説明

付属品支持装置を固定するための構成

第1方向に沿って伸びる少なくとも1つの縁(62)によって範囲を限定された開口(61)が形成された構造パネル(6)と、構造パネルの面に対向して伸びる遮断シート(4)と、組み込まれた位置において外面が構造パネルに対向して支持される側板(21)から形成され、構造パネルの開口の縁に跨って構造パネルに対して付属品支持装置を定位置に維持することを助長する固定用の湾曲部品(23)を有する、組み込まれた位置において構造パネルの開口の中に部分的に入り込む付属品支持装置(2)とからなる構成において、湾曲部品は、付属品支持装置を構造パネルへ配置する際に、遮断シート(4)を切断して、湾曲部品の構造パネルの開口の中への通過を可能にする切断工具(24)を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付属品支持装置を自動車の構造パネルへ固定するための構成に関する。
特に本発明は、第1方向に沿って伸びる少なくとも1つの縁によって範囲を限定された開口が形成された構造パネルと、上記構造パネルの面に対向し、特に上記開口に相対して伸びる遮断シートと、組み込まれた位置において、上記構造パネルの上記開口の中に部分的に入り込む付属品支持装置であって、上記付属品支持装置は、一方では側板から形成され、上記側板の外面は、上記付属品支持装置が組み込まれた位置において、上記構造パネルに対向して支持されるようになり、他方では上記外面側に固定用の湾曲部品を有し、上記湾曲部品は、上記構造パネルの上記開口の上記縁に跨って、上記構造パネルに対して上記付属品支持装置を定位置に維持することを助長する、付属品支持装置とを含んでなる、付属品支持装置を自動車の構造パネルへ固定するための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、良好な防音を実現するために、車両の車体の側面に、車両の内側へ向けて遮断シートが接着される。従って、上記のような付属品支持装置を配置するためには、これらの防音部品である遮断シートに穴を開ける必要がある。この穴あけは、通常、車両の組み立ての際に、付属品支持装置とは別個の錐を用いて、作業者によって実行される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
取り付け工程における上記の追加作業は、時間と追加の工具を必要とし、従って望ましくないコストを発生させるという主な問題をもたらす。
本発明は、上記問題を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記問題を解消するために、本発明は、本明細書の「技術分野」に記載した構成において、固定用の上記湾曲部品は切断工具を有し、上記切断工具は、上記付属品支持装置を上記構造パネルへ配置する際に、上記遮断シートを切断して、上記湾曲部品の上記構造パネルの上記開口の中への通過を可能にすることを特徴とする、付属品支持装置を自動車の構造パネルへ固定するための構成を提供する。
【0005】
本発明の様々な特徴によれば:
−上記付属品支持装置の上記側板は、転回案内面を有し、上記転回案内面は、上記第1方向に概ね平行に伸び、上記構造パネルの内面に支持されて、上記付属品支持装置全体の、上記構造パネルへ向けた、上記第1方向に平行な軸の周りの転回と、特に上記湾曲部品の、上記遮断シートを貫通し、上記構造パネルの上記開口を貫通する、上記第1方向に平行な軸の周りの転回を引き起こし、
−上記転回案内面は、傾斜した面であり、
−上記転回案内面は、丸みをつけた面であり、
−上記切断工具は、上記湾曲部品の先端において「V」字状の角を有する少なくとも1つのリブから形成され、
−上記構造パネルに第2の開口が形成され、上記付属品支持装置は、上記外面側に、第2の固定手段を有し、上記第2の固定手段は、弾性的な嵌め込みによって、上記構造パネルの上記第2の開口に結合され、
−上記第2の固定手段は、上記側板と反対側の先端に少なくとも1つの切断工具を有し、
−上記側板の内面は、上記付属品支持装置が組み込まれた位置にあるときに付属品を受けるのに適し、上記付属品支持装置を上記構造パネルに対して位置決めする際に、上記付属品支持装置を手で把持することを容易にする突出部を有し、
−上記湾曲部品は、2つの補強材を有し、上記補強材は、上記側板に対向する上記構造パネルの外面に支持されることによって、上記付属品支持装置が定位置に維持されることを確実にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明のその他の特徴及び利点は、理解のために添付図面を参照する以下の詳細な説明を読むことによって明らかになるであろう。これらの添付図面において:
