界面活性物質を含む、このような組成物が、本発明の親油相成分の全体または一部、ならびに界面活性物質の全体または一部を提供するために適していることが理解されるはずである。
【0098】
本発明の組成物中の内容物の相対的な割合が、対象となる特定の種類の組成物に依存して相当変動することは言うまでもない。相対的な割合は、組成物中の内容物の特定の機能に依存しても変動する。相対的な割合はまた、使用される特定の内容物、および産物組成物の所望の物理的特性に依存しても変動する(例えば、局所使用に用いる組成物の場合であれば、これが流動性の液体か、またはペーストであるかによって変動する)。任意の特定の状況における実行可能な割合の決定は通常、当業者の能力の範囲内にある。したがって、後述する指定の割合および相対重量範囲はいずれも、好ましい発明の教示を示すか、または個別に発明の教示を示すに過ぎず、最も広い局面において本発明を制限しないと理解される。
【0099】
本発明の親油相成分は、適切には、組成物の総重量に対して約30重量%〜約90重量%の量で存在する。好ましくは、親油相成分は、適切には、組成物の総重量に対して約50重量%〜約85重量%の量で存在する。
【0100】
本発明の界面活性物質(1種類または複数)は、適切には、組成物の総重量に対して約1重量%〜50重量%の量で存在する。好ましくは、界面活性物質(1種類または複数)は、組成物の総重量に対して約5重量%〜約40重量%の量で存在する。
【0101】
本発明の組成物中の活性型ビタミンD化合物の量が、例えば意図された投与経路、および他の成分が存在する規模に依存して変動することは言うまでもない。しかし一般に、本発明の活性型ビタミンD化合物は、適切には、組成物の総重量に対して約0.005重量%〜20重量%の量で存在する。好ましくは、活性型ビタミンD化合物は、組成物の総重量に対して約0.01重量%〜15重量%の量で存在する。
【0102】
本発明の親水相成分は、適切には、組成物の総重量に対して約2重量%〜約20重量%の量で存在する。好ましくは、親水相成分は、組成物の総重量に対して約5重量%〜15重量%の量で存在する。
【0103】
本発明の薬学的組成物は半固体状製剤の場合がある。本発明の範囲に含まれる半固体状製剤は、例えば、組成物の総重量に対して約60重量%〜約80重量%の量で存在する親油相成分、組成物の総重量に対して約5重量%〜約35重量%の量で存在する界面活性物質、および組成物の総重量に対して約0.01重量%〜約15重量%の量で存在する活性型ビタミンD化合物を含む場合がある。
【0104】
本発明の薬学的組成物は液体状製剤の場合がある。本発明の範囲内の液体状製剤は例えば、組成物の総重量に対して約50重量%〜約60重量%の量で存在する親油相成分、組成物の総重量に対して約4重量%〜約25重量%の量で存在する界面活性物質、組成物の総重量に対して約0.01重量%〜約15重量%の量で存在する活性型ビタミンD化合物、ならびに組成物の総重量に対して約5重量%〜約10重量%の量で存在する親水相成分を含む場合がある。
【0105】
使用可能な他の組成物には、以下のようなものがある(各成分のパーセンテージは、活性ビタミンD化合物を除く組成物の総重量に基づく重量パーセント):
a. Gelucire 44/14 約50%
MIGLYOL 812 約50%;
b. Gelucire 44/14 約50%
ビタミンE TPGS 約10%
MIGLYOL 812 約40%;
c. Gelucire 44/14 約50%
ビタミンE TPGS 約20%
MIGLYOL 812 約30%;
d. Gelucire 44/14 約40%
ビタミンE TPGS 約30%
MIGLYOL 812 約30%;
e. Gelucire 44/14 約40%
ビタミンE TPGS 約20%
MIGLYOL 812 約40%;
f. Gelucire 44/14 約30%
ビタミンE TPGS 約30%
MIGLYOL 812 約40%;
g. Gelucire 44/14 約20%
ビタミンE TPGS 約30%
MIGLYOL 812 約50%;
h. ビタミンE TPGS 約50%
MIGLYOL 812 約50%;
i. Gelucire 44/14 約60%
ビタミンE TPGS 約25%
MIGLYOL 812 約15%;
j. Gelucire 50/13 約30%
ビタミンE TPGS 約5%
MIGLYOL 812 約65%;
k. Gelucire 50/13 約50%
