説明

代謝産物を管理するシステム

【課題】患者の皮膚に開けられた1個の穿孔を介して行える薬剤投与と代謝産物監視システムを提供する。
【解決手段】 本発明の患者の身体内の代謝産物を管理するシステムは、(a)薬剤投与ユニットと、前記薬剤投与ユニットは、患者の身体内に挿入されるカニョーレを有し、(b)代謝産物監視ユニットと、前記代謝産物監視ユニットは、患者の身体内に挿入されるサンプリング・プローブを有し、を有する。 前記薬剤投与ユニットと代謝産物監視ユニットは、前記カニョーレと前記サンプリング・プローブが互いに近接して配置されるよう、ハウジング内に配置され、これにより、患者の身体内への挿入が、患者の皮膚に開けられた1個の孔を介して行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤投与(drug-delivery)と代謝産物監視(metabolite-monitering )を自動的に行うシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は2つの主な態様を有する。第一の態様は、連続的な皮下への薬剤投与と代謝産物監視を組み合わせたシステムに関する。このシステムにおいては、薬剤の投与と代謝産物のサンプリング(監視)とは、カニョーレと微量透析用プローブ(a cannula and a microdialysis probe)を、両方に共通な1個の穿孔を介して行うことができる。
従来公知のように、インシュリンの投与(insulin delivery)と血糖値のサンプリング(blood-glucose sampling)は、互いに離れた場所で行わなければならない。その結果、このサンプリングは、身体の血糖の全体値を表し、インシュリンの多い局部領域の値を表すものではなくなる。一般的に、このようなシステムの製造者は、サンプリング・プローブは、カニョーレから10cm以上離れた場所に挿入するよう、推奨している。以下を参照のこと。
「インシュリン・ポンプを使用するユーザーは、インシュリンの注入部位から少なくとも5cm離れた場所に、サンプリング・センサーを挿入するようにしなければならない。インシュリンを注入するユーザーは、サンプリング・センサーの挿入部位から少なくとも7.5cm離れた場所にインシュリンを注入するよう指示されている。」Medtronic MiniMed: Important Safety Information [online article 2007]http://www.minimed. com./about/safety.html.
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開WO2008/056363号明細書。
【0004】
これ等のシステムを利用する患者は、皮膚の穿孔を介してカニョーレを挿入し、そして再度穿孔してサンプリング・プローブを挿入している。その為、それらを配置するには2回穿孔しなければならなかった。このガイドラインの為、システムを目立たなくし使い勝手を良くするのに必要とされる装置の小型化は限られてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、ユーザーは、皮膚に穿孔する回数を最小にすること、更に装置の小型化の興味がある。
本発明の第二の態様は、代謝産物監視ユニット内の光学測定セル(optical measuirng-cell)に関する。特に、本発明は、光学測定の信頼性を改善することを目的にする。これは、透析物(dialysate)と試薬(reagent)の均一混合液を、光学測定が行われる光学測定セル内を安定して流れるよう工夫することで行われる。従来公知のように、光学解析方法(optical analytical system)では、光ビームが流路内の透析物サンプル(dialysis sample)に当てられ、サンプルの透析物の量を示す透過率又は反射率のデータ(transmission or reflectance data)を得ている。一般的に、光学測定値は、サンプルが大きな直径を有する測定装置内を流れる(この為、十分な量のサンプルが光ビームに曝される)際に、測定され、代謝産物量を表す光学データが生成する。
【0006】
装置内を流れる際発生する透析物サンプルの圧力低下が、好ましくない状況を作り出す。この圧力低下の状況においては、サンプルは測定装置内に滞留する傾向がある。その結果、光学読み取り値は、正しくなくなる。これは、照射される測定されるべきサンプルは、古い前のサンプルを含んでしまうからである。更に、測定装置の直径が大きい為に、気泡がシステム内に入り光学測定セル内に滞留する。この気泡の存在により、ガス/流体の境界が光ビームを予測不能な方向に透過させ、データを不正確にしてしまう。更にそれ等は、光学データを代謝産物の量(metabolite-content value)を表す値に変換するアルゴリズムの機能を損なう。その理由は、データ変換は、所定の透析容量に基づいて行われており、気泡が存在すると、測定値が不正確となってしまうからである。
【0007】
本発明の目的は、透析物と試薬からなる均一な混合物が安定した状態で流れる流路を有し、代謝産物のサンプルの光学測定値を得る時に、信頼性を上げる光学測定セルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の患者の身体内の代謝産物を管理するシステムは、
(a)薬剤投与ユニットと、
前記薬剤投与ユニットは、患者の身体内に挿入されるカニョーレを有し、
(b)代謝産物監視ユニットと、
前記代謝産物監視ユニットは、患者の身体内に挿入されるサンプリング・プローブを有し、
を有し、
前記薬剤投与ユニットと代謝産物監視ユニットは、前記カニョーレと前記サンプリング・プローブが互いに近接して配置されるよう、ハウジング内に配置され、
これにより、前記カニョーレと前記サンプリング・プローブの患者の身体内への挿入が、患者の皮膚に開けられた1個の穿孔を介して行われる。
本発明の一実施例によれば、前記サンプリング・プローブは、前記カニョーレの壁に、穿孔を介してねじ込まれている。
本発明の一実施例によれば、(c)制御ユニットを更に有し、前記制御ユニットは、前記薬剤投与ユニットと代謝産物監視ユニットを制御し、
前記制御ユニットは、
(i)前記薬剤投与ユニットを駆動し、前記患者への薬剤投与を複数回行い、前記薬剤投与は一定時間離れており、