−図1は、本発明による付属品支持装置を固定するための構成の分解組み立て図であり;
−図2は、本発明による付属品支持装置を固定するための構成の、第1工程における組み立て原理図であり;
−図3は、本発明による付属品支持装置を固定するための構成の、第2工程における組み立て原理図であり;
−図4は、本発明による付属品支持装置を固定するための構成の、組み込まれた位置における組み立て原理図である。
【0007】
以下の記述において、自動車において伝統的に用いられる向きに従って、縦、垂直、横方向を非限定的に採用する。
【0008】
図1に示すように、遮断シート4は、構造パネル6の内面63に対向して伸びる。この構造パネル6は、少なくとも1つの縁62によって範囲を限られた開口61を有する。この開口61は、付属品支持装置2の一部の通過を可能にする。付属品支持装置2は、縁62と一部が重なり合うことによって、構造パネル6に対して定位置に維持される。有利には、例えば弾性的な嵌め込みによって、定位置における維持を確実にするために、第2の開口64が構造パネル6に形成される。
【0009】
構造パネル6に対向して配置される遮断シート4は、配置の時点では開口を有せず、その結果、構造パネル6の開口61を覆う。例えば防音シートであるこの遮断シート4は、図1に示すように、構造パネル6の内面63に対向して、すなわち構造パネル6と付属品支持装置2の間に配置することができ、あるいは、車両の外側へ向けて、構造パネル6の外面65に対向して配置することができる。これらの2つの場合に、本発明の付属品支持装置2は、付属品支持装置2を構造パネル6の開口61の中に配置する際に、遮断シート4を切り抜くことに適した切断工具24を提供する。
【0010】
図1〜4は、少なくとも1つの側板21から形成された、付属品支持装置2を示す。側板21の外面22は、構造パネル6の方へ向けられ、構造パネル6の内面に支持されるのに適した概ね平らな面を有する。さらに、側板21の外面22は、湾曲部品23を有する。湾曲部品23は、付属品支持装置2の組み込み位置への配置の際に、構造パネル6の開口61を貫通する。
【0011】
このため、湾曲部品23は、第1部23aと、第2部23bから構成される。第1部23aは、側板21との連結部を形成する。第2部23bは、外面22に対して引き込んでおり、このようにして、側板21の外面22が構造パネル6の内面63に対向して支持されるときに、開口61の縁62に跨ることに適し、構造パネル6の外面65に接触するようになることに適した、窪み31を設ける。これらの図に示すように、湾曲部品23は、2つの補強材30を有する。補強材30は、側板21に対向する構造パネル6の外面65に支持されることによって、付属品支持装置2が定位置に維持されることを確実にする。
【0012】
さらに、湾曲部品23の第2部23bは、切断工具24を有する。切断工具24は、付属品支持装置2を構造パネル6に対して配置する際に、遮断シート4を切断し、湾曲部品23が開口61を貫通する通路を開放することを可能にする。切断工具24は、切断工具24が湾曲部品23のその他の部分よりも先に開口61を通り抜けるように、第2部23bの先端に設けられる。
【0013】
側板21は、転回案内面25を有する。転回案内面25は、第1方向に伸び、構造パネル6の内面63に対向して支持されて、付属品支持装置2全体の、第1方向に平行な軸の周りの、構造パネル6へ向けた転回、特に湾曲部品23の、第1方向に平行な軸の周りの、遮断シート4を貫通し、構造パネル6の開口61を貫通する転回を可能にする。図4に示すように、転回案内面25は、傾斜面25aと支持面25bを有することができる。また、転回案内面25は、丸みをつけた面から形成してもよい。
【0014】
本発明の1実施の形態によれば、付属品支持装置2の側板21は、同じく切断工具27を備えた第2の固定手段26を有する。第2の固定手段26は、構造パネル6に形成された第2の開口64に結合されるように適合化されている。例えば弾性的な嵌め込みによるこの結合は、付属品支持装置2の構造パネル6に対する位置決めと、定位置における維持を確実にする。
【0015】
側板21の内面28は、付属品支持装置2が構造パネル6に対向して配置されたときに、付属品を受けるのに適した突出部29を有する。この突出部29は、組立工が付属品支持装置2を手で掴んで、構造パネル6の中に位置決めすることができるように、その把持を容易にする形状を有すると有利である。