MIGLYOL 812 約50%;
l. Gelucire 50/13 約50%
ビタミンE TPGS 約10%
MIGLYOL 812 約40%;
m. Gelucire 50/13 約50%
ビタミンE TPGS 約20%
MIGLYOL 812 約30%;
n. Gelucire 50/13 約40%
ビタミンE TPGS 約30%
MIGLYOL 812 約30%;
o. Gelucire 50/13 約40%
ビタミンE TPGS 約20%
MIGLYOL 812 約40%;
p. Gelucire 50/13 約30%
ビタミンE TPGS 約30%
MIGLYOL 812 約40%;
q. Gelucire 50/13 約20%
ビタミンE TPGS 約30%
MIGLYOL 812 約50%;
r. Gelucire 50/13 約60%
ビタミンE TPGS 約25%
MIGLYOL 812 約15%;
s. Gelucire 44/14 約50%
PEG 4000 約50%;
t. Gelucire 50/13 約50%
PEG 4000 約50%;
u. ビタミンE TPGS 約50%
PEG 4000 約40%;
v. Gelucire 44/14 約33.3%
ビタミンE TPGS 約33.3%
PEG 4000 約33.3%;
w. Gelucire 50/13 約33.3%
ビタミンE TPGS 約33.3%
PEG 4000 約33.3%;
x. Gelucire 44/14 約50%
ビタミンE TPGS 約50%;
y. Gelucire 50/13 約50%
ビタミンE TPGS 約50%;
z. ビタミンE TPGS 約5%
MIGLYOL 812 約95%;
aa. ビタミンE TPGS 約5%
MIGLYOL 812 約65%
PEG 4000 約30%;
ab. ビタミンE TPGS 約10%
MIGLYOL 812 約90%;
ac. ビタミンE TPGS 約5%
MIGLYOL 812 約85%
PEG 4000 約10%;および
ad. ビタミンE TPGS 約10%
MIGLYOL 812 約80%
PEG 4000 約10%。
【0106】
本発明のある態様では、薬学的組成物は、活性ビタミンD化合物、親油性成分、および界面活性物質を含む。親油性成分は、約1%〜約100%の任意のパーセンテージで存在する場合がある。親油性成分は、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%で存在する場合がある。界面活性物質は、約1%〜約100%の任意のパーセンテージで存在する場合がある。界面活性物質は、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%で存在する場合がある。ある態様では、親油性成分はMIGLYOL 812であり、また界面活性物質はビタミンE TPGSである。好ましい態様では、薬学的組成物は、50%のMIGLYOL 812と50%のビタミンE TPGS、90%のMIGLYOL 812、および10%のビタミンE TPGS、または95%のMIGLYOL 812および5%のビタミンE TPGSを含む。
【0107】
本発明の別の態様では、薬学的組成物は、活性ビタミンD化合物および親油性成分、例えば約100%のMIGLYOL 812を含む。
【0108】
好ましい態様では、薬学的組成物は、50%のMIGLYOL 812、50%のビタミンE TPGS、ならびに少量のBHAおよびBHTを含む。この剤形は、化学的かつ物理的に意外なほど安定なことがわかっている(実施例3参照)。安定性が高くなることで、組成物の有効期間はより長くなる。重要な点として、安定性は、組成物の室温保存も可能とすることで、冷蔵保存時の煩雑さの回避および費用の節約につながる。加えて同組成物は経口投与に適しており、また高用量の活性ビタミンD化合物を可溶化可能なために、過増殖疾患および他の障害の治療のための、活性ビタミンD化合物の高用量パルス投与が可能なことがわかっている。
【0109】
