説明

付勢用シール部材を有するカプセル

飲料材料を収容するためのカプセル(1)は、加圧下で水をカプセル(1)内に流入させてカプセル(1)内で材料(3)と相互作用させるために飲料製造装置(2)内に挿入されるように構成されており、ベース本体(4)と、カプセル(1)のベース本体(4)の側壁(7)から延びるフランジ状リム(6)に対して取り付けられることによりベース本体(4)を閉じるホイル部材(5)とを備えている。したがって、カプセル(1)は弾性的に撓むことができるシール部材(8)を備えており、シール部材(8)は、カプセル(1)が飲料製造装置(2)内に位置するときに飲料製造装置(2)のシール面(15)に対して付勢されて接するようになっている。カプセル(1)のシール部材(8)とシール面(15)とのシール係合は加圧されたときに自己補強される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、概略的に言えば、飲料材料を収容するためのカプセル、そのようなカプセルと共に使用できる飲料製造システム、及び、このようなカプセルを使用する飲料製造方法に関する。
【0002】
本発明の背景は、飲料又は他の食料品(例えばスープ)材料を収容するようになっているカプセルの分野である。これらの材料と液体との相互作用により、例えばスープを製造することができる。相互作用は、例えば、抽出、浸出、溶出などのプロセスであってもよい。そのようなカプセルは、熱水を加圧下でカプセル内に流入させてカプセルからコーヒー飲料を排出させることによりコーヒー飲料を製造するため、挽いたコーヒーを収容するのに特に適している。
【0003】
物質を収容するカプセルから流体食料品を得るためのシステム及び方法は、例えば欧州特許出願公開第512470号明細書(米国特許第5,402,707号明細書に対応)から既知である。
【0004】
図1に示されるカプセル101は円錐台形状のカップ102を有しており、このカップ102は、例えば炒って挽いたコーヒー103で満たされていてもよく、また、カップ102の側壁から側方に延びるフランジ状のリムに対して溶着され及び/又は圧着されたホイル状の引き裂き面カバー104によって閉じられている。カプセルホルダ111は、リリーフ面要素部材113と環状面取りリム114とを有するフローグリル112を備えている。
【0005】
カプセルホルダ111はその支持体115内に収容されており、支持体115は、側壁124と、抽出されたコーヒー飲料の通路のための孔127とを有している。
【0006】
図1から分かるように、抽出システムは、水注入チャンネル120を有する水注入器107と、その内側凹部の形状がカプセルの外形に略一致する環状要素108とを更に備えている。ベル部材108は、その外側部分に、抽出完了ときにカプセルを解放するためのリング123を保持するスプリング122を備えている。
【0007】
動作時、カプセル101がカプセルホルダ111内に配置される。水注入器107がカプセル102の上面を穿孔する。カプセルの下側引き裂き面104がカプセルホルダ111の径方向に配置された部材113上に載る。
【0008】
水注入器107のチャンネル120を通じて水が注入され、コーヒーのベッド103に水が接触する。カプセル101内の圧力が増大し、引き裂き面104が径方向の開いているリリーフ部材113の形状に次第に追随する。引き裂き面の構成材料がその破壊応力に達すると、引き裂き面がリリーフ部材に沿って裂ける。抽出されたコーヒーがフローグリル112のオリフィスを通じて流れて孔127の真下の容器(図示せず)内に回収される。
【0009】
この抽出プロセスの原理は、それが本発明と関連して維持できる限り、以下のように要約できる。
− シールされたカプセルがカプセルホルダ手段内に挿入される;
− その後、環状要素(図4の108)がカプセルを取り囲むようにカプセルホルダ手段が機械の水注入手段に関連付けられる;
− カプセルの第1の壁に少なくとも1つの開口が形成される;
− 第1の壁の開口を通じてカプセル内に流入する水がカプセル内の材料と相互作用し、このようにして形成された飲料は、その後、第2の壁に形成された少なくとも1つの第2の開口から排出される。