【0016】
組立工は、付属品支持装置2の突出部29を掴んで、付属品支持装置2を、それが組み込まれる構造パネル6の方へ向ける。図2に示す第1工程においては、付属品支持装置2は、一方では、転回案内面25が、構造パネル6の開口61の縁62に沿う第1方向に概ね平行に伸びる接触線を形成しながら構造パネル6に対向して支持され、他方では、切断工具24の先端が開口61の高さで遮断シート4に接触するように向けられる。遮断シート4が構造パネル6の外面65に対向して配置されている場合には、組立工は構造パネル6の開口61を視認することができ、組立工が、切断工具24の先端を、開口61の高さで遮断シート4に接触して位置づけることは困難ではない。遮断シート4が構造パネル6の内面63に対向して配置されている場合には、開口61は遮断シート4によって隠されるので、組立工は構造パネル6の開口61を視認することはできない。しかしながら、開口61の高さにおいては、遮断シート4は、切断工具24の圧力に対する抵抗力をほとんど作用させないので、組立工は、開口61を容易に見つけて、切断工具24の先端を充分正しい方向に押し付けることができる。
【0017】
図3に示す第2工程においては、組立工の動作と、転回案内面25と構造パネル6の接触によって、転回運動が引き起こされる。第1方向に概ね平行な軸の周りの、図3の矢印Aの向きの、この転回運動は、遮断シート4が、切断工具24の形状に応じて、同時に切断、破断または穿孔され、構造パネル6の開口61を貫通する湾曲部品23の通過に対して、遮断シート4はもはや抵抗力を及ぼさないという事実によっても可能になされる。湾曲部品23の第2部23bと側板21との間の窪み31は、構造パネル6の縁62に跨ることを可能にする。
【0018】
図4に示す第3工程においては、付属品支持装置2は、構造パネル6に対して最終的に配置される。このため、付属品支持装置2は、第1方向に平行な軸の周りの転回運動を終え、従って、側板21の外面22は、構造パネル6の内面63と接触するようになり、湾曲部品23の第2部23bは、構造パネル6の外面65と接触するようになる。本発明の1実施の形態によれば、側板21は、同じく切断工具27を備えた第2の固定手段26を有する。開口61についてと同様に、組立工は、付属品支持装置2の転回運動の間に、第2の固定手段26を、切断工具27の先端が、切断工具27の形状に応じて、構造パネル6の開口64に対向する遮断シート4の部分を、切断、破断または穿孔できるように位置付けする。このとき、第2の固定手段26は、例えば弾性的な嵌め込みによって、開口64の中の定位置に維持される。この嵌め込みを可能にするために、図4に矢印B、Cによって示すような、直交する2方向に沿った調整が、付属品支持装置2の転回運動の終わりに、同時に必要になることが理解されるであろう。
【0019】
図1〜4に示すように、湾曲部品23が跨る開口61の縁62は、概ね縦方向、すなわち車両の軸方向の向きにある。従って、付属品支持装置2の転回運動の軸も概ね縦方向にあり、転回案内面25は、側板21の下の縁の上を、概ね縦方向に伸びる。このため、湾曲部品23は、側板の下の方へ向けて湾曲し、窪み31は、湾曲部品23の第1部23aの下方に位置し、切断工具24は、湾曲部品23の第2部23bの下の部分に位置する。さらに、第2の固定手段26は、構造パネル6に組み込まれた位置において湾曲部品23の上になるように位置し、この結果、第2の開口64は開口61の上に位置する。
【0020】
向きの変更は、本発明の枠を逸脱するものではないと理解されるべきである。例として、縁62は、開口61の垂直な側方の縁であってもよく、従って、付属品支持装置2の転回運動の軸も、概ね垂直方向にあってもよく、また転回案内面25は、側板21の側方の縁上を垂直に伸びてもよい。このとき、湾曲部品23は、図面に対して90°をなす形態を呈し、一方、第2の固定手段26と、構造パネル6における開口61と第2の開口64は変わらなくてもよい。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
−第1方向に沿って伸びる少なくとも1つの縁(62)によって範囲を限定された開口(61)が形成された構造パネル(6)と、
−上記構造パネル(6)の面(63)に対向し、特に上記開口(61)に相対して伸びる遮断シート(4)と、