本発明の活性ビタミンD化合物を含む薬学的組成物は、1種または複数種の添加物をさらに含む場合がある。当技術分野で周知の添加物は、例えば減粘剤(detackifier)、消泡剤(antifoaming agent)、緩衝剤、抗酸化剤(例えばアスコルビン酸パルミテート、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、およびトコフェロール(例えばα-トコフェロール(ビタミンE))、保存剤、キレート剤、粘性調整剤(viscomodulator)、等張剤(tonicifier)、香味剤(flavorant)、着色剤、着臭剤、乳白剤、懸濁剤、結合剤、充填剤、可塑剤、潤滑剤、およびこれらの混合物を含む。これら添加物の量は、当業者であれば、所望の特定の特性にしたがって容易に決定することができる。例えば、抗酸化剤は組成物の総重量に基づいて約0.05重量%〜約0.35重量%の量で存在してもよい。
【0110】
添加物には濃化剤(thickening agent)を含めることもできる。適切な濃化剤は、例えば薬学的に許容されるポリマー材料、および無機濃化剤を含む、当技術分野で公知であり、かつ使用されている化合物の場合がある。本発明の薬学的組成物に使用される例示的な濃化剤には、ポリアクリレート、およびポリアクリレートコポリマー樹脂(例えばポリアクリル酸、およびポリアクリル酸/メタクリル酸樹脂);アルキルセルロース(例えばメチルセルロース、エチルセルロース、およびプロピルセルロース)を含むセルロースおよびセルロース誘導体;ヒドロキシアルキルセルロース(例えばヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのヒドロキシプロピルアルキルセルロース);アシル化セルロース(例えば酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、およびフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース);ならびにカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの、これらの塩;ポリビニルピロリドン(例えばポリ-N-ビニルピロリドンを含む)、およびビニルピロリドンコポリマー(ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマーなど);例えば、ポリビニル樹脂(例えばポリ酢酸ビニルおよびアルコールを含む)、ならびに他のポリマー材料(トラガカントガム、アラビアゴム、アルギン酸塩(例えばアルギン酸、および例えばアルギン酸ナトリウムなどの、この塩)を含む);ならびにアタパルジャイト(atapulgite)、ベントナイト(bentonite)、およびケイ酸塩(親水性二酸化ケイ素産物、例えばアルキル化(例えばメチル化)シリカゲル、特にコロイド状二酸化ケイ素産物を含む)などの無機濃化剤が含まれる。
【0111】
上記のような濃化剤は、例えば徐放性効果をもたらすことを目的として含めることができる。しかし、経口投与が意図される場合は、上述の濃化剤の使用は通常必要とされず、一般にはそれほど好まれない。濃化剤の使用は一方で、例えば局所塗布が推定される場合に指示される。
【0112】
本発明による組成物は、任意の適切な手段での投与に使用することができる。例えば、例として単位投与剤形(例えば溶液中、ゼラチンに包まれた状態を含む硬カプセルもしくは軟カプセル状)での経口投与、非経口投与、または例としてクリーム、ペースト、ローション、ゲル、軟膏、湿布剤、パップ剤、膏薬、経皮パッチの形態による皮膚などへの局所投与に使用してもよい。または眼科的使用の場合は、例えば点眼剤(液体、ローション、またはゲル)の状態で行う。容易に流動可能な形状(例えば溶液およびエマルジョン)を、例えば病巣内への注入に使用することもできるほか、例えば浣腸として直腸から投与することができる。
【0113】
本発明の組成物を単位投与剤形に製剤化する場合は、活性型ビタミンD化合物の量は、好ましくは単位用量あたり1〜200μgとする。より好ましくは、単位用量あたりの活性型ビタミンD化合物の量は約1μg、2μg、3μg、4μg、5μg、6μg、7μg、8μg、9μg、10μg、15μg、20μg、25μg、30μg、35μg、40μg、45μg、50μg、55μg、60μg、65μg、70μg、75μg、80μg、85μg、90μg、95μg、100μg、105μg、110μg、115μg、120μg、125μg、130μg、135μg、140μg、145μg、150μg、155μg、160μg、165μg、170μg、175μg、180μg、185μg、190μg、195μg、または200μg、またはこれらの中間の任意の量である。好ましい態様では、単位剤形当たりの活性ビタミンD化合物の量は、約5μg〜約180μg、より好ましくは約10μg〜約135μg、より好ましくは約45μgである。ある態様では、単位剤形は45μg、90μg、135μg、または180μgのカルシトリオールを含む。