【0010】
カプセル内の材料は、水の流路の「隘路」を構成し、したがってカプセルを通じた液体流れの上流側と下流側との間に圧力降下を引き起こす。この圧力降下は、例えば材料の膨張に起因して液体と材料との間の相互作用中に増大することさえある。それに対応して、水の流れが実際にカプセルの内部を通じてのみ生起される(矢印A1)ようにするとともに、水が水注入器から環状囲繞部材108とカプセル101の外面との間の隙間へ流れることができないようにし、その後、装置の排出孔127へと流れるようにしなければならない。矢印A2は、この望ましくない外側の水流経路を示している。すなわち、カプセル101の外側の任意の水流は、環状部材108とカプセル101との間の隙間に位置し且つ水注入器と飲料排出孔との間の流路内に位置するシール係合によって食い止められ(或いは、少なくともかなりの程度まで妨げられ)なければならない。図1に示される従来技術の実施形態において、そのようなシール係合は、環状部材108とカプセル101の側壁のフランジ状リムとカプセルホルダとの間の締め付け係合によって達成できる。
【0011】
シール係合が適切に機能しておらず且つ水がカプセルの外側を流れている場合には、引き裂き面の引き裂けを引き起こすことができる十分な圧力がカプセルの内側で形成されない、或いは、非常に低い圧力により引き裂き面の一部が引き裂かれない。したがって、物質の抽出が僅かしか引き起こされず、その結果、質の低い飲料が供給されてしまう。そのような状況において、水は、十分な圧力状態下でカプセル内に収容された材料と相互作用せず或いは十分に相互作用することなく飲料製造装置から排出される。
【0012】
従来技術においては、環状部材の内壁をゴム弾性材料で覆うことによりこのシール係合が更に改善される改良が知られている。すなわち、上記従来技術によれば、シール係合は、飲料製造装置に固定され或いは取り付けられた構造体によって確保される。これは、かなりの数のカプセルの使用後に、固定されたシール手段の摩損が起こる可能性があり、それにより、水がもはや適切に機能しないシールを流れることで、製造される飲料の品質が益々悪化されるという欠点を有している。
【0013】
カプセルの外面での任意の「漏れ」は、カプセル内で形成される圧力を低下させる。一方、十分な抽出圧力がエスプレッソコーヒーの品質にとって重要なファクタであることは周知である。
【0014】
これに対応して、本発明は、そのような飲料製造システムの液体注入口と飲料排出側との間に位置するシール係合を改良することを目的とする。
【0015】
したがって、本発明の中心思想は、シール係合の所定の協働部材を飲料製造装置からカプセルへ移すことである。利点は、シールの適切な機能を確保でき且つシール部材において衛生上の問題が生じ得ないように、所定の協働部材がその後に1回だけ(すなわち、対応するカプセルと共にだけ)使用されるという点である。
【0016】
したがって、本発明は、特に例えば欧州特許出願公開第512470号明細書に示されるようなシール手段が一体的に設けられた従来技術の飲料製造装置も本発明に係るカプセルと共に使用できるようにカプセルを改良することを目的としていることに留意されたい。
【0017】
この目的は独立請求項の特徴によって達成される。従属請求項は、本発明の中心思想を更に発展させている。
【0018】
本発明の第1の態様によれば、飲料材料を収容するためのカプセルは、加圧下で液体をカプセル内に流入させてカプセル内で材料と相互作用させるために飲料製造装置内に挿入できるように構成されている。したがって、カプセルの外面は、弾性的に撓むことができるシール部材を形成している。
【0019】
カプセルが飲料製造装置内に位置するとき及び/又は水がカプセルの内部を横切るように水圧が飲料製造装置内で形成されるときに、飲料製造装置の少なくとも1つのシール面に対して付勢されて接するように、シール部材を幾何学的に配置することができる。付勢効果は、閉塞時又は水圧の作用下でのみ或いは閉塞時及び水圧下の両方で生じ得る。
【0020】