(ii)前記代謝産物監視ユニットを駆動し、これにより、最小時間経過後に患者から代謝産物サンプルを得る、
前記最小時間は、前記代謝産物サンプルが、患者の身体内の代謝産物全体の量を表すような薬剤投与経過の後の時間である。
本発明の一実施例によれば、前記代謝産物監視ユニットは、積層された光学測定セルを有する。
本発明の一実施例によれば、前記積層された光学測定セルは、一定断面積の流路を有する。
本発明の患者の身体の代謝産物を管理する方法は、
(a)薬剤投与と代謝産物監視を組み合わせたシステムを提供するステップと、
前記システムは、互いに近接して配置されたカニョーレと代謝産物サンプリング・プローブを有し、これにより身体内への挿入が1個の穿孔で行われ、
(b)前記カニョーレと前記代謝産物のサンプリング・プローブを、患者の身体内に1個の共通の穿孔を介して挿入するステップと
を有する。
本発明の一実施例によれば、
(c)前記患者への薬剤投与を複数回行うステップと、
前記複数回の薬剤投与は、一定時間をおいて行われ、
(d)最小時間経過後に患者から代謝産物サンプルを得るステップと、
前記最小時間は、代謝産物サンプルが、患者の身体内の代謝産物全体の量を表すのに十分な薬剤投与の後の時間である
を更に有する。
本発明の一実施例によれば、前記代謝産物のサンプリング・プローブは、ループ状の微量透析サンプリング・プローブを有する。
本発明の一実施例によれば、前記代謝産物監視ユニットは、積層された光学測定セルを有する。
本発明の一実施例によれば、前記積層された光学測定セルは、前記流路に沿った2点の間で、一定の断面積の流路を有する。
本発明の一実施例によれば、前記サンプリング・プローブは、ループ状の微量透析用サンプリング・プローブを有する。
本発明の患者の身体の代謝産物を管理する方法は、
(a)薬剤投与と代謝産物監視を組み合わせたシステムを提供するステップと、
(b)複数回の薬剤投与を患者に対し行うステップと、
前記複数回の薬剤投与は、時間をおいて行われ、
(c)最小時間経過後、患者から代謝産物サンプルを得るステップと、
前記最小時間遅延は、前記代謝産物サンプルが、患者の身体内の代謝産物の全体量を示すような薬剤投与量の後である
を有する。
本発明の一実施例によれば、前記薬剤投与と代謝産物監視を組み合わせたシステムは、互いに近接して配置されたカニョーレと代謝産物サンプリング・プローブを有し、これにより身体内への挿入が1個の穿孔で行われる。
本発明の一実施例によれば、(d)前記カニョーレと前記代謝産物のサンプリング・プローブを、患者の身体内に1個の共通の穿孔を介して挿入するステップを更に有する。
本発明の一実施例によれば、前記代謝産物のサンプリング・プローブは、ループ状の微量透析サンプリング・プローブを有する。
本発明の一実施例によれば、前記代謝産物監視ユニットは、積層された光学測定セルを有する。
本発明の一実施例によれば、前記積層された光学測定セルは、前記流路に沿った2点の間で、一定の断面積の流路を有する。
本発明の一実施例によれば、前記代謝産物のサンプリング・プローブは、ループ状の微量透析サンプリング・プローブを有する。
【0009】
本発明の代謝産物監視ユニットと共に使用される光学測定セルは、
前記代謝産物監視ユニットは、測定領域を照射する光源を具備する光学センサーを有し、
前記光学センサーは、
(a)第1シートと、
前記第1シートは、前記測定領域を通過する流路を規定する溝を有し、
前記溝の一部は、前記測定領域内にあり、その長さは、前記測定領域の最大寸法よりも1.5倍以上の長さを有し、
(b)前記第1シートに結合された透明材料製の第2シートと、
前記第2シートは、前記溝を包囲し、
を有し、
これにより十分な量の流体が、前記光源に曝され、正確な光学測定値が得られる。
本発明の一実施例によれば、前記第2シートは、2枚のシートで構成され、前記各2枚のシートは、前記第1のシートを挟んで結合され、前記溝は、スロットを構成する。
本発明の一実施例によれば、前記積層された光学測定セルは、前記流路に沿った2点の間で、20%以下しか変わらない断面積の流路を有する。
本発明の一実施例によれば、前記第1シートは、アルミ製である。
本発明の一実施例によれば、前記溝は、複数のカーブ部分を含む。
本発明の一実施例によれば、前記溝は、螺旋形状部分を含む。
本発明の一実施例によれば、前記流路の長さは、前記光源により照射される領域の最大寸法より2倍以上大きい。
本発明の一実施例によれば、前記流路の長さは、前記光源により照射される領域の最大寸法より3倍以上大きい。
本発明の一実施例によれば、前記溝は、前記光源により照射される領域の外に伸び、
これにより、前記光源により照射される領域から上流方向に流路を規定し、前記光源に照射される前に、前記透析物と試薬の均一な混合を得る。
本発明の代謝産物監視ユニット用の光源で照射される積層された光学測定セルは、溝を有するシートを有し、
前記溝は、非照射流路部分と、それに連通する照射流路部分とを有し、
前記照射流路部分の断面積は、前記非照射流路部分の断面積に等しく、
これにより、非照射流路部分から前記照射流路部分への流体の流れを均一にする。
本発明の一実施例によれば、前記照射流路部分は、前記光源により照射される領域の最大寸法より1.5倍以上の長さを有する。
本発明の一実施例によれば、前記照射流路部分は、前記光源により照射される領域の最大寸法より2倍以上の長さを有する。
本発明の一実施例によれば、前記照射流路部分は、前記光源により照射される領域の最大寸法より3倍以上の長さを有する。
本発明の一実施例によれば、前記照射流路部分は、複数のカーブ部分を含む。
本発明の一実施例によれば、前記照射流路部分は、螺旋部分を含む。
本発明の一実施例によれば、前記照射流路部分は、第一面に配置され、前記非照射流路部分は、第二面に配置され、前記第一面と第二面とは、異なる。
本発明の一実施例によれば、前記サンプリング・プローブは、微量透析ファイバー、電子化学プローブ、ファイバーオプティックセンサー、ファイバー接続された蛍光親和センサーからなるグループから選択される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】連続的な薬剤投与と代謝産物監視の組合せシステムを表すブロック図。
【図2】図1のシステムの底部の斜視図で、カニョーレとサンプリング・プローブの配置を示す図。