【0114】
組成物の単位剤形がカプセルの場合、カプセル中に存在する内容物の総量は、好ましくは約10〜1000μLである。より好ましくは、カプセル中に存在する内容物の総量は約100〜300μLである。別の態様では、カプセル中に存在する内容物の総量は、好ましくは約10〜1500 mgであり、好ましくは約100〜1000 mgである。ある態様では、総量は約225 mg、約450 mg、約675 mg、または約900 mgである。ある態様では、単位剤形は45μg、90μg、135μg、または180μgのカルシトリオールを含むカプセルである。
【0115】
本明細書に記載された他の治療薬の投与量および投与頻度は、「治療的に有効である」という用語に含まれる。このような薬剤の投与量および頻度は、さらに典型的には、個々の患者に特異的な諸因子によって、投与対象の治療薬、肺癌の重症度および型、投与経路、ならびに患者の年齢、体重、反応、および病歴に応じて変動する。当業者であれば、このような因子を考慮することで、ならびに例えば文献記載の投与量およびPhysician's Desk Reference (第56版、2002)で推奨された投与量に従うことで、適切な方法を選択することができる。
【0116】
肺癌が切除可能な動物の場合、活性ビタミンD化合物を外科手術前および/または外科手術後に投与することができる。同様に、化学療法剤および放射線治療薬または放射線療法を、外科手術前および/または外科手術後に投与/実施することができる。
【0117】
化学療法剤または放射線治療薬もしくは放射線療法の投与/実施前、投与/実施中、投与/実施後における活性ビタミンD化合物による治療には、本発明では任意の期間を設定できる。活性ビタミンD化合物による治療の正確な期間は、使用される活性ビタミンD化合物、肺癌の型、対象患者、および他の関連因子に応じて変動する。活性ビタミンD化合物は、化学療法剤または放射線治療薬もしくは放射線療法の投与/実施前または投与/実施後に、短期的には12時間、および長期的には3か月間にわたって投与することができる。活性ビタミンD化合物は、化学療法剤または放射線治療薬もしくは放射線療法の投与/実施の少なくとも1日前または1日後に、また化学療法剤、または放射線治療用の薬剤もしくは治療の投与/実施の前後に3か月間にわたって投与することができる。ある態様では、本発明の方法は、活性ビタミンD化合物を、化学療法剤または放射線治療薬もしくは放射線療法の投与/実施前または投与/実施後に、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、または10日に1回、3日〜60日間にわたって投与する段階を含む。
【0118】
活性ビタミンD化合物の投与は、化学療法剤または放射線治療薬もしくは放射線療法の投与/実施と同時に継続することができる。加えて、活性ビタミンD化合物の投与は、化学療法剤または放射線治療薬もしくは放射線療法の投与/実施後も継続することができる。
【0119】
本発明のある態様では、活性ビタミンD化合物を単独で投与する方法、または化学療法剤または放射線治療薬もしくは放射線療法と併用して投与する方法を少なくとも1回繰返すことができる。この方法は、治療効果を達成または維持するために、必要に応じて数回、例えば1回〜約10回繰返すことができる。方法の各反復の際、活性ビタミンD化合物および化学療法剤または放射線治療薬もしくは放射線療法は、前回の反復で使用されたものと同一であるかまたは異なっていてもよい。さらに、活性ビタミンD化合物の投与期間および投与様式は、反復毎に変動することもできる。
【0120】
本発明による治療対象となる可能性のある動物には、本発明の化合物の投与によって利益を得る可能性のある、あらゆる動物が含まれる。このような動物は、ヒト、ペット(イヌやネコなど)、ならびに家畜(ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギなど)が含まれる。
【0121】
実施例1
半固体状カルシトリオール製剤
表1に記載された内容物を含む5種類の半固体状カルシトリオール製剤(SS1〜SS5)を調製した。最終製剤は、半固体状製剤1 gあたり0.208 mgのカルシトリオールを含む。
【0122】