一例において、シール部材は、飲料製造装置の囲繞部材のシール面に対して付勢されて接するように構成されている。したがって、カプセルと囲繞部材との間で水密性が確保される。それにより、カプセルの外面に沿って水が排出されないとともに、カプセル内で適切な圧力レベルを形成することができる。そのような形態においては、シール部材が飲料製造装置の一部である必要はない。
【0021】
可能な形態において、シール部材は、カプセルホルダのシール面に対して付勢されて接するように構成されている。シール部材は、囲繞部材及びカプセルホルダの両方に対して付勢されて接することができる。その場合、シール部材が飲料製造装置の一部である必要はない。
【0022】
他の実施形態においては、シール部材をカプセルホルダに対してのみ付勢されて接することができる。その場合には、カプセル内で適切に流体圧力を形成するために飲料製造装置のシール部材、例えば静的な或いは動的なシール部材が必要である。この形態の更なる利点は、基本的に、カプセルの除去を容易にし且つカプセルがカプセルホルダ内で真空により維持されることを回避するという点である。
【0023】
弾性的に撓むことができるシール部材は、カプセルのフランジ状リムの一部であってもよい。フランジ状リムは、カプセルが飲料装置内の所定の位置に保持されるときにクランプ力を支持するクランプ部を備えることができる。その結果、シール部材は、加圧下で自由に撓むことができるとともに、効果的なシールを行なうことができる。例えば、シール部材は、カプセルのリムから延びる自由リップであってもよい。
【0024】
撓むことができるシール部材は、リップの形状、例えばリング状リップを形成することができる。
【0025】
カプセルはカップ状ベース本体を備えることができ、弾性的に撓むことができるシール部材はカプセルのベース本体の側壁に設けられる。
【0026】
シール部材は可撓性材料から形成することができる。
【0027】
カプセル及びシール部材はプラスチックから形成することができる。
【0028】
シール部材は、飲料を製造するためのカプセルの作動中に水圧が加えられると、飲料製造装置のシール面と共に自己補強構成を成すように形成することができる。
【0029】
本発明の他の態様は、カプセルと飲料製造装置とを備える飲料製造システムに関する。飲料製造装置は、カプセルが飲料製造装置内に位置するとき及び/又は水がカプセルの内側のみを横切るように水圧が飲料製造装置内に導入されるときにカプセルのシール部材が付勢されて接する少なくとも1つのシール面を有している。
【0030】
飲料製造装置は囲繞部材を形成することができ、この囲繞部材は、カプセルが囲繞部材内に位置するとき及び/又は加圧されたときにカプセルのシール部材とシール係合するシール面を有し、シール部材とシール面との間に形成されるシール係合は加圧されたときに自己補強する。
【0031】
本発明の更なる態様は、飲料を製造するための方法に関する。方法は、
− 材料を収容するカプセルを設けるステップと、
− 飲料製造装置内にカプセルを位置させるステップと、
− カプセルの第1の壁部材に少なくとも1つの第1の開口を形成するステップと、
− カプセルの上記少なくとも第1の開口でカプセル内に液体を流入させるステップと、
− 第2の壁部材に少なくとも1つの第2の開口を形成するとともに、カプセルの上記少なくとも第2の開口から飲料を排出するステップと、
− 飲料製造装置の少なくとも1つのシール面とカプセルの外面のシール部材とのシール係合により少なくとも第1及び少なくとも第2の開口を分離し、シール部材が飲料製造装置のシール面に対して付勢されて接するステップと、
を備えることができる。
【0032】
本発明の更に他の態様は、飲料を製造するための方法に関する。方法は、
− 材料を収容するカプセルを設けるステップと、
− 飲料製造装置内にカプセルを位置させるステップと、
− カプセルの第1の壁部材に少なくとも1つの第1の開口を形成するステップと、
− カプセルの上記少なくとも第1の開口でカプセル内に液体を流入させるステップと、
− 第2の壁部材に少なくとも1つの第2の開口を形成するとともに、カプセルの上記少なくとも第2の開口から飲料を排出するステップと、
− 飲料製造装置の少なくとも1つのシール面とカプセルの外面のシール部材とのシール係合により少なくとも第1及び少なくとも第2の開口を分離し、シール係合が水圧下で加圧されると自己補強するステップと、