【図3】図2のカニョーレとサンプリング・プローブの拡大断面図。
【図4】カニョーレとサンプリング・プローブの挿入機構の全体斜視図。
【図5】図4の挿入機構のスロット部分の挿入前の拡大図。
【図6】図4の挿入機構のスロット部分の挿入状態の拡大図。
【図7】挿入前に搭載された挿入機構の断面図。
【図8】薬剤投与と代謝産物サンプリングの同期状態を提供する操作を行うフローチャート図。
【図9】薬剤投与と代謝産物サンプリングの間の同期状態を示す第1の時間ライン。
【図10】薬剤投与と代謝産物サンプリングの間の同期状態を示す第2の時間ライン。
【図11】薬剤投与と代謝産物サンプリングの間の同期状態を示す第3の時間ライン。
【図12】三層構造の光学測定セルの展開斜視図。
【図13】流路とその入口と出口とを示す積層構造の光学測定セルの上面図。
【図14】二層構造の光学測定セルの展開斜視図。
【図15】二層構造の光学測定セルの上面図。
【図16】図15の線X−Xに沿った断面図。
【図17】留置状態にある積層構造の曲がった状態の光学測定セルの斜視図。
【図18】光学測定セルとシステムハウジングと組みたて前のシールとカニョーレを有する薬剤投与と代謝産物監視の組合せシステムの展開斜視図。
【図19】薬剤投与と代謝産物監視の組合せシステムの上面斜視図。
【図20】薬剤投与と代謝産物監視の組合せシステムの上面図
【図21】図20のラインY−Yに沿った断面図。
【図22】薬剤投与と代謝産物監視の組合せシステムの流体容器と代謝産物プローブの光学測定セルの間の境界を表す図。
【図23】組織内に留置された状態の代謝産物プローブとそのシステムハウジングへの接続状態を表す拡大断面図。
【図24】留置状態にあるカニョーレ/プローブの他の実施例の代謝産物監視システムの断面図。
【図25】図24のラインXX−XXに沿った断面図。
【図26】留置状態の後にあるカニョーレ/プローブの他の実施例の代謝産物監視システムの断面図。
【図27】図26のラインXX-XXの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、薬剤投与と代謝産物監視の組合せシステムに関する。
【0012】
本発明は2つの態様を有する。
第一の態様は、カニョーレと微量透析プローブの留置に関する。この留置は、皮膚に開けられた1つの穿孔を介して行う。薬剤投与と代謝産物監視の組合せシステムを留置する際に、患者が受ける穿孔の回数を減らすことができる。
第二の態様は、一定の断面積の流路を有する光学測定セルに関する。これにより信頼性を確保する。
本発明のこれ等の態様を説明する前に、これ等の態様は、更に光学測定セルと、スタンドアローンの代謝産物監視システムに関する。本発明を、薬剤投与と代謝産物監視を組み合わせた例で説明する。
【0013】
図1は、薬剤投与と、生体内での体液内の代謝産物の濃度を監視する代謝産物監視システムを示す。
カニョーレ3と微量透析プローブ4が、患者の組織31内に、1個の共通する穿孔を介して、挿入される。所定量の薬剤が、薬剤貯蔵部33から適宜の時間に分配され、塩水が、塩水貯蔵部34から微量透析プローブ4に供給される。そこで微量透析プローブ4は、膜を介して周囲の体液から代謝産物を吸収する。
微量透析プローブ4からの透析物(dialysate)が、光学測定セル35に供給され、そこで、透析物が試薬容器42からの試薬と混合されて、透析物内の代謝産物の濃度が、光学センサー40で得られる光学測定値により決定される。この光学センサー40は、透析物である代謝産物と試薬の化学反応から得られた変色を検出する。
【0014】
薬剤のカニョーレ3への流れと、塩水の微量透析プローブ4への流れと、試薬と代謝産物リッチの透析物の光学測定セル35への流れの全ては、フロー制御機構38により制御される。透析物と試薬は、光学測定セル35内で混合され、以前にサンプリングされた流体を流体ダンプ39に入れて、置換する。フロー制御機構38は、適宜入手可能なものであり、様々な活性駆動ポンプシステムと、圧力容器からの流れを制御する様々な弁管理システムを含む。フロー制御機構38の一例は特許文献1に記載されている。
【0015】
フロー制御機構38の操作と光学センサー40のプロセスは、制御ユニット42により制御される。制御ユニット42は、濃度/タイミング計算機41とプロセッサ44ととを有する。取り付けられた或いは離れた位置にあるユーザ・インターフェース43により、ユーザーはシステム・パラメータを入力できる。このパラメータの一例は、薬剤投与速度と他の情報である。この他の情報は、代謝産物の濃度と、サンプリング・タイミングと、薬剤投与間隔(dosing delay)を計算するのに用いられる。
【0016】
本発明の第一の態様を次に説明する。図2,3は、薬剤投与と代謝産物監視を組合せたシステム1を示す。特にカニョーレと透析プローブの組合せ2を示す。カニョーレと透析プローブの組合せ2により、患者の身体内へ1つの穿孔を介して容易に挿入できる。
図2に示すように、一実施例においては、微量透析プローブ4はカニョーレ3の先端に配置される。微量透析プローブ4とカニョーレ3を互いに近づけて配置構成して、共通の穿孔を介して挿入を行うことも、本発明の範囲内である。
「皮膚の穿孔」とは、皮膚に開けられた開口で、通常直径は0.3−1.5mmで時に最大で2mmのこともある。
【0017】
図4−7において、挿入機構5は、カニョーレ3と微量透析プローブ4を皮膚内の所定の深さの留置する。挿入機構5は、チューブである細長いシャフト6と、皮膚と組織を貫通する刺通先端11と、傾斜端部12と、微量透析プローブ4を収納するスロット13と、プッシュ・ロッド18とを有する。プッシュ・ロッド18は、微量透析プローブ4を挿入チューブ6から解放するのを活性化するアクチュエーター要素として機能する。
刺通先端11は、1個の傾斜により形成されるカッティング・エッジとして実現されるが、テーパによって形成されるカッティング・エッジ或いは穿孔ポイントも本発明に含まれる。スロット13は、傾斜端部12にまたがって配置されて、傾斜端部17を2つの傾斜表面12,15に分割する。スロット13を拡げるスロット・サイド12A,15Aは、弾性的にバイアスが掛かり、互いの上に載って、皮膚への挿入時に皮膚がスロット13に噛むのを回避し、留置前に微量透析プローブ4をスロット13内に保持する。