(表1)半固体状カルシトリオール製剤の組成

量はグラムで示す。
【0123】
1.溶媒の調製
表1に記載された、100グラムの5種類の半固体状カルシトリオール製剤(SS1〜SS5)量を以下の手順で調製した。
【0124】
記載された内容物(カルシトリオールを除く)を、適切なガラス容器内で混合し、均一になるまで混ぜた。ビタミンE TPGSおよびGELUCIRE 44/14を60℃で加熱してホモジナイズした後に、秤量して製剤に添加した。
【0125】
2.活性製剤の調製
半固体状溶媒を60℃以下で加熱してホモジナイズした。弱い光の下で、12±1 mgのカルシトリオールの重量を、スクリューキャップ付きの別のガラスボトル内で、各製剤について1本のボトルに入れて測定した(カルシトリオールは光感受性なので、カルシトリオール/カルシトリオール製剤を扱う際は、弱い光/赤色光を使用すべきである。正確な重量を0.1 mg単位まで測定した。カルシトリオールがボトル内に収まったら、直ちにボトルのキャップを締めた。次に、0.208 mg/gの濃度にするために必要な各溶媒の量を以下の公式から算出した:
Cw/0.208=溶媒の必要重量
上式で、Cw=カルシトリオールの重量(mg)、ならびに
0.1208=カルシトリオールの最終濃度(mg/g)。
【0126】
最後に適量の各溶媒を、カルシトリオールを含む各ボトルに添加した。この製剤を、カルシトリオールを溶解させるために混合しながら加熱した(≦60℃)。
【0127】
実施例2
進行肺癌患者に対するカルシトリオールおよびドセタキセルの用量範囲の決定試験
白金製剤ベースの治療時または治療後において進行している、進行性NSCLC(IIIB期またはIV期)を有する患者は、カルシトリオールとドセタキセルの併用によって治療される。これらの薬剤は3週間のサイクルで繰り返し投与される。各サイクルの1日目に患者は、45μg、75μg、または105μgの用量のカルシトリオールを上述の半固体#3製剤として経口投与される。各サイクルの2日目に患者は、ドセタキセルを75 mg/m2の用量で1時間以上かけて静脈内投与される。体液貯留の発生および重症度を抑えるために、また過敏反応の重症度を抑えるために、患者はドセタキセル投与の1日前から、デキサメタゾンの経口投与(8 mg BID、3日間)を事前に受ける。サイクルは、患者の生存期間に応じて、2年間にわたって継続される。患者は、有害作用を確認することによって、安全性に関するモニタリングを受ける。患者は、腫瘍反応、疾患の進行、反応期間、および全生存期間の測定によって、有効性に関するモニタリングを受ける。
【0128】
実施例3
安定な単位剤形
カルシトリオールの剤形を調製して得られた組成物を表2に示す。ビタミンE TPGSを約50℃に加熱し、MIGLYOL 812と適切な比で混合した。BHAおよびBHTを各剤形に添加し、最終調製物中における割合をそれぞれ0.35%(w/w)とした。
【0129】
(表2)カルシトリオールの剤形

【0130】
製剤の調製後に、製剤2〜4を約50℃に加熱し、カルシトリオールと混合して、0.1μgカルシトリオール/mg全製剤を得た。次に、カルシトリオールを含む製剤を25 mL容のメスフラスコに添加し(約250μL)、脱イオン水を25 mLの目盛りまで加えた。次に同溶液をボルテックスミキサーで攪拌し、混合直後と、混合後の最長10分間まで、400 nmにおける各剤形の吸光度(初期)を測定した。表3に示すように、全3種類の剤形について、水の混合時に乳白色の溶液が得られた。剤形4については、10分後の時点において400 nmにおける吸光度に観察可能な変化が見られず、安定な懸濁物を生成したように見受けられた。
【0131】
(表3)水に懸濁した製剤の吸光度

【0132】
カルシトリオールの製剤をさらに評価するために、溶解性試験を実施して、各製剤に溶解するカルシトリオールの量を評価した。0.1〜0.6μgカルシトリオール/mg製剤のカルシトリオール濃度を、製剤を50℃に加熱後に適切な重量のカルシトリオールを添加することで調製した。次に同製剤を室温まで冷却し、不溶性のカルシトリオールの存在を光学顕微鏡で確認した(必要に応じて偏光を使用)。各製剤について、カルシトリオールは、検討した最高濃度(0.6μgカルシトリオール/mg製剤)において可溶性であった。
【0133】