を備えることができる。
【0033】
本発明の更なる利点、特徴、目的は、添付図面の図と併せて解釈する本発明の実施形態の以下の詳細な説明を読むと当業者にとって明らかとなる。
【0034】
ここで、図2を参照して第1の詳細な実施形態について説明する。
【0035】
なお、以下では、カプセルの特定の構成、すなわち、カプセルがカップ状のベース本体と閉塞ホイル部材とを備える構成を参照して本発明を説明する。しかしながら、例えば2つの実質的に一致するホイルが例えばリング形状縁部でシールされるレンズ形状を有するカプセルなど、他の構成のカプセルも実行可能であることは言うまでもない。概略的に言えば、本発明に係るカプセルは、縁部で互いに接続されてシールされたフランジ状リム領域を形成する少なくとも2つの壁部材を備えている。
【0036】
従来技術と比べて、この実施形態も、カプセル1のカップ状ベース本体4を閉塞するホイル部材5を引き裂いて穿孔するように構成されるリリーフ要素12を有するカプセルホルダ13を示している。ホイル部材5のこの引き裂けは、例えばカプセル1内の圧力が閾値を越えると直ぐに生じ得る。なお、リリーフ要素12は、ホイル部材の(部分的な)引き裂けを引き起こすことができる任意の突出形状を有することができる。単なる一例として、ピラミッド、針、隆起、円筒、細長いリブが挙げられる。
【0037】
カプセル1内には材料3が収容されている。この場合、材料3は、カプセル1の上壁17の領域でカプセル内に液体が入ってその液体がそのような材料3と相互作用するときに飲料を生成できるように選択される。好ましい材料は、例えば、挽いたコーヒー、茶、又は、飲料又は他の液体又は様々な食料品(例えばスープ)を製造できる任意の他の材料である。
【0038】
図2は、ユーザがそのようなカプセル1をカプセルホルダ13上に配置した状態を示している。ここで、ホイル部材5がカプセルホルダ13のリリーフ要素12側に載っており、カプセル1のカップ状ベース本体4の一部が飲料製造装置2の囲繞部材9の周壁25によって既に取り囲まれている。図示の囲繞部材9はベルの形状を成している。他の形状も実行可能である。その場合、囲繞部材9の凹部の形状は、カプセル1の外形にほぼ適合される。
【0039】
なお、図示のホイル部材5は、カプセル1の内側の所定の過度な圧力に起因して正確に平らではなく、また、この過度な圧力は、例えば充填カプセルを製造する際に保護ガスを導入することにより生成される。
【0040】
囲繞(ベル)部材9は、その機能について後で説明する環状支持スカート18と、ベル部材9を飲料製造装置内に取り付けるための雄ネジ19と、ベル部材9に対して取り外し可能に装着(螺合)される水注入器14に対して例えば熱水などの液体を加圧下で供給するための水注入開口20とを更に備えている。
【0041】
なお、ネジ19は、接続手段の単なる一例であり、取り外し可能な接続手段又は取り外し不能な接続手段であってもよい。
【0042】
飲料製造装置の他の構成要素、例えばベル部材9及び最終的にはカプセルホルダ13をも移動させるための機構は、カプセルベースのエスプレッソ機の分野における従来技術から知られている。
【0043】
水注入器14は、例えば手動操作機構又は自動機構によりカプセルホルダ13及びベル部材9が接近して一緒に移動されるときにカプセル1の上壁17に開口を形成するようになっている穿孔要素(ブレード、ピンなど)24を備えている。穿孔要素の実際の平断面よりも大きい開口断面を形成するためにチャンネル又は開口(図示せず)が穿孔要素24を横切っており、それにより、穿孔要素24がカプセル1の内部に突出すると直ぐにカプセル1の内部に水を供給できるようになっている。なお、カプセル1は水注入口用の予め形成された穴を有することができ、また、水注入手段はカプセル1の予め形成された穴に嵌合するチューブ又は出口であってもよい。そのような場合、開口は、穿孔を形成しないがバルブなどの開口手段を使用することにより形成される。
【0044】