スロット13は、刺通先端11を構造的な一体性を保存するように配置され、3−4mmの深さを有する。プッシュ・ロッド18は、挿入用チューブ・ルーメン19内に配置され、軸方向に自由に動けるように配置される。挿入機構5とプッシュ・ロッド18は、カニョーレ3内に搭載される。
【0018】
留置前に、微量透析プローブ4は、スロット13に挿入され、そこに、スロット13の2つの側面に近づける(挟み込む)ことにより、又はプローブ4のファイバーに若干の引っ張り力を維持することにより、保持される。微量透析プローブ4を搭載する挿入機構5の傾斜のついていない端部は、カニョーレ3の先端を介して、ルーメン(図示せず)内に挿入される。カニョーレ3と挿入機構5は、全て患者の身体内に手動或いは適宜の自動挿入機構で挿入される。挿入機構5は、微量透析プローブ4を搭載し、プッシュ・ロッド18を含む。
【0019】
所望の留置深さを達成すると、プッシュ・ロッド18は、挿入チューブ6に対し軸方向に前進して、スロット・サイド12A,15Aを開いて、微量透析プローブ4をスロット13から押し出す。この前進動作は、プッシュ・ロッド18を前進させるか、挿入チューブ6を引き抜くか、或いはこれ等2つの動きの組み合わせで行われる。斯して、微量透析プローブ4がスロット13から離れると、シャフト6は、更に引き込まれ、組織から引き抜かれる。シャフト6は、プッシュ・ロッド18と同時に引き抜かれるか、又はプッシュ・ロッド18がその後に引き抜かれる。しかしこの引き抜き動作は、微量透析プローブ4又はカニョーレ3を引き抜くことなく行われ、カニョーレ3と微量透析プローブ4は、患者の身体内の所望の位置と深さに留置される。
【0020】
上記の一連の動きは、挿入チューブ6の後部とプッシュ・ロッド18を適宜操作することにより手動で、或いは適宜の機構を用いて行うこともできる。
【0021】
本発明の実施例においては、挿入チューブ6は、26又は27ゲージで形成され、ステンレス製の皮下ニードルであり、適宜処理することにより、スロット13を形成し、上記したように弾性バイアスをかける。
プッシュ・ロッド18は、適宜の大きさのピンで、上記と同様な材料から形成され、中空ニードル(シャフト6)のルーメン内に挿入される。
カニョーレ3の直径は、0.3−1.0mmである。
微量透析ファイバー(チューブ4)の直径は、0.1mm−0.4mmである。
【0022】
従来の自動薬剤投与ユニットと代謝産物監視システムの使用者は、これ等の装置を身体の離れた場所に装着して、代謝産物のサンプルが身体の代謝産物全体の量を表すように、そしてカニョーレとプローブの装置2の周囲のドラッグ・リッチの領域の代謝産物の量のみを表さないようにしていた。本発明は、この問題を解決するために、薬剤投与と代謝産物のサンプリングを同期させる機構を具備して、薬剤投与割合の変化に応答するサンプリング遅延期間を有する。本明細書で使用される用語について以下に定義する。
【0023】
「薬剤投与量」とは、投与される薬剤の量である。
「薬剤投与間隔」とは、第1の薬剤投与から次の薬剤投与までの時間間隔を意味する。
「薬剤投与速度(割合)」は、単位時間当たりの薬剤の投与量を意味する。
「選択可能な薬剤投与量或いは薬剤投与速度」とは、薬剤投与量又は薬剤投与速度のいずれかを、機械的又は手動の何れかで変化させるオプションを提供する薬剤投与スキームを意味する。
「一定薬剤投与量」とは、薬剤投与量が一定である薬剤投与スキームを意味する。
「可変薬剤投与量」とは、薬剤投与量で変化する薬剤投与スキームを意味する。
「一定薬剤投与速度(割合)」とは、薬剤投与間隔が一定である薬剤投与スキームを意味する。
「可変薬剤投与速度(割合)」とは、薬剤投与間隔が変化する薬剤投与スキームを意味する。
「サンプリング・プローブ」とは、代謝産物測定装置である。ポリマー製の微量透析ファイバー、電子化学的プローブ、光ファイバーセンサー、ファイバーに結合された蛍光親和センサーを含む。
「サンプリング時間」とは、プローブに依存する時間である。微量透析プローブにおいては、「サンプリング時間」とは、代謝産物サンプルがプローブから取り出される(排出される)時間である。電子化学プローブにおいては、「サンプリング時間」とは、電子パラメータが測定される時間である。ファイバー・オプティック・センサーにおいては、「サンプリング時間」は、光パルスが、ファイバー・オプティックを介して、透析物に当たる時間を意味する。
本発明は、上記の薬剤投与間隔スキームの全てに対するサンプリング期間を教示する。要約すると以下のとうりである。
一定薬剤投与量
一定薬剤投与期間
選択可能な一定薬剤投与量
選択可能な一定薬剤投与期間
選択可能な可変薬剤投与量
選択可能な可変薬剤投与期間
【0024】
従来公知のように、特定の薬剤を所定量投与したり或いは吸収したりするのに必要な時間は、生体パラメータ(physiologic parameter)の関数である。これ等のパラメータは、薬剤投与速度とそれに対応するサンプリング・プローブの計算のベースとなる。本発明においては、これ等の値は、製造業者により予め設定されるか、或いは熟練薬剤師により手動で入力される。
一実施例においては、あるアルゴリズムが、図8のフローチャートで示す薬剤投与速度に比例する必要なサンプリング・プローブを決定する。
初期化(ステップ20)すると、薬剤投与速度が、所定のパラメータで自動的に或いは手動で確立される(ステップ21)。システムは、この薬剤投与速度に比例する投薬間隔を計算する(ステップ22)。これにより、投薬間隔の終了時に次の薬剤投与が開始される前に、代謝産物のサンプリングが完了する。システムは薬剤を投与する(ステップ23)。システムは、所定の投薬間隔が経過したかを認証する(ステップ24)。未経過の場合には、システムは、サンプリング・プローブがシステムが代謝産物のサンプルを得た時が経過するまで再チェックする(ステップ25)。システムは所定の投薬間隔が経過したかを確認する(ステップ26)。未経過の場合には、システムは投薬間隔が経過するまで再チェックを継続しながら待機する。投薬間隔が経過すると、システムは、薬剤投与速度が変化したか否かをチェックする(ステップ27)。変化している場合には、システムは、新たな薬剤投与速度に比例する調整された投薬間隔の再計算を進める(ステップ22)。薬剤投与速度が変化しない場合には、システムは、ステップ23で開始したステップを繰り返す。
【0025】