進行中の第2相ヒト臨床試験では、45μgのカルシトリオール用量が使用されている。この投与量のカプセルを作製するために、0.2μgカルシトリオール/mg製剤と、各0.35%(w/w)のBHAおよびBHTの各製剤を調製した。バルクの製剤混合物をサイズ3の硬ゼラチンカプセルに225 mgの重量(カルシトリオールとして45μg)となるように充填した。次に同カプセルの5℃、25℃/60%相対湿度(RH)、30℃/65% RH、および40℃/75% RHにおける安定性を解析した。適切な時点で、安定性試料を対象に、完全なカルシトリオールの含量およびカプセルの溶解を解析した。カプセルのカルシトリオール含量を、3個の開いたカプセルを5 mLのメタノールに溶解し、解析まで5℃で維持することで決定した。次に、溶解した試料を逆相HPLCで解析した。Phemonex Hypersil BDS C18カラム(30℃)を、アセトニトリル勾配(55%アセトニトリル〜95%アセトニトリル;溶媒は水)で使用した(溶出時の流速は1.0 mL/分)。ピークが265 nmで検出され、25μLの試料を各実験用に注入した。試料のピーク面積を標準と比較することで、カルシトリオール量を算出した(表4)。1個のカプセルを、0.5%ドデシル硫酸ナトリウムを含む50 mLの脱イオン水を入れた6つの低容量溶解試験用容器のそれぞれに収容して溶解試験を行った。試料を75 rpmで37℃で混合した30分後、60分後、および90分後に採取した。100μLの試料を、30℃で1 mL/分で操作したBetasil C18カラム(移動相は50:40:10のアセトニトリル:水:テトラヒドロフラン)に注入することで、試料のカルシトリオール含量を決定した(ピーク検出波長265 nm)。6個のカプセルを対象とした90分の溶解試験の結果の平均値を得た(表5)。
【0134】
(表4)硬ゼラチンカプセル中におけるカルシトリオール製剤の化学的安定性(1カプセル当たりの総重量225 mg、カルシトリオールは45μg)

a.アッセイ法の結果は、1カプセル当たり45μgの含量に基づく期待値に対するカルシトリオールの割合(%)を示す。値は、カルシトリオールの活性異性体であるプレカルシトリオールを含む。
【0135】
(表5)硬ゼラチンカプセル中におけるカルシトリオール製剤の物理的安定性(1カプセル当たりの総重量225 mg、カルシトリオールは45μg)

a.記載の手順でカプセルの溶解を行い、カルシトリオールの割合(%)を、1カプセル当たり45μgのカルシトリオールの標準量および予想含量を元に算出する。活性異性体であるプレカルシトリオールは、溶解したカルシトリオールの割合(%)の計算に含まれない。報告値は90分時点の試料についての値。
【0136】
化学的安定性試験の結果から、表5に示すように、MIGLYOL 812含量の減少と、これに伴うビタミンE TPGS含量の増加が、完全なカルシトリオールの回収率の促進につながることがわかった。剤形4(50:50 MIGLYOL 812/ビタミンE TPGS)が、化学的に最も安定な剤形であり、25℃/60% RHで3か月後の時点における完全なカルシトリオールの回収率は、わずかに低下しただけであり、室温での保存が可能となる。
【0137】
剤形の物理的安定性は、各安定性条件での保存後におけるカプセルの溶解性によって評価した。化学的安定性に関しては、MIGLYOL 812含量の減少とビタミンE TPGS含量の増加は、製剤の溶解性を改善した(表6)。剤形4(50:50 MIGLYOL 812/ビタミンE TPGS)が、室温保存で適切な安定性を示し、最良の溶解性を示した。
【0138】
本発明について十分説明したが、本発明が、広範囲かつ等価な条件、製剤、および他のパラメータの範囲で、本発明の範囲または本発明の任意の態様に影響することなく実施可能なことが当業者には理解される。本明細書に引用された、すべての特許、特許出願、および刊行物は、全体が参照として本明細書に完全に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種類もしくは複数の化学療法剤または放射線治療薬/放射線療法と併用して、治療的有効量の活性ビタミンD化合物を高用量パルス投与によって動物に投与する段階を含む、動物の肺癌を治療または改善する方法。
【請求項2】
肺癌が、非小細胞肺癌、扁平上皮癌、類表皮癌、腺癌、気管支肺胞細胞癌、小細胞肺癌、燕麦細胞癌、大細胞癌、巨細胞癌、明細胞癌、腺扁平上皮癌、カルチノイド腫瘍、気管支腺癌、軟部組織腫瘍、および中皮腫からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