図示の実施形態に係るカプセル1は、上記上壁17と、側壁7と、フランジ状リム6とを備えており、カプセル1のカップ状ベース本体4を密閉閉塞するためにホイル部材5が上記フランジ状リム6に対してシールされている。先と同様に、カプセル1をシールでき且つカプセル1が前述した材料を収容できる限り、カプセル1のための他の形状も可能である。
【0045】
本発明において、カプセル1の外面は専用のシール部材8を形成する。シール部材8は、使用される材料及び/又はシール部材8の幾何学的形状に起因して弾性を有することができる。
【0046】
また、シール部材8は、カプセル1と一体であってもよく或いは別個の部品であってもよい。後者の場合、シール部材8は、ベース本体4に対して取り外し可能に装着することができ、或いは、例えば溶着又は接着剤によりベース本体4に対して固定することができる。
【0047】
シール部材8がカプセル1に対して取り付けられる別個の部品である場合には、シール部材8を1つの一体部品としてカプセルに対して取り付けることができる。或いは、シール部材8は、流体又は粘り気のある形態で塗布することができ、その後、カプセル1の外面に塗布されると直ぐに硬化することができ(例えば重合することができ)る。これは例えばシリコンを塗布するケースである。
【0048】
シール部材8のために弾性材料が使用される場合には、ゴム弾性材料が使用されることが好ましい。
【0049】
シール部材8の材料がカプセル1のために使用される材料(例えば、アルミニウムやプラスチックなどの金属)と同じである場合には、シール部材8の弾力的な性質がシール部材8の幾何学的形状によって得られることが好ましい。
【0050】
図2に係る実施形態において、シール部材8は、リップ形状の形態に起因して弾性的に撓むことができる。シール部材8は、カプセル1と同じ材料、好ましくはプラスチックにより形成される。シール部材8は、カプセル1のベース本体4と一体の部品であってもよい。
【0051】
フレキシブルリップ8はフランジ状リム6の外縁部から延びている。シール部材8は、フランジ状リム6のクランプ部29を引き延ばしているが、加圧下で自由に撓むことができるようにクランプされるようになっていない。フランジ状リム6のクランプ部29は、飲料製造装置の適合面により少なくとも部分的にクランプされる環状面を形成するように構成されている。その結果、シール部材8は、リリーフ要素12上へのホイル部材5の引き裂けの結果としてリム6にかかる可能性がある力又は応力から解放される。
【0052】
なお、そのような撓むことができるシール部材8は、水注入器14とホイル部材5の穿孔との間でシール部材8及び囲繞部材9の外側シール係合のために位置が合わされる限り、カプセル1上の任意の位置に配置することができる。また、シール部材8は、水注入器14がカプセル1の内部に突出する位置にあるときに水注入器14を取り囲むカプセル1の上壁17の領域に設けることもできる。また、シール部材8は、カプセル1の様々な部分(上端、側壁、フランジ状リム)を覆うように配置することもできる。
【0053】
図3に詳しく示されるように、この実施形態に係るベル部材9は任意の専用の弾性シール部材を備えていない。しかしながら、場合によって、飲料製造装置2の囲繞部材9が弾性シール部材を備えることもできる。
【0054】
ベル部材9の異なって傾けられたシール面15は、カプセル1の弾性的に撓むことができるシール部材8と協働するように形成されている。シール面15の傾きは、シール部材8を構成する自由に曲がるフレキシブルリップの傾きと反対である。
【0055】
カプセル1のシール部材8の形状及び材料に応じて、ベル部材9の協働する面は、カプセル1のシール部材8とのシール係合のために適合される任意の形状、位置、方向を有することができる。
【0056】
図4に示されるように、カプセル1の周囲で装置を閉じる際、ベル部材9及びカプセルホルダ13は共にフランジ状リムのクランプ部29に沿ってカプセルをクランプする。このため、ベル部材9は、カプセル1のクランプ部29をカプセルホルダ13の受け部面31上にしっかりと締め付ける或いはクランプする1つ以上の環状隆起部を含むことができる。クランプ部29は、面31の刻み目と相補的な刻み目を更に形成することができる。したがって、シール部材8を取り囲むベル部材9及びカプセルホルダ13の閉塞組み立ての結果として環状チャンバ32が形成される。その結果、カプセル1が所定の位置にしっかりと保持され、また、チャンバ32内で傾斜面15に向かって自由に撓むことができる自由リップで張力が解放され、それにより、完全な水密シールを得ることができる。