図9は、薬剤投与(Drug Delivery)と代謝物サンプリング(Metabolite Sampling)の時間遅延関係を、時間の経過とともに示す。システムは、1回目の二重(2回の)薬剤投与(Dosage)1を実行し、サンプリング遅延期間(Sampling Delay)1が経過した後、代謝産物サンプリング(Metabolite Sampling)を実行する。更に投薬間隔(Dosage Delay)1が経過した後、2回目の二重薬剤投与を実行し、サンプリング遅延期間1が経過した後、次に2回目の代謝産物サンプリング実行する(サンプルを得る)。
図10は、第2の薬剤投与とサンプリングの同期を時間の経過を示す。同図において、薬剤投与速度は、投薬間隔2を短くすることにより増加させるが、二重の薬剤投与量1は一定である。従ってサンプリング遅延期間2が長くなる。
図11は、図9に示す薬剤投与速度を増加させたものを示す。図9と同一の投薬間隔の間に3重(3回の)の薬剤投与を行う。従ってサンプリング遅延期間3が長くなり、代謝産物サンプルを得る前に、より多くの流体が代謝産物化(metabolized)する。
上記したように、本発明は、様々な薬剤投与と代謝産物サンプリングの同期状態を有する。薬剤投与が様々な薬剤投与量で実行される時に、様々な代謝産物サンプリング遅延間隔で、代謝産物を有効にモニタリングすることができる。
一実施例においては、投薬間隔は、薬剤投与を、1分間に1回から30分間に1回に変えることができ、また、代謝産物サンプリングを、1分間に1回から30分間に1回に変えることができる。
本発明は様々なサンプリング系を含む。複数のサンプリングを、薬剤投与の間に実行するか、或いはシステムが所定の安定した代謝産物レベルを検知すると、サンプリング遅延期間(サンプリング周期)減らすこともできる。
【0026】
制御ユニット42はプロセッサ44を有する。このプロセッサ44は、ソフトウエアである同期アルゴリズムを適用して、投薬間隔とサンプリング遅延期間を計算する。しかしハードウエアで実現も可能である。
【0027】
本発明の第二の態様は、流路直径の突然の変化で起こる変動を解決する。透析物サンプルは、光学測定セルに入り、代謝産物に特有の試薬と混合して、この試薬は、代謝産物の量に応じて変色し、これにより代謝産物を示す透過データの基礎を提供する。本発明のこの態様は、透析物/試薬の混合物の均一の流れを、代謝産物を示す有意の透過データを提供できる程度の量に維持する。本明細書で使用される用語を次に定義する。
用語
「トランスペアレント(透明)」とは、サンプル溶液の光学特性の変化を測定できる電磁放射の波長を透過できることを意味する。
「溝」とは、あらゆる深さのチャネルを意味する。これは、シートをチャネルが貫通するか否かを問わず、シートで底が閉じた状態のチャネルを意味する。
「スロット」とは、貫通チャネルを意味する。これは、材料の全厚を貫通するチャネルを意味する。
「曲がりくねる」とは、所定領域を行ったり来たりする物理的形状を意味する。
「螺旋」とは、正確な形状とは別の螺旋と称するあらゆる形状を意味するが、最も一般的にはアルキメデス螺旋の少なくとも一部を近似するものである。
「透析物」とは、通常塩水のような溶液を意味する。この溶液は、微量透析プローブを通過し、患者の体から物質を、プローブの膜を通した拡散により、吸収する。
「代謝産物」とは、代謝の中間生成物或いは生成物に影響を及ぼす物体、或いは必要な薬剤投与量を示す代謝状態を有する体液を意味する。
【0028】
図12は、光学測定セル35の展開斜視図である。光学測定セル35は、シート50を有する。シート50はメイン・スロット51を有する。メイン・スロット51は、光学測定セル35を通過する透析物/試薬の混合物の流路を規定する。メイン・スロット51は、不照射混合セグメント52と、不照射ドレイン・セグメント54と、照射測定セグメント53とを有する。混合セグメント52は、試薬と透析物サンプルの完全且つ均一な混合を行う。測定セグメント53で光学測定が行われる。一実施例においては、測定セグメント53は、サイン形状に配置され、照射される領域65の最大寸法よりも、1.5倍、2倍、ある場合には3倍もの流路を提供する(図13)。流路の方向を徐々に変えながら、曲がりくねらせ、或いは螺旋形状にして、流路長さを最大にする。流路の他の形状の配置も本発明に含まれる。これ等の物理的配置により、流路の断面を変更することなく、十分な量のサンプルが照射され、有意なデータが得られる。
【0029】
図13において、更なる細いスロットが、透析物用スロット45と試薬用スロット46とを有する。試薬用スロット46は、混合セグメント52の下流端と交差する。透析物入口57は透析物用スロット45の下流端に配置され、試薬入口59は試薬用スロット46の下流端に配置される。ドレイン・ポート61がドレイン・セグメント54の下流端に配置される。カニョーレ挿入口52Aはシート50に配置される。これにより、カニョーレの挿入機構が光学測定セルを通過して組織内に入ることができる。塩水スロット53Aはシート50に配置さる。塩水スロット53Aは、下流端に配置された塩水入口44Aと上流端に配置された塩水出口45Aとを有する。
図12において、シート50は、透明なカバー・シート67と透明な底部シート68の間に配置され、メイン・スロット51と透析物用スロット45と試薬用スロット46と流路53とを包囲し、シールする。これにより、漏れのないフローチャネルを形成する。カバー・シート67は、塩水入口44Aと試薬入口59とカニョーレ挿入口52Aとを有する。底部シート68は、透析物入口48と塩水出口55とカニョーレ挿入口52Aとを有する。
【0030】
図13は、組み立てられた光学測定セルの上面図で、隠れた流路の入口と出口とを示す。操作する際は、塩水は、塩水入口44Aから塩水流路53Aに注入される。塩水は、光学測定セルを出て、塩水出口45Aからプローブ内に入る。透析物は、プローブの膜を介して拡散し、透析物入口57に戻り、透析物用スロット45に入り、更に混合セグメント52の下流端に入る。試薬入口59から試薬用スロット46内に注入された試薬は、混合点66に流れる。混合点66は透析物用スロット45と試薬用スロット46とが交差する点である。透析物用スロット45の全長が短くなったことにより、代謝産物のコンテンツを測定する遅延時間を最小になる。これは混合点66で試薬との直接混合が可能となった為である。透析物のサンプルは、混合セグメント52を通過しながら更に混合し、サンプルが照射セグメント53に入ると、試薬と代謝産物は完全に混合し反応して最終の色となる。混合物は、赤外線或いは可視光線で照射される。サンプルを通過する光の一部は、光学ディテクターで検出され、代謝産物コンテンツ量が得られる。測定されたサンプルは、照射セグメント53を出て、ドレイン・セグメント54に入る。そこで、光学測定セルが、ドレイン・ポート61から出て、流体ダンプ39(図1)に吸収される。