肺癌が非小細胞肺癌である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
1種類もしくは複数の化学療法剤が、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、エトポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビノレルビン、トポテカン、ゲムシタビン、イリノテカン、ゲフィチニブ、イホスファミド、タルセバ(tarceva)、オブリメルセン(oblimersen)、TLK286、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
1種類もしくは複数の化学療法剤がドセタキセルである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
ドセタキセルが75 mg/m2体表面積の用量で投与される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
1種類もしくは複数の放射線治療薬/放射線療法が、外部照射放射線療法、近接照射療法、温熱療法、放射線手術、荷電粒子放射線療法、中性子放射線療法、光力学療法、放射性核種療法、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項8】
1種類もしくは複数の化学療法剤、および1種類もしくは複数の放射線治療薬/放射線療法の両方が投与/実施される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
活性ビタミンD化合物が、1種類もしくは複数の化学療法剤または放射線治療薬/放射線療法の投与/実施の少なくとも12時間前に投与される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
活性ビタミンD化合物が、1種類もしくは複数の化学療法剤または放射線治療薬/放射線療法の投与/実施前の1日〜約3か月間にわたって投与される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
活性ビタミンD化合物が、1種類もしくは複数の化学療法剤または放射線治療薬/放射線療法の投与/実施と同時に投与される、請求項1記載の方法。
【請求項12】
活性ビタミンD化合物の投与が、1種類もしくは複数の化学療法剤または放射線治療薬/放射線療法の投与/実施以降も継続される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
活性ビタミンD化合物が、1種類もしくは複数の化学療法剤または放射線治療薬/放射線療法の投与/実施後に投与される、請求項1記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1回繰返す、請求項1記載の方法。
【請求項15】
活性ビタミンD化合物が各反復で同一であるかまたは異なっていてもよく、1種類もしくは複数の化学療法剤または放射線治療薬/放射線療法が各反復で同一であるかまたは異なっていてもよい、請求項14記載の方法。
【請求項16】
活性ビタミンD化合物の投与期間が各反復で同一であるかまたは異なっていてもよい、請求項14記載の方法。
【請求項17】
活性ビタミンD化合物がカルシトリオールである、請求項1記載の方法。
【請求項18】
活性ビタミンD化合物が低い高カルシウム血作用を有する、請求項1記載の方法。
【請求項19】
活性ビタミンD化合物が、EB 1089、Ro23-7553、およびRo24-5531からなる群より選択される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
活性ビタミンD化合物が、3日に1回以下の頻度で投与される、請求項1記載の方法。
【請求項21】
活性ビタミンD化合物が、週に1回以下の頻度で投与される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
活性ビタミンD化合物が、3週間に1回以下の頻度で投与される、請求項21記載の方法。
【請求項23】
活性ビタミンD化合物が、約15μg〜約285μgの用量で投与される、請求項1記載の方法。
【請求項24】
活性ビタミンD化合物が、約50μg〜約220μgの用量で投与される、請求項23記載の方法。
【請求項25】