【0057】
図4は、ベル部材9及びカプセルホルダ13が閉塞圧力係合されるとともに、カプセル1の内部に水が入りこの内部の圧力が増大することによりカプセルホルダ13のピラミッド型のリリーフ要素12が既にカプセル1のホイル部材5に開口を形成した状態を示している。カプセル1の挿入時、十分な圧力がカプセル内に形成されると、水注入器14のブレード要素24がカプセル1の上壁17に穿孔16を形成する。カプセル内に収容された材料から製造される飲料は、リリーフ部材12と周囲のホイル部材5との間の小さな隙間に排出させることができる。
【0058】
図4に示される状態で、カプセル1の弾性的に撓むことができるシール部材8、すなわち、フレキシブルリップは、囲繞部材9の対応する傾斜したシール面15に対して付勢されて接する。フレキシブルリップはカプセル1のベース本体4の側壁7の縁部であり、この縁部は、静止状態において、約90度よりも大きい角度A、好ましくは95〜175度の角度Aで(リム6又はシール面Pの平坦なクランプ部29に対して)曲げられている。シール面15は、カプセル1に向かって内側方向に測定した際にシール面又は閉塞面Pに対して90度以下の勾配Bの角度を形成することが好ましい。勾配Bの角度は、85℃から50℃までが好ましい。したがって、初期の付勢力は、水がカプセル内に注入される前にシール部材8を飲料製造装置のシール面15に対して押し付ける力である。この付勢力は、通常、囲繞部材9とカプセルホルダ13上に載っているカプセル1との間の相対移動中にシール部材8を僅かに撓ませることにより形成される。シール配置を完了するためにシール部材8がホルダ13の上方に立ち上がる縁部28に対して付勢されて接してもよいことに注目することができる。この趣旨で、縁部28は図3に示されるように傾斜した終端面を備えることができ、この終端面上に対してシール部材8が更に付勢されて接することができる。
【0059】
このとき、環状支持スカート18がカプセル1のフランジ状リム6の端部を覆い、一方、クランプ部29が装置の表面30,31間でクランプされる。それにより、ベル部材9のシール面15がシール部材8に所定の圧力を及ぼすときに、シール部材8が自由に撓むことができるようにするとともにカプセル1を所定の位置に保持させる。
【0060】
実際には、リップ形状のシール部材8は、飲料製造装置のシール面15との水圧係合時に自己補強するシール配置を与える構成の一例を表わしている。好ましくは、自己補強効果は、シール係合を弱めるためではなくシール係合を強めるために水圧を使用することにより達成される。一般に、水圧は、初期の付勢力よりも高い力でカプセル1のシール部材8が対応するシール面15に対して押圧されるように、カプセル1のシール部材8に作用する。
【0061】
水注入器14から入ってくる水は、カプセル1の外面と囲繞部材9との間の隙間に圧入して最終的にリップ形状のシール部材8に到達する。リップ形状のシール部材8は、それが環状部材のシール面15に対して付勢されて接するときに少なくとも部分的に水流を妨げる。この初期の水流妨げ効果はシール部材8の上流側で圧力の上昇をもたらす。この圧力上昇によりシール部材8が更に強くシール面15に対して押し付けられ、それにより、シール係合部での水圧が高くなればなるほど強くなるシール係合が引き起こされる。
【0062】
なお、水が注入される前において、シール係合は、接触している限り、好ましくは、囲繞部材9のシール面15に対するシール部材8の何らかの付勢により、圧力がシール部材8にかけられ水流を止める適切なシール係合を形成する限り、既に完全に機能している必要はない。したがって、自己補強手法は、動的に進展するシール係合をもたらすことができる。
【0063】
ある程度までは、水注入の初めに何らかの外的な水流が生じることも許容でき、この初期の水流は、その後、シール係合の力関係によって自動的に停止される。これは、初期のシール効果が水注入の経過に伴って弱くなる傾向がある周知のシール技術とは大きく異なっている。