一実施例においては、カバー・シート67と底部シート68は、透明なポリマー材料から形成される。スロット付いたシート50は、アルミ、ポリマー材料、他の耐久性があり且つ可撓性の材料から形成される。電磁放射に対し、カバー・シート67と底部シート68よりも透明性のある材料製のシート50も本発明の範囲に入る。一実施例においては、シート50は0.1−0.3mmの厚さで、全流路の全体ボリュームは、流体のせいぜい1μlである。
【0031】
図14−16は、反射光学測定系を採用した第二の実施例を示す。同図には、反射材料製の底部シート68に結合されたカバー・シート67が示される。この2層の測定セルは、上記に類似した流路の構成を有する。しかしこの実施例においては、流路は、スロットではなく、細い溝で形成されている。
【0032】
図16において、照射セグメント53の複数の流路は、照射領域65で曲がりくねって配置されている。溝で構成される照射セグメント53の内張をする反射性表面53Aは、光を光学センサー40に向けて反射する。
本明細書において、「反射性シート」とは、シート50の大部分が反射性でなくても、照射セグメント53の内側が反射性の表面53Aを有すれば、反射性シートと称する。一実施例において、反射性の溝の表面53Aは、研磨した溝表面を、金属材料製のシート50に形成することで実現できる。照射領域65を通る曲がりくねった流路により、十分な量の透析物/試薬の混合物が、照射源に曝され、光学データサンプルを集めることができる。これは測定セルを貫通する流路の断面を変えることなく、実現できる。この実施例は、断面が徐々に変化するメインの流路を有するが、メインの流路51に沿った2つの点の間では20%を超えるない実施例も、本発明に含まれる。
【0033】
図17は、留置状態にある曲げられた状態で、ラミネートされた光学測定セル35の実施例を示す。この状態においては、第一部分は、第二部分と直交し、システムハウジング内に配置された時に、流路53と光学センサー40とを整合させる。光学測定セル35は、直角以外の角度で曲げられる実施例も本発明の範囲に入る。ラミネートされた光学測定セル69又は個々のシートを、手動で或いは特別な曲げ工具によって曲げることも、本発明の範囲に含まれる。
【0034】
図18において、光学測定セル35は、システム・ハウジング84内に配置されている。この配置は、光学測定セル35を、ハウジング・スロット(図示せず)を介して、平行なチャネル74内に挿入することにより、行われる。シーリング・ディスク71は、ハウジング70の底でシールされており、微量透析プローブ4と光学測定セル69の間のシールを形成する。
マルチ・ポート構造77は、シリコン製のポート構造72とそれに対応するハード・プラスチック製又はシリコン製のポートハウジング73とを有する。ポート構造72はシリコン製プレートと一体に形成された一連の3個の中空のシリコン製プラグを有する。この配置は、ポート構造72をポートハウジング73に搭載して形成されたマルチ・ポート構造77をチャネル74内にスライドさせることにより、行われる。チャネル74は、光学測定セル35の上部のハウジング70に形成されている。光学測定セル35とポート構造72の組み合わせた厚さにより、それぞれをその場に保持する。適正な整合は、ストッパーで行われる。このストッパーは、例えば、測定セルストッパー78と複数のポート構造ストッパーであり、光学測定セル35とマルチ・ポート構造77が互いに適正に整合するよう、最大の挿入距離を規定する。光学測定セル35は、微量透析プローブ4と光学センサー40に適正に整合して配置される。この監視システム1により、光学測定セル35とマルチ・ポート構造77の置換が容易となる。
【0035】
図19は、光学測定セル35とマルチ・ポート構造77を有する投薬と代謝産物監視システム1を示す。
図20−22は、システム流体入口と圧力容器との間のインターフェースを示す。この圧力容器には、塩水と試薬と薬剤が入れられている。マルチ・ポート構造77は、シリコン製のポート構造72を有する。このポート構造72は、シリコン製のプレートと一体に形成された3個の中空のシリコン製のプラグを有する。
一実施例において、シリコン製のポート81は、試薬入口59につながれ、シリコン製のポート82はカニョーレ3につながれ、シリコン製のポート83は塩水入口44Aにつながる。各ポートに配置されたニードル84は、各容器と適宜のポートとの間の流路を規定する。各ポートのキャビティーにより、所望の流体をポート内に入れて、その後対応する入口に入れることができる。一実施例においては、すべてのシーリング部材は、シリコン製であるが、シリコンと同等な機能性を提供する他の材料も使用できる。
【0036】
図23において、微量透析プローブ4は、一端は組織31内に挿入され、他端はシステム・ハウジング・ベース84と漏れのない接続を構成する。微量透析プローブ4は、空洞のファイバ・セグメント4の向かいあう端部は、システム・ハウジング・ベース84に形成された2つの孔85内に挿入され、各端部を接着剤90でシステム・ハウジング・ベース84に固着し、残りのファイバーを孔85から突出させる。その結果、ファイバー4の端部は、システム・ハウジング・ベース84の内側表面87と面一になる。
シリコン製のシール71は、3個の孔89、91が形成されているが、内側表面87上に配置される。外側の2個の孔89はプローブと整合し、中央の孔91はハウジング84に形成されたカニョーレ開口90Aと整合する。シール71が、光学測定セル35とマルチ・ポート構造77で、内側表面87に押しつけられる。この為、光学測定セルの入口があるプローブの開口とカニョーレ3がある出口とが、気密の流路を形成する。
【0037】
図24−27において、微量透析プローブ4は微量透析ファイバーで実現される。微量透析プローブ4は、カニョーレ壁3A内で孔92を介して、ねじ込まれる。
図25において、微量透析プローブ4は、圧縮留置状態であり、カニョーレ挿入機91は、カニョーレ・ルーメン内に配置される。