活性ビタミンD化合物が、約165μgの用量で投与される、請求項24記載の方法。
【請求項26】
活性ビタミンD化合物がカルシトリオールであり、1種類または複数の化学療法剤がドセタキセルである、請求項1記載の方法。
【請求項27】
カルシトリオールが45μgの用量で投与され、ドセタキセルが75 mg/m2体表面積の用量で投与される、請求項26記載の方法。
【請求項28】
カルシトリオールが75μgの用量で投与され、ドセタキセルが75 mg/m2体表面積の用量で投与される、請求項26記載の方法。
【請求項29】
カルシトリオールが105μgの用量で投与され、ドセタキセルが75 mg/m2体表面積の用量で投与される、請求項26記載の方法。
【請求項30】
カルシトリオールが3週間に1回投与され、ドセタキセルがカルシトリオールの各投与後の1日後に投与される、請求項27〜29のいずれか一項記載の方法。
【請求項31】
活性ビタミンD化合物が、経口的に、静脈内に、非経口的に、直腸内に、局所的に、鼻内に、または経皮的に投与される、請求項1記載の方法。
【請求項32】
活性ビタミンD化合物が経口投与または静脈内投与される、請求項31記載の方法。
【請求項33】
動物の血中カルシウムレベルを低下させる段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項34】
低下させる段階が、低カルシウム食を摂取させる段階、小腸を介して血液中に輸送されない吸着剤、吸収剤、リガンド、キレート、または他のカルシウム結合成分でカルシウムを捕捉する段階、ビスホスホネートもしくはコルチコステロイドを投与する段階、水分および塩分の摂取を増加させる段階、または利尿療法を含む、請求項33記載の方法。
【請求項35】
投与が、肺癌を切除する外科手術の前に行われる、請求項1記載の方法。
【請求項36】
投与が、肺癌を切除する外科手術の後に行われる、請求項1記載の方法。
【請求項37】
活性ビタミンD化合物が、約10μg〜約75μgのカルシトリオール、約50%のMIGLYOL 812、および約50%のトコフェロールPEG-1000コハク酸塩(ビタミン E TPGS)を含む単位剤形として投与される、請求項1記載の方法。
【請求項38】
単位剤形が約45μgのカルシトリオールを含む、請求項37記載の方法。
【請求項39】
単位剤形が、抗酸化剤、緩衝剤、消泡剤、デタッキファー(detackifer)、保存剤、キレート剤、粘性調節剤、等張剤(tonicifier)、香味剤(flavorant)、着色剤、着臭剤、乳白剤、懸濁剤、結合剤、充填剤、可塑剤、濃化剤、潤滑剤、およびこれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種類の添加剤をさらに含む、請求項37記載の方法。
【請求項40】
添加剤の1つが抗酸化剤である、請求項39記載の方法。
【請求項41】
抗酸化剤が、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)およびブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)からなる群より選択される、請求項40記載の方法。
【請求項42】
単位剤形がBHAおよびBHTを含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
単位剤形がカプセルである、請求項37記載の方法。
【請求項44】
カプセルがゼラチンカプセルである、請求項43記載の方法。
【請求項45】
カプセル中の内容物の総容量が10〜1000 μlである、請求項43記載の方法。
【請求項46】
単位剤形が、約45 μgのカルシトリオール、約50%のMIGLYOL 812、約50%のビタミン E TPGS、BHA、およびBHTを含む、請求項37記載の方法。

【公表番号】特表2007−502867(P2007−502867A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533671(P2006−533671)
【出願日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/018427
【国際公開番号】WO2005/016872
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(505458234)ノバセア インコーポレイティッド (7)
【Fターム(参考)】