【0064】
シール面15が完全にきれいでなくても或いは滑らかでなくても、シール係合の力関係により依然として適切なシールをもたらすことができる。
【0065】
本技術分野における既知のシール係合とは対照的に、水圧は、シール効果のために働き、シール効果に逆らわない。
【0066】
なお、図示の実施形態において、シール部材8と協働するシール面15との間の初期の接触領域は円形のラインの形態を成している。加圧時、この接触領域は、実際には、シール部材8の変形により次第に大きくなってリング形状面の形を成す。他の構成は、既に、初期にリング状の接触領域を与えることができる。一方、本実施形態では、最初に(すなわち、加圧していない状態で)、基本的にリップの外縁だけが、協働するシール面15と接触する。シール部材8の大部分又は全体が協働するシール面15と接触する他の構成も考え得る。
【0067】
或いは、飲料製造装置の囲繞部材9の協働する面は、平面ではないが、例えばシール部材8が最初に付勢されて接する突出リングである。そのようなシナリオにおいて、初期の接触領域はライン形状であってもよい。
【0068】
いずれにしても、水圧による加圧時、カプセル1のフレキシブルシール部材8は、その形状が飲料製造装置の協働面に更に近い形状になる。
【0069】
カプセル1が図4に示される位置となり、その後、飲料製造プロセスが終了すると、ホルダ13が開放され、カプセル1がカプセルホルダ13又はベル部材9から取り除かれる。
【0070】
図5の実施形態では、カプセルホルダ13の周囲に溝22が設けられている。すなわち、上方に立ち上がる縁部28の状態で溝22が均一にカットされている。この溝22は、カプセル1を取り除くことができる前にカプセルホルダ13の表面上に留まる或いは貯まった液体を排出する或いはカプセル1から滴下させる働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】欧州特許出願公開第512470号明細書から知られる抽出カプセルを示している。
【図2】カプセルがカプセルホルダ上に配置されるが飲料製造装置におけるその閉塞位置に未だ達していない本発明の一実施形態を示している。
【図3】図2の拡大図を示している。
【図4】カプセルがベル部材とカプセルホルダとの間でその閉塞位置に達した状態における実施形態を示している。
【図5】カプセルが未だその閉塞位置に達していない位置における実施形態に係るカプセルホルダ、ベル部材、カプセルの斜視図を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料材料を収容するためのカプセル(1)であって、加圧下で液体を当該カプセル(1)内に流入させて当該カプセル(1)内で飲料材料(3)と相互作用させるために飲料製造装置(2)内に挿入できるように構成されたカプセル(1)において、
弾性的に撓むことができるシール部材(8)が外面に形成されていることを特徴とするカプセル。
【請求項2】
当該カプセル(1)が前記飲料製造装置(2)内に位置するときに前記飲料製造装置(2)の少なくとも1つのシール面(15)に対して付勢されて接するように、前記シール部材(8)が幾何学的に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のカプセル。
【請求項3】
前記シール部材(8)が、前記飲料製造装置(2)の囲繞部材(9)のシール面(15)に対して付勢されて接するように構成されている、請求項2に記載のカプセル。
【請求項4】
前記シール部材が当該カプセルのフランジ状リム(6)の一部であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項5】
前記弾性的に撓むことができるシール部材(8)が、当該カプセル(1)の前記リムから延びる自由リップであることを特徴とする、請求項4に記載のカプセル。
【請求項6】
当該カプセルが前記飲料装置内の所定の位置に保持されるときにクランプ力を支持するクランプ部(29)を前記フランジ状リムが備えることを特徴とする、請求項4又は5に記載のカプセル。
【請求項7】
カップ状ベース本体(4)を備えており、