図27において、微量透析プローブ4は、カニョーレ挿入機91がカニョーレ・ルーメンから取り除かれた後に、元の非圧縮状態に戻った後の状態である。
【0038】
本発明は、特にインシュリンの投与と血糖値の監視に関する。更に本発明は体液の代謝産物状態或いは所望の代謝産物状態を維持するために、薬剤投与を監視する薬剤投与システムにも関連する。代謝産物監視システムと様々な構成要素は、適宜の材料例えばプラスチック材料、金属材料から形成することができる。
【0039】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。用語「又は」に関して、例えば「A又はB」は、「Aのみ」、「Bのみ」ならず、「AとBの両方」を選択することも含む。特に記載のない限り、装置又は手段の数は、単数か複数かを問わない。
【符号の説明】
【0040】
3 カニョーレ
4 微量透析プローブ
5 挿入機構
6 挿入チューブ
11 刺通先端
12 傾斜端部
12A,15A スロット・サイド
13 スロット
17 傾斜端部
18 プッシュ・ロッド
31 組織
33 薬剤貯蔵部
34 塩水貯蔵部
35 光学測定セル
38 フロー制御機構
39 流体ダンプ
40 光学センサー
41 濃度/タイミング計算機
42 試薬貯蔵部
43 ユーザ・インターフェース
44 プロセッサ
44A 塩水入口
45 透析物用スロット
45A 塩水出口
46 試薬用スロット
50 シート
51 メイン・スロット
52 混合セグメント
52A カニョーレ挿入口
53 流路
53A 反射性表面
54 ドレイン・セグメント
57 透析物入口
59 試薬入口
65 照射領域
66 混合点
67 カバー・シート
68 底部シート
69 光学測定セル
70 ハウジング
71 シーリング・ディスク
72 シリコン・ポート構造
73 シリコン・ポートハウジング
74 チャネル
77 多ポート構造
78 測定セルストッパー
81 シリコン・ポート
82 シリコン・ポート
83 シリコン・ポート
84 システム・ハウジング
85 穿孔
87 内側表面
89 3個の穿孔
90A カニョーレ開口
91 カニョーレ挿入機

図8
20:開始
21:薬剤投与速度(割合)を設定する
22:サンプリング遅延期間を決定する
23:薬剤を投与する
24:サンプリング遅延間隔が経過したか?
25:代謝産物サンプルを得る
26:薬剤投与期間が経過したか?
27:薬剤投与速度を変化させたか?

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の身体内の代謝産物を管理するシステムにおいて、
(a)薬剤投与ユニットと、
前記薬剤投与ユニットは、患者の身体内に挿入されるカニョーレを有し、
(b)代謝産物監視ユニットと、
前記代謝産物監視ユニットは、患者の身体内に挿入されるサンプリング・プローブを有し、
を有し、
前記薬剤投与ユニットと代謝産物監視ユニットは、前記カニョーレと前記サンプリング・プローブが互いに近接して配置されるよう、ハウジング内に配置され、
これにより、前記カニョーレと前記サンプリング・プローブの患者の身体内への挿入が、患者の皮膚に開けられた1個の穿孔を介して行われる
ことを特徴とする患者身体の代謝産物を管理するシステム。
【請求項2】
前記サンプリング・プローブは、前記カニョーレの壁に、穿孔を介してねじ込まれている
ことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
(c)制御ユニットを更に有し、
前記制御ユニットは、前記薬剤投与ユニットと代謝産物監視ユニットを制御し、
前記制御ユニットは、
(i)前記薬剤投与ユニットを駆動し、前記患者への薬剤投与を複数回行い、前記薬剤投与は一定時間離れており、
(ii)前記代謝産物監視ユニットを駆動し、これにより、最小時間経過後に患者から代謝産物サンプルを得る、
前記最小時間は、前記代謝産物サンプルが、患者の身体内の代謝産物全体の量を表すような薬剤投与経過の後の時間である
ことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記代謝産物監視ユニットは、積層された光学測定セルを有する
ことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記積層された光学測定セルは、一定断面積の流路を有する
ことを特徴とする請求項4記載のシステム。
【請求項6】
患者の身体の代謝産物を管理する方法において、
(a)薬剤投与と代謝産物監視を組み合わせたシステムを提供するステップと、
前記システムは、互いに近接して配置されたカニョーレと代謝産物サンプリング・プローブを有し、これにより身体内への挿入が1個の穿孔で行われ、
(b)前記カニョーレと前記代謝産物のサンプリング・プローブを、患者の身体内に1個の共通の穿孔を介して挿入するステップと
を有する
ことを特徴とする患者身体の代謝産物を管理する方法。
【請求項7】
(c)前記患者への薬剤投与を複数回行うステップと、
前記複数回の薬剤投与は、一定時間をおいて行われ、
(d)最小時間経過後に患者から代謝産物サンプルを得るステップと、
前記最小時間は、代謝産物サンプルが、患者の身体内の代謝産物全体の量を表すのに十分な薬剤投与の後の時間である
を更に有する
ことを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記代謝産物のサンプリング・プローブは、ループ状の微量透析サンプリング・プローブを有する
ことを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記代謝産物監視ユニットは、積層された光学測定セルを有する
ことを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記積層された光学測定セルは、前記流路に沿った2点の間で、一定の断面積の流路を有する
ことを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記サンプリング・プローブは、ループ状の微量透析用サンプリング・プローブを有する
ことを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
患者の身体の代謝産物を管理する方法において、