−組み込まれた位置において、上記構造パネル(6)の上記開口(61)の中に部分的に入り込む付属品支持装置(2)であって、上記付属品支持装置(2)は、一方では側板(21)から形成され、上記側板(21)の外面(22)は、上記付属品支持装置(2)が組み込まれた位置において、上記構造パネル(6)に対向して支持されるようになり、他方では上記外面(22)側に固定用の湾曲部品(23)を有し、上記湾曲部品(23)は、上記構造パネル(6)の上記開口(61)の上記縁(62)に跨って、上記構造パネル(6)に対して上記付属品支持装置(2)を定位置に維持することを助長する、付属品支持装置(2)と、
を含んでなる、付属品支持装置(2)を自動車の構造パネルへ固定するための構成(1)において、
固定用の上記湾曲部品(23)は切断工具(24)を有し、上記切断工具(24)は、上記付属品支持装置(2)を上記構造パネル(6)へ配置する際に、上記遮断シート(4)を切断して、上記湾曲部品(23)の上記構造パネル(6)の上記開口(61)の中への通過を可能にすることを特徴とする、付属品支持装置を自動車の構造パネルへ固定するための構成。
【請求項2】
上記付属品支持装置(2)の上記側板(21)は、転回案内面(25)を有し、上記転回案内面(25)は、上記第1方向に概ね平行に伸び、上記構造パネル(6)の内面(63)に支持されて、上記付属品支持装置(2)全体の、上記構造パネル(6)へ向けた、上記第1方向に平行な軸の周りの転回と、特に上記湾曲部品(23)の、上記遮断シート(4)を貫通し、上記構造パネル(6)の上記開口(61)を貫通する、上記第1方向に平行な軸の周りの転回を引き起こすことを特徴とする、請求項1に記載の付属品支持装置を自動車の構造パネルへ固定するための構成。
【請求項3】
上記転回案内面(25)は、傾斜した面であることを特徴とする、請求項2に記載の付属品支持装置を自動車の構造パネルへ固定するための構成。
【請求項4】
上記転回案内面(25)は、丸みをつけた面であることを特徴とする、請求項2に記載の付属品支持装置を自動車の構造パネルへ固定するための構成。
【請求項5】
上記切断工具(24)は、上記湾曲部品(23)の先端において「V」字状の角を有する少なくとも1つのリブから形成されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1つに記載の付属品支持装置を自動車の構造パネルへ固定するための構成。
【請求項6】
上記構造パネル(6)に第2の開口(64)が形成され、上記付属品支持装置(2)は、上記外面(22)側に、第2の固定手段(26)を有し、上記第2の固定手段(26)は、弾性的な嵌め込みによって、上記構造パネル(6)の上記第2の開口(64)に結合されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載の付属品支持装置を自動車の構造パネルへ固定するための構成。
【請求項7】
上記第2の固定手段(26)は、上記側板(21)と反対側の先端に少なくとも1つの切断工具(27)を有することを特徴とする、請求項6に記載の付属品支持装置を自動車の構造パネルへ固定するための構成。
【請求項8】
上記側板(21)の内面(28)は、上記付属品支持装置(2)が組み込まれた位置にあるときに付属品を受けるのに適し、上記付属品支持装置(2)を上記構造パネル(6)に対して位置決めする際に、上記付属品支持装置(2)を手で把持することを容易にする突出部(29)を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1つに記載の付属品支持装置を自動車の構造パネルへ固定するための構成。
【請求項9】
上記湾曲部品(23)は、2つの補強材(30)を有し、上記補強材(30)は、上記側板(21)に対向する上記構造パネル(6)の外面(65)に支持されることによって、上記付属品支持装置(2)が定位置に維持されることを確実にすることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1つに記載の付属品支持装置を自動車の構造パネルへ固定するための構成。

【公表番号】特表2007−515610(P2007−515610A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546270(P2006−546270)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【国際出願番号】PCT/FR2004/050662
【国際公開番号】WO2005/064171
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(503041797)ルノー・エス・アー・エス (286)
【Fターム(参考)】