前記弾性的に撓むことができるシール部材(8)が前記ベース本体(4)の側壁に設けられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項8】
前記シール部材(8)が可撓性材料から形成されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項9】
当該カプセル(1)及び前記シール部材(8)がプラスチックから形成されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項10】
前記シール部材(8)が、前記シール面(15)に対して加圧されるとき自己補強シール構成を成すように形成されていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のカプセル(1)と飲料製造装置(2)とを備える飲料製造システムであって、
当該カプセル(1)が前記飲料製造装置(2)内に位置するとき及び/又は水が前記カプセルの内側のみを横切るように水圧が前記飲料製造装置内に導入されるときに当該カプセル(1)の前記シール部材(8)が付勢されて接する少なくとも1つのシール面(15)を、前記飲料製造装置(2)が有している飲料製造システム。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のカプセル(1)と飲料製造装置(2)とを備える飲料製造システムであって、
前記飲料製造装置(2)が囲繞部材(9)を有し、
前記囲繞部材(9)が、当該カプセル(1)が囲繞部材(9)内に位置するときに当該カプセル(1)のシール部材(8)とシール係合するシール面(15)を有し、
前記シール係合が加圧されたときに自己補強する、飲料製造システム。
【請求項13】
飲料を製造するための方法であって、
材料を収容するカプセル(1)を設けるステップと、
飲料製造装置(2)内に当該カプセル(1)を位置させるステップと、
前記飲料製造装置(2)の少なくとも1つのシール面と当該カプセル(1)の外面のシール部材(8)とのシール係合により2つの開口を分離し、前記シール部材(8)が前記飲料製造装置(2)の前記シール面に対して付勢されて接するステップと、
当該カプセル(1)の第1の壁部材(4)に少なくとも1つの第1の開口を形成するステップと、
ベース本体(4)の少なくとも前記第1の開口で当該カプセル(1)内に液体を流入させるステップと、
第2の壁部材に少なくとも1つの第2の開口を形成するとともに、当該カプセル(1)の前記第2の開口から飲料を排出するステップと、
を備える、方法。
【請求項14】
飲料を製造するための方法であって、
材料を収容するカプセル(1)を設けるステップと、
飲料製造装置(2)内に当該カプセル(1)を位置させるステップと、
前記カプセルの第1の壁部材に少なくとも1つの第1の開口を形成するステップと、
ベース本体(4)の前記第1の開口で当該カプセル(1)内に液体を流入させるステップと、
第2の壁部材に少なくとも1つの第2の開口を形成するとともに、当該カプセル(1)の前記第2の開口から飲料を排出するステップと、
前記飲料製造装置(2)の少なくとも1つのシール面と当該カプセル(1)の外面のシール部材(8)とのシール係合により少なくとも前記第1及び第2の開口を分離し、シール部材(8)が加圧されたときに自己補強するステップと、
を備える、方法。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の方法にしたがって製造される飲料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−517839(P2008−517839A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537221(P2007−537221)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011307
【国際公開番号】WO2006/045537
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】