(a)薬剤投与と代謝産物監視を組み合わせたシステムを提供するステップと、
(b)複数回の薬剤投与を患者に対し行うステップと、
前記複数回の薬剤投与は、時間をおいて行われ、
(c)最小時間経過後、患者から代謝産物サンプルを得るステップと、
前記最小時間遅延は、前記代謝産物サンプルが、患者の身体内の代謝産物の全体量を示すような薬剤投与量の後である
を有する
ことを特徴とする患者身体の代謝産物を管理する方法。
【請求項13】
前記薬剤投与と代謝産物監視を組み合わせたシステムは、互いに近接して配置されたカニョーレと代謝産物サンプリング・プローブを有し、これにより身体内への挿入が1個の穿孔で行われる
ことを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
(d)前記カニョーレと前記代謝産物のサンプリング・プローブを、患者の身体内に1個の共通の穿孔を介して挿入するステップ
を更に有する
ことを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記代謝産物のサンプリング・プローブは、ループ状の微量透析サンプリング・プローブを有する
ことを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項16】
前記代謝産物監視ユニットは、積層された光学測定セルを有する
ことを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項17】
前記積層された光学測定セルは、前記流路に沿った2点の間で、一定の断面積の流路を有する
ことを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記代謝産物のサンプリング・プローブは、ループ状の微量透析サンプリング・プローブを有する
ことを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項19】
代謝産物監視ユニットと共に使用される光学測定セルにおいて、
前記代謝産物監視ユニットは、測定領域を照射する光源を具備する光学センサーを有し、
前記光学センサーは、
(a)第1シートと、
前記第1シートは、前記測定領域を通過する流路を規定する溝を有し、
前記溝の一部は、前記測定領域内にあり、その長さは、前記測定領域の最大寸法よりも1.5倍以上の長さを有し、
(b)前記第1シートに結合された透明材料製の第2シートと、
前記第2シートは、前記溝を包囲し、
を有し、
これにより十分な量の流体が、前記光源に曝され、正確な光学測定値が得られる
ことを特徴とする光学測定セル。
【請求項20】
前記第2シートは、2枚のシートで構成され、
前記各2枚のシートは、前記第1のシートを挟んで結合され、
前記溝は、スロットを構成する
ことを特徴とする請求項19記載の光学測定セル。
【請求項21】
前記積層された光学測定セルは、前記流路に沿った2点の間で、20%以下しか変わらない断面積の流路を有する
ことを特徴とする請求項19記載の光学測定セル。
【請求項22】
前記第1シートは、アルミ製である
ことを特徴とする請求項19記載の光学測定セル。
【請求項23】
前記溝は、複数のカーブ部分を含む
ことを特徴とする請求項19記載の光学測定セル。
【請求項24】
前記溝は、螺旋形状部分を含む
ことを特徴とする請求項19記載の光学測定セル。
【請求項25】
前記流路の長さは、前記光源により照射される領域の最大寸法より2倍以上大きい
ことを特徴とする請求項19記載の光学測定セル。
【請求項26】
前記流路の長さは、前記光源により照射される領域の最大寸法より3倍以上大きい
ことを特徴とする請求項19記載の光学測定セル。
【請求項27】
前記溝は、前記光源により照射される領域の外に伸び、
これにより、前記光源により照射される領域から上流方向に流路を規定し、
これにより、前記光源に照射される前に、前記透析物と試薬の均一な混合を得る
ことを特徴とする請求項19記載の光学測定セル。
【請求項28】
代謝産物監視ユニット用の光源で照射される積層された光学測定セルにおいて、
(a)溝を有するシートを有し、
前記溝は、非照射流路部分と、それに連通する照射流路部分とを有し、
前記照射流路部分の断面積は、前記非照射流路部分の断面積に等しく、
これにより、非照射流路部分から前記照射流路部分への流体の流れを均一にする
ことを特徴とする代謝産物監視ユニット用の光源で照射される積層された光学測定セル。
【請求項29】
前記照射流路部分は、前記光源により照射される領域の最大寸法より1.5倍以上の長さを有する
ことを特徴とする請求項28記載の光学測定セル。
【請求項30】
前記照射流路部分は、前記光源により照射される領域の最大寸法より2倍以上の長さを有する
ことを特徴とする請求項28記載の光学測定セル。
【請求項31】
前記照射流路部分は、前記光源により照射される領域の最大寸法より3倍以上の長さを有する
ことを特徴とする請求項28記載の光学測定セル。
【請求項32】
前記照射流路部分は、複数のカーブ部分を含む
ことを特徴とする請求項28記載の光学測定セル。
【請求項33】
前記照射流路部分は、螺旋部分を含む
ことを特徴とする請求項28記載の光学測定セル。
【請求項34】
前記照射流路部分は、第一面に配置され、
前記非照射流路部分は、第二面に配置され、
前記第一面と第二面とは、異なる
ことを特徴とする請求項28記載の光学測定セル。
【請求項35】
前記サンプリング・プローブは、微量透析ファイバー、電子化学プローブ、ファイバーオプティックセンサー、ファイバー接続された蛍光親和センサーからなるグループから選択される
ことを特徴とする請求項1記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公表番号】特表2012−522567(P2012−522567A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502877(P2012−502877)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【国際出願番号】PCT/IL2010/000285
【国際公開番号】WO2010/113162
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(509127365)
【Fターム(参考)】